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特許7642820酸化物複合粒子及びその製造方法、並びに樹脂組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-28
(45)【発行日】2025-03-10
(54)【発明の名称】酸化物複合粒子及びその製造方法、並びに樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/18 20060101AFI20250303BHJP
   C01F 7/02 20220101ALI20250303BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20250303BHJP
   C08K 7/18 20060101ALI20250303BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20250303BHJP
【FI】
C01B33/18 C
C01F7/02
C08K3/013
C08K7/18
C08L101/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023535207
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(86)【国際出願番号】 JP2022025298
(87)【国際公開番号】W WO2023286565
(87)【国際公開日】2023-01-19
【審査請求日】2023-12-19
(31)【優先権主張番号】P 2021116375
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100168066
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】恒吉 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】深澤 元晴
(72)【発明者】
【氏名】岡部 拓人
【審査官】末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-251042(JP,A)
【文献】特開2008-162849(JP,A)
【文献】特開2019-019222(JP,A)
【文献】特開2015-078105(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/18
C01F 7/02
C08K 3/013
C08K 7/18
C08L101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカ及びアルミニウムの酸化物(単一酸化物または複合酸化物、あるいはその両方)を含む酸化物複合粒子であって、
前記酸化物複合粒子が、α-クリストバライトの結晶相を10~85質量%、α-アルミナの結晶相を50質量%以下、及びムライトの結晶相を10質量%を超えて含み、
X線光電子分光法によって検出される、アルミニウムのケイ素に対する元素比率(アルミニウム/ケイ素)が0.1以上であり、
前記酸化物複合粒子中に含まれるアルミニウムのアルミニウム単一酸化物(Al )換算含有率が5~15質量%である、酸化物複合粒子。
【請求項2】
前記酸化物複合粒子の平均粒子径が0.5~70μmである、請求項1に記載の酸化物複合粒子。
【請求項3】
前記酸化物複合粒子の平均円形度が0.85以上である、請求項1に記載の酸化物複合粒子。
【請求項4】
前記酸化物複合粒子がα-アルミナの結晶相を0.1~50質量%含む、請求項1に記載の酸化物複合粒子。
【請求項5】
請求項1に記載の酸化物複合粒子の製造方法であって、
平均粒子径が0.5~10μmであるシリカ粒子と、アルミナ粒子とを混合して混合物を得る工程と、
前記混合物を1300~1700℃で2~8時間加熱する工程と、
を含む、酸化物複合粒子の製造方法。
【請求項6】
前記混合物を得る工程が、転動流動層装置を用いて、前記シリカ粒子が舞う気流中に前記アルミナ粒子を含むアルミナスラリーを噴霧して、前記シリカ粒子の表面に前記アルミナ粒子が付着したコアシェル構造を有する粒子を形成する工程である、請求項に記載の酸化物複合粒子の製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の酸化物複合粒子と、樹脂とを含む樹脂組成物。
【請求項8】
前記樹脂組成物中の前記酸化物複合粒子の含有率が20~80質量%である、請求項に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
高周波基板用の樹脂組成物である、請求項に記載の樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化物複合粒子及びその製造方法、並びに樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信分野における情報通信量の増加に伴い、電子機器や通信機器等において高周波数帯の活用が広がっており、高周波帯用のデバイスに用いられる材料に関して、誘電率および誘電正接が低いことが求められている。また、関連する電子材料及び部材の小型化、高集積化も進み、さらなる放熱性が求められつつある。
【0003】
高周波帯のセラミックス材料として、シリカ(SiO)は、誘電率が小さく(3.7)、品質係数指標Qf(誘電正接の逆数と測定周波数を掛けた値)が約12万であり、低誘電率かつ低誘電正接を有するフィラーの材料として有望である。また、樹脂中での配合を容易にし、また粘度を下げて成形性を良好にするため、フィラー形状は球形に近い程好ましい。球状シリカは容易に合成可能であり(例えば特許文献1)、既に多くの用途で使用されている。そのため、高周波帯の誘電体デバイス等においても広く用いられることが期待される。
【0004】
しかしながら、前記球状シリカは一般的に非晶質であり、熱伝導率が1W/m・K程度と低く、球状シリカを充填した樹脂組成物は放熱性が不十分な場合がある。熱伝導率を向上させるため、球状シリカを非晶質から石英やクリストバライト等へ結晶化させることが考えられる。例えば特許文献2や3では、非晶質球状シリカを熱処理することで、石英やクリストバライトへ結晶化させることが提案されている。一方、特許文献4には、アエロジルを用いて形成される酸化アルミニウム系セラミックからなる被膜を有するシリカ粉末が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭58-138740号公報
【文献】特許第6207753号公報
【文献】国際公開第2018/186308号
【文献】特開平10-251042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、石英やクリストバライトなどの結晶質シリカを含む酸化物複合粒子はその製造において球形を維持するのが困難であり、より球形に近く、かつ、低い誘電率及び誘電正接を示す酸化物複合粒子の開発が望まれている。
【0007】
本発明は、より球形に近く、かつ、樹脂と混合して得られる樹脂組成物が低い誘電率及び誘電正接を示す酸化物複合粒子及びその製造方法、並びに該樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の実施形態を含む。
【0009】
[1]シリカ及びアルミニウムの酸化物(単一酸化物または複合酸化物、あるいはその両方)を含む酸化物複合粒子であって、
前記酸化物複合粒子が、α-クリストバライトの結晶相を10~90質量%、α-アルミナの結晶相を50質量%以下、及びムライトの結晶相を10質量%を超えて含み、
X線光電子分光法によって検出される、アルミニウムのケイ素に対する元素比率(アルミニウム/ケイ素)が0.1以上である、酸化物複合粒子。
【0010】
[2]前記酸化物複合粒子中に含まれるアルミニウムのアルミニウム単一酸化物(Al)換算含有率が5~60質量%である、[1]に記載の酸化物複合粒子。
【0011】
[3]前記酸化物複合粒子の平均粒子径が0.5~70μmである、[1]又は[2]に記載の酸化物複合粒子。
【0012】
[4]前記酸化物複合粒子の平均円形度が0.85以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の酸化物複合粒子。
【0013】
[5]前記酸化物複合粒子がα-アルミナの結晶相を0.1~50質量%含む、[1]~[4]のいずれかに記載の酸化物複合粒子。
【0014】
[6][1]~[5]のいずれかに記載の酸化物複合粒子の製造方法であって、
平均粒子径が0.5~10μmであるシリカ粒子と、アルミナ粒子とを混合して混合物を得る工程と、
前記混合物を1300~1700℃で2~8時間加熱する工程と、
を含む、酸化物複合粒子の製造方法。
【0015】
[7]前記混合物を得る工程が、転動流動層装置を用いて、前記シリカ粒子が舞う気流中に前記アルミナ粒子を含むアルミナスラリーを噴霧して、前記シリカ粒子の表面に前記アルミナ粒子が付着したコアシェル構造を有する粒子を形成する工程である、[6]に記載の酸化物複合粒子の製造方法。
【0016】
[8][1]~[5]のいずれかに記載の酸化物複合粒子と、樹脂とを含む樹脂組成物。
【0017】
[9]前記樹脂組成物中の前記酸化物複合粒子の含有率が20~80質量%である、[8]に記載の樹脂組成物。
【0018】
[10]高周波基板用の樹脂組成物である、[8]又は[9]に記載の樹脂組成物。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、より球形に近く、かつ、樹脂と混合して得られる樹脂組成物が低い誘電率及び誘電正接を示す酸化物複合粒子及びその製造方法、並びに該樹脂組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態に係る方法で使用する転動流動層装置の一例を示す模式図である。
図2】実施例1の酸化物複合粒子のX線回折パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0022】
[酸化物複合粒子]
本実施形態に係る酸化物複合粒子は、シリカ及びアルミニウムの酸化物を含む。本実施形態において、「アルミニウムの酸化物」とは、アルミニウムの単一酸化物、アルミニウムの複合酸化物、又はその両方を示す。ここで、前記酸化物複合粒子は、α-クリストバライトの結晶相を10~90質量%、α-アルミナの結晶相を50質量%以下、及びムライトの結晶相を10質量%を超えて含む。また、X線光電子分光法(以下、XPSともいう。)によって検出される、アルミニウムのケイ素に対する元素比率(アルミニウム/ケイ素)は0.1以上である。
【0023】
本実施形態に係る酸化物複合粒子は、α-クリストバライトの結晶相、α-アルミナの結晶相、及びムライトの結晶相を前記含有量の範囲内で含むことにより、高い球形性と、樹脂組成物において低い誘電率及び誘電正接を達成できる。特に、本実施形態に係る酸化物複合粒子は、XPSによって検出されるアルミニウム/ケイ素の元素比率が0.1以上であるため、酸化物複合粒子の表面にアルミニウムの酸化物がある程度存在し、酸化物複合粒子の表面の少なくとも一部がアルミニウムの酸化物より成る層によって被覆されている構造を有する。このような構造により、比較的融点の高いアルミニウムの酸化物より成る層が酸化物複合粒子間の融着を防ぐため、本実施形態では高い球形性を発現することができる。さらに、酸化物複合粒子中に含まれるα-クリストバライトの結晶相は低い誘電率及び誘電正接を示すため、全体として高い球形性、並びに低い誘電率及び誘電正接を達成することができる。
【0024】
前記酸化物複合粒子は、前記酸化物複合粒子全体の質量を基準として(すなわち、酸化物複合粒子全体の質量を100質量%とする)、α-クリストバライトの結晶相を10~90質量%含む。α-クリストバライトの結晶相の含有量が10質量%未満である場合、高周波基板用の樹脂組成物に求められる誘電特性を確保できない。また、前記含有量が90質量%を超える場合、アルミニウムの酸化物より成る層を形成するアルミニウムの酸化物成分の不足により酸化物複合粒子間の融着が進むことで、高い円形度を保てなくなる。前記含有量は、例えば20~85質量%であることができ、30~85質量%であることができ、50~85質量%であることができ、60~85質量%であることができる。該結晶相の同定及び定量は、粉末X線回折/リートベルト法により行う。結晶の帰属は、例えば、X線データベース等で行うことができる。具体的には、後述する方法により分析することができる。
【0025】
前記酸化物複合粒子は、前記酸化物複合粒子全体の質量を基準として(すなわち、酸化物複合粒子全体の質量を100質量%とする)、α-アルミナの結晶相を50質量%以下含む。前記含有量が50質量%を超える場合、誘電特性、特に誘電率の増大が生じる。前記含有量は、例えば0.1~50質量%であることができ、0.3~30質量%であることができ、0.3~20質量%であることができ、0.5~10質量%であることができ、0.5~5質量%であることができ、0.5~3質量%であることができる。当該結晶相の同定及び定量、結晶の帰属は、前述したα-クリストバライトの結晶相と同様の方法により行うことができる。具体的には、後述する方法により分析することができる。
【0026】
前記酸化物複合粒子は、前記酸化物複合粒子全体の質量を基準として(すなわち、酸化物複合粒子全体の質量を100質量%とする)、ムライトの結晶相を10質量%を超えて含む。ムライトの結晶相の含有量が10質量%以下である場合、アルミニウムの酸化物より成る層を形成するアルミニウムの酸化物成分の不足により酸化物複合粒子間の融着が進むことで、高い円形度を保てなくなる。ムライトの結晶相の含有量は11~80質量%であることができ、11~60質量%であることができ、11~40質量%であることができ、11~30質量%であることができ、11~25質量%であることができる。当該結晶相の同定及び定量、結晶の帰属は、前述したα-クリストバライトの結晶相と同様の方法により行うことができる。具体的には、後述する方法により分析することができる。
【0027】
前記酸化物複合粒子は、前記酸化物複合粒子全体の質量を基準として(すなわち、酸化物複合粒子全体の質量を100質量%とする)、非晶質シリカを50質量%以下含むことができ、30質量%以下含むことができる。特に、非晶質シリカの含有量が10質量%以下であることにより、誘電正接の値を低く抑えられる。なお、本実施形態に係る酸化物複合粒子は、非晶質シリカを含まなくてもよい。非晶質シリカの同定及び定量は、前述したα-クリストバライトの結晶相と同様の方法により行うことができる。具体的には、後述する方法により分析することができる。
【0028】
前記酸化物複合粒子は、前記α-クリストバライトの結晶相、前記α-アルミナの結晶相、前記ムライトの結晶相、及び前記非晶質シリカ以外に、他の結晶相や他の非晶質相を更に含んでもよい。他の結晶相としては、例えば、γ-アルミナ、θ-アルミナ、石英等が挙げられる。他の非晶質相としては、例えば、非晶質アルミナ等が挙げられる。他の結晶相の含有率は、前記酸化物複合粒子全体の質量を基準として(すなわち、酸化物複合粒子全体の質量を100質量%とする)、例えば0~8質量%であることができ、0~4質量%であることができる。また、他の非晶質相の含有率は、前記酸化物複合粒子全体の質量を基準として(すなわち、酸化物複合粒子全体の質量を100質量%とする)、例えば0~8質量%であることができ、0~4質量%であることができる。なお、前記酸化物複合粒子は、前記他の結晶相や他の非晶質相を含まなくてもよい。
【0029】
前記酸化物複合粒子中に含まれるアルミニウムのアルミニウム単一酸化物(Al)換算含有率(酸化物複合粒子全体の質量を100質量%とする)は、5~60質量%であることが好ましい。前記含有率が5質量%以上であることにより、樹脂組成物として一定以上の放熱性能を確保することができる。また、前記含有率が60質量%以下であることにより、高周波デバイスにおいても利用可能な低い誘電率、誘電正接を確保することができる。前記含有率は、例えば5~40質量%であることができ、5~30質量%であることができる。なお、ここでの「アルミニウム」とは、前記酸化物複合粒子中のα-アルミナに代表されるアルミニウムの単一酸化物やムライトに代表されるアルミニウムの複合酸化物を含むあらゆる化合物として存在する全てのアルミニウム元素成分を指す。また、酸化物複合粒子中に含まれるアルミニウムのアルミニウム単一酸化物(Al)換算含有率は、ICP(Inductively Coupled Plasma)分析により測定することができる。具体的には、後述する方法により分析することが出来る。
【0030】
前記酸化物複合粒子中のシリカの含有率(酸化物複合粒子全体の質量を100質量%とする)は、40~95質量%であることが好ましい。前記含有率が40質量%以上であることにより、高周波デバイスにおいても利用可能な低い誘電率、誘電正接を確保することができる。なお、シリカの含有率についても、アルミニウムの酸化物の含有率と同様にICP分析により測定することができる。具体的には、後述するアルミニウム酸化物成分の測定方法と同様の方法により分析することが出来る。
【0031】
前記酸化物複合粒子は、シリカ及びアルミニウムの酸化物以外に更に他の成分を含むことができるが、シリカ及びアルミニウムの酸化物からなってもよい。
【0032】
前記酸化物複合粒子は、XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)によって検出されるアルミニウム/ケイ素の元素比率が0.1以上である。XPSは、測定試料の表面数nm以下に存在する元素の情報を得ることができるため、前記元素比率が0.1以上である本実施形態に係る酸化物複合粒子では、酸化物複合粒子の表面にアルミニウムの酸化物がある程度存在し、酸化物複合粒子の表面の少なくとも一部がアルミニウムの酸化物より成る層によって被覆されている構造を有する。前記元素比率は0.3以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.8以上がさらに好ましい。酸化物複合粒子の表面は出来るだけアルミニウムの酸化物より成る層によって被覆されていることが好ましいため、前記元素比率は高い方が好ましいが、前記元素比率の範囲は例えば10以下であることができる。なお、XPSによって検出されるアルミニウム/ケイ素の元素比率は、後述する方法により測定することができる。
【0033】
前記酸化物複合粒子の平均粒子径は、0.5~70μmであることが好ましい。該平均粒子径が0.5μm以上であることにより、樹脂組成物として一定の放熱特性を確保することができる。また、該平均粒子径が70μm以下であることにより、高周波デバイス向けの放熱フィラーとして材料間に充填可能となる。該平均粒子径は、例えば1~50μmであることができ、3~45μmであることができ、5~35μmであることができる。なお、該平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定される。具体的には、後述する方法により測定することができる。
【0034】
前記酸化物複合粒子の平均円形度は、0.85以上であることが好ましい。該平均円形度が0.85以上であることにより、樹脂組成物の低い粘度を達成することができる。該平均円形度は、0.87以上であることがより好ましく、0.88以上であることがさらに好ましく、0.90以上であることが特に好ましい。該平均円形度の範囲の上限は特に限定されないが、平均円形度はより高い値の方が好ましく、1であってもよい。なお、該平均円形度は、酸化物複合粒子がどの程度球形に近いかを示す値である。平均円形度は以下の方法により測定される。電子顕微鏡を用いて撮影した酸化物複合粒子の投影面積(S)と投影周囲長(L)を求め、以下の式(1)に当てはめることにより円形度を算出する。そして、一定の投影面積円(100個以上の酸化物複合粒子を含む面積)に含まれる酸化物複合粒子全ての円形度の平均値を算出し、当該平均値を平均円形度とする。平均円形度は具体的には後述する方法により測定することができる。
円形度=4πS/L (1)
【0035】
本実施形態に係る酸化物複合粒子は、高い球形性と、樹脂と混合した際に樹脂組成物が高い熱伝導率、並びに低い誘電率及び誘電正接を示すことができるため、これらの物性が求められる樹脂組成物(例えば高周波基板用の樹脂組成物等)に充填されるフィラーとして有用である。
【0036】
[酸化物複合粒子の製造方法]
本実施形態に係る酸化物複合粒子の製造方法は、以下の工程を含む。平均粒子径が0.5~10μmであるシリカ粒子と、アルミナ粒子とを混合して混合物を得る工程(以下、混合物製造工程ともいう。);前記混合物を1300~1700℃で2~8時間加熱する工程(以下、加熱工程ともいう。)。本実施形態に係る方法によれば、本実施形態に係る酸化物複合粒子を容易にかつ効率よく製造することができる。
【0037】
(混合物製造工程)
本工程では、平均粒子径が0.5~10μmであるシリカ粒子と、アルミナ粒子とを混合して混合物を得る。原料として使用されるシリカ粒子は、非晶質、石英、クリストバライト等の結晶系は特に限定されず、シリカ粒子の製法も特に限定されないが、非晶質相を90質量%以上含むSiOを使用することが好ましく、非晶質相からなるSiOを使用することがより好ましい。非晶質相を90質量%以上含むSiOとしては、火炎溶融法、爆燃法、気相法、湿式法等で製造されたSiOが挙げられる。
【0038】
原料であるシリカ粒子の平均粒子径は、後述する転動流動層装置を利用した混合プロセスにおける母粒子としての使用性の観点から、例えば0.5~10μmであることができる。なお、該平均粒子径は酸化物複合粒子の平均粒子径と同様に測定される。また、酸化物複合粒子の平均円形度を高くする観点から、原料として球状のシリカ粒子を用いることが好ましい。シリカ粒子の平均円形度は、0.9以上であることが好ましく、0.95以上であることがより好ましい。なお、該平均円形度は酸化物複合粒子の平均円形度と同様に測定される。
【0039】
原料として使用されるアルミナ粒子のアルミナは特に限定されないが、例えばγ-Al、θ-Al、α-Al、非晶質アルミナ等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。また、後述するようにアルミナ粒子はアルミナスラリー(アルミナゾル)の形態であってもよく、アルミナ粒子のアルミナはアルミナ水和物であってもよい。
【0040】
本工程は、特に、転動流動層装置を用いて、シリカ粒子が舞う気流中にアルミナ粒子を含むアルミナスラリーを噴霧して、前記シリカ粒子の表面に前記アルミナ粒子が付着したコアシェル構造を有する粒子を形成する工程であることが好ましい。転動流動層装置を用いて混合を行うことにより、本発明に係る酸化物複合粒子をより効率よく製造することができる。
【0041】
本工程で使用する転動流動層装置の一例を図1に示す。図1に示される転動流動層装置1は、底部に回転可能なブレードロータ2を備え、側面にアルミナスラリー(アルミナゾル)5を噴霧可能なスプレーノズル4を備える。転動流動層装置1の内部にはシリカ粒子(不図示)が導入されており、底部からガス3が供給されると、ブレードロータ2の回転により、供給されたガス3はシリカ粒子と噴霧された微粒子状のアルミナスラリーを伴い旋回流6を形成する。これにより、シリカ粒子の表面にアルミナ粒子が付着したコアシェル構造を有する粒子を効率よく形成することができる。
【0042】
アルミナスラリーに含まれるアルミナ粒子の含有量は特に限定されないが、例えば1~50質量%であることができる。また、アルミナスラリーの溶媒としては、水、エタノール等であることができる。転動流動層装置内で混合するアルミナ粒子とシリカ粒子の質量比率(アルミナ粒子/シリカ粒子)は、所望の各結晶相の含有率となるように適宜選択できるが、例えば0.01~1.0であることができる。供給されるガス(気流)の温度は10~100℃であることができる。
【0043】
(加熱工程)
本工程では、前記混合物製造工程で得られた混合物を、1300~1700℃で2~8時間加熱する。混合物を加熱する加熱装置としては、高温での加熱が可能な装置であれば特に限定されないが、例えば、電気炉、プッシャー炉等が挙げられる。加熱雰囲気は特に限定されず、例えば、大気、N、Ar、真空下等が挙げられる。
【0044】
加熱温度は1300~1700℃が好ましく、1400~1650℃がより好ましく、1500~1600℃がさらに好ましい。加熱温度が1300℃以上であることにより、クリストバライトの含有率が大きくなり、放熱フィラーとしての熱伝導性および高周波基板向けフィラーとしての低い誘電率および誘電正接を確保することができる。また、加熱温度が1700℃以下であることにより、加熱に伴う粒子間融着による酸化物複合粒子の円形度の低下を防ぐことができる。加熱時間は、2~8時間が好ましく、2~6時間がより好ましく、2~4時間がさらに好ましい。加熱時間が2時間以上であることにより、クリストバライトの含有率が大きくなり、熱伝導性および誘電特性を確保することができる。また、加熱時間が8時間以下であることにより、加熱に伴う粒子間融着による酸化物複合粒子の円形度の低下を防ぐことができる。
【0045】
加熱後に得られる酸化物複合粒子は、複数の粒子が凝集した凝集体となっていることがある。凝集体自体を酸化物複合粒子として利用してもよいが、必要に応じて凝集体を解砕してから、これを酸化物複合粒子として用いてもよい。凝集体の解砕方法は特に限定されないが、例えばメノウ乳鉢、ボールミル、振動ミル、ジェットミル、湿式ジェットミル等により解砕する方法が挙げられる。解砕は乾式で行われてもよいが、水又はアルコール等の液体と混合して湿式で行われてもよい。湿式による解砕では、解砕後に乾燥することで酸化物複合粒子が得られる。乾燥方法は特に限定されないが、例えば加熱乾燥、真空乾燥、凍結乾燥、超臨界二酸化炭素乾燥等が挙げられる。
【0046】
(その他の工程)
本実施形態に係る酸化物複合粒子の製造方法は、前記混合物製造工程及び前記加熱工程以外にも、例えば、所望の平均粒子径が得られるように酸化物複合粒子を分級する分級工程、不純物低減のための洗浄工程等の他の工程をさらに含んでもよい。
【0047】
[樹脂組成物]
本実施形態に係る樹脂組成物は、本実施形態に係る酸化物複合粒子と、樹脂とを含む。本実施形態に係る樹脂組成物は、本実施形態に係る酸化物複合粒子を含むため、低い誘電率及び誘電正接を示すことができる。また、本実施形態に係る樹脂組成物は、高い球形性を有する本実施形態に係る酸化物複合粒子を含むため、低粘度であり、流動性が高く、成形性に優れる。
【0048】
前記樹脂としては、特に限定されないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、全芳香族ポリエステル、ポリスルホン、液晶ポリマー、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、マレイミド変性樹脂、ABS樹脂、AAS(アクリロニトリル-アクリルゴム・スチレン)樹脂、AES(アクリロニトリル・エチレン・プロピレン・ジエンゴム-スチレン)樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0049】
前記樹脂組成物中の酸化物複合粒子の含有量は、目的とする誘電率、誘電正接等の物性に応じて適宜選択されるが、20~80質量%であることが好ましい。この含有量は、前記酸化物複合粒子の密度が2.4で前記樹脂の密度が1.2である場合は11~67体積%であり、前記酸化物複合粒子の密度が3.1で前記樹脂の密度が1.2である場合は9~61体積%である。
【0050】
本実施形態に係る樹脂組成物は、本実施形態に係る酸化物複合粒子及び樹脂以外の他の成分を含むことができる。他の成分としては、例えば、難燃剤、ガラスクロス等が挙げられる。また、本実施形態に係る酸化物複合粒子以外に、組成や比表面積、平均粒子径等が異なる他の粒子をさらに混合することで、樹脂組成物の熱伝導率、誘電率、誘電正接、充填率等をより容易に調整することができる。
【0051】
本実施形態に係る樹脂組成物の誘電率は、6.0以下であることが好ましく、5.5以下であることがより好ましく、5.0以下であることがさらに好ましい。本実施形態に係る樹脂組成物の誘電正接は、5.0×10-4以下であることが好ましく、4.5×10-4以下であることがより好ましい。なお、前記樹脂組成物の誘電率及び誘電正接は、後述する方法により測定される値である。
【0052】
本実施形態に係る樹脂組成物は、低い誘電率及び誘電正接を示し、成形性が良好であるため、特に高周波基板用の樹脂組成物として有用である。高周波基板としては、具体的にはフッ素基板、PPE基板、セラミックス基板等が挙げられる。
【実施例
【0053】
以下、実施例により本発明の実施形態をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0054】
[実施例1]
(混合物製造工程)
転動流動層装置を用いて、シリカ粒子の表面にアルミナ粒子が付着したコアシェル構造を有する粒子を含む混合物を製造した。具体的には、アルミナスラリー(商品名:PG008、CABOT社製、固形分含有量:40質量%)を純水で希釈して、固形分含有量が20質量%のアルミナスラリーを調製した。該アルミナスラリーを、シリカ粒子(商品名:FB5D、デンカ(株)製、平均粒子径:4.8μm)500gが導入された転動流動層装置(商品名:FD-MP-01、(株)パウレック製)内に5.0g/分の速度で噴霧し、旋回流により両者を混合して混合物を得た。アルミナ粒子の添加量は15質量%であった。
【0055】
(加熱工程)
前記混合物製造工程で得られた混合物10gをアルミナ坩堝に入れ、室温から10℃/minで昇温させ、電気炉で加熱した。このとき、加熱温度は1500℃、加熱時間は4時間であった。加熱後自然放冷し、試料が冷却された後にメノウ乳鉢にて解砕したものを、目開き106μmの篩に掛けることで、酸化物複合粒子を得た。該酸化物複合粒子を後述する方法により評価した。
【0056】
[実施例2~7、及び比較例1~3]
原料の種類及び添加量、加熱時間並びに加熱温度を表1又は表2に示した条件に変更した以外は、実施例1と同様の方法により酸化物複合粒子を調製し、評価した。なお、実施例5、6及び7では、空気分級したシリカ粒子を使用しており、それぞれ平均粒子径が0.5μm、3.1μm、8.2μmのものを用いた。
【0057】
各実施例、比較例で調製した酸化物複合粒子の各特性を、以下の方法で評価した。各評価結果を表1及び表2に示す。
【0058】
[各結晶相の同定及び各結晶相の含有量の測定]
酸化物複合粒子に含まれる各結晶相の同定及び各結晶相の含有量の測定は、粉末X線回折測定/リートベルト法により行った。測定装置として、試料水平型多目的X線回折装置(リガク社製、商品名:RINT-UltimaIV)を用いた。測定は、X線源:CuKα、管電圧:40kV、管電流:40mA、スキャン速度:10.0°/min、2θスキャン範囲:10°~70°の条件で行った。一例として、実施例1の酸化物複合粒子のX線回折パターンを図2に示す。結晶相の定量分析には、リートベルト法ソフトウェア(MDI社製、商品名:統合粉末X線ソフトウェアJade+9.6)を使用した。各種結晶相の割合(質量%)は、酸化物複合粒子試料をX線回折測定し、リートベルト解析により算出した。その際に、当該酸化物複合粒子試料のX線回折測定において得られる試料のX線回折ピーク中のα-クリストバライト結晶相由来のピークのピーク面積(As)と、日本作業環境測定協会製クリストバライト標準試料(JAWE 551)を測定した際に得られるX線回折ピークのピーク面積(Ac)の比率から、下記式(2)を用いて前記酸化物複合粒子試料中のシリカ成分α-クリストバライトの含有率(Rc)(質量%)を算出した。
Rc=100As/Ac (2)
このようにして得られたα-クリストバライト含有率の値と、別途リートベルト解析から得られた結晶相の割合を比較し、以下のように前記酸化物複合粒子試料中の各結晶相および非晶質シリカ成分の含有量を計算した。
リートベルト解析によりもとめた各結晶相の含有率(質量%)が、α-クリストバライトについてC、α-アルミナについてA、ムライトについてM、その他の結晶相についてXであるとする。このとき、Cと前述のRcの比率Rc/CをC、A、MおよびXに掛け合わせたRc、A×Rc/C、M×Rc/CおよびX×Rc/Cをそれぞれ、前記酸化物複合粒子中に含まれるα-クリストバライト結晶相、α-アルミナ結晶相、ムライト結晶相およびその他の結晶相の含有率(質量%)とし、残りの成分を非晶質であるとした。
【0059】
[XPSによって検出されるアルミニウム/ケイ素の元素比率の測定]
X線光電子分光装置(XPS、サーモ社製、商品名:K-Alpha)を用いて酸化物複合粒子表面のアルミニウム/ケイ素の元素比率の測定を行った。酸化物複合粒子を装置内に導入後、400×200μmの測定領域に単色化Al-Kα線を照射することで測定を行った。測定により得られたスペクトルからアルミニウム-酸素結合に該当するピーク(結合エネルギー75eV付近)およびケイ素-酸素結合に該当するピーク(結合エネルギー103eV付近)を取り出し、アルバック-ファイ社提供の相対感度因子を用いて補正したそれぞれのピーク面積比をアルミニウム/ケイ素の元素比率とした。なお、ここでいう元素比率とは測定範囲(酸化物複合粒子表面)に存在する元素の原子数の個数比率と考えることが出来る。
【0060】
[酸化物複合粒子中に含まれるアルミニウムのアルミニウム単一酸化物(Al)換算含有量の測定方法]
酸化物複合粒子0.1gをテフロン(登録商標)容器に入れ、6M硫酸を2mL加えて、テフロン(登録商標)容器を密栓後、230℃に調節した乾燥機内で16時間加熱した。放冷後、分解液を純水で10mLに定容し試験液とした。試験液は、必要に応じ希硫酸で希釈した。その後、測定サンプルをICP発光分光分析法(ICP分光分析装置:Agilent社製、商品名:5110 VDV)にて分析し、酸化物複合粒子中のアルミニウム量を測定し、アルミニウムのアルミニウム単一酸化物(Al)換算含有量を算出した。測定波長は396.152nmとした。なお、検量線は以下の標準液で作成した。
チタン(純度99.9%以上)6.0gを6M塩酸50mLで加温溶解した後、100mLに定容してチタン溶液を調製した。アルミニウム標準溶液(Al1000、富士フィルム和光純薬(株)製)を、0mg/L、0.1mg/L、1.0mg/L、及び10mg/Lになるように10mLのスピッチ管に分取し、6M硫酸2mLおよびチタン溶液1mLを加えて定容し検量線用標準液とした。
【0061】
[平均粒子径の測定]
レーザー回折式粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製、商品名:LS 13 320)を用いて平均粒子径の測定を行った。プラスチック製ディスポーザブルカップに50cmの純水と、測定試料0.1gとを入れ、超音波ホモジナイザー(マイクロテック・ニチオン社製、商品名:Smurt NR-50M)で1分間、分散処理を行った。分散処理を行った測定試料の分散液を、レーザー回折式粒度分布測定装置にスポイトで一滴ずつ添加し、所定量添加してから30秒後に測定を行った。レーザー回折式粒度分布測定装置内のセンサで検出した測定試料による回折/散乱光の光強度分布のデータから、粒度分布を計算した。平均粒子径は測定される粒子径の値に相対粒子量(差分%)を乗じて、相対粒子量の合計(100%)で割って求めた。なお、ここでの%は体積%である。
【0062】
[平均円形度の測定]
酸化物複合粒子をカーボンテープで試料台に固定後、オスミウムコーティングを行い、走査型電子顕微鏡(日本電子社製、商品名:JSM-7001F SHL)で撮影した倍率500~5000倍、解像度2048×1356ピクセルの画像をパソコンに取り込んだ。この画像を、画像解析装置(日本ローパー社製、商品名:Image-Pro Premier Ver.9.3)を使用し、酸化物複合粒子の投影面積(S)と酸化物複合粒子の投影周囲長(L)を算出してから、下記式(1)より円形度を算出した。このようにして得られた任意の投影面積円相当径0.1μm以上の酸化物複合粒子100個の円形度を求め、その平均値を平均円形度とした。
円形度=4πS/L (1)
【0063】
[樹脂組成物の誘電率、誘電正接の測定]
酸化物複合粒子の充填量が40体積%になるように、酸化物複合粒子及びポリエチレン粉末(住友精化社製、商品名:フローセンUF-20S)を計量し、Resodyn社製振動式ミキサーにて混合した(加速度60g、処理時間2分)。得られた混合粉末を所定体積分(厚みが約0.5mmになるように)計量し、直径3cmの金枠内に入れ、ナノインプリント装置(SCIVAX社製、商品名:X-300)にて140℃、5分、30000Nの条件でシート化し、評価試料とした。評価試料のシートの厚さは約0.5mmである。形状やサイズは測定器に搭載できれば評価結果に影響しないが、1~3cm角程度である。
【0064】
誘電特性の測定は、以下の方法により行った。36GHz空洞共振器(サムテック社製)をベクトルネットワークアナライザ(商品名:85107、キーサイトテクノロジー社製)に接続し、評価試料(1.5cm角、厚さ0.5mm)を共振器に設けられた直径10mmの穴をふさぐようセットし、共振周波数(f0)、無負荷Q値(Qu)を測定した。測定ごとに評価試料を回転させ、同様に測定を5回繰り返し、得られたf0、Quの平均をとって測定値とした。f0より誘電率、Quより誘電正接(tanδc)を解析ソフト(サムテック社製ソフトウェア)にて算出した。測定温度は20℃、湿度は60%RHであった。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
表1及び表2に示されるように、本発明の実施形態である実施例1~7の酸化物複合粒子は高い平均円形度(0.85以上)を示し、該酸化物複合粒子を含有する樹脂組成物は低い誘電率(6.0以下)、及び低い誘電正接(5.0×10-4以下)を示すことが分かった。
【符号の説明】
【0068】
1 転動流動層装置
2 ブレードロータ
3 ガス
4 スプレーノズル
5 アルミナスラリー(アルミナゾル)
6 旋回流
図1
図2