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  • 特許-エレベータシステム及び監視装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-28
(45)【発行日】2025-03-10
(54)【発明の名称】エレベータシステム及び監視装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/14 20060101AFI20250303BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20250303BHJP
   B66B 1/20 20060101ALI20250303BHJP
   B66B 5/02 20060101ALI20250303BHJP
【FI】
B66B1/14 F
B66B3/00 M
B66B1/20 F
B66B5/02 P
B66B5/02 R
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023214239
(22)【出願日】2023-12-19
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笹森 裕司
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-096903(JP,A)
【文献】特開2013-154978(JP,A)
【文献】特開2011-148591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00- 1/52
B66B 3/00- 3/02
B66B 5/00- 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が搭乗して異なる階層間を移動することができるエレベータの乗りかごと、
前記乗りかごの前記階層間の移動を制御して、前記エレベータに対する呼び登録に応答させる群管理装置と、
前記階層ごとに設けられる前記エレベータの乗り場の前記利用者数を示す第1の利用者数情報を収集するモニタリング装置と、
前記エレベータの運行を監視する監視装置と、を備え、
前記階層ごとの前記乗り場には、
前記乗り場への呼びを受け付ける乗り場呼び装置、または
前記乗り場の前記利用者を撮像可能な第1の撮像装置、の少なくともいずれかがそれぞれ設けられ、
前記乗りかごには、
行き先階への呼びを受け付ける行き先階呼び装置がそれぞれ設けられ、
前記モニタリング装置は、
前記乗り場呼び装置が受け付けた前記乗り場への呼び数、または、前記第1の撮像装置が撮像した画像に基づいて、前記階層ごとの前記乗り場の前記第1の利用者数情報を収集し、
前記行き先階呼び装置が受け付けた前記行き先階への呼び数に基づいて、前記行き先階へと向かう前記利用者数を示す第2の利用者数情報を収集し、
前記監視装置は、
前記エレベータの設置場所に災害が発生した場合には、前記第1及び第2の利用者数情報に基づいて、前記乗り場の前記階層ごとの混雑度を判定し、
前記混雑度が他よりも高い階層への呼びを生成して前記群管理装置に登録する、
エレベータシステム。
【請求項2】
前記階層ごとの前記乗り場には、
前記乗り場への呼びを受け付ける乗り場呼び装置がそれぞれ設けられ、
前記モニタリング装置は、
前記乗り場呼び装置が受け付けた前記乗り場への呼び数に基づいて、前記階層ごとの前記乗り場の前記第1の利用者数情報を収集する、
請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項3】
前記階層ごとの前記乗り場には、
前記乗り場の前記利用者を撮像可能な第1の撮像装置がそれぞれ設けられ、
前記モニタリング装置は、
前記第1の撮像装置が撮像した画像に基づいて、前記階層ごとの前記乗り場の前記第1の利用者数情報を収集する、
請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項4】
前記監視装置は、
前記エレベータの設置場所に災害が発生した場合には、前記第1の撮像装置が撮像した画像に基づいて被災した階層を特定し、前記被災した階層の前記乗り場への呼びを生成しない、
請求項3に記載のエレベータシステム。
【請求項5】
前記監視装置は、
前記災害が火災である場合には、前記被災した階層、及び前記被災した階層の少なくとも直上階の前記乗り場への呼びを生成しない、
請求項4に記載のエレベータシステム。
【請求項6】
利用者が搭乗して異なる階層間を移動することができるエレベータの乗りかごと、
前記乗りかごの前記階層間の移動を制御して、前記エレベータに対する呼び登録に応答させる群管理装置と、
前記階層ごとに設けられる前記エレベータの乗り場の前記利用者数を示す第1の利用者数情報を収集するモニタリング装置と、
前記エレベータの運行を監視する監視装置と、を備え、
前記階層ごとの前記乗り場には、
前記乗り場への呼びを受け付ける乗り場呼び装置、または
前記乗り場の前記利用者を撮像可能な第1の撮像装置、の少なくともいずれかがそれぞれ設けられ、
前記乗りかごには、
前記乗りかご内の前記利用者の荷重を検出する荷重センサが設けられ、
前記モニタリング装置は、
前記乗り場呼び装置が受け付けた前記乗り場への呼び数、または、前記第1の撮像装置が撮像した画像に基づいて、前記階層ごとの前記乗り場の前記第1の利用者数情報を収集し、
前記荷重センサの検出結果に基づいて、前記乗りかご内の前記利用者の前記階層ごとの乗降人数を示す第2の利用者数情報を収集し、
前記監視装置は、
前記エレベータの設置場所に災害が発生した場合には、前記第1及び第2の利用者数情報に基づいて、前記乗り場の前記階層ごとの混雑度を判定し、
前記混雑度が他よりも高い階層への呼びを生成して前記群管理装置に登録する、
エレベータシステム。
【請求項7】
利用者が搭乗して異なる階層間を移動することができるエレベータの乗りかごと、
前記乗りかごの前記階層間の移動を制御して、前記エレベータに対する呼び登録に応答させる群管理装置と、
前記階層ごとに設けられる前記エレベータの乗り場の前記利用者数を示す第1の利用者数情報を収集するモニタリング装置と、
前記エレベータの運行を監視する監視装置と、を備え、
前記階層ごとの前記乗り場には、
前記乗り場への呼びを受け付ける乗り場呼び装置、または
前記乗り場の前記利用者を撮像可能な第1の撮像装置、の少なくともいずれかがそれぞれ設けられ、
前記乗りかごには、
前記乗りかご内の前記利用者を撮像可能な第2の撮像装置が設けられ、
前記モニタリング装置は、
前記乗り場呼び装置が受け付けた前記乗り場への呼び数、または、前記第1の撮像装置が撮像した画像に基づいて、前記階層ごとの前記乗り場の前記第1の利用者数情報を収集し、
前記第2の撮像装置が撮像した画像に基づいて、前記乗りかご内の前記利用者の前記階層ごとの乗降人数を示す第2の利用者数情報を収集し、
前記監視装置は、
前記エレベータの設置場所に災害が発生した場合には、前記第1及び第2の利用者数情報に基づいて、前記乗り場の前記階層ごとの混雑度を判定し、
前記混雑度が他よりも高い階層への呼びを生成して前記群管理装置に登録する、
エレベータシステム。
【請求項8】
利用者が搭乗して異なる階層間を移動することができる乗りかごを備えるエレベータの運行を監視する監視装置であって、
前記階層ごとに設けられる前記エレベータの乗り場の前記利用者数を示す第1の利用者数情報を収集するモニタリング装置から前記第1の利用者数情報を取得する取得部と、
前記エレベータの設置場所に災害が発生した場合には、前記第1の利用者数情報に基づいて、前記乗り場の前記階層ごとの混雑度を判定する判定部と、
前記混雑度が他よりも高い階層への呼びを生成する呼び生成部と、を備え、
前記階層ごとの前記乗り場には、
前記乗り場への呼びを受け付ける乗り場呼び装置、または
前記乗り場の前記利用者を撮像可能な第1の撮像装置、の少なくともいずれかがそれぞれ設けられ、
前記乗りかごには、
行き先階への呼びを受け付ける行き先階呼び装置がそれぞれ設けられ、
前記モニタリング装置は、
前記乗り場呼び装置が受け付けた前記乗り場への呼び数、または、前記第1の撮像装置が撮像した画像に基づいて、前記階層ごとの前記乗り場の前記第1の利用者数情報を収集し、
前記行き先階呼び装置が受け付けた前記行き先階への呼び数に基づいて、前記行き先階へと向かう前記利用者数を示す第2の利用者数情報を収集し、
前記生成部は、
生成した前記呼びを、前記乗りかごの前記階層間の移動を制御して前記エレベータに対する呼び登録に応答させる群管理装置に登録する、
監視装置。
【請求項9】
利用者が搭乗して異なる階層間を移動することができる乗りかごを備えるエレベータの運行を監視する監視装置であって、
前記階層ごとに設けられる前記エレベータの乗り場の前記利用者数を示す第1の利用者数情報を収集するモニタリング装置から前記第1の利用者数情報を取得する取得部と、
前記エレベータの設置場所に災害が発生した場合には、前記第1の利用者数情報に基づいて、前記乗り場の前記階層ごとの混雑度を判定する判定部と、
前記混雑度が他よりも高い階層への呼びを生成する呼び生成部と、を備え、
前記階層ごとの前記乗り場には、
前記乗り場への呼びを受け付ける乗り場呼び装置、または
前記乗り場の前記利用者を撮像可能な第1の撮像装置、の少なくともいずれかがそれぞれ設けられ、
前記乗りかごには、
前記乗りかご内の前記利用者の荷重を検出する荷重センサが設けられ、
前記モニタリング装置は、
前記乗り場呼び装置が受け付けた前記乗り場への呼び数、または、前記第1の撮像装置が撮像した画像に基づいて、前記階層ごとの前記乗り場の前記第1の利用者数情報を収集し、
前記荷重センサの検出結果に基づいて、前記乗りかご内の前記利用者の前記階層ごとの乗降人数を示す第2の利用者数情報を収集し、
前記生成部は、
生成した前記呼びを、前記乗りかごの前記階層間の移動を制御して前記エレベータに対する呼び登録に応答させる群管理装置に登録する、
監視装置。
【請求項10】
利用者が搭乗して異なる階層間を移動することができる乗りかごを備えるエレベータの運行を監視する監視装置であって、
前記階層ごとに設けられる前記エレベータの乗り場の前記利用者数を示す第1の利用者数情報を収集するモニタリング装置から前記第1の利用者数情報を取得する取得部と、
前記エレベータの設置場所に災害が発生した場合には、前記第1の利用者数情報に基づいて、前記乗り場の前記階層ごとの混雑度を判定する判定部と、
前記混雑度が他よりも高い階層への呼びを生成する呼び生成部と、を備え、
前記階層ごとの前記乗り場には、
前記乗り場への呼びを受け付ける乗り場呼び装置、または
前記乗り場の前記利用者を撮像可能な第1の撮像装置、の少なくともいずれかがそれぞれ設けられ、
前記乗りかごには、
前記乗りかご内の前記利用者を撮像可能な第2の撮像装置が設けられ、
前記モニタリング装置は、
前記乗り場呼び装置が受け付けた前記乗り場への呼び数、または、前記第1の撮像装置が撮像した画像に基づいて、前記階層ごとの前記乗り場の前記第1の利用者数情報を収集し、
前記第2の撮像装置が撮像した画像に基づいて、前記乗りかご内の前記利用者の前記階層ごとの乗降人数を示す第2の利用者数情報を収集し、
前記生成部は、
生成した前記呼びを、前記乗りかごの前記階層間の移動を制御して前記エレベータに対する呼び登録に応答させる群管理装置に登録する、
監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータシステム及び監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建物内等のエレベータの設置場所で災害が発生した際に、避難のためのエレベータの使用が許可されている場合がある。特許文献1の技術では、火災発生時にカメラで避難弱者を抽出し救出階を決定して、エレベータの乗りかごを優先的に救出階に配車する。これにより、避難弱者を優先的に避難させることができる。また、特許文献2の技術では、火災発生時に煙が検出された階層よりも下層の階を停止可能階とする。これにより、煙に巻かれるのを避けつつ利用者を避難させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-159428号公報
【文献】特開2016-088635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、災害発生時にイベント等で特定階が混雑している状況もあり得る。特許文献1の技術では、乗りかごを避難弱者のいる救出階に優先的に配車したとても、混雑階では乗りかごの数が足りず、利用者が逃げ遅れてしまう恐れがある。
【0005】
また、特許文献2の技術では、煙検知器を備える乗りかごを各階層に亘って走行させる調査運転を実行するため、各階層に乗りかごが分散配置されてしまい、例えば混雑階に集中的に乗りかごを配車することができない。したがって、特許文献2の技術においても、乗りかごの数が混雑階で不足して、利用者が逃げ遅れてしまう恐れがある。
【0006】
本実施形態が解決しようとする課題は、災害発生時の混雑階において利用者を効率的に避難させることができるエレベータシステム及び監視装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のエレベータシステムは、利用者が搭乗して異なる階層間を移動することができるエレベータの乗りかごと、前記乗りかごの前記階層間の移動を制御して、前記エレベータに対する呼び登録に応答させる群管理装置と、前記階層ごとに設けられる前記エレベータの乗り場の前記利用者数を示す第1の利用者数情報を収集するモニタリング装置と、前記エレベータの運行を監視する監視装置と、を備え、前記階層ごとの前記乗り場には、前記乗り場への呼びを受け付ける乗り場呼び装置、または前記乗り場の前記利用者を撮像可能な第1の撮像装置、の少なくともいずれかがそれぞれ設けられ、前記乗りかごには、行き先階への呼びを受け付ける行き先階呼び装置がそれぞれ設けられ、前記モニタリング装置は、前記乗り場呼び装置が受け付けた前記乗り場への呼び数、または、前記第1の撮像装置が撮像した画像に基づいて、前記階層ごとの前記乗り場の前記第1の利用者数情報を収集し、前記行き先階呼び装置が受け付けた前記行き先階への呼び数に基づいて、前記行き先階へと向かう前記利用者数を示す第2の利用者数情報を収集し、前記監視装置は、前記エレベータの設置場所に災害が発生した場合には、前記第1及び第2の利用者数情報に基づいて、前記乗り場の前記階層ごとの混雑度を判定し、前記混雑度が他よりも高い階層への呼びを生成して前記群管理装置に登録する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態にかかるエレベータシステムの全体構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態にかかるエレベータシステムの機能構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態にかかる監視盤による災害時における混雑階への乗りかごの配車処理の手順の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(エレベータシステムの構成例)
図1は、実施形態にかかるエレベータシステム1の全体構成の一例を示す図である。図1に示すように、実施形態のエレベータシステム1は、監視盤10、モニタリング装置20、群管理装置30、エレベータ制御装置40、乗りかご50、乗り場60、及び昇降路70を備える。
【0010】
昇降路70は、エレベータシステム1の設置場所である建物等の内部に、複数の階層に亘って設けられている。複数の乗りかご50は、昇降路70内を昇降することで、利用者が搭乗して異なる階層間を移動することが可能に構成される。建物等の各階層には、利用者が乗りかご50への乗降を行う乗り場60が設けられている。
【0011】
昇降路70内には、ロープ71、カウンタウェイト72、及び巻き上げ機73が設けられている。
【0012】
個々の乗りかご50は、ロープ71を介してカウンタウェイト72とそれぞれ連結されている。また、ロープ71は巻き上げ機73に架け渡されており、巻き上げ機73の駆動によりロープ71が送り動作されることで、乗りかご50がカウンタウェイト72とバランスを取りながら昇降路70内を昇降する。
【0013】
個々の乗りかご50には、それぞれ行き先階呼び装置51、かごドア52、カメラ53、及び荷重センサ54が設けられている。
【0014】
行き先階呼び装置51は、乗りかご50内に設けられ、行き先階を示すボタン等を有して構成されている。乗りかご50内の利用者が、所定の行き先階ボタンを押下することで、行き先階呼び装置51によって行き先階呼びが受け付けられ、後述のエレベータ制御装置40を介して群管理装置30へと送信され登録される。これにより、利用者は、乗りかご50を所望の行き先階へと向かわせることができる。
【0015】
かごドア52は、乗りかご50の乗降口に設けられている。かごドア52は、乗りかご50が昇降路70内を移動中には閉状態となっており、乗りかご50が所定階の乗り場60に到着すると開状態となって、乗りかご50に対する利用者の乗降が可能となる。
【0016】
第2の撮像装置としてのカメラ53は、例えば乗りかご50内を監視する監視カメラ等である。カメラ53は、乗りかご50内の天井付近等、乗りかご50内の略全体を撮像可能な位置に設けられている。
【0017】
荷重センサ54は、例えば乗りかご50外側の下面等に設けられ、乗りかご50全体の重量を検出する。乗りかご50自体の重量は既知であるので、乗りかご50全体の重量を検出することで、乗りかご50内の利用客等の合計の重量を検出することができる。これにより、乗りかご50内の利用者数を推定することが可能である。
【0018】
階層ごとの乗り場60には、それぞれ乗り場呼び装置61、乗り場ドア62、及びカメラ63が設けられている。
【0019】
乗り場呼び装置61は、上下ボタン等を有して構成されている。乗り場60の利用者が、上下ボタンのいずれかを押下することで、乗り場呼び装置61によって乗り場呼びが受け付けられ、後述のエレベータ制御装置40を介して群管理装置30へと送信され登録される。これにより、利用者は、所望の行き先階へと向かう乗りかご50を、乗り場60に呼ぶことができる。
【0020】
乗り場ドア62は、乗り場60内の乗りかご50への乗降口に設けられている。乗り場ドア62は、乗りかご50がその乗り場60に到着するまでは閉状態となっており、乗りかご50が到着すると、乗りかご50のかごドア52と連動して開状態となる。これにより、乗りかご50に対して利用者が乗降することができる。
【0021】
第1の撮像装置としてのカメラ63は、例えば乗り場60を監視する監視カメラ等である。カメラ63は、乗り場60の天井付近等、乗り場60の略全体を撮像可能な位置に設けられている。
【0022】
監視盤10、モニタリング装置20、群管理装置30、及びエレベータ制御装置40は、それぞれCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等を備えるコンピュータとして構成されている。
【0023】
これらの監視盤10、モニタリング装置20、群管理装置30、及びエレベータ制御装置40は、互いに情報の授受が可能なように、有線または無線で接続されている。また、監視盤10は、エレベータの設置場所である建物等に設けられた防災センタ100と、互いに情報の授受が可能なように、有線または無線で接続されている。防災センタ100は、エレベータが設置された建物内の防災を図る。火災、地震、水害、停電等の災害が発生した場合には、監視盤10は、防災センタ100から災害に関する災害情報を得ることができる。
【0024】
エレベータ制御装置40は、個々の乗りかご50ごとに設けられ、対応する乗りかご50をそれぞれ制御する。
【0025】
群管理装置30は、エレベータ制御装置40を介して、対応する複数の乗りかご50の運行を制御する。より具体的には、群管理装置30は、行き先階呼び装置51からの行き先階呼び、及び乗り場呼び装置61からの乗り場呼びを登録し、複数の乗りかご50のいずれかを、これらの呼び登録に応答させる。
【0026】
モニタリング装置20は、監視盤10を介して、群管理装置30からエレベータの運行に関する情報を収集し、管理する。一例として、モニタリング装置20は、個々の乗りかご50における行き先階呼び回数、及び個々の乗り場60における乗り場呼び回数等の情報から、個々の乗りかご50内の利用者数、及び個々の乗り場60における利用者数等を算出する。
【0027】
監視装置としての監視盤10は、乗りかご50等を含むエレベータの運行を監視する。また、実施形態の監視盤10は、災害発生時、モニタリング装置20が算出した乗りかご50及び乗り場60の利用者数等の情報に基づいて、利用者が集中または滞留している混雑階を特定し、群管理装置30を介して、所定の乗りかご50を混雑階へと向かわせる。
【0028】
ここで、災害時における避難のためのエレベータの利用可否は、エレベータの設置場所ごとに法令等で規定されている。実施形態のエレベータシステム1において、エレベータが設置される建物等では、災害時のエレベータ利用が許可されていることを前提としている。
【0029】
図2は、実施形態にかかるエレベータシステム1の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0030】
図2に示すように、乗りかご50は、行き先階呼び装置51、かごドア52、カメラ53、及び荷重センサ54を備える。これらの行き先階呼び装置51、かごドア52、カメラ53、及び荷重センサ54は、エレベータ制御装置40と各種情報の授受を行う。
【0031】
例えば、行き先階呼び装置51は、利用者による行き先階呼びを受け付けると、その行き先階呼びをエレベータ制御装置40へと送信する。また、かごドア52は、エレベータ制御装置40から受信した制御信号等に応じて開閉動作を行う。また、カメラ53は、乗りかご50内の様子を撮像し、エレベータ制御装置40へと画像を送信する。また、荷重センサ54は、乗りかご50の重量を検出し、エレベータ制御装置40へと送信する。
【0032】
また、昇降路70には、巻き上げ機73が設けられ、エレベータ制御装置40と各種情報の授受を行う。具体的には、巻き上げ機73は、エレベータ制御装置40から受信した制御信号等に応じて駆動し、昇降路70内で乗りかご50を昇降させる。
【0033】
また、乗り場60には、乗り場呼び装置61、乗り場ドア62、及びカメラ63が設けられている。これらの乗り場呼び装置61、乗り場ドア62、及びカメラ63は、群管理装置30と各種情報の授受を行う。
【0034】
例えば、乗り場呼び装置61は、利用者による乗り場呼びを受け付けると、その乗り場呼びを群管理装置30へと送信する。また、乗り場ドア62は、群管理装置30から受信した制御信号等に応じて開閉動作を行う。また、カメラ63は、乗り場60の様子を撮像し、群管理装置30へと画像を送信する。
【0035】
エレベータ制御装置40は、機能部として、通信部41、制御部42、及び記憶部45を備える。これらの機能部は、例えばエレベータ制御装置40が備える上述のCPUが、ROM等に格納された制御プログラムをRAMに展開して実行することで実現される。
【0036】
通信部41は、エレベータ制御装置40の外部機器との通信を行う。
【0037】
例えば、通信部41は、乗りかご50に設けられた行き先階呼び装置51、かごドア52、カメラ53、及び荷重センサ54、並びに昇降路70に設けられた巻き上げ機73と各種情報の授受を行って、これらの各部の状態情報を受信し、また、これらの各部を制御する制御信号等を送信する。また、通信部41は、乗りかご50内の行き先階呼び装置51から行き先階呼びを受信する。
【0038】
また例えば、通信部41は、群管理装置30と各種情報の授受を行って、上記各部の状態情報、及び行き先階呼び装置51からの行き先階呼びを転送する。また、通信部41は、群管理装置30から上記各部への指示を受信する。
【0039】
制御部42は、群管理装置30からの指示に基づいて、乗りかご50に設けられた行き先階呼び装置51、かごドア52、カメラ53、及び荷重センサ54、並びに昇降路70に設けられた巻き上げ機73を制御する制御信号を生成し、通信部41を介してこれらの各部を制御する。
【0040】
記憶部45は、エレベータ制御装置40の機能を実現させる制御プログラム及び制御パラメータ等を記憶する。
【0041】
群管理装置30は、機能部として、通信部31、制御部32、指示部33、呼び管理部34、及び記憶部35を備える。これらの機能部は、例えば群管理装置30が備える上述のCPUが、ROM等に格納された制御プログラムをRAMに展開して実行することで実現される。
【0042】
通信部31は、群管理装置30の外部機器との通信を行う。
【0043】
例えば、通信部31は、エレベータ制御装置40との通信を行って、エレベータ制御装置40を介して乗りかご50の各部の状態情報、及び行き先階呼び装置51からの行き先階呼びを取得する。また、通信部31は、エレベータ制御装置40に乗りかご50を制御させるための指令を送信する。
【0044】
また例えば、通信部31は、乗り場60に設置される乗り場呼び装置61、乗り場ドア62、及びカメラ63等と通信を行って、これらの状態情報、及び乗り場呼び装置61からの乗り場呼びを取得する。また、通信部31は、乗り場60の各部を制御する制御信号を送信する。
【0045】
また例えば、通信部31は、少なくとも災害発生時には監視盤10との通信を行って、監視盤10が生成した行き先階呼びまたは乗り場呼び等の呼びを受信する。
【0046】
制御部32は、乗り場60に設けられた乗り場呼び装置61、乗り場ドア62、及びカメラ63を制御する制御信号を生成し、通信部31を介してこれらの各部を制御する。
【0047】
指示部33は、行き先階呼び装置51もしくは監視盤10から取得した行き先階呼び、または乗り場呼び装置61もしくは監視盤10から取得した乗り場呼びに乗りかご50を応答させるための指示を生成し、通信部31を介して、生成した指示をエレベータ制御装置40へと送信する。
【0048】
呼び管理部34は、行き先階呼び装置51または監視盤10から取得した行き先階呼びを記憶部35に格納して行き先階呼び登録を行う。また、呼び管理部34は、乗り場呼び装置61または監視盤10から取得した乗り場呼びを記憶部35に格納して乗り場呼び登録を行う。
【0049】
記憶部35は、群管理装置30の機能を実現させる制御プログラム及び制御パラメータ等を記憶する。また、記憶部35は呼び登録データベース36を記憶する。呼び登録データベース36には、呼び管理部34により登録された行き先階呼び登録および乗り場呼び登録等の呼び登録が格納される。
【0050】
モニタリング装置20は、機能部として、通信部21、演算部22、及び記憶部25を備える。これらの機能部は、例えばモニタリング装置20が備える上述のCPUが、ROM等に格納された制御プログラムをRAMに展開して実行することで実現される。
【0051】
通信部21は、モニタリング装置20の外部機器との通信を行う。
【0052】
例えば、通信部21は、監視盤10を介して群管理装置30との通信を行って、群管理装置30から各種情報を取得する。通信部21が群管理装置30から取得する情報には、例えば群管理装置30によって取得された乗りかご50、乗り場60、及び昇降路70に設けられる各部からの状態情報、群管理装置30によって生成されたエレベータ制御装置40への指示、群管理装置30によって生成された乗り場60の各部を制御する制御信号、並びに群管理装置30に登録された行き先階呼び登録および乗り場呼び登録等が含まれる。
【0053】
また例えば、通信部21は、少なくとも災害発生時には監視盤10との通信を行って、モニタリング装置20が取得し加工した各種情報を、監視盤10へと送信する。モニタリング装置20により加工された各種情報には、以下に詳述するように、例えば建物内の階層ごとの乗り場60における利用者数、及び個々の乗りかご50内の利用者数等が含まれる。
【0054】
演算部22は、群管理装置30から取得した各種情報を加工して、エレベータの運行状況を示す情報を生成する。エレベータの運行状況を示す情報としては、個々の乗りかご50及び乗り場60における利用者数の推移、個々の乗りかご50の各階層の乗り場60への着床回数、及び乗りかご50の稼働回数の推移等である。
【0055】
また、演算部22は、監視盤10へと送信する加工情報として、例えば階層ごとの乗り場60における利用者数および推定利用者数、並びに個々の乗りかご50内の利用者数等を生成する。
【0056】
階層ごとの乗り場60における利用者数は、例えば個々の乗り場60における乗り場呼び登録数等から算出可能である。個々の乗りかご50内の利用者数は、例えば個々の乗りかご50における行き先階呼び登録数等から算出可能である。また、階層ごとの乗り場60における推定利用者数は、例えば個々の行き先階呼び登録が示す行き先階から、乗りかご50内の利用者が向かう行き先階を特定することで、個々の乗り場60に所定時間後に到着する利用者数を推定し算出することができる。
【0057】
なお、乗り場呼び登録数から算出される、階層ごとの乗り場60における利用者数の情報は、第1の利用者数情報の一例である。また、個々の行き先階呼び登録が示す行き先階から推定される、階層ごとの乗り場60における推定利用者数の情報は、第2の利用者数情報の一例である。
【0058】
記憶部25は、モニタリング装置20の機能を実現させる制御プログラム及び制御パラメータ等を記憶する。また、記憶部25はモニタ情報データベース26を記憶する。モニタ情報データベース26には、群管理装置30から取得した各種情報、並びに階層ごとの乗り場60における利用者数および推定利用者数、並びに個々の乗りかご50内の利用者数等の演算部22により算出された情報等が格納される。
【0059】
監視盤10は、機能部として、通信部11、監視部12、判定部13、呼び生成部14、及び記憶部15を備える。これらの機能部は、例えば監視盤10が備える上述のCPUが、ROM等に格納された制御プログラムをRAMに展開して実行することで実現される。
【0060】
取得部としての通信部11は、監視盤10の外部機器との通信を行う。
【0061】
例えば、通信部11は、群管理装置30との通信を行って、群管理装置30から上述した各種情報を取得する。また、通信部11は、少なくとも災害時には、監視盤10が生成した行き先階呼びまたは乗り場呼びを群管理装置30へと送信する。
【0062】
また例えば、通信部11は、モニタリング装置20との通信を行って、群管理装置30から取得した上述の各種情報をモニタリング装置20へと送信する。また、通信部11は、少なくとも災害時には、モニタリング装置20から、階層ごとの乗り場60における利用者数および推定利用者数、並びに個々の乗りかご50内の利用者数等の情報を取得する。
【0063】
また例えば、通信部11は、上述の防災センタ100(図1)との通信を行って、火災、地震、水害、停電等の災害の発生を示す災害情報を取得する。
【0064】
監視部12は、群管理装置30から取得した各種情報に基づいて、エレベータの運行を監視する。また、防災センタ100から災害発生時に送信される災害情報に基づいて、エレベータの運行への影響を推定する。監視部12は、平常時および災害時に、エレベータの運行に支障が生じた場合等には、エレベータを停止するなどの処置を、通信部11を介して群管理装置30に指示する。
【0065】
判定部13は、災害発生時、モニタリング装置20から取得した階層ごとの乗り場60における利用者数および推定利用者数、並びに個々の乗りかご50内の利用者数等の情報に基づいて、個々の乗り場60の混雑度を判定する。
【0066】
乗り場60の混雑度は、個々の乗り場60の推定値を含む利用者数、個々の乗り場60における人流の滞留の程度等に基づいて判定される。個々の乗り場60における人流の滞留は、例えばその乗り場60に到着する乗りかご50の混雑度、つまり、乗りかご50内の利用者数、及び乗りかご50に乗り切れずに取り残された利用者の数等に基づいて判定される。
【0067】
また、判定部13は、個々の乗り場60について判定した混雑度に基づいて、混雑度が他より高い乗り場60の階層を混雑階として特定する。混雑階の特定は、例えば混雑度について予め設定された閾値以上の階層に対して行うことができる。あるいは、混雑階の特定は、例えば混雑度の最上位階を含む1つまたは複数の上位階に対して行われてもよい。
【0068】
呼び生成部14は、判定部13が特定した混雑階に乗りかご50を配車させるため、混雑階における乗り場呼び、及び混雑階を行き先階とする行き先階呼びの少なくともいずれかを生成する。乗り場呼び及び行き先階呼びのいずれを生成するかは、例えば複数の乗りかご50のその時点での配置および混雑度等に基づいて、より早く混雑階に乗りかご50を配車できるよう決定される。また、生成する呼びの数、つまり、混雑階への乗りかご50の配車数は、例えば混雑階の混雑度、及び乗りかご50の空き状況等に応じて決定される。
【0069】
呼び生成部14は、生成した乗り場呼びまたは行き先階呼びを、通信部11を介して群管理装置30へと送信して登録する。
【0070】
記憶部15は、監視盤10の機能を実現させる制御プログラム及び制御パラメータ等を記憶する。また、記憶部15は利用者数情報16を記憶する。利用者数情報16には、モニタリング装置20から取得した階層ごとの乗り場60における利用者数および推定利用者数、並びに個々の乗りかご50内の利用者数等が格納される。
【0071】
(エレベータシステムの処理例)
次に、図3を用いて、実施形態の監視盤10による処理例について説明する。図3は、実施形態にかかる監視盤10による災害時における乗りかご50の配車処理の手順の一例を示すフロー図である。
【0072】
図3に示すように、監視盤10の通信部11が、防災センタ100から災害情報を受信すると(ステップS101)、判定部13は、通信部11を介してモニタリング装置20から階層ごとの乗り場60における利用者数および推定利用者数、並びに個々の乗りかご50内の利用者数等の情報を取得する(ステップS102)。
【0073】
また、判定部13は、モニタリング装置20から取得した情報に基づいて、各階層の乗り場60における推定値を含む利用者数および取り残し人数、並びに乗りかご50の混雑度を判定する。また、判定部13は、上記の判定結果に基づいて混雑階を特定する(ステップS103)。
【0074】
呼び生成部14は、判定部13が特定した混雑階における乗り場呼び、及び混雑階への行き先階呼びの少なくともいずれかを生成する(ステップS104)。また、呼び生成部14は、生成した呼びを群管理装置30へと送信する(ステップS105)。
【0075】
以上により、実施形態の監視盤10による乗りかご50の配車処理が終了する。
【0076】
なお、判定部13の判定結果に基づいて、混雑階に乗りかご50を配車した後、ステップS102~S103処理を再度行って、混雑階の混雑が解消されたか否かを判定部13が判定してもよい。乗りかご50の配車後、依然、混雑が解消されていない場合、あるいは、異なる階層で新たな混雑が派生していた場合には、さらに、ステップS104~S105の処理を行って、別の乗りかご50を更に配車してもよい。また、建物内の混雑が解消されるまで、ステップS102~S105の処理を複数回繰り返してもよい。
【0077】
(概括)
エレベータシステムは、例えばエレベータの運行を監視する監視盤、及びエレベータの運行に関する各種データを収集するモニタリング装置を含んで構成される場合がある。モニタリング装置は、例えば監視盤等の他の構成と連携することなく、専らデータ収集のみを行う。
【0078】
ここで、例えば災害発生時には、エレベータシステムは、乗りかごを最寄り階に停止させる制御を行うのが一般的である。また、エレベータの設置場所によっては、エレベータを利用した避難が法令等で認められている。
【0079】
しかしながら、エレベータの設置場所でイベント等が開催されている場合、あるいは災害の影響で特定階の避難経路が使用不能である場合等には、特定階が他の階層よりも混雑してしまう可能性がある。
【0080】
したがって、上記のように、乗りかごを無作為に最寄り階に停止させてしまうと、混雑階において利用者が乗りかごに乗り切れない事態が発生し、逃げ遅れてしまう恐れがある。また、発生した災害が停電を伴っていた場合には非常用電源への切り替えが行われ、運行可能な乗りかご数が制約されるため、混雑階における乗りかご数の不足がよりいっそう深刻となる可能性がある。
【0081】
実施形態のエレベータシステム1によれば、監視盤10は、エレベータの設置場所に災害が発生した場合には、階層ごとの乗り場60における利用者数の情報に基づいて、乗り場60の階層ごとの混雑度を判定し、混雑度が他よりも高い階層への呼びを生成して群管理装置30に登録する。これにより、混雑階に優先的に乗りかご50を配車することができ、災害発生時の混雑階において利用者を効率的に避難させることができる。
【0082】
実施形態のエレベータシステム1によれば、監視盤10は、階層ごとに設けられるエレベータの乗り場60の利用者数を示す利用者数情報を収集するモニタリング装置20から階層ごとの乗り場60における利用者数の情報を取得する通信部11を備える。このように、監視盤10とモニタリング装置20をと連携させて、モニタリング装置20がエレベータの運行をモニタリングするために収集したデータを混雑階の特定に用いることで、効率的に素早く混雑階を特定することができ、利用者を効率的に避難させることができる。
【0083】
実施形態のエレベータシステム1によれば、モニタリング装置20は、乗り場呼び装置61が受け付けた乗り場60への呼び数に基づいて、階層ごとの乗り場60における利用者数の情報を収集する。このように、個々の乗り場60で発生した乗り場呼びに基づいて、個々の乗り場60における利用者数を特定することで、精度よく乗り場60の利用者数の情報を取得することができる。
【0084】
実施形態のエレベータシステム1によれば、モニタリング装置20は、行き先階呼び装置51が受け付けた所定の行き先階への呼び数に基づいて、所定の行き先階へと向かう利用者数を示す、階層ごとの乗り場60における推定利用者数の情報を収集する。このような情報を収集し、監視盤10における混雑度の判定に用いることで、各階層の混雑度を精度よく判定することができる。
【0085】
(変形例)
上述の実施形態では、乗り場呼び装置61からの乗り場呼び数、及び行き先階呼び装置51からの行き先階呼び数に基づいて、階層ごとの乗り場60における推定値を含む利用者数を算出することとした。しかし、乗り場60の利用者数の算出方法は上記に限られない。
【0086】
階層ごとの乗り場60における利用者数は、例えば乗り場60に設置されたカメラ63の画像に基づいて算出されてもよい。すなわち、乗り場60のカメラ63が撮像した画像を画像解析すること等によって、乗り場60の利用者数を特定することができる。
【0087】
この場合、乗り場60のカメラ63から得られる、階層ごとの乗り場60における利用者数の情報は、第1の利用者数情報の一例である。
【0088】
また、階層ごとの乗り場60における推定利用者数は、例えば乗りかご50内に設置されたカメラ53の画像、または乗りかご50下面に設置された荷重センサ54の検出結果等に基づいて算出されてもよい。
【0089】
すなわち、乗りかご50内のカメラ53を用いる場合には、カメラ53が撮像した画像を画像解析すること等によって、階層ごとの乗り場60における乗降人数を特定し、個々の乗り場60における利用者数を推定することができる。また、乗りかご50の荷重センサ54を用いる場合には、荷重センサ54による検出値の推移を解析することで、階層ごとの乗り場60における乗降人数を推定することができ、乗り場60の利用者数が推定される。
【0090】
この場合、乗りかご50内のカメラ53、あるいは、乗りかご50の荷重センサ54から得られる、階層ごとの乗り場60における推定利用者数の情報は、第2の利用者数情報の一例である。
【0091】
以上のように、階層ごとの乗り場60における利用者数は、乗り場呼び装置61からの乗り場呼び数、及び乗り場60のカメラ63画像の解析結果のいずれか一方、あるいは、これらの組み合わせにより算出されてよい。
【0092】
また、階層ごとの乗り場60における推定利用者数は、行き先階呼び装置51からの行き先階呼び数、乗りかご50内のカメラ53画像の解析結果、及び乗りかご50の荷重センサ54の検出値のいずれか、あるいは、これらの幾つかもしくは全部を任意に組み合わせて算出されてよい。
【0093】
また、上述の実施形態では、判定部13が特定した混雑階に乗りかご50を配車することとした。しかし、例えば階層ごとの乗り場60のカメラ63の画像を解析することで、判定部13が、災害によって大きな被害が生じた被災階を特定し、特定された被災階に乗りかご50を停止させないような制御を行ってもよい。この場合、監視盤10の呼び生成部14が、被災階への呼びを生成しないようにすることができる。
【0094】
また、判定部13が被災階を特定する場合において、発生した災害が火災等であった場合には、特定された被災階のみならず、被災階の少なくとも直上階にも乗りかご50を停止させない制御を行ってもよい。
【0095】
このように、発生した災害の種類に応じて、あるいは、火災、地震、水害、及び停電等のうち幾つかの災害が複合的に発生した場合において、監視盤10による上記制御を適宜異ならせてよい。
【0096】
また、上述の実施形態では、災害発生時に、監視盤10とモニタリング装置20を連携させて混雑階を特定し、特定した混雑階に優先的に乗りかご50を配車することとした。しかし、平常時であっても、イベント等により特定階での混雑度が高まった場合等には、上記構成を適用して、監視盤10により混雑階に乗りかご50を配車してもよい。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0098】
1…エレベータシステム、10…監視盤、11…通信部、12…監視部、13…判定部、14…呼び生成部、15…記憶部、16…利用者数情報、20…モニタリング装置、30…群管理装置、40…エレベータ制御装置、50…乗りかご、51…行き先階呼び装置、53,63…カメラ、54…荷重センサ、60…乗り場、61…乗り場呼び装置、100…防災センタ。


【要約】
【課題】災害発生時の混雑階において利用者を効率的に避難させること。
【解決手段】実施形態のエレベータシステムは、利用者が搭乗して異なる階層間を移動することができるエレベータの乗りかごと、乗りかごの階層間の移動を制御して、エレベータに対する呼び登録に応答させる群管理装置と、階層ごとに設けられるエレベータの乗り場の利用者数を示す第1の利用者数情報を収集するモニタリング装置と、エレベータの運行を監視する監視装置と、を備え、監視装置は、エレベータの設置場所に災害が発生した場合には、第1の利用者数情報に基づいて、乗り場の階層ごとの混雑度を判定し、混雑度が他よりも高い階層への呼びを生成して群管理装置に登録する。
【選択図】図2
図1
図2
図3