(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-28
(45)【発行日】2025-03-10
(54)【発明の名称】表示灯
(51)【国際特許分類】
F21V 23/00 20150101AFI20250303BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20250303BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20250303BHJP
G08B 5/00 20060101ALI20250303BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20250303BHJP
F21Y 105/10 20160101ALN20250303BHJP
【FI】
F21V23/00 200
F21S2/00 100
F21S2/00 663
G08B17/00 Z
G08B5/00 T
F21Y115:10
F21Y105:10
(21)【出願番号】P 2021061190
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2024-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002169
【氏名又は名称】彩雲弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】金子 貴洋
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-231363(JP,A)
【文献】特開2011-165114(JP,A)
【文献】特開2010-263128(JP,A)
【文献】特開2018-005990(JP,A)
【文献】特開2019-045657(JP,A)
【文献】特開2001-167610(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0096663(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 23/00
F21S 2/00
G08B 17/00
G08B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を光源として発光
し、防災設備の機器や設備の位置を表示する
防災設備用の表示灯であって、
複数の発光素子を有する発光素子群を複数備え、
前記複数の発光素子群の、各群内の複数の発光素子は、互いに、いずれかの発光素子が導通不可の状態になることによって、他の発光素子が導通不可の状態になる態様で電気的に接続される一方、前記複数の発光素子群は、互いに、いずれかの発光素子群が導通不可の状態になることによっては、他の発光素子群が導通不可の状態にならない態様で電気的に接続され、
また、前記複数の発光素子群は、同一の発光素子群の発光素子同士が隣に並ばない配置で設けられることを特徴とする表示灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種防災設備に設けられる表示灯に関する。
【背景技術】
【0002】
非常警報設備、自動火災報知設備、消火栓設備等の各種防災設備には、位置表示用の表示灯が設けられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
表示灯は、発光素子を光源として発光し、取り付けられた機器や設備の位置を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の表示灯において、複数の発光素子(LED素子等)を用いる場合、一部の発光素子の故障等によって、部分的に複数の発光素子がまとまって消灯状態になり、表示灯全体の発光状態に偏りが生じて、視認性が悪くなることがある。
【0006】
この発明は、前記の事情に鑑み、一部の発光素子が消灯したとしても、全体の発光状態に偏りが生じるのを低減することができる表示灯を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、発光素子を光源として発光し、防災設備の機器や設備の位置を表示する防災設備用の表示灯であって、複数の発光素子を有する発光素子群を複数備え、前記複数の発光素子群の、各群内の複数の発光素子は、互いに、いずれかの発光素子が導通不可の状態になることによって、他の発光素子が導通不可の状態になる態様で電気的に接続される一方、前記複数の発光素子群は、互いに、いずれかの発光素子群が導通不可の状態になることによっては、他の発光素子群が導通不可の状態にならない態様で電気的に接続され、また、前記複数の発光素子群は、同一の発光素子群の発光素子同士が隣に並ばない配置で設けられることを特徴とする表示灯、である。
【0008】
この発明において、前記発光素子同士の隣に並ばない配置は、正面視で、縦方向、横方向、斜め方向又は周方向の少なくとも一方向において、隣に並ばない配置とすることができる。前記複数の発光素子群は、電気的には、並列に接続されるものとするか、又は、直列に接続されると共に、それぞれにバイパス回路が並列に接続されるものとすることができる。前記複数の発光素子群は、左右両側の位置に設けられる発光素子の方が他の位置に設けられる発光素子よりも数が多くなる配置で設けられるものとすることができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明においては、複数の発光素子群が同一の発光素子群の発光素子同士、隣に並ばない配置で設けられるものであることにより、いずれかの発光素子群の発光素子が故障等でまとまって消灯する場合でも、位置が分散した状態で消灯することになる。そのため、表示灯全体としての発光状態に偏りが生じるのを低減することができる。
【0010】
したがって、この発明によれば、一部の発光素子が消灯したとしても、全体の発光状態に偏りが生じるのを低減することができる表示灯が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】この発明の表示灯の実施形態を例示するものであり、複数の発光素子群の各発光素子の正面視の配置態様を模式的に示した説明図ある。
【
図2】一部の発光素子群の発光素子が消灯状態にある際の
図1に相当する図である。
【
図3】同上を例示するものであり、複数の発光素子群の電気的な接続態様を模式的に示した、(a)が複数の発光素子群が並列に接続されるものとする場合の説明図であり、(b)が複数の発光素子群が直列に接続されつつ、複数の発光素子群のそれぞれにバイパス回路が並列に接続されるものとする場合の説明図である。
【
図4】この発明の表示灯が設けられるトンネル用の消火栓箱を例示するものであり、消火栓箱全体の前面側を正面視で示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の表示灯の実施形態の一例について、
図1乃至3を参照しつつ説明する。なお、この発明の表示灯は、非常警報設備の表示灯、自動火災報知設備の表示灯、消火栓設備の表示灯等、各種防災設備の表示灯として用いることのできるものである。
【0013】
ここで、この発明を説明するのに用いている「前」、「後」、「縦」、「横」、「左」、「右」等の方向や位置を示す語は、表示灯設置時の状態における方向や位置か、図面上の位置や方向に従って用いているものである。
【0014】
[基本構成]
表示灯1は、例えば、
図4に示したようなトンネル用の消火栓設備の消火栓箱10の筐体前面に、発光表示部2が露出する状態で取り付けられて設けられる。なお、表示灯1は、図示は省略するが、発光表示部2の発光の光源となる複数の発光素子(後記で説明するLED素子等)等の電気部品等が収納される本体等も有する。
【0015】
[発光表示部]
発光表示部2は、透明の合成樹脂等の透光性材料によって形成され、点灯時、例えば赤色に発光する。発光表示部2としては、コーン型、フラット型、リング型等種々の形状のものを用いることができる。
【0016】
[複数の発光素子]
・LED素子
発光素子としては、LED素子が複数用いられる。複数のLED素子は、
図1及び2に示したように、LED素子基板3上に所定の配置で設けられる。
【0017】
・グループ分け
表示灯1は、複数のLED素子を有するLED素子群(発光素子群の一例)を複数備える。すなわち、複数のLED素子は、グループ分けされて用いられる。
【0018】
・同一グループ内のLED素子の分散配置
そして、複数のLED素子群は、同一グループ内のLED素子同士が隣に並ばない配置で設けられる。例えば、
図1及び2は、LED素子群をL1~L4の4つとし、それぞれがLED素子を3つずつ有するものとする場合を示したものであるが、LED素子全体の配置としては、縦方向と横方向に整列して並ぶ配置で設けられるものとしつつ、LED素子群L1~L4のそれぞれの配置としては、縦方向と横方向のいずれにおいても、同一グループ内のLED素子同士が隣に並ばない配置で設けられるものとしている。
【0019】
ここで、
図1及び2に示したものの場合、斜め方向においては一部、同一グループ内のLED素子同士が並ぶものとしているが、LED素子群の数等を考慮した上で、斜め方向においても全部、同一グループ内のLED素子同士が並ばない配置として、縦方向、横方向、斜め方向のいずれにおいても、同一グループ内のLED素子同士が並ばない配置としてもよい。逆に、縦方向、横方向、斜め方向のいずれか一方向において、同一グループ内のLED素子同士が並ばない配置としてもよい。
【0020】
なお、LED素子全体の配置としては、環状に並ぶ配置(環状かつ同心に並ぶ配置を含む)としてもよい。その場合、周方向において、同一グループ内のLED素子同士が並ばない配置とすることができる。
【0021】
・同一グループ内のLED素子の分散配置の利点
表示灯1においては、複数のLED素子群(例えば前記のLED1~4)が同一のグループ内のLED素子同士、隣に並ばない配置で設けられるものとしていることにより、いずれかのLED素子群のLED素子が故障等でまとまって消灯する場合でも、消灯するLED素子の位置が分散した状態で消灯することになる。そのため、表示灯全体としての発光状態に偏りが生じるのを低減することができる。
【0022】
例えば、
図2は、LED素子群L1~L4のうち、L1の群のLED素子が素子自体の故障や断線等でまとまって消灯(枠が破線の部分)した場合を示したものである。全部で3つのLED素子が並ぶ縦方向の列の点灯状態を見てみると、LED素子群L1のLED素子がすべて消灯したとしても、左側の端については、LED素子群L2、L3の2つのLED素子、すなわち、3つのうち2つのLED素子が点灯状態を維持しており、右側の端については、LED素子群L2、L3、L4の3つのLED素子、すなわち、3つのLED素子全部が点灯状態を維持している。
【0023】
仮に、消灯したLED素子群L1の3つのLED素子が左側の端に縦方向に隣り合って並んでいたとすると、左側の端のLED素子が全部消灯することになり、表示灯全体の発光状態として、左側の端が特に暗くなってしまい、明らかな偏りが生じることになる。しかしながら、
図2に示した例においては、前記の通り、消灯したLED素子のある左側の端でも、2つのLED素子が点灯状態を維持しており、ある程度の明るさを維持することができている。つまり、
図2は、表示灯1のように、複数のLED素子群が同一のグループ内のLED素子同士、隣に並ばない配置で設けられるものとすれば、一部のLED素子がまとまって消灯したとしても、表示灯全体としての発光状態に偏りが生じるのを低減することができることを示している。
【0024】
・トンネル用の消火栓箱等の表示灯として用いる場合の利点
表示灯1は、前記の通り、トンネル用の消火栓箱10の表示灯として用いることができる。トンネル用の消火栓箱の場合、車道脇(監査路上等)に設置されるものであり、それに用いられる表示灯は車道や監査路を通行する際に視認されることから、側方からの視認性が良い方が有利である。表示灯1においては、前記の通り、一部のLED素子がまとまって消灯したとしても、表示灯全体としての発光状態に偏りが生じるのを低減することができる。すなわち、側方からの視認性のみが特に悪くなるというようなことがない。つまり、表示灯1は、トンネル用の消火栓箱の表示灯として用いる場合に特に有用である。トンネル用の消火器箱の表示灯として用いる場合においても、これは同様である。
【0025】
[発光素子の回路構成の例示]
図3は、表示灯1における複数のLED素子群の電気的な接続態様を模式的に示したものである。(a)に示した通り、複数のLED素子群(LED×n)が並列に接続されるものとするか、或いは、(b)に示した通り、複数のLED素子群(LED×n)が直列に接続されつつ、それぞれに並列にバイパス回路(冗長回路)が接続されるものとすることができる。(a)、(b)の接続態様のいずれにおいても、複数のLED素子群(LED×n)のいずれかがLED素子自体の故障や断線等により導通不可の状態になったとしても、他のLED素子群(LED×n)の導通は維持される。すなわち、他のLED素子群(LED×n)のLED素子の点灯状態は維持される。
【0026】
ここで、(a)、(b)として示したものは、表示灯1の複数のLED素子群の電気的な接続態様を簡略化して示したものであり、各種素子の追加、省略、変更が可能なものである。例えば、(a)、(b)の接続態様のいずれにおいても、ヒューズは必須なものではなく、省略が可能なものである。また、(b)の接続態様において、バイパス回路中のバイパス用の素子として、ツェナーダイオードを示しているが、他の素子を用いるようにしてもよい。
【0027】
なお、複数のLED素子群は2以上からなり、数個から数十個設けられる。また、同じLED素子群に属するLED素子は、ひとまとめに導通されて点灯状態が維持される回路構成が基板に設けられるものである。複数のLED素子群がそれぞれ有するLED素子の接続態様については、図示は省略しているが、同一のグループ内における、それらLED素子は直列に接続される。
【0028】
[構成の変更例]
以上、この発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明したが、具体的な構成は、上記の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれるものである。
【0029】
例えば、LED基板3上のLED素子の数の配分として、左右両側の位置に設けられるLED素子の数の方が他の位置に設けられる発光素子の数よりも多くなるものとしてもよい。そのようにすることにより、表示灯1を左右両側の方が他の位置よりも明るく発光するものとすることができる。すなわち、表示灯1をトンネル用の消火栓箱等に用いられるものとする場合にさらに有用なものとすることができる。
【符号の説明】
【0030】
1:表示灯 2:発光表示部 3:LED素子基板 10:消火栓箱