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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-28
(45)【発行日】2025-03-10
(54)【発明の名称】切断可能な生のパン種ブロック
(51)【国際特許分類】
   A21D 2/36 20060101AFI20250303BHJP
【FI】
A21D2/36
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021573907
(86)(22)【出願日】2020-06-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-29
(86)【国際出願番号】 FR2020051017
(87)【国際公開番号】W WO2020249917
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2023-04-10
(31)【優先権主張番号】1906343
(32)【優先日】2019-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】506261567
【氏名又は名称】ルサッフル・エ・コンパニー
【氏名又は名称原語表記】LESAFFRE ET COMPAGNIE
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】エミリー・ブリケール
(72)【発明者】
【氏名】フロランス・デルシャンブル
(72)【発明者】
【氏名】ポーリーヌ・セメリア
【審査官】吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】Journal of Cereal Science,2017年,Vol.77,pp.97-101
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21D
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粉、スターター及び水を含む生のパン種であって、前記生のパン種が、切断可能な固形形態であること、及び、前記生のパン種が、オオムギ、ソバ、ルピナス、キビ、キノア、ヒトツブコムギ又はその混合物の穀粉に基づき、前記パン種が、50~70%の含水レベルを有することを特徴とする、生のパン種。
【請求項2】
前記生のパン種が、オオムギ、ソバ、ルピナス、キビ、キノア又はその混合物の穀粉に基づくことを特徴とする、請求項1に記載の生のパン種。
【請求項3】
前記穀粉が、オオムギ粉及び/又はソバ粉であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の生のパン種。
【請求項4】
前記穀粉が、穀粉の0.35~2.50wt%の灰分を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の生のパン種。
【請求項5】
前記穀粉が、5~45g/穀粉100gのタンパク質含有量を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の生のパン種。
【請求項6】
穀粉: 100%
スターター: 0.3~2%
塩: 0~2%
水: 50~65%
を含み、
パーセントは、穀粉100部当たりのものである、請求項1から5のいずれか一項に記載の生のパン種。
【請求項7】
前記生のパン種が、乳酸菌の含有量の減少がその調製後2か月で最大で2logであるような、2か月間にわたる細菌学的安定性を有することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の生のパン種。
【請求項8】
前記パン種が、サワードウパンを調製するための即時使用可能なパン種である、請求項1から7のいずれか一項に記載のパン種の使用。
【請求項9】
前記パン種の含有率が、穀粉100部に10~35%である、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記パン種の含有率が、穀粉100部に15~20%である、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
液状パン種を調製するための製パン用スターターとしての、請求項1から7のいずれか一項に記載のパン種の使用。
【請求項12】
前記パン種の含有率が、穀粉100部当たり5~25%である、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記パン種の含有率が、穀粉100部当たり10~15%である、請求項12に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用及び輸送が容易であり、貯蔵寿命が長い生のパン種に関する。
【背景技術】
【0002】
歴史的に、パン種は、製パンで使用されたまさに最初のパン膨張剤であった。それは、小麦粉と水の混合物から得られ、その中で乳酸菌及びイーストの不均一な集団の代謝活性が、自然発生の発酵(「天然」パン種)、又はスターター培養により開始された発酵のいずれかによって、回復(refreshing)の有無にかかわらず、起こる。
【0003】
パン種を用いた製パンは、イーストと細菌を密接に組み合わせた複雑な叢の使用のために、最高の豊潤な香りを生み出す。
【0004】
市場の要求を満たし、パン屋の仕事を簡単にするために、様々な種類の製品、例えばパン種のスターター、即時使用可能なパン種、及び失活したサワードウが提案されている。
【0005】
製パン用スターターは、一般に液状若しくはペースト状形態又は微生物の凍結乾燥粉末の形態であり、パン種を少なくとも一工程及び少なくとも16時間で生成させる。スターターから開始して直接パン種を調製するために、スターターを、例えば30~35℃の温度で水に入れ、小麦粉及び任意選択で塩を加えると十分である。混合物が均一になったら、ペーストをそのままにして一般に20~35℃の温度で少なくとも16h発酵させる。
【0006】
単一工程で得られた完全なパン種は次に、自然発生のパン種と同じ比率で、例えばパン又はブリオッシュ用のベーキング生地を作るレシピに組み込む準備が整えられる。専門職のパン製造者は、したがって、自然発生のパン種を開始及び維持する、扱いにくくリスクのある工程を廃止する。この方法では、一定の効率及び結果の再現性が保証される。
【0007】
即時使用可能な活性な生のパン種は、穀物粉の自然発酵によって得られる「完全な」パン種である。それは、液状形態であり、穀粉の総重量の5~20%のレベルで混練中に直接組み込まれる。それは、回復の制約を回避することによって生産性の増加をパン製造者に保証するが、望ましくない微生物による外部汚染の結果として生じる逸脱も伴う。
【0008】
出願人はまた、一連の失活したサワードウを開発し、それは元のレシピを変えずに混練機に組み込むことができる。それらは、それらが使用されるベーカリー製品に、発酵させた穀物に特有の典型的な芳香風味を与える。
【0009】
これらの製品が伝統的なパン種よりも使用しやすい場合でも、パン屋は、バッチ間で非常に優れた再現性を提供し、貯蔵寿命が長い製品を必要としている。
【0010】
ベーカリー製品の官能的性質を改善するための製パンに有用な別の種類の製品は、酵素活性を有する製パン改良剤であり、それらはイースト又はパン種に加えて使用される。出願人は、それらのいくつかを開発し、特に、特許出願WO2019/068700に、製パンを改善するための通常の成分(特に酵素の混合物)及びパン種によって供給できる107CFUの微生物からなる製パン改良剤について記載している。この製品は、即時使用可能な製パン用パン種、すなわち膨張剤として使用されていない。パン種は、この改良剤中に存在する場合、酵素混合物のビヒクルである。含有率が低すぎてパン生地が膨らまないため、生地が膨らむようにパン酵母を加えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特許出願WO2019/068700
【発明の概要】
【0012】
本発明者らは、使用する穀粉を選択することによって、切断可能な固形形態の、したがって投入することが容易で貯蔵寿命が長い、生のパン種を有することが可能であることを見出した。
【0013】
特に、主材料粉の適切な選択によって、本発明者らは、投入することが容易な切断可能な固形形態の生のパン種を得ることが可能であることを見出した。
【0014】
したがって、本発明は、オオムギ、ソバ、ルピナス、キビ、キノア、ヒトツブコムギ、カラガン(Kharagan)コムギ又はその混合物の穀粉に基づく、切断可能な固形形態の生のパン種に関する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
「パン種」は、本発明では、水にスターターを入れ、穀粉を加え、そのままにして熟成させることによって得られる生成物を意味する。
【0016】
したがって、本発明によるパン種は、即時使用可能な製パン用パン種又は製パン用スターターパン種であってもよい。
【0017】
「切断可能な固形形態の」は、与えられた形態のままの、例えばチーズワイヤー、ナイフの刀身又は生地カッターの圧力下でばらばらに分割可能な固体ブロックを意味する。このようなブロックは、崩れず、脆くなく、自重で垂れない。それは、製品の最適な貯蔵を可能にする適切なフィルムで包まれた、圧縮によって得られたブロックの形態であってもよい。或いは、それは、バケットタイプの堅い容器に含有されていてもよい。
【0018】
この切断可能な固形形態のために、本発明によるパン種は、難なく正確に投入することができる。したがって、これはパン屋にとって非常に使用しやすい。
【0019】
本発明によるパン種の主材料粉は、オオムギ、ソバ、ルピナス、キビ、キノア、カムート(又はカラガンコムギ)、ヒトツブコムギ及びスペルトコムギの穀粉を含む群から選択される。穀粉の混合物を使用してもよい。
【0020】
特定の実施形態によれば、パン種の主材料粉は、オオムギ、ソバ、ルピナス、キビ、キノア又はその混合物の穀粉から選択される。
【0021】
本発明によれば、穀粉乾物100%当たり灰分が0.35~2.50%、好ましくは1~2.2%、より好ましくは1.5~2wt%である穀粉が好ましい。
【0022】
本発明によれば、タンパク質含有量が5~45g/穀粉100g、好ましくは8~30g/穀粉100g、さらにより好ましくは10~15g/穀粉100gの穀粉が好ましい。
【0023】
特定の実施形態によれば、本発明によるパン種の主材料粉は、オオムギ粉、ソバ粉、又はその混合物から選択される。
【0024】
パン種の風味は、使用する穀粉に応じて異なることになる。特に、異なる風味は、オオムギ粉のソバ粉に対する比を調整することによって生じる。
【0025】
本発明によるパン種は、好ましくは正の低温(2~8℃、好ましくは+4℃)で、少なくとも10日間、好ましくは少なくとも20日間、好ましくは最長8週間、微生物学的に安定である。したがって、それは、その活性を保持しながら貯蔵することができる。
【0026】
微生物学的安定性は、乳酸菌の含有量の減少が、その調製後2か月で最大で2logであるようなものである。
【0027】
本発明によるパン種は、味覚の性質が非常に興味深く、少なくとも10日間、好ましくは少なくとも20日間、好ましくは最長8週間安定なままである。
【0028】
安定性が良好なので、本発明によるパン種は、数週間、最長8週間貯蔵することができる。その貯蔵寿命のさらなる改善のために、それは、ポリエチレンフィルムタイプ又はポリプロピレンプラスチックバケットの適切な包装で貯蔵することができる。
【0029】
本発明によるパン種は、含水レベルが45~95%、好ましくは50~70%である。「含水レベル」は、スターターと混合した穀粉100単位当たりに加えた水の量を意味する。
【0030】
一実施形態によれば、本発明によるパン種は:
オオムギ粉及び/又はソバ粉: 100%
スターター: 0.2~5%、好ましくは0.3~2%
塩: 0~2%
水: 45~75%、好ましくは60~70%
を含み、
パーセントは、ベーカーズパーセント、すなわち穀粉100部当たりのものである。
【0031】
本発明はまた、サワードウパンを作るための切断可能なパン種の使用に関する。
【0032】
サワードウパンを作る場合、パン種の含有レベルは、穀粉100部に10%超、好ましくは11~35%、さらにより好ましくは15~20%である。
【0033】
サワードウパンの製造で使用する場合、本発明によるパン種は、含水レベルが45~95%、好ましくは50~70%である。「含水レベル」は、スターターと混合した穀粉100単位当たりに加えた水の量を意味する。
【0034】
本発明はまた、液状パン種を調製するための製パン用スターターとしての切断可能なパン種の使用に関する。
【0035】
この使用では、パン種の含有レベルは、穀粉100部に5~25%、好ましくは10~15%である。
【0036】
この使用では、本発明によるパン種は、含水のレベルが100~200%、好ましくは150%である。「含水レベル」は、穀粉100単位当たりに加えた水の量を意味する。
【0037】
本発明による製パン用スターターパン種の酸性化力は、完全に満足のいくものであり、最長11週間維持することができる。
【0038】
本発明は、実施例によりさらに詳細に説明され、実施例は純粋に例示を目的とするために与えられる。
【実施例
【0039】
(実施例1)
パン種の調製:
6種の異なるパン種は、Lesaffre社が販売している商用のスターターLivendo(登録商標)LV1から開始して、30℃で20h発酵させた異なる穀粉を使用して調製される。
【0040】
【表1】
【0041】
穀粉の種類及び含水レベルは、調製されたそれぞれのパン種L1~L6について以下のTable 2(表2)に示されている。
【0042】
【表2】
【0043】
圧縮する前にパン種の外観及び耐久性を肉眼で評価した。異なるパン種の写真を添付の図2に示す。
肉眼観察から下記のことが明らかである:
パン種L5及びL6は、圧縮塊を形成しないが、崩壊し;
パン種L1は、より小さなブロックに砕ける非干渉性塊を形成し;
パン種L2、L3及びL4は、固体ブロックを形成する。
パン種から形成された固体ブロックは、チーズワイヤーで切断された。
切断は、パン種L2及びL3で容易だったが、パン種L4ではできなかった。
【0044】
pHを時間0で測定した。総滴定酸度TTA及びSG(Sauergrad)値も測定した。
【0045】
これらの分析では、パン種10gを目盛り付きビーカーに入れ、90mL(10:90 w/w)の量で蒸留水を加えた。pH計を使用してpHを測定し、N/10水酸化ナトリウム物溶液を用いた酸/塩基滴定によってpH=6.6に到達するまでTTAを測定し、TTAと同じ方法だがpH 8.5に到達してSG値を測定した。
【0046】
T0での値の結果を以下の表に示す:
【0047】
【表3】
【0048】
パン種L2では、測定も8週間毎週実施した。結果を下記Table 4(表4)に示す:
【0049】
【表4】
【0050】
パン種L2は、酸性のレベル(オフノートの出現なし)で、4℃で8週間安定性を示した。
【0051】
パン種L2の細菌学的安定性は、異なる接種材料で8週間、標準NF EN ISO 4833-1に基づく中温性好気性細菌叢(30℃)及び3M 01/19-11/17培地中のヘテロ発酵乳酸菌を測定することによって評価した。得られた結果を下記Table 5 (表5)に示す。
【0052】
【表5】
【0053】
パン種L2は、満足のいく細菌学的安定性を有している。これは、8週貯蔵後も活性なままである。
【0054】
安定性も、以下のパラメーター:液化/水分の損失、ブロックの色及び臭気の変化に基づいて観察した。これらのパラメーターは、8週間安定であることがわかった。
【0055】
パン種L2の0.5kgブロック及び1kgブロックをレンガの形状に圧縮し、写真を撮影した(図11及び図12参照)。
【0056】
(実施例2)
以下の組成で、上記の実施例1で調製した異なるパン種を使用してサワードウパンを調製した:
【0057】
【表6】
【0058】
製パン工程図を下記Table 7(表7)に示す:
【0059】
【表7】
【0060】
パン種2から開始して調製したパンでは、pH及びTTAの非常に良好な安定性が8週間にわたって観察された。値は、以下の通りであった:
【0061】
【表8】
【0062】
一方では小麦粉で作られた対照の伝統的なバゲット、他方ではLivendo LV4スターターを播種した10%のオオムギによるブロックパン種を用いたバゲットを使用して、これら2個のパンの官能分析を実施した。この分析は、QDA試験に基づいており;結果は、Fizzソフトウェアで処理された。分析のために特別に訓練された、匂いと味の専門家であるパネリスト10人は、製品を比較し、0~10のスケールでその差を採点した。
【0063】
【表9】
【0064】
得られた結果を上表にまとめ、図11の図に詳細に示す。両方のパンでは、発酵させた穀物に特有の典型的な風味が判明している。本発明のパンのパン粉は、より着色しており、本発明によるパンの味は、対照パンのものより強く、より強い「パン種及び果実の」ノートをもつ。
【0065】
(実施例3)
8種の異なるパン種は、商用のスターターSAF Levainから開始して、35℃で24h発酵させた異なる穀粉を使用して調製される。
【0066】
穀粉の種類及び含水レベルは、調製されたそれぞれのパン種L7~L14について下記のTable 8(表8)に示されている:
【0067】
【表10】
【0068】
パン種の外観及び耐久性を肉眼で評価した。異なるパン種の写真を添付の図2図10に示す。
肉眼観察から下記のことが明らかである:
パン種L7、L8、及びL13は、圧縮塊を形成しないが、崩壊し;
パン種L9、L10、L11、L12及びL14は、固体ブロックを形成する。
パン種から形成された固体ブロックは、チーズワイヤーで切断された。
【0069】
【表11】
【0070】
得られた各パンでは、pH、TTA及びSGの値は、パン粉(crumb)について測定した。
【0071】
【表12】
【0072】
得られた値は、完全に満足のいくものであった。
【0073】
これらのパンの官能分析を実施した。この分析は、QDA試験に基づいており;結果は、Fizzソフトウェアで処理された。分析のために特別に訓練された、匂いと味の専門家であるパネリスト10人は、製品を比較し、風味及び臭気を記録した。
【0074】
【表13】
【0075】
パン種L9、L10及びL11で作ったパンは、完全に満足のいく官能的性質を有していた。
【0076】
(実施例4)
製パン用スターターパン種を以下のように調製した:
【0077】
【表14】
【0078】
この組成を使用して、以下の異なる方法(回復の有無にかかわらず)によって製パン用スターターパン種を調製した。
【0079】
【表15】
【0080】
以下の配合で回復を実施した:
オオムギ粉 92.9%
水 63.9
スターターパン種 15%
【0081】
8週間貯蔵した後、製パン用スターターパン種中に存在する細菌は、依然として生存率が107CFU/gを超えている。
【0082】
(実施例5)
実施例4で調製した製パン用スターターパン種を使用して、小麦粉を主成分とした液状製パン用パン種を調製した。
【0083】
調製したばかりのパン種(T0)、+4℃で7週間(T7)及び11週間(T11)貯蔵したパン種を用いて異なるバッチを調製した。液状パン種の組成は、以下の通りであった:
【0084】
【表16】
【0085】
得られた全てのバッチの液状パン種は、11週間貯蔵したスターターパン種で得たバッチでも、pH及び酸の総含有量が満足のいくものであった。
【0086】
回復を有するスターターパン種(実施例4の方法2からのスターターパン種)から得た液状パン種中の酸の測定の結果を、同じ方法だが商用の冷凍スターターを用いて得た異なる液状パン種と比較して、以下の表で示す。
【0087】
【表17】
【0088】
本発明のスターターパン種から得られた液状パン種は、非常に興味深い酸性化力を有しており、商用の冷凍スターターパン種よりもわずかに強力である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
図1】実施例1で調製したパン種L1~L6の写真である。
図2】実施例3で調製したパン種L5の写真である。
図3】実施例3で調製したパン種L7の写真である。
図4】実施例3で調製したパン種L9の写真である。
図5】実施例3で調製したパン種L10の写真である。
図6】実施例3で調製したパン種L11の写真である。
図7】実施例3で調製したパン種L12の写真である。
図8】実施例3で調製したパン種L13の写真である。
図9】実施例3で調製したパン種L14の写真である。
図10】実施例2に基づいて調製したパン及び対照のサワードウパンのために構成された感覚図である。
図11】パン種L2の脆くなく、切断可能な圧縮されたブロックの写真である。
図12】パン種L2の脆くなく、切断可能な圧縮されたブロックの写真である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12