(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-28
(45)【発行日】2025-03-10
(54)【発明の名称】ポリエチレン組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 10/02 20060101AFI20250303BHJP
B65D 65/02 20060101ALI20250303BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20250303BHJP
【FI】
C08F10/02
B65D65/02 E
C08J5/18 CES
(21)【出願番号】P 2022506883
(86)(22)【出願日】2020-08-04
(86)【国際出願番号】 US2020044857
(87)【国際公開番号】W WO2021026135
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-07-24
(32)【優先日】2019-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ビスワス、サンジブ
(72)【発明者】
【氏名】ジンジャー、ダグラス エス.
(72)【発明者】
【氏名】デミロール、メフメト
(72)【発明者】
【氏名】ゴーベール、ジョシュア ビー.
(72)【発明者】
【氏名】カプール、マリドゥラ
(72)【発明者】
【氏名】オニール-デリオールマンリ、ディディム
【審査官】前田 直樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/133373(WO,A1)
【文献】特表2013-544940(JP,A)
【文献】特表2013-528689(JP,A)
【文献】特表2016-505694(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0253126(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0185647(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 10/02
B65D 65/02
C08J 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装用途に好適なポリエチレン組成物であって、
(a)改善されたコモノマー組成分布(iCCD)分析法を介した溶出プロファイルにおいて45℃~87℃の温度範囲内に単一ピークを有する第1のポリエチレン画分であって、第1のポリエチレン画分面積が、45℃~87℃の前記第1のポリエチレン画分の前記単一ピークの真下の前記溶出プロファイルにおける面積である、第1のポリエチレン画分と、
(b)iCCD分析法を介した前記溶出プロファイルにおいて95℃~120℃の温度範囲内に単一ピークを有する第2のポリエチレン画分であって、第2のポリエチレン画分面積が、95℃~120℃の前記第2のポリエチレン画分の前記単一ピークの真下の前記溶出プロファイルにおける面積である、第2のポリエチレン画分と、を含み、
前記ポリエチレン組成物が、0.924g/cm
3~0.936g/cm
3の密度および0.25g/10分~2.0g/10分のメルトインデックス(I
2)を有し、前記第1のポリエチレン画分面積が、前記溶出プロファイルの総面積の少なくとも40%を含み、前記第1のポリエチレン画分面積の前記第2のポリエチレン画分面積との比が、0.75~2.5であり、50パーセントのピーク高さでの前記第2のポリエチレン画分の前記単一ピークの幅が、5.0℃未満である、ポリエチレン組成物。
【請求項2】
前記ポリエチレン組成物が、2.5~8.0の範囲内の重量平均分子量の数平均分子量との比(Mw/Mn)として表現された、分子量分布を有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項3】
前記ポリエチレン組成物が、3.0未満のゼロ剪断粘度比を有する、請求項1または2に記載のポリエチレン組成物。
【請求項4】
前記ポリエチレン組成物から形成され、2ミル
(0.0508mm)の厚さを有する単層インフレーションフィルムが、ASTM D1709の方法Aに従って測定されたとき、少なくとも1000グラムのダート落下衝撃を有する
、請求項
1~3のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物。
【請求項5】
前記第1のポリエチレン画分の前記単一ピークが、70℃~85℃にある
、請求項
1~4のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物。
【請求項6】
前記第1のポリエチレン画分面積が、前記溶出プロファイルの前記総面積の40%~65%を含む
、請求項
1~5のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物。
【請求項7】
前記第2のポリエチレン画分面積が、前記溶出プロファイルの前記総面積の20%~50%を含む
、請求項
1~6のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物。
【請求項8】
前記第1のポリエチレン画分面積の前記第2のポリエチレン画分面積との比が、0.75~1.25である
、請求項
1~7のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物。
【請求項9】
前記第1のポリエチレン画分面積の前記第2のポリエチレン画分面積との比が、1.75~2.0である
、請求項
1~7のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物。
【請求項10】
前記第2のポリエチレン画分の前記単一ピークと前記第1のポリエチレン画分の前記単一ピークとの間の差が、少なくとも15℃である
、請求項
1~8のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物。
【請求項11】
前記第1のポリエチレン画分が、0.01g/10分~0.18g/10分のメルトインデックス(I
2)を有する
、請求項
1~8のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物。
【請求項12】
請求項
1~8のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物を含む、物品。
【請求項13】
前記物品が、多層を含む、請求項12に記載の物品。
【請求項14】
請求項
1~8のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物を含む、フィルム。
【請求項15】
前記フィルムが、0.5
ミル(0.0127mm)~6ミル
(0.1524mm)の厚さを有する、請求項14に記載のフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年8月6日出願の米国仮特許出願第62/883,467号の優先権を主張し、この開示全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、ポリマー組成物、およびより詳細には、ポリエチレン組成物、ならびにそれを生成する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
包装用途でのポリオレフィン組成物の使用は、一般に知られている。そのようなポリオレフィン組成物を生成するために、任意の従来の方法を採用することができる。異なる触媒系を使用する様々な重合技術が、包装用途に好適なそのようなポリオレフィン組成物を生成するために採用されてきた。しかしながら、いくつかの実施形態において、包装用途に好適な組成物を開発する際の研究努力にもかかわらず、望ましいポリマー組成物密度で物理的特性の良好なバランスを有する包装用途に好適な組成物が依然として必要である。
【発明の概要】
【0004】
本出願では、包装用途、フィルム、多層構造、およびそれから作製された包装物品に好適なポリエチレン組成物が開示される。本開示のポリエチレン組成物は、いくつかの実施形態において、良好な引裂強度を示しながら良好な靭性を有する。例えば、本開示のポリエチレン組成物は、いくつかの実施形態において、比較的高い密度で高いダート強度を有し得る。理論に束縛されるものではないが、本明細書に記載されているポリエチレンは、少なくとも部分的に、特定の多峰性溶出プロファイルに起因するそのような特性を有し得、ここで、第1のポリエチレン画分および第2のポリエチレン画分が質量溶出プロファイルにおいてそれぞれ45℃~87℃および95℃~120℃での単一ピークを表し、第1のポリエチレン画分の第2のポリエチレン画分との比、および第2のポリエチレン画分の50%ピーク幅は、本明細書でさらに記載されるように、特定の値を有すると考えられている。
【0005】
1つ以上の実施形態によれば、包装用途に好適であるポリエチレン組成物は、第1のポリエチレン画分および第2のポリエチレン画分を含み得る。第1のポリエチレン画分は、改善されたコモノマー組成分布(iCCD)分析法を介した溶出プロファイルにおいて45℃~87℃の温度範囲内に単一ピークを有し得る。第1のポリエチレン画分面積は、45℃~87℃の第1のポリエチレン画分の単一ピークの真下の溶出プロファイルにおける面積であり得る。第2のポリエチレン画分は、iCCDを介した溶出プロファイルにおいて95℃~120℃の温度範囲内に単一ピークを有し得る。第2のポリエチレン画分面積は、95℃~120℃の第2のポリエチレン画分の単一ピークの真下の溶出プロファイルにおける面積であり得る。ポリエチレン組成物は、0.924g/cm3~0.936g/cm3の密度、および0.25g/10分~2.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有し得る。第1のポリエチレン画分面積は、溶出プロファイルの総面積の少なくとも40%を含み得る。第1のポリエチレン画分面積の第2のポリエチレン画分面積との比は、0.75~2.5であり得る。50パーセントのピーク高さでの第2のポリエチレン画分の単一ピークの幅は5.0℃未満であり得る。
【0006】
1つ以上の追加の実施形態によれば、物品は、上述の、または本明細書に記載の他の実施形態のいずれかにおけるポリエチレン組成物を含み得る。
【0007】
1つ以上のさらに追加の実施形態によれば、フィルムは、上述の、または本明細書に記載の他の実施形態のいずれかにおけるポリエチレン組成物を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の実施形態を例示する目的で、例示的である形態を図中に示しており、しかしながら、これらの実施形態は、示している正確な配置および手段に限定されないことが理解される。
【0009】
【
図1】本明細書に記載されている1つ以上の実施形態による、iCCD溶出プロファイルを概略的に示す。
【
図2】本明細書に記載されている1つ以上の実施形態による、実施例1のポリエチレン組成物のiCCD溶出プロファイルをグラフで示す。
【
図3】本明細書に記載されている1つ以上の実施形態による、ポリエチレンを生成するのに有用な反応器系を概略的に示す。
【
図4】本明細書に記載されている1つ以上の実施形態による、ポリエチレンを生成するのに有用な別の反応器系を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ポリエチレン組成物の実施形態が本明細書に記載されている。そのようなポリエチレン組成物は、例えば、包装用途で使用することができる。ポリエチレン組成物は、第1のポリエチレン画分および第2のポリエチレン画分を含み得る。ポリエチレン組成物は、フィルム(単層フィルムおよび多層フィルムを含む)、または多層構造および包装などの他の物品内に含まれ得る。フィルムなどの従来のポリエチレン材料では、引裂強度(全体密度と相関する場合もある)とダート強度の間の妥協点が多くの場合観察される。例えば、密度が高いほど引裂強度は高くなり得るが、ダート強度が低減する場合がある。しかしながら、ポリエチレンから作製された数多くの最終用途および製品において、良好な引裂強度およびダート強度の両方が望ましい。本明細書に記載されているポリエチレン組成物は、比較的高い密度での良好なダート強度を提供し、いくつかの実施形態において、良好な引裂強度とともに靭性の良好なバランスを提供することができる。
【0011】
相反する記述がなく、文脈から暗示されておらず、または当技術分野で慣例的でない限り、すべての部およびパーセントの値は、重量に基づくものであり、すべての温度は℃であり、すべての試験方法は、本開示の出願日の時点において最新のものである。
【0012】
本明細書に記載される場合、「ポリエチレン」または「エチレンベースポリマー」は、過半量(>50モル%)のエチレンモノマーに由来する単位を含むポリマーを指す。これは、ポリエチレンホモポリマーまたはコポリマー(2つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)を含む。当該技術分野において既知であるポリエチレンの一般的な形態には、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、極低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状および実質的に直鎖状の低密度樹脂の両方を含むシングルサイト触媒直鎖状低密度ポリエチレン(m-LLDPE)、エチレンベースのプラストマー(POP)およびエチレンベースのエラストマー(POE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、ならびに高密度ポリエチレン(HDPE)が含まれる。これらのポリエチレン材料は、当技術分野において一般に既知であるが、以下の説明は、これらの異なるポリエチレン樹脂のうちのいくつかの差異を理解する上で役立ち得る。
【0013】
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、組成物を含む材料の混合物、ならびに組成物の材料から形成された反応生成物および分解生成物を指す。
【0014】
「LDPE」という用語はまた、「高圧エチレンポリマー」、または「高分岐ポリエチレン」とも称され得、ポリマーが、過酸化物(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、US4,599,392を参照されたい)などの、フリーラジカル開始剤を使用して、14,500psi(100MPa)を上回る圧力で、オートクレーブまたは管状反応器内で、部分的または完全に、ホモ重合または共重合されることを意味するように定義され得る。LDPE樹脂は、典型的には、0.916~0.935g/cm3の範囲内の密度を有する。
【0015】
「LLDPE」という用語は、伝統的なチーグラー・ナッタ触媒系およびクロムベース触媒系、ならびにモノ-またはビス-シクロペンタジエニル触媒(典型的にはメタロセンと称される)および束縛構造触媒、ホスフィミニン(phosphinimine)および多価アリールオキシエーテル触媒(典型的にはビスフェニルフェノキシと称される)を含むが、これらに限定されないシングルサイト触媒を使用して作製される両方の樹脂を含み、かつ直鎖状、実質的に直鎖状、または不均質なポリエチレンコポリマーまたはホモポリマーを含む。LLDPEは、LDPEほど長くない鎖分岐を含有し、米国特許第5,272,236号、米国特許第5,278,272号、米国特許第5,582,923号、および米国特許第5,733,155号でさらに定義される実質的に直鎖状エチレンポリマー、米国特許第3,645,992号にあるものなどの均一に分岐した直鎖状エチレンポリマー組成物、米国特許第4,076,698号に開示されるプロセスに従って調製されたものなどの不均一に分岐したエチレンポリマー、ならびに/または(US3,914,342またはUS5,854,045に開示されるものなどの)それらのブレンドを含む。LLDPEは、当技術分野において既知である任意の種類の反応器または反応器構成を使用して、気相、液相、もしくはスラリー重合、またはそれらの任意の組み合わせによって作製することができる。
【0016】
「MDPE」という用語は、0.924~0.936g/cm3の密度を有するポリエチレンを指す。「MDPE」は、典型的には、クロムもしくはチーグラー・ナッタ触媒を使用して、または置換モノ-もしくはビス-シクロペンタジエニル触媒(典型的にはメタロセンと称される)、束縛構造触媒、ホスフィニミン触媒、および多価アリールオキシエーテル触媒(典型的には、ビスフェニルフェノキシと称される)が挙げられるが、これらに限定されない、シングルサイト触媒を使用して作製される。
【0017】
「HDPE」という用語は、一般にチーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒、または置換モノ-もしくはビス-シクロペンタジエニル触媒(典型的にはメタロセンと称される)、束縛構造触媒、ホスフィミニン触媒、および多価アリールオキシエーテル触媒(典型的にはビスフェニルフェノキシと称される)を含むが、これらに限定されないシングルサイト触媒を用いて調製される、約0.935g/cm3超および最大約0.980g/cm3の密度を有するポリエチレンを指す。
【0018】
「ULDPE」という用語は、一般にチーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒、または置換モノ-もしくはビス-シクロペンタジエニル触媒(典型的にはメタロセンと称される)、束縛構造触媒、ホスフィミニン触媒、および多価アリールオキシエーテル触媒(典型的にはビスフェニルフェノキシと称される)を含むが、これらに限定されないシングルサイト触媒を用いて調製される、0.855~0.912g/cm3の密度を有するポリエチレンを指す。ULDPEには、ポリエチレン(エチレンベース)プラストマーおよびポリエチレン(エチレンベース)エラストマーが含まれるが、これらに限定されない。ポリエチレン(エチレンベース)エラストマーまたはプラストマーは、一般に、0.855~0.912g/cm3の密度を有する。
【0019】
「ブレンド」、「ポリマーブレンド」などの用語は、2つ以上のポリマーの組成物を意味する。そのようなブレンドは、混和性であっても、そうでなくてもよい。そのようなブレンドは、相分離していても、していなくてもよい。そのようなブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、および当技術分野で知られている任意の他の方法から決定される、1つ以上のドメイン構成を含有しても、そうでなくてもよい。ブレンドは積層体ではないが、積層体の1つ以上の層がブレンドを含有してもよい。そのようなブレンドは、乾燥ブレンドとして調製されるか、その場で(例えば、反応器内で)、溶融ブレンドとして、または当業者に既知の他の技術を使用して形成され得る。
【0020】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、およびそれらの派生語は、任意の追加の構成要素、ステップ、または手順の存在を、それらが具体的に開示されているか否かにかかわらず、除外することを意図するものではない。いかなる疑念も避けるために、「含む(comprising)」という用語の使用を通して特許請求されるすべての組成物は、別段矛盾する記述がない限り、ポリマー性かまたは別のものであるかにかかわらず、いかなる追加の添加剤、アジュバント、または化合物を含んでもよい。対照的に、「から本質的になる」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、任意の以降の記述の範囲から任意の他の構成要素、ステップ、または手順を除外する。「からなる」という用語は、具体的に描写または列挙されていない任意の成分、ステップ、または手順を排除する。
【0021】
ポリエチレンの組成および特徴付け
1つ以上の実施形態において、ポリエチレン組成物は、0.924g/cm3~0.936g/cm3の密度を有し得る。例えば、本開示のポリエチレン組成物の実施形態は、0.924g/cm3~0.931g/cm3、0.924g/cm3~0.928g/cm3、0.927g/cm3~0.931g/cm3、または0.929g/cm3~0.933g/cm3の密度を有し得る。追加の実施形態によれば、ポリエチレン組成物は、0.924~0.928、0.928g/cm3~0.932g/cm3、0.932g/cm3~0.936g/cm3、またはこれらの範囲の任意の組み合わせの密度を有し得る。
【0022】
1つ以上の実施形態において、ポリエチレン組成物は、0.5g/10分~1.2g/10分など、0.25g/10分~2.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有し得る。例えば、1つ以上の実施形態において、ポリエチレン組成物は、0.25g/10分~0.5g/10分、0.5g/10分~0.7g/10分、0.7g/10分~0.9g/10分、0.59g/10分~1.1g/10分、1.1g/10分~1.3g/10分、1.3g/10分~1.5g/10分、1.5g/10分~1.7g/10分、1.7g/10分~2.0g/10分、またはこれらの範囲の任意の組み合わせのメルトインデックス(I2)を有し得る。追加の実施形態によれば、ポリエチレン組成物は、0.65~1.05のメルトインデックス(I2)を有し得る。
【0023】
実施形態によれば、ポリエチレン組成物は、2.5~8.0の範囲内の重量平均分子量の数平均分子量との比(Mw/Mn)として表現された分子量分布を有し得る。例えば、ポリエチレン組成物は、2.5~3.0、3.0~3.5、3.5~4.0、4.0~4.5、4.5~5.0、5.0~5.5、5.5~6.0、6.0~6.5、6.5~7.0、7.0~7.5、7.5~8.0、またはこれらの範囲の任意の組み合わせの分子量分布を有し得る。追加の実施形態において、ポリエチレン組成物は、3.0~5.0の分子量分布を有し得る。本明細書に記載されているように、分子量分布は、本明細書に記載されるようなゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)技術に従って計算することができる。
【0024】
1つ以上の追加の実施形態によれば、ポリエチレン組成物は、3.0未満のゼロ剪断粘度比を有し得る。例えば、ポリエチレン組成物は、2.9未満、2.8未満、2.7未満、2.6未満、2.5未満、2.4未満、2.3未満、2.2未満、2.1未満、2.0未満、1.9未満、1.8未満、1.7未満、1.6未満、1.5未満、1.4未満、1.3未満、1.2未満、またはさらには1.1未満のゼロ剪断粘度比を有し得る。1つ以上の実施形態において、ポリエチレン組成物は、少なくとも1.0のゼロ剪断粘度比を有し得る。
【0025】
本明細書に記載される場合、ポリエチレン「画分」は、ポリエチレン組成物の総組成物の一部分を指す。本開示の実施形態は、少なくとも「第1のポリエチレン画分」および「第2のポリエチレン画分」を含む。ポリエチレン組成物中に含まれる様々な画分は、改善されたコモノマー組成分布(iCCD)分析法を介した溶出プロファイルにおけるそれらの温度範囲によって定量化することができる。指定されていない限り、本明細書で言及されている任意の溶出プロファイルは、iCCDを介して観察された溶出プロファイルである。そのような画分の例は、本明細書で提供される実施例を考慮してよりよく理解されるであろう。一般に、第1の画分は、第1の画分の温度範囲内に単一ピークを含み得、第2の画分は、第2の画分の温度範囲内に単一ピークを含み得る。本明細書に記載のポリエチレン組成物は、ポリエチレン組成物がそれらの溶出プロファイルにおいて少なくとも2つのピークを含むことを意味する「多峰性」と称することができる。いくつかの実施形態は「二峰性」であり得、2つの主要なピークが存在することを意味する。
【0026】
記載されるiCCD分布を参照して、
図1は、累積重量分率曲線200とともに試料のiCCD分布100を概略的に示す。
図1は、一般に、本明細書で詳細に論じている、第1の画分、第2の画分、半ピーク幅など、本明細書に記載されているポリエチレン組成物のiCCDプロファイルのいくつかの特徴を示す。このように、
図1は、本明細書で提供されるiCCDプロファイルに関する本開示に対する参照として使用することができる。具体的には、第1の画分102および第2の画分106を示している。第1の画分102はピーク104を有し、第2の画分106はピーク108を有する。各画分は、半ピーク幅110および112を有する。
図1のプロファイルは、実験または観察に由来しないが、代わりに、iCCD溶出プロファイルの特定の特徴について記載する情報提供の目的で供給されることを理解されたい。
【0027】
1つ以上の実施形態において、第1のポリエチレン画分は、iCCDを介した溶出プロファイルにおいて45℃~87℃の温度範囲内に単一ピークを有し得る。本明細書で使用される場合、「単一ピーク」は、特定の画分が単一ピークのみを含むiCCDを指す。すなわち、いくつかの実施形態において、第1および第2のポリエチレン画分のiCCDは、単一ピークを形成するために、上向きの傾斜領域に続く下向きの傾斜領域のみを含む。1つ以上の実施形態において、第1のポリエチレン画分の単一ピークは、70℃~85℃など、60℃~85℃の温度範囲内にあり得る。理論に束縛されるものではないが、重合に二重反応器設計が使用される本開示のポリエチレン組成物の少なくともいくつかの実施形態において、より高密度の結晶ドメインとより低密度の非晶質ドメインとの組み合わせが存在し得ると考えられている。衝撃強度は、主として、隣接するラメラを接続する非晶質領域または結合濃度によって制御される。密度が0.910g/cc未満であるとき、相対的な結合鎖濃度は、比較的大きいと推定される。本開示の組成物中の第1のポリマー画分のピークは、60℃~85℃の温度範囲内にあり得、これは、改善された靭性などの機能的利益のためにより高い結合鎖濃度を提供することができる。
【0028】
第1または第2のポリエチレン画分におけるピークは、定義された温度境界でのそれぞれのポリエチレン画分における局所的最小値によって形成されない場合があることを理解されたい。つまり、ピークは、ポリエチレン画分の閾値温度によって形成されたピークではなく、スペクトル全体の状況におけるピークでなければならない。例えば、単一ピークに続く単一の谷がポリエチレン画分に存在する場合(上向きの傾斜に続く下向きの傾斜に続く上向きの傾斜)、単一ピークのみがそのようなポリエチレン画分に存在する。
【0029】
1つ以上の実施形態において、第2のポリエチレン画分は、iCCDを介した溶出プロファイルにおいて95℃~120℃の温度範囲内に単一ピークを有し得る。95℃~120℃での低分子量の高密度成分により、ポリエチレンは、これらの2つの画分の比によって記載されるように、より低密度の画分を維持しながら、より高い全体密度を達成することができるため、95℃~120℃の第2のポリエチレン画分の温度範囲が望ましい場合がある。
【0030】
1つ以上の実施形態において、50パーセントのピーク高さでの第2のポリエチレン画分の単一ピークの幅は、5.0℃未満、4℃未満、またはさらには3℃未満であり得る。一般に、50パーセントのピーク高さでのより小さい温度範囲は、「より鋭い」ピークに対応する。いずれの特定の理論に束縛されるものではないが、「より鋭い」または「より狭い」ピークは、分子触媒によって引き起こされる特徴であり、2つの画分間のより高密度の分割を可能にする、より高密度の画分への最小のコノマー(comnomer)組み込みを示すと考えられている。
【0031】
1つ以上の実施形態において、ポリエチレン組成物は、80℃~90℃の温度範囲内でのiCCDを介した溶出プロファイルにおいて局所的最小値を有し得る。この局所的最小値は、第1のポリエチレン画分のピークと第2のポリエチレン画分のピークとの間に収まり得る。
【0032】
本明細書に記載の実施形態において、第1のポリエチレン画分面積は、第1のポリエチレン画分℃の単一ピークの真下の45℃~87℃の溶出プロファイルにおける面積である。同様に、第2のポリエチレン画分面積は、第2のポリエチレン画分の単一ピークの真下の95℃~120℃の溶出プロファイルにおける面積である。第1のポリエチレン画分面積および第2のポリエチレン画分面積は、それぞれ、一般にポリエチレン組成物中の各ポリマー画分の総相対質量に対応し得る。一般に、iCCDプロファイルにおけるポリエチレン画分面積は、指定された開始温度と終了温度との間のiCCDプロファイルを積分することによって決定することができる。
【0033】
1つ以上の実施形態によれば、第2のポリエチレン画分の単一ピークと第1のポリエチレン画分の単一ピークとの差は、少なくとも10℃であり得る。例えば、第2のポリエチレン画分の単一ピークと第1のポリエチレン画分の単一ピークとの差は、少なくとも12℃、14℃、16℃、18℃、またはさらには少なくとも20℃であり得る。
【0034】
1つ以上の実施形態において、第1のポリエチレン画分面積は、溶出プロファイルの総面積の少なくとも40%(例えば、溶出プロファイルの総面積の少なくとも42%、少なくとも44%、少なくとも46%、少なくとも48%、少なくとも50%、少なくとも52%、またはさらには少なくとも54%)を含み得る。例えば、第1のポリエチレン画分面積は、42%~58%、43%~45%、45%~47%、53%~55%、または55%~57%など、溶出プロファイルの総面積の40%~65%を含み得る。
【0035】
1つ以上の実施形態によれば、第2のポリエチレン画分面積は、溶出プロファイルの総面積の少なくとも25%(例えば、溶出プロファイルの総面積の少なくとも30%、少なくとも35%、またはさらには少なくとも40%)を含み得る。例えば、第1のポリエチレン画分面積は、溶出プロファイルの総面積の20%~50%、27%~31%、または41%~48%を含み得る。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、第1のポリエチレン画分面積の第2のポリエチレン画分面積との比は、0.75~2.5(0.75~1.0、1.0~1.25、1.25~1.5、1.5~1.75、1.75~2.0、2.0~2.25、2.25~2.5、またはこれらの範囲の任意の組み合わせなど)であり得る。
【0037】
1つ以上の実施形態において、ポリエチレン組成物は、エチレンとC3~C12アルケンなどのコモノマーとの重合から形成される。企図されるコモノマーとしては、1-オクテンおよび1-ヘキセンなどのC6~C9アルケンが挙げられる。1つ以上の実施形態において、コモノマーは、1-オクテンである。
【0038】
1つ以上の実施形態において、第2のポリエチレン画分の単一ピークと第1のポリエチレン画分の単一ピークとの差は、少なくとも10℃、少なくとも12.5℃、少なくとも15℃、少なくとも17.5℃、またはさらには少なくとも20℃である。
【0039】
1つ以上の実施形態において、第1のポリエチレン画分は、0.01~0.18g/10分のメルトインデックス(I2)を有し得る。例えば、1つ以上の実施形態によれば、第1のポリエチレン画分は、0.01g/10分~0.03g/10分、0.03g/10分~0.05g/10分、0.05g/10分~0.07g/10分、0.07g/10分~0.09g/10分、0.09g/10分~0.11g/10分、0.11g/10分~0.13g/10分、0.13g/10分~0.15g/10分、0.15g/10分~0.18g/10分、またはこれらの範囲の任意の組み合わせのメルトインデックス(I2)を有し得る。
【0040】
1つ以上の実施形態において、第2のポリエチレン画分は、1~10,000g/10分のメルトインデックス(I2)を有し得る。例えば、1つ以上の実施形態によれば、第2のポリエチレン画分は、10g/10分~1,000g/10分、20g/10分~800g/10分、1g/10分~100g/10分、100g/10分~1,000g/10分、1,000g/10分~10,000g/10分、またはこれらの範囲の任意の組み合わせのメルトインデックス(I2)を有し得る。
【0041】
1つ以上の実施形態において、第2のポリエチレン画分の重量平均分子量は、20,000g/モル~120,000g/モル、または40,000g/モル~65,000g/モルなど、120,000g/モル以下であり得る。追加の実施形態において、第2のポリエチレン画分の重量平均分子量は、20,000g/モル~40,000g/モル、40,000g/モル~60,000g/モル、60,000g/モル~80,000g/モル、80,000g/モル~100,000g/モル、100,000g/モル~120,000g/モル、またはこれらの範囲の任意の組み合わせであり得る。ポリエチレン画分の分子量は、本明細書で後述するように、GPC結果に基づいて計算することができる。
【0042】
本明細書に記載のポリエチレン組成物は、単層インフレーションフィルムに形成されたとき、比較的良好なダート強度を有し得る。1つ以上の実施形態によれば、ポリエチレン組成物から形成され、2ミルの厚さを有する単層インフレーションフィルムは、ASTM D1709の方法Aに従って測定したとき、少なくとも1000グラムのダート落下衝撃を有する。追加の実施形態において、ポリエチレン組成物から形成され、2ミルの厚さを有する単層インフレーションフィルムは、ASTM D1709の方法Aに従って測定したとき、少なくとも1100グラム、少なくとも1200グラム、少なくとも1300グラム、少なくとも1400グラム、少なくとも1500グラム、少なくとも1600グラム、少なくとも1700グラム、少なくとも1800グラム、少なくとも1900グラム、またはさらには少なくとも2000グラムのダート落下衝撃を有する。
【0043】
追加の実施形態によれば、ポリエチレン組成物は、4以下、3以下、2以下、またはさらには1以下など、5以下のダウレオロジー指数(Dow Rheology Index)を有し得る。
【0044】
1つ以上の実施形態において、本開示のポリエチレン組成物は、1つ以上の添加剤などの追加の成分をさらに含み得る。そのような添加剤としては、帯電防止剤、色増強剤、染料、潤滑剤、TiO2またはCaCO3などの充填剤、乳白剤、核剤、加工助剤、顔料、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、UV安定剤、粘着防止剤、スリップ剤、粘着付与剤、難燃剤、抗微生物剤、臭気低減剤、抗かび剤、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。ポリエチレン組成物は、そのような添加剤を含むポリエチレン組成物の重量に基づいて、そのような添加剤の複合重量で約0.1~約10パーセントを含有し得る。
【0045】
重合
任意の従来の重合プロセスを採用して、本明細書に記載のポリエチレン組成物を生成することができる。そのような従来の重合プロセスとしては、1つ以上の従来の反応器、例えばループ反応器、等温反応器、撹拌槽反応器、並列式の、連続式のバッチ反応器、および/またはそれらの任意の組み合わせを使用する、スラリー重合プロセス、溶液重合プロセスが挙げられるが、これらに限定されない。ポリエチレン組成物は、例えば、1つ以上のループ反応器、断熱反応器、およびそれらの組み合わせを使用して、溶液相重合プロセスによって生成され得る。
【0046】
一般に、溶液相重合プロセスは、115~250℃(例えば、115~210℃)の範囲内の温度で、および300~1,000psi(例えば、400~800psi)の範囲内の圧力で1つ以上の等温ループ反応器または1つ以上の断熱反応器などの1つ以上のよく混合する反応器内で起こり得る。いくつかの実施形態において、二重反応器では、第1の反応器内の温度は、115~190℃(例えば、160~180℃)の範囲内にあり、第2の反応器の温度は、150~250℃(例えば、180~220℃)の範囲内にある。他の実施形態において、単一反応器では、反応器内の温度は、115~250℃(例えば、115~225℃)の範囲内にある。
【0047】
溶液相重合プロセスにおける滞留時間は、2~30分(例えば5~25分の範囲内にあり得る。エチレン、溶媒、水素、1つ以上の触媒系、任意で1つ以上の助触媒、および任意で1つ以上のコモノマーは、1つ以上の反応器に連続的に供給される。例示的な溶媒には、イソパラフィンが含まれるが、これに限定されない。例えば、そのような溶媒は、ExxonMobil Chemical Co.(Houston,Texas)からISOPAR Eの名称で市販されている。次いで、ポリエチレン組成物と溶媒との混合物は、反応器から取り出され、ポリエチレン組成物は、単離される。溶媒は、典型的には、溶媒回収ユニット、例えば、熱交換器および気液分離器ドラムを介して回収され、次いで重合系に再循環される。
【0048】
いくつかの実施形態において、ポリエチレン組成物は、二重反応器系、例えば、二重ループ反応器系内で、溶液重合を介して生成することができ、ここで、エチレンは、1つ以上の触媒系の存在下で重合される。いくつかの実施形態において、エチレンのみが重合される。さらに、1つ以上の助触媒が存在してもよい。別の実施形態において、ポリエチレン組成物は、単一の反応器系、例えば、単一ループ反応器系において、溶液重合によって生成することができ、ここで、エチレンは、2つの触媒系の存在下で重合される。いくつかの実施形態において、エチレンのみが重合される。
【0049】
触媒系
1つ以上の実施形態において、本明細書に記載のポリエチレン組成物を生成するために使用することができる触媒系の特定の実施形態がここに記載されている。本開示の触媒系は、異なる形態で実施されてもよく、本開示に記載される特定の実施形態に限定されると解釈されるべきではないことを理解されたい。むしろ、実施形態は、本開示が、徹底的かつ完全となり、また主題の範囲を当業者に完全に伝えるように、提供される。
【0050】
「独立的に選択される」という用語は、R1、R2、R3、R4、およびR5などのR基が、同一であっても異なっていてもよいこと(例えば、R1、R2、R3、R4、およびR5は、すべてが置換アルキルであってもよく、またはR1およびR2は、置換アルキルであってもよく、R3は、アリールであってもよい、など)を示すために本明細書で使用される。単数形の使用には、複数形の使用が含まれ、またその逆も同様である(例えば、ヘキサン溶媒は、ヘキサンを含む)。命名されたR基は、一般に、当該技術分野においてその名称を有するR基に対応すると認識されている構造を有するであろう。これらの定義は、当業者に既知の定義を補足し、例示することを意図したものであり、排除するものではない。
【0051】
「プロ触媒」という用語は、活性化剤と組み合わせたときに触媒活性を有する化合物を指す。「活性化剤」という用語は、プロ触媒を触媒的に活性な触媒に変換するようにプロ触媒と化学的に反応する化合物を指す。本明細書で使用されるとき、「共触媒」および「活性化剤」という用語は交換可能な用語である。
【0052】
ある特定の炭素原子を含有する化学基を記載するために使用される場合、「(Cx~Cy)」の形態を有する括弧付きの表現は、化学基の非置換形態がxおよびyを含めてx個の炭素原子からy個の炭素原子を有することを意味する。例えば、(C1~C40)アルキルは、その非置換形態において1~40個の炭素原子を有するアルキル基である。いくつかの実施形態および一般構造において、ある特定の化学基は、RSなどの1つ以上の置換基によって置換してもよい。括弧付きの「(Cx~Cy)」を使用して定義される、化学基のRS置換バージョンは、任意の基RSの同一性に応じてy個超の炭素原子を含有し得る。例えば、「RSがフェニル(-C6H5)である厳密に1つの基RSで置換された(C1~C40)アルキル」は、7~46個の炭素原子を含有し得る。したがって、一般に、括弧付きの「(Cx~Cy)」を使用して定義される化学基が1個以上の炭素原子を含有する置換基RSによって置換されるとき、化学基の炭素原子の最小および最大合計数は、xおよびyの両方に、すべての炭素原子を含有する置換基RS由来の炭素原子の合計数を加えることによって、決定される。
【0053】
「置換」という用語は、対応する非置換化合物または官能基の炭素原子またはヘテロ原子に結合した少なくとも1個の水素原子(-H)が置換基(例えば、RS)によって置き換えられることを意味する。「過置換」という用語は、対応する非置換化合物または官能基の炭素原子またはヘテロ原子に結合したすべての水素原子(H)が置換基(例えばRS)によって置き換えられることを意味する。「多置換」という用語は、対応する非置換化合物または官能基の炭素原子またはヘテロ原子に結合した、少なくとも2個の、ただし、すべてよりは少ない水素原子が置換基によって置き換えられることを意味する。
【0054】
「-H」という用語は、別の原子に共有結合している水素または水素ラジカルを意味する。「水素」および「-H」は、交換可能であり、明記されていない限り、同じ意味を有する。
【0055】
「(C1~C40)ヒドロカルビル」という用語は、1~40個の炭素原子の炭化水素ラジカルを意味し、「(C1~C40)ヒドロカルビレン」という用語は、1~40個の炭素原子の炭化水素ジラジカルを意味し、各炭化水素ラジカルおよび各炭化水素ジラジカルは、芳香族または非芳香族、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖、環式(3個以上の炭素原子からなる、単環式および多環式、縮合および非縮合の、二環式を含む多環式)または非環式であり、非置換であるか、または1つ以上のRSによって置換されている。
【0056】
本開示において、(C1~C40)ヒドロカルビルは、非置換もしくは置換の(C1~C40)アルキル、(C3~C40)シクロアルキル、(C3~C20)シクロアルキル-(C1~C20)アルキレン、(C6~C40)アリール、または(C6~C20)アリール-(C1~C20)アルキレンであり得る。さらなる実施形態において、上記の(C1~C40)ヒドロカルビル基の各々は、最大20個の炭素原子(すなわち、(C1~C20)ヒドロカルビル)を有し、他の実施形態において、最大12個の炭素原子を有する。
【0057】
「(C1~C40)アルキル」および「(C1~C18)アルキル」という用語は、それぞれ、1~40個の炭素原子または1~18個の炭素原子の飽和直鎖または分岐炭化水素基を意味し、ラジカルは、非置換であるかまたは1つ以上のRSにより置換されている。非置換(C1~C40)アルキルの例は、非置換(C1~C20)アルキル、非置換(C1~C10)アルキル、非置換(C1~C5)アルキル、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、1-ブチル、2-ブチル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、1-ペンチル、1-ヘキシル、1-ヘプチル、1-ノニル、および1-デシルである。置換(C1~C40)アルキルの例は、置換(C1~C20)アルキル、置換(C1~C10)アルキル、トリフルオロメチル、および[C45]アルキルである。「[C45]アルキル」(角括弧付き)という用語は、置換基を含むラジカル中に最大45個の炭素原子が存在することを意味し、例えば、それぞれ、(C1~C5)アルキルである1つのRSによって置換された(C27~C40)アルキルである。各(C1~C5)アルキルは、メチル、トリフルオロメチル、エチル、1-プロピル、1-メチルエチル、または1,1-ジメチルエチルであることができる。
【0058】
「(C6~C40)アリール」という用語は、6~40個の炭素原子の非置換または置換の(1つ以上のRSによる)単環式、二環式、または三環式の芳香族炭化水素ラジカルを意味し、そのうちの少なくとも6~14個の炭素原子は芳香環炭素原子であり、単環式、二環式または三環式ラジカルは、それぞれ1つ、2つまたは3つの環を含み、1つの環は芳香族であり、2つまたは3つの環は、独立して縮合または非縮合であり、2つまたは3つの環の少なくとも1つは芳香族である。非置換(C6~C40)アリールの例は、非置換(C6~C20)アリール、非置換(C6~C18)アリール、2-(C1~C5)アルキル-フェニル、2,4-ビス(C1~C5)アルキル-フェニル、フェニル、フルオレニル、テトラヒドロフルオレニル、インダセニル、ヘキサヒドロインダセニル、インデニル、ジヒドロインデニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、およびフェナントレンである。置換(C6~C40)アリールの例は、置換(C1~C20)アリール、置換(C6~C18)アリール、2,4-ビス[(C20)アルキル]-フェニル、ポリフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、およびフルオレン-9-オン-1-イルである。
【0059】
「(C3~C40)シクロアルキル」という用語は、非置換であるかまたは1つ以上のRSで置換されている、3~40個の炭素原子の飽和環式炭化水素ラジカルを意味する。他のシクロアルキル基(例えば(Cx~Cy)シクロアルキル)は、x~y個の炭素原子を有し、非置換であるか、または1つ以上のRSで置換されているかのいずれかであると同様な様式で定義される。非置換(C3~C40)シクロアルキルの例は、非置換(C3~C20)シクロアルキル、非置換(C3~C10)シクロアルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、およびシクロデシルである。置換(C3~C40)シクロアルキルの例は、置換(C3~C20)シクロアルキル、置換(C3~C10)シクロアルキル、シクロペンタノン-2-イル、および1-フルオロシクロヘキシルである。
【0060】
(C1~C40)ヒドロカルビレンの例としては、非置換または置換の(C6~C40)アリーレン、(C3~C40)シクロアルキレン、および(C1~C40)アルキレン(例えば(C1~C20)アルキレン)が挙げられる。いくつかの実施形態において、ジラジカルは、同じ炭素原子上にあるか(例えば、-CH2-)であるか、または隣接する炭素原子上にあるか(すなわち、1,2-ジラジカル)、または1個、2個、または2個より多くの介在する炭素原子によって離間されている(例えば、それぞれ、1,3-ジラジカル、1,4-ジラジカル等)。一部のジラジカルには、α,ω-ジラジカルが含まれる。α,ω-ジラジカルは、ラジカル炭素間に最大の炭素骨格間隔を有するジラジカルである。(C2~C20)アルキレンα,ω-ジラジカルのいくつかの例としては、エタン-1,2-ジイル(すなわち-CH2CH2-)、プロパン-1,3-ジイル(すなわち-CH2CH2CH2-)、2-メチルプロパン-1,3-ジイル(すなわち-CH2CH(CH3)CH2-)が挙げられる。(C6~C50)アリーレンα,ω-ジラジカルのいくつかの例としては、フェニル-1,4-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル、またはナフタレン-3,7-ジイルが挙げられる。
【0061】
「(C1~C40)アルキレン」という用語は、非置換または1つ以上のRSで置換された炭素数1~40の飽和直鎖または分岐鎖のジラジカル(すなわち、ラジカルが環原子ではない)を意味する。非置換(C1~C50)アルキレンの例は、非置換(C1~C20)アルキレンであり、非置換-CH2CH2-、-(CH2)3-、-(CH2)4-、-(CH2)5-、-(CH2)6-、-(CH2)7-、-(CH2)8-、-CH2C*HCH3、および-(CH2)4C*(H)CH3を含み、「C*」は、水素原子が、二級もしくは三級アルキルラジカルを形成するために除去される炭素原子を表す。置換(C1~C50)アルキレンの例は、置換(C1~C20)アルキレン、-CF2-、-C(O)-、および-(CH2)14C(CH3)2(CH2)5-(すなわち、6,6-ジメチル置換ノルマル-1,20-エイコシレン)である。前述のように、2つのRSは一緒になって、(C1~C18)アルキレンを形成することができるので、置換(C1~C50)アルキレンの例としては、1,2-ビス(メチレン)シクロペンタン、1,2-ビス(メチレン)シクロヘキサン、2,3-ビス(メチレン)-7,7-ジメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、および2,3-ビス(メチレン)ビシクロ[2.2.2]オクタンも挙げられる。
【0062】
「(C3~C40)シクロアルキレン」という用語は、非置換であるか、または1つ以上のRSで置換されている、3~40個の炭素原子の環式ジラジカル(すなわち、ラジカルが環原子上にある)を意味する。
【0063】
「ヘテロ原子」という用語は、水素または炭素以外の原子を指す。ヘテロ原子の例としては、O、S、S(O)、S(O)2、Si(RC)2、P(RP)、N(RN)、-N=C(RC)2、-Ge(RC)2-、または-Si(RC)-が挙げられ、各RC、各RN、および各RPは、非置換(C1~C18)ヒドロカルビルまたは-Hである。「ヘテロ炭化水素」という用語は、1個以上の炭素原子がヘテロ原子で置換されている分子または分子骨格を指す。「(C1~C40)ヘテロヒドロカルビル」という用語は、1~40個の炭素原子のヘテロ炭化水素ラジカルを意味し、「(C1~C40)ヘテロヒドロカルビレン」という用語は、1~40個の炭素原子のヘテロ炭化水素ジラジカルを意味し、各ヘテロ炭化水素が1個以上のヘテロ原子を有する。ヘテロヒドロカルビルのラジカルは、炭素原子またはヘテロ原子上に存在し、ヘテロヒドロカルビルのジラジカルは、(1)1個または2個の炭素原子、(2)1個または2個のヘテロ原子、または(3)炭素原子とヘテロ原子上に存在し得る。各(C1~C50)ヘテロヒドロカルビルおよび(C1~C50)ヘテロヒドロカルビレンは、非置換または(1つ以上のRSによって)置換、芳香族または非芳香族、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖、環式(単環式および多環式、縮合多環式および非縮合多環式を含む)または非環式であってもよい。
【0064】
(C1~C40)ヘテロヒドロカルビルは、非置換もしくは置換(C1~C40)ヘテロアルキル、(C1~C40)ヒドロカルビル-O-、(C1~C40)ヒドロカルビル-S-、(C1~C40)ヒドロカルビル-S(O)-、(C1~C40)ヒドロカルビル-S(O)2-、(C1~C40)ヒドロカルビル-Si(RC)2-、(C1~C40)ヒドロカルビル-N(RN)-、(C1~C40)ヒドロカルビル-P(RP)-、(C2~C40)ヘテロシクロアルキル、(C2~C19)ヘテロシクロアルキル-(C1~C20)アルキレン、(C3~C20)シクロアルキル-(C1~C19)ヘテロアルキレン、(C2~C19)ヘテロシクロアルキル-(C1~C20)ヘテロアルキレン、(C1~C40)ヘテロアリール、(C1~C19)ヘテロアリール-(C1~C20)アルキレン、(C6~C20)アリール-(C1~C19)ヘテロアルキレン、または(C1~C19)ヘテロアリール-(C1~C20)ヘテロアルキレンであってもよい。
【0065】
「(C4~C40)ヘテロアリール」という用語は、合計4~40個の炭素原子および1~10個のヘテロ原子の非置換または置換(1つ以上のRSによる)単環式、二環式、または三環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルを意味し、単環式、二環式、または三環式ラジカルは、それぞれ1個、2個、または3個の環を含み、2個または3個の環は、独立して縮合または非縮合であり、2個または3個の環のうちの少なくとも1つは、ヘテロ芳香族である。他のヘテロアリール基(例えば、一般に(Cx~Cy)ヘテロアリール、(C4~C12)ヘテロアリールなど)は、x~y個の炭素原子(4~12個の炭素原子など)を有し、かつ非置換または1つもしくは2つ以上のRSによって置換されているものと同様な様式で定義される。単環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは、5員環または6員環である。5員環は、5マイナスh個の炭素原子を有し、ここで、hは、ヘテロ原子数であり、1、2、または3であり得、各ヘテロ原子は、O、S、N、またはPであり得る。5員環ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルの例としては、ピロール-1-イル、ピロール-2-イル、フラン-3-イル、チオフェン-2-イル、ピラゾール-1-イル、イソキサゾール-2-イル、イソチアゾール-5-イル、イミダゾール-2-イル、オキサゾール-4-イル、チアゾール-2-イル、1,2,4-トリアゾール-1-イル、1,3,4-オキサジアゾール-2-イル、1,3,4-チアジアゾール-2-イル、テトラゾール-1-イル、テトラゾール-2-イル、およびテトラゾール-5-イルが挙げられる。6員環は、6マイナスh個の炭素原子を有し、ここで、hは、ヘテロ原子数であり、1または2であり得、ヘテロ原子は、NまたはPであり得る。6員環ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルの例は、ピリジン-2-イル、ピリミジン-2-イル、およびピラジン-2-イルである。二環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは、縮合5,6-または6,6-環系であり得る。縮合5,6-環系二環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルの例としては、インドール-1-イル、およびベンズイミダゾール-1-イルが挙げられる。縮合6,6-環系二環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルの例としては、キノリン-2-イル、およびイソキノリン-1-イルが挙げられる。三環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは縮合5,6,5-、5,6,6-、6,5,6-、または6,6,6-環系であり得る。縮合5,6,5-環系の例は、1,7-ジヒドロピロロ[3,2-f]インドール-1-イルである。縮合5,6,6-環系の例は、1H-ベンゾ[f]インドール-1-イルである。縮合6,5,6-環系の例は、9H-カルバゾール-9-イルである。縮合6,5,6-環系の例は、9H-カルバゾール-9-イルである。縮合6,6,6-環系の例としては、アクリジン-9-イルである。
【0066】
前述のヘテロアルキルは、(C1~C50)の炭素原子またはそれより少ない炭素原子および1個以上のヘテロ原子を含有する飽和直鎖または分岐鎖ラジカルであってもよい。同様に、ヘテロアルキレンは、1~50個の炭素原子および1個もしくは2個以上のヘテロ原子を含む飽和直鎖または分岐鎖ジラジカルであってもよい。上に定義されるようなヘテロ原子は、Si(RC)3、Ge(RC)3、Si(RC)2、Ge(RC)2、P(RP)2、P(RP)、N(RN)2、N(RN)、N、O、ORC、S、SRC、S(O)、およびS(O)2を含んでもよく、ヘテロアルキル基およびヘテロアルキレン基の各々は、非置換であるか、または1つ以上のRSによって置換されている。
【0067】
非置換(C2~C40)ヘテロシクロアルキルの例としては、非置換(C2~C20)ヘテロシクロアルキル、非置換(C2~C10)ヘテロシクロアルキル、アジリジン-1-イル、オキセタン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、ピロリジン-1-イル、テトラヒドロチオフェン-S,S-ジオキシド-2-イル、モルホリン-4-イル、1,4-ジオキサン-2-イル、ヘキサヒドロアゼピン-4-イル、3-オキサ-シクロオクチル、5-チオ-シクロノニル、および2-アザ-シクロデシルが挙げられる。
【0068】
「ハロゲン原子」または「ハロゲン」という用語は、フッ素原子(F)、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)、またはヨウ素原子(I)のラジカルを意味する。「ハロゲン化物」という用語は、フッ化物(F-)、塩化物(Cl-)、臭化物(Br-)、またはヨウ化物(I-)のハロゲン原子のアニオン形態を意味する。
【0069】
「飽和」という用語は、炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、および(ヘテロ原子含有基において)炭素-窒素二重結合、炭素-リン二重結合、および炭素-ケイ素二重結合を欠くことを意味する。飽和化学基が1つ以上の置換基RSで置換されている場合、1つ以上の二重および/または三重結合は、任意で、置換基RS中に存在してもしなくてもよい。「不飽和」という用語は、1つ以上の炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、ならびに(ヘテロ原子含有基において)炭素-窒素、炭素-リン、および炭素-ケイ素二重結合を含有すること、存在する場合、置換基RS中に存在し得るか、または存在する場合、(ヘテロ)芳香族環中に存在し得る任意のそのような二重結合を含まないことを意味する。
【0070】
いくつかの実施形態によれば、ポリエチレン組成物を生成するための触媒系は、式(I)に従う金属-配位子錯体を含む。
【化1】
【0071】
式(I)において、Mは、チタン、ジルコニウム、またはハフニウムから選ばれる金属であり、金属が、+2、+3、または+4の形式酸化状態にあり、nは、0、1、または2であり、nが1であるとき、Xは、単座配位子または二座配位子であり、nが2であるとき、各Xは、単座配位子であり、かつ同じかまたは異なり、金属-配位子錯体は、全体的に中性に帯電しており、各Zは、独立的して-O-、-S-、-N(R
N)-、または-P(R
P)-から選ばれ、Lは、(C
1~C
40)ヒドロカルビレンまたは(C
1~C
40)ヘテロヒドロカルビレンであり、(C
1~C
40)ヒドロカルビレンが、式(I)の2つのZ基を連結する1炭素原子~10炭素原子のリンカー骨格(これにLが結合している)を含む一部分を有するか、または(C
1~C
40)ヘテロヒドロカルビレンが、式(I)の2つのZ基を連結する1原子~10原子のリンカー骨格を含む一部分を有し、(C
1~C
40)ヘテロヒドロカルビレンの1原子~10原子のリンカー骨格の1~10原子の各々が、独立して炭素原子またはヘテロ原子であり、各ヘテロ原子が、独立してO、S、S(O)、S(O)
2、Si(R
C)
2、Ge(R
C)
2、P(R
C)、またはN(R
C)であり、各R
Cが、独立して(C
1~C
30)ヒドロカルビルまたは(C
1~C
30)ヘテロヒドロカルビルであり、R
1およびR
8が、独立して-H、(C
1~C
40)ヒドロカルビル、(C
1~
40)ヘテロヒドロカルビル、-Si(R
C)
3、-Ge(R
C)
3、-P(R
P)
2、-N(R
N)
2、-OR
C、-SR
C、-NO
2、-CN、-CF
3、R
CS(O)-、R
CS(O)
2-、(R
C)
2C=N-、R
CC(O)O-、R
COC(O)-、R
CC(O)N(R
N)-、(R
N)
2NC(O)-、ハロゲン、および式(II)、式(III)、または式(IV)を有するラジカルからなる群から選択される。
【化2】
【0072】
式(II)、(III)、および(IV)において、R31~35、R41~48、またはR51~59の各々は独立して、(C1~C40)ヒドロカルビル、(C1~C40)ヘテロヒドロカルビル、-Si(RC)3、-Ge(RC)3、-P(RP)2、-N(RN)2、-N=CHRC、-ORC、-SRC、-NO2、-CN、-CF3、RCS(O)-、RCS(O)2-、(RC)2C=N-、RCC(O)O-、RCOC(O)-、RCC(O)N(RN)-、(RN)2NC(O)-、ハロゲン、または-Hから選択され、ただし、R1またはR8のうちの少なくとも1つが式(II)、式(III)、または式(IV)を有するラジカルであることを条件とする。
【0073】
式(I)において、R2~4、R5~7、およびR9~16の各々は、独立して(C1~C40)ヒドロカルビル、(C1~C40)ヘテロヒドロカルビル、-Si(RC)3、-Ge(RC)3、-P(RP)2、-N(RN)2、-N=CHRC、-ORC、-SRC、-NO2、-CN、-CF3、RCS(O)-、RCS(O)2-、(RC)2C=N-、RCC(O)O-、RCOC(O)-、RCC(O)N(RN)-、(RC)2NC(O)-、ハロゲン、および-Hから選択される。
【0074】
いくつかの実施形態において、ポリエチレン組成物は、第1の反応器において式(I)による第1の触媒を使用して、第2の反応器において式(I)による異なる触媒を使用して形成される。
【0075】
二重ループ反応器が使用される1つの例示的な実施形態において、第1のループで使用されるプロ触媒は、ジルコニウム、[[2,2’’’-[[ビス[1-メチルエチル)ゲルミレン]ビス(メチレンオキシ-κO)]ビス[3’’,5,5’’-トリス(1,1-ジメチルエチル)-5’-オクチル[1,1’:3’,1’’-テルフェニル]-2’-オラト-κO]](2-)]ジメチル-であり、化学式C
86H
128F
2GeO
4Zrおよび以下の構造(V)を有する。
【化3】
【0076】
そのような実施形態において、第2のループで使用されるプロ触媒は、ジルコニウム、[[2,2’’’-[1,3-プロパンジイルビス(オキシ-κO)]ビス[3-[2,7-ビス(1,1)-ジメチルエチル)-9H-カルバゾール-9-イル]]-5’-(ジメチルオクチルシリル)-3’-メチル-5-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)[1,1]-ビフェニル]-2-オラト-κO]](2-)]ジメチルであり、化学式C
107H
154N
2O
4Si
2Zrおよび以下の構造(VI)を有する。
【化4】
【0077】
助触媒成分
式(I)の金属-配位子錯体を含む触媒系は、オレフィン重合反応の金属ベース触媒を活性化するための当該技術分野で既知の任意の技術によって触媒的に活性にされ得る。例えば、式(I)の金属-配位子錯体を含む系は、錯体を活性化助触媒と接触させるか、または錯体を活性化助触媒と組み合わせることによって、触媒的に活性にされ得る。本明細書に使用するのに好適な活性化助触媒としては、アルキルアルミニウム、ポリマーまたはオリゴマーアルモキサン(アルミノキサンとしても知られる)、中性ルイス酸、および非ポリマー、非配位、イオン形成化合物(酸化条件下でのそのような化合物の使用を含む)が挙げられる。好適な活性化技術は、バルク電気分解である。前述の活性化共触媒および技法のうちの1つ以上の組み合わせもまた企図される。「アルキルアルミニウム」という用語は、モノアルキルアルミニウムジヒドリドもしくはモノアルキルアルミニウムジハライド、ジアルキルアルミニムウヒドリドもしくはジアルキルアルミニウムハライド、またはトリアルキルアルミニウムを意味する。ポリマーアルモキサンまたはオリゴマーアルモキサンの例としては、メチルアルモキサン、トリイソブチルアルミニウム修飾メチルアルモキサン、およびイソブチルアルモキサンが挙げられる。
【0078】
ルイス酸活性化剤(共触媒)は本明細書に記載されるように、1~3個の(C1~C20)ヒドロカルビル置換基を含有する第13族金属化合物を含む。一実施形態において、第13族金属化合物は、トリ((C1~C20)ヒドロカルビル)置換アルミニウムまたはトリ((C1~C20)ヒドロカルビル)-ホウ素化合物である。他の実施形態では、第13族金属化合物は、トリ(ヒドロカルビル)-置換アルミニウム、トリ((C1~C20)ヒドロカルビル)-ホウ素化合物、トリ((C1~C10)アルキル)アルミニウム、トリ((C6~C18)アリール)ホウ素化合物、およびそれらのハロゲン化(過ハロゲン化を含む)誘導体である。さらなる実施形態では、第13族金属化合物は、トリス(フルオロ置換フェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。いくつかの実施形態では、活性化助触媒は、トリス((C1~C20)ヒドロカルビルボレート(例えば、トリチルテトラフルオロボレート)またはトリ((C1~C20)ヒドロカルビル)アンモニウムテトラ((C1~C20)ヒドロカルビル)ボラン(例えば、ビス(オクタデシル)メチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)である。本明細書で使用される場合、「アンモニウム」という用語は、((C1~C20)ヒドロカルビル)4N+、((C1~C20)ヒドロカルビル)3N(H)+、((C1-C20)ヒドロカルビル)2N(H)2
+、(C1-C20)ヒドロカルビルN(H)3
+、またはN(H)4
+である窒素カチオンを意味し、各(C1-C20)ヒドロカルビルは、2つ以上存在する場合、同じであっても、異なっていてもよい。
【0079】
中性ルイス酸活性剤(助触媒)の組み合わせとしては、トリ((C1~C4)アルキル)アルミニウムとハロゲン化トリ((C6~C18)アリール)ホウ素化合物、とりわけ、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとの組み合わせを含む混合物が挙げられる。他の実施形態は、そのような中性ルイス酸混合物とポリマーまたはオリゴマーアルモキサンとの組み合わせ、および単一の中性ルイス酸、特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとポリマーまたはオリゴマーアルモキサンとの組み合わせである。(金属-配位子錯体):(トリス(ペンタフルオロ-フェニルボラン):(アルモキサン)[例えば(第4族金属-配位子錯体):(トリス(ペンタフルオロ-フェニルボラン):(アルモキサン)]のモルの数の比は、1:1:1~1:10:30であり、他の実施形態では、1:1:1.5~1:5:10である。
【0080】
式(I)の金属-配位子錯体を含む触媒系を活性化して、1つ以上の助触媒、例えば、カチオン形成助触媒、強ルイス酸、またはそれらの組み合わせを組み合わせることによって、活性触媒組成物を形成することができる。好適な活性化助触媒としては、ポリマーまたはオリゴマーアルミノキサン、特にメチルアルミノキサン、ならびに不活性、相溶性、非配位性、イオン形成化合物が挙げられる。例示的な好適な共触媒としては、変性メチルアルミノキサン(MMAO)、ビス(水素化タローアルキル)メチル、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(1-)アミン、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
いくつかの実施形態において、前述の活性化助触媒のうちの1つ以上は、互いに組み合わせて使用される。特に好ましい組み合わせは、トリ((C1~C4)ヒドロカルビル)アルミニウム、トリ((C1~C4)ヒドロカルビル)ボラン、またはホウ酸アンモニウムとオリゴマーもしくはポリマーアルモキサン化合物との混合物である。式(I)の1つ以上の金属-配位子錯体の総モル数の1つ以上の活性化助触媒の総モル数との比は、1:10,000~100:1である。いくつかの実施形態では、この比は、少なくとも1:5000であり、他のいくつかの実施形態では少なくとも1:1000、および10:1以下であり、さらにいくつかの他の実施形態では、1:1以下である。アルモキサンを単独で活性化助触媒として使用する場合、用いられるアルモキサンのモル数は、式(I)の金属-配位子錯体のモル数の少なくとも100倍であることが好ましい。トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを単独で活性化共触媒として使用する場合、いくつかの他の実施形態では、式(I)の1つ以上の金属-配位子錯体の総モル数に対して用いられるトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランのモル数は、0.5:1~10:1、1:1~6:1、または1:1~5:1である。残りの活性化共触媒は一般に、式(I)の1つ以上の金属-配位子錯体の総モル量におおよそ等しいモル量で用いられる。
【0082】
フィルム
いくつかの実施形態において、本開示の実施形態は、本明細書に記載されるように、本開示のポリエチレン組成物のいずれかから形成されたフィルムに関する。いくつかの実施形態において、フィルムは、インフレーションフィルムまたはキャストフィルムである。いくつかの実施形態において、フィルムは、単層フィルムである。いくつかの実施形態において、フィルムは、多層フィルムである。本開示のポリエチレン組成物を含む多層フィルムのいくつかの実施形態において、多層フィルムは、表面層および/または内層中にも本開示のポリエチレン組成物を含むことができる。1つ以上の実施形態において、本開示のポリエチレン組成物は、他のポリエチレンさらには他の非ポリエチレンベースポリマーなど、他のポリマーとブレンドすることができる。例えば、本開示のポリエチレン組成物は、限定されないが、当業者に既知のLDPE、LLDPE、および/またはHDPEなどの従来のポリエチレン組成物とブレンドすることができる。
【0083】
本発明の実施形態のフィルムに使用するためのポリエチレン組成物の量は、例えば、フィルムが単層または多層フィルムであるかどうか、それが多層フィルムである場合はフィルムの他の層、フィルムの最終使用用途、および他のもの含む数多くの要因に依存し得る。
【0084】
本開示のフィルムは、種々の厚さを有することができる。インフレーションフィルムの厚さは、例えば、フィルムが単層または多層フィルムであるかどうか、多層フィルムである場合はフィルムの他の層、フィルムの所望の特性、フィルムの最終用途、フィルムの製造に利用できる機器、および他を含むいくつかの要因に依存し得る。いくつかの実施形態において、本開示のフィルムは、最大10ミルの厚さを有する。例えば、インフレーションフィルムは、0.25ミル、0.5ミル、0.7ミル、1.0ミル、1.75ミル、または2.0ミルの下限~4.0ミル、6.0ミル、8.0ミル、または10ミルの上限の厚さを有することができる。
【0085】
フィルムが多層フィルムを含む実施形態では、フィルムの層の数は、例えば、フィルムの所望の特性、フィルムの所望の厚さ、フィルムの他の層の含量、フィルムの最終用途、フィルムの製造に利用できる機器、および他を含むいくつかの要因に依存し得る。多層インフレーションフィルムは、様々な実施形態では、最大2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11層を含むことができる。
【0086】
ポリエチレン組成物は、いくつかの実施形態において、フィルムの2つ以上の層で使用することができる。本開示の多層フィルム内の他の層は、様々な実施形態において、以下の:本開示のポリエチレン組成物、LLDPE、VLDPE(極低密度ポリエチレン)、MDPE、LDPE、HDPE、HMWHDPE(高分子量HDPE)、プロピレンベースポリマー、ポリオレフィンプラストマー(POP)、ポリオレフィンエラストマー(POE)、オレフィンブロックコポリマー(OBC)、エチレン酢酸ビニル、エチレンアクリル酸、エチレンメタクリル酸、エチレンメチルアクリレート、エチレンエチルアクリレート、エチレンブチルアクリレート、イソブチレン、無水マレイン酸グラフトポリオレフィン、前述のいずれかのイオノマー、またはそれらの組み合わせから選択されるポリマーを含むことができる。いくつかの実施形態では、本開示の多層フィルムは、当業者に知られている1つ以上のタイ層を含むことができる。
【0087】
本明細書に記載のポリオレフィンフィルムの追加の実施形態において、他の層は、例えば、結合層により(時にはバリア層に加えて)ポリエチレンフィルムに接着され得る。例えば、ポリオレフィンフィルムは、例えば、他のバリア層、シーラント層、他の結合層、他のポリエチレン層、ポリプロピレン層などを含む、用途に依存して、典型的には多層構造内に含まれる他の層をさらに含むことができる。追加の実施形態において、製品の詳細および他の包装情報を様々な色で示すためのインク層であり得る印刷層が含まれ得る。
【0088】
前述の層のいずれも、例えば、酸化防止剤、紫外線安定剤、熱安定剤、スリップ剤、ブロッキング防止剤、顔料または着色剤、加工助剤、架橋触媒、難燃剤、充填剤、および発泡剤などの当業者に既知の1つ以上の添加剤をさらに含み得ることを理解されたい。いくつかの実施形態において、ポリエチレン組成物は、最大3重量パーセントのそのような追加の添加剤を含む。0~3重量%のすべての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれて開示され、例えば、ポリマーブレンド中の添加剤の総量は、1、1.5、2、または2.5重量%の下限から1.5、2、2.5、または3重量%の上限までであり得る。
【0089】
ポリエチレン組成物であることにより、本開示のポリエチレン組成物は、いくつかの実施形態によれば、より容易にリサイクル可能であるフィルムおよび物品を提供するために、実質的または完全ではないにしても、主にポリオレフィンから構成される多層フィルムおよび物品に組み込むことができる。本開示のポリエチレンベース組成物は、フィルムが主にポリエチレンおよび/またはポリプロピレンなどのポリオレフィンから形成されるフィルムを提供する際に特に有利である。例えば、フィルムが主にポリエチレンまたはポリプロピレンを含むコーティングされたフィルムは、そのようなポリマーの使用が提供し得る他の利点に加えて、改善された再生利用性プロファイルを有する。いくつかの実施形態において、フィルムは、フィルムの総重量に基づいて、95重量パーセント以上のポリエチレンを含む。他の実施形態において、フィルムは、フィルムの総重量に基づいて、96重量%以上、97重量%以上、98重量%以上、または99重量%以上のポリエチレンを含む。
【0090】
いくつかの実施形態において、本開示のポリエチレン組成物から形成された層を含むフィルムは、別のフィルムに積層することができる。
【0091】
本開示のフィルムは、いくつかの実施形態において、当業者に既知の技術を使用して、コロナ処理および/または印刷(例えば、裏面印刷または表面印刷)することができる。
【0092】
いくつかの実施形態において、本開示のフィルムは、当業者に既知の技術を使用して、一軸方向(例えば、機械方向に)または二軸方向に配向させることができる。
【0093】
物品
本開示の実施形態はまた、本開示のポリエチレン組成物(または本開示のポリエチレン組成物を組み込んだフィルム)から形成された、またはそれらを組み込んだ包装などの物品に関する。そのような包装は、本明細書に記載の本開示のポリエチレン組成物(または本開示のポリエチレンベース組成物を組み込んだフィルム)のいずれかから形成することができる。
【0094】
そのような物品の例としては、可撓性包装、パウチ、立式パウチ、および既成包装またはパウチが挙げられる。いくつかの実施形態において、本開示の多層フィルムまたは積層体は、食品包装に使用することができる。かかる包装に含まれ得る食品の例には、肉、チーズ、シリアル、ナッツ、ジュース、ソース、などが挙げられる。このような包装は、本明細書の教示に基づいて、包装の特定の用途(例えば、食品の種類、食品の量など)に基づいて、当業者に既知の技術を使用して形成することができる。
【0095】
試験方法
本明細書で別段指示がない限り、本開示の態様を記載する上で以下の分析方法が使用される。
【0096】
メルトインデックス
ポリマー試料のメルトインデックスI2(またはI2)およびI10(またはI10)は、それぞれ190℃ならびに2.16kgおよび10kg荷重でASTM D-1238(方法B)に従って測定した。それらの値をg/10分で報告する。ポリマー試料の画分は、ポリマー組成物のその特定の画分または部分を生成する反応器から生成物ポリマーを収集することによって測定した。例えば、第1のポリエチレン画分は、ポリマー組成物のより低密度でより高分子量の成分を生成する反応器から収集することができる。メルトインデックス測定の前に、ポリマー溶液を真空下で乾燥させる。
【0097】
密度
密度測定用の試料は、ASTM D4703に従って調製した。試料加圧の1時間以内に、ASTM D792、方法Bに従って測定した。
【0098】
ASTM D1709のダート落下
フィルムダート落下試験は、自由落下ダートによる衝撃の指定された条件下で、プラスチックフィルムを破損させるエネルギーを決定する。試験結果は、試験される試験片の50%の破損をもたらすことになる、指定された高さから落ちる加撃体の重量として表現されるエネルギーである。
【0099】
フィルムを生成した後、そのフィルムを、ASTM標準に従って23℃(+/-2℃)および50%R.H(+/-5)で少なくとも40時間コンディショニングする。標準試験条件は、ASTM標準に従って、23℃(+/-2℃)および50%R.H(+/-5)である。
【0100】
試験結果は、直径1.5インチのダートヘッドおよび26インチの落下高さを使用する、方法Aによって報告される。試料の厚さは試料の中央で測定し、次いで、試料を5インチの内径を有する環状試験片ホルダーで固定する。ダートを、試料の中心より上に装填し、空気圧または電磁気のいずれかのメカニズムによって放出する。
【0101】
試験は、「ステアケース」法に従って実施される。試料が失敗する場合、ダートの重量を既知の固定量だけ低減した新たな試料を試験する。試料が破損していない場合、ダートの重量を既知の量だけ増加した新たな試料を試験する。20個の試験片が試験された後、失敗の数が決定される。この数が10である場合、試験を完了する。数が10未満である場合、10個の破損が記録されるまで試験を継続する。その数が10超である場合、破損しなかったものの総計が10になるまで試験を継続する。ダート落下強度は、ASTM D1709に従って、これらのデータから決定し、種類Aのダート落下衝撃としてグラムで表現する。分析したすべての試料は、2ミルの厚さであった。
【0102】
計装化ダート衝撃
計装化ダート衝撃法は、Instron CEAST 9350衝撃試験機を使用して、ASTM D7192に従って、プラスチックフィルム試験片上で測定する。試験は、半球状ヘッドを備えた直径12.7mmのタップ、ゴム面のグリップを備えた直径75mmの固定アセンブリを使用して実施する。機器に、低温または高温で試験するための環境チャンバを装備する。典型的な試験片サイズは125mm×125mmである。標準試験速度は200m/分である。フィルム厚さは2ミルである。
【0103】
クリープゼロ剪断粘度測定法
ゼロ剪断粘度は、直径25mmの平行プレートを使用して190℃で、AR-G2応力制御レオメーター(TA Instruments、New Castle,Del)で実施したクリープ試験を介して得る。取付け器具をゼロにする前に、レオメーターオーブンを少なくとも30分間試験温度に設定する。その試験温度で、圧縮成形された試料ディスクをプレート間に挿入し、5分かけて平衡させる。次いで、上側プレートを所望の試験間隙(1.5mm)より50μm上に下げる。余分な材料をトリミングして除去し、上側プレートを所望の間隙まで下げる。測定は、5L/分の流速での窒素パージ下で行う。デフォルトのクリープ時間は2時間に設定する。
【0104】
定常状態の剪断速度がニュートン領域になる十分な低さを確実にするために、試料のすべてに20Paの一定の低剪断応力を加える。得られた定常状態の剪断速度は、この試験における試料については10-3~10-4s-1の範囲内にある。定常状態は、log(J(t))対log(t)(式中、J(t)はクリープコンプライアンスであり、tはクリープ時間である)のプロットの最後の10%の時間ウィンドウ内のすべてのデータについて線形回帰を取ることによって決定される。線形回帰の傾きが0.97より大きい場合、定常状態に達したと見なし、次いでクリープ試験を停止する。この試験におけるすべての場合において、傾きは2時間以内に基準を満たす。定常状態の剪断速度は、ε対t(εは歪みである)のプロットの最後の10%の時間ウィンドウにおけるデータのすべての線形回帰の傾きから決定される。ゼロ剪断粘度は、加えられた応力の定常状態の剪断速度との比から判定される。
【0105】
クリープ試験中に試料が劣化しているかどうかを決定するために、0.1~100rad/秒の同じ試料についてクリープ試験の前後に小振幅振動剪断試験を行う。2つの試験の複素粘度値を比較する。0.1rad/秒における粘度値の差が5%より大きい場合、クリープ試験中に試料が劣化したとみなし、結果を廃棄する。
【0106】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
クロマトグラフィー系は、内部IR5赤外線検出器(IR5)を装備したPolymerChar GPC-IR(スペイン、バレンシア)の高温GPCクロマトグラフで構成された。オートサンプラーオーブン区画を摂氏160度に設定し、カラム区画を摂氏150度に設定した。カラムには、4本のAgilent「Mixed A」30cm 20ミクロン線形混合床カラムおよび20umのプレカラムを使用した。使用したクロマトグラフィー溶媒は、1,2,4-トリクロロベンゼンであり、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有していた。溶媒源は、窒素をスパージされた。使用した注入体積は200マイクロリットルであり、流量は1.0ミリリットル/分であった。
【0107】
GPCカラムセットの較正を、個々の分子量の間に少なくとも一桁の間隔を有する6つの「カクテル」混合物中に配列された、580~8,400,000の範囲の分子量を有する21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準を用いて行った。標準は、Agilent Technologiesから購入した。1,000,000以上の分子量については50ミリリットルの溶媒中0.025グラムで、また1,000,000未満の分子量については50ミリリットルの溶媒中0.05グラムでポリスチレン標準を調製した。ポリスチレン標準を穏やかに撹拌しながら摂氏80度で30分間溶解させた。ポリスチレン標準ピーク分子量を、式1を使用してポリエチレン分子量に変換した(Williams and Ward,J.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)に記載の通り)。
【数1】
式中、Mは分子量であり、Aは0.4315の値を有し、Bは1.0に等しい。
【0108】
第五次多項式を使用して、それぞれのポリエチレン同等較正点にあてはめた。線状ホモポリマーポリエチレン標準物質が120,000Mwで得られるように、カラム分解能およびバンドの広がり効果を補正するために、Aに対してわずかな調整(約0.375~0.445)を行った。
【0109】
GPCカラムセットの合計プレート計数を、(50ミリリットルのTCB中0.04gで調製し、穏やかに撹拌しながら20分間溶解した)デカンで実行した。プレート計数(等式2)および対称性(等式3)は、以下の等式に従って200マイクロリットルの注入で測定した。
【数2】
式中、RVはミリリットルでの保持体積であり、ピーク幅はミリリットルであり、ピーク最大値はピークの最大高さであり、1/2高さはピーク最大値の1/2の高さである。
【数3】
式中、RVはミリリットルでの保持体積であり、ピーク幅はミリリットルであり、ピーク最大値はピークの最大位置であり、1/10の高さはピーク最大値の1/10の高さであり、リアピークはピーク最大値よりも後の保持体積でのピークテールを指し、フロントピークはピーク最大値よりも早い保持体積でのピーク前部を指す。クロマトグラフィー系のプレート計数は、18,000超となるべきであり、対称性は、0.98~1.22の間となるべきである。
【0110】
試料はPolymerChar「Instrument Control」ソフトウェアを用いて半自動の様式で調製された:2mg/mlを試料の目標重量とし、PolymerChar高温オートサンプラーを介して、予め窒素をスパージしたセプタキャップ付きバイアルに溶媒(200ppmのBHTを含有)を添加した。試料を、「低速」振とうしながら摂氏160度で2時間溶解した。
【0111】
Mn(GPC)、Mw(GPC)、およびMz(GPC)の計算は、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェア、各々の等間隔のデータ回収点(i)でベースラインを差し引いたIRクロマトグラム、および式1からの点(i)の狭い標準較正曲線から得られるポリエチレン等価分子量を使用した、式4~6によるPolymerChar GPC-IRクロマトグラフの内部IR5検出器(測定チャネル)を使用した、GPC結果に基づいた。
【数4】
【数5】
【数6】
【0112】
経時的な偏差を監視するために、PolymerChar GPC-IR系で制御されたマイクロポンプを介して各試料に流量マーカー(デカン)を導入した。この流量マーカー(FM)は、試料中のそれぞれのデカンピーク(RV(FM試料))を狭い標準較正(RV(FM較正済み))内のデカンピークとRV整合することによって各試料のポンプ流量(流量(見かけ))を直線的に較正するために使用された。こうして、デカンマーカーピークの時間におけるいかなる変化も、流量(流量(有効))における線状シフトに関連すると推測される。流量マーカーピークのRV測定の最高精度を促進するために、最小二乗フィッティングルーチンを使用して、流量マーカー濃度クロマトグラムのピークを二次方程式に適合させる。次に、二次方程式の一次導関数を使用して、真のピーク位置を求める。流量マーカーのピークに基づいて系を較正した後、(狭い標準較正に対する)有効流量は式7のように計算される。流量マーカーピークの処理は、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアにより行われた。許容される流量補正は、有効流量が見かけ流量の+/-0.5%以内であるべきである。
流量(有効)=流量(見かけ)*(RV(FM較正済み)/RV(FM試料))(等式7)
【0113】
コモノマー含有量分析のための改善された方法(iCCD)
コモノマー含有量分析のための改善された方法(iCCD)は、2015年に開発された(Cong and Parrott et al.,WO2017040127A1)。iCCD試験は、IR-5検出器(PolymerChar,Spain)および二角光散乱検出器モデル2040(Precision Detectors、現在はAgilent Technologies)を装備した結晶化溶出分画機器(Crystallization Elution Fractionation:CEF)(PolymerChar,Spain)で実行した。検出器オーブン内のIR-5検出器の直ぐ前に、5cmまたは10cm(長さ)×1/4インチ(ID)のステンレスに20~27ミクロンのガラス(MoSCi Corporation,USA)で充填したガードカラムを設置した。オルトジクロロベンゼン(ODCB、99%無水グレードまたはテクニカルグレード)を使用した。EMD Chemicalsからシリカゲル40(粒子径0.2mm~0.5mm、カタログ番号10181-3)を入手した(先にODCB溶媒の乾燥に使用することができる)。CEF機器に、N2パージ能力を備えたオートサンプラーを装備する。使用前に、ODCBに乾燥窒素(N2)を1時間スパージする。試料調製を、160℃で1時間の振とう下で、オートサンプラーを4mg/mlで(別段指定のない限り)行った。注入量は300μlであった。iCCDの温度プロファイルは、3℃/分で105℃~30℃での結晶化、30℃で2分間の熱平衡(2分間に設定された可溶性画分溶出時間を含む)、3℃/分で30℃~140℃での溶出であった。結晶化中の流量は、0.0ml/分である。溶出中の流量は、0.50ml/分である。データは、1つのデータ点/秒で収集した。
【0114】
iCCDカラムには、金でコーティングされたニッケル粒子(Bright 7GNM8-NiS、Nippon Chemical Industrial Co.)を15cm(長さ)×1/4インチ(ID)のステンレス管に詰めた。カラムの充填およびコンディショニングは、参考文献(Cong,R;Parrott,A.;Hollis,C.;Cheatham,M.WO2017040127A1)によるスラリー法を用いた。TCBスラリーパッキンの最終圧力は、150バールであった。
【0115】
カラム温度の較正は、ODCB中の参照物質の線状ホモポリマーポリエチレン(ゼロコモノマー含有量、1.0のメルトインデックス(I2)、ゲル浸透クロマトグラフィーによる多分散度Mw/Mn約2.6、1.0mg/mlを有する)と、エイコサン(2mg/ml)との混合物を使用することによって実行した。iCCD温度較正は、4つのステップからなった:(1)エイコサンの測定したピーク溶出温度間の温度オフセットから30.00℃を引いたものとして定義されるディレイボリュームを計算すること、(2)iCCD生温度データから溶出温度の温度オフセットを差し引くこと。この温度オフセットは、溶出温度、溶出流量などの実験条件の関数であることに留意されたい、(3)線状ホモポリマーポリエチレン参照物が101.0℃でピーク温度を有し、エイコサンが30.0℃のピーク温度を有するように、30.00℃~140.00℃の範囲にわたる溶出温度を変換する線形較正直線を作成すること、(4)30℃で等温的に測定した可溶性画分については、30.0℃を下回る溶出温度は、参考文献(Cerk and Cong et al.,US9,688,795)に従って3℃/分の溶出加熱速度を使用することによって直線的に外挿されること。
【0116】
コモノマー含有量対iCCDの溶出温度を、12の参照物質(エチレンホモポリマーおよびシングルサイトメタロセン触媒で作製されたエチレン-オクテンランダムコポリマー、35,000~128,000の範囲のエチレン当量の重量平均分子量を有する)を使用することで構築した。これらの参照物質はすべて、4mg/mLで以前に指定したものと同じ方式で分析した。報告した溶出ピーク温度は、線形方程式y=-6.3515x.+101.00に線形に適合し、式中、yは、iCCDの溶出温度を表し、xは、オクテンのモル%を表し、R2は、0.978であった。
【0117】
ポリマーの分子量およびポリマー画分の分子量は、1のフォームファクタおよびゼロに等しいすべてのビリアル係数を仮定することによって、Rayleigh-Gans-Debys近似(Striegel and Yau,Modern Size Exclusion Liquid Chromatogram,Page 242 and Page 263)に従って、LS検出器(90度の角度)および濃度検出器(IR-5)から直接決定した。23.0~120℃の範囲の溶出温度(温度較正は上記で指定)ですべてのクロマトグラムを積分するように積分ウィンドウを設定する。
【0118】
iCCDからの分子量(Mw)の計算は、以下の4つのステップを含む。
【0119】
(1)検出器間オフセットを測定する。オフセットは、濃度検出器に対するLS間の幾何学的体積オフセットとして定義する。オフセットは、濃度検出器とLSクロマトグラムとの間のポリマーピークの溶出体積(mL)における差として計算する。それを溶出熱速度および溶出流量を使用することによって温度オフセットに変換する。線状高密度ポリエチレン(ゼロコモノマー含有量、1.0のメルトインデックス(I2)、ゲル浸透クロマトグラフィーによる多分散度Mw/Mn約2.6を有する)を使用する。以下のパラメーター:10℃/分で140℃~137℃での結晶化、137℃で可溶性画分溶出時間として1分間の熱平衡、7分の可溶性画分(SF)時間、3℃/分で137℃~142℃での溶出を除いて、上記の通常のiCCD法と同じ実験条件を使用する。結晶化中の流量は、0.0ml/分である。溶出中の流量は、0.80ml/分である。試料濃度は、1.0mg/mlである。
【0120】
(2)LSクロマトグラムにおける各LSデータポイントをシフトして、積分前に検出器間オフセットを補正する。
【0121】
(3)ベースラインを差し引いたLSおよび濃度クロマトグラムを、ステップ(1)の溶出温度範囲全体について積分する。MW検出器定数は、100,000~140,000Mwの範囲の既知のMW HDPE試料、およびLSの濃度積分信号との面積比を使用することによって計算する。
【0122】
(4)ポリマーのMwは、積分光散乱検出器(90度の角度)の濃度検出器との比を使用し、MW検出器定数を使用することによって計算した。
【0123】
半値幅の計算は、最大ピーク高さの半分での前部温度と後部温度との間の温度差として定義され、最大ピークの半分での前部温度は、35.0℃から前方に検索されるが、最大ピークの半分での後部温度は、119.0℃から後方に検索される。
【0124】
ゼロ剪断粘度比(ZSVR)
ZSVRは、以下の等式(EQ)8および9に従って、等価重量平均分子量(Mw-gpc)における分岐ポリエチレン材料のゼロ剪断粘度(ZSV)の線状ポリエチレン材料のZSVとの比として定義する。
【数7】
【数8】
【0125】
ZSV値は、上述の方法を介して190℃でのクリープ試験から得た。Mw-gpc値を、従来のGPC法(従来のGPC法の記載における等式5)によって決定する。線状ポリエチレンのZSVとそのMw-gpcとの間の相関を、一連の線状ポリエチレン参照物質に基づいて確立した。ZSV-Mw関係についての記載は、ANTEC進行において見出すことができる:Karjala,Teresa P.,Sammler,Robert L.,Mangnus,Marc A.,Hazlitt,Lonnie G.,Johnson,Mark S.,Hagen,Charles M.Jr.,Huang,Joe W.L.,Reichek,Kenneth N.,“Detection of low levels of long-chain branching in polyolefins”,Annual Technical Conference-Society of Plastics Engineers(2008),66th 887-891。
【0126】
MD引裂
MD引裂をASTM D-1922に従って測定した。フィルム試験片にわたって引裂を伝播させるのに必要な力(グラム)は、Elmendorf Tear試験機を使用して測定する。重力によって作用して、振り子は円弧を描いて振動し、試験片を予めカットしたスリットから引き裂く。引裂は、横断方向に伝播する。試料を、試験前の温度で最低40時間コンディショニングする。
【0127】
動的レオロジー分析
実質的に線状のエチレンポリマーのレオロジー挙動を特徴付けるために、S LaiおよびG.W.Knightは、(ANTEC’93 Proceedings,Insite(TM)Technology Polyolefins(ITP)-New Rules in the Structure/Rheology Relationship of Ethylene &-01efin Copolymers,New Orleans,La.,May 1993)新しいレオロジー測定値であるDow Rheology Index(DRI)(これは、ポリマーの「長鎖分岐の結果としての正規化された緩和時間」を表現する)を導入した。S.Lai et al;(ANTEC’94,Dow Rheology Index(DRI)for Insite(TM)Technology Polyolefins(ITP):Unique structure-Processing Relationships,pp.1814-1815)は、ポリマー骨格に長鎖分岐を組み込んだITP(Dow’s Insite Technology Polyolefins)として既知のエチレン-オクテンコポリマーのレオロジーが以下の正規化された等式によって長鎖分岐(LCB)を有しないと報告されている従来の線状均質ポリオレフィンのレオロジーから逸脱している程度としてDRIを定義し、
DRI=[3650000×(τ0/η0)-1]/10(等式10)
式中、τ0は、材料の特徴的な緩和時間であり、材料のゼロ剪断速度複素粘度である。DRIは、米国特許第6,114,486号に記載されるような、以下の一般化されたCross等式を用いたレオロジー曲線の最小二乗適合(動的複素粘度η*(ω)対適用周波数(ω)、例えば、0.01~100rads/秒)によって計算し、すなわち
η*(ω)=η0/[1+(ω τ0)n](等式11)
式中、nは、材料のべき乗則指数、η*(ω)およびωは、それぞれ、測定した複素粘度および適用周波数データである。
【0128】
動的レオロジー測定は、ASTM D4440に従って、不活性雰囲気下での動的モードにおいて、直径25mmの平行プレートを備えた動的レオメーター(例えば、TA InstrumentsによるARESレオメーター)で実施する。すべての実験については、レオメーターは、適切に安定化された(酸化防止添加剤を用いて)圧縮成形された試料を平行プレートの上に挿入する前に、190℃で少なくとも30分間熱的に安定になっている。次いで、プレートは、メーターに登録された正の法線力で閉じられて、良好な接触を保証する。190℃で約5分後、プレートを軽く圧縮し、プレートの周囲の余分なポリマーをトリミングする。熱安定性および法線力がゼロに戻るまで、さらに10分間かかる。つまり、すべての測定は、試料を190℃で約15分間平衡化し、完全な窒素雰囲気下で行った後に実施する。
【0129】
2つのひずみ掃引(SS)実験を最初に190℃で実施して、全周波数(例えば、0.01~100rad/秒)範囲にわたって、トランスデューサーのより低いスケールの10%超であるトルク信号を生じさせる線形粘弾性ひずみを決定する。第1のSS実験は、0.1rad/秒の低い適用周波数で実施する。この試験を使用して、低周波数でのトルクの感度を決定する。第2のSS実験は、100rad/秒の高い適用周波数で実施する。これは、振動レオロジー測定が試験中にポリマーに構造変化を誘発しないように、選択された適用ひずみがポリマーの線形粘弾性領域内に十分に収まることを保証するためである。加えて、時間掃引(TS)実験を、選択されたひずみ(SS実験によって決定したように)で0.1rad/秒の低い適用周波数で実施して、試験中の試料の安定性をチェックする。
【0130】
貯蔵弾性率(または弾性率)、損失弾性率(または粘性率)(G’’)、複素弾性率(G*)、複素粘度(η*)、およびtanδ(損失弾性率の貯蔵弾性率との比、G’VG’)は、所与の温度(例えば、190℃)で周波数(ω)の関数として得た。
【実施例】
【0131】
実施例1A:ポリエチレン組成物1~5の調製
発明を実施するための形態の1つ以上の実施形態に従って記載されるポリエチレン組成物1~5は、後述の方法ならびに触媒および反応器を利用することによって調製した。
【0132】
反応環境に導入する前に、すべての原材料(モノマーおよびコモノマー)ならびにプロセス溶媒(狭い沸点範囲の高純度イソパラフィン溶媒、Isopar-E)をモレキュラーシーブで精製する。水素は、高純度グレードとして加圧されて供給され、それ以上精製されない。反応器モノマー供給流は、機械的圧縮機を介して反応圧力以上に加圧される。溶媒およびコモノマーの供給は、ポンプを介して反応圧力以上に加圧される。個々の触媒成分は、精製された溶媒で、手動でバッチ希釈され、反応圧力以上に加圧される。すべての反応供給流は、質量流量計を用いて測定し、コンピュータにより自動化された弁制御系によって独立して制御される。
【0133】
図3に示すように、2つの反応器系を直列構成で使用する。各連続溶液重合反応器は、熱を除去する連続撹拌タンク反応器(CSTR)を再現する、液体が充填された非断熱、等温循環ループ反応器からなる。すべての新鮮な溶媒、モノマー、コモノマー、水素、および触媒成分供給物の独立した制御が可能である。各反応器(溶媒、モノマー、コモノマー、および水素)への全新鮮供給流は、供給流を熱交換器に通過させることによって単一溶液相を維持するように温度制御する。各重合反応器への全新鮮供給物を、各注入場所の間でほぼ等しい反応器体積で、2つの場所で反応器に注入する。新鮮供給物を制御し、各注入器は、全新鮮供給物質量流量の半分を受容する。触媒成分は、注入針を通して重合反応器に注入される。主要な触媒成分供給物は、特定の目標で各反応器のモノマー転化を維持するためにコンピュータ制御する。助触媒成分は、主触媒成分に対する、計算された指定されたモル比に基づいて供給される。各反応器供給物の注入の位置の直後に、供給流が、循環重合反応器の内容物と、静的混合要素を用いて混合される。各反応器の内容物を反応熱の大部分を除去する役割を果たす熱交換器に通して、および特定温度で等温反応環境を維持する役割を果たす冷却剤側の温度で連続的に循環させる。各反応器ループの周りの循環は、ポンプによって提供される。
【0134】
二重直列反応器構成では、第1の重合反応器からの流出物(溶媒、モノマー、コモノマー、水素、触媒成分、ポリマーを含有する)は、第1の反応器ループを出て、第2の反応器ループに添加される。
【0135】
第2の反応器流出液は、好適な試薬(水)の添加およびそれとの反応で流出液が非活性化される区域に入る。この同じ反応器の出口の場所では、ポリマー安定化のために他の添加剤が添加される(オクタデシル3,5-ジ-Tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート、テトラキス(メチレン(3,5-ジ-Tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート))メタン、およびトリス(2,4-ジ-Tert-ブチル-フェニル)ホスファイトのような押出およびフィルム製作中の安定化に好適な典型的な酸化防止剤)。
【0136】
触媒の不活性化および添加剤の添加に続いて、反応器流出液は、ポリマーが非ポリマー流から除去される脱揮発系に入る。単離されたポリマー溶融物を、ペレット化して収集する。非ポリマー流は、系から除去されるエチレンの大部分を分離する様々な機器を通過する。溶媒および未反応コモノマーの大部分は、精製系を通過した後、反応器に再循環される。少量の溶媒およびコモノマーを、プロセスからパージする。
【0137】
実施例を生成するために使用される表1の値に対応する反応器流供給データフローは、
図3にグラフで記載されている。データは、溶媒再循環系の複雑さが考慮され、反応系が貫流フローダイアグラムとしてより簡単に処理することができるように表示される。表1Bは、表1Aで参照される触媒を示す。
【表1-1】
【表1-2】
【表2】
【0138】
実施例1B:ポリエチレン組成物6の調製
発明を実施するための形態の1つ以上の実施形態に従って記載されるポリエチレン組成物6および7は、後述の方法ならびに触媒および反応器を利用することによって調製した。
【0139】
反応環境に導入する前に、すべての原材料(モノマーおよびコモノマー)ならびにプロセス溶媒(狭い沸点範囲の高純度イソパラフィン溶媒、Isopar-E)をモレキュラーシーブで精製する。水素は、高純度グレードとして加圧されて供給され、それ以上精製されない。反応器モノマー供給流は、機械的圧縮機を介して反応圧力以上に加圧される。溶媒およびコモノマーの供給は、ポンプを介して反応圧力以上に加圧される。個々の触媒成分は、精製された溶媒で、手動でバッチ希釈され、反応圧力以上に加圧される。すべての反応供給流は、質量流量計を用いて測定し、コンピュータにより自動化された弁制御系によって独立して制御される。
【0140】
2つの反応器系を並列構成で使用する。各連続溶液重合反応器は、熱を除去する連続撹拌タンク反応器(CSTR)を再現する、液体が充填された非断熱、等温循環ループ反応器からなる。すべての新鮮な溶媒、モノマー、コモノマー、水素、および触媒成分供給物の独立した制御が可能である。各反応器(溶媒、モノマー、コモノマー、および水素)への全新鮮供給流は、供給流を熱交換器に通過させることによって単一溶液相を維持するように温度制御する。各重合反応器への全新鮮供給物を、各注入場所の間でほぼ等しい反応器体積で、2つの場所で反応器に注入する。新鮮供給物を、各注入器が全新鮮供給物質量流量の半分を受け取るように制御する。触媒成分を、特別に設計された注入ストリンガーを通って重合反応器に注入する。主要な触媒成分供給物は、特定の目標で各反応器のモノマー転化を維持するためにコンピュータ制御する。助触媒成分は、主触媒成分に対する、計算された指定されたモル比に基づいて供給される。各反応器供給物の注入の位置の直後に、供給流が、循環重合反応器の内容物と、静的混合要素を用いて混合される。各反応器の内容物を反応熱の大部分を除去する役割を果たす熱交換器に通して、および特定温度で等温反応環境を維持する役割を果たす冷却剤側の温度で連続的に循環させる。各反応器ループの周りの循環は、ポンプによって提供される。
【0141】
第1および第2の重合反応器からの流出液流を、任意の追加の処理の前に組み合わせる。組み合わせた最終反応器流出液は、好適な試薬(水)の添加およびそれとの反応で流出液が非活性化される区域に入る。この同じ反応器の出口の場所では、ポリマー安定化のために他の添加剤が添加される(オクタデシル3,5-ジ-Tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート、テトラキス(メチレン(3,5-ジ-Tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート))メタン、およびトリス(2,4-ジ-Tert-ブチル-フェニル)ホスファイトのような押出およびインフレーションフィルム製作中の安定化に好適な典型的な酸化防止剤)。
【0142】
触媒の不活性化および添加剤の添加に続いて、反応器流出液は、ポリマーが非ポリマー流から除去される脱揮発系に入る。単離されたポリマー溶融物を、ペレット化して収集する。非ポリマー流は、系から除去されるエチレンの大部分を分離する様々な機器を通過する。溶媒および未反応コモノマーの大部分は、精製系を通過した後、反応器に再循環される。少量の溶媒およびコモノマーを、プロセスからパージする。
【0143】
実施例を生成するために使用される表2Aの値に対応する反応器流供給データフローは、
図4にグラフで記載されている。データは、溶媒再循環系の複雑さが考慮され、反応系が貫流フローダイアグラムとしてより簡単に処理することができるように表示される。表1Bは、実施例1Aの表2Aで参照される触媒を示す。
【表3】
【0144】
実施例2:比較組成物A~J
比較組成物A~Cは、下記で本明細書に記載の方法によって調製した。比較組成物D~Fは、一般に、PCT公開第2015/200743号における、本発明の第1の組成物を調製するために提供された触媒系およびプロセスを使用して調製する二峰性ポリエチレン組成物である。比較組成物G~Jは、市販のポリエチレン組成物である。表3は、比較組成物G~Jの市販のポリエチレン組成物を特定している。
【表4】
【0145】
比較組成物A~Cの調製は、以下のように記載される。反応環境に導入する前に、すべての原材料(モノマーおよびコモノマー)ならびにプロセス溶媒(狭い沸点範囲の高純度イソパラフィン溶媒、Isopar-E)をモレキュラーシーブで精製する。水素は、高純度グレードとして加圧されて供給され、それ以上精製されない。反応器モノマー供給流は、機械的圧縮機を介して反応圧力以上に加圧される。溶媒およびコモノマーの供給は、ポンプを介して反応圧力以上に加圧される。個々の触媒成分は、精製された溶媒で、手動でバッチ希釈され、反応圧力以上に加圧される。すべての反応供給流は、質量流量計を用いて測定し、コンピュータにより自動化された弁制御系によって独立して制御される。
【0146】
2つの反応器系を直列構成で使用する。各連続溶液重合反応器は、熱を除去する連続撹拌タンク反応器(CSTR)を再現する、液体が充填された非断熱、等温循環ループ反応器からなる。すべての新鮮な溶媒、モノマー、コモノマー、水素、および触媒成分供給物の独立した制御が可能である。各反応器(溶媒、モノマー、コモノマー、および水素)への全新鮮供給流は、供給流を熱交換器に通過させることによって単一溶液相を維持するように温度制御する。各重合反応器への全新鮮供給物を、各注入場所の間でほぼ等しい反応器体積で、2つの場所で反応器に注入する。新鮮供給物を制御し、各注入器は、全新鮮供給物質量流量の半分を受容する。触媒成分は、注入針を通して重合反応器に注入される。主要な触媒成分供給物は、特定の目標で各反応器のモノマー転化を維持するためにコンピュータ制御する。助触媒成分は、主触媒成分に対する、計算された指定されたモル比に基づいて供給される。各反応器供給物の注入の位置の直後に、供給流が、循環重合反応器の内容物と、静的混合要素を用いて混合される。各反応器の内容物を反応熱の大部分を除去する役割を果たす熱交換器に通して、および特定温度で等温反応環境を維持する役割を果たす冷却剤側の温度で連続的に循環させる。各反応器ループの周りの循環は、ポンプによって提供される。
【0147】
二重直列反応器構成では、第1の重合反応器からの流出物(溶媒、モノマー、コモノマー、水素、触媒成分、ポリマーを含有する)は、第1の反応器ループを出て、第2の反応器ループに添加される。
【0148】
第2の反応器流出液は、好適な試薬(水)の添加およびそれとの反応で流出液が非活性化される区域に入る。この同じ反応器の出口の場所では、ポリマー安定化のために他の添加剤が添加される(オクタデシル3,5-ジ-Tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート、テトラキス(メチレン(3,5-ジ-Tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート))メタン、およびトリス(2,4-ジ-Tert-ブチル-フェニル)ホスファイトのような押出およびフィルム製作中の安定化に好適な典型的な酸化防止剤)。
【0149】
触媒の不活性化および添加剤の添加に続いて、反応器流出液は、ポリマーが非ポリマー流から除去される脱揮発系に入る。単離されたポリマー溶融物を、ペレット化して収集する。非ポリマー流は、系から除去されるエチレンの大部分を分離する様々な機器を通過する。溶媒および未反応コモノマーの大部分は、精製系を通過した後、反応器に再循環される。少量の溶媒およびコモノマーを、プロセスからパージする。
【0150】
実施例を生成するために使用される表4Aの値に対応する反応器流供給データフローは、
図3にグラフで記載されている。データは、溶媒再循環系の複雑さが考慮され、反応系が貫流フローダイアグラムとしてより簡単に処理することができるように表示される。表1Bは、表4Aに示す触媒および共触媒を示す。
【表5-1】
【表5-2】
【0151】
実施例3:ポリエチレン試料の分析
実施例1Aおよび1Bのポリエチレン組成物1~6、実施例2の比較ポリエチレン組成物A~C、ならびに実施例2の市販の比較ポリエチレン試料D~Jを、iCCDによって分析した。ポリエチレン組成物5のiCCDデータは、
図2に提供されている。すべての試料のiCCD試験から生じた追加データは、表5Aおよび5Bに提供されている。具体的には、表5Aおよび5Bは、それぞれの第1および第2のポリエチレン画分(45~87℃および95~120℃)の面積を含むiCCDデータの分析を含む。全体密度、ダート強度(方法A)、メルトインデックス、第2のPE画分における重量平均分子量を含む各実施例の組成物についての追加データも提供されている。これらの特性は、完全に各ポリエチレン試料からなる単層インフレーションフィルムに基づいている。
【0152】
ダート試験、および形成されたフィルムに基づく他の試験を実施するために、ポリエチレン試料を用いて2ミルのインフレーションフィルムを形成した。具体的には、単層インフレーションフィルムは、ID3.5インチの半溝付きバレル、30/1のL/D比、バリアスクリュー、およびAlpineのエアリングを装備したEgan Davis Standardの押出機を介して生成する。押出ラインは、内部気泡冷却を用いた8インチのダイを有していた。押出ラインはまた、フィルム厚ゲージスキャナーを有していた。フィルム製作条件は、2ミル(0.001インチまたは0.0254mm)に維持したフィルム厚、ブローアップ比(BUR)2.5、ダイギャップ70ミル、およびフロストライン高さ(FLH)37インチであった。出力流量は、260ポンド/時で一定であった。
【表6】
【表7】
【0153】
これらの結果は、比較例の組成物が少なくとも0.924g/cm3の全体密度で同程度のダート強度を表していないことを示す。例えば、いくつかの比較例は、高いダート強度を有しているが、これらの試料ははるかに低い密度を有している。より高密度の比較試料(例えば、0.924g/cm3~0.936g/cm3)は、はるかに低いダート強度(例えば、1000グラム未満)を表している。
【0154】
加えて、実施例1のいくつかの組成物は、3.5、4.6、および5.5など、10未満のダウレオロジー指数を有していた。
【0155】
実施例4-低温での計装化ダート衝撃強度
計装化ダート衝撃強度は、比較的低温で、実施例1のポリエチレン組成物のいくつか、および実施例2の比較ポリエチレン組成物のいくつかについて測定した。ダート試験は、実施例3に開示されたものと同じ方法によって調製した単層フィルムで実行した。観察した計装化ダート強度を表6に示しており、これは、1℃、-10℃、および-20℃での計装化ダート衝撃強度を示す。データは、-20℃などの低温については、比較例と比較した場合、ダート強度が実施例1の組成物において大幅に改善されることを示す。このように、本開示のポリエチレン組成物は、冷凍食品包装または低温が一般的である他の状況のための単層または多層フィルムで使用されるときに改善された靭性を有し得ることが企図される。
【表8】
【0156】
添付の特許請求の範囲に定義される本開示の範囲から逸脱することなく、修正および変更が可能であることは明らかであろう。より具体的には、本開示のいくつかの態様は、本明細書において好ましいもしくは例示的である、または特に有利であると認識されているが、本開示は、必ずしもこれらの態様に限定されないことが企図される。
【0157】
以下の特許請求の範囲のうちの1つ以上は、「ここで」という用語を移行句として利用していることに留意されたい。本開示の実施形態を定義する目的で、この用語は、構造の一連の特徴の列挙を導入するために使用される制限のない移行句として特許請求の範囲に導入され、より一般的に使用される制限のないプリアンブル用語「を含む」と同様に解釈されるべきであることに留意されたい。
本発明は以下の態様を含み得る。
[1]
包装用途に好適なポリエチレン組成物であって、
(a)改善されたコモノマー組成分布(iCCD)分析法を介した溶出プロファイルにおいて45℃~87℃の温度範囲内に単一ピークを有する第1のポリエチレン画分であって、第1のポリエチレン画分面積が、45℃~87℃の前記第1のポリエチレン画分の前記単一ピークの真下の前記溶出プロファイルにおける面積である、第1のポリエチレン画分と、
(b)iCCD分析法を介した前記溶出プロファイルにおいて95℃~120℃の温度範囲内に単一ピークを有する第2のポリエチレン画分であって、第2のポリエチレン画分面積が、95℃~120℃の前記第2のポリエチレン画分の前記単一ピークの真下の前記溶出プロファイルにおける面積である、第2のポリエチレン画分と、を含み、
前記ポリエチレン組成物が、0.924g/cm3~0.936g/cm3の密度および0.25g/10分~2.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有し、前記第1のポリエチレン画分面積が、前記溶出プロファイルの総面積の少なくとも40%を含み、前記第1のポリエチレン画分面積の前記第2のポリエチレン画分面積との比が、0.75~2.5であり、50パーセントのピーク高さでの前記第2のポリエチレン画分の前記単一ピークの幅が、5.0℃未満である、ポリエチレン組成物。
[2]
前記ポリエチレン組成物が、2.5~8.0の範囲内の重量平均分子量の数平均分子量との比(Mw/Mn)として表現された、分子量分布を有する、[1]に記載のポリエチレン組成物。
[3]
前記ポリエチレン組成物が、3.0未満のゼロ剪断粘度比を有する、[1]または[2]に記載のポリエチレン組成物。
[4]
前記ポリエチレン組成物から形成され、2ミルの厚さを有する単層インフレーションフィルムが、ASTM D1709の方法Aに従って測定されたとき、少なくとも1000グラムのダート落下衝撃を有する、先行請求項のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物。
[5]
前記第1のポリエチレン画分の前記単一ピークが、70℃~85℃にある、先行請求項のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物。
[6]
前記第1のポリエチレン画分面積が、前記溶出プロファイルの前記総面積の40%~65%を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物。
[7]
前記第2のポリエチレン画分面積が、前記溶出プロファイルの前記総面積の20%~50%を含む、先行請求項のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物。
[8]
前記第1のポリエチレン画分面積の前記第2のポリエチレン画分面積との比が、0.75~1.25である、先行請求項のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物。
[9]
前記第1のポリエチレン画分面積の前記第2のポリエチレン画分面積との比が、1.75~2.0である、先行請求項のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物。
[10]
前記第2のポリエチレン画分の前記単一ピークと前記第1のポリエチレン画分の前記単一ピークとの間の差が、少なくとも15℃である、先行請求項のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物。
[11]
前記第1のポリエチレン画分が、0.01g/10分~0.18g/10分のメルトインデックス(I2)を有する、先行請求項のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物。
[12]
先行請求項のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物を含む、物品。
[13]
前記物品が、多層を含む、[12]に記載の物品。
[14]
先行請求項のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物を含む、フィルム。
[15]
前記フィルムが、0.5~6ミルの厚さを有する、[14]に記載のフィルム。