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特許7642493認証システム、およびユーザインターフェース装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-28
(45)【発行日】2025-03-10
(54)【発明の名称】認証システム、およびユーザインターフェース装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 81/78 20140101AFI20250303BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20250303BHJP
   E05B 85/16 20140101ALI20250303BHJP
   G01V 3/00 20060101ALI20250303BHJP
   G01V 3/08 20060101ALI20250303BHJP
【FI】
E05B81/78
E05B49/00 K
E05B85/16 C
G01V3/00 Z
G01V3/08 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021137072
(22)【出願日】2021-08-25
(65)【公開番号】P2023031535
(43)【公開日】2023-03-09
【審査請求日】2024-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】小杉 正則
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-84469(JP,A)
【文献】特表2015-518666(JP,A)
【文献】特開2010-90629(JP,A)
【文献】特表2018-513584(JP,A)
【文献】特開2010-163756(JP,A)
【文献】特表2013-545907(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0073070(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0123561(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0282858(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
G01V 1/00-99/00
H04B 5/00- 5/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる携帯が可能であるモバイル装置から無線通信を通じて認証情報を受信するアンテナと、
静電容量変化に基づいて前記アンテナに対する被検出物の接近または接触を検出する検出部と、
前記認証情報を用いて前記モバイル装置を認証する認証処理が成立すると前記検出部による検出を有効にする処理部と、
前記認証情報を用いて前記モバイル装置を認証する認証処理と前記検出部による検出結果に基づいて、被制御装置の動作を制御する制御装置と、
を備えており
前記アンテナは、近接無線通信と短距離無線通信を通じて前記認証情報を受信可能であり、
前記処理部は、前記近接無線通信と前記短距離無線通信のいずれかに基づいて前記認証処理が成立するまで、前記アンテナが前記近接無線通信を通じて前記認証情報を受信する状態と前記アンテナが前記短距離無線通信を通じて前記認証情報を受信する状態とを切り替える、
認証システム。
【請求項2】
前記被制御装置は、開閉体を施解錠する施解錠装置である、
請求項に記載の認証システム。
【請求項3】
前記アンテナと前記検出部は、前記開閉体の開閉に使用されるノブに内蔵されている、請求項に記載の認証システム。
【請求項4】
前記開閉体は、移動体に搭載されている、
請求項またはに記載の認証システム。
【請求項5】
前記アンテナは、ループアンテナである、
請求項1からのいずれか一項に記載の認証システム。
【請求項6】
ユーザによる携帯が可能であるモバイル装置から無線通信を通じて認証情報を受信するアンテナと、
静電容量変化に基づいて前記アンテナに対する被検出物の接近または接触を検出する検出部と、
前記認証情報を用いて前記モバイル装置を認証する認証処理が成立すると前記検出部による検出を有効にする処理部と、
を備えており
前記アンテナは、近接無線通信と短距離無線通信を通じて前記認証情報を受信可能であり、
前記処理部は、前記近接無線通信と前記短距離無線通信のいずれかに基づいて前記認証処理が成立するまで、前記アンテナが前記近接無線通信を通じて前記認証情報を受信する状態と前記アンテナが前記短距離無線通信を通じて前記認証情報を受信する状態とを切り替える、
ユーザインターフェース装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザによる携帯が可能なモバイル装置を用いる認証システムに関連する。本発明は、当該認証システムの一部を構成しうるユーザインターフェース装置にも関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、近接無線通信を利用して開閉体の一例である車両のドアを施解錠する認証システムを開示している。当該認証システムは、シートアンテナと制御装置を備えている。シートアンテナは、当該ドアの外面に配置されている。制御装置は、モバイル装置に搭載されたアンテナと当該シートアンテナとの間で行なわれる近接無線通信に基づいてユーザの認証を行ない、被制御装置の一例としての施解錠装置の動作を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-224446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、モバイル装置を用いる認証システムの利便性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための一態様は、認証システムであって、
ユーザによる携帯が可能であるモバイル装置から無線通信を通じて認証情報を受信するアンテナと、
静電容量変化に基づいて前記アンテナに対する被検出物の接近または接触を検出する検出部と、
前記認証情報を用いて前記モバイル装置を認証する認証処理が成立すると前記検出部による検出を有効にする制御装置と、
を備えている。
【0006】
上記の目的を達成するための一態様は、ユーザインターフェース装置であって、
ユーザによる携帯が可能であるモバイル装置から無線通信を通じて認証情報を受信するアンテナと、
静電容量変化に基づいて前記アンテナに対する被検出物の接近または接触を検出する検出部と、
前記認証情報を用いて前記モバイル装置を認証する認証処理が成立すると前記検出部による検出を有効にする処理部と、
を備えている。
【0007】
上記の各態様に係る構成によれば、モバイル装置との無線通信のために使用されるアンテナを、静電センサとしても利用できる。独立した静電センサを設置する必要がないので、ユーザインターフェース装置の大型化を抑制できるだけでなく、静電センサに使用される電極板がアンテナの周波数特性に影響を及ぼす事態の発生を回避できる。加えて、モバイル装置の認証処理が成立するまではアンテナの静電センサとしての機能が有効にされないので、静電センサとしての機能付加が無線通信中のアンテナの周波数特性に及ぼしうる影響を抑制できる。したがって、モバイル装置を用いる認証システムの利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る認証システムの構成を例示している。
図2図1の認証システムの機能構成を例示している。
図3図2のユーザインターフェース装置の構成を例示している。
図4図2のユーザインターフェース装置が内蔵されるノブを例示している。
図5図3のローパスフィルタを形成する回路の一例を示している。
図6図3のローパスフィルタを形成する回路の別例を示している。
図7図3の処理部により実行される処理の一例を示している。
図8図3の処理部により実行される処理の別例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例について以下詳細に説明する。各図においては、例示される各要素を認識可能な大きさとするために、縮尺を適宜に変更している。
【0010】
図1は、一実施形態に係る認証システム10の構成を例示している。認証システム10は、制御装置11と施解錠装置12を含んでいる。制御装置11と施解錠装置12は、車両20に搭載されている。施解錠装置12は、車両20の車室を開閉するドア21を施解錠する装置である。制御装置11は、施解錠装置12の動作を制御するように構成されている。施解錠装置12は、被制御装置の一例である。車両20は、移動体の一例である。ドア21は、開閉体の一例である。
【0011】
認証システム10は、ユーザインターフェース装置13を含んでいる(以下、UI装置13と略記する)。UI装置13は、ユーザ40により携帯可能なモバイル装置50から近接無線通信を通じて認証情報AUを取得するように構成されている。モバイル装置50は、電源を搭載していないカードなどの可搬媒体として提供されてもよいし、スマートフォンのような汎用携帯情報端末として提供されてもよい。認証情報AUは、ユーザ40とモバイル装置50の少なくとも一方を認証するための情報を含んでいる。
【0012】
本明細書において用いられる「近接無線通信」は、電磁誘導による結合を通じてモバイル装置から読取装置へ情報の送信を行なう非接触通信を意味する。近接無線通信を実行可能な技術としては、NFC(Near Field Communication)やRF-IDやなどが挙げられる。本明細書における「近接無線通信」は、標準規格であるIEEE802.15またはIEEE802.11に準拠しつつ電波を用いて行なわれる非接触通信である「短距離無線通信」とは区別される。短距離無線通信を実行可能な技術としては、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth Low Energy(登録商標)、超広帯域無線通信(Ultra Wide Band; UWB)、ZigBee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などが挙げられる。
【0013】
具体的には、図2に例示されるように、UI装置13は、アンテナ131を備えている。他方、モバイル装置50は、アンテナ51と処理部52を備えている。アンテナ51は、アンテナ131との間で電磁誘導結合を形成可能な周知の構成を備えている。近接無線通信が開始されると、処理部52は、不図示の記憶部から認証情報AUを読み出し、アンテナ51から送信するように構成されている。認証情報AUは、UI装置13のアンテナ131により受信される。
【0014】
このような機能を有する処理部52は、モバイル装置50がカードなどの可搬媒体として提供される場合、専用の集積回路により実現されうる。当該機能に係る処理を実行するためのコンピュータプログラムは、当該集積回路に含まれる記憶素子にプリインストールされる。認証情報AUは、当該記憶素子に格納されてもよい。
【0015】
モバイル装置50が汎用携帯情報端末として提供される場合、処理部52は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されうる。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUが例示されうる。汎用メモリとしては、ROMやRAMが例示されうる。この場合、ROMには、上記の機能に係る処理を実行するためのコンピュータプログラムが記憶されうる。認証情報AUは、当該汎用メモリに格納されてもよい。汎用マイクロプロセッサは、ROM上に記憶されたコンピュータプログラムの少なくとも一部を指定してRAM上に展開し、RAMと協働して上述した処理を実行する。
【0016】
処理部52は、上記のコンピュータプログラムを実行可能な専用集積回路によって実現されてもよい。専用集積回路としては、マイクロコントローラ、ACIC、FPGAなどが例示されうる。この場合、当該専用集積回路に含まれる記憶素子に上記のコンピュータプログラムがプリインストールされる。認証情報AUは、当該記憶素子に格納されてもよい。処理部52は、汎用マイクロプロセッサと専用集積回路の組合せによっても実現されうる。
【0017】
図3に例示されるように、UI装置13は、処理部132を備えている。本例に係るアンテナ131は、コイル131aとコンデンサ131bを含んでいる。コイル131aは、ループアンテナとして機能しうる。コンデンサ131bは、コイル131aと並列に接続されている。処理部132は、アンテナ131に電力を供給することにより、近接無線通信で使用される周波数の磁場を搬送波としてアンテナ131に放射させるように構成されている。
【0018】
例えば、処理部132は、搬送波を振幅変調することにより、モバイル装置50へ伝送される情報を重畳するように構成されている。他方、モバイル装置50のアンテナ51から放射される磁場によりアンテナ131に電流が流れる。処理部132は、当該電流に基づいて復調を行なうことにより、モバイル装置50から伝送された認証情報AUを抽出するように構成されている。処理部132は、抽出された認証情報AUを、制御装置11へ転送するように構成されている。
【0019】
UI装置13は、ハイパスフィルタ(HPF)133を備えている。HPF133は、アンテナ131と処理部132の間を行き来する交流信号のうち、少なくとも搬送波周波数成分を通過させるように構成されている。HPF133は、例えば直列接続されたコンデンサにより形成されうる。
【0020】
図2に例示されるように、制御装置11は、受付部111を備えている。受付部111は、UI装置13から送信された認証情報AUを受け付け可能なインターフェースとして構成されている。
【0021】
制御装置11は、処理部112を備えている。処理部112は、受付部111により受け付けられた認証情報AUを不図示の記憶部に格納されている認証情報と照合するように構成されている。両情報の一致が確認できた場合、処理部112は、認証処理が成立したと判断するように構成されている。
【0022】
制御装置11は、出力部113を備えている。認証処理が成立したことをUI装置13に報知する報知信号NTを出力するインターフェースとして構成されている。処理部112は、認証処理が成立したと判断すると、出力部113から報知信号NTを出力するように構成されている。
【0023】
図4に例示されるように、UI装置13は、車両20のドア21の開閉に使用されるノブ22に内蔵されている。ユーザ40がドア21を開閉するためにノブ22を把持するとき、ユーザ40の手はアンテナ131に接近する。アンテナ131を形成する導電材料の量が比較的多い場合、電極としての振る舞いが生じるようになる。すなわち、ユーザ40の手とアンテナ131の間に疑似的なコンデンサが形成され、アンテナ131の静電容量が増加する。
【0024】
図2に例示されるように、UI装置13は、検出部134を備えている。検出部134は、静電容量変化に基づいてアンテナ131に対するユーザ40の手の接近を検出するように構成されている。ユーザ40の手は、被検出物の一例である。
【0025】
アンテナ131を形成する導電材料の量を増やすには、ループアンテナの断面積を大きくする、ループアンテナの巻線数を増やす、導電線を太くするなどの手法が考えられる。特に導電線を太くする場合、アンテナ131について本来意図されている特性に及ぼす影響を抑制できる。
【0026】
具体的には、図3に例示されるように、検出部134は、ローパスフィルタ(LPF)134aと検出回路134bを含んでいる。LPF134aは、アンテナ131を流れる信号の低周波成分を検出回路134bへ通過させるように構成されている。
【0027】
LPF134aは、図5に例示されるスタブ線路や、図6に例示されるトラップ回路により実現されうる。スタブ線路における線長Lは、搬送波周波数に対応する波長の4分の1の長さを有するように設定される。トラップ回路は、インダクタとコンデンサにより形成される共振回路の共振周波数が搬送波周波数に一致するように設定される。
【0028】
アンテナ131の静電容量が増加することにより、アンテナ131を流れる信号の低周波数成分に変動が生じる。検出回路134bは、当該変動量に対応する検出信号DTを出力するように構成されている。
【0029】
図2に例示されるように、UI装置13の処理部132は、検出部134から出力された検出信号DTを制御装置11へ転送するように構成されている。
【0030】
したがって、制御装置11の受付部111は、UI装置13から送信された検出信号DTも受け付け可能なインターフェースとして構成されている。
【0031】
図3に例示されるように、UI装置13は、スイッチ135を備えている。スイッチ135は、アンテナ131に近接無線通信用の磁界を放射させる電流の流れを実現する第一回路状態と、アンテナ131にユーザ40の手の接近を静電容量変化に基づいて検出させる電流の流れを実現する第二回路状態とを切り替え可能に構成されている。
【0032】
具体的には、端子135aと端子135bが導通されることにより、第一回路状態が実現される。他方、端子135aと端子135cが導通されることにより、第二回路状態が実現される。スイッチ135による第一回路状態と第二回路状態の切り替え動作は、処理部132により制御される。
【0033】
図7は、処理部132によりなされるスイッチ135の動作制御の流れの一例を示している。
【0034】
まず、処理部132は、第一回路状態が実現されるようにスイッチ135を動作させる(STEP11)。これにより、アンテナ131からは近接無線通信用の磁界が放射される。
【0035】
続いて、処理部132は、アンテナ131を通じてモバイル装置50から認証情報AUを受信したかを判断する(STEP12)。認証情報AUが受信されたと判断されるまで、当該処理が繰り返される(STEP12においてNO)。
【0036】
認証情報AUが受信されたと判断されると(STEP12においてYES)、処理部132は、認証情報AUを制御装置11へ送信する(STEP13)。
【0037】
続いて、処理部132は、制御装置11から報知信号NTが受信されたかを判断する(STEP14)。換言すると、STEP13で送信された認証情報AUに基づいてモバイル装置50の認証処理が成立したかが判断される。
【0038】
認証情報AUが送信されてから所定時間が経過しても報知信号NTが受信されない場合、あるいは認証が成立しなかった旨が制御装置11から報知された場合(STEP14においてNO)、処理はSTEP11に戻る。
【0039】
制御装置11から報知信号NTが受信されると(STEP14においてYES)、処理部132は、第二回路状態が実現されるようにスイッチ135を動作させる(STEP15)。これにより、アンテナ131は、静電センサとして機能し始める。
【0040】
処理部132は、検出部134から出力される検出信号DTを、制御装置11へ送信する(STEP16)。
【0041】
すなわち、制御装置11の処理部112とUI装置13の処理部132は、認証情報AUを用いてモバイル装置50を認証する認証処理が成立すると、検出部134による静電的検出を有効にするように構成されている。
【0042】
上記の構成によれば、モバイル装置50との近接無線通信のために使用されるアンテナ131を、ユーザ40によるノブの把持を検出するための静電センサとしても利用できる。独立した静電センサを設置する必要がないので、UI装置13の大型化を抑制できるだけでなく、静電センサに使用される電極板がアンテナ131の周波数特性に影響を及ぼす事態の発生を回避できる。加えて、モバイル装置50の認証処理が成立するまではアンテナ131の静電センサとしての機能が有効にされないので、静電センサとしての機能付加が近接無線通信中のアンテナ131の周波数特性に及ぼしうる影響を抑制できる。したがって、モバイル装置50を用いる認証システム10の利便性を高めることができる。
【0043】
とりわけノブ22のように大きさが制限された構造にUI装置13が内蔵される場合、上記の効果はさらに顕著となる。
【0044】
制御装置11の処理部112は、受付部111により受け付けられた検出信号DTに対応するアンテナ131における信号の変動量が閾値を上回るかを判断するように構成されている。当該変動量が当該閾値を上回ると判断された場合、処理部112は、アンテナ131にユーザ40の手が接近したと判断するように構成されている。
【0045】
制御装置11の出力部113は、施解錠装置12にドア21の施解錠を行なわせる制御信号CTも出力するインターフェースとして構成されている。
【0046】
処理部112は、前述した認証情報AUに基づくモバイル装置50の認証が成立し、かつアンテナ131にユーザ40の手が接近したと判断された場合に、出力部113から制御信号CTを出力するように構成されている。
【0047】
なお、UI装置13の処理部132は、アンテナ131における信号の変動量が閾値を上回る場合にのみ検出信号DTを出力するように構成されうる。この場合、制御装置11の処理部112は、受付部111により検出信号DTが受け付けられた事実をもってアンテナ131にユーザ40の手が接近したと判断する。
【0048】
このような構成によれば、ユーザ40が適正なモバイル装置50をノブ22に近接させ、かつノブ22を把持することにより、施解錠装置12によるドア21の施解錠が許容される。ユーザ40がノブ22を把持する際には、ドア21を開閉する意思を有している蓋然性が高い。モバイル装置50の認証成立のみでドア21の施解錠を許容するのではなく、ノブ22の把持検出を動作許容条件に加えることにより、ドア21を開閉する意思のない状況下で予期せず施解錠がなされてしまう事態の発生を抑制できる。
【0049】
施解錠装置12にドア21の施解錠を行なわせる制御信号CTは、UI装置13の処理部132にも入力されうる。
【0050】
図7に例示されるように、処理部132は、制御装置11から制御信号CTが受信されたかを判断する(STEP17)。換言すると、STEP16で送信された検出信号DTに基づいて施解錠装置12の動作が許容されたかが判断される。制御信号CTが受信されたと判断されるまで、当該処理が繰り返される(STEP17においてNO)。
【0051】
制御装置11から制御信号CTが受信されたと判断されると(STEP17においてYES)、処理は終了する。
【0052】
これまで説明した各種の機能を有するUI装置13の処理部132は、各種の機能に係る処理を実行するためのコンピュータプログラムを実行可能な専用集積回路によって実現されうる。専用集積回路としては、マイクロコントローラ、ACIC、FPGAなどが例示されうる。この場合、当該専用集積回路に含まれる記憶素子に上記のコンピュータプログラムがプリインストールされる。認証情報AUは、当該記憶素子に格納されてもよい。
【0053】
これまで説明した各種の機能を有する制御装置11の処理部112は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されうる。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUが例示されうる。汎用メモリとしては、ROMやRAMが例示されうる。この場合、ROMには、各種の機能に係る処理を実行するためのコンピュータプログラムが記憶されうる。照合に供される認証情報は、当該汎用メモリに格納されてもよい。汎用マイクロプロセッサは、ROM上に記憶されたコンピュータプログラムの少なくとも一部を指定してRAM上に展開し、RAMと協働して上述した処理を実行する。
【0054】
処理部112は、上記のコンピュータプログラムを実行可能な専用集積回路によって実現されてもよい。専用集積回路としては、マイクロコントローラ、ACIC、FPGAなどが例示されうる。この場合、当該専用集積回路に含まれる記憶素子に上記のコンピュータプログラムがプリインストールされる。照合に供される認証情報は、当該記憶素子に格納されてもよい。処理部112は、汎用マイクロプロセッサと専用集積回路の組合せによっても実現されうる。
【0055】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【0056】
上記の実施形態においては、UI装置13のアンテナ131は、モバイル装置50と近接無線通信を行なうためのループアンテナとして機能しうるコイル131aを含むように形成されている。しかしながら、アンテナ131は、モバイル装置50と短距離無線通信を行なうための平面アンテナとして形成されてもよい。この場合、平面アンテナを静電センサの電極として利用できる。
【0057】
アンテナ131の形状によっては、近接無線通信と短距離無線通信の双方をモバイル装置50と行なえる。この場合、スイッチ135は、前述した第一回路状態と第二回路状態に加えて、アンテナ131に短距離無線通信用の電波を送信させる電流の流れを実現する第三回路状態をとりうるように構成される。
【0058】
図8は、この場合において処理部132によりなされうるスイッチ135の動作制御の流れの別例を示している。図7に示された例と実質的に同一の処理については同一の参照符号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。
【0059】
処理部132は、STEP11において第一回路状態が実現されるようにスイッチ135を動作させた後、近接無線通信を通じてモバイル装置50から取得された認証情報AUに基づいて第一所定時間内に認証が成立したかを判断する(STEP21)。具体的には、図7のSTEP12からSTEP14を参照して説明した処理が行なわれる。
【0060】
第一所定時間内に認証が成立したと判断されると(STEP21においてYES)、処理部132は、第二回路状態が実現されるようにスイッチ135を動作させる(STEP15)。これにより、アンテナ131は、静電センサとして機能し始める。その後の処理の流れは、図7に示される例と同じである。
【0061】
第一所定時間内に認証が成立しなかったと判断されると(STEP21においてNO)、処理部132は、第三回路状態が実現されるようにスイッチ135を動作させる(STEP22)。
【0062】
続いて、処理部132は、短距離無線通信を通じてモバイル装置50から取得された認証情報AUに基づいて第二所定時間内に認証が成立したかを判断する(STEP23)。第二所定時間は、第一所定時間と同じであってもよいし、異なっていてもよい。具体的には、図7のSTEP12からSTEP14を参照して説明した処理が行なわれる。
【0063】
なお、短距離無線通信を通じてモバイル装置から取得される認証情報AUは、近距離無線通信を通じてモバイル装置から取得される認証情報AUと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0064】
第二所定時間内に認証が成立したと判断されると(STEP23においてYES)、処理部132は、第二回路状態が実現されるようにスイッチ135を動作させる(STEP15)。これにより、アンテナ131は、静電センサとして機能し始める。その後の処理の流れは図7に示される例と同じである。
【0065】
第二所定時間内に認証が成立しなかったと判断されると(STEP23においてNO)、処理部132は処理をSTEP11に戻し、第一回路状態が実現されるようにスイッチ135を動作させる。すなわち、処理部132は、近接無線通信と短距離無線通信のいずれかに基づいてモバイル装置50の認証処理が成立するまで、アンテナ131が近接無線通信を通じて認証情報AUを受信する状態とアンテナ131が短距離無線通信を通じて認証情報AUを受信する状態とを切り替える。
【0066】
このような構成によれば、UI装置13の大型化を抑制しつつ、モバイル装置50から認証情報AUを受信できる可能性を高めることができる。
【0067】
上記の実施形態においては、UI装置13のアンテナ131は、コイル131aとコンデンサ131bを含んでいる。しかしながら、コンデンサ131bは省略されうる。なお、コンデンサ131bに加えてあるいは代えて、アンテナ131は、補助インダクタ素子を含みうる。補助インダクタ素子は、コイル131aに対して直列に接続されてもよいし、並列に接続されてもよい。
【0068】
上記の実施形態においては、UI装置13のアンテナ131は、ノブ22に内蔵されている。しかしながら、アンテナ131は、ノブ22の表面に露出するように配置されてもよい。この場合、検出部134は、静電容量変化に基づいてユーザ40の手のアンテナ131に対する接近または接触を検出するように構成される。
【0069】
上記の実施形態においては、同一のモバイル装置50が近接無線通信と短距離無線通信の双方を実行可能に構成されている。しかしながら、近接無線通信を行なうためのモバイル装置と短距離無線通信を行なうためのモバイル装置とは異なっていてもよい。
【0070】
認証システム10が搭載される移動体は、車両20に限られない。その他の移動体の例としては、鉄道、航空機、船舶などが挙げられる。当該移動体は、運転者を必要としなくてもよい。
【0071】
施解錠装置12により施解錠される開閉体は、車両20のドア21に限られない。住宅や施設における扉や窓もまた開閉体の一例になりうる。
【0072】
制御装置11により動作が制御される装置は、施解錠装置に限られない。モバイル装置50の認証成立と被検出物のアンテナ131への接近または接触の検出が契機になるのであれば、移動体、住宅、施設などに設置された各種設備が被制御装置になりうる。用途に応じて、ユーザ40の手以外の身体部位や各種の道具が被検出物になりうる。
【符号の説明】
【0073】
10:認証システム、11:制御装置、12:施解錠装置、13:ユーザインターフェース装置、131:アンテナ、132:処理部、134:検出部、20:車両、21:ドア、22:ノブ、40:ユーザ、50:モバイル装置、AU:認証情報
図1
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図8