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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-28
(45)【発行日】2025-03-10
(54)【発明の名称】ステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 5/04 20060101AFI20250303BHJP
【FI】
B62D5/04
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023529486
(86)(22)【出願日】2022-02-09
(86)【国際出願番号】 JP2022005174
(87)【国際公開番号】W WO2022269986
(87)【国際公開日】2022-12-29
【審査請求日】2023-12-21
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2021/024115
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(73)【特許権者】
【識別番号】000237307
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクトコラムシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】川村 尚史
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 宏明
(72)【発明者】
【氏名】戎 哲也
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 勇基
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 友紀
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 康介
(72)【発明者】
【氏名】梅藤 孝啓
(72)【発明者】
【氏名】仲秋 貴雄
(72)【発明者】
【氏名】村上 喜章
(72)【発明者】
【氏名】浅川 和久
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/77006(WO,A1)
【文献】特開2008-184043(JP,A)
【文献】国際公開第2014/69423(WO,A1)
【文献】特開2016-211615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フランジを有し、ステアリングシャフトを回転可能に支持する円筒状の支持筒と、
前記ステアリングシャフトにトルクを付与するように構成される減速機と、
前記減速機を収容する円筒部分を有し、前記円筒部分が前記フランジと同軸に配置されるハウジングと、
前記フランジと前記円筒部分とを互いに連結するボルトと、
前記円筒部分の内周面に嵌合される軸受支持部材であって、前記ステアリングシャフトが貫通する軸受支持部材と、
前記ステアリングシャフトの外周面と前記軸受支持部材の内周面との間に介在される軸受と、を有し、
前記軸受支持部材は、径方向に拡がる壁部と、前記軸受支持部材の径方向の弾性変形を許容するように構成される変形許容部を有し、
前記変形許容部は、前記壁部に設けられる第1のスリットを含み、
前記第1のスリットは、前記軸受支持部材の外周面に沿って周方向に連続して延びる環状の溝であり、
前記変形許容部は、前記壁部に設けられる第2のスリットをさらに含み、
前記第2のスリットは、前記第1のスリットに対して径方向内側に位置し、前記軸受支持部材の内周面に沿って周方向に連続して延びる環状の溝である、ステアリング装置。
【請求項2】
前記軸受支持部材は周壁を有し、前記壁部は、前記周壁の軸方向における端部から径方向内側に延びる端壁であり、
前記端壁は、前記軸方向において互いに反対側に位置する第1の端面および第2の端面を有し、
前記第1のスリットおよび前記第2のスリットは、前記第1の端面および前記第2の端面のうちの同じ一方の端面に設けられるか、または前記第1の端面および前記第2の端面のうちの互いに異なる端面に設けられている、請求項1に記載のステアリング装置。
【請求項3】
前記第1の端面は、前記第1のスリットおよび前記第2のスリットを有し、
前記第2の端面は、
前記第1のスリットと前記第2のスリットとの間の前記第2の端面の領域に周方向に間隔をおいて設けられる複数の凹部と、
周方向に隣り合う2つの前記凹部の間の前記軸受支持部材の部分である複数のリブと、を有している、請求項2に記載のステアリング装置。
【請求項5】
前記係合部分は、前記軸受支持部材の外周面に沿って周方向に延びる外向き突条と、前記円筒部分の内周面に沿って周方向に延びる溝と、を含み、
前記外向き突条は前記軸受支持部材の軸方向において前記溝に係合する、請求項4に記載のステアリング装置。
【請求項6】
前記軸受支持部材は、周壁と、前記周壁の軸方向における端部から径方向内側に延びる端壁と、前記周壁および前記端壁が交わる部分に形成される角部と、を有し、
前記係合部分は、前記円筒部分の内周面に沿って周方向に延びる段差部と、前記軸受支持部材の前記角部と、を含み、
前記角部は、前記軸受支持部材の軸方向において前記段差部に係合する、請求項4または請求項5に記載のステアリング装置。
【請求項7】
前記軸受支持部材は、当該軸受支持部材の内周面に沿って周方向に延びる内向き突条を有し、
前記内向き突条は、前記軸受支持部材の軸方向において前記軸受に係合する、請求項1~請求項6のうちいずれか一項に記載のステアリング装置。
【請求項9】
前記減速機は、前記ステアリングシャフトと一体回転するウォームホイール、および前記ウォームホイールに噛み合うウォームを有し、
前記ハウジングは、前記ウォームホイールが収容されるウォームホイールハウジング部材、および前記ウォームが収容されるウォームハウジング部材を有し、
前記円筒部分は、前記ウォームホイールハウジング部材である、請求項1~請求項8のうちいずれか一項に記載のステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータを利用して操舵を補助する電動パワーステアリング装置が存在する。たとえば特許文献1のステアリング装置は、モータおよび金属製のハウジングを有している。ハウジングは、トルクセンサおよびウォームギヤ機構を収容する。モータは、トルクセンサにより検出される操舵トルクに応じたトルクを発生する。モータのトルクは、ウォームギヤ機構を介してステアリングシャフトに伝達される。
【0003】
ハウジングは、ウォームハウジング部材およびセンサハウジング部材を有している。ウォームハウジング部材は、ウォームギヤ機構を収容する。センサハウジング部材は、トルクセンサを収容する。ウォームハウジング部材とセンサハウジング部材とは、ステアリングシャフトの軸方向において互いに嵌め合わせられている。ステアリングシャフトは、ウォームハウジング部材およびセンサハウジング部材に対して軸受を介して回転可能に支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-90139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年では、車両の仕様などに基づきステアリング装置に対する顧客の要求はますます多様化してきている。これらの要求に応えるためにステアリング装置の構成についての多岐にわたる研究開発が行われている。新規構成を有するステアリング装置が求められることもある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るステアリング装置は、フランジを有し、ステアリングシャフトを回転可能に支持する円筒状の支持筒と、前記ステアリングシャフトにトルクを付与するように構成された減速機と、前記減速機を収容する円筒部分を有し、前記円筒部分が前記フランジと同軸に配置されるハウジングと、前記フランジと前記円筒部分とを互いに連結するボルトと、前記円筒部分の内周面に嵌合される軸受支持部材であって、前記ステアリングシャフトが貫通する軸受支持部材と、前記ステアリングシャフトの外周面と前記軸受支持部材の内周面との間に介在される軸受と、を有している。前記軸受支持部材は、前記軸受支持部材の径方向の弾性変形を許容するように構成される変形許容部を有している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ステアリング装置の一実施の形態の構成を示す模式図である。
図2図1のステアリングコラムの斜視図である。
図3図2のハウジングとロアーチューブとの連結部分の断面図である。
図4図3の軸受支持部材を斜め上からみた斜視図である。
図5図3の軸受支持部材を斜め下からみた斜視図である。
図6図3の軸受支持部材の断面斜視図である。
図7図3の軸受支持部材の断面斜視図である。
図8図3の軸受支持部材の断面図である。
図9】他の実施の形態に係る軸受支持部材の断面図である。
図10】他の実施の形態に係る軸受支持部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ステアリング装置の一実施の形態を説明する。
図1に示すように、ステアリング装置1は、ステアリングシャフト2、中間軸3、ピニオン軸4、およびラック軸5を有している。ステアリングシャフト2の第1の端部には、ステアリングホイール6が連結されている。ステアリングシャフト2の第2の端部には、自在継手7を介して中間軸3の第1の端部が連結されている。中間軸3の第2の端部には自在継手8を介してピニオン軸4の第1の端部が連結されている。ピニオン軸4の第2の端部には、ピニオン4aが設けられている。ピニオン4aは、ラック軸5に設けられたラック5aに噛み合っている。ラック軸5は、車体のフレーム9に固定されるハウジング10の内部に支持されている。ラック軸5は、車両の進行方向に対する左方向または右方向へ移動可能である。ラック軸5の両端部はタイロッド(図示略)を介して左右の転舵輪(図示略)に連結される。
【0009】
ステアリングシャフト2は、アウタシャフト11およびインナシャフト12を有している。アウタシャフト11およびインナシャフト12は、たとえばスプライン結合によって互いに連結されている。アウタシャフト11およびインナシャフト12は、一体回転可能かつ互いの軸方向に沿って相対移動可能である。ステアリングシャフト2は、ステアリングホイール6を上にして車両の前後方向に対して斜めに設けられる。
【0010】
ステアリング装置1は、ステアリングコラム15を有している。ステアリングコラム15には、ステアリングシャフト2が挿通されている。ステアリングシャフト2は、軸受(図示略)を介してステアリングコラム15に対して回転可能に支持される。ステアリングコラム15は、車体に設けられる2つのフレーム13,14に取り付けられる。一方のフレーム13は、車両の前後方向において、他方のフレーム14よりも後方に位置している。
【0011】
ステアリングコラム15は、アッパーチューブ16、ロアーチューブ17およびハウジング18を有している。アッパーチューブ16は円筒状である。ロアーチューブ17は、円筒状であり、フランジ31を有している。アッパーチューブ16およびロアーチューブ17は、互いに嵌め合わされている。一例として、アッパーチューブ16は、ロアーチューブ17の第1の端部に挿入されている。第1の端部は、フランジ31が設けられた第2の端部と反対側の端部である。アッパーチューブ16およびロアーチューブ17は、ステアリングシャフト2の軸方向に互いに相対移動可能である。ロアーチューブ17は、コラムブラケット17Aを有している。ロアーチューブ17は、コラムブラケット17Aを介して車体のフレーム13に取り付けられる。
【0012】
アッパーチューブ16およびロアーチューブ17は、ステアリングシャフト2を回転可能に支持する支持筒を構成する。
ハウジング18は、ロアーチューブ17の第2の端部に連結されている。ハウジング18は、2つの支持部18A(図1では1つのみ図示)および支持軸18Bを有している。2つの支持部18Aは、ハウジング18のロアーチューブ17とは反対側の側面に設けられている。2つの支持部18Aは、車体の幅方向において互いに対向している。支持軸18Bは、2つの支持部18Aの間を延びている。支持軸18Bは、車体のフレーム14に固定されたブラケット24に対して回転可能に連結される。
【0013】
ハウジング18の外部には、操舵補助用のモータ19が設けられている。ハウジング18の内部には、減速機20が収容されている。減速機20は、モータ19の回転を減速し、この減速される回転をインナシャフト12に伝達する。減速機20は、ウォーム21およびウォームホイール22を有するウォーム減速機である。ウォーム21は、モータ19の出力軸(図示略)に対して一体回転可能に連結される。ウォーム21の軸線およびモータ19の出力軸の軸線は、同一の直線上に位置している。ウォームホイール22は、ウォーム21と噛み合っている。ウォームホイール22は、インナシャフト12と一体回転可能に設けられている。ウォームホイール22の軸線およびインナシャフト12の軸線は、同一の直線上に位置している。
【0014】
ステアリング装置1はロック機構(図示略)を有している。ロック機構は、レバー(図示略)の操作を通じて、ステアリングコラム15の支持軸18Bを中心とする揺動およびステアリングコラム15の伸縮を選択的にロック及びアンロックする。レバーをアンロック操作することにより、ステアリングコラム15は支持軸18Bを中心としてコラムブラケット17Aに対して揺動することが可能となる。レバーをアンロック操作した後、ステアリングホイール6を上または下へ移動させることによって、ステアリングホイール6の上下位置を調節することが可能である。また、レバーをアンロック操作することにより、アッパーチューブ16はロアーチューブ17に対してステアリングシャフト2の軸方向に移動することが可能となる。レバーをアンロック操作した後、ステアリングホイール6をステアリングシャフト2の軸方向に移動させることにより、ステアリングホイール6の軸方向における位置を調節することが可能である。
【0015】
つぎに、ロアーチューブ17の構成を詳細に説明する。
図2に示すように、ロアーチューブ17はフランジ31を有している。フランジ31はロアーチューブ17の第2の端部に設けられている。ロアーチューブ17の第2の端部は、アッパーチューブ16が挿入される第1の端部と反対側の端部である。フランジ31は円環状の平板である。フランジ31は2つの取付部31Aを有している。2つの取付部31Aは、フランジ31の外周面に設けられている。2つの取付部31Aは、フランジ31の外周面から径方向外側に突出している。2つの取付部31Aは、フランジ31の半径方向において互いに反対側に位置している。図3に示すように、2つの取付部31Aは、それぞれ挿通孔31Bを有している。挿通孔31Bにはボルト30が挿通される。このボルト30をハウジング18に締め付けることにより、フランジ31はハウジング18に固定される。ボルト30は頭部30Aおよび軸部30Bを有する。
【0016】
つぎに、ハウジング18の構成を詳細に説明する。
図2に示すように、ハウジング18は、ウォームホイールハウジング部材41およびウォームハウジング部材42を有している。ウォームホイールハウジング部材41およびウォームハウジング部材42は、それぞれ円筒状である。ウォームハウジング部材42は、ウォームホイールハウジング部材41の外周面に連結されている。ウォームハウジング部材42は、ウォームホイールハウジング部材41の軸線に対して直交する方向に延びている。ウォームホイールハウジング部材41の内部とウォームハウジング部材42の内部とは、連通孔(図示略)を介して互いに連通している。ウォームホイールハウジング部材41はハウジング18の円筒部分を構成する。ハウジング18は、アルミニウムなどの金属製である。
【0017】
ウォームホイールハウジング部材41の内部には、ウォームホイール22が回転可能に収容される。ウォームハウジング部材42の内部には、ウォーム21が軸受(図示略)を介して回転可能に支持される。ウォームホイール22とウォーム21とは、ハウジング18の内部に設けられる先の連通孔を介して互いに噛み合う。
【0018】
図3に示すように、ウォームホイールハウジング部材41は、軸方向における第1の端部に開口部41Aを有し、第1の端部とは反対側の第2の端部に端壁を有している。開口部41Aは、ウォームホイールハウジング部材41の軸線に沿ってロアーチューブ17へ向けて開口している。ウォームホイールハウジング部材41の外径は、フランジ31の外径と実質的に同じである。
【0019】
ウォームホイールハウジング部材41は、円筒状の軸受支持部43を有している。軸受支持部43は、ウォームホイールハウジング部材41の端壁に設けられている。開口部41Aと軸受支持部43は同軸に配置されている。ウォームホイールハウジング部材41の内部とウォームホイールハウジング部材41の外部とは、軸受支持部43を介して互いに連通している。
【0020】
ウォームホイールハウジング部材41は、2つの締付部44を有している。各締付部44は、フランジ31をハウジング18に固定する際にボルト30が締め付けられる部分である。各締付部44は、ウォームホイールハウジング部材41の外周面から径方向外側に突出している。2つの締付部44は、ウォームホイールハウジング部材41の半径方向において互いに反対側に位置している。各締付部44は、ねじ穴44Aを有している。ねじ穴44Aが開口する各締付部44の端面は、開口部41Aが開口するウォームホイールハウジング部材41の端面と面一である。
【0021】
開口部41Aが開口するウォームホイールハウジング部材41の端面には、フランジ31の周縁が当接している。フランジ31の挿通孔31Bとハウジング18のねじ穴44Aとは互いに一致している。ボルト30は、フランジ31の挿通孔31Bにハウジング18と反対側から挿通されている。このボルト30はハウジング18の締付部44に締め付けられている。これにより、フランジ31はハウジング18に固定されている。すなわち、ロアーチューブ17は、フランジ31を介してハウジング18に連結されている。また、ハウジング18の開口部41Aは、フランジ31によって塞がれている。フランジ31はハウジング18の開口部41Aを閉塞するカバーでもある。
【0022】
ウォームホイールハウジング部材41は、インナシャフト12を回転可能に支持する。インナシャフト12は、ウォームホイールハウジング部材41を貫通している。インナシャフト12の軸線とウォームホイールハウジング部材41の軸線とは、同一の直線上に位置している。インナシャフト12は、入力シャフト12A、出力シャフト12Bおよびトーションバー12Cを有している。入力シャフト12Aと出力シャフト12Bとは、トーションバー12Cを介して互いに連結されている。出力シャフト12Bは、中空の円筒である。
【0023】
入力シャフト12Aの第1の端部は、アウタシャフト11に連結される。入力シャフト12Aの第2の端部は、出力シャフト12Bの第1の端部に挿入されている。入力シャフト12Aの外周面と出力シャフト12Bの内周面との間には隙間が存在する。入力シャフト12Aの外周面と出力シャフト12Bの内周面との間には、すべり軸受12Dが介在されている。入力シャフト12Aと出力シャフト12Bとは、すべり軸受12Dを介して相対回転することが可能である。
【0024】
入力シャフト12Aの第2の端部には、トーションバー12Cの第1の端部が挿入された状態で固定されている。トーションバー12Cの第2の端部は、出力シャフト12Bの内部に挿通されている。トーションバー12Cの外周面と出力シャフト12Bの内周面との間には隙間が存在する。トーションバー12Cの第2の端部は、出力シャフト12Bの第2の端部に固定される。ステアリングホイール6に付与される操舵トルクは、入力シャフト12Aおよびトーションバー12Cを介して出力シャフト12Bに伝達される。トーションバー12Cは、操舵トルクに応じて捩れる。
【0025】
ウォームホイールハウジング部材41の内部には、ウォームホイール22および軸受支持部材50が収容されている。ウォームホイール22は、出力シャフト12Bの外周面に対して一体回転可能に固定されている。軸受支持部材50は円筒状であって、出力シャフト12Bの外周面に対して相対的に回転可能に装着されている。ウォームホイール22および軸受支持部材50は、ウォームホイールハウジング部材41の軸方向に沿って互いに間隔をあけて並んでいる。ウォームホイール22は、軸受支持部材50とウォームホイールハウジング部材41の端壁との間に配置されている。ウォームホイールハウジング部材41、ウォームホイール22および軸受支持部材50は、同軸に配置されている。
【0026】
図4および図5に示すように、軸受支持部材50は、周壁50Aと、周壁50Aの軸方向における第1の端部から径方向内側に延びる端壁50Bと、を有している。端壁50Bは、軸受支持部材50の径方向に拡がる壁部である。周壁50Aは、第1の端部とは反対側に、開口端部である第2の端部を有している。軸受支持部材50は挿通孔51を有している。挿通孔51は、軸受支持部材50の端壁50Bの中央を貫通している。端壁50Bの内周面には、環状の内向き突条52が設けられている。内向き突条52は、軸受支持部材50の内周面、より詳細には端壁50Bの内周面に沿って周方向に延びている。内向き突条52は、軸受支持部材50の端壁50Bの内側面に対して面一である。また、軸受支持部材50は、環状の外向き突条53を有している。外向き突条53は、軸受支持部材50の軸方向における端部、より詳細には周壁50Aの第2の端部に設けられている。外向き突条53は、周壁50Aの外周面に沿って周方向に延びている。外向き突条53は、軸受支持部材50の径方向外側へ向かうほどフランジ31に近づくように傾斜している。軸受支持部材50は、たとえば合成樹脂製である。すなわち、軸受支持部材50とハウジング18との線膨張係数は互いに異なる。合成樹脂の線膨張係数は、金属の線膨張係数よりも大きい値を有する。
【0027】
図3に示すように、軸受支持部材50の外周面、すなわち端壁50Bの外周面は、ウォームホイールハウジング部材41の内周面に嵌っている。軸受支持部材50は、端壁50Bと周壁50Aとが交わる部分に形成される角部54を有している。角部54は、ウォームホイールハウジング部材41の内周面に設けられた環状の段差部45に対して装着方向DWに当接している。装着方向DWは、ウォームホイールハウジング部材41の軸線に沿った方向であり、軸受支持部材50がウォームホイールハウジング部材41に対して挿入される方向である。段差部45は、ウォームホイールハウジング部材41の内径が変化する箇所に設けられ、ウォームホイールハウジング部材41の内周面に沿って周方向に延びている。角部54が段差部45に当接することにより、軸受支持部材50のウォームホイールハウジング部材41に対する装着方向DWへの移動が規制される。外向き突条53は、ウォームホイールハウジング部材41の内周面に設けられた環状の溝46に掛止されている。溝46は、ウォームホイールハウジング部材41の内周面に沿って周方向に延びている。外向き突条53が溝46に対して装着方向DWと反対方向に当接することにより、軸受支持部材50のウォームホイールハウジング部材41に対する装着方向DWと反対方向への移動が規制される。
【0028】
出力シャフト12Bは、軸受61を介して軸受支持部43の内周面に対して回転可能に支持されている。軸受61は、軸方向の移動が規制された状態にある。環状の段差部62および止め輪63が、出力シャフト12Bの外周面に設けられている。軸受61の内輪は、段差部62と止め輪63との間に介在されている。環状の突部64および止め輪65が、軸受支持部43の内周面に設けられている。軸受61の外輪は、突部64と止め輪65との間に介在されている。
【0029】
出力シャフト12Bは、軸受71を介して軸受支持部材50の挿通孔51に対して回転可能に支持されている。軸受71は、軸方向の移動が規制された状態にある。環状の突条72が、出力シャフト12Bの外周面に設けられている。軸受71の内輪は、突条72に対して装着方向DWに当接している。軸受71の外輪は、軸受支持部材50の環状の内向き突条52に対して装着方向DWと反対方向に当接している。
【0030】
軸受支持部材50の角部54が環状の段差部45に当接することに加え、環状の内向き突条52が軸受71の外輪に対して装着方向DWに当接することによっても、軸受支持部材50の装着方向DWへの移動が規制される。
【0031】
ウォームホイールハウジング部材41の内部空間は、軸受支持部材50によって2つの空間に区画されている。軸受支持部材50とフランジ31との間の空間にはセンサ80が設けられる。センサ80は、トルクセンサおよび回転角センサを含む。トルクセンサは、トーションバー12Cのねじれ量に基づき操舵トルクを検出する。回転角センサは、入力シャフト12Aの回転角を操舵角として検出する。軸受支持部材50とウォームホイールハウジング部材41の端壁との間の空間にはグリースが封入される。
【0032】
つぎに、軸受支持部材50の構成について補足説明する。
図6に示すように、軸受支持部材50は、第1のスリット55および第2のスリット56を有している。第1のスリット55および第2のスリット56は、端壁50Bに設けられている。詳細には、第1のスリット55および第2のスリット56は、軸方向における端壁50Bの第1の端面に設けられている。第1の端面は、周壁50Aが軸方向に突出する側の端壁50Bの端面である。第1の端面は、軸方向に対して直交している。
【0033】
第1のスリット55および第2のスリット56は、周方向に延びる環状の溝である。第1のスリット55および第2のスリット56は、軸受支持部材50の装着方向DWと反対方向に開口している。第1のスリット55および第2のスリット56は、軸受支持部材50の軸を中心として同心状に設けられている。
【0034】
第1のスリット55は、第2のスリット56の径方向外側に位置している。第1のスリット55は、軸受支持部材50の外周面に沿って周方向に延びている。第1のスリット55は、周壁50Aの内周面にも沿って延びている。第1のスリット55は、径方向に互いに向き合う環状の内壁面を有する。径方向外側の内壁面は、段差のない状態で、周壁50Aの内周面と連続している。
【0035】
第2のスリット56は、第1のスリット55の径方向内側に位置している。第2のスリット56は、挿通孔51の周囲を囲んでいる。第2のスリット56は、挿通孔51の内周面に沿って周方向に延びている。挿通孔51の内周面は、軸受支持部材50の内周面でもある。端壁50Bに第2のスリット56を設けることにより、環状の内周壁50Cが形成される。
【0036】
第1のスリット55および第2のスリット56は、軸受支持部材50の径方向の弾性変形を許容する変形許容部を構成する。
図7に示すように、軸受支持部材50は、複数の凹部57を有している。凹部57は、軸方向における端壁50Bの第2の端面に設けられている。第2の端面は、軸方向における第1の端面と反対側の端面である。凹部57は、端壁50Bの周方向に間隔をおいて設けられている。凹部57は、軸方向からみて、第2の端面における第1のスリット55と第2のスリット56との間の領域に位置している。
【0037】
軸受支持部材50は、複数のリブ58を有している。リブ58は、補強用である。端壁50Bに複数の凹部57を設けることにより、複数のリブ58が設けられる。リブ58は、周方向に隣り合う2つの凹部57の間の軸受支持部材50の一部分である。リブ58は、端壁50Bの径方向に延びる壁である。リブ58は、第1のスリット55が設けられた端壁50Bの径方向外側の部分と、第2のスリット56が設けられた端壁50Bの径方向内側の部分とを連結している。
【0038】
図8に示すように、軸受支持部材50の樹脂の厚みは、略均一である。軸受支持部材50の各部の寸法は、軸受支持部材50の樹脂厚を均一にするという観点から設定される。各部の寸法は、たとえば、つぎの7つの寸法(A1)~(A7)を含む。
【0039】
A1.第1のスリット55の深さ
A2.第1のスリット55の幅
A3.第2のスリット56の深さ
A4.第2のスリット56の幅
A5.凹部57の深さ
A6.凹部57の幅
A7.凹部57の周方向の長さ
なお、深さは、軸方向の寸法である。幅は、径方向の寸法である。寸法(A1)~(A7)を調節することにより、第1のスリット55、第2のスリット56、および凹部57を有する軸受支持部材50の樹脂厚を調節することが可能である。寸法(A7)を調節することにより、リブ58の周方向の長さである厚みを調節することが可能である。
【0040】
<実施の形態の効果>
本実施の形態は、以下の効果を奏する。
(1)従来、つぎのようなハウジングを有するステアリング装置が存在する。従来のハウジングは、たとえば減速機を収容するウォームハウジング部材と、センサを収容する筒状のセンサハウジング部材とを有する。ステアリングシャフトは、ウォームハウジング部材に設けられた軸受と、センサハウジング部材に設けられた軸受とによって回転可能に支持される。センサハウジング部材には、ステアリングシャフトを内包する筒状の部材が装着される。この筒状の部材は、本実施の形態のロアーチューブ17に相当する。
【0041】
これに対し、本実施の形態によれば、軸受71を支持するための部材である軸受支持部材50と、ロアーチューブ17をハウジング18に連結するための部材であるフランジ31とが互いに独立した別部品として設けられる。軸受支持部材50は、ウォームホイールハウジング部材41の内部に取り付けられる。ロアーチューブ17は、フランジ31を介してウォームホイールハウジング部材41に固定される。このように、本実施の形態によれば、従来のセンサハウジング部材に相当する構成を有さない新規のステアリング装置1を得ることができる。
【0042】
(2)従来のウォームハウジング部材およびセンサハウジング部材は、たとえばアルミニウムなどの金属製であるため高価である。この点、本実施の形態では、従来のセンサハウジング部材に代えて、合成樹脂製の軸受支持部材50によって軸受71を支持する。従来のセンサハウジング部材を設ける場合に比べて、ハウジングにおける金属の使用量が減少する分だけ、製品コストを低減することが可能である。
【0043】
(3)ロアーチューブ17は、板状のフランジ31を介してウォームホイールハウジング部材41に直接固定される。このため、ロアーチューブ17を従来のセンサハウジング部材に相当する構成を介してウォームホイールハウジング部材41に取り付ける場合に比べて、ステアリングコラム15の体格を軸方向において小型化することが可能である。
【0044】
(4)軸受支持部材50は、ウォームホイールハウジング部材41の内周面に嵌合された状態に維持される。軸受支持部材50をウォームホイールハウジング部材41に固定するボルトなどの締結部品は不要である。このため、部品点数を削減できる。
【0045】
(5)軸受支持部材50は軸方向の移動が規制された状態に維持される。係合部分である外向き突条53と溝46とが軸受支持部材50の軸方向に互いに係合することによって、軸受支持部材50の装着方向DWと反対方向への移動が規制される。また、係合部分である角部54と段差部45とが軸受支持部材50の軸方向に互いに係合すること、あるいは内向き突条52と軸受71の外輪とが軸受支持部材50の軸方向に互いに係合することによって、軸受支持部材50の装着方向DWへの移動が規制される。このため、軸受支持部材50が軸受71から軸方向へ脱落することを抑制できる。したがって、軸受支持部材50は軸受71を好適に支持した状態に維持される。さらに、ウォームホイールハウジング部材41に軸受支持部材50を装着方向DWからワンタッチで組み付けることができるため、組付け性が向上する。
【0046】
(6)軸受支持部材50とハウジング18との線膨張係数は互いに異なる。このため、雰囲気温度の変化に対する寸法変化の度合いが軸受支持部材50とハウジング18とで異なる。たとえば軸受支持部材50の線膨張係数がハウジング18の線膨張係数よりも大きい値である場合、雰囲気温度の低下に伴い軸受支持部材50がハウジング18より大きく収縮するおそれがある。この軸受支持部材50の半径方向への収縮に伴い、軸受支持部材50の外周面とウォームホイールハウジング部材41の内周面との間に隙間が生じることが懸念される。
【0047】
この点、本実施の形態によれば、軸受支持部材50の外周面とウォームホイールハウジング部材41の内周面との間に隙間が生じる場合であれ、外向き突条53と溝46との係合が解除されない限り、軸受支持部材50の装着方向DWと反対方向への移動が規制される。また、角部54と段差部45との係合あるいは内向き突条52と軸受71の外輪との係合が解除されない限り、軸受支持部材50の装着方向DWへの移動が規制される。このため、軸受支持部材50は軸受71を支持した状態に維持される。
【0048】
(7)ハウジング18内にウォームホイール22、軸受支持部材50、およびセンサ80を配置できるため、従来のウォームハウジング部材とは別のセンサハウジング部材にセンサを収容する必要がない。このため、組付け性が向上する。さらに、ウォームホイールハウジング部材41に装着方向DWからウォームホイール22、軸受支持部材50、およびセンサ80を一方向から組付けできるため、組付け性が向上する。
【0049】
(8)軸受支持部材50は、環状の第1のスリット55を有している。第1のスリット55は、周壁50Aの内周面に沿って周方向に延びている。周壁50Aの径方向内側に第1のスリット55が存在することにより、周壁50Aは、径方向に弾性変形しやすくなる。軸受支持部材50をウォームホイールハウジング部材41に組み付ける際、外向き突条53がウォームホイールハウジング部材41の内周面に接触することによって、周壁50Aには、外向き突条53を介して、径方向内側への力が作用する。この力を受けて、周壁50Aが第1の端部を支点として径方向内側へ弾性変形することにより、外向き突条53は径方向内側へ退避する。ウォームホイールハウジング部材41の内部に軸受支持部材50を挿入しやすくなるため、組付け性が向上する。軸受支持部材50の周壁50Aに割れが発生することも抑制される。
【0050】
(9)さらに、軸受支持部材50をウォームホイールハウジング部材41の内部に組み付ける際、軸受支持部材50の装着方向DWへの移動に伴い、外向き突条53の先端は、ウォームホイールハウジング部材41の内周面に対して装着方向DWに摺動する。周壁50Aは、外向き突条53の先端が溝46に到達するタイミングで原位置へ弾性復帰する。これにより、外向き突条53の先端は、溝46に嵌る。したがって、軸受支持部材50をウォームホイールハウジング部材41の内部に装着方向DWから挿入するだけで、外向き突条53の先端を溝46に組み付けることができる。したがって、ウォームホイールハウジング部材41に対する軸受支持部材50の組付け性が向上する。
【0051】
(10)外向き突条53の先端が溝46に嵌った状態において、周壁50Aの外周面は、ウォームホイールハウジング部材41の内周面に接触した状態に維持される。理想的には、周壁50Aの外周面とウォームホイールハウジング部材41の内周面との間に隙間が存在しない。このため、周壁50Aの外周面とウォームホイールハウジング部材41の内周面との境界部分をグリースが通過することは困難である。したがって、グリースが、軸受支持部材50とウォームホイールハウジング部材41の端壁との間の第1の空間から、軸受支持部材50とフランジ31との間の第2の空間へ漏れ出すことが抑制される。
【0052】
(11)軸受支持部材50は、環状の第2のスリット56を有している。第2のスリット56は、挿通孔51の内周面に沿って周方向に延びている。第2のスリット56を設けることにより、環状の内周壁50Cが設けられる。内周壁50Cの径方向外側に第2のスリット56が存在することにより、内周壁50Cは、径方向に弾性変形しやすくなる。内周壁50Cは、挿通孔51を構成する壁である。軸受支持部材50をウォームホイールハウジング部材41の内部に組み付ける際、軸受支持部材50の内周壁50Cが径方向外側へ弾性変形することにより、挿通孔51の内周面を軸受71の外輪の外周面にはめ込みやすくなる。また、軸受支持部材50の挿通孔51の周辺部分に割れが発生することも抑制される。したがって、ウォームホイールハウジング部材41に対する軸受支持部材50の組付け性が向上する。
【0053】
(12)挿通孔51の内周面は、軸受71の外輪の外周面に接触した状態に維持される。理想的には、挿通孔51の内周面と軸受71の外輪の外周面との間に隙間が存在しない。このため、軸受支持部材50と軸受71との間において、打音あるいはスティックスリップ音が発生することが抑制される。スティックスリップ音は、部品同士、ここでは、軸受支持部材50と軸受71とが擦れ合うことにより発生する異音である。したがって、ステアリング装置1の静粛性を向上させることができる。また、挿通孔51の内周面と軸受71の外輪の外周面との境界部分をグリースが通過することは困難である。このため、グリースが、軸受支持部材50とウォームホイールハウジング部材41の端壁との間の第1の空間から、軸受支持部材50とフランジ31との間の第2の空間へ漏れ出すことが抑制される。
【0054】
(13)軸受支持部材50は、射出成形により製造される樹脂成形品である。射出成形は、溶融樹脂を金型に注入し、溶融樹脂を冷却して固化させることにより、樹脂成形品を得る成形技術である。射出成形において、樹脂成形品の厚みに差があると収縮の程度が異なるため、肉厚部分にヒケが発生する。ヒケとは、樹脂成形品が金型の内部で冷却されて固化する過程において、肉厚部分が肉薄部分よりも多く収縮することによって、肉厚部分の表面にへこみが発生する現象である。
【0055】
軸受支持部材50は、第1のスリット55、第2のスリット56、および凹部57を有している。第1のスリット55、第2のスリット56、および凹部57は、軸受支持部材50の樹脂の厚みを均一にするための、いわゆる肉ぬすみ部でもある。第1のスリット55、第2のスリット56、および凹部57の寸法を調節することにより、軸受支持部材50の樹脂の厚みを均一な状態に近づけることができる。このため、軸受支持部材50において、ヒケの発生が抑制される。また、軸受支持部材50の成形性および生産性が向上する。
【0056】
(14)第1のスリット55、第2のスリット56、および凹部57を軸受支持部材50に設けることによって、軸受支持部材50の強度が低下するおそれがある。この強度の低下は、複数のリブ58により補われる。すなわち、複数のリブ58により、軸受支持部材50の強度を確保することができる。
【0057】
<他の実施の形態>
なお、本実施の形態は、つぎのように変更して実施してもよい。
・軸受支持部材50およびハウジング18の材料は、製品の仕様に応じて適宜変更される。たとえば、軸受支持部材50は金属製、ハウジング18は合成樹脂製であってもよい。
【0058】
・軸受支持部材50およびハウジング18は、同じ材料で形成してもよい。この場合、軸受支持部材50およびハウジング18の線膨張係数は同じ値である。このため、軸受支持部材50およびハウジング18は、雰囲気温度の変化に対して同じように寸法変化する。したがって、軸受支持部材50の外周面とウォームホイールハウジング部材41の内周面との間に隙間が生じにくい。
【0059】
・ウォームホイールハウジング部材41から段差部45を割愛した構成を採用してもよい。このようにしても、軸受支持部材50の内向き突条52と軸受71の外輪とが互いに係合することによって、軸受支持部材50の装着方向DWへの移動が規制される。
【0060】
・軸受支持部材50から環状の内向き突条52を割愛した構成を採用してもよい。このようにしても、軸受支持部材50の角部54とウォームホイールハウジング部材41の段差部45とが互いに係合することによって、軸受支持部材50の装着方向DWへの移動が規制される。
【0061】
・製品の仕様などによっては、ステアリング装置1にステアリングホイール6の上下位置を調節するための構成、およびステアリングホイール6の軸方向における位置を調節するための構成を設けなくてもよい。この場合、アッパーチューブ16およびロアーチューブ17に替えて、伸縮しない単一の支持筒を設ける。この単一の支持筒によってステアリングシャフト2を回転可能に支持する。また、ハウジング18は、車体のフレーム14に固定する。ハウジング18から支持部18Aおよび支持軸18Bを割愛した構成を採用することができる。また、ステアリングコラム15の支持軸18Bを中心とする揺動およびステアリングコラム15の伸縮を選択的にロック及びアンロックするロック機構も不要となる。
【0062】
図10に示すように、第1のスリット55および第2のスリット56は、端壁50Bの第2の端面に設けてもよい。この場合、第1のスリット55および第2のスリット56は、軸受支持部材50の装着方向DWと同方向に開口する。このようにしても、先の(8)~(14)と同様の効果を得ることができる。
【0063】
・第1のスリット55を端壁50Bの第1の端面に、第2のスリット56を端壁50Bの第2の端面に設けてもよい。また、第1のスリット55を端壁50Bの第2の端面に、第2のスリット56を端壁50Bの第1の端面に設けてもよい。このようにしても、先の(8)~(14)と同様の効果を得ることができる。
【0064】
・軸受支持部材50として、第2のスリット56を割愛した構成を採用してもよい。第2のスリット56が設けられる部分は、合成樹脂により埋められる。このようにしても、先の(8)~(10),(12)~(14)と同様の効果を得ることができる。
【0065】
図9に示すように、軸受支持部材50は、第1のスリット55および第2のスリット56に代えて、第3のスリット59を有していてもよい。凹部57は割愛してもよい。第3のスリット59は、端壁50Bの周方向に延びる環状の溝である。第3のスリット59は、たとえば、先の第1のスリット55と第2のスリット56とを径方向に連結するかたちで設けられる。第3のスリット59の外径は、先の第1のスリット55の外径と同程度に設定される。第3のスリット59の内径は、先の第2のスリット56の内径と同程度に設定される。第3のスリット59の深さ、および幅は、軸受支持部材50の樹脂の厚みが略均一となるように調節される。第3のスリット59は、軸受支持部材50の径方向の弾性変形を許容する変形許容部を構成する。このようにしても、先の(8)~(13)と同様の効果を得ることができる。
【0066】
・軸受支持部材50として、リブ58を割愛した構成を採用してもよい。この場合、複数の凹部57は、周方向に連結されることにより、単一の環状の凹部を構成する。このようにしても、先の(8)~(13)と同様の効果を得ることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10