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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-28
(45)【発行日】2025-03-10
(54)【発明の名称】合金金属板及びこれを含む蒸着用マスク
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/04 20060101AFI20250303BHJP
   C22C 38/00 20060101ALI20250303BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20250303BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20250303BHJP
   H10K 71/16 20230101ALI20250303BHJP
   C22C 38/08 20060101ALN20250303BHJP
   C22C 38/60 20060101ALN20250303BHJP
【FI】
C23C14/04 A
C22C38/00 302R
H10K50/10
H10K59/10
H10K71/16
C22C38/08
C22C38/60
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023065574
(22)【出願日】2023-04-13
(62)【分割の表示】P 2021518143の分割
【原出願日】2019-11-06
(65)【公開番号】P2023106370
(43)【公開日】2023-08-01
【審査請求日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】10-2018-0142628
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0143405
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517099982
【氏名又は名称】エルジー イノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ヒョンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ガン,ウヨン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ダクフン
(72)【発明者】
【氏名】ペク,ジフン
【審査官】末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-125253(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0145762(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14,
C22C 38,
H10K 50,
H10K 59,
H10K 71
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄(Fe)-ニッケル(Ni)を含むOLED画素を蒸着するための蒸着用マスクの金属板において、
前記蒸着用マスクの金属板は、複数の結晶粒によって形成され、
前記蒸着用マスクの金属板全体面積において測定される結晶粒の最大面積は、660μm~700μm以下であり、
前記蒸着用マスクの金属板全体面積において測定される全体結晶粒のうち小さい結晶粒から測定した時、95%の結晶粒の最大面積は、60μm 以下であり、
前記蒸着用マスクの金属板全体面積において測定される結晶粒の最大粒子径は、30μm以下であり、
前記蒸着用マスクの金属板全体面積において測定される全体結晶粒のうち小さい結晶粒から測定した時、95%の結晶粒の最大粒子径は、9μm以下である、蒸着用マスクの金属板。
【請求項2】
前記蒸着用マスクの金属板全体面積において測定される結晶粒の最大面積は、680μm~700μmである、請求項1に記載の蒸着用マスクの金属板。
【請求項3】
前記蒸着用マスクの金属板全体面積において測定される結晶粒の最大粒子径は、25μm~30μmである、請求項に記載の蒸着用マスクの金属板。
【請求項4】
前記蒸着用マスクの金属板全体面積において測定される結晶粒の最大粒子径は、26μm~29μmである、請求項に記載の蒸着用マスクの金属板。
【請求項5】
前記複数の結晶粒の単位面積当たりの数量は、0.20ea/μm~0.25ea/μmである、請求項に記載の蒸着用マスクの金属板
【請求項6】
前記結晶粒の単位面積当たりの数量は、全体蒸着用マスクの金属板の表面のうち300μm*300μmの面積における全体結晶粒の数を測定した後、1μm*1μmの面積を単位面積と定義し、前記単位面積当たりの結晶粒の数を測定する、請求項に記載の蒸着用マスクの金属板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施例は、鉄(Fe)‐ニッケル(Ni)合金金属板及び前記合金金属板によって製造されるO
LED画素を蒸着するための蒸着用マスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示装置は、多様なデバイスに適用されて使用されている。例えば、表示装置は、スマ
ートフォン、タブレットPC等のような小型デバイスのみならず、TV、モニター、パブ
リックディスプレイ(PD(Public Display))等のような大型デバイスに適用されて利用され
ている。特に、最近では、略500PPI(Pixel Per Inch)級以上の超高解像度のUHD(Ul
tra High Definition)に対する需要が増えており、高解像度の表示装置が小型デバイス及
び大型デバイスに適用されている。よって、低電力及び高解像度を具現するための技術に
対する関心が高まっている。
【0003】
一般的に使用される表示装置は、駆動方法によって大きくLCD(Liquid Crystal Disp
lay)及びOLED(Organic Light Emitting Diode)等に区分される。
【0004】
LCDは、液晶(Liquid Crystal)を利用して駆動される表示装置として、前記液晶の下
部にはCCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)またはLED(Light Emitting Diode)
等を含む光源が配置される構造を有し、前記光源の上に配置される前記液晶を利用して、
前記光源から放出される光の量を調節して駆動される表示装置である。
【0005】
また、OLEDは、有機物を利用して駆動される表示装置として、別途の光源が必要と
せず、有機物そのものが光源の役割をして低電力で駆動される。また、OLEDは、無限
の明暗比を表現することができ、LCDより略1000倍以上の速い応答速度を有し、視
野角が優れるので、LCDを代替できる表示装置として注目されている。
【0006】
特に、OLEDにおいて発光層に含まれた前記有機物は、ファインメタルマスク(FMM(F
ine Metal Mask))と呼ばれる蒸着用マスクよって基板上に蒸着され、蒸着された前記有機
物は、前記蒸着用マスクに形成されたパターンと対応するパターンに形成されて画素の役
割をすることができる。具体的に、前記蒸着用マスクは、画素パターンと対応する位置に
形成される貫通ホールを含み、赤色(Red)、緑色(Green)及び青色(Blue)有機物を前記貫通
ホールを通過させて基板上に蒸着することができる。これによって、前記基板上に画素パ
ターンを形成することができる。
【0007】
前記蒸着用マスクは、鉄(Fe)及びニッケル(Ni)合金からなった金属板で製造することが
できる。例えば、前記蒸着用マスクは、インバー(invar)と呼ばれる鉄‐ニッケル合金で
製造することができる。前記蒸着用マスクは、上述したように有機物蒸着のための貫通ホ
ールを含むことができ、前記貫通ホールは、エッチング工程により形成することができる
【0008】
一方、金属板の表面に貫通ホールを形成する前に、酸性系のエッチング液を利用して金
属板の表面をエッチングすることで、金属板表面に残留する異物、サビ等の不純物を除去
する表面処理工程が行われる。
このような表面処理工程によって金属板の表面がエッチングされることで、前記不純物
が除去される。
この時、前記金属板の表面が均一にエッチングされない場合、金属板の表面に多数のピ
ット(pit)等が生じる窪み現象が発生する可能性がある。このような窪み現象は、ピット
の深さが大きくなるほど貫通ホール形成時の不良を引き起こすことになる。
【0009】
よって、前記金属板の表面に形成される貫通ホールの粒子径、形状及び深さ等の特性が
不均一な問題があり、これにより、前記貫通ホールを通過する有機物の量が減少して蒸着
効率が低下する問題点がある。また、前記基板上に蒸着される有機物も不均一となって蒸
着不良が発生する問題がある。
【0010】
よって、上記のような問題を解決できる新たな合金金属板及びこれを含む蒸着用マスク
が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
実施例は、金属板の表面ピットを減少させ、その深さを制御して金属板により製造され
る蒸着用マスクの効率を向上させることができる鉄及びニッケル合金金属板及びこれによ
って製造されるOLED画素を蒸着するための蒸着用マスクを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
実施例に係る合金金属板は、合金金属板の(111)面に対する回折強度をI(111)、
前記合金金属板の(200)面に対する回折強度をI(200)、前記合金金属板の(220)
面に対する回折強度をI(220)と定義し、前記I(200)の回折強度の比率を下記数式
1で定義し、前記I(220)の回折強度の比率を下記数式2で定義し、この時、前記Aは
、0.5~0.6であり、前記Bは、0.3~0.5であり、前記A値はB値より大きい

[数式1]
A=I(200)/{I(200)+I(220)+I(111)}
前記I(220)の回折強度の比率を下記数式2で定義し、
[数式2]
B=I(220)/{I(200)+I(220)+I(111)}
【0013】
また、実施例に係るOLED画素を蒸着するための蒸着用マスクの鉄(Fe)-ニッケ
ル(Ni)合金金属板において、前記金属板は、複数の結晶粒によって形成され、前記金
属板の全体面積において測定される結晶粒の最大面積は、700μm以下である。
【0014】
実施例に係るOLED画素を蒸着するための蒸着用マスクの鉄(Fe)-ニッケル(N
i)合金金属板において、前記金属板全体面積において測定される全体結晶粒のうち小さ
い結晶粒から測定した時、95%の結晶粒の最大面積は、60μm以下である。
【0015】
実施例に係るOLED画素を蒸着するための蒸着用マスクの鉄(Fe)-ニッケル(N
i)合金金属板において、前記金属板の全体面積において測定される結晶粒の最大粒子径
は、30μm以下である。
【0016】
実施例に係るOLED画素を蒸着するための蒸着用マスクの鉄(Fe)-ニッケル(N
i)合金金属板において、前記金属板全体面積において測定される全体結晶粒のうち小さ
い結晶粒から測定した時、95%の結晶粒の最大粒子径は、9μm以下である。
【0017】
実施例に係るOLED画素を蒸着するための蒸着用マスクの鉄(Fe)-ニッケル(N
i)合金金属板において、前記複数の結晶粒の単位面積当たりの数量は、0.20ea/
μm~0.25ea/μmである。
【発明の効果】
【0018】
実施例に係る金属板は、金属板が含む結晶面のそれぞれの比率を制御することで、エッ
チング方向に応じたエッチング速度の差を最小化することができる。
これによって、金属板をエッチングする時、原子密度が大きい結晶面と原子密度が小さ
い結晶面とでエッチング速度が異なり、これによるエッチング不均一による表面不良、即
ち、ピットの発生及びピットの深さが深くなることを最小化することができる。
【0019】
また、実施例に係るニッケル及び鉄合金金属板は、結晶粒の面積、粒子径及び大きさを
制御して、表面処理後に発生するピットの数を減らすことができる。
具体的に、結晶粒の最大面積を700μm以下に制御し、結晶粒の粒子径を30μm
以下に制御することができる。また、結晶粒の大きさを最小化して単位面積当たりの結晶
粒の数を増やすことができる。
即ち、結晶粒の最大面積及び粒子径を一定大きさ以下に制御することで、結晶粒によっ
て形成される表面の結晶粒の密度が増加し、これによって、表面処理のエッチング工程中
に発生する表面の溝、即ち、ピットの形成を最小化することができる。
よって、前記金属板を利用して蒸着用マスクを製造する時、金属板に形成される貫通ホ
ールの粒子径、形状及び深さ等の特性を均一にすることができ、これによって、前記蒸着
用マスクの蒸着効率を向上させ、蒸着不良を防止することができる
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、第1実施例に係る金属板の断面図を示した図面である。
図2図2は、第1実施例に係る金属板のX線回折強度を示したグラフである。
図3図3は、第2実施例に係る金属板表面の走査電子顕微鏡(SEM)写真を示した図面である。
図4図4は、第2実施例に係る金属板表面の走査電子顕微鏡(SEM)写真を示した図面である。
図5図5は、比較例に係る金属板表面の走査電子顕微鏡(SEM)写真を示した図面である。
図6図6は、比較例に係る金属板表面の走査電子顕微鏡(SEM)写真を示した図面である。
図7図7は、第2実施例に係る表面処理された金属板表面の走査電子顕微鏡(SEM)写真を示した図面である。
図8図8は、比較例に係る表面処理された金属板表面の走査電子顕微鏡(SEM)写真を示した図面である。
図9図9は、第2実施例及び比較例に係る金属板の結晶粒の面積によるグラフを示した図面である。
図10図10は、第2実施例及び比較例に係る金属板の結晶粒の面積によるグラフを示した図面である。
図11図11は、第2実施例及び比較例に係る金属板の結晶粒の粒子径によるグラフを示した図面である。
図12図12は、第2実施例及び比較例に係る金属板の結晶粒の粒子径によるグラフを示した図面である。
図13図13は、第2実施例及び比較例に係る金属板の結晶粒の数によるグラフを示した図面である。
図14図14は、実施例に係る金属板で製造される蒸着用マスクを使用して基板上に有機物質を蒸着する工程を説明するための概念図である。
図15図15は、実施例に係る金属板で製造される蒸着用マスクを使用して基板上に有機物質を蒸着する工程を説明するための概念図である。
図16図16は、実施例に係る金属板で製造される蒸着用マスクを使用して基板上に有機物質を蒸着する工程を説明するための概念図である。
図17図17は、実施例に係る蒸着用マスクの平面図を示した図面である。
図18図18は、実施例に係る蒸着用マスクの有効部の平面図を示した図面である。
図19図19は、実施例に係る蒸着用マスクの別の平面図を示した図面である。
図20図20は、図18のA-A’断面図及びB-B’断面図を重ねて示した図面である。
図21図21は、図18のB-B’方向における断面図を示した図面である。
図22図22は、実施例に係る蒸着用マスクの製造工程を示した図面である。
図23図23は、実施例に係る蒸着用マスクによって形成される蒸着パターンを示す図面である。
図24図24は、実施例に係る蒸着用マスクによって形成される蒸着パターンを示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。なお、本
発明の技術思想は、説明される一部実施例に限定されるものではなく、多様な形態に具現
することができ、本発明の技術思想の範囲内であれば、実施例間の構成要素を選択的に結
合または置き換えて用いることができる。
【0022】
また、本発明の実施例で用いられる用語(技術及び科学的用語を含む)は、明白に特定し
て記述されない限り、本発明が属する技術分野で通常の知識を有した者に一般的に理解で
きる意味と解釈され、辞書に定義された用語のように一般的に使用される用語は、かかわ
る技術の文脈上の意味を考慮してその意味を解釈できるだろう。
【0023】
また、本発明の実施例で用いられる用語は、実施例を説明するためのものであり、本発
明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は、記載上特に限定しな
い限り複数形も含むことができ、「A及びB、Cのうち少なくとも1つ(または1つ以上)
」と記載される場合、A、B、Cで組合せることのできる全ての組合せのうち1つ以上を
含むことができる。
【0024】
また、本発明の実施例の構成要素の説明において、第1、第2、A、B、(a)、(b)等
の用語を用いることができる。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別す
るためのものであり、その用語によって当該構成要素の本質または順序等が限定されるも
のではない。
【0025】
そして、ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記
載された場合、その構成要素は他の構成要素に直接的に連結または接続される場合と、各
構成要素の間にさらに他の構成要素が「連結」、「結合」または「接続」される場合を全
て含む。
【0026】
また、各構成要素の「上または下」に形成または配置されると記載される場合、「上ま
たは下」は、2つの構成要素が直接接触する場合だけではなく、1つ以上のさらに他の構
成要素が2つの構成要素の間に形成または配置される場合も含む。また「上または下」と
表現される場合、1つの構成要素を基準として、上側方向だけではなく下側方向の意味も
含むことができる。
【0027】
以下、図面を参照して、実施例に係る鉄(Fe)‐ニッケル(Ni)合金金属板及びこれを利用
したOLED画素を蒸着するための蒸着用マスクを説明する。
【0028】
まず、図1及び図2を参照して、第1実施例に係る蒸着用マスクを説明する。
【0029】
図1は、第1実施例に係る合金金属板の断面図を示した図面である。
【0030】
前記金属板10は、金属物質を含むことができる。例えば、前記金属板10は、ニッケ
ル(Ni)合金を含むことができる。具体的に、前記金属板10は、鉄(Fe)とニッケ
ル(Ni)合金を含むことができる。
【0031】
例えば、前記金属板10には、前記鉄が略60重量%~略65重量%だけ含まれ、前記
ニッケルは略35重量%~略40重量%だけ含まれる。具体的に、前記金属板10には、
前記鉄が略63.5重量%~略64.5重量%だけ含まれ、前記ニッケルは略35.5重
量%~略36.5重量%だけ含まれる。
【0032】
前記金属板10の重量%は、前記金属板10の平面上で特定領域(a*b)を選択して、
前記金属板10の厚さtに該当する試片(a*b*t)をサンプリングして強酸等に溶かし
て各成分の重量%を調査する方法を利用して確認することができる。なお、実施例はこれ
に制限されるものではなく、多様な方法で含有量を確認することができる。
【0033】
また、前記金属板10は、少量の炭素(C)、ケイ素(Si)、硫黄(S)、リン(P
)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、銅(Cu)、銀(Ag)、
バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、インジウム(In)、アンチモン(Sb)のうち少
なくとも1つ以上の元素をさらに含むことができる。ここで、少量は、1重量%以下を意
味することができる。即ち、前記金属板10は、インバー(Invar)を含むことができる。
【0034】
前記インバーは、鉄及びニッケルを含む合金として、熱膨張係数が0に近い低熱膨張合
金である。前記インバーは、熱膨張係数が非常に小さいので、マスク等のような精密部品
、精密機器に利用されている。よって、前記金属板10を利用して製造される蒸着用マス
クは、向上した信頼性を有することができるので、変形を防止することができ、寿命も増
加させることができる。
【0035】
前記鉄及びニッケル合金を含む金属板10は、冷間圧延方式で製造することができる。
具体的に、前記金属板10は、溶解、鍛造、熱間圧延、焼ならし、1次冷間圧延、1次ア
ニーリング、2次冷間圧延及び2次アニーリング工程を通じて形成することができ、30
μm以下の厚さを有することができる。または、前記工程以外にさらなる厚さ減少工程を
通じて30μm以下の厚さを有することができる。
【0036】
一方、前記金属板10は、四角形形態を有することができる。具体的に、前記金属板1
0は、長軸及び短軸を有する長方形形態を有することができ、略30μm以下の厚さを有
することができる。
【0037】
先述したように、前記金属板10は、鉄及びニッケルを含む合金を含み、鉄及びニッケ
ルを含む合金の場合、面心立方構造(Face centered cubic、FCC)の結晶構造を有すること
ができる。
【0038】
前記面心立方構造の場合、各面毎に異なる原子密度を有することができる。即ち、前記
金属板10は、各結晶面毎に異なる原子密度を有することができる。具体的に、いずれか
1つの結晶面は、他の結晶面より大きいまたは小さい原子密度を有することができる。
【0039】
これにより、前記金属板10がエッチングされる時、それぞれの結晶面方向に応じてエ
ッチング速度が異なってくる。このような結晶面方向に応じたエッチング速度の差によっ
て、金属板を表面処理する時、金属板の表面が不均一にエッチングされ、これにより、金
属板の表面処理後、図1のように金属板の表面(S)に多数の溝、即ち、ピット(P)が
発生することがある。
【0040】
上記のような問題を解決するために、実施例に係る金属板は、金属板の複数の結晶面の
比率を制御することで、不均一なエッチングによるピット等を減らすことができる。
【0041】
図2は、第1実施例に係る金属板のX線回折強度を測定して図示したグラフである。具
体的に、CuKαX-Rayを利用して鉄及びニッケル合金の金属板の(111)、(20
0)、(220)面に対して回折強度をそれぞれ測定した。
【0042】
図2を参照すると、第1実施例に係る金属板の(111)面、(200)面及び(220)面
のピーク値は、全て異なることが分かる。
【0043】
具体的に、第1実施例に係る金属板10のピーク値は、(200)面が一番大きく、(2
20)面が2番目に大きく、(111)面が一番小さいことが分かる。
【0044】
即ち、第1実施例に係る金属板10は、(200)面が(220)面及び(111)面より大
きく、(220)面が(111)面より大きいことが分かる。
【0045】
具体的に、前記金属板10の(220)面に対する回折強度はI(220)、前記金属板の
(200)面に対する回折強度はI(200)、前記金属板の(111)面に対する回折強度を
I(111)と定義することができる。
【0046】
この時、前記I(200)の回折強度の比率は、下記数式1で定義することができる。
[数式1]
A=I(200)/{I(200)+I(220)+I(111)}
また、前記I(220)の回折強度の比率は、下記数式2で定義することができる。
[数式2]
B=I(220)/{I(200)+I(220)+I(111)}
【0047】
この時、前記A値はB値以上であってもよい。具体的に、前記A値はB値より大きい。
【0048】
具体的に、前記Aは、0.6以下であり、前記Bは、0.5以下であってもよい。より
具体的に、前記Aは、0.5~0.6であり、前記Bは、0.3~0.5であってもよい
【0049】
また、前記AとBの比(A/B)は1~2であってもよい。即ち、A値の大きさはB値よ
り大きく、B値の2倍未満であってもよい。
【0050】
また、前記(111)面、前記(200)面及び前記(220)面の方向は、前記金属板のエ
ッチング方向と対応することができる。
前記金属板の結晶面であるI(220)、I(200)及びI(111)の回折強度の比率は
、金属板の表面に形成されるピットの数及びピットの深さと関係がある。
具体的に、前記金属板の結晶面であるI(220)、I(200)及びI(111)の回折強
度の比率を満足する時、金属板の表面に形成されるピットの数を減らすことができ、ピッ
トの深さを小さくすることができる。
具体的に、前記鉄及びニッケル合金の金属板は、多様な方向の結晶面を有することがで
き、この時、(220)結晶面、(200)結晶面及び(111)結晶面の比率が最も大きい。
この時、前記金属板の前記(220)結晶面、(200)結晶面及び(111)結晶面の大き
さが異なり、これにより、それぞれの結晶面の原子の原子密度も異なる。
これによって、金属板をエッチングする時、原子密度が大きい結晶面と原子密度が小さ
い結晶面とでエッチング速度が異なり、これによって、エッチング不均一によるピットが
発生する可能性がある。
【0051】
よって、金属板の結晶面が全て同じ結晶方向を有することが最も理想的であるが、これ
は工程上不可能であるので、それぞれの結晶面の比率を制御することが重要である。
【0052】
即ち、第1実施例に係る金属板は、それぞれの結晶面の比率を理想的に制御することで
、エッチング方向に応じたエッチング速度の差を最小化することで、エッチング不均一に
よる表面不良、即ち、ピットの発生及びピットの深さが深くなることを最小化することが
できる。
【0053】
これにより、前記金属板を利用して蒸着用マスクを製造する時、金属板に形成される貫
通ホールの直径、形状及び深さ等の特性を均一にすることができ、これによって、前記蒸
着用マスクの蒸着効率を向上させ、蒸着不良を防止することができる。
【0054】
以下、実施例及び比較例に係る金属板を通じて、本発明をより詳しく説明する。このよ
うな製造例は、本発明をより詳しく説明するために例示として提示したものに過ぎない。
よって、本発明がこのような製造例に限定されるものではない。
【0055】
<合金金属板の製造及び表面の測定>
鉄-ニッケル合金で形成される合金金属板を用意した。
続いて、前記合金金属板の(220)結晶面、(200)結晶面及び(111)結晶面の回折
強度の比率を下記表1のように制御した後、それぞれの例においてピットの深さ及び貫通
ホールの形成後不良の有無を測定した。
一方、前記合金金属板の(220)結晶面、(200)結晶面及び(111)結晶面の比率の
制御は、合金金属板の製造工程のうち冷間圧延工程で制御される。
続いて、前記合金金属板の(111)面に対する回折強度をI(111)、前記合金金属板
の(200)面に対する回折強度をI(200)、前記合金金属板の(220)面に対する回折
強度をI(220)と定義し、前記I(200)の回折強度の比率を下記数式1で定義し、前
記I(220)の回折強度の比率を下記数式2で定義し、I(200)及びI(220)の回折
強度の比率を測定した。
続いて、合金金属板の表面を酸性系のエッチング液を利用して表面処理を実施した。
続いて、合金金属板の表面に形成されるピットの深さの測定及び貫通ホールの形成後エ
ッチング不良の有無を観察した。
【0056】
エッチング不良の有無は、正常貫通ホールの大きさに比べて10%以上の大きさを有す
る場合を不良と測定した。
[数式1]
A=I(200)/{I(200)+I(220)+I(111)}
[数式2]
B=I(220)/{I(200)+I(220)+I(111)}
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
表1及び表2を参照すると、実施例に係る合金金属板は、Aが0.5~0.6の範囲を
満足し、Bは0.3~0.5の範囲を満足し、A/Bは1乃至2の範囲を満足することが
分かる。
【0060】
反面、比較例に係る合金金属板は、前記A、B及びA/Bのうち少なくとも1つを満足
できないことが分かる。
【0061】
また、実施例に係る合金金属板は、表面処理後形成されるピットの深さが2μm以下で
あることが分かる。これによって、金属板に貫通ホールを形成する時金属板表面に形成さ
れるピットによる影響が微小となり、貫通ホールの品質を向上させることが分かる。
【0062】
反面、比較例に係る合金金属板は、表面処理後形成されるピットの深さが2μmを超過
することが分かる。ピットの深さが2μmを超過する場合、小面積孔の高さH1よりピッ
トが大きくなるか、類似するように形成されて、ピットによる貫通ホールの影響が大きく
なる。これによって、金属板に貫通ホールを形成する時金属板表面に形成されるピットに
よる影響が増加して、貫通ホールの品質を低下させることが分かる。
【0063】
以下、図1図3及び図13を参照して、第2実施例に係る蒸着用マスクを説明する。
第2実施例に係る蒸着用マスクに対する説明では、先述した第1実施例に係る蒸着用マス
クと同一または類似する説明に対しては説明を省略し、同じ構成に対しては同じ図面符号
を付与する。
【0064】
前記金属板10は、先述したように、鉄及びニッケル等複数の金属を含む合金金属を含
むことができる。
【0065】
前記金属板10は、複数の金属を構成する複数の結晶粒が相互接触して形成される。
【0066】
このような複数の結晶粒は、相互異なる大きさを有することができる。具体的に、前記
複数の結晶粒は、相互異なる面積を有することができる。また、前記複数の結晶粒は、相
互異なる粒子径を有することができる。また、前記複数の結晶粒は、相互異なる形状を有
することができる。また、前記複数の結晶粒は、相互異なる形状及び大きさで形成される
ことで、単位面積当たりの結晶粒の数量も異なってくる。
【0067】
このような結晶粒の形状または大きさは、金属板10の表面品質につながる。前記金属
板10を利用して蒸着用マスクを製造する時、貫通ホールを形成する前に前記金属板10
の表面の不純物を除去するために、酸性系のエッチング液を通じてエッチング工程が行わ
れる。
【0068】
この時、前記金属板10の表面毎に異なる形状または大きさの結晶粒が分布することで
、表面処理工程中金属板10の表面には表面が窪む溝が形成される。このような溝をピッ
ト(pit)が形成されるといい、このようなピットは、以後の貫通ホール形成工程でエッチ
ング品質を低下させる要因となり得る。
【0069】
具体的に、金属板10の表面毎に結晶粒が高密度で集まっている第1領域と、前記第1
領域に比べて結晶粒が低密度で集まっている第2領域が存在し得る。
この時、前記第2領域の場合、第1領域に比べて表面処理工程中エッチング速度が増加
してより多くエッチングされ、これにより、金属板10の表面にピット等が発生する。
【0070】
上記のような問題を解決するために、第2実施例に係る金属板は、金属板を形成する結
晶粒の面積、粒子径及び大きさを制御して、不均一なエッチングによるピットの発生を減
らすことを目的とする。
具体的に、第2実施例に係る金属板は、金属板を形成する複数の結晶粒の面積、粒子径
及び単位面積当たりの結晶粒の数が制御される。
【0071】
<金属板の結晶粒の面積の制御>
まず、図9及び図10を参照して、実施例に係る金属板10を形成する複数の結晶粒の
面積を制御して表面ピットを減らすことを説明する。
【0072】
一方、図3、4及び7は、第2実施例に係る金属板の表面処理前後の写真を示した図面
であり、図5、6及び8は、実施例に係る金属板と比較するための比較例に係る金属板の
表面処理前後の写真を示した図面である。
【0073】
第2実施例に係る金属板10は、複数の結晶粒の面積が一定大きさに制御される。この
ような結晶粒の面積の制御は、合金金属板の製造工程のうち冷間圧延工程で制御される。
【0074】
この時、結晶粒の面積は、EBSD(Electron Backscattered Diffraction)を利用して
測定することができる。前記EBSD装備によって、図4及び図6の太線枠の領域の大き
さを測定して、結晶粒のそれぞれの面積を測定することができる。
【0075】
図9を参照すると、第2実施例に係る金属板10の結晶粒の最大面積は、700μm
以下であり、金属板の全体結晶粒のうち95%の結晶粒の最大面積が60μm以下を有
することができる。
【0076】
即ち、金属板10の全体面積で測定した結晶粒の最大面積は、700μm以下を有す
ることができ、金属板の全体面積において全体結晶粒のうち小さい面積の結晶粒から測定
した時、95%の結晶粒の最大面積は、60μm以下を有することができる。
【0077】
具体的に、金属板10の全体面積で測定した結晶粒の最大面積は、660μm~70
0μmを有することができる、より具体的に、金属板10の全体面積で測定した結晶粒
の最大面積は、680μm~700μmを有することができる。
【0078】
一方、図10を参照すると、比較例に係る金属板10の結晶粒の最大面積は1500μ
以下であり、金属板の全体結晶粒のうち95%の結晶粒の最大面積が95μm以下
を有することができる。
【0079】
即ち、金属板10の全体面積で測定した結晶粒の最大面積は1500μm以下を有す
ることができ、金属板の全体面積において全体結晶粒のうち小さい面積の結晶粒から測定
した時、95%の結晶粒の最大面積は95μm以下を有することができる。
【0080】
具体的に、第2実施例と比較例に係る結晶粒の最大、最小及び平均大きさ等は、表3の
ようである。
【0081】
【表3】
【0082】
図3、4及び7を参照すると、第2実施例に係る金属板の場合、表面処理後金属板の表
面で発生するピットの数が少なく、ピットのサイズが小さいことが分かる。
【0083】
反面、図5、6及び8を参照すると、比較例に係る金属板の場合、表面処理後金属板の
表面で発生するピットの数が実施例に比べて増加し、形成されるピットのサイズも実施例
に比べて大きくなることが分かる。
【0084】
即ち、図9及び10を参照すると、比較例に係る金属板において、結晶粒の面積が70
0μmを超過する領域からピットの数が急激に増加し、ピットの大きさが増加すること
が分かる。
【0085】
即ち、図10において結晶粒の面積が700μmを超過する領域は、ピットが多数発
生する領域であることが分かる。
【0086】
<金属板の結晶粒の粒子径の制御>
続いて、図11及び図12を参照して、第2実施例に係る金属板10を形成する複数の
結晶粒の粒子径を制御して表面ピットを減らすことを説明する。
【0087】
一方、図3、4及び7は、実施例に係る金属板の表面処理前後の写真を示した図面であ
り、図5、6及び8は、実施例に係る金属板と比較するための比較例に係る金属板の表面
処理前後の写真を示した図面である。
【0088】
第2実施例に係る金属板10は、複数の結晶粒の粒子径が一定の大きさに制御される。
このような結晶粒の直径の制御は、合金金属板の製造工程のうち冷間圧延工程で制御され
る。
【0089】
この時、結晶粒の粒子径は、先述した結晶粒の面積を通じて間接的に測定することがで
きる。具体的に、結晶粒の面積は、EBSD(Electron Backscattered Diffraction)を利
用して、図4及び図6の太線枠の領域の大きさを測定して、結晶粒のそれぞれの面積を測
定することができる。
【0090】
また、結晶粒の粒子径は、下記数式によって測定することができる。
[数式]
【0091】
具体的に、第2実施例と比較例に係る結晶粒の最大、最小及び平均大きさ等は、表4の
ようである。
【0092】
【表4】
【0093】
図11を参照すると、第2実施例に係る金属板10の結晶粒の最大粒子径は、30μm
以下であり、金属板の全体結晶粒のうち95%の結晶粒の最大粒子径は、9μm以下を有
することができる。
【0094】
即ち、金属板10の全体面積で測定した結晶粒の最大粒子径は、30μm以下を有する
ことができ、金属板の全体面積において全体結晶粒のうち粒子径が小さい結晶粒から測定
した時、95%の結晶粒の最大粒子径は、9μm以下を有することができる。
【0095】
金属板10の全体面積で測定した結晶粒の最大粒子径は25μm~30μmを有するこ
とができる。より具体的に、金属板10の全体面積で測定した結晶粒の最大粒子径は26
μm~29μmを有することができる。
【0096】
一方、図12を参照すると、比較例に係る金属板10の結晶粒の最大粒子径は44μm
以下であり、金属板の全体結晶粒のうち95%の結晶粒の最大粒子径は11μm以下を有
することができる。
【0097】
即ち、金属板10の全体面積で測定した結晶粒の最大粒子径は44μm以下を有するこ
とができ、金属板の全体面積において全体結晶粒のうち粒子径が小さい結晶粒から測定し
た時、95%の結晶粒の最大粒子径は11μm以下を有することができる。
【0098】
図3、4及び7を参照すると、第2実施例に係る金属板の場合、表面処理後金属板の表
面で発生するピットの数が少なく、ピットのサイズが小さいことが分かる。
【0099】
反面、図5、6及び8を参照すると、比較例に係る金属板の場合、表面処理後金属板の
表面で発生するピットの数が実施例に比べて増加し、形成されるピットのサイズも実施例
に比べて大きくなることが分かる。
【0100】
即ち、図11及び12を参照すると、比較例に係る金属板において結晶粒の粒子径が3
0μmを超過する領域からピットの数が急激に増加し、ピットの大きさが増加することが
分かる。
【0101】
即ち、図11において結晶粒の粒子径が30μmを超過する領域は、ピットが多数発生
する領域であることが分かる。
【0102】
<単位面積当たりの金属板の結晶粒の数量の制御>
続いて、図13を参照して、第2実施例に係る金属板10を形成する複数の結晶粒の単
位面積当たりの数量を制御して表面ピットを減らすことを説明する。
【0103】
一方、図3、4及び7は、第2実施例に係る金属板の表面処理前後の写真を示した図面
であり、図5、6及び8は、第2実施例に係る金属板と比較するための比較例に係る金属
板の表面処理前後の写真を示した図面である。
【0104】
第2実施例に係る金属板10は、複数の結晶粒の単位面積当たりの数量が一定の大きさ
に制御される。
この時、結晶粒の単位面積当たりの数量は、全体金属板の表面のうち300μm*30
0μmの面積における全体結晶粒の数を測定した後、1μm*1μmの面積を単位面積と
定義し、前記単位面積当たりの結晶粒の数を測定した。
具体的に、第2実施例と比較例に係る結晶粒の全体数量及び単位面積当たりの数量は、
表5のようである。
【0105】
【表5】
【0106】
表5を参照すると、第2実施例に係る金属板の結晶粒の単位面積当たりの数量は、比較
例に係る金属板の結晶粒の単位面積当たりの数量に比べて大きいことが分かる。
【0107】
即ち、単位面積当たりの結晶粒の数量が大きいということは、結晶粒の面積が小さいも
のが多く分布しているということを意味することができる。即ち、第2実施例に係る金属
板の結晶粒は、比較例に係る金属板の結晶粒に比べて小さい結晶粒がより多く分布してい
ることが分かる。
【0108】
図3、4及び7を参照すると、第2実施例に係る金属板の場合、表面処理後金属板の表
面で発生するピットの数が少なく、ピットのサイズが小さいことが分かる。
【0109】
反面、図5、6及び8を参照すると、比較例に係る金属板の場合、表面処理後金属板の
表面で発生するピットの数が第2実施例に比べて増加し、形成されるピットのサイズも第
2実施例に比べて大きくなることが分かる。
【0110】
即ち、図13を参照すると、比較例に係る金属板において結晶粒の粒子径が大きいほど
ピットの数が増加し、ピットの大きさが増加することが分かる。
【0111】
第2実施例に係るニッケル及び鉄合金金属板は、結晶粒の面積、粒子径及び大きさを制
御して、表面処理後に発生するピットの数を減らすことができる。
具体的に、結晶粒の最大面積を700μm以下に制御し、結晶粒の最大粒子径を30
μm以下に制御することができる。また、結晶粒の大きさを最小化して単位面積当たりの
結晶粒の数を増やすことができる。
即ち、結晶粒の最大面積及び粒子径を一定の大きさ以下に制御することで、結晶粒によ
って形成される表面の結晶粒の密度または緻密度が増加し、これによって、表面処理のエ
ッチング工程中に発生する表面の溝、即ち、ピットの形成を最小化することができる。
よって、前記金属板を利用して蒸着用マスクを製造する時、金属板に形成される貫通ホ
ールの粒子径、形状及び深さ等の特性を均一にすることができ、これによって、前記蒸着
用マスクの蒸着効率を向上させ、蒸着不良を防止することができる。
【0112】
一方、先述した実施例に係る蒸着用マスク100は、上述した金属板10で製造するこ
とができる。以下、図面を参照して実施例に係る蒸着用マスク100を説明する。
【0113】
図14図16は、実施例に係る蒸着用マスク100を利用して基板300の上に有機
物質を蒸着する工程を説明するための概念図である。
【0114】
図14は、実施例に係る蒸着用マスク100が含まれた有機物蒸着装置を示した図面で
あり、図15は、実施例に係る蒸着用マスク100がマスクフレーム200の上に架設さ
れるために引張されることを示した図面である。また、図16は、前記蒸着用マスク10
0の複数の貫通ホールを通じて前記基板300の上に複数の蒸着パターンが形成されるこ
とを示した図面である。
【0115】
図14図16を参照すると、有機物蒸着装置は、蒸着用マスク100、マスクフレー
ム200、基板300、有機物蒸着容器400及び真空チャンバー500を含むことがで
きる。
【0116】
前記蒸着用マスク100は、金属を含むことができる。例えば、前記蒸着用マスク10
0は、上述した金属板10と同じ組成を有することができる。具体的に、前記蒸着用マス
ク100は、鉄(Fe)及びニッケル(Ni)を含むインバー(invar)であってもよい。
より具体的に、前記蒸着用マスク100は、鉄(Fe)を略63.5重量%~略64.5重量
%だけ含み、ニッケル(Ni)を略35.5重量%~略36.5重量%だけ含むインバー(Inv
ar)を含むことができる。
【0117】
前記蒸着用マスク100は、蒸着のための有効部を含むことができ、前記有効部は、複
数の貫通ホールTHを含むことができる。前記蒸着用マスク100は、複数の貫通ホール
THを含む蒸着用マスク用基板であってもよい。この時、前記貫通ホールは、基板上に形
成されるパターンと対応するように形成されてもよい。前記貫通ホールTHは、前記有効
部の中心に位置する有効領域のみならず、前記有効部の外縁に位置して前記有効領域を取
り囲む外縁領域にも形成される。前記蒸着用マスク100は、蒸着領域を含む前記有効部
以外の非有効部を含むことができる。前記非有効部には、前記貫通ホールが位置しなくて
もよい。
【0118】
前記マスクフレーム200は、開口部を含むことができる。前記蒸着用マスク100の
複数の貫通ホールは、前記開口部と対応する領域上に配置される。よって、前記有機物蒸
着容器400に供給される有機物質が前記基板300の上に蒸着される。前記蒸着用マス
ク100は、前記マスクフレーム200の上に配置されて固定される。例えば、前記蒸着
用マスク100は、一定な引張力で引張して前記マスクフレーム200の上に溶接して固
定することができる。
【0119】
前記蒸着用マスク100は、前記蒸着用マスク100の最外縁に配置されたエッジから
相互反対となる方向に引張される。前記蒸着用マスク100は、前記蒸着用マスク100
の長さ方向に、前記蒸着用マスク100の一端及び前記一端と反対となる他端が相互反対
となる方向に引っ張られる。前記蒸着用マスク100の一端と前記他端は、対向して平行
するように配置されてもよい。
【0120】
前記蒸着用マスク100の一端は、前記蒸着用マスク100の最外縁に配置された4つ
の側面をなす端部のうちいずれか1つであってもよい。例えば、前記蒸着用マスク100
は、略0.1kgf~略2kgfの引張力で引張される。具体的に、前記蒸着用マスク1
00は、略0.4kgf~略1.5kgfの力で引張される。よって、引張された前記蒸
着用マスク100は、前記マスクフレーム200の上に架設される。
【0121】
続いて、前記蒸着用マスク100は、前記蒸着用マスク100の非有効部を溶接するこ
とで、前記マスクフレーム200に前記蒸着用マスク100を固定することができる。そ
の次に、前記マスクフレーム200の外部に配置される前記蒸着用マスク100の一部分
は切断等の方法で除去される。
【0122】
前記基板300は、表示装置の製造に使用される基板であってもよい。例えば、前記基
板300は、OLED画素パターン用有機物蒸着のための基板300であってもよい。前
記基板300の上には、光の三原色である画素を形成するために、赤色(Red)、緑色(Gree
d)及び青色(Blue)の有機物パターンが形成される。即ち、前記基板300の上にはRGBパ
ターンが形成される。図面には図示していないが、前記基板300の上には、前記赤色、
緑色及び青色の有機物パターン以外に、白色(White)の有機物パターンがさらに形成され
る。即ち、前記基板300の上にはWRGBパターンが形成される。
【0123】
前記有機物蒸着容器400は、ルツボであってもよい。前記ルツボの内部には、有機物
質が配置される。
【0124】
前記真空チャンバー500内で前記ルツボに熱源及び/または電流が供給されることで
、前記有機物質は、前記基板300の上に蒸着される。
【0125】
図16を参照すると、前記蒸着用マスク100は、一面101及び前記第1面と対向す
る他面102を含むことができる。
【0126】
前記蒸着用マスク100の前記一面101は、小面積孔V1を含み、前記蒸着用マスク
100の前記他面102は、大面積孔V2を含むことができる。前記貫通ホールTHは、
前記小面積孔V1及び前記大面積孔V2の境界が連結される連通部CAによって連通され
る。
【0127】
前記蒸着用マスク100は、前記小面積孔V1内の第1内側面ES1を含むことができ
る。前記蒸着用マスク100は、前記大面積孔V2内の第2内側面ES2を含むことがで
きる。前記小面積孔V1内の第1内側面ES1及び前記大面積孔V2内の第2内側面ES
2は連通して貫通ホールを形成することができる。例えば、1つの小面積孔V1内の第1
内側面ES1は1つの大面積孔V2内の第2内側面ES2と連通して1つの貫通ホールを
形成することができる。
【0128】
前記大面積孔V2の幅は、前記小面積孔V1の幅より大きい。この時、前記小面積孔V
1の幅は、前記一面101で測定され、前記大面積孔V2の幅は、前記他面102で測定
される。
【0129】
前記小面積孔V1は、前記基板300に向かって配置される。前記小面積孔V1は、前
記基板300に近く配置される。よって、前記小面積孔V1は、蒸着物質、即ち蒸着パタ
ーンDPと対応する形状を有することができる。
【0130】
前記大面積孔V2は、前記有機物蒸着容器400に向かって配置される。よって、前記
大面積孔V2は、前記有機物蒸着容器400から供給される有機物質を広い幅で収容する
ことができ、前記大面積孔V2より幅が小さい前記小面積孔V1を通じて前記基板300
の上に微細なパターンを速く形成することができる。
【0131】
図17は、実施例に係る蒸着用マスク100の平面図を示した図面である。図17を参
照すると、実施例に係る蒸着用マスク100は、蒸着領域DA及び非蒸着領域NDAを含
むことができる。
【0132】
前記蒸着領域DAは、蒸着パターンを形成するための領域であってもよい。前記蒸着領
域DAは、蒸着パターン形成のための有効部を含むことができる。前記蒸着領域DAは、
パターン領域及び非パターン領域を含むことができる。
【0133】
前記パターン領域は、小面積孔V1、大面積孔V2、貫通ホールTH及びアイランド部
ISを含む領域であってもよく、前記非パターン領域は、小面積孔V1、大面積孔V2、
貫通ホールTH及びアイランド部ISを含まない領域であってもよい。ここで、前記蒸着
領域DAは、後述する有効領域と外縁領域を含む有効部、及び蒸着が含まれない非有効部
を含むことができる。よって、前記有効部は、前記パターン領域であってもよく、前記非
有効部は、前記非パターン領域であってもよい。
【0134】
また、1つの蒸着用マスク100は、複数の蒸着領域DAを含むことができる。例えば
、実施例の前記蒸着領域DAは、複数の蒸着パターンを形成できる複数の有効部を含むこ
とができる。前記有効部は、複数の有効領域AA1、AA2、AA3を含むことができる
【0135】
前記複数の有効領域AA1、AA2、AA3は、前記有効部の中心領域に配置される。
前記複数の有効領域AA1、AA2、AA3は、第1有効領域AA1、第2有効領域AA
2及び第3有効領域AA3を含むことができる。ここで1つの蒸着領域DAは、第1有効
領域AA1と前記第1有効領域AA1を取り囲む第1外縁領域OA1を含む第1有効部で
あってもよい。
【0136】
また、1つの蒸着領域DAは、第2有効領域AA2と前記第2有効領域AA2を取り囲
む第2外縁領域OA2を含む第2有効部であってもよい。また、1つの蒸着領域DAは、
第3有効領域AA3と前記第3有効領域AA3を取り囲む第3外縁領域OA3を含む第3
有効部であってもよい。
【0137】
スマートフォンのような小型表示装置の場合、蒸着用マスク100に含まれた複数の蒸
着領域のうちいずれか1つの有効部は、1つの表示装置を形成するためのものであること
がある。よって、1つの蒸着用マスク100は、複数の有効部を含むことができるので、
複数の表示装置を同時に形成することができる。よって、実施例に係る蒸着用マスク10
0は、工程効率を向上させることができる。
【0138】
これと違って、テレビのような大型表示装置の場合、1つの蒸着用マスク100に含ま
れた複数の有効部が1つの表示装置を形成するための一部であることがある。この時、前
記複数の有効部は、マスクの荷重による変形を防止するためのものであってもよい。
【0139】
前記複数の有効領域AA1、AA2、AA3は、離隔して配置されてもよい。具体的に
、前記複数の有効領域AA1、AA2、AA3は、前記蒸着用マスク100の長軸方向に
離隔して配置されてもよい。前記蒸着領域DAは、1つの蒸着用マスク100に含まれた
複数の分離領域IA1、IA2を含むことができる。隣接した有効部の間には分離領域I
A1、IA2が配置される。
【0140】
前記分離領域IA1、IA2は、複数の有効部の間の離隔領域であってもよい。例えば
、前記第1有効領域AA1を取り囲む前記第1外縁領域OA1及び前記第2有効領域AA
2を取り囲む前記第2外縁領域OA2の間には、第1分離領域IA1が配置される。また
、前記第2有効領域AA2を取り囲む前記第2外縁領域OA2及び前記第3有効領域AA
3を取り囲む第3外縁領域OA3の間には第2分離領域IA2が配置される。即ち、前記
分離領域IA1、IA2によって隣接した有効部を区別することができ、1つの蒸着用マ
スク100が複数の有効部を支持することができる。
【0141】
前記蒸着用マスク100は、前記蒸着領域DAの長さ方向の両側部に非蒸着領域NDA
を含むことができる。実施例に係る蒸着用マスク100は、前記蒸着領域DAの水平方向
の両側に前記非蒸着領域NDAを含むことができる。
【0142】
前記蒸着用マスク100の前記非蒸着領域NDAは、蒸着に関与しない領域であっても
よい。前記非蒸着領域NDAは、前記蒸着用マスク100をマスクフレーム200に固定
するためのフレーム固定領域FA1、FA2を含むことができる。また、前記非蒸着領域
NDAは、溝G1、G2及びオープン部を含むことができる。
【0143】
上述したように前記蒸着領域DAは、蒸着パターンを形成するための領域であってもよ
く、前記非蒸着領域NDAは、蒸着に関与しない領域であってもよい。この時、前記蒸着
用マスク100の前記蒸着領域DAには、前記金属板10の材質と異なる表面処理層を形
成することができ、前記非蒸着領域NDAには表面処理層を形成しなくてもよい。
【0144】
または、蒸着用マスク100の一面101または前記一面101と反対となる他面10
2のうちいずれか一面のみに前記金属板10の材質と異なる表面処理層を形成することが
できる。
【0145】
または、蒸着用マスク100の一面の一部分のみに前記金属板10の材質と異なる表面
処理層を形成することができる。
【0146】
例えば、蒸着用マスク100の一面及び/または他面、蒸着用マスク100の全体及び
/または一部は、前記金属板10の材質よりエッチング速度が遅い表面処理層を含むこと
ができ、エッチングファクターを向上させることができる。よって、実施例の蒸着用マス
ク100は、微細なサイズの貫通ホールを高い効率で形成することができる。
【0147】
一例として、実施例の蒸着用マスク100は、400PPI以上の解像度を有することが
できる。具体的に、前記蒸着用マスク100は、500PPI以上の高い解像度を有する蒸
着パターンを高い効率で形成することができる。
【0148】
ここで、前記表面処理層は、前記金属板10の材質と異なる元素を含むか、同じ元素の
組成が異なる金属物質を含むことを意味することができる。これに関しては、後述される
蒸着用マスクの製造工程でより詳しく説明することにする。
【0149】
前記非蒸着領域NDAは、溝G1、G2を含むことができる。例えば、前記蒸着用マス
ク100の前記非蒸着領域NDAは、前記蒸着領域DAの一側に第1溝G1を含むことが
でき、前記蒸着領域DAの前記一側と反対となる他側に第2溝G2を含むことができる。
【0150】
前記第1溝G1及び前記第2溝G2は、蒸着用マスク100の深さ方向に溝が形成され
る領域であってもよい。前記第1溝G1及び前記第2溝G2は、蒸着用マスクの略1/2
の厚さの溝部を有することができ、蒸着用マスク100の引張時の応力を分散させること
ができる。また、前記溝G1、G2は、前記蒸着用マスク100の中心を基準としてX軸
方向またはY軸方向に対称となるように形成することが好ましい。これによって、両方向
への引張力を均一に調節することができる。
【0151】
前記溝G1、G2は、多様な形状を有することができる。前記溝G1、G2は、半円形
状の溝部を含むことができる。前記溝は、前記蒸着用マスク100の一面101及び前記
一面101と反対となる他面102のうち少なくとも1つの面の上に形成されてもよい。
好ましくは、前記溝G1、G2は、小面積孔V1と対応する一面101上に形成されても
よい。
【0152】
これによって、前記溝G1、G2は、小面積孔V1と同時に形成されるので、工程効率
を向上させることができる。また、前記溝G1、G2は、大面積孔V2の間の寸法差によ
って発生し得る応力を分散させることができる。なお、実施例はこれに制限されるもので
はなく、前記溝G1、G2は四角形形状を有することができる。例えば、前記第1溝G1
及び前記第2溝G2は、長方形または正四角形形状を有することができる。これによって
、前記蒸着用マスク100は、効果的に応力を分散させることができる。
【0153】
また、前記溝G1、G2は、曲面及び平面を含むことができる。前記第1溝G1の平面
は、前記第1有効領域AA1と隣接するように配置され、前記平面は、蒸着用マスク10
0の長さ方向の終端と水平とするように配置される。前記第1溝G1の曲面は、蒸着用マ
スク100の長さ方向の一端に向かって膨らんだ形状を有することができる。例えば、前
記第1溝G1の曲面は、蒸着用マスク100の垂直方向の長さの1/2地点に半円形状の
半径と対応するように形成されてもよい。
【0154】
また、前記第2溝G2の平面は、前記第3有効領域AA3と隣接するように配置され、
前記平面は、蒸着用マスク100の長さ方向の終端と水平とするように配置される。前記
第2溝G2の曲面は、蒸着用マスク100の長さ方向の他端に向かって膨らんだ形状を有
することができる。例えば、前記第2溝G2の曲面は、蒸着用マスク100の垂直方向の
長さの1/2地点に半円形状の半径と対応するように形成されてもよい。
【0155】
前記溝G1、G2は、小面積孔V1または大面積孔V2を形成する時、同時に形成する
ことができる。これによって、工程効率を向上させることができる。また、前記蒸着用マ
スク100の一面101及び他面102に形成される溝は、相互にずれるように形成する
ことができる。これによって、溝G1、G2が相互貫通しない。
【0156】
また、実施例に係る蒸着用マスク100は、4つのハーフエッチング部を含むことがで
きる。例えば、前記溝G1、G2は、偶数個の溝G1、G2を含むことができ、応力をよ
り効率的に分散することができる。
【0157】
また、前記溝G1、G2は、蒸着領域DAの非有効部UAにさらに形成されてもよい。
例えば、前記溝G1、G2は、蒸着用マスク100の引張時の応力を分散させるために、
非有効部UAの全体または一部に分散して多数個配置されてもよい。
【0158】
即ち、実施例に係る蒸着用マスク100は、複数の溝を含むことができる。具体的に、
実施例に係る蒸着用マスク100は非蒸着領域NDAのみに溝G1、G2を含むものと図
示したが、これに制限されるものではなく、前記蒸着領域DA及び前記非蒸着領域NDA
のうち少なくとも1つの領域は、複数の溝をさらに含むことができる。よって、蒸着用マ
スク100の応力を均一に分散させることができる。
【0159】
前記非蒸着領域NDAは、前記蒸着用マスク100を前記マスクフレーム200に固定
するためのフレーム固定領域FA1、FA2を含むことができる。例えば、前記蒸着領域
DAの一側に第1フレーム固定領域FA1を含むことができ、前記蒸着領域DAの前記一
側と反対となる他側に第2フレーム固定領域FA2を含むことができる。前記第1フレー
ム固定領域FA1及び前記第2フレーム固定領域FA2は、溶接によってマスクフレーム
200と固定される領域であってもよい。
【0160】
前記フレーム固定領域FA1、FA2は、前記非蒸着領域NDAの溝G1、G2及び前
記溝G1、G2と隣接した前記蒸着領域DAの有効部の間に配置される。
【0161】
例えば、前記第1フレーム固定領域FA1は、前記非蒸着領域NDAの第1溝G1及び
前記第1溝G1と隣接した前記蒸着領域DAの第1有効領域AA1及び第1外縁領域OA
1を含む第1有効部の間に配置される。
【0162】
例えば、前記第2フレーム固定領域FA2は、前記非蒸着領域NDAの第2溝G2及び
前記第2溝G2と隣接した前記蒸着領域DAの第3有効領域AA3及び第3外縁領域OA
3を含む第3有効部の間に配置される。よって、複数の蒸着パターン部を同時に固定する
ことができる。
【0163】
また、前記蒸着用マスク100は、水平方向Xの両終端に半円形状のオープン部を含む
ことができる。前記蒸着用マスク100の前記非蒸着領域NDAは、水平方向の両終端に
それぞれ1つの半円形状のオープン部を含むことができる。例えば、蒸着用マスク100
の前記非蒸着領域NDAは、水平方向の一側には、垂直方向Yの中心がオープンされたオ
ープン部を含むことができる。
【0164】
例えば、蒸着用マスク100の前記非蒸着領域NDAは、水平方向の前記一側と反対と
なる他側には、垂直方向の中心がオープンされたオープン部を含むことができる。即ち、
蒸着用マスク100の両終端は、垂直方向の長さの1/2地点にオープン部を含むことが
できる。例えば、蒸着用マスク100の両終端は馬の蹄のような形態を有することができ
る。
【0165】
この時、前記オープン部の曲面は、前記溝G1、G2に向かうことができる。よって、
蒸着用マスク100の両終端に位置したオープン部は、前記第1溝G1または第2溝G2
と前記蒸着用マスク100の垂直方向の長さの1/2地点で隔離距離が一番短い距離を有
することができる。
【0166】
また、前記第1溝G1または前記第2溝G2の垂直方向の長さd1は、前記オープン部
の垂直方向の長さd2と対応することができる。よって、蒸着用マスク100を引張する
場合に、応力が均一に分散され、蒸着用マスク100の変形(wave deformation)を減らす
ことができる。
【0167】
よって、実施例に係る蒸着用マスク100は、均一な貫通ホールを有することができ、
パターンの蒸着効率が向上することができる。好ましくは、前記第1溝G1または前記第
2溝G2の垂直方向の長さd1は、前記オープン部の垂直方向の長さd2の略80%~略
200%を有することができる(d1:d2=0.8~2:1)。
【0168】
前記第1溝G1または前記第2溝G2の垂直方向の長さd1は、前記オープン部の垂直
方向の長さd2の略90%~略150%を有することができる(d1:d2=0.9~1
.5:1)。
【0169】
前記第1溝G1または前記第2溝G2の垂直方向の長さd1は、前記オープン部の垂直
方向の長さd2の略95%~略110%を有することができる(d1:d2=0.95~
1.1:1)。
【0170】
また、図面には図示していないが、前記溝G1、G2は、蒸着領域DAの非有効部UA
にさらに形成されてもよい。前記溝は、蒸着用マスク100の引張時の応力を分散させる
ために、非有効部UAの全体または一部に分散して多数個配置されてもよい。
【0171】
また、前記溝G1、G2は、フレーム固定領域FA1、FA2及び/またはフレーム固
定領域FA1、FA2の周辺領域にも形成される。よって、蒸着用マスク100をマスク
フレーム200に固定する時、及び/または蒸着用マスク100をマスクフレーム200
に固定した後に蒸着物を蒸着する時に発生する蒸着用マスク100の応力を均一に分散さ
せることができる。よって、蒸着用マスク100が均一な貫通ホールを有するように維持
することができる。
【0172】
前記蒸着用マスク100は、長さ方向に離隔した複数の有効部と、前記有効部以外の非
有効部UAを含むことができる。具体的に、前記蒸着領域DAは、複数の有効部と、前記
有効部以外の非有効部UAを含むことができる。
【0173】
前記複数の有効部は、第1有効部、第2有効部及び第3有効部を含むことができる。
【0174】
また、前記第1有効部は、第1有効領域AA1及び前記第1有効領域AA1の周囲を取
り囲む第1外縁領域OA1を含むことができる。前記第2有効部は、第2有効領域AA2
及び前記第2有効領域AA2の周囲を取り囲む第2外縁領域OA2を含むことができる。
前記第3有効部は、第3有効領域AA3及び前記第3有効領域AA3の周囲を取り囲む第
3外縁領域OA3を含むことができる。
【0175】
前記有効部は、前記蒸着用マスク100の一面上に形成された複数の小面積孔V1、前
記一面と反対となる他面上に形成された複数の大面積孔V2、前記小面積孔V1及び前記
大面積孔V2の境界が連結される連通部CAによって形成される複数の貫通ホールTHを
含むことができる。
【0176】
また、前記有効領域AA1、AA2、AA3は、複数の前記貫通ホールTHの間を支持
するアイランド部ISを含むことができる。
【0177】
前記アイランド部ISは、複数の貫通ホールTHのうち隣接した貫通ホールTHの間に
位置することができる。即ち、前記蒸着用マスク100の前記有効領域AA1、AA2、
AA3において貫通ホールTH以外の領域は、アイランド部ISであってもよい。
【0178】
前記アイランド部ISは、前記蒸着用マスク100の有効部の一面101または他面1
02においてエッチングされない部分を意味することができる。具体的に、前記アイラン
ド部ISは、前記蒸着用マスク100の有効部の大面積孔V2が形成された他面102に
おいて貫通ホールと貫通ホールの間のエッチングされない領域であってもよい。よって前
記アイランド部ISは、前記蒸着用マスク100の一面101と平行するように配置され
てもよい。
【0179】
前記アイランド部ISは、前記蒸着用マスク100の他面102と同一平面に配置され
る。よって、前記アイランド部ISは、前記蒸着用マスク100の他面102において非
有効部UAの少なくとも一部分と厚さが同一であってもよい。具体的に、前記アイランド
部ISは、前記蒸着用マスク100の他面102において非有効部のうちエッチングされ
ない部分と厚さが同一であってもよい。よって、前記蒸着用マスク100を通じてサブピ
クセルの蒸着均一性を向上させることができる。
【0180】
または、前記アイランド部ISは、前記蒸着用マスク100の他面102と平行した平
面に配置される。ここで、平行した平面とは、前記アイランド部IS周囲のエッチング工
程によってアイランド部ISが配置される蒸着用マスク100の他面102と非有効部の
うちエッチングされていない蒸着用マスク100の他面102の高さの段差が±1μm以
下であるものを含むことができる。
【0181】
前記アイランド部ISは、多角形形状を有することができる。または、前記アイランド
部ISは、曲線図形形状を有することができる。即ち、蒸着用マスク100の他面102
において平面で見る時、前記アイランド部ISは、多角形または曲線図形形状を有するこ
とができる。
【0182】
例えば、前記アイランド部ISの上部面は、多角形または曲線図形形状を有することが
できる。即ち、前記アイランド部ISは、多角形または曲線図形形態の平面形状を有する
ことができる。曲線図形形状とは、複数の辺及び内角を有する多角形であり、少なくとも
1つの辺が曲線を有する形態を意味することができる。例えば、平面から見た時、前記ア
イランド部ISは、複数の曲線を含み、前記曲線が連結された曲線図形形状を有すること
ができる。即ち、前記アイランド部ISの上面は、大面積孔V2を形成するエッチング工
程によって多角形形状または曲線図形形状を有することができる。
【0183】
前記蒸着用マスク100は、前記有効領域AA1、AA2、AA3を取り囲んで配置さ
れ、前記有効領域AA1、AA2、AA3の外縁に配置される外縁領域OA1、OA2、
OA3を含むことができる。前記有効領域AAは、複数の貫通ホールのうち有機物質を蒸
着するための最外縁に位置した貫通ホールの外縁を連結した時の内側領域であってもよい
【0184】
前記非有効部UAは、複数の貫通ホールのうち有機物質を蒸着するための最外縁に位置
した貫通ホールの外縁を連結した時の外側領域であってもよい。例えば、前記非有効部U
Aは、前記外縁領域OAで最外縁に位置した貫通ホールの外縁を連結した時の外側領域で
あってもよい。
【0185】
前記非有効部UAは、前記蒸着領域DAの有効領域AA1、AA2、AA3、前記有効
領域を取り囲む外縁領域OA1、OA2、OA3を含む有効部を除いた領域及び前記非蒸
着領域NDAである。前記第1有効領域AA1は、第1外縁領域OA1内に位置すること
ができる。前記第1有効領域AA1は、蒸着物質を形成するための複数の貫通ホールTH
を含むことができる。前記第1有効領域AA1の外縁を取り囲む前記第1外縁領域OA1
は、複数の貫通ホールを含むことができる。
【0186】
例えば、前記第1外縁領域OA1に含まれる複数の貫通ホールは、前記第1有効領域A
A1の最外縁に位置した貫通ホールTHのエッチング不良を減少させるためのものである
。よって、実施例に係る蒸着用マスク100は、有効領域AA1、AA2、AA3に位置
した複数の貫通ホールTHの均一性を向上させることができ、これによって製造される蒸
着パターンの品質を向上させることができる。
【0187】
また、前記第1有効領域AA1の貫通ホールTHの形状は、前記第1外縁領域OA1貫
通ホールの形状と対応することができる。よって、前記第1有効領域AA1に含まれた貫
通ホールTHの均一性を向上させることができる。
【0188】
一例として、前記第1有効領域AA1の貫通ホールTHの形状及び前記第1外縁領域O
A1貫通ホールの形状は、円形を有することができる。なお、実施例はこれに制限される
ものではなく、前記貫通ホールTHは、ダイヤモンドパターン、楕円形パターン等多様な
形状を有することができる。
【0189】
前記第2有効領域AA2は、第2外縁領域OA2内に位置することができる。前記第2
有効領域AA2は、前記第1有効領域AA1と対応する形状を有することができる。前記
第2外縁領域OA2は、前記第1外縁領域OA1と対応する形状を有することができる。
【0190】
前記第2外縁領域OA2は、前記第2有効領域AA2の最外縁に位置した貫通ホールか
ら水平方向及び垂直方向にそれぞれ2つの貫通ホールをさらに含むことができる。例えば
、前記第2外縁領域OA2は、前記第2有効領域AA2の最外縁に位置した貫通ホールの
上部及び下部の位置にそれぞれ2つの貫通ホールが水平方向に一列に配置される。
【0191】
例えば、前記第2外縁領域OA2は、前記第2有効領域AA2の最外縁に位置した貫通
ホールの左側及び右側にそれぞれ2つの貫通ホールが垂直方向に一列に配置される。前記
第2外縁領域OA2に含まれる複数の貫通ホールは、有効部の最外縁に位置した貫通ホー
ルのエッチング不良を減少させるためのものである。よって、実施例に係る蒸着用マスク
は、有効部に位置した複数の貫通ホールの均一性を向上させることができ、これによって
製造される蒸着パターンの品質を向上させることができる。
【0192】
前記第3有効領域AA3は、第3外縁領域OA3内に含まれる。前記第3有効領域AA
3は、蒸着物質を形成するための複数の貫通ホールを含むことができる。前記第3有効領
域AA3の外縁を取り囲む前記第3外縁領域OA3は、複数の貫通ホールを含むことがで
きる。
【0193】
前記第3有効領域AA3は、前記第1有効領域AA1と対応する形状を有することがで
きる。前記第3外縁領域OA3は、前記第1外縁領域OA1と対応する形状を有すること
ができる。
【0194】
また、前記有効領域AA1、AA2、AA3に含まれた貫通ホールTHは、前記外縁領
域OA1、OA2、OA3に含まれた貫通ホールと部分的に対応する形状を有することが
できる。一例として、前記有効領域AA1、AA2、AA3に含まれた貫通ホールは、前
記外縁領域OA1、OA2、OA3のエッジ部に位置した貫通ホールと異なる形状を含む
ことができる。よって、蒸着用マスク100の位置に応じた応力の差を調節することがで
きる。
【0195】
図18は、実施例に係る蒸着用マスク100の有効領域の平面図を示した図面であり、
図19は、実施例に係る蒸着用マスクの別の平面図を示した図面である。
【0196】
図18及び図19は、実施例に係る蒸着用マスク100の第1有効領域AA1、第2有
効領域AA2及び第3有効領域AA3のうちいずれか1つの平面図であってもよい。また
図18及び図19は、貫通ホールTHの形状及び前記貫通ホールTHの間の配列を説明
するためのものとして、実施例に係る蒸着用マスク100は、図面に図示された貫通ホー
ルTHの個数に限定されるものではない。
【0197】
図18及び図19を参照すると、前記蒸着用マスク100は、複数の貫通ホールTHを
含むことができる。この時、前記貫通ホールTHは、方向に応じて一列に配置または相互
交錯して配置される。例えば、前記貫通ホールTHは、縦軸及び横軸において一列に配置
され、縦軸または横軸において一列に配置される。
【0198】
図18及び図19を参照すると、前記蒸着用マスク100は、複数の貫通ホールTHを
含むことができる。この時、前記複数の貫通ホールTHは、円形形状を有することができ
る。具体的に、前記貫通ホールTHの水平方向の粒子径Cxと垂直方向の粒子径Cyは対
応することができる。
【0199】
前記貫通ホールTHは、方向に応じて一列に配置される。例えば、前記貫通ホールTH
は、縦軸及び横軸において一列に配置される。
【0200】
具体的に、第1貫通ホールTH1及び第2貫通ホールTH2は横軸において一列に配置
され、第3貫通ホールTH3及び第4貫通ホールTH4は横軸において一列に配置される
【0201】
また、第1貫通ホールTH1及び第3貫通ホールTH3は縦軸において一列に配置され
、第2貫通ホールTH2及び第4貫通ホールTH4は横軸において一列に配置される。
【0202】
即ち、貫通ホールTHが縦軸及び横軸においてそれぞれ一列に配置される場合には、縦
軸及び横軸の両方とも交差する方向である対角方向に隣接した2つの貫通ホールTHの間
にアイランド部ISが位置することができる。即ち、相互対角線方向に位置した2つの隣
接した貫通ホールTHの間にはアイランド部ISが位置することができる。
【0203】
例えば、第1貫通ホールTH1及び第4貫通ホールTH4の間にはアイランド部ISが
配置される。また、第2貫通ホールTH2及び第3貫通ホールTH3の間にはアイランド
部ISが配置される。隣接した2つの貫通ホールを横切る横軸を基準として、略+45度
前後の傾斜角方向及び略-45度前後の傾斜角方向にアイランド部ISがそれぞれ位置す
ることができる。ここで、略±45前後の傾斜角方向は、横軸と縦軸の間の対角方向を意
味することができ、前記対角方向の傾斜角は、横軸及び縦軸の同一平面で測定したもので
ある。
【0204】
また、図19を参照すると、実施例に係る別の蒸着用マスク100は、複数の貫通ホー
ルを含むことができる。この時、複数の貫通ホールは、楕円形形状を有することができる
。具体的に、前記貫通ホールTHの水平方向の粒子径Cxと垂直方向の粒子径Cyは、異
なってもよい。例えば、貫通ホールの水平方向の粒子径Cxは、垂直方向の粒子径Cyよ
り大きい。なお、実施例はこれに制限されるものではなく、貫通ホールは長方形形状また
は八角形形状またはラウンドを有する八角形形状を有することができる。
【0205】
前記貫通ホールTHは、縦軸または横軸のうちいずれか1つの軸において一列に配置さ
れ、他の1つの軸において交錯して配置される。
【0206】
具体的に、第1貫通ホールTH1及び第2貫通ホールTH2は横軸において一列に配置
され、第3貫通ホールTH3及び第4貫通ホールTH4は第1貫通ホールTH1及び第2
貫通ホールTH2とそれぞれ縦軸において交錯して配置される。
【0207】
前記貫通ホールTHが縦軸または横軸のうちいずれか1つの方向に一列に配置され、他
の1つの方向に交錯して配置される場合には、縦軸または横軸のうち他の1つの方向への
隣接した2つの貫通ホールTH1、TH2の間にアイランド部ISが位置することができ
る。または、相互隣接するように位置した3つの貫通ホールTH1、TH2、TH3の間
にアイランド部ISが位置することができる。隣接した3つの貫通ホールTH1、TH2
、TH3のうち2つの貫通ホールTH1、TH2は一列に配置される貫通ホールであり、
残りの1つの貫通ホールTH3は、前記一列方向と対応する方向の隣接した位置で、前記
2つの貫通ホールTH1、TH2の間の領域に配置される貫通ホールを意味することがで
きる。第1貫通ホールTH1、第2貫通ホールTH2及び第3貫通ホールTH3の間には
アイランド部ISが配置される。または、第2貫通ホールTH2、第3貫通ホールTH3
及び第4貫通ホールTH4の間にはアイランド部ISが配置される。
【0208】
また、実施例に係る蒸着用マスク100において任意のいずれか1つの貫通ホールであ
る基準ホールの水平方向の粒子径Cxと垂直方向の粒子径Cyを測定する場合、前記基準
ホールに隣接する貫通ホールTHの間のそれぞれの水平方向の粒子径Cxの間の偏差と、
垂直方向の粒子径Cyの間の偏差は略2%~略10%に具現することができる。即ち、1
つの基準ホールの隣接ホールの間の大きさの偏差を略2%~略10%に具現する場合には
、蒸着の均一度を確保することができる。例えば、前記基準ホールと前記隣接ホールの間
の大きさの偏差は略4%~略9%を有することができる。
【0209】
例えば、前記基準ホールと前記隣接ホールの間の大きさの偏差は略5%~略7%を有す
ることができる。例えば、前記基準ホールと前記隣接ホールの間の大きさの偏差は略2%
~略5%を有することができる。前記基準ホールと前記隣接ホールの間の大きさの偏差が
略2%未満である場合には、蒸着後のOLEDパネルにおいてモアレ発生率が高くなる。
前記基準ホールと前記隣接ホールの間の大きさの偏差が略10%を超過する場合、蒸着後
のOLEDパネルにおいて色ムラの発生率が高くなる。前記貫通ホールの粒子径の平均偏
差は±5μmであってもよい。例えば、前記貫通ホールの粒子径の平均偏差は±3μmで
あってもよい。例えば、前記貫通ホールの粒子径の平均偏差は±1μmであってもよい。
実施例は、前記基準ホールと前記隣接ホールの間の大きさの偏差を±3μm以内で具現す
ることで、蒸着効率を向上させることができる。
【0210】
図18及び図19のアイランド部ISは、有効領域AAの大面積孔V2が形成される蒸
着用マスク100の他面において、貫通ホールTHの間のエッチングされない面を意味す
ることができる。具体的に、アイランド部ISは、蒸着用マスクの有効領域AAにおいて
、大面積孔内に位置した第2内側面ES2及び貫通ホールTHを除いたエッチングされな
い蒸着用マスク100の他面であってもよい。実施例の蒸着用マスク100は、400PP
I以上、詳しくは400PPI~800PPI以上の解像度を有する高解像度ないし超高解像度
のOLED画素を蒸着するためのものであってもよい。
【0211】
例えば、実施例の蒸着用マスク100は、400PPI以上の解像度を有するFull‐
HD(High Definition)の高解像度を有する蒸着パターンを形成するためのものであって
もよい。例えば、実施例の蒸着用マスク100は、水平方向及び垂直方向における画素数
が1920*1080以上であり、400PPI以上の解像度であるOLED画素を蒸着す
るためのものであってもよい。即ち、実施例の蒸着用マスク100に含まれた1つの有効
領域は、解像度1920*1080以上のピクセル数を形成するためのものであってもよ
い。
【0212】
例えば、実施例の蒸着用マスク100は、500PPI以上の解像度を有するQHD(Quad
High Definition)の高解像度を有する蒸着パターンを形成するためのものであってもよ
い。例えば、実施例の蒸着用マスク100は、水平方向及び垂直方向における画素数が2
560*1440以上であり、530PPI以上の解像度であるOLED画素を蒸着するた
めのものであってもよい。実施例の蒸着用マスク100を通じて、インチ当たりのピクセ
ル数は5.5インチOLEDパネルを基準として530PPI以上であってもよい。即ち、
実施例の蒸着用マスク100に含まれた1つの有効領域は、解像度2560*1440以
上のピクセル数を形成するためのものであってもよい。
【0213】
例えば、実施例の蒸着用マスク100は、700PPI以上の解像度を有するUHD(Ultr
a High Definition)の超高解像度を有する蒸着パターンを形成するためのものであっても
よい。例えば、実施例の蒸着用マスク100は、水平方向及び垂直方向における画素数が
3840*2160以上であり、794PPI以上のOLED画素を蒸着するためのUHD(
Ultra High Definition)級の解像度を有する蒸着パターンを形成するためのものであって
もよい。
【0214】
前記貫通ホールTHの粒子径は、前記連通部CAの間の幅であってもよい。具体的に、
前記貫通ホールTHの粒子径は、小面積孔V1内のエッチング面の終端と大面積孔V2内
のエッチング面の終端が会う地点で測定することができる。前記貫通ホールTHの粒子径
の測定方向は、水平方向、垂直方向、対角方向のうちいずれか1つであってもよい。水平
方向で測定された前記貫通ホールTHの粒子径は、33μm以下を有することができる。
または、水平方向で測定された前記貫通ホールTHの粒子径は、33μm以下を有するこ
とができる。または、前記貫通ホールTHの粒子径は、水平方向、垂直方向、対角方向で
それぞれ測定した値の平均値であってもよい。
【0215】
これによって、実施例に係る蒸着用マスク100は、QHD級の解像度を具現すること
ができる。例えば、前記貫通ホールTHの粒子径は、略15μm~略33μmを有するこ
とができる。例えば、前記貫通ホールTHの粒子径は、略19μm~略33μmを有する
ことができる。例えば、前記貫通ホールTHの粒子径は、略20μm~略27μmを有す
ることができる。前記貫通ホールTHの粒子径が略33μmを超過する場合には、500
PPI級以上の解像度を具現することが困難となる。一方、前記貫通ホールTHの粒子径が
略15μm未満である場合には、蒸着不良が発生する可能性がある。
【0216】
図18及び図19を参照すると、水平方向において複数の貫通ホールのうち隣接した2
つの貫通ホールTHの間の間隔(pitch)は、略48μm以下を有することができる。例え
ば、水平方向において複数の貫通ホールTHのうち隣接した2つの貫通ホールTHの間の
間隔(pitch)は、略20μm~略48μmを有することができる。
【0217】
例えば、水平方向において複数の貫通ホールTHのうち隣接した2つの貫通ホールTH
の間の間隔(pitch)は、略30μm~略35μmを有することができる。ここで、前記間
隔は、水平方向において2つの隣接した第1貫通ホールTH1の中心と第2貫通ホールT
H2の中心の間の間隔P1を意味することができる。これとは違って、前記間隔は、水平
方向において2つの隣接した第1アイランド部の中心と第2アイランド部の中心の間の間
隔P2を意味することができる。ここで、アイランド部ISの中心は、水平方向及び垂直
方向において隣接した4つの貫通ホールTHの間のエッチングされていない他面における
中心であってもよい。
【0218】
例えば、アイランド部ISの中心は、水平方向において隣接した2つの第1貫通ホール
TH1及び第2貫通ホールTH2を基準として、前記第1貫通ホールTH1と垂直方向に
おいて隣接した第3貫通ホールTH3及び前記第2貫通ホールTH2と垂直方向において
隣接した第4貫通ホールTH4の間の領域に位置した1つのアイランド部ISのエッジを
つなぐ横軸とエッジをつなぐ縦軸が交差する地点を意味することができる。
【0219】
また、図18及び図19を参照すると、水平方向において複数の貫通ホールのうち隣接
した2つの貫通ホールTHの間の間隔(pitch)は、略48μm以下を有することができる
。例えば、水平方向において複数の貫通ホールTHのうち隣接した2つの貫通ホールTH
の間の間隔(pitch)は、略20μm~略48μmを有することができる。
【0220】
例えば、水平方向において複数の貫通ホールTHのうち隣接した2つの貫通ホールTH
の間の間隔(pitch)は、略30μm~略35μmを有することができる。ここで、前記間
隔は、水平方向において2つの隣接した第1貫通ホールTH1の中心と第2貫通ホールT
H2の中心の間の間隔P1を意味することができる。
【0221】
また、前記間隔は、水平方向において2つの隣接した第1アイランド部の中心と第2ア
イランド部の中心の間の間隔P2を意味することができる。ここで、アイランド部ISの
中心は、1つの貫通ホールと垂直方向において隣接した2つの貫通ホールの間のエッチン
グされていない他面における中心であってもよい。
【0222】
または、ここで、アイランド部ISの中心は、2つの貫通ホールと垂直方向において隣
接した1つの貫通ホールの間のエッチングされていない他面における中心であってもよい
。即ち、アイランド部ISの中心は、隣接した3つの貫通ホールの間のエッチングされて
いない他面における中心であり、隣接した3つの貫通ホールとは、その中心をつないだ時
三角形形状を形成できることを意味することができる。
【0223】
前記貫通ホールTHの粒子径の測定方向と隣接した2つの貫通ホールTHの間の間隔の
測定方向は、同一であってもよい。前記貫通ホールTHの間隔は、水平方向または垂直方
向において隣接した2つの貫通ホールTHの間の間隔を測定したものであってもよい。
【0224】
即ち、実施例に係る蒸着用マスク100は、400PPI以上の解像度を有するOLED
画素を蒸着することができる。具体的に、実施例に係る蒸着用マスク100は、貫通ホー
ルTHの粒子径が略330μm以下であり、前記貫通ホールTHの間の間隔(pitch)が略
480μm以下であることで、500PPI以上の解像度を有するOLED画素を蒸着す
ることができる。より具体的に、500PPI以上の解像度を有する緑色有機物を蒸着する
ことができる。即ち、実施例に係る蒸着用マスク100を利用してQHD級の解像度を具
現することができる。
【0225】
前記貫通ホールTHの粒子径及び前記貫通ホールTHの間の間隔は、緑色サブピクセル
を形成するための大きさであってもよい。例えば、前記貫通ホールTHの粒子径は、緑色
(G)パターンを基準として測定することができる。前記緑色(G)パターンは、視覚を通
じた認識率が低いので、赤色(R)パターン及び青色(B)パターンより多い数が要求さ
れ、前記貫通ホールTHの間の間隔が赤色(R)パターン及び青色(B)パターンより狭
い。前記蒸着用マスク100は、QHDディスプレイピクセルを具現するためのOLED
蒸着用マスクであってもよい。
【0226】
例えば、前記蒸着用マスク100は、赤色(R)、第1緑色G1、青色(B)及び第2
緑色G2のうち少なくとも1つのサブピクセルを蒸着するためのものであってもよい。具
体的に、前記蒸着用マスク100は、赤色(R)サブピクセルを蒸着するためのものであ
ってもよい。または、前記蒸着用マスク100は、青色(B)サブピクセルを蒸着するた
めのものであってもよい。または、前記蒸着用マスク100は、第1緑色G1サブピクセ
ル及び第2緑色G2サブピクセルを同時に形成するためのものであってもよい。
【0227】
有機発光表示装置のピクセル配列は、「赤色(R)-第1緑色G1-青色(B)-第2
緑色G2」順(RGBG)に配置されてもよい。この場合、赤色(R)-第1緑色G1が
1つのピクセル(RG)をなすことができ、青色(B)-第2緑色G2が他の1つのピク
セル(BG)をなすことができる。このような配列の有機発光表示装置では、赤色発光有
機物及び青色発光有機物より緑色発光有機物の蒸着間隔が狭くなるので、本発明のような
形態の蒸着用マスク100が必要となる。
【0228】
また、実施例に係る蒸着用マスク100は、貫通ホールTHの粒子径が水平方向におい
て略20μm以下を有することができる。よって、実施例に係る蒸着用マスク100は、
UHD級の解像度を具現することができる。例えば、実施例に係る蒸着用マスク100は
、前記貫通ホールTHの粒子径が略20μm以下であり、前記貫通ホールの間の間隔が略
32μm以下であることで、800PPI級の解像度を有するOLED画素を蒸着するこ
とができる。即ち、実施例に係る蒸着マスクを利用してUHD級の解像度を具現すること
ができる。
【0229】
前記貫通ホールの粒子径及び前記貫通ホールの間の間隔は、緑色サブピクセルを形成す
るための大きさであってもよい。前記蒸着用マスクは、UHDディスプレイピクセルを具
現するためのOLED蒸着マスクであってもよい。
【0230】
図20は、図18及び図19のA-A’方向における断面とB-B’方向における断面
の間の高さの段差と大きさを説明するために、それぞれの断面を重ねて示した図面である
【0231】
まず、図18及び図19のA-A'方向における横断面を説明する。A-A'方向は、垂
直方向において隣接した2つの第1貫通ホールTH1及び第3貫通ホールTH3の間の中
心領域を横切る横断面である。即ち、A-A'方向における横断面は、貫通ホールTHを
含まなくてもよい。
【0232】
前記A-A'方向における横断面は、大面積孔内のエッチング面ES2及び大面積孔内
のエッチング面ES2の間にエッチングされない蒸着用マスクの他面であるアイランド部
ISが位置することができる。よって、前記アイランド部ISは、蒸着用マスクのエッチ
ングされない一面と平行な面を含むことができる。または、前記アイランド部ISは、蒸
着用マスク100のエッチングされない他面と同一または平行な面を含むことができる。
【0233】
次に、図18及び図19のB-B’方向における横断面を説明する。B-B’方向は、
水平方向において隣接した2つの第1貫通ホールTH1及び第2貫通ホールTH2のそれ
ぞれの中心を横切る横断面である。即ち、B-B’方向における横断面は、複数の貫通ホ
ールTHを含むことができる。
【0234】
前記B-B’方向における隣接した第3貫通ホールTH3と第4貫通ホールTH4の間
に1つのリブRBが位置することができる。第4貫通ホールTH4及び第4貫通ホールと
水平方向において隣接すると共に、第3貫通ホールTH3と反対方向に位置した第5貫通
ホールの間には、他の1つのリブRBが位置することができる。前記1つのリブ及び前記
他の1つのリブの間には、1つの貫通ホールTHが位置することができる。即ち、水平方
向において隣接した2つのリブRBの間には、1つの貫通ホールTHが位置することがで
きる。
【0235】
また、前記B-B’方向における横断面は、大面積孔内のエッチング面ES2、及び隣
接した大面積孔内のエッチング面ES2が相互連結される領域であるリブRBが位置する
ことができる。ここでリブRBは、隣接した2つの大面積孔の境界が連結される領域であ
ってもよい。前記リブRBは、エッチング面であるので、前記アイランド部ISより小さ
い厚さを有することができる。例えば、前記アイランド部ISの幅は、略2μm以上であ
ってもよい。即ち、前記他面においてエッチングされず残っている部分の前記他面と平行
な方向への幅が略2μm以上であってもよい。1つのアイランド部ISの一端と他端の幅
が略2μm以上である場合、蒸着用マスク100の全体体積を増やすことができる。この
ような構造の蒸着用マスク100は、有機物蒸着工程等で付与される引張力に対して充分
な剛性を確保できるようにし、貫通ホールの均一度を維持することに有利である。
【0236】
図21は、図18または図19のB-B’方向における断面図を示した図面である。図
21を参照して、図18及び図19のB-B’の横断面と図20の有効領域のリブRB及
び前記リブRBの間の貫通ホールTHを拡大した横断面を説明する。
【0237】
実施例に係る蒸着用マスク100は、エッチングによる貫通ホールTHが形成される有
効領域AAにおける厚さと、エッチングされない非有効部UAにおける厚さが異なっても
よい。具体的に、リブRBの厚さは、エッチングされない非有効部UAにおける厚さより
小さくてもよい。
【0238】
実施例に係る蒸着用マスク100は、非有効部UAの厚さが有効領域AA1、AA2、
AA3の厚さより大きくてもよい。この時、前記アイランド部ISはエッチングされない
領域として、前記アイランド部ISは、前記非有効部UAないし非蒸着領域NDAの最大
厚さと対応することができる。例えば、前記蒸着用マスク100は、非有効部UAないし
非蒸着領域NDAの最大厚さが略30μm以下を有することができる。よって、前記アイ
ランド部ISの最大厚さは略30μm以下を有することができ、前記アイランド部ISを
除いた前記有効領域AA1、AA2、AA3の厚さは、前記非有効部UAの厚さより小さ
くてもよい。具体的に、前記蒸着用マスク100は、非有効部UAないし非蒸着領域ND
Aの最大厚さが略25μm以下を有することができる。例えば、実施例の蒸着マスクは非
有効部~非蒸着領域の最大厚さが略15μm~略25μmであってもよい。よって、前記
アイランド部ISの最大厚さは略15μm~略25μmであってもよい。実施例に係る蒸
着マスクの非有効部~非蒸着領域の最大厚さが略30μmを超過する場合には、前記蒸着
用マスク100の原材料である金属板10の厚さが厚くなるので、微細なサイズの貫通ホ
ールTHを形成することが困難となる。また、前記蒸着用マスク100の非有効部UAな
いし非蒸着領域NDAの最大厚さが略15μm未満である場合には、金属板の厚さが薄い
ので、均一なサイズの貫通ホールを形成することが困難となる。
【0239】
前記リブRBの中心で測定された最大厚さT3は略15μm以下を有することができる
。例えば、前記リブRBの中心で測定された最大厚さT3は略7μm~略10μmであっ
てもよい。例えば、前記リブRBの中心で測定された最大厚さT3は略6μm~略9μm
であってもよい。前記リブRBの中心で測定された最大厚さT3が略15μmを超過する
場合、500PPI級以上の高解像度を有するOLED蒸着パターンを形成することが困
難となる。また、前記リブRBの中心で測定された最大厚さT3が略6μm未満である場
合には、蒸着パターンの均一な形成が困難となる。
【0240】
前記蒸着用マスク100の小面積孔の高さH1は、前記リブRBの中心で測定された最
大厚さT3の略0.2倍~略0.4倍であってもよい。一例として、前記リブRBの中心
で測定された最大厚さT3は略7μm~略9μmであり、前記蒸着用マスク100の一面
及び前記連通部の間の高さH1は略1.4μm~略3.5μmであってもよい。前記蒸着
用マスク100の小面積孔の高さH1は略3.5μm以下を有することができる。例えば
、前記小面積孔V1の高さは略0.1μm~略3.4μmであってもよい。例えば、前記
蒸着用マスク100の小面積孔V1の高さは略0.5μm~略3.2μmであってもよい
。例えば、前記蒸着用マスク100の小面積孔V1の高さは略1μm~略3μmであって
もよい。ここで、高さは、蒸着用マスク100の厚さ測定方向、即ち深さ方向で測定する
ことができ、蒸着用マスク100の一面から連通部までの高さを測定したものであっても
よい。具体的に、図18及び図19の平面図で上述した水平方向(x方向)と垂直方向(y
方向)とそれぞれ90度をなすz軸方向で測定したものであってもよい。
【0241】
前記蒸着用マスク100の一面及び前記連通部の間の高さが略3.5μmを超過する場
合には、OLED蒸着時に蒸着物質が貫通ホールの面積より大きい領域に広がるシャドウ
効果(shadow effect)による蒸着不良が発生する可能性がある。
【0242】
また、前記蒸着用マスク100の小面積孔V1が形成される一面における孔径W1と小
面積孔V1と大面積孔V2の間の境界である連通部における孔径W2は相互類似または異
なってもよい。前記蒸着用マスク100の小面積孔V1が形成される一面における孔径W
1は、連通部における孔径W2より大きくてもよい。
【0243】
例えば、前記蒸着用マスク100の一面における孔径W1と前記連通部における孔径W
2の差は略0.01μm~略1.1μmであってもよい。例えば、前記蒸着用マスクの一
面における孔径W1と前記連通部における孔径W2の差は略0.03μm~略1.1μm
であってもよい。例えば、前記蒸着用マスクの一面における孔径W1と前記連通部におけ
る孔径W2の差は略0.05μm~略1.1μmであってもよい。
【0244】
前記蒸着用マスク100の一面における孔径W1と前記連通部における孔径W2の差が
略1.1μmより大きい場合には、シャドウ効果による蒸着不良が発生する可能性がある
【0245】
また、前記蒸着用マスク100の前記一面101と反対となる他面102に位置した前
記大面積孔V2の一端E1及び前記小面積孔V1と大面積孔V2の間の連通部の一端E2
をつなぐ傾斜角θ1を有することができる。例えば、前記大面積孔V2の一端E1は、前
記大面積孔V2内の第2内側面ES2の境界であるリブRBが位置する地点を意味するこ
とができる。前記連通部の一端E2は、前記貫通ホールTHの終端を意味することができ
る。前記大面積孔V2の一端E1及び前記連通部の一端E2をつなぐ前記傾斜角θ1は4
0度~55度を有することができる。よって、400PPI級以上、詳しくは500PP
I級以上の高解像度の蒸着パターンを形成できると同時に、蒸着用マスク100の他面1
02上にアイランド部ISが存在し得る。
【0246】
以下、図22を参照して、実施例に係る蒸着用マスクの製造方法を説明する。
【0247】
OLED画素を蒸着するための金属材の蒸着用マスクの製造方法において、実施例に係
る蒸着用マスクは、20μm~30μmの厚さのベース金属板を用意する第1ステップと
、前記ベース金属板の一面上にパターン化されたフォトレジスト層を配置し、前記フォト
レジスト層のオープン部をハーフエッチングして前記ベース金属板の一面上に溝を形成し
、前記ベース金属板の前記一面と反対となる他面上にパターン化されたフォトレジスト層
を配置し、前記フォトレジスト層のオープン部をエッチングして前記ベース金属板の一面
上の溝と連結される貫通ホールを形成する第2ステップと、前記フォトレジスト層を除去
して、前記一面上に形成された大面積孔、前記一面と反対となる他面上に形成された小面
積孔、前記大面積孔及び前記小面積孔の境界が連結される連通部によって形成される貫通
ホールを含む蒸着用マスクを形成する第3ステップと、を含んで製造することができる。
これによって、500PPI以上の解像度を具現できる蒸着用マスクを製造することができ
る。
【0248】
OLED画素を蒸着するための金属材の蒸着用マスクの製造方法において、実施例に係
る蒸着用マスクは、15μm~20μmの厚さのベース金属板を用意する第1ステップと
、前記ベース金属板の一面上にパターン化されたフォトレジスト層を配置し、前記フォト
レジスト層のオープン部をハーフエッチングして前記ベース金属板の一面上に溝を形成し
、前記ベース金属板の前記一面と反対となる他面上にパターン化されたフォトレジスト層
を配置し、前記フォトレジスト層のオープン部をエッチングして前記ベース金属板の一面
上の溝と連結される貫通ホールを形成する第2ステップと、前記フォトレジスト層を除去
して、前記一面上に形成された大面積孔、前記一面と反対となる他面上に形成された小面
積孔、前記大面積孔及び前記小面積孔の境界が連結される連通部によって形成される貫通
ホールを含む蒸着用マスクを形成する第3ステップと、を含んで製造することができる。
これによって、800PPI以上の解像度を具現できる蒸着用マスクを製造することがで
きる。
【0249】
まず、20μm~30μmの厚さのベース金属板BMを用意する第1ステップを説明す
る。
【0250】
前記ベース金属板BMは、金属物質を含むことができる。前記ベース金属板BMは、ニ
ッケル合金を含むことができる。例えば、前記ベース金属板BMは、ニッケルと鉄の合金
であってもよい。この時、ニッケルは、略35重量%~略37重量%であってもよく、前
記鉄は、略63重量%~略65重量%を有することができる。一例として、前記ベース金
属板BMは、ニッケルは略35重量%~略37重量%、鉄は略63重量%~略65重量%
と、微量のC、Si、S、P、Cr、Mo、Mn、Ti、Co、Cu、Fe、Ag、Nb
、V、In、Sbのうち少なくとも1つ以上が含まれたインバー(Invar)を含むことがで
きる。ここで、微量は、1重量%以下を意味することができる。具体的に、ここで、微量
は、0.5重量%以下を意味することができる。ただし、前記ベース金属板BMがこれに
制限されるものではなく、多様な金属物質を含むことができることはもちろんである。
【0251】
前記インバーのようなニッケル合金は、熱膨張係数が小さいので、蒸着用マスクの寿命
が増加できる長所を有する。
【0252】
ここで、前記第1ステップは、目標とするベース金属板の厚さによって、厚さ減少ステ
ップをさらに含むことができる。
【0253】
例えば、ベース金属板BMは、25μm~30μmの厚さを有することができる。この
ようなベース金属板BMは、圧延及び/またはエッチングによる厚さ減少ステップを経て
15μm~25μmの厚さを有することができる。ここで、エッチングとは、電気的また
は化学的なエッチングを含むことができる。
【0254】
前記ベース金属板BMまたは厚さ減少ステップを経た前記ベース金属板BMは、表面処
理ステップを選択的に含むことができる。
【0255】
例えば、インバーのようなニッケル合金は均一なエッチングが難しい問題点を有する。
即ち、インバーのようなニッケル合金は、エッチング初期にエッチング速度が速い。よっ
て、小面積孔のエッチングファクターが低下する問題を有する。小面積孔のエッチングフ
ァクターが低下する場合には、シャドウ効果による蒸着不良が発生する蒸着用マスクが形
成される問題が発生し得る。または、大面積孔のサイドエッチングによってフォトレジス
ト層の脱膜が発生する可能性がある。また、貫通ホールの大きさが大きくなることで、微
細なサイズの貫通ホールを形成することが困難となる。また、貫通ホールが不均一に形成
されて、蒸着用マスクの製造収率が低下する。
【0256】
よって、実施例はベース金属板表面上に、成分、含有量、結晶構造及び腐食速度を異な
るようにする表面改質のための表面処理層を配置することができる。ここで、表面改質と
は、エッチングファクターを向上させるために表面に配置される多様な物質からなった層
を意味することができる。
【0257】
即ち、表面処理層は、ベース金属板の表面上に速いエッチングを阻止するための層であ
ってもよい。前記表面処理層は、ベース金属板よりエッチング速度が遅いエッチングバリ
アー層であってもよい。前記表面処理層は、前記ベース金属板と結晶面及び結晶構造が異
なる。例えば、前記表面処理層は、前記ベース金属板と異なる元素を含むことで、結晶面
及び結晶構造が異なることができる。
【0258】
同じ腐食環境において、前記表面処理層は、前記ベース金属板と腐食電位が異なる。例
えば、同じ温度の同じエッチング液に同じ時間処理した時、前記表面処理層は、前記ベー
ス金属板と腐食電流ないし腐食電位が異なることができる。
【0259】
前記ベース金属板BMは、一面及び/または両面、全体及び/または有効領域に、表面
処理層ないし表面処理部を含むことができる。前記表面処理層ないし表面処理部は、ベー
ス金属板と異なる元素を含むか、腐食速度が遅い金属元素をベース金属板より大きい含有
量で含むことができる。
【0260】
例えば、前記表面処理層は、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、チタン
(Ti)、マンガン(Mn)、酸素(O)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、亜鉛(Z
n)、窒素(N)、アルミニウム(Al)及びこれの合金のうち少なくとも1つの金属を
含むことができ、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、マ
ンガン(Mn)、酸素(O)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、窒素(
N)、アルミニウム(Al)及びこれの合金のうち少なくとも1つの金属の含有量は、ベ
ース金属板より大きい。
【0261】
このような表面処理ステップをさらに含む場合に、実施例に係るベース金属板の表面に
は表面処理層が配置される。このような表面処理ステップは、前記ベース金属板BMと異
なる元素の表面処理層を配置することで、表面における腐食速度を前記ベース金属板BM
の元素材物質より遅くすることができる。よって、実施例に係る蒸着用マスクのエッチン
グファクターを増やすことができる。また、実施例に係る蒸着用マスクは、複数の貫通ホ
ールを均一に形成できることで、R、G、Bパターンの蒸着効率を向上させることができ
る。ここで、異なる元素を含むとは、前記ベース金属板BMと前記表面処理層が少なくと
も1つの他の元素を含むか、全ての元素が同一であっても含有量が異なる合金を含むこと
を意味することができる。
【0262】
次に、前記ベース金属板の一面上にパターン化されたフォトレジスト層PR1を配置す
るステップを説明する。小面積孔を形成するために前記ベース金属板の一面上にパターン
化されたフォトレジスト層PR1を配置することができる。前記ベース金属板の一面と反
対となる他面は、エッチングを阻止するためのコーティング層またはフィルム層のような
エッチング阻止層が配置される。
【0263】
次に、前記フォトレジスト層PR1のオープン部をハーフエッチングして前記金属板の
一面上に溝を形成する第2ステップを説明する。
【0264】
前記フォトレジスト層PR1のオープン部は、エッチング液等に露出されるので、ベー
ス金属板の一面のうち前記フォトレジスト層PR1が配置されていないオープン部でエッ
チングが行われる。
【0265】
前記第2ステップは、20μm~30μmの厚さT1の前記ベース金属板を略1/2の
厚さとなる時までエッチングするステップであってもよい。前記第2ステップを通じて形
成された溝の深さは略10μm~15μmであってもよい。即ち、前記第2ステップの後
で溝の中心で測定したベース金属板の厚さT2は略10μm~15μmであってもよい。
【0266】
前記第2ステップは、異方性エッチングまたはセミアディティブ法(SAP:semi additiv
e process)であってもよい。具体的に、前記フォトレジスト層のオープン部をハーフエッ
チングするために、異方性エッチングまたはセミアディティブ法を利用することができる
。よって、ハーフエッチングを通じて形成された溝は、等方性エッチングより深さ方向へ
のエッチング速度(b方向)がサイドエッチング(a方向)の速度より速い。
【0267】
小面積孔のエッチングファクターは2.0~3.0であってもよい。例えば、小面積孔
のエッチングファクターは2.1~3.0であってもよい。例えば、小面積孔のエッチン
グファクターは2.2~3.0であってもよい。
【0268】
ここで、エッチングファクターは、エッチングされた小面積孔の深さB/小面積孔上の
アイランド部から延長されて貫通ホールの中心方向に突出したフォトレジスト層の幅A(E
tching Factor=B/A)を意味することができる。前記Aは、前記1つの面孔上に突出し
たフォトレジスト層の一側の幅及び前記一側と反対となる他側の幅の平均値を意味する。
【0269】
次に、貫通ホールを形成するステップを説明する。
【0270】
まず、前記ベース金属板の前記一面と反対となる他面上にパターン化されたフォトレジ
スト層PR2を配置することができる。前記ベース金属板の前記一面と反対となる他面上
には、大面積孔を形成するためにオープン部を有するパターン化されたフォトレジスト層
PR2を配置することができる。前記ベース金属板の一面は、エッチングを阻止するため
のコーティング層またはフィルム層のようなエッチング阻止層が配置される。
【0271】
前記フォトレジスト層PR2のオープン部は、エッチング液等に露出されるので、ベー
ス金属板の他面のうち前記フォトレジスト層P2が配置されていないオープン部でエッチ
ングが行われる。前記ベース金属板の他面は、異方性エッチングまたは等方性エッチング
によってエッチングされる。
【0272】
前記フォトレジスト層のオープン部をエッチングすることで、前記金属板の一面上の溝
は、大面積孔と連結されて貫通ホールを形成することができる。
【0273】
前記第2ステップは、1)前記ベース金属板の一面上にパターン化された前記フォトレ
ジスト層PR1と、前記ベース金属板の他面上にパターン化された前記フォトレジスト層
PR2を配置した後、2)前記ベース金属板の一面及び他面を同時にエッチングして貫通
ホールを形成することであってもよい。
【0274】
または、前記第2ステップは、1)前記ベース金属板の一面上にパターン化された前記
フォトレジスト層PR1を配置し、2)前記フォトレジスト層PR1のオープン部をハー
フエッチングして前記ベース金属板の一面上のみに溝を形成した後、3)前記ベース金属
板の他面上にパターン化された前記フォトレジスト層PR2を配置した後、4)前記ベー
ス金属板の他面で前記フォトレジスト層PR2のオープン部をエッチングして貫通ホール
を形成することであってもよい。
【0275】
または、前記第2ステップは、1)前記ベース金属板の他面上にパターン化された前記
フォトレジスト層PR2を配置し、2)前記フォトレジスト層PR2のオープン部をエッ
チングして前記ベース金属板の他面上のみに大面積孔を形成した後、3)前記ベース金属
板の一面上にパターン化された前記フォトレジスト層PR1を配置した後、4)前記ベー
ス金属板の一面で前記フォトレジスト層PR1のオープン部をハーフエッチングして前記
大面積孔と連結される貫通ホールを形成することであってもよい。
【0276】
次に、前記フォトレジスト層を除去して、前記一面上に形成された大面積孔、前記一面
と反対となる他面上に形成された小面積孔、前記大面積孔及び前記小面積孔の境界が連結
される連通部によって形成される貫通ホールを含む蒸着用マスクを形成する第3ステップ
を経て、蒸着マスクが形成される。
【0277】
前記第3ステップを経て形成された蒸着用マスク100は、前記ベース金属板と同じ物
質を含むことができる。例えば、前記蒸着用マスクは、前記ベース金属板と同じ組成の物
質を含むことができる。例えば、前記蒸着用マスクのアイランド部は、先述した表面処理
層を含むことができる。
【0278】
前記第3ステップを経て形成された蒸着用マスクは、リブ中心における最大厚さがエッ
チングを経ていない非有効領域における最大厚さより小さくてもよい。例えば、リブ中心
における最大厚さは15μmであってもよい。例えば、リブ中心における最大厚さは10
μm未満であってもよい。しかし、蒸着用マスクの非有効領域における最大厚さは20μ
m~30μmであってもよい。蒸着用マスクの非有効領域における最大厚さは、第1ステ
ップで用意されたベース金属板の厚さと同一であってもよい。または、蒸着用マスクの非
有効領域における最大厚さは、第1ステップで厚さ減少ステップを経た15μm~25μ
mであってもよい。
【0279】
図23及び図24を参照して、実施例に係る蒸着用マスクで形成された蒸着パターンを
説明する。
【0280】
図23を参照すると、実施例に係る蒸着用マスクは、小面積孔が形成された蒸着用マス
クの一面及び前記連通部の間の高さH1が3μm以下を有することができる。よって、前
記蒸着用マスクの一面と蒸着パターンが配置される基板の間の距離が近くなるので、シャ
ドウ効果による蒸着不良の減少させることができる。
【0281】
図24を参照すると、隣接したR、G、Bパターンのうち隣接した2つのパターンの間
の領域において異なる蒸着物質が同じ領域に置かれる蒸着不良が発生しなくなる。即ち、
実施例に係るR、G、Bパターンは、パターンの周囲に蒸着物質が広がるシャドウ現象を
最小化することができる。よって、実施例に係る蒸着用マスクは、小孔径の高さが3μm
以下を有することができ、OLED画素の蒸着不良を防止することができる。
【0282】
以上の実施例で説明された特徴、構造、効果などは、本発明の少なくとも1つの実施例
に含まれ、必ず1つの実施例に限定されるものではない。また、各実施例に例示された特
徴、構造、効果などは、実施例が属する分野で通常の知識を有する者によって、他の実施
例に対して組合せまたは変形して実施可能である。よって、そのような組合せと変形に係
る内容は、本発明の範囲に含まれると解釈されるべきである。
【0283】
また、以上では実施例を中心に説明したが、これは単なる例示であり、本発明を限定す
るものではなく、本発明が属する分野で通常の知識を有した者であれば、本実施例の本質
的な特性を逸脱しない範囲内で、以上で例示されていない多様な変形と応用が可能である
。例えば、実施例に具体的に提示された各構成要素は、変形して実施することができる。
そして、そのような変形と応用に係る差異点は、添付される請求の範囲で規定する本発明
の範囲に含まれると解釈されるべきである。
図1
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