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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-28
(45)【発行日】2025-03-10
(54)【発明の名称】間仕切り部材および間仕切り構造物
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20250303BHJP
【FI】
E04B2/74 561H
E04B2/74 541A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2024196077
(22)【出願日】2024-11-08
【審査請求日】2024-11-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594161600
【氏名又は名称】柏木工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(72)【発明者】
【氏名】井之口 泰幸
【審査官】齋藤 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-032742(JP,A)
【文献】特開2022-121934(JP,A)
【文献】登録実用新案第3228861(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数組み合わせて所要形状のスペースを区画可能な間仕切り部材であって、
当該間仕切り部材は、一方面側に開放した物品収納凹部が形成されると共に、当該一方面側に第1係合手段を備え、相互に連結可能な複数の第1連結手段および第2連結手段を所要の配置で備えるよう構成され、
前記第1係合手段を、当該間仕切り部材の設置対象部に設けた第2係合手段に着脱可能に係合して取り付けた保管状態において、当該設置対象部と前記物品収納凹部との間に収納空間を画成するよう構成され、
前記設置対象部から取り外した状態で、複数の間仕切り部材の前記第1連結手段と第2連結手段とを着脱可能に連結することで、所要形状のスペースを区画し得るよう構成した
ことを特徴とする間仕切り部材。
【請求項2】
他方面側に前記第2係合手段を備え、
前記一方面と他方面とを向き合わせた複数の前記間仕切り部材の前記第1係合手段および第2係合手段を係合することで、複数の間仕切り部材を前後に重ねて保管し得ると共に、前後に重ねた間仕切り部材の間に前記収納空間を画成するよう構成した請求項1記載の間仕切り部材。
【請求項3】
前記第2連結手段は、前記間仕切り部材の表面から没した位置に被連結部を備え、
前記第1連結手段は、前記間仕切り部材の表面から突出して前記第2連結手段の被連結部に連結する連結位置および間仕切り部材の表面から没して第2連結手段との連結を解除する連結解除位置に手動操作によって変位する連結部を備える請求項1記載の間仕切り部材。
【請求項4】
前記間仕切り部材には、前記連結部の連結解除位置において、該連結部の前記連結位置への変位を規制する規制部が設けられ、前記連結部の姿勢を変化することで規制部による規制を解除可能に構成した請求項3記載の間仕切り部材。
【請求項5】
前記間仕切り部材は、前記収納空間に収納した物品を保持する保持部材を備えている請求項1記載の間仕切り部材。
【請求項6】
請求項1に記載の複数の間仕切り部材の第1連結手段と第2連結手段を連結して構成され、当該間仕切り部材で囲われたスペースに対する出入口が画成されたことを特徴とする間仕切り構造物。
【請求項7】
前記出入口を開閉可能な扉部材を備えると共に、前記第1連結手段および第2連結手段が所要の配置で配設された扉ユニットが、前記出入口を画成する前記間仕切り部材に、該間仕切り部材および扉ユニットの一方に配設した第1連結手段および他方に配設した第2連結手段によって着脱可能に連結され、
前記扉ユニットは、前記第1係合手段を備えて、前記間仕切り部材から取り外した状態で、前記設置対象部に第1係合手段および第2係合手段によって着脱可能に取り付けて保管可能に構成した請求項6記載の間仕切り構造物。
【請求項8】
前記扉ユニットには、前記第1係合手段が設けられ、
当該扉ユニットの第1係合手段に、前記間仕切り部材または別の扉ユニットの第2係合手段を係合して重ねて保管可能に構成した請求項7記載の間仕切り構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、災害発生時の避難施設等の設置対象部に備えて物品の保管庫として活用できると共に、必要に応じて設置対象部から取り外して組み合わせることでスペースを間仕切ることができる間仕切り部材および間仕切り構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地震、津波、河川の氾濫等の災害発生時には、学校の体育館や、自治体の公民館等が避難施設として提供されるが、大勢の避難者が集まる避難生活では間仕切りも無く、プライバシー保護が問題となる。そこで、複数の発泡パネルを、接着テープや金具等の固定手段によって固定した床パネルの周囲に、固定手段で固定して組み立てた発泡パネルの壁を設置することで、区画された簡易的な居住スペースを確保し得るよう構成した間仕切りセットが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-228667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の間仕切りセットは、複数の発泡パネルや固定手段を纏めた梱包状態で、避難施設や、別途設置した防災倉庫等に保管されるが、該間仕切りセットは、災害発生時に必要となるものであって、平常時に使用されるものではない。そのため、避難施設に保管する場合には、間仕切りセットを保管する専用の部屋等を確保する必要があり、避難施設として提供される体育館や公民館で使用される既存の各種用具の保管スペースを圧迫する問題がある。また、新たに防災倉庫を設置する場合には、該防災倉庫の設置スペースを確保する必要がある他、コストが嵩む難点も指摘される。更に、間仕切りセットを保管する部屋や防災倉庫等の保管場所が、実際に居住スペースを構築する設置場所から離れている場合には、間仕切りセットを設置場所まで運ぶ手間や時間が掛かり、被災状況によっては間仕切りセットを設置場所まで運べなくなる難点がある。
【0005】
本発明は、前述した従来技術に内在する前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、新たな保管スペースを確保することなく保管可能であると共に、使用時には所要形状のスペースを迅速に区画し得る間仕切り部材および間仕切り構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、第1の手段は、
複数組み合わせて所要形状のスペースを区画可能な間仕切り部材(10)であって、
当該間仕切り部材(10)は、一方面側に開放した物品収納凹部が形成されると共に、当該一方面側に第1係合手段(16)を備え、相互に連結可能な複数の第1連結手段(23)および第2連結手段(24)を所要の配置で備えるよう構成され、
前記第1係合手段(16)を、当該間仕切り部材の設置対象部(11)に設けた第2係合手段(15)に着脱可能に係合して取り付けた保管状態において、当該設置対象部(11)と前記物品収納凹部との間に収納空間(S)を画成するよう構成され、
前記設置対象部(11)から取り外した状態で、複数の間仕切り部材(10)の前記第1連結手段(23)と第2連結手段(24)とを着脱可能に連結することで、所要形状のスペースを区画し得るよう構成したことを要旨とする。
この構成によれば、間仕切り部材は、不使用時には体育館や公民館等の避難施設の設置対象部(例えば壁面)に取り付けて保管することができるので、保管のために専用の部屋を確保したり、新たに防災倉庫を設置する必要もなく、保管のためのスペースやコストを低減できる。また、避難施設の設置対象部に間仕切り部材を保管することで、設置対象部から取り外して直ぐに居住スペースを構築することができ、間仕切り部材を設置場所まで運ぶ手間や時間を最小限にすることができる。
【0007】
第2の手段は、他方面側に前記第2係合手段(15)を備え、
前記一方面と他方面とを向き合わせた複数の前記間仕切り部材(10)の前記第1係合手段(16)および第2係合手段(15)を係合することで、複数の間仕切り部材(10)を前後に重ねて保管し得ると共に、前後に重ねた間仕切り部材(10,10)の間に前記収納空間(S)を画成するよう構成したことを要旨とする。
この構成によれば、間仕切り部材を重ねて保管することができるので、多数の間仕切り部材の保管に要するスペースを小さくすることができる。
【0008】
第3の手段は、前記第2連結手段(24)は、前記間仕切り部材(10)の表面から没した位置に被連結部(27a)を備え、
前記第1連結手段(23)は、前記間仕切り部材(10)の表面から突出して前記第2連結手段(24)の被連結部(27a)に連結する連結位置および間仕切り部材(10)の表面から没して第2連結手段(24)との連結を解除する連結解除位置に手動操作によって変位する連結部(26b)を備えることを要旨とする。
この構成によれば、第1連結手段の連結解除位置での連結部および第2連結手段の被連結部は、何れも間仕切り部材の表面から突出していないので、保管時には複数の間仕切り部材を隙間なく配置でき、保管スペースを小さくすることができる。
【0009】
第4の手段は、前記間仕切り部材(10)には、前記連結部(26b)の連結解除位置において、該連結部(26b)の前記連結位置への変位を規制する規制部(29)が設けられ、前記連結部(b)の姿勢を変化することで規制部(29)による規制を解除可能に構成したことを要旨とする。
この構成によれば、連結解除位置での連結部の連結位置への変位を規制部で規制することができるので、設置対象部から間仕切り部材を取り外す時や、組み立てた複数の間仕切り部材を分解した際に、不用意に第1連結手段の連結部が間仕切り部材の表面から突出するのを防ぐことができるので、周囲にある構造物等に連結部が引っ掛かったり、該連結部が損傷してしまうのを防止することができる。
【0010】
第5の手段は、前記間仕切り部材(10)は、前記収納空間(S)に収納した物品(19,20)を保持する保持部材(21)を備えていることを要旨とする。
この構成によれば、間仕切り部材を設置対象部に取り付けたり取り外す際に、人手によって物品が脱落するのを防ぐ必要はなく、作業が容易である。
【0011】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、第6の手段の間仕切り構造物は、
第1の手段の複数の間仕切り部材(10)の第1連結手段(23)と第2連結手段(24)を連結して構成され、当該間仕切り部材(10)で囲われたスペースに対する出入口(31)が画成されたことを要旨とする。
この構成によれば、災害発生時に提供された避難施設に、避難者の居住スペースを短時間で区画することができる。
【0012】
第7の手段は、前記出入口(31)を開閉可能な扉部材(37,39)を備えると共に、前記第1連結手段(23)および第2連結手段(24)が所要の配置で配設された扉ユニット(33)が、前記出入口(31)を画成する前記間仕切り部材(10)に、該間仕切り部材(10)および扉ユニット(33)の一方に配設した第1連結手段(23)および他方に配設した第2連結手段(24)によって着脱可能に連結され、
前記扉ユニット(33)は、前記第1係合手段(16)を備えて、前記間仕切り部材(10)から取り外した状態で、前記設置対象部(11)に第1係合手段(16)および第2係合手段(15)によって着脱可能に取り付けて保管可能に構成したことを要旨とする。
この構成によれば、居住スペースに対する出入口を開閉可能な扉ユニットを備えることで、プライバシー性を高めることができる。また、扉ユニットは、間仕切り部材と同様に設置対象部に取り付けて保管可能であるので、保管のために専用の部屋を確保したり、新たに防災倉庫を設置する必要もなく、保管のためのスペースやコストを低減できる。また、避難施設の設置対象部に扉ユニットを保管することで、設置対象部から取り外して直ぐにプライバシー性の高い居住スペースを構築することができる。
【0013】
第8の手段は、前記扉ユニット(33)には、前記第2係合手段(15)が設けられ、
当該扉ユニット(33)の第1係合手段(16)に、前記間仕切り部材(10)または別の扉ユニット(33)の第2係合手段(15)を係合して重ねて保管可能に構成したことを要旨とする。
この構成によれば、扉ユニットに別の扉ユニットまたは間仕切り部材を重ねて保管することができるので、多数の扉ユニットの保管に要するスペースを小さくすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る間仕切り部材および間仕切り構造物によれば、施設の設置対象部に間仕切り部材を取り付けて保管できるので、保管のために新たに保管スペースを確保する必要はなく、保管のためのコストを低減できる。また、設置対象部から取り外した間仕切り部材を別の場所まで運ぶ必要はなく、施設内に、プライバシー性の高い居住スペースを画成した間仕切り構造物を迅速かつ短時間で構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例の間仕切り部材および間仕切り構造物を示す概略斜視図である。
図2】間仕切り部材の概略正面図である。
図3】間仕切り部材の概略背面図である。
図4】(a)は間仕切り部材を一部切欠いて示す概略左側面図であり、(b)は間仕切り部材を一部切欠いて示す概略右側面図である。
図5】(a)は間仕切り部材の概略平面図であり、(b)は間仕切り部材の概略底面図である。
図6】第1係合手段と第2係合手段との係合構造を示す概略図であって、(a)は係合前の状態を示し、(b)は係合した状態を示している。
図7】壁面に間仕切り部材を取り付けた状態を示す説明図である。
図8A】第1連結手段と第2連結手段との連結構造を示す概略図であって、第1連結手段の連結部が収容位置で第2姿勢となっている状態において、(a)は連結部と係止部との関係を示し、(b)は第1連結手段の操作部と枠材との関係を示している。
図8B】第1連結手段と第2連結手段との連結構造を示す概略図であって、第1連結手段の連結部が突出位置で第1姿勢となっている状態において、(a)は連結部と係止部との関係を示し、(b)は第1連結手段の操作部と枠材との関係を示している。
図8C】第1連結手段と第2連結手段との連結構造を示す概略図であって、第1連結手段の連結部が突出位置で第2姿勢となっている状態において、(a)は連結部と係止部との関係を示し、(b)は第1連結手段の操作部と枠材との関係を示している。
図9】第1連結手段の連結部と、第2連結手段の係止部との関係を示すものであって、(a)は連結部の第1姿勢の状態を示し、(b)は連結部の第2姿勢の状態を示している。
図10】複数の間仕切り部材を組み立てて構築される実施例に係る間仕切り構造物の各種パターンを示す説明図である。
図11】扉ユニットが配設された別実施例の間仕切り構造物を示す概略斜視図である。
図12】扉ユニットを構成する第1ユニットおよび第2ユニットを分解して示す概略斜視図である。
図13】第1ユニットを示す概略図であって、(a)は正面図、(b)は上第1横枠材を取り外した状態で示す平面図、(c)は上第1横枠材の平面図である。
図14】第2ユニットを示す概略図であって、(a)は正面図、(b)は下第2横枠材を取り外した状態で示す平面図、(c)は下第2横枠材の平面図である。
図15】別実施例の間仕切り構造物の扉ユニットの構成を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明に係る間仕切り部材および間仕切り構造物につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【実施例
【0017】
図1に示す如く、実施例に係る間仕切り部材10は、不使用時には、災害発生時に提供される体育館や公民館等の避難施設の壁面(設置対象部)11に着脱可能に取り付けて保管し、使用時には壁面11から取り外し、複数の間仕切り部材10を相互に連結して組み立てて、避難者が生活可能な所要形状の居住スペース(スペース)を区画する間仕切り構造物12を構築し得るよう構成されたものである。図2図5に示す如く、間仕切り部材10は、矩形枠状に形成された枠体13と、該枠体13の内側空間を閉塞するパネル14とを備える。実施例では、枠体13における前後方向の一方側が開放するよう他方面側に同一外形寸法のパネル14が固定されており、間仕切り部材10において、パネル14が配設される側を前、反対側を後と指称する。すなわち、実施例の間仕切り部材10は、枠体13とパネル14とにより、枠体13の内側に、後方(一方面側)に開放して枠体13における前後寸法の物品収納凹部が画成されている。実施例では、枠体13およびパネル14は、何れも木材から形成されるが、合成樹脂や金属を材質としてもよく、また枠体13とパネル14との材質を異ならせることもできる。また、間仕切り部材10は、縦(上下方向)・横(左右方向)の寸法が同じとなる正方形に形成されている。縦方向の寸法(高さ)としては、例えば座面までの高さが300mm程度の椅子に、成人男性の平均身長(約1700mm)の避難者が座った場合に、該避難者の目線を遮ることが可能な、例えば1200mmに設定されるが、該寸法は任意に設定可能である。また、間仕切り部材10は、正面視で正方形に限らず長方形に形成されたものであってもよい。
【0018】
図2図3に示す如く、前記枠体13は、左右一対の縦枠材13a,13bと、上下一対の横枠材13c,13dとを矩形枠状に組み付けたものであって、該枠体13の後面(一方面側)には、4隅に対応する位置(具体的には各縦枠材13a,13bの上下位置)に、前記避難施設の壁面11に配設された第2係合手段15に係脱可能に係合する第1係合手段16が夫々配設されている。第1係合手段16は、図6に示す如く、枠体13にネジ等によって固定される板状の固定部17と、該固定部17から後方に突出する係合突部18とを備え、固定部17は、枠体13の後面(表面)から突出しないように枠体13に固定される。係合突部18は、固定部17から突出する細幅部18aの突出端部に大径部18bを備え、該大径部18bが、壁面11の第2係合手段15に係脱可能に係合するよう構成される。壁面11には、枠体13に設けられた4つの第1係合手段16に対応する位置に、第2係合手段15が設けられている。第2係合手段15は、壁面11にネジ等によって固定される板状の固定部15aと、該固定部15aに設けられて前後方向に貫通し、第1係合手段16における大径部18bの前後方向の挿脱が可能な挿通孔部15bと、該挿通孔部15bに連通して下方に延在し、係合突部18における大径部18bの前後方向の挿脱が不能で、細幅部18aの上下方向の移動は許容する係合孔部15cとを備える。すなわち、壁面11に設けた各第2係合手段15の挿通孔部15bに対して前側から間仕切り部材10における第1係合手段16の大径部18bを挿入した後、間仕切り部材10を下降して細幅部18aを係合孔部15cに臨ませることで、大径部18bが固定部15aの裏面に係合して前後方向の挿脱が規制される(図6(b)参照)。すなわち、壁面11の第2係合手段15に間仕切り部材10の第1係合手段16を係合することで、該間仕切り部材10は、枠体13の後面が壁面11の前面に当接した状態で重なって取り付けられる。従って、壁面11に、1つの間仕切り部材10に対応する4つの第2係合手段15を、上下方向および左右方向に、同一パターンで複数配設することで、壁面11に、複数の間仕切り部材10を上下方向および左右方向に並べて取り付けることができ、複数の間仕切り部材10によって避難施設の壁を構成することができる(図1参照)。
【0019】
図7に示す如く、前記壁面11に取り付けた間仕切り部材10のパネル14と壁面11との間には、前記枠体13の内側に形成された物品収納凹部に対応して、各種の物品を収納可能な収納空間Sが画成される。物品としては、例えば、複数の間仕切り部材10を組み立てることで構築した間仕切り構造物12によって画成された居住スペースの床面に敷く畳み19や、簡易ベッドを形成可能な段ボールシート20等が挙げられるが、避難者が生活するのに必要となる、飲料や食料品、その他各種の防災用品等を収納することが可能になっている。また、間仕切り部材10には、図3に示す如く、畳み19や段ボールシート20を、収納空間Sに収納状態で保持可能なベルト(保持部材)21が、枠体13における左右の縦枠材13a,13b間に掛け渡されており、間仕切り部材10を壁面11に対して着脱する際に、畳み19や段ボールシート20が脱落するのを防止し得るよう構成される。なお、間仕切り部材10におけるパネル14の後面には、物品収納凹部(収納空間S)を上下に仕切る横桟22が配設され、畳み19や段ボールシート20を分けて収納可能に構成されると共に、上下に仕切られた物品収納凹部(収納空間S)に対応してベルト21が夫々設けられている。保持部材は、ベルトに限らず、畳みや段ボールシート等の各種物品を保持可能なネットやフック等であってもよい。
【0020】
前記間仕切り部材10の前面(他方面側、具体的にはパネル14)の4隅には、図1に示す如く、前記第2係合手段15が配設されており、壁面11に取り付けられた間仕切り部材10の前面(他方面)に、同一構成の別の間仕切り部材10の後面(他方面)を向き合わせた状態で、第1および第1係合手段15,16を介して複数の間仕切り部材10を前後に重なるように取り付け可能に構成される。すなわち、同一構成の複数の間仕切り部材10を、前後方向(厚み方向)に重なるように取り付け可能に構成して、多数の間仕切り部材10を保管するために必要となる壁面スペースを小さくし得るようになっている。このように、複数の間仕切り部材10を前後に重ねた場合でも、前後の間仕切り部材10,10の間に前記収納空間Sが形成されて、該収納空間Sに物品を収納することができる。
【0021】
図1図4図5に示す如く、前記間仕切り部材10には、相互に連結可能な複数の第1連結手段23および複数の第2連結手段24が所要の配置で配設されている。第1連結手段23と第2連結手段24は、着脱可能に連結される関係に構成されており、2つの間仕切り部材10を組み立てる際に、一方の間仕切り部材10の第1連結手段23と、他方の間仕切り部材10の第2連結手段24とを連結することで、各種形状の間仕切り構造物12を構築可能に構成される(図10参照)。なお、図1図4図5では、第1連結手段23を四角形で対角線を付した図形で模式的に表示すると共に、第2連結手段24を四角形で模式的に表示してある。間仕切り部材10は、前記枠体13における上横枠材13cの上面側に、左右方向に離間して2つの第1連結手段23が配設されると共に、下横枠材13dの下面側に、左右方向に離間して2つの第2連結手段24が配設される。また、枠体13における左縦枠材(一方の縦枠材)13aの外側面側に、上下方向に離間して2つの第2連結手段24が配設されると共に、右縦枠材(他方の縦枠材)13bの外側面側に、上下方向に離間して2つの第1連結手段23が配設される。また、パネル14の前面側には、上端側において左右に離間して2つの第2連結手段24が配設されると共に、下横枠材13dには、パネル14の表面側に露出する2つの第1連結手段23が左右方向に離間して配設される。更に、パネル14の前面側には、右縦枠材13bに対応する位置において上下方向に離間して2つの第2連結手段24が配設されると共に、左縦枠材13aには、パネル14の表面側に露出する2つの第1連結手段23が上下方向に離間して配設されている。
【0022】
前記第1連結手段23は、図8A図8Cに示す如く、前記枠体13における各枠材13a,13b,13c,13dの対応する部位にネジ等によって固定された固定部25と、該固定部25に設けられて前後方向に貫通するスリーブ25aに回転可能に支持されると共に、配設箇所に応じて上下方向、左右方向または前後方向に移動可能に支持された連結体26と、を備える。連結体26は、スリーブ25aに軸方向に移動可能に挿通された軸部26aと、該軸部26aの軸方向の一端に設けられた連結部26bと、軸部26aの軸方向の他端に設けられた操作部26cと、を備える。実施例では、上横枠材13cに配設された第1連結手段23は、スリーブ25aに対して連結体26が上下方向に移動可能に支持されると共に軸部26aの上端に連結部26bが設けられた状態で配設され、右縦枠材13bに配設された第1連結手段23は、スリーブ25aに対して連結体26が左右方向に移動可能に支持されると共に軸部26aの右端に連結部26bが設けられた状態で配設され、下横枠材13dおよび左縦枠材13aに配設された第1連結手段23は、スリーブ25aに対して連結体26が前後方向に移動可能に支持されると共に軸部26aの前端に連結部26bが設けられた状態で配設される。すなわち、第1連結手段23の連結体26は、軸部26aにおける枠体13またはパネル14の表面側の端に連結部26bが設けられて、スリーブ25aに対して連結部26bが間仕切り部材10の表面から出没する方向に移動可能に構成されている。
【0023】
前記第2連結手段24は、図8A図8Cに示す如く、前記枠体13またはパネル14にネジ等で固定される凹状の固定部27と、該固定部27における枠体13またはパネル14の表面側で左右方向または上下方向に離間して対向する一対の係止部(被連結部)27a,27aと、を備える。一対の係止部27a,27aは、枠体13またはパネル14の表面から突出しないように、該表面から没した位置に位置付けられると共に、前記第1連結手段23の連結部26bの後述する第1姿勢での挿脱が可能な幅で離間している。実施例では、下横枠材13dおよびパネル14の上端側に配設された第2連結手段24は、一対の係止部27a,27aが左右方向に離間する姿勢で配設されるのに対し、左縦枠材13aおよびパネル14の右縦枠材側に配設された第2連結手段24は、一対の係止部27a,27aが上下方向に離間する姿勢で配設されている。
【0024】
前記第1連結手段23と第2連結手段24との連結構造は、配設される各種部位においても同様であるので、間仕切り部材10の右縦枠材13bに配設された第1連結手段23と、別の間仕切り部材10の左縦枠材13aに配設された第2連結手段24を例に挙げて、図8A図8Cを参照して連結構造を説明する。右縦枠材13bには、表面側(図8A図8Cの右面)に開口する所定深さの凹部28が形成され、該凹部28に第1連結手段23の前記固定部25が固定されている。なお、下横枠材13dおよび左縦枠材13aに配設された第1連結手段23の固定部25は、パネル14の対応する位置に設けた凹部に固定される。固定部25には所定長さで前記スリーブ25aが左方に向けて突設されており、該スリーブ25aに前記軸部26aが回転可能に挿通された前記連結体26は、左右方向に移動可能に支持される。そして、軸部26aにおける固定部25から右方に突出する端(右縦枠材13bの外側面側の端)に、前記連結部26bが一体的に移動可能に配設されると共に、該軸部26aにおけるスリーブ25aから左方に突出する端(右縦枠材13bの内側面側から突出する端)に、前記操作部26cが一体的に移動可能に径方向に延出して設けられる。連結部26bは、軸部26aから径方向外方に長手方向の両端部が延出する矩形板状に形成された部材であって、連結体26を回転することで、別の間仕切り部材10の左縦枠材13aに配設されて上下方向に離間する一対の係止部27a,27aの間を左右方向に挿通可能になる長手が横向きの第1姿勢(図9(a)参照)と、一対の係止部27a,27aの間を左右方向に挿通不可能となる長手が縦向きの第2姿勢(図9(b)参照)とに変化可能に構成される。また、連結体26は、スリーブ25aに対して左右方向に移動することで、連結部26bが右縦枠材13bの表面から突出することなく凹部内に収容された収容位置(図8A参照)と、連結部26bが右縦枠材13bの表面から突出して一対の係止部27a,27aの裏面に係合可能な突出位置(図8B,図8C参照)に移動可能に構成される。
【0025】
そして、前記第1連結手段23の連結体26を収容位置に位置付けた状態で、右縦枠材13bと左縦枠材13aの表面(対向面)を当接した後、連結部26bを第1姿勢にしたもとで、連結体26を突出位置まで移動することで、連結部26bは第2連結手段24における一対の係止部27a,27aの間を通過する(図8B参照)。次いで、操作部26cによって連結体26を回転して連結部26bを第2姿勢に変化することで、係止部27a,27aの裏面に連結部26bの裏面が係合当接して、第1連結手段23と第2連結手段24とが連結されるようになっている(図8Cおよび図9(b)参照)。また、連結部26bにおける軸部26aからの延出部の裏面に、回転方向の一方から他方に向けて傾斜するテーパ26dが形成されると共に、一対の係止部27a,27aの裏面には、連結部26bのテーパ26dに対応するテーパ27bが形成されており、連結部26bのテーパ26dと、係止部27aのテーパ27bとが当接することで、楔作用によって第1連結手段23と第2連結手段24とが強固に連結される。このとき、楔作用によって一方の間仕切り部材10における右縦枠材13bと、他方の間仕切り部材10の左縦枠材13aとが相互に引き寄せられて、対向する縦枠材13a,13bが密着するよう構成される。
【0026】
前記右縦枠材13bに配設される第1連結手段23の連結体26は、軸部26aに対する径方向の一方に延出するように配設された前記操作部26cの自重によって、連結部26bが第2姿勢となるよう構成され、このとき軸部26aから下方に延出する操作部26cにおける連結部26bを向く面に当接して連結体26の突出位置への移動を規制する規制部29が、右縦枠材13bの内側面側に形成されている(図8A参照)。なお、規制部29は、連結体26を回転して連結部26bを第1姿勢とすることで操作部26cが規制部29から離間して規制状態が解除され、連結体26の左右方向の移動を許容するよう構成される。また、右縦枠材13bの内側面側には、規制部29から操作部26cが離間して連結部26bが第1姿勢となった連結体26を突出位置まで移動した際に、操作部26cにおける下面に当接して、連結部26bが第2姿勢に戻る方向への連結体26の回転を規制して、該連結部26bを第1姿勢に保持可能な保持部30が設けられている(図8B参照)。すなわち、保持部30によって操作部26cを保持することで、作業者が連結体26の姿勢を維持していなくても、連結部26bを、一対の係止部27a,27aの間に挿脱可能な第1姿勢に保持することができ、作業性を向上し得るようになっている。そして、操作部26cを、保持部30から離間する方向に移動して連結体26を回転することで、連結部26bが第2姿勢に変化して係止部27a,27aに係合して連結し得るよう構成される(図8C参照)。すなわち、実施例では、第2姿勢の連結部26bが凹部28内に位置して右縦枠材13bの表面から没した収容位置が、連結解除位置とされ、第2姿勢の連結部26bが右縦枠材13bの表面から突出した突出位置が、連結位置とされ、前記操作部26cによって連結体26を手動操作することで連結部26bを、連結位置と連結解除位置との間で変位し得るように構成されている。
【0027】
ここで、前記第1連結手段26と、該第1連結手段26が配設される枠材13a,13c,13dに設けられる規制部29および保持部30の関係は、前記右縦枠材13bに配設される第1連結手段23と右縦枠材13bに設けられた規制部29および保持部30との関係と同様である。すなわち、左右の縦枠材13a,13bおよび上下の横枠材13c,13dにおいて第1連結手段26の配設位置に対応して設けられる規制部29は、連結体26の収容位置において連結部26bが、対応する一対の係止部27a,27aの間を挿通不能な第2姿勢での突出位置への移動を規制すると共に、連結部26bを一対の係止部27a,27aの間を挿通可能な第1姿勢とすることで連結体26の突出位置への移動を許容する関係で設けられる。また、保持部30は、連結部26bを第1姿勢として突出位置に移動した連結体26の、連結部26bが第2姿勢に戻る方向への回転は規制して、該連結体26の姿勢を保持する関係で設けられる。
【0028】
図9に示す如く、前記連結部26bにおいて、係止部27aの裏面に係合する際の回転方向前側の角部はR形状とされて、前記突出位置において連結部26bを第1姿勢から第2姿勢に変化するよう回転する際に、該連結部26bが係止部27aの裏面へスムーズに入り込み得るよう構成される。なお、一対の係止部27a,27aにおける対向端部の表面側の縁部に、表側から裏面に向けたテーパを形成することで、一対の係止部27a,27aの間へ連結部26bを案内することができるので好ましい。
【0029】
〔実施例の作用〕
次に、実施例に係る間仕切り部材および間仕切り構造物の作用について説明する。
複数の間仕切り部材10を組み立てて間仕切り構造物12を構築する場合は、避難施設の壁面11に直接取り付けられている間仕切り部材10または壁面11に直接取り付けられている間仕切り部材10の前に重ねて取り付けられている間仕切り部材10について、第2係合手段15に対する第1係合手段16の係合を解除するよう手前側の間仕切り部材10を持ち上げて、第2係合手段15の挿通孔部15bに、第1係合手段16の係合突部18における大径部18bを前後方向に整列して、該大径部18bを手前側に抜いて取り外す。収納空間Sに収納されている畳み19や段ボールシート20を取り外した後、複数の間仕切り部材10を所定形状となるように組み立てるように連結する。
【0030】
複数の間仕切り部材10を左右方向に直線状に連結する場合は、図8Bに示す如く、一方の間仕切り部材10の右縦枠材13bと、他方の間仕切り部材10の左縦枠材13aとの表面を突き合わせた状態で、右縦枠材13bに配設されている各第1連結手段23の収容位置に位置付けられて連結部26bが第2姿勢となっている連結体26を90度回転して連結部26bを第1姿勢にすると共に、突出位置まで移動することで、該連結部26bが左縦枠材13aの一対の係止部27a,27aの間を通過して該係止部27a,27aの裏側に至る(図8B参照)。図8Aに示す如く、第1連結手段23の収容位置に位置している連結体26bは、右縦枠材13bの表面から突出していないので、左右の縦枠材13a,13bの表面同士を隙間なく突き合わせることができる。また、収容位置に位置して連結部26bが第2姿勢となっている連結体26は、操作部26cが自重によって前記規制部29で移動規制される位置に臨むので、間仕切り部材同士を組み合わせる際に、作業者が連結体26の連結部26bが右縦枠材13bの表面から突出しないように保持しておく必要はなく、作業性がよい。
【0031】
前記第1連結手段23において、第1姿勢の連結部26bを対応する係止部27a,27aの裏側に至らせた連結体26を90度回転して連結部26bを第2姿勢とすることで、図9に示す如く、該連結部26bの裏面が係止部27a,27aの裏面に当接係合し、第1連結手段23と第2連結手段24とが連結される。連結部26bの裏面と、係止部27a,27aの裏面とには対応するテーパ26d,27bが形成されているので、両テーパ26d,27bによる楔作用によって第1連結手段23が配設された右縦枠部13bと第2連結手段24が配設された左縦枠部13aとが相互に引き寄せられて密着し、2つの間仕切り部材10,10は、左右方向に組み付けられる。
【0032】
複数の間仕切り部材10を上下方向に直線状に連結する場合は、下側の間仕切り部材10の上横枠材13cの上に、上側の間仕切り部材10の下横枠材13dを、上横枠材13cの第1連結手段23と、下横枠材13dの第2連結手段24とが対向するように位置合わせして載せる。この状態で、上横枠材13cに配設されている各第1連結手段23の収容位置に位置付けられて連結部26bが第2姿勢となっている連結体26を90度回転して連結部26bを第1姿勢にすると共に、突出位置まで移動することで、該連結部26bが下横枠材13dの一対の係止部27a,27aの間を通過して係止部27a,27aの裏側に至る。そして、第1連結手段23において、第1姿勢の連結部26bを対応する係止部27a,27aの裏側に至らせた連結体26を90度回転して連結部26bを第2姿勢とすることで、該連結部26bの裏面が係止部27a,27aの裏面に当接係合し、第1連結手段23と第2連結手段24とが連結される。連結部26bと係止部27a,27aとの楔作用によって第1連結手段23が配設された上横枠部13cと第2連結手段24が配設された下横枠部13dとが相互に引き寄せられて密着し、2つの間仕切り部材10,10は上下方向に組み付けられる。なお、上横枠部13cに配設されている第1連結手段23の連結部26bは、自重によって収容位置に位置付けられると共に、操作部26cは規制部29によって突出位置への移動が規制されているので、間仕切り部材同士を上下に組み合わせる際に、作業者が連結体26の連結部26bが上横枠材13cの表面から突出しないように保持しておく必要はなく、作業性がよい。
【0033】
次に、2つの間仕切り部材10,10を直交するように組み合わせる場合は、一方の間仕切り部材10における左縦枠材13aに配設されてパネル14の表面側に露出する第1連結手段23の配設位置に対応するパネル表面に、他方の間仕切り部材10における左縦枠材13aの外側面を当接するか、または一方の間仕切り部材10におけるパネル14の右端側に配設した第2連結手段24の配設位置に対応する表面に、他方の間仕切り部材10における右縦枠材13bの外側面を当接して、一方の間仕切り部材10の第1連結手段23または第2連結手段24に、他方の間仕切り部材10の第2連結手段24または第1連結手段23を対向させるようにして、2つの間仕切り部材10,10をL字状に配置する。そして、各第1連結手段23において、第1姿勢の連結部26bを対応する係止部27a,27aの裏側に至らせた連結体26を90度回転して連結部26bを第2姿勢とすることで、該連結部26bの裏面が係止部27a,27aの裏面に当接係合し、第1連結手段23と第2連結手段24とが連結される。連結部26bと係止部27a,27aとの楔作用によって第1連結手段23または第2連結手段24が露出するパネル14と、第2連結手段24が配設された左縦枠材13aまたは第1連結手段23が配設された右縦枠材13bとが相互に引き寄せられて密着し、2つの間仕切り部材10,10は直交するように連結される。
【0034】
前述したように、複数の間仕切り部材10を左右方向や上下方向および直交するように連結することで、図1および図10に示す如く、出入口31を備えた各種のパターンの居住スペースを画成した間仕切り構造物12を構築することができる。また、居住スペースの大きさは、左右方向や上下方向に並べて連結される間仕切り部材10の数を変えることで変更可能であるので、異なる家族構成に簡単に対応することができる。
【0035】
実施例の間仕切り部材10は、避難施設の壁面11に保管されているので、避難施設として提供される体育館や公民館で使用される既存の各種用具の保管スペースを圧迫することはない。また、間仕切り部材10を保管のために専用の部屋を確保したり、新たに防災倉庫を設置する必要もなく、保管のためのスペースやコストを低減できる。しかも、間仕切り部材10は、避難施設における居住スペースを構築する場所の壁面11に保管されているので、壁面11から取り外した間仕切り部材10を構築場所まで迅速かつ短時間で運んで組み立てることができ、災害発生時に提供された避難施設に、避難者の居住スペースを画成した間仕切り構造物12を短時間で構築して提供できる。また、間仕切り部材10を前後に重ねて保管することができるので、多数の間仕切り部材10の保管に要するスペースを小さくすることができる。しかも、間仕切り部材10と壁面11または前後に重なる間仕切り部材10同士の間の収納空間Sには、居住スペースで生活する際に必要となる畳み19や簡易ベッドを形成可能な段ボールシート20が収納されているので、該畳み19や段ボールシート20を、別の場所から運ぶ必要もなく、短時間で居住環境を整えることができる。また、間仕切り部材10には、収納空間Sに収納した畳み19や段ボールシート20をベルト21で保持することができるので、間仕切り部材10を壁面11に取り付けたり取り外す際に、人手によって畳み19や段ボールシート20が脱落するのを防ぐ必要はなく、作業が容易となる利点がある。実施例の間仕切り部材10は、各間仕切り部材10の夫々が複数の第1連結手段23および複数の第2連結手段24を所要の配置で備えているので、居住スペースとして、避難者が希望する間取りに自由に区画して間仕切り構造物12を構築することができる。
【0036】
実施例の間仕切り部材10は、間仕切り部材同士を連結する第1連結手段23における連結体26の収容位置(連結解除位置)での連結部26bおよび第2連結手段24の係止部a,27aは、何れも間仕切り部材10の表面から突出していないので、保管時には複数の間仕切り部材10を隙間なく配置でき、保管スペースを小さくすることができる。また、収容位置の連結体26の突出位置への変位を規制部29で規制するよう構成したので、壁面11から間仕切り部材10を取り外す時や、組み立てた複数の間仕切り部材10を分解した際に、不用意に第1連結手段23の連結部26bが間仕切り部材10の表面から突出するのを防ぐことができ、周囲にある構造物等に連結部26bが引っ掛かったり、該連結部26bが損傷してしまうのを防止することができる。実施例の間仕切り部材10は、木製であるので剛性および耐久性が高く、繰り返し使用することができる。また、使用によって変形したり破損したりして使用できなくなるまでの期間は長く、また容易に修理可能であるため、変形や破損したような場合でも間仕切り部材10を修理して再使用することができ、コストを抑えることができる。
【0037】
実施例の間仕切り構造物12は、災害発生を想定した防災訓練に際して居住スペースを区画する他、各種展示会等のイベントに際して出品者毎のブースを区画したり、あるいはレクレーションに際して迷路等の遊び空間を画成したりする際に、予行演習で組み立てることで、災害発生時においてまごつくことなく組み立てることができる。このように、初期の目的以外で複数の間仕切り部材を組み立てる作業を行うことで、間仕切り構造物12の組み立てに慣れておくことができ、災害発生時における組み立てにかかる時間を短縮することができる。また、間仕切り構造物12は、分解した間仕切り部材10を保管する際にも、間仕切り構造物12を組み立てた場所の壁面11に取り付けるだけであるので、時間が掛からない利点もある。間仕切り部材同士を連結する第1連結手段23は、ドライバーやレンチ等の工具を用いることなく連結部26bを突出位置、収容位置、第1姿勢および第2姿勢に手動操作によって変位させ得るよう構成したので、組み立て時や分解時に工具を探したり工具を紛失して組み立てや分解ができなくなることを回避することができる。
【0038】
(別実施例について)
【0039】
図11は、別実施例の間仕切り構造物を示すものであって、実施例と異なる部分のみ説明し、実施例で既出の同一部材には同じ符号を付して詳細説明は省略する。
【0040】
別実施例の間仕切り構造物32は、実施例における間仕切り構造物12に、出入口31を開閉する扉ユニット33を組み付けたものである。
【0041】
前記扉ユニット33は、単体で取り扱い可能な保管形態で複数のパーツが組み立てられた第1ユニット34および第2ユニット35の各パーツを分解して異なる形態に組み立てることで構成される。そこで、第1ユニット34および第2ユニット35について、保管形態の状態で説明する。第1ユニット34は、図12図13に示す如く、下方に開放するコ字状の第1枠体36と、該第1枠体36の内側に配置される上扉部材(扉部材)37とから構成され、第1枠体36を構成する左右の第1縦枠材36a,36bの後側(一方面側)に、前記第1係合手段16が上下方向に離間して配設されると共に、各第1縦枠材36a,36bの前側(他方面側)に、前記第2係合手段15が上下方向に離間して配設されている。また、第2ユニット35は、図12図14に示す如く、上方に開放するコ字状の第2枠体38と、該第2枠体38の内側に配置される下扉部材(扉部材)39とから構成され、第2枠体38を構成する左右の第2縦枠材38a,38bの後側(一方面側)に、前記第1係合手段16が上下方向に離間して配設されると共に、各第2縦枠材38a,38bの前側(他方面側)に、前記第2係合手段15が上下方向に離間して配設されている。保管形態の第1ユニット34および第2ユニット35の外形形状および寸法は、前記間仕切り部材10と同一に設定されている。すなわち、第1ユニット34および第2ユニット35は、前記間仕切り部材10と同様に、避難施設の壁面11、または該壁面11に取り付けられた間仕切り部材10や、壁面11に取り付けられた第1ユニット34あるいは第2ユニット35に重なるように、第1係合手段16および第2係合手段15を介して着脱可能に取り付けられるよう構成されている。また、壁面11や他のユニット34,35に重ねて取り付けた第1ユニット34や第2ユニット35の前側に、間仕切り部材10を重ねて取り付けることもできる。
【0042】
前記第1ユニット34における第1枠体36の前後寸法は、前記間仕切り部材10の前後寸法の約2倍に設定されている。図13に示す如く、第1枠体36を構成する上第1横枠材36cには、前後方向の前半部側に、ガイド溝が下方に開放するように形成されたガイドレール40が、左右方向の全長に亘って埋め込まれており、該ガイドレール40に対して左右方向に移動可能に複数(別実施例では2つ)のローラアセンブリ41が吊下げ支持されている。ローラアセンブリ41は、ガイドレール40に移動自在に支持されるローラを備えるローラ部41aと、該ローラ部41aに配設されてガイド溝から垂下する固定部41bと、を備える。上扉部材37は、前記間仕切り部材10と同様の構造であって、矩形枠状の枠体と、該枠体の前面側に配設したパネルとから構成され、該枠体を構成する上横枠材における左右両端部に、ローラアセンブリ41の固定部41bを固定可能に収容する収容部42が設けられている(図12参照)。なお、図12図13では、上扉部材37については、簡略化して図示している。また、図13図15において、第1ユニット34および第2ユニット35に配設される第1連結手段23および第2連結手段24については、第1連結手段23を黒三角の図形で模式的に表示すると共に、第2連結手段24を白三角の図形で模式的に表示してある。
【0043】
図12図13に示す如く、前記第1枠体36における左第1縦枠材36aは、前後に分割可能な前縦枠部43および後縦枠部44から構成されて、その前後方向の対向端部の一方に前記第1連結手段23が配設されると共に他方に前記第2連結手段24が上下方向に離間して2つ配設されて、該第1連結手段23と第2連結手段24とによって、前後の縦枠部43,44が着脱可能に連結される。後縦枠部44の右第1縦枠材36bとの対向面側に、上下方向に離間して2つの第1連結手段23が配設されると共に、外側面側に、上下方向に離間して2つの第2連結手段24が配設されている。また、前縦枠部43の外側面側に、2つの第2連結手段24が上下に離間して配設されている。第1枠体36における右第1縦枠材36bには、後縦枠部44との対向面側に、上下方向に離間して2つの第2連結手段24が配設されると共に、前縦枠部43との対向面側に、上下方向に離間して2つの第1連結手段24が配設されている。なお、第1枠体36の右第1縦枠材36bには、外側面側における前後方向の後半部に、上下方向に離間して2つの第1連結手段23が配設されている。
【0044】
図13に示す如く、前記上扉部材37は、右縦枠材の外側面側に前記第1連結手段23が上下方向に離間して配設されると共に、左縦枠材の外側面側に前記第2連結手段24が上下方向に離間して配設されている。そして、第1ユニット34の保管形態では、上扉部材37は、第1枠体36の内側で後半部に偏った位置において、左右の第1縦枠材36a,36bに、複数の第1連結手段23および第2連結手段24によって着脱可能に連結固定されている。なお、第1上横枠材36cと右第1縦枠材36bとは固着されており、上扉部材37を取り外しても形状を維持し得るようになっている。また、上扉部材37における下横枠材の下面側には、左右方向に離間して2つの第2連結手段24が配設されている。
【0045】
前記第2ユニット35における第2枠体38の前後寸法は、前記第1枠体36の前後寸法と同一に設定されている。但し、第2枠体38を構成する下第2横枠材38cは、第1枠体36の前後寸法の半分の前後寸法に設定されて、当該第2枠体38を構成する左右の第2縦枠材38a,38b間において前半部に偏って配設されている。第2枠体38の下第2横枠材38cには、前記第1ユニット34に設けたガイドレール40と同一構造のガイドレール45が、ガイド溝を上方に開放する上向きの姿勢で、左右方向の全長に亘って埋め込まれている。なお、下第2横枠材38cに配設されたガイドレール45には、左右方向の一端部(扉ユニット33として組み立てた際に第1ユニット34のガイドレール40の左端から離間する側)には、前記ローラアセンブリ41の脱落を防ぐストッパ46が設けられている(図14(c)参照)。
【0046】
図14に示す如く、前記第2枠体38における左第2縦枠材38aは、第1ユニット34の左第1縦枠材36aと同様に、前後に分割可能な前縦枠部47および後縦枠部48から構成されて、その対向面側に配設されて夫々上下方向に離間する2つの第1連結手段23および第2連結手段24によって着脱可能に連結される。後縦枠部48の右第2縦枠材38bとの対向面側に、上下方向に離間して2つの第1連結手段23が配設されると共に、該後縦枠部48の外側面側に、上下方向に離間して2つの第2連結手段24が配設されている。また、前縦枠部47の外側面側に、上下方向に離間して2つの第2連結手段24が配設されると共に、下側面に第2連結手段24が配設されている。第2枠体38における右第2縦枠材38bには、後縦枠部48との対向面側に、上下方向に離間して2つの第2連結手段24が配設されると共に、前縦枠部47との対向面側に、上下方向に離間して2つの第1連結手段23が配設されている。また、右第2縦枠材38bには、外側面側における前後方向の後半部に、上下方向に離間して2つの第1連結手段23が配設されている。また、右第2縦枠材38bの下面側には、前後方向の前半部に第2連結手段24が配設されている。また、第2枠体38の下第2横枠材38cにおける上面側には、左第2縦枠材38aにおける前縦枠部47および右第2縦枠材38bに対応する位置に第1連結手段23が夫々配設されると共に、該下第2横枠材38cの後面側には、左右方向に離間して2つの第1連結手段23が配設されている。
【0047】
図14に示す如く、前記下扉部材39は、前記上扉部材37と同じように、右縦枠材の外側面側に前記第1連結手段23が上下方向に離間して配設されると共に、左縦枠材の外側面側に前記第2連結手段24が上下方向に離間して配設されている。また、下扉部材39における上横枠材の上面側には、左右方向に離間して2つの第1連結手段23が配設されている。そして、第2ユニット35の保管形態では、下扉部材39は、第2枠体38の内側で後半部に偏った位置において、下第2横枠材38cに第1連結手段23および第2連結手段24で連結された左右の第2縦枠材38a,38bに、複数の第1連結手段23および第2連結手段24によって着脱可能に連結固定されている。
【0048】
(別実施例の作用)
別実施例の作用につき、実施例と異なる部分について説明する。
別実施例の間仕切り構造物32を組み立てる際には、複数の間仕切り部材10を組み合わせて、間仕切り部材10を上下2段の高さで組み立てた実施例の間仕切り構造物12を構築する。なお、実施例の間仕切り構造物12を構築する際には、出入口31を画成して前後方向に延在する上下の間仕切り部材10,10は、出入口31側にパネル14において上下方向に離間して第2連結手段24が配設された端部側が向くように組み立てると共に、出入口31を画成して左右方向に延在する上下の間仕切り部材10,10は、出入口31側に右縦枠材13bの上下方向に離間して第1連結手段23が配設された端部が向くと共に、パネル14が前側(間仕切り構造物12の外側)を向く状態で組み立てる。
【0049】
避難施設の壁面11や間仕切り部材10あるいは保管形態の第1ユニット34や第2ユニット35に重ねて取り付けられている第1ユニット34および第2ユニット35について、第2係合手段15に対する第1係合手段16の係合を解除して取り外す。保管形態の第1ユニット34は、前記前後の縦枠部43,44の連結状態を解除して分離すると共に、右第1縦枠材36bと前記上扉部材37との連結状態を解除して分離する。そして、分離した前縦枠部43を、その外側面が右第1縦枠材36bの前半部の内面側に対向する向きとして、前縦枠部43の外面側に配設した第2連結手段24を、右第1縦枠材36bの前半部に配設した第1連結手段23と対向するように位置付けて、両連結手段23,24により連結する(図15参照)。
【0050】
保管形態で取り外された前記第2ユニット35は、前記下第2横枠材38cと左右の第2縦枠材38a,38bとの連結状態を解除して該下第2横枠材38cを分離すると共に、前記前後の縦枠部47,48の連結状態を解除して分離し、更に左右の第2縦枠材38a,38bと前記下扉部材39との連結状態を解除して分離する。そして、分離した前縦枠部47を、その外側面が右第2縦枠材38bの前半部の内面側に対向する向きとして、前縦枠部47の外面側に配設した第2連結手段24を、右第2縦枠材38bの前半部に配設した第1連結手段23と対向するように位置付けて、両連結手段23,24により連結する(図15参照)。
【0051】
前記上扉部材37および前縦枠部43が取り外された第1ユニット34における右第1縦枠材36bの外側面側に配設した第1連結手段23を、実施例の間仕切り構造物12の出入口31を画成するよう前後方向に延在する上段側の間仕切り部材10の前端側に、第1連結手段23および第2連結手段24によって連結する。また、下扉部材39および前縦枠部47が取り外された第2ユニット35における右第2縦枠材38bを、第1ユニット34の右第1縦枠材36bが連結された上段の間仕切り部材10の下方に位置する下段の間仕切り部材10の前端側に、第1連結手段23および第2連結手段24によって連結する。上下の問仕切り部材10,10に連結された第1ユニット34および第2ユニット35は、右第1縦枠材36bおよび右第2縦枠材38bが上下方向に整列した状態で実施例の間仕切り構造物12に固定されると共に、該第1および第2縦枠材36b,38bの内側に配設した前縦枠部43,47も上下方向に整列する(図11参照)。
【0052】
前記第2ユニット35から分離した下第2横枠材38cを、前記ガイドレール45のガイド溝が下方に開放する向きで、かつガイドレール45の一端に設けたストッパ46が第1ユニット34のガイドレール40の左端から離間する右側に位置する向きとして、該下第2横枠材38cの後面側に設けた第1連結手段23を、出入口31を画成する上段の間仕切り部材10の上端側に配設した第2連結手段24に位置合わせしたもとで、両連結手段23,24によって間仕切り部材10の前面に下第2横枠材38cを連結する。このとき、上第1横枠材36cのガイドレール40の左端に、下第2横枠材38cのガイドレール45の右端を当接して、両ガイドレール40,45の間に隙間が生じないようにする。また、第1ユニット34から分離された上扉部材37の収容部42に、ガイドレール40に支持されているローラアセンブリ41の固定部41bを収容して固定すると共に、該上扉部材37の下面側に配設した第2連結手段24に、第2ユニット35から分離された下扉部材39の上面側に配設した第1連結手段23が対向するように位置付けて、両連結手段23,24により上下の扉部材37,39を連結する。上下の扉部材37,39は、ガイドレール40,45にローラアセンブリ41によって左右方向に移動可能に吊り下げ支持され、出入口31を開閉可能に構成される(図11参照)。
【0053】
別実施例の間仕切り構造物32では、実施例の間仕切り構造物12が奏する前記作用効果に加えて、以下の作用効果が得られる。
扉ユニット33によって居住スペースに対する出入口31を開閉することができるので、プライバシー性を高めることができ、避難者の生活環境を向上することができる。また、扉ユニット33を構成する第1ユニット34および第2ユニット35は、保管形態では、前記間仕切り部材10と同様に、避難施設の壁面11に取り付けることができるので、新たな保管場所を確保する必要もなく、保管のためのスペースやコストを低減できる。また、保管形態の第1ユニット34および第2ユニット35は、間仕切り構造物32を構築する場所の近くに保管されているので、プライバシー性の高い居住スペースを画成した間仕切り構造物32を構築する時間を短縮することができる。
【0054】
〔変更例〕
本願は、前述した各実施例の構成に限定されるものでなく、その他の構成を適宜に採用することができる。また、以下の変更例に限らず、各実施例に記載した構成については、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得る。
(1) 実施例等では、第1連結手段について、工具を用いることなく連結部を連結姿勢と連結解除姿勢とに変位するよう構成したが、連結部を、6角レンチ等の工具を用いて第1姿勢と第2姿勢とに変位する構成を採用することができる。
(2) 第1連結手段は、実施例等では間仕切り部材や扉ユニットを構成する各部材に対して表面から突出する突出位置と没する収容位置との間で前後動すると共に、連結部の姿勢を変化するよう回転可能な構成としたが、前後動することなく回転することで、収容位置と突出位置とに変位する構成を採用することができる。
(3) 第1連結手段と第2連結手段との連結構造は、実施例の構成に限らず、公知の各種機構を採用することができる。
(4) 第1係合手段と第2係合手段との係合構造は、実施例の構成に限らず、公知の各種機構を採用することができる。また、実施例では、第1係合手段と第2係合手段とを係合するだけの構成としたが、壁面に取り付けた状態を固定したり固定解除可能なロック手段を設けたり、複数の間仕切り部材や第1ユニットあるいは第2ユニットを重ねた状態で固定したり固定解除可能なロック手段を設けることが可能である。ロック手段としては、固定状態と固定解除状態とに工具を用いることなく手動操作により切り替え可能な手段を採用することが好ましい。
(5) 間仕切り部材のパネルを、ホワイトボード用マーカーによって文字等を書き込むことができるホワイトボードとすることができる。また、パネルをホワイトボードとした場合は、学校の教室内の壁面に保管し、連絡用のホワイトボードとして利用することができる。
【0055】
(6) 間仕切り部材、第1ユニットおよび第2ユニットは、居住スペースを構築する場所の壁面に限らず、避難施設の廊下に面した壁面や、その他の場所の壁面に保管するようにしてもよい。
(7) 間仕切り部材や第1ユニットおよび第2ユニットに配設される第1連結手段や第2連結手段の配置は、実施例や別実施例の配置に限らず、間仕切り部材同士や、間仕切り部材と第1ユニットや第2ユニットを、求められるレイアウトで組み立てることが可能となる関係で配置すればよい。
(8) 実施例では、複数の間仕切り部材によって居住スペースを画成する間仕切り構造物を組み立てるよう構成したが、L字状に組み立てて簡易的な間仕切りとすることができる。また、例えば、実施例のように上下2段で間仕切り部材を組み立てた間仕切り構造物において、下段の間仕切り部材に直交するように間仕切り部材を連結することで、居住スペース内を更に細かく区画することができる。
(9) 間仕切り構造物としては、間仕切り部材を上下2段で連結するものに限らず、上下方向には1段で左右・前後方向に複数の間仕切り部材を連結して構成することができる。
(10) 別実施例では、扉ユニットを構成する第2ユニットの下第2横枠材に配設したガイドレールの一方の端部にストッパを設けたが、該ガイドレールの長さを下第2横枠材より短かくして埋め込み、該下第2横枠材におけるガイドレールの図12での右端を塞ぐ部分をストッパとして機能させる構成を採用することができる。
(11) 実施例等では、間仕切り部材や扉ユニットを避難施設における表面に現われている壁面に取り付けて保管する場合で説明したが、間仕切り部材や扉ユニットの設置対象部は壁面に限らず、仕上げ材を設置するための、構造用合板、石膏ボード、塗り壁等の下地材であってもよく、または構造用合板、石膏ボード等が配設される間柱であってもよい。すなわち、避難施設を建設する際の壁として、間仕切り部材を用いることができる。
【符号の説明】
【0056】
10 間仕切り部材,11 壁面(設置対象部),15 第2係合手段
16 第1係合手段,19 畳み(物品),20 段ボールシート(物品)
21 ベルト(保持部材),23 第1連結手段,24 第2連結手段,26b 連結部
27a 係止部(被連結部),29 規制部,31 出入口,33 扉ユニット
37 上扉部材(扉部材),39 下扉部材(扉部材),S 収納空間
【要約】
【課題】新たな保管スペースを確保することなく保管可能であると共に、使用時には所要形状のスペースを迅速に区画し得る間仕切り部材および間仕切り構造物を提供する。
【解決手段】間仕切り部材10には、避難施設の壁面11に設けられた第2係合手段に係脱可能な第1係合手段が配設されると共に、複数の第1連結手段および第2連結手段が所要の配置で配設される。壁面11から取り外した複数の間仕切り部材10を、第1連結手段および第2連結手段によって着脱可能に連結して上下、左右または直交方向に組み立てることで、所要形状の居住スペースを区画した間仕切り構造物12を構築できる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15