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特許7642384描画装置、描画方法、積層基板の製造方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-28
(45)【発行日】2025-03-10
(54)【発明の名称】描画装置、描画方法、積層基板の製造方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20250303BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20250303BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F7/20 521
H05K3/00 H
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021010364
(22)【出願日】2021-01-26
(65)【公開番号】P2022114182
(43)【公開日】2022-08-05
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110004543
【氏名又は名称】弁理士法人松阪国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【弁理士】
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【弁理士】
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】鉈落 信也
(72)【発明者】
【氏名】八坂 智
【審査官】佐藤 海
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-251319(JP,A)
【文献】特開平08-330203(JP,A)
【文献】特開平08-306608(JP,A)
【文献】特開2007-208057(JP,A)
【文献】特開2013-077718(JP,A)
【文献】特開2002-296759(JP,A)
【文献】特開2020-013042(JP,A)
【文献】特開2019-061089(JP,A)
【文献】特開2014-099537(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0017716(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
H01L 21/027
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターンを描画する描画装置であって、
基板にパターンを描画する描画ユニットと、
前記描画ユニットにおけるパターンの描画に利用される描画データを生成する描画データ生成部と、
を備え、
前記基板に描画すべきパターンを示す設計データが、パターン領域である下図形と、前記下図形上に重ねられる上図形とを含んでおり、
前記描画データ生成部が、前記下図形および前記上図形の一方図形に対して、前記基板の変形に合わせた変形処理を行い、変形処理を行わない他方図形、または、前記一方図形とは異なる変形処理を行った前記他方図形と、変形後の前記一方図形とを重ねることにより、前記描画データを生成し、
前記描画データ生成部における前記描画データの生成において、前記下図形を示すラスタデータである下図形画像と、前記上図形を示すラスタデータである上図形画像とが用いられることを特徴とする描画装置。
【請求項2】
パターンを描画する描画装置であって、
基板にパターンを描画する描画ユニットと、
前記描画ユニットにおけるパターンの描画に利用される描画データを生成する描画データ生成部と、
を備え、
前記基板に描画すべきパターンを示す設計データが、パターン領域である下図形と、前記下図形上に重ねられるとともに、パターン領域である上図形と、前記下図形上に重ねられるとともに、前記上図形の周囲を囲む非パターン領域である背景図形とを含んでおり、
前記描画データ生成部が、前記下図形および前記上図形の一方図形に対して変形処理を行い、変形処理を行わない他方図形、または、前記一方図形とは異なる変形処理を行った前記他方図形と、変形後の前記一方図形とを重ねることにより、前記描画データを生成し、
前記描画データ生成部における前記描画データの生成において、前記下図形を示すラスタデータである下図形画像と、前記上図形を示すラスタデータである上図形画像と、前記背景図形を示すラスタデータである背景図形画像とが用いられることを特徴とする描画装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の描画装置であって、
前記下図形画像および前記上図形画像のそれぞれが、ランレングス圧縮されたデータであることを特徴とする描画装置。
【請求項4】
パターンを描画する描画装置であって、
基板にパターンを描画する描画ユニットと、
前記描画ユニットにおけるパターンの描画に利用される描画データを生成する描画データ生成部と、
を備え、
前記描画ユニットが、
前記基板を保持するステージと、
前記ステージ上の前記基板にパターンを描画するヘッドと、
前記ステージを前記ヘッドに対して相対的に移動する移動機構と、
前記ヘッドおよび前記移動機構を制御することにより前記基板に対する描画を実行する描画制御部と、
前記ステージ上の前記基板に形成されたアライメントマークを撮像して、撮像画像を取得する撮像部と、
を備え、
前記基板に描画すべきパターンを示す設計データが、パターン領域である下図形と、前記下図形上に重ねられる上図形とを含んでおり、
前記描画データ生成部が、前記撮像画像が示す前記アライメントマークの位置に基づいて、前記下図形および前記上図形の一方図形に対して変形処理を行い、変形処理を行わない他方図形、または、前記一方図形とは異なる変形処理を行った前記他方図形と、変形後の前記一方図形とを重ねることにより、前記描画データを生成することを特徴とする描画装置。
【請求項5】
パターンを描画する描画装置であって、
基板にパターンを描画する描画ユニットと、
前記描画ユニットにおけるパターンの描画に利用される描画データを生成する描画データ生成部と、
を備え、
前記基板に描画すべきパターンを示す設計データが、パターン領域である下図形と、前記下図形上に重ねられる上図形とを含んでおり、
前記描画データ生成部が、前記下図形および前記上図形の一方図形に対して変形処理を行い、変形処理を行わない他方図形、または、前記一方図形とは異なる変形処理を行った前記他方図形と、変形後の前記一方図形とを重ねることにより、前記描画データを生成し、
前記基板が、積層基板に含まれる複数の基板の1つであり、
前記上図形が、前記積層基板の製造において、他の基板に対する前記基板の位置合わせに利用される位置を示し、
前記描画データの生成において、前記上図形に対して変形処理が行われないことを特徴とする描画装置。
【請求項6】
請求項5に記載の描画装置であって、
前記描画データ生成部が、前記積層基板の製造時に生じる予定の前記基板の変形に合わせて、前記下図形に対して変形処理を行うことを特徴とする描画装置。
【請求項7】
パターンを描画する描画方法であって、
a)基板に描画すべきパターンを示すとともに、パターン領域である下図形と、前記下図形上に重ねられる上図形とを含む設計データを準備する工程と、
b)前記下図形および前記上図形の一方図形に対して、前記基板の変形に合わせた変形処理を行い、変形処理を行わない他方図形、または、前記一方図形とは異なる変形処理を行った前記他方図形と、変形後の前記一方図形とを重ねることにより、描画データを生成する工程と、
c)前記描画データを利用して、描画ユニットにより前記基板にパターンを描画する工程と、
を備え、
前記b)工程において、前記下図形を示すラスタデータである下図形画像と、前記上図形を示すラスタデータである上図形画像とが用いられることを特徴とする描画方法。
【請求項8】
パターンを描画する描画方法であって、
a)基板に描画すべきパターンを示すとともに、パターン領域である下図形と、前記下図形上に重ねられる上図形とを含む設計データを準備する工程と、
b)前記下図形および前記上図形の一方図形に対して変形処理を行い、変形処理を行わない他方図形、または、前記一方図形とは異なる変形処理を行った前記他方図形と、変形後の前記一方図形とを重ねることにより、描画データを生成する工程と、
c)前記描画データを利用して、描画ユニットにより前記基板にパターンを描画する工程と、
を備え、
前記描画ユニットが、
前記基板を保持するステージと、
前記ステージ上の前記基板にパターンを描画するヘッドと、
前記ステージを前記ヘッドに対して相対的に移動する移動機構と、
前記ヘッドおよび前記移動機構を制御することにより前記基板に対する描画を実行する描画制御部と、
前記ステージ上の前記基板に形成されたアライメントマークを撮像して、撮像画像を取得する撮像部と、
を備え、
前記b)工程において、前記撮像画像が示す前記アライメントマークの位置に基づいて、前記一方図形に対して変形処理が行われることを特徴とする描画方法。
【請求項9】
パターンを描画する描画方法であって、
a)基板に描画すべきパターンを示すとともに、パターン領域である下図形と、前記下図形上に重ねられる上図形とを含む設計データを準備する工程と、
b)前記下図形および前記上図形の一方図形に対して変形処理を行い、変形処理を行わない他方図形、または、前記一方図形とは異なる変形処理を行った前記他方図形と、変形後の前記一方図形とを重ねることにより、描画データを生成する工程と、
c)前記描画データを利用して、描画ユニットにより前記基板にパターンを描画する工程と、
を備え、
前記基板が、積層基板に含まれる複数の基板の1つであり、
前記上図形が、前記積層基板の製造において、他の基板に対する前記基板の位置合わせに利用される位置を示し、
前記b)工程において、前記上図形に対して変形処理が行われないことを特徴とする描画方法。
【請求項10】
積層基板の製造方法であって、
パターンを描画する描画方法を含み、
前記描画方法が、
a)基板に描画すべきパターンを示すとともに、パターン領域である下図形と、前記下図形上に重ねられる上図形とを含む設計データを準備する工程と、
b)前記下図形および前記上図形の一方図形に対して変形処理を行い、変形処理を行わない他方図形、または、前記一方図形とは異なる変形処理を行った前記他方図形と、変形後の前記一方図形とを重ねることにより、描画データを生成する工程と、
c)前記描画データを利用して、描画ユニットにより前記基板にパターンを描画する工程と、
を備え、
前記積層基板の製造方法が、
前記描画方法によりパターンが描画された前記基板を含む複数の基板を積層する工程と、
前記基板において前記上図形が示す位置に形成された孔部を含む、複数の孔部が、積層された前記複数の基板において積層方向に連続しており、前記複数の孔部に基準ピンを挿入した状態で、前記複数の基板に対して結合処理を施す工程と、
を備え、
前記描画方法の前記b)工程において、前記上図形に対して変形処理が行われないことを特徴とする積層基板の製造方法。
【請求項11】
パターンの描画に利用される描画データを、コンピュータに生成させるプログラムであって、前記プログラムのコンピュータによる実行は、前記コンピュータに、
a)基板に描画すべきパターンを示すとともに、パターン領域である下図形と、前記下図形上に重ねられる上図形とを含む設計データを準備する工程と、
b)前記下図形および前記上図形の一方図形に対して、前記基板の変形に合わせた変形処理を行い、変形処理を行わない他方図形、または、前記一方図形とは異なる変形処理を行った前記他方図形と、変形後の前記一方図形とを重ねることにより、描画データを生成する工程と、
を実行させ、
前記b)工程において、前記下図形を示すラスタデータである下図形画像と、前記上図形を示すラスタデータである上図形画像とが用いられることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
パターンの描画に利用される描画データを、コンピュータに生成させるプログラムであって、前記プログラムのコンピュータによる実行は、前記コンピュータに、
a)基板に描画すべきパターンを示すとともに、パターン領域である下図形と、前記下図形上に重ねられる上図形とを含む設計データを準備する工程と、
b)前記下図形および前記上図形の一方図形に対して変形処理を行い、変形処理を行わない他方図形、または、前記一方図形とは異なる変形処理を行った前記他方図形と、変形後の前記一方図形とを重ねることにより、描画データを生成する工程と、
を実行させ、
前記基板に対するパターンの描画に用いられる描画ユニットが、
前記基板を保持するステージと、
前記ステージ上の前記基板にパターンを描画するヘッドと、
前記ステージを前記ヘッドに対して相対的に移動する移動機構と、
前記ヘッドおよび前記移動機構を制御することにより前記基板に対する描画を実行する描画制御部と、
前記ステージ上の前記基板に形成されたアライメントマークを撮像して、撮像画像を取得する撮像部と、
を備え、
前記b)工程において、前記撮像画像が示す前記アライメントマークの位置に基づいて、前記一方図形に対して変形処理が行われることを特徴とするプログラム。
【請求項13】
パターンの描画に利用される描画データを、コンピュータに生成させるプログラムであって、前記プログラムのコンピュータによる実行は、前記コンピュータに、
a)基板に描画すべきパターンを示すとともに、パターン領域である下図形と、前記下図形上に重ねられる上図形とを含む設計データを準備する工程と、
b)前記下図形および前記上図形の一方図形に対して変形処理を行い、変形処理を行わない他方図形、または、前記一方図形とは異なる変形処理を行った前記他方図形と、変形後の前記一方図形とを重ねることにより、描画データを生成する工程と、
を実行させ、
前記基板が、積層基板に含まれる複数の基板の1つであり、
前記上図形が、前記積層基板の製造において、他の基板に対する前記基板の位置合わせに利用される位置を示し、
前記b)工程において、前記上図形に対して変形処理が行われないことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、描画装置、描画方法、積層基板の製造方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マスクを用いることなく、基板上の感光材料にパターンを描画する描画装置が実用化されている。描画装置では、CAD等を用いて作成した、ベクトルデータである設計データをRIP処理することにより、パターンの描画に利用される描画データが生成され、当該描画データに基づいてパターンの描画が行われる。なお、特許文献1の装置では、画像の記録後に変形する記録媒体に対して画像情報が示す画像を記録する際に、変形後の記録媒体上の画像が当該画像情報により示される画像と同一形状となるように、画像情報が変換される。そして、変換された画像情報に基づいて、変形前の記録媒体に画像が記録される。
【0003】
また、近年、多数の基板が積層された超高多層基板(以下、「積層基板」という。)が製造されている。積層基板の製造では、複数の基板のそれぞれに対して回路パターンを描画し、現像、エッチング等の処理を行うことにより、回路パターンが形成される。続いて、各基板に孔部が形成され、その後、複数の基板が積層される。積層された複数の基板は、金型に取り付けられる。当該複数の基板では、複数の孔部が積層方向に連続しており、金型に含まれる位置決め用の基準ピンを当該複数の孔部に挿入した状態で、当該複数の基板に対して結合処理が施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-157326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、積層基板では、各基板が薄いため、結合処理において基板が伸縮し、基板のサイズが設計データにおけるサイズから変動する。基板の伸縮率(スケール)は、例えば、積層方向における位置によって相違する。そこで、積層基板における各基板上の回路パターンが設計データに近づくように、当該基板に対して予測される伸縮率に基づいて描画データに変形処理(補正)を行い、当該基板に回路パターンを描画することが考えられる。一方、各基板では、孔部を形成すべき位置を示す基準ピンマークも描画される。この場合、設計データは、回路パターンを示す下図形に加えて、下図形に重ねられるとともに基準ピンマークを示す上図形を含む。実質的に、描画データは、下図形に上図形が重ねられた画像を示すラスタデータとなる。
【0006】
ここで、当該描画データに対して、上記のように基板の伸縮率に基づいて変形処理を行うと、積層された複数の基板において複数の孔部の位置が互いにずれてしまい、当該複数の孔部に基準ピンを適切に挿入することができなくなる。積層された複数の基板において複数の孔部の位置を揃えるには、設計データ、描画データ、および、基板に形成されたパターンにおいて、基準ピンマークが同じ位置にある必要がある。したがって、上図形である基準ピンマークを移動することなく(すなわち、基準ピンマークに対して変形処理が行われておらず)、下図形である回路パターンに変形処理が行われている描画データを適切に生成する手法が求められる。基板の用途等によっては、上図形に対して下図形とは異なる変形処理が行われている描画データ、さらに、下図形に対して変形処理が行われておらず、上図形に変形処理が行われている描画データが求められる可能性もある。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、下図形および上図形の一方図形に対して変形処理が行われており、他方図形に対して変形処理が行われていない、または、異なる変形処理が行われている描画データを適切に生成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、パターンを描画する描画装置であって、基板にパターンを描画する描画ユニットと、前記描画ユニットにおけるパターンの描画に利用される描画データを生成する描画データ生成部とを備え、前記基板に描画すべきパターンを示す設計データが、パターン領域である下図形と、前記下図形上に重ねられる上図形とを含んでおり、前記描画データ生成部が、前記下図形および前記上図形の一方図形に対して、前記基板の変形に合わせた変形処理を行い、変形処理を行わない他方図形、または、前記一方図形とは異なる変形処理を行った前記他方図形と、変形後の前記一方図形とを重ねることにより、前記描画データを生成し、前記描画データ生成部における前記描画データの生成において、前記下図形を示すラスタデータである下図形画像と、前記上図形を示すラスタデータである上図形画像とが用いられる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、パターンを描画する描画装置であって、基板にパターンを描画する描画ユニットと、前記描画ユニットにおけるパターンの描画に利用される描画データを生成する描画データ生成部とを備え、前記基板に描画すべきパターンを示す設計データが、パターン領域である下図形と、前記下図形上に重ねられるとともに、パターン領域である上図形と、前記下図形上に重ねられるとともに、前記上図形の周囲を囲む非パターン領域である背景図形とを含んでおり、前記描画データ生成部が、前記下図形および前記上図形の一方図形に対して変形処理を行い、変形処理を行わない他方図形、または、前記一方図形とは異なる変形処理を行った前記他方図形と、変形後の前記一方図形とを重ねることにより、前記描画データを生成し、前記描画データ生成部における前記描画データの生成において、前記下図形を示すラスタデータである下図形画像と、前記上図形を示すラスタデータである上図形画像と、前記背景図形を示すラスタデータである背景図形画像とが用いられる。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項またはに記載の描画装置であって、前記下図形画像および前記上図形画像のそれぞれが、ランレングス圧縮されたデータである。
【0012】
請求項に記載の発明は、パターンを描画する描画装置であって、基板にパターンを描画する描画ユニットと、前記描画ユニットにおけるパターンの描画に利用される描画データを生成する描画データ生成部とを備え、前記描画ユニットが、前記基板を保持するステージと、前記ステージ上の前記基板にパターンを描画するヘッドと、前記ステージを前記ヘッドに対して相対的に移動する移動機構と、前記ヘッドおよび前記移動機構を制御することにより前記基板に対する描画を実行する描画制御部と、前記ステージ上の前記基板に形成されたアライメントマークを撮像して、撮像画像を取得する撮像部とを備え、前記基板に描画すべきパターンを示す設計データが、パターン領域である下図形と、前記下図形上に重ねられる上図形とを含んでおり、前記描画データ生成部が、前記撮像画像が示す前記アライメントマークの位置に基づいて、前記下図形および前記上図形の一方図形に対して変形処理を行い、変形処理を行わない他方図形、または、前記一方図形とは異なる変形処理を行った前記他方図形と、変形後の前記一方図形とを重ねることにより、前記描画データを生成する
【0013】
請求項に記載の発明は、パターンを描画する描画装置であって、基板にパターンを描画する描画ユニットと、前記描画ユニットにおけるパターンの描画に利用される描画データを生成する描画データ生成部とを備え、前記基板に描画すべきパターンを示す設計データが、パターン領域である下図形と、前記下図形上に重ねられる上図形とを含んでおり、前記描画データ生成部が、前記下図形および前記上図形の一方図形に対して変形処理を行い、変形処理を行わない他方図形、または、前記一方図形とは異なる変形処理を行った前記他方図形と、変形後の前記一方図形とを重ねることにより、前記描画データを生成し、前記基板が、積層基板に含まれる複数の基板の1つであり、前記上図形が、前記積層基板の製造において、他の基板に対する前記基板の位置合わせに利用される位置を示し、前記描画データの生成において、前記上図形に対して変形処理が行われない。
【0014】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の描画装置であって、前記描画データ生成部が、前記積層基板の製造時に生じる予定の前記基板の変形に合わせて、前記下図形に対して変形処理を行う。
【0015】
請求項7に記載の発明は、パターンを描画する描画方法であって、a)基板に描画すべきパターンを示すとともに、パターン領域である下図形と、前記下図形上に重ねられる上図形とを含む設計データを準備する工程と、b)前記下図形および前記上図形の一方図形に対して、前記基板の変形に合わせた変形処理を行い、変形処理を行わない他方図形、または、前記一方図形とは異なる変形処理を行った前記他方図形と、変形後の前記一方図形とを重ねることにより、描画データを生成する工程と、c)前記描画データを利用して、描画ユニットにより前記基板にパターンを描画する工程とを備え、前記b)工程において、前記下図形を示すラスタデータである下図形画像と、前記上図形を示すラスタデータである上図形画像とが用いられる。
請求項8に記載の発明は、パターンを描画する描画方法であって、a)基板に描画すべきパターンを示すとともに、パターン領域である下図形と、前記下図形上に重ねられる上図形とを含む設計データを準備する工程と、b)前記下図形および前記上図形の一方図形に対して変形処理を行い、変形処理を行わない他方図形、または、前記一方図形とは異なる変形処理を行った前記他方図形と、変形後の前記一方図形とを重ねることにより、描画データを生成する工程と、c)前記描画データを利用して、描画ユニットにより前記基板にパターンを描画する工程とを備え、前記描画ユニットが、前記基板を保持するステージと、前記ステージ上の前記基板にパターンを描画するヘッドと、前記ステージを前記ヘッドに対して相対的に移動する移動機構と、前記ヘッドおよび前記移動機構を制御することにより前記基板に対する描画を実行する描画制御部と、前記ステージ上の前記基板に形成されたアライメントマークを撮像して、撮像画像を取得する撮像部とを備え、前記b)工程において、前記撮像画像が示す前記アライメントマークの位置に基づいて、前記一方図形に対して変形処理が行われる。
請求項9に記載の発明は、パターンを描画する描画方法であって、a)基板に描画すべきパターンを示すとともに、パターン領域である下図形と、前記下図形上に重ねられる上図形とを含む設計データを準備する工程と、b)前記下図形および前記上図形の一方図形に対して変形処理を行い、変形処理を行わない他方図形、または、前記一方図形とは異なる変形処理を行った前記他方図形と、変形後の前記一方図形とを重ねることにより、描画データを生成する工程と、c)前記描画データを利用して、描画ユニットにより前記基板にパターンを描画する工程とを備え、前記基板が、積層基板に含まれる複数の基板の1つであり、前記上図形が、前記積層基板の製造において、他の基板に対する前記基板の位置合わせに利用される位置を示し、前記b)工程において、前記上図形に対して変形処理が行われない。
【0016】
請求項10に記載の発明は、積層基板の製造方法であって、パターンを描画する描画方法を含み、前記描画方法が、a)基板に描画すべきパターンを示すとともに、パターン領域である下図形と、前記下図形上に重ねられる上図形とを含む設計データを準備する工程と、b)前記下図形および前記上図形の一方図形に対して変形処理を行い、変形処理を行わない他方図形、または、前記一方図形とは異なる変形処理を行った前記他方図形と、変形後の前記一方図形とを重ねることにより、描画データを生成する工程と、c)前記描画データを利用して、描画ユニットにより前記基板にパターンを描画する工程とを備え、前記積層基板の製造方法が、前記描画方法によりパターンが描画された前記基板を含む複数の基板を積層する工程と、前記基板において前記上図形が示す位置に形成された孔部を含む、複数の孔部が、積層された前記複数の基板において積層方向に連続しており、前記複数の孔部に基準ピンを挿入した状態で、前記複数の基板に対して結合処理を施す工程とを備え、前記描画方法の前記b)工程において、前記上図形に対して変形処理が行われない。
【0017】
請求項11に記載の発明は、パターンの描画に利用される描画データを、コンピュータに生成させるプログラムであって、前記プログラムのコンピュータによる実行は、前記コンピュータに、a)基板に描画すべきパターンを示すとともに、パターン領域である下図形と、前記下図形上に重ねられる上図形とを含む設計データを準備する工程と、b)前記下図形および前記上図形の一方図形に対して、前記基板の変形に合わせた変形処理を行い、変形処理を行わない他方図形、または、前記一方図形とは異なる変形処理を行った前記他方図形と、変形後の前記一方図形とを重ねることにより、描画データを生成する工程とを実行させ、前記b)工程において、前記下図形を示すラスタデータである下図形画像と、前記上図形を示すラスタデータである上図形画像とが用いられる。
請求項12に記載の発明は、パターンの描画に利用される描画データを、コンピュータに生成させるプログラムであって、前記プログラムのコンピュータによる実行は、前記コンピュータに、a)基板に描画すべきパターンを示すとともに、パターン領域である下図形と、前記下図形上に重ねられる上図形とを含む設計データを準備する工程と、b)前記下図形および前記上図形の一方図形に対して変形処理を行い、変形処理を行わない他方図形、または、前記一方図形とは異なる変形処理を行った前記他方図形と、変形後の前記一方図形とを重ねることにより、描画データを生成する工程とを実行させ、前記基板に対するパターンの描画に用いられる描画ユニットが、前記基板を保持するステージと、前記ステージ上の前記基板にパターンを描画するヘッドと、前記ステージを前記ヘッドに対して相対的に移動する移動機構と、前記ヘッドおよび前記移動機構を制御することにより前記基板に対する描画を実行する描画制御部と、前記ステージ上の前記基板に形成されたアライメントマークを撮像して、撮像画像を取得する撮像部とを備え、前記b)工程において、前記撮像画像が示す前記アライメントマークの位置に基づいて、前記一方図形に対して変形処理が行われる。
請求項13に記載の発明は、パターンの描画に利用される描画データを、コンピュータに生成させるプログラムであって、前記プログラムのコンピュータによる実行は、前記コンピュータに、a)基板に描画すべきパターンを示すとともに、パターン領域である下図形と、前記下図形上に重ねられる上図形とを含む設計データを準備する工程と、b)前記下図形および前記上図形の一方図形に対して変形処理を行い、変形処理を行わない他方図形、または、前記一方図形とは異なる変形処理を行った前記他方図形と、変形後の前記一方図形とを重ねることにより、描画データを生成する工程とを実行させ、前記基板が、積層基板に含まれる複数の基板の1つであり、前記上図形が、前記積層基板の製造において、他の基板に対する前記基板の位置合わせに利用される位置を示し、前記b)工程において、前記上図形に対して変形処理が行われない。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、下図形および上図形の一方図形に対して変形処理が行われており、他方図形に対して変形処理が行われていない、または、異なる変形処理が行われている描画データを適切に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】描画装置の構成を示す斜視図である。
図2】コンピュータの構成を示す図である。
図3】制御部の機能を示すブロック図である。
図4】積層基板の製造を説明するための図である。
図5】積層基板の製造の流れを示す図である。
図6】描画装置における描画の流れを示す図である。
図7】基板の上面を示す図である。
図8】設計データが示すパターンの一部を示す図である。
図9】全図形画像を示す図である。
図10】下図形画像を示す図である。
図11】上領域画像を示す図である。
図12】全図形画像と上領域画像とを重ね合わせた図である。
図13】上図形画像を示す図である。
図14】上図形画像と上領域画像とを重ね合わせた図である。
図15】背景図形画像を示す図である。
図16】変形下図形画像と背景図形画像とを重ね合わせた図である。
図17】中間合成画像を示す図である。
図18】中間合成画像と上図形画像とを重ね合わせた図である。
図19】描画用画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る描画装置1の構成を示す斜視図である。図1では、互いに直交する3つの方向をX方向、Y方向およびZ方向として矢印にて示している。図1に示す例では、X方向およびY方向は水平方向であり、Z方向は鉛直方向である。
【0021】
描画装置1は、空間変調された光を基板9上の感光材料に照射し、当該光の照射領域を基板9上にて走査することによりパターンの描画を行う直接描画装置である。基板9は、例えば、平面視において略矩形状の板状部材である。基板9は、例えば、可撓性を有するプリント配線基板である。基板9では、銅層上に感光材料により形成されたレジスト膜が設けられる。描画装置1では、基板9のレジスト膜に回路パターンが描画される。後工程では、現像、エッチング等の処理が行われ、回路パターンが形成された基板9が得られる。
【0022】
描画装置1は、ステージ21と、ステージ移動機構22と、ステージ昇降機構23と、描画部3と、撮像部5と、制御部4とを備える。制御部4は、ステージ移動機構22、ステージ昇降機構23、描画部3および撮像部5等を制御する。ステージ21は、描画部3の下方(すなわち、(-Z)側)において、水平状態の基板9を下側から保持する略平板状の保持部である。ステージ21上に載置された基板9の(+Z)側の主面(以下、「上面91」と呼ぶ。)は、Z方向に対して略垂直であり、X方向およびY方向に略平行である。
【0023】
ステージ昇降機構23は、ステージ21をZ方向に移動する。ステージ移動機構22は、ステージ21を描画部3に対して水平方向に相対的に移動する。図1に示す例では、ステージ移動機構22は、ステージ21をステージ昇降機構23と共にY方向に移動する。換言すれば、ステージ移動機構22は、基板9の上面91に略平行な方向に、ステージ21を移動する。例えば、ステージ移動機構22は、ステージ21をガイドレールに沿って直線状に移動させる移動機構であり、駆動源として、リニアサーボモータが用いられる。これにより、ステージ21が高精度に移動する。ステージ移動機構22の駆動源としては、ボールねじにモータを取り付けたものが用いられてもよい。描画装置1では、Z方向に延びる回転軸を中心としてステージ21を周方向に回転させる回動機構が設けられてもよい。また、描画装置1では、ステージ昇降機構23が省略されてもよい。
【0024】
描画部3は、X方向およびY方向に配列される複数(図1に示す例では、5つ)のヘッド31を備える。複数のヘッド31は、ステージ21を跨いで設けられるヘッド支持部19により、ステージ21の上方にて支持される。各ヘッド31は、光源と、光変調部とを備える。光変調部として、例えば、複数の微小ミラーが二次元に配列されたDMD(デジタルミラーデバイス)が、利用される。光変調部は、複数の光変調素子が一次元に配列された変調器等であってもよい。複数のヘッド31は、略同じ構造を有する。
【0025】
描画装置1では、描画部3の複数のヘッド31から変調(すなわち、空間変調)された光が基板9の上面91上に照射されるとともに、ステージ移動機構22により基板9がY方向に移動する。これにより、複数のヘッド31からの光の照射領域が基板9上にてY方向に走査し、基板9に対する回路パターンの描画が行われる。以下の説明では、Y方向を「走査方向」とも呼び、X方向を「幅方向」とも呼ぶ。
【0026】
図1の描画装置1では、基板9に対する描画は、いわゆるシングルパス(ワンパス)方式で行われる。具体的には、ステージ移動機構22により、ステージ21が複数のヘッド31に対してY方向に移動し、複数のヘッド31からの光の照射領域が、基板9の上面91上にてY方向(すなわち、走査方向)に1回のみ走査する。これにより、基板9に対する回路パターンの描画が完了する。なお、描画装置1では、ステージ21またはヘッド31をX方向に移動する副走査機構が設けられ、いわゆるマルチパス方式で基板9に対する描画が行われてもよい。
【0027】
撮像部5は、複数のカメラ51(例えば、CCDカメラ)を有する。複数のカメラ51は、ヘッド31と同様に、ヘッド支持部19によりステージ21の上方にて支持される。複数のカメラ51は、幅方向に間隔を空けて配置される。図1の例では、2個のカメラ51が、描画部3の幅方向の両側にそれぞれ設けられる。各カメラ51は、ステージ21上の基板9を撮像して撮像画像のデータを取得する。なお、カメラ51の数および配置等は、様々に変更されてよい。
【0028】
図2は、コンピュータ11の構成を示す図である。コンピュータ11は、各種演算処理を行うCPU111と、基本プログラムを記憶するROM112と、各種情報を記憶するRAM113とを含む一般的なコンピュータシステムの構成となっている。コンピュータ11は、情報記憶を行う固定ディスク114と、各種情報の表示を行う表示部115と、入力部116として操作者からの入力を受け付けるキーボード116aおよびマウス116bと、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体12から情報の読み取りを行ったり記録媒体12に情報の書き込みを行う読取/書込装置118と、描画装置1の各構成と通信を行う通信部119とをさらに含む。
【0029】
コンピュータ11では、事前に読取/書込装置118を介して記録媒体12からプログラム120が読み出され、固定ディスク114に記憶されている。プログラム120はネットワークを介して固定ディスク114に記憶されてもよい。CPU111がRAM113および固定ディスク114を利用しつつプログラム120に従って演算処理を実行することにより(すなわち、コンピュータがプログラムを実行することにより)、コンピュータ11が、図1の描画装置1における制御部4として機能する。制御部4は、専用の電気回路により構築されてもよく、部分的に専用の電気回路が利用されてもよい。制御部4は、複数のコンピュータが協働して実現されてもよく、この場合に、当該複数のコンピュータが互いに離れた位置に設けられてもよい。
【0030】
図3は、コンピュータ11により実現される制御部4の機能を示すブロック図である。図3では、制御部4以外の構成も併せて示す。制御部4は、記憶部41と、描画データ生成部42と、描画制御部43とを備える。記憶部41は、主にRAM113および固定ディスク114により実現され、設計データ等の各種情報を記憶する。設計データは、基板9に描画すべき回路パターン等の画像を示す。描画データ生成部42は、主にCPU111により実現され、パターンの描画に利用される後述の描画データを生成する。描画制御部43は、主にCPU111により実現され、上記描画データに基づいてステージ移動機構22および描画部3のヘッド31等を制御することにより、基板9に対する描画を実行させる。
【0031】
ここで、基板9を用いて製造される積層基板について説明する。図4は、積層基板90の製造を説明するための図であり、図5は、積層基板90の製造の流れを示す図である。積層基板90は、複数(例えば、80~100個)の基板900が積層された超高多層基板である。図4では、実際よりも基板900の個数を少なく描いている。典型的には、複数の基板900のサイズは略同じである。描画装置1により回路パターンが描画される基板9は、積層基板90に含まれる複数の基板900の1つである。積層基板90には、描画装置1により回路パターンが描画される2個以上の基板9が含まれてもよい。
【0032】
積層基板90の製造では、回路パターンが形成された複数の基板900が準備され、積層される(ステップS1)。例えば、銅層上にレジスト膜が設けられた各基板900に対して、回路パターンを描画し、その後、現像、エッチング等の処理を行うことにより、回路パターンが形成された複数の基板900が準備される。複数の基板900は、所定の順序にて積層される。
【0033】
ここで、各基板900には、孔部901を形成すべき位置を示す複数のマークが、回路パターンと共に形成されており、複数の基板900を積層する前に、ドリル等を用いて各マークの位置に孔部901が形成される。孔部901には、後述の基準ピン81が挿入されるため、以下、当該マークを「基準ピンマーク」という。基板900における所定の基準位置(例えば、中央)に対する各基準ピンマークの位置は、複数の基板900において同じである。したがって、積層された複数の基板900では、複数の孔部901が積層方向(図4の上下方向)に連続する。
【0034】
連続する複数の孔部901には、金型80に含まれる位置決め用の基準ピン81が挿入される。金型80は、上金型82および下金型83も含み、上金型82および下金型83は、積層方向における複数の基板900の両側に配置される。複数の基準ピン81の両端は、上金型82および下金型83により支持される。積層方向における上金型82および下金型83の両外側には、2個の熱板84がそれぞれ設けられる。当該2個の熱板84は、所定の温度に加熱される。複数の孔部901に基準ピン81を挿入した状態で、当該2個の熱板84を介して複数の基板900が積層方向に熱プレスされる(図4中の矢印A1参照)。このようにして、複数の基板900に対して結合処理を施すことにより、複数の基板900が互いに結合され、積層基板90が製造される(ステップS2)。
【0035】
積層基板90の一例では、結合処理において、熱の影響により各基板900が全体的に僅かに収縮する。また、積層方向における基板900の位置によって、収縮率が異なる。積層基板90の製造では、実験により、または、経験的に、積層方向の各位置に配置される基板900の収縮率が、積層時変形情報として予め取得されている。基板9の積層時変形情報は、図3の描画データ生成部42に記憶される。
【0036】
次に、描画装置1における描画の流れについて、図6を参照しつつ説明する。描画装置1では、基板9に描画すべきパターンを示す設計データが、記憶部41に記憶されて準備される(ステップS11)。本実施の形態における設計データは、CAD(Computer-Aided Design)データであり、複数の図形(オブジェクト)を含むベクトルデータである。設計データの詳細については後述する。
【0037】
また、処理対象の基板9が、図1のステージ21上に載置されて保持される。基板9は、ステージ21の移動により撮像部5の下方へと移動し、複数のカメラ51により基板9の上面91が撮像される。
【0038】
図7は、基板9の上面91を示す図である。基板9の上面91には複数のアライメントマーク911が形成されている。アライメントマーク911は、基板9上に予め設けられている貫通孔や配線等の一部であってもよい。アライメントマーク911はレジスト膜を介して観察可能であり、各カメラ51では、アライメントマーク911を撮像した撮像画像(のデータ)が取得される。図7の例では、走査方向(Y方向)における両端部に複数のアライメントマーク911が設けられている。したがって、ステージ移動機構22が基板9を走査方向に移動することにより、基板9の両端部における複数のアライメントマーク911が複数のカメラ51により撮像される。
【0039】
複数の撮像画像は、制御部4に入力される。制御部4では、複数の撮像画像から、ステージ21上の基板9における複数のアライメントマーク911の位置(基準位置に対する相対位置)が求められる。制御部4では、理想的な基板(変形が生じていない基板9)における複数のアライメントマーク911の位置も予め記憶されており、実際の基板9におけるアライメントマーク911の位置と比較される。これにより、パターンの描画時における基板9の変形を示す描画時変形情報が取得される(ステップS12)。基板9の変形は、例えば、当該基板9に対する前工程により基板9において発生する伸縮や歪みである。基板9の変形を示す描画時変形情報は、図3の描画データ生成部42へと出力される。
【0040】
描画データ生成部42では、設計データからパターンの描画に利用される描画データが生成される(ステップS13)。設計データから描画データを生成する処理の詳細については、後述する。描画データ生成部42により生成された描画データは、描画制御部43に送られる。そして、描画制御部43により描画データに基づいてステージ移動機構22および描画部3のヘッド31が制御されることにより、基板9に対するパターンの描画が実行される(ステップS14)。描画装置1では、ステージ21、ヘッド31、ステージ移動機構22、描画制御部43、および、撮像部5を主たる構成とする描画ユニットにより、基板9にパターンが描画される。
【0041】
次に、設計データから描画データを生成する処理について説明する。図8は、設計データが示すパターンの一部を示す図である。設計データは、下図形と、下図形上に重ねられる上図形とを含む。下図形は、基板9に描画すべき回路パターン71を示すパターン領域(ポジ極性の領域)である。上図形は、既述の基準ピンマーク76を示すパターン領域である。基準ピンマーク76は、回路パターン71上に重ねられる。設計データは、下図形上に重ねられるとともに、上図形の周囲を囲む背景図形をさらに含む。背景図形は、基準ピンマーク76の周囲領域77(以下、「マーク周囲領域77」という。)を示す非パターン領域(ネガ極性の領域)である。マーク周囲領域77は、回路パターン71上に重ねられる。設計データが示す画像では、回路パターン71においてマーク周囲領域77と重なる領域は、非パターン領域となる。
【0042】
本処理例における設計データでは、下図形と、上図形および背景図形とに対して異なる属性情報が付与されており、属性情報を用いて下図形と、上図形および背景図形とが区別可能である。換言すると、本処理例では、上図形および背景図形に同じ属性情報が付与されており、属性情報を用いた両者の区別が不能である。後述するように、上図形と背景図形とに対して異なる属性情報が付与されてもよい。図8では、回路パターン71および基準ピンマーク76、すなわち、パターン領域に平行斜線を付している(後述の図9ないし図19において同様)。また、マーク周囲領域77の外縁を細い破線にて示している。
【0043】
描画データ生成部42では、設計データをRIP処理することにより、下図形と、下図形上に重ねた上図形および背景図形とを示すラスタデータが生成される。当該ラスタデータは、図9のように、回路パターン71上に基準ピンマーク76およびマーク周囲領域77を重ねた二値画像61(以下、「全図形画像61」という。)を示す。全図形画像61は、多値画像であってもよい(他の画像において同様)。実際の描画装置1では、全図形画像61は、ランレングス圧縮されたデータ、すなわち、ランレングスデータである。当該ランレングスデータは、パターンの描画において基板9に対する光の照射のON/OFFを切り替える位置(変化点)を示す。
【0044】
また、設計データから、上図形および背景図形を除外したものをRIP処理することにより、下図形を示すラスタデータが生成される。当該ラスタデータは、図10のように、回路パターン71の二値画像62(以下、「下図形画像62」という。)を示す。下図形画像62も、ランレングス圧縮されたデータである。さらに、設計データから、上図形および背景図形を抽出しつつ、抽出した全ての図形をパターン領域としたものをRIP処理することにより、上図形および背景図形の領域を示すラスタデータが生成される。当該ラスタデータは、図11のように、基準ピンマーク76およびマーク周囲領域77の双方をパターン領域とする二値画像62(以下、「上領域画像63」という。)を示す。上領域画像63も、ランレングス圧縮されたデータである。図11では、基準ピンマーク76の外縁を細い破線にて示している。
【0045】
典型的には、描画データ生成部42では、図6のステップS11にて設計データが記憶部41に記憶された後、直ぐに、全図形画像61、下図形画像62および上領域画像63が生成される。全図形画像61、下図形画像62および上領域画像63の生成は、ステージ21上への基板9の載置時に、完了していることが好ましい。ある程度の時間を要するRIP処理を予め行うことにより、ステージ21上への基板9の載置後、短時間でパターンの描画を開始することが可能となる。
【0046】
続いて、図12に示すように、全図形画像61(図9参照)と上領域画像63(図11参照)とを重ね合わせた場合に、両画像においてパターン領域となっている領域(図12中にてクロスハッチングを付す領域)が抽出される。換言すると、全図形画像61と上領域画像63とのAND(論理積)合成が行われる。これにより、図13に示すように、基準ピンマーク76をパターン領域として示す上図形画像64が生成される。なお、設計データにおいて、上図形と背景図形とに対して異なる属性情報が付与されている場合には、上図形画像64は、設計データから上図形を抽出したものをRIP処理することにより生成されてもよい。
【0047】
上図形画像64が生成されると、図14に示すように、上図形画像64と上領域画像63(図11参照)とを重ね合わせた場合に、いずれか一方の画像のみにおいてパターン領域となっている領域(図14中にて平行斜線を付す領域のうちクロスハッチングを付す領域を除く領域)が抽出される。換言すると、上図形画像64と上領域画像63とのXOR(排他的論理和)合成が行われる。これにより、図15に示すように、マーク周囲領域77をパターン領域として示す背景図形画像65が生成される。なお、設計データにおいて、上図形と背景図形とに対して異なる属性情報が付与されている場合には、背景図形画像65は、設計データから背景図形を抽出したものをRIP処理することにより生成されてもよい。ステージ21上への基板9の載置時には、上図形画像64および背景図形画像65の生成が完了していることが好ましい。
【0048】
続いて、図10の下図形画像62に対して変形処理が行われる。このとき、好ましくは、基板9の上面91において、互いに直交する2方向にマトリクス状に配置された複数の描画ブロックが設定されており、上述のRIP処理が行われる際に、各画像が、複数の描画ブロックに対応する複数の描画データ要素(いわゆる、メッシュデータ)に分割されている。描画データ生成部42では、下図形画像62における複数の描画データ要素の位置を移動することにより、すなわち、複数の描画ブロックの基板9上における描画位置を移動することにより、変形処理が行われる。もちろん、他の手法により変形処理が行われてもよい。
【0049】
本実施の形態では、変形処理は、描画時変形情報に基づいて行われる。既述のように、描画時変形情報は、理想的な基板(変形が生じていない基板9)におけるアライメントマーク911の位置と、実際の基板9におけるアライメントマーク911の位置との相違を示す。また、下図形画像62は、理想的な基板に合わせた回路パターン71を示す。したがって、描画時変形情報を参照することにより、基板9の変形に合わせて、下図形画像62を変形(補正)して、変形後の回路パターンを示す変形下図形画像が生成される。なお、4個の角部にアライメントマーク911が設けられる図7の基板9は一例に過ぎず、所望の位置にアライメントマーク911が設けられてよい。また、上面91において複数の個片領域が設定され、個片領域毎に描画時変形情報に基づく下図形画像62の変形処理が行われてもよい。
【0050】
変形処理は、既述の積層時変形情報に基づいて行われてもよい。この場合、例えば、基準位置を中心として、下図形画像62の全体を拡大または縮小する処理が行われる。図4の例では、積層基板90の製造時に基板9が僅かに収縮するため、収縮後の基板9において設計データ通りのパターンが形成されるように、下図形画像62を拡大する変形処理が行われる。これにより、拡大後の回路パターンを示す変形下図形画像が生成される。変形処理は、描画時変形情報および積層時変形情報の双方に基づいて行われてもよい。この場合、例えば、描画時変形情報に基づく変形後の下図形画像に対して、積層時変形情報に基づいて全体を拡大または縮小する変形処理がさらに行われる。描画装置1では、描画時変形情報および積層時変形情報以外の情報に基づいて、下図形画像62の変形処理が行われてもよい。
【0051】
続いて、図16に示すように、変形後の回路パターン71aを示す変形下図形画像と、変形処理が行われていない背景図形画像65(図15参照)とを重ね合わせた場合に、変形下図形画像のパターン領域において背景図形画像65のパターン領域と重なる領域(すなわち、変形後の回路パターン71aとマーク周囲領域77とが重なる領域であり、図16中にてクロスハッチングを付す領域)が非パターン領域に変換される。これにより、図17に示すように、変形後の回路パターン71aのうち、マーク周囲領域77を除く領域をパターン領域として示す中間合成画像66が生成される。中間合成画像66は、変形処理が行われていない背景図形を、変形後の下図形上に重ねた画像を示す。なお、図16および図17では、下図形画像62の変形処理により、回路パターン71aが右側に移動している。
【0052】
その後、図18に示すように、中間合成画像66と変形処理が行われていない上図形画像64(図13参照)とを重ね合わせた場合に、一方または両方の画像においてパターン領域となっている領域(図18中にて、いずれかの平行斜線を付す領域)が抽出される。換言すると、中間合成画像66と上図形画像64とのOR(論理和)合成が行われる。これにより、図19に示す描画用画像67、すなわち、描画データが生成される。描画用画像67は、パターン領域である基準ピンマーク76、および、非パターン領域であるマーク周囲領域77を、変形後の回路パターン71a上に重ねた画像を示す。換言すると、描画用画像67は、変形処理が行われていない上図形および背景図形を、変形後の下図形に重ねた画像を示す。
【0053】
以上に説明したように、描画装置1では、基板9に描画すべきパターンを示す設計データが準備される。設計データは、パターン領域である下図形と、下図形上に重ねられるパターン領域である上図形と、下図形上に重ねられるとともに、上図形の周囲を囲む非パターン領域である背景図形とを含む。描画データ生成部42は、下図形に対して変形処理を行い、変形処理を行わない上図形および背景図形を、変形後の下図形上に重ねることにより、描画データを生成する。これにより、下図形に対して変形処理が行われており、上図形および背景図形に対して変形処理が行われていない描画データを適切に生成することができる。
【0054】
上述のように、上図形は、積層基板90の製造において、他の基板900に対する基板9の位置合わせに利用される位置(上記の例では、基準ピンマーク76)を示す。描画装置1では、上図形に対して変形処理が行われないため、位置合わせに利用される上記位置が、設計データが示す位置からずれることが防止される。これにより、積層基板90の製造において、基板9の位置がずれることを防止することができ、その結果、積層基板90を適切に製造することができる。好ましくは、描画データ生成部42が、積層基板90の製造時に生じる予定の基板9の変形に合わせて、下図形に対して変形処理を行う。これにより、積層基板90において、下図形に対応する基板9上の回路パターンを設計データに近似させることができる。
【0055】
ところで、設計データから生成されるラスタデータ(本実施の形態では、ランレングスデータ)では、設計データのように、図形の重ね合わせについての情報を含むことができない。したがって、図9の全図形画像61のみでは、回路パターン71の領域や、基準ピンマーク76の領域を特定することが不可能である。そこで、例えば、全図形画像61中の回路パターン71の領域を別途指定することにより、回路パターン71に対して変形処理を行うことも考えられる。しかしながら、全図形画像61では、基準ピンマーク76およびマーク周囲領域77(上図形および背景画像)と重なっている回路パターン71(下図形)の部分の情報が失われているため、変形処理により回路パターン71の当該部分が基準ピンマーク76およびマーク周囲領域77と重ならなくなっても、当該部分を適切に再現することができない。
【0056】
これに対し、描画データ生成部42では、下図形を示すラスタデータである下図形画像62と、上図形を示すラスタデータである上図形画像64と、背景図形を示すラスタデータである背景図形画像65とを用いて、描画データが生成される。これにより、変形処理により上図形および背景図形と重ならなくなった下図形の部分も描画データにおいて適切に再現することができ、描画データを精度よく生成することができる。なお、背景図形画像は、基準ピンマーク76およびマーク周囲領域77の双方をパターン領域として示す図11の上領域画像63であってもよい。上記処理例では、下図形画像62、上図形画像64および背景図形画像65は、ランレングスデータであるが、必ずしもランレングスデータである必要はない。
【0057】
描画データ生成部42では、下図形、上図形および背景図形を含む設計データ(ベクトルデータ)において、下図形に対する変形処理が行われてもよい。この場合、変形処理が行われていない上図形および背景図形と、変形後の下図形とを重ねた画像を示す変形後の設計データをRIP処理することにより、描画データが生成される。これにより、下図形に対して変形処理が行われており、上図形および背景図形に対して変形処理が行われていない描画データを適切に生成することが可能となる。
【0058】
ところで、RIP処理には、ある程度の時間を要するため、ステージ21上への基板9の載置後、短時間でパターンの描画を開始するには、ステージ21上への基板9の載置時にRIP処理が完了していることが好ましい。一方、描画装置1における好ましい処理では、撮像画像が示す実際の基板9のアライメントマーク911の位置に基づいて、下図形に対して変形処理が行われる。この場合に、設計データにおいて下図形に対する変形処理を行う上記手法を採用すると、撮像画像の取得後に下図形に変形処理を行い、その後、RIP処理を行うことになり、ステージ21上への基板9の載置後、短時間でパターンの描画を開始することができない。したがって、ステージ21上への基板9の載置後、短時間でパターンの描画を開始するには、上述のように、下図形画像62、上図形画像64および背景図形画像65を用いて、描画データを生成することが好ましい。
【0059】
上記描画装置1、描画方法、および、積層基板90の製造方法では様々な変形が可能である。
【0060】
基板9に描画すべきパターンによっては、設計データにおいて、背景図形が省略されてもよい。この場合、描画データ生成部42では、下図形を示すラスタデータである下図形画像と、上図形を示すラスタデータである上図形画像とを用いて、描画データが生成される。また、上図形が、非パターン領域であってもよい。すなわち、設計データにおいて、パターン領域である下図形と、非パターン領域である上図形とが含まれてもよい。
【0061】
描画装置1では、上図形に対して下図形とは異なる変形処理が行われてもよい。また、下図形に対して変形処理を行うことなく、上図形に対して変形処理が行われてもよい。以上のように、描画データ生成部42は、下図形および上図形の一方図形に対して変形処理を行い、変形処理を行わない他方図形、または、当該一方図形とは異なる変形処理を行った当該他方図形と、変形後の当該一方図形とを重ねることにより、描画データを生成する。これにより、下図形および上図形の一方図形に対して変形処理が行われており、他方図形に対して変形処理が行われていない、または、異なる変形処理が行われている描画データを適切に生成することができる。
【0062】
設計データにおいて、上図形と下図形との重なり関係(上下関係)が、両図形が互いに異なる画層に配置されることにより表現されていてもよい。
【0063】
描画装置1における移動機構は、ステージ21がヘッド31に対して相対的に移動するのであれば、様々な構造が採用可能である。例えば、ステージ21が固定され、ヘッド31がY方向に移動してもよい。あるいは、ヘッド31およびステージ21の双方が移動してもよい。
【0064】
描画装置1において、基板9にパターンを描画する描画ユニットは、電子線等によるパターンの描画や、インクジェットによるパターンの描画を行うものであってもよい。
【0065】
描画装置1は、積層基板90の製造以外に用いられてもよい。パターンが描画される基板9は、プリント配線基板以外に、半導体基板やガラス基板等であってもよい。
【0066】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0067】
1 描画装置
5 撮像部
9,900 基板
11 コンピュータ
21 ステージ
22 ステージ移動機構
31 ヘッド
42 描画データ生成部
43 描画制御部
62 下図形画像
64 上図形画像
65 背景図形画像
67 描画用画像
71,71a 回路パターン
76 基準ピンマーク
77 マーク周囲領域
81 基準ピン
90 積層基板
120 プログラム
901 (基板の)孔部
911 アライメントマーク
S1,S2,S11~S14 ステップ
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