(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-28
(45)【発行日】2025-03-10
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01D 41/12 20060101AFI20250303BHJP
A01F 12/46 20060101ALI20250303BHJP
A01D 67/02 20060101ALI20250303BHJP
【FI】
A01D41/12 R
A01F12/46
A01D67/02
(21)【出願番号】P 2021109332
(22)【出願日】2021-06-30
【審査請求日】2024-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】笹浦 寛之
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-056631(JP,A)
【文献】特開平10-028454(JP,A)
【文献】特開2007-056761(JP,A)
【文献】特開2016-192968(JP,A)
【文献】特開2011-036193(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0184811(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 41/12
A01F 12/46
A01D 67/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転部を覆うキャビンを備えたコンバインであって、
前記キャビンの後壁部に設けられ、コンデンサ
、および
外気を取り込むことで前記コンデンサに対して冷却風を送るコンデンサ用ファンを含む空調装置のコンデンサユニットと、
外気を取り込むための冷却装置用ファンを有し、
取り込んだ外気を冷却風として、走行機体に設けられたエンジンに供給される空気を冷却するための冷却装置と、を備え、
前記冷却装置は、
前記冷却装置用ファンの少なくとも一部を前記コンデンサ用ファンと同じ高さに位置させるとともに、前記冷却装置用ファン
の前記空気を冷却した後の風
の排出方向を
左右方向の内方として前記コンデンサ用ファンの前記コンデンサを冷却した後の風の排出方向と直交させ、前記コンデンサ用ファン
からの風
の排出先に対して前記冷却装置用ファンからの風が向かうように、前記走行機体の側方側に設けられている
ことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記走行機体の側面視で前記冷却装置に対して横並びとなる位置に、前記コンデンサに対する外気を取り込むための外気取入口を設けた
ことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記走行機体上に設けられた穀粒タンクを備え、
前記冷却装置は、前記キャビンと前記穀粒タンクとの間に配置されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記コンデンサ用ファンおよび前記冷却装置用ファンの回転を制御するコントローラを備え、
前記コンデンサ用ファンおよび前記冷却装置用ファンは、冷却風を送る回転方向を正転方向として逆回転可能に構成されており、
前記コントローラは、前記コンデンサ用ファンおよび前記冷却装置用ファンを、互いに同じタイミングかつ互いに同じ回転方向で回転するように制御する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記走行機体上に設けられた穀粒タンクと、
前記走行機体に対して回動可能に設けられ、前記穀粒タンク内の穀粒を外部へ排出するための穀粒排出装置と、を備え、
前記コントローラは、穀粒排出装置の回動状態に基づいて、前記コンデンサ用ファンおよび前記冷却装置用ファンを逆転させるタイミングを制御する
ことを特徴とする請求項4に記載のコンバイン。
【請求項6】
前記穀粒排出装置は、回動状態について前記穀粒排出装置の収納状態に対応した収納位置を有し、
前記コントローラは、前記穀粒排出装置が前記収納位置に達したことを検知したときに、あらかじめ設定された所定時間の間、前記コンデンサ用ファンおよび前記冷却装置用ファンを逆転させる
ことを特徴とする請求項5に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンに供給される空気を冷却するための冷却装置を備えたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインにおいては、エンジンに供給される空気を冷却するための冷却装置であるインタークーラを備えたものがある。インタークーラの配置等に関し、特許文献1には、次のような構成が開示されている。
【0003】
すなわち、エンジンの右側にインタークーラが配置され、インタークーラとエンジンとの間にインタークーラ用ファンが設けられている。また、エンジンの右前側にはラジエータが配置されており、ラジエータの左側には、ラジエータファンが設けられている。また、ラジエータとラジエータカバーの間には、機体左右内側から外側に向けて送風する排塵ファンが設けられている。
【0004】
インタークーラおよびラジエータそれぞれの左右外側(右側)は、外気吸入用の通気部分である濾過体を有するエンジンカバーおよびラジエータカバーにより被覆されており、両カバーは、機体の右側の側面部をなすように前後に隣り合って配置されている。
【0005】
そして、ラジエータカバーの濾過体から除去された藁屑等がインタークーラカバーの濾過体に付着することを防止してインタークーラの熱交換率を高めるべく、ラジエータファンの回転停止にともない、インタークーラ用ファンおよび排塵ファンを逆転させる構成が開示されている。
【0006】
特許文献1に開示されたキャビンの構成によれば、インタークーラとラジエータが右側面視で前後に隣り合うように配置されているため、インタークーラおよびラジエータを被覆するカバー構造が大型化しやすく、機体のコンパクト化が難しいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、エンジンに供給される空気を冷却するための冷却装置の冷却作用を向上することができるとともに、機体をコンパクトにすることができるコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るコンバインは、運転部を覆うキャビンを備えたコンバインであって、前記キャビンの後壁部に設けられ、コンデンサおよびコンデンサ用ファンを含む空調装置のコンデンサユニットと、冷却装置用ファンを有し、走行機体に設けられたエンジンに供給される空気を冷却するための冷却装置と、を備え、前記冷却装置は、前記冷却装置用ファンによる冷却風を、前記コンデンサ用ファンによる冷却風に合流させるように、前記走行機体の側方側に設けられているものである。
【0010】
本発明の他の態様に係るコンバインは、前記コンバインにおいて、前記走行機体の側面視で前記冷却装置に対して横並びとなる位置に、前記コンデンサに対する外気を取り込むための外気取入口を設けたものである。
【0011】
本発明の他の態様に係るコンバインは、前記コンバインにおいて、前記走行機体上に設けられた穀粒タンクを備え、前記冷却装置は、前記キャビンと前記穀粒タンクとの間に配置されているものである。
【0012】
本発明の他の態様に係るコンバインは、前記コンバインにおいて、前記コンデンサ用ファンおよび前記冷却装置用ファンの回転を制御するコントローラを備え、前記コンデンサ用ファンおよび前記冷却装置用ファンは、冷却風を送る回転方向を正転方向として逆回転可能に構成されており、前記コントローラは、前記コンデンサ用ファンおよび前記冷却装置用ファンを、互いに同じタイミングかつ互いに同じ回転方向で回転するように制御するものである。
【0013】
本発明の他の態様に係るコンバインは、前記コンバインにおいて、前記走行機体上に設けられた穀粒タンクと、前記走行機体に対して回動可能に設けられ、前記穀粒タンク内の穀粒を外部へ排出するための穀粒排出装置と、を備え、前記コントローラは、穀粒排出装置の回動状態に基づいて、前記コンデンサ用ファンおよび前記冷却装置用ファンを逆転させるタイミングを制御するものである。
【0014】
本発明の他の態様に係るコンバインは、前記コンバインにおいて、前記穀粒排出装置は、回動状態について前記穀粒排出装置の収納状態に対応した収納位置を有し、前記コントローラは、前記穀粒排出装置が前記収納位置に達したことを検知したときに、あらかじめ設定された所定時間の間、前記コンデンサ用ファンおよび前記冷却装置用ファンを逆転させるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、エンジンに供給される空気を冷却するための冷却装置の冷却作用を向上することができるとともに、機体をコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係るコンバインの左側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るコンバインの右側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るコンバインの平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るキャビンおよび外気導入カバーを示す右側面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るキャビンの左側面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るキャビンの右側面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るキャビンの背面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るキャビンの右後方斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るキャビンの右側面断面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係るキャビンのルーフ部の内部を模式的に示す平面図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係るコンデンサユニットの配置構成、エアコンユニットの構成およびインタークーラの配置構成を示す模式図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る走行機体の前部に搭載された装置構成を示す右後方斜視図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る走行機体の前部に搭載された装置構成を示す左前方斜視図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る走行機体の前部に搭載された装置構成を示す右側面図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係る支持フレームおよび連結フレームの構成を示す後方斜視図である。
【
図16】本発明の一実施形態に係るインタークーラの支持構成を示す左側面図である。
【
図17】本発明の一実施形態に係るインタークーラの支持構成を示す部分拡大斜視図である。
【
図18】本発明の一実施形態に係るコンデンサ用冷却ファンおよび冷却装置用ファンの制御構成を示すブロック図である。
【
図19】本発明の一実施形態に係るコンデンサ用冷却ファンおよび冷却装置用ファンの制御態様の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、運転部を覆うキャビンを備えたコンバインにおいて、キャビンの後壁部に設けられたコンデンサユニットとの関係で、エンジンに供給される空気を冷却するための冷却装置(インタークーラ)の配置等を工夫することにより、冷却装置の冷却作用の向上や機体のコンパクト化を図ろうとするものである。以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
まず、
図1から
図4を用いて、本実施形態に係るコンバイン1の全体構成について説明する。なお、以下の説明では、コンバイン1の前方に向かって左側および右側を、それぞれコンバイン1における左側および右側とする。
【0019】
図1から
図3に示すように、コンバイン1は、左右一対のクローラ部3,3を有するクローラ式の走行装置として構成された走行部2と、走行部2により支持された走行機体4とを備える。コンバイン1は、刈取部5と、脱穀部6と、穀粒タンク7と、選別部8と、排出オーガ9と、排藁処理部10とを備える。
【0020】
走行部2を構成する各クローラ部3は、走行機体4の下方において前後方向に延設されたトラックフレーム3aと、トラックフレーム3aに支持された各種回転体と、これらの回転体に巻回された履帯3bとを有する。クローラ部3は、トラックフレーム3aに支持された回転体として、トラックフレーム3aの前端部に支持された駆動スプロケット3c等を含む。クローラ部3は、駆動スプロケット3cにおいて、走行機体4上に搭載された駆動源としてのエンジン11の動力の伝達を受けて駆動する。
【0021】
刈取部5は、圃場の穀稈を刈り取りながら取り込むための装置構成であり、走行機体4の前部に設けられている。刈取部5は、走行機体4の前側において、コンバイン1の機体幅の略全体にわたって設けられている。刈取部5は、走行機体4に対して、昇降用の油圧シリンダを介して所定の軸回りに回動可能に装着されており、油圧シリンダの伸縮動作による回動動作によって昇降調節可能に設けられている。
【0022】
刈取部5は、刈取フレームとしての刈取支持機枠5aを有し、この刈取支持機枠5aに、分草体5b、引起装置5c、刈刃装置5e、および穀稈搬送装置5fを支持させて構成されている。刈取部5は、分草体5bにより圃場の穀稈を分草し、分草した穀稈を引起装置5cにより引き起し、引き起した穀稈を穀稈搬送装置5fにより後側へ搬送しつつ刈刃装置5eにより切断して刈り取る。刈取部5が有する各装置は、コンバイン1が備えるエンジン11から動力が伝達されることで作動する。
【0023】
走行機体4上には、刈取部5により刈り取られた穀稈を脱穀処理する脱穀部6と、脱穀部6から取り出された穀粒を貯留する穀粒貯留部としての穀粒タンク7とが、横並び状に設けられている。脱穀部6は機体左側に、穀粒タンク7は機体右側にそれぞれ配置されている。
【0024】
脱穀部6は、前後方向を回転軸方向とする扱胴6aおよび処理胴(図示略)と、扱胴6aの左方に設けられた穀稈供給装置とを有する。穀稈供給装置は、穀稈の株元を挟持して穂先を扱胴6a側とした横臥姿勢で穀稈を後方へ搬送する。穀稈供給装置は、左右方向を回転軸方向とする複数のスプロケットに巻回されたフィードチェンと、フィードチェンと協働して穀稈の株元を挟扼する穀稈供給挟扼体(図示略)とを有する。
【0025】
走行機体4上における脱穀部6の下方には、脱穀部6により脱穀処理された処理物を選別処理する選別部8が設けられている。選別部8は、揺動選別装置8aと、図示せぬ風選別装置および穀粒搬送装置を有する。選別部8は、脱穀部6から落下してきた処理物を揺動選別装置8aにより揺動選別し、揺動選別後の処理物を風選別装置により風選別する。選別部8は、風選別後の処理物のうち、穀粒を穀粒搬送装置により穀粒タンク7に向けて右方へ搬送し、藁屑や塵埃などを風選別装置により後方へ飛ばして機体の外部に排出する。穀粒搬送装置により穀粒タンク7に向けて搬送された穀粒は、穀粒タンク7に貯留される。
【0026】
走行機体4上の右側後端部には、穀粒タンク7内の穀粒を外部へ排出する排出オーガ9が、走行機体4の右後側に設けられた縦取出しコンベア9bを介して旋回可能に設けられている。また、排出オーガ9は、その基部を中心として上下昇降回動可能に設けられている。
【0027】
排出オーガ9は、走行機体4の右後側の縦取出しコンベア9bから左前方に水平状に延伸した状態を収納状態としている。排出オーガ9は、収納状態において、平面視で、先端部を刈取部5の左側の部分に位置させ、機体の対角線に沿うように延伸している(
図3参照)。排出オーガ9は、オーガ受け部としてのオーガレスト27に載置支持されることで収納状態となる。
【0028】
オーガレスト27は、キャビン30の後部の左方において所定の支持部材により支持された状態で設けられている。オーガレスト27は、円筒状の排出オーガ9を位置決めした状態で収納支持するように上側を開放側とした凹形状を有し、排出オーガ9の延伸方向の中間部における所定の部位を下側から支持する。
【0029】
穀粒タンク7に貯留されている穀粒は、スクリューコンベアを内装した排出オーガ9により搬送され、排出オーガ9の先端部に設けられた排出口9aから排出される。排出口9aから排出された穀粒は、トラックの荷台やコンテナ等に投入される。
【0030】
このように、コンバイン1は、走行機体4上に設けられた穀粒タンク7と、走行機体4に対して回動可能に設けられ、穀粒タンク7内の穀粒を外部へ排出するための穀粒排出装置としての排出オーガ9とを備えている。
【0031】
一方、走行機体4上において、脱穀部6の後方には、脱穀部6による脱穀処理後の排藁を処理する排藁処理部10が設けられている。排藁処理部10は、排藁搬送装置10aと、排藁切断装置10bとを有する。排藁搬送装置10aは、脱穀部6により脱穀済みの穀稈(排稈)を後方に搬送して機体の外部に排出するかあるいは排藁切断装置10bに搬送する。排藁切断装置10bは、排藁搬送装置10aから搬送された排稈を切断して機体の外部に排出する。
【0032】
また、走行機体4上において、刈取部5の右方であって穀粒タンク7の前方には、キャビン30により覆われた運転部12が設けられている。つまり、運転部12は、走行機体4の前部の上方においてキャビン30内に設けられている。
図9に示すように、運転部12の前部には、操向操作部としてのハンドル18が設けられており、ハンドル18の後方に、運転席19が設けられている。また、運転席19の左側方には、主変速レバー21や副変速レバー22等の各種操作具等をサイドコラム23に配設した側方操作部20が設けられている。
【0033】
運転部12の後下方には、エンジンルーム13内に設置されたエンジン11を含む原動機部が設けられている。エンジン11の動力は、変速装置等を介して、走行部2、刈取部5、脱穀部6、選別部8、排出オーガ9、排藁処理部10等、コンバイン1が備える各部の各種装置に伝達される。エンジン11は、ディーゼルエンジンである。
【0034】
エンジンルーム13内において、エンジン11の右側方には、ラジエータ14が配置されている(
図3参照)。ラジエータ14は、エンジン11の冷却水の循環経路の途中に設けられており、エンジン11から送られてきた冷却水を、外気との間の熱交換によって冷却する。ラジエータ14により冷却された冷却水は、エンジン11に戻される。ラジエータ14は、矩形板状の外形を有し、左右方向を厚さ方向とする向きで立設されている。
【0035】
走行機体4は、トラックフレーム3a上において前後方向または左右方向に配されたフレーム部材や板状部材等によって水平状に構成された機台部25を有する。前後方向について、機台部25の後側は、クローラ部3の後端から後側に延出している。
【0036】
機台部25上に、エンジン11並びに脱穀部6および穀粒タンク7が設けられている。エンジン11は、出力軸の軸方向を左右方向とする向きで、機台部25の前部の右側寄りの位置に搭載されている。つまり、エンジン11は、走行機体4の前部の右側に配置されている。機台部25上におけるエンジン11よりも後側の部分に、脱穀部6および穀粒タンク7が設けられている。また、機台部25の前側における左右のクローラ部3の間には、ミッションケース26が配置されている(
図13参照)。エンジン11の動力は、ミッションケース26を介して左右のクローラ部3に伝達される。
【0037】
図2および
図4に示すように、エンジン11の右側方には、エンジンルーム13の右側を覆うエンジンカバーとしての外気導入カバー15が設けられている。外気導入カバー15の内側に、ラジエータ14が位置している。つまり、エンジン11と外気導入カバー15との間に、ラジエータ14が配置されている。外気導入カバー15から取り込まれた外気は、ラジエータ14における熱交換に用いられる。
【0038】
外気導入カバー15は、コンバイン1の右側において、キャビン30と穀粒タンク7との間に設けられている。外気導入カバー15は、穀粒タンク7の右側の側面部と面一状をなすように設けられている。
【0039】
外気導入カバー15の後縁部は、側面視で鉛直方向に沿うように直線状に形成されている。外気導入カバー15は、その後縁部に沿うように走行機体4上に立設された図示せぬ支柱に対して、図示せぬヒンジ部を介して上下方向を回動軸方向として回動可能に支持されている。外気導入カバー15は、支柱に対する後側の回動支持部により、前側から開くように開閉可能に設けられている。
【0040】
外気導入カバー15が閉じた状態において、エンジン11およびラジエータ14の機外側となる右側が外気導入カバー15により覆われ、エンジンルーム13が右側から閉じられた状態となる。外気導入カバー15が開くことにより、エンジンルーム13の右側が開放された状態となる。
【0041】
外気導入カバー15には、ロータリスクリーン16が設けられている。ロータリスクリーン16は、エンジンルーム13内に、エンジン11に対する冷却風として外気を取り込むための構成である。ロータリスクリーン16は、外気導入カバー15に形成された円形状の開口部16aの中心部に位置する回転支持部により回転可能に支持されており、図示せぬモータの駆動によって回転するように構成されている。
【0042】
ロータリスクリーン16は、円形状の開口部16aに、メッシュ状の防塵網16bを張設した構成を有する。防塵網16bにより、塵や埃や藁等が捕集され、塵等が外気とともにエンジンルーム13内に侵入することが防がれる。防塵網16bにより捕集された塵等は、ロータリスクリーン16の外側に設けられた吸引装置17によって除去される。吸引装置17は、防塵網16bに付着した塵等を吸引して機外に排出するように構成されている。
【0043】
また、外気導入カバー15の上側には、上カバー部24が設けられている。上カバー部24は、板状のカバー部分であり、外気導入カバー15と面一状の右側面部をなすように設けられている。上カバー部24は、所定のフレーム部分等に対して固定された状態で設けられている。
【0044】
以上のように、コンバイン1は、運転部12を覆うキャビン30と、キャビン30の後下側に設けられたエンジン11と、エンジン11の側方に配置された外気導入カバー15とを備える。
【0045】
図4から
図9を用いて、キャビン30の構成について説明する。キャビン30は、前面部31、後壁部32、左側壁部33、右側壁部34、天井部をなすルーフ部35、および床部36を有し、これらの部分により全体として略箱状に構成されている。
【0046】
キャビン30の前面部31は、その上側の過半部分を構成する前傾状の前上面部31aと、前面部31の略下半部を構成する前下がりの傾斜状の前下面部31bとを有し、全体として側面視で後側に凹の屈曲形状を有する。前上面部31aは、ガラスやアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等からなる矩形状の透明板により、全体的に透明な窓部として形成されている。前下面部31bは、鋼板等の金属製の部材により構成されている。
【0047】
キャビン30の左側壁部33は、キャビン30の左側面部をなす部分であり、下側の部分を、鋼板等により構成された板金製の部分である下部側面部41としている(
図5参照)。左側壁部33において、下部側面部41の上側には、左側壁部33の前後方向の中間部に位置し上下方向に沿う直線状の左支柱部42が設けられている。
【0048】
左側壁部33において、左支柱部42の後側には、矩形状の左後窓部43が設けられている。左後窓部43は、下部側面部41の上側の部分において、左支柱部42を前側の辺部とする枠状の窓枠部44に対し、矩形状のガラス等の透明板45を取り付けることにより構成されている。左側壁部33において、左支柱部42の前側には、左前窓部48が設けられている。左前窓部48は、略逆台形状を有し、前側の辺部を、前面部31の前上面部31aの前傾状の傾斜に沿わせている。
【0049】
キャビン30の右側壁部34は、右側壁部34の前部に立設された右前支柱部49と、右側壁部34の後部に立設された右後支柱部50とを有する。右前支柱部49は、下部49aを、前面部31の前下面部31bの側面視での傾斜に沿わせ、上部49bを、上下方向に延伸させている。右前支柱部49は、床部36の右前の位置に立設され、右側壁部34の上下方向の略全体にわたって設けられている。
【0050】
右後支柱部50は、右前支柱部49において上下方向に延伸した上部49bに対し、略同じ高さ位置で平行状となるように設けられている。右後支柱部50は、側面視で前下りの傾斜状に設けられた後壁部32の右側の縁部の前後中間部の位置に立設されている。右前支柱部49と右後支柱部50との間に、右側壁部34の大部分をなす乗降用の開閉扉であるドア51が設けられている。
【0051】
ドア51は、右後支柱部50に対して上下2箇所に設けられた支持部52により上下方向を回動軸方向として回動可能に支持されている。ドア51は、閉じた状態から、キャビン30内に作業者が乗降できるように前側から外方に開いた状態となる。
【0052】
ドア51の上部は、開閉可能な窓部56となっている。ドア51の下部の略全体は、ガラス等の透明板57により形成されている。ドア51は、下部の前側の縁部を、側面視で右前支柱部49の下部49aの傾斜に沿わせ、下部の後側の縁部を、側面視で後壁部32の前下りの傾斜に沿わせた形状を有する。ドア51の下部の前部には、取手58が設けられている。
【0053】
このように、本実施形態では、右側壁部34が、キャビン30の乗降用のドア51が設けられたキャビン30の側壁部となっている。また、右側壁部34は、キャビン30の左右の側壁部のうち、外気導入カバー15が位置する側の側壁部である。
【0054】
また、右側壁部34において、ドア51の上部の前側には、右前窓部59が設けられている。右前窓部59は、略逆三角形状を有し、前側の辺部を、前面部31の前上面部31aの前傾状の傾斜に沿わせている。
【0055】
キャビン30のルーフ部35は、平面視で前後方向を長手方向とする略矩形状をなす。ルーフ部35は、前側の縁端部を、前面部31の上端部に対して前側に庇状に突出させており、後側の縁端部を、後壁部32の上端部に対して後側に庇状に突出させている。
【0056】
キャビン30の床部36は、運転席19の前下方において、水平面状の床面部63を形成している(
図9参照)。床面部63の後側に、前下がりの傾斜面部64を介して、略水平状の座席支持面部65が設けられている。座席支持面部65上に、運転席19が設置されている。
【0057】
以上のような構成を備えたコンバイン1において、キャビン30の後側の位置でコンバイン1の右側面部の一部をなすように設けられた外気導入カバー15は、側面視で、前側の部分をキャビン30に対して後側から傾斜状に突き合わせた態様で設けられている。すなわち、概略的には、右側面視において、外気導入カバー15およびキャビン30は、前下がりの傾斜状の境界線A1(
図4参照)をなすように、上下に重なり合った部分を有する。
【0058】
キャビン30の後壁部32は、側面視で後傾形状を有する。すなわち、後壁部32は、全体として、前側から後側にかけて下側から上側に向かうように、前下がり(後上がり)の傾斜面部として設けられており、側面視で後傾状をなしている。
図9に示すように、後壁部32は、座席支持面部65の後側から後斜め上方に向けて立ち上がり、ルーフ部35につながる上端部を、ルーフ部35の後端部近傍の部位に位置させている。
【0059】
また、ドア51が設けられたキャビン30の右側壁部34は、側面視で、後側の縁部を後傾状としている。本実施形態では、右側壁部34は、側面視で、後側の縁部を、キャビン30のルーフ部35の後縁部の近傍に上端を位置させるように後傾状としている。
【0060】
図6に示すように、右側壁部34の大部分をなすドア51において、透明板57により形成された下部の後側の縁部51bは、側面視で前下がりに傾斜した直線に沿うように傾斜状に形成されている。また、右側壁部34の後縁部は、側面視において、ドア51の縁部51bを上側に延長させた態様で傾斜状に形成されている。
【0061】
このように後側の縁部を後傾状とした右側壁部34に対し、キャビン30の後壁部32は、右側壁部34の後側の縁部の側面視における後傾状に沿うように側面視で後傾状をなしている。つまり、後壁部32は、右側壁部34の後端部に沿うように形成されている。
【0062】
また、外気導入カバー15は、側面視で前側の部分を後壁部32の下側に位置させるように設けられている。すなわち、右側面視において、キャビン30に対して下側に位置する外気導入カバー15の前部と、キャビン30の後部とは、互いにオーバーラップした部分となっている。
【0063】
外気導入カバー15は、前側の縁部の上部をなす傾斜辺部15aを有し、右側面視において、傾斜辺部15aを、キャビン30の右側壁部34の後側の縁部に後側から突き合わせた状態で設けられており、キャビン30との間に、境界線A1に沿う境界部67をなしている(
図4参照)。外気導入カバー15は、側面視で傾斜辺部15aと後壁部32が沿うように配置されている。
【0064】
キャビン30の右側壁部34において、後傾状の後縁部の上部をなす部分に、透過窓70が設けられている。透過窓70は、下側を頂点側とした三角形状を有する三角窓として構成されており、右側壁部34において、右後支柱部50よりも後側の部分の略全体を占めるように設けられている。
【0065】
図11に示すように、キャビン30は、キャビン30の室内に対する冷暖房運転を行う空調装置80を備える。空調装置80は、運転部12に設けられた空調操作部によって操作される。空調操作部は、例えば、空調装置80をオン・オフさせるためのスイッチや、設定温度を調節するためのダイヤル等を含む。
【0066】
空調装置80は、いわゆる室外機としてのコンデンサユニット81と、いわゆる室内機としてのエアコンユニット82とを備える。コンデンサユニット81は、キャビン30の背面側となる後壁部32に設けられている。エアコンユニット82は、キャビン30のルーフ部35内に設けられている。
【0067】
コンデンサユニット81は、コンデンサ83と、コンデンサ83に対して熱交換用の空気を送る冷却ファンであるコンデンサ用ファン84とを有する。コンデンサ83は、例えば多段の折返し状に配された冷媒流通用のパイプを含んで構成されている。
【0068】
図11に示すように、コンデンサ用ファン84は、ファン本体85と、ファン本体85を駆動させる駆動源としての電動式のファンモータ86とを有する電動ファンである。ファン本体85の回転軸に、ファンモータ86の駆動軸が連結されている。コンデンサ用ファン84は、ファンモータ86の駆動力により、ファン本体85を正回転方向と逆回転方向のいずれにも回転させることができるように構成されている。
【0069】
コンデンサユニット81は、概略的に略正方形状を有する厚板状の外形をなすように構成されており、キャビン30の後壁部32において、前後方向を板厚方向として鉛直状に配置されている。コンデンサユニット81においては、前側にコンデンサ83が配置され、コンデンサ83の後側に重なるようにコンデンサ用ファン84が付設されている。コンデンサユニット81は、コンデンサ83の前側の部分を、キャビン30の後壁部32に埋め込ませた態様で設けられている。
【0070】
このように、コンバイン1は、キャビン30の後側に配置された空調装置80のコンデンサ83を備える。コンデンサ83は、キャビン30の後壁部32の下側に配置されている。すなわち、コンデンサ83は、後壁部32において、上下方向について下側寄りの位置に設けられており、後壁部32の下方に配置されている。
【0071】
キャビン30の後壁部32において、コンデンサユニット81の配設部位の上側の部分は、側面視で境界部67の傾斜に沿う上側斜面部32aとなっている。上側斜面部32aは、後面視で横長の矩形状をなす面部であって、キャビン30の後側の上部において後上がりの背面部をなしている。コンデンサユニット81は、左右方向については、後壁部32の中間部に位置するように設けられている。
【0072】
キャビン30の後壁部32において、コンデンサ83の上側の上側斜面部32aには、横長の矩形状の後窓部90が設けられている。後窓部90は、キャビン30の内部に対して後方に臨むように設けられており、透明部分として外部を視認可能としている。
【0073】
エアコンユニット82は、エバポレータやヒータ等を含む熱交換器95と、熱交換器95に空気を送風する送風ファン96とを有する。熱交換器95および送風ファン96は、互いに連通した状態で設けられている。熱交換器95および送風ファン96は、ルーフ部35内の後部において、送風ファン96を左側、熱交換器95を右側として左右横並びに配置されている。エアコンユニット82は、ルーフ部35内においてコンデンサユニット81の上方の位置に設けられている。
【0074】
ルーフ部35は、扁平状の外形を有するとともに中空状に構成されている。ルーフ部35は、ルーフ部35の本体部分を構成するフレーム部分である下側パネル部97と、下側パネル部97の上側に設けられキャビン30の上面部をなす上側パネル部98とを有し、これらのパネル部により中空部を形成している。上側パネル部98は、下側パネル部97を全体的に上側および左右両側から被覆するように設けられたカバー部分である。下側パネル部97の後部には、下側に突出した凹形状部97dが形成されており、凹形状部97dにより、ルーフ部35の中空部の後部に、エアコンユニット82を収容するエアコン収容部99が設けられている。
【0075】
図11に示すように、コンデンサ83と熱交換器95との間には、冷媒供給流路101および冷媒戻し流路102が設けられている。冷媒供給流路101は、一端側を、コンデンサ83における冷媒流通用のパイプの一端側に連通接続させており、他端側を、熱交換器95内の冷媒流路の一端側に連通接続させている。冷媒戻し流路102は、一端側を、コンデンサ83における冷媒流通用のパイプの他端側に連通接続させており、他端側を、熱交換器95内の冷媒流路の他端側に連通接続させている。これらの流路は、ホース等の配管部材や接続金具等により構成されている。
【0076】
冷媒供給流路101には、冷媒濾過・乾燥用のレシーバ103が設けられている。冷媒戻し流路102には、コンプレッサ104が設けられている。コンプレッサ104は、エンジン11に連結されており、エンジン11の動力の伝達を受けて駆動する。
【0077】
図10に示すように、ルーフ部35内において、エアコンユニット82の前側には、エアコンユニット82で得られた空調用の空気をキャビン30の室内に送付するための送風ダクト105が設けられている。空調用の空気としては、熱交換器95のエバポレータにより生起される冷気等が、コンプレッサ104により送風ダクト105内を圧送され、キャビン30の室内に対して設けられた吹出口106から吹き出す。送風ダクト105は、後側の基部から左右の分岐ダクト部105aに二股状に分岐し、各分岐ダクト部105aは、ルーフ部35の前部の下側に設けられた吹出口106に連通している。
【0078】
図6に示すように、側面視で透過窓70の下方の位置に、コンデンサ83に対する外気を取り込むための外気取入口110が設けられている。外気取入口110は、キャビン30の後壁部32において、コンデンサ83の前側が臨むように形成された外気流通空間部111を右側に開口させた部分である。外気流通空間部111は、キャビン30の右側方から外気を流通させる空間部分である。
【0079】
外気流通空間部111は、キャビン30の後壁部32において上下中間部に形成されている。外気流通空間部111は、後壁部32においてキャビン30の室内側の部分を形成する略鉛直状の前側壁部112と、前側壁部112の後側において前側壁部112に対して平行状に設けられた後側壁部113と、左右の側面部および底面部とによって形成された扁平状の空間部分である。
【0080】
外気流通空間部111は、上部の前側の部分を、右側面視で境界線A1が沿う仮想平面よりも前側に位置させている。コンデンサ83は、外気流通空間部111を形成する後側壁部113を貫通するように設けられており、前側の部分を外気流通空間部111内に位置させている。後側壁部113には、コンデンサ83を取り付けるための開口部が形成されている。
【0081】
外気取入口110は、外気流通空間部111の右側面部114において、下半部を全体的に開口させるように縦長の開口部分として設けられている。外気取入口110の右方には、外気導入カバー15が位置している(
図4参照)。
【0082】
そして、側面視で外気導入カバー15に重なる位置に、外気取入口110が設けられている。すなわち、右側面視において、外気取入口110の全体または略全体は、外気導入カバー15により覆われている。本実施形態では、側面視で外気導入カバー15の上部に重なる位置に、外気取入口110が設けられている。具体的には、右側面視において、外気導入カバー15の前上側の角部分の近傍に、外気取入口110が位置している。
【0083】
外気取入口110の周囲における後側および下側には、外気取入口110から外側(右側)にかけて拡開した態様のガイド面部115が設けられている。なお、外気取入口110には、網状部材等の防塵用の部材が取り付けられてもよい。
【0084】
このような構成において、
図11に示すように、正回転するコンデンサ用ファン84の吸引力により、外気取入口110から外気が外気流通空間部111内に取り込まれる(矢印C1参照)。外気流通空間部111内に取り込まれた外気は、コンデンサ83において熱交換しながらコンデンサ83を通過し、キャビン30の後方に排気として排出される(矢印C2参照)。
【0085】
一方、コンデンサ用ファン84が逆回転することにより、外気がコンデンサ用ファン84からコンデンサ83を通過して外気流通空間部111内に取り込まれる(矢印C3参照)。外気流通空間部111内に取り込まれた外気は、外気取入口110から外部に排出される(矢印C4参照)。
【0086】
また、ルーフ部35の下方には、エアコンユニット82に外気を取り込むための外気導入部である外気導入ダクト120が設けられている。外気導入ダクト120は、エアコンユニット82に外気を取り込むための外気導入路を構成している。この外気導入路は、キャビン30の外側における外気を、エアコンユニット82の設置スペースであるルーフ部35内のエアコン収容部99へと取り込むための空気の流路である。
【0087】
図8に示すように、外気導入ダクト120は、キャビン30の後左側の角部において、上下方向に沿った管路形成部として設けられており、上下方向に延伸した外気導入路を形成している。外気導入ダクト120は、平面断面視で前後方向を長手方向とした略矩形状をなすように略四角筒状の外形を有する。
【0088】
外気導入ダクト120は、キャビン30の左側壁部33の後側において、左側壁部33と面一状の側面部をなすように、かつ、後壁部32に対しては後側に突出した態様で設けられている。外気導入ダクト120は、外気導入路の上流側となる下側を、キャビン30の外部に開口させている。また、外気導入ダクト120は、外気導入路の下流側となる上側を、ルーフ部35内におけるエアコン収容部99内に対して、開閉可能なシャッター部125を介して連通可能としている(
図10参照)。
【0089】
シャッター部125は、
図10に示すように、下側パネル部97の周壁部に形成された開口部を開閉する板状のシャッター本体160を有する。シャッター本体160は、下側パネル部97の下面部に固定された取付板162に対して前後のヒンジ部163により前後方向を回動軸方向として回動可能に支持されている。取付板162の後側には、シャッター本体160を開閉動作させるためのモータ165が取り付けられている。モータ165の駆動軸は、操作アーム167を介してシャッター本体160に連結されている。モータ165の駆動により操作アーム167がシャッター本体160を押し引きするように移動し、シャッター本体160の開閉動作が行われる。
【0090】
エアコンユニット82は、シャッター部125の開閉により、運転モードとして、外気導入ダクト120により外気を導入させる外気導入のモードと、キャビン30内の内気を循環させる内気循環のモードとが切り替えられるように構成されている。内気循環のモードに関し、エアコンユニット82の前方には、キャビン30の内気が流入する内気流入口123が設けられている(
図9参照)。
【0091】
外気導入ダクト120は、外気導入口として、外気を取り入れるための吸気口138を有する。吸気口138は、外気導入ダクト120の右側面部の下端部に形成されている。吸気口138は、外気導入ダクト120の外気導入路を外部に臨んで開口させている。外気導入ダクト120の内部には、空気清浄用のフィルタ(図示略)が設けられている。外気導入ダクト120の左側面部には、フィルタ等のメンテナンス用の開閉可能な窓口部180が設けられている。
【0092】
このような構成において、シャッター部125が閉状態から開状態となることで、外気が外気導入ダクト120からエアコン収容部99内に流入し、エアコンユニット82は、外気導入のモードに切り替わる。一方、シャッター部125が開状態から閉状態となることで、内気流入口123からキャビン30内の内気がエアコン収容部99内に流入し、エアコンユニット82は内気循環のモードに切り替わる。シャッター部125の開閉は、運転部12に設けられたボタンやスイッチ等の操作具を有する所定の操作部の操作によって切り替えられる。
【0093】
図12から
図14に示すように、コンバイン1は、エンジン11からの排気ガスを浄化するための排気ガス浄化装置330を備えている。排気ガス浄化装置330は、DPFケース331とSCRケース332とを有し、これらのケースにエンジン11からの排気ガスを導入して、排気ガス中に含まれる煤等の粒子状物質や窒素酸化物(NOx)等を除去することで、排気ガスを浄化する。
【0094】
DPFケース331は、エンジン11の排気ガス中の粒子状物質を除去するディーゼルパティキュレートフィルタケースである。SCRケース332は、尿素を用いた選択触媒還元(SCR)のシステムをなし、エンジン11の排気ガス中の窒素酸化物質を除去するケースである。
【0095】
DPFケース331は、ケース内に設けられたディーゼル酸化触媒およびスートフィルタを有する。ディーゼル酸化触媒は、二酸化窒素(NO2)を生成する白金等の酸化触媒である。スートフィルタは、捕集した粒子状物質を比較的低温で連続的に酸化除去するハニカム構造のフィルタである。SCRケース332は、ケース内に設けられたSCR触媒および酸化触媒を有する。SCR触媒は、尿素選択触媒還元用の触媒である。
【0096】
DPFケース331およびSCRケース332は、いずれも略円筒状のケースとして構成されており、互いに同程度の大きさを有する。DPFケース331およびSCRケース332それぞれにおいて、略円筒状の外形における長手方向(筒軸方向)が、ケース内における排気ガスの流れの方向となる。DPFケース331およびSCRケース332は、略円筒状の外形における長手方向を前後方向とする向きで設けられており、DPFケース331を下側、SCRケース332を上側として上下に縦並びに配置されている。
【0097】
上下方向について、排気ガス浄化装置330は、エンジン11の本体部分の上方に、DPFケース331およびSCRケース332を位置させるように設けられている。前後方向についての排気ガス浄化装置330の配置位置は、キャビン30の後壁部32の直後方の位置となる(
図1、
図2参照)。左右方向についての排気ガス浄化装置330の配置位置は、走行機体4の略左右中央部の位置であり、脱穀部6と穀粒タンク7との間の位置となっている(
図3参照)。また、排気ガス浄化装置330は、キャビン30のルーフ部35よりも下側の位置であって、キャビン30の左後側に配置されている(
図1、
図3参照)。
【0098】
以上のような排気ガス浄化装置330の配置構成により、DPFケース331およびSCRケース332は、エンジン11の上方に配置された運転部12の後方、かつ脱穀部6の左右内側である右側に、長手方向を前後方向とする向きで上下に並んだ状態で配置されている。
【0099】
エンジン11の上部の前側において、排気ガスの出口部を構成する排気マニホールドには、過給機340が設けられている(
図13参照)。過給機340は、互いに同軸駆動される排気タービンおよびコンプレッサを有し、エンジン11に強制的に空気を送り込む。過給機340の排気ガスの出口側に、エンジン11からの排気ガスをDPFケース331内に導入する排気管341の一端側(上流側)が連通接続されている。排気管341の他端側(下流側)は、DPFケース331の前部の下側に設けられた排気ガス導入口に連通接続されている。
【0100】
DPFケース331の後面部から、DPFケース331内の排気ガスを排出するDPF出口管342が延出している。DPF出口管342は、DPFケース331の後面部から左上方に延出されてから前側に向かうように折り返し状に配されている。SCRケース332の前部の左下側に設けられた排気ガス導入口に、後側に向かうように配されたエルボ状のSCR入口管343の下流側が連通接続されている。
【0101】
DPF出口管342の下流側とSCR入口管343の上流側とは、前後方向に対向しており、DPF出口管342とSCR入口管343との間に、これらの管同士を連通接続させる尿素混合管(図示略)が設けられている。DPFケース331から後側に排出される排気ガスは、DPF出口管342により流れを前側へと折り返し、尿素混合管およびSCR入口管343を経てSCRケース332内に導入される。
【0102】
SCRケース332の後側には、SCRケース332内の排気ガスを排出するSCR出口管346が設けられている。SCR出口管346の他端側(下流側)には、テールパイプ347が取り付けられている。DPF出口管342には、尿素噴射部348が設けられている。尿素噴射部348には、図示せぬ尿素水供給装置により、尿素水タンクに貯留された尿素水(選択触媒還元用尿素水溶液)が供給される。尿素噴射部348は、供給された尿素水を噴射弁によって尿素混合管内に噴霧する。尿素混合管内に供給された尿素水は、DPFケース331から排出されSCRケース332に導入される排気ガス中にアンモニアとして混合される。
【0103】
以上のような構成を備えた排気ガス浄化装置330においては、エンジン11の排気ガスがDPFケース331を経ることにより、排気ガス中に含まれた粒子状物質が連続的に酸化除去されるとともに、排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)の含有量が低減する。DPFケース331から排出された尿素混合管内の排気ガスは、尿素噴射部348から尿素水を噴射することで加水分解により生成されたアンモニアの混合を受け、SCRケース332内に導入される。SCRケース332内に導入された排気ガスは、SCRケース332を経ることにより、窒素酸化物質(NOx)の含有量の低減作用を受ける。以上のようにしてDPFケース331およびSCRケース332によって浄化されたエンジン11の排気ガスは、SCR出口管346を経てテールパイプ347から左斜め後上方に向けて機外に排出される。
【0104】
排気ガス浄化装置330の走行機体4上における支持構成について説明する。排気ガス浄化装置330は、走行機体4が有する機台部25に対して、支持フレーム360と連結フレーム380とによって支持されている(
図15参照)。支持フレーム360は、走行機体4の機台部25上に設けられ、運転部12を支持するフレームである。連結フレーム380は、支持フレーム360を走行機体4の機台部25に連結させるフレームである。
【0105】
図15に示すように、支持フレーム360および連結フレーム380は、機台部25の前部に設置されたエンジン11の周りを囲むように枠組み構成されており、エンジンルーム13(
図3参照)を形成している。エンジン11の右側には、シュラウドにより周囲が覆われた冷却ファン(図示略)が設けられており、冷却ファンの右方に、ラジエータ14が設置されている。冷却ファンが回転駆動することにより、ラジエータ14の右側方に配置された外気導入カバー15のロータリスクリーン16からエンジンルーム13内に冷却用の外気が取り込まれる(
図3、
図4参照)。
【0106】
支持フレーム360は、エンジン11の前部の上方において左右方向に配された横フレーム361と、横フレーム361と略同じ高さ位置でエンジン11の右方において前後方向に配された前後延伸フレーム362と、前左支柱363、前右支柱364および後右支柱365の3本の支柱とを有する。支持フレーム360を構成するこれらのフレームおよび支柱は、いずれも角形鋼管により形成されている。
【0107】
前左支柱363は、機台部25上におけるエンジン11の左方の位置に設けられた支持台部373上に立設されている。前右支柱364は、前後方向について、前左支柱363よりも前方に位置し、エンジン11の右前方の位置において機台部25上に立設されている。後右支柱365は、前右支柱364に対して左右方向の位置を略同じとするとともに前右支柱364の後方に位置し、エンジン11の右後方の位置において機台部25上に立設されている。
【0108】
前後延伸フレーム362は、平面視で前後方向に沿うように延伸しており、前右支柱364および後右支柱365により前後両側で支持された状態で設けられている。前右支柱364および後右支柱365それぞれの上端側は、溶接等によって前後延伸フレーム362に固定されている。
【0109】
横フレーム361は、前左支柱363と前後延伸フレーム362との間に水平状に架設されている。横フレーム361の左端部は、前左支柱363の上下中間部の前面に対して溶接等によって固定されている。横フレーム361の右端部は、前後延伸フレーム362の前部の上側に位置させ、前後延伸フレーム362に対して所定の支持金具366等を介して固定支持されている。
【0110】
横フレーム361は、キャビン30の後部を下側から支持するフレームである。横フレーム361の左右両側には、横フレーム361から後方に向けて突設された水平板状の部分である受台部367が設けられている。受台部367は、キャビン30の底面部の後部に設けられた支持脚体(図示略)を受ける部分である。支持脚体は、ゴム等の弾性部材により構成されている。
【0111】
キャビン30は、左右の受台部367に対して支持脚体を上側から当接させた状態で、横フレーム361に支持されている。なお、キャビン30は、機台部25上においてエンジン11の前方に設けられた所定の回動支持部により、左右方向を回動軸方向として前方に回動可能に設けられており、キャビン30の後部は、左右の受台部367に対して離脱可能となっている。以上のような構成により、キャビン30内に設けられた運転部12が、機台部25上に設けられた支持フレーム360によって支持されている。
【0112】
連結フレーム380は、エンジン11の上方において前後方向に配された中央前後延伸フレーム381と、エンジン11の後方に設けられた後中央支柱382とを有する。中央前後延伸フレーム381および後中央支柱382は、いずれも角形鋼管により形成されている。
【0113】
後中央支柱382は、機台部25上におけるエンジン11の左右中央部の後方の位置に立設されている。後中央支柱382は、左右方向について、前左支柱363と前右支柱364の間の略中央の位置に設けられており、前後方向について、後右支柱365よりも後方の位置に設けられている。
【0114】
中央前後延伸フレーム381は、水平状に前後方向に沿うように延伸しており、横フレーム361および後中央支柱382により前後両端で支持された状態で設けられている。中央前後延伸フレーム381の前端部は、横フレーム361の左右略中央部の上方に位置しており、支持金具384等を介して固定支持されている。中央前後延伸フレーム381の後端部は、後中央支柱382により下側から支持されている。
【0115】
このように、連結フレーム380をなす中央前後延伸フレーム381および後中央支柱382により、一端側を横フレーム361に連結支持させるとともに他端側を機台部25上に支持させたL字状のフレーム部分が構成されている。連結フレーム380に対して、中央前後延伸フレーム381上に、支持枠体390が設けられている。
【0116】
支持枠体390は、DPFケース331およびSCRケース332を連結フレーム380に固定状態で支持させる固定部材である。すなわち、連結フレーム380を構成する中央前後延伸フレーム381上に、DPFケース331およびSCRケース332が、支持枠体390を介して固定支持された状態で設けられている。
【0117】
支持枠体390は、略矩形板状の外形をなす部材であり、その外形における板厚方向を左右方向とする向きで、中央前後延伸フレーム381に対して、所定の支持部材を介して固定支持されている。支持枠体390に対して、DPFケース331およびSCRケース332は、脱穀部6側、つまり左側に位置し、所定の固定部材等により支持枠体390に固定支持されている。支持枠体390は、例えば鋳物部品であり、高い剛性を有する。
【0118】
また、DPFケース331およびSCRケース332は、カバー支持フレーム420により覆われている。カバー支持フレーム420は、前後方向については支持枠体390と略同じ寸法を有し、DPFケース331およびSCRケース332を上方および左方から覆うように設けられている。カバー支持フレーム420は、一側を脱穀部6側に固定支持させるとともに、他側を支持枠体390に固定支持させ、SCRケース332の上方を左右に跨ぐように設けられている。
【0119】
カバー支持フレーム420は、左側の前後の下端部に設けられた支持部材425を、脱穀部6の上面部に設けられた平面部430(
図3参照)に固定させることで、脱穀部6に支持されている。このように、カバー支持フレーム420は、脱穀部6から延出した態様で設けられ、SCRケース332の上方を越えて支持枠体390の上側に固定され、脱穀部6に対して、DPFケース331およびSCRケース332を支持した支持枠体390を支持している。
【0120】
コンバイン1は、走行機体4に設けられたエンジン11に供給される空気を冷却する冷却装置としてのインタークーラ500を備えている。インタークーラ500は、エンジン11が有する過給機340のコンプレッサから吐出された空気を受けてその空気を冷却する熱交換器として機能する。インタークーラ500により冷却された空気は、エンジン11に対する給気としてエンジン11の吸気マニホールドへと供給される。
【0121】
インタークーラ500は、排気ガス浄化装置330に対して機外側方に配置されている。本実施形態では、インタークーラ500は、排気ガス浄化装置330において上下に配置されたDPFケース331およびSCRケース332に対して、右側方の位置に設置されている。インタークーラ500は、機台部25上において、エンジン11の右上方の位置に、所定の支持部材によって支持された状態で設けられている。
【0122】
インタークーラ500は、略直方体状の外形を有するボックス状のケース501により装置の外装をなしている。インタークーラ500は、ケース501の略直方体状の外形について、平面視においては長手方向を前後方向とするとともに、前後方向視においては長手方向を上下方向とした向きで設置されている。
【0123】
インタークーラ500は、上下方向について、DPFケース331およびSCRケース332と略同じ高さ位置に設けられている。具体的には、インタークーラ500は、上下方向について、ケース501の下面部501aを、DPFケース331の下端よりも下方に位置させており、ケース501の上面部501bを、DPFケース331の上端よりも上方に位置させている。また、インタークーラ500は、上下方向について、ケース501の上面部501bを、SCRケース332の上端よりも下方に位置させている。
【0124】
以上のように、排気ガス浄化装置330およびインタークーラ500は、エンジン11の上方に配置された運転部12の後方で、互いの間に空間を隔てて左右方向に対向した状態で配置されている。本実施形態では、インタークーラ500は、DPFケース331およびSCRケース332の右方に位置し、ケース501の左側面部を、DPFケース331およびSCRケース332の右側に位置する支持枠体390に対向させた状態で設けられている。
【0125】
このように排気ガス浄化装置330の右方に配置されたインタークーラ500は、外気導入カバー15の上部の内側(左側)に位置している(
図2参照)。ロータリスクリーン16の上方となる外気導入カバー15の上部には、外気の吸込口503が設けられている。
【0126】
吸込口503は、
図4に示すように、外気導入カバー15に形成された開口部503aに、メッシュ状の防塵網503bを張設した構成を有する。開口部503aは、外気導入カバー15の上部の外形に沿うとともに下側をロータリスクリーン16の開口部16aの円形状に沿わせた形状を有する。インタークーラ500は、右側面視において大部分が吸込口503に重なるように配置されている。
【0127】
インタークーラ500とエンジン11との間には、エア流入管505およびエア流出管506が配管されている(
図11参照)。
【0128】
エア流入管505の一端側である上流側は、過給機340のコンプレッサ側に連通接続されている。
図16に示すように、エア流入管505の他端側である下流側は、ケース501の下面部501aの下側の前部に設けられた流入口507に連通接続されている。また、エア流入管505は、横フレーム361の下側を潜るように配されている。流入口507は、ケース501の下面部501aの下側に設けられたダクト部509の前部に設けられ、左方に向けて開口した円筒状の突出部分である。
【0129】
エア流入管505は、流入口507から左方に向けて配されるとともにエンジン11の右側において前下方に延出し、エンジン11の前上部に設けられた過給機340に対して右方から接続されている。エア流入管505により、過給機340のコンプレッサから吐出された空気がインタークーラ500に供給され
、ケース501内に設けられたフィン等を有する所定の空気通路504(
図11参照)を通過しながら冷却される。
【0130】
エア流出管506の一端側である上流側は、ケース501の下面部501aの下側の後部に設けられた流出口508に連通接続されている(
図16参照)。流出口508は、ダクト部509の後部に設けられ、左方に向けて開口した円筒状の突出部分である。エア流出管506の他端側である下流側は、エンジン11の吸気マニホールドに連通接続されている。
【0131】
エア流出管506は、流出口508から左前下方に向けて延出し、エンジン11の後上部に位置する吸気マニホールドに対して右方から接続されている。エア流出管506により、ケース501内で冷却された空気がエンジン11の吸気マニホールドに供給される。
【0132】
機台部25上におけるインタークーラ500の支持構成について説明する。インタークーラ500は、排気ガス浄化装置330と同様、支持フレーム360に対して支持された状態で設けられている。
【0133】
インタークーラ500は、支持フレーム360を構成する前後延伸フレーム362上に支持された状態で設けられている。インタークーラ500は、ケース501の前後両側において、前後延伸フレーム362上に設けられた支持突片部511に対して、ケース501に設けられた支持ステー512を固定させることで、前後延伸フレーム362上に支持されている。支持突片部511および支持ステー512による支持部510は、前後方向について対称的に構成されている。
図17は、インタークーラ500の後側の支持部510を示している。なお、
図17においては、ダクト部509等の図示を省略している。
【0134】
支持突片部511は、前後延伸フレーム362の上面362c上に、平面視で略U字状をなす屈曲板状の金具を、左側を開放側とする向きで立った状態で溶接等によって固定することにより設けられている。支持突片部511は、左右方向を板厚方向とする平面部を、支持ステー512の固定を受ける固定面部511aとしている。固定面部511aには、固定用の孔部が貫通形成されている。支持突片部511は、ケース501の前後方向の寸法よりも大きい間隔を隔てて前後2箇所に設けられている。
【0135】
支持ステー512は、略L字状の横断面形状を有する長手状の屈曲板状の部材であり、長手方向を上下方向として、ケース501の前面部501dおよび後面部501eのそれぞれに固定されている。支持ステー512は、略L字状の横断面形状をなす面部として、ケース501側に固定される固定面部512aと、支持突片部511側に固定される支持面部512bとを有する。
【0136】
支持ステー512は、ケース501に対して、上部の固定面部512aを、前面部501dまたは後面部501eに溶接等により固定させ、下部を下面部501aよりも下方に突出させた状態で設けられている。支持ステー512は、下端部の支持面部512bを、支持突片部511の固定面部511aに対して右側から重ねた状態で、固定ボルト513により支持突片部511に固定されている。固定ボルト513は、支持面部512bおよび固定面部511aを貫通し、支持突片部511の支持面部の左側に設けられたナット部514に螺挿されている。
【0137】
このように、支持ステー512は、ケース501の前後両側において下方に突出した脚部を構成しており、脚部の下端部が、前後延伸フレーム362上に突設された支持突片部511に固定されている。したがって、前後延伸フレーム362の上面362cとケース501の下面部501aとの間にスペースが形成されており、かかるスペースは、エア流入管505およびエア流出管506が接続されるダクト部509等の配置スペースとなっている。
【0138】
以上のように、コンバイン1は、機台部25上に設けられたフレーム構成として、支持フレーム360に対して支持され排気ガス浄化装置330を支持する第1支持フレームとしての連結フレーム380と、インタークーラ500を支持する第2支持フレームとしての前後延伸フレーム362とを有する。そして、連結フレーム380および前後延伸フレーム362は、連結部材としての横フレーム361により互いに連結支持されている。
【0139】
また、インタークーラ500は、排気ガス浄化装置330を支持する支持枠体390との間に架設された第1支持棒521および第2支持棒522の前後2本の支持棒により、支持枠体390に対して連結支持されている。
【0140】
第1支持棒521および第2支持棒522は、いずれも円形状の横断面形状を有する直線パイプ状の部材であり、わずかに右下がりで略左右方向に配されている。第1支持棒521は、第2支持棒522に対して後方に位置している。
【0141】
第1支持棒521は、左側に位置する一方の端部を、支持枠体390の上縁部の前後の中間部に設けられた所定の固定部に対してボルト等により固定させている。第1支持棒521は、右側に位置する他方の端部を、ケース501の後面部501eの左上側の隅部に対してボルト等によって固定させている。
【0142】
第2支持棒522は、左側に位置する一方の端部を、支持枠体390の上縁部の後端部に設けられた所定の固定部に対してボルト等により固定させている。第2支持棒522は、右側に位置する他方の端部を、ケース501の前面部501dの左上側の隅部に固設された長手状の支持ステー529に対してボルト等によって固定させている。
【0143】
以上のように機台部25上に設けられたインタークーラ500は、排気ガス浄化装置330側への送風が可能な冷却ファンである冷却装置用ファン540を有する。
図11に示すように、冷却装置用ファン540は、ファン本体541と、ファン本体541を駆動させる駆動源としての電動式のファンモータ542とを有する電動ファンである。ファン本体541の中心軸部にファンモータ542の駆動軸が連結されている。
【0144】
冷却装置用ファン540は、正逆回転可能に構成されている。すなわち、冷却装置用ファン540は、ファンモータ542の駆動力により、ファン本体541を正回転方向と逆回転方向のいずれにも回転させることができるように構成されている。
【0145】
冷却装置用ファン540は、ケース501内において、ファン本体541の回転軸方向を左右方向とした向きで、左側に配置されている。ケース501の左側面部501cには、ファン本体541と同心状に円形状の開口部である通風口501fが形成されている(
図16参照)。通風口501fは、左側面視において冷却装置用ファン540の略全体を露出させるように形成されている。
【0146】
一方、ケース501の右側面部は、ケース501の外形に沿う矩形状の枠部分にメッシュ状の防塵網501gを張設した構成を有する(
図14参照)。なお、
図14に示すように、ケース501の右側面部においては、防塵網501gの外側(右側)に、ファン540の回転によって生じる気流により回転する防塵用の回転羽根544が設けられている。
【0147】
このような構成において、
図11に示すように、冷却装置用ファン540が正回転している状態では、冷却装置用ファン540の吸引力により、インタークーラ500の右方に位置する外気導入カバー15の吸込口503が外気の取込み口となり、インタークーラ500に供給される。すなわち、吸込口503から取り込まれた空気は、防塵網501gからケース501内に、空気通路504を通る空気に対する冷却風として取り込まれ、空気通路504の外壁面を通って熱交換しながらケース501の通風口501fから左方へと送られる(矢印D1参照)。通風口501fから送り出される空気は、DPFケース331およびSCRケース332側への送風となる。
【0148】
一方、冷却装置用ファン540が逆回転することにより、機体内の空気が通風口501fからケース501内に取り込まれる。ケース501内に取り込まれた空気は、防塵網501gから排出されるとともに、外気導入カバー15の吸込口503から外部へと排出される(矢印D2参照)。
【0149】
冷却装置用ファン540の正回転時においては、吸込口503の防塵網503b、およびケース501の防塵網501gにより、塵や埃や藁等の塵埃が捕集され、塵埃が外気とともにケース501内に侵入することが防がれる。一方、冷却装置用ファン540の逆回転時においては、冷却装置用ファン540からの送風により、ケース501の防塵網501gや吸込口503の防塵網503bに付着した塵埃が除去されることになる。なお、コンデンサ用ファン84の逆転時においても、外気取入口110から外部に排出される送風により、外気導入カバー15の吸込口503の防塵網503bに付着した塵埃が除去されることになる。
【0150】
また、コンバイン1は、エンジン11の給気系を構成するエアクリーナ561およびプリクリーナ562を備えている。エアクリーナ561およびプリクリーナ562は、給気管563により互いに接続されている。
【0151】
プリクリーナ562は、エンジン11に対する給気経路の上流側の端部に設けられており、プリクリーナ562から給気経路内に大気が取り込まれる。プリクリーナ562により、大気中の粉塵等が除去され、給気経路内に取り込まれる大気が浄化される。
【0152】
プリクリーナ562の下流側に、給気管563を介して、エアクリーナ561が設けられている。エアクリーナ561により、プリクリーナ562により浄化された空気がさらに浄化され、エンジン11に供給される。エアクリーナ561は、略円筒状の外形を有し、その筒軸方向(長手方向)を前後方向とする向きで、排気ガス浄化装置330とインタークーラ500との間に配置されている。エアクリーナ561の空気の排出側からは、下流側給気管565が延出しており、下流側給気管565の下流側は、過給機340のコンプレッサ側に設けられた給気取入部に連通接続されている(
図13参照)。
【0153】
給気管563は、第1支持棒521と第2支持棒522の間を通るように設けられている。給気管563は、インタークーラ500から延出した直線棒状の配管支持棒570によりインタークーラ500に対して支持されている。配管支持棒570は、下端部を、ケース501の後面部501eの上部にボルト等によって固定支持させるとともに、上端部を、給気管563の中間部に固定支持させている。
【0154】
以上のようなエンジン11の給気系の配置構成によれば、エンジン11の左後上方に、DPFケース331およびSCRケース332が上下に配置されており、エンジン11の右後上方に、エアクリーナ561およびプリクリーナ562が上下に配置されている。すなわち、エンジン11の前部に位置する過給機340の排気タービン側(左側)から後方に延出した排気管341の接続を受ける排気ガス浄化装置330(DPFケース331およびSCRケース332)と、過給機340のコンプレッサ側(右側)から後方に延出した下流側給気管565の接続を受けるエアクリーナ561およびその上方に配置されたプリクリーナ562とが、エンジン11の後上方において、左右に振り分けて配置されている。
【0155】
以上のような本実施形態に係るコンバイン1は、キャビン30の後壁部32に設けられてコンデンサ83およびコンデンサ用ファン84を含む空調装置80のコンデンサユニット81と、冷却装置用ファン540を有するインタークーラ500とを備える。
【0156】
コンバイン1は、インタークーラ500に関し、次のような構成を備えている。すなわち、インタークーラ500は、冷却装置用ファン540による冷却風を、コンデンサ用ファン84による冷却風に合流させるように、走行機体4の側方側に設けられている。
【0157】
図11に示すように、コンデンサ用ファン84は、キャビン30の後壁部32において外気流通空間部111を形成する後側壁部113に設けられたコンデンサ83の後方に設けられている。コンデンサ用ファン84による冷却風の風向は、後方である(
図11、矢印C2参照)。
【0158】
このように配設されたコンデンサ用ファン84に対して、インタークーラ500は、キャビン30の後側において、右側方に設けられている。インタークーラ500は、外気流通空間部111を右方に開口させた外気取入口110を右側から覆う外気導入カバー15の左側の近傍に配置されている。インタークーラ500において左側に位置する冷却装置用ファン540による冷却風の方向は、左方である(
図11、矢印D1参照)。
【0159】
そして、冷却装置用ファン540の冷却風の排出先は、コンデンサ用ファン84の冷却風の排出先の空間となっている。すなわち、コンデンサ用ファン84の冷却風の排出先となるキャビン30の後壁部32の後方の空間部分は、冷却装置用ファン540の冷却風の排出先の空間部分と重なっており、コンデンサ用ファン84および冷却装置用ファン540の両ファンからの冷却風が合流する冷却風合流部600となっている。冷却風合流部600は、排気ガス浄化装置330等の配設空間となっている。
【0160】
このように、インタークーラ500は、コンデンサユニット81のコンデンサ用ファン84による冷却風の排出先となるキャビン30後方の冷却風合流部600に対して冷却装置用ファン540による冷却風が向かうように、冷却風合流部600の右方に設けられている。すなわち、後方に向けて冷却風を排出するコンデンサ用ファン84に対し、インタークーラ500は、冷却装置用ファン540の冷却風の排出方向を左方とし、両ファンからの冷却風の排出方向が互いに直交するように設けられている。
【0161】
また、コンバイン1においては、走行機体4の側面視でインタークーラ500に対して横並びとなる位置に、コンデンサ83に対する外気を取り込むための外気取入口110が設けられている。
【0162】
上述のとおりキャビン30の後側の右側方に設けられたインタークーラ500に対し、外気取入口110は、キャビン30の後壁部32の右方に向けて開口している。すなわち、キャビン30の右後方の位置において直方体状のケース501の側面を前後左右に向けるように設けられたインタークーラ500に対し、外気取入口110は、インタークーラ500の前方の近傍位置に設けられている(
図4、
図6参照)。このように、外気取入口110およびインタークーラ500は、走行機体4の前部の右側部において前後に並んだ状態で設けられている。
【0163】
また、インタークーラ500は、キャビン30と穀粒タンク7との間に配置されている。穀粒タンク7は、走行機体4上において、キャビン30の後方に位置しており、前後方向について外気導入カバー15より後方に設けられている。インタークーラ500は、ケース501の全体が外気導入カバー15により右方から覆われるように設けられている。
【0164】
したがって、キャビン30の後方かつ右側方に設けられたインタークーラ500に対し、穀粒タンク7は、鉛直状の平面部分である前面部7aを、インタークーラ500の(ケース501の)後方に位置させるように設けられている(
図2参照)。このように、インタークーラ500は、走行機体4の右側部において、前後方向について、キャビン30と穀粒タンク7との間に位置するように設けられている。
【0165】
コンデンサ用ファン84および冷却装置用ファン540(以下「両ファン84,540」とも表記する。)の制御構成およびこれらのファンの制御について説明する。
【0166】
図18に示すように、コンバイン1は、コンデンサ用ファン84および冷却装置用ファン540の回転を制御するコントローラ550を備えている。両ファン84,540は、コントローラ550に所定の接続ケーブルにより接続されている。コントローラ550により、両ファン84,540の動作、つまりファンの正転、逆転および停止が制御される。
【0167】
コントローラ550は、コンバイン1が備える各種センサ等からの入力信号に基づき、コンバイン1が備える各部を制御する。コントローラ550は、各種演算処理や制御を実行する演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶装置、データ入出力用の入出力インターフェイス等の入出力装置(入出力回路)、クロック回路等の周辺回路等をバス等により接続した構成を備える。コントローラ550のCPUは、ROM等に記憶された各種のプログラムに従って演算処理を行う。
【0168】
コントローラ550は、例えば、コントローラーエリアネットワーク(CAN)により相互通信可能に接続された複数のマイクロコンピュータユニットを含んで構成されている。ただし、コントローラ550の構成は特に限定されるものではない。
【0169】
上述のとおり、コンデンサ用ファン84および冷却装置用ファン540は、冷却風を送る回転方向を正転方向として逆回転可能に構成されている。そして、コントローラ550は、両ファン84,540を、互いに同じタイミングかつ互いに同じ回転方向で回転するように制御する。
【0170】
コンデンサ用ファン84については、コントローラ550によってファンモータ86の動作が制御されることで、ファン本体85の回転方向が制御される。コンデンサ用ファン84およびコントローラ550は、例えばPWM(Pulse Width Modulation)制御によってファンモータ86を制御することで、コンデンサ用ファン84の動作を制御するように構成されている。
【0171】
PWM制御において、コンデンサ用ファン84を正回転させる場合、コントローラ550からのモータ正回転用のPWM出力がファンモータ86に入力され、ファンモータ86が正回転方向に回転し、ファン本体85が正回転方向に回転する。一方、コンデンサ用ファン84を逆回転させる場合、コントローラ550からのモータ逆回転用のPWM出力がファンモータ86に入力され、ファンモータ86が逆回転方向に回転し、ファン本体85が逆回転方向に回転する。
【0172】
冷却装置用ファン540については、コントローラ550によってファンモータ542の動作が制御されることで、ファン本体541の回転方向が制御される。冷却装置用ファン540およびコントローラ550は、例えばコンデンサ用ファン84と同様にPWM制御によってファンモータ542を制御することで、冷却装置用ファン540の動作を制御するように構成されている。すなわち、コントローラ550からのモータ正回転用のPWM出力がファンモータ542に入力されることで、ファンモータ542が正回転方向に回転してファン本体541が正回転方向に回転し、コントローラ550からのモータ逆回転用のPWM出力がファンモータ542に入力されることで、ファンモータ542が逆回転方向に回転してファン本体541が逆回転方向に回転する。
【0173】
なお、コントローラ550による両ファン84,540の回転制御においては、各ファンの回転数の変更も行うことができる。また、各ファンの回転方向等は、例えば運転部12に設けられた操作部によって操作されるものであってもよい。
【0174】
コントローラ550は、例えば、コンバイン1により穀稈の収穫が行われるコンバイン1の通常の作業状態においては、コンデンサ用ファン84および冷却装置用ファン540を正回転させる。そして、コントローラ550は、例えば、コンバイン1が非作業状態となったタイミングで、所定時間の間、両ファン84,540を同時に逆回転させる。コンバイン1の作業状態と非作業状態は、例えば刈取部5や脱穀部6や排出オーガ9等の作業部における所定の部位の動作を検出することにより判断される。
【0175】
また、コントローラ550は、所定のサイクルで、コンデンサ用ファン84および冷却装置用ファン540の正転・逆転を互いに同じタイミングで切り換えるように両ファン84,540を制御する。コントローラ550は、例えば、コンバイン1の稼動中において、あらかじめ設定された所定の時間(例えば30分)ごとに、両ファン84,540をあらかじめ設定された所定の時間(例えば10秒間)逆転させる。このように、コントローラ550による両ファン84,540の制御の一態様として、両ファン84,540の正転・逆転の動作をあらかじめ設定された所定のタイミングで切り替えるサイクルを繰り返す制御が行われる。
【0176】
また、コントローラ550は、両ファン84,540について例えば次のような回転制御を行う。すなわち、コントローラ550は、エンジン11の稼動中に、所定の時間両ファン84,540を正転させ、その後数秒間両ファン84,540を停止させ、その後所定の時間両ファン84,540を逆転させ、その後数秒間両ファン84,540を停止させるという制御を1サイクルとして、サイクルを繰り返す制御を行う。このように、コントローラ550による両ファン84,540の制御態様としては、両ファン84,540の正転・停止・逆転の動作をあらかじめ設定された所定のタイミングで切り替える制御であってもよい。
【0177】
コンデンサ用ファン84および冷却装置用ファン540の制御態様の一例として、コントローラ550は、排出オーガ9の回動状態に基づいて、両ファン84,540を逆転させるタイミングを制御する。
【0178】
図18に示すように、コンバイン1は、排出オーガ9の回動状態を検出するための構成として、排出オーガ9の回動位置を検出するオーガ回動位置検出センサ551と、排出オーガ9が収納状態にあることを検出するオーガ収納状態検出センサ552とを有する。オーガ回動位置検出センサ551およびオーガ収納状態検出センサ552は、コントローラ550に接続されており、コントローラ550は、各センサからの検出信号の入力を受け、これらの信号に基づいて両ファン84,540の動作を制御するための制御信号を生成する。
【0179】
オーガ回動位置検出センサ551は、縦取出しコンベア9bを介して上下方向を回動軸方向として回動可能(旋回可能)に設けられた排出オーガ9の回動方向についての位置を検出する。オーガ回動位置検出センサ551は、例えばポテンショメータ型のセンサであり、縦取出しコンベア9bにおいて排出オーガ9の一部として回動する部分の回動をギア等を介して間接的に検出することで、排出オーガ9の回動位置(回動角度)を検出する。
【0180】
ただし、オーガ回動位置検出センサ551の構成は特に限定されるものではない。オーガ回動位置検出センサ551としては、例えば、排出オーガ9の縦取出しコンベア9b回りの回動角度に加えて、排出オーガ9の基部を中心とした上下昇降回動の角度等を検出するものであってもよい。
【0181】
オーガ収納状態検出センサ552は、例えばオーガレスト27の底部に設けられた検出スイッチである(
図3参照)。オーガ収納状態検出センサ552は、オーガレスト27に排出オーガ9が収納支持された状態か否か、つまりオーガレスト27における排出オーガ9の存在の有無により、排出オーガ9の収納状態と非収納状態を検出する。
【0182】
このような構成において、コントローラ550は、オーガ回動位置検出センサ551およびオーガ収納状態検出センサ552の少なくとも一方の検出信号に基づいて、コンデンサ用ファン84および冷却装置用ファン540を逆転させるタイミングを制御する。
【0183】
穀粒タンク7内の穀粒の外部への排出作業が行われるとき、排出オーガ9は、先端部を機体の側方に位置させるように、収納状態から旋回した状態となる。そこで、コントローラ550は、例えば、排出オーガ9の非収納状態が検出された後、排出オーガ9が収納状態または収納位置に戻ったタイミングで、コンデンサ用ファン84および冷却装置用ファン540を所定時間の間逆回転させる制御を行う。
【0184】
ここで、排出オーガ9についての「収納位置」は、オーガ回動位置検出センサ551により検出される排出オーガ9の回動位置であり、排出オーガ9の収納状態に対応した回動位置である。すなわち、排出オーガ9は、側方に旋回した状態から収納状態に戻る際、オーガレスト27の上方の位置である収納位置に達した後、基部を中心として下降することで、オーガレスト27に載置支持された状態、つまり収納状態となる。このように、排出オーガ9は、回動状態について排出オーガ9の収納状態に対応した収納位置を有する。
【0185】
コントローラ550によるコンデンサ用ファン84および冷却装置用ファン540の逆転制御の一例について具体的に説明する。コントローラ550は、排出オーガ9が収納位置に達したことを検知したときに、あらかじめ設定された所定時間T1の間、コンデンサ用ファン84および冷却装置用ファン540を逆転させる。
【0186】
コントローラ550による制御態様の一例について、
図19に示すフローチャートを用いて説明する。
図19は、コントローラ550によるコンデンサ用ファン84および冷却装置用ファン540の制御態様の一例を示すフローチャートである。以下に説明する制御は、コントローラ550のCPUがRAM等の記憶装置に記憶された所定の制御プログラムを読み出して実行することにより行われる。
【0187】
図19に示すように、コントローラ550は、コンデンサ用ファン84および冷却装置用ファン540を正回転させる(S10)。すなわち、コントローラ550は、走行機体4により走行しながらの収穫作業時等のコンバイン1の通常運転時において、両ファン84,540を正転方向に回転させる。
【0188】
コンバイン1の通常運転時において、コントローラ550は、オーガ収納状態検出センサ552の検出信号により排出オーガ9が非収納状態であるか否かを判断する(S20)。排出オーガ9が非収納状態であることは、例えば穀粒タンク7内の穀粒の外部への排出作業のために排出オーガ9が機体側方に旋回している状態に対応する。排出オーガ9が非収納状態でない場合(S20、NO)、つまり排出オーガ9の収納状態において、コントローラ550は両ファン84,540を正転回転させ続ける(S10)。
【0189】
ステップS20において、コントローラ550は、オーガ収納状態検出センサ552の検出信号により排出オーガ9が非収納状態であることを検知した場合(S20、YES)、オーガ回動位置検出センサ551の検出信号により排出オーガ9が収納位置にあるか否かを判断する(S30)。排出オーガ9が収納位置にない場合(S30、NO)、コントローラ550は両ファン84,540を正転回転させ続ける(S10)。
【0190】
ステップS30において、コントローラ550は、オーガ回動位置検出センサ551の検出信号により排出オーガ9が収納位置にあることを検知した場合(S30、YES)、ステップS10における排出オーガ9の非収納状態の検知からあらかじめ設定された所定の作業時間T2が経過したか否かを判断する(S40)。作業時間T2は、例えば10分程度の時間として設定される。ステップS40は、排出オーガ9が収納状態から非収納状態となってから比較的短い時間で収納状態に戻される場合を除くための処理である。すなわち、ステップS40は、実際に排出オーガ9による穀粒の排出作業が行われた場合を検出するための処理である。
【0191】
ステップS40において、コントローラ550は、排出オーガ9の非収納状態を検知した時から作業時間T2が経過したと判断した場合(S40、YES)、コンデンサ用ファン84および冷却装置用ファン540を所定時間T1の間逆回転させる(S50)。この場合、コントローラ550は、排出オーガ9による穀粒の排出作業が終了して排出オーガ9が戻される状態にあると判断し、正回転している両ファン84,540の回転方向を同じタイミングで逆回転に切り換える制御を行う。所定時間T1は、例えば10秒程度の時間として設定される。
【0192】
コントローラ550は、ステップS50においてコンデンサ用ファン84および冷却装置用ファン540を所定時間T1の間逆回転させた後、両ファン84,540を正回転の状態に戻す。
【0193】
以上のような排出オーガ9の回動状態に基づく両ファン84,540の回転制御と、上述したように両ファン84,540の動作を所定のタイミングで切り替えるサイクルを繰り返すサイクル制御とは、いずれかの制御が両ファン84,540の制御モードとして任意に設定可能とされる。この場合、両ファン84,540の制御モードを切り替えるための操作部として、例えば、運転部12にボタンやスイッチ等のファン制御モード切替操作部が設けられる。コントローラ550は、ファン制御モード切替操作部により選択された制御モードにより両ファン84,540の回転制御を行う。例えば、コンバイン1による収穫物が麦等の比較的塵埃が多く生じる収穫物の場合は、排出オーガ9の動作にかかわらず両ファン84,540の逆転動作が所定のタイミングで実行されるサイクル制御が選択される。
【0194】
以上のような構成を備えた本実施形態に係るコンバイン1によれば、以下のような作用効果が得られる。
【0195】
本実施形態に係るコンバイン1によれば、エンジン11に供給される空気を冷却するためのインタークーラ500のレイアウトを改善することができ、インタークーラ500の冷却作用を向上することができるとともに、機体をコンパクトにすることができる。
【0196】
コンバイン1においては、インタークーラ500が、キャビン30の背面側に設けられたコンデンサ用ファン84に対して、冷却装置用ファン540による冷却風をコンデンサ用ファン84の冷却風に合流させるように、機体の右側に配置されている。このような構成により、インタークーラ500における冷却装置用ファン540による通風性を向上させることができ、インタークーラ500について良好な冷却作用を得ることができる。また、走行機体4においてインタークーラ500が機台部25に対して比較的高い位置に配置されることから、例えばインタークーラ500の下方のスペースにラジエータ14を配置することができるので、機台部25上のスペースを有効利用することができ、インタークーラ500およびその周囲の装置構成をコンパクトに納めることができる。
【0197】
また、コンバイン1においては、右側面視においてインタークーラ500と横並びとなる位置に、コンデンサ83に対する外気を取り込むための外気取入口110が設けられている。このような構成によれば、コンデンサ83用の外気取入口110を機体の側方側に配置することができ、機体をコンパクトに納めることができる。
【0198】
また、インタークーラ500は、キャビン30と穀粒タンク7との間に配置されている。このような構成によれば、機台部25上におけるキャビン30と穀粒タンク7との間のスペースを有効利用することができ、機台部25上においてインタークーラ500をコンパクトに納めることができる。
【0199】
また、コンデンサ用ファン84および冷却装置用ファン540は、同じタイミングでかつ同じ回転方向に回転するように、コントローラ550により制御されている。このような構成によれば、外気導入カバー15におけるロータリスクリーン16の防塵網16bや吸込口503の防塵網503b等の濾過体に塵や埃や藁等の塵埃が付着することを防止することができる。
【0200】
コンデンサ用ファン84および冷却装置用ファン540が正転し続けることで、外気導入カバー15の防塵網16bや防塵網503bに付着した塵埃は、両ファン84,540による風速を低下させる原因となる。風速が低下すると、コンデンサ83の冷却が不十分となり空調装置80の冷却性能が低下したり、インタークーラ500による冷却性能が低下したりする。
【0201】
そこで、両ファン84,540を同じタイミングで逆転させることにより、外気導入カバー15の防塵網16bや防塵網503bに付着した塵埃を吹き飛ばすことができる。特に、両ファン84,540を同時に逆転させることで、コンデンサ用ファン84による外気取入口110からの排風(
図11、矢印C4参照)と、冷却装置用ファン540によるインタークーラ500からの機外側への排風(
図11、矢印D2参照)との相乗的な作用により、外気導入カバー15の防塵網16bや防塵網503bに付着した塵埃を効率的に吹き飛ばして除去することが可能となる。これにより、空調装置80やインタークーラ500の冷却性能の低下を抑制することができる。また、外気導入カバー15の防塵網16bや防塵網503bに付着した塵埃が除去されることは、エンジン11のオーバーヒートの抑制にもつながる。
【0202】
また、コントローラ550は、排出オーガ9の回動状態に基づいて、コンデンサ用ファン84および冷却装置用ファン540を逆転させるタイミングを制御する。このような構成によれば、比較的に外気導入カバー15の防塵網16bや防塵網503bに対する塵埃の付着を生じさせやすい排出オーガ9による穀粒の排出作業との関係で、適切なタイミングで両ファン84,540を逆転させることが可能となる。これにより、外気導入カバー15の防塵網16bや防塵網503bに付着した塵埃を効率的に除去することができる。
【0203】
特に、コントローラ550は、排出オーガ9が収納位置に達したことを条件として、所定時間T1の間、コンデンサ用ファン84および冷却装置用ファン540を逆転させる制御を行う。このような構成によれば、排出オーガ9による穀粒の排出作業の作業後の状態を検知することができるので、より適切なタイミングで両ファン84,540を逆転させることが可能となり、防塵網に付着した塵埃を効果的に除去することができる。
【0204】
特に、本実施形態では、コントローラ550は、両ファン84,540を逆転するに際し、排出オーガ9が収納位置に達したことを検知するとともに、排出オーガ9が収納状態から非収納状態となってからの作業時間T2の経過を条件としている。このような制御態様によれば、例えば排出オーガ9による穀粒の排出作業とは無関係に排出オーガ9を一時的に旋回動作させた場合等、穀粒の排出作業とは直接的に関係しない排出オーガ9の旋回動作を、両ファン84,540を逆転させるための検知対象となる動作から除くことができる。これにより、穀粒の作業状態の検知精度を向上することができ、両ファン84,540の不要な逆転動作を抑制することができる。
【0205】
このように、コントローラ550によるファンの逆転制御において、コンデンサ用ファン84および冷却装置用ファン540を逆回転させるタイミングは、穀粒の排出作業の後に排出オーガ9が収納位置に戻ったタイミングであり、このタイミングにおいては、コンバイン1は非作業状態となっている。例えば、エンジン11に対する負荷が比較的大きくなるコンバイン1の作業状態において、両ファン84,540を逆転させた場合、エンジン11の周囲の熱い空気がインタークーラ500に供給されることになるので、エンジン11の出力的に好ましくない状態となる。
【0206】
そこで、エンジン11の負荷が比較的小さい非作業状態となるタイミングで両ファン84,540を逆回転させることにより、防塵網に付着した塵埃を作業の合間に効率的に除去することができる。これにより、防塵網に付着した塵埃を除去した状態で次の作業に移行することができるので、コンバイン1による連続的な作業をスムーズに行うことが可能となる。
【0207】
上述した実施形態は本発明の一例であり、本発明は上述の実施形態に限定されることはない。このため、上述した実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。また、本開示に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0208】
1 コンバイン
4 走行機体
7 穀粒タンク
9 排出オーガ(穀粒排出装置)
11 エンジン
12 運転部
14 ラジエータ
15 外気導入カバー
30 キャビン
32 後壁部
80 空調装置
81 コンデンサユニット
82 エアコンユニット
83 コンデンサ
84 コンデンサ用ファン
110 外気取入口
111 外気流通空間部
330 排気ガス浄化装置
500 インタークーラ(冷却装置)
501 ケース
540 冷却装置用ファン
550 コントローラ
600 冷却風合流部