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特許7642893太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-28
(45)【発行日】2025-03-10
(54)【発明の名称】太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュール
(51)【国際特許分類】
   H10F 10/14 20250101AFI20250303BHJP
   H10F 10/166 20250101ALI20250303BHJP
   H10F 77/70 20250101ALI20250303BHJP
【FI】
H10F10/14
H10F10/166
H10F77/70 100
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2024031346
(22)【出願日】2024-03-01
【審査請求日】2024-03-29
(31)【優先権主張番号】202311733932.2
(32)【優先日】2023-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519095522
【氏名又は名称】ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】512083920
【氏名又は名称】晶科能源股分有限公司
【氏名又は名称原語表記】JINKO SOLAR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1,Jinko Road, Shangrao Economic Development Zone Jiangxi 334100 CN
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】ワウ ショウ
(72)【発明者】
【氏名】陳金金
(72)【発明者】
【氏名】ヂァン シン ウ
(72)【発明者】
【氏名】楊潔
(72)【発明者】
【氏名】鄭霈霆
【審査官】丸橋 凌
(56)【参考文献】
【文献】特許第7381687(JP,B1)
【文献】特開2005-142268(JP,A)
【文献】特開2023-174428(JP,A)
【文献】特表2022-501837(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2023/0402553(US,A1)
【文献】中国実用新案第218585994(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第114388639(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第113327999(CN,A)
【文献】韓国登録特許第10-1740523(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1930640(KR,B1)
【文献】INGENITO, Andrea et al.,Silicon Solar Cell Architecture with Front Selective and Rear Full Area Ion‐Implanted Passivating Contacts,Solar RRL,2017年,Vol. 1,Article number: 1700040,pp. 1-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10F 10/00-19/90
H10F 77/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
電極領域に位置する第1誘電体層と、
前記第1誘電体層の前記電極領域から離れた側に位置する第1ドーピング導電層とを含み、
前記基板が対向設置された第1表面及び第2表面を備え、前記第1表面が、間隔をあけて交互に設置された前記電極領域及び非電極領域と、前記電極領域と前記非電極領域の間に位置する遷移領域と、を含み、
前記遷移領域が第1表面構造を備え、前記第1表面構造が前記電極領域に向かって傾斜する複数の角柱構造を含み、複数の前記角柱構造が少なくとも第1方向に沿って順次配列され、前記第1方向が前記遷移領域の延在方向であり、
前記第1誘電体層と第1ドーピング導電層は、前記電極領域のみに形成されている、
ことを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記角柱構造は、第1角柱構造と、第2角柱構造と、を含み、前記角柱構造の傾斜方向に沿って、前記第1角柱構造の第1長さが前記第2角柱構造の第2長さよりも大きく、少なくとも一部の前記第2角柱構造が前記第1角柱構造の前記電極領域から離れた側面に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
複数の前記第2角柱構造が同じ前記第1角柱構造の前記電極領域から離れた側面に位置し、または、前記第1角柱構造の側面から離れた方向に沿って、複数の前記第2角柱構造が順次配列されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記第1表面構造は、第1ピラミッド構造をさらに含み、少なくとも一部の前記第1ピラミッド構造が前記遷移領域において前記非電極領域に近い一部の領域に位置し、少なくとも一部の前記角柱構造は、前記遷移領域において前記電極領域に近い一部の領域に位置している、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記第1表面構造は、複数の微細突起構造をさらに含み、前記微細突起構造が第2ピラミッド構造または三角形の板状構造のうちの少なくとも一方を含
ことを特徴とする請求項4に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記第2表面を覆う第2誘電体層と、
前記第2誘電体層の前記基板から離れた側の表面を覆う第2ドーピング導電層と、をさらに含み、
前記第1ドーピング導電層中のドーピング元素のタイプが前記第2ドーピング導電層中のドーピング元素のタイプと異なっている、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記電極領域に位置する前記第1ドーピング導電層の表面は、第2表面構造を備え、前記第2表面構造は、複数の第3ピラミッド構造を含み、前記非電極領域は、第3表面構造を備え、前記第3表面構造が複数の第4ピラミッド構造を含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記第2表面を覆う真性半導体層と、
前記真性半導体層の前記基板から離れた側の表面を覆う第2ドーピング導電層と、
前記第2ドーピング導電層の前記真性半導体層から離れた側の表面を覆う透明導電層と、をさらに含み、
前記第1ドーピング導電層におけるドーピング元素のタイプが前記第2ドーピング導電層におけるドーピング元素のタイプと異なっている、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記電極領域は、第1上面を備え、前記非電極領域は、第2上面を備え、前記第2表面を基準として、前記第1上面が前記第2上面よりも高く、前記第1上面と前記第2上面との高さの差は、0.5μm~10μmである、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項10】
初期基板を提供することであって、前記初期基板が対向設置された初期第1表面及び初期第2表面を備え、前記初期第1表面が間隔をあけて交互に設置された初期電極領域及び初期非電極領域と、前記初期電極領域と前記初期非電極領域の間に位置する初期遷移領域と、を含むことと、
前記初期第1表面を覆う初期第1誘電体層を形成することと、
前記初期第1誘電体層の前記初期基板から離れた側の表面を覆う初期第1ドーピング導電層を形成することと、
レーザー工程で前記初期遷移領域と前記初期非電極領域に位置する前記初期第1誘電体層と前記初期第1ドーピング導電層を除去して、第1表面を備える基板を形成し、ここで、レーザー工程により処理された後の前記初期電極領域、前記初期遷移領域及び前記初期非電極領域は、それぞれ電極領域、遷移領域及び非電極領域であり、前記遷移領域が第1表面構造を備え、前記第1表面構造が前記電極領域に向かって傾斜する複数の角柱構造を含み、複数の前記角柱構造が少なくとも第1方向に沿って順次配列され、前記第1方向が前記遷移領域の延在方向であり、前記電極領域に位置する残りの前記初期第1誘電体層が第1誘電体層であり、前記電極領域に位置する残りの前記初期第1ドーピング導電層が第1ドーピング導電層であることと、を含む、
ことを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項11】
前記初期第1誘電体層を形成するステップにおいて、さらに、前記初期第2表面を覆う第2誘電体層を形成することを含み、
前記初期第1ドーピング導電層を形成するステップにおいて、さらに、前記第2誘電体層の前記初期基板から離れた側の表面を覆う第2ドーピング導電層を形成することを含み、前記初期第1ドーピング導電層におけるドーピング元素のタイプが前記第2ドーピング導電層におけるドーピング元素のタイプと異なっている、
ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項12】
前記初期第1ドーピング導電層を形成する前に、さらに、前記初期第2表面を覆う真性半導体層を形成することを含み、
前記初期第1ドーピング導電層を形成するステップにおいて、さらに、前記真性半導体層の前記初期基板から離れた側の表面を覆う第2ドーピング導電層を形成することを含み、前記初期第1ドーピング導電層におけるドーピング元素のタイプが前記第2ドーピング導電層におけるドーピング元素のタイプと異なっている、
ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項13】
前記初期第1誘電体層を形成する前に、さらに、前記初期第1表面に対して第1エッチング工程を行って、前記初期第1表面に第1テクスチャ構造を持たせることを含み、
レーザー工程で前記初期遷移領域と前記初期非電極領域に位置する前記初期第1誘電体層と前記初期第1ドーピング導電層を除去するステップにおいて、前記初期電極領域に位置する前記第1ドーピング導電層が第2表面構造を備え、前記初期遷移領域に位置する前記第1テクスチャ構造が前記第1表面構造に変換され、前記初期非電極領域に位置する前記第1テクスチャ構造が第3表面構造に変換され、
ここで、前記第1表面構造が複数の第1ピラミッド構造を含み、前記第2表面構造が複数の第3ピラミッド構造を含み、前記第3表面構造が複数の第4ピラミッド構造を含
ことを特徴とする請求項11に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項14】
請求項1~9のいずれか1項に記載の太陽電池を複数接続してなるセルストリングと、
前記セルストリングの表面を覆うための封止用接着フィルムと、
前記封止用接着フィルムの前記セルストリングから離れた表面を覆うためのカバープレートと、を含む、
ことを特徴とする光起電力モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、光起電力の分野に関し、特に、太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、太陽電池は、新しいエネルギー代替案として、ますます広く使用されている。太陽電池は、光起電力の原理を利用してキャリアを生じさせ、電極でキャリアを引き出すことで、電気エネルギーを有効に活用するのに寄与する。
【0003】
現在、太陽電池は、主にIBC(インターディジテッドバックコンタクト、Interdigitated Back Contact)セル、TOPCON(トンネル酸化膜パッシベーションコンタクト、Tunnel Oxide Passivated Contact)セル、PERCセル(不動態化エミッター及びリアセル、 Passivated Emitter and Real Cell)及びHJT(Heterojunction with Intrinsic Thinfilm、ヘテロ接合)セルなどを含んでいる。
【0004】
しかしながら、現在、設計されている太陽電池の光電変換効率は、もう一歩向上させる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の実施例には、少なくとも太陽電池の光電変換効率の向上に有利である太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュールが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のいくつかの実施例によれば、本開示の実施例の一態様では、太陽電池が提供され、この太陽電池は、基板と、電極領域に位置する第1誘電体層と、前記第1誘電体層の前記電極領域から離れた側に位置する第1ドーピング導電層とを含み、前記基板が対向設置された第1表面及び第2表面を備え、前記第1表面が、間隔をあけて交互に設置された前記電極領域及び非電極領域と、前記電極領域と前記非電極領域の間に位置する遷移領域と、を含み、前記遷移領域が第1表面構造を備え、前記第1表面構造が前記電極領域に向かって傾斜する複数の角柱構造を含み、複数の前記角柱構造が少なくとも第1方向に沿って順次配列され、前記第1方向が前記遷移領域の延在方向である。
【0007】
いくつかの実施例では、前記角柱構造は、第1角柱構造と、第2角柱構造と、を含み、前記角柱構造の傾斜方向に沿って、前記第1角柱構造の第1長さが前記第2角柱構造の第2長さよりも大きく、少なくとも一部の前記第2角柱構造が前記第1角柱構造の前記電極領域から離れた側面に位置する。
【0008】
いくつかの実施例では、複数の前記第2角柱構造が同じ前記第1角柱構造の前記電極領域から離れた側面に位置し、または、前記第1角柱構造の側面から離れた方向に沿って、複数の前記第2角柱構造が順次配列されている。
【0009】
いくつかの実施例では、前記第1表面構造は、第1ピラミッド構造をさらに含み、少なくとも一部の前記第1ピラミッド構造が前記遷移領域において前記非電極領域に近い一部の領域に位置し、少なくとも一部の前記角柱構造は、前記遷移領域において前記電極領域に近い一部の領域に位置している。
【0010】
いくつかの実施例では、前記第1表面構造は、複数の微細突起構造をさらに含み、前記微細突起構造が第2ピラミッド構造または三角形の板状構造のうち少なくとも一方を含み、ここで、前記微細突起構造の底部の一次元寸法が前記第1ピラミッド構造の底部の一次元寸法よりも小さい。
【0011】
いくつかの実施例では、前記太陽電池は、前記第2表面を覆う第2誘電体層と、前記第2誘電体層の前記基板から離れた側の表面を覆う第2ドーピング導電層と、をさらに含み、前記第1ドーピング導電層中のドーピング元素のタイプが前記第2ドーピング導電層中のドーピング元素のタイプと異なっている。
【0012】
いくつかの実施例では、前記電極領域に位置する前記第1ドーピング導電層の表面は、第2表面構造を備え、前記第2表面構造は、複数の第3ピラミッド構造を含み、前記非電極領域は、第3表面構造を備え、前記第3表面構造が複数の第4ピラミッド構造を含む。
【0013】
いくつかの実施例では、前記第1ピラミッド構造の底部の一次元寸法は、前記第3ピラミッド構造の底部の一次元寸法よりも大きく、前記第3ピラミッド構造の底部の一次元寸法は、前記第4ピラミッド構造の底部の一次元寸法よりも大きい。
【0014】
いくつかの実施例では、前記太陽電池は、前記第2表面を覆う真性半導体層と、前記真性半導体層の前記基板から離れた側の表面を覆う第2ドーピング導電層と、前記第2ドーピング導電層の前記真性半導体層から離れた側の表面を覆う透明導電層と、をさらに含み、前記第1ドーピング導電層におけるドーピング元素のタイプが前記第2ドーピング導電層におけるドーピング元素のタイプと異なっている。
【0015】
いくつかの実施例では、前記電極領域は正電極領域または負電極領域であり、前記第1誘電体層は、前記正電極領域に位置する第1サブ誘電体層と、前記負電極領域に位置する第2サブ誘電体層と、を含み、前記第1ドーピング導電層は、前記第1サブ誘電体層の前記正電極領域に近い側に位置する第1サブドーピング導電層と、前記第2サブ誘電体層の前記負電極領域に近い側に位置する第2サブドーピング導電層と、を含み、前記第1サブドーピング導電層におけるドーピング元素のタイプが前記第2サブドーピング導電層におけるドーピング元素のタイプと異なっている。
【0016】
いくつかの実施例では、前記電極領域が第4表面構造を備え、前記第4表面構造が複数のプラットホーム隆起構造を含み、前記非電極領域が第5表面構造を備え、前記第5表面構造が複数の第5ピラミッド構造を含み、ここで、前記第1ピラミッド構造の底部の一次元寸法は、前記第5ピラミッド構造の底部の一次元寸法よりも大きい。
【0017】
いくつの実施例では、前記電極領域は、第1上面を備え、前記非電極領域は、第2上面を備え、前記第2表面を基準として、前記第1上面が前記第2上面よりも高く、前記第1上面と前記第2上面との高さの差は、0.5μm~10μmである。
【0018】
本開示のいくつかの実施例によれば、本開示の実施例の一態様では、太陽電池の製造方法が提供され、この太陽電池の製造方法は、初期基板を提供することであって、前記初期基板が対向設置された初期第1表面及び初期第2表面を備え、前記初期第1表面が間隔をあけて交互に設置された初期電極領域及び初期非電極領域と、前記初期電極領域と前記初期非電極領域の間に位置する初期遷移領域と、を含むことと、前記初期第1表面を覆う初期第1誘電体層を形成することと、前記初期第1誘電体層の前記初期基板から離れた側の表面を覆う初期第1ドーピング導電層を形成することと、レーザー工程で前記初期遷移領域と前記初期非電極領域に位置する前記初期第1誘電体層と前記初期第1ドーピング導電層を除去して、第1表面を備える基板を形成し、ここで、レーザー工程により処理された後の前記初期電極領域、前記初期遷移領域及び前記初期非電極領域は、それぞれ電極領域、遷移領域及び非電極領域であり、前記遷移領域が第1表面構造を備え、前記第1表面構造が前記電極領域に向かって傾斜する複数の角柱構造を含み、複数の前記角柱構造が少なくとも第1方向に沿って順次配列され、前記第1方向が前記遷移領域の延在方向であり、前記電極領域に位置する残りの前記初期第1誘電体層が第1誘電体層であり、前記電極領域に位置する残りの前記初期第1ドーピング導電層が第1ドーピング導電層であることと、を含む。
【0019】
いくつかの実施例では、前記初期第1誘電体層を形成するステップにおいて、さらに、前記初期第2表面を覆う第2誘電体層を形成することを含み、前記初期第1ドーピング導電層を形成するステップにおいて、さらに、前記第2誘電体層の前記初期基板から離れた側の表面を覆う第2ドーピング導電層を形成することを含み、前記初期第1ドーピング導電層におけるドーピング元素のタイプが前記第2ドーピング導電層におけるドーピング元素のタイプと異なっている。
【0020】
いくつかの実施例では、前記初期第1ドーピング導電層を形成する前に、さらに、前記初期第2表面を覆う真性半導体層を形成することを含み、前記初期第1ドーピング導電層を形成するステップにおいて、さらに、前記真性半導体層の前記初期基板から離れた側の表面を覆う第2ドーピング導電層を形成することを含み、前記初期第1ドーピング導電層におけるドーピング元素のタイプが前記第2ドーピング導電層におけるドーピング元素のタイプと異なっている。
【0021】
いくつかの実施例では、前記初期第1誘電体層を形成する前に、さらに、前記初期第1表面に対して第1エッチング工程を行って、前記初期第1表面に第1テクスチャ構造を持たせることを含み、レーザー工程で前記初期遷移領域と前記初期非電極領域に位置する前記初期第1誘電体層と前記初期第1ドーピング導電層を除去するステップにおいて、前記初期電極領域に位置する第1ドーピング導電層が第2表面構造を備え、前記初期遷移領域に位置する前記第1テクスチャ構造が前記第1表面構造に変換され、前記初期非電極領域に位置する前記第1テクスチャ構造が第3表面構造に変換され、ここで、前記第2表面構造が複数の第3ピラミッド構造を含み、前記第3表面構造が複数の第4ピラミッド構造を含み、前記第1ピラミッド構造の底部の一次元寸法が前記第3ピラミッド構造の底部の一次元寸法よりも大きく、前記第3ピラミッド構造の底部の一次元寸法が前記第4ピラミッド構造の底部の一次元寸法よりも大きい。
【0022】
いくつかの実施例では、前記初期電極領域は、初期正電極領域と初期負電極領域とを含み、形成された前記第1誘電体層は、第1サブ誘電体層と第2サブ誘電体層とを含み、前記第1サブ誘電体層が前記正電極領域に位置し、前記第2サブ誘電体層が前記負電極領域に位置し、形成された前記第1ドーピング導電層は、第1サブドーピング導電層と第2サブドーピング導電層とを含み、前記第1サブドーピング導電層が前記第1サブ誘電体層の前記正電極領域に近い側に位置し、前記第2サブドーピング導電層が前記第2サブ誘電体層の前記負電極領域に近い側に位置し、前記第1サブドーピング導電層におけるドーピング元素のタイプが前記第2サブドーピング導電層におけるドーピング元素のタイプと異なっている。
【0023】
本開示のいくつかの実施例によれば、本開示の実施例の一態様では、光起電力モジュール提供され、この光起電力モジュールは、上述した太陽電池を複数接続してなりまたは上述した製造方法で形成された太陽電池を複数接続してなるセルストリングと、前記セルストリングの表面を覆うための封止用接着フィルムと、前記封止用接着フィルムの前記セルストリングから離れた表面を覆うためのカバープレートと、を含む。
【発明の効果】
【0024】
本開示の実施例に提供された技術案は、少なくとも以下の利点を有する。
【0025】
第1表面は、電極領域と、遷移領域と、非電極領域と、を含む。積層配置された第1誘電体層及び第1ドーピング導電層が電極領域に設置され、第1誘電体層及び第1ドーピング導電層が電極領域に対するパッシベーションコンタクト構造を構成し、これによって、第1誘電体層の電極領域に対する化学的パッシベーション作用と第1ドーピング導電層の電極領域に対するフィールドパッシベーション作用とによって、電極領域の深刻なキャリア再結合問題を改善し、この後に電極領域に形成された電極の基板におけるキャリアに対する収集効率を高めるのに寄与する。一方、電極領域のみに第1誘電体層と第1ドーピング導電層を形成することで、第1誘電体層及び第1ドーピング導電層が第1表面110に照射された入射光に対する非電極領域と遷移領域の吸収を下げることを防止し、即ち電極領域の深刻なキャリア再結合問題を改善するとともに、第1表面の入射光に対する高吸収率を確保するのに寄与する。
【0026】
さらに、遷移領域は、電極領域に向かって傾斜する複数の角柱構造を備え、且つ複数の角柱構造が少なくとも第1方向に沿って順次配列され、第1方向が遷移領域の延在方向である。すなわち、遷移領域の延在方向に沿って、電極領域と非電極領域との間に少なくとも1列の角柱構造が隔てられ、この少なくとも1列の角柱構造が電極領域に向かって傾斜することによって、異なる角度で遷移領域に入射した入射光が、少なくとも1回の反射によって角柱構造を介して遷移領域に吸収される確率が高くなり、かつ、少なくとも1回の反射によって角柱構造を介して非電極領域に反射されて非電極領域に吸収される確率が高くなり、第1表面の入射光に対する吸収率を高めるのに寄与する。
【0027】
したがって、電極領域の深刻なキャリア再結合問題を改善し、かつ第1表面の入射光に対する吸収率を高めることで、太陽電池の光電変換効率を向上させている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
一つ又は複数の実施例は、対応する添付の図面における図で例示的に説明されるが、これらの例示的な説明は、実施例を限定するものではなく、添付の図面において同じ符号で示す部品は類似する部品であり、特に断りのない限り、添付の図面における図は縮尺に制限されない。本開示の実施例または従来技術における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例に使用する必要がある図面を簡単に紹介するが、明らかに、以下に記載される図面は本開示のいくつかの実施形態に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労働をしなくても、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
図1図1は、本開示の一実施例で提供された太陽電池の局所断面構造を示す図である。
図2図2は、本開示の一実施例で提供された太陽電池の局所立体電子顕微鏡模式図である。
図3図3は、本開示の一実施例で提供された太陽電池の電極領域、遷移領域及び非電極領域の局所走査型電子顕微鏡写真である。
図4図4は、本開示の一実施例で提供された太陽電池における角柱構造と微細突起構造の立体構造を示す図である。
図5図5は、本開示の一実施例で提供された微細突起構造の底部の上面視構造を示す図である。
図6図6は、本開示の一実施例で提供された微細突起構造の底部の別の上面視構造を示す図である。
図7図7は、本開示の一実施例で提供された第2ピラミッド構造及び第1ピラミッド構造の1つの配列例である。
図8図8は、本開示の一実施例で提供された第2ピラミッド構造と第1ピラミッド構造の別の配列例である。
図9図9は、本開示の一実施例で提供された太陽電池の別の局所断面構造を示す図である。
図10図10は、本開示の一実施例で提供された太陽電池の別の局所断面構造を示す図である。
図11図11は、本開示の一実施例で提供された太陽電池の別の局所断面構造を示す図である。
図12図12は、本開示の一実施例で提供された太陽電池における基板の局所断面構造を示す図である。
図13図13は、本開示の一実施例で提供された太陽電池における第1ドーピング導電層の走査型電子顕微鏡写真である。
図14図14は、本開示の一実施例で提供された太陽電池における第2ドーピング導電層の走査型電子顕微鏡写真である。
図15図15は、本開示の別の実施例で提供された太陽電池の製造方法におけるステップに対応する局所断面構造を示す図である。
図16図16は、本開示の別の実施例で提供された太陽電池の製造方法におけるステップに対応する局所断面構造を示す図である。
図17図17は、本開示の別の実施例で提供された太陽電池の製造方法におけるステップに対応する局所断面構造を示す図である。
図18図18は、本開示の別の実施例で提供された太陽電池の製造方法におけるステップに対応する局所断面構造を示す図である。
図19図19は、本開示の別の実施例で提供された太陽電池の製造方法におけるステップに対応する局所断面構造を示す図である。
図20図20は、本開示の別の実施例で提供された太陽電池の製造方法におけるステップに対応する局所断面構造を示す図である。
図21図21は、本開示の別の実施例で提供された光起電力モジュールの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
背景技術から、太陽電池の光電変換効率は、高められる必要があることが分かった。
【0030】
分析によると、現在、太陽電池の光電変換効率が低い原因は、基板の表面で一般的に拡散工程を使って基板の一部をエミッタに変換し、エミッタには基板と異なる種類のドーピング元素が含まれているため、エミッタとドーピング元素が拡散されていない基板とがPN接合を形成し、基板表面の電極領域でのキャリアの再結合が大きすぎるようになって、太陽電池の開放電圧と光電変換効率に影響しやすいおそれがあることであることがわかった。
【0031】
本願の実施例は、太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュールを提供し、太陽電池では、電極領域に積層配置された第1誘電体層と第1ドーピング導電層を設置し、第1誘電体層と第1ドーピング導電層の電極領域に対するパッシベーション作用によって電極領域の深刻なキャリア再結合問題を改善し、この後に電極領域に形成される電極の基板におけるキャリアに対する収集効率を高める。一方、電極領域のみに第1誘電体層と第1ドーピング導電層を形成することで、第1誘電体層と第1ドーピング導電層が第1表面に照射された入射光に対する非電極領域と過渡領域の吸収を低減することを防止し、また、過渡領域が電極領域に向かって傾斜した角柱構造を少なくとも1列有していることで、異なる角度で過渡領域に入射した入射光が角柱構造を介して過渡領域に吸収される確率が高くなり、かつ、角柱構造を介して非電極領域に反射されて非電極領域に吸収される確率が高くなり、第1表面の入射光に対する吸収率を高めるのに寄与する。したがって、電極領域の深刻なキャリア再結合問題を改善し、かつ第1表面の入射光に対する吸収率を高めることで、太陽電池の光電変換効率を高める。
【0032】
以下、本開示の各実施例について図面を結合して詳細に説明する。しかしながら、当業者は理解できるが、読者に本願をよりよく理解させるために、本開示の実施例において多数の技術的細部が提案されているが、これらの技術的細部及び以下の各実施例に基づく種々の変更や修正がなくても、本開示の実施例が保護を要求している技術案を実現することができる。
【0033】
本願の一実施例は、太陽電池を提供しており、以下、図面を参照しながら、本願の一実施例で提供された太陽電池について詳しく説明する。
【0034】
図1図4に示すように、太陽電池は、基板100と、電極領域101に位置する第1誘電体層104と、第1誘電体層104の電極領域101から離れた側に位置する第1ドーピング導電層105とを含み、基板100が対向設置された第1表面110及び第2表面120を備え、第1表面110が、間隔をあけて交互に設置された電極領域101及び非電極領域103と、電極領域101と非電極領域103の間に位置する遷移領域102と、を含み、遷移領域102が第1表面構造112を備え、第1表面構造112が電極領域101に向かって傾斜する複数の角柱構造122を含み、複数の角柱構造122が少なくとも第1方向Xに沿って順次配列され、第1方向Xが遷移領域102の延在方向である。
【0035】
なお、図1は、本願の一実施例で提供された太陽電池の局所断面構造を示す図であり、図2は、本願の一実施例で提供された太陽電池の局所立体電子顕微鏡模式図であり、図3は、図2の枠I箇所の拡大電子顕微鏡写真であり、図4は、本願の一実施例で提供された太陽電池における角柱構造と微細突起構造の立体構造を示す図である。また、電極領域101、遷移領域102、非電極領域103、第1誘電体層104、第1ドーピング導電層105の大まかな位置を示すために、図1には、基板100、第1誘電体層104及び第1ドーピング導電層105の表面形態の特徴が示されていない。
【0036】
図1に示すように、第1表面110は、複数の電極領域101と、複数の遷移領域102と、複数の非電極領域103と、を含む。積層配置された第1誘電体層104及び第1ドーピング導電層105が電極領域101に設置され、第1誘電体層104及び第1ドーピング導電層105が電極領域101に対するパッシベーションコンタクト構造を構成し、これによって、第1誘電体層104の電極領域101に対する化学的パッシベーション作用と第1ドーピング導電層105の電極領域101に対するフィールドパッシベーション作用とによって、電極領域101の深刻なキャリア再結合問題を改善し、この後に電極領域101に形成された電極の基板100におけるキャリアに対する収集効率を高めるのに寄与する。一方、電極領域101のみに第1誘電体層104と第1ドーピング導電層105を形成することで、第1誘電体層104及び第1ドーピング導電層105が第1表面110に照射された入射光に対する非電極領域103と遷移領域102の吸収を下げることを防止し、即ち電極領域101の深刻なキャリア再結合問題を改善するとともに、第1表面110の入射光に対する高吸収率を確保するのに寄与する。
【0037】
さらに、図3に示すように、第1表面構造112は、電極領域101に向かって傾斜する複数の角柱構造122を備え、且つ複数の角柱構造122が少なくとも第1方向Xに沿って順次配列され、第1方向Xが遷移領域102の延在方向である。これにより、第1方向Xに沿って、電極領域101と非電極領域103との間に少なくとも1列の角柱構造122が隔てられ、この少なくとも1列の角柱構造122が電極領域101に向かって傾斜することによって、異なる角度で遷移領域102に入射した入射光が、少なくとも1回の反射によって角柱構造122を介して遷移領域102に吸収される確率が高くなり、かつ、少なくとも1回の反射によって角柱構造122を介して非電極領域103に反射されて非電極領域103に吸収される確率が高くなり、第1表面110の入射光に対する吸収率を高めるのに寄与する。
【0038】
したがって、電極領域101の深刻なキャリア再結合問題を改善し、かつ第1表面110の入射光に対する吸収率を高めることで、太陽電池の光電変換効率を向上させている。
【0039】
いくつかの実施例では、図3に示すように、第1方向Xに沿って複数列の角柱構造122が配列されており、角柱構造122の傾斜方向に沿って、電極領域101に最も近い1列の角柱構造122の傾斜長さの平均値が他の列の角柱構造122の傾斜長さの平均値よりも大きく、且つ他の列の角柱構造122が電極領域101に最も近い列の角柱構造122の側面に位置している。これにより、遷移領域102に入射した入射光が遷移領域102または非電極領域103に吸収される確率をさらに高めるのに寄与する。
【0040】
いくつかの実施例では、電極領域101とは、基板100の厚さ方向に沿って、基板100内の電極に正対する領域または電極の基板100への正投影が位置する領域を指す。また、遷移領域102と非電極領域103とは、基板100内の電極に正対していない領域または電極以外の領域の基板100への正投影が位置する領域を指し、且つ、遷移領域102が電極領域101と非電極領域103の間に位置している。実際の応用において、電極領域101の基板100への正投影の面積は、電極の基板100への正投影の面積以上であってもよく、電極と基板100との接触する領域が全部電極領域101であることを確保するのに寄与する。
【0041】
なお、上述した電極は、いずれも後述する基板100の第1表面110に正対する電極である。上述した電極領域101と非電極領域103の定義は、後述する非IBCセルを対象とする場合、太陽電池の2つの異なる極性の電極は、それぞれ基板100の対向する2つの側面に位置し、上述した電極は、第1表面110に位置する電極であり、太陽電池がIBCセルである場合または2つの異なる極性の導電性電極が基板100の同じ側に位置する場合、1つの電極領域101は、2種類の極性の電極のいずれかに正対する領域を指す。
【0042】
以下、図面を参照しながら、本願の実施例をより詳細に説明する。
【0043】
いくつかの実施例では、図3及び図4に示すように、角柱構造122は、第1角柱構造132と、第2角柱構造142と、を含み、角柱構造122の傾斜方向に沿って、第1角柱構造132の第1長さL1が第2角柱構造142の第2長さL2よりも大きく、少なくとも一部の第2角柱構造142が第1角柱構造132の電極領域101から離れた側面に位置する。これにより、遷移領域102に入射した入射光が遷移領域102または非電極領域103に吸収される確率をさらに高めるのに寄与する。
【0044】
なお、図4に示すように、第1角柱構造132の第1長さL1は、複数の第1角柱構造132のうちの最も短い第1角柱構造132の傾斜長さとして定義され、第2角柱構造142の第2長さL2は、複数の第2角柱構造142のうちの最も長い第2角柱構造142の傾斜長さとして定義されることができる。これに基づいて、第1角柱構造132の第1長さL1が第2角柱構造142の第2長さL2よりも大きいことは、複数の第1角柱構造132のうちの最も短い第1角柱構造132の傾斜長さが、複数の第2角柱構造142のうちの最も長い第2角柱構造142の傾斜長さよりも大きいことを指す。
【0045】
実際の応用において、第1角柱構造132の第1長さL1は、複数の第1角柱構造132の傾斜長さの平均値として定義され、第2角柱構造142の第2長さL2は、複数の第2角柱構造142の傾斜長さの平均値として定義されることができる。これに基づいて、第1角柱構造132の第1長さL1が第2角柱構造142の第2長さL2よりも大きいことは、複数の第1角柱構造132の傾斜長さの平均値が複数の第2角柱構造142の傾斜長さの平均値よりも大きいことを指す。
【0046】
また、図3では、第1角柱構造132と第2角柱構造142の境界線をより太く、より密な点線で描いており、傾斜長さがこの点線よりも大きい角柱構造122は、第1角柱構造132であり、傾斜長さがこの点線よりも小さい角柱構造122は、第2角柱構造142である。なお、境界線の定義は、実際状況に応じて調整されることができる。
【0047】
いくつかの実施例では、角柱構造122の傾斜方向に沿って、第1角柱構造132の第1長さL1は、1μm~9μmであってもよいし、第2角柱構造142の第2長さL2は、200nm~5μmであってもよい。
【0048】
いくつかの実施例では、図3に示すように、第1角柱構造132の電極領域101から離れる側における第2角柱構造142の配列は、以下の2つの状況を含む。いくつかの状況では、1つの第2角柱構造142が第1角柱構造132の電極領域101から離れた側に位置する。他のいくつかの状況では、複数の第2角柱構造142が同じ第1角柱構造132の電極領域101から離れた側面に位置し、且つ各第2角柱構造142がいずれも当該側面に接触して接続される。
【0049】
他のいくつかの実施例では、図3に示すように、第1角柱構造132の側面から離れた方向に沿って、複数の第2角柱構造142が順次配列されている。例えば、複数の第2角柱構造142のうち、第1角柱構造132の側面に最も近い第2角柱構造142のみが第1角柱構造132の側面に接触して接続されている。
【0050】
なお、同じ遷移領域102が有する複数の角柱構造122は、上述した2つの実施例のうちの少なくとも1つの角柱構造122であり、即ち、同じ遷移領域102が有する複数の角柱構造122は、それぞれ上述した2つの実施例における角柱構造122の特徴を有してもよいし、上述したいずれかの実施例における角柱構造122の特徴を有してもよい。
【0051】
いくつかの実施例では、図3及び図4に示すように、第1表面構造112は、第1ピラミッド構造152をさらに含み、少なくとも一部の第1ピラミッド構造152が遷移領域102において非電極領域103に近い一部の領域に位置している。言い換えれば、遷移領域102の非電極領域103に近い一部の領域には、より典型的な第1ピラミッド構造152がある。
【0052】
いくつかの実施例では、図3及び図4に示すように、少なくとも一部の角柱構造122は、遷移領域102において電極領域101に近い一部の領域に位置している。例えば、角柱構造122は、第1ピラミッド構造152と電極領域101の間に位置している。
【0053】
いくつかの実施例では、図3及び図4に示すように、第1表面構造112は、複数の微細突起構造162をさらに含んでもよく、微細突起構造162が第2ピラミッド構造172または三角形の板状構造182のうち少なくとも一方を含み、ここで、微細突起構造162の底部の一次元寸法L3が第1ピラミッド構造152の底部の一次元寸法L4よりも小さい。
【0054】
なお、図3では、微細突起構造162が第2ピラミッド構造172または三角形の板状構造182の両方を含んだことを例としているが、実際の応用において、同じ遷移領域102の第1表面構造112にとって、微細突起構造162は、第2ピラミッド構造172または三角形の板状構造182の一方のみを含んでもよい。また、微細突起構造162は、第2ピラミッド構造172または三角形の板状構造182の一方であることに加えて、不規則な粒子状構造であってもよい。
【0055】
図4図6に示すように、微細突起構造162の底部の一次元寸法L3は、第1ピラミッド構造152の底部の一次元寸法L4よりも小さい。ここで、図5は、本願の一実施例で提供された微細突起構造162の底部の上面視構造を示す図であり、図6は、本願の一実施例で提供された微細突起構造162の底部の別の上面視構造を示す図である。また、第1角柱構造132、第2角柱構造142、第1ピラミッド構造152、第2ピラミッド構造172、及び三角形の板状構造182の特徴をはっきりと示すために、図4における第1角柱構造132、第2角柱構造142、第1ピラミッド構造152、第2ピラミッド構造172及び三角形の板状構造182は、いずれも透視図法を採用している。
【0056】
なお、図5に示すように、微細突起構造162の底部の一次元寸法L3は、微細突起構造162の底部の基板100への正投影パターンの長さ、幅または対角線の長さのいずれかを含む。また、図5では、微細突起構造162の底部の基板100への正投影パターンが規則的な四角形であることを例としており、この場合、微細突起構造162の底部の一次元寸法L3は、規則的な四角形の長さ、幅または対角線の長さのうちのいずれかである。
【0057】
実際の応用において、微細突起構造162の底部の基板100への正投影パターンは、不規則な多角形であってもよい。この場合、微細突起構造162の底部の基板100への正投影パターンの長さ、幅または対角線の長さは、絶対的なものではなく、微細突起構造162の底部を表すために人為的に定義された一次元寸法L3である。例えば、図6に示すように、微細突起構造162の底部の基板100への正投影パターンは、不規則な四角形であり、この場合、微細突起構造162の底部の基板100への正投影パターンの長さL31は、不規則な四角形の最も長い辺の長さとして定義されることができ、微細突起構造162の底部の基板100への正投影パターンの幅L32は、不規則な四角形の最も短い辺の長さとして定義されることができ、微細突起構造162の底部の基板100への正投影パターンの対角線の長さL33は、不規則な四角形の最も長い対角線の長さとして定義されることができるが、以上は、例示的な説明であり、具体的には実際のニーズに応じて柔軟に定義できることが理解できる。
【0058】
また、微細突起構造162の底部の基板100への正投影パターンは、不規則な四角形のほか、他の不規則な多角形、円形または円形に類似する不規則な形状であってもよく、この場合、微細突起構造162の底部の一次元寸法L3は、微細突起構造162の底部の中の異なる特定面積の領域を複数選び、この特定面積の領域が実際のニーズに応じて柔軟に定義し、そして、異なる特定面積の領域の長さ、幅、対角線または直径の平均値を求めることができる。
【0059】
なお、図4に示すように、第1ピラミッド構造152の底部の基板100への正投影パターンは、一般的に規則的な四角形であり、この場合、第1ピラミッド構造152の底部の一次元寸法L4は、規則的な四角形の長さ、幅または対角線の長さのいずれかである。実際の応用において、第1ピラミッド構造152の底部の基板100への正投影パターンは、不規則な四角形であってもよく、このとき、微細突起構造162の底部の基板100への正投影パターンが不規則な四角形である場合の一次元寸法L3の定義と類似しているため、ここで繰り返して説明する必要がない。
【0060】
また、異なる第1ピラミッド構造152の底部の一次元寸法L4は、異なってもよいし、同じであってもよいが、第1ピラミッド構造152の底部の一次元寸法L4は、ある数値範囲内にある。異なる微細突起構造162の底部の一次元寸法L3は、異なってもよいし、おなじであってもよいが、微細突起構造162の底部の一次元寸法L3もある数値範囲内にある。微細突起構造162の底部の一次元寸法L3が第1ピラミッド構造152の底部の一次元寸法L4よりも小さいことは、遷移領域102における複数の微細突起構造162の底部の一次元寸法L3の平均値が遷移領域102における複数の第1ピラミッド構造152の底部の一次元寸法L4の平均値よりも小さいことを指す。
【0061】
以下、第2ピラミッド構造172の具体的な特徴について詳しく説明する。
【0062】
いくつかの実施例では、図7に示すように、図7は、本願の一実施例で提供された第2ピラミッド構造172及び第1ピラミッド構造152の1つの配列例であり、第2ピラミッド構造172の底部が第1ピラミッド構造152の底部に接触して接続されている。場合によって、同じ第1ピラミッド構造152の底部の周りに複数の第2ピラミッド構造172が取り囲まれることができ、各第2ピラミッド構造172の底部がいずれもこの第1ピラミッド構造152の底部に接触して接続されている。
【0063】
他のいくつかの実施例では、図8に示すように、図8は、本願の一実施例で提供された第2ピラミッド構造172と第1ピラミッド構造152の別の配列例であり、少なくとも1つの第2ピラミッド構造172が隣接する2つの第1ピラミッド構造152の間隔に位置している。言い換えれば、第2ピラミッド構造172の底部は、第1ピラミッド構造152の底部に接触して接続されていない。
【0064】
なお、同じ遷移領域102が備える第2ピラミッド構造172は、上述した2種類の実施例における少なくとも1種類の第2ピラミッド構造172であり、即ち、同じ遷移領域102が備える複数の第2ピラミッド構造172は、それぞれ上述した2種類の実施例における第2ピラミッド構造172の特徴を有してもよいし、上述したいずれか1種類の実施例における第2ピラミッド構造172の特徴を有してもよい。
【0065】
以下、三角形の板状構造182の具体的な特徴について詳しく説明する。
【0066】
いくつかの実施例では、図3に示すように、三角形の板状構造182は第1ピラミッド構造152の側面に位置している。三角形の板状構造182が第1ピラミッド構造152の側面に配列された状況は、1つの三角形の板状構造182が第1ピラミッド構造152の側面に位置する場合と、1つの第1ピラミッド構造152の同じ側面に複数の三角形の板状構造182が付着され、且つ各三角形の板状構造182がいずれもこの側面に接触して接続される場合と、を含む。
【0067】
他のいくつかの実施例では、図3に示すように、第1ピラミッド構造152の側面から離れた方向に沿って、複数の三角形の板状構造182が順次配列されている。例えば、複数の三角形の板状構造182のうち、第1ピラミッド構造152の側面に最も近い三角形の板状構造182のみが第1ピラミッド構造152の側面に接触して接続されている。
【0068】
なお、同じ遷移領域102が備える三角形の板状構造182は、上述した2種類の実施例における少なくとも1種類の三角形の板状構造182であり、即ち、同じ遷移領域102が備える複数の三角形の板状構造182は、それぞれ上述した2種類の実施例における三角形の板状構造182の特徴を有してもよいし、上述したいずれか1種類の実施例における三角形の板状構造182の特徴を有してもよい。
【0069】
いくつかの実施例では、図9に示すように、図9は、本願の一実施例で提供された太陽電池の別の局所断面構造を示す図であり、太陽電池は、第2表面120を覆う第2誘電体層114と、第2誘電体層114の基板100から離れた側の表面を覆う第2ドーピング導電層115と、をさらに含んでもよく、第1ドーピング導電層105中のドーピング元素のタイプが第2ドーピング導電層115中のドーピング元素のタイプと異なっている。
【0070】
これにより、基板100の前面と裏面は、いずれも入射光または反射光を受光することに用いられることができ、第1表面110に位置する第1誘電体層104と第1ドーピング導電層105は、第1表面110のパッシベーションコンタクト構造を構成することに用いられ、第2表面120に位置する第2誘電体層114と第2ドーピング導電層115は、第2表面120のパッシベーションコンタクト構造を構成することに用いられ、第1表面110と第2表面120のいずれにもパッシベーションコンタクト構造を設けて、太陽電池が両面TOPCONセルを構成するようになる。これにより、第1表面110と第2表面120に位置するパッシベーションコンタクト構造は、それぞれ第1表面110と第2表面120に対してキャリア再結合を低減する役割を果たし、基板100の一方の表面のみにパッシベーションコンタクト構造を形成することに比べて、太陽電池のキャリア損失を大幅に低減し、太陽電池の開放電圧と短絡電流を向上させている。
【0071】
ここで、パッシベーションコンタクト構造を形成することにより、基板100の表面でのキャリアの再結合を低減することができ、太陽電池の開放電圧を上昇させ、太陽電池の光電変換効率を向上させる。
【0072】
なお、両面TOPCONセルにおける電極領域101、遷移領域102、非電極領域103、第1誘電体層104及び第1ドーピング導電層105などの膜層の大まかな位置を示すために、図9では、基板100、第1誘電体層104及び第1ドーピング導電層105の表面形態の特徴を示していない。
【0073】
場合によって、第1ドーピング導電層105及び第2ドーピング導電層115は、フィールドパッシベーション作用を果たし、少数キャリアを界面から脱出させることで、少数キャリア濃度を下げ、基板100の界面でのキャリア再結合速度が低くなり、それによって太陽電池の開放電圧、短絡電流及びバッキングファクターを高め、太陽電池の光電変換性能を改善する。
【0074】
いくつかの実施例では、第1ドーピング導電層105及び第2ドーピング導電層115の材料は、炭化ケイ素、アモルファスシリコン、微結晶シリコンまたは多結晶シリコンのうちの少なくとも1つを含む。
【0075】
場合によって、第1誘電体層104と第2誘電体層114は、基板100の表面の界面パッシベーションを実現することに用いられ、化学的パッシベーション効果を果たし、具体的には、基板100の表面のダングリングボンドを飽和させることで、基板100表面の界面欠陥準位密度を低下させ、基板100表面の再結合中心を減少させる。
【0076】
いくつかの実施例において、第1誘電体層104と第2誘電体層114の材料は、誘電体材料であってもよく、例えば、酸化シリコン、フッ化マグネシウム、アモルファスシリコン、ポリシリコン、炭化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸化アルミニウム、または酸化チタンのいずれであってもよい。
【0077】
いくつかの実施例では、基板100内にドーピング元素を備え、ドーピング元素のタイプはN型またはP型であり、N型元素はリン(P)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)またはヒ素(As)などのV族元素であってもよく、P型元素はホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)またはインジウム(In)などのIII族元素であってもよい。例えば、基板100がP型基板100である場合、その内部のドーピング元素のタイプはP型であり、または、基板100がN型基板100である場合、その内部のドーピング元素のタイプはN型である。
【0078】
いくつかの実施例では、基板100がN型基板100である場合、第1ドーピング導電層105及び第2ドーピング導電層115におけるドーピング元素のタイプは、第1ドーピング導電層105におけるドーピング元素のタイプがN型であり、第2ドーピング導電層115におけるドーピング元素のタイプがP型である場合と、第1ドーピング導電層105におけるドーピング元素のタイプがP型であり、第2ドーピング導電層115におけるドーピング元素のタイプがN型である場合と、を含む。
【0079】
いくつかの実施例では、基板100がP型基板100である場合、第1ドーピング導電層105及び第2ドーピング導電層115におけるドーピング元素のタイプも、第1ドーピング導電層105におけるドーピング元素のタイプがN型であり、第2ドーピング導電層115におけるドーピング元素のタイプがP型である場合と、第1ドーピング導電層105におけるドーピング元素のタイプがP型であり、第2ドーピング導電層115におけるドーピング元素のタイプがN型である場合と、を含む。
【0080】
いくつかの実施例では、両面TOPCONセルにおける第1表面110は、基板100の前面であり、第2表面120は、基板100の背面である。前面に位置するパッシベーションコンタクト構造は、電極領域101のみに設置されており、裏面に位置するパッシベーションコンタクト構造は、全面に設置されている。上述した実施例では、第2ドーピング導電層115におけるドーピング元素のタイプが基板100におけるドーピング元素のタイプと異なった場合、基板100の裏面にはPN接合が設けられていることに相当し、基板100の裏面にキャリア再結合問題が発生しやすい。これにより、基板100の前面と基板100の裏面に異なるパッシベーションコンタクト構造を設置することに対応するために、第1誘電体層104の厚さが第2誘電体層114の厚さと異なるように設定することができる。例えば、第1誘電体層104の厚さが第2誘電体層114の厚さよりも薄くなってもよい。これにより、第2誘電体層114の基板100の裏面に対する化学的パッシベーション効果を高め、基板100の裏面のダングリングボンドをさらに飽和させ、基板100の裏面の界面欠陥準位密度を下げ、ひいては基板100の裏面にキャリア再結合が起こりやすい問題を改善し、バッキングファクター、短絡電流及び開放電圧を高めるのに寄与する。
【0081】
また、第1ドーピング導電層105のドーピング元素のタイプは、基板100のドーピング元素のタイプと同じである。これによって、この後に電極領域101に形成される前面電極が基板100の前面の第1ドーピング導電層105と電気的に接触する際に、第1ドーピング導電層105と前面電極との間の金属コンタクト再結合を低減し、キャリアのコンタクト再結合を下げ、電流の伝送損失を低減するのに寄与する。
【0082】
いくつかの実施例では、図1及び図3に示すように、電極領域101に位置する第1ドーピング導電層105の表面は、第2表面構造125を備え、第2表面構造125は、複数の第3ピラミッド構造135を含む。
【0083】
なお、第1誘電体層104の厚さが第1ドーピング導電層105の厚さに対して十分小さいため、図3では第1ドーピング導電層105が電極領域101に位置することだけを示しており、電極領域101と第1ドーピング導電層105の間の第1誘電体層104を示していない。また、第1ドーピング導電層105の下方に位置する第1誘電体層104と電極領域101は、いずれも第1ドーピング導電層105と同じかまたはそれに近い表面形態を備えている。
【0084】
場合によって、図3に示すように、第2表面構造125は、主に第3ピラミッド構造135を含み、さらに他の突起構造145を備え、且つ複数の第3ピラミッド構造135が交互に配列されている。実際の応用において、複数の第3ピラミッド構造135の配列方式について限定しない。
【0085】
いくつかの実施例では、図3に示すように、非電極領域103は、第3表面構造113を備え、第3表面構造113が複数の第4ピラミッド構造123を含んだ。実際の応用において、複数の第4ピラミッド構造123の配列方式について限定しない。
【0086】
いくつかの実施例では、第1ピラミッド構造152の底部の一次元寸法L4は、第3ピラミッド構造135の底部の一次元寸法よりも大きく、第3ピラミッド構造135の底部の一次元寸法は、第4ピラミッド構造123の底部の一次元寸法よりも大きい。
【0087】
なお、第3ピラミッド構造135の底部の一次元寸法及び第4ピラミッド構造123の底部の一次元寸法は、いずれも本願の一実施例で第1ピラミッド構造152の底部の一次元寸法L4に対する定義と類似しているため、ここでは説明を割愛する。
【0088】
また、異なる第3ピラミッド構造135の底部の一次元寸法は、異なってもよいし、同じであってもよいが、第3ピラミッド構造135の底部の一次元寸法は、ある数値範囲内にあり、異なる第4ピラミッド構造123の底部の一次元寸法は、異なってもよいし、同じであってもよいが、第4ピラミッド構造123の底部の一次元寸法も、ある数値範囲内にある。これに基づいて、第1ピラミッド構造152の底部の一次元寸法L2が第3ピラミッド構造135の底部の一次元寸法よりも大きいことは、遷移領域102における複数の第1ピラミッド構造152の底部の一次元寸法L4の平均値が第1ドーピング導電層105における複数の第3ピラミッド構造135の底部の一次元寸法の平均値よりも大きいことを指す。第3ピラミッド構造135の底部の一次元寸法が第4ピラミッド構造123の底部の一次元寸法よりも大きいことは、第1ドーピング導電層105における複数の第3ピラミッド構造135の底部の一次元寸法の平均値が非電極領域103における複数の第4ピラミッド構造123の底部の一次元寸法の平均値よりも大きいことを指す。
【0089】
さらに、本願の一実施例では、第2ピラミッド構造172の底部の一次元寸法と第3ピラミッド構造135の底部の一次元寸法との大小関係について限定せず、第2ピラミッド構造172の底部の一次元寸法と第4ピラミッド構造123の底部の一次元寸法との大小関係についても限定しない。
【0090】
いくつかの実施例では、図9に示すように、太陽電池は、前面電極106をさらに含んでもよく、前面電極106が第1ドーピング導電層105と電気的に接続されている。基板100の裏面に形成されたPN接合は、入射光を受光して光生成キャリアを生成することに用いられ、生成された光生成キャリアが基板100から第1ドーピング導電層105に輸送され、そして、前面電極106に輸送される。前面電極106は、光生成キャリアを収集することに用いられる。
【0091】
いくつかの実施例では、第1ドーピング導電層105のドーピング元素のタイプと基板100のドーピング元素のタイプが同じであるため、前面電極106と第1ドーピング導電層105の間の金属コンタクト再結合損失を低減し、ひいては前面電極106と第1ドーピング導電層105の間のキャリアコンタクト再結合を下げ、短絡電流と太陽電池の光電変換性能を高めることができる。
【0092】
いくつかの実施例では、第1ドーピング導電層105の表面は、第2表面構造125を備え、前面電極106と基板100の前面との接触面積が大きいようになり、前面電極106と基板100の前面との接触抵抗を低減するのに寄与する。言い換えれば、前面電極106と基板100の前面との接触抵抗を一定に保つ上で、前面電極106の幅が小さいようにすることができ、前面電極106の入射光に対する遮蔽を低下させ、基板100の入射光に対する吸収能力を高めることができる。
【0093】
いくつかの実施例では、図9に示すように、太陽電池は、裏面電極116を含んでもよく、裏面電極116が基板100の裏面に位置し、裏面電極116が第2ドーピング導電層115と電気的に接触している。
【0094】
いくつかの実施例では、図9に示すように、太陽電池は、第1パッシベーション層107をさらに含んでもよく、第1パッシベーション層107が遷移領域102と非電極領域103の表面を覆い、かつ積層設置された第1誘電体層104及び第1ドーピング導電層105の表面を覆う。前面電極106が第1パッシベーション層107を貫通して第1ドーピング導電層105と電気的に接触している。
【0095】
いくつかの実施例では、図9に示すように、太陽電池は、第2パッシベーション層117をさらに含んでもよく、第2パッシベーション層117が第2ドーピング導電層115の第2誘電体層114から離れた表面を覆う。裏面電極116が第2パッシベーション層117を貫通して第2ドーピング導電層115と電気的に接続されている。
【0096】
いくつかの実施例では、第1パッシベーション層107及び第2パッシベーション層117は、いずれも単層構造または積層構造であってもよく、第1パッシベーション層107の材料及び第2パッシベーション層117目の材料は、いずれも酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸炭窒化ケイ素、酸化チタン、酸化ハフニウムまたは酸化アルミニウムなどの材料のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0097】
以下、太陽電池でHJTセルを構成することを例として詳しく説明する。
【0098】
いくつかの実施例では、図10に示すように、太陽電池は、第2表面220を覆う真性半導体層214と、真性半導体層214の基板200から離れた側の表面を覆う第2ドーピング導電層215と、第2ドーピング導電層215の真性半導体層214から離れた側の表面を覆う透明導電層207と、をさらに含み、第1ドーピング導電層205におけるドーピング元素のタイプが第2ドーピング導電層215におけるドーピング元素のタイプと異なっている。
【0099】
なお、図10における基板200、第1表面210、第2表面220、電極領域201、遷移領域202、非電極領域203、第1誘電体層204、第1ドーピング導電層205及び前面電極206は、いずれも上述した実施例での対応する構成と類似しているため、ここでは説明を割愛する。さらに、第1表面210、第2表面220、第1誘電体層204及び第1ドーピング導電層205の表面形態も上述した実施例での対応する表面形態と類似しているため、ここでは説明を割愛する。
【0100】
また、HJTセルにおける電極領域201、遷移領域202、非電極領域203、第1誘電体層204及び第1ドーピング導電層205などの膜層の大まかな位置を示すために、図10では基板200、第1誘電体層204及び第1ドーピング導電層205の表面形態の特徴を示していない。
【0101】
いくつかの実施例では、真性半導体層214が基板200と接触する界面は、太陽電池の開放電圧を高める一方で、基板200に対するより良いパッシベーション効果を高めることができるため、太陽電池の光電変換効率を高めるのに寄与する。
【0102】
いくつかの実施例では、真性半導体層214の材料は、真性アモルファスシリコン、酸化シリコン、窒化シリコンまたは炭化ケイ素を含む。いくつかの実施例では、真性半導体層の厚さは、2μm~10μmであり、例えば、真性半導体層の厚さは、5μmである。
【0103】
いくつかの実施例では、第2ドーピング導電層215の材料は、N型ドープまたはP型ドープされたアモルファスシリコン、アモルファス酸化シリコン、アモルファス炭化ケイ素、微結晶シリコン、水素化微結晶シリコン、微結晶酸化シリコン、微結晶炭化ケイ素または多結晶シリコン半導体薄膜のうちの1種または複数種が積層された複合薄膜層を含む。
【0104】
いくつかの実施例では、第2ドーピング導電層215の厚さは、4nm~500nmである。さらに、第2ドーピング導電層215の厚さ範囲は、200nm~400nmであり、例えば、第2ドーピング導電層215の厚さが20nm~103nm、103nm~139nm、139nm~161nm、161nm~218nm、218nm~298nmまたは298nm~500 nmであってもよい。
【0105】
いくつかの実施例では、第2ドーピング導電層215は、水素化微結晶シリコンを含んでおり、これによって、よりも大きなバンドギャップとより狭い吸収スペクトル範囲を第2ドーピング導電層215に持たせるようにするのに寄与するため、太陽電池の光電変換効率を効果的に高めることができる。さらに、結晶化率の向上につれて、直列抵抗が低下し、バッキングファクターが高くなるため、電池の出力電流を向上させ、電池の寿命を効果的に延ばす効果を達成することができる。
【0106】
いくつかの実施例では、透明導電層207の材料は、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、セリウムドープ酸化インジウム、タングステンドープ酸化インジウムのうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0107】
いくつかの実施例では、第2ドーピング導電層215と基板200の間にPN接合を構成している。PN接合の間に真性半導体層214を緩衝層として挿入しており、且つ真性半導体層214は、基板200の表面に対して良好なパッシベーション作用を備え、キャリアの再結合を大幅に防止することができ、少数キャリア寿命の向上と太陽電池の開放電圧の向上に寄与する。
【0108】
いくつかの実施例では、図10に示すように、太陽電池は、裏面電極216をさらに含んでもよく、裏面電極216が透明導電層207と電気的に接触している。
【0109】
場合によって、透明導電層207は、導電性を備え、キャリアは、真性半導体層214、第2ドーピング導電層215及び透明導電層207を順次通過し、最終的に裏面電極216に収集されることができる。
【0110】
以下、太陽電池でIBCセルを構成することを例として詳しく説明する。
【0111】
いくつかの実施例では、図11に示すように、図11は、本願の一実施例で提供された太陽電池の別の局所断面構造を示す図であり、電極領域301は正電極領域311または負電極領域321であり、第1誘電体層304は、正電極領域311に位置する第1サブ誘電体層314と、負電極領域321に位置する第2サブ誘電体層324と、を含み、第1ドーピング導電層305は、第1サブ誘電体層314の正電極領域311に近い側に位置する第1サブドーピング導電層315と、第2サブ誘電体層324の負電極領域321に近い側に位置する第2サブドーピング導電層325と、を含み、第1サブドーピング導電層315におけるドーピング元素のタイプが第2サブドーピング導電層325におけるドーピング元素のタイプと異なっている。
【0112】
なお、図11における基板300、第1表面310、第2表面320、遷移領域302及び非電極領域303は、いずれも上述した実施例での対応する構造と類似しているため、ここでは説明を割愛する。しかし、第1表面310の表面形態は、上述した実施例と異なっている。
【0113】
また、IBCセルにおける電極領域301、遷移領域302、非電極領域303、第1誘電体層304及び第1ドーピング導電層305などの膜層の大まかな位置を示すために、図11では、基板300、第1誘電体層304及び第1ドーピング導電層305の表面形態の特徴を示していない。
【0114】
いくつかの実施例では、IBCセルにおける第1表面310は、基板300の裏面であり、第2表面320は、基板300の前面である。
【0115】
いくつかの実施例では、基板300にもドーピング元素があり、第1サブドーピング導電層315におけるドーピング元素のタイプは、基板300におけるドーピング元素のタイプと異なり、第2サブドーピング導電層325におけるドーピング元素のタイプは、基板300におけるドーピング元素のタイプと同じである。
【0116】
いくつかの実施例では、図12に示すように、図12は、本願の一実施例で提供された太陽電池における基板300の局所断面構造を示す図であり、電極領域301が第4表面構造331を備え、第4表面構造331が複数のプラットホーム隆起構造341を含み、非電極領域303が第5表面構造313を備え、第5表面構造313が複数の第5ピラミッド構造323を含み、ここで、第1ピラミッド構造152(図4参照)の底部の一次元寸法L4(図4参照)は、第5ピラミッド構造323の底部の一次元寸法よりも大きい。
【0117】
なお、図11及び図12に示したIBCセルにおける遷移領域302の表面形態も、上述した実施例での対応する表面形態と類似しているため、ここでは説明を割愛する。また、図11及び図12では、遷移領域302の表面形態を示していない。したがって、ここでの第1ピラミッド構造152(図4参照)の底部の一次元寸法L4は、上述した実施例の表記を採用している。
【0118】
また、第5ピラミッド構造323の底部の一次元寸法は、本願の一実施例における第1ピラミッド構造152の底部の一次元寸法L4に対する定義と類似しているため、ここでは説明を割愛する。また、異なる第5ピラミッド構造323の底部の一次元寸法は、異なってもよいし、同じであってもよいが、第5ピラミッド構造323の底部の一次元寸法は、ある数値範囲内にあり、これに基づいて、第1ピラミッド構造152の底部の一次元寸法L4が第5ピラミッド構造323の底部の一次元寸法よりも大きいことは、遷移領域302における複数の第1ピラミッド構造底部の一次元寸法の平均値が非電極領域303における複数の第5ピラミッド構造323の底部の一次元寸法の平均値よりも大きいことを指す。
【0119】
いくつかの実施例では、プラットホーム隆起構造341は、ピラミッド構造の基礎部分、即ちピラミッド構造の先端部分を取り除いてから残った構造である。言い換えれば、完全なピラミッド構造に比べて、電極領域301の表面形態は、比較的平坦であり、電極領域301に形成された第1誘電体層304と第1ドーピング導電層305も、平坦な形態を備え、形成された第1誘電体層304と第1ドーピング導電層305の均一性を高めることができ、第1誘電体層304と第1ドーピング導電層305の電極領域301に対するパッシベーション効果を向上させ、電極領域301の欠陥準位密度をさらに下げるのに寄与する。
【0120】
上述した各種実施例では、図2に示すように、電極領域101は、第1上面を備え、非電極領域103は、第2上面を備え、第2表面120(図1参照)を基準として、第1上面が第2上面よりも高く、第1上面と第2上面との高さの差Hは、0.5μm~10μmである。
【0121】
なお、電極領域101の第1上面は、複数の第3ピラミッド構造135(図3参照)の先端部分で構成され、異なる第3ピラミッド構造135の寸法が異なることに基づいて、ここでの第1上面は、電極領域101における大部分の第3ピラミッド構造135の先端部分で構成される平面であり、実際の状況に応じてここでの大部分の第3ピラミッド構造135が電極領域101に占める割合を柔軟に選択できる。同様に、非電極領域103の第2上面は、複数の第4ピラミッド構造123(図3参照)の先端部分で構成されている。
【0122】
場合によって、第1上面と第2上面との間の高さの差Hは、3μm~4μmであり、例えば、Hが3.5μmであってもよい。
【0123】
いくつかの実施例では、図13は、本願の一実施例で提供された太陽電池における第1ドーピング導電層の走査型電子顕微鏡写真であり、図14は、本願の一実施例で提供された太陽電池における第2ドーピング導電層の走査型電子顕微鏡写真であり、図13及び図9に示すように、両面TOPCONセルでは、第1ドーピング導電層105内のドーピング元素のタイプがN型であり、第2ドーピング導電層115内のドーピング元素のタイプがP型である場合、第1ドーピング導電層105は、複数の第1シリコン結晶粒子1121を含み、複数の第1シリコン結晶粒子1121の表面が第1粗さを備える。
【0124】
場合によって、第1ドーピング導電層105の材料は、ドープ多結晶シリコンであり、第1ドーピング導電層105を形成する過程において、シリコン原子は、ダイヤモンド格子の形で多数の結晶核に配列され、これらの結晶核は、結晶面方位の異なる結晶粒に成長し、且つこれらの結晶粒を結合して多結晶シリコンとして結晶化する。ここで、第1シリコン結晶粒子とは、多結晶シリコンを構成する結晶面方位の異なる結晶粒子を指す。
【0125】
図13の走査型電子顕微鏡写真から、第1ドーピング導電層105の表面形態を直感的に観察できる。第1ドーピング導電層105は、複数の第1シリコン結晶粒子1121で構成され、複数の第1シリコン結晶粒子1121の凹凸が第1ドーピング導電層105の凹凸表面を構築しており、ひいては第1ドーピング導電層105の表面が第1粗さを備えるようになる。
【0126】
いくつかの実施例では、第1シリコン結晶粒子1121の結晶粒度の範囲は、10nm~300nmである。第1シリコン結晶粒子1121の結晶粒度は、10nm~53nm、53nm~95.3nm、95.3nm~138.2nm、138.2nm~200.6nm、200.6nm~248nmまたは248nm~300nmであってもよい。第1シリコン結晶粒子1121の結晶粒度は、第1シリコン結晶粒子1121で構成される表面の粗さが大きくなるように、上記の任意の範囲内にある。第1シリコン結晶粒子1121の結晶粒度が上記の任意の範囲内にあると、隣接する第1シリコン結晶粒子1121間の安定性が良く、第1ドーピング導電層105に結晶質の変形が起こりにくい。また、第1シリコン結晶粒子1121の結晶粒度は、上述した範囲内にあり、第1ドーピング導電層105の第1誘電体層104に対する応力が小さく、第1ドーピング導電層105と第1誘電体層104の間の膜層性能を改善することができる。
【0127】
いくつかの実施例では、第1シリコン結晶粒子1121の形状は、粒子状を含む。塊状構造に比べて、粒子状と粒子状の間の粒界が少なく、粒界と粒界の空間が大きく、第1ドーピング導電層105内のN型ドーピング元素は、粒界間の空間を通って移動し、最終的に前面電極106に収集されることができる。
【0128】
いくつかの実施例では、粒子状には球形粒子状または準球形粒子状が含まれている。
【0129】
いくつかの実施例では、第1誘電体層104の厚さは、0.5nm~5nmである。第1誘電体層104の厚さ範囲は、0.5nm~1.3nm、1.3nm~2.6nm、2.6nm~4.1nmまたは4.1nm~5nmである。第1誘電体層104が上記の任意の範囲内にあると、第1誘電体層104の厚さが薄くて、多数キャリアが容易に第1誘電体層104を通って量子トンネルを行うことができるが、少数キャリアが第1誘電体層104を通りにくくなり、これによって、キャリアの選択的な輸送を実現している。
【0130】
いくつかの実施例では、第1ドーピング導電層105の厚さは、10nm~300nmである。例えば、第1ドーピング導電層105の厚さが10nm~60nm、60nm~130nm、130nm~250nmまたは250nm~300nmであってもよい。
【0131】
図9及び図14に示すように、第2ドーピング導電層115には、P型ドーピング元素がドープされており、ここで、第2ドーピング導電層115の第2誘電体層114から離れた表面が第2粗さを備え、第2粗さが第1粗さよりも小さい。
【0132】
いくつかの実施例では、第2ドーピング導電層115は、複数の第2シリコン粒子1221を含み、複数の第2シリコン粒子1221の表面が第2粗さを備える第2ドーピング導電層115の表面を構成しており、第1シリコン結晶粒子1121の結晶粒度が第2シリコン粒子1221の結晶粒度よりも小さい。
【0133】
場合によって、「第1粗さと第2粗さ」の中の「粗さ」とは、サンプリングされた長さにおいて平均水平線を設定し、サンプリングされた長さ内のピークとバレーの平均水平線に対する垂直方向偏差量の絶対値の算術平均値を指す。粗さは、比較法、光切断法、干渉法、プローブスキャニング法によって測定されることができる。
【0134】
いくつかの実施例では、第2シリコン粒子1221の結晶粒度の範囲は、100nm~900nmである。第2シリコン粒子1221の結晶粒度は、100nm~250nm、250nm~360nm、360nm~490nm、490nm~584nm、584nm~610nm、610nm~790nmまたは790nm~900nmであってもよい。第2シリコン粒子1221の結晶粒度は、上記の任意の範囲内にあると、隣接する第2シリコン粒子1221間の粒界が小さく、キャリアが比較的容易に第2ドーピング導電層115を通ることができ、キャリアの移動速度を高め、電池効率の向上に寄与する。
【0135】
いくつかの実施例では、第2シリコン粒子1221の形状は、シート状、板状または粒子状であってもよい。図14に示す第2シリコン粒子1221のマイクロ形態は、シート状である。
【0136】
図13図14は、同じ倍率での第1ドーピング導電層105(図9参照)の表面形態及び第2ドーピング導電層115(図9参照)の表面形態である。これから見られるように、第1ドーピング導電層105の表面が第2ドーピング導電層115の表面よりも粗く、即ち第1粗さが第2粗さよりも大きい。これにより、第1ドーピング導電層105と第2ドーピング導電層115との形態の違いに基づいて、より高い粗さを備える第1ドーピング導電層105にとって、第1ドーピング導電層105の表面は、入射光の内部反射を高め、太陽電池の光学損失を低減することができる。また、第1ドーピング導電層105は、前面電極106と第1ドーピング導電層105の間の接触面積を大きくし、ひいては第1ドーピング導電層105の接触性能とハンダ付け引張力を改善することができる。低い粗さを備える第2ドーピング導電層115にとって、第2ドーピング導電層115の表面は、滑らかで、この後にそれに堆積するパッシベーション層の均一性がよく、且つパッシベーション層のパッシベーション性能がよく、太陽電池の再結合欠陥を改善することができる。
【0137】
なお、第1シリコン結晶粒子1121の形状及び第2シリコン粒子1221の形状は、電子顕微鏡または光学顕微鏡などの拡大倍率を備える測定手段によって観察されるものであり、電子顕微鏡が通常の測定手段である走査型電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)またはAFM(Atomic Force Microscope、原子間力顕微鏡)を含む。図13は、走査型電子顕微鏡による第1シリコン結晶粒子1121のマイクロ形態図であり、これから見られるように、第1シリコン結晶粒子1121が三次元方向の等長な粒子状を呈している。図14は、走査型電子顕微鏡による第2シリコン粒子1221のマイクロ形態図であり、これから見られるように、第2シリコン粒子1221が二次元方向に延びたシート状を呈している。
【0138】
いくつかの実施例において、図13及び図14に示すように、第1シリコン結晶粒子1121の結晶粒度が第2シリコン粒子1221の結晶粒度よりも小さいことは、第1シリコン結晶粒子1121の径方向一次元寸法が第2シリコン粒子1221の径方向一次元寸法よりも小さく、第1シリコン結晶粒子1121の高さが第2シリコン粒子1221の高さよりも大きいことを指す。これにより、第1シリコン結晶粒子1121で構成された第1ドーピング導電層105の粗さは、第2シリコン粒子1221で構成された第2ドーピング導電層115の粗さよりも大きい。
【0139】
場合によって、第1シリコン結晶粒子1121の径方向一次元寸法とは、第1シリコン結晶粒子1121の平均線長(または直径)を指し、第1シリコン結晶粒子1121の高さとは、第1シリコン結晶粒子1121の第1誘電体層104に近い側と第1シリコン結晶粒子1121の第1誘電体層104から離れた側との間の距離を指す。
【0140】
同様に、第2シリコン粒子1221の径方向一次元寸法とは、第2シリコン粒子1221の平均線長(または直径)を指し、第2シリコン粒子1221の高さとは、第2シリコン粒子1221の第2誘電体層114に近い側と第2シリコン粒子1221の第2誘電体層114から離れた側との間の距離を指す。
【0141】
いくつかの実施例では、第2誘電体層114の厚さは、0.5nm~5nmである。第2誘電体層114の厚さ範囲は、0.5nm~1.3nm、1.3nm~2.6nm、2.6nm~4.1nmまたは4.1nm~5nmである。第2誘電体層114の厚さが上記の任意の範囲内にあると、第2誘電体層114の厚さが薄くて、多数キャリアが容易に第2誘電体層114を通って量子トンネルを行うことができるが、少数キャリアが第2誘電体層114を通りにくくなり、これによって、キャリアの選択的な輸送を実現している。
【0142】
いくつかの実施例では、第1シリコン結晶粒子1121の形状は、3次元的に等長な粒子状であり、第1シリコン結晶粒子1121の高さは、第1シリコン結晶粒子1121の平均線長に等しく、第2シリコン粒子1221の形状は、2次元的に延びたシート状であり、第2シリコン粒子1221の高さは、第2シリコン粒子1221の平均線長よりも小さい。第2シリコン粒子1221の高さは、非延在面方向の線長である。
【0143】
ここで、結晶粒の大きさを結晶粒度と呼ぶ。一般的な表示方法には、単位体積当たりの結晶粒数(ZV)、単位面積当たりの結晶粒数(ZS)または結晶粒の平均線長(または直径)がある。結晶粒の平均線長とは、結晶粒の延在方向の延在面の線長を指す。本願の実施例における結晶粒度は、結晶粒の平均線長であってもよい。
【0144】
なお、図10に示すHJTセルでは、第1ドーピング導電層205内のドーピング元素のタイプがN型であり、第2ドーピング導電層215内のドーピング元素のタイプがP型である場合、第1ドーピング導電層205も、複数の第1シリコン結晶粒子1121を含み、複数の第1シリコン結晶粒子1121の表面が第1粗さを備え、第2ドーピング導電層115も複数の第2シリコン粒子1221を含み、複数の第2シリコン粒子1221の表面が第2粗さを備える。第2粗さと第1粗さとの関係及び第1シリコン結晶粒子1121と第2シリコン粒子1221との関係は、上述した両面TOPCONセルでの対応する特徴と類似しているため、ここでは説明を割愛する。
【0145】
同様に、図11に示すIBCセルでは、第1ドーピング導電層305は、第1サブドーピング導電層315と、第2サブドーピング導電層325と、を含み、第1サブドーピング導電層315と第2サブドーピング導電層325のうちの一方のドーピング元素がN型であり、他方のドーピング元素がP型である場合、これに基づいてN型ドーピング元素がドープされたドーピング導電層も、複数の第1シリコン結晶粒子1121を含み、複数の第1シリコン結晶粒子1121の表面が第1粗さを備え、P型ドーピング元素がドープされたドーピング導電層も、複数の第2シリコン粒子1221を含み、複数の第2シリコン粒子1221の表面が第2粗さを備え、第2粗さと第1粗さとの関係及び第1シリコン結晶粒子1121と第2シリコン粒子1221との関係は、上述した両面TOPCONセルでの対応する特徴と類似しているため、ここでは説明を割愛する。
【0146】
上記のように、積層配置された第1誘電体層104と第1ドーピング導電層105を電極領域101に設置し、第1誘電体層104と第1ドーピング導電層105の電極領域101に対するパッシベーション作用によって、電極領域101の深刻なキャリア再結合問題を改善し、この後に電極領域101に形成される電極の基板100におけるキャリアに対する収集効率を向上させる。一方、電極領域101のみに第1誘電体層104と第1ドーピング導電層105を形成することで、第1誘電体層104と第1ドーピング導電層105が第1表面110に照射された入射光に対する非電極領域103と遷移領域102の吸収を低下させることを防止する。また、第1表面構造112が電極領域101に向かって傾斜する複数の角柱構造122を備えることによって、異なる角度で遷移領域102に入射した入射光は、少なくとも1回の反射によって角柱構造122を介して遷移領域102に吸収される確率が高くなり、かつ少なくとも1回の反射によって角柱構造122を介して非電極領域103に反射されて非電極領域103に吸収される確率が高くなり、第1表面110の入射光に対する吸収率を高めるのに寄与する。これにより、電極領域101の深刻なキャリア再結合問題を改善し、第1表面110の入射光に対する吸収率を向上させることで、太陽電池の光電変換効率を高めることができる。
【0147】
本願の別の実施例は、上述した実施例で提供された太陽電池を製造するための太陽電池の製造方法をさらに提供する。以下、図面を参照しながら、本願の別の実施例で提供された太陽電池の製造方法について詳しく説明する。なお、上述した実施例と同じ部分または対応する部分について、ここでは説明を割愛する。
【0148】
図15図20は、本願の別の実施例で提供された太陽電池の製造方法における各ステップに対応する局所断面構造を示す図である。
【0149】
図15図20に示すように、太陽電池の製造方法は、少なくとも、以下のステップを含む。
【0150】
ステップS11:図15に示すように、初期基板130を提供し、初期基板130が対向設置された初期第1表面140及び初期第2表面150を備え、初期第1表面140が間隔をあけて交互に設置された初期電極領域191及び初期非電極領域193と、初期電極領域191と初期非電極領域193の間に位置する初期遷移領域192と、を含む。
【0151】
いくつかの実施例では、この後の初期第1誘電体層を形成する前に、初期第1表面140に対して第1エッチング工程を行って、初期第1表面140に第1テクスチャ構造を持たせることをさらに含んでもよく、即ち初期電極領域191、初期遷移領域192及び初期非電極領域193の表面が、いずれも類似したテクスチャ構造を備え、このテクスチャ構造がピラミッド構造であってもよい。第1エッチング工程は、化学エッチングを含んでもよく、例えば、水酸化カリウムと過酸化水素の混合溶液で初期基板130の表面を洗浄し、具体的には水酸化カリウムと過酸化水素の濃度比を制御することで形態が所望に適合する初期第1表面140を形成することができる。他のいくつかの実施例では、レーザーエッチング、機械法、プラズマエッチングなどの方法でテクスチャ形成処理を行ってもよい。
【0152】
ステップS12:初期第1表面140を覆う初期第1誘電体層を形成する。ステップS13:初期第1誘電体層の初期基板130から離れた側の表面を覆う初期第1ドーピング導電層を形成する。ステップS14:レーザー工程で初期遷移領域192と初期非電極領域193に位置する初期第1誘電体層と初期第1ドーピング導電層を除去して、第1表面110を備える基板100を形成する。
【0153】
なお、異なるタイプの電池を形成するために、ステップS12~ステップS14は、ある程度異なっており、以下、これらについてそれぞれ詳しく説明する。
【0154】
ここで、図15図1図4に示すように、レーザー工程により処理された後の初期電極領域191、初期遷移領域192及び初期非電極領域193は、それぞれ電極領域101、遷移領域102及び非電極領域103であり、遷移領域102が第1表面構造112を備え、第1表面構造112が電極領域101に向かって傾斜する複数の角柱構造122を含み、複数の角柱構造122が少なくとも第1方向Xに沿って順次配列され、第1方向Xが遷移領域102の延在方向であり、電極領域101に位置する残りの初期第1誘電体層が第1誘電体層104である、電極領域101に位置する残りの初期第1ドーピング導電層が第1ドーピング導電層105である。
【0155】
以下、両面TOPCONセルを形成することを例として、ステップS12~ステップS14について詳しく説明する。
【0156】
ステップS12では、図16に示すように、初期第1表面140を覆う初期第1誘電体層154を形成する。
【0157】
いくつかの実施例では、図16に示すように、初期第1誘電体層154を形成するステップにおいて、さらに、初期第2表面150を覆う第2誘電体層114を形成することを含んでもよい。これにより、同一工程ステップで初期第1誘電体層154と第2誘電体層114を形成することで、工程プロセスを省くことができるだけでなく、初期第1誘電体層154と第2誘電体層114を別々に形成することに比べて、コーディング除去回数を減らすことができる。
【0158】
場合によって、先に初期第1表面140に初期第1誘電体層154を形成すると、まず初期第2表面150に保護層を形成し、初期第1誘電体層154の形成ステップが初期第2表面150に影響しないようにする必要がある。また、初期第1誘電体層154を形成する工程ステップでは、初期基板130の側面にもコーディングを形成してしまい、初期第1誘電体層154形成後、初期基板130の側面に1回目のコーディング除去処理を行う必要がある。1回目のコーディング除去処理を行った後、初期第2表面150に第2誘電体層114を形成する。第2誘電体層114の形成ステップが初期第1表面140に影響しないようにするために、まず初期第1表面140に保護層を形成する必要があり、且つ第2誘電体層114形成ステップでは初期基板130の側面にコーディングを形成するため、第2誘電体層114の形成後、2回目のコーディング除去処理を行う必要がある。
【0159】
場合によって、コーディング除去ステップでは、初期基板130の側面に形成されたコーディングを湿式化学法で洗浄する必要がある。言い換えれば、コーディング除去ステップは、コーディングを除去するだけでなく、湿式化学法を採用するため、初期基板130にダメージを与えることがある。本願の一実施例では、初期第1誘電体層154と第2誘電体層114を同時に形成することで、初期第1表面140と初期第2表面150にそれぞれ保護層を形成するステップを省くことができる一方、初期第1誘電体層154と第2誘電体層114を形成した後、1回のコーディング除去ステップを行うだけでよく、工程ステップを大幅に簡略化し、工程効率を高めることができる。また、初期第1表面140と初期第2表面150に保護層を形成する必要がないため、後に保護層を除去する必要がなく、保護層除去ステップに起因する初期基板130への工程ダメージを回避し、初期基板130の良好な性能を保つことができる。
【0160】
ステップS13では、図16に示すように、初期第1誘電体層154の初期基板130から離れた側の表面を覆う初期第1ドーピング導電層155を形成する。
【0161】
いくつかの実施例では、図16に示すように、初期第1ドーピング導電層155を形成するステップにおいて、さらに、第2誘電体層114の初期基板130から離れた側の表面を覆う第2ドーピング導電層115を形成することを含んでもよく、初期第1ドーピング導電層155におけるドーピング元素のタイプが第2ドーピング導電層115におけるドーピング元素のタイプと異なっている。なお、この後に初期第1ドーピング導電層155に基づいて第1ドーピング導電層105(図9参照)を形成するため、第1ドーピング導電層105におけるドーピング元素のタイプが第2ドーピング導電層115におけるドーピング元素のタイプと異なる。
【0162】
同じ工程ステップで初期第1ドーピング導電層155と第2ドーピング導電層115を形成することで、工程プロセスを省くことができるだけでなく、初期第1ドーピング導電層155と第2ドーピング導電層115を別々に形成することに比べて、コーディング除去回数を減らすことができる。
【0163】
いくつかの実施例では、初期第1ドーピング導電層155と第2ドーピング導電層115を形成することは、以下のステップを含むことができる。
【0164】
初期第1誘電体層154の初期基板130から離れた表面に第1アモルファスシリコン層を形成し、第2誘電体層114の初期基板130から離れた表面に第2アモルファスシリコン層を形成するように、初期第1表面140と初期第2表面150に同時に第1堆積工程を行う。例えば、プラズマ化学気相成長法で第1アモルファスシリコン層及び第2アモルファスシリコン層を形成することができる。
【0165】
第1アモルファスシリコン層及び第2アモルファスシリコン層を同時に結晶化処理して、第1アモルファスシリコン層を第1多結晶シリコン層に変換し、第2アモルファスシリコン層を第2多結晶シリコン層に変換する。いくつかの実施例では、結晶化処理は、第1アモルファスシリコン層と第2アモルファスシリコン層に対してアニール処理を行うことを含み、アニール温度が800℃~1200℃である。この温度範囲では、アニール温度が小さすぎず、第1アモルファスシリコン層と第2アモルファスシリコン層に対する十分な結晶化を確保することができる一方、アニール温度が高すぎず、アニール温度が高すぎて初期基板130にダメージを与える問題を防ぐことができる。
【0166】
第1多結晶シリコン層と第2多結晶シリコン層を形成した後、第1多結晶シリコン層に対して第1ドーピング工程を行って、初期第1ドーピング導電層155を形成する。いくつかの実施例では、第1ドーピング工程におけるドーピング元素が一部の初期基板130にも拡散し、拡散領域を形成し、拡散領域におけるドーピング元素濃度が残りの初期基板130のドーピング元素濃度よりも大きくなり、即ち、残りの初期基板130と比べて、拡散領域が高濃度ドーピング領域であり、高濃度ドーピング領域が残りの初期基板130と高低接合を形成し、この高低接合が存在することで、キャリアにバリア効果を生じさせ、後に形成される基板100中のキャリアの拡散領域への輸送速度と数量を増やすことができ、後に形成する第1ドーピング導電層が効果的にキャリアを収集できるようになる。
【0167】
いくつかの実施例では、第1ドーピング工程ステップを行う前に、さらに、第2多結晶シリコン層の初期基板130から離れた表面に第1マスク層を形成することを含むことができ、且つ、第2ドーピング導電層を形成する工程の前に、第1マスク層を除去することをさらに含むことができる。第1ドーピング工程と後に第2多結晶シリコン層に対して行う第2ドーピング工程は、異なる工程ステップで行われるため、第1ドーピング工程を行う前に、第2多結晶シリコン層の表面に第1マスク層を形成することは、第1ドーピング工程から第2多結晶シリコン層を保護する上で役立つ。
【0168】
いくつかの実施例では、第1ドーピング工程は、イオン注入工程またはソース拡散工程のいずれかであってもよい。
【0169】
いくつかの実施例では、初期第1ドーピング導電層155を形成した後、エッチング工程で第1マスク層を除去し、エッチング工程が乾式エッチング工程、湿式エッチング工程またはレーザーエッチング工程のいずれかを含む。
【0170】
第1ドーピング工程を行った後、第2多結晶シリコン層に対して第2ドーピング工程を行って、第2ドーピング導電層115を形成する。いくつかの実施例では、第2ドーピング導電層115におけるドーピング元素のタイプが初期基板130におけるドーピング元素のタイプと異なり、これによって、第2ドーピング導電層115と後に形成される基板100(図9参照)との間にPN接合を形成し、バックコンタクト構造を形成している。第2ドーピング導電層115全面が基板100の裏面に形成されているため、PN接合の面積が大きくなり、PN接合に発生する光生成キャリアの数が多くなる一方、第2ドーピング導電層115に形成されている基板100の裏面向きの静電界が大きくなり、キャリアの移動に有利になり、開放電圧及び短絡電流を高めることができる。また、裏面にPN接合を形成することで、基板100の前面にPN接合を形成することによる基板100の前面の電極領域101の深刻なキャリア再結合問題を防ぎ、両面率を向上させることができる。
【0171】
いくつかの実施例では、第2ドーピング工程は、イオン注入工程またはソース拡散工程のいずれかであってもよい。
【0172】
ステップS14では、図16図1に示すように、レーザー工程で初期遷移領域192と初期非電極領域193における初期第1誘電体層154と初期第1ドーピング導電層155を除去して、第1表面110を備えた基板100を形成する。
【0173】
いくつかの実施例では、初期第1表面140は、第1テクスチャ構造を備え、レーザー工程で初期遷移領域192と初期非電極領域193に位置する初期第1誘電体層154と初期第1ドーピング導電層155を除去するステップにおいて、図16図9及び図3に示すように、初期電極領域191に位置する第1ドーピング導電層105が第2表面構造125を備え、初期遷移領域192に位置する第1テクスチャ構造が第1表面構造112に変換され、初期非電極領域193に位置する第1テクスチャ構造が第3表面構造113に変換され、ここで、第1表面構造112が複数の第1ピラミッド構造152を含み、第2表面構造125が複数の第3ピラミッド構造135を含み、第3表面構造113が複数の第4ピラミッド構造123を含み、第1ピラミッド構造152の底部の一次元寸法が第3ピラミッド構造135の底部の一次元寸法よりも大きく、第3ピラミッド構造135の底部の一次元寸法が第4ピラミッド構造123の底部の一次元寸法よりも大きい。
【0174】
なお、レーザー工程の工程パラメータを調整することで、第1表面構造112を微調整することができる。
【0175】
以下、HJTセルを形成することを例として、ステップS12~ステップS14について、詳しく説明する。
【0176】
なお、図10に示すように、HJTセルを形成するステップでは、基板200、第1誘電体層204及び第1ドーピング導電層205の形成ステップは、上述した両面TOPCONセルにおける基板100、第1誘電体層104及び第1ドーピング導電層105の形成ステップと類似しているため、ここでは説明を割愛する。
【0177】
形成ステップにおける主な相違点は、下記の通りである。
【0178】
いくつかの実施例では、図17に示すように、初期第1ドーピング導電層255を形成する前に、初期第2表面250を覆う真性半導体層214を形成することをさらに含むことができ、初期第1ドーピング導電層255を形成するステップにおいて、真性半導体層214の初期基板230から離れた側の表面を覆う第2ドーピング導電層215を形成することをさらに含むことができ、初期第1ドーピング導電層255におけるドーピング元素のタイプが第2ドーピング導電層215におけるドーピング元素のタイプと異なっている。第2ドーピング導電層215を形成した後、第2ドーピング導電層215の真性半導体層214から離れた側の表面を覆う透明導電層207を形成することをさらに含むことができる。
【0179】
なお、本願の別の実施例では、真性半導体層214と初期第1誘電体層254の優先順位について限定しない。また、図17における初期基板230、初期第1表面240、初期第2表面250、初期電極領域291、初期遷移領域292、初期非電極領域293、初期第1誘電体層254及び初期第1ドーピング導電層255は、いずれも上述した実施例での対応する構成と類似しているため、ここでは説明を割愛する。
【0180】
以下、IBCセルを形成することを例として、ステップS12~ステップS14について詳しく説明する。
【0181】
いくつかの実施例では、図18図20に示すように、初期電極領域391は、初期正電極領域351と初期負電極領域361とを含み、図11に示すように、形成された第1誘電体層304は、第1サブ誘電体層314と第2サブ誘電体層324とを含み、第1サブ誘電体層314が正電極領域311に位置し、第2サブ誘電体層324が負電極領域321に位置し、形成された第1ドーピング導電層305は、第1サブドーピング導電層315と第2サブドーピング導電層325とを含み、第1サブドーピング導電層315が第1サブ誘電体層314の正電極領域311に近い側に位置し、第2サブドーピング導電層325が第2サブ誘電体層324の負電極領域321に近い側に位置し、第1サブドーピング導電層315におけるドーピング元素のタイプが第2サブドーピング導電層325におけるドーピング元素のタイプと異なっている。
【0182】
なお、図18図20における初期基板330、初期第1表面340、初期第2表面350、初期電極領域391、初期遷移領域392及び初期非電極領域393は、いずれも上述した実施例での対応する構造と類似しているため、ここでは説明を割愛する。
【0183】
以下、第1サブ誘電体層314と第2サブ誘電体層324の形成ステップについて詳しく説明する。
【0184】
いくつかの実施例では、図18に示すように、初期第1誘電体層354を形成するステップは、初期第1表面340を覆うための初期第1サブ誘電体層334を形成することを含み、初期初期第1ドーピング導電層355を形成するステップは、初期第1誘電体層354の初期基板330から離れた側の表面を覆う初期第1サブドーピング導電層335を形成することを含む。
【0185】
図18図19に示すように、レーザー工程を採用するステップは、第1レーザー工程で初期負電極領域361、初期遷移領域392と初期非電極領域393に位置する初期第1サブ誘電体層334と初期第1サブドーピング導電層335を除去し、初期正電極領域351に位置する残りの初期第1サブ誘電体層334を第1サブ誘電体層314とし、初期正電極領域351に位置する残りの初期第1サブドーピング導電層335を第1サブドーピング導電層315とする。
【0186】
いくつかの実施例では、図20に示すように、第1サブ誘電体層314と第1サブドーピング導電層315を形成した後、第2サブ誘電体層324(図11参照)と第2サブドーピング導電層325(図11参照)を形成するステップは、第1マスク層308を形成し、第1マスク層308が第1サブドーピング導電層315の初期基板330から離れた側に位置することをさらに含むことができる。
【0187】
図20に示すように、初期第1誘電体層354を形成するステップは、初期第1表面340と第1マスク層308を覆う初期第2サブ誘電体層344を形成することを含み、初期初期第1ドーピング導電層355を形成するステップは、初期第2サブ誘電体層344の初期基板330から離れた側の表面を覆う初期第2サブドーピング導電層345を形成することをさらに含む。
【0188】
図20図11に示すように、レーザー工程を採用するステップは、第2レーザー工程で初期正電極領域351、初期遷移領域392及び初期非電極領域393に位置する初期第2サブ誘電体層344と初期第2サブドーピング導電層345を除去し、初期負電極領域361に位置する残りの初期第2サブ誘電体層344を第2サブ誘電体層324とし、初期負電極領域361に位置する残りの初期第2サブドーピング導電層345を第2サブドーピング導電層325とする。
【0189】
図20図11に示すように、第1マスク層308を除去する。
【0190】
なお、IBCセルを形成するステップでは、初期第1誘電体層354と初期初期第1ドーピング導電層355を形成するステップは、上述した実施例の両面TOPCONセルとHJTセルにおける初期第1誘電体層154、254と初期第1ドーピング導電層155、255を形成するステップと異なる。IBCセルを形成するステップにおいて、初期第1誘電体層354を形成するステップは、2つの別々のサブステップ、即ち、初期第1サブ誘電体層334を形成するステップと初期第2サブ誘電体層344を形成するステップを含み、初期初期第1ドーピング導電層355を形成するステップは、2つの別々のサブステップ、即ち、初期第1サブドーピング導電層335を形成するステップと初期第2サブドーピング導電層345を形成するステップを含む。第1レーザー工程と第2レーザー工程を行った初期正電極領域351と初期負電極領域361は、それぞれ正電極領域311と負電極領域321になり、電極領域301が正電極領域311または負電極領域321であり、第1レーザー工程と第2レーザー工程を行った初期遷移領域392と初期非電極領域393は、それぞれ遷移領域302と非電極領域303になる。
【0191】
上記のように、本願の別の実施例では、全面に初期第1誘電体層154と初期第1ドーピング導電層155を形成してから、レーザー工程で処理することにより、第1表面構造112を備えた遷移領域102を形成し、かつ積層配置された第1誘電体層104と第1ドーピング導電層105を電極領域101のみに形成する。これにより、第1誘電体層104と第1ドーピング導電層105の電極領域101に対するパッシベーション作用によって電極領域101の深刻なキャリア再結合問題を改善する。一方、第1誘電体層104と第1ドーピング導電層105が第1表面110に照射された入射光に対する非電極領域103と遷移領域102の吸収を低下させることを防止する。また、第1表面構造112は、第1表面110の入射光に対する吸収率を高めるのに寄与する。
【0192】
また、本願の別の実施例は、光起電力モジュールをさらに提供し、光起電力モジュールが上述したいずれかの実施例で提供された太陽電池を複数備え、光起電力モジュールが受けた光エネルギーを電気エネルギーに変換することに用いられる。図21は、本願の別の実施例で提供された光起電力モジュールの構造を示す図である。なお、上述した実施例と同じ部分または対応する部分について、上述した実施例の対応する説明を参照することができる。以下では、説明を割愛する。
【0193】
図21に示すように、光起電力モジュールは、上述した実施例のいずれかの太陽電池40を複数接続してなりまたは上述した実施例のいずれかの製造方法で形成された太陽電池40を複数接続してなるセルストリングと、セルストリングの表面を覆うための封止用接着フィルム41と、封止用接着フィルム41のセルストリングから離れた表面を覆うためのカバープレート42と、を含む。太陽電池40は、全体または複数分割の形で電気的に接続されることで複数のセルストリングを形成し、複数のセルストリングが直列及び/または並列に電気的に接続されている。
【0194】
いくつかの実施例では、複数のセルストリング間は、伝導バンド402によって電気的に接続されてもよい。図21は、1種類の太陽電池間の位置関係のみを示しており、即ち、電池セルの同じ極性を持った電極の配列方向が同じか、あるいは各電池セルの正極極性を持った電極が同じ側に配列され、伝導バンドが隣接する2つの電池セルの異なる側にそれぞれ接続される。いくつかの実施例では、電池セルは、異なる極性の電極が同じ側を向くことができ、即ち、隣接する複数の電池セルの電極は、それぞれ第1極性、第2極性、第1極性の順に配列され、伝導バンドは、同じ側の隣接する2つの電池セルを接続する。
【0195】
いくつかの実施例では、電池セル間に間隔が設けられておらず、つまり、電池セル間が互いに重なり合っている。
【0196】
いくつかの実施例では、封止用接着フィルム41は、第1封止層と、第2封止層とを含み、第1封止層が太陽電池40の前面または裏面の一方を覆い、第2封止層が太陽電池40の前面または裏面の他方を覆う。具体的には、第1封止層または第2封止層の少なくとも一方は、ポリビニルブチラール(Polyvinyl Butyral、PVB)接着フィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)接着フィルム、ポリエチレン-オクテン共重合体(POE)接着フィルムまたはポリエチレンテレフタレート(PET)接着フィルムなどの有機封止用接着フィルムであってもよい。
【0197】
場合によって、積層加工前、第1封止層及び第2封止層には境界線があり、積層加工後、光起電力モジュールを形成すると、もはや第1封止層及び第2封止層という概念がなく、即ち第1封止層と第2封止層が一体化された封止用接着フィルム41を形成している。
【0198】
いくつかの実施例において、カバープレート42は、ガラスカバープレートやプラスチックカバープレートなどの光透過機能を有するカバープレートであってもよい。具体的には、カバープレート42の封止用接着フィルム41に向かう表面は、凹凸面であってもよく、これにより、入射光線の利用率を高めることができる。カバープレート42は第1カバープレート及び第2カバープレートを備え、第1カバープレートが第1封止層に対向し、第2カバープレートが第2封止層に対向する。
【0199】
当業者であれば、前記各実施形態は本開示を実現する具体的な実施例であるが、実用上では本開示の実施例の精神と範囲を逸脱することなく、形態及び細部において様々な変更が可能であることが理解できる。いずれの当業者は、本開示の実施例の精神と範囲を逸脱しない限り、それぞれ変更及び修正を行うことが可能であるため、本開示の実施例の保護範囲は、請求項に限定された範囲を基準にすべきである。
【要約】
【課題】本開示の実施例は、光起電力の分野に関し、太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュールを提供する。
【解決手段】太陽電池は、基板と、電極領域に位置する第1誘電体層と、第1誘電体層の電極領域から離れた側に位置する第1ドーピング導電層とを含み、基板が対向設置された第1表面及び第2表面を備え、第1表面が、間隔をあけて交互に設置された電極領域及び非電極領域と、電極領域と非電極領域の間に位置する遷移領域と、を含み、遷移領域が第1表面構造を備え、第1表面構造が電極領域に向かって傾斜する複数の角柱構造を含み、複数の角柱構造が少なくとも第1方向に沿って順次配列され、第1方向が遷移領域の延在方向である。本開示の実施例は、少なくとも太陽電池の光電変換効率の向上に有利である。
【選択図】図3

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