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特許7642681風力タービンブレードを製造するための方法およびマンドレル工具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-28
(45)【発行日】2025-03-10
(54)【発明の名称】風力タービンブレードを製造するための方法およびマンドレル工具
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/34 20060101AFI20250303BHJP
   F03D 1/06 20060101ALI20250303BHJP
【FI】
B29C70/34
F03D1/06 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022577162
(86)(22)【出願日】2021-06-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-07
(86)【国際出願番号】 EP2021065232
(87)【国際公開番号】W WO2021254817
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2023-02-14
(31)【優先権主張番号】20180028.1
(32)【優先日】2020-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519081710
【氏名又は名称】シーメンス ガメサ リニューアブル エナジー エー/エス
【氏名又は名称原語表記】Siemens Gamesa Renewable Energy A/S
【住所又は居所原語表記】Borupvej 16, 7330 Brande, Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100210099
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 太介
(72)【発明者】
【氏名】エレン ビーゲル
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエレ キエズーラ
(72)【発明者】
【氏名】エレン フールプ
(72)【発明者】
【氏名】カーステン クラルプ
(72)【発明者】
【氏名】スィモン ヴェストフェール ルセック
(72)【発明者】
【氏名】ステフェン ステフェンセン
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-212833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/34
F03D 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービンブレードを製造するための方法であって、
a)マンドレル工具(11)に繊維積層体(10)を配置するステップ(S1)であって、前記マンドレル工具(11)は、フレーム(12)と、断面で見て、前記フレーム(12)に接続された少なくとも2つのマンドレル部分(13,14,15,16)とを備え、前記繊維積層体(10)の少なくとも一部は、前記少なくとも2つのマンドレル部分(13,14,15,16)の外面(19)によって支持されている、配置するステップ(S1)と、
b)前記フレーム(12)に向かって前記マンドレル部分(13,14,15,16)のうちの少なくとも1つを引き込むことによって、前記マンドレル工具(11)の断面サイズ(S)を減少させるステップ(S3)と、
c)前記マンドレル工具(11)を互いに隣り合うブレードセクション(8,9)の内部に配置するステップ(S6,S7)と、
d)前記マンドレル部分(13,14,15,16)のうちの少なくとも1つを前記フレーム(12)から離れる方向に伸長させることによって、前記マンドレル工具(11)の前記断面サイズ(S)を増大させるステップ(S8)と、
e)前記繊維積層体(10)の少なくとも一部に樹脂(70)を浸透させるステップ(S9)であって、前記樹脂(70)を硬化させて、前記ブレードセクション(8,9)同士を内部で接合する硬化した接合部分(71)を得る、浸透させるステップ(S9)と
を含む、方法。
【請求項2】
前記マンドレル工具(11)の前記断面サイズ(S)を、前記マンドレル工具(11)の高さ(H)および/または前記マンドレル工具(11)の幅(W)を減少させることによって減少させる(S3)、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ステップb)中またはステップb)とステップc)との間に前記繊維積層体(10)を内向きに折り曲げるステップ(S4)を含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記マンドレル工具(11)は、前記マンドレル工具(11)の長手方向(L)に沿って延在する少なくとも1つの間隙(25,26,29)であって、断面で見て、互いに隣り合う2つのマンドレル部分(13,14,15,16)の間に配置された少なくとも1つの間隙(25,26,29)を備え、前記繊維積層体(10)を前記少なくとも1つの間隙(25,26,29)内に内向きに折り曲げる(S4)、請求項3記載の方法。
【請求項5】
内向きへの前記繊維積層体(10)の折曲げ(S4)中および/または折曲げ(S4)後に前記繊維積層体(10)を引っ張る、請求項3または4記載の方法。
【請求項6】
ステップa)よりは後でステップb)よりは前に、少なくとも1つの可動の長手方向部材(21)が前記マンドレル工具(11)の前記長手方向(L)に沿って前記少なくとも1つの間隙(25,26)の外側に配置されるように、前記少なくとも1つの可動の長手方向部材(21)を前記マンドレル工具(11)に固定するステップ(S2)を含み、前記少なくとも1つの可動の長手方向部材(21)を前記少なくとも1つの間隙(25,26)内に移動させることにより、前記繊維積層体(10)を内向きに折り曲げる(S4)、請求項4を引用する請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも2つのマンドレル部分(13,14,15,16)は、少なくとも2つの上側のマンドレル部分(13)と、少なくとも2つの下側のマンドレル部分(14)とを備え、
前記方法は、ステップa)中に前記少なくとも2つの上側のマンドレル部分(13)の間および前記少なくとも2つの下側のマンドレル部分(14)の間にウェブ要素(30)を配置するステップを含み、
前記ウェブ要素(30)は、第1の部分(40)と、第2の部分(41)と、前記第1の部分(40)と前記第2の部分(41)との間に配置された中間部分(42)とを含み、
前記方法は、ステップb)前に前記中間部分(42)を取り除くステップを含み、
前記方法は、ステップd)後に前記ウェブ要素(30)の前記第1の部分(40)と前記第2の部分(41)との間に前記中間部分(42)を再配置するステップを含む、
請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
ステップb)よりは後でステップc)よりは前に、前記繊維積層体(10)を前記マンドレル工具(11)に結束するステップ(S5)を含む、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記繊維積層体(10)は、いったん浸透して硬化すると、前記互いに隣り合うブレードセクション(8,9)の第1のブレードセクション(8)のシェルと、前記互いに隣り合うブレードセクション(8,9)の第2のブレードセクション(9)のシェルとを接合するシェル接合部(71)を形成する繊維積層体(37)を備え、
前記繊維積層体(10)は、いったん浸透して硬化すると、前記互いに隣り合うブレードセクション(8,9)の第1のブレードセクション(8)の1つ以上のビーム(52,54)と、前記互いに隣り合うブレードセクション(8,9)の第2のブレードセクション(9)の1つ以上の対応するビーム(53,55)とを接合する1つ以上のビーム接合部(71)を形成する繊維積層体(33,34,35,36)を備え、かつ/または、
前記繊維積層体(10)は、いったん浸透して硬化すると、前記互いに隣り合うブレードセクション(8,9)の第1のブレードセクション(8)のウェブと、前記互いに隣り合うブレードセクション(8,9)の第2のブレードセクション(9)のウェブとを接合するウェブ接合部(71)を形成する繊維積層体(30’)を備える、
請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記マンドレル工具(11)を、前記マンドレル工具(11)の一部(48)が前記ブレードセクション(8,9)の第1のブレードセクション(8)から突出するように、前記ブレードセクション(8,9)の前記第1のブレードセクション(8)の内部に部分的に配置し(S6)、前記ブレードセクション(8,9)の第2のブレードセクション(9)を、前記ブレードセクション(8,9)の前記第2のブレードセクション(9)が、前記ブレードセクション(8,9)の前記第1のブレードセクション(8)から突出した前記マンドレル工具(11)の前記一部(48)を収容するように、前記ブレードセクション(8,9)の前記第1のブレードセクション(8)に互いに隣り合うように配置する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力タービンブレードを製造するための方法およびその方法に使用されるマンドレル工具に関する。
【0002】
所与の風条件下で風力タービンを使用して、より多くの電力を発生させることは、ブレードのサイズを増大させることで実現することができる。しかしながら、風力タービンブレードの製造において、ブレードのサイズを大きくすることは、ますます困難になってきている。
【0003】
繊維強化材料とは別に長さ方向ブレードセクション(内側のブレードセクションおよび外側のブレードセクションなど)を事前に製造し、セクション同士を互いに接着することが周知である。しかしながら、接着プロセスは、幾つかの制限を有している。これは、例えば、接着剤を表面に塗布して結合する開放プロセスであり、そのため、開放プロセスは作業者にとって危険である可能性がある。加えて、接着線の品質を制御することは困難である。
【0004】
例えば、国際公開第2016/198075号は、第1の長さ方向ブレードセクションと第2の長さ方向ブレードセクションとを備えるモジュール式の風力タービンブレードを開示している。第1の長さ方向ブレードセクションと第2の長さ方向ブレードセクションとは、接続部材を接着剤によってブレードの外側に結合することにより、互いに接続されている。
【0005】
本発明の1つの目的は、風力タービンブレードを製造するための改良された方法と、風力タービンブレードの2つのブレードセクション同士を接合するための改良されたマンドレル工具とを提供することである。
【0006】
したがって、風力タービンブレードを製造するための方法が提案される。この方法は、
a)マンドレル工具に繊維積層体を配置するステップであって、マンドレル工具は、フレームと、断面で見て、フレームに接続された少なくとも2つのマンドレル部分とを備え、繊維積層体の少なくとも一部は、少なくとも2つのマンドレル部分の外面によって支持されている、配置するステップと、
b)フレームに向かってマンドレル部分のうちの少なくとも1つを引き込むことによって、マンドレル工具の断面サイズを減少させるステップと、
c)マンドレル工具を互いに隣り合うブレードセクションの内部に配置するステップと、
d)マンドレル部分のうちの少なくとも1つをフレームから離れる方向に伸長させることによって、マンドレル工具の断面サイズを増大させるステップと、
e)繊維積層体の少なくとも一部に樹脂を浸透させるステップであって、樹脂を硬化させて、ブレードセクション同士を内部で接合する硬化した接合部分を得る、浸透させるステップと
を含む。
【0007】
したがって、軽量であると同時に強力なブレードセクションの接合部が提供される。特に、樹脂の浸透によって形成されたこのラミネート接合部の強度は、元のラミネートの強度に匹敵する。接着剤を使用した接続に比べて、樹脂の浸透によるラミネート接合部は、より軽量かつ強力なブレードセクションの接合部を提供し、特に、良好な重量対強度の性能を提供する。これは、接着剤の場合、接着剤の重量が接着線に加わり、接着線の厚みが増すと、層間剪断強度が低下するからである。さらに、樹脂の浸透によって形成されるラミネート接合部は、接着剤がブレードの残りの部分とは異なる材料を有するという接着接合部の問題を回避する。
【0008】
さらに、風力タービンブレードを製造するための提案された方法は、ブレードの空洞の内部からブレードセクションの接合プロセスを実施することを可能にする。これにより、ブレードの空洞内からのみ実施することができるウェブ接続などの接合プロセスが存在するため、製造プロセスが容易になる。
【0009】
さらに、マンドレル工具の断面サイズを減少させることにより、互いに隣り合うブレードセクションの内部により良好かつより簡単にマンドレル工具を配置することが可能になる。特に、マンドレル工具の断面サイズを減少させることにより、マンドレル工具を各々のブレードセクションの空洞内により良好に形状適合させることができる。特に、マンドレル工具は、マンドレル工具の外面と各々のブレードセクションの内面との間に十分な空間が存在するように、各々のブレードセクションの空洞内に配置することができる。例えば、マンドレル工具を各々のブレードセクションの空洞の内部でより良好に操作して位置決めするために提供される十分な空間が存在する。さらに、例えば、各々のブレードセクション(例えば、ブレードセクションの開口縁部および/またはブレードセクションの内面)が、マンドレル工具に配置された繊維積層体と挿入プロセス中に干渉しないように提供される十分な空間が存在する。
【0010】
さらに、ブレード断面積は、ブレードの付け根に向かって増加している。したがって、マンドレル工具が、マンドレル工具の伸長状態にあるとき、ブレードセクションの内面でマンドレル工具に配置された繊維積層体を位置決めするために、マンドレル工具の断面積もまたマンドレル工具の内側の端部に向かって増加している。マンドレル工具を(部分的に)内側のブレードセクションに配置し、(部分的に)互いに隣り合う外側のブレードセクションに配置する場合、マンドレル工具を内側のブレードセクションの外側の端部を通して(かつ内側のブレードセクションの内側の端部/付け根部分を通さずに)挿入することが有利な場合がある。これは、内側のセクションが極めて長い場合に特に当てはまる。マンドレル工具の断面サイズを減少させることにより、内側のセクションの外側の端部がマンドレル工具の元の伸長状態にあるマンドレル工具の内側の端部よりも小さい断面を有するという事実にもかかわらず、内側のブレードセクションの外側の端部を通してマンドレル工具をより良好に挿入することが可能になる。
【0011】
風力タービンブレードは、風力タービンのロータの一部である。風力タービンは、風の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する装置である。風力タービンは、例えば、それぞれハブに接続された1つ以上のブレードを有するロータと、発電機を含むナセルと、頂端部でナセルを保持するタワーとを備える。風力タービンのタワーは、移行部品を介して、海底のモノパイルなどの風力タービンの基礎に接続することができる。
【0012】
風力タービンブレードは、ブレードを長さ方向に分割する2つ以上のブレードセクションを備える。特に、互いに隣り合うブレードセクションは、ブレードの長さ方向に互いに隣り合うように配置される。互いに隣り合うブレードセクションの第1のブレードセクションは、例えば、内側のブレードセクションである。内側のブレードセクションは、例えば、ロータのハブに接続された付け根セクションを含む。互いに隣り合うブレードセクションの第2のブレードセクションは、例えば、外側のブレードセクションである。外側のブレードセクションは、例えば、ブレード先端を備える。上述した第1のブレードセクションおよび第2のブレードセクションに加えて、風力タービンブレードはまた、1つ以上の更なるブレードセクションを備えることができる。1つ以上の更なるブレードセクションは、第1のブレードセクションが第2のブレードセクションと接合されるのと同一の接合プロセスによって、更なるブレードセクション同士で互いに接合することができ、かつ/または上述の第1のブレードセクションおよび/または第2のブレードセクションと接合することができる。
【0013】
風力タービンブレード、例えば付け根セクションは、例えば、ハブに固定して接続される。風力タービンブレードは、例えば、ハブに直接的にボルト固定されている。
【0014】
代替的に、風力タービンブレード、例えば付け根セクションは、ハブに回転可能に接続される。例えば、風力タービンブレードは風力タービンのピッチベアリングに接続されており、ピッチベアリングはハブに接続される。ピッチベアリングは、風速に応じてブレードの迎角を調整してブレードの回転速度を制御するように構成されている。
【0015】
ハブに接続された(円筒形の)付け根セクションとは別に、風力タービンブレードは、空気力学的に成形された断面(翼形)を備えている。風力タービンブレード、すなわち風力タービンブレードのブレードセクションの各々は、例えば、正圧側(風上側)と負圧側(風下側)とを備える。正圧側と負圧側とは、前縁部と後縁部とで互いに接続されている。正圧側および負圧側と、前縁部および後縁部とは、風力タービンブレードの内側の空洞を画定する。
【0016】
互いに隣り合う2つのブレードセクションは、互いに隣り合うように配置されており、その結果、ブレードセクションは互いに隣接する。代替的に、(硬化した)接合部分によって充填することができる、互いに隣り合うブレードセクションの間の小さな間隙が存在してもよい。
【0017】
マンドレル工具は、例えば、昇降工具によって互いに隣り合うブレードセクションの内部に配置される。昇降工具は、例えば、クレーンまたは昇降用の乗物であり、昇降工具は、マンドレル工具をより良好に配置して位置決めすることを可能にする。
【0018】
繊維積層体を備えるマンドレル工具を、互いに隣り合うブレードセクションの内部に配置し、次にマンドレル工具の断面サイズを増大させる場合、繊維積層体は、特に、互いに隣り合うブレードセクションの内面に配置される。例えば、繊維積層体は、互いに隣り合うブレードセクションの内面に配置されており、その結果、繊維積層体は、ブレードセクション同士の接合領域でブレードセクションと重畳する。
【0019】
例えば、マンドレル工具の外面は、ブレードセクションの接合領域にわたって互いに隣り合うブレードセクションの内面を再現する(すなわち内面と一致する)ことができる。
【0020】
繊維積層体は、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維および/または天然繊維を含む。繊維積層体は、例えば、乾燥状態の繊維、すなわち樹脂および/または予備含浸繊維(プリプレグ)を含まない繊維を含む。繊維積層体は、例えば、木材、バルサ、PET発泡体および/またはPVC発泡体などのコア材料を含む。コア材料は、ブレードの十分な剛性および/または強度を維持しながら、最終的な繊維強化樹脂ラミネートの重量を低減することを可能にする。
【0021】
樹脂は、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、エポキシ、ポリウレタン、ビニルエステルおよび/またはポリエステルを含む。
【0022】
樹脂は、風力タービンブレードの空洞の内部から浸透して硬化する。樹脂は、例えば、熱を加えることにより硬化する。
【0023】
繊維積層体は、いったん樹脂が浸透して硬化すると、ブレードセクション同士を内部で接合する接合部分を形成する。硬化した接合部分は、特に繊維強化樹脂積層体である。
【0024】
「ブレードセクション同士を内部で接合する硬化した接合部分」という言い回しは、硬化した接合部分が、ブレードセクション同士の内部表面上で、すなわち、各ブレードセクション内の、開放された空洞または閉鎖された空洞に面するブレードセクション同士の表面上で、ブレードセクション同士を接合または接続することを意味する。
【0025】
この方法のステップb)では、マンドレル工具の断面サイズは、例えば、元の断面サイズから、より小さい断面サイズに減少させられる。この方法のステップd)では、例えば、マンドレル工具の元の断面サイズが再び確立される。
【0026】
マンドレル工具の(例えば、少なくとも2つのマンドレル部分の外面の)包絡面は、例えば翼形断面を有する。特に、マンドレル工具がマンドレル工具の元の伸長状態にあるとき、すなわち、ステップb)前およびステップd)後、マンドレル工具の包絡面は翼形断面を有する。
【0027】
したがって、マンドレル工具の元の伸長状態にあるマンドレル工具の断面は、特に翼形断面である。ブレードの長手方向の長さに対する特定の位置において、マンドレル工具の断面サイズは、製造されたブレードの断面サイズよりわずかに小さい。
【0028】
マンドレル工具の包絡面の翼形断面は、前縁部と、後縁部と、負圧側と、正圧側とを含む。翼形断面の翼弦長は、前縁部と後縁部との間の距離である。翼形断面の厚さは、翼形断面の上面と下面(翼形断面の負圧側と正圧側)との間の最大距離である。
【0029】
マンドレル工具は、例えば、マンドレル部分のうちの少なくとも1つを引き込みかつ/または伸長させるためのアクチュエータ手段を備える。
【0030】
実施形態では、この方法は、ステップe)前に繊維積層体および互いに隣り合うブレードセクションを真空バッグで少なくとも部分的に覆うステップと、真空バッグによって覆われた空間に真空を適用するステップとを含み、ステップe)では、発生させられた真空により樹脂が浸透する。
【0031】
実施形態では、互いに隣り合うブレードセクションの各々は、外向きに先細りにされた部分を備えており、外向きに先細りにされた部分同士が、共通の凹部を形成している。さらに、マンドレル工具は、互いに隣り合うブレードセクションの内部に配置され、その結果、マンドレル工具の断面サイズが増大したときに、繊維積層体は、共通の凹部に配置される。
【0032】
互いに隣り合うブレードセクションの外向きに先細りにされた部分を有することにより、ブレードセクションの外面は、接合プロセスの前に仕上げることができる。
【0033】
特に、互いに隣り合うブレードセクションの各々は、ブレードセクションの端部に外向きに先細りにされた部分を備える。特に、ブレードセクションの各々は、他方のブレードセクションとの接合境界面に向かって外向きに先細りになっている。さらに、ブレードセクションの各々は外向きに先細りになっており、その結果、ブレードセクションの各々が内側の凹部を形成している。ブレードセクション同士が互いに隣り合うように配置されるとき、ブレードセクションの内側の凹部同士は、共通の凹部を形成する。マンドレル工具の断面サイズが増大すると、共通の内側の凹部は、繊維積層体によって充填される。
【0034】
特に、ブレードシェルの厚さ、ビームの厚さおよび/またはウェブの厚さは、他方のブレードセクションとの境界面に向かって減少し、外向きに先細りにされた部分を形成する。外向きに先細りにされた部分は、例えば、一方のブレードシェルの厚さ、ビームの厚さおよび/またはウェブの厚さが、他方のブレードセクションとの境界面に向かって線形に減少するように構成することができる。外向きに先細りにされた部分は、例えば、一方のブレードセクションのブレードシェルの厚さ、ビームの厚さおよび/またはウェブの厚さが、他方のブレードセクションとの境界面に向かって段階的に減少するかまたは湾曲するように構成することができる。
【0035】
実施形態では、各ブレードセクションは、ブレードセクションの特定の端部に、2つ以上の外向きに先細りにされた部分を備えることができる。特に、第1のブレードセクションの2つ以上の外向きに先細りにされた部分の各々は、第2のブレードセクションの外向きに先細りにされた部分に対応する。さらに、第1のブレードセクションおよび第2のブレードセクションの、2つ以上の外向きに先細りにされた部分の各々は、共通の凹部を形成する。
【0036】
実施形態によれば、マンドレル工具の断面サイズは、マンドレル工具の高さおよび/またはマンドレル工具の幅を減少させることによって減少させられる。
【0037】
マンドレル工具の高さは、例えば、マンドレル工具の翼形断面の厚さである。マンドレル工具の幅は、例えば、マンドレル工具の翼形断面の翼弦長である。
【0038】
例えば、少なくとも2つのマンドレル部分は、少なくとも1つの上側のマンドレル部分を備える。さらに、マンドレル工具の高さは、少なくとも1つの上側のマンドレル部分をフレームに向かって(および下側のマンドレル部分に向かって)引き込むことによって減少させられる。
【0039】
例えば、少なくとも2つのマンドレル部分は、少なくとも1つの後縁側のマンドレル部分を備える。さらに、マンドレル工具の幅は、少なくとも1つの後縁側のマンドレル部分をフレームに向かって(および前縁側のマンドレル部分に向かって)引き込むことによって減少させられる。
【0040】
更なる実施形態によれば、この方法は、ステップb)中またはステップb)とステップc)との間に繊維積層体を内向きに折り曲げるステップを含む。
【0041】
繊維積層体を内向きに折り曲げることにより、マンドレル工具の断面サイズを減少させ、マンドレル工具を挿入し、マンドレル工具の断面サイズを再び増大させる際の繊維積層体の挙動をより良好に制御することができる。例えば、マンドレル工具の長手方向に沿って延在する繊維積層体の1つ以上の折曲げ部は、制御されて形成することができる。したがって、マンドレル工具の断面サイズの減少中または減少後の繊維積層体の望ましくない折曲げおよび転位を回避することができる。さらに、マンドレル工具を挿入する際のブレードセクションと繊維積層体との干渉が減少する。
【0042】
繊維積層体は、例えば、マンドレル工具の前縁部、後縁部または上側(正圧側)で内向きに折り曲げられる。
【0043】
更なる実施形態によれば、マンドレル工具は、マンドレル工具の長手方向に沿って延在する少なくとも1つの間隙であって、断面で見て、互いに隣り合う2つのマンドレル部分の間に配置された少なくとも1つの間隙を備え、繊維積層体は、少なくとも1つの間隙内に内向きに折り曲げられる。
【0044】
間隙を有し、繊維積層体を間隙内に内向きに折り曲げることにより、マンドレル工具を引き込みかつ伸長させる際に繊維積層体の配置をより良好に制御することが可能になる。
【0045】
更なる実施形態によれば、内向きへの繊維積層体の折曲げ中および/または折曲げ後に繊維積層体は引っ張られる。
【0046】
内向きへの繊維積層体の折曲げ中および/または折曲げ後に繊維積層体を引っ張ることにより、マンドレル工具の引込み、挿入および伸長中に繊維積層体の配置をより良好に制御することが可能になる。
【0047】
繊維積層体は、例えば、ステップb)中、ステップc)中および/またはステップd)中に引っ張られる。
【0048】
繊維積層体は、例えば、重力および/または加えられた引張力によって引っ張られる。
【0049】
例えば、マンドレル工具の高さが減少すると、繊維積層体の折曲げ部が、2つの上側のマンドレル部分の間の間隙内に垂れ下がる可能性があり、重力によって引っ張られる。
【0050】
例えば、マンドレル工具の高さおよび/または幅が減少するとき、繊維積層体をフレームに向かって内向きに押圧する押圧力/または引っ張る引張力を繊維積層体に加えることができる。
【0051】
更なる実施形態によれば、この方法は、ステップa)よりは後でステップb)よりは前に、少なくとも1つの可動の長手方向部材がマンドレル工具の長手方向に沿って少なくとも1つの間隙の外側に配置されるように、少なくとも1つの可動の長手方向部材をマンドレル工具に固定するステップを含み、少なくとも1つの長手方向部材を少なくとも1つの間隙内に移動させることにより、繊維積層体は内向きに折り曲げられる。
【0052】
少なくとも1つの長手方向部材は、例えばバーである。1つ以上の長手方向部材は、例えば、前縁部および/または後縁部でマンドレル工具に固定される。
【0053】
少なくとも1つの長手方向部材は、繊維積層体を内向きに押圧することにより、繊維積層体を引っ張るために使用することができる。
【0054】
実施形態では、この方法は、ステップc)後、マンドレル工具から少なくとも1つの可動の長手方向部材を取り外して取り除くステップを含む。
【0055】
更なる実施形態によれば、少なくとも2つのマンドレル部分は、少なくとも2つの上側のマンドレル部分と、少なくとも2つの下側のマンドレル部分とを備える。さらに、この方法は、ステップa)中に少なくとも2つの上側のマンドレル部分の間および少なくとも2つの下側のマンドレル部分の間にウェブ要素を配置するステップを含む。ウェブ要素は、第1の部分と、第2の部分と、第1の部分と第2の部分との間に配置された中間部分とを含む。さらに、この方法は、ステップb)前に中間部分を取り除くステップを含む。この方法はまた、ステップd)後にウェブ要素の第1の部分と第2の部分との間に中間部分を再配置するステップを含む。
【0056】
ウェブ要素の中間部分を取り除いて再配置するステップにより、プレキャストウェブ要素を使用する場合でも、マンドレル工具の高さをより簡単に減少させることが可能になる。
【0057】
マンドレル工具は、中間部分が存在しない間に、ウェブ要素の第1の部分および/または第2の部分を固定するための1つ以上のクランプを備えることができる。
【0058】
更なる実施形態によれば、この方法は、ステップb)よりは後でステップc)よりは前に、繊維積層体をマンドレル工具に結束するステップを含む。
【0059】
繊維積層体をマンドレル工具に結束することにより、マンドレル工具を互いに隣り合うブレードセクションの内部に配置する際に、繊維積層体をマンドレル工具に固定することができる。
【0060】
例えば、マンドレル工具の長手方向に沿って分布した幾つかのストラップが、マンドレル工具に固定されてよい。さらに、ステップb)よりは後でステップc)よりは前にかつ1つ以上のストラップを適用する前に、繊維積層体を有するマンドレル工具はまた、フォイルに包まれてよい。
【0061】
更なる実施形態によれば、繊維積層体は、いったん浸透して硬化すると、互いに隣り合うブレードセクションの第1のブレードセクションのシェルと、互いに隣り合うブレードセクションの第2のブレードセクションのシェルとを接合するシェル接合部を形成する繊維積層体を備える。付加的または代替的に、繊維積層体は、いったん浸透して硬化すると、互いに隣り合うブレードセクションの第1のブレードセクションの1つ以上のビームと、互いに隣り合うブレードセクションの第2のブレードセクションの1つ以上の対応するビームとを接合する1つ以上のビーム接合部を形成する繊維積層体を備える。付加的または代替的に、繊維積層体は、いったん浸透して硬化すると、互いに隣り合うブレードセクションの第1のブレードセクションのウェブと、互いに隣り合うブレードセクションの第2のブレードセクションのウェブとを接合するウェブ接合部を形成する繊維積層体を備える。
【0062】
マンドレル工具に前記繊維積層体の1つ、幾つかもしくは全てを配置することにより、シェル接合部、1つ以上のビーム接合部および/またはウェブ接合部を含む軽量かつ強力なブレードセクションの接合部をより効率的な製造プロセスで提供することが可能になる。特に、シェル、(1つ以上の)ビームおよび/またはウェブの幾つかもしくは全ては、樹脂を浸透させて硬化させることにより単一のプロセスステップで接合することができる。
【0063】
1つ以上のビームは、例えば、正圧側のビーム、負圧側のビーム、前縁部ビームおよび/または後縁部ビームを含む。
【0064】
例えばシェル接合部用の繊維積層体は、例えば周方向に配置された層を含む。
【0065】
(剪断)ウェブは、特に、製造されたブレードの内側の空洞内の正圧側のブレードシェルと負圧側のブレードシェルとを接続する。ウェブはブレードに剪断強度を提供する。
【0066】
ステップa)でマンドレル工具に配置されるウェブ要素は、プレキャストウェブ要素と、さらに、ウェブ要素と上側のシェル用の繊維積層体および下側のシェル用の繊維積層体との間の接続領域の繊維積層体(乾式繊維積層体および/またはプリプレグ)とを備えることができる。
【0067】
代替的に、ステップa)でマンドレル工具に配置されるウェブ要素は、繊維積層体(乾式繊維積層体および/またはプリプレグ)のみを備えており、プレキャストウェブ要素を備えていない。
【0068】
更なる実施形態によれば、マンドレル工具は、マンドレル工具の一部がブレードセクションの第1のブレードセクションから突出するように、ブレードセクションの第1のブレードセクションの内部に部分的に配置され、ブレードセクションの第2のブレードセクションは、ブレードセクションの第2のブレードセクションが、ブレードセクションの第1のブレードセクションから突出したマンドレル工具の一部を収容するように、ブレードセクションの第1のブレードセクションに互いに隣り合うように配置される。
【0069】
ブレードセクションの第1のブレードセクションにマンドレル工具を部分的に挿入し、マンドレル工具の突出部分にブレードセクションの第2のブレードセクションを配置することにより、マンドレル工具をより容易に配置することが可能になる。さらに、上述のように挿入して配置することにより、ブレードセクションの第2のブレードセクションを、ブレードセクションの第1のブレードセクションに互いに隣り合うように、より良好に位置決めすることが可能になる。
【0070】
実施形態によれば、マンドレル工具は、マンドレル部分同士の間に内側の空洞を備える。内側の空洞を有することにより、作業者のためのアクセスが提供される。作業者は、例えば、マンドレル工具が互いに隣り合うブレードセクションに挿入されると、内側の空洞を通して外側のブレードセクションにアクセスすることができる。さらに、作業者は、例えば、空洞内から真空バッグを密閉しかつ/または真空ホースおよび樹脂入口ホースを接続することができる。
【0071】
実施形態によれば、マンドレル工具は、1つ以上の樹脂入口ホースおよび/または1つ以上の真空ホースを備える。樹脂入口ホースおよび/または真空ホースは、例えば、真空バッグによって覆われた空間に接続可能であり、真空バッグは、繊維積層体と、互いに隣り合うブレードセクションとを少なくとも部分的に覆う。
【0072】
実施形態によれば、マンドレル工具は加熱システムを備える。加熱システムは、樹脂を例えば摂氏70℃まで加熱し、樹脂を硬化させることを可能にする。
【0073】
実施形態によれば、マンドレル工具は、ブレードセクション同士を接合した後、ブレードの付け根端部を通してマンドレル工具を取り除くように構成されている。例えば、マンドレル工具は、付け根端部から部分的に取り除くことができる。
【0074】
実施形態によれば、マンドレル工具は、電気接地用の1つ以上の端子を備える。例えば、マンドレル工具は、マンドレル工具の2つの端部の各々に電気接地用の1つの端子を備える。
【0075】
実施形態によれば、マンドレル工具は、繊維積層体を配置した後に繊維積層体を視覚的に検査するための検査ゲートを備える。
【0076】
更なる態様によれば、風力タービンブレードの2つのブレードセクション同士を接合するためのマンドレル工具が提供される。マンドレル工具は、互いに隣り合うブレードセクションの内部に配置されるように構成されている。マンドレル工具は、フレームと、断面で見て、フレームに接続された少なくとも2つのマンドレル部分とを備える。マンドレル部分のうちの少なくとも1つは、マンドレル部分をフレームに向かって引き込みかつ/またはフレームから離れる方向に伸長させるように構成されたアクチュエータ手段によってフレームに接続されており、少なくとも2つのマンドレル部分の外面が、接合部分のための繊維積層体を少なくとも部分的に支持するように構成されている。
【0077】
更なる態様の一実施形態によれば、アクチュエータ手段は、1つ以上の昇降ジャッキおよび/または1つ以上の引込みロッドを備える。
【0078】
更なる態様の更なる実施形態によれば、マンドレルは、
マンドレル工具の長手方向に沿って配置された少なくとも1つの長手方向部材と、
マンドレル工具の長手方向に沿って延在する少なくとも1つの間隙であって、互いに隣り合う2つのマンドレル部分の間に配置された少なくとも1つの間隙と
を備え、
少なくとも1つの長手方向部材は、少なくとも1つの間隙の外側に配置されていて、各々の間隙内に可動であるように構成されている。
【0079】
更なる態様の更なる実施形態によれば、マンドレル工具は、フレームに接続されていて、互いに隣り合うブレードセクション内へのマンドレル工具の配置中にマンドレル工具を案内するように構成された案内ロッドを含む。
【0080】
更なる態様の更なる実施形態によれば、少なくとも2つのマンドレル部分は、少なくとも1つの上側のマンドレル部分、少なくとも1つの下側のマンドレル部分、少なくとも1つの前縁側のマンドレル部分および/または少なくとも1つの後縁側のマンドレル部分を含む。
【0081】
本発明の方法を参照して説明された実施形態および特徴は、必要な変更を加えて、本発明のマンドレル工具に適用される。
【0082】
本発明の更なる可能な実現形態または代替的な解決策は、実施形態に関して上述または以下で説明される特徴の組み合わせ(本明細書では明示的に言及されていない)も包含する。当業者はまた、個々のもしくは独立した態様および特徴を、本発明の最も基本的な形態に付加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
本発明の更なる実施形態、特徴、および利点は、添付の図面と併せて解釈される、以下の説明および従属請求項から明らかになる。
図1】一実施形態による風力タービンを示す図である。
図2図1の風力タービンのブレードの2つのブレードセクションを、マンドレル工具に配置された繊維積層体によって接合するプロセスを示す図である。
図3】工具の後縁側から見た図2のマンドレル工具の斜視図である。
図4】工具の前縁側から見た図2のマンドレル工具の斜視図である。
図5図3および図4の平面位置Vに沿った断面におけるマンドレル工具を示す図である。
図6図3および図4の平面位置VIに沿った断面におけるマンドレル工具を示す図である。
図7図3および図4の平面位置VIIに沿った断面におけるマンドレル工具を示す図である。
図8図6の部分VIIIを示す図である。
図9】マンドレル工具を第1のブレードセクションに挿入するプロセスを示す図である。
図10図2の繊維積層体をより詳細に示す図である。
図11図10の繊維積層体のウェブ要素を示す図である。
図12図3および図4のマンドレル工具の幅を減少させ、繊維積層体を内向きに折り曲げるプロセスを概略的に示す図である。
図13図2の平面位置Bに沿った接合ブレード3の一部の断面図である。
図14図1の風力タービンの風力タービンブレードを製造するための方法を示すフローチャートの図である。
【0084】
図面では、同様の参照番号は、別段の指示がない限り、同様の要素または機能的に同等の要素を示す。
【0085】
図1は、一実施形態による風力タービン1を示す。風力タービン1は、ハブ4に接続された1つ以上のブレード3を有するロータ2を備える。ハブ4は、ナセル5の内部に配置された発電機(図示せず)に接続されている。風力タービン1の動作中、ブレード3は風によって駆動されて回転し、風の運動エネルギーは、ナセル5内の発電機によって電気エネルギーに変換される。ナセル5は、風力タービン1のタワー6の上側の端部に配置される。タワー6は、地中または海底に打ち込まれたモノパイルなどの基礎7に立設される。
【0086】
図2に示すように、風力タービン1のブレード3は、2つ以上の長さ方向ブレードセクション8,9から製造される。長さ方向ブレードセクション8,9は、以下に説明するように、マンドレル工具11に配置された繊維積層体10を使用することによって接合される。
【0087】
図3は、マンドレル工具11の後縁側TEから見たマンドレル工具11の斜視図を示す。図4は、マンドレル工具11の前縁側LEから見たマンドレル工具11の斜視図を示す。図5図6および図7は、それぞれ図3および図4の線V、線VIおよび線VIIに沿ったマンドレル工具11の断面図を示す。
【0088】
図3図7に示されるように、マンドレル工具11は、フレーム12を備える。さらに、マンドレル工具11は、フレーム12に接続された少なくとも2つのマンドレル部分13,14,15,16を備える。図示の例では、マンドレル工具11は、2つの上側のマンドレル部分13と、2つの下側のマンドレル部分14と、2つの前縁側のマンドレル部分15と、1つの後縁側のマンドレル部分16とを備える(図5)。
【0089】
図3の視点では、2つの前縁側のマンドレル部分15は見えないことに留意されたい。図4の視点では、後縁側のマンドレル部分15は見えない。
【0090】
図3図4および図7に見られるように、2つの上側のマンドレル部分13は、フレーム12の下側の部分と、下側のマンドレル部分14とにアクチュエータ手段17によって接続される。アクチュエータ手段17は、例えば、昇降ジャッキ17である。昇降ジャッキ17を使用することにより、上側のマンドレル部分13を、下側のマンドレル部分14に向かって下降させることができる。このようにして、マンドレル工具11の高さH(図7)を減少させることができる。
【0091】
加えて、後縁側のマンドレル部分16は、図3および図6に示されるように、アクチュエータ手段18によってフレーム12に接続される。アクチュエータ手段18は、例えば、引込みロッド18である。引込みロッド18を使用することにより、後縁側のマンドレル部分16をフレーム12に向かって方向Rに引き込むことができる。このようにして、マンドレル工具11の幅W(図6)を減少させることができる。
【0092】
マンドレル部分13,14,15,16の外面19(図5)は、マンドレル工具11の包絡面20(図5図7)を規定する。少なくともマンドレル工具11がマンドレル工具11の元の伸長状態にあるとき、包絡面20は翼形断面を有する。
【0093】
マンドレル部分13,14,15,16の外面19は、繊維積層体10(図2図10)を少なくとも部分的に支持するように構成される。
【0094】
マンドレル工具11は、図5図7に示されるように、マンドレル部分13,14,15,16の間に内側の空洞24を備える。マンドレル工具11が、互いに隣り合うブレードセクション8,9に挿入されると、作業者は、例えば、内側の空洞24を通して外側のブレードセクション9にアクセスすることができる。さらに、作業者は、例えば、空洞24から真空バッグを密閉しかつ/または真空ホースおよび樹脂入口ホースを接続することができる。
【0095】
マンドレル工具11は、マンドレル工具11の長手方向Lに沿って配置された少なくとも1つの可動の長手方向部材21をさらに備える。図示の例では、マンドレル工具11は、前縁部LEの1つの長手方向部材21(図4)と、後縁部TEの2つの長手方向部材21(図3)とを備える。図示の例における長手方向部材21はバーである。バー21は、マンドレル工具11の断面サイズS(例えば、幅Wおよび高さH)が減少するときに、繊維積層体10をマンドレル工具11の内部24(図5)の中へ内向きに/マンドレル工具11の内部24に向かって能動的に折り曲げるように構成される。バー21は、マンドレル工具11に、例えばフレーム12にかつ/またはマンドレル部分13,14,15のうちの1つ以上に解離可能に取り付けられる。
【0096】
図8は、後縁部TEでフレーム12に取り付けられた2つのバー21を示す図6の部分VIIIを示す。各バー21は、アーム22に接続されている。各アーム22は、フレーム12に枢動可能に接続されており、その結果、各アーム22は、軸線Aを中心として枢動して各々のバー21を移動させることができる。図3に見られるように、各バー21の隣に配置された更なる長手方向部材(バー)23が存在してよい。
【0097】
さらに、マンドレル工具11は、マンドレル工具11の長手方向Lに沿って延在する少なくとも1つの間隙25,26を備える。図示の例では、マンドレル工具11は、互いに隣り合う2つのマンドレル部分15の間に配置された間隙25(図4および図5)を備える。さらに、マンドレル工具11は、互いに隣り合う2つのマンドレル部分13,16の間および互いに隣り合う2つのマンドレル部分14,16の間にそれぞれ配置された2つの間隙26(図3および図5)を備える。間隙25,26は、バー21が間隙25,26内に移動することによって繊維積層体10が内向きに折り曲げられるときに、繊維積層体10の折曲げ部27(図12)を収容するように構成される。
【0098】
特に、前縁部LEのバー21(図4)は、間隙25の外側に配置されており、間隙25内に移動して繊維積層体10を間隙25内に折り曲げるように構成される。さらに、後縁部TEの2つのバー21(図3および図8)は、2つの間隙26の外側に配置されており、間隙26内に移動して、繊維積層体10を間隙26内にそれぞれ折り曲げるように構成される。
【0099】
マンドレル工具11は、図6に示すように、2つの上側のマンドレル部分13の間の間隙29に接続されたクランプ28をさらに備えることができる。クランプ28は、マンドレル工具11の高さHを減少させる間および減少させた後にウェブ要素30(の一部)(図11)を一時的に固定するように構成されている。ウェブ要素30(の一部)は、プレキャスト要素であってよく、かつ/または(乾式もしくはプリプレグの)繊維積層体を備えてよい。クランプ28には、任意の適切なクランプまたはクランプ機構を使用することができる。
【0100】
図9に示すように、マンドレル工具11はまた、フレーム12に接続された案内ロッド31を含むことができる。案内ロッド31は、マンドレル工具11を互いに隣り合うブレードセクション8,9内に配置する際にマンドレル工具11を案内するように構成されている。図示の例では、マンドレル工具11は4つの案内ロッド31を備えている。しかしながら、マンドレル工具はまた、異なる数の案内ロッド31を含んでもよい。
【0101】
図3および図9に示されるように、マンドレル工具11はまた、マンドレル工具11を移動させるためにフレーム11に(解離可能に)接続されたホイール32を含むことができる。
【0102】
以下に、マンドレル工具11によって2つのブレードセクション8,9(図2)を接合する方法を説明する。
【0103】
この方法の第1のステップS1では、繊維積層体10がマンドレル工具11に配置される。
【0104】
図10は、明確にするためにマンドレル工具11のない繊維積層体10を示す。繊維積層体10は、正圧側のビーム接合部用の繊維積層体33と、負圧側のビーム接合部用の繊維積層体34とを備える。さらに、繊維積層体10は、前縁側のビーム接合部用の繊維積層体35と、後縁側のビーム接合部用の繊維積層体36とを備える。さらに、繊維積層体10は、シェル接合部用の繊維積層体37を備える。
【0105】
図10には、ウェブ要素30,30’も示されている。ウェブ要素30は、例えば、プレキャストウェブ要素30である。別の実施形態では、繊維積層体10はまた、ウェブ接合部用の繊維積層体30’を備えることができる。
【0106】
図11は、この例ではプレキャストウェブ要素であるウェブ要素30の詳細図を示す。ウェブ要素30は、第1の部分40と第2の部分41とを備える。さらに、ウェブ要素30は、第1の部分40と第2の部分41との間に配置された中間部分42を備える。中間部分42は、矢印Mおよび矢印Nによって示されるように、ウェブ要素30から取り除くことができる。図示の例では、中間部分42は、左側(方向M)および右側(方向N)に取り除くことができる2つの部分を備える。別の例では、中間部分は、方向Mおよび/または方向Nに取り除くことができる単一の要素であってよい。
【0107】
繊維積層体10をマンドレル工具11に事前装着するために、まず、型枠または装着台(図示せず)が提供される。型枠または装着台には、負圧側のビーム接合部用の繊維積層体34(図10)と、シェル接合部用の繊維積層体37の一部とが提供される。その後、真空バッグ(図13にのみ示されており、参照符号は62)が、繊維積層体34と、繊維積層体37の下側の部分とに設けられる。次に、例えば、全ての部分40,41,42を備えるウェブ要素30(図11)が配置される。
【0108】
次のステップでは、マンドレル工具11が配置される。特に、マンドレル工具11は、図4に示すように、前縁部マンドレル工具部分38と後縁部マンドレル工具部分39とに分割することができる。前縁部マンドレル工具部分38と後縁側のマンドレル部分39との両方は、繊維積層体34,37に配置され、ウェブ要素30が前縁部マンドレル工具部分38と後縁側のマンドレル部分39との間に配置される。ウェブ要素30(例えば、ウェブ要素30の第2の部分41)は、上側のマンドレル部分13でクランプ28(図6)によって挟持することができる。
【0109】
さらに、真空バッグ(62、図13)は、マンドレル工具11の前縁部マンドレル工具部分38および後縁側のマンドレル部分39の周りに巻き付けられる。
【0110】
次に、正圧側のビーム接合部用の繊維積層体33と、前縁側のビーム接合部用の繊維積層体35と、後縁側のビーム接合部用の繊維積層体36と、シェル接合部用の残りの繊維積層体37が提供される。最後に、真空バッグ(62、図13)は、全ての繊維積層体33,34,35,36,37とウェブ要素30とがそれらの片側で真空バッグ(62、図13)によって覆われるように配置される。
【0111】
この方法のステップS2では、バー21は、図3図4および図8に示されるように、マンドレル工具11のフレーム12に固定される。バー21は、バー21が前縁部LEの間隙25の外側(図4)および後縁部の2つの間隙26の外側(図3および図8)に配置されるように、マンドレル工具11に固定される。
【0112】
バー21をマンドレル工具11に固定するステップ(ステップS2)のとき、繊維積層体10は、すでにマンドレル工具11に配置されている(ステップS1)。したがって、バー21は、繊維積層体10の外側、特にシェル接合部用の繊維積層体37(図12)の外側に配置される。
【0113】
この方法のステップS3では、マンドレル工具11の断面サイズSが減少させられる。特に、マンドレル工具11の高さHは、昇降ジャッキ17を引き込むことによって減少させられ、その結果、上側のマンドレル部分13は下降する(図7)。
【0114】
さらに、マンドレル工具11の幅Wもまた、方向Rに引込みロッド18を引き込むことによって減少させられ、その結果、前縁側のマンドレル部分16は、フレーム12とマンドレル工具11の内側24とに向かって引き込まれる(図6)。
【0115】
ステップS3の開始時で、マンドレル工具の高さHを減少させる前に、図11に示すように、ウェブ要素30の中間部分42は、ウェブ要素30から取り除くことができる。
【0116】
この方法のステップS4では、繊維積層体11が内向きに折り曲げられ、引っ張られる。好ましくは、ステップS4はステップS3と同時に実施される。繊維積層体11を内向きに折り曲げる場合、特に、シェル接合部用の繊維積層体37と、正圧側のビーム接合部用の繊維積層体33とが、内向きに折り曲げられる(図10)。
【0117】
図12は、後縁側のマンドレル部分16が内向きに引き込まれ、同時に繊維積層体10(特に、シェル接合部用の繊維積層体37)がバー21によって内向きに折り曲げられるプロセスを概略的に示している。図12の左側のパネルは、マンドレル工具11がマンドレル工具11の元の伸長状態にあり、繊維積層体10,37がすでにマンドレル工具11に配置されており、バー21がすでにマンドレル工具11に固定された初期状態を示している。図12の右側のパネルでは、2つのバー21が、軸線Aを中心として枢動し、2つの間隙26内にそれぞれ移動した。バー21が間隙26内に移動すると、バー21は、繊維積層体10,37の外面43に押圧力を加える。さらに、各バー21は、繊維積層体10,37を折り曲げて、各々の折曲げ部27を形成する。それによって、繊維積層体10,37は引っ張られる。
【0118】
さらに、昇降ジャッキ17によってマンドレル工具11の高さHが減少するとき、繊維積層体10,33(図10)を2つの上側のマンドレル部分13(図7)の間の間隙29内へ折り曲げることができる。特に、昇降ジャッキ17を使用して、上側のマンドレル部分13はゆっくりと下降する。これにより、上側のマンドレル部分13に配置された繊維積層体10は、重力により折り曲げられた形態(図示せず)で間隙29内にゆっくりと下降する。さらに、折り曲げられた形態(図示せず)で間隙29内に下降した繊維積層体10に作用する重力も、繊維積層体10を引っ張る。
【0119】
記載された折曲げプロセスおよび引張プロセスによって、マンドレル工具11のサイズの減少中に、繊維積層体10が望ましくない形で配置されかつ/または折り曲げられることを回避することができる。
【0120】
この方法のステップS5では、繊維積層体10は、マンドレル工具11の長手方向Lに沿って分布した幾つかのストラップ(図示せず)を使用することによって、マンドレル工具11に結束されている。ストラップ(図示せず)を適用する前に、繊維積層体10は、フォイル(図示せず)に包まれてよい。ステップS5により、続けてマンドレル工具11を互いに隣り合うブレードセクション8,9の内部に配置する間に、繊維積層体10をマンドレル工具11に固定しておくことができる。
【0121】
この方法のステップS6では、減少させられた断面サイズS(すなわち、減少させられた高さHおよび幅W)を有し、繊維積層体10を備えるマンドレル工具11は、外側のブレードセクション8(図2)などの第1のブレードセクションに部分的に挿入される。
【0122】
マンドレル工具11をブレードセクション8に挿入するプロセスも示す図9では、前縁側のマンドレル部分15、後縁側のマンドレル部分16およびバー21は、便宜上省略されていることに留意されたい。さらに、図9では、繊維積層体10およびウェブ要素30も、便宜上省略されている。
【0123】
特に、第1のブレードセクション8は、繊維強化樹脂を使用して製造されている。第1のブレードセクション8は、例えば、マンドレル工具11に繊維積層体10を事前に装着するステップS1と同時に製造されている。
【0124】
この例では、第1のブレードセクション8は、付け根端部45(図2)を備えているブレード3の内側のセクションである。しかしながら、マンドレル工具11は、最初にブレード3の外側のセクションに挿入することもできる。さらに、図示の例では、ブレード3は、2つの長さ方向セクション8,9から製造される。しかしながら、別の例では、ブレード3は、3つ以上の長さ方向ブレードセクションから製造することもできる。そのような場合、記載されたプロセスは、ブレードの互いに隣り合う2つのブレードセクションのいずれかを接合するために適用することができる。
【0125】
図2では、第1のブレードセクション8は整列治具46により所定の位置に固定されている。マンドレル工具11は、昇降工具47によって第1のブレードセクション8に挿入される。この例では、昇降工具47は、昇降トラックである。しかしながら、昇降工具は、例えばクレーンであってもよい。マンドレル工具11は、特に、図2に示すように、第1のブレードセクション8に部分的に挿入され、その結果、マンドレル工具11の部分48は、第1のブレードセクション8から突出している。
【0126】
この方法のステップS7では、ブレード3の第2のブレードセクション9が、第1のブレードセクション8に互いに隣り合うように配置される。特に、第2のブレードセクション9は、図2に示すように、第1のブレードセクション8に互いに隣り合うように配置されており、その結果、第2のブレードセクション9は、第1のブレードセクション8から突出するマンドレル工具11の部分48を収容する。第2のブレードセクション9は、整列治具49によって第1のブレードセクション8に互いに隣り合うように配置される。整列治具49は、例えばレール50上で第2のブレードセクション9を移動させることができるように取り付けられている。
【0127】
特に、第2のブレードセクション9は、繊維強化樹脂を使用して製造されている。第2のブレードセクション9は、例えば、マンドレル工具11に繊維積層体10を事前に装着するステップS1と同時に製造されている。
【0128】
この例では、第2のブレードセクション9は、外側のブレードセクションである。さらに、この例では、第2のブレードセクション9は、ブレード先端51を備える。しかしながら、第2のブレードセクション9が、内側のブレードセクションであってもよい。
【0129】
第2のブレードセクション9を第1のブレードセクション8に互いに隣り合うように配置するステップは、例えば、案内ロッド31(図9)を使用して、第2のブレードセクション9を第1のブレードセクション8に整列させるステップを含む。
【0130】
この方法のステップS8では、マンドレル工具11の断面サイズS(すなわち、マンドレル工具11の高さHおよび幅W)は、マンドレル工具11の初期サイズまで増大させられる。特に、昇降ジャッキ17および引込みロッド18が伸長し、その結果、上側のマンドレル部分13および後縁側のマンドレル部分16が、上側のマンドレル部分13および後縁側のマンドレル部分16の元の位置に移動する。
【0131】
バー21を使用することにより、間隙25,26内に折り曲げられた繊維積層体10は、マンドレル工具11のサイズを増大させる間ひいては繊維積層体10を間隙25,26から出るように広げる間に引っ張られる。さらに、重力により、上側の間隙29内に折り曲げられた繊維積層体10もまた、マンドレル工具11のサイズを増大させる間ひいては繊維積層体10を間隙29から出るように広げる間に引っ張られる。
【0132】
ステップS8の終わりに、ウェブ要素30の中間部分42は、ウェブ要素30の第1の部分40と第2の部分41との間に再配置される(図11)。
【0133】
マンドレル工具11を第1のブレードセクション8に挿入するステップ(ステップS6)、第2のブレードセクション9を第1のブレードセクション8に互いに隣り合うように配置するステップ(ステップS7)および/またはマンドレル工具11のサイズSを増大させるステップ(ステップS8)は、繊維積層体33,34,35,36,37とマンドレル工具11に配置されたウェブ要素30,30’(図10)とを第1のブレードセクション8と第2のブレードセクション9との対応する層に一致させるステップを含む。
【0134】
図13は、図2の平面位置Bに沿ったブレード3の一部の断面図を示す。図13に示されているのは、互いに隣り合って配置された第1のブレードセクション8および第2のブレードセクション9と、第1のブレードセクション8と第2のブレードセクション9との内部に配置された繊維積層体10とである。断面は、ブレード3の正圧側のビームと負圧側のビームとを通っている。図13の上側の部分では、第1のブレードセクション8の正圧側のビーム52と、繊維積層体10の正圧側のビーム接合部33と、第2のブレードセクション9の正圧側のビーム53とが断面で示されている。図13の下側の部分では、第1のブレードセクション8の負圧側のビーム54と、繊維積層体10の負圧側のビーム接合部34と、第2のブレードセクション9の負圧側のビーム55とが示されている。
【0135】
正圧側のビーム52,53の各々ならびに負圧側のビーム54,55の各々は、外向きに先細りにされた部分56,57,58,59を備える。第1のブレードセクション8および第2のブレードセクション9の、正圧側のビーム52,53の外向きに先細りにされた部分56,57は、共通の凹部60を形成する。繊維積層体10の正圧側のビーム接合部用の繊維積層体33は、共通の凹部60に配置される。同様に、第1のブレードセクション8および第2のブレードセクション9の、負圧側のビーム54,55の外向きに先細りにされた部分58,59は、共通の凹部61を形成する。繊維積層体10の負圧側のビーム接合部用の繊維積層体34は、共通の凹部61に配置される。
【0136】
この方法のステップS9では、繊維積層体10と、互いに隣り合う第1のブレードセクション8および第2のブレードセクション9とが、真空バッグ62,63で少なくとも部分的に覆われる。この例では、真空バッグ62は、マンドレル工具11の事前装着中にすでにステップS1で提供されている。ステップS9では、第2の真空バッグ63が、第1のブレードセクション8および第2のブレードセクション9の外面64,65に提供される。ステップS9では、真空バッグ62,63は、第1のブレードセクション8および第2のブレードセクション9の内面66,67と外面64,65との周りで密封される。図13は、正圧側のビーム接合部用の繊維積層体33および負圧側のビーム接合部用の繊維積層体34を覆う真空バッグ62,63のシーリングを示す。シーリングは、図13のシーリング点68によって概略的かつ例示的に示されている。真空バッグ62,63のシーリングは、シーリングテープまたは他のあらゆる適切な方法を適用することによって行うことができる。図13には示されていないが、真空バッグ62,63はまた、前縁側のビーム接合部用の繊維積層体35の周囲、後縁側のビーム接合部用の繊維積層体36の周囲、シェル接合部用の繊維積層体37の周囲およびウェブ要素30,30’の周囲で密閉される。
【0137】
次に、密閉された真空バッグ62,63によって画定された空洞69内に真空が発生させられる。さらに、樹脂70が空洞69に浸透する。図13は、樹脂70が空洞69を充填し始め、正圧側のビーム接合部用の繊維積層体33を埋め込み始めていることを示している。浸透プロセスの完了後、浸透した樹脂70は、マンドレル工具11に配置された繊維積層体10全体を完全に埋め込んでいる。その後、樹脂70を硬化させて、硬化した接合部分が得られる。図13では、参照符号71は、繊維積層体10(図13に示されているのは10の、33および34である)が、浸透して硬化した樹脂43に完全に埋め込まれたときに形成される硬化した接合部分を示す。
【0138】
硬化した接合部分71は、内部から2つのブレードセクション8,9を接合し、軽量であると同時に強力なブレードセクションの接合部を提供する。
【0139】
この方法のステップS10では、マンドレル工具11、すなわちマンドレル工具11の前縁部部分38およびマンドレル工具11の後縁部部分39が、ブレード3の付け根端部45を通して取り外される(図2)。
【0140】
本発明を好ましい実施形態に従って説明してきたが、全ての実施形態において変更が可能であることは当業者には明らかである。
図1
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