(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-28
(45)【発行日】2025-03-10
(54)【発明の名称】ケーブル接続部
(51)【国際特許分類】
H02G 15/18 20060101AFI20250303BHJP
H02G 15/08 20060101ALI20250303BHJP
H01R 4/70 20060101ALI20250303BHJP
【FI】
H02G15/18
H02G15/08
H01R4/70 Z
(21)【出願番号】P 2024056506
(22)【出願日】2024-03-29
【審査請求日】2024-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000002255
【氏名又は名称】SWCC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 克之
【審査官】福田 正悟
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-149678(JP,A)
【文献】特開2001-346323(JP,A)
【文献】特開2007-97299(JP,A)
【文献】特開2018-50402(JP,A)
【文献】特開平5-30631(JP,A)
【文献】特開平7-250424(JP,A)
【文献】特表平10-502799(JP,A)
【文献】特開平10-14080(JP,A)
【文献】特開2016-143512(JP,A)
【文献】実開昭57-1038(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 15/18
H02G 15/08
H01R 4/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の電力ケーブルのケーブル導体同士を接続する導体接続管と、
前記導体接続管の外周面に密着して配置される導電性の中間スリーブと、
前記中間スリーブの外周面に密着して配置されるゴムブロック絶縁体と、
前記ゴムブロック絶縁体の外周面に配置され、前記ゴムブロック絶縁体の外径変化を規制する拘束部材と、を備え、
前記中間スリーブは、軸方向の中央に位置し外径が一定である定径部と、前記定径部の両側に連設され前記定径部に向かって外径が大きくなる拡径部と、を有し、
前記拘束部材は、前記ゴムブロック絶縁体の外周面のうち、少なくとも前記拡径部に対応する部分が拘束領域に含まれるように配置されている、
ケーブル接続部。
【請求項2】
前記中間スリーブは、前記ゴムブロック絶縁体の弾性力に対して変形しない剛体である、
請求項1に記載のケーブル接続部。
【請求項3】
前記中間スリーブは、金属材料により形成されている、
請求項2に記載のケーブル接続部。
【請求項4】
前記中間スリーブは、前記軸方向に沿って分割された半割構造を有する、
請求項2又は3に記載のケーブル接続部。
【請求項5】
前記中間スリーブは、前記拡径部に連設され前記拡径部に向かって外径が小さくなる縮径部を有する、
請求項1又は2に記載のケーブル接続部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2本の電力ケーブルを接続するケーブル接続部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2本の電力ケーブルを接続するケーブル接続部(いわゆる中間接続部)として、一方の電力ケーブルのケーブル導体と他方の電力ケーブルのケーブル導体とを導体接続管を介して電気的に接続してケーブル端末部を形成し、ケーブル端末部を覆うように補強絶縁体が配置された構成が知られている。
【0003】
特に、内部電極、ゴム絶縁部、ストレスコーン部、外部遮へい層が一体的に成形されたワンピースのゴムブロック絶縁体を補強絶縁体として用いるゴムブロックジョイント(Rubber Block Joint、以下、「RBJ」と称する)が多用されている(例えば、特許文献1参照)。RBJは、施工性に優れるため、工期の短縮、ひいてはコストダウンを図る上で有用である。
【0004】
RBJの施工は、例えば、拡径方式によって行われる。拡径方式では、ゴムブロック絶縁体に設けられたケーブル挿入孔を、拡径保持パイプによって拡径した状態で保持し、接続される2本の電力ケーブルの端部を処理した後に、片側のケーブルにゴムブロック絶縁体を仮挿入する。そして、導体接続後にゴムブロック絶縁体を所定の位置に移動させて、拡径保持パイプを除去してケーブル挿入孔を縮径させることで、ケーブル端末部にゴムブロック絶縁体が装着される。拡径保持パイプには、例えば、リボン状のポリマー材を螺旋状に巻いてパイプ状にした拡径部材(いわゆるスパイラルコア)や、剛体からなる半割の円筒パイプ等が適用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図1に示すように、特許文献1に開示されているような従来のケーブル接続部1Aでは、導体接続部12の外径をケーブル絶縁体112の外径に一致させて、絶縁ユニット20(ゴムブロック絶縁体)の内周面と導体接続部12及びケーブル絶縁体112とが密着する構造になっている。導体接続部12の外径は、例えば、導体接続管41及びケーブル導体111の周囲に半導電ゴムテープを巻き付けたり、金属製の円筒スリーブを取り付けることにより、調整される。また、絶縁ユニット20の内径は、導体接続部12及びケーブル絶縁体112の外径よりも小さく設定されており、これらの径差によるゴムの弾性力を利用して、絶縁ユニット20がケーブル端末部10を把持する構造となっている。
【0007】
そのため、従来のケーブル接続部1Aは、大きなケーブル保持力(ケーブルが軸方向にずれないように保持する力)を実現することが困難であり、軸力によって絶縁ユニット20とケーブル絶縁体112との界面状態が変化する虞がある。特に、大きな軸力が発生しうる超高圧ケーブル用のケーブル接続部では、軸力に対するケーブル保持力のさらなる向上が望まれている。
【0008】
本発明の目的は、ゴムブロック絶縁体を用いたケーブル接続部であって、軸力に対するケーブル保持力が高く、優れた長期安定性を有するケーブル接続部を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係るケーブル接続部は、
2本の電力ケーブルのケーブル導体同士を接続する導体接続管と、
前記導体接続管の外周面に密着して配置される導電性の中間スリーブと、
前記中間スリーブの外周面に密着して配置されるゴムブロック絶縁体と、
前記ゴムブロック絶縁体の外周面に配置され、前記ゴムブロック絶縁体の外径変化を規制する拘束部材と、を備え、
前記中間スリーブは、軸方向の中央に位置し外径が一定である定径部と、前記定径部の両側に連設され前記定径部に向かって外径が大きくなる拡径部と、を有し、
前記拘束部材は、前記ゴムブロック絶縁体の外周面のうち、少なくとも前記拡径部に対応する部分が拘束領域に含まれるように配置されている。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ゴムブロック絶縁体を用いたケーブル接続部において、軸力に対するケーブル保持力を高め、優れた長期安定性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、従来のRBJ型のケーブル接続部を示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係るケーブル接続部の全体構成を示す図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る絶縁ユニットの構成を示す半断面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る導体接続部の構成を示す半断面図である。
【
図5】
図5は、中間スリーブの外形形状の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、中間スリーブの外形形状の他の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、中間スリーブの外形形状の他の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、中間スリーブの外形形状の他の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、絶縁ユニットの他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図2は、実施の形態に係るケーブル接続部1の全体構成を示す図である。
図2では、保護ケース31の内部を半断面で示している。
図3は、絶縁ユニット20の構成を示す半断面図である。
図4は、導体接続部12の構成を示す半断面図である。
【0014】
図2-4に示すように、ケーブル接続部1は、絶縁ユニット20に、ケーブル端末部10が装着されることにより構成される。ケーブル接続部1は、ゴムブロックジョイント(RBJ)と呼ばれる中間接続部である。
【0015】
ケーブル端末部10は、電力ケーブル11A、11Bのケーブル導体111が導体接続部12により接続されている部分である。導体接続部12は、導体接続管41及び中間スリーブ42を含む。
【0016】
電力ケーブル11A、11Bは、ゴム又はプラスチックで絶縁された電力ケーブル(例えば、CVケーブル)である。電力ケーブル11A、11Bは、内側から順に、ケーブル導体111、ケーブル絶縁体112、ケーブル外部半導電層113、ケーブル遮へい層(図示略)、およびケーブルシース114等を有する。電力ケーブル11A、11Bにおいて、少なくともケーブルシース114及びケーブル遮へい層を除く、ケーブル外部半導電層113よりも内部の露出された部分を「ケーブルコア」と称する。ケーブル端末部10においては、電力ケーブル11A、11Bの先端部から所定長で段剥ぎすることにより、各層が露出される。
【0017】
導体接続管41は、電力ケーブル11A、11Bのケーブル導体111を電気的かつ機械的に接続する。導体接続管13は、例えば、銅、アルミニウム、銅合金、またはアルミニウム合金等からなる通電に適した導電性金属材料で形成される。導体接続管13は、例えば、ケーブル導体111を挿入した状態で圧縮ダイス等の圧縮工具を用いて圧縮することにより、ケーブル導体111と接続される。
【0018】
中間スリーブ42は、導体接続管41及びケーブル導体111の露出部分を覆うように配置される。中間スリーブ42は、導電性材料で形成された円筒形状の部材である。中間スリーブ42の内周面の形状は、圧縮後の導体接続管41の外周面の形状に適合する。絶縁ユニット20にケーブル端末部10を装着したとき、中間スリーブ42の内周面は、導体接続管41と密着し、外周面は、絶縁ユニット20の内部電極22と密着する。つまり、ケーブル導体111は、導体接続管41及び中間スリーブ42を介して、内部電極22と電気的に接続される。
【0019】
中間スリーブ42は、外周面の軸方向の中央に、外径が一定の定径部421を有する。また、中間スリーブ42は、定径部421の軸方向の両側に、定径部421に向かって外径が大きくなる拡径部422を有する。
図4に示す例では、定径部421の外径d2は、ケーブル絶縁体112の外径d1よりも大きくなっている。
【0020】
定径部421と絶縁ユニット20との界面は軸方向と平行であるのに対して、拡径部422と絶縁ユニット20との界面は軸方向と平行ではなく交差する。ケーブル端末部10に軸力が生じると、ケーブルコアは軸方向へ移動しようとするが、絶縁ユニット20と拡径部422が軸方向に交差していることにより、ケーブルコアの軸方向への移動は規制される。拡径部422の軸方向に対する傾斜角度及び軸方向の長さは、ケーブルコアの軸方向への移動の規制効果を考慮して、適宜に設定される。
【0021】
ケーブルコアの軸方向への移動を効果的に規制するためには、中間スリーブ42は、絶縁ユニット20の弾性力に対して変形しない剛体であることが好ましい。中間スリーブ42は、例えば、導体接続管41と同様に、導電性金属材料で形成することができる。中間スリーブ42が剛体である場合、中間スリーブ42は、軸方向に沿って2分割した半割構造を有することが好ましい。これにより、導体接続管41にケーブル導体111を圧縮接続した後、容易に中間スリーブ42を取り付けることができる。
【0022】
なお、中間スリーブ42は、導電性を有していればよく、金属材料でなくてもよい。例えば、中間スリーブ42は、導体接続管41及びケーブル導体111の外周面に、導電性ゴムテープを巻き付けて形成されてもよい。
【0023】
絶縁ユニット20は、ケーブル端末部10の外周面に密着するように配置される。絶縁ユニット20は、ゴム絶縁部21、内部電極22、ストレスコーン部23及び外部遮へい層24が一体的にモールド成形されたワンピースのゴムブロック絶縁体である。
【0024】
図2に示す絶縁ユニット20は、外部遮へい層24がストレスコーン部23のいずれにも接続されていない両端縁切り構造である。なお、絶縁ユニット20は、外部遮へい層24がストレスコーン部23、23のいずれか一方に接続された片端縁切り構造であってもよいし、外部遮へい層24がストレスコーン部23、23の双方に接続された縁切り無し構造であってもよい。
【0025】
絶縁ユニット20を形成するゴム材料には、例えば、シリコーンゴムまたはエチレンプロピレンゴム(EPゴム)が好適である。絶縁ユニット20をモールド成形により形成する場合、内部電極22、ストレスコーン部23及び外部遮へい層24は、同じ材料で形成するのが好ましく、例えば、半導電シリコーンゴムまたは半導電エチレンプロピレンゴム(半導電EPゴム)が好適である。また、ゴム絶縁部21も、これらと同じ種類の導電性を有さない絶縁材料で形成するのが好ましい。
【0026】
なお、内部電極22及びストレスコーン部23はいずれも導電性であるが、全体を半導電ゴムで形成しなくても、少なくとも表面が導電性であればよく、例えば、絶縁ゴムで形成して表面のみ半導電塗料などの導電性塗料を塗布して形成してもよい。また、外部遮へい層24は導電性であるが、半導電ゴムに代えて、半導電塗料などの導電性塗料を塗布して形成してもよい。
【0027】
絶縁ユニット20は、全体として円筒形状を有する。ケーブル挿通孔25の内径D1は、典型的には軸方向にわたって一定であり、電力ケーブル11A、11Bのケーブル絶縁体112の外径d1よりも若干小さく設定される。絶縁ユニット20のケーブル挿通孔25に、ケーブル端末部10が装着される。
【0028】
絶縁ユニット20の内径D1と、ケーブル絶縁体112の外径d1及び中間スリーブ42の外径d2との径差による絶縁ユニット20(主としてゴム絶縁部21)の弾性力により、絶縁ユニット20とケーブル端末部10とが密着し、ケーブル端末部10は絶縁ユニット20に把持される。
図4に示すように、中間スリーブ42の定径部421の外径d2が、ケーブル絶縁体112の外径d1よりも大きい場合は、絶縁ユニット20とケーブル絶縁体112との界面に生じる面圧よりも、絶縁ユニット20と導体接続部12(中間スリーブ42)との界面に生じる面圧の方が大きくなる。
【0029】
絶縁ユニット20にケーブル端末部10を装着した状態において、ケーブル絶縁体112とゴム絶縁部21との絶縁界面が形成される。また、導体接続部12に電気的に接続される内部電極22と、ケーブル外部半導電層113に電気的に接続されるストレスコーン部23とにより、絶縁界面の電界が緩和される。
【0030】
本実施の形態では、絶縁ユニット20の外周面に、拘束部材43が配置されている。拘束部材43は、絶縁ユニット20の外径変化を規制する。つまり、絶縁ユニット20において、拘束部材43が配置されている部分の外径は、外力が作用しても一定に保持される。
【0031】
拘束部材43は、絶縁ユニット20の外周面のうち、中間スリーブ42の拡径部422に対応する部分(拡径部422と軸方向の位置が同じ部分)が拘束領域に含まれるように配置される。本実施の形態では、
図5に示すように、中間スリーブ42の拡径部422に対応する2箇所に、拘束部材43が配置されている。
【0032】
拘束部材43には、例えば、外径サイズを調整可能な金属製(例えば、ステンレス製)の結束バンドを適用できる。また例えば、拘束部材43は、長手方向に伸縮しない粘着性ガラステープで構成されてもよい。また、拘束部材43を取り付ける際に絶縁ユニット20が外周面が損傷するのを防止するために、拘束部材43と絶縁ユニット20との間には、可撓性を有するプラスチックシート又はゴムシートを介在させてもよい。
【0033】
前述のように、ケーブル端末部10に生じた軸力によるケーブルコアの軸方向への移動は、絶縁ユニット20と中間スリーブ42の拡径部422が交差していることにより規制される。しかし、軸力が大きいと、拡径部422から径方向外側への力、つまり径方向へ押し拡げようとする力が絶縁ユニット20に加わり、絶縁ユニット20を変形させつつケーブルコアが移動する虞がある。特に、CAZVケーブルのように、波付きアルミ被(アルミコルゲート)内にケーブルコアが収容され、ケーブルコアが軸方向に移動しやすい構造の場合、絶縁ユニット20に加わる力も大きくなる。
【0034】
本実施の形態では、中間スリーブ42の拡径部422の位置に対応して拘束部材43が配置されているので、径方向へ押し拡げようとする力が絶縁ユニット20に加わっても、絶縁ユニット20の外径は一定に保持され、ゴムの収縮によって吸収される。したがって、軸力によるケーブルコアの移動を、より効果的に規制することができる。
【0035】
ケーブル接続部1は、例えば、拡径方式により組み立てられる。拡径方式の組立て工程では、絶縁ユニット20のケーブル挿通孔25が予めスパイラルコア(図示略)等の拡径部材により拡径した状態で保持される。一方の電力ケーブル11Aに絶縁ユニット20が挿通され、この状態で、電力ケーブル11A、11Bのケーブル導体111、111が導体接続管41に接続される。また、導体接続管41及びケーブル導体111の外周面に、中間スリーブ42が取り付けられる。その後、導体接続部12(中間スリーブ42)と内部電極22が電気的に接続される位置まで絶縁ユニット20を移動させ、拡径部材を除去して絶縁ユニット20を縮径させる。これにより、ケーブル端末部10に絶縁ユニット20が装着される。
【0036】
ケーブル端末部10及び絶縁ユニット20の外側には、保護ケース31が配置される。保護ケース31は、例えば、端部にテープ巻きによって防食層32を形成することにより、電力ケーブル11A、11Bのケーブルシース114に固定される。また、絶縁ユニット20と保護ケース31との間には、防水混和物(例えば、ウレタン等の防水コンパウンド)が充填される。ケーブル接続部1は、保護ケース31及び防水混和物により、防水処理が施される。
【0037】
[変形例]
中間スリーブ42は、少なくとも中央の定径部421と定径部421に連設される拡径部422を有していればよく、上記の構造に限定されない。例えば、中間スリーブ42は、中央の定径部421及び拡径部422に加えて、縮径部や、中央以外の定径部を有していてもよい。中間スリーブ42の変形例を
図6~
図8に示す。
【0038】
図6に示す中間スリーブ42Aでは、中央の定径部421の両側に、拡径部422と、端部定径部423が順に連設されている。端部定径部423の外径は、ケーブル絶縁体112の外径と同じである。
【0039】
図7に示す中間スリーブ42Bでは、中央の定径部421の両側に、拡径部422と、長手方向の中央部に向かって外径が小さくなる縮径部424が順に連設されている。中間スリーブ42Bでは、定径部421の外径(=拡径部422の最大外径)及び縮径部424の最大外径は、ケーブル絶縁体112の外径と同じである。また、拡径部422の最小外径(=縮径部424の最小外径)は、ケーブル絶縁体112の外径より小さい。縮径部424を設けた場合、中央の定径部421の外径を、ケーブル絶縁体112の外径と一致させることができ、電気的に有利な構造となる。
【0040】
図8に示す中間スリーブ42Cでは、
図7に示す中間スリーブ42Bと同様に、中央の定径部421の両側に、拡径部422、縮径部424が順に連設されており、さらに、定径部425、拡径部426、縮径部427が順に連設されている。中間スリーブ42Cのように、隣り合う拡径部422、426の離間距離が小さい場合、拘束部材43は、複数の拡径部に跨がって配置されてもよい。
【0041】
このように、第1の実施の形態に係る面圧測定方法は、以下の特徴事項を単独で、又は、適宜組み合わせて備えている。
【0042】
すなわち、実施の形態に係るケーブル接続部1は、2本の電力ケーブル11A、11Bのケーブル導体111同士を接続する導体接続管41と、導体接続管41の外周面に密着して配置される導電性の中間スリーブ42と、中間スリーブ42の外周面に密着して配置される絶縁ユニット20(ゴムブロック絶縁体)と、絶縁ユニット20の外周面に配置され、絶縁ユニット20の外径変化を規制する拘束部材43と、を備える。中間スリーブ42は、軸方向の中央に位置し外径が一定である定径部421と、定径部421の両側に連設され定径部421に向かって外径が大きくなる拡径部422と、を有する。拘束部材42は、絶縁ユニット20の外周面のうち、少なくとも拡径部422に対応する部分が拘束領域に含まれるように配置されている。
【0043】
ケーブル接続部1によれば、絶縁ユニット20と中間スリーブ42の拡径部422とが軸方向に交差していることにより、ケーブルコアの軸方向への移動を規制することができる。さらに、中間スリーブ42の拡径部422の位置に対応して拘束部材42が配置されており、径方向へ押し拡げようとする力が絶縁ユニット20に加わっても、絶縁ユニット20の外径は一定に保持されるので、軸力によるケーブルコアの移動を、より効果的に規制することができる。したがって、ゴムブロック絶縁体を用いたケーブル接続部1において、軸力に対するケーブル保持力を高め、優れた長期安定性を実現することができる。
【0044】
すなわち、長期的に安定したケーブル接続部を提供することが可能となる。これにより、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標である持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」及び目標9「強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」に貢献することが可能となる。
【0045】
ケーブル接続部1において、中間スリーブ42は、絶縁ユニット20(ゴムブロック絶縁体)の弾性力に対して変形しない剛体である。中間スリーブ42は、軸力を受けても変形しないので、軸力によるケーブルコアの軸方向への移動をより効果的に規制することができる。
【0046】
ケーブル接続部1において、中間スリーブ42は、金属材料により形成されている。これにより、ケーブル接続部1の運転時にケーブル導体111で発生した熱を、導体接続管41及び中間スリーブ42を介して絶縁ユニット20側に放熱することができる。
【0047】
ケーブル接続部1において、中間スリーブ42は、軸方向に沿って分割された半割構造を有する。これにより、導体接続管41にケーブル導体111を圧縮接続した後に、容易に中間スリーブ42を取り付けることができる。
【0048】
ケーブル接続部1において、中間スリーブ42は、拡径部422に連設され拡径部422に向かって外径が小さくなる縮径部424を有する。これにより、中央の定径部421の外径を、ケーブル絶縁体112の外径に一致させることができ、電界的に有利となる。
【0049】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0050】
実施の形態では、絶縁ユニット20のケーブル挿通孔25の内径は、軸方向にわたって一定となっているが、ケーブル挿通孔25の内面形状は、中間スリーブ42の外面形状に適合するように形成されてもよい。例えば、中間スリーブ42の外径がケーブル絶縁体112の外径よりも大きい場合(
図5、
図6参照)は、
図9に示すように、ケーブル挿通孔25の導体接続部12に対応する部分(
図9においては、絶縁ユニット20内部にて接続される部材は図示略)に、径方向外側に凹む凹部25aを設けてもよい。すなわち、この場合、絶縁ユニット20であるゴムブロック絶縁体の内部電極22の中央部(凹部25a)の内径が、絶縁ユニット20の他の部分の内径に比べて大径となる。また例えば、中間スリーブ42の外径がケーブル絶縁体112の外径未満の場合(具体的には、前述の実施形態において定型部421の外径および両端の拡径部422の最大外径ともに、ケーブル絶縁体112の外径未満の場合)は、
図10に示すように、ケーブル挿通孔25の導体接続部12に対応する部分に、内側に突出する凸部25bを設けてもよい。すなわち、この場合、絶縁ユニット20であるゴムブロック絶縁体の内部電極22の中央部(凸部25b)の内径が、絶縁ユニット20の他の部分の内径に比べて小径となる。
【符号の説明】
【0051】
1 ケーブル接続部
10 ケーブル端末部
11A、11B 電力ケーブル
12 導体接続部
20 絶縁ユニット(ゴムブロック絶縁体)
41 導体接続管
42 中間スリーブ
43 拘束部材
111 ケーブル導体
112 ケーブル絶縁体
【要約】
【課題】ゴムブロック絶縁体を用いたケーブル接続部であって、軸力に対するケーブル保持力が高く、優れた長期安定性を有するケーブル接続部を提供する。
【解決手段】ケーブル接続部は、2本の電力ケーブルのケーブル導体同士を接続する導体接続管と、導体接続管の外周面に密着して配置される導電性の中間スリーブと、中間スリーブの外周面に密着して配置されるゴムブロック絶縁体と、ゴムブロック絶縁体の外周面に配置され、ゴムブロック絶縁体の外径変化を規制する拘束部材と、を備える。中間スリーブは、軸方向の中央に位置し外径が一定である定径部と、定径部の両側に連設され定径部に向かって外径が大きくなる拡径部と、を有し、拘束部材は、ゴムブロック絶縁体の外周面のうち、少なくとも拡径部に対応する部分が拘束領域に含まれるように配置されている。
【選択図】
図2