(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-28
(45)【発行日】2025-03-10
(54)【発明の名称】ポリペプチド化合物及びその応用
(51)【国際特許分類】
C07K 5/097 20060101AFI20250303BHJP
C07K 5/103 20060101ALI20250303BHJP
C07K 5/117 20060101ALI20250303BHJP
C07K 7/06 20060101ALI20250303BHJP
A23L 33/18 20160101ALI20250303BHJP
A61P 5/00 20060101ALI20250303BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250303BHJP
A61K 38/08 20190101ALI20250303BHJP
A61K 38/06 20060101ALI20250303BHJP
A61K 38/07 20060101ALI20250303BHJP
【FI】
C07K5/097
C07K5/103
C07K5/117
C07K7/06
A23L33/18
A61P5/00
A61P43/00 107
A61K38/08
A61K38/06
A61K38/07
(21)【出願番号】P 2023550657
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(86)【国際出願番号】 CN2022082973
(87)【国際公開番号】W WO2022206587
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-08-18
(31)【優先権主張番号】202110343062.2
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523316677
【氏名又は名称】チェンドゥ シンタノーヴォ バイオテクノロジー カンパニー、リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メン、グァンペン
(72)【発明者】
【氏名】フー、シャオピン
(72)【発明者】
【氏名】リー、シジュン
(72)【発明者】
【氏名】マー、ハオユー
(72)【発明者】
【氏名】チャン、イン
(72)【発明者】
【氏名】リュー、シュアン
(72)【発明者】
【氏名】シェイ、ミアオ
(72)【発明者】
【氏名】ガオ、ジェン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ユアンボ
【審査官】上村 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-149659(JP,A)
【文献】特表2009-510098(JP,A)
【文献】特表2010-535770(JP,A)
【文献】国際公開第2017/197328(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 5/00-19/00
A61P
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iに示される構造を有
するポリペプチド化合物、又はその立体異性体異性体
、もしくは薬学的に許容される
その塩
:
【化1】
そのうち、R
1は-NR
2R
3、-OR
2又は-SR
2から選ばれ
;
R
2
とR
3は独立的に水素、重水素、ポリエチレングリコール由来のポリマー、非環式置換又は非置換脂肪族基、置換若しくは非置換の脂環式基、置換若しくは非置換の複素環基、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換のアラルキル基から選ばれ;
Wは単結合、
アラニン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン及びバリン残基から選ばれ;
U
1は以下から選ばれる何れかの構造であり:
【化2】
そのうち、R
10
、R
11
は独立的に水素、アミノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、シアノ基、アミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基又はアミノブチル基から選ばれ;
U
2は単結合、又は以下から選ばれる何れかの構造であり、且つU
2のカルボニル末端はWに接続されている:
【化3】
。
【請求項2】
下記何れか一つの構造を有
するポリペプチド化合物、又はその立体異性体
、もしくは薬学的に許容可能な
その塩:
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
及び
【化9】
【請求項3】
請求項1
又は2に記載のポリペプチド化合物、及び許容される添加物を含む医薬組成物。
【請求項4】
成長ホルモン分泌促進因子受容体が介在する障害に起因する関連疾患の治療、予防、軽減及び/又は診断のための、
請求項1~
2の何れか一項に記載のポリペプチド化合物
、又はその立体異性体異性体、もしくは薬学的に許容されるその塩、又は
請求項
3に記載の
医薬組成物。
【請求項5】
前記関連疾患
が成長ホルモン欠乏症である、請求項
4に記載の
ポリペプチド化合物、又はその立体異性体異性体、もしくは薬学的に許容されるその塩、又は
医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年03月30日に中国国家知識産権局に提出された出願番号202110343062.2で、発明名称が「ポリペプチド化合物及びその応用」である中国特許の優先権を主張し、その全ての内容は参照により本願に組み込まれている。
【0002】
技術分野
本発明は、生物医薬の技術分野に関し、特にポリペプチド化合物及びその応用に関する。
【0003】
背景技術
グレリン(ghrelin)は、成長ホルモン分泌促進因子受容体(growth hormone secretagogue receptor、GHSR)に対する内因性リガンドである。ghrelinは、Kojimaらによって、マウス及びヒトの胃内分泌細胞及び視床下部の弓状核において見出された、28のアミノ酸残基を含み、3.3kDaの分子量を有する、これまで見出された唯一のGHSR天然リガンドである。ヒト及びラットのghrelin前駆体タンパク質は117のアミノ酸からなり、N末端の上位23のペプチドは分泌シグナルペプチドの特徴を示し、ghrelinのN末端の上位4のアミノ酸断片が最も小さい活性中心であり、C末端のP-R構造(プロリン-アルギニン)が認識部位である。ヒトとラットのghrelinは2のアミノ酸残基のみが異なり、コード遺伝子配列は82.9%の相同性を持っている。ghrelinは、体内において2種類の分泌型があり、一つはghrelinのN末端3番目のセリンがオクタノイル化しているものであり、もう一つは同部位がオクタノイル化していないものである。ghrelinのN末端3番目のセリンは、生物学的に機能する実質的な部位である。最初の研究では、デオクタノイル化ghrelin(des-acyl ghrelin)は生物学的活性を有しないと考えられていたが、最近の研究では、デオクタノイル化及びオクタノイル化ghrelinの両方が脊索神経上皮の増殖を促進できることが見出され、デオクタノイル化ghrelinは内分泌機能を有し、細胞増殖を促進でき、抗アポトーシス作用を有することが見出された。
【0004】
GHSRは、主にげっ歯類やヒトの下垂体、胃部に存在しているほか、末梢組織、脳、腸、腎臓、膵臓、心臓、脂肪組織等に広く分布する孤立核のGタンパク質共役受容体である。GHSRが広く分布することは、ghrelin及びその受容体の種々の生物学的機能に対して重要な役割を果たす。GHSR構造をコードするゲノムは異なる種において高度に保存され、そのアミノ酸配列は、モチリン遺伝子関連ペプチドのGタンパク質共役タンパク質受容体と52%の相同性を有する。GHSRは、エクソンコードにより、1a型及び1b型に分類され、ここでGHSR-1aはghrelinの機能的受容体であり、ghrelinと結合してからホスホリパーゼC(PLC)、イノシトールトリスリン酸(IP3)、プロテインキナーゼC(PKC)等を活性化する等、生物学的効果を発揮する。非機能的受容体GHSR-1bは生物学的活性を有しない。
【0005】
下垂体における成長ホルモン(growth hormone,GH)のパルス放出は、主に視床下部の成長ホルモン放出ホルモン(growth hormone releasing hormone,GHRH)、ソマトスタチン(Somatostatin,SS)及びghrelinの3つの因子によって調節される。GHの分泌に関しては、GHRHが促進的な役割を果たし、SSが抑制的な役割を果たし、ghrelinはGHRHと協同して促進作用を示し、視床下部に局所神経内分泌調節フィードバックループを形成する。GH分泌を調節する系において、GHRHはその受容体に結合し、細胞内の環状アデノシン一リン酸レベルを増加させ;ghrelinは、その受容体に結合し、K+チャネルの脱分極及び阻害を行い、細胞内IP3濃度の上昇、細胞内Ca2+濃度の上昇を引き起こし、最終的にGH分泌を刺激する。下垂体成長ホルモン促進細胞からのGHの放出は、成長ホルモン放出ポリペプチド(GHRP)によっても制御され得る。ヒトを含む幾つかの種において、成長ホルモン細胞における成長ホルモンの放出を用量依存的に調節するヘキサペプチド、H-His-D-Trp-Ala-Trp-D-Phe-Lys-CONH2(GHRP-6)が見出された(Bowers et. al.,Endocrinology1984,114,1537-1545)。GHRP-6の構造を分析することによって、研究者は、また、GHRP類似物を幾つか発見した。
【0006】
このようなポリペプチド及びペプチド様化合物は、GHSR-1aと結合してアゴニスト活性を発生させ、シグナル伝達を引き起こしてGHの分泌を調節することができるが、何れも臨床開発には限界がある。従って、高活性、低用量、及び低毒性の副作用を有する構造を開発することが、GHSR-1a受容体アゴニストの研究の目標である。
ポリペプチドの生理活性を維持又は向上させると同時に、ポリペプチドの安定性を改善することは、有効な医薬開発戦略の一つである。
【0007】
発明の概要
そこで、本発明が解決しようとする技術的課題は、ポリペプチド化合物及びその応用を提供することにあり、製造されたポリペプチド化合物はGHSR-1a受容体アゴニストとして高い活性を有する。
上記目的を達成するために、本発明は式Iに示される構造を有し、又はその立体異性体、混合物、その薬学的に許容される塩であるポリペプチド化合物を提供する:
【化1】
そのうち、
R
1は-NR
2R
3、-OR
2又は-SR
2から選ばれ;
且つ、R
1はD型又はL型アミノ酸ではない;
R
2とR
3は独立的に水素、重水素、ポリエチレングリコール由来のポリマー、非環式置換又は非置換脂肪族基、置換若しくは非置換の脂環式基、置換若しくは非置換の複素環基、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換のアラルキル基から選ばれる。
Wは単結合、D型アミノ酸又はL型アミノ酸から選ばれ;
U
1は以下から選ばれる何れかの構造であり:
【化2】
そのうち、XとZは独立的にCH-R
4、N-R
4、O、S、Se、S=O又はO=S=Oから選ばれ;
R
4、R
7とR
8は独立的に水素、重水素、アミノ基、保護基、ポリエチレングリコール由来のポリマー、非環式置換又は非置換脂肪族基、置換若しくは非置換の脂環式基、置換若しくは非置換の複素環基、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換のアラルキル基又はR
9CO-から選ばれ;
Yはハロゲン、アミノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基又はシアノ基から選ばれ;
R
5は-NR
2R
3、-OR
2又は-SR
2から選ばれ;
R
6は水素、重水素、非環式置換又は非置換脂肪族基、置換若しくは非置換の脂環式基、置換若しくは非置換の複素環基、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換のアラルキル基から選ばれ;
m
1とm
2は独立的に0、1、2又は3から選ばれ;特に、XがNである場合、m
1が2であると、m
2は独立的に0、1、3から選ばれ;m
2が2であると、m
1は独立的に0、1、3から選ばれ;
m
3とm
4は独立的に0、1、2又は3から選ばれ;
n
1、n
2、n
3とn
4は独立的に0、1、2又は3から選ばれ;
pは、0、1、2、3、4又は5であり;
U
2は単結合、又は以下から選ばれる何れかの構造であり、且つU
2のカルボニル末端はWに接続され:
【化3】
R
9は水素、非環式置換又は非置換脂肪族基、置換若しくは非置換の脂環式基、置換若しくは非置換の複素環基、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換のアラルキル基から選ばれる。
【0008】
本発明において、前記R1は-NR2R3、-OR2又は-SR2から選ばれ;
そのうち、R2とR3は独立的に水素、重水素、ポリエチレングリコール由来のポリマー、非環式置換又は非置換脂肪族基、置換若しくは非置換の脂環式基、置換若しくは非置換の複素環基、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換のアラルキル基から選ばれる。更に好ましくは水素、重水素、ポリエチレングリコール由来のポリマー、非環式置換若しくは非置換のC1-10脂肪族基、置換若しくは非置換のC3-10脂環式基、置換若しくは非置換のC2-10複素環基、置換若しくは非置換のC2-20ヘテロアリールアルキル基、置換若しくは非置換のC6-12アリール基又は置換若しくは非置換のC6-12アラルキル基である。
【0009】
本発明において、好ましくは前記R1は-NR2R3又は-OR2から選ばれ、そのうち、R2とR3は独立的に水素、メチル基、エチル基、ヘキシル基、ドデシル基又はヘキサデシル基から選ばれる。
本発明において、前記R1はD型又はL型アミノ酸ではない。
本発明において、上記アミノ酸とはアミノ酸残基を指し、具体的には、アミノ酸がアミノ基又はカルボキシル基と反応してポリペプチドを形成した後の残基である。
本発明において、前記Wは独立的に単結合、D型アミノ酸又はL型アミノ酸から選ばれる。更に好ましくは、前記Wは単結合、アラニン、アルギニン、アスパラギン、システイン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン残基から選ばれる1種又は複数種である。
本発明において、前記Wが単結合から選ばれる場合、U2とR1は直接に接続されている。
【0010】
前記WがD型アミノ酸又はL型アミノ酸から選ばれる場合、前記アミノ酸は、1分子の水を脱離し、隣接する基とアミド結合を形成する。
前記残基とは、Wが1分子の水を脱離し、隣接する基とアミド結合を形成し、更にポリペプチド化合物を形成することを意味する。
本発明において、前記U
1は以下から選ばれる何れかの構造であり:
【化4】
そのうち、XとZは独立的にCH-R
4、N-R
4、O、S、Se、S=O又はO=S=Oから選ばれ;更に好ましくはN-R
4又はOである。
【0011】
R4、R7とR8は独立的に水素、重水素、アミノ基、保護基、ポリエチレングリコール由来のポリマー、非環式置換又は非置換脂肪族基、置換若しくは非置換の脂環式基、置換若しくは非置換の複素環基、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換のアラルキル基又はR9CO-から選ばれ;更に好ましくは水素、重水素、アミノ基、ポリエチレングリコール由来のポリマー、非環式置換若しくは非置換のC1-10脂肪族基、置換若しくは非置換のC3-10脂環式基、置換若しくは非置換のC2-10複素環基、置換若しくは非置換のC2-20ヘテロアリールアルキル基、置換若しくは非置換のC6-12アリール基、置換若しくは非置換のC6-12アラルキル基又はR9CO-である。更に好ましくは水素、アミノ基、C1-6アルキル基、C6-14アリール基、C3-8シクロアルキル基又はC2-10アシル基である。
【0012】
前記R9は好ましくは水素、非環式置換又は非置換脂肪族基、置換若しくは非置換の脂環式基、置換若しくは非置換の複素環基、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換のアラルキル基であり;更に好ましくは水素、非環式置換若しくは非置換のC1-10脂肪族基、置換若しくは非置換のC3-10脂環式基、置換若しくは非置換のC2-10複素環基、置換若しくは非置換のC2-20ヘテロアリールアルキル基、置換若しくは非置換のC6-12アリール基、置換若しくは非置換のC6-12アラルキル基である。更に好ましくは水素又はC1-6アルキル基であり;本発明の幾つかの実施例において、前記R9は具体的に、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基又はブチル基である。
【0013】
本発明において、前記Yはハロゲン、アミノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基又はシアノ基から選ばれる。更に好ましくはF、Cl、Br又はアミノ基である。
本発明において、前記R5は独立的に-NR2R3、-OR2又は-SR2から選ばれ;更に好ましくは-NR2R3である。
上記R2、R3の範囲は上記と同様であり、詳しい説明を割愛する。
更に好ましくは、R2、R3は独立的に水素、メチル基、エチル基又はヘキシル基から選ばれる。
【0014】
本発明において、前記R6は独立的に水素、重水素、非環式置換又は非置換脂肪族基、置換若しくは非置換の脂環式基、置換若しくは非置換の複素環基、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換のアラルキル基から選ばれ;更に好ましくは水素、重水素、非環式置換若しくは非置換のC1-10脂肪族基、置換若しくは非置換のC3-10脂環式基、置換若しくは非置換のC2-10複素環基、置換若しくは非置換のC2-20ヘテロアリールアルキル基、置換若しくは非置換のC6-20アリール基、置換若しくは非置換のC6-12アラルキル基である。更に好ましくは水素、C1-6アルキル基、C6-14アリール基又はC3-8シクロアルキル基である。
【0015】
本発明において、好ましくは、前記U
1は以下の構造から選ばれ:
【化5】
そのうち、R
6は水素、置換又は非置換のC
1-6アルキル基、置換又は非置換のC
6-14アリール基、置換又は非置換のC
3-8シクロアルキル基から選ばれ;前記置換の基として、好ましくは、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アシル置換アミノ基、ウレイド基、グアニジノ基である。
更に好ましくは、前記R
6は水素、置換又は未置換のメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基又はt-ブチル基から選ばれる。
前記置換の基はハロゲン、アミノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、ホルムアミド基、アセトアミド基、アクリルアミド基、ブタンアミド基、ウレイド基又はグアニジノ基から選ばれる。
【0016】
好ましくは、R
7とR
8は独立的に水素、C
1-6アルキル基、C
6-14アリール基、C
3-8シクロアルキル基、C
2-10アシル基であり;更に好ましくは水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、ホルミル基、アセチル基、ブチリル基又はブチリル基である。
本発明において、好ましくは、前記U
1は以下から選ばれる何れかの構造であり:
【化6】
そのうち、R
10、R
11は独立的に水素、アミノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、ハロゲン、シアノ基、アミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基又はアミノブチル基であることが好ましい。
本発明において、好ましくは、前記U
2は単結合、又は以下から選ばれる何れかの構造であり(つまり4-アミノ-4-ピペリジンカルボン酸(Apc)又はリジン(Lys)、オルニチン(Orn)、アルギニン(Arg)残基)、且つU
2のカルボニル末端はWに接続され:
【化7】
【0017】
本発明において、U
2が単結合である場合、Wは母核のカルボニル基に直接結合する。
本発明において、前記m
1とm
2は独立的に0、1、2又は3から選ばれ;特に、XがNである場合、m
1が2であると、m
2は独立的に0、1、3から選ばれ;m
2が2であると、m
1は独立的に0、1、3から選ばれ;つまり前記m
1とm
2を含む構造はピリジル基から選ばれない。
本発明において、m
3とm
4は独立的に0、1、2又は3から選ばれる。
本発明において、n
1、n
2、n
3とn
4は独立的に0、1、2又は3から選ばれる。
本発明において、pは、0、1、2、3、4又は5である。
本発明において、pが0である場合、前記N原子は直接にC原子に結合する。
本発明において、好ましくは、前記ポリペプチド化合物は以下から選ばれる何れかの構造を有し、又はその立体異性体、混合物、その薬学的に許容される塩であり:
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【0018】
本発明の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチド化合物、それらの立体異性体、それらの混合物、それらの薬学的に許容される塩の合成は、例えば、固相ペプチド合成法[Stewart J. M. y Young J. D. , 「Solid Phase Peptide Synthesis, 2nd edition」, ( 1984), Pierce Chemical Company, Rockford, Illinois; Bodanzsky M. y Bodanzsky A., 「The practice of Peptide Synthesis」, ( 1994), Springer Verlag, Berlin; Lloyd Williams P. et al., 「Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins」, ( 1997), CRC, Boca Raton, FL, USA],溶液中での合成、酵素合成[Kullmann W. 「Proteases as catalysts for enzymic syntheses of opioid peptides」, ( 1980), J. Biol. Chem., 255( 17), 8234-8238]、又はそれらの任意の組み合わせ等を用いる、先行技術において公知の従来の方法に従って行うことができる。化合物は、修飾又は未修飾の細菌株の発酵により、所望の配列を産生する目的で遺伝子操作することにより、又は少なくとも所望の配列を含有するペプチド断片を遊離させる動物、真菌、若しくは好ましくは植物起源のタンパク質の制御された加水分解により得ることもできる。例えば、本明細書に記載のポリペプチドアミノ酸配列をコードする核酸配列を使用して、及び任意に適切なアミノ酸修飾を行うことで、本発明の化合物を製造できる。
【0019】
例のみとして、本発明のポリペプチド化合物、その立体異性体及び混合物を得る方法は、
-保護されたN末端及び自由なC末端を有するアミノ酸を、自由なN末端及び保護された又は固体ベクターと結合したC末端を有するアミノ酸とカップリングする段階と、
-N末端の保護基を除去する段階と、
-所望のペプチド配列が得られるまで、配列のカップリング及びN末端の保護基の除去を反復する段階と、
-C末端の保護基を除去又は固体ベクターを開裂する段階と
を含む。
【0020】
好ましくは、C末端は、固体ベクターと結合しており、この手順は、固相で行われ、従って、保護されたN末端及び自由なC末端を有するアミノ酸を、自由なN末端及びポリマーベクターと結合したC末端を有するアミノ酸とカップリングすることと、N末端の保護基を除去することと、この一連の流れを、所望の長さのペプチドを得るのに必要な回数反復し、続いて最後に、元のポリマーベクターからの合成された化合物を開裂させることとを含む。
アミノ酸の側鎖の官能基は、合成の間、一時的又は永続的な保護基により簡便に保護されて維持され、ポリマーベクターからのペプチドの開裂プロセスと同時に又は直交的に無保護にされ得る。
【0021】
或いは、固相合成は、ポリマーベクターとペプチドとを、又はポリマーベクターに予め結合させたペプチド若しくはアミノ酸とペプチドとをカップリングする収束戦略を用いて行うことができる。収束合成戦略は、当業者に広く公知であり、Lloyd-Williams P. et al., 「Convergent Solid-Phase Peptide Synthesis」, ( 1993), Tetrahedron, 49( 48), 11065-11133に記載されている。
【0022】
本発明の手順は、先行技術において公知の標準手順及び条件を用いて、無差別的な順序でC末端を脱保護する及び/又はポリマーベクターからのペプチドを開裂する追加の段階を含むことができ、その後に、これらの端の官能基を修飾することができる。C末端の任意選択の修飾は、式(I)のポリペプチド化合物がポリマーベクターに固定され、或いはポリマーベクターからポリペプチド化合物が分離されてから行うことができる。
【0023】
任意に及び/又はそのうえ、適切な溶媒及び例えばN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)又はトリエチルアミンの塩基又は1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)若しくは1-ヒドロキシアザベンゾトリアゾール(HOAt)等の添加物及びとりわけカルボジイミド、ウロニウム塩、ホスホニウム塩若しくはアミジニウム塩等の脱水剤の存在下で、化合物HR1(そのうちR1は-OR2、-NR2R3又は-SR2である)と式(I)(そのうちR1は-NH2である)化合物に対応する相補的断片との反応により、R1残基が導入され得る。又は、式(I)化合物に対する相補的断片と例えば塩化チオニルと事前にアシルハライドを形成し、HR1と反応することにより、化学式(I)の本発明に係るペプチドを得ることができ、ここで、N-C結合形成に関与しない官能基を有する断片が一時的又は永続的な保護基により適切に保護され、又は、ポリマーベクターからのペプチド開裂プロセスへの同時取り込みにより、他のR1残基が導入され得る。
【0024】
当業者であれば、C末端及びN末端の脱保護/開裂ステップならびにそれらのその後の誘導体化が、先行技術において公知の方法に従い、異なる順序で行われ得ることを容易に理解する。
【0025】
本発明は上記ポリペプチド化合物と許容される添加物を含む組成物を提供する。
本発明において、上記組成物は医薬組成物又は健康製品組成物であってもよい。
本発明において、前記添加物は当業者によく知られているベクター、希釈剤、賦形剤又は補助剤等を含むが、これらに限定されるものではない。
【0026】
本発明において、好ましくは、前記ベクターは滅菌水、食塩水、緩衝液、リン酸緩衝食塩水、緩衝塩化ナトリウム、植物塩、最小必須培地(MEM)、HEPESを含むMEM等が挙げられるが、これらに限定されない。
上記本発明の組成物において、ポリペプチド化合物は単独で存在してもよく、2種以上が混合してもよく、或いは複合、結晶化、イオン結合、共有結合等によりもっと密接に会合してもよい。
【0027】
本発明により提供されたポリペプチド化合物のC末端のアミノ酸残基における剛直な又は柔軟な構造の大きさが、配列におけるペプチド結合の立体配置を維持する上で重要であり、更に、本発明は、配列のC末端における異なる構造型の官能基の導入によって、ポリペプチド化合物がGHSR-1aに効率的に結合することができ、GHSR-1aが介在する障害に起因する関連疾患の治療、予防、軽減又は診断に適している。
これにより、本発明は、上記ポリペプチド化合物、又は上記製造方法により製造されたポリペプチド化合物、又は上記組成物、成長ホルモン分泌促進因子受容体のアゴニストとしての応用、又は成長ホルモン分泌促進因子受容体が介在する障害に起因する関連疾患の治療、予防、軽減及び/又は診断用の薬剤、又は成長を促進する健康食品の製造における応用を提供する。
【0028】
本発明において、前記成長ホルモン分泌促進因子受容体は、胃飢餓素受容体、グレリン受容体、GHSR-1a受容体とも呼ばれる。
本発明において、好ましくは、前記由成長ホルモン分泌促進因子受容体が介在する障害に起因する関連疾患は成長ホルモン欠乏症である。
具体的には、本発明は上記ポリペプチド化合物、又は上記製造方法により製造されたポリペプチド化合物、又は上記組成物がGHSR-1aアゴニストとしての応用を提供する。
具体的には、本発明は上記ポリペプチド化合物、又は上記製造方法により製造されたポリペプチド化合物、又は上記組成物がGHSR-1aアゴニストの製造における応用を提供する。
【0029】
本発明により提供された上記ポリペプチド化合物、組成物、又は成長ホルモン分泌促進因子受容体のアゴニストは、局所投与又は全身投与が所望されるかどうか、及び治療される領域に応じて、様々な方法で投与することができる。幾つかの実施形態において、前記ポリペプチド化合物又はその組成物又はそのGHSR-1aアゴニストは口腔又は直腸内、又は経粘膜、又は腸内、又は筋肉内、又は皮下、又は髄内、又は髄腔内、又は直接心室内、又は静脈内、又は硝子体内、又は腹腔内、又は鼻腔内、又は眼内で患者に投与することができる。
【0030】
本発明において、前記用語「保護基」は、有機官能基をブロックし、制御された条件において除去され得る基に関する。保護基、その相対的な反応性及びそれが不活性のままである条件は、当業者に公知のものである。
アミノ基の代表的な保護基の例は、とりわけ、酢酸アミド、安息香酸アミド、ピバル酸アミド;ベンジルオキシカルボニル(Cbz又はZ)、2-クロロベンジル基(ClZ)、パラ-ニトロベンジルオキシカルボニル基(pNZ)、tert-ブチルオキシカルボニル基(Boc)、2,2,2-トリクロロエチルオキシカルボニル基(Troc)、2-(トリメチルシリル)エチルオキシカルボニル基(Teoc)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc)又はアリルオキシカルボニル基(Alloc)、トリチル基(Trt)、メトキシトリチル基(Mtt)、2,4-ジニトロフェニル基(Dnp)、N-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)エチル基(Dde)、1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソ-シクロヘキシリデン)-3-メチル-ブチル基(ivDde)、1-(1-アダマンチル)-1-メチルエトキシカルボニル基(Adpoc)等の、カルバメート、好ましくは、Boc又はFmocである。
【0031】
カルボキシル基の代表的な保護基の例は、とりわけ、tert-ブチルエステル(tBu)、アリルエステル(All)、トリフェニルメチルエステル(Trtエステル)、シクロヘキシルエステル(cHx)、ベンジルエステル(Bzl)、オルト-ニトロベンジルエステル、パラ-ニトロベンジルエステル、パラ-メトキシベンジルエステル、トリメチルシリルエチルエステル、2-フェニルイソプロピルエステル、フルオレニルメチルエステル(Fm)、4-(N-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキシリデン)-3-メチルブチル]アミノ)ベンジルエステル(Dmab)等の、エステルであり、本発明の好ましい保護基は、All、tBu、cHx、Bzl及びTrtエステルである。
【0032】
三官能性アミノ酸の側鎖は、N末端及びC末端の保護基と直交的な、一時的又は永続的保護基により、合成プロセスの間、保護することができる。
トリプトファン側鎖のインドール基は、ホルミル基(For)、Boc、Mtsにより保護することができる、或いは無保護で用いることができる。4-アミノ-4-ピペリジンカルボン酸側鎖のピペリジン基は、Boc又はFmocにより保護される。アルギニン側鎖は、Tos、4-メトキシ-2,3,6-トリメチルベンゼンスルホニル基(Mtr)、Alloc、ニトロ基、2,2,4,6,7-ペンタメチルジヒドロベンゾフラン-5-スルホニル基(Pbf)及び2,2,5,7,8-ペンタメチルクロマン-6-スルホニル基(Pmc)により形成される基から選択される保護基により保護することができる。リシンとオルニチン側鎖のアミノ基の保護のため、酢酸アミド、安息香酸アミド、ピバル酸アミド等の、アミド;Cbz又はZ、ClZ、pNZ、Boc、Troc、Teoc、Fmoc又はAlloc、Trt、Mtt、Dnp、Dde、ivDde、Adpoc等の、カルバメートを用いることができる。
【0033】
好ましい一実施形態では、用いられる保護基戦略は以下の通りである:アミノ基がBocにより保護され、カルボキシル基がBzl、cHx又はAllにより保護され、アルギニン側鎖がTosにより保護され、4-アミノ-4-ピペリジンカルボン酸側鎖のピペリジン基がFmocにより保護され、トリプトファン側鎖がFor又はMtsにより保護され、且つApcリジンとオルニチン側鎖がCIZ、Fmoc又はAllocにより保護される。
【0034】
他方の好ましい一実施形態では、用いられる保護基戦略は以下の通りである:アミノ基がFmocにより保護され、カルボキシル基がtBu、All又はTrtエステルにより保護され、アルギニン側鎖がPmc又はPbfにより保護され、4-アミノ-4-ピペリジンカルボン酸側鎖のピペリジン基がBocにより保護され、トリプトファン側鎖がBocにより保護され又は無保護で使用され、且つリジンとオルニチン側鎖がBoc、Trt又はAllocにより保護される。
【0035】
上記及び他の保護基、その導入及び除去の例は、文献に見出すことができる[Atherton B.及びSheppard R.C.、「Solid Phase Peptide Synthesis: A practical approach」、(1989年)、IRL Oxford University Press]。用語「保護基」は、固相合成において用いられるポリマーベクターも包含する。
【0036】
合成が固相において全体的に又は部分的に行われる場合、本発明の手順において用いられる可能な固体ベクターは、ポリスチレンベクター、ポリスチレンにグラフトされたポリエチレングリコール等含み、例えば、p-メチルベンズヒドリルアミン樹脂(MBHA)[Matsueda G.R.ら、「A p-methylbenzhydrylamine resin for improved solid-phase synthesis of peptide amides」、(1981)、Peptides、2、4550]、2-クロロトリチル樹脂[Barlos K. et al., 「Darstellung geschuetzter PeptidFragmente unter Einsatz substituierter Triphenylmethyl Harze」, ( 1989), Tetrahedron Lett., 30, 3943-3946; Barlos K. et al., 「Veresterung von partiell geschuetzten PeptidFragmenten mit Harzen Einsatz von 2-Chlorotritylchlorid zur Synthese von LeulGastrin I」, ( 1989), Tetrahedron Lett., 30, 39473951],TentaGel(登録商標)樹脂(Rapp Polymere GmbH),ChemMatrix(登録商標)樹脂(Matrix Innovation, Inc)等を含むが、これらに限定されるものではなく、5-(4-アミノメチル-3,5-ジメトキシフェノキシ)吉草酸(PAL)[Albericio F. et al., 「Preparation and application of the 5-( 4-( 9-fluorenylmethyloxycarbonyl)aminomethyl-3,5-dimethoxy-phenoxy)valeric acid ( PAL) handle for the solid-phase synthesis of C-terminal peptide amides under mild conditions」, ( 1990), J. Org. Chem., 55, 3730-3743],2-[4-アミノメチル-(2,4-ジメトキシフェニル)]フェノキシル酢酸(AM)[Rink H., 「Solid-phase synthesis of protected peptide fragments using a trialkoxy-diphenyl-methylester resin」, ( 1987), Tetrahedron Lett., 28, 3787-3790], Wang[Wang S.S., 「p-Alkoxybenzyl Alcohol Resin and p- Alkoxybenzyl oxycarbonylhydrazide Resin for Solid Phase Synthesis of Protected Peptide Fragments」, ( 1973), J. Am. Chem. Soc., 95,1328-1333]等の不安定リンカーを包含してもしなくてもよく、リンカーは、同時の脱保護及びペプチドのポリマーベクターからの開裂を可能にする。
【0037】
定義
本発明に使用される略語は、以下の意味を有する。
Ala(Alanine,A) アラニン
Aba(2-aminobutyric acid) 2-アミノ酪酸
Apc(4-Amino-4-piperidine formic acid) 4-アミノ-4-ピペリジンカルボン酸
Arg(Arginine, R) アルギニン
Bal(3-Benzothienylalanine) 3-ベンゾチエニルアラニン
Boc(butyloxycarboryl) tert-ブトキシカルボニル基
Cit(Citrulline) シトルリン
DCM(Dichloromethane) ジクロロメタン
DIEA(N,N-Diisopropylethylamine) N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMF(N,N-Dimethylformamide) N,N-ジメチルホルムアミド
Fmoc(Fluorenylmethoxycarbonyl) フルオレニルメトキシカルボニル基
Gly(Glycine,G) グリシン
HBTU(O-Benzotriazole-N,N,N’,N’-tetraMethyl-uroniuM-hexafluorophosphate) O-ベンゾトリアゾール-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロりん酸塩
HOBt(N-Hydroxybenzotrizole) 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
HPLC(High performance liquid chromatography) 高速液体クロマトグラフィー
Leu(Leucine,L) ロイシン
Lys(Lysine, K) リジン
Nle(Norleucine) ノルロイシン
Orn(Ornithine) オルニチン
Phe(3-Amino-4-phenylbutyric acid, F) フェニルアラニン
Pro(Proline,P) プロリン
TFA(Trifluoroacetic acid) トリフルオロ酢酸
Tle(Tertiary leucine ) tert-ロイシン
Trp(Tryptophan, W) トリプトファン
Val(Valine,V) バリン
【0038】
本明細書中で定義されたように、用語「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「アミノ酸配列」が本明細書で入れ替えて使用できることは、任意の長さのアミノ酸残基のポリマーを意味する。当該ポリマーは、直鎖でも分岐鎖でもよく、修飾されたアミノ酸又はアミノ酸類似物を含む、且つ非アミノ酸の化学部分が介在しても良い。当該用語には、天然又は人工的に修飾された(例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、又は標識若しくは生物学的活性成分との結合等の他の操作又は修飾)アミノ酸ポリマーも含まれる。用語「ペプチド」は、共有結合(例えばアミド結合)によって連結された2つ以上の天然又は合成アミノ酸を含む。
【0039】
本開示内容において、用語「アミノ酸」は、少なくとも1つの第一級、第二級、第三級、又は第四級アミノ基と、少なくとも1つの酸性基とを有するものとして定義され、酸性基は、カルボン酸、スルホン酸、若しくはリン酸、又はこれらの混合物であってもよい。アミノ基は、酸基に対して「α」、「β」、「γ」~「ω」であってもよい。適切なアミノ酸はペプチドに見られる20のよく見られる天然アミノ酸(例えば、アラニン、アルギニン、アスパラギン、システイン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン)のD-及びL-異性体及び有機合成又は他の代謝経路によって製造された天然及び非天然アミノ酸を含む。
【0040】
「アミノ酸の主鎖」はハロゲン、ヒドロキシ基、グアニジノ基、ヘテロシクリル基から選ばれる1つ又は複数の基に置換できる。従い、用語「アミノ酸」の範囲にはグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、メチオニン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、ヒスチジン、ホモシステイン、タウリン、ベタイン、N-メチルアラニン等を含む。(L)と(D)形のアミノ酸も含まれる。
【0041】
用語「アミノ酸側鎖」とはアミノ酸のα-炭素に結合される部分を指す。例えば、アラニンのアミノ酸側鎖はメチル基、フェニルアラニンのアミノ酸側鎖はフェニルメチル基、システインのアミノ酸側鎖はチオメチル基、アスパラギン酸のアミノ酸側鎖はカルボキシメチル基、チロシンのアミノ酸側鎖は4-ヒドロキシベンジル基等である。更に、他の非天然のアミノ酸側鎖が含まれ、例えば天然の(例えばアミノ酸代謝物)又は合成の(例えばα-置換アミノ酸)ものがある。
本明細書において、用語「非環式脂肪族基」は、直鎖状又は分枝状アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基を網羅するように用いられる。
【0042】
用語「アルキル基」は、1~24個の間、好ましくは1~16個の間、より好ましくは1~14個の間、更により好ましくは1~12個の間、更になおより好ましくは1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有し、単結合(simple bond)により分子の残りの部分と結合している飽和直鎖状又は分枝状基を指し、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ラウリル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、アミル基、2-エチルヘキシル基、2-メチルブチル基、5-メチルヘキシル基及び同様のものが挙げられるがこれらに限定されない。
用語「アルケニル基」は、コンジュゲート又は非コンジュゲート型の、1個又は複数個の炭素-炭素二重結合を有する、好ましくは1、2又は3個の炭素-炭素二重結合を有する、2~24個の間、好ましくは2~16個の間、より好ましくは2~14個の間、更により好ましくは2~12個の間、更になおより好ましくは2、3、4、5又は6個の炭素原子を有し、単結合により分子の残りの部分と結合している直鎖状又は分枝状基を指し、例えば、ビニル基(-CH2=CH2)、アリル基(-CH2-CH=CH2)、オレイル基、リノレイル基等の基が挙げられるがこれらに限定されない。
【0043】
用語「アルキニル基」は、コンジュゲート又は非コンジュゲート型の、1個又は複数個の炭素-炭素三重結合、好ましくは1、2又は3個の炭素-炭素三重結合を有する、2~24個の間、好ましくは2~16個の間、より好ましくは2~14個の間、更により好ましくは2~12個の間、更になおより好ましくは2、3、4、5又は6個の炭素原子を有し、単結合により分子の残りの部分と結合している直鎖状又は分枝状基を指し、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-ペンチニル基等のペンチニル基等挙げられるがこれらに限定されない。アルキニル基は、1個又は複数個の炭素-炭素二重結合を含有することもでき、例えば、ブタ-1-エン-3-イニル基、ペンタ-4-エン-1-イニル基等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0044】
用語「脂環式基」は発明においては、例えば、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、又はシクロアルキニル基が挙げられるがこれらに限定されない。
用語「シクロアルキル」は、3~24個の間、好ましくは3~16個の間、より好ましくは3~14個の間、更により好ましくは3~12個の間、更になおより好ましくは3、4、5又は6個の炭素原子を有し、単結合により分子の残りの部分と結合している飽和単環式又は多環式脂肪族基を指し、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、オクタヒドロインデン、デカヒドロナフタレン、ドデカヒドロフェナレン等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0045】
用語「シクロアルケニル」は、コンジュゲート又は非コンジュゲート型の、1個又は複数個の炭素-炭素二重結合、好ましくは1、2又は3個の炭素-炭素二重結合を有する、5~24個の間、好ましくは5~16個の間、より好ましくは5~14個の間、更により好ましくは5~12個の間、更になおより好ましくは5又は6個の炭素原子を有し、単結合により分子の残りの部分と結合している非芳香族単環式又は多環式脂肪族基を指し、例えば、シクロペンタ-1-エン-1-イル基等が挙げられるがこれらに限定されない。
用語「シクロアルキニル」は、コンジュゲート又は非コンジュゲート型の、1個又は複数個の炭素-炭素三重結合、好ましくは1、2又は3個の炭素-炭素三重結合を有する、8~24個の間、好ましくは8~16個の間、より好ましくは8~14個の間、更により好ましくは8~12個の間、更になおより好ましくは8又は9個の炭素原子を有し、単結合により分子の残りの部分と結合している非芳香族単環式又は多環式脂肪族基を指し、例えば、シクロオクタ-2-イン-1-イル基等が挙げられるがこれらに限定されない。シクロアルキニル基は、1個又は複数個の炭素-炭素二重結合を含有することもでき、例えば、シクロオクタ-4-エン-2-イニル基等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0046】
用語「アリール基」は、6~30個の間、好ましくは6~18個の間、より好ましくは6~10個の間、更になおより好ましくは6又は10個の炭素原子を有し、炭素-炭素結合により結合した又は縮合した1、2、3又は4個の芳香環を含む芳香族基を指し、例えば、フェニル基、ナフチル基、ジフェニル基、インデニル基、フェナントリル基又はアントラニル基等、或いはアラルキル基が挙げられるがこれらに限定されない。
【0047】
用語「アラルキル基」は、7~24個の間の炭素原子を有する、芳香族基により置換されたアルキル基を指し、例えば、-(CH2)1-6-フェニル、-(CH2)1-6-(1-ナフチル)、-(CH2)1-6-(2-ナフチル)、-(CH2)1-6-CH(フェニル)2及び同様のものが挙げられるがこれらに限定されない。
用語「ヘテロシクリル基」は、環の原子のうち1個又は複数個、好ましくは環の原子のうち1、2又は3個が、窒素、酸素又は硫黄等の炭素とは異なる元素である、飽和であっても不飽和であってもよい3~10員のヒドロカーボネート環を指す。本発明の目的では、ヘテロシクリルは、単環式系、縮合環系を含み得る二環式系又は三環式系であってよい。更に複素環残基における窒素、炭素又は硫黄原子は、任意に酸化されていてよい。窒素原子は、任意に四級化されていてよい。ヘテロシクリル残基は、部分的又は完全に飽和していてよく、又は芳香族であってよい。ヘテロシクリルという用語について、最も優先されるべきは、5員又は6員の環を指すことである。飽和ヘテロシクリルの例は、ジオキサン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン及びチオモルホリンである。複素芳香族基としても公知の芳香族複素環式基の例は、ピリジン、ピロール、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、イミダゾリン、ヒドロキノン、キノリン及びナフチリジンである。
【0048】
用語「ヘテロアリールアルキル基」は、置換又は非置換の芳香族ヘテロシクリル基により置換されているアルキル基を指し、該アルキル基は、1~6個の炭素原子を有し、該芳香族ヘテロシクリル基は、2~24個の炭素原子及び炭素とは異なる1~3個の原子を有し、例えば、-(CH2)1-6-イミダゾリル基、-(CH2)1-6-トリアゾリル基、-(CH2)1-6-チエニル基、-(CH2)1-6-フリル基、-(CH2)1-6-ピロリジニル基等が挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書で使用される用語「ハロゲン」又は「ハロゲン化物」若しくは「ハロ」等の変形は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を指す。
【0049】
本明細書で使用される用語「ヘテロ原子」又は「ヘテロ-」等の変形はO、N、NH及びSを指す。
本明細書で使用される用語「アルコキシ基」は直鎖又は分岐鎖アルコキシ基を指す。例として、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、tert-ブトキシ基を含む。
本明細書で使用される用語「アミノ基」は-NRaRb形の基を指し、そのうち、RaとRbは独立的に水素、任意に置換されたアルキル基、任意に置換されたアルケニル基、任意に置換されたアルキニル基、及び任意に置換されたアリール基を含むがこれらに限定されない群から選択される。
【0050】
本明細書に記載される本発明の化合物は、任意の数の置換基又は官能基部分で置換され得ることが理解されるべきである。通常、用語「置換(された)」(「任意に」という用語に続くかどうかにかかわらず)及び本発明の式に含まれる置換基は、所定の構造中の水素基の、指定された置換基の基による置換を指す。任意の所定の構造中の複数の位置が指定されたの基から選択される複数の置換基で置換され得る場合、上記置換基は各位置で同じであっても異なっていてもよい。本明細書で使用する「置換された」という用語は、有機化合物の全ての許容される置換基、本明細書に記載の任意の置換基による置換を含むことを意図する。
例えば、置換基としては、安定な部分の形成をもたらす例えば脂肪族基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロ脂肪族基、ヘテロシクリル基、アリール基、ヘテロアリール基、アシル基、オキソ、イミノ基、チオカルボニル基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、アジド基、ニトロ基、ヒドロキシル基、チオール基、及びハロ、及びそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されず、脂肪族アミノ基、ヘテロ脂肪族アミノ基、アルキルアミノ基、ヘテロアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロアリールアミノ基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、脂肪族オキシ基、ヘテロ脂肪族オキシ基、アルコキシ基、ヘテロアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、脂肪族チオ基、ヘテロ脂肪族チオ基、アルキルチオ基、ヘテロアルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アシルオキシ基等を含むが、これらに限定されない。本発明は、安定な置換基/部分をもたらす任意及びあらゆるそのような組み合わせを含む。本発明の目的のために、例えば窒素等のヘテロ原子は、水素置換基及び/又はヘテロ原子の原子価を満たして安定な部分の形成をもたらす本明細書に記載の任意の適切な置換基を有してもよい。
【0051】
化合物は1つ以上の不斉中心を含む場合があり、そのためラセミ体及びラセミ体混合物、単一エナンチオマー、個々のジアステレオマー及びジアステレオマー混合物として存在する。これらの化合物の全てのこれらの異性体は、本明細書に明確に含まれる。化合物は、複数の互変異性型で表されてもよく、その場合、本明細書に記載の化合物の全ての互変異性型が本明細書に明確に含まれる(例えば、環系のアルキル化は、複数の部位のアルキル化をもたらすことがあり、本明細書には、そのような反応生成物の全てが明確に含まれる)。この化合物の全てのこれらの異性体は、本明細書に明確に含まれる。ここで説明された化合物の全ての結晶体は、本明細書に明確に含まれる。
【0052】
本発明の化合物は、立体異性体又は立体異性体の混合物として存在することができ、例えば、それらを構成するアミノ酸は、互いに独立して、L-、D-又はラセミの立体配置を有することができる。従って、不斉炭素の数及び異性体又は異性体混合物の不斉炭素の存在に応じて、異性体混合物、ならびにラセミ混合物若しくはジアステレオマーの混合物、又は純粋なジアステレオマー若しくはエナンチオマーを得ることが可能である。本発明の化合物の好ましい構造的に純粋な異性体、即ち、エナンチオマー又はジアステレオマーである。
例えば、U2が-Lys-であり得ると記載されている場合、U2は、-L-Lys-、-D-Lys-、又は両方の混合物から選ばれ、ラセミ若しくは非ラセミであることが理解される。この文書に記載されている製造手順により、当業者は、正しい立体配置のアミノ酸を選択することにより、本発明の化合物のそれぞれの立体異性体を得ることができる。
【0053】
本発明のペプチドの薬学的に許容される塩も本発明の範囲内である。用語「薬学的に許容される塩」は、動物、より具体的には人類におけるその使用のために認識される塩を意味し、とりわけ、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅、亜鉛又はアルミニウム等が挙げられるがこれらに限定されない無機の、とりわけ、エチルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、アルギニン、リジン、ヒスチジン又はピペラジン等が挙げられるがこれらに限定されない有機の、塩基付加塩、或いは、とりわけ、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、マロン酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、安息香酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、コハク酸塩、オレイン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩又はグルコン酸塩等が挙げられるがこれらに限定されない有機の、とりわけ、塩化物、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩又は炭酸塩等が挙げられるがこれらに限定されない無機の、酸付加塩の形成に用いられる塩を包含する。塩の性質は、化粧品的に又は薬学的に許容されるのであれば、決定的なものではない。本発明のペプチドの薬学的に許容される塩は、先行技術において周知の従来方法により得ることができる[Berge S.M.ら、「Pharmaceutical Salts」、(1977年)、J. Pharm. Sci.、66、119、その全体が参照により本明細書に組み込まれる]。
【0054】
先行技術と比べて、本発明はポリペプチド化合物を提供し、それは式Iに示される構造を有し、又はその立体異性体、混合物、その薬学的に許容される塩である。実験の結果によると、本発明により提供されたポリペプチド化合物はGHSR-1aに対して高いアゴニスト活性を効果的に発揮することができる。
【0055】
発明を実施するための形態
本発明を更に説明するために、本発明によって提供されるポリペプチド化合物及びその応用を、実施例と併せて以下に詳細に説明する。
当業者であれば、以下の実施例は、本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲を制限するものではないと理解すべきである。実施例において具体的な条件が明記されていない場合、一般的な条件又はメーカーが推奨する条件を用いる。使用される試薬又は機器は、生産メーカーが明記されていない場合、何れも市販されている一般的な製品であってもよい。
【0056】
ポリペプチドの合成は標準的なFmoc固相法を使用する。Rink Amide樹脂を選択し、ペプチド鎖をC末端からN末端まで延長する。保護アミノ酸は、Fmoc-Apc(Boc)-OH、Fmoc-D-Lys(Boc)-OH、Fmoc-D-Orn(Boc)-OH、Fmoc-Phe-OH、Fmoc-D-Trp(Boc)-OH、Fmoc-D-Bal-OH、Fmoc-D-Cit-OH、Fmoc-D-Arg(Pbf)-OH、Boc-D-Aba-OH、Fmoc-Lys(Boc)-OH、Fmoc-Lys(Alloc)-OH、Fmoc-Gly-OH、Fmoc-D-Ala-OH、Fmoc-D-Val-OH、Fmoc-D-Leu-OH、Fmoc-Pro-OH、Fmoc-β-Ala-OH、Fmoc-D-Tle-OH、Fmoc-Tle-OH、Fmoc-D-Nle-OH、Fmoc-Nle-OH、cis-2-(tert-ブトキシカルボニルアミド)-1-シクロペンタンカルボン酸、Boc-メチル-1-(アミノメチル)シクロブタンカルボン酸、1-N-Boc-3-アゼチジンカルボン酸、Boc-3-アミノオキセタン-3-カルボン酸、1-Boc-D-アクリジン-2-カルボン酸、(S)-1-Boc-ピロリジン-3-カルボン酸、Boc-2-モルホリンカルボン酸、(Boc-3-アミノ-1-アダマンタン)酢酸、(1R,3S,4S)-N-Boc-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-3-カルボン酸、3-Boc-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-1-カルボン酸を含む。縮合剤はHBTU/HOBt/DIEAである。
【0057】
脱保護剤はピペリジン/DMF溶液である。粗ペプチドは水溶解後、凍結乾燥保存する。中圧液体クロマトグラフィー又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分離、精製して、純粋なペプチド含有量は90%超である。ペプチド配列の分子量は、マトリックス支援レーザー脱離飛行時間型質量分析法(MALDI-TOF-MS)によって決定する。
【0058】
ペプチド配列の合成:
合成条件は下記の通りである:
保護アミノ酸(天然又は非天然):0.2MのDMF溶液、
縮合剤:0.45M HBTU/HOBtのDMF溶液、
活性化塩基:2M DIEAのDMF溶液、
脱保護剤:20% v/vピペリジンのDMF溶液。
【0059】
実施例1
化合物1-5、9、11-35、39、41-80の調製:
1.脱保護:Rink Amide樹脂0.23g(0.1mmolを秤量し、ポリペプチド合成リアクターに入れ、次に脱保護剤を上記濃度に配置した後、樹脂に加え、室温条件で反応させ、吸引乾燥し、再びピペリジン/DMFを加え、室温条件で反応後、吸引乾燥し、検出が合格するまでDMFで洗浄した。
2.縮合反応:氷浴下でDMFにそれぞれアミノ酸と縮合剤を加えて活性化し、更に活性化塩基を加え反応させて活性化液を得てから、最後に活性化液を樹脂に加え、室温にて反応させ、その後、5%のニンヒドリン発色試薬にて樹脂を発色させ、樹脂が変色してから、溶剤を抽出し、またDMFにて洗浄し、検出が合格してから溶剤を抽出し縮合反応が完了した。
【0060】
3.ペプチド鎖の合成が完了するまで上記脱保護及び縮合反応を繰り返し、完全なポリペプチド配列構造を含むペプチド樹脂を得た。
4.ペプチド樹脂の開裂:合成したペプチド樹脂1.25gを秤量し、250mlのナスフラスコに入れ、氷浴し、電磁攪拌した。ペプチド樹脂1gに対しあたり10mlの量で、溶解液[溶解液(体積%)トリフルオロ酢酸:チオアニソール:水=90:5:5]を調製した。TFAは、事前に30分間氷浴で冷却するか、又は事前に冷蔵庫で保管して使用する必要がある;調製した溶解液を氷浴条件下のペプチド樹脂に加え、電磁撹拌して樹脂を黒色にし、氷浴条件下で30分間反応させ、次いで氷浴を除去し、室温で引き続き180分間撹拌し反応させ、反応が完了してから、激しく撹拌しながら氷エーテル200mlを加え、白色結晶を析出させ、引き続き30分間撹拌し;析出物をG4サンドコアファンネルでろ過し、氷エーテルで3回繰り返し洗浄し、乾燥した。50mlの再蒸留水と5mlのアセトニトリルを加えて固体を完全に溶解し、吸引濾過し、濾液を凍結乾燥して1.04gの粗ペプチドを得た。
【0061】
5.粗ペプチドの精製:中圧又は高速液体クロマトグラフィーにより粗ペプチドを精製した。クロマトグラフィーカラムはC18カラムで、溶離剤はアセトニトリル、水、及び少量の酢酸であった。具体的な操作手順:粗ペプチド1.00gを秤量し、水20mlとアセトニトリル5mlを加えて固体を溶解し、10分間遠心分離(5000rpm)し、上清をサンプルとして採取した。クロマトグラフィーカラムは、200mlの15%アセトニトリル/水/0.1%氷酢酸溶液で予め平衡化されていた。サンプルを導入してから、引き続き15%アセトニトリル/水/0.1%氷酢酸溶液200mlで洗浄し、高速液体クロマトグラフィーで溶離液成分を検出した。液相検出結果により、精製されたポリペプチドのメインピークが溶出するまで、アセトニトリル含量を徐々に増加した。溶出液を合わせ、ロータリーエバポレーターで溶媒の大部分を除去し、純粋なペプチドを凍結乾燥し、HPLCにより含量が90%超であると検出し、MALDI-TOF-MSで分子量を確認した。
【0062】
実施例2
化合物10、40の調製:
本実施例は実施例1に基づくものであり、実施例1との違いは、ペプチド鎖のN末端の最後の保護アミノ酸がFmoc-Lys(Alloc)-OHであり、その側鎖保護基の除去方法が以下の通りである:水切りした樹脂にトリフェニルホスフィンパラジウム:フェニルシラン=1:10(v/v)を加え、遮光し、N2の保護で3時間反応させ、樹脂の変色を検出し、脱保護が完了;樹脂を洗浄及び吸引乾燥した後、アセチル化反応を行い:酢酸2ml、DIEA 2mlを加え、30分間反応させ、洗浄し、吸引乾燥した。最後に、20%v/vピペリジンのDMF溶液においてFmoc保護基を除去し、開裂及び精製によって得た。
【0063】
実施例3
化合物6-8、36-38の調製:
本実施例は実施例1に基づくものであり、実施例1との違いは、ペプチド鎖のN末端の最後のアミノ酸の脱保護が完了した後、酢酸2ml、DIEA 2mlを加え、30分間反応させ、アセチルキャップを行い、最後に開裂及び精製を行って得たことである。
本明細書に開示される実施形態の合成方法によって調製されたポリペプチド化合物を以下の表1に示す。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
【表1-13】
【表1-14】
【0064】
実施例4
GHSR-1aに対するポリペプチド化合物のアゴニスト活性の評価実験(IC50)
GHSR活性化合物のスクリーニングは、受容体を組換え発現させることによって達成される。GHSRの組換え発現の利用は、例えば、決定された細胞系において受容体を発現させることができ、それによりGHSRに対する化合物の反応と他の受容体に対する化合物の反応とをより容易に区別することができる等の幾つかの利点を提供する。例えば、GHSRは、通常、発現ベクターを用いずにGHSRを発現するHEK293、COS7、CHO等の細胞系で発現でき、発現ベクターを持たない同じ細胞系を対照として使用することができる。
GHSR-1aの活性はさまざまな技術を駆使して測定でき、例えば、GHSRの細胞内立体構造の変化、Gタンパク質結合活性の変化、及び/又は細胞内メッセンジャーの変化を検出することによって測定できる。GHSR-1a活性は、細胞内Ca2+の測定等の技術を使用して測定することが好ましい。Ca2+を測定するために使用できる当該技術分野で知られている技術の例には、FLIPR(登録商標)カルシウムイオンアッセイキット等の使用が含まれる。研究者がGタンパク質共役受容体、イオンチャネル、その他のカルシウム感受性の高いターゲットに対して高感度の蛍光スクリーニングを実行できるよう、FLIPR(登録商標)カルシウムイオンアッセイキットはカルシウム感受性の指示薬と遮蔽色素を利用している。本実験では、FLIPRカルシウム6アッセイキットとFLIPR(登録商標)カルシウム6-QFアッセイキットを使用した。
【0065】
1.試験過程
1.1 細胞培養及び試薬調製
a) 細胞系:Flp In-CHO-GHSR Stable Pool;
b) 完全培地:F12K+10%ウシ胎児血清+1xペニシリン-ストレプトマイシン(PS)+600μg/mlハイグロマイシンB;
c) 細胞播種培地:F12K+10%ウシ胎児血清。
d) 検出緩衝液:1X HBSS+20mM HEPES。
e) A成分:試験緩衝液及びA成分を室温(RT)に取り、10mlの緩衝液をA成分に加え、1~2分間ボルテックスし、-20℃で保存した。
【0066】
1.2 化合物管理
a)化合物ストック溶液:社内合成による粉末を、標準プロトコルに従って10mM DMSO溶液ストックにした。
b)化合物の保存:DMSO中の化合物は全て、室温乾燥器で短期貯蔵(最大4ヶ月間)した。残りの化合物は-20℃で長期保存した。
1.3 アゴニスト活性試験
a) 完全培地でFlp In-CHO-GHSR Stable Pool細胞を培養した。
b) 7K細胞/ウェルを384ウェル細胞培養プレート(Corning、3764)内の25ポンド/インチの細胞播種培地に置き、37℃、5%CO2で一晩培養した。
c) 0X A成分を室温条件で解凍し、A成分を試験緩衝液で2Xに希釈し、RT条件に置いた。
d) インキュベーターからペトリ皿を取り出し、室温で10分間平衡させた。培地をアプリコット緩衝液に交換し、最終洗浄後各ウェルに20μlの緩衝液を保持し、次に各ウェルに20μlの2X A成分を加え、37℃で3~5sインキュベートした。
e) 384ウェル細胞培養プレートに10μlの5X化合物を加え、直ちにFLIPR Tetraでデータを収集した。
【0067】
2.データ分析
1)Z’factor = 1-3*(SD
Max+SD
Min)/(Mean
Max-Mean
Min );
2)CV
Max = (SD
Max/Mean
Max)*100%;
3)CV
Min = (SD
Min/Mean
Min)*100%;
4)S/B = Singal/Background;
5)IC
50値の計算式:
Y=Bottom + (Top-Bottom)/(1+10^((LogIC
50-X)*HillSlope))
X:log value of compound concentratio n;Y :Activation % or Inhibition %
上記の方法により、活性試験結果を表2に示す。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
表2の結果によると、本発明により提供されたポリペプチド化合物はGHSR-1aに対するアゴニスト活性を示している。
【0068】
実施例5
シトクロムP450オキシダーゼに対するポリペプチド化合物の阻害
シトクロムP450含有ヒト肝臓ミクロソーム(0.253mg/mLタンパク質)を試験化合物(0.05~50μM)、CYP基質(10μMアセトアミノフェン、5μMジクロフェナク、30μMメフェニトイン、5μM臭化水素酸デキストロメトルファン、2μMミダゾラム)、1.0mMのNADPとを、37℃で10分間インキュベートした。ナフトフラボン、スルファフェナゾール、N-3-ベンジルニバン、キニジン、ケトコナゾールを参照阻害剤とした。結果は表3に示される。
【表3-1】
【表3-2】
表3の結果により、本発明により提供されたポリペプチド化合物がシトクロムP450オキシダーゼに対する阻害IC
50値は何れも50μMを超えている。
【0069】
実施例6
ポリペプチド化合物81-84の調製及び活性検出
上記実施例1~80に記載した方法と同じ方法を使用して、以下の表4に示す化合物81~84を調製し、実施例4に記載した方法に従ってGHSRに対するこれらの化合物の活性(IC
50)を試験し、結果を表4に示す。
【表4】
表4の結果から、化合物1~80のペンタペプチド化合物のC末端にさらなるアミノ酸を添加することは、そのGHSRアゴニスト活性に有意な影響を及ぼさないことが分かる。
【0070】
上記実施例の説明は、本発明の方法及びその中核思想を理解しやすくするためのものに過ぎない。当業者であれば、本発明の原理から逸脱することなく、更に本発明に対して様々な改良と修飾を行うことができ、これらの改良と修飾も本発明の請求項の保護範囲内にあることを指摘しておく。