(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-28
(45)【発行日】2025-03-10
(54)【発明の名称】リモートコントローラ及び照明システム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/19 20200101AFI20250303BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20250303BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20250303BHJP
H05B 47/16 20200101ALI20250303BHJP
H05B 47/165 20200101ALI20250303BHJP
【FI】
H05B47/19
H04Q9/00 321D
H05B47/105
H05B47/16
H05B47/165
(21)【出願番号】P 2023072824
(22)【出願日】2023-04-27
【審査請求日】2023-12-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発行者名 大光電機株式会社 刊行物名 無線制御システムカタログ 発行年月 令和4年5月
(73)【特許権者】
【識別番号】591112027
【氏名又は名称】大光電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長橋 章
(72)【発明者】
【氏名】山口 拓也
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-149910(JP,A)
【文献】国際公開第2016/114331(WO,A1)
【文献】特開2004-247273(JP,A)
【文献】特表2017-528895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の照明デバイスのそれぞれと接続されている複数の調光器と、
前記複数の調光器と無線通信可能であり、前記複数の調光器を制御するコントローラと、
前記複数の調光器のそれぞれと前記コントローラとの間の通信を中継するゲートウェイと、
前記複数の調光器のうち制御対象のエリア又は制御対象のグループに所属する少なくとも1つの調光器を制御するためのリモートコントローラと、
を具備し、
前記コントローラは、前記制御対象のエリア又は前記制御対象のグループに所属する前記少なくとも1つの調光器を示す識別情報を前記リモートコントローラに送信し、
前記リモートコントローラは、前記コントローラから前記識別情報を受信し、前記識別情報を記憶し、
前記リモートコントローラは、シーンの変更情報を、前記識別情報によって示されている前記少なくとも1つの調光器に送信し、
前記少なくとも1つの調光器は、前記リモートコントローラから前記変更情報を受信し、前記変更情報に基づいて前記少なくとも1つの調光器に対応する照明デバイスのシーンを変更し、
前記リモートコントローラは、前記シーンの変更解除指示を、前記識別情報によって示されている前記少なくとも1つの調光器に送信し、
前記少なくとも1つの調光器は、前記リモートコントローラから前記変更解除指示を受信した場合に、前記少なくとも1つの調光器に対応する照明デバイスのシーンの変更を解除する、
照明システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記識別情報と定時変更解除を行う時間情報とを含む設定情報を、前記ゲートウェイに送信し、
前記ゲートウェイは、前記コントローラから前記設定情報を受信し、前記設定情報を記憶し、
前記ゲートウェイは、前記時間情報の示す時間を越えると、前記識別情報によって示されている前記少なくとも1つの調光器に定時変更解除指示を送信し、
前記少なくとも1つの調光器は、前記ゲートウェイから前記定時変更解除指示を受信した場合に、前記定時変更解除指示に基づいて前記少なくとも1つの調光器に対応する照明デバイスのシーンの変更を解除する、
請求項
1の照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、照明デバイスの点灯状態を切り替えるためのリモートコントローラ及び照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特許第6266126号公報)には、固体光源と、無線回路とを備える照明ユニットが開示されている。無線回路は、無線制御信号を受信して、照明ユニットの制御を可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態は、ユーザが照明デバイスの点灯状態を容易に切り替え可能なリモートコントローラ及び照明システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態によれば、照明システムは、複数の照明デバイスのそれぞれと接続されている複数の調光器と、複数の調光器と無線通信可能であり、前記複数の調光器を制御するコントローラと、複数の調光器のそれぞれとコントローラとの間の通信を中継するゲートウェイと、複数の調光器のうち制御対象のエリア又は制御対象のグループに所属する少なくとも1つの調光器を制御するためのリモートコントローラと、を備える。コントローラは、制御対象のエリア又は制御対象のグループに所属する少なくとも1つの調光器を示す識別情報をリモートコントローラに送信する。リモートコントローラは、コントローラから識別情報を受信し、識別情報を記憶する。リモートコントローラは、シーンの変更情報を、識別情報によって示されている少なくとも1つの調光器に送信する。少なくとも1つの調光器は、リモートコントローラから変更情報を受信し、変更情報に基づいて少なくとも1つの調光器に対応する照明デバイスのシーンを変更する。リモートコントローラは、シーンの変更解除指示を、識別情報によって示されている少なくとも1つの調光器に送信する。少なくとも1つの調光器は、リモートコントローラから変更解除指示を受信した場合に、少なくとも1つの調光器に対応する照明デバイスのシーンの変更を解除する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態に係る照明システムの構成の一例を示すブロック図。
【
図2】第1の実施形態に係るリモートコントローラの一例を示す正面図。
【
図3】第1の実施形態に係る照明システムによって実行される点灯・消灯処理の例を示すシーケンス図。
【
図4】第1の実施形態に係る照明システムによって実行される変更処理及び変更解除処理の例を示すシーケンス図。
【
図5】第2の実施形態に係る無線調光器の構成の一例を示すブロック図。
【
図6】第2の実施形態に係る無線モジュールによって実行される処理の一例を示すフローチャート。
【
図7】第3の実施形態に係る無線調光器の構成の一例を示すブロック図。
【
図8】調光信号の電圧と平均電圧との関係の例を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら各実施形態について説明する。以下の説明において、略同一の機能及び構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0008】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、リモートコントローラと、当該リモートコントローラで操作される照明システムに関する。
【0009】
図1は、第1の実施形態に係るリモートコントローラ1を備える照明システム2の構成の一例を示す図である。なお、
図1に例示する各種の構成要素は、同一又は類似の機能及び作用を実現可能であれば、自由に組み合わせてもよく、又は、自由に分離してもよい。
【0010】
照明システム2は、コントローラ3、ゲートウェイ4、複数の無線調光器D1~Drと調光器具A1~Arと照明デバイスI1~Irとの組み合わせ、リモートコントローラ1を含む。
【0011】
コントローラ3は、照明システム2の制御に使用される。コントローラ3は、リモートコントローラ1の上位の制御装置である。コントローラ3は、ゲートウェイ4経由で、複数の無線調光器D1~Drと無線通信を行う。より具体的に説明すると、コントローラ3とゲートウェイ4とは、第1の無線通信により通信を行う。ゲートウェイ4と複数の無線調光器D1~Drとは、第2の無線通信により通信を行う。第1の実施形態においては、第1の無線通信を無線LAN(Local Area Network)通信とし、第2の無線通信をブルートゥース(登録商標)とする。
【0012】
コントローラ3は、リモートコントローラ1の設定に使用される。コントローラ3とリモートコントローラ1とは、例えば、無線LAN又はブルートゥースなどのような無線通信を行う。
【0013】
コントローラ3は、ペアリング(プロビジョニング)により、ゲートウェイ4、複数の無線調光器D1~Dr、リモートコントローラ1を認識し、ゲートウェイ4、複数の無線調光器D1~Dr、リモートコントローラ1と通信可能になる。
【0014】
コントローラ3は、ユーザ(オペレータ)の操作を受け付け、シーン情報を生成及び記憶し、シーン情報をゲートウェイ4経由で複数の無線調光器D1~Drに送信する。
第1の実施形態において、シーンとは、照明の状態、例えば少なくとも1つの照明デバイスによって形成される照明演出、を意味するものとする。
【0015】
コントローラ3は、ユーザの操作を受け付け、各種の設定情報を生成及び記憶し、設定情報5をリモートコントローラ1へ送信する。設定情報5は、例えば、リモートコントローラ1の制御対象となる施設、制御対象となるエリア、制御対象となるグループ、制御対象となる無線調光器又は調光器具を示す識別情報9を含むとしてもよい。また、設定情報5は、例えば、シーンの変更を解除する時間情報を含むとしてもよい。
【0016】
第1の実施形態において、コントローラ3は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、携帯電話機、モバイルコンピュータ、リモートコントローラ、又は、制御端末などの装置としてもよい。
【0017】
ゲートウェイ4は、プロトコルが異なるネットワーク間でデータを送受信可能にするための中継処理を実行する。ゲートウェイ4は、リモートコントローラ1から定時変更解除指示と時間情報を受信した場合に、時間情報の示す時間に複数の無線調光器D1~Drのシーンの一時変更を解除する機能を備えていてもよい。
【0018】
第1の実施形態においては、複数の照明デバイスI1~Irのそれぞれに複数の調光器具A1~Arが接続されている。第1の実施形態において、複数の照明デバイスI1~Ir及び複数の調光器具A1~Arは、無線通信に対応していないとする。無線調光器D1~Drは、非無線対応の調光器具A1~Arに対して接続される。このように、非無線対応の調光器具A1~Arに対して無線調光器D1~Drを適用することにより、無線通信を用いて調光器具A1~Ar及び照明デバイスI1~Irを制御可能になる。
【0019】
なお、複数の照明デバイスI1~Irは、複数の調光器具A1~Arを介することなく、無線調光器D1~Drに接続されてもよい。言い換えれば、複数の調光器具A1~Arは削除されるか、無線調光器D1~Drの一部の機能として無線調光器D1~Drに組み込まれてもよい。
【0020】
複数の無線調光器D1~Drと調光器具A1~Arと照明デバイスI1~Irとの組み合わせは、照明システム2の導入先の施設Fに設置される。第1の実施形態において、施設Fは例えば建築物の1つのフロアとしてもよい。
【0021】
施設Fは、複数のエリアE1~Enに区分けされる。複数の無線調光器D1~Drと調光器具A1~Arと照明デバイスI1~Irとの組み合わせのそれぞれは、複数のエリアE1~Enのいずれかに所属する。
【0022】
複数のエリアE1~Enのそれぞれには、少なくとも1つのグループが所属する。
【0023】
少なくとも1つのグループのそれぞれには、少なくとも1つの無線調光器と調光器具と照明デバイスの組み合わせが所属する。
【0024】
以下においては、エリアE1~EnのうちエリアE1を代表して説明するが、他のエリアE2~EnもエリアE1と同様である。
【0025】
以下においては、エリアE1に属するグループG1~GmのうちグループG1を代表して説明するが、他のグループG2~GmもグループG1と同様である。
【0026】
グループG1には、複数の無線調光器D1~Dk、複数の調光器具A1~Ak、複数の照明デバイスI1~Ikが所属する。
【0027】
複数の無線調光器D1~Dkのそれぞれは、複数の調光器具A1~Akのそれぞれと接続される。複数の調光器具A1~Akのそれぞれは、複数の照明デバイスI1~Ikのそれぞれと接続される。
【0028】
複数の無線調光器D1~Dkのそれぞれは、無線モジュールW1~Wkのそれぞれを備える。
【0029】
以下においては、複数の無線調光器D1~Dk、複数の調光器具A1~Ak、複数の照明デバイスI1~Ikのうち、無線調光器D1、調光器具A1、照明デバイスI1を代表して説明するが、他の無線調光器D2~Dk、他の調光器具A2~Ak、他の照明デバイスI2~Ikも、無線調光器D1、調光器具A1、照明デバイスI1と同様である。
【0030】
無線調光器D1は、無線モジュールW1を用いて、コントローラ3からゲートウェイ4を介して無線調光器D1宛てのシーン情報を無線により受信する。無線調光器D1は、受信したシーン情報を記憶し、シーン情報にしたがって、調光器具A1に調光信号(制御信号)を送信する。これにより、照明デバイスI1は、シーン情報に対応する照明を実現する。
【0031】
無線調光器D1は、無線モジュールW1を用いて、リモートコントローラ1から無線調光器D1宛ての変更指示を無線により受信する。無線調光器D1は、例えば、リモートコントローラ1から識別情報と変更情報とを受信し、識別情報に基づいて宛先判定を行う。無線調光器D1は、無線調光器D1宛ての変更情報を記憶する。なお、無線調光器D1は、リモートコントローラ1からゲートウェイ4経由で無線調光器D1宛ての変更情報を受信してもよい。
【0032】
無線調光器D1は、変更情報にしたがって、調光器具A1に調光信号を送信する。これにより、照明デバイスI1は、シーン情報を変更した状態の照明を実現する。
【0033】
無線調光器D1は、無線モジュールW1を用いて、リモートコントローラ1から無線調光器D1宛ての変更解除指示を無線により受信する。無線調光器D1は、例えば、リモートコントローラ1から識別情報と変更解除情報とを受信し、識別情報に基づいて変更解除情報の宛先判定を行う。
【0034】
無線調光器D1は、変更解除指示を受信した場合に、調光器具A1を元のシーン情報に基づいて制御する。これにより、照明デバイスI1は、変更前のシーン情報に対応する照明状態に復帰する。
【0035】
無線調光器D1は、無線モジュールW1を用いて、ゲートウェイ4から無線調光器D1宛ての定時変更解除指示を無線により受信する。定時変更解除指示とは、設定された時間になった場合に発行され、変更されたシーン情報を元のシーン情報に復帰させること示す。無線調光器D1は、例えば、ゲートウェイ4から識別情報と定時変更解除指示とを受信し、識別情報に基づいて定時変更解除指示の宛先判定を行う。
【0036】
無線調光器D1は、定時変更解除指示を受信した場合に、元のシーン情報に基づいて生成された調光信号を調光器具A1に送信する。これにより、照明デバイスI1は、所定の時間になった場合に、変更前のシーン情報に対応する照明状態に復帰する。無線調光器D1の具体的な構成は後述の第2の実施形態で説明する。
【0037】
定時に変更を解除する方法としては、ゲートウェイ4から無線調光器D1へ定時変更解除指示を発信することに代えて、無線調光器D1に変更を解除する時刻を指定する定時変更解除情報を記憶させておき、無線調光器D1が定時変更解除情報に基づいて指定されている時刻に変更解除処理を実行するとしてもよい。
【0038】
調光器具A1は、無線調光器D1から調光信号を受信し、受信した調光信号にしたがって照明デバイスI1を制御する。調光信号は、例えばPWM(Pulse Width Modulation)信号などでもよい。以下では、調光信号がPWM信号である場合を例として説明するが、調光信号は他の方式の信号でもよい。
【0039】
調光器具A1と無線調光器D1との間は、PWM信号線Lにより接続されている。
【0040】
照明デバイスI1は、例えばLED(Light Emitting Diode)でもよい。照明デバイスI1は、調光器具A1の制御にしたがって点灯、消灯、又は、点滅する。
【0041】
リモートコントローラ1は、照明システム2がシーン再生している場合(シーン情報に基づく照明状態を実行している場合)であっても、ユーザの操作を受け付け、施設Fに所属している一部の無線調光器(例えば、特定のエリアに属する無線調光器、特定のグループに属する無線調光器、特定の無線調光器)に対してシーンからの離脱(照明デバイスの点灯、消灯、点滅、調光の変更、調色の変更)、変更の解除(元のシーンへの復帰)を指示するために使用される。
【0042】
リモートコントローラ1は、コントローラ3の下位の制御装置であり、コントローラ3より小型、軽量であり、制御対象が少ない。リモートコントローラ1は、無線通信を用いてコントローラ3から設定情報5を受信し、設定情報5を記憶する。リモートコントローラ1は、操作部7によりユーザの変更操作を受け付け、変更操作に対応する変更情報8を記憶する。リモートコントローラ1は、設定情報5に含まれている識別情報9によって特定される1台又は複数台の無線調光器D1に対して、変更情報8を送信する。
【0043】
識別情報9は、例えば、送信先(リモートコントローラ1の制御対象)のフロアF、送信先のエリアE1、送信先のグループG1、送信先の無線調光器D1のうちの少なくとも1つを特定する。これにより、識別情報9で特定されているフロアFに属する無線調光器D1~Dr、識別情報9で特定されているエリアE1に属する無線調光器、識別情報9で特定されているグループG1に属する無線調光器D1~Dk、又は、識別情報9で特定されている無線調光器D1に、変更情報8が送信される。
【0044】
リモートコントローラ1は、例えば、オフィスのデスクの引き出し内に収容可能なサイズとしてもよい。リモートコントローラ1の背面には、磁石が備えられ、デスク、ドア、ホワイトボードなどの様々な場所に容易に設置可能としてもよい。
【0045】
リモートコントローラ1は、例えば、操作部7、表示部10、通信部(無線モジュール)11、記憶部12、処理部13を備える。
【0046】
操作部7は、例えば、ボタン、又は、スイッチを含む。操作部7は、ユーザの操作を受け付け、ユーザの操作内容を示す操作信号を処理部13に送信する。操作部13の具体例は、
図2を用いて後で説明する。
【0047】
表示部10は、例えば、LED、液晶デバイス、又は、有機EL(エレクトロルミネッセンス)デバイスなどを含む。表示部10は、処理部13から例えばリモートコントローラ1又は照明システム2の状態などを示す表示信号を受信し、表示信号に対応する表示を行う。具体例として、表示部10は、異なる発光色のモニター用LEDとしてもよい。表示部10を備えることにより、ユーザは、リモートコントローラ1の各種機能の動作状態をモニターできる。
【0048】
表示部10は、例えば、リモートコントローラ1の状態を点灯、消灯、又は、点滅で表す。例えば、赤色LEDの長周期の点滅は、ペアリングの待機状態を表す。例えば、緑色LEDの長周期の点滅は、制御対象の設定(例えばエリア又はグループの特定)の待機状態を表す。例えば、オレンジ色LEDの点灯又は点滅は、電池残量が所定値を下回ったことを表す。例えば、赤色LEDの点灯は、通信部11による電波送信状態を表す。
【0049】
通信部11は、無線調光器D1と例えば第2の無線通信により通信可能である。なお、通信部11は、第1の無線通信によりゲートウェイ4と通信可能とし、第2の無線通信により無線調光器D1と通信可能としてもよい。
【0050】
記憶部12は、例えば、処理部13で生成されたデータ、処理部13で使用されるデータ、又は、処理部13で使用されるプログラムなどのソフトウェア14を記憶する。記憶部12に記憶されているソフトウェア14は、例えば、各種の設定値、コントローラ3から受信したデータなどを含むとしてもよい。
【0051】
記憶部12は、例えば、コントローラ3から受信した設定情報5、操作部7によって受け付けた操作内容を示す変更情報8を記憶する。
【0052】
処理部13は、例えば、マイクロコンピュータ、又は、プロセッサとしてもよい。処理部13は、記憶部12に記憶されているソフトウェア14に基づいて例えば通信処理などのような各種の処理を実行する。
【0053】
処理部13は、各種の処理にしたがって、通信部11経由でコントローラ3と無線通信する。処理部13は、各種の処理にしたがって、通信部11経由で複数の無線調光器D1~Drのうちの少なくとも1つと無線通信する。処理部13は、各種の処理にしたがって、通信部11経由でゲートウェイ4と無線又は有線により通信可能である。
【0054】
処理部13は、コントローラ3から通信部11経由で受信した設定情報5を記憶部12に記憶させる。処理部13は、操作部7から受け付けた操作内容にしたがって、変更情報8を生成し、生成した変更情報8を記憶部12に記憶させる。そして、処理部13は、操作部7から受け付けた操作内容にしたがって、記憶部12に記憶されている変更情報8を、通信部11経由で、複数の無線調光器D1~Drのうち識別情報9で特定されている無線調光器に送信する。
【0055】
以下で第1の実施形態に係るリモートコントローラ1を備える照明システム2の動作を説明する。
【0056】
リモートコントローラ1は、無線通信可能な通信部11を内蔵しており、設定情報5、変更情報8を複数の無線調光器D1~Drのうちの少なくとも1つと通信可能である。リモートコントローラ1の設定は、コントローラ3により行われる。
【0057】
リモートコントローラ1は、コントローラ3とペアリングを行い、通信可能となる。リモートコントローラ1は、コントローラ3から受信した設定情報5を記憶する。設定情報5は、例えばエリア又はグループを示す識別情報9を含む。これにより、リモートコントローラ1の制御対象となる無線調光器が特定可能であり、リモートコントローラ1は、制御対象の無線調光器を認識し、制御対象の無線調光器のシーンを変更可能になる。
【0058】
リモートコントローラ1は、照明システム2がシーン再生中であっても、予め設定されている特定のエリア又はグループ内の無線調光器を一時的にシーン制御から離脱させることができる。
【0059】
リモートコントローラ1によるシーン情報の一時的な変更は、例えば、明るさの調整、色温度の調整、消灯(オフ)などを含む。リモートコントローラ1は、シーンの変更後に、変更を解除して元のシーンに復帰させることが可能である。シーンの変更は、シーンの変更解除が実行されるまで継続されるとしてもよい。シーンの変更に関する情報は、シーンの変更解除後に破棄され、変更解除後のシーンに影響しないとしてもよい。
【0060】
リモートコントローラ1によりシーンを変更している間、制御対象の無線調光器の無線モジュールは、タイマによるシーンの切り替え状態又は壁シーンスイッチから受信したシーンの切り替え状態を記憶する。リモートコントローラ1によりシーンの復帰(変更の解除)が指示された場合、制御対象の無線調光器は、記憶されているシーンの切り替え状態に復帰可能である。
【0061】
シーンの変更が解除されると、シーンの変更情報8を受信した無線調光器D1は、同一エリアE1又は同一グループG1に属する他の無線調光器D2~Dkと同じシーン情報に対応する状態を実現し、他の無線調光器D2~Dkと同一のシーン情報にしたがった照明状態に復帰することができる。
【0062】
ユーザは、リモートコントローラ1を用いてシーンの復帰操作を行うことができる。加えて、ユーザは、定時自動復帰を設定可能としてもよい。このように、特定の時間に変更から復帰する設定を採用することにより、ある時点でリモートコントローラ1によるシーンの変更を無効化することができる。
【0063】
図2は、第1の実施形態に係るリモートコントローラ1の一例を示す正面図である。
【0064】
リモートコントローラは、正面に、ON/OFFボタン15、プラスボタン16、マイナスボタン17、シーンボタン(調光ボタン)18、CCTボタン(調色ボタン)19、表示部20を備える。
【0065】
ON/OFFボタン15は、制御対象の照明デバイスI1の点灯と消灯を切り替える操作を受け付ける。
プラスボタン16は、各種の値を増加させる指示を受け付ける。
マイナスボタン17は、各種の値を減少させる指示を受け付ける。
シーンボタン18は、明るさの状態を変更する指示を受け付ける。
CCTボタン19は、色温度の状態を変更する指示を受け付ける。
リモートコントローラ1は、図示しない背面に、初期化の指示を受け付けるセットアップスイッチを備えるとしてもよい。
リモートコントローラ1は、図示しない背面に、省電力モードの実行及び省電力モードからの復帰の指示を受け付けるスイッチを備えるとしてもよい。
【0066】
表示部20は、例えばLEDであり、リモートコントローラ1の状態、照明システム2の状態に基づいて、点灯、消灯、又は、点滅する。
【0067】
図3は、第1の実施形態に係る照明システム2によって実行される点灯・消灯処理の例を示すシーケンス図である。
【0068】
S301~S303において、コントローラ3は、ゲートウェイ4とペアリングを実行し、無線調光器D1とペアリングを実行し、ゲートウェイ4及び無線調光器D1と通信可能な状態になる。
【0069】
S304において、コントローラ3は、ゲートウェイ4にシーン情報を送信する。
【0070】
S305において、ゲートウェイ4は、コントローラ3からシーン情報を無線により受信し、シーン情報を無線調光器D1に無線により送信する。
【0071】
S306において、無線調光器D1は、ゲートウェイ4からシーン情報を無線により受信し、シーン情報を記憶する。
【0072】
S307において、コントローラ3は、ゲートウェイ4に点灯指示を無線により送信する。
【0073】
S308において、ゲートウェイ4は、コントローラ3から点灯指示を無線により受信し、点灯指示を無線調光器D1に無線により送信する。
【0074】
S309において、無線調光器D1は、ゲートウェイ4から点灯指示を無線により受信し、記憶しているシーン情報に基づくPWM信号を調光器具A1に送信する。
【0075】
S310において、コントローラ3は、ゲートウェイ4に消灯指示を無線により送信する。
【0076】
S311において、ゲートウェイ4は、コントローラ3から消灯指示を無線により受信し、消灯指示を無線調光器D1に無線により送信する。
【0077】
S312において、無線調光器D1は、ゲートウェイ4から消灯指示を無線により受信し、調光器具A1に対するPWM信号の送信を停止する。
【0078】
図4は、第1の実施形態に係る照明システム2によって実行される変更処理及び変更解除処理の例を示すシーケンス図である。
【0079】
S401~S403において、コントローラ3はリモートコントローラ1とペアリングを実行して通信可能な状態になり、リモートコントローラ1は無線調光器D1とペアリングを実行して通信可能な状態になる。
【0080】
S404において、コントローラ3は、例えば、制御対象の識別情報9、変更を解除する時間情報などを含む設定情報5をゲートウェイ4及びリモートコントローラ1に送信する。
【0081】
S405及びS406において、ゲートウェイ4及びリモートコントローラ1は、コントローラ3から設定情報5を受信し、設定情報5を記憶する。
【0082】
S407において、リモートコントローラ1は、設定情報5の識別情報9によって指定される無線調光器D1に対して、変更情報8を無線により送信する。
【0083】
S408において、無線調光器D1は、リモートコントローラ1から変更情報8を無線により受信し、変更情報8に対応するPWM信号を調光器具A1に送信する。これによりシーンの変更が実現される。
【0084】
S409において、リモートコントローラ1は、設定情報5の識別情報9によって指定される無線調光器D1に対して、変更解除指示を無線により送信する。
【0085】
S410において、無線調光器D1は、リモートコントローラ1から変更解除指示を無線により受信し、元のシーン情報に対応するPWM信号を調光器具A1に送信する。これによりシーンの変更が解除され、シーンが復帰する。
【0086】
S411において、ゲートウェイ4は、設定情報5に含まれている時間情報によって指定されている定時変更解除の時間になると、設定情報5の識別情報9によって指定される無線調光器D1に対して、定時変更解除指示を無線により送信する。
【0087】
S412において、無線調光器D1は、ゲートウェイ4から定時変更解除指示を無線により受信し、元のシーン情報に対応するPWM信号を調光器具A1に送信する。これにより定時にシーンの変更が解除されてシーンが復帰する。
【0088】
なお、定時変更解除指示は、ゲートウェイ4からではなく、コントローラ3から送信されてもよく、リモートコントローラ1から送信されてもよく、無線調光器D1が自ら発生させてもよい。
【0089】
以上説明した第1の実施形態においては、コントローラ3を使わなくても、リモートコントローラ1に対するユーザの操作に基づいて、又は、リモートコントローラ1に予め設定された設定情報5に基づいて、特定のエリアE1、特定のグループG1、又は、特定の無線調光器D1の制御を切り替えることができ、照明デバイスI1の点灯、消灯、調光の変更、調色の変更を行うことができる。ユーザは、全体のシーンを変えることなく、自分の意図した一部分(特定のエリアE1、特定のグループG1、又は、特定の無線調光器D1)だけの照明状態を変更することができる。
【0090】
第1の実施形態においては、リモートコントローラ1によって切り替えた照明デバイスI1の照明状態を、ユーザの操作にしたがって、又は、定時に、元のシーンに復帰させることができる。
【0091】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、上記第1の実施形態で説明された無線調光器D1を具体的に説明する。
【0092】
第2の実施形態においては、無線機能を有していない照明デバイスI1及び調光器具A1に対して、無線調光器D1を組み合わせることにより、照明デバイスI1及び調光器具A1を、無線機能を有する照明システム1に組み込む。
【0093】
図5は、第2の実施形態に係る無線調光器(パワーボックス)D1の構成の一例を示すブロック図である。なお、
図5に例示する各種の構成要素は、同一又は類似の機能及び作用を実現可能であれば、自由に組み合わせてもよく、又は、自由に分離してもよい。
【0094】
例えば、無線調光器D1と調光器具A1とは1つの装置としてもよい。例えば、調光ユニット21と調光器具A1とは、1つの装置としてもよい。
図5において、調光器具A1と照明デバイスI1とは、まとめて調光型照明器具を構成するとしてもよい。調光型照明器具の調光方式としては、位相制御型、PWM制御型、PWM調光調色型、DALI(登録商標)(Digital Addressable Lighting Interface)制御型などがある。調光器具A1は、例えば調光型別置き電源としてもよい。調光型照明器具の調光方式に適合した無線調光器D1が、調光型照明器具に接続される。調光型照明器具と無線調光器D1との間の配線は、調光方式によって異なる配線となる。このため、ユーザは、調光型照明器具と無線調光器D1との間を調光方式に適合した配線で接続する必要がある。第2の実施形態においては、電気工事において、調光型照明器具と無線調光器D1との間の配線に誤りがあっても無線調光器D1の破壊を防止可能とする。
【0095】
図5においては、ゲートウェイ4及びリモートコントローラ1を省略している。
【0096】
調光器具A1は、無線調光器D1から電力の供給を受ける。また、調光器具A1は、無線調光器D1から調光信号を受信し、受信した調光信号にしたがって照明デバイスI1を制御する。調光信号は、例えばPWM信号などでもよい。
【0097】
調光器具A1と無線調光器D1との間は、PWM信号線Lにより接続されている。
【0098】
無線調光器D1は、PWM信号線L及び無線機能を有していない調光器具A1経由で、照明デバイスI1と接続される。無線調光器D1は、調光器具A1及び照明デバイスI1を、無線通信を行うコントローラ3と連動させるための装置である。無線調光器D1は、例えば、位相調光方式、PWM調光方式(単色又は調光調色)、又は、オン/オフ方式などの調光を行うが、第2の実施形態ではPWM調光方式を例として説明する。
【0099】
無線調光器D1は、無線モジュールW1と調光ユニット21とを備える。無線モジュールW1と調光ユニット21とは、例えばワイヤーハーネス又はケーブルハーネスなどのような信号と電力を伝達する有線伝達路22により通信可能及び電力供給可能に接続される。
【0100】
無線モジュールW1は、無線通信を用いてコントローラ3からゲートウェイ4経由で無線信号を受信する。無線モジュールW1は、調光ユニット21と有線伝達路22により電気的に接続される。無線モジュールW1は、調光ユニット21から有線伝達路22経由で電力を受ける。無線モジュールW1は、調光ユニット21に対して有線伝達路22経由で信号を送信し、調光ユニット21から有線伝達路22経由で信号を受信する。
【0101】
無線モジュールW1は、調光ユニット21に電気的に接続されることで使用される。無線モジュールW1は、例えば、操作部23、表示部24、接続部25、通信モジュール26を備える。
【0102】
操作部23は、例えば、ボタン、又は、スイッチを含む。操作部23は、ユーザの操作を受け付け、ユーザの操作内容を示す操作信号を通信モジュール26に送信する。操作部23は、例えば、エリア設定スイッチ、チェックスイッチ、強制解除(リセット)スイッチを含むとしてもよい。エリア設定スイッチ、チェックスイッチ、強制リセットスイッチは、適宜組み合わせてもよい。より具体的には、操作部23は、例えばディップスイッチ又は押しボタンスイッチを含むとしてもよい。
【0103】
エリア設定スイッチは、無線調光器D1が所属するエリアの識別情報(例えば番号)を設定可能であり、さらに、チェックモードの起動スイッチとして機能させることも可能である。
【0104】
無線モジュールW1は、例えば、チェックモードで起動した場合に、時間軸でパターン化された照明動作、又は、一定の照明点灯などのチェックパターンにそって照明デバイス4を点灯、消灯、又は、点滅させる。
【0105】
チェックモード中、強制リセットスイッチは、チェックモードのパターンを切り替えるスイッチとして使用されてもよい。具体的には、チェックモード中において、強制リセットスイッチは、複数のチェックモードの中からいずれかのチェックモードの指定を受け付ける。無線モジュールW1は、チェックモード中、強制リセットスイッチによって指定されたチェックモードにより動作する。
【0106】
第2の実施形態において、無線モジュールW1は、チェックモードを、無線通信のペアリングを実行する前に起動させることが可能である。
【0107】
表示部24は、例えば、LED又は液晶デバイスなどを含む。表示部24は、通信モジュール26から例えば無線モジュールW1又は照明システム1の状態などを示す表示信号を受信し、表示信号に対応する表示を行う。具体例として、表示部24は、第1の色、第2の色のそれぞれ独立したモニター用LEDとしてもよい。表示部24は、通電状態及び通信状態を点灯、消灯、又は、点滅で表す。
【0108】
接続部25は、有線伝達路22の一端と接続可能である。接続部25に接続された優先伝達路22の複数の端子のうちの1つは、調光ユニット21がアナログ通信制御モードで動作する場合に、モードセレクト端子として機能する。
【0109】
通信モジュール26は、通信アンテナ27、記憶部28、演算部29を備える。通信モジュール26は、調光ユニット21から有線伝達路22及び接続部25経由で電力を受ける。通信モジュール26は、コントローラ3とゲートウェイ4経由で無線により通信する。通信モジュール26は、リモートコントローラ1とゲートウェイ4経由で、又は、ゲートウェイ4を経由することなく、無線により通信する。通信モジュール26は、接続部25及び有線伝達路22経由で調光ユニット21と有線により通信する。
【0110】
通信アンテナ27は、電波を受信して電気信号を演算部29に送信する。
【0111】
記憶部28は、例えば、演算部29で生成されたデータ、演算部29で使用されるデータ、又は、演算部29で使用されるプログラムなどのソフトウェアを記憶する。記憶部28に記憶されているソフトウェアは、例えば、各種の設定値、コントローラ3から受信したデータ、リモートコントローラ1から受信したデータ、ゲートウェイ4から受信したデータ、又は、調光ユニット21から受信したデータなどを含むとしてもよい。記憶部28は、例えばシーン情報、無線モジュールW1が所属するフロア・エリア・グループを示す所属情報などを記憶してもよい。シーンとは、照明の状態、例えば少なくとも1つの照明デバイスによって形成される照明演出を意味するとしてもよい。
【0112】
演算部29は、例えば、マイクロコンピュータ、又は、プロセッサとしてもよい。演算部29は、記憶部28に記憶されているソフトウェアに基づいて例えば通信処理、判定処理、又は、チェックモード処理などのような各種の処理を実行する。
【0113】
演算部29は、各種の処理にしたがって、通信アンテナ27、ゲートウェイ4経由で、コントローラ3と無線通信する。演算部29は、各種の処理にしたがって、通信アンテナ27を用いて、リモートコントローラ1と、ゲートウェイ4経由で、又は、ゲートウェイ4を経由することなく、無線通信する。演算部29は、各種の処理にしたがって、接続部25及び有線伝達路22経由で調光ユニット21と有線通信する。演算部29によって実行される処理の一例を、
図6のフローチャートを用いて後で説明する。
【0114】
演算部29は、種類の異なる通信制御モード(例えば、通信制御フォーマット、通信仕様、通信方式)を自動的に判定する機能を含む。演算部29は、例えば、接続部25における特定の端子(ピン)の電気的な接続状態(無線モジュールW1と調光ユニット21との間の電気的な接続状態)、又は、通信状態の少なくとも1つに基づいて通信制御モードを判定する。
【0115】
演算部29は、調光ユニット21に対する通信において、複数の異なる種類の通信制御モードを備える。演算部29が複数の異なる種類の通信制御モードに対応可能であるため、当該無線モジュールW1は、1台で、種類の異なる調光ユニット21に適用可能である。具体例として、演算部29は、アナログ通信制御モード、単チャンネルのデジタル通信制御モード(シリアル通信)、2チャンネルのデジタル通信制御モード(シリアル通信)、又は、多チャンネルのデジタル通信制御モード(シリアル通信)のいずれにも対応可能である。
【0116】
演算部29は、例えばディップスイッチなどのような操作部23の状態に応じて、チェックモードを実行する。このため、演算部29は、コントローラ3がない状態、又は、コントローラ3と通信できない状況であっても、無線モジュールW1と調光ユニット21と調光器具A1と照明デバイスI1の接続・動作のテストを実行可能である。具体的には、演算部29は、チェックモード(又はテストモード)が実行されると、記憶部28に記憶されているチェックパターンに基づいて、点灯、消灯、点滅、調光、調色などのための制御を行う。ユーザは、チェックモードにしたがって発光する照明デバイスI1を確認することにより、無線モジュールW1と調光ユニット21と調光器具A1と照明デバイスI1の接続・動作を確認することができる。これにより、コントローラ3と無線モジュールW1との間のペアリングをしなくても無線モジュールW1から照明デバイスI1までの配線を確認することができる。演算部29がチェックモードを実行することにより、ユーザの現場での作業性を向上させることができ、ユーザは照明システム2のセットアップ前に点検を行うことができる。
【0117】
演算部29は、例えばディップスイッチなどのような操作部23の状態に応じて、無線調光器D1が所属するエリアを設定可能である。このため、照明システム1の施工工事又はセットアップが完了する前であっても、又は、照明システム1に対する通電ができない状態であっても、ユーザの操作により無線モジュール2に予めエリア又はグループを設定することができる。これにより、照明システム1に対する施工工事、セットアップ、又は、通電開始の後に必要になる機器の設定及びエリア又はグループの設定の時間を短縮することができ、ユーザの負担を軽減することができる。
【0118】
演算部29は、例えば押しボタンスイッチの押下などのような操作部23の状態に応じて、コントローラ3から実行されたペアリング(プロビジュニング)を強制的に解除する。一般的にペアリングの解除は、設定を行ったコントローラ3のみが実行可能であったが、第2の実施形態では、ユーザが手動で強制解除スイッチを操作し、演算部29がペアリングの解除を行う。これにより、コントローラ3の故障又は紛失が発生した場合、又は、コントローラ3と無線モジュールW1とが通信可能でない状況の場合に、無線モジュールW1とコントローラ3とのペアリングを解除し、コントローラ3又は新しいコントローラからの再セットアップを実行することができる。
【0119】
演算部29は、例えば、記憶部28に記憶されているシーン情報に基づいて、照明制御信号を生成し、照明制御信号を接続部25及び有線伝達路22経由で調光ユニット21に送信してもよい。
【0120】
調光ユニット21は、外部の電源からの電力を受け、電力変換を行う。調光ユニット21は、変換された電力を調光器具A1経由で照明デバイスI1に供給する。調光ユニット21は、有線伝達路22経由で無線モジュールW1と接続されている。調光ユニット21は、無線モジュールW1に対して有線伝達路22経由で信号を送信し、無線モジュールW1から有線伝達路22経由で信号を受信する。調光ユニット21は、変換された電力を有線伝達路22経由で無線モジュールW1に供給する。調光ユニット21は、接続部30、記憶部31、操作部32、処理部33、電力変換部34、調光部(例えば調光回路)35、表示部36、異常検出部(例えば異常検出回路)37を備える。なお、処理部33と調光部35とは、組み合わせて1つの構成要素としてもよい。処理部33と異常検出部37とは、組み合わせて1つの構成要素としてもよい。その他の構成要素も適宜組み合わせてもよい。
【0121】
接続部30は、有線伝達路22の他端と接続可能である。接続部30は、複数の端子を含む。
【0122】
記憶部31は、例えば、処理部33で生成されたデータ、処理部33で使用されるデータ、又は、処理部33で使用されるプログラムなどのソフトウェアを記憶する。記憶部31に記憶されているソフトウェアは、例えば、各種の設定値、無線モジュールW1から受信したデータなどを含むとしてもよい。より具体的には、記憶部31は、例えば、電源種別コード、通信フォーマットを記憶する。
【0123】
操作部32は、例えば、ボタン(例えば押しボタンスイッチ)、又は、スイッチ(例えばディップスイッチ)を含む。操作部32は、ユーザの操作を受け付け、ユーザの操作内容を示す操作信号を処理部33に送信する。操作部32は、例えば、チェックスイッチを含むとしてもよい。
【0124】
処理部33は、例えば、マイクロコンピュータ、又は、プロセッサとしてもよい。処理部33は、操作部32の指定にしたがって、記憶部31に記憶されているソフトウェアに基づいて各種の処理を実行する。
【0125】
処理部33は、各種の処理にしたがって、電力変換部34、調光部35、表示部36、異常検出部37を制御し、接続部30及び有線伝達路22経由で無線モジュールW1と通信する。
【0126】
第2の実施形態において、処理部33は、操作部32の操作状態(例えばチェックスイッチの状態)にしたがってチェックモードを実行する。処理部33は、単独でチェックモードを起動してもよく、チェックモードにおいて異常検出部37と協働して異常の検出を行ってもよく、無線モジュールW1のチェックモードと協働してもよい。処理部33がチェックモードで動作することにより、ユーザは、例えばPWM信号線Lなどの配線チェック及び各種の動作確認を行うことができる。
【0127】
電力変換部34は、処理部33による制御にしたがって動作し、電源から供給された電力を変換する。電力変換部34は、例えば、電源から供給された電流の電圧、電流、周波数を所定の電圧、電流、周波数へ変換する。電力変換部34は、変換された電力を、記憶部31、操作部32、処理部33、調光部35、表示部36、異常検出部37へ供給する。電力変換部34は、変換された電力を、調光部35経由で調光器具A1へ供給し、及び、接続部30及び有線伝達路22経由で無線モジュールW1へ供給する。
【0128】
調光部35は、電力変換部34から変換された電力を受け、調光器具A1に電力を供給する。具体的には、調光部35は、供給されたDC電力を定電圧又は定電流にし、もしくは、PWM制御し、調光信号を生成し、生成された調光信号を調光器具A1に送信する。第2の実施形態においては、調光部35から調光器具A1へアナログ信号であるPWM信号が供給される場合を例として説明するが、アナログ信号は他の方式の信号でもよい。
【0129】
異常検出部37は、処理部33と連携して異常検出処理を実行する。異常検出部37は、異常が検出された場合に、無線調光器D1の動作を停止することで、無線調光器D1の故障発生を防止し、無線調光器D1を保護する。異常検出部37は、例えばPWM配線保護回路としてもよい。異常検出部37は、無線調光器D1の通電中に常時動作し、異常検出を行うとしてもよい。処理部33は、異常発生時に、無線調光器D1の出力を停止し、有線伝達路22、無線モジュールW1経由で、コントローラ3に異常情報を送信してもよい。
【0130】
以下で異常検出部37と処理部33との協働によって実行される異常検出処理を説明する。
【0131】
例えば、調光用PWM配線を行う必要がある従来の調光器においては、誤った配線、又は、配線の短絡により、信号を出力する回路の故障、又は、回路の破壊が発生する場合がある。このような故障又は破壊を防止するため、従来の調光器では、ヒューズ又はそれに類似する保護素子を使用して、回路の故障又は破壊を防止している。
【0132】
例えば一般的な保護ヒューズを用いて回路の故障又は破壊を防止する方法においては、復旧する際に、ヒューズを物理的に交換する必要がある。ヒューズが自動復帰型である場合、ショート状態が継続すると遮断と復帰を繰り返してしまい、物理的な故障が発生し、自動復帰型のヒューズの交換が必要になる。自動復帰型のヒューズが基盤実装型である場合、基盤本体の交換が必要になる場合がある。
【0133】
このような課題に対して、第2の実施形態においては、異常検出部37を用いて異常の検出を行う。より具体的には、第2の実施形態に係る調光ユニット21は、例えば、PWM信号線Lのショートなどの異常検出を行う。異常検出部37は、例えば、ポリスイッチを含む。ポリスイッチは、高温になると抵抗が大きくなり、最終的に回路を遮断する。第2の実施形態においては、例えば、監視対象の信号線の一端にポリスイッチの一端を接続し、他端にポリスイッチの他端を接続する。異常検出部37は、ポリスイッチの両端で発生する電圧を示す電圧信号を処理部33に送信する。処理部33は、異常検出部37から電圧信号を受信し、例えば電圧の時間当たりの変化量に基づいて、異常を検出する。処理部33は、異常を検出した場合に異常検出部37による監視対象の回路の動作又は出力を停止する。これにより、無線調光器の故障又は破壊を大幅に減少させることができ、回路交換などの発生を防止することができる。
【0134】
第2の実施形態においては、例えばPWM信号線L又は監視対象の回路がショートしても保護機能が働くため、無線調光器D1が故障することを防止することができ、異常の原因を解消すれば照明デバイスI1を再点灯可能である。
【0135】
処理部33は、異常を検出した場合には、異常情報を、有線伝達路22、無線モジュールW1経由で、コントローラ3に送信する。コントローラ3は、アプリケーション・ソフトウェアを用いて、異常情報を表示する。これにより、ユーザは、無線調光器D1によって検出された異常を確認することができる。
【0136】
以下で無線モジュールW1によって実行される通信モードの自動設定動作を説明する。
【0137】
第2の実施形態において、無線モジュールW1は、当該無線モジュールW1と調光ユニット21との間で実行される通信がアナログ通信制御モードに準拠するか、又は、デジタル通信制御モードに準拠するか、を自動で判定し、さらに、デジタル通信制御モードに準拠すると判定された場合に、複数の種類のデジタル通信制御モードのうちのどのデジタル通信制御モードに準拠するかを自動で判定する。
【0138】
第2の実施形態では、アナログ通信制御モードがPWM通信モードである場合を例として説明するが、アナログ通信制御モードは他のアナログ通信制御モードでもよい。また、デジタル通信制御モードがシリアル通信モードである場合を例として説明するが、デジタル通信制御モードは例えばパラレル通信モードなどのような他の通信モードでもよい。
【0139】
ここで、コントローラ3と無線モジュールW1~Wrとの関係を説明する。第2の実施形態において、照明システム2は、複数の無線モジュールW1~Wrを備え、コントローラ3は、複数の無線モジュールW1~Wrと無線通信を行う。無線モジュールW1~Wrは、無線通信のためのペアリング時とペアリング後とで、異なる通信を実行してもよい。より具体的には、ペアリング時に、複数の無線モジュールW1~Wrとコントローラ3とは直接無線により接続され、ペアリング後に、ペアリングされた複数の無線モジュールW1~Wrの集合体は相互に通信可能に接続され、複数の通信伝達路を使って無線通信を行うとしてもよい。
【0140】
一般的な1対1の通信又は1対多の通信では、電波到達距離は直接到達波の距離となる。このような一般的な1対1の通信又は1対多の通信では、送信装置と受信装置が物理的な距離又は電波減衰の影響を受けやすい。これに対して、上記のように、複数の無線モジュールW1~Wrが相互に通信可能な照明システム2においては、ペアリングされた複数の無線モジュールW1~Wrによって電波伝達経路を形成することができる。言い換えれば、複数の無縁モジュールW1~Wrのそれぞれは、コントローラ3との通信のみではなく、他の無線モジュールの中継器として機能することが可能である。
【0141】
図6は、第2の実施形態に係る無線モジュールW1によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【0142】
無線モジュールW1は、調光ユニット21からの給電が開始されると、調光ユニット21の判定処理に移行し、接続電源の種別を判定する。無線モジュールW1は、起動後に、通信モードの判定を行い、次に、エリア設定スイッチの状態を判定する。エリア設定スイッチの状態がチェックモードを表す場合、無線モジュールW1は、チェックモードに対応するチェックパターンを調光ユニット21に送信する。
【0143】
ステップS601において、演算部29は、接続部25に接続された有線伝達路22の特定の端子の状態(例えば電圧の変化)に基づいて、当該特定の端子がPWMモードにおけるモードセレクト端子として機能しているか否かを判定する。演算部29は、特定の端子がモードセレクト端子として機能している場合に、PWMオンと判定し、特定の端子がモードセレクト端子として機能していない場合に、PWMオフと判定する。より具体的に説明すると、演算部29は、例えば、特定の端子の電圧が0Vか、あるいは、供給電圧かに基づいて、PWMオンか否かを判定する。この無線モジュールW1の判定は、調光ユニット21がマイクロコンピュータを非搭載であっても容易に実現することができる。したがって、無線モジュールW1は、マイクロコンピュータを搭載しない調光ユニットに対しても連結可能である。
【0144】
PWMオン(接続部9に接続された有線伝達路5の特定の端子の状態がモードセレクト端子の状態に相当)の場合、ステップS602において、演算部29は、PWM通信制御モードによる起動を行う。PWM通信制御モードによる起動の後、ステップS603において、演算部29は、操作部23に含まれているエリア設定スイッチの状態判定を行う。エリア設定スイッチは、エリアを選択可能である。また、エリア設定スイッチは、チェックモード(テストモード)を選択可能である。エリア設定スイッチは、複数のオン/オフを指定可能なディップスイッチとしてもよい。
【0145】
エリア設定スイッチがチェックモードを選択する状態である場合(例えば複数のディップスイッチがオールオンの場合)、ステップS604において、演算部29は、チェックモードを実行し、その後処理はステップS603に戻る。
【0146】
エリア設定スイッチがエリアを選択する状態である場合(例えば複数のディップスイッチのうちのいずれかがオンであり、他のディップスイッチがオフの場合)、ステップS205において、演算部29は、調光ユニット21と協動して、エリア設定スイッチの示すエリアに関するPWM通信制御モードによる運転を実行する。
【0147】
上記のS601においてPWMオフの場合、ステップS606において、演算部29は、無線モジュールW1と調光ユニット21との間の通信に適用されるデジタル通信制御モード(データ通信フォーマット)の種別の判定を行う。例えば、演算部29は、第1のデジタル通信制御モードに基づく信号を調光ユニット21に対して送信する。演算部29は、調光ユニット21から正常な応答を受信した場合には、第1のデジタル通信制御モードを選択する。演算部29は、調光ユニット21から正常な応答を受信しない場合には、第2のデジタル通信制御モードを選択してもよい。あるいは、演算部29は、調光ユニット21から正常な応答を受信しない場合には、第2のデジタル通信制御モードに基づく信号を調光ユニット21に対して送信し、調光ユニット21から正常な応答を受信した場合に、第2のデジタル通信制御モードを選択してもよい。
【0148】
上記のステップS606において第1のデジタル通信制御モードが選択された場合、ステップS607において、演算部29は、第1のデジタル通信制御モードによる起動を行う。第1のデジタル通信制御モードによる起動の後、ステップS608において、演算部29は、操作部23に含まれているエリア設定スイッチの状態判定を行う。
【0149】
ステップS608においてエリア設定スイッチがチェックモードを選択する状態である場合、ステップS609において、演算部29は、チェックモードを実行し、その後処理はステップS608に戻る。
【0150】
ステップS208においてエリア設定スイッチがエリア選択する状態である場合、ステップS610において、演算部29は、エリア設定スイッチの示すエリアに関する第1のデジタル通信制御モードによる運転を実行する。
【0151】
上記のステップS606において第2のデジタル通信制御モードが選択された場合、ステップS611において、演算部29は、第2のデジタル通信制御モードによる起動を行う。第2のデジタル通信制御モードによる起動の後、ステップS612において、演算部29は、操作部23に含まれているエリア設定スイッチの状態判定を行う。
【0152】
ステップS612においてエリア設定スイッチがチェックモードを選択する状態である場合、ステップS613において、演算部29は、チェックモードを実行し、その後処理はステップS612に戻る。
【0153】
ステップS612においてエリア設定スイッチがエリア選択する状態である場合、ステップS614において、演算部29は、エリア設定スイッチの示すエリアに関する第2のデジタル通信制御モードによる運転を実行する。
【0154】
上記
図6において、ステップS601の判定は、例えば、無線モジュールW1の接続部25に接続された有線伝達路22のモードセレクト端子の状態(電圧又は電位)を判定する。
【0155】
ステップS606の判定は、特定の通信制御モードで通信を行い、応答の受信状態に基づいて通信制御モードを判定する。
【0156】
ステップS603、ステップS608、ステップS612の判定は、モードセレクトスイッチの状態を電気的に判定する。
【0157】
第2の実施形態における通信制御モードの判定は、ステップS606以降において拡張・追加されてもよい。
【0158】
演算部29は、上記の各種の判定結果又は通信制御モードの種別情報を記憶部28に保存し、コントローラ3からの要求にしたがって、判定結果又は種別情報をコントローラ3に送信する。
【0159】
演算部29は、デジタル通信制御モードに移行した場合、コントローラ3から受信した要求にしたがって、電源固有の識別情報を、調光ユニット21から有線伝達路22及び接続部25経由で受信し、電源固有の識別情報を記憶部28に記憶させ、電源固有の識別情報をコントローラ3へ送信する。演算部29は、記憶部28が電源固有の識別情報を保存済みの場合には、記憶部28に記憶されている電源固有の識別情報を読み出し、読み出した電源固有の識別情報をコントローラ3に送信してもよい。
【0160】
演算部29は、コントローラ3からエリア設定モード又はグループ設定モードの指定信号を受信した場合に、この指定信号によって指定されているエリア又はグループに対して、ステップS603、ステップS608、ステップS612の判定結果を強制的に切り替え、この強制的に切り替えた状態を記憶部28に記憶させるとしてもよい。これにより、エリア又はグループの設定を遠隔で切り替えることができる。
【0161】
以上説明した第2の実施形態においては、照明デバイスI1及び調光器具A1が無線機能を有していない場合であっても、照明デバイスI1及び調光器具A1に対して無線調光器D1を組み合わせることにより、無線機能を有する照明システム2に照明デバイスI1及び調光器具A1を組み込むことができる。
【0162】
第2の実施形態において、無線調光器D1は、照明システム2のセットアップ完了前に、チェックモードを実行し、照明システム2のセットアップ前においても動作確認と異常検出部37及び処理部33による配線チェックを行うことができる。
【0163】
第2の実施形態においては、処理部33と異常検出部37とが協働して異常を検出し、異常を検出した場合に、異常検出部37により監視対象の回路の動作又は出力を停止する。これにより、無線調光器D1の故障又は破壊を大幅に減少させることができ、回路交換などの発生を防止することができる。
【0164】
第2の実施形態においては、無線調光器D1の異常が検出された場合に、コントローラ36が異常情報を表示する。これにより、ユーザは、無線調光器D1に発生した異常を確認することができる。
【0165】
第2の実施形態においては、調光器具A1及び照明デバイスI1が無線通信に非対応であり、かつ、異常検出機能を有していない場合であっても、第2の実施形態に係る無線調光器D1を調光器具A1に接続することにより、無線通信と異常検出が可能になり、照明システム2の運用の安全性を確保することができる。
【0166】
第2の実施形態に係る無線調光器D1は、異常情報をゲートウェイ4、インターネット経由でコントローラ3に送信してもよい。これにより、ユーザは、コントローラ3によって照明システム2を監視することができる。
【0167】
第2の実施形態に係る無線調光器D1は、操作部23を備える。従来においては、照明デバイスI1と調光器具A1の点灯確認をするためには、現場で配線し、コントローラ3とペアリングを行う必要があった。これに対して、第2の実施形態においては、無線調光器D1に備えられている操作部23を用いて照明をオン/オフすることができ、ペアリングしなくてもチェックモードによる配線確認を行うことができる。これにより、ユーザの現場での作業性を向上させることができ、セットアップ前に配線確認を行うことができる。
【0168】
第2の実施形態においては、1台で複数種類の通信制御モードに適用可能な無線モジュールW1を使って照明システム2を構築することができる。第2の実施形態においては、無線モジュールW1に対して様々な種類の調光ユニット21を接続することができる。
【0169】
第2の実施形態においては、無線モジュールW1が調光ユニット21の通信制御モードを端子の電圧の変化及び通信の不可により自動で判定し、通信制御モードの切り替えを行う。これにより、照明システム2の構築を省力化及び短期化することができる。
【0170】
第2の実施形態においては、照明システム2が動作可能になる前、コントローラ3がない状態、コントローラ3と無線モジュールW1とが通信できない状態、又は、照明システム2がセットアップされる前であっても、無線モジュールW1の操作部23に対する操作によりエリア又はグループの設定を行うことができる。
【0171】
第2の実施形態においては、無線モジュール2におけるチェックモードを実行することにより、照明システム2が動作可能になる前、コントローラ3がない状態、コントローラ3と無線モジュールW1とが通信できない状態、又は、照明システム2がセットアップされる前であっても、ユーザは照明デバイスI1の点灯、消灯、調光、又は、調色の状態を確認することができる。これにより、ユーザは照明システム2を構築しつつチェック作業を進めることができ、作業を効率化することができ、照明システム2の信頼性を向上させることができる。また、第2の実施形態においては、ペアリングしなくても照明デバイスI1の配線を確認することができる。また、ユーザの現場での作業性を向上させ、セットアップ前に配線を確認することができる。
【0172】
第2の実施形態においては、無線モジュールW1に例えばディップスイッチ又は押しボタンスイッチなどのような操作部23を備え、操作部23を操作することにより、エリア設定、及び、ペアリングの強制解除を行うことができる。また、コントローラ3を用いて、エリア設定、グループ設定、及び、ペアリングの確立又は解除を行うこともできる。例えば、多数の照明デバイスに対するペアリング、エリアの設定、グループの設定をコントローラ3で制御する場合には、コントローラ3の画面に多数の器具を表示して仕分けをする必要があった。しかしながら、第2の実施形態においては、個々の無線モジュールW1~Wr側でペアリングに関する指示、エリア設定、グループ設定をすることができるため、コントローラ3に多数の器具を表示してペアリングに関する指示、エリア設定、グループ設定をする必要がない。したがって、ユーザはペアリング時の機器の振り分けを容易かつ効率的に行うことができる。
【0173】
一般的に、コントローラ3によるペアリングにおいては、電源が入っている複数の無線モジュールW1~Wrが一斉に検索される。ユーザは、この一斉に検索された複数の無線モジュールW1~Wrを分類し、エリアE1~Enに分ける作業をコントローラ3で行うことが必要になる。しかしながら、第2の実施形態に係る照明システム2においては、ペアリング前に、無線モジュールW1~Wrのエリア設定スイッチを予め設定することにより、ユーザの作業を軽減することができる。
【0174】
第2の実施形態において、調光ユニット21は、無線対応の照明器具としてもよい。この場合、照明器具A1は、各種の検出回路を備えるとしてもよい。各種の検出回路としては、例えば、2次側過電流、異常温度、回路故障の検出回路などがある。検出回路が異常を検出すると、処理部33は、異常コードの処理を行う。処理部33は、異常コードを接続部30、有線伝達路22経由で無線モジュールW1に送信する。
【0175】
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、第2の実施形態で説明した無線調光器D1の変形例である。
【0176】
図6は、第3の実施形態に係る無線調光器D1の構成の一例を示すブロック図である。この
図6の無線調光器D1では、
図5の無線調光器D1の構成要素のうち第3の実施形態で説明する部分のみを図示しており、他の部分は省略している。
【0177】
第3の実施形態に係る無線調光器D1は、2つのPWM出力系統LA,LBを有している。無線調光器D1は、2つのPWM出力系統LA,LBにより調光器具A1にPWM信号を伝達する。
【0178】
第3の実施形態に係る無線調光器D1は、マイクロコンピュータ38と、異常検出部40A,40Bと、抵抗器41A,41Bを備える。
【0179】
マイクロコンピュータ38は、PWM出力系統LAに対応するPWM調光信号回路39AとPWM出力系統LBに対応するPWM調光信号回路39Bとを備える。PWM調光信号回路39A,39Bは、PWM信号を生成し、生成したPWM信号をPWM出力系統LA,LB経由で照明器具A1に送信する。
【0180】
マイクロコンピュータ38は、PWM調光信号回路39AからPWM出力系統LAへ出力されたPWM信号(電圧)を監視し、さらに、PWM調光信号回路39BからPWM出力系統LBへ出力されたPWM信号を監視する。マイクロコンピュータ38は、
図5における処理部33と調光部35として機能する。マイクロコンピュータ38は、起動し、通電状態となると、異常検出を開始する。
【0181】
異常検出部40A,40Bのそれぞれは、PWM調光信号回路39A,39Bのそれぞれと直列に接続されており、例えば、抵抗器又はポリスイッチ端の電圧を監視する。
【0182】
異常検出部40A,40Bのそれぞれは、PWM信号の電圧の測定値(例えば実測値又は取り込み値)を、抵抗器41A,41Bを経由してマイクロコンピュータ38に出力する。
【0183】
マイクロコンピュータ38は、理論値と、測定値とを比較し、差が所定の範囲を超える場合に異常を検出する。
【0184】
一般的に、照明制御用のPWM信号(例えば調光信号)は、DC12V程度の電圧で1kHzの周波数のパルス波形である。消灯信号時はDC12Vである。PWM信号によって表される調光度を上げると(明るくすると)、PWM信号の波形におけるオフ期間は長くなる。このように、オフ期間が長くなれば、電圧換算した場合に微弱になる。また、ポリスイッチを作動させるほどの電流増加を期待できない場合がある。このため、オフ期間の長いPWM信号の異常検出は困難である。
【0185】
しかしながら、第3の実施形態においては、マイクロコンピュータ38が理論値と測定値とを比較し、異常検出を行うため、PWM信号を電圧換算した値(例えば調光度)が微弱であっても異常検出を行うことができる。
【0186】
図7は、PWM信号の電圧と平均電圧との関係の例を示すグラフである。
PWMはパルス幅変調と呼ばれる。PWMでは、一定間隔(T)で発生するパルスの幅(Tp)を変化させることにより平均電圧が制御される。例えば、波形のオン期間が長い場合には照明デバイスI1は暗く発光し、オン期間が短い場合、明るく発光する。無線調光器D1は、このようなPWM信号の出力制御を行う。第3の実施形態に係る無線調光器D1は、異常検出の処理において、PWM信号をAD変換回路によりアナログデジタル変換し、マイクロコンピュータ38にフィードバックさせる。そして、無線調光器D1は、出力したPWM信号の理論値とフィードバックされた測定値との差が所定範囲外となる時間が所定期間以上となる場合に、異常を検出する。
【0187】
以上説明した第3の実施形態においては、無線調光器D1が2つのPWM出力系統LA,LBを有しており、2つのPWM出力系統LA,LBのそれぞれに対して異常検出部40A,40Bが備えられており、マイクロコンピュータ38が理論値と測定値との比較を行うことで2つのPWM出力系統LA,LBの異常検出を行う。これにより、PWM調光信号の示す調光度がどのような値であっても異常検出を行うことができる。
【0188】
[第4の実施形態]
第4の実施形態では、無線モジュールW1~Wrに記憶される情報と、コントローラ3の下位(子機)として使用されるコントローラ(以下、子機コントローラという)との関係を説明する。以下の説明では、無線モジュールW1を代表して説明するが、無線モジュールW2~Wrについても同様である。
【0189】
照明システム2は、1以上の照明デバイスI1~Irによりシーンを再生する。照明システム2は、作業者及びユーザの利便性を向上させるために、標準のシーンに対する第1の変更及び第2の変更という2種類の変更を実現可能としてもよい。
【0190】
第1の変更は、例えば、標準のシーンからの離脱・一時変更・標準のシーンへの復帰を含むモードとする。
第2の変更は、例えば、標準のシーンを微調整するモードとする。
【0191】
第1の変更と第2の変更とは、例えば、双方とも子機コントローラに対する作業者又はユーザの操作に基づいて標準のシーンを変更する点で共通する。しかしながら、第1の変更と第2の変更とは、変更に関する優先度が異なる点で相違する。
【0192】
子機コントローラに対する変更操作に優先度を持たせるために、照明システム2は、複数の種類の子機コントローラを備えるとともに、無線モジュールW1の記憶部28に各種の情報を記憶する。無線モジュールW1は、記憶部28の情報に基づいて処理を実行する。
【0193】
具体例として、無線モジュールW1の記憶部28は、例えば、ネットワーク情報、無線モジュールW1の固有識別情報、施設情報(施設識別情報を含む)、エリア情報(エリア識別情報)、グループ情報(グループ識別情報を含む)、少なくとも1つのシーン情報(例えば、シーンレベル、フェードタイム情報を含む)、変更情報(例えばプライベートモードレベル又はユーザ優先モードレベル)、変更復帰シーン情報(例えばプライベートモード復帰シーンレベル)、一時変更情報(一時変更レベル)、最終状態情報(停電復帰用現状レベル)を記憶する。
【0194】
ネットワーク情報は、コントローラ3の操作によりペアリング時に付与されるネットワークコード(例えばメッシュネットワークキー)を含むとしてもよい。ネットワーク情報は、同一のネットワークで機能するためのログインキー情報を含むとしてもよい。
【0195】
固有識別情報、施設情報、エリア情報、グループ情報、シーン情報は、照明システム2の標準の運転及び通信で使用される情報である。固有識別情報、施設情報、エリア情報、グループ情報、シーン情報は、コントローラ3によって設定され、コントローラ3から無線モジュールW1へ送信され、無線モジュールW1の記憶部28に記憶される。
【0196】
変更情報及び変更復帰シーン情報は、無線モジュールW1と無線通信可能な第1の子機コントローラによって作業者又はユーザによって生成され、第1の子機コントローラから無線モジュールW1へ送信され、無線モジュールW1の記憶部28に記憶される。変更情報及び変更復帰シーン情報は、上記の第1の変更(標準のシーンからの離脱・一時変更・標準のシーンへの復帰)、又は、上記の第2の変更(標準のシーンの微調整)を実現するために使用される。
【0197】
第1の子機コントローラは、例えばリモートコントローラ1としてもよい。作業者又はユーザは、リモートコントローラ1を使用することにより、コントローラ3を使用しなくても、特定のエリア又は特定のグループに所属する照明デバイスI1の明るさ・色を操作可能である。作業者又はユーザは、例えば、全体のシーンを変えることなく、自分の上の照明デバイスI1を明るくすることができる。また、作業者又はユーザは、例えば、会議などで特定のグループのみを消灯させることができる。
【0198】
変更情報は、例えば、リモートコントローラ1によってシーン離脱をする際に変更される値である。変更情報及び変更復帰シーン情報に対応するシーンへの移行は、コントローラ3によって事前に設定されたリモートコントローラ1を作業者又はユーザが操作することにより行われる。
【0199】
変更情報は、例えば、リモートコントローラ1を操作する作業者又はユーザによって変更・調整された明るさ・色に関する値を含むとしてもよい。
【0200】
変更情報は、作業者又はユーザがリモートコントローラ1を用いて設定した優先度の高いシーン情報(明るさ・色のレベルを含む)とする。コントローラ3又はシーンスイッチが無線モジュールW1の記憶部28に記憶されている変更情報を呼び出すと、無線モジュールW1は、再生中のシーンを離脱して変更情報に対応するシーンを再生するための処理を実行する。この変更情報に対応するシーンを再生するモードの優先度は高いため、変更情報に対応するシーンの再生中は、この作業者又はユーザによって設定された変更情報のシーンの再生が維持される。無線モジュールW1は、コントローラ3、シーンスイッチ、又は、スケジュールタイマからシーンの変更指示を受信したとしても、変更情報のシーンを優先して変更情報のシーンを維持し、シーン復帰指示又はコントローラ3からの強制復帰指示を受信するまではコントローラ3、シーンスイッチ、又は、スケジュールタイマから受信したシーンの変更指示を反映しない。そして、無線モジュールW1は、このコントローラ3、シーンスイッチ、又は、スケジュールタイマから受信したシーンの変更指示の内容を、変更復帰シーン情報として記憶部28に記憶しておく。無線モジュールW1は外部(例えばコントローラ3又はゲートウェイ4)のタイマからの指示を受信するため、無線モジュールW1にタイマの機能を備える必要はなく、無線モジュールW1の構成を簡素化することができ、無線モジュールW1の台数が多くなってもコスト増加を防止することができる。
【0201】
変更復帰シーン情報は、変更情報に対応するシーンを再生している状態から復帰する場合のシーン(例えば明るさ又は色)の値を含む。無線モジュールW1は、作業者又はユーザの操作に基づくシーン復帰指示、又は、コントローラ3からの強制復帰指示を受信するまでこの変更復帰シーン情報を呼び出さない。無線モジュールW1は、シーン復帰指示、又は、強制復帰指示を受信した場合に、変更復帰シーン情報を呼び出し、変更復帰シーン情報に対応するシーンを再生するための処理を実行する。
【0202】
第4の実施形態において、変更情報と変更復帰シーン情報とは対の関係を有している。無線モジュールW1は、記憶部28に、復帰時のシーン番号やレベル情報を有する変更復帰シーン情報を随時管理している。
【0203】
特定のエリアに対して特定のシーン情報に基づいてシーンの再生が実行されている場合に、無線モジュールW1は、例えば、変更情報を用いることで、この特定のエリアに属する特定のグループをシーンから離脱することができる。シーンの離脱が生じている状況において、例えば、特定のエリアに対して第1のシーン情報(例えば夜用のシーン情報)から第2のシーン情報(例えば朝のシーン情報)への遷移が発生したとする。この場合、無線モジュールW1は、変更復帰シーン情報も第1のシーン情報から第2のシーン情報に遷移させておく。無線モジュールW1は、復帰時に、第2のシーン情報に対応する変更復帰シーン情報を呼び出して再生することにより、同じエリアに属する他の無線モジュールと整合したシーンの再生を行う。これにより、時間が経過し、適用されるシーン情報が変化した場合であっても適切なシーンを再生することができる。
【0204】
リモートコントローラ1は、無線モジュールW1に対してコマンドを送信する。このコマンドは、例えば、施設の指定、エリアの指定、グループの指定、光の強さを示す値、光の明るさを示す値などを含む構成とする。リモートコントローラ1は、例えば、ネットワーク情報、無線モジュールW1の固有識別情報、施設情報、エリア情報、グループ情報を記憶する。リモートコントローラ1が記憶しているネットワーク情報、無線モジュールW1の固有識別情報、施設情報、エリア情報、グループ情報は、例えば、コントローラ3により設定され、コントローラ3からリモートコントローラ1に送信される。
【0205】
照明システム2においては、システムの破壊又は故障に対するリスクを分散し、無線通信帯域を確保するために分散処理を実現する。このため、リモートコントローラ1は、主に、無線モジュールW1~Wrにコマンドを送信する。各種の演算及び処理の多くは、個々の無線モジュールW1~Wrで実行される。コマンドとしては、例えば、照明を明るくするコマンド、照明を暗くするコマンド、色温度を変更するコマンド、オン/オフコマンド、シーン離脱コマンド、シーン復帰コマンドがある。
【0206】
作業者又はユーザがリモートコントローラ1を用いてシーンを変更しても、標準のシーン情報は無線モジュールW1~Wrに保存されている。このため、作業者又はユーザは、自由にシーンを変更し、その後容易にシーンを復帰させることができる。また、リモートコントローラ1は、コントローラ3よりも機能が少なくてもよく、作業者又はユーザはリモートコントローラ1の感覚的なインタフェースを用いることができる。
【0207】
無線モジュールW1の記憶部28に記憶されている一時変更情報は、コントローラ3又はシーンスイッチ(例えば壁シーンスイッチ)によって設定され、コントローラ3又はシーンスイッチから無線モジュールW1に送信され、無線モジュールW1の記憶部28に記憶される。一時変更情報は、例えば、一時的に変更されたシーンレベルを含む。
【0208】
一時変更情報に基づいてシーンを再生するモードへの移行は、コントローラ3又はシーンスイッチを作業者又はユーザが操作することにより行われる。
【0209】
シーンスイッチは、例えば、コントローラ3と無線モジュールW1~Wrとの間で通信を中継するゲートウェイ4に接続される。ゲートウェイ4はタイマ機能を有しており、作業者又はユーザはシーンスイッチを用いてゲートウェイ4のタイマ機能をオン/オフ可能としてもよい。作業者又はユーザは、シーンスイッチを使用することにより、コントローラ3を用いることなく、シーンの呼び出し、シーンの切り替え、明るさの一時変更、色温度の一時変更、スケジュールの開始、スケジュールの解除を行うことができる。
【0210】
コントローラ3又はシーンスイッチが無線モジュールW1の記憶部28に記憶されている一時変更情報を呼び出すと、特定のエリアE1に属するすべての無線モジュールW1~Wkは、例えば、再生中のシーン情報と一時変更情報とに基づいて、シーンを一時的に変更する。この一時的なシーンの変更は、例えば上記の変更情報に基づくシーンの変更などよりも優先度を低くしてもよい。一時変更情報に基づくシーンの一時的な変更は優先度が低いため、作業者又はユーザの操作、又は、タイマにより別のシーン情報が呼び出された場合、無線モジュールW1~Wkは、一時変更情報を破棄し、別のシーン情報に対応するシーンの再生を開始してもよい。
【0211】
作業者又はユーザは、シーン再生中に、シーンスイッチの上ボタン又は下ボタンを操作し、シーンの明るさ、色温度などを変更する。シーンスイッチは、例えば、ゲートウェイ4経由で、特定の施設Fの特定のエリアE1に属する全グループG1~Gmの無線モジュールW1~Wkに、一時変更のコマンドを送信する。この一時変更の優先度は低いため、無線モジュールW1~Wkは、シーンの一時変更を実行した後に、コントローラ3又はシーンスイッチからゲートウェイ4経由で別のコマンドを受信した場合に、一時変更を破棄し、受信した別のコマンドにそったシーンへ遷移する。
【0212】
第4の実施形態において、ゲートウェイ4は、タイマ機能を備えており、無線モジュールW1~Wrの一時変更を所定の時間に無効化してもよい。
【0213】
シーンスイッチは、ゲートウェイ4経由で無線モジュールW1~Wrに対してコマンドを送信する。このコマンドは、例えば、施設Fの指定、特定のエリアE1に所属する全グループG1~Gmの指定、光の強さを示す値、光の明るさを示す値などを含む構成とする。シーンスイッチは、例えば、ネットワーク情報、無線モジュールの固有識別情報、施設情報、エリア情報、グループ情報を記憶する。シーンスイッチが記憶しているネットワーク情報、無線モジュールの固有識別情報、施設情報、エリア情報、グループ情報は、例えば、コントローラ3により設定され、コントローラ3からシーンスイッチに送信される。
【0214】
作業者又はユーザがシーンスイッチを用いてシーンを変更しても、標準のシーン情報は無線モジュールW1~Wrに保存されている。このため、作業者又はユーザは、自由にシーンを変更し、その後容易にシーンを復帰させることができる。また、シーンスイッチは、コントローラ3よりも機能が少なくてもよく、作業者又はユーザは感覚的なインタフェースを用いることができる。
【0215】
最終状態情報は、照明システム2への電力供給が停止された場合(例えば停電の場合)における最新のシーン情報を表す。無線モジュールW1は、電力供給が再開された場合に、最終状態情報を記憶部28から読み出し、最終状態情報に対応するシーンの再生を行う。これにより、無線モジュールW1は、電力供給が停止される直前のシーンを再現することができる。
【0216】
以上説明した第4の実施形態においては、コントローラ3で設定された各種の情報は、無線モジュールW1の記憶部28に記憶される。無線モジュールW1は、コントローラ3、子機コントローラ、ゲートウェイ4などから受信したコマンドにそって記憶部28の記憶内容にそって処理を実行する。
【0217】
第4の実施形態において、コントローラ3、子機コントローラ、ゲートウェイ4のタイマ機能によって送信されるコマンドは、シンプルなデータ構造とする。これにより、複数の無線モジュールW1~Wrによってメッシュネットワークを構築することができ、ネットワークの負荷を軽減させることができ、レスポンスを速くすることができる。また、第4の実施形態においては、ネットワークの帯域を確保するために、応答が不要な特定のコマンドに対して応答の送受信を省略してもよい。第4の実施形態では、コマンドの種別に応じて応答を省略可能であるが、コントローラ3が設定情報を無線モジュールW1~Wrに送信した場合には、当該コントローラ3は、当該設定情報が正常に受信されたことを示す応答を無線モジュールW1~Wrから受信してもよい。
【0218】
第4の実施形態においては、通信の安定と確実性を確保するために、照明システム2に備えられる複数の無線モジュールW1~Wrが相互に通信可能であり、コマンドのリピート通信を行うとしてもよい。
【0219】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。本実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0220】
1…リモートコントローラ、2…照明システム、3…コントローラ、4…ゲートウェイ、5…設定情報、7,23,32…操作部、8…変更情報、9…識別情報、10,24,36…表示部、11…通信部、12,28,31…記憶部、13,33…処理部、14…ソフトウェア、F…施設、E1~En…エリア、G1~Gm…グループ、W1~Wr…無線調光器、A1~Ar…調光器具、I1~Ir…照明デバイス、W1~Wk…無線モジュール、21…調光ユニット、22…有線伝達路、25,30…接続部、26…通信モジュール、27…無線アンテナ、29…演算部、34…電力変換部、35…調光部、37…異常検出部、L…PWM信号線