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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】積層型キャパシタ及びその実装基板
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20250304BHJP
【FI】
H01G4/30 201C
H01G4/30 201N
H01G4/30 513
H01G4/30 512
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021079725
(22)【出願日】2021-05-10
(65)【公開番号】P2022075474
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2024-03-06
(31)【優先権主張番号】10-2020-0145366
(32)【優先日】2020-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イェオン、ジェ シク
(72)【発明者】
【氏名】キム、スン ファ
(72)【発明者】
【氏名】シム、ウン ジン
【審査官】小南 奈都子
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第2014-0142848(KR,A)
【文献】特開2010-129637(JP,A)
【文献】特表2010-518651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層と第1及び第2内部電極と、互いに対向する第1及び第2面と、前記第1及び第2面と連結され、互いに対向する第3及び第4面と、前記第1及び第2面と連結され、前記第3及び第4面と連結され、且つ互いに対向する第5及び第6面とを含み、前記第1内部電極が前記第3、第5、及び第6面を介して露出し、前記第2内部電極が前記第4、第5、及び第6面を介して露出するキャパシタ本体と、
前記キャパシタ本体の前記第3及び第4面にそれぞれ配置され、前記第1及び第2内部電極とそれぞれ接続される第1及び第2外部電極と、を備え、
前記第1内部電極が前記第6面に近い位置に形成される第1スペース部により、第1-1内部電極と第1-2内部電極に区分され、前記第2内部電極が前記第5面に近い位置に形成される第2スペース部により、第2-1内部電極と第2-2内部電極に区分され
前記第1-2内部電極は、前記キャパシタ本体の前記第6面に露出し、前記第1スペース部により、前記キャパシタ本体の第3面から離隔され、
前記第2-2内部電極は、前記キャパシタ本体の前記第5面に露出し、前記第2スペース部により、前記キャパシタ本体の前記第4面から離隔される、積層型キャパシタ。
【請求項2】
前記キャパシタ本体の前記第5及び第6面にそれぞれ配置される第1及び第2サイド部をさらに含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項3】
前記第1-1内部電極が前記キャパシタ本体の前記第3面及び前記第5面に露出し、
前記第2-1内部電極が前記キャパシタ本体の前記第4面及び前記第6面に露出する、請求項1または2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項4】
前記第1スペース部は、前記第3及び第4面に垂直方向に長く形成される第1-1スペース部と、前記第1-1スペース部の端部から前記第5及び第6面に垂直方向に延長され、前記第6面を介して露出する第1-2スペース部を含み、
前記第2スペース部は、前記第3及び第4面に垂直方向に長く形成される第2-1スペース部と、前記第2-1スペース部の端部から前記第5及び第6面に垂直方向に延長され、前記第5面を介して露出する第2-2スペース部を含む、請求項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項5】
前記第1-1内部電極は、前記第3及び第6面を介して露出する第1リード部をさらに含み、
前記第2-1内部電極は、前記第4及び第5面を介して露出する第2リード部をさらに含む、請求項1からのいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項6】
前記第1-1内部電極で前記キャパシタ本体の前記第3面と前記第5面を連結する部分に第1切込部が設けられ、
前記第2-1内部電極で前記キャパシタ本体の前記第4面と前記第6面を連結する部分に第2切込部が設けられる、請求項1からのいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項7】
前記キャパシタ本体は、前記第1及び第2内部電極が重なる活性領域と、前記活性領域の上下面にそれぞれ配置される上部及び下部カバー領域を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項8】
前記第1及び第2外部電極は、
前記キャパシタ本体の前記第3及び第4面にそれぞれ配置され、前記第1及び第2内部電極とそれぞれ接続される第1及び第2接続部と、
前記第1及び第2接続部で前記キャパシタ本体の前記第1面の一部までそれぞれ延長される第1及び第2バンド部と、をそれぞれ含む、請求項1からのいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項9】
前記第1-2内部電極は、前記キャパシタ本体の前記第6面に露出し、前記第1スペース部により、前記キャパシタ本体の第3面から離隔され、
前記第2-2内部電極は、前記キャパシタ本体の前記第5面に露出し、前記第2スペース部により、前記キャパシタ本体の前記第4面から離隔される、請求項3からのいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項10】
前記第1スペース部は、前記第3及び第4面に垂直方向に長く形成される第1-1スペース部と、前記第1-1スペース部の端部から前記第5及び第6面に垂直方向に延長され、前記第6面を介して露出する第1-2スペース部を含み、
前記第2スペース部は、前記第3及び第4面に垂直方向に長く形成される第2-1スペース部と、前記第2-1スペース部の端部から前記第5及び第6面に垂直方向に延長され、前記第5面を介して露出する第2-2スペース部を含む、請求項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項11】
前記第1-1内部電極は、前記第3及び第6面を介して露出する第1リード部をさらに含み、
前記第2-1内部電極は、前記第4及び第5面を介して露出する第2リード部をさらに含む、請求項10に記載の積層型キャパシタ。
【請求項12】
前記第1-1内部電極で前記キャパシタ本体の前記第3面と前記第5面を連結する部分に第1切込部が設けられ、
前記第2-1内部電極で前記キャパシタ本体の前記第4面と前記第6面を連結する部分に第2切込部が設けられる、請求項11に記載の積層型キャパシタ。
【請求項13】
誘電体層と、第1及び第2内部電極と、互いに対向する第1及び第2面と、前記第1及び第2面と連結され、互いに対向する第3及び第4面と、前記第1及び第2面と連結され、前記第3及び第4面と連結され、且つ互いに対向する第5及び第6面とを含キャパシタ本体と、
前記キャパシタ本体の前記第3及び第4面にそれぞれ配置され、前記第1及び第2内部電極とそれぞれ接続される第1及び第2外部電極と、を備え、
前記第1内部電極は、一つの誘電体層上で前記キャパシタ本体の前記第3及び第5面を介して露出するように配置される第1-1内部電極と、前記第1-1内部電極及び前記第3面と離隔され、前記キャパシタ本体の前記第6面を介して露出するように配置される第1-2内部電極を含み、
前記第2内部電極は、一つの誘電体層上で前記キャパシタ本体の前記第4及び第6面を介して露出するように配置される第2-1内部電極と、前記第2-1内部電極及び前記第4面と離隔され、前記キャパシタ本体の前記第5面を介して露出するように配置される第2-2内部電極を含む、積層型キャパシタ。
【請求項14】
前記キャパシタ本体の前記第5及び第6面にそれぞれ配置される第1及び第2サイド部をさらに含む、請求項13に記載の積層型キャパシタ。
【請求項15】
前記第1-1内部電極が前記キャパシタ本体の前記第3面及び前記第5面に露出し、
前記第2-1内部電極が前記キャパシタ本体の前記第4面及び前記第6面に露出する、請求項13または14に記載の積層型キャパシタ。
【請求項16】
前記第1-1内部電極で前記キャパシタ本体の前記第3面と前記第5面を連結する部分に第1切込部が設けられ、
前記第2-1内部電極で前記キャパシタ本体の前記第4面と前記第6面を連結する部分に第2切込部が設けられる、請求項13から15のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項17】
前記第1-1内部電極は、前記第3及び第6面を介して露出する第1リード部をさらに含み、
前記第2-1内部電極は、前記第4及び第5面を介して露出する第2リード部をさらに含む、請求項13から16のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項18】
一面に第1及び第2電極パッドを有する基板と、
前記第1及び第2電極パッド上に前記第1及び第2外部電極がそれぞれ接続されるように実装される請求項1から17のいずれか一項に記載の積層型キャパシタと、を含む、積層型キャパシタの実装基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型キャパシタ及びその実装基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型キャパシタは、小型でありながら高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、コンピュータ、PDA、携帯電話などのIT部品として広く使用されており、高信頼性及び高強度特性を有しているため、電装部品としても広く使用されている。
【0003】
近年、電子機器の小型化及び多機能化に伴い、積層型キャパシタもサイズが小さく、容量の大きい製品が要求されており、このため、内部電極がキャパシタ本体の幅方向に露出するようにして、内部電極の幅方向の面積を最大化した構造の積層型キャパシタが製造されている。
【0004】
このような構造の積層型キャパシタは、キャパシタ本体を製作した後、焼成前の段階で、キャパシタ本体の幅方向の両面にサイド部を別途に付着して、サイド部が内部電極の露出した部分をカバーする。
【0005】
しかし、上記のように、内部電極がキャパシタ本体の幅方向に露出するようにしてからサイド部を付着する構造の積層型キャパシタは、幅方向の切断面でショート不良が発生する割合が増加するおそれができ、これにより絶縁抵抗(IR)が低下する問題も発生することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】韓国公開特許第2014-0142848号公報
【文献】韓国登録特許第10-1832611号公報
【文献】韓国公開特許第2013-0101319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、容量を増加させ、キャパシタ本体の幅方向のショート不良の割合を減少させ、絶縁抵抗の低下の問題を減少させるようにした積層型キャパシタ及びその実装基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面は、誘電体層と第1及び第2内部電極を含み、互いに対向する第1及び第2面、上記第1及び第2面と連結され、互いに対向する第3及び第4面、上記第1及び第2面と連結され、上記第3及び第4面と連結され、且つ互いに対向する第5及び第6面を含み、上記第1内部電極が、上記第3、第5、及び第6面を介して露出し、上記第2内部電極が、上記第4、第5、及び第6面を介して露出するキャパシタ本体と、上記キャパシタ本体の第3及び第4面にそれぞれ配置され、上記第1及び第2内部電極とそれぞれ接続される第1及び第2外部電極と、を含み、上記第1内部電極が、上記第6面に近い位置に形成される第1スペース部により、第1-1内部電極と第1-2内部電極に区分され、上記第2内部電極が、上記第5面に近い位置に形成される第2スペース部により、第2-1内部電極と第2-2内部電極に区分される積層型キャパシタを提供する。
【0009】
本発明の一実施形態において、上記積層型キャパシタは、上記キャパシタ本体の第5及び第6面にそれぞれ配置される第1及び第2サイド部をさらに含むことができる。
【0010】
本発明の一実施形態において、上記第1-1内部電極は、上記キャパシタ本体の第3面及び第5面に露出することができ、上記第2-1内部電極は、上記キャパシタ本体の第4面及び第6面に露出することができる。
【0011】
本発明の一実施形態において、上記第1-2内部電極は、上記キャパシタ本体の第6面に露出し、上記第1スペース部により、上記キャパシタ本体の第3面から離隔されることができ、上記第2-2内部電極は、上記キャパシタ本体の第5面に露出し、上記第2スペース部により、上記キャパシタ本体の第4面から離隔されることができる。
【0012】
本発明の一実施形態において、第1スペース部は、第3及び第4面に垂直方向に長く形成される第1-1スペース部と、上記第1-1スペース部の端部から第5及び第6面に垂直方向に延長され、上記第6面を介して露出する第1-2スペース部を含むことができ、上記第2スペース部は、第3及び第4面に垂直方向に長く形成される第2-1スペース部と、上記第2-1スペース部の端部から第5及び第6面に垂直方向に延長され、上記第5面を介して露出する第2-2スペース部を含むことができる。
【0013】
本発明の一実施形態において、上記第1-1内部電極は、上記第3及び第6面を介して露出する第1リード部をさらに含むことができ、上記第2-1内部電極は、上記第4及び第5面を介して露出する第2リード部をさらに含むことができる。
【0014】
本発明の一実施形態において、上記第1-1内部電極において、上記キャパシタ本体の第3面と第5面を連結する部分に第1切込部が設けられることができ、上記第2-1内部電極において、上記キャパシタ本体の第4面と第6面を連結する部分に第2切込部が設けられることができる。
【0015】
本発明の一実施形態において、上記キャパシタ本体は、第1及び第2内部電極が重なる活性領域と、上記活性領域の上下面にそれぞれ配置される上部及び下部カバー領域を含むことができる。
【0016】
本発明の一実施形態において、上記第1及び第2外部電極は、上記キャパシタ本体の第3及び第4面にそれぞれ配置され、上記第1及び第2内部電極とそれぞれ接続される第1及び第2接続部と、上記第1及び第2接続部から上記本体の第1面の一部までそれぞれ延長される第1及び第2バンド部と、をそれぞれ含むことができる。
【0017】
本発明の他の側面は、誘電体層と第1及び第2内部電極を含み、互いに対向する第1及び第2面、上記第1及び第2面と連結され、互いに対向する第3及び第4面、上記第1及び第2面と連結され、上記第3及び第4面と連結され、且つ互いに対向する第5及び第6面を含み、上記第1内部電極が、上記第3面を介して露出し、上記第2内部電極が、上記第4面を介して露出するキャパシタ本体と、上記キャパシタ本体の第3及び第4面にそれぞれ配置され、上記第1及び第2内部電極とそれぞれ接続される第1及び第2外部電極と、を含み、上記第1内部電極は、一つの誘電体層上で上記キャパシタ本体の第3及び第5面を介して露出するように配置される第1-1内部電極と、上記第1-1内部電極及び第3面と離隔され、上記キャパシタ本体の第6面を介して露出するように配置される第1-2内部電極を含み、上記第2内部電極は、一つの誘電体層上で上記キャパシタ本体の第4及び第6面を介して露出するように配置される第2-1内部電極と、上記第2-1内部電極及び第4面と離隔され、上記キャパシタ本体の第5面を介して露出するように配置される第2-2内部電極を含む積層型キャパシタを提供する。
【0018】
本発明のもう一つの側面は、一面に第1及び第2電極パッドを有する基板と、上記第1及び第2電極パッド上に第1及び第2外部電極がそれぞれ接続されるように実装される積層型キャパシタと、を含む積層型キャパシタの実装基板を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一実施形態によると、内部電極がキャパシタ本体の幅方向に露出するように拡張することにより、積層型キャパシタの容量を増加させることができ、キャパシタ本体の幅方向の両面は、電気的にオープンされるようにすることで、幅方向の切断面で発生するショート不良及び絶縁抵抗の低下の問題を減少させることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態による積層型キャパシタを示す斜視図である。
図2図1のI-I'線に沿った断面図である。
図3】(a)及び(b)は図1の積層型キャパシタの第1及び第2内部電極を示す平面図である。
図4図1のII-II'線に沿った断面図である。
図5図1のIII-III'線に沿った断面図である。
図6】(a)及び(b)は第1及び第2内部電極の他の実施形態を示す平面図である。
図7】(a)及び(b)は第1及び第2内部電極のさらに他の実施形態を示す平面図である。
図8図1の積層型キャパシタが実装された基板を概略的に示す断面図である。
図9】比較例及び実施例のBDVを比較して示すグラフである。
図10】比較例及び実施例のショート率を比較して示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、様々な実施例を参照して、本発明の好ましい実施形態を次のように説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。また、類似した機能及び作用をする部分に対しては、図面全体にわたって同一の符号を用いる。
【0022】
また、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0023】
本発明の実施形態を明確に説明するために、方向を定義すると、図面に示されているX、Y、及びZはそれぞれ、積層型キャパシタの長さ方向、幅方向、及び厚さ方向を示す。
【0024】
また、ここでZ方向は、本実施形態において、誘電体層が積層される積層方向と同一の概念として用いられる。
【0025】
図1は本発明の一実施形態による積層型キャパシタを示す斜視図であり、図2図1のI-I'線に沿った断面図であり、図3(a)及び図3(b)は図1の積層型キャパシタの第1及び第2内部電極を示す平面図であり、図4図1のII-II'線に沿った断面図であり、図5図1のIII-III'線に沿った断面図である。
【0026】
以下、図1図5を参照して、本実施形態の積層型キャパシタについて説明する。
【0027】
図1図5を参照すると、本実施形態の積層型キャパシタ100は、キャパシタ本体110、第1及び第2外部電極131、132を含む。
【0028】
キャパシタ本体110は、複数の誘電体層111をZ方向に積層して焼成したものであって、キャパシタ本体110の互いに隣接する誘電体層111間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0029】
また、キャパシタ本体110は、複数の誘電体層111と、誘電体層111を間に挟んでZ方向に交互に配置される互いに異なる極性を有する第1及び第2内部電極121、122と、を含む。
【0030】
また、キャパシタ本体110は、キャパシタの容量形成に寄与する部分として、誘電体層111を間に挟んで第1及び第2内部電極がZ方向に交互に配置される活性領域と、マージン部として、Z方向に上記活性領域の上下面にそれぞれ設けられる上部及び下部カバー領域112、113を含むことができる。
【0031】
また、キャパシタ本体110は、その形状に特に制限はないが、おおよそ六面体形状であることができ、Z方向に互いに対向する第1及び第2面1、2と、第1及び第2面1、2と互いに連結され、X方向に互いに対向する第3及び第4面3、4と、第1及び第2面1、2と連結され、第3及び第4面3、4と連結され、且つ互いに対向する第5及び第6面5、6と、を含むことができる。このとき、本実施形態では、第1面1が積層型キャパシタ100の実装面となってもよい。
【0032】
誘電体層111は、セラミック粉末、例えば、BaTiO系セラミック粉末などを含むことができる。
【0033】
また、上記BaTiO系セラミック粉末としては、BaTiO(BT)にCaまたはZrなどが一部固溶された(Ba1-xCa)TiO、Ba(Ti1-yCa)O、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O、またはBa(Ti1-yZr)Oなどがあるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0034】
また、誘電体層111には、上記セラミック粉末とともに、セラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、及び分散剤などがさらに添加されることができる。
【0035】
上記セラミック添加剤には、例えば、遷移金属酸化物又は遷移金属炭化物、希土類元素、マグネシウム(Mg)又はアルミニウム(Al)などが含まれることができる。
【0036】
第1及び第2内部電極121、122は、互いに異なる極性を印加する電極として、それぞれの誘電体層111上に形成されてZ方向に交互に積層されることができ、一つの誘電体層111を間に挟んでキャパシタ本体110の内部にZ方向に沿って互いに対向するように交互に配置することができる。
【0037】
このとき、第1及び第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111により互いに電気的に絶縁されることができる。
【0038】
第1内部電極121は、誘電体層111の第3、第5、及び第6面3、5、6を介して露出することができる。
【0039】
また、第1内部電極121は、Y方向においてキャパシタ本体110の第6面6に近い位置に形成される第1スペース部123により、第1-1内部電極121aと第1-2内部電極121bに区分されることができる。
【0040】
第1-1内部電極121aは、キャパシタ本体110の第3面3及び第5面5を介して露出するように誘電体層111上に形成されることができる。
【0041】
そして、第1-2内部電極121bは、第1-1内部電極121aが形成された誘電体層111上に第1スペース部123により、Y方向に離隔された状態でキャパシタ本体110の第6面6を介してのみ露出するように形成することができる。すなわち、第1-2内部電極121bは、キャパシタ本体111の第3面3からは離隔されるように形成される。
【0042】
また、第1スペース部123は、X方向に長く形成される第1-1スペース部123aと第1-1スペース部123aの端部からY方向に延長されてキャパシタ本体110の第6面6を介して露出する第1-2スペース部123bを含むことができる。このとき、第1-2スペース部123bは、キャパシタ本体110の第3面3を介して露出することができる。
【0043】
本実施形態によると、第1-1内部電極121a及び第1-2内部電極121bは、第1スペース部123により互いに離隔された状態となり、第1-2内部電極121bは、後述する第1外部電極131と接続されないため、第1-2内部電極121bが露出するキャパシタ本体110の第6面6は、電気的にオープンされる状態となることができる。
【0044】
第2内部電極122は、誘電体層111の第4、第5、及び第6面4、5、6を介して露出することができる。
【0045】
また、第2内部電極122は、Y方向においてキャパシタ本体110の第5面5に近い位置に形成される第2スペース部124により、第2-1内部電極122aと第2-2内部電極122bに区分されることができる。
【0046】
第2-1内部電極122aは、キャパシタ本体110の第4面4及び第6面6を介して露出するように誘電体層111上に形成されることができる。
【0047】
そして、第2-2内部電極122bは、第2-1内部電極122aが形成された誘電体層111上に第2スペース部124によってY方向に離隔された状態でキャパシタ本体111の第5面5を介してのみ露出するように形成することができる。すなわち、第2-2内部電極122bは、キャパシタ本体110の第4面4からは離隔されるように形成される。
【0048】
また、第2スペース部124は、X方向に長く形成される第2-1スペース部124aと第2-1スペース部124aの端部からY方向に延長されてキャパシタ本体110の第5面5を介して露出する第2-2スペース部124bを含むことができる。このとき、第2-2スペース部124bは、キャパシタ本体110の第4面4を介しても露出することができる。
【0049】
本実施形態によると、第2-1内部電極122a及び第2-2内部電極122bは、第1スペース部124により互いに離隔された状態となり、第2-2内部電極122bは、後述する第2外部電極132と接続されないため、第2-2内部電極122bが露出するキャパシタ本体110の第5面5は、電気的にオープンされる状態となることができる。
【0050】
このとき、キャパシタ本体110の第3面3を介して露出する第1内部電極121の第1-1内部電極121aの端部と、キャパシタ本体110の第4面4を介して露出する第2内部電極122の第2-1内部電極122aの端部は、後述するキャパシタ本体110のX方向の両端部に配置される第1及び第2外部電極131、132とそれぞれ接続されて電気的に連結されることができる。
【0051】
上記のような構成により、第1及び第2外部電極131、132に所定の電圧が印加されると、第1及び第2内部電極121、122の間に電荷が蓄積される。
【0052】
このとき、積層型キャパシタ100の静電容量は、活性領域においてZ方向に沿って互いに重なる第1及び第2内部電極121、122の重なり面積と比例するようになる。
【0053】
本実施形態のように、第1及び第2内部電極121、122を構成すると、第1及び第2内部電極121、122の基本面積が増加するだけでなく、上下に重なる面積もまた増加するため、積層型キャパシタ100の容量を増加させることができる。
【0054】
すなわち、第1及び第2内部電極121、122の互いに重なる領域の面積が最大化する場合、同一サイズのキャパシタであっても静電容量が最大化することができる。
【0055】
また、内部電極の積層による段差を減少させ、絶縁抵抗の加速寿命を向上させることができるため、容量特性に優れ、信頼性も向上した積層型キャパシタ100を提供することができる。
【0056】
また、キャパシタ本体110の第5及び第6面5、6が電気的にオープンされる状態となり、内部電極が形成された複数の誘電体層111を積層した後、それぞれのチップに切断する過程において、第1及び第2内部電極121、122の一部が流れ出し、Z方向に上下に位置した異なる極性の第2及び第1内部電極122、121と接触して電気的に不良が発生する問題を減少させることができる。
【0057】
このとき、第1及び第2内部電極121、122を形成する材料は、特に制限されず、貴金属材料又はニッケル(Ni)及び銅(Cu)のうち少なくとも1つ以上の物質からなる導電性ペーストを用いて形成することができる。
【0058】
上記導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0059】
本実施形態の積層型キャパシタ100は、第1及び第2サイド部141、142をさらに含むことができる。
【0060】
第1サイド部141は、キャパシタ本体110の第5面5に配置され、第2サイド部142は、キャパシタ本体110の第6面6に配置される。
【0061】
第1及び第2サイド部141、142は、第1及び第2内部電極121、122でキャパシタ本体110の第5及び第6面5、6を介して露出する部分の先端をそれぞれカバーするように接する。
【0062】
第1及び第2サイド部141、142は、キャパシタ本体110と、第1及び第2内部電極121、122を外部衝撃などから保護し、キャパシタ本体110の周囲の絶縁性及び耐湿信頼性を確保する役割を果たすことができる。
【0063】
第1及び第2外部電極131、132は、互いに異なる極性の電圧が提供され、本体110のX方向の両端部に配置され、第1-1及び第2-1内部電極121a、122aでキャパシタ本体110の第3及び第4面3、4を介して露出する部分とそれぞれ接続されて電気的に連結されることができる。
【0064】
第1外部電極131は、第1接続部131a及び第1バンド部131bを含むことができる。
【0065】
第1接続部131aは、キャパシタ本体110の第3面3に配置され、第1-1内部電極121aからキャパシタ本体110の第3面3を介して外部に露出する端部と接触して、第1-1内部電極121aと第1外部電極131を互いに物理的及び電気的に連結する役割を果たす。
【0066】
第1バンド部131bは、第1接続部131aからキャパシタ本体110の第1面1の一部まで延長される部分である。
【0067】
このとき、第1バンド部131bは、必要に応じて固着強度の向上などのためにキャパシタ本体110の第2、第5、及び第6面2、5、6に向かってさらに延長され、第1及び第2サイド部141、142の一端部を覆うように形成されることができる。
【0068】
第2外部電極132は、第2接続部132a及び第2バンド部132bを含むことができる。
【0069】
第2接続部132aは、キャパシタ本体110の第4面4に配置され、第2-1内部電極122aからキャパシタ本体110の第4面4を介して外部に露出する端部と接触して、第2-1内部電極122aと第2外部電極132を互いに物理的及び電気的に連結する役割を果たす。
【0070】
第2バンド部132bは、第2接続部132aからキャパシタ本体110の第1面1の一部まで延長される部分である。
【0071】
このとき、第2バンド部132bは、必要に応じて固着強度の向上などのためにキャパシタ本体110の第2、第5、及び第6面2、5、6に向かってさらに延長され、第1及び第2サイド部141、142の他端部を覆うように形成されることができる。
【0072】
また、第1及び第2外部電極131、132は、構造的信頼性、基板実装の容易性、外部に対する耐久度、耐熱性、等価直列抵抗(Equivalent Series Resistance、ESR)のうち少なくとも一部を向上させるためにめっき層をそれぞれ含むことができる。
【0073】
例えば、上記めっき層は、スパッタ又は電解めっき(Electric Deposition)により形成されることができるが、これに限定されない。
【0074】
また、上記めっき層は、ニッケルを最も多く含有することができるが、これに限定されず、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)または鉛(Pb)などの単独またはこれらのうち少なくとも一つ以上の合金で実現されることができる。
【0075】
本実施形態の積層型キャパシタ100は、第1及び第2内部電極121、122がキャパシタ本体110の第5及び第6面5、6を介して露出する構造であるため、Y方向における第1及び第2内部電極121、122の端部でキャパシタ本体110の段差が改善されることができる。
【0076】
従って、誘電体層111と、第1及び第2内部電極121、122の厚さを薄くして多層薄膜化しても積層型キャパシタ100の信頼性に大きな問題が発生しないため、積層型キャパシタ100の容量を増加させながら、信頼性も確保することができる。
【0077】
そして、従来の内部電極がキャパシタ本体の幅方向の両面に露出する構造の積層型キャパシタは、内部電極がキャパシタ本体の幅方向に露出しない構造の積層型キャパシタと比較して、キャパシタ本体の第5及び第6面におけるショート不良が大幅に増加するおそれがある。
【0078】
これにより、サイド部を付着する前に、キャパシタ本体の第5及び第6面を洗浄するなどの追加的な工程が要求されることがある。
【0079】
また、これらのショート不良は積層型キャパシタの絶縁抵抗を低下させる原因となることがある。
【0080】
本実施形態では、キャパシタ本体110の第5及び第6面5、6が電気的にオープンされる状態となり、内部電極が形成された複数の誘電体層111を積層した後、それぞれのチップに切断する過程において、第1及び第2内部電極121、122の一部がキャパシタ本体110の第5及び第6面5、6を介して流れ出し、異なる極性の第2及び第1内部電極122、121が接触してもショートが発生しないようにして、積層型キャパシタ110の信頼性を向上させることができる。
【0081】
このように積層型キャパシタ100のショート不良の割合を減少させると、積層型キャパシタ100の絶縁抵抗が低下する問題もともに改善することができる。
【0082】
図8を参照すると、本実施形態による積層型キャパシタの実装基板は、一面に第1及び第2電極パッド221、222を有する基板210と、基板210の上面において第1及び第2外部電極131、132が第1及び第2電極パッド221、222上にそれぞれ接続されるように実装される積層型キャパシタ100と、を含む。
【0083】
本実施形態において、積層型キャパシタ100は、はんだ231、232を介して基板210に実装されることが図示且つ説明されているが、必要に応じて、はんだの代わりに導電性ペーストを用いることもできる。
【0084】
実験形態
以下、本発明の積層型キャパシタと、従来の積層型キャパシタの容量及びBDVを比較するための実験を実施し、図9に示す。
【0085】
比較例は、長さと幅が1.440mmと0.797mmであり、第1及び第2内部電極がキャパシタ本体の第5及び第6面にすべて露出する積層型キャパシタである。
【0086】
実施例は、比較例と同一のサイズを有し、第1及び第2内部電極は、図3に示した構造を有する積層型キャパシタである。
【0087】
ここで、BDVは積層型キャパシタに電圧を0Vから印加し始めて、ショートが発生する電圧まで電圧を上昇させながらショートが発生する電圧を測定して確認する。
【0088】
図9を参照すると、比較例の平均BDVは75.7Vであり、実施例の平均BDVは93.27Vと、実施例の平均BDVが比較例に比べて20.6V増加した。また、比較例は、BDVが80V以下の割合が約50%であり、実施例の場合、BDVが80V以下の割合が約7%と、実施例が比較例に比べて非常に頑強な設計構造を有することが確認できる。
【0089】
ここで、ショート率は機種ごとに定められた電流と電圧を印加したとき、抵抗値を測定し、ショート発生の有無を確認する。
【0090】
図10を参照すると、比較例のショート率は16%であり、実施例のショート率は6%と、実施例が比較例に比べてショート率が62.5%減少したことがわかる。これにより、実施例における積層型キャパシタの信頼性が優れていることがわかる。
【0091】
本発明は、上述した実施形態及び添付された図面によって限定されるものではなく、添付された特許請求の範囲によって限定される。
【0092】
したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で当技術分野の通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【0093】
例えば、図6のように、第1内部電極121'の第1-1内部電極121aは、誘電体層111上にキャパシタ本体110の第6面6に近い位置でキャパシタ本体110の第3及び第6面3、6を介して露出するように延長される第1リード部121cをさらに含むことができる。
【0094】
このとき、第1リード部121cは、キャパシタ本体110の第3及び第6面3、6を互いに連結するコーナー部分を介して露出することができる。
【0095】
第2内部電極122'の第2-1内部電極122aは、誘電体層111上にキャパシタ本体110の第5面5に近い位置でキャパシタ本体110の第4及び第5面4、5を介して露出するように延長される第2リード部122cをさらに含むことができる。
【0096】
このとき、第2リード部122cは、キャパシタ本体110の第4及び第5面4、5を互いに連結するコーナー部分を介しても露出することができる。
【0097】
キャパシタ本体110の第5及び第6面5、6のうち、第3及び第4面3、4と隣接する位置では、ショート発生の確率が相対的に低いため、このような構造により、ショート発生の確率は大幅に増加せず、内部電極及び外部電極の電気的連結性をさらに向上させることができる。
【0098】
そして、図7のように、第1内部電極121"の第1-1内部電極121a'は、キャパシタ本体110の第3面3と第5面5を互いに連結する部分に第1切込部125が設けられることができる。
【0099】
このとき、第1切込部125は、キャパシタ本体110の第3面3と第5面5を互いに連結するコーナー部分に形成されることができる。
【0100】
また、第2内部電極122"の第2-1内部電極122a'でキャパシタ本体110の第4面4と第6面6を互いに連結する部分に第2切込部126が設けられることができる。
【0101】
このとき、第2切込部126は、キャパシタ本体110の第4面4と第6面6を互いに連結するコーナー部分に形成されることができる。
【0102】
第1及び第2切込部125、126は、積層型キャパシタの耐湿信頼性をさらに向上させることができる。
【符号の説明】
【0103】
100 積層型キャパシタ
110 キャパシタ本体
111 誘電体層
121、122 第1及び第2内部電極
121a、121a' 第1-1内部電極
121b、121b' 第1-2内部電極
122a、122a' 第2-1内部電極
122b、122b' 第2-2内部電極
123、123' 第1スペース部
124、124' 第2スペース部
131、132 第1及び第2外部電極
131a、132a 第1及び第2接続部
131b、132b 第1及び第2バンド部
141、142 第1及び第2サイド部
210 基板
221、222 第1及び第2電極パッド
231、232 はんだ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10