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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-28
(45)【発行日】2025-03-10
(54)【発明の名称】エレベータシステム
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/14 20060101AFI20250303BHJP
   B66B 1/46 20060101ALI20250303BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20250303BHJP
【FI】
B66B1/14 L
B66B1/46 Z
B66B3/00 Q
B66B1/14 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023100083
(22)【出願日】2023-06-19
(65)【公開番号】P2025000301
(43)【公開日】2025-01-07
【審査請求日】2023-06-19
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中務 匡
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-126635(JP,A)
【文献】特開平05-201629(JP,A)
【文献】特開平02-270780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/14
B66B 1/46
B66B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者による特殊な呼びに応じてエレベータのかごを空の状態で呼ぶ空呼びを行う空呼び部と、
前記かご内のタイヤ止めに自転車のタイヤが入れられたことを検知する検知部と、
前記検知部による前記タイヤ止めに入れられる前記タイヤの検知結果に基づいて、前記かごの行先階を登録する登録部と、を備え、
前記タイヤ止めは、前記かごに設けられる壁掛けタイプのタイヤ止めである、エレベータシステム。
【請求項2】
前記タイヤ止めは、前記かごの行先階毎に設けられ、
前記登録部は、前記タイヤが検知された前記タイヤ止めに対応する行先階を、前記かごの前記行先階として登録する、請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項3】
利用者による特殊な呼びに応じてエレベータのかごを空の状態で呼ぶ空呼びを行う空呼び部と、
前記かご内のタイヤ止めに自転車のタイヤが入れられたことを検知する検知部と、
前記検知部による前記タイヤ止めに入れられる前記タイヤの検知結果に基づいて、前記かごの行先階を登録する登録部と、を備え、
前記空呼び部は、乗場に設けられる操作部が有する所定のボタンが押された場合、前記操作部が有するホール呼びボタンおよび車椅子呼びボタンが同時に押下された場合、または前記乗場の床に設けられるボタンが前記タイヤで押下された場合に、前記空呼びを行う、エレベータシステム。
【請求項4】
前記かごにより前記自転車を搬送中に、前記エレベータを使用不可である旨を乗場に表示する表示部を備え、
前記空呼び部は、前記かごにより前記自転車を搬送中、前記かごの呼びに応じない、請求項1から3のいずれか一に記載のエレベータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
かごを呼ぶ方法として、例えば、寝台用エレベータの寝台呼び等の特殊な呼びがある。また、かご内に自転車を持ち込む方法としては、何度もエレベータを呼び、かごが空になるタイミングを見て、かごに乗り込む方法があるが、自転車が転倒しない様に手で押さえながら、かご操作ボタンを押下する必要がある。例えば、特許文献1には、かご内に、トランク型の収納スペースを設ける技術が開示されている。また、特許文献2には、かご内のタイヤ止めまでにスロープを設ける技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭61-166486号公報
【文献】特開平10-324482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した、かご内に自転車を持ち込む方法は、かごに必ず乗れるわけではないので、非常に非効率であり、かご内において自転車を前輪が浮いた状態で保持しなければならない。また、特許文献1,2には、自転車をかごに入れる技術が記載されているが、かごの空呼びを行うことは記載されていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のエレベータシステムは、空呼び部と、検知部と、登録部と、を備える。空呼び部は、利用者による特殊な呼びに応じてエレベータのかごを空の状態で呼ぶ空呼びを行う。検知部は、かご内のタイヤ止めに自転車のタイヤが入れられたことを検知する。登録部は、検知部によるタイヤ止めに入れられるタイヤの検知結果に基づいて、かごの行先階を登録する。タイヤ止めは、かごに設けられる壁掛けタイプのタイヤ止めである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本実施形態にかかるエレベータの一例の断面図である。
図2図2は、本実施形態にかかるエレベータ制御装置の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、本実施形態にかかるエレベータシステムの乗場の床に設けられるボタンの一例を説明するための図である。
図4図4は、本実施形態にかかるエレベータシステムが有するタイヤ止めの一例を説明するための図である。
図5図5は、本実施形態にかかるエレベータシステムが有するタイヤ止めの一例を説明するための図である。
図6図6は、本実施形態にかかるエレベータシステムが有するタイヤ止めの一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付の図面を用いて、本実施形態にかかるエレベータシステムの一例について説明する。
【0008】
図1は、本実施形態にかかるエレベータの一例の断面図である。図1には、エレベータ乗降者P1を乗せて昇降するエレベータカゴ1、エレベータカゴ1の荷重の状態を検知してエレベータ駆動装置3を制御するエレベータ制御装置2、エレベータカゴ1の昇降を制御するエレベータ駆動装置3が設けられている。
【0009】
また、図1の例では、1階乗場、2階乗場、3階乗場が図示されており、1階乗場の所定位置には、乗場呼びボタン4-1と荷物専用運転表示灯5-1が設けられ、2階乗場の所定位置には、乗場呼びボタン4-2と荷物専用運転表示灯5-2が設けられ、3階乗場の所定位置には、乗場呼びボタン4-3と荷物専用運転表示灯5-3が設けられている。
【0010】
エレベータカゴ1は、エレベータ乗降者P1を乗せて昇降し、目的階に移動する。エレベータカゴ1内の所定位置には、当該エレベータカゴ1内に自転車S1を持って乗り込んだ場合に自転車S1のタイヤを入れるタイヤ止め1a、および、目的階を登録するときにエレベータ乗降者P1により操作されるカゴ呼びボタン1bが設けられている。また、エレベータカゴ1の床面には、エレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布を検知する荷重検知装置1cが設置されている。
【0011】
エレベータ制御装置2は、エレベータカゴ1内のタイヤ止め1aに自転車S1のタイヤが入れられたことを検知した場合、荷物専用運転表示灯5-1~5-3を制御し、エレベータカゴ1を使用不可である旨を表示させる。また、エレベータ制御装置2は、エレベータカゴ1内のタイヤ止め1aに自転車S1のタイヤが入れられたことを検知したとき、荷重検知装置1cを制御し、エレベータカゴ1内の荷重と荷重の分布を検知させる。
【0012】
エレベータ駆動装置3は、エレベータ制御装置2の制御を受けて巻上機3aを駆動し、この駆動によってロープRの一端に連結されるエレベータカゴ1とロープRの他端に連結されている釣り合い重りWが昇降路内を昇降する。なお、以下では、エレベータ駆動装置3が巻上機3aを駆動することを、単に、エレベータ制御装置2がエレベータ駆動装置3を制御する、と表わす。
【0013】
乗場呼びボタン4-1~4-3は、エレベータ乗降者P2が乗場呼び(かご呼び)を登録する場合に操作することが可能になされている。
【0014】
荷物専用運転表示灯5-1~5-3は、表示部であり、エレベータ制御装置2の制御の下、例えば、変調LED(Light Emitting Diode)光を出して、エレベータカゴ1を使用不可である旨(図中では「使用不可」)を表示する。
【0015】
なお、以下において、乗場呼びボタン4-1~4-3を個々に区別する必要が無い場合、単に、乗場呼びボタン4と称し、荷物専用運転表示灯5-1~5-3を個々に区別する必要が無い場合、単に、荷物専用運転表示灯5と称する。
【0016】
図2は、本実施形態にかかるエレベータ制御装置の構成例を示すブロック図である。
【0017】
本実施形態では、エレベータ制御装置2は、図2に示すように、空呼び部201、検知部202、登録部203、および表示制御部204を有する。
【0018】
空呼び部201は、空呼びを行う空呼び部の一例である。ここで、空呼びは、乗場呼びボタン4が有する専用ボタン等による自転車搬送用の特殊呼びに応じてエレベータのかご(エレベータカゴ1)を空の状態で呼ぶことを含む。例えば、空呼び部201は、乗場呼びボタン4が有する専用ボタンにより特殊呼びが行われると、空の状態のエレベータカゴ1を、当該特殊呼びが行われた乗場に移動させる。
【0019】
さらに、空呼び部201は、エレベータカゴ1により自転車S1を搬送中、すなわち、空呼びに応じてエレベータカゴ1を移動中、エレベータカゴ1のかご呼びに応じない。これにより、エレベータカゴ1により自転車S1を搬送中、他の利用者の乗り合いを気にする必要が無くなる。
【0020】
また、空呼び部201は、乗場に設けられる乗場呼びボタン4(操作部の一例)が有する専用ボタン(所定のボタンの一例)が押された場合、乗場呼びボタン4が有するホール呼びボタンおよび車椅子呼びボタンが同時に押下された場合、または乗場の床に設けられるボタンが自転車S1のタイヤで押下された場合に、空呼びを行っても良い。
【0021】
図3は、本実施形態にかかるエレベータシステムの乗場の床に設けられるボタンの一例を説明するための図である。乗場の床に設けられるボタンは、図3に示すように、自転車S1のタイヤで押すボタン301、およびガード部302を有する。
【0022】
ボタン301は、乗場の床面より下方に設けられ、自転車S1のタイヤで押下可能なボタンである。また、ガード部302は、自転車S1の進行方向に沿って、ボタン301の両端に設けられる。これにより、自転車S1のタイヤでボタン301を押下する際に、エレベータ乗降者P2の手足または物等により誤動作して、自転車S1のタイヤがボタン301の設置位置から外れることを防止できる。本実施形態にかかるエレベータシステムは、乗場呼びボタン4の専用ボタン等を押下する代わりに、乗場の床に設けられたボタン301を自転車S1により押下することで、自転車搬送用の特殊呼びをつくることが可能となる。上述の特殊呼びは、自転車を搬送する利用者によるエレベータカゴ1の空呼びを行うための手段であれば、上記登録手段には限定されない。
【0023】
図2に戻り、検知部202は、エレベータカゴ1内のタイヤ止め1aに自転車S1のタイヤが入れられたことを検知する検知部の一例である。
【0024】
図4~6は、本実施形態にかかるエレベータシステムが有するタイヤ止めの一例を説明するための図である。本実施形態では、エレベータカゴ1は、図4に示すように、その内部に、自転車S1のタイヤを固定可能なタイヤ止め1aを有し、検知部202は、テールコードを介して、タイヤ止め1aに自転車S1のタイヤが入れられたことを検知しても良い。
【0025】
ここで、タイヤ止め1aは、図5に示すように、エレベータカゴ1のドアとは反対側の壁面等に設置される、壁掛けタイプのタイヤ止めであっても良い。すなわち、タイヤ止め1aは、エレベータカゴ1に設けられる壁掛けタイプのタイヤ止めであっても良い。
【0026】
また、タイヤ止め1aは、図6に示すように、エレベータカゴ1の行先階毎に設けられ、エレベータ乗降者P1が所望の行先階のタイヤ止め1aに自転車S1のタイヤを入れることで、エレベータカゴ1の行先階を登録可能としても良い。
【0027】
図2に戻り、登録部203は、検知部202によるタイヤ止め1aに入れられるタイヤの検知結果に基づいて、エレベータカゴ1の行先階を登録する登録部の一例である。これにより、空呼びされたエレベータカゴ1内においてタイヤ止め1aに自転車S1のタイヤを入れるだけで行先階を登録することができるので、自転車S1から手を放さずに行先階を登録でき、利用者および自転車S1の転倒防止により安全性を向上させることができる。
【0028】
また、エレベータカゴ1内のタイヤ止め1aが行先階毎に設けられている場合、登録部203は、検知部202によりタイヤが検知されたタイヤ止め1aに対応する行先階を、エレベータカゴ1の行先階として登録しても良い。
【0029】
表示制御部204は、エレベータカゴ1により自転車S1を搬送中に、エレベータを使用不可である旨を乗場に表示する表示制御部の一例である。例えば、表示制御部204は、エレベータカゴ1により自転車S1を搬送中、乗場に設けられる荷物専用運転表示灯5に、使用不可の表示を点灯させることにより、エレベータを使用不可である旨を乗場に表示しても良い。これにより、他の利用者のエレベータカゴ1に対する乗り合いを気にしなくてよくなる。
【0030】
このように、本実施形態にかかるエレベータシステムによれば、空呼びされたエレベータカゴ1内においてタイヤ止め1aに自転車S1のタイヤを入れるだけで行先階を登録することができるので、自転車S1から手を放さずに行先階を登録でき、利用者および自転車S1の転倒防止により安全性を向上させることができる。
【0031】
なお、本実施形態のエレベータ制御装置2で実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)等に予め組み込まれて提供される。本実施形態のエレベータ制御装置2で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成しても良い。
【0032】
さらに、本実施形態のエレベータ制御装置2で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態のエレベータ制御装置2で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0033】
本実施形態のエレベータ制御装置2で実行されるプログラムは、上述した各部(空呼び部201、検知部202、登録部203、および表示制御部204)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、空呼び部201、検知部202、登録部203、および表示制御部204が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0035】
1 エレベータカゴ
1a タイヤ止め
1b カゴ呼びボタン
2 エレベータ制御装置
3 エレベータ駆動装置
4 乗場呼びボタン
5 荷物専用運転表示灯
201 空呼び部
202 検知部
203 登録部
204 表示制御部
S1 自転車
図1
図2
図3
図4
図5
図6