(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-28
(45)【発行日】2025-03-10
(54)【発明の名称】船舶のための空気供給装置、この装置を含む船舶、及び空気潤滑デバイスに空気を供給する方法
(51)【国際特許分類】
F02B 37/00 20060101AFI20250303BHJP
F02B 37/18 20060101ALI20250303BHJP
B63B 1/38 20060101ALI20250303BHJP
【FI】
F02B37/00 301Z
F02B37/00 400C
F02B37/00 500B
F02B37/18 A
B63B1/38
(21)【出願番号】P 2022562459
(86)(22)【出願日】2021-04-13
(86)【国際出願番号】 EP2021059507
(87)【国際公開番号】W WO2021209422
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2023-11-21
(32)【優先日】2020-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】522066067
【氏名又は名称】アクセラロン スウィツァーランド リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】ケイネネン ヤリ
(72)【発明者】
【氏名】ティソ ジャン-フランソワ
【審査官】佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-076783(JP,A)
【文献】特開2015-224560(JP,A)
【文献】米国特許第06324846(US,B1)
【文献】特開2012-097606(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0083944(KR,A)
【文献】国際公開第2017/037186(WO,A1)
【文献】特開2013-193624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 33/00-41/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶(200)のための空気供給装置(100)であって、
第1のコンプレッサ(131)と、1又は2以上のエンジン(120)から供給される排気ガスによって駆動可能な第1のタービン(132)とを有する第1の
装置(130)であって、前記第1のコンプレッサ(131)は、前記第1のタービン(132)に対する前記第1のコンプレッサ(131)の速度を変更するように構成された変速機(133)を介して前記第1のタービン(132)に結合される、第1の装置(130)と、
前記船舶の抵抗低減のための空気潤滑デバイス(140)であって、前記第1のコンプレッサ(131)は、前記空気潤滑デバイス(140)に空気を供給するために、前記空気潤滑デバイス(140)に接続される、空気潤滑デバイス(140)と、
を備える、空気供給装置(100)。
【請求項2】
前記変速機(133)は、機械式、電気式、空圧式、又は油圧式変速機である、請求項1に記載の空気供給装置(100)。
【請求項3】
前記第1のタービン(132)に並列な第2のタービン(134)をさらに備え、前記第1のタービン(132)及び前記第2のタービン(134)は、前記変速機(133)を介して前記第1のコンプレッサ(131)に結合される、請求項1又は2に記載の空気供給装置(100)。
【請求項4】
前記変速機(133)は、発電機及び電動モータを含む、請求項1から3のいずれかに記載の空気供給装置(100)。
【請求項5】
第2のコンプレッサ(135)及び第2のタービン(134)を有する第2の装置(137)をさらに備え、前記第2のタービン(134)は、前記1又は2以上のエンジン(120)から供給される排気ガスによって、及び/又は、前記第1のタービン(132)から供給される排気ガスによって駆動可能であり、前記第2のコンプレッサ(135)は、前記第2のコンプレッサ(135)の回転数を変更するように構成された追加的な変速機(136)を介して前記第2のタービン(134)に結合される、請求項1又は2に記載の空気供給装置(100)。
【請求項6】
前記追加的な変速機(136)は、機械式、電気式、空圧式、又は油圧式変速機である、請求項5に記載の空気供給装置(100)。
【請求項7】
第1の排気ガス管(11)を介して前記1又は2以上のエンジン(120)の排気ガス受容器(122)に接続された第3のタービン(112)と、第3のコンプレッサ(111)とを有する第3の装置(110)をさらに備え、前記第1の排気ガス管(11)は、前記排気ガス受容器(122)から前記第3のタービン(112)に供給される排気ガス流を制御する流量制御装置(160)に接続される、請求項1から6のいずれかに記載の空気供給装置(100)。
【請求項8】
前記第1のタービン(132)は、第2の排気ガス管(12)を介して前記第3のタービン(112)に接続され、前記第2の排気ガス管(12)は、前記第3のタービン(112)から前記第1のタービン(132)に供給される排気ガス流を制御するバイパス弁(170)に接続される、請求項7に記載の空気供給装置(100)。
【請求項9】
前記第3のコンプレッサ(111)は、第1の空気供給管(16)を介して前記1又は2以上のエンジン(120)の空気受け(121)に接続される、請求項7又は8に記載の空気供給装置(100)。
【請求項10】
前記第1の装置(130)は、前記1又は2以上のエンジン(120)を給気するための装置に加えて設けられた二次タービン及び二次コンプレッサのペアである、請求項1から3のいずれかに記載の空気供給装置(100)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の空気供給装置(100)を備える船舶(200)。
【請求項12】
空気を船舶の空気潤滑デバイス(140)に供給する方法(300)であって、
1又は2以上のエンジン(120)からの排気ガスを使用することによって第1の装置(130)を駆動するステップ(310)と、
前記第1の装置(130)の第1のタービン(132)と第1のコンプレッサ(131)とに結合された変速機(133)を使用することによって、前記第1の
装置(130)の第1のタービン(132)に対する第1のコンプレッサ(131)の回転数を変更するステップ(320)と、
前記第1の装置(130)の前記第1のコンプレッサ(131)から前記空気潤滑デバイス(140)に空気を供給するステップ(330)と、
を含む、方法(300)。
【請求項13】
前記第1のコンプレッサ(131)の回転数を変更するステップ(320)は、前記第1のタービン(132)と並列な第2のタービン(134)を使用するステップ(321)を含み、前記第1のタービン(132)及び前記第2のタービン(134)は、前記変速機(133)を介して前記第1のコンプレッサ(131)に結合される、請求項12に記載の方法(300)。
【請求項14】
前記1又は2以上のエンジンからの排気ガスを使用することによって、及び/又は、前記第1のタービン(132)からの排気を使用することによって、第2の装置(137)を駆動するステップ(340)であって、前記第2の装置(137)は、第2のコンプレッサ(135)の回転数を変更するように構成された追加的な変速機(136)を介して第2のタービン(134)に結合された第2のコンプレッサ(135)を有する、ステップ(340)と、
前記追加的な変速機(136)を使用することによって、前記第2のコンプレッサ(135)の回転数を変更するステップ(350)と、
前記第2の装置(137)の前記第2のコンプレッサ(135)から前記空気潤滑デバイス(140)に空気を供給するステップ(360)と、
をさらに含む、請求項12に記載の方法(300)。
【請求項15】
流量制御装置(160)を使用する(336)ことで、前記1又は2以上のエンジン(120)の排気ガス受容器(122)に接続された第3の装置(110)の第3のタービン(112)に供給される排気ガス流を制御することで、前記第1
の装置(130)の回転数を制御することによって、前記空気潤滑デバイス(140)に供給される空気量を制御するステップ(335)をさらに含む、請求項12から14のいずれかに記載の方法(300)。
【請求項16】
バイパス弁(170)を使用する(337)ことで、前記第1のタービン(132)に供給される排気ガス流を制御することで、前記第1の装置(130)の回転数を制御することによって、前記空気潤滑デバイス(140)に供給される空気量を制御するステップ(335)をさらに含み、前記バイパス弁(170)は、前記第1のタービン(132)を迂回する第2のバイパス配管(14)に設けられる、請求項12から14のいずれかに記載の方法(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、水摩擦抵抗を低減する空気潤滑タイプの船舶の空気供給装置に関する。さらに、本開示の実施形態は、船舶の空気潤滑デバイスに空気を供給する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、船舶は、航行中に船底の水中面に水摩擦抵抗を受ける。詳細には、大型船舶、例えば貨物船に関して、船舶の船体抵抗の大部分は、船底での外水の相対的な流れによって引き起こされた摩擦抵抗によって生じる。
【0003】
船体の摩擦抵抗を低減するために、詳細には船体の周りに空気を排出することによる空気潤滑が利用される。摩擦抵抗の低減は、燃費向上効果が大きく、従って、船舶のCO2排出量を低減する有効な手段である。
【0004】
従来技術において、船体潤滑のための気泡生成に関する様々なシステム及びアプローチが存在する。例えば、船体潤滑のための気泡生成に関して、従来技術では、駆動エンジンの排気ガスを直接使用すること又は別個の電気コンプレッサ又はブロアを使用することが教示される。しかしながら、船体潤滑のための公知のシステムには、例えば、エネルギー消費及び効率の観点からいくつかの問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、上記に鑑みて、少なくとも部分的に従来の問題を解決する、船舶のための改善された空気供給装置並びに船舶の空気潤滑デバイスへの空気供給の改善された方法に対する要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記に照らして、独立請求項に記載の船舶のための空気供給装置及び船舶の空気潤滑デバイスに空気を供給する方法が提供される。さらなる態様、利点、及び特徴は、従属請求項、詳細な説明、及び添付図面から明らかになる。
【0007】
本開示の1つの態様によれば、船舶のための空気供給装置が提供される。空気供給装置は、第1のコンプレッサと、1又は2以上のエンジンから供給される排気ガスによって駆動可能な第1のタービンとを有する第1のターボ過給機を含む。第1のコンプレッサは、第1のコンプレッサの回転数を変更するように構成された変速機を介して第1のタービンに結合される。さらに、空気供給装置は、船舶の抵抗低減のための空気潤滑デバイスを含む。第1のコンプレッサは、空気潤滑デバイスに空気を供給するために、空気潤滑デバイスに接続される。
【0008】
従って、本開示の空気供給装置は、空気潤滑タイプの船舶に使用される従来の装置と比較して改善される。詳細には、本明細書に記載の空気供給装置の実施形態は、エネルギー効率に関して改善される。より具体的には、空気潤滑デバイスに空気を供給するための第1のコンプレッサに第1のタービンを結合する変速機を有する第1のターボ過給機を備える空気供給装置を設けることによって、空気潤滑デバイスに供給される空気量は、変速機を使用して制御することができる。より具体的には、第1のターボ過給機、詳細には第1のコンプレッサは、低圧空気を圧縮するために使用され、その後、この空気は、船舶の船体摩擦を低減するために、船体下での気泡生成のための空気潤滑デバイスに供給される。船体の摩擦低減は、船舶のエネルギー使用量の全体的な低減につながる。従って、例えば、変速機を使用して、第1のタービンの回転数と比較して第1のコンプレッサの回転数を増加させることによって、空気潤滑デバイスに供給する空気量を増加させることができ、結果的に、船体下での気泡生成を増加させることができる。従って、従来技術と比較して、船体摩擦のより大きな低減を達成することができる。その結果として、船舶のエネルギー使用量の全体的な悪化を低減することができ、燃料の節約を達成することができ、全体的な運転コストの低減につながる。
【0009】
従って、本開示のさらなる態様によれば、本明細書に記載の何らかの実施形態による空気供給装置を含む船舶が提供される。
【0010】
本開示の別の態様によれば、船舶の空気潤滑デバイスに空気を供給する方法が提供される。本方法は、1又は2以上のエンジンからの排気ガスを使用して第1のターボ過給機を駆動することを含む。さらに、本方法は、第1のターボ過給機の第1のタービン及び第1のコンプレッサに結合された変速機を使用することによって、第1のターボ過給機の第1のコンプレッサの回転数を変更することを含む。さらに、本方法は、第1のターボ過給機の第1のコンプレッサから空気潤滑デバイスに空気を供給することを含む。
【0011】
従って、本開示の実施形態は、運転コストを低減することができるようにエネルギー効率に関して改善される、空気供給装置、空気供給装置を含む船舶、及び船舶の潤滑デバイスに空気を供給する方法を提供することを理解されたい。
【0012】
本開示の上記の特徴を詳細に理解できるように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明は、実施形態を参照することによって取得することができる。添付図面は、本開示の実施形態に関連し、以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本明細書に記載の実施形態による空気供給装置の概略図である。
【
図2】本明細書に記載のさらなる実施形態による空気供給装置の概略図である。
【
図3】本明細書に記載のさらなる実施形態による空気供給装置の概略図である。
【
図4】本明細書に記載のさらなる実施形態による空気供給装置の概略図である。
【
図5】本明細書に記載のさらなる実施形態による空気供給装置の概略図である。
【
図6】本明細書に記載のさらなる実施形態による空気供給装置の概略図である。
【
図7】本明細書に記載のさらなる実施形態による空気供給装置の概略図である。
【
図8】本明細書に記載のさらなる実施形態による空気供給装置の概略図である。
【
図9A】本明細書に記載の実施形態による、船舶の空気潤滑デバイスに空気を供給する方法を示すフローチャートである。
【
図9B】本明細書に記載のさらなる実施形態による、船舶の空気潤滑デバイスに空気を供給する方法を示すフローチャートである。
【
図9C】本明細書に記載のさらなる実施形態による、船舶の空気潤滑デバイスに空気を供給する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで、様々な実施形態を詳細に参照すると、その1又は2以上の実施例は各図面に示される。各々の実施例は、説明として提示され、限定するものではない。例えば、1つの実施形態の一部として図示又は説明される特徴は、さらなる実施形態を提供するために何らかの他の実施形態で又はそれと共に使用することができる。本開示は、そのような変更例及び変形例を含むことが意図されている。
【0015】
以下の図面の説明の中で、同じ参照番号は、同じ又は類似の構成要素を指す。一般に、個々の実施形態に関する相違点のみが説明される。詳細には、特に指定がない限り、1つの実形態の部分又は態様の説明は、別の実施形態の対応する部分又は態様に適用することもできる。
【0016】
図1を例示的に参照して、本開示による空気供給装置100を説明する。本明細書で説明する他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、空気供給装置100は、第1のコンプレッサ131及び第1のタービン132を有する第1のターボ過給機130を含む。第1のタービン132は、1又は2以上のエンジン120から供給される排気ガスによって駆動可能である。この点に関して、「排気ガスによって駆動可能」とは、排気ガスが駆動のために供給されることに留意されたい。従って、第1のタービン132は、例えば、1又は2以上の導管によって1又は2以上のエンジン120に接続することができ、1又は2以上のエンジン120は、第1のタービン132に排気ガスを供給することができるようになっている。1又は2以上のエンジン120は、ターボ過給することができる。従って、1又は2以上のエンジン120から第1のタービン132に供給される排気ガスは、1又は2以上のエンジン120の1又は2以上のターボ過給機で事前に膨張させることができることを理解されたい。第1のコンプレッサ131は、第1のコンプレッサ131の回転数を変更するように構成された変速機133を介して第1のタービン132に結合される。詳細には、変速機133は、第1のコンプレッサ131の回転数を変えるように構成することができる。例えば、変速機133は、第1のタービン132の回転数と比較して第1のコンプレッサ131の回転数を増加させるように構成することができる。追加的に又は代替的に、変速機133は、第1のタービン132の回転数と比較して第1のコンプレッサ131の回転数を減少させるように構成することができる。さらに、
図1に例示的に示すように、空気供給装置100は、船舶の抵抗低減のための空気潤滑デバイス140を含む。第1のコンプレッサ131は、詳細には第2空気供給管17を介して、空気潤滑デバイス140に空気を供給するために、空気潤滑デバイス140に接続される。
【0017】
従って、有益には、効率が改善された空気供給装置が提供される。詳細には、第1のターボ過給機に本明細書で説明するような変速機を設けることは、空気潤滑デバイスに空気を供給するのに使用される第1のコンプレッサの回転数を変えることができ、結果的に空気潤滑デバイスに供給される空気量を調節できるという利点を有する。例えば、第1のコンプレッサの回転数を増加させるために変速機を使用することで、空気潤滑デバイスに供給される空気量を増加させることができる。従って、変速機を使用して第1のコンプレッサの回転数を減少させることによって、空気潤滑デバイスに供給される空気量を減少させることができる。従って、空気潤滑デバイスに供給される空気量を要求に応じて制御することができる。
【0018】
例えば、両者の間に設けられる変速機を用いて第1のタービンと比較して第1のコンプレッサの回転数を増加させることによって、空気潤滑デバイスに空気を供給する第1のコンプレッサの効率を高めることができる。結果的に、空気潤滑デバイスの有効性を高めることができ、船体下の気泡生成を増加させ、結果として船舶の高度な水摩擦低減をもたらすことができる。その結果、燃料の節約を達成することができ、全体的な運転コストの低減をもたらすことができるように、船舶のエネルギー使用量の全体的悪化を低減することができる。
【0019】
本明細書で説明する他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、変速機133は、機械式変速機、電気式変速機、空圧式変速機、又は油圧式変速機とすることができる。本明細書で説明する他の実施形態と組み合わせることができる実施例によれば、変速機133は、発電機及び電気モータを含む。
【0020】
本明細書で説明する変速機、例えば、以下で説明する第1の変速機133及び/又は第2の変速機136は、可変であるように構成することができることを理解されたい。換言すると、第1の変速機133及び/又は第2の変速機136は、可変変速比を有することができる。従って、本明細書で説明する変速機は、変更可能な変速比をもたらすように構成することができる。従って、第1のコンプレッサ131及び/又は第2のコンプレッサ135の回転数は、有益に、詳細には本明細書で説明するように、船舶の運転中に、すなわち1又は2以上のエンジン120の運転中に、結合されたタービン、例えば、第1のタービン132及び/又は第2のタービン134の回転数から独立して調整及び制御することができる。
【0021】
図2を例示的に参照すると、本明細書で説明する他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、空気供給装置100は、第1のタービン132に並列な第2のタービン134をさらに含む。
図2に例示するように、第1のタービン132及び第2のタービン134は、変速機133を介して第1のコンプレッサ131に結合することができる。
【0022】
図3を例示的に参照すると、本明細書で説明する他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、空気供給装置は、第2のコンプレッサ135及び第2のタービン134を有する第2のターボ過給機137をさらに含む。第2のタービン134は、1又は2以上のエンジン120から供給される排気ガスによって駆動可能である。従って、第2のタービン134は、例えば、1又は2以上の導管によって1は2以上のエンジン120に接続することができ、1又は2以上のエンジン120は、排気ガスを第2のタービン134に供給することができるようになっている。追加的に又は代替的に、第2のタービン134は、第1のタービン132から供給される排気ガスによって駆動可能とすることができる。従って、第2のタービン134は、例えば、1又は2以上の導管によって第1のタービン132に接続することができ、第1のタービン132は、排気ガスを第2のタービン134に供給することができるようになっている。
図3に例示するように、第2のコンプレッサ135は、空気潤滑デバイス140に空気を供給するために、詳細には第3空気供給管19を介して、空気潤滑デバイス140に接続される。
【0023】
本明細書で説明する他の実施形態と組み合わせることができる別の随意的な実施形態によれば、
図5から8に示すように、第2のタービン134は、第1の空気供給管16から第2のタービン134に供給される圧縮空気によって駆動可能とすることができる。従って、第3のコンプレッサ111から第2のタービン134までの空気供給管(図中では明示せず)を設けることができることを理解されたい。同様に、本明細書で説明する他の実施形態と組み合わせることができる別の実施例によれば、第1のタービン132は、第1の空気供給管16(
図5から8に示す)から第1のタービン2に供給される圧縮空気によって駆動可能とすることができる。従って、第3のコンプレッサ111から第1のタービン132までの空気供給管(図中では明示せず)を設けることができることを理解されたい。
【0024】
図3に例示するように、典型的には、第2のコンプレッサ135は、追加的な変速機136を介して第2のタービン134に結合される。追加的な変速機136は、第2のコンプレッサ135の回転数を変更するように構成される。
【0025】
詳細には、追加的な変速機136は、第2のコンプレッサ135の回転数を変えるように構成することができる。例えば、追加的な変速機136は、第2のタービン134の回転数と比較して、第2のコンプレッサ135の回転数を増加させるように構成することができる。追加的に又は代替的に、追加的な変速機136は、第2のタービン134の回転数と比較して、第2のコンプレッサ135の回転数を減少させるように構成することができる。
【0026】
本明細書で説明する他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、追加的な変速機136は、機械式変速機、電気式変速機、空圧式変速機、又は油圧式変速機とすることができる。本明細書で説明する他の実施形態と組み合わせることができる実施例によれば、追加的な変速機136は、発電機及び電気モータを含む。
【0027】
図4から8を例示的に参照すると、本明細書で説明する他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、空気供給装置は、第3のコンプレッサ111及び第3のタービン112を有する第3のターボ過給機110をさらに含む。例えば、第3のターボ過給機110は、1又は2以上のエンジン120を過給するターボ過給機又は複数のターボ過給機とすることができる。この点に関して、図中に示す第3のターボ過給機110は、1又は2以上のターボ過給機を表すことができることに留意されたい。従って、1又は2以上のエンジン120は、過給される場合又はそうでない(すなわち、過給されない)場合があることを理解されたい。
図4に例示するように、第3のタービン112は、第1の排気ガス管11を介して1又は2以上のエンジン120の排気ガス受容器122に接続される。従って、典型的には、本明細書で説明する実施形態による空気供給装置のターボ過給機、詳細には、第1のターボ過給機130は、エンジンを過給するのに使用されない別個のターボ過給機であることを理解されたい。換言すると、第1のターボ過給機130は、エンジンを過給するターボ過給機に加えて設けられた二次タービン及びコンプレッサのペアとすることができる。詳細には、本明細書で説明する他の実施形態と組み合わせることができる本明細書で説明する実施形態によれば、機械的な力は、エンジンのターボ過給機の一次タービン(例えば、第3のタービン112)から空気供給装置へ引き出されない。
【0028】
本明細書で説明する他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、
図8に例示するように、第1の排気ガス管11は、排気ガス受容器122から第3のタービン112に供給される排気ガス流を制御する流量制御装置160に接続することができる。詳細には、流量制御装置160は、第3のタービン112を迂回する第1のバイパス配管13に設けることができる。
【0029】
図8を例示的に参照すると、本明細書で説明する他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、第1のタービン132は、第2の排気ガス管12を介して第3のタービン112に接続することができる。第2の排気ガス管12は、第3のタービン112から第1のタービン132に供給される排気ガス流を制御するバイパス弁170に接続することができる。詳細には、バイパス弁170は、第1のタービン132を迂回する第2のバイパス配管14に設けることができる。
【0030】
図4から8に例示するように、本明細書で説明する他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、第3のコンプレッサは、第1の空気供給管16を介して1又は2以上のエンジン120の空気受容器121に接続することができる。詳細には、
図8に例示するように、第1の空気供給管16は、給気冷却器150を含む。
【0031】
図8を例示的に参照すると、本明細書で説明する他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、追加的な流量制御装置161は、第1のターボ過給機の第1のタービン132の下流に設けることができる。追加的な流量制御装置161が設けられる配管は、排気ガス接続部20を介して、排気ガス出口配管15に接続することができる。排気ガス出口配管15は、排気システムの一部とすることができる。排気システムは、排気ガスが環境に放出される前に、排気ガス後処理装置及び/又は消音器を含むことができる。この点に関して、排気ガス後処理装置及び/又は消音器は、本明細書で説明する他の実施形態に設けることもできることに留意されたい。
【0032】
従って、
図1から8から、本開示の別の態様によれば、本明細書で説明する何らかの実施形態による空気供給装置を含む船舶200が提供されることを理解されたい。従って、全体的な運転コストを低減することができるように、船体の水擦低減のためのよりエネルギー効率が高いシステムを有する船舶を提供することができる。
【0033】
図9Aに示すフローチャートを例示的に参照しながら、本開示による船舶の空気潤滑デバイスに空気を供給する方法300を説明する。
【0034】
本明細書で説明する他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、方法300は、1又は2以上のエンジン120からの排気ガスを使用して第1のターボ過給機130を駆動するステップ(
図9aのブロック310で示す)を含む。さらに、本方法は、第1のターボ過給機130の第1のタービン132及び第1のコンプレッサ131に結合された変速機133を使用することによって、第1のターボ過給機130の第1のコンプレッサ131の回転数を変更するステップ(
図9aのブロック320で示す)を含む。さらに、本方法は、第1のターボ過給機130の第1のコンプレッサ131から空気潤滑デバイス140に空気を供給するステップ(
図9aのブロック330で示す)を含む。
【0035】
詳細には、第1のコンプレッサ131の回転数を変更するステップ(
図9a、
図9b、及び
図9cのブロック320で示す)は、第1のコンプレッサ131の回転数を変えるステップを含むことができる。例えば、変速機133を使用して第1のコンプレッサ131の回転数を変更するステップは、第1のタービン132の回転数と比較して、第1のコンプレッサ131の回転数を増加させるステップを含むことができる。追加的に又は代替的に、変速機133を使用して第1のコンプレッサ131の回転数を変更するステップは、第1のタービン132の回転数と比較して、第1のコンプレッサ131の回転数を減少させるステップを含むことができる。
【0036】
図9bを例示的に参照すると、本明細書で説明する他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、第1のコンプレッサ131の回転数を変更するステップ(
図9bのブロック320で示す)は、第1のタービン132に並列な第2のタービン134を使用するステップ(
図9bのブロック321で示す)を含む。第1のタービン132及び第2のタービン134は、変速機133を介して第1のコンプレッサ131に結合される。
【0037】
本明細書で説明する他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、方法300は、第1のターボ過給機130の回転速度を制御することによって、空気潤滑デバイス140に供給される空気量を制御するステップ(
図9bのブロック335で示す)をさらに含む。第1のターボ過給機130の回転速度は、1又は2以上のエンジン120の排気ガス受容器122に接続される第3のターボ過給機110の第3のタービン112に供給される排気ガス流を制御することによって制御することができる。第3のターボ過給機110の第3のタービン112に供給される排気ガス流は、
図7及び8に例示するように、流量制御装置160を使用すること(
図9bのブロック336で示す)によって制御することができる。詳細には、
図7及び8に例示するように、流量制御装置160は、第3のタービン112を迂回する第1のバイパス配管13に設けることができる。追加的に又は代替的に、空気潤滑デバイス140に供給される空気量を制御するステップ(
図9bのブロック335で示す)は、
図7及び8に例示するように、バイパス弁170を使用して第1のタービン132に供給される排気ガス流を制御することによって第1のターボ過給機130の回転速度を制御するステップを含むことができる。詳細には、バイパス弁170は、第1のタービン132を迂回する第2バイパス配管14に設けることができる。追加的に又は代替的に、空気潤滑デバイス140に供給される空気量を制御するステップ(
図9bのブロック335で示す)は、
図8を参照して例示的に説明するように、第1のターボ過給機の第1のタービン132の下流に設けられた追加的な流量制御装置161を使用して(
図9bのブロック338で示す)第1のターボ過給機130の回転速度を制御するステップを含むことができる。
【0038】
図9cを例示的に参照すると、本明細書で説明する他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、方法300は、1又は2以上のエンジンからの排気を使用して第2のターボ過給機137を駆動するステップ(
図9cのブロック340で示す)をさらに含む。追加的に又は代替的に、第2のターボ過給機137を駆動するステップ(
図9cのブロック340で示す)は、第1のタービン132からの排気を使用することによって実施することができる。第2のターボ過給機137は、追加的な変速機136を介して第2のタービン134に結合された第2のコンプレッサ135を有する。追加的な変速機136は、第2のコンプレッサ135の回転数を変更するように構成される。さらに、
図9cに例示的に示されるような方法300は、追加的な変速機136を使用して第2のコンプレッサ135の回転数を変更するステップ(
図9cのブロック350で示す)を含む。さらに、方法300は、第2ターボ過給機137の第2のコンプレッサ135から空気潤滑デバイス140に空気を供給するステップ(
図9cのブロック360で示す)を含む。
【0039】
従って、上記に鑑みて、本明細書で説明する実施形態は、有益に、空気潤滑デバイスに供給される空気量を制御及び調整することができる改善された空気潤滑デバイスを提供することを理解されたい。詳細には、本明細書で説明するように、従来技術と比較して、空気潤滑デバイスの有効性は、空気潤滑デバイスに空気を供給するために使用されるコンプレッサの回転数を増加させる変速機を使用することによって向上させることができる。従って、船体下での気泡生成の増加、従って、船舶の水車摩擦の高度な低減を達成することができ、その結果、全体的な運転コストを低減させることができる。さらに、従来技術と比較して、本明細書で説明する実施形態は、エンジンのターボ過給機のタービンの残留エネルギーを空気供給装置の作動に使用することができるという利点を有する。その結果として、従来技術と比較して、本明細書で説明するような実施形態は、高いエネルギー効率にもたらす。さらに、本明細書で説明するような実施形態は、有益に、船体潤滑のための気泡生成に使用されるコンプレッサとタービンを結合する変速機を有する別個のターボ過給機を使用することによって、コンプレッサとタービンとのいわゆる不適合を補償する可能性をもたらす。
【0040】
上記は、種々の実施形態に関するが、基本的な範囲から逸脱することなく、他のさらなる実施形態を考え出すことができ、その範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
【符号の説明】
【0041】
1 1又は2以上のエンジンから供給される排気ガス
11 第1の排気ガス管
12 第2の排気ガス管
13 第1のバイパス配管
14 第2のバイパス配管
15 排気ガス出口配管
16 第1の空気供給管
17 第2の空気供給管
18 空気取り入れ口
19 第3の空気供給管
20 排気ガス接続部
100 空気供給装置
110 第3のターボ過給機
111 第3のコンプレッサ
112 第3のタービン
113 シャフト
120 場合によっては1又は2以上のターボ過給機を備える1又は2以上のエンジン
121 空気受容器
122 排気ガス受容器
130 第1のターボ過給機
131 第1のコンプレッサ
132 第1のタービン
133 変速機
134 第2のタービン
135 第2のコンプレッサ
136 追加的な変速機
137 第2のターボ過給機
140 空気潤滑デバイス
150 中間冷却器
160 流量制御装置
161 追加的な流量制御装置、
170 バイパス弁
200 船舶
300 空気潤滑デバイスに空気を供給する方法
310,320,321,330,335,336,337,338,340,350,360 本開示で説明する、空気潤滑デバイスに空気を供給する方法の方法ステップを示すブロック