(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-28
(45)【発行日】2025-03-10
(54)【発明の名称】多機能船
(51)【国際特許分類】
B63B 77/10 20200101AFI20250303BHJP
【FI】
B63B77/10
(21)【出願番号】P 2024026479
(22)【出願日】2024-02-26
【審査請求日】2024-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】523154541
【氏名又は名称】ケイライン・ウインド・サービス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520357718
【氏名又は名称】日本シップヤード株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】502116922
【氏名又は名称】ジャパンマリンユナイテッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】岩田 亮治
(72)【発明者】
【氏名】道嶋 紘靖
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 啓朗
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 勇
(72)【発明者】
【氏名】北小路 結花
(72)【発明者】
【氏名】八田 和也
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2023/0415853(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0344110(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0135233(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3254946(EP,A1)
【文献】特開2022-106515(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2623413(EP,A1)
【文献】特表2023-550341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 77/00- 77/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
甲板にヤグラを取り付けた調査モードと、
前記甲板の上に洋上風力発電設備のアンカーを載置可能かつ前記甲板の下方の収容空間に前記洋上風力発電設備のチェーンを収容可能かつ前記アンカーの海底への設置および前記チェーンの展張が可能なアンカーハンドリングモードと、
前記甲板にギャングウェイを取り付けた保守モードと、を
、それぞれのモードに対応するように、前記ヤグラおよび前記ギャングウェイを着脱することで切り替え可能であ
り、
前記アンカーハンドリングモードおよび前記保守モードにおいて、前記甲板に前記ヤグラが取り付けられない、多機能船。
【請求項2】
前記調査モードにおいて、船体を上下に貫通するムーンプールの上方に前記ヤグラが設けられる、請求項1に記載の多機能船。
【請求項3】
前記アンカーハンドリングモードにおいて、船体を上下に貫通するムーンプールの底部には、非水密の底蓋が取り付けられる、請求項1または2に記載の多機能船。
【請求項4】
前記保守モードにおいて、船体を上下に貫通するムーンプールの上部を塞ぐように、前記ギャングウェイが固定された上蓋が配置される、請求項1または2に記載の多機能船。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多機能船に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるような浮体式洋上風力発電設備を建設する場合、通常は、調査工程、アンカーハンドリング工程、および建設工程が行われる。調査工程では、浮体式洋上風力発電設備を設置する地点の海底の地盤調査等を行う。アンカーハンドリング工程では、浮体式洋上風力発電設備の建設に用いられるチェーンやアンカー等を、建設地点まで輸送し、チェーンの展張およびアンカーの海底への設置を行う。建設工程では、サクションパイルを水中に投入し、洋上風力発電設備をサクションパイルおよびアンカー等を用いて固定する。
【0003】
また、浮体式洋上風力発電設備を建設した後は、当該設備の保守および点検を行う工程(本明細書では単に保守工程と称する)を行う。保守工程においては、船舶に備えられたギャングウェイを用いて、作業員が浮体式洋上風力発電設備へと乗り移り、作業を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
調査工程、アンカーハンドリング工程、建設工程、および保守工程を行うためには、それぞれの工程に適した機能を有する船舶が必要となる。例えば調査工程ではヤグラを搭載した船舶が必要であり、アンカーハンドリング工程ではチェーンやアンカー等を搭載するスペースを確保した船舶が必要である。また、建設工程ではサクションパイルを水中に投下できる大型の建設クレーンを搭載した船舶、保守工程ではギャングウェイを搭載した船舶が必要である。
【0006】
ここで、上記のそれぞれの機能を有する複数の専用船を用意すると、それぞれの専用船の取得および維持に係るコストが増大する。さらに、専用船がそれぞれ受け持つ工程を行わない期間において、その専用船が休眠状態となり、稼働率が低下する。結果として、運用コストの回収が困難になるという課題がある。また、1つの船舶にヤグラ、チェーン等の収容スペース、大型建設クレーン、およびギャングウェイを同時に搭載するためには、その船舶の船体が過剰に大型となってしまい、機動性が損なわれる。
【0007】
本発明はこのような事情を考慮してなされ、浮体式洋上風力発電設備の建設および保守に際して、コストおよび機動性を両立した多機能船を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の態様1に係る多機能船は、甲板にヤグラを取り付けた調査モードと、前記甲板の上に洋上風力発電設備のアンカーを載置可能かつ前記甲板の下方の収容空間に前記洋上風力発電設備のチェーンを収容可能かつ前記アンカーの海底への設置および前記チェーンの展張が可能なアンカーハンドリングモードと、前記甲板にギャングウェイを取り付けた保守モードと、を切り替え可能である。
【0009】
本発明の態様2は、態様1に係る多機能船であって、前記調査モードにおいて、船体を上下に貫通するムーンプールの上方に前記ヤグラが設けられる。
【0010】
本発明の態様3は、態様1または2に係る多機能船であって、前記アンカーハンドリングモードにおいて、船体を上下に貫通するムーンプールの底部には、非水密の底蓋が取り付けられる。
【0011】
本発明の態様4は、態様1から3のいずれかに係る多機能船であって、前記保守モードにおいて、船体を上下に貫通するムーンプールの上部を塞ぐように、前記ギャングウェイが固定された上蓋が配置される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の上記態様に係る多機能船によれば、浮体式洋上風力発電設備の建設および保守に際して、コストおよび機動性を両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係る調査モードの多機能船についての、(a)は断面図、(b)は平面図である。
【
図2】実施形態に係るアンカーハンドリングモードの多機能船についての、(a)は断面図、(b)は平面図である。
【
図3】実施形態に係る建設モードの多機能船についての、(a)は断面図、(b)は平面図である。
【
図4】実施形態に係る保守モードの多機能船についての、(a)は断面図、(b)は平面図である。
【
図6】調査モードの多機能船を用いた調査工程を説明する図である。
【
図7】アンカーハンドリングモードの多機能船を用いた輸送フェーズを説明する図である。
【
図8】建設モードの多機能船を用いた建設工程を説明する図である。
【
図9】多機能船を保守モードに切り替える様子を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態の多機能船について図面に基づいて説明する。
多機能船10は、調査モードM1(
図1)、アンカーハンドリングモードM2(
図2)、建設モードM3(
図3)、および保守モードM4(
図4)の間で切り替え可能に構成されている。多機能船10は、船体10aを上下に貫通するムーンプール16を有している。
【0015】
多機能船10は、
図5に示すような浮体式洋上風力発電設備(以下、単に発電設備1と称する)を建設および保守するための各種工程を行うことができる。発電設備1は、概略構成として、浮体構造物1a、柱1b、風車1c等を有している。柱1bは浮体構造物1aによって支持されている。風車1cは柱1bの上部に取り付けられている。浮体構造物1aは、複数のアンカー1dおよびチェーン1eによって、海底Gに係留されている。
【0016】
図1に示すように、調査モードM1において、甲板11には、ヤグラ12が搭載されている。ヤグラ12は、ムーンプール16の上方に配置されている。調査モードM1における多機能船10は、調査工程を行う。具体的には、
図6に示すように、ヤグラ12を用いて観測調査杭20(コーンとも称される)を支持しながら、ムーンプール16を通じて観測調査杭20を水中に投下する。観測調査杭20は、海底Gの地盤を調査するための各種センサ(ロードセル、水圧計など)を備えている。観測調査杭20を海底Gに貫入することで、先端抵抗、周面摩擦、水圧等の、地盤に関するデータを取得することができる。
【0017】
図2に示すように、アンカーハンドリングモードM2において、甲板11の上には、複数のアンカー1dを載置可能である。また、甲板11の下方の収容空間15(
図2(a)における網掛け部)には、アンカー1dとともに用いられるチェーン1eが収容される。収容空間15は、ムーンプール16を含んでいてもよい。また、収容空間15がムーンプール16そのものであってもよい。つまり、チェーン1eはムーンプール16にのみ収容されてもよいし、ムーンプール16以外の収容空間15にチェーン1eが収容されてもよい。また、収容空間15に、チェーン1e以外の積載物が収容されてもよい。
【0018】
図7に示すように、アンカーハンドリングモードM2において、ムーンプール16の底部には、底蓋17が取り付けられる。このため、ムーンプール16にチェーン1e等の積載物を収容したとしても、積載物が水中に落下してしまうことを抑制できる。言い換えると、ムーンプール16を、積載物を収容するための収容空間15として用いることができる。底蓋17は水密であってもよいが、非水密であることがより好ましい。底蓋17が非水密であることで、底蓋17を取り付けるためのムーンプール16の底部の構造を簡略化できる。また、チェーン1eは水中で使用されるものであるため、輸送中に濡れても問題が無い。
【0019】
多機能船10には、アンカー1dを把持および移動させるためのクレーン10bや、チェーン1eを展張するためのウインチ10c等が備えられている。アンカーハンドリングモードM2における多機能船10は、アンカー1dおよびチェーン1eを、港等から発電設備1の建設地点へと輸送する。さらに、チェーン1eを展張しながらアンカー1dを水中に設置する。このとき、他のモードにおいて用いられるヤグラ12等が甲板11上に無いことで、甲板11の上に、より多くのアンカー1dを載置することができる。また、ムーンプール16を含む収容空間15にチェーン1eを収容することが可能であり、デッドスペースを小さくすることができる。
【0020】
このように、より多くのアンカー1dおよびチェーン1eを積載可能とすることで、輸送のために多機能船10が港等と建設地点との間を往復する回数を減らすことができる。なお、アンカー1dおよびチェーン1eを操作するためのクレーン10bおよびウインチ10cのサイズは小さい。このため、アンカーハンドリングモードM2に限らず、調査モードM1、建設モードM3、および保守モードM4においても、クレーン10bおよびウインチ10cが多機能船10に搭載されていてもよい。また、クレーン10bおよびウインチ10cを、調査工程、建設工程、および保守工程において使用することも可能である。
【0021】
図3に示すように、建設モードM3において、甲板11の上には、建設クレーン13が搭載されている。建設クレーン13は、サクションパイル19を把持、移動させる。サクションパイル19は海底Gに固定される。また、サクションパイル19と浮体構造物1aとは、チェーン1eによって係留される。これにより、発電設備1が海流等によって流されてしまうことを抑制できる。なお、発電設備1を海底Gに係留するために、アンカー1dおよびサクションパイル19を併用してもよいし、アンカー1dおよびサクションパイル19のうちのどちらか一方のみを使用してもよい。なお、サクションパイル19は、サクションアンカーとも言い換えることができる。
【0022】
建設クレーン13は、船体10aの側方からサクションパイル19を水中に投入してもよい。あるいは
図8に示すように、ムーンプール16を通してサクションパイル19を水中に投入してもよい。
図3に示すように、建設クレーン13は、アンカー1d等を操作するためのクレーン10bよりも大きく、甲板11上の大きな領域を占有してしまう。このため、建設工程を行う場合に多機能船10に建設クレーン13を装備しておき、それ以外の場合には建設クレーン13を装備しないことが好ましい。
【0023】
図4に示すように、保守モードM4において、甲板11の上には、ギャングウェイ14が搭載されている。ギャングウェイ14は、可動式のハシゴを備えている。ギャングウェイ14は、発電設備1が建設された後、保守や点検などの作業を行う際に、作業員が船体10aから発電設備1に乗り移るために用いられる。
【0024】
ヤグラ12、建設クレーン13、およびギャングウェイ14は、甲板11に対して着脱可能である。言い換えると、ヤグラ12、建設クレーン13、およびギャングウェイ14を、甲板11に対して着脱することで、各モードM1~M4が切り替えられる。
【0025】
次に、多機能船10を用いた、発電設備1に関する調査、建設、保守の方法について説明する。
【0026】
発電設備1を建設するにあたり、まず、調査工程が行われる。調査工程では、建設予定地点における海底Gの地盤調査等が行われる。このとき、多機能船10は調査モードM1とされ、甲板11上にヤグラ12が設置された状態である。調査工程では、ヤグラ12を用いて観測調査杭20を海底Gに貫入し、各種データを取得する(
図6参照)。
【0027】
次に、アンカーハンドリング工程が行われる。アンカーハンドリング工程は、輸送フェーズおよび設置フェーズに分けられる。輸送フェーズおよび設置フェーズの両方において、多機能船10はアンカーハンドリングモードM2とされる。調査モードM1からアンカーハンドリングモードM2に切り替えるため、港等で、ヤグラ12が甲板11から取り外される。
【0028】
輸送フェーズでは、発電設備1を係留するためのアンカー1dおよびチェーン1eが、建設予定地点へと輸送される。このとき、例えば収容空間15にチェーン1eが収容され、甲板11上にアンカー1dが載置される。ただし、甲板11上にチェーン1eを載置してもよいし、収容空間15にアンカー1dを収容してもよい。また、輸送フェーズにおいて、浮体構造物1a等の部品のトーイングが行われてもよい。設置フェーズでは、海底Gにアンカー1dが設置されるとともに、チェーン1eが展張される。
【0029】
次に、建設工程が行われる。このとき、多機能船10は建設モードM3とされ、甲板11上に建設クレーン13が設置された状態である。アンカーハンドリングモードM2から建設モードM3に切り替えるため、港等で、甲板11に建設クレーン13が取り付けられる。建設工程では、建設予定地点における発電設備1の建設が行われる。すなわち、浮体構造物1aの組み立て、柱1bや風車1cの浮体構造物1aへの固定、サクションパイル19の海底Gへの固定、アンカー1dまたはサクションパイル19への浮体構造物1aの係留、等を行うことができる。これらの作業において、建設クレーン13を使用することができる。発電設備1の建設が完了すると、風力発電が開始される。
【0030】
次に、保守工程が行われる。このとき、多機能船10は保守モードM4とされ、甲板11上にギャングウェイ14が設置された状態である。建設モードM3から保守モードM4に切り替えるため、港等で、甲板11から建設クレーン13が取り外され、ギャングウェイ14が取り付けられる。
図9は、ギャングウェイ14を甲板11に取り付ける様子の一例である。
図9の例では、ムーンプール16を閉塞するための上蓋18に、ギャングウェイ14が固定されている。港等でギャングウェイ14ごと上蓋18をムーンプール16の上部に取り付けることで、容易に保守モードM4とすることができる。この例では、ギャングウェイ14はムーンプール16の上方に配置される。ただし、
図4に示すように、ギャングウェイ14はムーンプール16から離れた位置に配置されてもよい。
【0031】
以上説明したように、本実施形態の多機能船10は、調査モードM1と、アンカーハンドリングモードM2と、建設モードM3と、保守モードM4と、を切り替え可能である。調査モードM1において、甲板11にはヤグラ12が取り付けられる。アンカーハンドリングモードM2において、甲板11の上には発電設備1のアンカー1dを載置可能であり、甲板11の下方の収容空間15には発電設備1のチェーン1eを収容可能であり、アンカー1dの海底Gへの設置およびチェーン1eの展張が可能である。建設モードM3において、甲板11に建設クレーン13が取り付けられる。保守モードM4において、甲板11にはギャングウェイ14が取り付けられる。
【0032】
本実施形態によれば、1つの多機能船10が、調査モードM1、アンカーハンドリングモードM2、建設モードM3、および保守モードM4を切り替えることで、調査、輸送、建設、および保守の工程を実行することができる。したがって、発電設備1を建設および保守するにあたり、それぞれの工程に合わせた複数の専用船を用意する場合と比較して、コストを低減することができる。また、仮に複数の専用船を用意した場合には、専用船が受け持つ工程を実行しない期間において、その専用船が休眠状態となり、稼働率が低下してしまう。このような課題に対して、多機能船10によれば、複数の工程を実行可能であるため、休眠状態を少なくして、稼働率を向上させることができる。そして、1つの船舶にヤグラ12、建設クレーン13、ギャングウェイ14、収容空間15を同時に設ける場合と比較して、船体10aを小型にすることができ、機動性も確保することが可能である。
【0033】
また、調査モードM1において、船体10aを上下に貫通するムーンプール16の上方にヤグラ12が設けられる。このようなヤグラ12を用いて、観測調査杭20を海底Gに貫入することで、調査工程を行うことができる。
【0034】
また、アンカーハンドリングモードM2において、船体10aを上下に貫通するムーンプール16の底部には、非水密の底蓋17が取り付けられてもよい。これにより、ムーンプール16を、チェーン1eを収容するための空間として利用することが可能となる。また、底蓋17が水密である場合と比較して、底蓋17の取り付け部分の構造を簡素にすることが可能である。
【0035】
また、保守モードM4において、船体を上下に貫通するムーンプール16の上部を塞ぐように、ギャングウェイ14が固定された上蓋18が配置されてもよい。この構成によれば、ギャングウェイ14を船体10aに取り付けるための部分として上蓋18を利用することができる。言い換えると、多機能船10を保守モードM4と他のモードM1~M3との間で切り替える際には上蓋18を交換すればよい。したがって、モードの切り替えが、より容易となる。
【0036】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0037】
例えば、前記実施形態では、調査モードM1、アンカーハンドリングモードM2、建設モードM3、保守モードM4、の順にモードが切り替えられた。しかしながら、この切り替え順序は変更可能である。例えば複数の発電設備1を並行して建設および保守するために、多機能船10の各モードは柔軟に切り替えられてもよい。また、建設モードM3は、必ずしも含めなくてもよく、必要に応じて、適宜実施されるように構成してもよい。
【0038】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1d…アンカー 1e…チェーン 10…多機能船 10a…船体 10b…クレーン 11…甲板 12…ヤグラ 13…建設クレーン 14…ギャングウェイ 15…収容空間 16…ムーンプール 17…底蓋 18…上蓋 G…海底
【要約】
【課題】浮体式洋上風力発電設備の建設および保守に際して、コストおよび機動性を両立した多機能船を提供する。
【解決手段】多機能船は、甲板にヤグラを取り付けた調査モードと、前記甲板の上に洋上風力発電設備のアンカーを載置可能かつ前記甲板の下方の収容空間に前記洋上風力発電設備のチェーンを収容可能かつ前記アンカーの海底への設置および前記チェーンの展張が可能なアンカーハンドリングモードと、前記甲板にギャングウェイを取り付けた保守モードと、を切り替え可能である。
【選択図】
図1