(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-28
(45)【発行日】2025-03-10
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
G02B 6/12 20060101AFI20250303BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20250303BHJP
H01S 5/0239 20210101ALI20250303BHJP
H01S 5/0683 20060101ALI20250303BHJP
H01S 5/02208 20210101ALI20250303BHJP
H01S 5/0225 20210101ALI20250303BHJP
H01S 5/02253 20210101ALI20250303BHJP
【FI】
G02B6/12 301
G02B6/42
H01S5/0239
H01S5/0683
H01S5/02208
H01S5/0225
H01S5/02253
(21)【出願番号】P 2023500947
(86)(22)【出願日】2022-02-18
(86)【国際出願番号】 JP2022006736
(87)【国際公開番号】W WO2022176987
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-08-18
(31)【優先権主張番号】P 2021025665
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】板倉 祥哲
【審査官】林 祥恵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2003/084015(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0002826(US,A1)
【文献】国際公開第2014/091551(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0296522(US,A1)
【文献】特開2010-237483(JP,A)
【文献】特開2009-186578(JP,A)
【文献】特開平10-300990(JP,A)
【文献】特開平05-175614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12-6/14
G02B 6/24
G02B 6/30
G02B 6/42
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面を有する基板と、
前記第1面上の素子封止領域内に位置する第1発光素子と、
前記素子封止領域内に位置する第2発光素子と、
前記素子封止領域内に位置し、受光面を有する受光素子と、
前記第1面上に位置するクラッドと、
前記クラッド内に位置する第1コアと、
前記クラッド内に位置する第2コアと、
を備え、
前記第1発光素子からの光のうち、一部が前記第1コアに入射し、一部が前記受光素子の前記受光面に受光されており、
前記第2発光素子からの光のうち、一部が前記第2コアに入射し、一部が前記受光素子の前記受光面に受光されている、
前記第1コアは、前記素子封止領域に露出した第1端面を有するとともに前記第1面に沿って第1方向に伸びており、
前記第1発光素子は、前記第1方向において、前記第1端面と前記受光素子の間に位置している、発光装置。
【請求項2】
第1面を有する基板と、
前記第1面上の素子封止領域内に位置する第1発光素子と、
前記素子封止領域内に位置する第2発光素子と、
前記素子封止領域内に位置し、受光面を有する受光素子と、
前記第1面上に位置するクラッドと、
前記クラッド内に位置する第1コアと、
前記クラッド内に位置する第2コアと、
前記クラッド上に位置する蓋体と、を備え、
前記第1発光素子からの光のうち、一部が前記第1コアに入射し、一部が前記受光素子の前記受光面に受光されており、
前記第2発光素子からの光のうち、一部が前記第2コアに入射し、一部が前記受光素子の前記受光面に受光されており、
前記蓋体は、凹部を有しており、
前記素子封止領域は、少なくとも前記クラッドおよび前記蓋体で囲まれた空間であり、前記受光面は、前記蓋体に対向しており、
前記凹部は、前記凹部の内表面に粗化面を含んでいる、発光装置。
【請求項3】
前記第2発光素子は、前記第1発光素子と異なる波長の光を出射する請求項1
または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1コアは、前記素子封止領域に露出した第1端面を有するとともに前記第1面に沿って第1方向に伸びており、
前記第1発光素子は、前記第1方向において、前記第1端面と前記受光素子の間に位置している、請求項
2に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第2コアは、前記素子封止領域に露出した第2端面を有するとともに前記第1方向に伸びており、
前記第2発光素子は、前記第1方向において、前記第2端面と前記受光素子の間に位置している、請求項
1または4に記載の発光装置。
【請求項6】
さらに蓋体を備え、
該蓋体は、前記クラッド上に位置し、
前記素子封止領域は、少なくとも前記クラッドおよび前記蓋体で囲まれた空間であり、
前記受光面は、前記蓋体に対向している、請求項
1に記載の発光装置。
【請求項7】
前記蓋体は、凹部を有していることを特徴とする請求項
6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記凹部の内表面には、底部と側部とを含んでいることを特徴とする請求項
2または7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記蓋体は、前記凹部の前記内表面に第1反射膜を有する、請求項
8に記載の発光装置。
【請求項10】
前記蓋体と前記クラッドとの対向部における前記クラッド上に封止金属膜を備え、
前記蓋体は、前記対向部において平面透視で前記封止金属膜に重なって位置し、前記第1反射膜に連なる第3反射膜を有する、請求項
9に記載の発光装置。
【請求項11】
前記蓋体は、透明体であり、
前記蓋体は、外表面に第4反射膜を有する、請求項2
または請求項8~
10のいずれか1項
に記載の発光装置。
【請求項12】
前記凹部は、前記側部が前記クラッドから離れるにつれて外方に向かって傾斜している、
請求項2
または請求項8~
11のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項13】
前記凹部は、前記内表面がドーム状である、請求項2
または請求項8~
12のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項14】
前記凹部は、前記凹部の内表面に粗化面を含む、請求項
9記載の発光装置。
【請求項15】
前記受光面は、前記第1発光素子および前記第2発光素子に対向しており、
前記受光素子と、前記第1発光素子および前記第2発光素子との間に光拡散部材を備える、請求項
1に記載の発光装置。
【請求項16】
前記第1発光素子、前記第2発光素子および前記受光素子を封止する封止部材を備え、
前記素子封止領域は、前記封止部材を含み、
前記受光面は、前記第1面との対向面の反対面である、請求項
1に記載の発光装置。
【請求項17】
前記封止部材は、前記第1面に沿う方向において前記クラッドに囲まれている、請求項
16に記載の発光装置。
【請求項18】
前記封止部材は、透明体であり、
前記封止部材は、外表面に第5反射膜を有する、請求項
16に記載の発光装置。
【請求項19】
前記封止部材は、外表面に粗化面を含む、請求項
16~
18のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項20】
前記第1発光素子、前記第2発光素子および前記受光素子を封止する封止部材を備え、
前記素子封止領域は、前記封止部材を含み、
前記受光面は、前記第1発光素子および前記第2発光素子に対向しており、
前記受光素子と、前記第1発光素子および前記第2発光素子との間に光拡散部材を備える、請求項
1に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の一例は、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本開示の発光装置は、第1面を有する基板と、前記第1面上の素子封止領域内に位置する第1発光素子と、前記素子封止領域内に位置する第2発光素子と、前記素子封止領域内に位置し、受光面を有する受光素子と、前記第1面上に位置するクラッドと、前記クラッド内に位置する第1コアと、前記クラッド内に位置する第2コアと、を備え、前記第1発光素子からの光のうち、一部が前記第1コアに入射し、一部が前記受光素子の前記受光面に受光されており、前記第2発光素子からの光のうち、一部が前記第2コアに入射し、一部が前記受光素子の前記受光面に受光されており、前記第1コアは、前記素子封止領域に露出した第1端面を有するとともに前記第1面に沿って第1方向に伸びており、前記第1発光素子は、前記第1方向において、前記第1端面と前記受光素子の間に位置している。
また、本開示の発光装置は、第1面を有する基板と、前記第1面上の素子封止領域内に位置する第1発光素子と、前記素子封止領域内に位置する第2発光素子と、前記素子封止領域内に位置し、受光面を有する受光素子と、前記第1面上に位置するクラッドと、前記クラッド内に位置する第1コアと、前記クラッド内に位置する第2コアと、前記クラッド上に位置する蓋体と、を備え、前記第1発光素子からの光のうち、一部が前記第1コアに入射し、一部が前記受光素子の前記受光面に受光されており、前記第2発光素子からの光のうち、一部が前記第2コアに入射し、一部が前記受光素子の前記受光面に受光されており、前記蓋体は、凹部を有しており、前記素子封止領域は、少なくとも前記クラッドおよび前記蓋体で囲まれた空間であり、前記受光面は、前記蓋体に対向しており、前記凹部は、前記凹部の内表面に粗化面を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本開示の目的、特色、および利点は、下記の詳細な説明と図面とからより明確になるであろう。
【0006】
【
図1】本開示の実施形態の発光装置を示す分解斜視図である。
【
図2】
図1に示される発光装置の蓋体を省略した平面図である。
【
図3】
図2の切断面線III-IIIから見た発光装置の断面図である。
【
図4】本開示の他の実施形態の発光装置を示す拡大断面図である。
【
図5】本開示の他の実施形態の発光装置を示す拡大断面図である。
【
図6】本開示の他の実施形態の発光装置を示す拡大断面図である。
【
図7】本開示の他の実施形態の発光装置を示す拡大断面図である。
【
図8】本開示の他の実施形態の発光装置を示す拡大断面図である。
【
図9】本開示の他の実施形態の発光装置を示す拡大断面図である。
【
図10】本開示の他の実施形態の発光装置を示す拡大断面図である。
【
図11】本開示の他の実施形態の発光装置を示す拡大断面図である。
【
図12】本開示の他の実施形態の発光装置を示す拡大断面図である。
【
図13】本開示の他の実施形態の発光装置を示す拡大断面図である。
【
図14】本開示の他の実施形態の発光装置を示す拡大断面図である。
【
図15】本開示の他の実施形態の発光装置を示す拡大断面図である。
【
図16】本開示の他の実施形態の発光装置を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の基礎となる構成の発光素子などの光源を備える発光装置では、光源から出射される光の強度を監視し、出射光を所望の出力に制御する。光源からの光の強度は、発光装置内に設けられた受光素子による受光量によって監視される。
【0008】
特許文献1記載の光学ユニットは、光源の出射光路中に回折格子を配置し、出射光のうち回折格子で反射される光を受光素子で受光している。
【0009】
発光装置には、複数の発光素子を備えるものがある。複数の発光素子は、例えば、出射光の波長が異なっており、所望の色調とする場合、各発光素子の出力を調整する必要がある。特許文献1の構成を利用して、複数の発光素子の出力を制御しようとする場合、各発光素子の出射光路中にそれぞれ回折格子を配置し、各回折格子で反射した光を発光素子ごとに設けられた受光素子で受光することになる。このような構成では、複数の回折格子を配置し、複数の受光素子を備える必要があり、発光装置の小型化が困難である。
【0010】
本開示の発光装置は、第1面を有する基板と、
前記第1面上の素子封止領域内に位置する第1発光素子と、
前記素子封止領域内に位置する第2発光素子と、
前記第1面上に位置するクラッドと、
前記クラッド内に位置し、前記第1発光素子からの光が入射する第1コアと、
前記クラッド内に位置し、前記第2発光素子からの光が入射する第2コアと、
前記素子封止領域内に位置し、前記第1発光素子からの光および前記第2発光素子からの光を受光する受光面を有する受光素子と、を備える。
【0011】
以下、添付図面を参照して、本開示の発光装置の実施形態について説明する。
図1から
図3に係る本実施形態の発光装置100は、第1面2を有する基板1と、基板1の第1面2上に位置するクラッド3と、クラッド3内に位置するコア4と、クラッド3上に位置する蓋体11と、第1面2上の素子封止領域9内に位置する第1発光素子10aと、素子封止領域9内に位置する第2発光素子10bと、素子封止領域9内に位置する受光素子12と、を備える。
【0012】
本実施形態の発光装置100は、第1発光素子10aおよび第2発光素子10bを備え、さらに第3発光素子10cを備える。これらは、例えば、第1発光素子10aが赤色(R)光を出射し、第2発光素子10bが緑色(G)光を出射し、第3発光素子10cが青色(B)光を出射するレーザーダイオードなどが適用される。第1発光素子10a、第2発光素子10bおよび第3発光素子10cを総称して発光素子10と呼ぶ場合がある。受光素子12は、第1発光素子10aからの光および第2発光素子10bからの光を受光する受光面12aを有する。本実施形態の受光素子12の受光面12aは、さらに第3発光素子10cからの光も受光する。受光素子12は、例えば、フォトダイオードなどが適用される。
【0013】
基板1は、例えば、誘電体層がセラミック材料から成るセラミック配線基板であってもよい。セラミック配線基板で用いられるセラミック材料としては、例えば、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化ケイ素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、ガラスセラミック焼結体等が挙げられる。基板1がセラミック配線基板である場合、誘電体層には、発光素子および受光素子と外部回路との電気的接続のための接続パッド、内部配線導体、外部接続端子等の各導体が配設されている。
【0014】
基板1は、例えば、誘電体層が有機材料から成る有機配線基板であってもよい。有機配線基板は、例えば、プリント配線基板、ビルドアップ配線基板、フレキシブル配線基板等である。有機配線基板に用いられる有機材料としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
【0015】
クラッド3とコア4とは、光導波路を構成する。クラッド3およびコア4を構成する材料としては、いずれも石英などのガラス材料あるいは樹脂材料であってもよく、一方がガラスで他方が樹脂であってもよい。クラッド3とコア4とは、屈折率が異なっており、コア4はクラッド3よりも屈折率が高い。この屈折率の違いを利用して、コア4内の光を全反射させる。屈折率の高い材料で導波路(コア4)を形成し、周りを屈折率の低い材料(クラッド3)で囲んでいることにより、光は屈折率の高い導波路を進行する。
【0016】
コア4は、第1発光素子10aからの光が入射する第1コア41aと、第2発光素子10bからの光が入射する第2コア41bと、さらに第3発光素子10cからの光が入射する第3コア41cと、第1コア41a、第2コア41bおよび第3コア41cが会合する合波部43と、出射端面42を含む統合路44とを有する。第1コア41aは、入射端面4aを含み、第2コア41bは、入射端面4bを含み、第3コア41cは、入射端面4cを含む。第1発光素子10aからの光、第2発光素子10bからの光および第3発光素子10cからの光は、第1コア41a、第2コア41bおよび第3コア41cを進行し、統合路44の出射端面42から合波光として出射される。コア4から出射される光の光路上に位置するレンズ45は、コア4から出射される光を平行化してもよいし、集光してもよい。レンズ45は、例えば、入射面が平面に形成され、出射面が凸面の平凸レンズである。
【0017】
クラッド3は、基板1の第1面2上に搭載される発光素子10と、受光素子12と、を取り囲む部分を有する。本実施形態では、例えば、クラッド3が、貫通孔8を有している。第1発光素子10a、第2発光素子10bおよび第3発光素子10cと、受光素子12と、は貫通孔8内に位置している。本実施形態の素子封止領域9は、基板1、クラッド3および蓋体11で囲まれた空間である。また、本実施形態の蓋体11は、凹部11aを有しており、素子封止領域9は、貫通孔8を含む空間である。例えば、クラッド3の厚さが大きく、貫通孔8内に発光素子10と、受光素子12と、が収まる場合、蓋体11は平板状であってもよく、発光素子10および受光素子12の高さがクラッド3の厚さより高い場合は、蓋体11は、凹部11aを有していてもよい。
【0018】
受光素子12の受光面12aは、蓋体11に対向している。第1発光素子10a、第2発光素子10bおよび第3発光素子10cから出射された光は、コア4に入射されるが、入射しなかった一部の光および発光素子の出射面と反対側の反射面から出射された光は、素子封止領域9の空間内において、受光素子12の受光面12aで受光される。例えば、クラッド3の貫通孔8の内周面で反射されたり、蓋体11の内表面などで反射された光が、受光面12aで受光される。本実施形態のように、蓋体11が凹部11aを有する構成では、凹部11aの内表面で反射された光が、受光面12aで受光される。複数の発光素子10からの光を、単一の受光素子12で受光する構成であることにより、発光装置100の小型化が可能となる。ここで、受光素子12のサイズの一例としては、受光面12aを含む面が0.4mm角であり、高さ(厚み)が0.2mmである。
【0019】
本実施形態では、発光素子10および受光素子12は、外部接続配線15と接続される。外部接続配線15は、素子封止領域9内から素子封止領域9外にわたって位置している。発光素子10および受光素子12の下面側の電極は、それぞれ外部接続配線15と直接接続され、発光素子10および受光素子12の上面側の電極は、それぞれボンディングワイヤなどを介して外部接続配線15と接続される。発光素子10および受光素子12は、例えば、外部接続配線15を介して、外部の制御回路などと電気的に接続される。
【0020】
本実施形態の発光装置100は、例えば、外部の制御回路によって、第1発光素子10a、第2発光素子10bおよび第3発光素子10cのうち、いずれか1つの発光素子のみが発光するように、発光タイミングが制御される。受光素子12は、発光タイミングに合わせて、発光された光を受光し、得られた受光量により、発光素子10の出力を調整することができる制御回路は、受光量に基づいて、例えば、各発光素子への供給電流を調整して、発光される光を所望の色調などに調整することができる。また、発光装置100は、制御回路によって、第1発光素子10a、第2発光素子10bおよび第3発光素子10cが同時に発光するように、発光タイミングが制御されてもよい。この場合は、受光素子12は、全発光素子からの光を受光し、その受光量を出力する。制御回路は、受光量に基づいて、例えば、各発光素子への供給電流を調整してもよい。
【0021】
発光装置100は、蓋体11とクラッド3とが対向する部分(対向部)において、クラッド3上に封止金属膜17を備えていてもよい。対向部は、クラッド3の上面と、蓋体11の凹部11aの周囲に位置する下面とで挟まれた領域である。封止金属膜17は、例えば、金属材料からなり、平面視で貫通孔8を囲んでおり、途切れの無く環状に設けられている。封止金属膜17を有する発光装置100は、素子封止領域9の空間内の気密性に優れる。
【0022】
図4は、本開示の他の実施形態の発光装置を示す拡大断面図である。
図4は、素子封止領域9近傍を拡大して示している。なお、前述の実施形態と対応する部分には同一の参照符を付し、重複する説明は省略する。本実施形態では、蓋体11は、凹部11aの内表面に第1反射膜21を有する。凹部11aは、内表面に底部11a1と側部11a2とを含み、第1反射膜21は、底部11a1および側部11a2に位置している。第1反射膜21は、例えば、アルミニウム、クロム、金、チタンなどの金属膜、または誘電体多層膜などを用いることができる。蓋体11の凹部11aの内表面に達する光は、一部が反射され、一部が蓋体11を透過し、一部が蓋体11に吸収される。蓋体11が、第1反射膜21を有することで、素子封止領域9の空間内において、反射光の光量が増加するため、受光素子12の受光量が増加する。受光素子12の受光量の増加により、発光素子10を高度に調整することができるため、これを備える発光装置100は、色調調整力に優れる。蓋体11が平板状である場合には、蓋体11の基板1側の面(下面)に第1反射膜21を備えていてもよい。第1反射膜21は、少なくとも、蓋体11の下面における、素子封止領域9に面する領域に設けられる。
【0023】
図5は、本開示の他の実施形態の発光装置を示す拡大断面図である。
図5は、素子封止領域9近傍を拡大して示している。なお、前述の実施形態と対応する部分には同一の参照符を付し、重複する説明は省略する。本実施形態では、蓋体11は、透明体であり、蓋体11は、外表面に第4反射膜24を有する。透明体は、少なくとも第1発光素子10a、第2発光素子10bおよび第3発光素子10cから出射される光のいずれかに対して透明であればよい。第4反射膜24は、例えば、アルミニウム、クロム、金、チタンなどの金属膜、または誘電体多層膜などを用いることができる。蓋体11の内表面に達する光は、一部が反射され、一部が蓋体11を透過し、一部が蓋体11に吸収される。蓋体11が、第4反射膜24を有することで、蓋体11を透過する光が第4反射膜24で反射され、素子封止領域9の空間内に戻り、受光素子12の受光量が増加する。
【0024】
図6は、本開示の他の実施形態の発光装置を示す拡大断面図である。
図6は、素子封止領域9近傍を拡大して示している。なお、前述の実施形態と対応する部分には同一の参照符を付し、重複する説明は省略する。本実施形態では、蓋体11は、封止金属膜17より内側に、第1反射膜21に連なる第2反射膜22を有する。第2反射膜22は、第1反射膜21と同様に、例えば、アルミニウム、クロム、金、チタンなどの金属膜、または誘電体多層膜などを用いることができる。素子封止領域9の空間内を進行する光のうち、第1反射膜21に達した光は、第1反射膜21で反射され、封止金属膜17に達した光は、封止金属膜17で反射され、それ以外の光は、蓋体11を透過したり、蓋体11に吸収されたりする漏れ光となる。第2反射膜22は、第1反射膜21と封止金属膜17との間の部分に達した光を反射することができるため、漏れ光が減少し、受光素子12の受光量が増加する。
【0025】
図7は、本開示の他の実施形態の発光装置を示す拡大断面図である。
図7は、素子封止領域9近傍を拡大して示している。なお、前述の実施形態と対応する部分には同一の参照符を付し、重複する説明は省略する。本実施形態では、蓋体11は、蓋体11とクラッド3との対向部に位置し、第1反射膜21に連なる第3反射膜23を有する。第3反射膜23は、蓋体11の凹部11aの周囲の下面上に位置し、平面透視で封止金属膜17と重なっている。第3反射膜23は、第1反射膜21と同様に、例えば、アルミニウム、クロム、金、チタンなどの金属膜、または誘電体多層膜などを用いることができる。第3反射膜23は、第2反射膜22と同様に、第1反射膜21と封止金属膜17との間の部分に達した光を反射することができるため、漏れ光が減少し、受光素子12の受光量が増加する。また、第3反射膜23と封止金属膜17とを接合することで、蓋体11と封止金属膜17とは強固に接合される。
【0026】
図8は、本開示の他の実施形態の発光装置を示す拡大断面図である。
図8は、素子封止領域9近傍を拡大して示している。なお、前述の実施形態と対応する部分には同一の参照符を付し、重複する説明は省略する。本実施形態では、蓋体11の凹部11aは、内表面に底部11a1と側部11a2とを含み、側部11a2がクラッド3から離れるにつれて外方に向かって傾斜している。本実施形態のように、受光素子12の受光面12aが蓋体11に対向する構成では、素子封止領域9の空間内を進行する光のうち、底部11a1で反射された光が、受光面12aで受光されやすい。凹部11aの側部11a2が上記のように傾斜していることにより、側部11a2に達した光が、側部11a2で反射され、底部11a1に向かい易くなるため、受光素子12の受光量が増加する。なお、
図8に示す蓋体11は、反射膜21,22,23を備えていないが、反射膜21,22,23を備えていてもよい。
【0027】
図9は、本開示の他の実施形態の発光装置を示す拡大断面図である。
図9は、素子封止領域9近傍を拡大して示している。なお、前述の実施形態と対応する部分には同一の参照符を付し、重複する説明は省略する。本実施形態では、凹部11aの内表面がドーム状である。このような構成であるときには、素子封止領域9の空間内において、ドーム状の内表面に達した光湾曲面で反射されるため、受光素子12の受光量が増加する。さらに、湾曲面を、例えば凹レンズ状とし、受光面12aに反射光を集光させ、受光素子12の受光量を増加させてもよい。
図9において、クラッド3から離れるにつれて外方に向かって傾斜した側部11a2を有するが、側部11a2は、上方に向かってクラッド3に対して垂直であってもよく、あるいは、上方に向かってクラッド3に対して内側に傾斜していてもよい。
図9に示す蓋体11は、反射膜21,22,23を備えていないが、反射膜21,22,23を備えていてもよい
。
【0028】
図10は、本開示の他の実施形態の発光装置を示す拡大断面図である。
図10は、素子封止領域9近傍を拡大して示している。なお、前述の実施形態と対応する部分には同一の参照符を付し、重複する説明は省略する。本実施形態では、凹部11aの内表面に粗化面を含む。粗化面は、粗化面以外の他の面、例えば、外表面より表面粗さが大きければよい。粗化面に達した光は、拡散反射されるため、受光素子12の受光量が増加する。
図10に示す蓋体11は、反射膜21,22,23を備えていないが、反射膜21,22,23を備えていてもよい。
【0029】
図11は、本開示の他の実施形態の発光装置を示す拡大断面図である。
図11は、素子封止領域9近傍を拡大して示している。なお、前述の実施形態と対応する部分には同一の参照符を付し、重複する説明は省略する。本実施形態では、上記の各実施形態と異なり、受光素子12の受光面12aが、発光素子10に対向している。このように、受光面12aが発光素子10に対向している場合、反射光を受光するときよりも発光素子10からの光が直接受光されるため、受光量が比較的に多くなり、反射光を受光するものよりも早く劣化するおそれがある。また、単一の受光素子12で、複数の発光素子10からの光を直接受光する場合、発光素子10と受光素子12とのそれぞれの配置の調整が難しくなるおそれがある。これに対し、本実施形態では、受光素子12と発光素子10との間に光拡散部材30を備える。素子封止領域9の空間内において、発光素子10からの光は、光拡散部材30によって拡散され、受光素子12は、この拡散光を受光する。受光素子12が、複数の発光素子10による拡散光を受光可能となるように光拡散部材30の配置位置を調節すればよい。受光素子12が複数の発光素子10から拡散光を受光するので、受光量を抑えることができる。また、発光素子10と受光素子12とのそれぞれの配置の調整が容易になる。光拡散部材30は、例えば、回折格子などを用いることができる。
【0030】
図12は、本開示のさらに他の実施形態の発光装置を示す拡大断面図である。
図12は、素子封止領域9近傍を拡大して示している。なお、前述の実施形態と対応する部分には同一の参照符を付し、重複する説明は省略する。本実施形態では、蓋体11を備えず、発光素子10および受光素子12を封止する封止部材40を備えている。本実施形態では、素子封止領域9は、封止部材40を含む。封止部材40は、発光素子10の出射光に対して透明であり、受光素子12が発光素子10からの光を受光する。封止部材40は、発光素子10の出射光に対して透明であればよく、例えば、樹脂材料であってもよく、ガラス材料であってもよい。受光素子12の受光面12aは、基板1の第1面2との対向面の反対面である。これは、前述の蓋体11を備える構成と同じである。
【0031】
素子封止領域9は、封止部材40を含むので、前述の実施形態のように、クラッド3は、発光素子10および受光素子12を取り囲む部分(貫通孔8)を有していなくてもよい。基板1の第1面2に発光素子10および受光素子12を搭載し、外部接続配線15と接続した状態で、封止部材40によって封止すればよい。
【0032】
本実施形態では、発光素子10からの光のうち、封止部材40と外部空間との境界で反射された光が、受光素子12の受光面12aで受光される。複数の発光素子10からの光を、単一の受光素子12で受光する構成であることにより、発光装置100の小型化が可能となる。
【0033】
本実施形態は、例えば、封止部材40が透明樹脂で構成されている場合、周辺環境の水分および外気などが透明樹脂を透過するおそれがある。このような場合は、
図12に示すように、封止部材40は、外表面に第5反射膜51を有する。第5反射膜51は例えば、アルミニウム、クロム、金、チタンなどの金属膜、または誘電体多層膜などを用いることができる。第5反射膜51を有することで、水分および外気などが封止部材40を透過することを抑えることができる。また、第5反射膜51を有することで、第5反射膜51で反射された光が、受光面12aで受光される。第5反射膜51を有することで、封止部材40内において、反射光の光量が増加するため、受光素子12の受光量が増加する。受光素子12の受光量の増加により、発光素子10を高度に調整することができるため、これを備える発光装置100は、色調調整力に優れる。
【0034】
図13は、本開示の他の実施形態の発光装置を示す拡大断面図である。
図13は、素子封止領域9近傍を拡大して示している。なお、前述の実施形態と対応する部分には同一の参照符を付し、重複する説明は省略する。本実施形態では、クラッド3が貫通孔8を有しており、封止部材40は、基板1の第1面2に沿う方向においてクラッド3に囲まれている。封止部材40は、発光素子10および受光素子12の封止時に軟化状態または流動状態で、素子を覆い、その後硬化させて形成される。本実施形態のように、クラッド3が貫通孔8のような、封止部材40を囲む部分を有していれば、封止時に軟化状態または流動状態となっている封止部材40をクラッド3によって堰き止めることができ、封止部材40を容易に形成できる。
【0035】
図14は、本開示の他の実施形態の発光装置を示す拡大断面図である。
図14は、素子封止領域9近傍を拡大して示している。なお、前述の実施形態と対応する部分には同一の参照符を付し、重複する説明は省略する。本実施形態では、クラッド3が貫通孔8を有しており、封止部材40の外表面に第6反射膜52が設けられる。第6反射膜52は例えば、アルミニウム、クロム、金、チタンなどの金属膜、または誘電体多層膜などを用いることができる。第6反射膜52は、封止部材40の外表面の外表面からクラッド3上にまで延びている。これにより、封止部材40は、クラッド3および第6反射膜52によって囲まれるので、漏れ光が減少するため、受光素子12の受光量が増加する。
【0036】
図15は、本開示の他の実施形態の発光装置を示す拡大断面図である。
図15は、素子封止領域9近傍を拡大して示している。なお、前述の実施形態と対応する部分には同一の参照符を付し、重複する説明は省略する。本実施形態では、封止部材40の外表面に粗化面を含む。粗化面は、粗化面以外の他の面より表面粗さが大きければよい。粗化面に達した光は、拡散反射されるため、受光素子12の受光量が増加する。
図15に示す封止部材40は、第6反射膜52を備えていないが、第6反射膜52を備えていてもよい。
【0037】
図16は、本開示の他の実施形態の発光装置を示す拡大断面図である。
図16は、素子封止領域9近傍を拡大して示している。なお、前述の実施形態と対応する部分には同一の参照符を付し、重複する説明は省略する。本実施形態では、受光素子12の受光面12aが、発光素子10に対向しており、受光素子12と発光素子10との間に光拡散部材30を備える。封止部材40内において、発光素子10からの光は、光拡散部材30によって拡散され、受光素子12は、この拡散光を受光する。受光素子12が、複数の発光素子10による拡散光を受光可能となるように光拡散部材30の配置位置を調節すればよい。受光素子12が複数の発光素子10から拡散光を受光するので、受光量を抑えることができる。また、発光素子10と受光素子12とのそれぞれの配置の調整が容易になる。光拡散部材30は、例えば、回折格子などを用いることができる。
【0038】
本開示のさらに他の実施形態では、受光素子12の受光面12aが、発光素子10に対向しており、受光素子12と発光素子10との間にミラーなどの反射体を配置してもよい。反射体は、発光素子10ごとに配置され、反射角度が調節されている。第1発光素子10aからの光は、第1反射体で反射されて受光素子12で受光される。第2発光素子10bからの光は、第2反射体で反射されて受光素子12で受光される。第3発光素子10cからの光は、第3反射体で反射されて受光素子12で受光される。
【0039】
以上、本開示の実施形態について詳細に説明したが、また、本開示は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。上記各実施形態をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0040】
1 基板
2 第1面
3 クラッド
4 コア
4a,4b,4c 入射端面
8 貫通孔
9 素子封止領域
10 発光素子
10a 第1発光素子
10b 第2発光素子
10c 第3発光素子
11 蓋体
11a 凹部
11a1 底部
11a2 側部
12 受光素子
12a 受光面
15 外部接続配線
17 封止金属膜
21 第1反射膜
22 第2反射膜
23 第3反射膜
24 第4反射膜
30 光拡散部材
40 封止部材
41a 第1コア
41b 第2コア
41c 第3コア
42 出射端面
43 合波部
44 統合路
45 レンズ
51 第5反射膜
52 第6反射膜
100 発光装置