(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-28
(45)【発行日】2025-03-10
(54)【発明の名称】ミスト回収ユニット及びそれを備えたインクジェット印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/17 20060101AFI20250303BHJP
【FI】
B41J2/17 103
(21)【出願番号】P 2021155333
(22)【出願日】2021-09-24
【審査請求日】2024-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 勇斗
(72)【発明者】
【氏名】徳山 真裕
【審査官】上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-056186(JP,A)
【文献】特開2001-080092(JP,A)
【文献】特開2017-121703(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0188546(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク滴のミストを回収するミスト回収ユニットにおいて、
ミストを含む気体を導入する導入管と、
底面が開放され、長手方向における一端側に吸引口が形成され、長手方向における他端側であって、天井面に前記導入管の上部が開口するように取り付けられたミスト導入ボックスと、
天井面が開放され、前記導入管の下端と底面とが離間し、その内側面と前記導入管の外側面とが離間した状態で、前記ミスト導入ボックスの下部に取り付けられた回収ボックスと、
を備え、
前記吸引口から前記ミスト導入ボックス及び前記回収ボックスの内部雰囲気を吸引することにより、前記導入管から前記気体を前記回収ボックスに導入し、前記気体に含まれているミストを前記回収ボックスの内面で捕捉させることを特徴とするミスト回収ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のミスト回収ユニットにおいて、
前記導入管の外側面のうち、長手方向における前記吸引口側の外側面と前記吸引口との間で、前記ミスト導入ボックスと前記回収ボックスとにより形成された空間と、
前記空間に立設された第1の部材と、
前記空間にて前記第1の部材よりも長手方向において前記吸引口側に配置された第2の部材と、
をさらに備え、
前記第1の部材は、その側面と前記導入管の外側面とが離間した状態で前記導入管の下端の高さより当該第1の部材の上端の高さのほうが高い状態で設けられ、その上端と前記ミスト導入ボックスの天井面とが離間するように前記回収ボックスの底面に設けられ、
前記第2の部材は、その下端と前記回収ボックスの底面とが離間し、前記第1の部材の上端の高さよりも、前記下端の高さが低くなるように、前記ミスト導入ボックスの天井面から垂下して設けられていることを特徴とするミスト回収ユニット。
【請求項3】
請求項1に記載のミスト回収ユニットにおいて、
前記導入管の外側面と、前記導入管の外側面に臨んで対向している前記回収ボックスの内側面との距離dは、前記導入管の下端と前記回収ボックスの底面との間隔をd1とした場合、距離d=2・d1であることを特徴とするミスト回収ユニット。
【請求項4】
請求項2に記載のミスト回収ユニットにおいて、
前記導入管の外側面と、前記導入管の外側面に臨んで対向している前記回収ボックスの内側面との距離d、及び前記導入管の外側面と前記第1の部材との長手方向の距離dは、前記導入管の下端と前記回収ボックスの底面との間隔をd1とした場合、距離d=2・d1であることを特徴とするミスト回収ユニット。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のミスト回収ユニットにおいて、
前記回収ボックスは、一対の付勢された球状部材を凹部にて離間して対向配置されてなるメス部と、前記凹部に係合する係合部材を備えたオス部とで構成されたボールキャッチで前記ミスト導入ボックスに対して着脱自在に取り付けられていることを特徴とするミスト回収ユニット。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のミスト回収ユニットにおいて、
前記回収ボックスは、底面及び側面を覆う敷紙が敷かれていることを特徴とするミスト回収ユニット。
【請求項7】
印刷媒体にインク滴を吐出して印刷を行うインクジェット印刷装置において、
前記印刷媒体を搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラで搬送されている前記印刷媒体にインク滴を吐出する印刷ヘッドと、
前記搬送ローラの端部に配置され、前記印刷ヘッドから吐出されたインク滴に伴うミストを回収するミスト回収ユニットと、
を備え、
前記ミスト回収ユニットは、
ミストを含む気体を導入する導入管と、
底面が開放され、長手方向における一端側に吸引口が形成され、長手方向における他端側であって、天井面に前記導入管の上部が開口するように取り付けられたミスト導入ボックスと、
天井面が開放され、前記導入管の下端と底面とが離間し、前記導入管の外側面と内側面とが離間した状態で、前記ミスト導入ボックスの下部に取り付けられた回収ボックスと、
を備え、
前記吸引口から吸引することにより、前記導入管から前記気体を前記回収ボックスに導入し、前記気体に含まれているミストを前記回収ボックスの内面で捕捉させることを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項8】
請求項7に記載のインクジェット印刷装置において、
前記ミスト回収ユニットは、前記搬送ローラの長手方向における一端側を基準とし、前記一端側に前記印刷媒体の幅方向における端部を寄せた状態で、各種の幅寸法の前記印刷媒体が搬送される場合には、前記搬送ローラの他端側に配置されていることを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項9】
請求項8に記載のインクジェット印刷装置において、
前記ミスト回収ユニットは、平面視にて、前記印刷媒体の最大幅のものが搬送される際に、前記他端側における前記印刷媒体の端部よりも、外側に少なくとも前記導入管の一部が配置されていることを特徴とするインクジェット印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク滴のミストを回収するミスト回収ユニット及びそれを備えたインクジェット印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、インク滴を空吐出する際にインク滴をミストとともに回収するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この装置は、吐出液滴導入通路と、ミスト気流減衰通路と、ミスト収容空間とを備えている。吐出液滴導入通路は、液滴入り口から液滴とミストを導入する。ミスト気流減衰通路は、斜面と対向する気流反射面とを備え、吐出液滴導入通路から導入した液滴を斜面と気流反射面とに衝突させ、液滴のエネルギーを減衰させる。ミストは、ミスト気流減衰通路及びミスト収容空間において回収される。ミスト気流減衰通路及びミスト収容空間は、平面視にて、液滴入り口を挟んで対向する両側に、液滴入り口の長手方向に形成されている。吸引は、ミスト収容空間において、ミスト気流減衰通路の斜面及び気流反射面に沿った長手方向から行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の装置は、ミスト気流減衰通路の短い経路において気流の反転が複数回行われるので、斜面及び気流反射面においてミストが捕捉され易い。ミストは、気流の反転箇所において特に付着しやすいので、ミストが狭い領域に集中的に付着する。したがって、徐々にミスト気流減衰通路の圧力損失が大きくなって、気流が減少し、ミストを捕捉する能力が低下して、ミストの回収効率が低下していく。換言すると、長期間にわたって回収効率を維持できない問題がある。ミストの回収効率が低下すると、装置内の他の部分にミストが付着して汚染することになり、装置の故障が生じたり、メンテナンスに余分な時間を必要としたりする。また、メンテナンスの頻度が高くなる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、長期間にわたってミストの回収効率を維持できるミスト回収ユニット及びそれを備えたインクジェット印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、インク滴のミストを回収するミスト回収ユニットにおいて、ミストを含む気体を導入する導入管と、底面が開放され、長手方向における一端側に吸引口が形成され、長手方向における他端側であって、天井面に前記導入管の上部が開口するように取り付けられたミスト導入ボックスと、天井面が開放され、前記導入管の下端と底面とが離間し、その内側面と前記導入管の外側面とが離間した状態で、前記ミスト導入ボックスの下部に取り付けられた回収ボックスと、を備え、前記吸引口から前記ミスト導入ボックス及び前記回収ボックスの内部雰囲気を吸引することにより、前記導入管から前記気体を前記回収ボックスに導入し、前記気体に含まれているミストを前記回収ボックスの内面で捕捉させることを特徴とするものである。
【0008】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、導入管の下端から導入された気体に含まれるミストは、回収ボックスの底面と、平面視で導入管の全周囲に存在する回収ボックスの内側面とで捕捉される。したがって、従来に比較して捕捉可能な面積を増大できるので、ミストを薄く広い面積で捕捉できる。そのため、流路が狭くなることを抑制できるので、気流の流量をほぼ一定に維持できる。その結果、長期間にわたってミストの回収効率を維持できる。
【0009】
また、本発明において、前記導入管の外側面のうち、長手方向における前記吸引口側の外側面と前記吸引口との間で、前記ミスト導入ボックスと前記回収ボックスとにより形成された空間と、前記空間に立設された第1の部材と、前記空間にて前記第1の部材よりも長手方向において前記吸引口側に配置された第2の部材と、をさらに備え、前記第1の部材は、その側面と前記導入管の外側面とが離間した状態で前記導入管の下端の高さより当該第1の部材の上端の高さのほうが高い状態で設けられ、その上端と前記ミスト導入ボックスの天井面とが離間するように前記回収ボックスの底面に設けられ、前記第2の部材は、その下端と前記回収ボックスの底面とが離間し、前記第1の部材の上端の高さよりも、前記下端の高さが低くなるように、前記ミスト導入ボックスの天井面から垂下して設けられていることが好ましい(請求項2)。
【0010】
第1の部材と第2の部材とを空間に配置することで、気流が吸気口に達するまでに、さらに第1の部材と第2の部材とでミストを捕捉できる。したがって、さらにミストの回収効率を向上できる。
【0011】
また、本発明において、前記導入管の外側面と、前記導入管の外側面に臨んで対向している前記回収ボックスの内側面との距離dは、前記導入管の下端と前記回収ボックスの底面との間隔をd1とした場合、距離d=2・d1であることが好ましい(請求項3)。
【0012】
このような寸法とすることにより、導入管から導入されて、回収ボックスの底面から周囲に広がって上昇する気体の流れについて、回収ボックスでミストを捕捉しやすくできる。
【0013】
また、本発明において、前記導入管の外側面と、前記導入管の外側面に臨んで対向している前記回収ボックスの内側面との距離d、及び前記導入管の外側面と前記第1の部材との長手方向の距離dは、前記導入管の下端と前記回収ボックスの底面との間隔をd1とした場合、距離d=2・d1であることが好ましい(請求項4)。
【0014】
このような寸法とすることにより、導入管から導入されて、回収ボックスの底面から周囲に広がって上昇する気体の流れについて、回収ボックス及び第1の部材でミストを捕捉しやすくできる。
【0015】
また、本発明において、前記回収ボックスは、一対の付勢された球状部材を凹部にて離間して対向配置されてなるメス部と、前記凹部に係合する係合部材を備えたオス部とで構成されたボールキャッチで前記ミスト導入ボックスに対して着脱自在に取り付けられていることが好ましい(請求項5)。
【0016】
ボールキャッチにより、回収ボックスをミスト導入ボックスに対して容易に着脱できる。したがって、メンテナンスを容易に行うことができる。また、ホースが導入管側(固定側であるミスト導入ボックス)へ取り付けられているので、ホースの着脱の手間がなく、容易に着脱できる。
【0017】
また、本発明において、前記回収ボックスは、底面及び側面を覆う敷紙が敷かれていることが好ましい(請求項6)。
【0018】
回収ボックスの敷紙を交換することで、回収ボックスを素早く清浄化できる。したがって、メンテナンスを短時間で行うことができる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、印刷媒体にインク滴を吐出して印刷を行うインクジェット印刷装置において、前記印刷媒体を搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラで搬送されている前記印刷媒体にインク滴を吐出する印刷ヘッドと、前記搬送ローラの端部に配置され、前記印刷ヘッドから吐出されたインク滴に伴うミストを回収するミスト回収ユニットと、を備え、前記ミスト回収ユニットは、ミストを含む気体を導入する導入管と、底面が開放され、長手方向における一端側に吸引口が形成され、長手方向における他端側であって、天井面に前記導入管の上部が開口するように取り付けられたミスト導入ボックスと、天井面が開放され、前記導入管の下端と底面とが離間し、前記導入管の外側面と内側面とが離間した状態で、前記ミスト導入ボックスの下部に取り付けられた回収ボックスと、を備え、前記吸引口から吸引することにより、前記導入管から前記気体を前記回収ボックスに導入し、前記気体に含まれているミストを前記回収ボックスの内面で捕捉させることを特徴とするものである。
【0020】
[作用・効果]請求項7に記載の発明によれば、印刷ヘッドから吐出されたインク滴に伴うミストは、搬送ローラで搬送される印刷媒体の上面を漂う。このミストは、気体に乗って導入管から導入される。ミストは、回収ボックスの底面と、平面視で導入管の全周囲に存在する回収ボックスの内側面とで捕捉される。したがって、従来に比較して捕捉可能な面積を増大できるので、ミストを薄く広い面積で捕捉できる。そのため、流路が狭くなることを抑制できるので、気流の流量をほぼ一定に維持できる。その結果、長期間にわたってミストの回収効率を維持できる。また、メンテナンスによるダウンタイムを短縮でき、稼働率を向上できる。
【0021】
また、本発明において、前記ミスト回収ユニットは、前記搬送ローラの長手方向における一端側を基準とし、前記一端側に前記印刷媒体の幅方向における端部を寄せた状態で、各種の幅寸法の前記印刷媒体が搬送される場合には、前記搬送ローラの他端側に配置されていることが好ましい(請求項8)。
【0022】
各種の幅寸法の印刷媒体を印刷する際に、ミスト回収ユニットを好適に動作させることができる。
【0023】
また、本発明において、前記ミスト回収ユニットは、平面視にて、前記印刷媒体の最大幅のものが搬送される際に、前記他端側における前記印刷媒体の端部よりも、外側に少なくとも前記導入管の一部が配置されていることが好ましい(請求項9)。
【0024】
最大幅の印刷媒体を印刷する際に、ミスト回収ユニットを好適に動作させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るミスト回収ユニットによれば、導入管の下端から導入された気体に含まれるミストは、回収ボックスの底面と、平面視で導入管の全周囲に存在する回収ボックスの内側面とで捕捉される。したがって、従来に比較して捕捉可能な面積を増大できるので、ミストを薄く広い面積で捕捉できる。そのため、流路が狭くなることを抑制できるので、気流の流量をほぼ一定に維持できる。その結果、長期間にわたってミストの回収効率を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施例に係るインクジェット印刷システムの全体構成を示す図である。
【
図2】印刷ヘッド及び複数個のヘッドユニットと連続紙との位置関係を示す平面図である。
【
図3】ミスト回収ユニットを搬送方向の上流側から見た縦断面図である。
【
図4】ミスト回収ユニットの詳細を示す縦断面図である。
【
図5】回収ボックスの着脱構造を示す斜視図である。
【
図6】ミスト回収ユニットの気体の流れを示す模式図である。
【
図7】ミスト回収ユニットの変形例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の一実施例について説明する。
【0028】
<1.全体構成>
図1は、実施例に係るインクジェット印刷システムの全体構成を示す図である。
図2は、印刷ヘッド及び複数個のヘッドユニットと連続紙との位置関係を示す平面図である。
【0029】
本実施例に係るインクジェット印刷システム1は、給紙部3と、インクジェット印刷装置5と、排紙部7とを備えている。
【0030】
給紙部3は、例えば、ロール状の連続紙WPを水平軸周りに回転可能に保持している。給紙部3は、インクジェット印刷装置5に対して連続紙WPを巻き出して供給する。排紙部7は、インクジェット印刷装置5で印刷された連続紙WPを水平軸周りに巻き取る。連続紙WPの供給側を上流とし、連続紙WPの排紙側を下流とすると、給紙部3はインクジェット印刷装置5の上流側に配置されており、排紙部7はインクジェット印刷装置5の下流側に配置されている。
【0031】
ここで、連続紙WPが給紙部3から排紙部7に搬送される方向を搬送方向X(副走査方向)とする。連続紙WPの搬送方向Xと水平方向で直交する、
図1における紙面の奥手前方向を幅方向Y(主走査方向)とする。搬送方向Xと幅方向Yに直交する方向を高さ方向Zとする。
【0032】
インクジェット印刷装置5は、給紙部3からの連続紙WPを取り込むための駆動ローラ9を搬送方向Xにおける上流側に備えている。駆動ローラ9によって給紙部3から巻き出された連続紙WPは、複数個の搬送ローラ11に沿って搬送方向Xの上流側から下流側に向かって搬送される。最下流の搬送ローラ11と排紙部7との間には、駆動ローラ13が配置されている。駆動ローラ13は、搬送ローラ11上を搬送方向Xに搬送されている連続紙WPを搬送し、排紙部7に向かって連続紙WPを送り出す。
【0033】
なお、上述した連続紙WPが本発明における「印刷媒体」に相当する。
【0034】
インクジェット印刷装置5は、駆動ローラ9と駆動ローラ13との間に、印刷ユニット15と、乾燥部17と、検査部19とを搬送方向Xにおける上流側から下流側に向かってその順序で備えている。乾燥部17は、印刷ユニット15によって印刷された画像の乾燥を行う。検査部19は、印刷された部分を読み取り、印刷面に汚れや抜け等がないかを画像処理により検査する。
【0035】
印刷ユニット15は、搬送ローラ11による連続紙WPの搬送経路に対して高さ方向Zに離間して配置されている。印刷ユニット15は、連続紙WPに向けてインク滴を吐出する印刷ヘッド21を備えている。印刷ヘッド21は、インク滴を吐出する複数個の吐出孔(不図示)を吐出面に備えている。印刷ヘッド21の吐出面は、連続紙WPに対向した下面に位置している。本実施例では、4個の印刷ヘッド21を備えている構成を例にとって説明する。各印刷ヘッド21は、幅方向Yに長軸を有する。各印刷ヘッド21は、連続紙WPの全幅にわたって印刷できるように、連続紙WPの幅を超える長さを有する。
【0036】
本実施例では、搬送方向Xの給紙部3側である上流から、搬送方向Xの排紙部7側である下流に向かって順に、印刷ヘッド21aと、印刷ヘッド21bと、印刷ヘッド21cと、印刷ヘッド21dとから印刷ヘッド21が構成されている。本明細書では、各印刷ヘッド21を区別する必要がある場合には、符号21に符号(aなど)を付加するが、区別する必要がない場合には、単に符号21のみの印刷ヘッド21とする。印刷ヘッド21a~21dは、少なくとも2色のインク滴を吐出し、連続紙WPに多色印刷が可能に構成されている。ここでは、例えば、印刷ヘッド21aがブラック(K)インクを吐出し、印刷ヘッド21bがシアン(C)インクを吐出し、印刷ヘッド21cがマゼンタ(M)インクを吐出し、印刷ヘッド21dがイエロー(Y)インクを吐出する。各印刷ヘッド21a~21dは、搬送方向Xに沿って所定距離だけ互いに離間して配置されている。
【0037】
各印刷ヘッド21の高さ方向Zにおける下方には、それぞれにユニットフレーム23が配置されている。印刷ヘッド21の下方には、所定距離だけ離間してユニットフレーム23が配置されている。ユニットフレーム23は、例えば、搬送ローラ11が回転可能に取り付けられた装置フレーム(不図示)に取り付けられている。ユニットフレーム23は、印刷ヘッド21における幅方向Yの長さよりやや長い。ユニットフレーム23は、印刷ヘッド21における搬送方向Xの幅よりやや幅が大きい。
【0038】
ユニットフレーム23は、ミスト回収ユニット25を備えている。ミスト回収ユニット25は、印刷ヘッド21が吐出するインク滴のミストを回収する。ミスト回収ユニット25は、インク滴のミストを含む気体を吸引してミストを回収する。
【0039】
インクジェット印刷装置3は、例えば、ファンボックス27を備えている。ファンボックス27は、ファンを内蔵し、気体の吸引を行う。ファンボックス27は、全てのミスト回収ユニット25に個別のホース29で連結されている。ホース29は、ミスト回収ユニット25とファンボックス27とを直接的に連通接続する。ホース29は、ミスト回収ユニット25からの気体が流通する。
【0040】
なお、インクジェット印刷システム1が配置されている場所では、インクジェット印刷装置5の外部に吸引排気を行うユーティリティを備えている場合がある。この場合には、ファンボックス27に代えてユーティリティにホース29を接続してもよい。
【0041】
インクジェット印刷装置3は、制御部31を備えている。制御部31は、図示しないCPUやメモリを備えている。制御部31は、図示しない外部コンピュータから印刷データを受け取る。制御部31は、印刷データを印刷処理用データに変換した後、駆動ローラ9,13を操作して連続紙WPを搬送方向Xに搬送させる。制御部31は、印刷処理用データに応じて印刷ヘッド21からインク滴を吐出させる。このようにして、制御部31は、印刷データに基づく画像を連続紙WPに印刷させる。
【0042】
図2に示すように、連続紙WPは、基準線LRを基準としてセットされる。基準線LRは、例えば、幅方向Yにおける一端側を基準とする。本実施例では、搬送方向Xの上流側から見て右側の端部を基準線LRとする。連続紙WPは、様々な幅寸法のものが存在している。連続紙WPは、種々の印刷データや最終印刷物の仕様に応じた幅のものが選択されてセットされる。その際には、連続紙WPの端部を基準線LRに一致させた状態でセットされる。
【0043】
図2は、このインクジェット印刷システム1で印刷可能な最大幅の連続紙WPをセットした状態を示す。この状態であっても、後述するミスト回収ユニット25に連通した貫通穴41の一部が露出する位置にミスト回収ユニット25が配置されている。換言すると、最大幅の連続紙WPを配置した状態であっても、基準線LRとは反対側における連続紙WPの端部よりも外側に、ミスト回収ユニット25の吸引口49のうちの少なくとも一部が開口する。これにより、ミスト回収ユニット25は、どのような幅の連続紙WPがセットされてもミストを回収できる。換言すると、各種の幅寸法の連続紙WPを印刷したり、最大幅の印刷媒体を印刷したりする際に、ミスト回収ユニット25を好適に動作させることができる。
【0044】
因みに、最大幅より狭い幅の連続紙WPがセットされている場合、制御部31は、連続紙WPが存在していない場所に対しては、印刷データに基づくインク滴の吐出を指示しない。しかし、制御部31は、連続紙WPが存在していない場所に対しては、所定のデータに基づいてインク滴を吐出するように指示を行う。これは、吐出を長時間にわたって行わないことにより、印刷ヘッド21の吐出孔の状態が他の部分と変わることが原因で印刷品質が不均一になるのを防止するためである。
【0045】
<2.ミスト回収ボックスの構成>
ここで、
図3及び
図4を参照する。
図3は、ミスト回収ユニットを搬送方向の上流側から見た縦断面図である。
図4は、ミスト回収ユニットの詳細を示す縦断面図である。
【0046】
ユニットフレーム23は、一部位に取り付け凹部33が形成されている。取り付け凹部33は、ユニットフレーム23の上下面に貫通して形成されている。ユニットフレーム23の上面であって、印刷ヘッド21の下方には、トレイ35が取り付けられている。トレイ35は、凹状を呈する。トレイ35は、幅方向Yの長さが印刷ヘッド15の実効長さよりやや長い。ここで、実効長さとは、印刷ヘッド15の幅方向Yにおける外形上の長さではない。実効長さとは、印刷ヘッド15の幅方向Yにおいて、インク滴を吐出する吐出面の幅方向Yにおける長さである。トレイ35は、印刷ヘッド15の実効長さの両端を含むように、印刷ヘッド15の下方でユニットフレーム23の上面に取り付けられている。トレイ35は、底面に開口部37が形成されている。トレイ35は、平面視にて取り付け凹部33の内部に開口部37が位置するように、ユニットフレーム23に取り付けられている。開口部37は、平面視における面積が取り付け凹部33の面積より小さい。
【0047】
トレイ35は、スポンジ39を備えている。スポンジ39は、多孔質部材である。スポンジ39は、インク滴を吸収する特性を有する。スポンジ39は、開口部37に対応する位置に貫通穴41が形成されている。貫通穴41は、平面視における面積が開口部37より若干大きい。スポンジ39は、貫通穴41が平面視にて開口部37を包含するようにトレイ35に配置されている。
【0048】
ユニットフレーム23の下面には、ミスト回収ボックス25が取り付けられている。具体的には、ミスト回収ボックス25は、ユニットフレーム23の取り付け凹部33に取り付けられている。ミスト回収ボックス25は、導入管43と、ミスト導入ボックス45と、回収ボックス47とを備えている。ミスト導入ボックス45と回収ボックス47とは、空間SPを形成している。ミスト回収ボックス25は、幅方向Yに長軸を有する。ミスト回収ボックス25は、長軸が幅方向Yに一致するようにユニットフレーム23に取り付けられている。
【0049】
導入管43は、中空状を呈する。導入管43は、例えば、横断面が矩形状を呈する。導入管43は、横断面が円形状の筒状体であってもよい。導入管43は、印刷ヘッド21が吐出したインク滴や、インク滴によるミストを含む気体(空気)を導入する。導入管43は、高さ方向Zに気体が流通する。導入管43は、例えば、折り曲げ部43aが形成されている。折り曲げ部43aは、導入管43の上端が外側に折り曲げて形成されている。導入管43は、空間SPに突出している。
【0050】
ミスト導入ボックス45は、底面が開放され、天井面を有する。ミスト導入ボックス45は、幅方向Yにおける一端側に吸引口49が形成されている。吸引口49は、ミスト導入ボックス45のうち、側板51に形成されている。詳細には、側板51のうち、傾斜姿勢とされた面に形成されている。
【0051】
ミスト導入ボックス45は、導入穴53が形成されている。導入穴53は、ミスト導入ボックス45の天井面に形成されている。導入穴53は、ミスト導入ボックス45の幅方向Yにおける他端側に形成されている。換言すると、導入穴53は、幅方向Yにおいて吸引口49の反対側に形成されている。導入穴53は、トレイ35の開口部37とほぼ同じ開口面積を有する。ミスト導入ボックス45は、平面視で導入穴53が、トレイ35の開口部37に一致するように、ユニットフレーム23の取り付け凹部33に取り付けられている。
【0052】
吸引口49は、吸引管55が取り付けられている。吸引管55は、その一端側が側板51に取り付けられている。吸引管55は、側板51の傾斜面に中心線が直交する姿勢で取り付けられている。吸引管55は、その他端側にホース29が連通接続されている。
【0053】
ミスト導入ボックス45は、導入管43が天井面に取り付けられている。具体的には、導入管43は、折り曲げ部43aがミスト導入ボックス45の天井面に取り付けられている。導入管43は、平面視にて導入穴53と導入管43の内側面とが一致するように取り付けられている。
【0054】
ミスト導入ボックス45は、水平板57を有する。水平板57は、側板51の傾斜面から幅方向Yの他端側へ延出されている。水平板57は、ミスト導入ボックス45の底面の一部を形成している。ミスト導入ボックス45は、幅方向Yにおける他端側に延出部59を備えている。延出部59は、ミスト導入ボックス45の外側面から幅方向Yに水平に延出されている。
【0055】
ミスト導入ボックス45は、垂下板60を備えている。垂下板60は、空間SPに突出している。ミスト導入ボックス45は、天井面に垂下板60が取り付けられている。垂下板60は、幅方向Yにおいて、導入穴53と吸引口49との間に取り付けられている。詳細には、垂下板60は、導入穴53よりも吸引口49に近い位置に取り付けられている。垂下板60は、幅方向Yから見た場合、ミスト導入ボックス45の内側面との間に隙間がない。換言すると、垂下板60は、搬送方向Xに臨む側端面がミスト導入ボックス45の内側面に当接している。
【0056】
ミスト導入ボックス45の下部には、回収ボックス47が取り付けられている。回収ボックス47は、鍔部61を形成されている。鍔部61は、回収ボックス47の側板63の上端を水平方向の外側に折り曲げて形成されている。鍔部61は、平面視で回収ボックス47の周りを囲うように形成されている。側板63は、高さ方向Zに沿ったほぼ鉛直な姿勢である。回収ボックス47は、シール部材65を備えている。シール部材65は、鍔部61の上面に取り付けられている。シール部材65は、弾性を有する。シール部材65は、インクを密閉可能な材質である。シール部材65は、ミスト回収ユニット25内を液密に保持する。
【0057】
回収ボックス47は、ミスト導入ボックス45に取り付けられた状態において、導入管43の下端が底面と離間する。導入管43の下端は、高さ方向Zにおいて、ミスト導入ボックス45の水平板57よりも回収ボックス47の底面側に位置する。上述した垂下板60は、高さ方向Zにおいて、導入管43の下端とほぼ同じ位置に下端が位置する。垂下板60は幅方向Yから見た場合、回収ボックス47の内側面との間に隙間がない。換言すると、垂下板60は、搬送方向Xに臨む側端面が回収ボックス45の内側面に当接している。
【0058】
回収ボックス47は、立設板67を備えている。回収ボックス47は、底面に立設板67を取り付けられている。立設板67は、空間SPに突出している。立設板67は、幅方向Yにおいて導入管43と垂下板60との間に取り付けられている。詳細には、立設板67は、幅方向Yにおいて、垂下板60よりも導入管43に近い位置に取り付けられている。立設板67は、例えば、その上端が、回収ボックス47の側板63の高さと同じである。換言すると、立設板67は、その上端が回収ボックス63内に収まっている。立設板67は、その上端の高さが垂下板60の下端の高さより高い。換言すると、垂下板60は、その下端の高さが立設板67の高さより低い。また、立設板67の上端の高さは、導入管43の下端の高さより高い。なお、回収ボックス47の側板63は本発明における「回収ボックスの内面」の一態様に相当し、立設板67も同様である。
【0059】
<2-1.好ましい寸法例>
次に、導入管43の外側面と周囲の構造物とについて好ましい寸法例について説明する。
【0060】
ここで、導入管43の外側面と、回収ボックス47の内側面のうち、導入管43の外側面に臨んで対向している内側面との距離をdとする。
図4においては、搬送方向Xに位置している回収ボックス45の内側面と、導入管43の外側面との距離もdとする。本実施例では、立設板67の導入管43側の側面と、導入管43の外周面との距離もdとする。導入管43の下端と回収ボックス45の底面との距離をd1とする。この場合には、回収ボックス47は、距離dが以下の関係式となるように構成されることが好ましい。
【0061】
距離d=k・d1
【0062】
上記の式におけるkは、係数である。係数kは、例えば、1.5~2.5の範囲である。好ましくは、k=2である。
【0063】
発明者等の実験やシミュレーションによると、上記の関係式を満たした距離dで回収ボックス47を構成することにより、導入管43から導入されて、回収ボックス45の底面から周囲に広がって上昇する気体の流れについて、回収ボックス45でミストを捕捉しやすくできた。つまり、上記の数式を満たす寸法で構成することにより、ミストを効率よく回収ボックス45で回収することができた。
【0064】
なお、上述した立設板67が本発明における「第1の部材」に相当する。上述した垂下板60が本発明における「第2の部材」に相当する。
【0065】
<2-2.着脱構造>
ここで、
図5を参照する。
図5は、回収ボックスの着脱構造を示す斜視図である。
【0066】
回収ボックス47は、次のような着脱構造を備えていることが好ましい。
【0067】
回収ボックス47は、ユニットフレーム23に取り付けられているミスト導入ボックス45に対して、着脱自在であることが好ましい。回収ボックス47は、回収したミストを除去するために取り外されるからである。なお、ボールキャッチ71は、幅方向Yにおける両端側に取り付けられている。これらは同じ構成である。そこで、幅方向Yにおける他端側(導入管43側)のボールキャッチ71を例にとって、その構成について詳細に説明する。
【0068】
具体的には、回収ボックス47は、ボールキャッチ71でミスト導入ボックス45に対して着脱自在に取り付けられている。ボールキャッチ71は、メス部73と、オス部75とを備えている。メス部73は、メス部本体77と、一対の球状部材79とを備えている。
【0069】
メス部73は、メス部本体77の凹部にて一対の球状部材79を対向配置されて構成されている。球状部材79は、凹部の中心に向かって付勢されている。球状部材79は、凹部に対して進退自在に取り付けられている。球状部材79は、凹部を挟んで離間して配置されている。本実施例では、メス部73は、ミスト導入ボックス45側に取り付けられている。詳細には、幅方向Yの一端側では、メス部73は、水平板57に取り付けられている。幅方向Yの他端側では、メス部73は、延出部59の下面に取り付けられている。
【0070】
本実施例では、オス部75は、回収ボックス47側に取り付けられている。オス部75は、メス部73の凹部に係合する係合部材80を備えている。幅方向Yの一端側では、オス部75は、L字板81に取り付けられている。L字板81は、回収ボックス47の側板63のうち、外側面に取り付けられている。幅方向Yの他端側では、L字板83に取り付けられている。L字板83は、回収ボックス47の側板63のうち、外側面に取り付けられている。
【0071】
上述したボールキャッチ71により、回収ボックス47をミスト導入ボックス45に対して容易に着脱できる。したがって、メンテナンスを容易に行うことができる。また、ユニットフレーム23に固定されているミスト導入ボックス45へホース29が取り付けられているので、ホース29の着脱の手間がなく、回収ボックス47だけを容易に着脱できる。
【0072】
<3.ミスト回収ボックスにおける気体の流れ>
ここで、
図3及び
図6を参照する。
図6は、ミスト回収ユニットの気体の流れを示す模式図である。なお、制御部31の制御の下で印刷が行われ、ファンボックス27による吸引が行われているものとする。
【0073】
インクのミストを含んだ空気は、貫通穴41,開口部37,導入穴53を通ってミスト回収ボックス25に吸引され、吸引口49及びホース29を通ってファンボックス27に排気される。このとき、ミスト回収ボックス25では、
図6に示すように空気が導入穴53から吸引口49に流通する。
【0074】
導入穴53を高さ方向Zに流下してきた空気は、導入管43の下端にて回収ボックス47の底面にぶつかる。空気は、水平方向に急激に方向を変えられる。空気は、導入管43の下端における全周方向に向けられる。全周方向に向けられた空気は、回収ボックス47における内側面の三面と、立設板67にぶつかる。空気は、回収ボックス47における内側面の三面と、立設板67とで高さ方向Zに急激に向きを変えられる。空気は、吸引口49からの吸引力に引かれつつ、幅方向Yに向かう。空気は、垂下板60により、高さ方向Zの下方に向けられる。空気は、回収ボックス47の底面にぶつかる。空気は、垂下板60の下端を抜けて回収ボックス47の側板63の内側面にぶつかる。空気は、高さ方向Zに上昇され、吸引口49から排出される。
【0075】
本実施例によると、導入管43の下端から導入された気体に含まれるミストは、回収ボックス47の底面と、平面視で導入管43の全周囲に存在する回収ボックス47の内側面とで捕捉される。したがって、従来に比較して捕捉可能な面積を増大できるので、ミストを薄く広い面積で捕捉できる。そのため、流路が狭くなることを抑制できるので、気流の流量をほぼ一定に維持できる。その結果、長期間にわたってミストの回収効率を維持できる。
【0076】
また、立設板67と垂下板60とを空間SPに配置することで、気流が吸気口49に達するまでに、さらに立設板67と垂下板60とでミストを捕捉できる。したがって、さらにミストの回収効率を向上できる。
【0077】
<変形例>
【0078】
図7を参照する。
図7は、ミスト回収ユニットの変形例を示す縦断面図である。
【0079】
変形例に係るミスト回収ユニット25Aは、導入管43と、ミスト回収ボックス45Aと、回収ボックス47Aとを備えている。上述した実施例と同じ構成については、同符号を付すことで詳細な説明については省略する。
【0080】
ミスト回収ユニット25Aは、上述した実施例における垂下板60と、立設板67とを省略してある。これに伴って、ミスト回収ボックス45Aと、回収ボックス47Aとは、幅方向Yの長さを短くしてある。但し、回収ボックス47Aの側板63と導入管43の外側面との距離dは、上述した寸法の関係となるように構成されている。
【0081】
この変形例によると、上述した実施例と同様に、長期間にわたってミストの回収効率を維持できる。その上、幅方向Yの寸法を短縮できる。したがって、印刷ヘッド21の幅方向Yの長さが短いコンパクトなインクジェット印刷システム1であっても採用できる。
【0082】
なお、上述したミスト回収ユニット25は、
図8に示す構成を採用することが好ましい。
【0083】
図8を参照する。
図8は、敷紙を配置した状態を示す縦断面図である。
【0084】
ミスト回収ボックス25は、回収ボックス47をミスト導入ボックス45から取り外して清浄化を図った後に、再び回収ボックス47をミスト導入ボックス45へ取り付ける。そのため、敷紙CPを回収ボックス47の全面にわたって敷き詰める。なお、回収ボックス47だけに限らず、ミストが付着する箇所の全てに敷紙CPを敷くことが好ましい。敷紙CPは、インクを透過させない材質である。敷紙CPは、インクを浸透させる材質であってもよい。これによると、敷紙CPを交換することで、回収ボックス47を素早く清浄化できる。したがって、メンテナンスを短時間で行うことができる。
【0085】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0086】
(1)上述した実施例では、導入管43の外側面に臨んで対向している回収ボックス47の内側面との距離dが、距離d=k・d1となる関係を満たしている。しかしながら、本発明は、このような寸法を必須とするものではない。
【0087】
(2)上述した実施例では、回収ボックス47とミスト導入ボックス45とをボールキャッチ71により、容易に着脱できる構成とした。しかしながら、本発明は、このような構成に限定されない。例えば、ボールキャッチ71に代えてドローラッチを採用してもよい。また、容易に着脱できる構成に限定されない。例えば、ボルトとナットなどで取り付けるようにしてもよい。
【0088】
(3)上述した実施例では、ミスト回収ユニット25が、搬送方向Xの上流側からみて幅方向Yにおける左側に配置されている。しかしながら、本発明は、このような配置位置に限定されない。つまり、ミストを含む気流を吸引できれば、ミスト回収ユニット25の配置位置はどこでもよい。
【0089】
(4)上述した実施例では、ミスト導入ボックス45の側板51に傾斜面を備え、その傾斜面に吸引口49を備えている。しかしながら、本発明は、このような傾斜面に吸引口49を備えることを必須とするものではない。ホース29との接続及び吸引に支障がなければ、ミスト導入ボックス45における吸引口49の位置は、種々の位置であってよい。例えば、側板51を高さ方法Zに沿った鉛直姿勢とし、この側板51に吸引口49を備え、幅方向Yにて水平に排出管29で吸引するようにしてもよい。
【0090】
(5)上述した実施例では、印刷媒体として連続紙WPを例にとって説明した。しかしながら、本発明は、印刷媒体が連続紙WPに限定されるものではない。印刷媒体としては、例えば、プラスチック製のフィルムや枚葉紙などが挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
以上のように、本発明は、インク滴を吐出して印刷を行う際に生じるミストを回収するミスト回収ユニット及びそれを備えたインクジェット印刷装置に適している。
【符号の説明】
【0092】
1 … インクジェット印刷システム
3 … 給紙部
5 … インクジェット印刷装置
7 … 排紙部
WP … 連続紙
X … 搬送方向
Y … 幅方向
Z … 高さ方向
9 … 駆動ローラ
11,13 … 駆動ローラ
17 … 乾燥部
19 … 検査部
21 … 印刷ヘッド
23 … ユニットフレーム
25 … ミスト回収ユニット
27 … ファンボックス
29 … ホース
31 … 制御部
LR … 基準線
35 … トレイ
39 … スポンジ
43 … 導入管
45 … ミスト導入ボックス
47 … 回収ボックス
SP … 空間
49 … 吸引口
55 … 吸引管
60 … 垂下板
65 … シール部材
67 … 立設板
d … 距離
71 … ボールキャッチ
73 … メス部
75 … オス部
79 … 球状部材
80 … 係合部材