(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-28
(45)【発行日】2025-03-10
(54)【発明の名称】住戸
(51)【国際特許分類】
E04H 1/04 20060101AFI20250303BHJP
【FI】
E04H1/04 B
(21)【出願番号】P 2024042698
(22)【出願日】2024-03-18
【審査請求日】2024-09-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】井畑 祐子
(72)【発明者】
【氏名】榎本 章宏
(72)【発明者】
【氏名】富田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】森本 貴之
(72)【発明者】
【氏名】吉沢 隆浩
【審査官】岡崎 彦哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-010282(JP,A)
【文献】特開2023-149621(JP,A)
【文献】特開2022-156418(JP,A)
【文献】特開2022-031429(JP,A)
【文献】特開2023-122256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁を置いて屋外に面する住戸であって、
前記外壁に面する第1居室、作業室及び第2居室を備え、
順に前記第1居室、前記作業室及び前記第2居室が前記外壁に沿って隣り合って配列され、
前記第1居室が前記外壁に設けられる第1窓を有し、
前記第2居室が前記外壁に設けられる第2窓を有し、
前記作業室が前記外壁に設けられる第3窓を有し、
前記作業室が前記第1居室と前記第2居室のどちらからも出入りすることができ、
前記第1居室が前記作業室に関して前記外壁の反対側において前記第2居室に隣接し、
前記作業室が、前記第1居室から前記作業室を仕切る間仕切り壁を前記外壁の反対側の面に有するとともに、前記間仕切り壁に設置されるとともに前記作業室及び前記第1居室に臨む屋内窓を有する
ことを特徴とする住戸。
【請求項2】
請求項
1に記載の住戸であって、
前記屋内窓が高窓又は腰高窓である
ことを特徴とする住戸。
【請求項3】
請求項
1又は2に記載の住戸であって、
前記屋内窓が前記第3窓に対向する
ことを特徴とする住戸。
【請求項4】
外壁を置いて屋外に面する住戸であって、
前記外壁に面する第1居室、作業室及び第2居室を備え、
順に前記第1居室、前記作業室及び前記第2居室が前記外壁に沿って隣り合って配列され、
前記第1居室が前記外壁に設けられる第1窓を有し、
前記第2居室が前記外壁に設けられる第2窓を有し、
前記作業室が前記外壁に設けられる第3窓を有し、
前記作業室が前記第1居室と前記第2居室のどちらからも出入りすることができ、
前記第1居室が前記作業室に関して前記外壁の反対側において前記第2居室に隣接し、
前記作業室が、前記第1居室から前記作業室を仕切るルーバーを前記外壁の反対側の面に有する
ことを特徴とする住戸。
【請求項5】
請求項1に記載の住戸であって、
前記作業室が、前記外壁の沿う方向に互いに対向する第1扉及び第2扉を前記第1居室側の面及び前記第2居室側の面に有し、
前記作業室が前記第1扉を介して前記第1居室から出入り
可能であり、
前記作業室が前記第2扉を介して前記第2居室から出入り
可能である
ことを特徴とする住戸。
【請求項6】
外壁を置いて屋外に面する住戸であって、
前記外壁に面する第1居室、作業室及び第2居室を備えるとともに廊下を備え、
順に前記第1居室、前記作業室及び前記第2居室が前記外壁に沿って隣り合って配列され、
前記第1居室が前記外壁に設けられる第1窓を有し、
前記第2居室が前記外壁に設けられる第2窓を有し、
前記作業室が前記外壁に設けられる第3窓を有し、
前記作業室が前記第1居室と前記第2居室のどちらからも出入りすることができ、
前記作業室が、前記外壁の沿う方向に互いに対向する第1扉及び第2扉を前記第1居室側の面及び前記第2居室側の面に有し、
前記作業室が前記第1扉を介して前記第1居室から出入り可能であり、
前記作業室が前記第2扉を介して前記第2居室から出入り可能であり、
前記廊下が前記第2居室に関して前記第2窓の反対に設けられ、
前記第1居室及び前記第2居室が前記廊下から出入り可能であり、
前記廊下が、前記外壁の反対側の壁の外の共用廊下に通じる玄関扉を有する玄関の玄関ホールを兼ねている
ことを特徴とする住戸。
【請求項7】
請求項
5又は6に記載の住戸であって、
前記作業室が、前記第1居室側の面の前記第1扉の上に屋内窓を有する
ことを特徴とする住戸。
【請求項8】
請求項
5又は6に記載の住戸であって、
前記作業室が、前記第2居室側の面の前記第2扉の上に屋内窓を有する
ことを特徴とする住戸。
【請求項9】
請求項1、2、
4、5
又は6に記載の住戸であって、
前記作業室が、前記外壁に寄って前記第3窓に面する作業テーブルを有する
ことを特徴とする住戸。
【請求項10】
請求項1、2、
4、5
又は6に記載の住戸であって、
前記第2居室に関して前記第2窓の反対に設けられる廊下を備え、
前記第1居室及び前記第2居室が前記廊下から出入り可能である
ことを特徴とする住戸。
【請求項11】
外壁を置いて屋外に面する住戸であって、
前記外壁に面する第1居室、作業室及び第2居室を備えるとともに廊下を備え、
順に前記第1居室、前記作業室及び前記第2居室が前記外壁に沿って隣り合って配列され、
前記第1居室が前記外壁に設けられる第1窓を有し、
前記第2居室が前記外壁に設けられる第2窓を有し、
前記作業室が前記外壁に設けられる第3窓を有し、
前記作業室が前記第1居室と前記第2居室のどちらからも出入りすることができ、
前記廊下が前記第2居室に関して前記第2窓の反対に設けられ、
前記第1居室及び前記第2居室が前記廊下から出入り可能であり、
前記廊下が、前記外壁の反対側の壁の外の共用廊下に通じる玄関扉を有する玄関の玄関ホールを兼ねている
ことを特徴とする住戸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅の住戸に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、集合住宅の住戸を開示する。この住戸の中央には、廊下が玄関から奥のダイニングキッチンまで真っ直ぐに延びている。ダイニングキッチンは共用廊下の反対側のバルコニーに面している。玄関からダイニングキッチンの方へ向かって見て右手前に居室が配置され、右奥に洗面所及びトイレルームが配置され、左手前に居室が配置され、左奥に居室が配置されている。何れの居室も扉を介して廊下に通じている。左奥の居室はダイニングキッチンへ直接アクセスできるものの、他の居室は廊下を経ることでダイニングキッチンへアクセスすることができる。ダイニングキッチンを除いて何れの居室もバルコニーに面していないことから、屋外の光がこれらの居室に十分に届かない。ダイニングキッチンを除いて何れの居室も窓が小さいか、窓が無いため、これらの居室における風の通りが良くない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、屋外の光を複数の部屋の何れにも取り込みやすく、これら部屋の何れでも換気を行いやすく、これらの部屋の間で風が通りやすい住戸を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の括弧書きで示された参照符号は
図1~
図5において参照される。
【0006】
第1項によれば、
外壁(2)を置いて屋外に面する住戸(1)であって、
前記外壁(2)に面する第1居室(40)、作業室(70)及び第2居室(60)を備え、
順に前記第1居室(40)、前記作業室(70)及び前記第2居室(60)が前記外壁(2)に沿って隣り合って配列され、
前記第1居室(40)が前記外壁(2)に設けられる第1窓(47)を有し、
前記第2居室(60)が前記外壁(2)に設けられる第2窓(62)を有し、
前記作業室(70)が前記外壁(2)に設けられる第3窓(76)を有し、
前記作業室(70)が前記第1居室(40)と前記第2居室(60)のどちらからも出入りすることができる
ことを特徴とする住戸(1)が提供される。
【0007】
以上のような第1項によれば、第1居室(40)、作業室(70)及び第2居室(60)が外壁(2)に面しており、第1居室(40)、第2居室(60)及び作業室(70)が第1窓(47)、第2窓(62)及び第3窓(76)をそれぞれ有し、第1窓(47)、第2窓(62)及び第3窓(76)が外壁(2)に設けられているため、屋外の光が第1居室(40)、第2居室(60)及び作業室(70)の何れに取り込まれやすい上、第1居室(40)、第2居室(60)及び作業室(70)の何れでも換気を行いやすい。
作業室(70)が第1居室(40)と第2居室(60)のどちらからも出入りすることができるため、作業室(70)を通じて第1居室(40)と第2居室(60)を繋ぐ動線が確保される上、第1居室(40)と作業室(70)と第2居室(60)との間で風が通りやすい。作業室(70)を通じて第1居室(40)と第2居室(60)の間の通気が確保される。なお、第1窓(47)、第2窓(62)及び第3窓(76)の何れかが嵌め殺し窓であっても、第1居室(40)と作業室(70)と第2居室(60)との間で風が通りやすいことから、第1居室(40)、第2居室(60)及び作業室(70)の何れでも換気を行いやすい。家族が第1居室(40)に居る場合、作業室(70)で作業中の作業者が家族に会わずに第2居室(60)に移動することができる。家族が第2居室(60)に居る場合、作業者が家族に会わずに作業室(70)から第1居室(40)に移動することができる。
【0008】
第2項によれば、
第1項の住戸(1)であって、
前記第1居室(40)が前記作業室(70)に関して前記外壁(2)の反対側において前記第2居室(60)に隣接し、
前記作業室(70)が、前記第1居室(40)から前記作業室(70)を仕切る間仕切り壁を前記外壁(2)の反対側の面に有するとともに、前記間仕切り壁(46)に設置されるとともに前記作業室(70)及び前記第1居室(40)に臨む屋内窓(75)を有する
ことを特徴とする住戸(1)が提供される。
【0009】
以上のような第2項によれば、第1居室(40)のうち、作業室(70)に関して外壁(2)の反対側の部分には、第1窓(47)から第1居室(40)に取り込まれた外光が届きにくい。そうであっても、第3窓(76)から作業室(70)に取り込まれた外光が屋内窓(75)を通じて、作業室(70)に関して外壁(2)の反対側の部分に届く。
【0010】
第3項によれば、
第2項の住戸(1)であって、
前記屋内窓(75)が高窓又は腰高窓である
ことを特徴とする住戸(1)が提供される。
【0011】
以上のような第3項によれば、屋内窓(75)が高窓又は腰高窓であるため、作業室(70)で座って作業する作業者の視線は第1居室(40)に居る家族に届きにくいことから、作業者が作業に集中できる。第1居室(40)に居る家族の視線も作業者に届きにくいことから、作業室(70)におけるプライバシー性・秘密性が維持される。
【0012】
第4項によれば、
第2項又は第3項の住戸(1)であって、
前記屋内窓(75)が前記第3窓(76)に対向する
ことを特徴とする住戸(1)が提供される。
【0013】
以上のような第4項によれば、屋内窓(75)が第3窓(76)に対向するため、第3窓(76)から作業室(70)に取り込まれた外光が屋内窓(75)を通じて、作業室(70)に関して外壁(2)の反対側の部分に届きやすい。
【0014】
第5項によれば、
第1項の住戸(1)であって、
前記第1居室(40)が前記作業室(70)に関して前記外壁(2)の反対側において前記第2居室(60)に隣接し、
前記作業室(70)が、前記第1居室(40)から前記作業室(70)を仕切るルーバー(90)を前記外壁(2)の反対側の面に有する
ことを特徴とする住戸(1)が提供される。
【0015】
以上のような第5項によれば、ルーバー(90)が第1居室(40)から作業室(70)を仕切るため、第1居室(40)と作業室(70)との間の通気が確保され、第1居室(40)の光が作業室(70)に取り込まれ、作業室(70)の光が第1居室(40)に取り込まれる。ルーバー(90)が第1居室(40)から作業室(70)への視線を断つことから、作業室(70)におけるプライバシー性・秘密性が確保される。
【0016】
第6項によれば、
第1項の住戸(1)であって、
前記作業室(70)が、前記外壁(2)の沿う方向に互いに対向する第1扉(71)及び第2扉(72)を前記第1居室(40)側の面及び前記第2居室(60)側の面に有し、
前記作業室(70)が前記第1扉(71)を介して前記第1居室(40)から出入り可能であり、
前記作業室(70)が前記第2扉(72)を介して前記第2居室(60)から出入り可能である
ことを特徴とする住戸(1)が提供される。
【0017】
以上のような第6項によれば、第1扉(71)と第2扉(72)が対向するため、第1扉(71)及び第2扉(72)が開けられると、第1居室(40)と第2居室(60)の間の換気、通気及び通風が確保される。作業室(70)を通じて第1居室(40)と第2居室(60)を繋ぐ動線が直線的であり、第1居室(40)と第2居室(60)の間を行き来しやすい。第1扉(71)及び第2扉(72)が閉じられると、作業室(70)が密室となることから、作業室(70)におけるプライバシー性・秘密性が確保される。
【0018】
第7項によれば、
第6項の住戸(1)であって、
前記作業室(70)が、前記第1居室(40)側の面の前記第1扉(71)の上に屋内窓(81)を有する
ことを特徴とする住戸(1)が提供される。
【0019】
以上のような第7項によれば、第1扉(71)が開けられなくても、光が作業室(70)から第1居室(40)に又はその逆に取り込まれる。
【0020】
第8項によれば、
第6項の住戸(1)であって、
前記作業室(70)が、前記第2居室(60)側の面の前記第2扉(72)の上に屋内窓(82)を有する
ことを特徴とする住戸(1)が提供される。
【0021】
以上のような第8項によれば、第2扉(72)が開けられなくても、光が作業室(70)から第2居室(60)に又はその逆に取り込まれる。
【0022】
第9項によれば、
第1項、第2項、第3項、第5項、第6項又は第7項の住戸(1)であって、
前記作業室(70)が、前記壁に寄って前記第3窓(76)に面する作業テーブル(73)を有する
ことを特徴とする住戸(1)が提供される。
【0023】
以上のような第9項によれば、作業テーブル(73)が第3窓(76)に面するため、作業テーブル(73)の上が明るく、このことは、作業テーブル(73)上での作業性の向上に寄与する。作業テーブル(73)の前に座って作業する際に、第3窓(76)の外を眺めることができ、このことは、作業者にリラックス感を与える。
【0024】
第10項によれば、
第1項、第2項、第3項、第5項、第6項、第7項又は第8項に記載の住戸(1)であって、
前記第2居室(60)に関して前記第2窓(62)の反対に設けられる廊下(14)を備え、
前記第1居室(40)及び前記第2居室(60)が前記廊下(14)から出入り可能である
ことを特徴とする住戸(1)が提供される。
【0025】
以上のような第10項によれば、住戸(1)における回遊性が高まる。つまり、作業室(70)から順に第1居室(40)、廊下(14)及び第2居室(60)を経て作業室(70)に至る動線が確保されたり、作業室(70)から順に第2居室(60)、廊下(14)及び第1居室(40)を経て作業室(70)に至る動線が確保されたりする。
【0026】
第11項によれば、
第10項に記載の住戸(1)であって、
前記廊下(14)が、前記外壁(2)の反対側の壁の外の共用廊下(8)に通じる玄関扉(11)を有する玄関(10)の玄関ホール(14)を兼ねている
ことを特徴とする住戸(1)が提供される。
【0027】
以上のような第11項によれば、第1居室(40)を通ることなく、作業室(70)から順に第2居室(60)、玄関ホール(14)及び玄関扉(11)を経て外出したり、逆に屋外から順に玄関扉(11)、玄関ホール(14)及び第2居室(60)を経て作業室(70)に入室することができる。同様に、第2居室(60)を通ることなく、第1居室(40)を経た経路で屋外と作業室(70)の間を行き来することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、屋外の光が第1居室、第2居室及び作業室の何れに取り込まれやすい上、第1居室、第2居室及び作業室の何れでも換気を行いやすい。作業室を通じて第1居室と第2居室を繋ぐ動線が確保される上、第1居室と作業室と第2居室との間で風が通りやすい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図3】
図3は変形例の住戸の間取りの一部の拡大図である。
【
図4】
図4は
図3に示された住戸に設置されたルーバーの立面図である。
【
図5】
図5は変形例の住戸の間取りの一部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。実施形態の特徴及び技術的な効果は、以下の詳細な説明及び図面から理解される。ただし、本発明の範囲は、以下に開示された実施形態に限定されない。図面は例示のみのために提供されるため、本発明の範囲は図面の例示に限定されない。
【0031】
以下の説明において、「第1」及び「第2」などのような序数が共通の名称(但し、「階」という名称を除く。)に付されている場合、序数はそれが付された対象を識別する目的でのみ用いられる。序数はそれが付された対象を特定の対象に限定しない上、序数はそれが付された対象の順番、順位、順序、階級、優先及び劣後などを特定しない。
【0032】
以下の説明において、扉の種類が特定されている場合、扉の種類が変更されてもよい。扉の種類が特定されてなければ、扉の種類は如何なるものでもよい。扉の種類としては、引き戸、開き戸及び折れ戸などがあり、引き違い戸は引き戸の一種である。
【0033】
以下の説明において、窓とは、外壁に形成された開口にサッシが嵌め込まれたものをいう。窓の種類が特定されている場合、窓の種類が変更されてもよい。窓の種類が特定されていなければ、窓の種類は如何なるものでもよい。窓の種類としては、引き違い窓、上げ下げ窓、縦すべり出し窓、横すべり出し窓、倒し窓及び嵌め殺し窓などがある。以下の説明における窓は、可視光を通す透明なガラス障子を有するガラス窓である。窓のガラス障子は耐火性能を有した防火ガラスであってよい。
【0034】
以下の説明において、屋内窓とは、床から上方に離れた位置において間仕切り壁に形成された開口にサッシが嵌め込まれたものである。屋内窓の種類が特定されている場合、屋内窓の種類が変更されてもよい。屋内窓の種類が特定されていなければ、窓の種類は如何なるものでもよい。屋内窓の種類としては、引き違い窓、上げ下げ窓、縦すべり出し窓、横すべり出し窓、倒し窓、ルーバー窓及び嵌め殺し窓などがある。以下の説明における屋内窓は、可視光を通す透明又は半透明なガラス障子を有するガラス窓である。屋内窓のガラス障子は耐火性能を有した防火ガラスであってよい。半透明なガラス障子は、磨りガラス、フロストガラス及び型板ガラス等を総称したいわゆる曇りガラスとも呼ばれる。屋内窓が嵌め殺し窓である場合、屋内窓がガラスパーティションとも呼ばれることもある。
【0035】
<集合住宅の住戸>
図1は、集合住宅の住戸1の間取り図である。
図2は、
図1中に示される領域IIの拡大図である。
【0036】
この住戸1が構築された建物は、鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造である。建物の上層階が耐火性・耐震性の木造であってもよく、この場合、住戸1が木造の部分に構築されてもよいし、鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の部分に構築されてもよい。
【0037】
建物は新築と中古を問わない。つまり、住戸1が建物の新築時の内装工事により構築されてもよいし、建物の構築後に改装工事により構築されてもよい。
住戸1は建物の1階に構築されてもよいし、2階以上に構築されてもよい。住戸1は建物の半地下に構築されてもよい。
【0038】
住戸1は、南面、東面、北面及び西面にそれぞれ壁2,3,4,5を有する。壁2,3,4,5の方角は住戸1の詳細な説明の便宜上、住戸1内の構成要素間の相対的な位置の関係性の説明のために、絶対的な方向として設定されたものである。そのため、壁2,3,4,5の方角はそれぞれ南、東、北及び西に限るものではなく、他の方角であってもよい。以下に記載の方角も壁2,3,4,5の方角に合わせて変更される。
【0039】
バルコニー6が住戸1の南に設置されており、壁2が住戸1の内側とバルコニー6を仕切る。住戸1が建物の1階又は半地下にある場合、バルコニー6の代わりにテラス又は専用庭が住戸1の南に設置される。
【0040】
東面の壁3は戸境壁であり、西面の壁5は外壁である。但し、東面の壁3が外壁であり、西面の壁5が外壁であってもよいし、壁3,5の両方が戸境壁であってもよい。共用廊下8が住戸1の北に設置されており、壁4が住戸1の内側と共用廊下8を仕切る。共用廊下8は内廊下又は外廊下である。
【0041】
住戸1は、壁2,3,4,5によって囲われた内部空間に設置された間仕切り壁及び建具等を備える。住戸1は、それら間仕切り壁及び建具等によって区画された玄関10、クローゼット28、トイレルーム20、洗面室25、浴室30、リビング・ダイニング・キッチン40、収納庫48、クローゼット49、居室60、クローゼット68及び作業室70を備える。住戸1は、リビング・ダイニング・キッチン40に設置されたシステムキッチン台42と、リビング・ダイニング・キッチン40に据え置かれたユニット台55と、作業室70に配置された作業テーブル73と、を備える。以下、リビング・ダイニング・キッチン40はLDK40と表記される。
【0042】
玄関10は、住戸1の北部の東西中央部に配置されている。玄関10は玄関扉11、玄関土間12、シューズボックス13、玄関ホール14及び収納庫15を有する。玄関扉11は北面の壁4の中央よりもやや東に設置されている。玄関土間12は玄関扉11の南に配置される。シューズボックス13は玄関土間12の東に設けられている。玄関ホール14は玄関土間12の南に配置される。玄関ホール14は玄関土間12の南から東に及んでおり、この玄関ホール14は廊下を兼ねる。収納庫15は玄関土間12の南東において南向きに設置され、玄関ホール14から北に向かって収納庫15へ収納物を収納することができる。
【0043】
クローゼット28は、玄関扉11の南の向かいにおいて、玄関ホール14の西部分の南に配置されている。トイレルーム20は玄関ホール14の東部分の北に設けられており、トイレルーム20の扉はトイレルーム20と玄関ホール14と間の境に設置されている。洗面室25は玄関ホール14の東に設けられ、洗面室25の扉は玄関ホール14と洗面室25との間の境に設置されている。浴室30は洗面室25の北に設けられ、浴室30の扉は洗面室25と浴室30との間の境に設けられている。
【0044】
居室60は玄関ホール14の東部分及び洗面室25の南に配置されている。居室60は例えば寝室として利用される。居室60の扉61は、玄関ホール14の東部分と居室60との間の境に、具体的には、玄関ホール14の東部分の南面且つ居室60の北面に設置されている。扉61は、引き戸であり、より具体的には連動2枚建て式の片引き戸である。
【0045】
居室60、洗面室25及び浴室30は東面の壁3に面する。居室60は南面の壁2に面する。居室60の南面の窓62が壁2に設置されている。窓62は2枚建ての掃き出し窓であり、窓62を通じて居室60とバルコニー6との間を行き来することができる。窓62は扉61に対向する。
【0046】
クローゼット68は居室60の西に配置され、クローゼット68の扉69はクローゼット68と居室60との間の境に設置されている。扉69は両開き型の折り戸である。扉69が閉じられると、その扉69は居室60の西面の間仕切り壁65と面一になる。クローゼット68が建物の構造体となる梁の下に設けられてもよく、この場合、その梁の側面が間仕切り壁65と面一となっていてもよい。居室60の西面の間仕切り壁65は、クローゼット68と居室60のみならず、後述の作業室70と居室60も仕切る。作業室70と居室60を仕切る部分は、クローゼット68と居室60を仕切る部分と面一となっている。
【0047】
LDK40は玄関ホール14の西部分の西に配置されている。LDK40の扉41は、玄関ホール14の西部分とLDK40との間の境に、具体的には、玄関ホール14の西部分の西面且つ且つLDK40の東面に設置されている。LDK40は扉41から西、北及び南に広がっている。LDK40は、南面の壁2及び北面の壁4に面している。なお、LDK40が第1居室であり、居室60が第2居室である。
【0048】
LDK40の北の大凡半分(以下、LDK40の北部という。)の東面は、クローゼット28及び玄関10からLDK40を仕切る間仕切り壁43に面している。LDK40の北部の西面は、収納庫48及びクローゼット49からLDK40を仕切る間仕切り壁に面している。その間仕切り壁は、LDK40、特にLDK40のキッチン部分から収納庫48に通じる第1開口と、LDK40、特にダイニング部分からクローゼット49内の空間に通じる第2開口と、を有する。クローゼット49の扉が第2開口に設けられている。収納庫48の扉が第1開口に設けられてもよい。収納庫48及びクローゼット49は西面の壁5に面し、収納庫48は北面の壁4に面している。なお、収納庫48及びクローゼット49が設けられず、LDK40の北部が西面の壁5に面してもよい。
【0049】
システムキッチン台42はLDK40の北部に設置されている。システムキッチン台42は対面キッチン型のキッチン台である。システムキッチン台42は、収納庫48及びクローゼット49からLDK40を仕切る間仕切り壁に隣接し、北面の壁5から南に離れ、クローゼット28及び玄関10からLDK40を仕切る間仕切り壁43から西に離れている。システムキッチン台42の北側がキッチン部分であり、システムキッチン台42の南側がダイニング部分である。
【0050】
LDK40の南の大凡半分(以下、LDK40の南部という。)の天井高はLDK40の北部の天井高よりも高い。LDK40の南部の天井高は居室60の天井高に等しいか、居室60の天井高よりも高く、ここでいう天井高は建物の構造体となる梁を考慮していない。LDK40の南部の西面は壁5に面している。LDK40の南部の東部分は、クローゼット28及び玄関10からLDK40の北部を仕切る間仕切り壁よりも東に張り出している。間仕切り壁44はLDK40の南部の東部分の北面に設けられ、LDK40の南部の東部分が間仕切り壁44を介してクローゼット28の南に隣接する。間仕切り壁45がLDK40の南部の東部分の東面に設けられ、LDK40の南部の東部分が間仕切り壁45を介してクローゼット68の西に隣接する。ひいては、LDK40の南部の東部分が間仕切り壁45及びクローゼット68を介して居室60に隣接している。間仕切り壁46がLDK40の南部の東部分の南面に設けられ、LDK40の南部の東部分が間仕切り壁46を介して作業室70の北に隣接する。LDK40の南部の西部分が間仕切り壁46よりも南に張り出しており、LDK40の南部の西部分が南面の壁2に面する。LDK40の南面の窓47が壁2に設置されている。窓47は3枚建ての掃き出し窓であり、窓47を通じて居室60とバルコニー6との間を行き来することができる。
【0051】
家具としてのユニット台55は、間仕切り壁44~46に寄せてLDK40の床に据え置かれているとともに、間仕切り壁44~46によって囲われた領域に収まっている。ユニット台55は、間仕切り壁44~46によって囲われた領域に完全に収まってもよいし、その領域から西に張り出してもよい。ユニット台55は、立てられる複数の脚と、これら脚の上端にされる床と、その床の下のスペースと、を備える。その床下のスペースの天井高は、その床面からLDK40の天井面までの高さよりも低い。ユニット台55の床下のスペースの天井高は、大人が屈んでそのスペースに入れるような高さであり、例えば800~1000mmほどである。ユニット台55の床面からLDK40の天井面までの高さは、大人がその床面に立ってLDK40の天井面に手又は頭が届く程度の高さであり、例えば1550~1750mmほどである。ユニット台55の床は、壁式工法、特に木質パネル接着工法によって使用される構造材としての床パネルと同等のものを複数の脚の上端の上に割り付けて接合したものである。床パネルは、4本の木製框材が矩形枠状に組み立てられてなる矩形枠体と、矩形枠体の上面に貼り付けられた木製の合板と、を有する。必要に応じて、床パネルが、矩形枠体の内側において矩形枠体に組み付けられた1又は複数の木製の桟材を有してもよい。必要に応じて、床パネルが、矩形枠体の下面に貼り付けられた木製の合板を有してもよい。ユニット台55は、LDK40の床からユニット台55の床に昇るための階段を有してもよい。ユニット台55は、ユニット台55の床面のエッジに手摺り、固定型収納ボックス又は固定型机を有してもよい。
なお、ユニット台55が無くてもよい。この場合、LDK40の南部の東部分が収納スペースであってもよく、更に扉が後述の間仕切り壁45に設けられ、作業室70からその扉を通じて収納スペースにアクセス可能であってもよい。その収納スペースは、LDK40から分離されない程度に、LDK40の中央から見て壁(この壁は間仕切り壁46に対して垂直である。)の裏に隠れてもよい。
【0052】
作業室70は、LDK40の南部の東部分及びクローゼット68の南に配置されている。作業室70は、LDK40が間仕切り壁46から南に張り出した部分の東に配置されている。作業室70は、居室60の南部分の西に配置されている。作業室70は、南面の壁2に面している。東から西に向かって順に、居室60、作業室70及びLDK40が南面の壁2に沿って配置されている。
【0053】
作業室70は、以上のような間仕切り壁46を北面に有する。作業室70は、間仕切り壁46に設置される屋内窓75を有する。屋内窓75は作業室70及びLDK40に臨み、屋内窓75が後述の窓76に対向する。このような屋内窓75が設置されているため、屋外の光が作業室70の後述の窓76及び屋内窓75を通じてLDK40に取り込まれる。屋内窓75は高窓又は腰高窓であってよい。屋内窓75が高窓であれば、作業室70におけるプライバシー性が確保される。屋内窓75が腰高窓である場合、屋内窓75のガラス障子が半透明であることが好ましく、これにより作業室70におけるプライバシー性が確保される。屋内窓75が開閉可能であれば、作業室70とLDK40の間の通気が確保される。なお、小扉が間仕切り壁46に設けられてもよく、その小扉の高さがユニット台55の床下のスペースの天井高に設定されている。小扉が開けられると、ユニット台55の床下のスペースと作業室70の間の行き来が可能である。
【0054】
作業室70は、間仕切り壁46の東において間仕切り壁46から北に奥まった収納スペース74を北面に有する。収納スペース74は間仕切り壁を介してクローゼット68の南に隣接する。収納スペース74は、間仕切り壁45を介してLDK40の東に隣接する。収納スペース74は、間仕切り壁65を介して居室60の西に隣接する。1段又は複数段の棚が収納スペース74に設置されてもよく、棚は高さを変更できる可変棚であってもよい。収納スペース74は、扉が設けられたクローゼットであってもよい。その扉は片引き戸であってもよく、その扉が開かれると、その扉が屋内窓75に重なってもよい。
【0055】
作業室70は、壁2に設置された窓76を南面に有する。窓76は腰高窓であり、南面の壁2の一部となる腰壁が窓76の下に設けられている。なお、腰壁の代わりに嵌め殺し窓が窓76に設けられてもよいし、窓76が腰高窓ではなく、作業室70の床レベルにまで及ぶ嵌め殺し窓であってもよい。
【0056】
壁2は、作業室70の南面であって窓76の西にパイプスペース77を有する。パイプスペース77は壁2の内部において上下に広がっている。壁2は、作業室70の南面であって窓76の上に第2パイプスペースを有してもよく、その第2パイプスペースの西がパイプスペース77の上部に連通している。なお、壁2のうちパイプスペース77及び第2パイプスペースが設けられた部分の厚さは、これらのパイプスペースが設けられていない部分の厚さよりも厚い。キッチン換気扇の排気ダクトは、住戸1の天井に設けられた天井パイプスペースを通って第2パイプスペースまで配管されて、壁2の上部に設けられた排気口まで通じてもよい。浴室換気扇の排気ダクトは、天井パイプスペースを通って第2パイプスペースまで配管されて、壁2の上部に設けられた排気口まで通じてもよい。第2パイプスペースにおいて、キッチン換気扇の排気ダクトと浴室換気扇の排気ダクトが合流してもよい。
【0057】
作業室70は、居室60と作業室70を仕切る扉72を東面に有する。具体的には、開口が間仕切り壁65のうち間仕切り壁46よりも南側の部分に形成され、扉72がその開口に設けられている。扉72が設けられる開口は壁2から北に離れており、間仕切り壁65の一部がその開口と壁2の間に存在する。扉72は引き戸である。具体的には、扉72は片引き戸である。扉72が開けられると、作業室70と居室60の間の通気が確保される。扉72のみならず、窓76、居室60の扉61及び玄関扉11が開けられると、バルコニー6から共用廊下8までの通風経路が確保される。扉72のみならず、窓76、居室60の扉61及びLDK40の扉41が開けられると、バルコニー6からキッチン換気扇までの通風経路が確保される。
なお、扉72が引き込み戸又は片引き戸である場合、扉72が収納棚を有してもよい。この場合、扉72が閉じられると、収納棚が作業室70に露出し、扉72が開かれると、収納棚が隠れる。
【0058】
以上のような扉72が設けられることによって、作業室70において作業をする作業者は、LDK40に居る家族によって邪魔されることなく、居室60に移動して休憩することができる。この扉72と居室60の扉61が設けられることによって、この住戸1は、作業室70から居室60を経由して玄関ホール14を繋ぐ第1動線を有する。作業室70において作業をする作業者は、LDK40を通らずに、その第1動線に沿って玄関ホール14へ移動して、トイレルーム20、洗面室25又は浴室30へ入ることができる。その作業者は、LDK40を通らずに、その第1動線に沿って玄関ホール14へ移動して、外出することができる。このような第1動線は、作業者がLDK40において団欒中の家族を邪魔することを抑制する。
【0059】
間仕切り壁65のうち扉72の上の垂れ壁部分には屋内窓82が設けられてもよいし、その垂れ壁部分全体が屋内窓82に置き換えられてもよい。そのような屋内窓82が設置されることによって、屋外の光が居室60の窓62及び屋内窓82を通じて作業室70に取り込まれたり、屋外の光が作業室70の窓76及び屋内窓82を通じて居室60に取り込まれたりする。室内壁が開閉式であれば、扉72が閉められた場合でも、作業室70と居室60の間の通気が確保される。
【0060】
作業室70は、LDK40と作業室70を仕切る扉71を西面に有する。扉71は扉72と対向する。扉71は開き戸である。具体的には、扉71は、作業室70から見て内開き且つLDK40から見て外開きの開き戸である。扉71が開けられると、作業室70とLDK40の間の通気が確保される。扉71のみならず、窓76及びLDK40の扉41が開けられると、バルコニー6からキッチン換気扇への通風経路が確保される。扉71のみならず、窓76、LDK40の扉41及び玄関扉11が開けられると、バルコニー6から共用廊下8又はその逆の通風経路が確保される。
【0061】
以上のような扉71が設けられることによって、作業室70において作業をする作業者は、居室60で睡眠中の家族を邪魔することなく、LDK40に移動して休憩することができる。この扉71とLDK40の扉41が設けられることによって、この住戸1は、作業室70からLDK40を経由して玄関ホール14を繋ぐ第2動線を有する。作業室70において作業をする作業者は、居室60を通らずに、その第2動線に沿って玄関ホール14へ移動して、トイレルーム20、洗面室25又は浴室30へ入ることができる。その作業者は、居室60を通らずに、その第2動線に沿って玄関ホール14へ移動して、外出することができる。このような第2動線は、作業者が居室60において睡眠中の家族を邪魔することを抑制する。
【0062】
作業室70は、その天井から垂れ下がる垂れ壁を西面に有する。その垂れ壁は扉71の上に設けられており、その垂れ壁と扉71が作業室70とLDK40を仕切る。なお、垂れ壁には屋内窓81が設けられてもよいし、垂れ壁全体が屋内窓81に置き換えられてもよい。そのような屋内窓81が設置されることによって、屋外の光がLDK40の窓47及び屋内窓81を通じて作業室70に取り込まれたり、屋外の光が作業室70の窓76及び屋内窓81を通じてLDK40に取り込まれたりする。室内壁が開閉式であれば、作業室70とLDK40の間の通気が確保される。
【0063】
作業テーブル73が作業室70に設置されている。具体的には、作業テーブル73は、間仕切り壁65とパイプスペース77との間において、南面の壁2に寄って窓76の前に配置されている。作業テーブル73は、間仕切り壁65及び壁2に着脱可能に取り付けられている。作業テーブル73の高さは、作業テーブル73の前で椅子に座って作業テーブル73の上で作業出来る程度に設定されている。なお、作業テーブル73の高さは、作業テーブル73の前に立って作業テーブル73の上で作業出来る程度に設定されてもよい。作業テーブル73の高さが調整可能であってもよい。
【0064】
物干し掛け材80が作業室70に設置されている。具体的には、物干し掛け材80は作業室70の天井から吊り下げられており、物干し掛け材80はその下端にリング状又はJ字状の掛け部を有する。洗濯物が、物干し掛け材80の下端に掛けられた物干し竿に、又は直接的に物干し掛け材80に掛けられる。物干し掛け材80は天井から取り外し可能である。
【0065】
<変形例1の住戸>
以下に、上述の実施形態から変更した変形例について説明する。以下に説明する変更点以外は上述の実施形態と同様である。なお、
図3及び
図5は、
図2と同様に、変形例における領域IIの拡大図である。
【0066】
図3及び
図4に示すように、間仕切り壁46の代わりにルーバー90が作業室70の北面に立設されており、作業室70がルーバー90を介してLDK40の南部の東部分の南に隣接している。ルーバー90は複数の縦羽板91及び複数の横羽板92を有する。
【0067】
縦羽板91は、間隔を置いて東西に配列されているとともに、作業室70及びLDK40の床から天井にかけて立設されている。縦羽板91の間隔は等しくてもよいし、不等であってもよい。縦羽板91は、上下に延びる回転軸の回りに横方向に振り動かせるように角度を調整可能であってもよい。縦羽板91の上端が天井に対して横方向に移動可能に取り付けられ、縦羽板91の下端が床に対して横方向に移動可能に取り付けられ、これら縦羽板91の間隔が調整可能であってもよい。
【0068】
横羽板92は、隣り合う縦羽板91の間において間隔を置いて上下に配列されているとともに、隣り合う縦羽板91の間に架設されている。横羽板92の間隔は等しくてもよいし、不等であってもよい。縦羽板91が角度調整可能であれば、横羽板92の両端部が縦羽板91の振り動きを阻害しないように設けられている。横羽板92は、東西に水平に延びる回転軸の回りに縦方向に振り動かせるように角度を調整可能であってもよい。横羽板92が水平に設置されていれば、横羽板92が物を載せられる棚板として利用可能であり、ルーバー90がシェルフを兼ねる。縦羽板91の間隔が調整可能である場合、横羽板92が水平なスライド軸によって縦羽板91に連結され、スライド軸が縦羽板91の間隔に応じて縦羽板91の連結孔から引き出されたり、縦羽板91の連結孔に引き込んだりしてもよい。横羽板92が縦羽板91に対して上下動可能に連結され、これら横羽板92の間隔が調整可能であってもよい。
【0069】
横羽板92及び縦羽板91によって囲われた領域が開口であり、その開口が通気及び採光を確保する。縦羽板91又は横羽板92の角度が調整されることによって、開口の開口率が調整され、ひいては通気及び採光の程度が調整される。物が横羽板92に載せられることによって、開口の開口率が調整され、ひいては通気及び採光の程度が調整される。
【0070】
サーキュレーターが少なくとも1つの開口に設置されてもよい。サーキュレーターがLDK40の空気を作業室70へ送風し、又は逆向きに送風すると、空気がルーバー90の開口を通じてLDK40と作業室70の間で循環することから、LDK40と作業室70の温度が均一になる。
【0071】
アクリル板等のような透明板が少なくとも1つの開口を塞いでもよい。透明板は開口内においてLDK40に寄って配置されてもよいし、作業室70に寄って配置されてもよいし、作業室70とLDK40の間の中間に配置されてもよい。全ての開口が透明板によって塞がれていれば、遮音性、非通気性及び透光性が実現される。透明板が設けられる開口の数が減るに従って、遮音性及び非通気性が低減する。
【0072】
照明器が少なくとも1つの開口に設けられてもよい。照明器は、LDK40又は作業室70を直接的に照らす直接照明であってもよいし、縦羽板91又は横羽板92を直接的に照らしてLDK40及び作業室70を間接的に照らす間接照明であってもよい。照明器が間接照明であれば、その照明器の明るさと作業室70内の明るさとLDK40の明るさのバランスにより、作業室70からLDK40への視線やLDK40から作業室70への視線が遮られる。なお、透明板と照明器が併用されてもよいのは勿論である。
【0073】
遮蔽幕がLDK40側においてルーバー90の上端から垂れ下がって、ルーバー90の開口が遮蔽幕によって塞がれてもよい。遮蔽幕が作業室70側においてルーバー90の上端から垂れ下がって、ルーバー90の開口が遮蔽幕によって塞がれてもよい。遮蔽幕は、例えば横スライドカーテン、ロールカーテン、縦ブラインド又は横ブラインドである。
【0074】
<変形例2の住戸>
図5に示すように、間仕切り壁46と壁2の間隔が、
図1及び
図2の場合における間仕切り壁46と壁2の間隔よりも広い。この場合、間仕切り壁100が作業室70の西面に立設されており、間仕切り壁100と間仕切り壁46がLDK40から見て出隅を成し、作業室70から見て入隅を成している。開口が間仕切り壁100に形成され、扉71がその開口に設けられている。
【0075】
図2の場合と比較して、作業室70が北に拡張されているため、作業室70は、北に奥まったスペースを北部に有する。クッション付きベンチ110がこのスペースに配置されている。クッション付きベンチ110は据え置かれてもよいし、間仕切り壁46等に固定されてもよい。クッション付きベンチ110が固定式である場合、クッション付きベンチ110が取り外し可能であってもよい。クッション付きベンチ110は寝台としても利用される。クッション付きベンチ110は背もたれを有してもよい。クッション付きベンチ110は肘掛けを有してもよい。
【0076】
クッション付きベンチ110が作業室70に配置されることによって、作業室70をゲストルーム、趣味室、リラックスルーム又は談話室等としても利用することができる。
【0077】
<変形例3の住戸>
住戸1の間取りは
図1の間取りに対して東西反転してもよい。変形例1及び変形例2についても同様である。
【0078】
<まとめ>
(1) LDK40、作業室70及び居室60が外壁2に面しており、LDK40、居室60及び作業室70がそれぞれ窓47,62,76を有し、窓47、62,76が外壁2に設けられているため、屋外の光がLDK40、居室60及び作業室70の何れに取り込まれやすい上、LDK40、居室60及び作業室70の何れでも換気を行いやすい。作業室70がLDK40と居室60のどちらからも出入りすることができるため、作業室70を通じてLDK40と居室60を繋ぐ動線が確保される上、LDK40と作業室70と居室60との間で風が通りやすい。作業室70を通じてLDK40と居室60の間の通気が確保される。窓47,62,76の何れかが嵌め殺し窓であっても、LDK40と作業室70と居室60との間で風が通りやすいことから、LDK40、居室60及び作業室70の何れでも換気を行いやすい。
【0079】
(2) 家族がLDK40に居る場合、作業室70で作業中の作業者が家族に会わずに居室60に移動することができる。家族が居室60に居る場合、作業者が家族に会わずに作業室70からLDK40に移動することができる。
【0080】
(3) LDK40の南部の東部分には、窓47からLDK40に取り込まれた外光が届きにくい。そうであっても、窓76から作業室70に取り込まれた外光が屋内窓75を通じて、LDK40の南部の東部分に届く。屋内窓75が窓76に対向するため、窓76から作業室70に取り込まれた外光が屋内窓75を通じてLDK40の南部の東部分に十分に届く。
【0081】
(4) 作業室70の扉71と扉72が対向するため、扉71及び扉72が開けられると、LDK40と居室60の間の換気、通気及び通風が確保される。作業室70を通じてLDK40と居室60を繋ぐ動線が直線的であり、LDK40と居室60の間を行き来しやすい。扉71及び第2扉72が閉じられると、作業室70が密室となることから、作業室70におけるプライバシー性・秘密性が確保される。
【0082】
(5) 作業室70が屋内窓81を扉71の上の西面に有することから、扉71が開けられなくても、光が作業室70からLDK40に又はその逆に取り込まれる。作業室70が扉72の上の東面に屋内窓82を有することから、扉72が開けられなくても、光が作業室70から居室60に又はその逆に取り込まれる。
【0083】
(6) 作業室70が、壁2に寄って窓76に面する作業テーブル73を有することから、作業テーブル73の上が明るい。そのため、作業テーブル73上での作業を行いやすい。作業テーブル73の前に座って作業する際に、窓76の外を眺めることができる。そのため、作業者がリラックス感を得る。
【0084】
(7) 居室60が玄関ホール14から出入りすることができ、LDK40が玄関ホール14から出入りすることができることから、作業室70から順にLDK40、玄関ホール14及び居室60を経て作業室70に至る動線が確保される。作業室70から順に居室60、玄関ホール14及びLDK40を経て作業室70に至る動線が確保される。よって、住戸1における回遊性が高い。
【0085】
(8) LDK40を通ることなく、作業室70から順に居室60、玄関ホール14及び玄関扉11を経て外出したり、逆に屋外から順に玄関扉11、玄関ホール14及び居室60を経て作業室70に入室することができる。同様に、居室60を通ることなく、LDK40を経た経路で屋外と作業室70の間を行き来することができる。作業室70からトイレルーム20、洗面室25及び浴室30へのアクセスも2通りある。
【0086】
(9) ルーバー90がLDK40から作業室70を仕切るため、LDK40と作業室70との間の通気が確保され、LDK40の光が作業室70に取り込まれ、作業室70の光がLDK40に取り込まれる。ルーバー90がLDK40から作業室70への視線を断つことから、作業室70におけるプライバシー性・秘密性が確保される。ルーバー90の開口の下にある横羽板92に物を置ける。その物が視線を断つことから、作業室70におけるプライバシー性・秘密性が確保される。
【0087】
(10) 作業室70の採光性が高く、冬季の昼間では作業室70が太陽光により暖かい。特に、扉71及び第2扉72が閉じられると、作業室70が密室となることから、作業室70の保温性が高い。そのため、この住戸1は、冬季における暖房器具の使用の抑制に寄与する。ひいては、住宅1は、二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの推進による脱炭素社会の実現と、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)の達成とに貢献する。
【符号の説明】
【0088】
1 住戸
2 外壁
8 共用廊下
10 玄関
11 玄関扉
14 玄関ホール(廊下)
40 LDK(第1居室)
46 間仕切り壁
47 第1窓
60 居室(第2居室)
62 第2窓
70 作業室
71 第1扉
72 第2扉
73 作業テーブル
75,81,82 屋内窓
76 第3窓
90 ルーバー
【要約】
【課題】本発明は、屋外の光を複数の部屋の何れにも取り込みやすく、これら部屋の何れでも換気を行いやすく、これらの部屋の間で風が通りやすい住戸を提供することを目的とする。
【解決手段】外壁(2)を置いて屋外に面する住戸(1)が、外壁(2)に面する第1居室(40)、作業室(70)及び第2居室(60)を備える。順に第1居室(40)、作業室(70)及び第2居室(60)が外壁(2)に沿って隣り合って配列される。第1居室(40)が外壁(2)に設けられる第1窓(47)を有する。第2居室(60)が外壁(2)に設けられる第2窓(62)を有する。作業室(70)が外壁(2)に設けられる第3窓(76)を有する。作業室(70)が第1居室(40)と第2居室(60)のどちらからも出入りすることができる。
【選択図】
図2