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特許7642784一置換シクロペンタジエン及び金属シクロペンタジエニル錯体、並びにその合成方法
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  • 特許-一置換シクロペンタジエン及び金属シクロペンタジエニル錯体、並びにその合成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-28
(45)【発行日】2025-03-10
(54)【発明の名称】一置換シクロペンタジエン及び金属シクロペンタジエニル錯体、並びにその合成方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 2/86 20060101AFI20250303BHJP
   C07C 13/15 20060101ALI20250303BHJP
   C07C 17/32 20060101ALI20250303BHJP
   C07C 22/02 20060101ALI20250303BHJP
   C07F 1/02 20060101ALI20250303BHJP
   C07F 1/04 20060101ALI20250303BHJP
   C07F 1/06 20060101ALI20250303BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20250303BHJP
【FI】
C07C2/86
C07C13/15
C07C17/32
C07C22/02
C07F1/02
C07F1/04
C07F1/06
C07B61/00 300
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023504815
(86)(22)【出願日】2021-08-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(86)【国際出願番号】 US2021045306
(87)【国際公開番号】W WO2022035795
(87)【国際公開日】2022-02-17
【審査請求日】2023-03-20
(31)【優先権主張番号】16/992,721
(32)【優先日】2020-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】ニキフォロフ、グリゴリー
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-176915(JP,A)
【文献】特開平06-321977(JP,A)
【文献】特開平06-081636(JP,A)
【文献】特開2002-338590(JP,A)
【文献】国際公開第2018/225668(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 2/
C07C 13/
C07C 17/
C07C 22/
C07F 1/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属水酸化物、ハロゲン化物、シクロペンタジエンモノマー、アルカリ土類酸化物、及び触媒を溶媒中で混合すること;並びに
選択触媒炭素-炭素カップリング反応によって一置換シクロペンタジエンを形成させること
を含み、前記ハロゲン化物の量に対して約20~400%過剰量の前記シクロペンタジエンモノマーが使用さ
前記触媒が、第三級ホスホニウム塩であるテトラブチルホスホニウムクロリド(Bu PCl(CAS番号:2304-30-5))であり、
前記ハロゲン化物が、式R(Hal)又はR(F)(Hal)を有するアルキルハロゲン化物又はフルオロアルキルハロゲン化物であり、Halが、Cl、Br、Iから選択され;Rが、
a.C ~C 直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基;及び
b.少なくとも1個のフッ素を含有するC ~C 直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和フルオロヒドロカルビル基;
から選択され、
前記一置換シクロペンタジエンが、次式:
【化1】

(式中、m≧0であり;C は、1個の水素がR(F) によって置換されているシクロペンタジエニル(Cp)環を表し;R(F) は、Cpの炭素原子のいずれか1個に連結しており、且つ
i)C ~C 直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基;及び
ii)少なくとも1個のフッ素原子を含有するC ~C 直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和フルオロヒドロカルビル基;
から選択される)を有する、一置換シクロペンタジエンの合成方法。
【請求項2】
前記一置換シクロペンタジエンを金属化合物と接触させること;及び
前記一置換シクロペンタジエンを金属シクロペンタジエニル錯体に変換すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属化合物が、I族、II族及びIII族典型金属化合物又は遷移金属化合物である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記金属化合物が、MがI族、II族及びIII族典型金属又は遷移金属であるアルキル金属化合物、アルキル-Mである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記金属化合物が、MがI族、II族及びIII族典型金属又は遷移金属である金属水素化物MHである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記金属水素化物MHにおいて、MがK、Na、Sr、Ba、Ga、In、Y又はYbから選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記金属シクロペンタジエニル錯体が、
Li(C-2-C11)(Li(Cp-2-Pent)、CAS番号:2413046-23-6)、K(C-2-C11)(K(Cp-2-Pent))、Na(C-2-C11)(Na(Cp-2-Pent))、K(C-1-F-C10)(K(Cp-1-F-Bu))、K(C-1,1,1-3F-C)(K(Cp-1,1,1-3F-Bu))、Li(C-2-C)(Li(Cp-2-Bu))又はIn(C-2-C11)(In(Cp-2-Pent)、CAS番号:2364634-67-1)である、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記ハロゲン化物の量に対して約40~80%過剰量の前記シクロペンタジエンモノマーが使用される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記金属水酸化物がMOHであり、MがI族アルカリ金属である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記アルカリ土類酸化物がMOであり、MがII族アルカリ土類金属である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記溶媒がTHF、Me-THFなどのフラン溶媒である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記一置換シクロペンタジエンが、1-フルオロブチル-シクロペンタジエン(C-1-F-C10、C-1-F-Bu)、
2-ペンチル-シクロペンタジエン(C-2-C11、C-2-Pent)、
2-ブチル-シクロペンタジエン(C-2-C、C-2-Bu)、又は
1,1,1-トリフルオロプロピル-シクロペンタジエン(C-1,1,1-3F-C、C-3F-Bu)である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜形成組成物中の前駆体として用いられる一置換シクロペンタジエン及び金属シクロペンタジエニル錯体、並びにその合成方法に関する。金属シクロペンタジエニル錯体は、一置換シクロペンタジエンから合成され、典型(I族、II族及びIII族金属)、並びに遷移金属シクロペンタジエニル錯体を含む。
【背景技術】
【0002】
典型及び遷移金属のシクロペンタジエニル錯体は、金属有機CVD(MOCVD)、プラズマ強化CVD(PECVD)、プラズマ強化ALD(PEALD)などを含む化学気相成長(CVD)及び原子層堆積(ALD)などの種々の堆積法による金属含有膜の堆積用の前駆体として広く利用されている。所与のプロセスにとって最適な前駆体となるために、遷移金属錯体は、熱安定性、揮発性、低融点、室温で最適に液体であること、並びに特定の組成の膜を特定の温度範囲で形成できることなどの要件の組合せを満たすことが必要である。
【0003】
金属錯体の化学的及び物理的特性は、シクロペンタジエン環上の置換基の特定の選択によって広い範囲にわたって変化させることができる。しかしながら、金属錯体での配位子としてのシクロペンタジエン上の置換基の影響に関する総説(J.Organomet.Chem.,1994,Volume 479,1-29)には、特定の置換基によって期待される効果に関して予測することはできないことが記載されている。
【0004】
堆積プロセスに関する例としては、インジウム錯体In(R-Cp)(R=C~C脂肪族鎖)が挙げられ、錯体InCp及びIn(Me-Cp)は固体であり、R=C~Cの錯体は光感受性液体であり、R=Cの錯体は光安定性の揮発性の液体である。Ang.Chem.(1957),69,639-640;J Organomet.Chem.(1972),42(2),307-314;J Am.Chem.Soc.(1989),111(19),7648-7650;国際公開第18225668号パンフレット;2020年7月28日出願の米国特許出願第16,941,088号明細書を参照のこと。
【0005】
イットリウム(Y)シクロペンタジエニル錯体も堆積前駆体として使用されてきた。錯体Y(RCp)(R=Me、Et、Pr)は室温では固体であるが、Y(BuCp)、Y(BuCp)は室温では液体種である。PrCpより重く嵩高い一置換Cp配位子を有するイッテルビウム(Yb)化合物{(R-C)(R-C)(R-C)Yb}(R、R=CF(CH;R=CF(CH)は室温で良好な揮発性があるが、EtCp、MeCp配位子を有するイッテルビウム錯体は100℃未満で揮発性ではない。国際公開第0227063号パンフレット;特開2002338590号公報;米国特許第4927670号明細書;RU2547489号明細書;米国特許出願公開第20090302434号明細書を参照のこと。
【0006】
アルキルシクロペンタジエンは、通常、CpNa及びブロモアルカン、又はCpMgCl及びブロモ-若しくはヨードアルカンから合成される。Harlanらに対する米国特許第897542号明細書は、生成物C-Rの収率及びその後の純度が反応条件及びアルキル鎖上の置換基に大きく依存し、そして望ましくないレベルの不純物及び所望の生成物の低収率をもたらし得ることを開示している。しかし、市販のCpMgCl、CpNaは高価である。それらの合成にはナトリウム金属を用いた高温での操作が必要であり、安全性に問題がある。J.Am.Chem.Soc.1945,67,8,1237-1239;米国特許第2953607号明細書;J.Organomet Chem 684(2003)91-104;米国特許第8975427号明細書を参照のこと。
【0007】
一置換シクロペンタジエンC-Rの代替合成を提示する報告はほとんどない。そのアプローチには、新たに分解したシクロペンタジエンを液体NH中でNaNHと反応させ、続いてMeEtCHBrを反応させて、6:4の比率の1-及び2-secブチルシクロペンタジエンの混合物を得ることが含まれる(Seriya Khimicheskaya(1973),(2),376-383)。或いは、新たに分解したシクロペンタジエンを、液体アンモニア、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド溶媒中、KOH、CaO、CaH(又はROM(R=Et、iPr、M=Na、K)又はCaC2の存在下で触媒を用いずにブロモアルカンと反応させる(Mironovら、Khimiya i Khimicheskaya Tekhnologiya(1983)、26(6)、759-761)。Mironovらは、反応の最良の性能は、触媒を用いずに液体アンモニア溶媒を用いてCaC及びCaHの存在下であることを教示している(Mironovら、Seriya Khimicheskaya(1973),(2),376-383;Mironovら、SU 520341 T号明細書)。
【0008】
他方、Gruterらに対する国際公開第9742151号パンフレットには、CpH、Br-アルカン、KOH及び触媒Aliquat-336の反応によって、一置換シクロペンタジエンではなく二置換及び三置換C及びC(Rはアルキルである)が合成されることが開示されている。溶媒が水である製法に従って反応を行った場合、一置換体を反応混合物から単離することは不可能である。
【0009】
公知の広く利用されている金属シクロペンタジエニル前駆体は、C-2-C11によって担持されたインジウム錯体の合成に関して示されるように、特定の金属塩、C-R又はアルカリ金属シクロペンタジエニルを含む特定の反応によってのみ調製される。C-2-C11配位子は、Abelら(J.Chem.Soc.(1960),1321-1324)によって言及された。しかし、この配位子は純粋な形態で単離されておらず、この論文ではモリブデン(Mo)錯体RCMo(CO)I(R=CHMePr)中で-C-2-C11が配位したもののみが示されている。化合物C-2-Cは、Mironovら(Seriya Khimicheskaya(1973),(2),376-383)及びHolbovaら(Chemicke Zvesti(1969),23(8),611-615)に言及されている。しかしながら、化合物C-2-Cは、液体アンモニア及びクロマトグラフィー分離を含む異なる、はるかに複雑な経路で調製された。
【0010】
RU2478576号明細書は、特性評価をせずにCpNa及び1-Br-4,4,4-F-ブタンから化合物C-1,1,1-3F-Cを調製することを開示している。RU2478576号明細書は、特性評価をせずに高揮発性イッテルビウム錯体Yb(3FBuCp)(3F-PrCp)を調製するためのK(Cp-BuF)を開示している。米国特許第8785574号明細書は、合成及び特性評価をせずに化合物C-1,1,1-3F-Buを開示している。
【0011】
リチウム錯体は、Tiroufletら(Tetrahedron Letters(1973),(3),257-260)によって、特性評価及び分析データなしで開示されている。LiAlHを用いてMe-Et-Fulveneを還元して得られた錯体が提供されるが、合成方法は示されていない。
【0012】
国際公開第0227063号パンフレット、特開2002338590号公報及び米国特許出願公開第2006275545号明細書は、一置換シクロペンタジエン配位子によって担持されたY錯体を、無水三塩化イットリウム及び対応する配位子のカリウム塩から調製することを教示する。室温で揮発性液体である{(R-C)(R-C)(R-C)Yb}(R、R=CF(CH、R=CF(CH)などのフルオロアルキル配位子によって担持されたYb錯体は、対応するカリウム化合物K(R-C)及びYbClから調製される。RU2547489号明細書を参照のこと。
【0013】
Burkeyら(Organometallics 1993,12,1331-1337)は、置換シクロペンタジエン配位子を有するストロンチウム(Sr)及びバリウム(Ba)錯体M(Cp-R)(M=Sr、Ba)がカリウム化合物、例えばK((C)及びSrI又はBaIからのみ調製が可能であることを開示している。K((C)及びSrClの反応は進行せず、SrCl及びK((C)は回収される。Li((C)及びSrClの反応は進行せず、SrCl及びK((C)は回収される。或いは、米国特許第4915988号明細書は、置換シクロペンタジエニル配位子を有するSr及びBa錯体は、純粋なシクロペンタジエニル配位子及びSr又はBa金属から高温(500℃~600℃)でのみ調製することができることを開示している。
【0014】
インジウム錯体In(R-Cp)(R=C~C脂肪族鎖)は、InCl及び配位子のリチウム塩から始まる独自の反応によって調製される(J.Chem.Soc.,Dalton Trans.,1981,2592)。グラムスケールで行われるInCl及びNaCpからの独自の反応は、InCpの熱分解ステップを含み、InCpは低収率で得られ、置換シクロペンタジエニル配位子を有する場合では分離困難な錯体化合物の混合物が得られる。Organometallics 1989,8,346-356;Organometallics 2002,21,4632-4640を参照のこと。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
これらは、適切な前駆体を調製するために、所与の金属の金属シクロペンタジエニル(又はアルカリ金属シクロペンタジエニル)M(Cp-R)錯体における広範囲の置換基Rをスクリーニングする必要があり、且つ高い安定性、揮発性及び低融点を提供し、理想的にはM(Cp-R)を室温で液体にする出発物質の理想的な組合せの選択が要求されていることを示唆している。したがって、目的とする膜形成組成物を形成するための出発化合物として機能し得る、置換シクロペンタジエンC-Rs及び/又は対応する金属錯体を調製するための簡単で堅牢、且つ経済的な方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
金属シクロペンタジエニル錯体の合成方法であって、
金属水酸化物、ハロゲン化物、シクロペンタジエンモノマー、アルカリ土類酸化物、及び触媒を溶媒中で混合すること;
選択触媒炭素-炭素カップリング反応によって一置換シクロペンタジエンを形成すること
一置換シクロペンタジエンを金属化合物と接触させること;並びに
一置換シクロペンタジエンを金属シクロペンタジエニル錯体に変換すること
を含む方法が開示される。開示された方法は、以下の態様の1つ又は複数を含み得る:
・大気圧下、温度を-15℃~70℃の範囲に維持することをさらに含むこと;
・大気圧下、温度を40℃未満に維持することをさらに含むこと;
・大気圧下、温度を15℃~35℃の範囲に維持することをさらに含むこと;
・大気圧下、温度を20℃~30℃の範囲に維持することをさらに含むこと;
・大気圧下、温度を5℃未満に維持することをさらに含むこと;
・大気圧下、温度を-5℃~0℃の範囲に維持することをさらに含むこと;
・大気圧付近の圧力を維持することをさらに含むこと;
・空気雰囲気を維持することをさらに含むこと;
・N、希ガス(すなわち、He、Ne、Ar、Kr、Xe)などの不活性ガス雰囲気を維持することをさらに含むこと;
・N雰囲気を維持することをさらに含むこと;
・Ar雰囲気を維持することをさらに含むこと;
・一置換シクロペンタジエンを任意選択的に精製することをさらに含むこと;
・一置換シクロペンタジエンを精製することをさらに含むこと;
・一置換シクロペンタジエンを精製しないことをさらに含むこと;
・ハロゲン化物の量に対して約20~400%過剰量のシクロペンタジエンモノマーが使用されること;
・ハロゲン化物の量に対して約40~80%過剰量のシクロペンタジエンモノマーが使用されること;
・プロセスの最適化された選択性が、R(Hal)又はR(F)(Hal)に対して約20~400%過剰のCpHモノマーが使用される場合に達成されること;
・プロセスの最適化された選択性が、R(Hal)又はR(F)(Hal)に対して約40~80%過剰のCpHモノマーが使用される場合に達成されること;
・金属水酸化物が、MがI族アルカリ金属であるMOHであること;
・MOHがNaOHであること;
・MOHはKOHであること;
・シリル-、アミノ-、アルキル-若しくはヒドロカルボニルハロゲン化物又はフルオロアルキルハロゲン化物であるハロゲン化物R(Hal)又はR(F)(Hal)が、式R(Hal)又はR(F)(Hal)を有し、Halは、Cl、Br、Iから選択され;Rは、
oC~C直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基;
o少なくとも1個のフッ素を含有するC~C直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和フルオロヒドロカルビル基;
oR’が、H、C~C飽和又は不飽和ヒドロカルビル基から選択されるシリル基[SiR’];
o各R’が、H、F、少なくとも1個のフッ素原子を含有するC~C飽和又は不飽和フルオロヒドロカルビル基から選択されるシリル基[SiR’];並びに
o各R及びRが、独立して、H又はC~C直鎖若しくは分枝鎖、飽和若しくは不飽和ヒドロカルビル基から選択されるアミノ基[-NR
から選択されること;
・アルカリ土類酸化物が、MがII族アルカリ土類金属であるMOであること;
・MOがCaCOであること;
・触媒が第三級ホスホニウム塩であること;
・触媒が、テトラブチルホスホニウムクロリド、BuPCl(CAS番号:2304-30-5)であること;
・触媒が、PPentCl(Pent=C11)又はPPhCl(Ph=C)であること;
・金属化合物が、MeLi又はBuLiから選択されるアルキル金属化合物であること;
・金属化合物が、MがI族、II族若しくはIII族典型金属又はK、Na、Sr、Ba、Ga、In、Y若しくはYbから選択される遷移金属である金属水素化物MHであること;
・金属化合物が、MがI族、II族又はIII族の典型金属である金属水素化物MHであること;
・金属化合物が、MがK、Na、Sr、Ba、Ga、In、Y又はYbから選択される遷移金属である金属水素化物MHであること;
・金属水素化物がアルカリ金属水素化物であること;
・アルカリ金属水素化物がNaHであること;
・アルカリ金属水素化物がKHであること;
・溶媒がフラン溶媒であること;
・溶媒がTHFであること;
・溶媒がMe-THFであること;
・一置換シクロペンタジエンが、1-フルオロブチル-シクロペンタジエン(C-1-F-C10、C-1-F-Bu)、2-ペンチル-シクロペンタジエン(C-2-C11、C-2-Pent)、2-ブチル-シクロペンタジエン(C-2-C、C-2-Bu)、又は1,1,1-トリフルオロプロピル-シクロペンタジエン(C-1,1,1-3F-C、C-3F-Bu)であること;
・一置換シクロペンタジエンが1-フルオロブチル-シクロペンタジエン(C-1-F-C10、C-1-F-Bu)であること;
・一置換シクロペンタジエンが2-ペンチル-シクロペンタジエン(C-2-C11)であること;
・一置換シクロペンタジエンが2-ブチル-シクロペンタジエン(C-2-C、C-2-Bu)であること;
・一置換シクロペンタジエンが1,1,1-トリフルオロプロピルシクロペンタジエン(C-1,1,1-3F-C、C-3F-Bu)であること;
・金属シクロペンタジエニル前駆体が、Li(C-2-C11)(Li(Cp-2-Pent)、CAS番号:2413046-23-6)、K(C-2-C11)(K(Cp-2-Pent))、Na(C-2-C11)(Na(Cp-2-Pent))、K(C-1-F-C10)(K(Cp-1-F-Bu))、K(C-1,1,1-3F-C)(K(Cp-1,1,1-3F-Bu))、Li(C-2-C)(Li(Cp-2-Bu))又はIn(C-2-C11)(In(Cp-2-Pent)、CAS番号:2364634-67-1)であること;
・金属シクロペンタジエニル前駆体が、Li(C-2-C11)(Li(Cp-2-Pent)、CAS番号:2413046-23-6)であること;
・金属シクロペンタジエニル前駆体が、K(C-2-C11)(K(Cp-2-Pent))であること;
・金属シクロペンタジエニル前駆体が、Na(C-2-C11)(Na(Cp-2-Pent))であること;
・金属シクロペンタジエニル前駆体が、K(C-1-F-C10)(K(Cp-1-F-Bu))であること;
・金属シクロペンタジエニル前駆体が、K(C-1,1,1-3F-C)(K(Cp-1,1,1-3F-Bu))であること;
・金属シクロペンタジエニル前駆体が、Li(C-2-C)(Li(Cp-2-Bu))であること;
・金属シクロペンタジエニル前駆体が、In(C-2-C11)(In(Cp-2-Pent)、CAS番号:2364634-67-1)であること。
【0017】
次式:
【化1】
(式中、m≧0であり;Mは典型、アルカリ金属又は遷移金属であり;Cは、2個の水素がそれぞれM及びR(F)によって置換されているシクロペンタジエニル(Cp)環を表し;R(F)は、Cpの炭素原子のいずれか1個に連結しており、且つ
i)C~C直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基;
ii)少なくとも1個のフッ素を含有するC~C直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和フルオロヒドロカルビル基;
iii)各R’が、H、C~C飽和又は不飽和ヒドロカルビル基から選択されるシリル基[SiR’];
iv)R’が、独立して、H、F、少なくとも1個のフッ素原子を含有するC~C飽和又は不飽和フルオロヒドロカルビル基から選択されるシリル基[SiR’];並びに
v)各R及びRが、H又はC~C直鎖若しくは分枝鎖、飽和若しくは不飽和ヒドロカルビル基から選択されるアミノ基[-NR
から選択される)を有する、金属シクロペンタジエニル錯体が開示される。開示された金属シクロペンタジエニル錯体は、以下の態様の1つ又は複数を含み得る:
・Rが、n-Pr、i-Pr、n-Bu、i-Bu、2-Bu、n-Pent、i-Pent、2-Pent、n-Hex、i-Hex、2-Hex、n-Hept、i-Hept、2-Hept、-CF、-1,1,1-トリフルオロプロパン(-1,1,1-PrF)、-1,1,1-トリフルオロブタン(-1,1,1-BuF)又は-1-フルオロブタン(-1,1,1-BuF)から選択されること;
・Mが、I族、II族若しくはIII族典型金属又は遷移金属であること;
・Mが、K、Na、Sr、Ba、Ga、In、Y又はYbから選択されること。
【0018】
次式:
【化2】
(式中、m≧0であり;Cは、1個の水素がR(F)によって置換されたシクロペンタジエニル(Cp)環を表し;R(F)は、Cpの炭素原子のいずれか1個に連結しており、且つ
a.C~C直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基;
b.少なくとも1個のフッ素を含有するC~C直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和フルオロヒドロカルビル基;
c.R’が、H、C~C飽和又は不飽和ヒドロカルビル基から選択されるシリル基[SiR’];
d.R’が、H、F、少なくとも1個のフッ素原子を含有するC~C飽和又は不飽和フルオロヒドロカルビル基から選択されるシリル基[SiR’];並びに
e.各R及びRが、独立して、H又はC~C直鎖若しくは分枝鎖、飽和若しくは不飽和ヒドロカルビル基から選択されるアミノ基[-NR
から選択される)を有する一置換シクロペンタジエンが開示される。開示された一置換シクロペンタジエンは、以下の態様の1つ又は複数を含み得る:
・Rが、n-Pr、i-Pr、n-Bu、i-Bu、2-Bu、n-Pent、i-Pent、2-Pent、n-Hex、i-Hex、2-Hex、n-Hept、i-Hept、2-Hept、-CF、-1,1,1-トリフルオロプロパン(-1,1,1-PrF)、-1,1,1-トリフルオロブタン(-1,1,1-BuF)又は-1-フルオロブタン(-1,1,1-BuF)から選択されること。
【0019】
表記及び命名法
以下の詳細な説明及び請求項では、当技術分野で一般によく知られている多くの略語、記号、及び用語を利用する。
【0020】
本明細書で使用される場合、不定冠詞「a」又は「an」は、1つ又は複数を意味する。
【0021】
本明細書で使用される場合、本文又は請求項における「約」又は「ほぼ」又は「おおよそ」は、記載された値の±10%を意味する。
【0022】
本明細書で使用される場合、本文又は請求項における「室温」は、約18℃~約25℃を意味する。
【0023】
本明細書で使用される場合、本文又は請求項における「大気圧」は、約1気圧を意味する。
【0024】
本明細書中、元素周期表からの元素の標準的な略語が使用される。元素はこれらの略号によって参照され得ることが理解されるべきである(例えば、Siはケイ素を意味し、Nは窒素を意味し、Oは酸素を意味し、Cは炭素を意味し、Hは水素を意味し、Halはハロゲンを意味し、F、Cl、Br、Iである)。
【0025】
Chemical Abstract Serviceによって割り当てられた固有のCAS登録番号(すなわち、「CAS」)は、開示された特定の分子を識別するために提供される。
【0026】
本明細書で使用される場合、「炭化水素」という用語は、炭素原子及び水素原子のみを含有する飽和又は不飽和の官能基を意味する。
【0027】
本明細書で使用される場合、「ヒドロカルビル」という用語は、メチル又はフェニルなどの炭化水素から誘導される任意の1価の基を意味する。
【0028】
本明細書で使用される場合、「フルオロ炭化水素」という用語は、炭素、水素及びフッ素原子のみを含有する飽和又は不飽和の官能基を意味する。
【0029】
本明細書で使用される場合、「フルオロヒドロカルビル」という用語は、フルオロ炭化水素から誘導される任意の1価の基を意味する。
【0030】
本明細書で使用される場合、「アルキル基」という用語は、炭素原子及び水素原子のみを含有する飽和官能基を意味する。アルキル基は、炭化水素の一種である。さらに、「アルキル基」という用語は、直鎖、分岐鎖、又は環式アルキル基を意味する。直鎖アルキル基の例としては、限定されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。アルキル基の例には、限定されないが、メチル(Me)、ブチル(Bu)、ペンチル(Pent)などが含まれる。分岐鎖アルキル基の例には、限定されないが、t-ブチル(t-Bu)などが含まれる。
【0031】
開示された実施形態において使用される場合、「Me」という略語はメチル基を意味し、「Et」という略語はエチル基を意味し、「Pr」という略語はプロピル基を意味し、「Bu」はブチル基を意味し、「Pent」はペンチル基を意味する。
【0032】
本明細書で使用される場合、「フルオロアルキル基」又は「フッ素化アルキル基」という用語は、炭素、水素及び少なくとも1つのフッ素を含有する飽和官能基を意味する。フルオロアルキル基は、フルオロ炭化水素の一種である。さらに、「フルオロアルキル基」という用語は、直鎖、分枝鎖、又は環式フルオロアルキル基を意味する。
【0033】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン化物」は、R(Hal)及び/又はR(F)(Hal)として表され、HalはCl、Br、Iから選択され、Rは、
a.C~C直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基;
b.少なくとも1個のフッ素を含有するC~C直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和フルオロヒドロカルビル基;
c.R’が、H、C~C飽和又は不飽和ヒドロカルビル基から選択されるシリル基[SiR’];
d.各R’が、H、F、少なくとも1個のフッ素原子を含有するC~C飽和又は不飽和フルオロヒドロカルビル基から選択されるシリル基[SiR’];並びに
e.各R及びRが、独立して、H又はC~C直鎖若しくは分枝鎖、飽和若しくは不飽和ヒドロカルビル基から選択されるアミノ基[-NR
から選択される。
【0034】
本明細書で使用される「CpH」という用語は、シクロペンタジエン分子又はシクロペンタジエンモノマー(C)を意味する。
【0035】
本明細書で使用される「Cp」という用語は、1つ又は複数の水素が置換されたシクロペンタジエニル環を意味する。Cpは、C環(1つの水素が置換されている)、C環(2つの水素が置換されている)、C環(3つの水素が置換されている)などであり得る。また、本明細書で使用される「Cp」という用語は、シクロペンタジエニルアニオン又は置換シクロペンタジエニルアニオンも意味し、例えば、金属シクロペンタジエニル錯体中のシクロペンタジエニルアニオン又は置換シクロペンタジエニルアニオンを意味する。本明細書中、金属シクロペンタジエニル錯体中の「シクロペンタジエニル」は、置換シクロペンタジエニルを含む任意のシクロペンタジエニルを意味する。
【0036】
本明細書で使用される「Cp」という用語は、シクロペンタジエン二量体(C10H1)を意味する。
【0037】
本明細書中、1つのR(F)(m≧0)基のみがシクロペンタジエン環上の炭素原子のいずれか1つに連結しているため、「一置換シクロペンタジエン」という用語が使用される。一置換シクロペンタジエンは、一般式C-(R(F))(m≧0、Rは上記の「ハロゲン化物」と同じ定義である)を有する。
【0038】
本明細書中、均一触媒とは、反応物と同一の相に存在する触媒を意味すると理解される。
【0039】
範囲は、本明細書中、約1つの特定の値から、及び/又は約1つの別の特定の値までとして表され得る。そのような範囲が表される場合、別の実施形態は、当該範囲内の全ての組合せと共に、1つの特定の値から及び/又は他の特定の値までであると理解される。本明細書に記載された任意の及び全ての範囲は、「包括的に」という用語が使用されるかどうかに関係なく、それらの終点を含む(すなわち、x=1~4、又はxは1から4までの範囲であるとは、x=1、x=4、及びx=その間の任意の数を含む)。
【0040】
本明細書中、「一実施形態」又は「実施形態」という記載は、その実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを意味する。本明細書の様々な場所における「一実施形態において」という言葉の出現は、必ずしも全てが同一の実施形態を指すものではなく、また、別個の又は代替の実施形態が必ずしも他の実施形態と相互に排他的であるわけでもない。同じことが、「実施」という用語にも当てはまる。
【0041】
本明細書で使用される場合、「独立して」という用語は、R基の説明に関して使用される場合、対象のR基が、同一又は異なる下付き字又は上付き文字を有する他のR基に対して独立して選択されるのみならず、その同一R基の任意の追加種に対しても独立して選択されることを示すと理解されるべきである。例えば、式MR (NR(4-x)において、xは2又は3であり、2つ又は3つのR基は、互いに対して、又はR若しくはRに対して同一であってよいが、同一である必要はない。さらに、他に指定されない限り、R基の値は、異なる式で使用される場合、互いに独立であることを理解されたい。
【0042】
本願で使用されるように、「例示的」という用語は、本明細書中、例、例え、又は例示として機能することを意味するために使用される。本明細書において、「例示的」として記載される任意の態様又は設計は、必ずしも他の態様又は設計よりも好ましい又は有利であると解釈されるものではない。むしろ、例示的という用語の使用は、概念を具体的な方法で提示することを意図している。
【0043】
さらに、「又は(若しくは、或いは)」という用語は、排他的な「又は」ではなく、包括的な「又は」を意味するように意図される。すなわち、他に指定されない限り、又は文脈から明らかでない限り、「XはA又はBを利用する」は、自然な包括的順列のいずれかを意味することが意図される。つまり、XがAを利用し、XがBを利用し、又はXがA及びBの両方を利用する場合、「XはA又はBを利用する」は前述のいずれの場合も満たされる。また、本願及び添付の特許請求の範囲で使用される冠詞「a」及び「an」は、他に指定されない限り、又は文脈から単数形に向けられることが明らかでない限り、一般に「1つ又は複数」を意味すると解釈されるべきである。
【0044】
本発明の前述及び他の様々な態様、特徴、及び利点、並びに本発明自体は、以下の図面と関連して考慮される場合、本発明の以下の詳細な説明を参照してより完全に理解され得る。図面は、例示の目的のみのために提示され、本発明を限定することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】一置換シクロペンタジエン(I)及びその対応する金属Cp錯体(II)の選択触媒合成のためのバッチプロセスの図である。
図2】一置換シクロペンタジエン(I)及びその対応する金属Cp錯体(II)の選択触媒合成のためのフロープロセスの図である。
図3】一置換シクロペンタジエン(I)及びその対応する金属Cp錯体(II)の合成のためのプロセスフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
一置換シクロペンタジエン、金属シクロペンタジエニル錯体、及びそれらの合成方法が開示される。開示された一置換シクロペンタジエンは、選択触媒炭素-炭素カップリング反応によって合成される。開示された金属シクロペンタジエニル錯体は、開示された一置換シクロペンタジエンから合成される。開示された金属シクロペンタジエニル錯体は、典型(I族、II族及びIII族)金属並びに遷移金属シクロペンタジエニル錯体を含み、且つALD、CVD、SODなどの半導体産業における膜堆積用膜成形組成物に含有される堆積前駆体として使用され得る。
【0047】
開示された一置換シクロペンタジエンは、次式:
【化3】
(式中、m≧0であり;Cは、1個の水素がR(F)によって置換されているシクロペンタジエニル(Cp)環を表し;R(F)は、Cpの炭素原子のいずれか1個に連結しており、且つ
i)C~C直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基;
ii)少なくとも1個のフッ素原子を含有するC~C直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和フルオロヒドロカルビル基;
iii)R’が、H、C~C飽和又は不飽和ヒドロカルビル基から選択されるシリル基[SiR’];
iv)R’が、H、F、少なくとも1個のフッ素原子を含有するC~C飽和又は不飽和フルオロヒドロカルビル基から選択されるシリル基[SiR’];並びに
v)各R及びRが、独立して、H又はC~C直鎖若しくは分枝鎖、飽和若しくは不飽和ヒドロカルビル基から選択されるアミノ基[-NR
から選択される)を有する。
【0048】
上記式(I)中、ヒドロカルビル基はアルキル基であり得;フルオロヒドロカルビル基はフルオロアルキル基又はフッ素化アルキル基であり得る。好ましくは、Rは、n-Pr、i-Pr、n-Bu、i-Bu、2-Bu、n-Pent、i-Pent、2-Pent、n-Hex、i-Hex、2-Hex、n-Hept、i-Hept、2-Hept、-CF、-1,1,1-トリフルオロプロパン(-1,1,1-PrF)、-1,1,1-トリフルオロブタン(-1,1,1-BuF)、又は-1-フルオロブタン(-1,1,1-BuF)から選択される。以下、C-R又はC-R(F)(m≧0)は、一置換シクロペンタジエン(I)を表す。
【0049】
開示された一置換シクロペンタジエン(I)を用いて、膜堆積の際の堆積前駆体として使用するための金属シクロペンタジエニル(Cp)錯体(II)を合成することができる。開示された金属Cp錯体(II)は、典型金属又はアルカリ金属Cp錯体及び/又は遷移金属Cp錯体であってもよい。開示された金属Cp錯体(II)は、次式:
【化4】
(式中、m≧0であり;Mは典型金属又は遷移金属であり;Cは、2個の水素がそれぞれM及びR(F)によって置換されているシクロペンタジエニル(Cp)環を表し;R(F)は、Cpの炭素原子のいずれか1個に連結しており、且つ
i)C~C直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基;
ii)少なくとも1個のフッ素を含有するC~C直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和フルオロヒドロカルビル基;
iii)各R’が、H、C~C飽和又は不飽和ヒドロカルビル基から選択されるシリル基[SiR’];
iv)R’が、独立して、H、フッ素原子、少なくとも1個のフッ素原子を含有するC~C飽和又は不飽和フルオロヒドロカルビル基から選択されるシリル基[SiR’];並びに
v)各R及びRが、H又はC~C直鎖若しくは分枝鎖、飽和若しくは不飽和ヒドロカルビル基から選択されるアミノ基[-NR
から選択される)を有する。
【0050】
上記式(II)中、ヒドロカルビル基はアルキル基であり得;フルオロヒドロカルビル基はフルオロアルキル基又はフッ素化アルキル基であり得る。好ましくは、Rは、n-Pr、i-Pr、n-Bu、i-Bu、2-Bu、n-Pent、i-Pent、2-Pent、n-Hex、i-Hex、2-Hex、n-Hept、i-Hept、2-Hept、-CF、-1,1,1-トリフルオロプロパン(-1,1,1-PrF)、-1,1,1-トリフルオロブタン(-1,1,1-BuF)、又は-1-フルオロブタン(-1,1,1-BuF)から選択される。MはCp環に配位している。好ましくは、Mは、I族、II族及びIII族の金属であり、アルカリ金属及びランタノイドを含む遷移金属を含む。好ましくは、M=Li、Na、K、Ga、In、Sr、Ba、Y又はYbである。以下、M(C-R)、M(Cp-R)、M(C-R(F))又はM(Cp-R(F))は、開示された金属Cp錯体(II)を表す。
【0051】
開示された一置換シクロペンタジエン(I)及び金属Cp錯体(II)は、C~C鎖、好ましくはC~C鎖を含有する非分岐鎖及び分岐鎖アルキル若しくはヒドロカルビル鎖R又はフルオロアルキル若しくはフルオロヒドロカルビル鎖R(F)を有する。配位子中のこの鎖長によって、金属Cp錯体が錯体又は前駆体全体の特性を調整すること、すなわち、安定性を改善し、融点を下げ、膜堆積用膜成形組成物中の適切な前駆体に対して分子の揮発性を調整することが可能となり得る。
【0052】
又はC配位子を有する置換シクロペンタジエンの一部及び対応するアルカリ金属塩/錯体は知られているが、Rが4個以上の炭素原子を有するC-Rに関する情報は当技術分野では稀であるか又は存在しない。
【0053】
例示的な開示された一置換シクロペンタジエン(I)には、1,1,1-トリフルオロブチル-シクロペンタジエン(1,1,1-BuF-C、C-1,1,1,3F-Bu)
【化5】
1-フルオロブチル-シクロペンタジエン(1-BuF-C、C-1-F-Bu)
【化6】
2-ペンチル-シクロペンタジエン(2-C11-C、C-2-Pent)
【化7】
2-ブチル-シクロペンタジエン(2-C-C、C-2-Bu)
【化8】
トリフルオロメチル-シクロペンタジエン(CF-C、C-3F-Me)
【化9】
1,1,1-トリフルオロプロピル-シクロペンタジエン(1,1,1-PrF-C、C-1,1,1-3F-Pr)
【化10】
n-ペンチル-シクロペンタジエン(n-C11-C、C-n-Pent)
【化11】
などが含まれる。
【0054】
例示的な開示された金属Cp錯体(II)には、
K(Cp-n-Pr)(K(C-n-C))
【化12】
Li(Cp-2-Pent)(Li(C-2-C11)、CAS番号:2413046-23-6)
【化13】
K(Cp-2-Pent)(K(C-2-C11))
【化14】
Na(Cp-2-Pent)(Na(C-2-C11
【化15】
K(Cp-n-Bu)(K(C-n-C)、CAS番号:78347-55-4)
【化16】
K(Cp-n-Pent)(K(C-n-C11)、CAS番号:1010453-51-6)
【化17】
K(Cp-n-Hex)(K(C-n-C13))
【化18】
K(Cp-1-F-Bu)(K(C-1-F-C10))
【化19】
K(Cp-1,1,1-3F-Bu)(K(C-1,1,1-3F-C))
【化20】
Li(Cp-2-Bu)(Li(C-2-C))
【化21】
In(Cp-2-Pent)(In(C-2-C11)、CAS番号:2364634-67-1)
【化22】
In(Cp-2-Bu)(In(C-2-C))
【化23】
などが含まれる。
【0055】
開示された一置換シクロペンタジエン(I)を合成するための合成方法は、選択触媒炭素-炭素カップリング法であり、高収率で生成物を生じ、副反応の影響を最小限にする反応条件の調整及び最適化によって、実用的であり且つ拡張性のある合成方法を提供するものである。選択触媒炭素-炭素カップリング法は、一般に入手可能な出発化合物、例えば、金属水酸化物(例えば、KOH又はNaOH)、アルキルハロゲン化物R(Hal)又はフルオロアルキルハロゲン化物R(F)(Hal)、シクロペンタジエンモノマー(すなわち、CpH、CAS番号:26912-33-4)、アルカリ土類酸化物(例えば、CaO)、第三級ホスホニウム塩(例えば、テトラブチルホスホニウムクロリド、BuPCl、CAS番号:2304-30-5)を利用する。これらの出発化合物は、空気中で安定である。したがって、合成前にTHFなどの溶媒を乾燥させる必要はなく、出発化合物及び溶媒を空気中で装填させることができる。反応は、1気圧下で-15℃~70℃の温和な条件で実行され、一般に利用されているガラス器具又は合成反応器中で実行され得る。本反応は、幅広い置換シクロペンタジエンの合成に適用され得る。ここでは、反応を効率的且つ選択的に促進する触媒として、第三級ホスホニウム塩(例えば、BuPCl)を使用する。我々の知る限り、本明細書に開示された触媒第三級ホスホニウム塩を含む前述の出発化合物の組合せを使用して置換シクロペンタジエンを成功裏に合成することは、当技術分野においてまだ不可能である。
【0056】
開示された一置換シクロペンタジエン(I)は、CpH、及びシリル-、アミノ-、アルキルハロゲン化物R(Hal)又はフッ素化シリル-、アミノ-、アルキルハロゲン化物R(F)(Hal)から製造され、ハロゲンはCl、Br、Iから選択される。開示された一置換シクロペンタジエン(I)の合成方法は、金属水酸化物(例えば、KOH又はNaOH)、アルカリ土類酸化物(例えば、CaO)、及び触媒(例えば、BuP(Cl))の存在下でCpH及びアルキルハロゲン化物R(Hal)又はフルオロアルキルハロゲン化物R(F)(Hal)を接触させ、一置換シクロペンタジエン(I)を形成するステップを含む。この方法は、反応混合物から一置換シクロペンタジエン(I)を蒸留し、金属Cp錯体(II)に変換することをさらに含んでいてもよい。
【0057】
開示された金属Cp錯体(II)の合成方法は、THFなどのフラン溶媒中で一置換シクロペンタジエン(I)及びアルキル金属化合物又はアルカリ金属水素化物を接触させるステップを含む。金属Cp錯体(II)は、一置換シクロペンタジエン(I)及びNaH若しくはKHなどのアルカリ金属水素化物、又はアルキリチウム化合物などのアルキル金属化合物の混合物中で起こる金属化化学プロセスによって形成される。この方法は、金属Cp錯体(II)から全ての揮発性種を除去することをさらに含んでいてもよい。
【0058】
ナトリウム及びカリウムの水素化物は、アルキリチウム化合物よりも安価であり、特に化合物を密封された溶解可能な袋に詰めるか、又は鉱油中の懸濁液として利用する場合、大量に操作することがより安全となる。溶媒THFは、反応のスケールアップに重要な高い体積効率を有することを可能にする。
【0059】
例えば、以下の実施例から、開示された2-ペンチル-シクロペンタジエン(2-C11-C、H(Cp-2-Pent))は、固体KOH及びCaO及びBuPCl触媒の存在下、シクロペンタジエン二量体Cpからの新鮮な分解CpH及び2-ブロモペタン(2-Br-C11)からの選択触媒炭素-炭素カップリング反応によって製造することができる。例示的な反応スキームは以下の通りである。
【化24】
【0060】
2-ブロモ-ペンタンをn-ペンチル-ブロミド、2-ブロモ-ブタン、ヨード-トリフルオロメタン、4-ブロモ-1,1,1-トリフルオロブタン、3-ブロモ-1,1,1-トリフルオロプロパン又は4-ブロモ-1-フルオロブタンに置き換え、n-ペンチル-シクロペンタジエン(n-C11-C)、2-ブチル-シクロペンタジエン(2-C-C)、トリフルオロメチル-シクロペンタジエン(CF-C)、1,1,1-トリフルオロブチル-シクロペンタジエン(1,1,1-BuF-C)、1,1,1-トリフルオロプロピル-シクロペンタジエン(1,1,1-PrF-C)、1-フルオロブチル-シクロペンタジエン(1-BuF-C)を製造してもよい。
【0061】
CpH(C、以下CpHモノマー)は、ジシクロペンタジエン二量体(Cp、C1012、CAS番号:77-73-6)を当技術分野で開示されている任意の適切な手段によって分解することによって得ることができる。
【0062】
前記反応には、新たに分解されたCpHモノマーを使用する。周知の二量化する能力のため、CpHモノマーは分解直後に使用するか、又は-100℃~-20℃、好ましくは-70℃~-40℃の低温で貯蔵される。使用前にCpHは常にプロトンNMR、GC又は任意の他の適切な分析方法により分析され、CpHモノマーC及びCp二量体C1012の相対量が決定される。この分析によって、触媒C-Cカップリング反応におけるシクロペンタジエンモノマー及びR(Hal)又はR(F)(Hal)の最適モル比のためにCpHモノマー及びCp二量体を含有する混合物の量が算出される。
【0063】
出発化合物アルキル又はヒドロカルビルハロゲン化物R(Hal)中のハロゲンはCl、Br、Iから選択され、ここでRは、C~C直鎖又は分枝鎖、飽和又は不飽和ヒドロカルビル基;R’が、H、フッ素原子、C~C飽和又は不飽和ヒドロカルビル基から選択されるシリル基[SiR’];又は各R及びRが、独立して、H又はC~C直鎖若しくは分枝鎖、飽和若しくは不飽和ヒドロカルビル基から選択されるアミノ基[-NR]から選択される。例示的なR(Hal)としては、臭化アルキルR-Br又はヨウ化アルキルR-I、例えば、2-Br-ペンタン、2-Br-ブタン、又は2-Br-プロパンなどが挙げられる。
【0064】
出発化合物のフルオロアルキルハロゲン化物R(F)(Hal)中のハロゲンはCl、Br、Iから選択され、ここでR(F)は、少なくとも1個のフッ素原子を含有するC~C直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和フルオロヒドロカルビル基;又はR’が、H、F、少なくとも1個のフッ素原子を含有するC~C飽和又は不飽和フルオロヒドロカルビル基から選択されるシリル基[SiR’]から選択される。例示的なR(F)(Hal)としては、1-Br-4,4,4-トリフルオロブタン、3-Br-1,1,1-トリフルオロプロパン、1-Br-4,-フルオロブタン、又はブロモ-トリフルオロメタンなどがある。
【0065】
開示された選択触媒炭素-炭素カップリング反応は、アルカリ金属水酸化物MOH(例えば、M=Li、Na、K)を用いて、添加剤を用いずに進行し得る。アルカリ金属酸化物MO(例えば、M=Ca)の添加は、成分の混合をさらに促進し、反応混合物を全ての反応時間で十分に撹拌可能にして、金属化化学プロセスによって高収率の生成物をもたらすことを可能にし、反応後に固体から溶液を効率的に分離することを可能にする。
【0066】
一実施形態において、一置換シクロペンタジエン(I)は、THF中、新たに分解されたCpH及びアルキルハロゲン化物化合物R(Hal)又はフルオロアルキルハロゲン化物化合物R(F)(Hal)から、R(Hal)又はR(F)(Hal)に対して1.4~1.6モル過剰のCpHを使用して、反応中に大気圧下で15~40℃の温度範囲を維持することによって選択的に合成される。選択触媒炭素-炭素カップリング反応は発熱性であるため、反応の高い選択性を維持するためには、反応混合物を室温まで冷却することが必要である。
【0067】
本願において最も重要なキーポイントは、CpH及びアルキルハロゲン化物R(Hal)又はフルオロアルキルハロゲン化物R(F)(Hal)の反応を選択的に促進し、目的とする一置換シクロペンタジエン(I)を高収率で得ることを可能にする触媒を適用することである。触媒は、BuPClなどの第三級ホスホニウム塩であってもよい。触媒の適切な量は、R(Hal)又はR(F)(Hal)の量に対して0.1~10モル%であり、好ましくは2~6モル%である。触媒を適用する場合、0~70℃、好ましくは15~30℃の温度範囲で、高い選択性を有する変換率が達成される。
【0068】
反応を選択的に行うため、PPentCl(Pent=C11)、PPhCl(Ph=C)などの他の触媒を適用してもよい。以下の比較例に基づいて、この反応は、生成物の良好な収率を有するために、水中ではなくTHF中、酸化カルシウムの存在下で実行されなければならない。
【0069】
反応は、全てのR(Hal)又はR(F)(Hal)が消費されるまで進行してもよい。変換度は、その場でGC、ラマン分光法又は他の適切な技術によってモニターすることができる。変換後、すべての固体を濾過又はデカンテーションによって分離する。固体の分離後、残りの液体は、触媒、未反応のCpH、Cp及び溶媒を含有している可能性がある。生成物としては、一置換シクロペンタジエン(I)、二置換シクロペンタジエン、三置換シクロペンタジエンなどが含まれ、これらは蒸留、晶析、又は濾過プロセスによって分離することができる。
【0070】
一置換シクロペンタジエン(I)の合成プロセスは、バッチ反応器又はフロー反応器で実行され得る。プロセスの最適化された選択性は、R(Hal)又はR(F)(Hal)に対して約20~400%過剰、好ましくは40~80%過剰のCpHモノマーを使用する場合に達成される。
【0071】
過剰のCpHモノマーは、反応後、反応生成物-一置換シクロペンタジエン(I)から蒸留により分離されるべきである。CpHモノマーの沸点が低い(すなわち、40.8℃)ため、蒸留プロセス間に最初のフラクションに分離され得る。CpHモノマーが存在しないことは、プロトンNMR、ガスクロマトグラフィーを含む任意の適切な分析方法によって確認され得る。
【0072】
反応生成物は、触媒炭素-炭素カップリング反応及び反応後の生成物の蒸留の間のCpHモノマーの二量化に起因するか、又は反応のために採用されたCpHモノマーが最初にある量のCpを含有することに起因して、シクロペンタジエン二量体Cpを含み得る。Cpは、反応生成物である一置換シクロペンタジエンから蒸留により分離され得る。或いは、一置換シクロペンタジエン(I)は、追加の精製を行わずに、Cpとの混合物のままさらなるステップに用いてもよい。分別蒸留は、室温未満、又は室温で、又は-30~100℃、好ましくは0~40℃の温度範囲及び種々の圧力範囲で適度に加熱することによって進行してもよい。0.01~760Torr又は0.1~100Torrの周囲圧力又は減圧は、蒸留温度を下げ、そして生成物の一置換シクロペンタジエン(I)の収率を低下させるC-Rの二量化などの副反応を抑制するため、好ましい。
【0073】
反応混合物から揮発性物質を短時間ストリッピングした後に得られる生成物の一置換シクロペンタジエンC-R(I)及びCpの混合物を、化学量論量のメチルリチウムMeLiなどのアルキリチウム試薬と直接反応させて、全ての一置換シクロペンタジエンC-R(I)を対応するリチウム化合物Li(C-R)へ変換してもよい。反応混合物から揮発性物質を短時間ストリッピングした後に得られる生成物一置換シクロペンタジエンC-R(I)及びCpの混合物中のCpの相対量は5~80%w/wで変動し得、溶媒は1~50%で変動し得る。その後、減圧下でストリッピングすることにより、Cp及び溶媒をLi(C-R)から除去する。C-Rとアルキリチウム化合物との反応をジエチルエーテル、アレーン(トルエン、キシレンなど)及びアルカン(ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなど)などの非フラン溶媒中で試みると、安定なゲル及び粘性非撹拌性ペーストが形成される。THF、Me-THF(メチルテトラヒドロフラン)などのフラン溶媒を添加すると、ゲル及び粘性溶液の形成が防止され、アルキリチウム化合物との反応がスムーズに進行し、混合が良好で体積効率が高くなる。したがって、一実施形態において、フラン溶媒、好ましくはTHFが反応に利用され、アルキリチウム試薬の添加前の反応混合物中の溶媒の相対量は20%~90%である。一実施形態において、アルキリチウム化合物の添加前に、THFを一置換シクロペンタジエン(I)及びCpの混合物に添加し、金属Cp錯体(II)を生成させる。
【0074】
アルキリチウム試薬は、MeLi、n-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム又は任意の他の適切なアルキリチウム化合物のニート、又は任意の適切な溶媒中の溶液であってよく、溶媒は、好ましくはエーテル、トルエン、キシレン、アルカン溶媒(ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、及びオクタン)である。
【0075】
アルキリチウム試薬との反応は、-80℃から室温、好ましくは-10℃~0℃の温度範囲内で進行する。より高い温度は、シクロペンタジエニルリチウムLiCなどの望ましくない副生成物の形成に有利であることが知られている。アルキリチウム化合物の添加後、反応混合物を室温まで温めてLi(C-R)を形成させ、その間にガス状副産物(b-ブタン、メタンなど)の遊離が止まり、その後、減圧下で全ての揮発性物質をストリッピングさせる。減圧は、0.01Torr~100Torr、好ましくは0.1Torr~1Torrであり得る。
【0076】
減圧下でLi(C-R)を220℃まで、好ましくは150℃まで加熱することによって、残留するTHF溶媒をLi(C-R)から除去してもよい。減圧は、0.01Torr~100Torr、好ましくは0.1Torr~1Torrであり得る。
【0077】
1つの例示的な実施形態において、一置換シクロペンタジエン(I)が2-ペンチル-シクロペンタジエン(2-Pent-C)である場合、2-Pent-C及びCpの混合物中、混合物中のCpの相対量は5~70%w/wで変動し得、溶媒は1~30%で変動し得る。混合物は、化学量論的量のMeLiと直接反応して、全ての2-Pent-Cを対応するリチウム錯体Li(Cp-2-Pent)に変換し得る。Cp及び溶媒は、減圧下でストリッピングすることによって、Li(Cp-2-Pent)から除去され得る。例示的な反応スキームは以下のように示される。
【化25】
【0078】
Li(Cp-2-Pent)の純度は、プロトンNMR、FTIR、ラマン、元素分析又は任意の他の適切な方法によってモニターされる。Li(Cp-2-Pent)の純度は、90%~99.99%、好ましくは97%~99.9%、より好ましくは99%~99.9%の範囲である。
【0079】
以下の実施例から、開示された合成方法、すなわち、Cpとの混合物中の一置換シクロペンタジエン(I)のリチウム化、次いで真空下でのCpの除去によって、出発化合物2-Pent-Cが精製されなかったとしても、高純度リチウム化合物(純度99%以上)を調製することが可能である。
【0080】
或いは、一置換シクロペンタジエン(I)の合成後、反応混合物から揮発性物質を短時間で除去し、5~80%w/wのC-R、1~50%w/wのCp、及び1~50%の溶媒を含む混合物が得られる。この混合物を、一置換シクロペンタジエン(I)に対して化学量論的量の、NaH、KHなどのアルカリ金属水素化物と直接反応させて、全てのC-Rを対応するアルカリ金属Cp錯体M(C-R)(Mは好ましくはNa、K)に変換してもよい。Cp及び溶媒は、減圧下でストリッピングすることによってM(C-R)から除去される。1つの例示的な実施形態において、THFは、金属水素化物の添加の前に、5~80%w/wのC-R、1~50%w/wのCp、及び1~50%の溶媒を含有する混合物に添加される。
【0081】
金属水素化物MH(MはI族、II族又はIII族典型金属又はK、Na、Sr、Ba、Ga、In、Y又はYbから選択される遷移金属)試薬は、ニート又は鉱物油中の懸濁液であり得る。より高い温度は一置換シクロペンタジエン(I)の望ましくない二量化を促進するので、MHとの反応は0℃~50℃、好ましくは20℃~30℃の温度で進行する。水素の遊離が停止したら、全ての揮発性物質を減圧下でストリッピングする。減圧は、0.01Torr~100Torr、好ましくは0.1Torr~1Torrであり得る。
【0082】
1つの例示的な実施形態において、2-Pent-Cの合成後、2-Pent-C及びCpの混合物中、Cp二量体の相対量は5~70%w/wで変動し得、THF溶媒は1~30%で変動し得る。混合物を化学量論的量の水素化ナトリウムNaHと直接反応させて、全ての2-Pent-Cを対応するナトリウム化合物Na(Cp-2-Pent)に変換してもよい。Cp及びTHFは、減圧下でストリッピングすることによってNa(Cp-2-Pent)から除去される。減圧又は真空は、大規模な場合、1Torrから100Torrの範囲である。例示的な反応スキームを以下に示す。
【化26】
【0083】
残留するTHF溶媒は、減圧下で220℃まで、好ましくは200℃まで加熱することによってNa(Cp-2-Pent)から除去され得る。Na(Cp-2-Pent)の純度は、プロトンNMR、FTIR、ラマン、元素分析、又は任意の他の適切な方法によって試験される。Na(Cp-2-Pent)の純度は、90%~99.99%好ましくは97%~99.9%、より好ましくは99%~99.9%である。
【0084】
或いは、2-Pent-Cの合成後、2-Pent-C及びCpの混合物中、二量体の相対量は5~70%w/wで変動し得、THF溶媒は1~30%で変動し得る。混合物を化学量論的量の水素化カリウムKHと直接反応させて、全ての2-Pent-Cを対応するカリウム化合物K(Cp-2-Pent)に変換してもよい。Cp及び溶媒は、減圧下でストリッピングによりK(Cp-2-Pent)から除去される。例示的な反応スキームは以下のように示される。
【化27】
【0085】
残留THF溶媒は、減圧下で150℃まで、好ましくは撹拌下で120℃まで加熱することによってK(Cp-2-Pent)から除去され得る。K(Cp-2-Pent)の純度は、プロトンNMR、FTIR、ラマン、元素分析、又は任意の他の適切な方法によって試験される。K(Cp-2-Pent)の純度は、90%~99.99%好ましくは97%~99.9%、より好ましくは99%~99.9%である。
【0086】
ここで、開示された一置換シクロペンタジエン(I)の合成及び分離はバッチ反応器中で実行され得、以下のステップを含む:
a)アルカリ金属水酸化物(例えば、KOH、NaOH)、アルカリ土類金属酸化物(例えば、CaO)及び適切な溶媒を反応器中に添加すること;
b)シクロペンタジエンモノマーを反応器中に添加すること;
c)溶媒とともに、又は溶媒を用いずに、反応器に触媒を装填すること;
d)冷却しながら、又は冷却せずに、反応器中の混合物を撹拌し、懸濁液を得ること;
e)1気圧で0~70℃の範囲の温度を維持するために冷却しながら懸濁液にR(Hal)又はR(F)(Hal)を添加し、溶液を形成すること;
f)溶液から固体を分離し(任意に濾過を伴う)、溶液を別個の蒸留装置に添加することによって、
i.未反応の出発物質を単離すること;
ii.溶媒を単離すること;
iii.反応生成物である一置換シクロペンタジエン(I)を単離すること;及び
iv.溶媒を回収すること(任意選択的)
を可能にすること;
g)回収した溶媒をステップa)に導入すること;
h)モレキュラーシーブを用いて一置換シクロペンタジエン(I)を乾燥させること;
i)一置換シクロペンタジエン(I)を金属Cp錯体(II)の合成のための次のステップに導入するか、又は一置換シクロペンタジエン(I)を適切な容器中に回収すること。
【0087】
開示された金属Cp錯体(II)の合成及び分離は、一置換シクロペンタジエン(I)の生成に続いてバッチ反応器中で実行され得、以下のステップを含む:
j)一置換シクロペンタジエン(I)を反応器中に添加すること;
k)THFを反応器中に添加し、反応器を1気圧で-20℃、好ましくは-5℃まで冷却すること;
l)アルキリチウムの添加の間、温度を5℃未満、好ましくは-5~0℃に維持しながら、又はMHの添加の間、温度を40℃未満、好ましくは20~30℃に維持しながら、アルキリチウム溶液、好ましくはメチルリチウム若しくはブチルリチウム溶液、或いは鉱物油中のMH(MはI族、II族若しくはIII族金属又はK、Na、Sr、Ba、Ga、In、Y若しくはYeから選択される遷移金属)の懸濁液又は固体MHを反応器中に添加すること;
m)反応混合物を室温まで加温し(任意選択的)、金属Cp錯体(II)を形成すること;
n)減圧下で全ての揮発性物質を除去すること;
o)得られた金属Cp錯体(II)を真空下でその融点より高い温度まで加熱し、残留する揮発性有機生成物を除去すること(任意選択的);
p)得られた金属Cp錯体(II)を次のステップ(例えば、成膜前駆体の調製のため)に導入するか、又は得られた金属Cp錯体(II)を適切な容器中に回収すること。
【0088】
図1は、一置換シクロペンタジエン(I)の触媒合成、及び金属Cp錯体(II)への一置換シクロペンタジエン(I)の変換のバッチプロセスの図である。一置換シクロペンタジエン(I)の合成のためのバッチプロセスは、N、希ガス(すなわち、He、Ne、Ar、Kr、Xe)などの不活性雰囲気下で行うことが好ましいが、ある程度の空気及び水を許容し得る。出発化合物及び溶媒は、水からの精製及び酸素からの脱気が必ずしも必要ではなく、出発化合物及び溶媒の添加は、空気上で実行されてもよい。より具体的には、ポット反応器1に、アルカリ金属水酸化物(例えば、KOH、NaOH)及びアルカリ土類金属酸化物(例えば、CaO)が装填される。溶媒2、好ましくは、テトラヒドロフラン(THF)は、ライン13を介してポット反応器1中に供給される。CpH3及び触媒4の溶液は、それぞれライン14及び15を介してポット反応器1中に送られる。ライン13、14及び15は、ポット反応器1に接続する混合ライン16中に合流される。任意選択的に、触媒4は、ニート化合物としてポット反応器1に添加される。ハロゲン置換炭化水素R(Hal)又はハロゲン置換ヒドロフルオロカーボンR(F)(Hal)(例えば、2-Br-ペンタン)反応物5は、別のライン17を介してポット反応器1に添加される。出発化合物、例えば、溶媒、CpH、触媒及びR(Hal)又はR(F)(Hal)は、ポンプ(図示せず)によって、又は圧力差によってポット反応器1に添加され得る。ポット反応器1は、撹拌手段、温度及び圧力制御手段、並びに反応モニタリング手段を有する一般的な容器であってよい。ポット反応器1は冷却機能を有し、約-15℃~約70℃、好ましくは約15℃~室温、又は35℃の範囲の温度、及び対応する圧力約1atmに維持される。反応モニタリングは、クロマトグラフィー(例えば、GC)、分光学法(例えば、ラマン)又は任意の他の適切な分析技術によって提供される。反応は、1気圧の窒素下で行われてよい。出発化合物の所望の範囲の変換が達成された後、好ましくは反応混合物中のR(Hal)又はR(F)(Hal)(例えば、2-Br-ペンタン)の相対量が反応モニタリングの分析によって0.1%未満、より好ましくは0.01%未満になる時、ポット反応器1中の反応混合物をフィルター19で濾過する(任意選択的に19を介して固体からデカンテーションされる)。濾液を蒸留セットアップ6に導入し、ライン21を介して揮発性生成物をストリッピングし、また、ライン20を介してポット残渣及び蒸留後の不揮発性物質を含む廃棄物7を廃棄することによって、反応生成物-一置換シクロペンタジエン8をさらに単離する。蒸留した溶媒は、ライン26を介して溶媒2にリサイクルされてもよい。反応生成物である一置換シクロペンタジエン8、すなわち一置換シクロペンタジエン(I)は、任意の望ましいレベル、例えば99.99%(超高純度(UHP))まで精製されてもよい。純度の低い生成物、或いはCpを含有する未精製の粗反応混合物を利用して、一置換シクロペンタジエン(I)を金属化化学プロセスによって対応する金属Cp錯体(II)に変換してもよい。
【0089】
金属化プロセスの前に、一置換シクロペンタジエン8をモレキュラーシーブによって乾燥し、ライン22を介して脱気する。乾燥され脱気された生成物8は、ポット反応器9に導入される。ポット反応器9に送られた溶媒2もライン18を介してモレキュラーシーブによって乾燥される。ポット反応器9内の接触部材は全て空気及び湿気を含まないことが必要である。ポット反応器9は、N、希ガス(すなわち、He、Ne、Ar、Kr、Xe)、それらの組合せ、又は任意の他の乾燥/不活性環境などの不活性雰囲気下で実行され得る。ポット反応器9は、撹拌手段、温度及び圧力制御、並びに反応モニタリング手段を有する典型的な容器であり得る。ポット反応器9は冷却機能を有し、約-15℃~約70℃、好ましくは約-5℃~室温、又は30℃の範囲の温度及び対応する圧力約1atmに維持される。例えば、MeLiの場合、温度範囲は-5℃から0℃であり、MH(例えば、M=Li、Na、K、Ga、In、Sr、Ba、Y又はYb)の場合、温度は20℃から30℃である。ポット反応器9は、窒素ラインに接続され、金属化反応で生成した水素、メタン、ブタンを排出する機能を有する。ポット反応器9は、アルキルリチウム溶液又は固体アルカリ金属水素化物を添加するための出口23、例えば、固体添加ロートを有する。金属化の完了後、固体生成物である金属錯体12はライン24を介して得られ、ポット反応器9中の反応混合物を室温まで加温し、全ての揮発性物質はライン25を介して減圧下で受器11にストリッピングされ、廃棄物が廃棄される。減圧は0.05~760Torr、好ましくは0.1~50Torrの範囲であり、これは蒸留温度を下げ、蒸留プロセスを速めるのに役立つ。任意選択的に、Cp及びTHFなどの残留揮発性有機種を完全に取り込むために、溶媒ストリッピングの最終段階で、得られた金属Cp錯体(II)12を真空下で撹拌しながら溶融してもよい。例えば、減圧0.05~1Torr下で200℃まで加熱することにより、ナトリウム錯体Na(C-R)(以下の実施例から、Na(Cp-2-Pent)など)からTHFが完全に除去される。金属Cp錯体(II)12は、真空下での保持、再結晶又は他の適切な手段により、任意の望ましいレベル、例えば99.99%(超高純度(UHP))まで精製され得る。より低い純度、例えば90%~99%の生成物は、他の金属錯体、例えばハフニウム錯体HfCl(Cp-2-Pent)又はインジウム錯体In(Cp-2-Pent)を得るために、さらなるメタセシス反応において利用され得る。
【0090】
なお、或いは、開示された一置換シクロペンタジエン(I)の合成及び分離はフロー反応器中で実行され得、以下のステップを含む:
a.フロー反応器にアルカリ金属水酸化物(好ましくはKOH又はNaOH)及びアルカリ土類金属酸化物(好ましくはCaO)を装填すること;
b.適切な溶媒中で触媒の溶液を調製すること;
c.R(Hal)、シクロペンタジエンモノマー及び触媒の溶液をフロー反応器中で混合すること;
d.適切な溶媒中にR(Hal)、シクロペンタジエンモノマー及び触媒を含む反応混合物を、フロー反応器を通して再循環させ、任意の適切な方法(ラマン、FTIR分光法、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、プロトンNMR分光法)によってR(Hal)の消費度をモニターすること;
e.分析法によって必要な変換度が確認されたら、粗蒸留のセットアップに反応混合物を送達すること;
f.
i)未反応の出発物質を単離すること;
ii)溶媒を単離すること;
iii)反応生成物である一置換シクロペンタジエン(I)を単離すること;及び
iv)溶媒を回収すること(任意選択的)
を可能にする蒸留によって生成物を単離すること;
g.モレキュラーシーブを用いて、得られた一置換シクロペンタジエン(I)を乾燥させること;並びに
h.一置換シクロペンタジエン(I)を金属Cp錯体(II)の合成のための次のステップに導入するか、又は一置換シクロペンタジエン(I)を適切な容器中に回収すること。
【0091】
フロープロセスにおける一置換シクロペンタジエン(I)からの開示された金属Cp錯体(II)の合成及び分離のさらなるステップは、バッチプロセスj)~q)のものと同様である。
【0092】
図2は、一置換シクロペンタジエン(I)及び対応する金属Cp錯体(II)の触媒調製のためのフロープロセスの図である。一置換シクロペンタジエン(I)の合成フロープロセスは、N、希ガス(すなわち、He、Ne、Ar、Kr、Xe)などの不活性雰囲気下で行うことが好ましいが、ある程度の空気及び水を許容し得、出発化合物及び溶媒は水からの精製及び酸素からの脱気が必ずしも必要ではなく、出発化合物及び溶媒の添加は空気上で実行されてもよい。より具体的には、フロー反応器1に、アルカリ金属水酸化物(好ましくはKOH又はNaOH)及びアルカリ土類金属酸化物(好ましくはCaO)が装填される。溶媒2、好ましくはTHFは、ライン13を介してフロー反応器1に送られる。CpH3及び触媒4の溶液は、それぞれライン14及び15を介してフロー反応器1に送られる。R(Hal)又はR(F)(Hal)(例えば、2-Br-ペンタン)反応物5はライン17を介してフロー反応器1に添加される。ライン13、14、15及び17は、ポット反応器1に接続する混合ライン16中に合流される。出発化合物は、ポンプ(図示せず)によって、又は圧力差によってフロー反応器1に添加され得る。フロー反応器1は、ガラス床のような不活性媒体を有するか若しくは有さない管状反応器であってもよく、又はニートアルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属酸化物のペレットを備えてもよい。フロー反応器1は、約-25℃~約70℃、好ましくは約15℃~室温、又は30℃の範囲の温度及び対応する圧力約1気圧で維持され得る。温度の選択は、一置換シクロペンタジエン(I)の合成に使用される出発化合物、並びに標的反応生成物、すなわち、金属Cp錯体(II)に次第であり得る。フロー反応器1は、約0.1気圧から約2気圧、好ましくは約1気圧の圧力で維持され得る。混合ライン16中の出発化合物及び反応混合物の流れは、フロー反応器1中での約5分~約100分の滞留時間、好ましくは約5分~約20分の滞留時間を提供するように選択される。フロー反応器1の後の反応混合物の流れのごく一部は、ライン28を通してラマンプローブ又はGCクロマトグラフ13に導かれ、ライン29を通してフロー反応器1内に戻される。反応混合物は、分析方法に従って、R(Hal)又はR(F)(Hal)(例えば2-Br-ペンタン)が完全に消費されなくなるまで、フロー反応器1を再循環する。反応混合物中のR(Hal)又はR(F)(Hal)(例えば2-Br-ペンタン)の相対量が、分析によって0.1%未満、好ましくは0.01%未満になる時、反応混合物はライン27を通して任意の受器1aに回収されるか、又はライン19を通して蒸留セットアップ6に直接回収される。受器1aは、限定されないが、ドライアイス/イソプロパノール、ドライアイス/アセトン、冷蔵エタノール、及び/又は液体窒素トラップを含む任意の種類のトラップであり得る。
【0093】
受器1a中の反応混合物は、1つ又は複数の容器に回収され、次のプロセスステップの実行前に新しい場所に輸送されてもよい。或いは、受器1a中の反応生成物は、未反応の固体アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属酸化物、並びに臭化カリウム(例えば、利用されたKOH及び2-Br-ペンタン)などの固体反応副生物からフィルター19を通して濾過され、次に蒸留設定6に導入され、反応生成物が任意の反応物、反応副生物及び溶媒からさらに単離され得る。蒸留後の不揮発性残渣を含む廃棄物7はライン20を通して廃棄され、分離された溶媒はライン26を通してリサイクルされ得る。さらなるステップは、上記したバッチプロセスにおけるものと同様である。
【0094】
純粋な一置換シクロペンタジエン(I)の合成は、対応する金属Cp錯体(II)を(ペンタン、ヘキサン、トルエン、エーテル、THFなどの)炭化水素溶媒中で加水分解することにより達成され得る。カリウムCp化合物K(Cp-2-Pent)の加水分解などの開示された方法では、比較的簡単且つ迅速な手順を適用して、純粋な(すなわち、>99%の)一置換シクロペンタジエン(例えば、C-2-Pent)が高い収率で生成される。カリウム塩は非常に安定な化合物であり、合成に使用する前に任意の場所に輸送され得、又は窒素雰囲気下で長期間保存され得る。したがって、特に純粋な一置換シクロペンタジエン(I)がCp二量体の沸点と近い沸点を有するか、又は使用される溶媒の沸点と類似の沸点を有し、且つ蒸留により純粋な形態で分離できる場合、これは純粋な配位子の簡単な調製のための非常に都合のよい出発化合物である。
【0095】
開示された一置換シクロペンタジエン(I)及び対応する金属Cp錯体(II)は、膜堆積用の膜形成組成物中の金属含有前駆体の合成に適用されることが意図される。一置換Cp配位子のアルキル鎖は、膜形成組成物の金属含有前駆体全体の性質に影響を与える。具体的には、一置換Cp配位子のアルキル鎖は、M(Cp-R)分子の分子間接触エネルギーを低下させ、M(Cp-R)前駆体(ここでMは任意の典型又は遷移金属である)の融点の低下及び揮発性の上昇を導く。一方、C-R(F)のアルキル鎖中のフッ素原子は、M(Cp-R(F))錯体の金属中心に配位することができ、金属中心を配位飽和するため、分子間接触が形成されず、M(Cp-R(F))前駆体の融点の低下、並びに揮発性及び安定性の上昇が導かれる。
【0096】
特に、配位子におけるこの鎖長が、前駆体全体の特性の調整、すなわち安定性の改善、融点の低下及び化合物の揮発性の調整を可能にするため、3~7個の炭素原子を含有する非分岐及び分岐アルキル鎖R又はR(F)を有する一置換シクロペンタジエン(I)及び対応する金属Cp錯体(II)が興味深い。
【0097】
一置換シクロペンタジエン(I)及び対応する金属Cp錯体(II)を合成するための開示された方法は、図3に示すフローチャートとして要約され得る。ステップ102において、出発材料又は化合物を溶媒(例えば、THF)中で混合し、第1の混合物を形成する。出発材料は、Cp、R(Hal)又はR(F)(Hal)、MOH(例えば、KOH又はNaOH)、アルカリ土類酸化物(例えば、CaO)、及び触媒(例えば、BuPCl)などを含んでもよい。ステップ104において、1気圧下で約-15℃~約70℃の範囲の温度で、第1の混合物から一置換シクロペンタジエン(I)が形成する。一方、一置換シクロペンタジエン(I)の生成に伴い、Cpも生成される。このステップでは、不要な揮発性副生成物を除去するために、一置換シクロペンタジエン(I)を精製しても又はしなくてもよいが、Cpは一置換シクロペンタジエン(I)と同様の揮発性のため化合物(I)との混合物中に残留し得、対応する金属Cp錯体(II)を形成した後に除去される。次に、一置換シクロペンタジエン(I)、Cp二量体、前ステップからの残留溶媒を含む混合物を、THFなどのフラン溶媒中でアルキリチウム化合物(例えば、MeLi)又はアルカリ金属水素化物(例えば、NAH、KH)などの金属化合物と混合し、ステップ106において第2の混合物を形成させる。Cpの存在下、フラン溶媒中、ステップ108での金属化反応により、対応する金属Cp錯体(II)が形成される。このステップにおいて、第2の混合物は、固体、CpH、溶媒の一部、多置換シクロペンタジエンなどの分離によって処理され得る。ステップ110において、Cpを含む揮発性の副生成物を減圧又は真空下で除去し、約-15℃から約200℃の範囲の温度で金属Cp錯体(II)の純粋な生成物が得られる。したがって、上記のステップに続いて、合成された一置換シクロペンタジエン(I)が精製されず、Cp及び溶媒との混合物であったとしても、純粋な金属Cp錯体(II)が得られる。
【0098】
開示された合成方法の利点は、以下の通りである。
a)全ての出発化合物は空気中で安定であり、周囲条件で操作することができるため、脱気、溶媒の乾燥に関連し、アンモニア、CaH、CaC、CpNa又はCp(MgCl)などの空気感受性及び有毒化合物を用いた操作に関連するコストを削減することができる。CpNa又はCp(MgCl)の労力を要する危険な調製は除外される。
b)CpHモノマーを除く全ての出発化合物は、広く市販されており、安価である。CpHモノマーは、広く入手可能なCp二量体から容易に得ることができる。
c)一置換シクロペンタジエン(I)の合成は、周囲に近い条件で進行し、空気の侵入を許容する。
d)一置換シクロペンタジエン(I)合成後の反応混合物は、次の金属化ステップの前にディープな精製を必要としない。クロマトグラフィーなどの特別且つ高価な精製方法は必要ない。
e)一置換シクロペンタジエン(I)を含有する混合物は、一般に入手可能なアルカリ金属水素化物又はアルキルリチウム化合物を用いて、周囲に近い条件で金属化して金属Cp錯体(II)を生成することが可能である。溶融アルカリ金属を用いる危険な操作は除外される。
f)金属Cp錯体(II)を含有する反応混合物の精製は簡単で、揮発性物質をストリッピングするだけである。クロマトグラフィー及び分別結晶などの特別且つ高価な精製方法は必要とされない。
【0099】
我々の知る限り、開示された一置換シクロペンタジエンC-R又はC-R(F)(I)及び/又は対応する金属Cp錯体M(Cp-R)又はM(Cp-R(F))(II)は、開示された選択触媒炭素-炭素カップリングの合成方法を用いて、これまで合成されたことがなく、膜形成前駆体又は膜形成組成物を製造するための主要成分として開示されたことが一度もなかった。
【実施例
【0100】
以下の非限定的な実施例は、本発明の実施形態をさらに説明するために提供される。しかしながら、実施例は全てを網羅することを意図したものではなく、本明細書に記載される発明の範囲を限定することを意図したものでもない。
【0101】
実験手順
出発物質、溶媒、反応混合物、及び生成物を、熱伝導度検出器(TCD)を備えたガスクロマトグラフィー(GC)、NMR、流れの一部又はアリコートを用いたラマン分光法などの任意の適切な手段で分析した。測定は全て、密閉フラスコ又は石英セル内の試料に対して、大気と接触させずに行った。
【0102】
Cp(C1012)の分解は、撹拌棒を備えた親フラスコ、20~30cmのVigreuxカラム、アダプター及び受けフラスコからなる一般に使用される装置を用いて、1気圧の窒素下で行った。この装置は、1気圧の窒素下でバブラーに接続されている。分解は、シクロペンタジエン二量体を入れたポットを140℃より高い温度(140~190℃の範囲)に加熱し、分解したCpHモノマーをドライアイスで冷却した受器中に回収した。回収したモノマーは、分解直後にその都度GCで分析した。GCによると、分解生成物中の二量体の相対量は、分解ごとに17%から46%まで変化した。分解生成物は、次のステップの前に常にドライアイス中で保管した。一置換シクロペンタジエンの合成のために、分解されたフラクションの量は、目標とする量のCモノマーを有するように、GCデータに従って再計算された。
【0103】
以下の比較例1及び2は、既存の合成方法が一置換シクロペンタジエンの合成に適用できないことを説明するものである。
【0104】
比較例1.C-2-Pentの合成
国際公開第9742151号パンフレットに開示された反応に従って、500mLフラスコ中、水中のKOH(371.8g、3250.0mmol、60%w/w)を添加した。次に、[MeN(C1633)]Cl(10g、31.25mmol)、CpHモノマー(C、8.85g、133.9mmol)、2-Br-ペンタン(C11Br、25.75g、170.5mmol)を撹拌下、フラスコに順番に導入した。反応混合物は、液体水相及び粘性有機相を含む二相系となった。この混合物を室温で3時間撹拌した後、GCクロマトグラフでTHF中で分析するための有機相の試料を採取した。GC結果:THF 72.57%、2-Br-ペンタン 14.79%、C-2-Pent 3.07%、Cp二量体 5.31%、二置換配位子C-(2-Pent) 3.66%、三置換配位子 C-(2-Pent) 0.16%。二置換配位子C-(2-Pent)(異性体の混合物)の構造式は以下の通りである。
【化28】
三置換配位子C-(2-Pent)(異性体の混合物、1つを示す)
【化29】
及びCp二量体。
【0105】
国際公開第9742151号パンフレット及び本願における出発化合物の相対量の比較を表1に示す。
【0106】
【表1】
【0107】
本願ではAliquiat-336の代わりに[MeN(C1633)]Clが採用されている。2種の第三級アンモニウム塩Aliquiat-336(塩化トリカプリルメチルアンモニウム、[MeNR]Cl、R=C17~C1021、CAS:63393-96-4)及び[MeN(C1633)]Cl(CAS:112-02-7)の差異は、アルキル長鎖中の炭素原子数5~7個のみであり、したがって、この二つの界面活性剤の触媒特性は互いに近いと推測される。
【0108】
反応により一置換シクロペンタジエンC-2-Pent及び多置換シクロペンタジエンC-(2-Pent)(n=2、3)が生成するが、一置換シクロペンタジエンは反応混合物から分離することが困難である。
【0109】
比較例2.C-2-Pentの合成
Mironovら(Izvestiya Vysshikh Uchebnykh Zavedenii,Khimiya i Khimicheskaya Tekhnologiya(1983),26(6),759-761)が開示する反応に従って、水中KOH(2a)又は固体(2b)(表2の量、反応2a及び2bは500mLフラスコに添加した)、THF、CpHモノマー、2-Br-ペンタンを撹拌下に順次フラスコ中に導入した。反応混合物を室温で3時間撹拌した後、有機相のアリコートを分析用に採取し、GCクロマトグラフに注入した。
【0110】
反応2a、GC結果:CpH(0.6%)、THF(77.2%)、2-Br-ペンタン(17.4%)、Cp二量体(4.8%)。C-2-Pentを含むいかなるカップリング生成物もGCでは検出されなかった。
【0111】
反応2b、GC結果:CpH(2.3%)、THF(77.5%)、2-Br-ペンタン(16.5%)、Cp二量体(3.2%)。C-2-Pentを含むいかなるカップリング生成物もGCでは検出されなかった。
【0112】
生成物である一置換シクロペンタジエンC-2-Pentは、固体KOH又は水中KOH溶液を用いた場合、GCに検出されなかった。したがって、Mironovらの製法による反応を促進するために、CaC又はCaHなどの水反応性固体又は液体アンモニア溶媒のいずれかが必要である。
【0113】
【表2】
【0114】
実施例1.C-2-Pentの合成
【化30】
実施例1及び比較例2との差異は、a)触媒の添加(周囲条件での反応を促進するため)、b)シクロペンタジエンモノマーの過剰(高い選択性を達成するために利用される)である。
【0115】
KOH(24g、209.5mmol)及びCaO(5.6g、100mmol)を最初にフラスコに導入し、次にTHF(40mL)、CpH(6.33g、53.5mmol、分解フラクション中55%w/w)、2-Br-ペンタン(5.36g、35.5mmol)及びBuPCl(1g、3.4mmol)を撹拌下、順番にフラスコに添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した後、GCによって分析した。
【0116】
GC結果:CpH(1.0%)、THF(71.9%)、C-2-Pent(14.0%)、Cp二量体(12.6%)、C-(2-Pent)異性体(0.2%及び0.3%)。
【0117】
-2-Pentの質量スペクトル:m/z=136[M](C1016)(25%)、121[M-Me](5%)、107[M-Et](10%)、94[M-C(60%)、93[M-C(100%)、91[M-C-2H](60%)、79[M-C(40%)、77[M-C11(45%)、65[M-C11(15%)。質量スペクトルで観察された陽イオンのパターンは、計算されたものと同様である。
【0118】
実施例2.C-2-Pentのスケールアップ合成
反応セットアップは、オーバーヘッドスターラー、熱電対及び滴下ロートを備えた5Lフラスコを含んだ。フラスコは、冷却器に接続されたジャケット付きフラスコ、又は冷却剤が添加され得る二次容器に浸されたフラスコのいずれかによって冷却される可能性を有していた。フラスコを窒素ラインに接続し、窒素でパージし、1気圧のN下に保持した。フラスコ内にKOH(700g、10.6mol)を添加し、次にCaO(300g、5.3mol)、THF(1400g)及びTBPC(30g)(TBPCはテトラブチルホスホニウムクロライドを意味する)を順番にロートを用いて添加した。その後、撹拌しながらフラスコ内を約0~5℃まで冷却した。次に、CpHモノマーを含むCp分解冷却生成物(500g、6.15mol CpH、分解物中80%のモノマー(GC)、分解生成物は分解後常時ドライアイスに保持された)を撹拌下、フラスコ中に注いだ。
【0119】
2-Br-ペンタン(601g、3.98mol、モル比 2-Br-ペンタン:CpH=1:1.54)を別々に秤量して滴下ロートに入れた(操作は空気中で行ってよい)。反応混合物を冷却し、反応混合物の温度を20~30℃以内に保持しながら、フラスコ内の反応混合物に2-Br-ペンタンを10~20mL/分の速度で添加した。2-Br-ペンタンを全て添加した後、反応混合物の温度を20~30℃以内に保持するために、しばらく(約1時間)冷却する必要があった。その後、所与の冷却度で温度が低下し始めたので、冷却を止め、反応混合物を室温で撹拌しながら約1.5時間進行させた。その後、反応混合物のアリコートを採取し、GCによって分析した。2-Br-ペンタンがGC上で存在しない(又はGCで<0.1%である)場合、反応混合物の濾過を行うことができた。2-Br-ペンタンがGC上に存在する(>0.1%である)場合、反応混合物を室温でさらに1~1.5時間撹拌し、GCによって再分析した。2-Br-ペンタンが存在しない場合、反応混合物を中ガラスフリットで濾過した(又は代わりに固形物からデカンテーションした)。フラスコ内に残った固体及びフィルター上の固体を、数回に分けてTHFで洗浄した。全てのTHF濾液を組み合わせ、撹拌棒を備えた濾過した反応混合物の入ったフラスコをショートパス蒸留セットアップに接続した。THF濾液の入ったフラスコ中で撹拌を開始し、ドライアイス/IPAを冷却器中に入れ、受けフラスコをドライアイス(ドライアイス/IPA)で冷却した。真空ポンプの有機化合物による汚染を防ぐために、受けフラスコの後、及び真空ラインの前に液体窒素トラップが任意選択的に設置されてもよい。濾過した反応混合物を入れたフラスコ(以下、親フラスコ)を撹拌しながら、そして蒸留しやすいように親フラスコを適度に加熱しながら(親フラスコ中の液体温度は常に0℃未満である)、ショートパス蒸留は減圧下で進行した。ほぼ全てのTHFがストリッピングされると、親フラスコ内の温度が急速に上昇し始め(例えば、ライン内1~3Torrの真空で-15℃から約0~5℃)、そして真空が改善される。この時点で親フラスコの加熱を止め、アセンブリに1気圧の窒素(又はヘリウム若しくはアルゴン)を充填し、THF及びCpHモノマーを有する受けフラスコを取り外した。空の親フラスコを受けフラスコに再接続し、ドライアイスで冷却した。その後、親フラスコ中の液体温度が室温に達し、真空がミリトール領域(例えば、20℃、真空ライン中80~150mTorr)になるまで、真空下で親フラスコからの揮発性物質のストリッピングが進行する。この時点で蒸留はほぼ停止し、系内を1気圧の窒素で充填した。その後、GC分析のため、受けフラスコからストリップフラクションのアリコートを採取した。その後、受けフラスコを窒素流下で取り外し、そして新たに再生したモレキュラーシーブを受けフラスコ内の液体に添加した(この操作は、窒素パージしたグローブバッグ内又はグローブボックス内で行ってよい)。モレキュラーシーブの添加後、C-2-Pentの溶液を有する受けフラスコは、次のステップまで-20℃未満のフリーザー中に保存された。一実験において、所与の量の出発化合物から544.6gの粗生成物が得られた。生成物のGC結果:CpH 1.0%、THF 3.4%、C-2-Pent 78.2%、Cp 16.9%、C-(2-Pent) 0.4%。CpHはGC入口T=180℃でのCp二量体の熱分解由来であり得る。2-Br-ペンタンからのC-2-Pentの収率は77%であった。
【0120】
実施例3.C-2-Cの合成
【化31】
実施例2と同様に、2-Br-ブタンは4時間で完全に消費された(GC)。KOH(140g、2.1mol)、CaO(60g、1.1mol)、THF(300mL)、TBPC(6g、0.02mol)を順番にフラスコ中に採取した。Cp分解生成物にはCpHモノマー(122g、1.48mol CpH、分解生成物中のモノマー(GC)の80%)、2-Br-ブタン(120.8g、0.88mol、モル比 2-Br-ブタン:CpH=1:1.67)が含まれていた。ストリッピング後、C-2-Cを46.8%含む粗生成物182.1gを得た。2-Br-ブタンからのC-2-Cの収率は79%であった。
【0121】
粗生成物のGC結果:CpH 0.5%、THF 39.9%、C-2-C 46.8%、Cp 12.0%、C-(2-C 0.6%、{H(2-C)} 0.2%。CpHはGC入口T=180℃でのCp二量体の熱分解由来であり得る。C-2-Cの質量スペクトル:m/z=122[M](C14)(40%)、107[M-Me](12%)、105[M-Me-2H](5%)、93[M-Et](100%)、91[M-C-H](70%)、79[M-C(20%)、77[M-C(50%)、65[M-C(15%)。
【0122】
実施例4.C-1-F-Buの合成
【化32】
この新規分子C-1-F-Bu又はC-1-F-C10を実施例2と同様に調製した。1-F-4-Br-ブタンは3時間で完全に消費された(GC)。KOH(6.57g、117.1mmol)、CaO(2.86g、51.0mol)、THF(35g)、TBPC(0.29g、1.0mmol)を採取し、Cp分解生成物にはCpHモノマー(4.38g、53.0mmol CpH、分解生成物中のモノマー(GC)の80%)、1-F-4-Br-ブタン(4.54g、29.3mol、モル比 2-Br-ブタン:CpH=1:1.81)が含まれていた。ストリッピング後、2.55gのC-1-F-Buを含む粗生成物9.92gを得た。1-F-4-Br-ブタンからのC-1-F-Buの収率は62%である。
【0123】
粗生成物のGC結果:CpH 1.0%、THF 65.4%、C-1-F-Bu 25.7%、Cp 7.4%、C-(1-F-C10 0.2%。CpHは入口T=180℃でのCp二量体の熱分解由来であり得る。
【0124】
-1-F-Buの質量スペクトル:m/z=140[M](C13F)(30%)、93[M-CHCHF](20%)、91[M-CF](20%)、80[M-CF](40%)、79[M-CF](100%)、77[M-CF](50%)、66[C(15%)、65[C(5%)。
【0125】
実施例5.C-1,1,1-3F-Cの合成
【化33】
-1,1-3F-C又はC-1,1-3F-Cを実施例2と同様に調製した。1-Br-4,4,4-F-ブタンは3時間で完全に消費された(GC)。KOH(19.87g、(85%)、0.30mol)、CaO(7.77g、0.14mol)、THF(111g)、TBPC(1.70g、5.77mmol)を採取した。Cp分解生成物にはCpHモノマー(19.25g、0.23mol CpH、(分解生成物中のモノマー(GC)の80%))、1-Br-4,4,4-F-ブタン(24.05g、0.13mol、モル比 2-Br-ブタン:CpH=1:1.85)が含まれていた。ショートパスによって分留後、7.92gのC-1,1,1-3F-Cを含む粗生成物17.59gが得られた。フラクション中の1-Br-4,4,4-F-ブタンからのC-1,1,1-3F-Cの収率は35%である。
【0126】
粗生成物のGC結果:CpH 1.2%、THF 34.2%、C-1,1,1-3F-C 44.4%、Cp 18.2%、C-(1,1,1-3F-C 1.5%、C-(1,1,1-3F-C 0.23%。CpHはGC入口T=180℃でのCp二量体の熱分解由来であり得る。
【0127】
-1,1,1-3F-Cの質量スペクトル:m/z=176[M](C11)(30%)、137[M-HF(1%)、109(1%)[C、105(1%)[C、93[M-CHCF(12%)、91[M-CHCF-H(15%)、79[M-C(100%)、77[C(50%)、69[CF、(5%)、65[C(50%)。
【0128】
実施例6.Li(Cp-2-Pent)の合成
【化34】
この新規分子Li(Cp-2-Pent)又はLi(Cp-2-C11)は、C-Cカップリング反応の粗生成物(70.6%w/w溶液166.6g、0.86molのC-2-Pent)及び247.6gのTHFを、熱電対、撹拌棒を備え且つ1気圧の窒素下で窒素ラインに接続した2Lフラスコに装填して調製した。溶液の入ったフラスコを冷却し、-10~0℃の範囲に維持した。別に他の1Lシュレンクフラスコに窒素下でエーテル中のMeLi溶液(1.6M溶液540mL、0.86mol)を装填し、温度を-5~5℃の範囲に維持しながら、THF中のC-2-Pentの撹拌溶液が入ったフラスコにカニューレを介してMeLi溶液を添加した。MeLiを全て添加した後、撹拌しながらフラスコの内容物を室温まで温めた。室温でガスの放出が見られなくなった時点で、フラスコと真空ラインとの間にトラップを設置した。トラップは真空にし、液体窒素に浸し、液体窒素トラップ中で全ての溶媒を除去した。ほぼ全ての溶媒が除去された特定の時点で、内容物はふわふわした固体に変化し、有意な量の揮発性有機種を放出しながら約100℃で粘性ガラス状固体へと融解し始めた。全ての揮発性物質は、真空下で加熱することにより、固体から除去された。いくつかの実験では、バルクのLi(Cp-2-Pent)から全ての揮発性有機物を除去するために、150~180℃まで真空下で加熱する必要があった。その後、動的真空下でポットの内容物をほぼ室温まで冷却し、フラスコをグローブボックス内に移し、内容物を分析した。Li(Cp-2-Pent)の収量は120.0gで、C-2-Pentから98%であった。M.P.96℃(DSC)。粘性ペーストが生じ、液体への相転移は202℃(DSC)であった。H NMR(THF-d8):5.48(s,4H,C),2.57(sext,1H,CHCHMe),1.58(m,1H,CH(CHMe),1.39(m,3H,CH(CHMe),1.20(d,3H,CH-Me),0.90(t,3H,CH-Me).H NMRによる純度は99.5%であった。不純物の同定及び相対量は、化学シフト及び共鳴の総強度に基づいて行った。所与の手順に関する不純物量の代表的な量:C-2-Pent 0.25%、他の不純物合計0.25%。Li(Cp-2-Pent)は、出発2-Br-ペンタンが3-Br-ペンタンを含む場合、Li(Cp-3-C11)を含有し得る。Li(Cp-2-Pent)は、全く新しい化合物である(CAS番号:2413046-23-6)。
【0129】
実施例7.Li(Cp-2-C)の合成
【化35】
Li(Cp-2-C)又はLi(C-2-C)は、実施例6と同様に合成した。C-Cカップリング反応の粗生成物177.5g(46.8%w/w溶液、0.68molのCp-2-C)、Et2O中のMeLiの1.6M溶液425.2mL(0.68Mol)及びTHF300gを採取した。THFの量が少ないとゲル化することが確認された。反応後、真空下で65℃まで反応生成物を加熱した。収量は88gで、C-2-Cから定量的に得られた。H NMR(THF-d8):5.50(m,4H,C),2.54(sext,1H,CHCHMe),1.63(m,1H,CH(CHMe),1.47(m,1H,CH(CHMe),1.21(d,3H,CH-Me),0.91(t,3H,CH-Me).H NMRによる純度は98%で、配位THFの相対量は0.4%、Cp二量体は0.2%であった。M.P.は193℃(DSC)であった。注:MeLi添加時の反応混合物の過熱によりCpLi不純物が発生した。THFの量が不十分なためゲル化し、反応が不完全になり、試料中にMeLiが残留し、局所的に過熱が生じた結果、CpLi不純物が発生した。
【0130】
実施例8.K(Cp-2-Pent)の合成
【化36】
この新規分子K(Cp-2-Pent)又はK(Cp-2-C11)は、撹拌棒及び熱電対を備えた3L三口フラスコに窒素下で装填したC-Cカップリング反応の粗生成物(THF中60.3%溶液475g、C-2-Pent 2.10mol及び無水THF(506g))を用いて調製された。フラスコを真空/窒素ラインに接続し、1気圧の窒素下に置いた。別に固体KH(84.3g、2.1mol)を窒素下(例えばグローブボックス内)で固体添加ロートに添加した。固体添加ロートをN流の下でフラスコに接続した。次いで、THF溶液の温度を任意の適切な冷却手段によって30℃未満に維持しながら、安定した水素発生を維持するように、固体添加ロートを介してシクロペンタジエン配位子の撹拌THF溶液にKHを数回に分けて添加した。全てのKHを添加した後、反応混合物を水素発生が停止するまで(室温で約2~3時間)撹拌した。その後、固体添加ロートをN流下で取り外し、全ての揮発性物質を真空下でストリッピングする。蒸留終了後、フラスコ内の残渣を100~130℃まで加熱し、気体状生成物の発生が停止するまで(ライン内の真空度が改善されベースライン値に達するまで)撹拌下真空下に保持した。この時点で加熱を停止し、親フラスコを室温近くまで冷却し、グローブボックス内に移し、内容物を分析した。所与の量のKHに対して、347.6g(1.99mol)のK(Cp-2-Pent)が単離され、これは収率94.9%に相当した。K(Cp-2-Pent)のM.P.は55~56℃(DSC)であった。H NMR(THF-d8):5.36(2H,C),5.32(2H,C),2.57(sext,1H,CHCHMe),1.58(m,1H,CH(CHMe),1.44(m,1H,CH(CHMe),1.31(m,2H,CH(CHMe),1.10(d,3H,CH-Me),0.98(t,3H,CH-Me).H NMRによる純度は99.9%であった。不純物の同定及び相対量は、化学シフトと共鳴の総強度に基づいて行った。所与の手順に関する不純物量の代表的な量:C-2-Pent 0.10%。2-Br-ペンタンが3-Br-ペンタンを含む場合、K(Cp-2-Pent)はK(Cp-3-Pent)を含有し得る。K(Cp-2-Pent)は空気及び水分に敏感なため、合成プロセスは不活性雰囲気下で行った。
【0131】
実施例9.K(H(Cp-1-F-Bu))の合成
【化37】
この新規分子K(H(Cp-1-F-BuK(H(Cp-1-F-Bu)は、実施例8の記載と同様に調製された。C-Cカップリング反応の粗生成物7.5g(40.3%w/w溶液、22.1mmol.C-1-F-Bu、固体KH1.2g(29.9mmol)及びTHF45gを採取した。反応混合物の温度を室温未満に保持するように冷却することによって、C-1-F-Buの溶液にKHを加えた。溶媒をストリッピングした後、反応生成物を真空下で40℃まで加熱した。収量3.99g、C-1-F-Buから定量的。H NMR(THF-d8):5.37(m,4H,C),4.54(t,1H,CHF),4.45(t,1H,CHF),2.51(m,2H,CHCHF),1.79(m,2H,CHCHCH),1.61(m,2H,Cp-CH),溶媒からのTHF共鳴と重複。化合物はTHFを3モル%含有する。H NMRによるK(THF)0.03(Cp-BuF)の純度は96.8%w/w、Cp二量体の相対量は0.4%w/w、CpKは2.9%w/wであった。M.P.=89~91℃で分解した(DSC)。
【0132】
実施例10.K(Cp-1,1,1-3F-Bu)の合成
【化38】
調製は実施例9に記載したものと同様であった。C-Cカップリング反応の粗生成物17.6g(45%w/w溶液、45mmol.C-1,1,1-3F-Bu、固体KH2.0g(50mmol)及びTHF40gを採取した。反応混合物の温度を室温未満に保持するように冷却することによって、C-1,1,1-3F-Buの溶液にKHを添加した。溶媒をストリッピングした後、反応生成物を真空下で50℃まで加熱した。C-1,1,1-3F-BuからのK(Cp-1,1,1-3F-Bu)の収量は10.32gであり、定量的であった。H NMR(THF-d8):5.40(m,4H,C),2.57(t,2H,CHCF),2.24(m,2H,CHCHCF),1.80(m,2H,Cp-CH)、THFの共鳴と重複。化合物は4モル%のTHFを含有する。H NMRによるK(THF)0.04(Cp-BuF)の純度は96.4%w/w、Cp二量体の相対量は0.4%w/w、CpKは3.3%w/wであった。M.P.105℃、155℃から分解(DSC)。
【0133】
実施例11.Na(Cp-2-Pent)の合成
【化39】
この新規分子Na(Cp-2-Pent)又はNa(Cp-2-C11)は、K(Cp-2-Pent)(実施例8)と同様に調製された。Na(Cp-2-Pent)からのTHFは、真空下で撹拌しながら150~200℃で加熱することにより完全に除去することができた。収率:160gスケールで95.8%;M.P.110℃(DSC);H NMR(THF-d8):5.51(d,4H,C),2.64(sext,1H,CHCHMe),1.58(m,1H,CH(CHMe),1.40-1.20(m,3H,CH(CHMe),1.17(d,3H,CH-Me),0.92(t,3H,CH-Me).H NMRによる純度は99.6%であった。不純物の同定及び相対量は、化学シフト及び共鳴の総強度に基づいて行った。所与の手順に関する不純物量の代表的な量:C-2-Pent 0.20%、その他の不純物 合計0.2%。出発2-Br-ペンタンが3-Br-ペンタンを含む場合、Na(Cp-2-Pent)はNa(Cp-3-C11)を含有し得る。
【0134】
実施例12.K(Cp-2-Pent)の加水分解からの純粋な(>99%)C-2-Pentの合成
撹拌棒、熱電対、滴下ロートを備えた2L三口フラスコに窒素下、K(Cp-2-Pent)(321.1g,1.842mol)及び1Lのペンタンを装填した。フラスコを1気圧の窒素下で真空ラインに接続した。撹拌することによって、K(Cp-2-Pent)をペンタン中に懸濁させた(つまり、K(Cp-2-Pent)及びペンタンが2液層を形成している)。脱イオン及び脱気した水(100.8g、5.526mol)を窒素下で滴下ロートに装填した。ペンタン中のK(Cp-2-Pent)の撹拌溶液に窒素下で滴下ロートから水を添加した。水の添加の間、反応混合物の温度は、任意の適切な冷却手段(例えば、外部冷却器又は二次容器内の氷の添加)によって室温近くに維持された。全ての水を添加した後、得られた混合物を窒素下で1時間撹拌し、次いで、空気中でさらに水を添加した後、分離ロートを用いて有機層を分離した。水溶液をペンタンで洗浄し、ペンタンフラクションを組み合わせた。ペンタン溶液をMgSOで乾燥した後、MgSOを濾過した。濾液を2Lフラスコに入れ、真空下でペンタンをストリッピングし、237.6gの生成物を得た。生成物は、C-2-Pent 85.6%w/w(GC)及びペンタン14.4%w/w(GC)の混合物であった。C-2-Pentの収率は81%であった。C-2-Pentの二量体化を防ぐため、生成物は-20℃以下に保持した。C-2-Pentは室温で4.5%/日の速度で二量化する。
【0135】
-2-Pent及びペンタンを分留によって分離し、純度99%以上のC-2-Pentを生成した。H NMR,(C):6.51,6.45,6.34,6.22,6.16,5.94(2つの異性体のCp-環Csp2-H),2.78,2.69(2つの異性体のCp-環Csp3-H),2.49(2つの異性体の重複多重線Cp-CHMe(Pr)),1.51,1.37,1.28,1.21(重複多重線,CH(CHMe),1.13,1.05(d,3H,2つの異性体のCH-Me),0.98,0.95(2つの異性体の重複多重線CH-Me).2つの異性体の構造は以下の通りである。
【化40】
【0136】
開示された方法のカリウム化合物の加水分解によって、比較的簡単且つ迅速な手順を適用して、純粋な一置換シクロペンタジエン配位子(例えば、C-2-Pent)が高収率で生成される。カリウム塩は非常に安定な化合物であり、合成に使用する前に任意の場所に輸送され得、又は窒素雰囲気下で長期間保存され得るため、純粋な配位子の簡単な調製のための非常に都合のよい出発化合物である。
【0137】
実施例13.In(Cp-2-Pent)の合成
【化41】
所与の実施例は、表3に示すように、In(Cp-2-Pent)がリチウム化合物Li(Cp-2-Pent)及びInClのみから、且つエーテル中でのみ調製可能であることを示すために提供されたものである。
【0138】
M(Cp-2-Pent)(3~20mmol)(M=Li、Na、K)を化学量論量のIn(Hal)(Hal=Cl、Br、I)と混合し、溶剤を添加し、混合物を選択された温度で所与の時間撹拌した。その後、混合物を濾過し、室温の真空下で溶媒を除去した後、残渣を室温から70℃の範囲で真空下に保持し、液体窒素によって冷却した別のフラスコ中に全ての揮発性物質を回収した。室温から70℃での溶媒ストリッピング及び真空蒸留後の残渣を秤量し、FTIR及びNMRによって分析した。
【0139】
【表3】
【0140】
ナトリウム及びカリウム化合物はInClと反応せず、InI及びInBrは低収率且つ不適切な選択性で目的のインジウム錯体を生成し、生成物は2.5~3.0%のInCp及び最大9%の配位子C-2-Pentを含有する。エーテル中にリチウム化合物Li(Cp-2-Pent)及びInClのみ(反応8)では、高い収率及び高い選択性でIn(Cp-2-Pent)が生成する。
【0141】
実施例14.In(Cp-2-Pent)のスケールアップ合成
Li(Cp-2-Pent)(129.9g、0.91mol)を入れた2Lフラスコに、InCl(137.3g、0.91mol)及びエーテル(529g)を室温で装填し、撹拌を開始し、一晩継続したところ、翌日に目視でInClが消失し、微細な灰色の懸濁液が存在した。この懸濁液を中サイズガラスフリット(GB中)で濾過し、濾液を第2の2Lフラスコに採取した。第2の2Lフラスコ内の液体の温度が約15℃から室温になるまでエーテル溶媒をストリッピングする。得られた90~95%のIn(Cp-2-Pent)を含む粗反応生成物を真空下で分留にかける。第1のフラクションは、ドライアイス/イソプロパノールで冷却した受器に50~73.1℃及び3~4mTorrの真空で回収され、含有されたC-2-Pent及びInCpが排出された。73.1~73.7℃及び3~4mTorrの真空でドライアイス/イソプロパノールによって冷却した別の受器に回収した第2のフラクションは、98%より高い純度のIn(Cp-2-Pent)であった。
【0142】
粗In(Cp-2-Pent)(185.5g)から出発し、GC積分により1.6%のEtO、2.7%のH(Cp-2-Pent)、95.5%のIn(Cp-2-Pent)及び0.2%のIn(Cp-2-Pent)(n=2、3)を含有し、第1フラクションには24.7g(13.3%のC-2-Pent及び86.6%のIn(Cp-2-Pent)(GC積分))が回収され、第2フラクションには156.4g(0.9%のC-2-Pent及び99.0%のIn(Cp-2-Pent)(GC積分))が回収され、ポット中には赤色の液体2.2gが残り、これはGCによるとIn(Cp-2-Pent)(n=1~3)の混合体であった。In(Cp-2-Pent)は、完全に新規の化合物(CAS番号:2364634-67-1)である。
【0143】
本明細書に記載された主題は、ユーザーインタラクティブコンポーネントを有するコンピューティングアプリケーションの1つ又は複数のコンピューティングアプリケーション機能/動作を処理するための例示的な実装の関連で説明され得るが、主題はこれらの特定の実施形態に限定されるものではない。むしろ、本明細書に記載される技術は、任意の好適なタイプのユーザーインタラクティブコンポーネント実行管理法、システム、プラットフォーム、及び/又は装置に適用され得る。
【0144】
本発明の性質を説明するために本明細書に記載及び図示された詳細、材料、ステップ、及び部品の配置における多くの追加の変更は、添付の請求項に表される本発明の原理及び範囲内で当業者によって行われ得ることが理解されよう。したがって、本発明は、上記で与えられた実施例及び/又は添付図面における特定の実施形態に限定されるようには意図されない。
【0145】
本発明の実施形態が示され、記載されてきたが、本発明の精神又は教示から逸脱することなく、当業者によってその変更がなされ得る。本明細書に記載された実施形態は例示的なものであり、限定的なものではない。組成及び方法の多くの変更及び修正が可能であり、且つ本発明の範囲内である。したがって、保護の範囲は、本明細書に記載された実施形態に限定されるものではなく、後に続く請求項によってのみ限定され、その範囲は、請求項の主題の全ての均等物を含むものとする。
図1
図2
図3