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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-28
(45)【発行日】2025-03-10
(54)【発明の名称】吐出容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/32 20060101AFI20250303BHJP
   B65D 47/18 20060101ALI20250303BHJP
【FI】
B65D47/32 200
B65D47/18 100
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020166378
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022057887
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-04-07
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】石塚 徹也
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-265776(JP,A)
【文献】特開2010-235160(JP,A)
【文献】国際公開第2013/031136(WO,A1)
【文献】特開2015-016871(JP,A)
【文献】実公昭39-005093(JP,Y1)
【文献】特開2015-185281(JP,A)
【文献】実開昭64-011970(JP,U)
【文献】特開2018-203314(JP,A)
【文献】特開昭62-207338(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0282984(US,A1)
【文献】特開平11-165120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を充填可能な容器本体と、
押圧によって変形させることが可能な弾性押圧部と、
前記弾性押圧部の押圧変形によって前記内容物を吐出可能な吐出口と、
を備える吐出容器であって、
前記吐出容器は、前記容器本体に着脱可能なスポイトキャップを備えており、
前記弾性押圧部及び前記吐出口は、前記スポイトキャップに設けられており、
前記弾性押圧部は、積層構造である、吐出容器。
【請求項2】
内容物を充填可能な容器本体と、
押圧によって変形させることが可能な弾性押圧部と、
前記弾性押圧部の押圧変形によって前記内容物を吐出可能な吐出口と、
を備える吐出容器であって、
前記吐出容器は、前記容器本体に装着可能なポンプキャップを備えており、
前記弾性押圧部及び前記吐出口は、前記ポンプキャップに設けられており、
前記弾性押圧部は、積層構造である、吐出容器。
【請求項3】
前記積層構造は、耐気体透過層を含んでいる、請求項1又は2に記載されている吐出容器。
【請求項4】
前記積層構造は、耐液体透過層を含んでいる、請求項1~3のいずれか1項に記載されている吐出容器。
【請求項5】
前記積層構造は、耐膨潤層を含んでいる、請求項1~4のいずれか1項に記載されている吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の吐出容器には、スポイト付き容器がある(例えば、特許文献1参照。)。前記スポイト付き容器は、容器本体と、スポイト付きキャップとを備えている。前記スポイト付きキャップは、弾性押圧部(弾性操作部)が設けられたスポイト管(吸上げ管)を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-167840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の吐出容器は、弾性押圧部の耐性に着目するものではなかった。したがって、上記従来の吐出容器は、内容物の品質を長期にわたって保持することが困難であった。
【0005】
本発明の目的は、内容物の品質を長期にわたって保持することができる、吐出容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る吐出容器は、内容物を充填可能な容器本体と、押圧によって変形させることが可能な弾性押圧部と、前記弾性押圧部の押圧変形によって前記内容物を吐出可能な吐出口と、を備えており、前記弾性押圧部は、積層構造である。
【0007】
本発明に係る吐出容器において、前記積層構造は、耐気体透過層を含んでいるものとすることができる。
【0008】
本発明に係る吐出容器において、前記積層構造は、耐液体透過層を含んでいるものとすることができる。
【0009】
本発明に係る吐出容器において、前記積層構造は、耐膨潤層を含んでいるものとすることができる。
【0010】
本発明に係る吐出容器は、前記容器本体に着脱可能なスポイトキャップを備えており、前記弾性押圧部及び前記吐出口は、前記スポイトキャップに設けられているものとすることができる。
【0011】
本発明に係る吐出容器は、前記容器本体に装着可能なポンプキャップを備えており、前記弾性押圧部及び前記吐出口は、前記ポンプキャップに設けられているものとすることができる。
【0012】
本発明に係る吐出容器は、ヒンジキャップを備えており、前記ヒンジキャップは、前記容器本体に装着可能なキャップ本体と、前記キャップ本体にヒンジを介して結合されている蓋体とを備えており、前記弾性押圧部及び前記吐出口は、前記キャップ本体に設けられているものとすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、内容物の品質を長期にわたって保持することができる、吐出容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態に係る吐出容器の図面右半分を、当該吐出容器の軸線を含む平面を断面として示す断面図であって、当該吐出容器を、容器本体と、スポイトキャップと、に分解した状態で示している。
図2図1のスポイトキャップを拡大して示す断面図である。
図3図1のスポイトキャップを容器本体にセットする直前のセット直前状態を示す断面図である。
図4図1のスポイトキャップを容器本体にセットしたセット完了状態を示す断面図である。
図5】図面左側に図3のセット直前状態を拡大して示し、図面右側に図4のセット完了状態を拡大して示す断面図である。
図6図4のセット完了状態からスポイトキャップを取り外したことによって、2液が混合されてスポイト吐出が可能な状態を示す断面図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る吐出容器の変形例であって、スポイトキャップの変形例を拡大して示す断面図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る吐出容器の、当該吐出容器の軸線を含む断面図であって、当該吐出容器のポンプキャップ付近を拡大して示す断面図である。
図9】本発明の第3実施形態に係る吐出容器の、当該吐出容器の軸線を含む断面図であって、当該吐出容器のヒンジキャップ付近を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の、様々な実施形態に係る吐出容器について説明をする。
【0016】
本発明に係る吐出容器1は、内容物Cを充填可能な容器本体2と、押圧によって変形させることが可能な弾性押圧部3と、弾性押圧部3の押圧変形によって内容物Cを吐出可能な吐出口A1と、を備えている。弾性押圧部3は、積層構造である。前記積層構造は、複数の層Lを有している。前記複数の層Lは、吐出容器1の軸線O(以下、単に「軸線O」ともいう。)が延在する方向に重ね合わせられている。
【0017】
以下、軸線Oが延在する方向を「軸線方向」ともいう。また、軸線方向に対して直交する方向を「軸直方向」ともいう。特に、軸直方向のうち、軸線Oに近い側を軸直方向内側ともいい、軸線Oから遠い側を軸直方向外側ともいう。また、軸線Oの周りの方向を周方向ともいう。
【0018】
図1中、符号1Aは、本発明の第1実施形態に係る吐出容器である。吐出容器1Aは、容器本体2内の内容物Cをスポイト管4で吸引した後、当該内容物Cをスポイト管4に形成された吐出口A1から外界に吐出させることができる。本実施形態において、内容物Cは、第1内容物C1と第2内容物C2とを混合させた混合物である。
【0019】
本実施形態において、内容物Cの吸引および吐出は、弾性押圧部3を押圧することによって生じる変形(押圧変形)と、弾性押圧部3の押圧を解除することによって生じる変形(復元変形)と、の繰り返しによって行うことができる。
【0020】
図2を参照すれば、本実施形態において、弾性押圧部3は、体積変化部3aと、固定部3bとを備えている。
【0021】
本実施形態において、体積変化部3aは、外部からの押圧によってスポイト管4に形成された内部通路Pに向かって変形させることができる。また、体積変化部3aは、外部からの前記押圧を解除することによって、スポイト管4に形成された内部通路Pから離れるように復元させることができる。
【0022】
図2に示すように、本実施形態において、体積変化部3aは、軸線方向断面視において、軸線方向上側に向かって凸のドーム状の形状を有している。体積変化部3aは、ドーム状の以外の形状とすることができる。例えば、体積変化部3aは、軸線方向断面視において、軸線方向上側に向かって凸の階段状の形状とすることができる。すなわち、体積変化部3aは、軸線方向断面視において、軸線方向上側に向かって凸の形状とすることができる。
【0023】
また、本実施形態において、固定部3bは、体積変化部3aの軸線方向外側端から軸線方向外側に延在するフランジによって形成されている。本実施形態において、固定部3bは、周方向に全周にわたって環状に形成されている。
【0024】
図1を参照すれば、吐出容器1Aは、容器本体2と、スポイトキャップCAと、を備えている。弾性押圧部3及び吐出口A1は、スポイトキャップCAに設けられている。
【0025】
スポイトキャップCAは、スポイト管4を備えている。吐出口A1は、スポイト管4の下端部(一端部)4aの内側に形成されている開口である。吐出口A1は、スポイト管4の内側に形成されている内部通路Pに通じている。
【0026】
図5の図面左半分を参照すれば、本実施形態において、スポイトキャップCAは、封止弁5を備えている。封止弁5は、吐出口A1を封止している。本実施形態において、封止弁5は、内部通路Pに挿入されているボール弁である。本実施形態において、スポイト管4の下端部4aには、シール部4sが形成されている。シール部4sは、軸直方向内側に突出している。これによって、シール部4sは、封止弁5を抜け止めすることができる。また、シール部4sは、周方向に全周にわたって環状に形成されている。封止弁5は、シール部4sの全周にわたって着座することができる。これによって、封止弁5は、内部通路Pの吐出口A1を封止することができる。
【0027】
次いで、図2を参照すれば、本実施形態において、スポイトキャップCAは、キャップ本体6を備えている。本実施形態において、キャップ本体6は、キャップ内筒6aと、キャップ中間筒6bと、キャップ外筒6cと、押圧部6dとを備えている。
【0028】
キャップ内筒6aは、容器本体2の口部2aに着脱可能に装着することができる。本実施形態において、キャップ内筒6aは、めねじ部S1が形成されている。めねじ部S1は、容器本体2の口部2aに形成されているおねじ部S2(例えば、図1参照。)に着脱可能に螺合させることができる。また、キャップ内筒6aは、径方向内側(軸直方向内側)に突出している天壁6eを備えている。天壁6eは、周方向に全周にわたって環状に形成されている。さらに、キャップ内筒6aは、天壁6eの内周端(軸直方向内側端)に筒状部6fを備えている。筒状部6fは、天壁6eの内周端から下側(軸線方向一端側)に延在している。本実施形態において、スポイト管4の上端部(他端部)4bは、キャップ内筒6aに固定されている。本実施形態では、スポイト管4の上端部4bは、径方向外側(軸直方向外側)に突出しているフランジによって形成されている。本実施形態では、スポイト管4の上端部4bは、周方向に全周にわたって環状に形成されている。本実施形態では、スポイト管4の上端部4bは、キャップ内筒6aと筒状部6fとの間に固定されている。さらに、本実施形態において、スポイト管4の上端部4bには、環状のシール部材Sが取り付けられている。
【0029】
キャップ中間筒6bは、キャップ内筒6aに装着されている。本実施形態において、キャップ中間筒6bは、めねじ部S1が形成されている。めねじ部S1は、キャップ内筒6aに形成されているおねじ部S2に螺合させることができる。
【0030】
本実施形態において、弾性押圧部3は、キャップ内筒6aとキャップ中間筒6bとによって挟持されている。これによって、弾性押圧部3は、スポイト管4の上端部4bを封止することができる。
【0031】
本実施形態において、キャップ内筒6aの上端部外縁には、周方向に全周にわたって環状に形成された溝6gが形成されている。溝6gには、シール部材Sを配置することができる。本実施形態において、弾性押圧部3の固定部3bは、スペーサ6s上を配置されている。また、キャップ中間筒6bの上端部内縁には、周方向に全周にわたって環状に形成された天壁6hが形成されている。天壁6hは、シール部材S上に配置された弾性押圧部3の固定部3bを覆うことができる。これによって、本実施形態において、弾性押圧部3の固定部3bは、キャップ内筒6aとキャップ中間筒6bとによって挟持されている。
【0032】
弾性押圧部3は、キャップ内筒6a及びキャップ中間筒6bとともに、キャップ外筒6cの内側に収容されている。本実施形態において、キャップ内筒6aとキャップ中間筒6bとは、キャップ外筒6cの内側に固定されている。
【0033】
さらに、キャップ外筒6cの内側には、押圧部6dが軸線方向に移動可能に保持されている。押圧部6dは、弾性押圧部3の体積変化部3aを押圧することができる。本実施形態において、押圧部6dは、キャップ外筒6cに形成されている開口部A2を通して外界に露出している。押圧部6dを下側に押圧すれば、押圧部6dは、弾性押圧部3の体積変化部3aを押圧することができる。これによって、弾性押圧部3の体積変化部3aは、押圧部6dを介して間接的に押圧することができる。
【0034】
本実施形態において、押圧部6dには、中央押圧部6jと、筒状押圧部6kとが形成されている。中央押圧部6jは、押圧部6dから下側に突出している。中央押圧部6jは、弾性押圧部3の体積変化部3aの中央を押圧することができる。筒状押圧部6kは、中央押圧部6jを取り囲んでいるとともに、押圧部6dから下側に突出している。筒状押圧部6kは、弾性押圧部3の体積変化部3aの中央の周りを環状に押圧することができる。
【0035】
また、弾性押圧部3の体積変化部3aは、押圧部6dを介した間接的を押圧が解除されると、弾性押圧部3の復元力(弾性力)によって、押圧部6dを初期位置に復帰させることができる。本実施形態において、キャップ外筒6cの上端部内縁には、周方向に全周にわたって環状に形成された天壁6iが形成されている。本実施形態において、開口部A2は、天壁6iに形成されている貫通孔である。押圧部6dは、天壁6iの下側面と接触させることができる。これによって、押圧部6dは、開口部A2から抜け落ちることなく、当該押圧部6dの初期位置に復帰させることができる。
【0036】
図1を参照すれば、本実施形態において、スポイトキャップCAを容器本体2にセットするまでは、スポイト管4の下端部4aに形成された吐出口A1は、封止弁5によって密封されている。また、スポイト管4の上端部4b側は、弾性押圧部3によって密封されている。すなわち、スポイトキャップCAを容器本体2にセットするまでは、内部通路Pは、封止弁5と弾性押圧部3とによって密封されている。本実施形態において、内部通路Pには、第1内容物C1が、加圧ガス(例えば、炭酸ガス(二酸化炭素))Gとともに充填されている。
【0037】
これに対し、容器本体2には、第2内容物C2が充填されている。本実施形態において、第1内容物C1は、第1液である。また、本実施形態において、第2内容物C2は、第2液である。本実施形態において、第1内容物C1と第2内容物C2とを混合させることによって得られる内容物Cは、第1液と第2液との混合液である。
【0038】
本実施形態において、容器本体2の底壁7には、中心軸8が形成されている。本実施形態において、底壁7は、最深部7aと、最深部7aを取り囲む筒状壁7bと、筒状壁7bを取り囲む傾斜壁7cと、容器本体2の内側に固定される固定壁7dと、によって形成されている。本実施形態において、中心軸8は、最深部7aから上側に突出している。また、本実施形態において、筒状壁7bは、最深部7aの外縁から上側に突出している。また、本実施形態において、傾斜壁7cは、筒状壁7bの上端に連なっているとともに固定壁7dに連なっている。図1に示すように、傾斜壁7cは、軸線方向断面視において、固定壁7dから筒状壁7bに向かうにしたがって下側に傾斜している。
【0039】
次に、吐出容器1Aのセット方法と、吐出容器1Aの使用方法とについて説明をする。
【0040】
<セット方法>
(準備工程)
図1を参照すれば、まず準備工程として、加圧ガスGとともに第1内容物C1を充填したスポイトキャップCAと、第2内容物C2を充填した容器本体2とを準備する。
【0041】
(セット工程)
スポイトキャップCAを容器本体2にセットする。図3に示すように、本実施形態において、スポイトキャップCAは、当該スポイトキャップCAを容器本体2にねじ込むことによって、当該容器本体2に対してセットすることができる。このとき、図3に示すように、容器本体2の中心軸8は、封止弁5を押圧する。スポイトキャップCAを容器本体2に対してセットすると、図4に示すように、封止弁5を解除することができる。図5の図面右半分を参照すれば、スポイトキャップCAを容器本体2に対してセットすると、吐出口A1は、スポイト管4の下端部4aに形成されたシール部4sが容器本体2の中心軸8に接触することによって封止される。本実施形態では、吐出容器1Aは、完成品として、図4の状態で流通させることができる。なお、本実施形態では、スポイトキャップCAを容器本体2に対してセットしたとき、スポイト管4の下端部4aは、容器本体2の筒状壁7bに接触していない。ただし、本発明によれば、スポイトキャップCAを容器本体2に対してセットしたとき、スポイト管4の下端部4aが容器本体2の筒状壁7bに接触していてもよい。この場合、スポイト管4の下端部4aと容器本体2の筒状壁7bとの間は封止される。
【0042】
<使用方法>
(混合工程)
図4のセット完了状態から、当該セット完了状態を解除する。本実施形態において、スポイトキャップCAは、当該スポイトキャップCAのねじ込みを緩めることによって、スポイト管4の下端部4aに形成されたシール部4sと容器本体2の中心軸8との間の封止が解除される。シール部4sと中心軸8との間の封止とが解除されると、スポイトキャップCAの第1内容物C1は、吐出口A1から、加圧ガスGとともに容器本体2内の第2内容物C2に放出される。これによって、容器本体2内の第2内容物C2にスポイトキャップCAの第1内容物C1を混合させることができる。そして、キャップ本体6の押圧部6dの押圧及びその解除を繰り返せば、スポイト管4への内容物Cの吸引と吐出とを容器本体2内で繰り返せる。これによって、容器本体2内の内容物Cは、第1内容物C1と第2内容物C2とが均等に混合された内容物となる。
【0043】
(使用工程)
スポイトキャップCAは、当該スポイトキャップCAのねじ込みをさらに緩めることによって、容器本体2から取り外すことができる。これによって、キャップ本体6の押圧部6dの押圧を解除した状態で、容器本体2からスポイトキャップCAを取り外し、キャップ本体6の押圧部6dを押圧すれば、第1内容物C1と第2内容物C2とが均等に混合された内容物Cを、少量ずつ、吐出口A1から吐出させることができる。
【0044】
吐出容器1Aによれば、第1内容物C1と第2内容物C2との、異なる2つの内容物を、使用直前まで別々に隔離して保管しておくことができる。特に、スポイト管4の内部通路Pに加圧ガスGを充填したことによって、吐出口A1を開栓すると、加圧ガスGの力によって第1内容物C1と第2内容物C2とを容易にかつ素早く混合させることができる。
【0045】
ところで、弾性押圧部に要求される耐性は、耐気体透過性、耐液体透過性、耐膨潤性など、内容物によって異なる。しかしながら、従来の吐出容器では、弾性押圧部の多くは、軟材質の単層によって形成されている。すなわち、従来の吐出容器は、弾性押圧部の耐性に着目するものではなかった。したがって、上記従来の吐出容器は、内容物の品質を長期にわたって保持することが困難であった。
【0046】
これに対し、図2に示すように、本実施形態において、弾性押圧部3は、積層構造である。前記積層構造は、複数の層Lを有している。複数の層Lは、軸線方向に重ね合わせられている。これによって、複数の層Lのうちの、少なくとも1層に所望の耐性を有する層を選択すれば、スポイト管付吐出容器においても、内容物Cの品質を長期にわたって保持することができる。
【0047】
例えば、前記積層構造は、耐気体透過層を含んでいるものとすることができる。この場合、弾性押圧部3の気体透過性を抑えることによって、内容物Cの品質を長期にわたって保持することができる。
【0048】
また、例えば、前記積層構造は、耐液体透過層を含んでいるものとすることができる。この場合、弾性押圧部3の液体透過性を抑えることによって、内容物Cの品質を長期にわたって保持することができる。
【0049】
前記積層構造は、耐膨潤層を含んでいるものとすることができる。この場合、弾性押圧部3の膨潤性を抑えることによって、内容物Cの品質を長期にわたって保持することができる。
【0050】
本実施形態において、内容物Cは、美容成分を含む化粧料等の液状物である。本実施形態のように、吐出容器1Aが第1内容物C1と第2内容物C2とを混合させる、混合容器の形態である場合、上述のとおり、第1内容物C1とともに二酸化炭素等の加圧ガスGを同時充填してもよい。この場合、加圧ガスGとともに充填された第1内容物C1を当該加圧ガスGの圧力によって容易に取り出すことができる。したがって、本実施形態のように、吐出容器1Aが第1内容物C1と第2内容物C2とを混合する混合容器の形態であるときには、第1内容物C1とともに加圧ガスGを充填することが有効である。
【0051】
本実施形態において、前記積層構造は、外層L1、中間層L2、内層L3の3層である。本実施形態に係る吐出容器1Aにおいて、弾性押圧部3の層構成としては、例えば、以下の組み合わせが挙げられる。
外層L1/中間層L2/内層L3:LDPE/EVOH/LDPE
外層L1/中間層L2/内層L3:HDPE/EVOH/HDPE
ここで、LDPEは、低密度ポリエチレンである。HDPEは、高密度ポリエチレンである。EVOHは、エチレン-ビニルアルコール共重合体である。また、中間層L2は、EVOHに替えて、NY(ナイロン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)とすることができる。
【0052】
また例えば、本実施形態において、内容物Cとして、ファンデーション、クレンジング等の、液状物の化粧料(オイル)等を採用した場合、以下の組み合わせが挙げられる。
外層L1/中間層L2/内層L3:PP/PET/PP
ここで、PPは、ポリプロピレンである。HDPEは、高密度ポリエチレンである。EVOHは、エチレン-ビニルアルコール共重合体である。また、中間層L2は、PET(ポリエチレンテレフタレート)に替えて、NY(ナイロン)、EVOH(エチレン-ビニルアルコール共重合体)とすることができる。
【0053】
気体の透過、液体の透過を抑制することを目的する場合には、中間層としてEVOHを採用することが好ましい。膨潤性を抑制することを目的とする場合には、中間層としてPETを採用することが好ましい。
【0054】
弾性押圧部3は、積層シートによって形成されている。弾性押圧部3は、例えば、バキューム成型によって形成することができる。ただし、弾性押圧部3は、例えば、射出成型、インサート成型によって形成することができる。
【0055】
図7は、本発明の第1実施形態に係る吐出容器の変形例であって、スポイトキャップCAの変形例を拡大して示す断面図である。
【0056】
この例では、弾性押圧部3は、キャップ中間筒6bと一体に形成されている。この場合、弾性押圧部3は、例えば、射出成型によって形成することができる。なお、積層部分は、少なくとも弾性押圧部3に形成されていればよい。
【0057】
次いで、図8は、本発明の第2実施形態に係る吐出容器1Bの、軸線方向断面図であって、当該吐出容器1Bのポンプキャップ付近を拡大して示す断面図である。以下の説明において、吐出容器1Aと実質的に同一の部分は、同一の符号を使用する。
【0058】
図8を参照すれば、吐出容器1Bは、容器本体2に装着可能なポンプキャップCBを備えている。弾性押圧部3及び吐出口A1は、ポンプキャップCBに設けられている。
【0059】
本実施形態において、キャップ本体6は、パイプ11を備えている。パイプ11は、キャップ内筒6aに取り付けられている。パイプ11は、キャップ内筒6aから容器本体2の内部に延在している。パイプ11は、弾性押圧部3の押圧と当該押圧の解除の繰り返しによって、容器本体2の内容物Cをキャップ本体6と弾性押圧部3との間に形成された空間SBに吸引することができる。
【0060】
さらに、キャップ本体6は、第1逆止弁V1を備えている。第1逆止弁V1は、キャップ内筒6aの内側に配置されている。第1逆止弁V1は、弾性押圧部3を押圧することによって体積変化部3aが変形するときは、空間SBとパイプ11との間を封止する。また、第1逆止弁V1は、弾性押圧部3の押圧を解除することによって体積変化部3aが復元するときは、空間SBとパイプ11との間を連通させる。これによって、第1逆止弁V1は、容器本体2の内容物Cが空間SBに吸入される動作のみを許容する。
【0061】
さらに、本実施形態において、キャップ本体6は、ノズル12を備えている。ノズル12は、空間SBを外界に通じさせる。本実施形態において、吐出口A1は、ノズル12の先端に形成されている開口である。吐出口A1は、ノズル12に形成されている内部通路Pを通して空間SBに通じている。
【0062】
さらに、キャップ本体6は、第2逆止弁V2を備えている。第2逆止弁V2は、ノズル12の内側に配置されている。第2逆止弁V2は、弾性押圧部3を押圧することによって体積変化部3aが変形するときは、空間SBとノズル12との間を連通させる。また、第2逆止弁V2は、弾性押圧部3の押圧を解除することによって体積変化部3aが復元するときは、空間SBとノズル12との間を封止する。これによって、第2逆止弁V2は、空間SBの内容物Cがノズル12を通して外界に吐出される動作のみを許容する。
【0063】
次に、吐出容器1Bの使用方法について説明をする。
【0064】
<使用方法>
弾性押圧部3は、吐出容器1Aと同様、押圧部6dに接触させることができる。吐出容器1Bは、押圧部6dの押圧を解除することによって、第1逆止弁V1を開く一方、第2逆止弁V2を閉じる。また、吐出容器1Bは、押圧部6dの押圧することによって、第1逆止弁V1を閉じる一方、第2逆止弁V2を開く。これによって、キャップ本体6の押圧部6dの押圧及び当該押圧の解除を繰り返せば、容器本体2内の内容物Cを、吐出口A1から吐出させることができる。
【0065】
吐出容器1Bによれば、キャップ本体6内に、弾性押圧部3、第1逆止弁V1及び第2逆止弁V2によって空間(ポンプ室)SBが区画されたポンプを備え、弾性押圧部3の体積変化部3aの押圧及び当該押圧の解除を繰り返すことによって、容器本体2内の内容物Cを、少量ずつ汲み上げるができる。これによって、吐出容器1Bによれば、吐出容器1Bを傾けることなく、容器本体2内の内容物Cを、少量ずつノズル12から吐出させることができる。
【0066】
図8に示すように、本実施形態もまた、弾性押圧部3は、積層構造である。前記積層構造は、複数の層Lを有している。複数の層Lは、軸線方向に重ね合わせられている。これによって、複数の層Lのうちの、少なくとも1層に所望の耐性を有する層を選択すれば、吐出容器1Aと同様、ポンプ付吐出容器においても、内容物Cの品質を長期にわたって保持することができる。
【0067】
本実施形態において、弾性押圧部3は、積層シートによって形成されている。弾性押圧部3は、例えば、バキューム成型によって形成することができる。ただし、弾性押圧部3は、例えば、射出成型、インサート成型によって形成することができる。
【0068】
さらに、図9は、本発明の第3実施形態に係る吐出容器1Cの、軸線方向断面図であって、当該吐出容器1CのヒンジキャップCC付近を拡大して示す断面図である。以下の説明において、他の吐出容器1A、1Bと実質的に同一の部分は、同一の符号を使用する。
【0069】
図9を参照すれば、吐出容器1Cは、ヒンジキャップCCを備えている。ヒンジキャップCCは、容器本体2に装着可能なキャップ本体14と、キャップ本体14にヒンジ15を介して結合されている蓋体16とを備えている。弾性押圧部3及び吐出口A1は、キャップ本体14に設けられている。蓋体16とキャップ本体14は、ねじ等による螺合構造にしてもよい。
【0070】
キャップ本体14は、容器本体2の口部2aに着脱可能に装着することができる。本実施形態において、キャップ本体14は、筒体部17を備えている。本実施形態において、筒体部17の内側には、めねじ部S1が形成されている。めねじ部S1は、容器本体2の口部2aに形成されているおねじ部S2に着脱可能に螺合させることができる。筒体部17と口部2aは、アンダーカット等による嵌合構造にしてもよい。
【0071】
また、キャップ本体14は、天壁18を備えている。天壁18には、吐出筒18aが形成されている。本実施形態において、吐出口A1は、吐出筒18aの先端に形成されている開口である。吐出口A1は、吐出筒18aに形成されている内部通路Pを通して容器本体2の内部に通じている。本実施形態において、蓋体16は、封止突起19を備えている。図9に示すように、封止突起19は、キャップ本体14に対して蓋体16を閉じたときに、吐出口A1を封止する。
【0072】
また、本実施形態において、弾性押圧部3は、キャップ本体14に設けられている。本実施形態において、弾性押圧部3は、キャップ本体14の内側に取り付けられている。本実施形態において、弾性押圧部3の固定部3bは、天壁18の下端面に取り付けられている。本実施形態において、固定部3bには、開口A3が形成されている。開口A3は、容器本体2の内部と吐出筒17aに形成されている内部通路Pとを連通させている。弾性押圧部3の体積変化部3aは、キャップ本体14の天壁18に形成されている貫通孔A4を通して外界に露出させている。これによって、使用者は、蓋体16を開くことで、弾性押圧部3の体積変化部3aを押圧することができる。
【0073】
次に、吐出容器1Bの使用方法について説明をする。
【0074】
<使用方法>
弾性押圧部3の体積変化部3aは、蓋体16を開くことによって押圧することができる。吐出容器1Cは、まず蓋体16を開く。次いで、吐出口A1が下向きになるように、吐出容器1Cを傾ける。これによって、キャップ本体14から露出している体積変化部3aの押圧及び当該押圧の解除を繰り返せば、容器本体2内の内容物Cを、吐出口A1から吐出させることができる。
【0075】
吐出容器1Cによれば、吐出容器1Cを傾けた後、弾性押圧部3の体積変化部3aの押圧及び当該押圧の解除の繰り返すことによって、容器本体2内の内容物Cを、少量ずつ、ノズル12から吐出させることができる。これによって、吐出容器1Bによれば、逆止弁などの機構を設けることなく、容器本体2内の内容物Cを、少量ずつノズル12から吐出させることができる。
【0076】
図9に示すように、本実施形態もまた、弾性押圧部3は、積層構造である。前記積層構造は、複数の層Lを有している。複数の層Lは、軸線方向に重ね合わせられている。これによって、複数の層Lのうちの、少なくとも1層に所望の耐性を有する層を選択すれば、スポイト、ポンプなどを備えない吐出容器においても、他の吐出容器1A、1Bと同様、内容物Cの品質を長期にわたって保持することができる。
【0077】
本実施形態において、弾性押圧部3は、積層シートによって形成されている。弾性押圧部3は、例えば、バキューム成型によって形成することができる。ただし、弾性押圧部3は、例えば、射出成型、インサート成型によって形成することができる。
【0078】
上述したところは、本発明の例示的な実施形態を説明したものであり、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で様々な変更を行うことができる。吐出容器1Aは、容器本体2とスポイト管4とのそれぞれに内容物を充填した、いわゆる、2液混合タイプである。この場合、内容物Cが調味料等の食品系内容物である場合、第1内容物C1とともに充填される加圧ガスGとして窒素ガス等の不活性ガスを充填することができる。また、本発明は、容器本体2のみに内容物Cを充填した一般的なスポイト付き容器に採用することができる。また、上述の各実施形態において、弾性押圧部3の積層構成は、外層L1、中間層L2、内層L3の3層であるが、本発明によれば、弾性押圧部3の積層構成は、3層に限定されるものではない。弾性押圧部3の積層構成は、内容物に応じて、適宜、選択することができる。したがって、弾性押圧部3の積層構成は、例えば、2層、5層、7層等の、複数の層を備える層構成であればよい。また、内容物Cも、化粧料に限定されるものではない。本発明によれば、内容物Cは、例えば、調味料、薬液等、弾性押圧部3の押圧及び当該押圧の解除を行うことによって、吐出口A1から取り出せる内容物であれば、特に限定はされない。上述の各吐出容器は、全ての部材が樹脂で構成されたオール樹脂製の液体噴出器であるが、第1逆止弁V1及び第2逆止弁V2は、金属で形成することができる。上述した各実施形態に採用された様々な構成は、適宜、相互に置き換えることができ、又は、組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0079】
1:吐出容器, 1A:吐出容器(第1実施形態), 1B:吐出容器(第2実施形態), 1C:吐出容器(第3実施形態), 2:容器本体, 3:弾性押圧部, 3a:体積変化部, 3b:固定部, 4:スポイト管, 6:キャップ本体, 6a:キャップ内筒, 6b:キャップ中間筒, 6c:キャップ外筒, 6d:押圧部, 11:パイプ, 12:ノズル, 14:キャップ本体, 15:ヒンジ, 16:蓋体, 17:筒体部, 18:天壁, 18a:吐出筒, 19:封止突起, A1:吐出口, C:内容物, C1:第1内容物, C2:第2内容物, CA:スポイトキャップ, CB:ポンプキャップ, CC:ヒンジキャップ, G:加圧ガス, L1-L3:層, P:内部通路, V1:第1逆止弁, V2:第2逆止弁,
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9