IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ データシステム株式会社の特許一覧

特許7642950施設利用に際しての前払い方式による自動精算システム及び施設の利用方法
<>
  • 特許-施設利用に際しての前払い方式による自動精算システム及び施設の利用方法 図1
  • 特許-施設利用に際しての前払い方式による自動精算システム及び施設の利用方法 図2
  • 特許-施設利用に際しての前払い方式による自動精算システム及び施設の利用方法 図3
  • 特許-施設利用に際しての前払い方式による自動精算システム及び施設の利用方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】施設利用に際しての前払い方式による自動精算システム及び施設の利用方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/28 20120101AFI20250304BHJP
   G06Q 20/38 20120101ALI20250304BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20250304BHJP
【FI】
G06Q20/28
G06Q20/38 310
G06Q50/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022132862
(22)【出願日】2022-08-23
(62)【分割の表示】P 2019101972の分割
【原出願日】2019-05-31
(65)【公開番号】P2022166277
(43)【公開日】2022-11-01
【審査請求日】2022-09-21
【審判番号】
【審判請求日】2024-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】500149016
【氏名又は名称】データシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001782
【氏名又は名称】弁理士法人ライトハウス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】越野 利栄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 堅史
(72)【発明者】
【氏名】木水 善宏
【合議体】
【審判長】松田 直也
【審判官】下林 義明
【審判官】間野 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-032865(JP,A)
【文献】特開2007-140970(JP,A)
【文献】特開平11-184999(JP,A)
【文献】絶景の海が目の前に!江の島アイランドスパ(えのすぱ)に行ってきたので感想や魅力をレポート | LIFEラボ,[Online][検索日:2024年01月17日],2018年05月25日,<URL:https://mpj-webmarketing.com/enospa-review>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温浴施設の利用者の靴を収容するための下足箱を開く鍵を備え、ICタグが設けられた、利用者が身に着けるためのリストバンドと、
温浴施設内に設置された読取装置と、
サーバーと
を備えるシステムであって、
ICタグに対応して、利用者のチャージ金額を記憶するチャージ金額記憶手段と、
利用者による温浴施設内の付帯施設でのサービスの利用又は物品の購入の際に、ICタグを読取装置にて読み取ると、記憶された利用者のチャージ金額を減算するチャージ金額減算手段と
を備える、システム。
【請求項2】
さらに、温浴施設内に設置されたチャージ端末を備え、
チャージ端末への入金の際に、ICタグをチャージ端末にて読み取ると、記憶された利用者のチャージ金額を加算するチャージ金額加算手段と
を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
さらに、料金入金装置を備え、
利用者が料金入金装置へ温浴施設を利用するための基本料金を入金すると、料金入金装置からリストバンドを排出し、利用者へ提供するリストバンド提供手段と
を備える、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
利用者が料金入金装置へ入金をすると、チャージ金額記憶手段が、入金された額のうち基本料金を超えた金額をチャージ金額として記憶する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
さらに、温浴施設から退館する利用者が精算を行うための自動精算機を備え、
自動精算機での精算の際に、ICタグを自動精算機にて読み取ると、自動精算機にて、記憶された利用者のチャージ金額を返金する、請求項1~4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
温浴施設の利用者の靴を収容するための下足箱を開く鍵を備え、ICタグが設けられた、利用者が身に着けるためのリストバンドと、
温浴施設内に設置された読取装置と、
サーバーと
を備えるシステムにおいて、実行される方法であって、
ICタグに対応して、利用者のチャージ金額を記憶するステップと、
利用者による温浴施設内の付帯施設でのサービスの利用又は物品の購入の際に、ICタグを読取装置にて読み取ると、記憶された利用者のチャージ金額を減算するステップと
を有する、方法。
【請求項7】
ICタグが設けられた媒体と、
施設内に設置された読取装置と、
サーバーと、
料金入金装置と
を備えるシステムであって、
利用者が料金入金装置へ施設を利用するための基本料金を入金すると、料金入金装置から媒体を排出し、利用者へ提供する媒体提供手段と、
ICタグに対応して、利用者のチャージ金額を記憶するチャージ金額記憶手段と、
利用者による施設内の付帯施設でのサービスの利用又は物品の購入の際に、ICタグを読取装置にて読み取ると、記憶された利用者のチャージ金額を減算するチャージ金額減算手段と
を備える、システム。
【請求項8】
利用者が料金入金装置へ入金をすると、チャージ金額記憶手段が、入金された額のうち基本料金を超えた金額をチャージ金額として記憶する、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
ICタグが設けられた媒体と、
施設内に設置された読取装置と、
サーバーと、
料金入金装置と
を備えるシステムにおいて、実行される方法であって、
利用者が料金入金装置へ施設を利用するための基本料金を入金すると、料金入金装置から媒体を排出し、利用者へ提供するステップと、
ICタグに対応して、利用者のチャージ金額を記憶するステップと、
利用者による施設内の付帯施設でのサービスの利用又は物品の購入の際に、ICタグを読取装置にて読み取ると、記憶された利用者のチャージ金額を減算するステップと
を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は温浴施設、その他のサービス施設を利用する際、利用料金と館内で消費するサービスや利用料金を前払いで受取り、利用完了時に顧客が精算端末機によって利用料金を精算できる精算システム、及びこれらの施設を利用する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、世間には温浴施設などの各種施設が多数存在し、これらの施設を利用するための定められた基本料金と基本料金に含まれない各種利用料金を支払う方法として従来から色々な精算システムが存在している。これらの精算システムは顧客に対するサービス向上、業務の効率化等を目的として開発されている。
【0003】
従来から温浴施設における精算システムはいろいろと知られている。例えば一般的には次のような方法が数多く導入されている。先ず利用者(顧客)がフロントで受付をする際、係員から代金精算バンドを受け取る。この代金精算バンドは利用者を識別できるバーコード又はICタグを保持しておりリストバンドと称される。
【0004】
このリストバンドは顧客に渡される前に受付の管理端末機によってリストバンドの固有番号が施設の管理サーバーの当該顧客の利用レコードとして登録される。利用者が館内の各種付帯施設を利用する都度、付帯施設の係員は顧客のリストバンドNoを付帯施設の読取装置で読み取らせ利用データと合わせ管理サーバーに送信する。管理サーバーではリストバンドNoに対応する当該顧客の利用レコードに利用明細と利用料金が記録される。
【0005】
そして、顧客が施設利用を終えて帰るときには、受付で自分のリストバンドを係員に差し出せば、係員が管理端末機でリストバンドの固有番号を読み取り管理サーバーに送信すると記録されている該顧客の利用額が管理端末機に表示され、係員は顧客に利用額を伝えて精算する。
図3はこの精算システムの概要を示している。
【0006】
特開2007-140970号に係る「自動精算機利用施設管理システム」は、利用者(顧客)の履物を保管する個々の下足ロッカーに利用者を識別できるバーコード付の下足キーを設け、受付で管理端末機により顧客の下足キーに付いているバーコードを読み取り当該利用者の入退館及び利用料金を管理する管理用サーバーを設置している。館内では利用者が施設を利用の都度、個々の付帯施設に設置してある端末機の読み取り装置で利用者の下足キーに付いているバーコードを読み取って利用額を入力することにより、管理サーバーの当該顧客レコードに記録されている利用額を更新している。顧客が施設利用を完了したときには、顧客自ら自動精算機で下足キーに付いているバーコードを読ませれば当該顧客のレコードに記録されている利用額が自動精算機に表示される。顧客は利用額を確認し代金を支払えば精算が完了する。
【0007】
精算が完了した顧客は通過を許可する退館ゲートで下足キーのバーコードを読ませれば該ゲートを開くことができる。
図4はこのシステムの概要を示している。
【文献】特開2007-140970号 に係る「自動精算機利用施設管理システム」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、施設を利用する際の料金支払い方法(精算方法)は色々知られている。しかし、従来の精算方法は利用料金を退館時に支払うようにしている後払い精算方式である。この方式を採用している場合、顧客が未払い状態で退館することを防止するため開閉ゲートや監視カメラ等の設備が設置されていて、システム全体の施工費や維持管理コストが高騰する。
また、これらの設備を顧客が正しく使用できるように常に助言や支援を行うため、専属の係員が必要となり人件費が高くなる場合もある。
本発明はこのような設備投資や人件費を最小にするため、利用料金を入館時に受取れるように構成し、精算時に顧客の利用金額が所持金を超過するといったトラブルを未然に防止することが出来る前払い方式の精算システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る精算システムは、先ず顧客一人分の入館料である基本料金と希望するチャージ(0円以上の前払いでいくらでも良い)金額を現金、若しくはカードなどのキャッシュレス支払手段により前払いする。
係員は任意のリストバンドを取り出し、管理端末の読取装置で該リストバンドのNoを読ませて該顧客の利用レコードを管理サーバー内に作成し、該リストバンドを顧客に渡す。係員は受領した金額を管理端末に入力し該顧客レコードを作成する。
【0010】
専用のチャージ金額入力装置が設置されている場合、顧客は自ら基本料金とチャージ金額を該装置に入金すれば該顧客のレコードが管理サーバーに作成され、該装置から該顧客のレコードに対応するリストバンドNoを有するリストバンドが排出され顧客はそれを受取る。
顧客には一人分の最低料金である基本料金が必要であるが、基本料以外の追加サービスや物品購入の可能性がある人は任意の金額をチャージしておく。
【0011】
入館した顧客が館内の付帯施設で利用やサービスを受ける時、顧客又は係員が顧客のリストバンドNoを端末機の読取装置で読ませるとリストNoが管理サーバーに送信され、該顧客の利用レコードに記録されると共に該顧客のチャージ金額残高が端末に表示される。
次に顧客又は係員が表示されたチャージ金額以内で利用料金やサービス料金を入力すれば、利用料金やサービス料金が管理サーバーに送信されてチャージ金額の残高から引き落とされ、端末機に印刷機能がある場合には、リストバンドNo、利用額とチャージ残高、端末機No、利用時刻等を記録したレシートが出力される。
【0012】
顧客はチャージ金額を必要に応じ事後的に追加することも可能である。この場合、館内のチャージ端末でリストバンドNoを読ませ、追加チャージ金額を支払えばリストNo及び追加チャージ金額が管理サーバーに送られ、対応する顧客レコードに記録されると共に該顧客のチャージ残高を更新し追加チャージ金額、更新されたチャージ残高、端末機No、処理時刻がレシートに出力される。
【0013】
顧客が退館するときは、自動精算機にてリストバンドNoを読ませれば、リストバンドNoが管理サーバーに送信され、管理サーバーでは対応する顧客レコードを検索し顧客の
利用明細、チャージ金額残高を画面とレシートに出力する。
このときチャージ残高があれば残高を自動精算機から現金を払い出すことが出来るように構成している。
ところで、顧客を特定する手段として上記リストバンドを用いることが好ましいが、該リストバンドに代わって生体認証をすることも出来る。
また、上記自動精算機の代わりに受付けにある管理端末機を用いて係員が精算する場合もある。
【発明の効果】
【0014】
本発明の精算システムは、来館した顧客が料金を支払わないで退館するといった問題は生じない。その為に、従来方式のシステムに必要となる設備投資は不要となり安価な精算システムを構築できる。
そして、顧客は、館内で予算をオーバーしてお金の使い過ぎを生じることもない。すなわち、予算内で楽しむことができるシステムである。また、精算時に、顧客の利用金額が所持金を超過するといったトラブルを未然に防止出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る精算システムを示す概要。
図2】リストバンドを示す具体例。
図3】従来の精算システムを示す概要。
図4】従来の精算システムを示す概要。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は本発明の精算システムを示す概略図であり、1は館内に設けている受付、2は顧客、3はリストバンド、4a,4b,4c,4dは館内に設置される各施設、5は館内の適当な場所に設置されるチャージ端末、6は自動精算機、7は管理サーバーをそれぞれ表している。ここで、上記リストバンド3の形態、また各施設4a,4b,4c,4dの種類、並びにチャージ端末5及び自動精算機6の具体的な構造は限定しない。
【0017】
ところで、本発明の精算システムでは、入館する際に受付1で基本料金とチャージ金額を支払うように構成している。基本料金は全ての入館者に必要な料金であり、チャージ金額は支払った任意のチャージ金額の範囲内で館内にある施設の利用を行い、退館する際にチャージ金額の残金を返金するといった流れである。勿論、最初に入金したチャージ金額では不足する事態になった場合には、途中で追加料金(追加チャージ)をチャージ端末5に入金することが出来る。
受付1で、顧客は基本料金とチャージ金額を支払うとリストバンド3が顧客2に渡され、顧客2はリストバンド3を身に付けることができる。
【0018】
図2は上記リストバンド3を示す具体例である。同図に示すリストバンド3は下足箱を開く下足ロッカー鍵8を備えているが、該下足ロッカー鍵8を有さないで構成する場合もある。そして、リストバンド3の中央部9には固有番号10が付され、しかも読み取り可能なバーコード11又はICタグを有しており、来館した顧客は身に付けることができる。
このリストバンド3に設けているバーコード11は管理サーバー7の端末機の読み取り装置で読み取られて、特定の顧客であることが判別される。
【0019】
係員は来館した顧客から基本料金と顧客が希望するチャージ金額(0円以上)を受領し、任意のリストバンド3を取り出し、管理端末でリストバンドNoを読ませ該顧客の利用レコードを管理サーバー7に作成した後、顧客に渡す。次に該チャージ金額を入力すれば該顧客の利用レコードとして記録される。
【0020】
若し専用のチャージ金額入力装置が設置されている場合、顧客は自ら基本料金とチャージ金額を該装置に入金すれば該顧客のレコードが管理サーバー7に作成され、装置から該顧客のレコードに対応するリストバンドNoを有するリストバンド3が排出され、顧客はそれを受取ることが出来る。
ところで、基本料金とは施設を利用する際の最低必要料金である。例えば、当館が温浴施設であるならば、入館料金がこの基本料金に当たる。
【0021】
一方、チャージ金額とは、館内での食事、マッサージ、自動販売機の利用料など、個々の顧客が自分の好みに応じて受けるサービスに対する料金であり、その金額は各サービスごとに異なっており、顧客によってはこれら個々のサービスを全く必要としない人もある。
図1において、4a,4b,4c・・・は、館内に設けている各種付帯施設であり、例えば、4aは飲料などの自販機、4bは商品を販売する施設、4cはマッサージ、4dはその他の施設を表している。
【0022】
顧客2が付帯施設を利用する場合、施設4cに備わっているバーコード11又はICタグ読取装置にリストバンド3を当てて読込ませる。読込まれたバーコード11又はICタグは管理サーバー7に送信され、該顧客レコードに記録されているチャージ金額から付帯施設利用代金が引き落とされる。チャージ金額の残高が不足している場合には、施設を利用することは出来ない。
【0023】
ところで、館内にはチャージ端末5が設置され、このチャージ端末5を使ってチャージ金額を追加することが出来る。すなわち、顧客が館内の付帯施設を利用する場合、受付1で納めたチャージ金額が不足して施設の利用が出来ないならば、館内の適当な場所に設けているチャージ端末5を使って必要金額を入金し、チャージ残高を増やすことが可能である。
【0024】
そして、顧客が退館する場合、自動精算機6にリストバンド3のNoを読み取らせるならば、自動精算機6に設けている画面にチャージ金額の利用明細並びに金額が表示され、残高があれば返金される。精算を終えた顧客は所定の場所にリストバンドを返却して退館することが出来る。
顧客は自動精算機6にリストバンド3のNoを自ら読み取らせることで精算することは出来るが、受付に設置してある管理端末機を用いて精算することも可能である。
【0025】
また、顧客を特定する為の手段としてリストバンド3は適しているが、該リストバンド3に代わって生体認証を行うことも出来る。例えば、受付け1、各施設4a,4b・・・、自動精算機6に認証機器を設置し、指紋、顔、静脈、虹彩などの生体を認識することで顧客が特定される。
【符号の説明】
【0026】
1 受付
2 顧客
3 リストバンド
4 施設
5 チャージ端末
6 自動精算機
7 管理サーバー
8 下足ロッカー鍵
9 中央部
10 固有番号
11 バーコード

図1
図2
図3
図4