(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-28
(45)【発行日】2025-03-10
(54)【発明の名称】管継手、配管及び配管システム
(51)【国際特許分類】
F16L 21/00 20060101AFI20250303BHJP
F16L 47/06 20060101ALI20250303BHJP
F16L 9/133 20060101ALI20250303BHJP
F16L 13/10 20060101ALI20250303BHJP
【FI】
F16L21/00 C
F16L47/06
F16L9/133
F16L13/10
(21)【出願番号】P 2020051511
(22)【出願日】2020-03-23
【審査請求日】2022-12-20
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横田 生吹樹
(72)【発明者】
【氏名】志村 吏士
(72)【発明者】
【氏名】湯川 雅己
(72)【発明者】
【氏名】松村 豊正
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-071081(JP,A)
【文献】実開平02-125292(JP,U)
【文献】特開2018-169005(JP,A)
【文献】特開2011-002012(JP,A)
【文献】特開平07-180786(JP,A)
【文献】特開平10-176775(JP,A)
【文献】特開平11-118078(JP,A)
【文献】特開昭48-097113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 21/00
F16L 47/06
F16L 9/133
F16L 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受口を端部に備える管継手であって、
前記受口に接続対象部材が接続される管継手であり、
前記接続対象部材が樹脂管であり、
第1の樹脂を含む管継手本体と、第2の樹脂を含む受口部材とを備え、
前記第1の樹脂が、フッ素系樹脂、ポリフェニルスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、又はオレフィン系樹脂であり、
前記第2の樹脂が、硬質塩化ビニル系樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、又はウレタン樹脂であり、
前記受口部材は、前記受口において、前記管継手本体の内表面上に配置されており、
前記受口部材は、前記受口に前記接続対象部材を接続して通液したときに、液と接触せず、
前記受口部材は、受口部材本体と、管継手の径方向外側に突出した環状凸部とを有し、
前記受口の長さをLとしたときに、前記環状凸部の全体が、前記受口の端部から管継手の軸方向内側に向かって0.5×Lの位置よりも軸方向内側に位置
し、
前記管継手本体と前記受口部材とは、篏合することで組合わせて固定されている、管継手
(但し、前記管継手本体と前記受口部材とを接着して形成された管継手を除く)。
【請求項2】
前記環状凸部の全体が、前記受口の端部から管継手の軸方向内側に向かって2/3×Lの位置よりも軸方向内側に位置する、請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記環状凸部が、管継手の軸方向内側に突出した第1の突出部を有するか、又は、管継手の軸方向外側に突出した第2の突出部を有する、請求項1又は2に記載の管継手。
【請求項4】
前記環状凸部が、前記第1の突出部と前記第2の突出部とを有する、請求項3に記載の管継手。
【請求項5】
前記管継手本体と前記受口部材とがアンカー構造により固定されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の管継手。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の管継手と、
前記管継手の前記受口に接続された接続対象部材とを備え、
前記接続対象部材が樹脂管である、配管。
【請求項7】
前記接続対象部材が、2層以上の構造を有する多層管であり、
前記多層管の最内層が、前記第1の樹脂を含み、
前記多層管の最外層と、前記管継手の前記受口部材とが、接着接合されている、請求項6に記載の配管。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の配管と、
機器とを備える、配管システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管継手に関する。また、本発明は、上記管継手を用いた配管及び配管システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、建築物の廃水設備及び給水給湯設備等に用いられる管継手が開示されている。
図10に示すように、特許文献1に記載の管継手100は、継手本体110と、継手本体110の端部に設けられる複合受口部120とを有する。複合受口部120は、異種の樹脂材料からなる内層120aと外層120bとから構成される。複合受口部120の外層120bは、継手本体110と一体とされている。継手本体110と、複合受口部120の外層120bとは、ポリプロピレン及びポリエチレン等から形成される。複合受口部120の内層120aは、塩化ビニル等から形成される。複合受口部120の内部に樹脂製管部材200の端部が挿入されている。樹脂製管部材200の端部は、内層120aに接着接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図10に示すように、特許文献1に記載の管継手100を用いて、管継手100と樹脂製管部材200とを接続して配管を得たときに、配管の内周面において、内層120aが露出する領域R100が存在する。このため、管継手100を用いた配管では、通液したときに、内層120aと液とが接触し、配管の耐薬性が低下することがある。また、耐薬性が低くなると、内層120aが徐々に劣化し、その結果、止水性が低下することがある。
【0005】
本発明の目的は、耐薬性を高めることができ、かつ長期に亘って止水性を高めることができる管継手を提供することである。また、本発明は、上記管継手を用いた配管及び配管システムを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の広い局面によれば、受口を端部に備える管継手であって、第1の樹脂を含む管継手本体と、第2の樹脂を含む受口部材とを備え、前記第2の樹脂が、硬質塩化ビニル系樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、又はウレタン樹脂であり、前記受口部材は、前記受口において、前記管継手本体の内表面上に配置されており、前記受口部材は、前記受口に接続対象部材を接続して通液したときに、液と接触せず、前記受口部材は、受口部材本体と、管継手の径方向外側に突出した環状凸部とを有し、前記受口の長さをLとしたときに、前記環状凸部の全体が、前記受口の端部から管継手の軸方向内側に向かって0.5×Lの位置よりも軸方向内側に位置する管継手が提供される。
【0007】
本発明に係る管継手のある特定の局面では、前記環状凸部の全体が、前記受口の端部から管継手の軸方向内側に向かって2/3×Lの位置よりも軸方向内側に位置する。
【0008】
本発明に係る管継手のある特定の局面では、前記環状凸部が、管継手の軸方向内側に突出した第1の突出部を有するか、又は、管継手の軸方向外側に突出した第2の突出部を有する。
【0009】
本発明に係る管継手のある特定の局面では、前記環状凸部が、前記第1の突出部と前記第2の突出部とを有する。
【0010】
本発明に係る管継手のある特定の局面では、前記管継手本体と前記受口部材とがアンカー構造により固定されている。
【0011】
本発明に係る管継手のある特定の局面では、前記第1の樹脂が、フッ素系樹脂、ポリフェニルスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、又はオレフィン系樹脂である。
【0012】
本発明の広い局面によれば、上述した管継手と、前記管継手の前記受口に接続された接続対象部材とを備える、配管が提供される。
【0013】
本発明に係る配管のある特定の局面では、前記接続対象部材が、2層以上の構造を有する多層管であり、前記多層管の最内層が、前記第1の樹脂を含み、前記多層管の最外層と、前記管継手の前記受口部材とが、接着接合されている。
【0014】
本発明の広い局面によれば、上述した配管と、機器とを備える、配管システムが提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る管継手は、耐薬性を高めることができ、かつ長期に亘って止水性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る管継手を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る管継手が備える受口部材を模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る管継手を模式的に示す断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第3の実施形態に係る管継手を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第4の実施形態に係る管継手を模式的に示す断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第5の実施形態に係る管継手を模式的に示す断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第6の実施形態に係る管継手を模式的に示す断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態に係る配管を模式的に示す断面図である。
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態に係る配管システムを示す概略斜視図である。
【
図10】
図10は、従来の管継手を用いた配管を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。なお、以下の図面において、大きさ、厚み及び形状等は、図示の便宜上、実際の大きさ、厚み及び形状等と異なる場合がある。
【0018】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る管継手を模式的に示す断面図である。
図1では、管継手の受口付近の構造が示されている。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る管継手が備える受口部材を模式的に示す斜視図である。
【0019】
図1に示す管継手10は、端部に受口を備える。受口には、樹脂管等の接続対象部材が接続される。管継手10は、管継手本体1と、受口部材2とを備える。管継手本体1は、第1の樹脂を含む。受口部材2は、第2の樹脂を含む。第1の樹脂と第2の樹脂とは異なる樹脂である。
【0020】
受口部材2は、受口において、管継手本体1の内表面1a上に配置されている。受口部材2は、受口において、管継手本体1の内表面1aの全体に配置されている。
【0021】
受口部材2は、受口部材本体3と、管継手10の径方向外側に突出した環状凸部4とを有する。受口部材本体3の外周面上に、環状凸部4が形成されている。受口部材本体3は、円筒形状を有する。受口部材本体3と環状凸部4とは、一体化している。受口部材本体3と環状凸部4とは、一体成形物である。
【0022】
管継手10の受口の長さをLとしたときに、環状凸部4(環状凸部4の全体)は、該受口の端部から管継手10の軸方向内側に向かって、0.5×L(1/2×L)の位置よりも管継手10の軸方向内側に位置する。環状凸部4は、受口の中央の位置よりも管継手10の軸方向内側に位置する。受口部材2は、受口の開口端から管継手の軸方向内側に向かって、環状凸部4が形成されていない部分と、環状凸部4が形成されている部分と、環状凸部4が形成されていない部分とをこの順に有する。
【0023】
また、管継手本体1は、内表面上に、環状凸部4の形状に対応した形状を有する。具体的には、管継手本体1は、内表面に、環状凹部を有する。
【0024】
後述の
図8に示すように、受口部材2は、受口に接続対象部材を接続して通液したときに、液と接触しない。受口に接続対象部材を接続したときに、受口部材2の内表面は、該接続対象部材によって覆われた状態になる。受口に接続対象部材を接続したときに、受口部材2の内表面は、露出している部分を有さない。
【0025】
このため、本発明に係る管継手では、耐薬性を高めることができ、かつ長期に亘って止水性を高めることができる。
【0026】
図10に示すように、特許文献1に記載の管継手100では、通液したときに、内層120aと液とが接触するため、管継手100を、耐薬性が要求される配管の管継手として、また、高温の液を流すために用いられる配管の管継手として用いることは困難である。
【0027】
これに対して、本発明の管継手では、通液したときに、受口部材が液と接触しないため、耐薬性を高めることができる。さらに、本発明の管継手は環状凸部を有するので、受口部材本体に含まれる第1の樹脂からの成形収縮力によって、止水性を高めることができる。本発明では、環状凸部が受口における特定の位置に設けられるので、第1の樹脂からの成形収縮力によって、止水性を効果的に高めることができる。
【0028】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る管継手を模式的に示す断面図である。
図3では、管継手の受口付近の構造が示されている。
【0029】
図3に示す管継手10Aは、端部に受口を備える。受口には、樹脂管等の接続対象部材が接続される。管継手10Aは、管継手本体1Aと、受口部材2Aとを備える。なお、
図1に示す管継手10と、
図3に示す管継手10Aとでは、環状凸部が形成されている位置が異なる。
【0030】
受口部材2Aは、受口において、管継手本体1Aの内表面1Aa上に配置されている。受口部材2Aは、受口において、管継手本体1Aの内表面1Aaの全体に配置されている。
【0031】
受口部材2Aは、受口部材本体3Aと、管継手10Aの径方向外側に突出した環状凸部4Aとを有する。受口部材本体3Aの外周面上に、環状凸部4Aが形成されている。受口部材本体3Aは、円筒形状を有する。受口部材本体3Aと環状凸部4Aとは、一体化している。受口部材本体3Aと環状凸部4Aとは、一体成形物である。
【0032】
受口部材2Aでは、環状凸部4Aは、管継手10Aの軸方向内側の末端に位置する。受口部材2Aは、受口の開口端から管継手の軸方向内側に向かって、環状凸部4Aが形成されていない部分と、環状凸部4Aが形成されている部分とをこの順に有する。
【0033】
図4は、本発明の第3の実施形態に係る管継手を模式的に示す断面図である。
図4では、管継手の受口付近の構造が示されている。
【0034】
図4に示す管継手10Bは、端部に受口を備える。受口には、樹脂管等の接続対象部材が接続される。管継手10Bは、管継手本体1Bと、受口部材2Bとを備える。なお、
図1に示す管継手10と、
図4に示す管継手10Bとでは、環状凸部の形状が異なる。
【0035】
受口部材2Bは、受口において、管継手本体1Bの内表面1Ba上に配置されている。受口部材2Bは、受口において、管継手本体1Bの内表面1Baの全体に配置されている。
【0036】
受口部材2Bは、受口部材本体3Bと、管継手10Bの径方向外側に突出した環状凸部4Bとを有する。受口部材本体3Bの外周面上に、環状凸部4Bが形成されている。受口部材本体3Bは、円筒形状を有する。受口部材本体3Bと環状凸部4Bとは、一体化している。受口部材本体3Bと環状凸部4Bとは、一体成形物である。
【0037】
受口部材2Bは、受口の開口端から管継手の軸方向内側に向かって、環状凸部4Bが形成されていない部分と、環状凸部4Bが形成されている部分と、環状凸部4Bが形成されていない部分とをこの順に有する。
【0038】
環状凸部4Bは、管継手10Bの軸方向内側に突出した突出部(第1の突出部)41Bを有する。環状凸部4Bでは、側面上において、突出部41Bが存在する部分と、突出部41Bが存在しない部分とが存在する。突出部41Bは、環状凸部4Bの側面上にて、外側に存在し、内側には存在しない。受口部材2Bの管継手10Bの軸方向内側の端面は、突出部41Bと、突出部41Bを除く環状凸部4Bと、受口部材2Bとで形成される凹部を有する。このため、環状凸部4Bは、突出部41Bにおいて、管継手本体1Bに含まれる第1の樹脂から3方向(
図4において矢印で示す)の成形収縮力が加えられる。このため、
図4に示す管継手10Bでは、
図1に示す管継手10よりも止水性を高めることができる。
【0039】
図5は、本発明の第4の実施形態に係る管継手を模式的に示す断面図である。
図5では、管継手の受口付近の構造が示されている。
【0040】
図5に示す管継手10Cは、端部に受口を備える。受口には、樹脂管等の接続対象部材が接続される。管継手10Cは、管継手本体1Cと、受口部材2Cとを備える。なお、
図1に示す管継手10と、
図5に示す管継手10Cとでは、環状凸部が形成されている位置及び環状凸部の形状が異なる。
【0041】
受口部材2Cは、受口において、管継手本体1Cの内表面1Ca上に配置されている。受口部材2Cは、受口において、管継手本体1Cの内表面1Caの全体に配置されている。
【0042】
受口部材2Cは、受口部材本体3Cと、管継手10Cの径方向外側に突出した環状凸部4Cとを有する。受口部材本体3Cの外周面上に、環状凸部4Cが形成されている。受口部材本体3Cは、円筒形状を有する。受口部材本体3Cと環状凸部4Cとは、一体化している。受口部材本体3Cと環状凸部4Cとは、一体成形物である。
【0043】
受口部材2Cでは、環状凸部4Cは、管継手10Cの軸方向内側の末端に位置する。受口部材2Cは、受口の開口端から管継手の軸方向内側に向かって、環状凸部4Cが形成されていない部分と、環状凸部4Cが形成されている部分とをこの順に有する。
【0044】
環状凸部4Cは、管継手10Cの軸方向内側に突出した突出部(第1の突出部)41Cを有する。環状凸部4Cでは、側面上において、突出部41Cが存在する部分と、突出部41Cが存在しない部分とが存在する。突出部41Cは、環状凸部4Cの側面上にて、外側に存在し、内側には存在しない。突出部41Cの管継手10Cの軸方向内側の端面は、受口部材本体3Cの軸方向内側の端面よりも、管継手10Cの軸方向内側に位置する。このため、環状凸部4Cは、突出部41Cにおいて、管継手本体1Cに含まれる第1の樹脂から3方向(
図5において矢印で示す)の成形収縮力が加えられる。このため、
図5に示す管継手10Cでは、
図1に示す管継手10よりも止水性を高めることができる。
【0045】
図6は、本発明の第5の実施形態に係る管継手を模式的に示す断面図である。
図6では、管継手の受口付近の構造が示されている。
【0046】
図6に示す管継手10Dは、端部に受口を備える。受口には、樹脂管等の接続対象部材が接続される。管継手10Dは、管継手本体1Dと、受口部材2Dとを備える。なお、
図1に示す管継手10と、
図6に示す管継手10Dとでは、環状凸部が形成されている位置、環状凸部の形状及び受口部材本体の形状が異なる。
【0047】
受口部材2Dは、受口において、管継手本体1Dの内表面1Da上に配置されている。受口部材2Dは、受口において、管継手本体1Dの内表面1Daの全体に配置されている。
【0048】
受口部材2Dは、受口部材本体3Dと、管継手10Dの径方向外側に突出した環状凸部4Dとを有する。受口部材本体3Dの外周面上に、環状凸部4Dが形成されている。受口部材本体3Dは、円筒形状を有する。受口部材本体3Dと環状凸部4Dとは、一体化している。受口部材本体3Dと環状凸部4Dとは、一体成形物である。
【0049】
受口部材2Dでは、環状凸部4Dは、管継手10Dの軸方向内側の末端に位置する。受口部材2Dは、受口の開口端から管継手の軸方向内側に向かって、環状凸部4Dが形成されていない部分と、環状凸部4Dが形成されている部分とをこの順に有する。
【0050】
環状凸部4Dは、管継手10Dの軸方向内側に突出した第1の突出部41Dと、管継手10Dの軸方向外側に突出した第2の突出部42Dとを有する。第1の突出部41Dは、環状凸部が円筒形状とした場合に、該円筒形状から管継手の軸方向内側に突出している部分であり、第2の突出部42Dは、環状凸部が円筒形状とした場合に、該円筒形状から管継手の軸方向外側に突出している部分である。
【0051】
受口部材本体3Dは、管継手10Dの軸方向内側に突出した突出部(第3の突出部)31Dを有する。突出部31Dは、受口部材本体が円筒形状とした場合に、該円筒形状から管継手の軸方向内側に突出している部分である。
【0052】
環状凸部4Dは、第1の突出部41D、第2の突出部42D及び第3の突出部31Dにおいて、管継手本体1Dに含まれる第1の樹脂から4方向(
図6において矢印で示す)の成形収縮力が加えられる。このため、
図6に示す管継手10Dでは、
図1に示す管継手10よりも止水性を高めることができる。
【0053】
図7は、本発明の第6の実施形態に係る管継手を模式的に示す断面図である。
図7では、管継手の受口付近の構造が示されている。
【0054】
図7に示す管継手10Eは、端部に受口を備える。受口には、樹脂管等の接続対象部材が接続される。管継手10Eは、管継手本体1Eと、受口部材2Eとを備える。なお、
図4に示す管継手10Bと、
図7に示す管継手10Eとでは、アンカー構造の有無が異なる。
【0055】
受口部材2Eは、受口において、管継手本体1Eの内表面1Ea上に配置されている。受口部材2Eは、受口において、管継手本体1Eの内表面1Eaの全体に配置されている。
【0056】
受口部材2Eは、受口部材本体3Eと、管継手10Eの径方向外側に突出した環状凸部4Eとを有する。受口部材本体3Eの外周面上に、環状凸部4Eが形成されている。受口部材本体3Eは、円筒形状を有する。受口部材本体3Eと環状凸部4Eとは、一体化している。受口部材本体3Eと環状凸部4Eとは、一体成形物である。
【0057】
受口部材2Eは、管継手10Eの径方向外側に突出したアンカー部5Eを有する。アンカー部5Eは、点状凸部であり、上記環状凸部とは異なる。受口部材本体3の外周面上に、アンカー部5Eが形成されている。受口部材本体3Eとアンカー部5Eとは、一体化している。受口部材本体3Eとアンカー部5Eとは、一体成形物である。
【0058】
管継手本体1Eと受口部材2Eとは、アンカー構造により固定されている。このため、
図7に示す管継手10Eでは、
図4に示す管継手10Bよりも受口部材からの受口部材本体の抜けを効果的に抑えることができる。
【0059】
以下、管継手の詳細を更に説明する。
【0060】
(管継手本体)
管継手本体は、第1の樹脂を含む。第1の樹脂は、受口部材に含まれる第2の樹脂とは異なる樹脂である。上記第1の樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0061】
上記第1の樹脂としては、フッ素系樹脂、ポリフェニルスルホン樹脂(PPSU)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、及びオレフィン系樹脂等が挙げられる。
【0062】
上記フッ素系樹脂としては、ポリ(テトラフルオロエチレン)ホモポリマー(PTFE)、及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が挙げられる。
【0063】
上記オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、及びエチレン-α-オレフィン共重合体等が挙げられる。
【0064】
耐薬性を高める観点からは、上記第1の樹脂は、フッ素系樹脂、ポリフェニルスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、又はオレフィン系樹脂であることが好ましい。この場合には、一般排水用途又は厨房排水用途として好適に用いることができる。また、上記フッ素系樹脂がPTFE又はPVDFである場合には、プラント用途として好適に用いることができる。また、上記オレフィン系樹脂が高分子量高密度ポリエチレンである場合には、平滑性を高めることができる。さらに、上記オレフィン系樹脂が高分子量高密度ポリエチレンである場合には、内表面の粗度を小さくすることができるので、排水の流下性を向上させ、内表面での細菌の繁殖及び油分の固化による滞留を効果的に抑えることができる。このため、上記オレフィン系樹脂が高分子量高密度ポリエチレンである場合には、精密機器からの排水用途、又は医療機器からの排水用途として、好適に用いることができる。
【0065】
管継手本体の内表面は、受口部材の外表面の形状に対応した形状を有する。
【0066】
上記管継手本体100重量%中、上記第1の樹脂の含有量は、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上、更に好ましくは98重量%以上である。
【0067】
(受口部材)
受口部材は、管継手の受口において、上記管継手本体の内表面上に配置される部材である。上記受口部材は、上記受口に接続対象部材を接続して通液したときに、液と接触しない。
【0068】
受口部材は、第2の樹脂を含む。機械的強度を高める観点、並びに、管継手本体及び配管の外層との接着性を高める観点から、上記第2の樹脂は、硬質塩化ビニル系樹脂、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、又はウレタン樹脂である。上記第2の樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0069】
上記硬質塩化ビニル系樹脂としては、(1)塩化ビニルモノマーの単独重合体、(2)塩化ビニルモノマーと塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとの共重合体、(3)塩化ビニル以外の重合体及び共重合体に塩化ビニルがグラフト重合されたグラフト重合体等が挙げられる。
【0070】
上記塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとしては特に限定されず、エチレン、プロピレン、ブチレン等のα-オレフィン化合物;塩化アリル、アクリロニトリル等のビニル基を有する化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル化合物;ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル化合物;スチレン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;無水マレイン酸等のジカルボン酸化合物;及びN-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等のN-置換マレイミド化合物等が挙げられる。上記塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0071】
上記共重合体は、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。
【0072】
上記塩化ビニルをグラフト共重合する重合体及び共重合体としては特に限定されず、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル-一酸化炭素共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-ブチルアクリレート-一酸化炭素共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、及び塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。上記塩化ビニルをグラフト共重合する重合体及び共重合体は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0073】
上記塩化ビニル系樹脂100重量%中、塩化ビニルに由来する構造単位の含有率は、好ましくは40重量%以上である。
【0074】
上記硬質塩化ビニル系樹脂の重合度は、好ましくは400以上、好ましくは3000以下である。上記硬質塩化ビニル系樹脂の重合度が上記下限以上であると、熱安定性及び疲労特性等の長期性能が損なわれ難い。上記硬質塩化ビニル系樹脂の重合度が上記上限以下であると、成形時に高温下にする必要がなくなり、加工性がより一層良好になる。
【0075】
上記硬質塩化ビニル系樹脂は、塩素化塩化ビニル系樹脂であることが好ましい。
【0076】
上記受口部材は、上記第2の樹脂以外の他の成分を含んでいてもよい。上記他の成分としては、アルキル錫メルカプト化合物及びアルキル錫マレート等の熱安定剤;フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DOP)、及びアジピン酸-2-エチルヘキシル(DOA)等の可塑剤;ポリエチレン系ワックス、エステル系ワックス、ステアリン酸、モンタン酸系ワックス、及びカルシウムステアレート等の滑剤;アクリル系耐衝撃性強化剤、及び塩素化ポリエチレン系耐衝撃性強化剤等の耐衝撃性強化剤;顔料;帯電防止剤;難燃剤;炭酸カルシウム、タルク、クレー、及びマイカ等の無機充填剤;メタクリル酸エステル系樹脂等の加工助剤等が挙げられる。
【0077】
長期の止水性を高める観点から、上記受口部材は、受口部材本体と、管継手の径方向外側に突出した環状凸部とを有する。
【0078】
上記管継手の受口の長さをLとする。本発明の効果を発揮する観点から、上記環状凸部の全体は、上記受口の端部から管継手の軸方向内側に向かって0.5×Lの位置よりも軸方向内側に位置する。本発明の効果を発揮する観点からは、上記環状凸部の全体は、上記受口の端部から管継手の軸方向内側に向かって2/3×Lの位置よりも軸方向内側に位置することが好ましく、上記受口の端部から管継手の軸方向内側に向かって0.9×Lの位置よりも軸方向内側に位置することがより好ましい。
【0079】
上記環状凸部は、管継手の軸方向内側に突出した第1の突出部を有するか、又は、管継手の軸方向外側に突出した第2の突出部を有することが好ましい。この場合に、上記環状凸部は、上記第1の突出部のみを有していてもよく、上記第2の突出部のみを有していてもよく、上記第1の突出部と上記第2の突出部とを有していてもよい。上記環状凸部が上記第1の突出部及び/又は上記第2の突出部を有する場合には、止水性をより一層効果的に高めることができる。
【0080】
上記環状凸部の形状は、上記第1の樹脂からの成形収縮力を少なくとも3方向から受ける形状であることが好ましい。この場合には、止水性をより一層高めることができる。
【0081】
管継手の軸方向に沿う断面において、上記突出部(第1,第2の突出部)を有する環状凸部の形状は、多角形状、半円形、又は楕円形であることが好ましい。この場合には、第1の樹脂からの成形収縮力を効果的に受けることができ、止水性をより一層高めることができる。
【0082】
上記受口部材本体は、管継手の軸方向内側に突出した突出部(第3の突出部)を有していてもよく、有していなくてもよい。
【0083】
上記管継手の受口の長さをLとする。上記環状凸部が、管継手の軸方向内側に突出した第1の突出部を有さない場合及び管継手の軸方向外側に突出した第2の突出部を有さない場合において、上記環状凸部の長さは、好ましくは0.05×L以上、より好ましくは0.2×L以上、好ましくは0.4×L以下、より好ましくは0.3×L以下である。上記環状凸部の長さが上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0084】
上記環状凸部が、管継手の軸方向内側に突出した第1の突出部を有する場合又は管継手の軸方向外側に突出した第2の突出部を有する場合において、上記第1の突出部及び上記第2の突出部を除く上記環状凸部の長さは、好ましくは0.05×L以上、より好ましくは0.2×L以上、好ましくは0.4×L以下、より好ましくは0.3×L以下である。上記環状凸部の長さが上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0085】
受口部材本体の平均厚みは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.8mm以上、好ましくは2mm以下、より好ましくは1mm以下である。
【0086】
環状凸部の厚みの最大値は、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上、好ましくは1.2mm以下、より好ましくは1.0mm以下である。なお、環状凸部の厚みは、環状凸部が存在しないとした場合の受口部材本体の外周面(
図1,3~7に示す点線部)から、環状凸部の外表面までの距離を意味する。
【0087】
(管継手の他の詳細)
上記管継手本体と上記受口部材とは、アンカー構造により固定されていることが好ましい。上記アンカー構造とは、凹部と凸部とにより相互が物理的に嵌合している構造を意味する。
【0088】
アンカー構造の形状は問わないが、少なくとも熱伸縮で抜けが生じない強度で、上記管継手本体と上記受口部材とが、凹凸により物理的に嵌合されていることが好ましい。上記アンカー構造を有することにより、熱伸縮による抜けを防止することができる。
【0089】
上記管継手は、例えば、以下の(1),(2)又は(3)の方法により製造することができる。
【0090】
(1)射出成形又は切削加工等により受口部材を得る。得られた受口部材を金型にセットし、次いで、金型に管継手本体の材料を注入して管継手本体を射出成形する。このようにして、インサート成形によって管継手を得る。
【0091】
(2)管継手本体の材料と受口部材の材料とを別々に1種類の金型にセットし、射出可能な複数の射出ノズルを用いて、管継手本体と受口部材とを同時に射出成形する。このようにして、二色成形(多色成形)によって管継手を得る。
【0092】
(3)射出成形により管継手本体を得る。射出成形又は切削加工等により受口部材を得る。得られた継手本体と受口部材とを、強制嵌合するなどにより組合せて固定し、管継手を得る。
【0093】
上記(1)又は上記(2)の方法では、管継手本体の凹凸形状部分と、受口部材の凹凸形状部分とが、熱接着される。上記(3)の方法では、管継手本体の凹凸形状部分と、受口部材の凹凸形状部分とを、接着剤により接着してもよい。なお、上記(1)の場合、受口部材の凹凸形状部分に接着剤を塗布していてもよい。
【0094】
管継手の形状は特に限定されない。管継手の形状として従来公知の形状を採用することができる。上記管継手は、LT型の管継手であってもよく、JIS K6739等に記載のL字型又は直線型の管継手であってもよく、JIS K6743等に記載の形状を有する管継手であってもよい。また、上記管継手は、一部の受口が金属製の受口となっており、鋼管との接続が可能になっている管継手(金属バルブソケット:接着部は1箇所)であってもよく、ゴム輪により接続が可能になっている差込ソケット及びやり取りソケット等の管継手であってもよく、一部の受口が接着受口になっていない管継手であってもよい。
【0095】
(配管)
本発明に係る配管は、上述した管継手と、上記管継手の前記受口に接続された接続対象部材とを備える。
【0096】
図8は、本発明の一実施形態に係る配管を模式的に示す断面図である。
図8では、
図1に示す管継手10が用いられている。
【0097】
配管90は、管継手10と、接続対象部材8とを備える。接続対象部材8は、内層81と外層82とを備える2層の構造を有する多層管である。内層81は、最内層であり、表面層である。外層82は、最外層であり、表面層である。接続対象部材8の外層82と、管継手10の受口部材2とが接着層7を介して接着している。接続対象部材8の外層82と、管継手10の受口部材2とが接着接合されている。配管90に通液したときに、受口部材2は、液と接触しない。
【0098】
上記接続対象部材としては、樹脂管等が挙げられる。上記樹脂管は、1層のみの構成を有する単層管であってもよく、2層以上の構造を有する多層管であってもよい。
【0099】
接続対象部材と管継手との接着力を高める観点及び耐薬性を高める観点からは、上記接続対象部材は、樹脂管であることが好ましく、2層以上の構造を有する多層管であることがより好ましい。なお、上記多層管は、3層以上の構造を有する多層管であってもよい。
【0100】
上記多層管は、例えば、最内層と、接着層と、最外層とを備える3層の構造を有する多層管であってもよい。この場合には、最内層と最外層との接着力を高めることができるので、施工性を高めることができる。接着層は、施工時の切断及び熱伸縮により発生する外力に対して耐久性を有する層であることが好ましい。
【0101】
上記多層管の最外層に含まれる樹脂は特に限定されない。上記多層管の最外層に含まれる樹脂は、受口部材と接着可能な樹脂であることが好ましい。上記配管では、上記多層管の最外層と、上記管継手の前記受口部材とが接着接合されていることが好ましい。
【0102】
上記多層管の最外層に含まれる樹脂としては、塩化ビニル系樹脂、ナイロン系樹脂、エポキシ系樹脂、及びABS樹脂等が挙げられる。上記樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0103】
上記塩化ビニル系樹脂は、塩素化塩化ビニル系樹脂であってもよい。
【0104】
上記塩素化塩化ビニル系樹脂の塩素含有量は、好ましくは60重量%以上、好ましくは71重量%以下である。上記塩素含有量が上記下限以上であると、耐熱性を高めることができる。上記塩素含有量が上記上限以下であると、成形性を高めることができる。
【0105】
上記塩素含有量は、JIS K7229に準拠して酸素フラスコ燃焼法による中和適定により求められる。
【0106】
上記塩素化塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、600以上1400以下である。
【0107】
また、上記多層管の最外層は、上記受口部材の項で記載した他の成分を含んでいてもよい。
【0108】
上記多層管の最内層は、上記第1の樹脂を含むことが好ましい。上記多層管の最内層は、上記管継手本体と同一の樹脂(第1の樹脂)を含むことが好ましい。
【0109】
上記多層管の厚みは、特に規定はされないが、成形性の観点から、1mm以上であることが好ましい。多層管の厚み方向の層比率を塩化ビニル系樹脂優位にすることで汎用の塩化ビニル系配管同等の取り扱い、施工性を得ることができる。
【0110】
(配管システム)
本発明に係る配管システムは、上述した配管と、機器とを備える。
【0111】
図9は、本発明の一実施形態に係る配管システムを示す概略斜視図である。
【0112】
配管システムSは、機器Mと、管継手T1~T4と、樹脂管H1~H4と、排水溝Dとを備える。
【0113】
配管システムSでは、機器Mは、オートクレーブである。配管システムSでは、地上に設置される機器Mで発生した蒸気排水を、地中に配置される排水溝Dに流すことができる。
【0114】
管継手T1は、バルブソケットである管継手本体を備える。管継手T1の一端部T1aは、金属製の受口とされており、一端部T1aには、機器Mに接続された鋼管Kが接続される。管継手T1の他端部T1bには、樹脂管H1の一端が挿入される。
【0115】
管継手T2は、L字型の形状を有する。管継手T2の一端部T2aに、樹脂管H1の他端が挿入される。管継手T2の他端部T2bには、樹脂管H2の一端が挿入される。
【0116】
管継手T3の一端部T3aに、樹脂管H2の他端が挿入される。管継手T3の他端部T3bに、樹脂管H3の一端が挿入される。
【0117】
管継手T4は、L字型の形状を有する。管継手T4の一端部T4aに、樹脂管H3の他端が挿入される。管継手T4の他端部T4bに、樹脂管H4の一端が挿入される。
【0118】
樹脂管H4の他端は、排水溝Dに接続される。
【0119】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明は以下の実施例のみに限定されない。
【0120】
(実施例1~4及び比較例1)
管継手本体の材料として、ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社製「E203GP」)を用意した。
【0121】
受口部材の材料として、硬質塩化ビニル系樹脂(積水化学工業社製)を用意した。
【0122】
管継手の作製:
受口部材の材料を射出成形により成形して、受口部材を作製した。得られた受口部材を金型の受口コア部にセットし、金型に管継手本体の材料を注入して管継手本体を射出成形した。このようにして、管継手(受口末端の口径40A)を作製した。なお、各実施例及び比較例において、環状凸部の形状及びアンカー構造の有無などの構造については、表1に示す。
【0123】
配管の作製:
得られた管継手の受口に、樹脂管(単層管、長さ10cm~15cm程度)を接着接合することにより、配管を作製した。
【0124】
(評価)
(1)耐水圧試験
得られた配管の端部に止水試験治具を取付けた。配管の内部を満水にした状態で、23℃の環境下で0.35MPaの水圧を2分間負荷した。
【0125】
[耐水圧試験の判定基準]
○:漏れが生じない
×:漏れが生じる
【0126】
(2)耐薬性
得られた配管の端部に止水試験治具を取付けた。配管の内部を満水にした状態で通液したときに、液が受口部材に接触するか否かを確認した。
【0127】
[耐薬性の判定基準]
○:液が受口部材に接触しない
×:液が受口部材に接触する
【0128】
管継手の構成及び結果を表1に示す。
【0129】
【符号の説明】
【0130】
1,1A,1B,1C,1D,1E…管継手本体
1a,1Aa,1Ba,1Ca,1Da,1Ea…内表面
2,2A,2B,2C,2D,2E…受口部材
3,3A,3B,3C,3D,3E…受口部材本体
4,4A,4B,4C,4D,4E…環状凸部
5E…アンカー部
7…接着層
8…接続対象部材
10,10A,10B,10C,10D,10E…管継手
31D…突出部(第3の突出部)
41B,41C,41D,41E…突出部(第1の突出部)
42D…突出部(第2の突出部)
81…内層
82…外層
90…配管
D…排水溝
H1,H2,H3,H4…樹脂管
K…鋼管
M…機器
S…配管システム
T1,T2,T3,T4…管継手
T1a,T2a,T3a,T4a…一端部
T1b,T2b,T3b,T4b…他端部