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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】検出装置およびドアハンドル
(51)【国際特許分類】
   E05B 81/76 20140101AFI20250304BHJP
   E05B 85/10 20140101ALI20250304BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20250304BHJP
   H01H 13/00 20060101ALI20250304BHJP
【FI】
E05B81/76
E05B85/10
B60J5/00 H
H01H13/00 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023531410
(86)(22)【出願日】2022-03-14
(86)【国際出願番号】 JP2022011203
(87)【国際公開番号】W WO2023276303
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2024-01-25
(31)【優先権主張番号】P 2021110981
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 渉
(72)【発明者】
【氏名】川名 譲
(72)【発明者】
【氏名】大下 和人
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/044649(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0011096(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 77/00-85/28
B60J 5/00
H01H 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インナーケースを有する車両用のドアハンドルの内部に設けられる検出装置であって、
前記ドアハンドルの長手方向に沿って延在する長手形状を有し、前記インナーケースに対して固定的に設置され、前記インナーケースに圧力が加えられた際に変形する基部と、
前記ドアハンドルの長手方向に沿って延在する長手形状を有し、前記基部と対向して設けられ、長手方向の一端部および他端部の一方または双方が前記基部に接続され、前記基部の前記変形に伴って前記基部に対して相対的に変位する変位部を有する変位部材と、
前記変位部の前記変位を検出するセンサと
を備え
前記変位部材は、
前記一端部が前記基部に接続され、前記他端部が前記変位部であり、前記変位部が前記ドアハンドルの長手方向に前記基部に対して変位する
ことを特徴とする検出装置。
【請求項2】
前記変位部材は、
前記基部に向かって延在し、前記基部の縁部を保持する複数の脚部を有する
ことを特徴とする請求項に記載の検出装置。
【請求項3】
前記センサは、
前記変位部の前記ドアハンドルの長手方向への変位に伴って歪みが生じ、当該歪みを検出する歪みセンサである
ことを特徴とする請求項またはに記載の検出装置。
【請求項4】
前記センサは、
前記基部に固定的に設置される固定部と、前記固定部から前記変位部材に向かって突出した軸部とを有し、前記軸部が前記変位部に設けられている係合部に係合している
ことを特徴とする請求項に記載の検出装置。
【請求項5】
インナーケースを有する車両用のドアハンドルの内部に設けられる検出装置であって、
前記ドアハンドルの長手方向に沿って延在する長手形状を有し、前記インナーケースに対して固定的に設置され、前記インナーケースに圧力が加えられた際に変形する基部と、
前記ドアハンドルの長手方向に沿って延在する長手形状を有し、前記基部と対向して設けられ、長手方向の一端部および他端部の一方または双方が前記基部に接続され、前記基部の前記変形に伴って前記基部に対して相対的に変位する変位部を有する変位部材と、
前記変位部の前記変位を検出するセンサと
を備え、
前記変位部材は、
前記一端部および前記他端部の双方が脚部を介して前記基部に接続され、前記一端部と前記他端部との間の中央部が前記変位部であり、前記基部の変形に伴って前記脚部の車外側が、外側に倒れこむ事で前記変位部が前記基部に近づく方向に変位する検出装置。
【請求項6】
前記センサは、
前記変位部の前記基部に近づく方向への変位に伴って歪みが生じ、当該歪みを検出する歪みセンサである
ことを特徴とする請求項に記載の検出装置。
【請求項7】
前記センサは、
前記基部に固定的に設置される固定部と、前記固定部から前記変位部材に向かって突出した軸部とを有し、前記軸部が前記変位部に設けられている係合部に係合している
ことを特徴とする請求項に記載の検出装置。
【請求項8】
車両用のドアハンドルであって、
車外側に設けられるアウターケースと、車内側に設けられるインナーケースとが組み合わされることによって形成されるケースと、
前記ケースの内部に設けられた、請求項1、2、5からのいずれか一項に記載の検出装置と
を備えることを特徴とするドアハンドル。
【請求項9】
前記基部の変形に伴って前記脚部の車外側が、外側に倒れこみ、前記変位部材が前記長手方向に伸張して、前記変位部材が平坦になるように車内側に弾性変形することで、前記変位部が前記基部に近づく方向に変位する
請求項に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置およびドアハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1には、車両用のドアハンドル内の基板に設けられた圧力センサによって、ドアハンドルに圧力が加わった際の、ドアハンドル内の基板の撓み変形を検出することにより、車両のドアを開錠または施錠する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-130392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、ドアハンドルの圧力が加えられた場所から圧力センサまでの距離が遠くなるにつれて、圧力センサに荷重が伝わり難くなるため、圧力センサによる検出精度が低くなる虞がある。このため、例えば、従来技術では、ドアハンドルに加えられた圧力の検出精度を、圧力が加えられた場所によらず高めるためには、複数の圧力センサを設置する必要があり、構成が複雑化する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る検出装置は、インナーケースを有する車両用のドアハンドルの内部に設けられる検出装置であって、ドアハンドルの長手方向に沿って延在する長手形状を有し、インナーケースに対して固定的に設置され、インナーケースに圧力が加えられた際に変形する基部と、ドアハンドルの長手方向に沿って延在する長手形状を有し、基部と対向して設けられ、一端部および他端部の一方または双方が基部に接続され、基部の変形に伴って基部に対して相対的に変位する変位部を有する変位部材と、変位部の変位を検出するセンサとを備える。
【発明の効果】
【0006】
一実施形態によれば、ドアハンドルの内側に加えられた圧力を、比較的簡単な構成でより確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係るドアハンドルの車外側から見た外観斜視図
図2】第1実施形態に係るドアハンドルの車内側から見た外観斜視図
図3】第1実施形態に係るドアハンドルの取り付け状態を示す図
図4】第1実施形態に係るドアハンドルの分解斜視図
図5】第1実施形態に係るドアハンドルの分解斜視図
図6】第1実施形態に係るドアハンドルの断面図
図7A】第1実施形態に係る検出装置の動作を模式的に示す図
図7B】第1実施形態に係る検出装置の動作を模式的に示す図
図8】第1実施形態に係る検出装置の第1変形例を模式的に示す図
図9】第1実施形態に係る検出装置の第2変形例を模式的に示す図
図10】第1実施形態に係る検出装置の第3変形例を模式的に示す図
図11】第1実施形態に係る検出装置の第4変形例を模式的に示す図
図12】第1実施形態に係る検出装置の第5変形例を模式的に示す図
図13】第2実施形態に係るドアハンドルの分解斜視図
図14】第2実施形態に係るドアハンドルの分解斜視図
図15】第2実施形態に係るドアハンドルの断面図
図16A】第2実施形態に係る検出装置の動作を模式的に示す図
図16B】第2実施形態に係る検出装置の動作を模式的に示す図
図17A】第2実施形態に係る検出装置の一変形例を模式的に示す図
図17B】第2実施形態に係る検出装置の一変形例を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、一実施形態について説明する。なお、以降の説明では、便宜上、図中Z軸方向(車両の高さ方向に対応する方向)を上下方向とし、図中Y軸方向(車両の幅方向に対応する方向)を横幅方向とし、図中X軸方向(車両の長さ方向に対応する方向)を前後方向とする。また、図中Y軸正側を外側および車外側とし、図中Y軸負側を内側および車内側とする。
【0009】
〔第1実施形態〕
(ドアハンドル100の概要)
図1は、第1実施形態に係るドアハンドル100の車外側から見た外観斜視図である。図2は、第1実施形態に係るドアハンドル100の車内側から見た外観斜視図である。図1および図2に示すドアハンドル100は、車両の前後方向(X軸方向)に沿って延在する、細長い棒状の部品である。ドアハンドル100は、車両のドア30の車外側表面30A(図3参照)に取り付けられることにより、ユーザがドア30を開閉する際に、ユーザに手によって把持される部品である。
【0010】
図1および図2に示すように、ドアハンドル100は、ケース100Aを備える。ケース100Aは、ドアハンドル100の全体形状をなす部品である。ケース100Aは、例えば、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂,PC(polycarbonate)樹脂等の樹脂素材から形成される。ケース100Aは、車内側(Y軸負側)となるインナーケース110と、主に車外側(Y軸正側)となるアウターケース120とを有する。インナーケース110およびアウターケース120は、いずれも、前後方向(X軸方向)に長手形状を有する。ケース100Aは、インナーケース110およびアウターケース120が互いに組み合わされることによって形成される。
【0011】
図2に示すように、アウターケース120の車内側(Y軸負側)に設けられている車内側表面120Aには、前後方向(X軸方向)に延在する開口部120Bが形成されている。開口部120Bは、インナーケース110の外形状と略同形状である。開口部120Bには、インナーケース110が嵌め込まれる。
【0012】
ドアハンドル100の車内側(Y軸負側)、且つ、前後方向(X軸方向)における中央部には、車外側(Y軸正側)に向って湾曲状に凹んだ凹部100Bが形成されている。また、ドアハンドル100の車内側(Y軸負側)、且つ、前後方向(X軸方向)における両端部には、いずれも平坦な一対の設置面100Cが設けられている。なお、設置面100Cは、アウターケース120の車内側表面120Aと、インナーケース110に設けられる固定部112の車内側表面および固定部113の車内側表面と、によって形成される。
【0013】
図3は、第1実施形態に係るドアハンドル100の取り付け状態を示す図である。図3に示すように、ドアハンドル100は、一対の設置面100Cの各々がドア30の車外側表面30Aに密着した状態で、ドア30に対してねじ止め固定される。
【0014】
また、図3に示すように、ドアハンドル100は、凹部100Bを有することにより、ドア30の車外側表面30Aとの間にユーザの手を挿し込み可能な空間(図3参照)を形成し、ユーザの手によるドアハンドル100の把持を可能にする。
【0015】
(ドアハンドル100の内部構成)
図4および図5は、第1実施形態に係るドアハンドル100の分解斜視図である。図6は、第1実施形態に係るドアハンドル100の断面図であり、ドアハンドル100の上方(Z軸正方向)から見たXY平面による断面(歪みセンサ140の軸部142のZ軸方向の中心をとおる断面)を示す。
【0016】
<ケース100Aの構成>
図4図6に示すように、ドアハンドル100は、ケース100Aを備える。ケース100Aは、インナーケース110とアウターケース120とに分割可能である。インナーケース110は、アウターケース120に形成された当該インナーケース110と略同形状の開口部120B(図5参照)に嵌め込まれることにより、アウターケース120と一体化する。インナーケース110は、把持部111、固定部112、および固定部113を有する。
【0017】
把持部111は、インナーケース110の前後方向(X軸方向)における中央部に設けられており、前後方向(X軸方向)に延在する長手形状の部分である。把持部111は、ドア30を開けようとする際に、ユーザの手によって車外側方向(Y軸正方向)に圧力が加えられる部分である。把持部111の車外側(Y軸正側)の車外側表面111Aは、平面状である。車外側表面111Aには、基板130が設置される。把持部111の車内側(Y軸負側)の車内側表面111Bは、ドアハンドル100の凹部100B(図1図3参照)に沿って延在する曲面状であり凹部100Bの一部を形成する。把持部111は、長手方向(X軸方向)における端部から中央部に向って、左右方向(Y軸方向)の厚さ寸法が小さくなるようになっていることで、両端部では剛性が高められており変形しにくくなっている。
【0018】
固定部112は、インナーケース110の前後方向(X軸方向)における前端部(車両の前側の端部)に設けられており、アウターケース120に固定される部分である。固定部112は、把持部111の前端部から前方(X軸正方向)に延長して設けられた概ね平板状の部分である。固定部112は、台座部112Aおよび台座接続部112Bを有する。台座部112Aは、把持部111の前端部から離間して設けられている。台座部112Aは、当該台座部112AをY軸方向に貫通するネジ(図示省略)によって、アウターケース120に対してねじ止め固定される部分である。台座接続部112Bは、台座部112Aと把持部111の前端部との間を接続するように設けられている。なお、台座接続部112Bは、把持部111において圧力が加えられた際に、変形し難いように高さ方向(Z軸方向)の寸法が設定されている。
【0019】
固定部113は、インナーケース110の前後方向(X軸方向)における後端部(車両の後ろ側の端部)に設けられており、アウターケース120に固定される部分である。固定部113は、YZ平面に対して固定部112と対称形状となっている。固定部113は、把持部111の後端部から後方(X軸負方向)に延長して設けられた概ね平板状の部分である。固定部113は、台座部113Aおよび台座接続部113Bを有する。台座部113Aは、把持部111の後端部から離間して設けられている。台座部113Aは、当該台座部113AをY軸方向に貫通するネジ(図示省略)によって、アウターケース120に対してねじ止め固定される部分である。台座接続部113Bは、台座部113Aと把持部111の後端部との間を接続するように設けられている。なお、台座接続部113Bは、把持部111において圧力が加えられた際に変形しし難いように高さ方向(Z軸方向)の寸法が設定されている。
【0020】
<ケース100Aの内部の構成>
また、図4図6に示すように、ドアハンドル100は、ケース100Aの内部に、基板130、歪みセンサ140、およびホルダ150を備える。基板130、歪みセンサ140、およびホルダ150は、検出装置10を構成する。
【0021】
基板130は、「基部」の一例である。前後方向を長手方向とする弾性変形可能な樹脂製且つ平板状の部材である。基板130は、インナーケース110の把持部111の車外側(Y軸正側)の車外側表面111Aに対し、任意の固定手段(例えば、両面テープ等)によって固定的に設置される。これにより、基板130は、ドアハンドル100に圧力が加えられたときに、インナーケース110の把持部111とともに、車外側に向かって凸状に湾曲するように弾性変形する。
【0022】
歪みセンサ140は、基板130の車外側表面130Aにおける前端部(X軸正側の端部)に実装され、ドアハンドル100に圧力が加えられたことを検出する。図4および図6に示すように、歪みセンサ140は、固定部141および軸部142を有する。
【0023】
固定部141は、平面視において矩形状を有する平板状の部分であり、合成樹脂またはセラミックで形成されている。固定部141は、その車内側(Y軸負側)の表面において、基板130の車外側表面130Aにおける前端部(X軸正側の端部)に固定される。
【0024】
軸部142は、固定部141と一体的に形成されており、固定部141の車外側(Y軸正側)の表面における中央部から、車外側(Y軸正側)に向かって突出した柱状を有する。軸部142の先端部は、ホルダ150の車内側の表面に形成されている凹部154(図5参照)に嵌め込まれている。
【0025】
歪みセンサ140は、ドアハンドル100に圧力が加えられたとき、X軸方向に変位したホルダ150によって軸部142がX軸方向に押し倒されることにより、固定部141に歪みが生じる。固定部141の車内側(Y軸負側)の表面には、複数の歪み素子(図示省略)が設けられている。これにより、歪みセンサ140は、複数の歪み素子によって、固定部141の歪みを検出することができ、すなわち、ドアハンドル100に圧力が加えられたことを検出することができる。
【0026】
ホルダ150は、「変位部材」の一例である。ホルダ150は、前後方向(X軸方向)を長手方向とする弾性変形可能な樹脂製且つ平板状の部材である。すなわち、ホルダ150は、ドアハンドル100の長手方向に沿って延在する長手形状を有する。また、ホルダ150は、基板130の車外側表面130Aと対向して設けられている。
【0027】
ホルダ150は、後側(X軸負側)の端部である一端部151に接続部151Aが設けられおり、当該接続部151Aによって基板130の後側(X軸負側)の端部に固定的に接続されている。ホルダ150は、前側(X軸正側)の端部である他端部152が、変位部であり、基板130の変形(湾曲)に伴って、当該変位部がドアハンドル100の長手方向(X軸方向)に基板130に対して相対的に変位する。
【0028】
ホルダ150は、側壁150Aと複数の突出部分150Bと複数の脚部153を有する。複数の脚部153の各々は、ホルダ150の上側(Z軸正側)の側面および下側(Z軸負側)の側面から基板130に向かって延在し、ホルダ150と基板130とのY軸方向の離間距離を一定に保つ。具体的には、各脚部153は、基板130を越えて延在した先端部分153Aを有し、該先端部分153Aがホルダ150の内側(ホルダ150のZ軸方向の中央部分)に向かって直角に折れ曲がった形状に形成されており、先端部分153Aとホルダ150の複数の突出部分150Bとの間で、基板130の縁部を挟持する。これにより、各脚部153と突出部分150Bは、基板130に対するホルダ150の前後方向(X軸方向)への移動を可能にしつつ、ホルダ150の左右方向(Y軸方向)および上下方向(Z軸方向)への移動を規制するように、ホルダ150の縁部を挟持する。なお、本実施例においては、基板130に対するホルダ150の前後方向(X軸方向)への移動を可能にしつつ、ホルダ150の左右方向(Y軸方向)および上下方向(Z軸方向)への移動を規制する為の構成として、側壁150Aと複数の突出部分150Bと複数の脚部153とを設け、先端部分153Aとホルダ150の複数の突出部分150Bとの間で基板130の縁部を挟持する構成とした。但し、挟持される基板130の位置は、基板130の縁部に限らない。例えば、基板130のZ軸方向の中央にX方向に沿った開口溝を設け、この開口溝におけるZ軸方向の両方の内縁部を、先端部分153Aとホルダ150の複数の突出部分150Bで挟持するようにしても良い。
【0029】
ホルダ150は、複数の脚部153によって基板130に連結されることにより、ドアハンドル100に圧力が加えられたときに、インナーケース110の把持部111および基板130とともに、車外側に向かって凸状に湾曲するように弾性変形する。
【0030】
ホルダ150は、長手方向(X軸方向)における全域に亘って、車内側(Y軸負側)の表面から車外側(Y軸正側)に向かって凹んだ形状の空間部150Cを有しており、空間部150Cには、基板130の車外側表面130Aに実装された歪みセンサ140を収容することができる。なお、本実施形態では、側壁150Aによって空間部150Cを形成しているが、これに限らず、例えば、車外側(Y軸正側)に向かって凹んだ形状の凹部によって空間部150Cを形成しても良い。
【0031】
ホルダ150における空間部150Cの奥底面、且つ、歪みセンサ140の軸部142と対向する位置(すなわち、ホルダ150の変位部である他端部152)には、車外側(Y軸正側)に向かって凹んだ形状の凹部154(図5参照)が形成されている。凹部154は、「係合部」の一例である。凹部154には、歪みセンサ140の軸部142の先端部が嵌め込まれて係合する。これにより、第1実施形態に係るドアハンドル100は、ドアハンドル100に圧力が加えられたとき、ホルダ150のX軸方向への変位に伴って、ホルダ150が歪みセンサ140の軸部142をX軸方向に押し倒すことができるようになっている。なお、軸部142をホルダ150に係合させる方法としては、嵌め込みに限らず、その他の方法(例えば、接着する、嵌め込んで更に接着する、等)を用いてもよい。
【0032】
(検出装置10の動作)
図7Aおよび図7Bは、第1実施形態に係る検出装置10の動作を模式的に示す図である。第1実施形態に係る検出装置10は、歪みセンサ140によって、ユーザの手によってインナーケース110に加えられた圧力を検出することができる。
【0033】
具体的には、ユーザの手によって、ドアハンドル100のインナーケース110の把持部111に対して、車外側方向(Y軸正方向)への圧力が加えられた場合(図7に示す矢印A)について説明する。
【0034】
図7Aに示すように、把持部111に対する圧力が加えられていないとき、基板130の前端部(X軸正側の端部)とホルダ150の前端部(X軸正側の端部)とは、前後方向(X軸方向)において同位置にある。
【0035】
また、図7Aに示すように、歪みセンサ140の固定部141は、基板130の車外側表面130Aに固定されている。また、歪みセンサ140の軸部142の先端部は、ホルダ150の前端部(X軸正側の端部)に設けられている凹部154内に嵌め込まれている。
【0036】
一方、図7Bに示すように、インナーケース110の把持部111に対する圧力が加えられたとき、インナーケース110の両端部(固定部112,113)がアウターケース120に固定されているため、当該把持部111が車外側(Y軸正側)へ撓むように弾性変形する。同時に、基板130およびホルダ150が、把持部111とともに車外側(Y軸正側)へ撓むように弾性変形する。このとき、図7Bに示すように、基板130およびホルダ150は、両者の曲率半径の相違により、基板130の前端部(X軸正側の端部)とホルダ150の前端部(X軸正側の端部)との間で、前後方向(X軸方向)への位置ずれが生じる。
【0037】
これにより、図7Bに示すように、ホルダ150の前端部(X軸正側の端部)は、基板130の前端部(X軸正側の端部)に対して、相対的に後方(X軸負方向)に変位する(図7に示す矢印B)。その結果、ホルダ150の前端部(X軸正側の端部)は、歪みセンサ140の軸部142を後方(X軸負方向)に押し倒すことができる。
【0038】
歪みセンサ140においては、軸部142が傾倒することにより、固定部141に歪みが生じる。歪みセンサ140は、この固定部141の歪みを、複数の歪み素子(図示省略)によって検出し、当該歪みを表す歪み検出信号を、ユーザの手によって圧力が加えられたことを表す圧力検出信号として出力する。なお、歪みセンサ140は、前後方向(X方向)に1つの歪み素子を有するものであってもよく、要するに、ユーザの手によってインナーケース110に加えられた圧力を検出できるように、少なくとも1つの歪み素子が設置されていればよい。
【0039】
第1実施形態に係る検出装置10は、インナーケース110を有する車両用のドアハンドル100の内部に設けられる検出装置10であって、ドアハンドル100の長手方向に沿って延在する長手形状を有し、インナーケース110に対して固定的に設置され、インナーケース110に圧力が加えられた際に変形する基板130と、ドアハンドル100の長手方向に沿って延在する長手形状を有し、基板130と対向して設けられ、一端部151が基板130に接続され、基板130の変形に伴って基板130に対して相対的に変位する変位部を有するホルダ150と、変位部の変位を検出する歪みセンサ140とを備える。
【0040】
これにより、第1実施形態に係る検出装置10は、インナーケース110に圧力が加えられたときに、インナーケース110とともに基板130およびホルダ150を変形させて、ホルダ150の変位部を基板130に対して相対的に変位させることができる。このため、第1実施形態に係る検出装置10は、歪みセンサ140によって、ホルダ150の変位部の変位を一か所で検出することで、ドアハンドル100の内側に加えられた圧力を、比較的簡単な構成でより確実に検出することができる。
【0041】
第1実施形態に係る検出装置10において、ホルダ150は、一端部151が基板130に接続され、他端部152が変位部であり、変位部がドアハンドル100の長手方向に変位する。
【0042】
これにより、第1実施形態に係る検出装置10は、インナーケース110に圧力が加えられたときに、ドアハンドル100の長手方向へのホルダ150の他端部152(変位部)の変位を検出することで、ドアハンドル100の内側に加えられた圧力を、比較的簡単な構成でより確実に検出することができる。なお、本実施形態では、接続部151Aから距離が最も離間した他端部152の変位を検出している。この為、本実施形態では、基板130とホルダ150とが撓んだ際の曲率半径の相違に伴う大きな変位を検出できるが、必ずしもホルダ150の他端部152の変位を検出しなくともよく、ホルダ150の中間部の変位を検出するようにしても良い。
【0043】
また、第1実施形態に係る検出装置10において、ホルダ150は、基板130に向かって延在し、基板130の縁部を保持する複数の脚部153を有する。
【0044】
これにより、第1実施形態に係る検出装置10は、ホルダ150と基板130との離間距離を一定に保つことができるとともに、インナーケース110に圧力が加えられたときに、基板130とともにホルダ150を変形させることができ、曲率半径の相違に伴う大きな変位を検出できるが、脚部153は必ずしも必須では無い。脚部153を省略した場合、インナーケース110に圧力が加えられたとき基板130は変形するが、ホルダ150は変形しない。従って、脚部153を省略した場合であっても、基板130及びホルダ150の両方が変形する場合に比べて相対的な変位量は少なくなるものの、基板130とホルダ150との間に相対的にX軸方向の変位が生じて、軸部142に傾く荷重が加えることができるため、インナーケース110に加えられた圧力を検出する事ができる。このように、必ずしも、ホルダ150が、基板130と同心円状に変形させる構成とする必要は無く、基板130とホルダ150との間に相対的にX軸方向の変位が生じて、軸部142に傾く荷重が加えることができる構成とすれば良い。
【0045】
第1実施形態に係る検出装置10において、歪みセンサ140は、ドアハンドル100の長手方向へのホルダ150の変位部の変位に伴って歪みが生じ、当該歪みを検出する歪みセンサ140である。
【0046】
これにより、第1実施形態に係る検出装置10は、歪みセンサ140に歪みを生じさせることで、ドアハンドル100の長手方向へのホルダ150の他端部152(変位部)の変位を、より確実に検出することができる。
【0047】
第1実施形態に係る検出装置10において、歪みセンサ140は、基板130に固定的に設置される固定部141と、固定部141からホルダ150に向かって突出した軸部142とを有し、軸部142が変位部に設けられている凹部154に係合している。
【0048】
これにより、第1実施形態に係る検出装置10は、軸部142を傾倒させて歪みセンサ140に歪みを生じさせることで、ドアハンドル100の長手方向へのホルダ150の他端部152(変位部)の変位を、より確実に検出することができる。なお、凹部154は、例えば、貫通穴で形成しても良く、要は他端部152(変位部)の変位に伴って軸部142が傾倒するような構成であれば良い。
【0049】
(検出装置10の第1変形例)
図8は、第1実施形態に係る検出装置10の第1変形例を模式的に示す図である。図8に示すように、第1実施形態の第1変形例に係る検出装置10は、第1実施形態の歪みセンサ140の代わりに、ドアハンドル100の長手方向(X軸方向)へのホルダ150の他端部152の移動距離を検出する光学式の距離センサ160を備える。図8に示す例では、距離センサ160は、基板130の車外側表面130Aにおいて、ホルダ150の他端部152よりも前側(X軸正側)に、ホルダ150の他端部152と対向して設けられている。インナーケース110に圧力が加えられたとき、該圧力に応じて他端部152(変位部)は変位するが、第1実施形態に係る検出装置10においては、該他端部152(変位部)の変位を圧力を検出する事で検出したが、第1変形例においては距離センサ160によって、当該距離センサ160とホルダ150の他端部152(変位部)との間の距離D1の変化(変位)を検出する事で、インナーケース110に加えられた圧力を検出する。
【0050】
(検出装置10の第2変形例)
図9は、第1実施形態に係る検出装置10の第2変形例を模式的に示す図である。図9に示すように、第1実施形態の第2変形例に係る検出装置10は、第1実施形態の歪みセンサ140の代わりに、ドアハンドル100の長手方向(X軸方向)へのホルダ150の他端部152の移動に伴う静電容量の変化を検出する静電センサ161を備える。第1変形例との概略の相違点としては光学式に代えて静電式で距離を測定するようにした点である。図9に示す例では、静電センサ161は、第1電極161Aおよび第2電極161Bを有する。第1電極161Aは、ホルダ150の他端部152に設けられている。第2電極161Bは、基板130の車外側表面130Aにおいて、第1電極161Aよりも前側(X軸正側)に、第1電極161Aと対向して設けられている。第2変形例に係る検出装置10は、インナーケース110に圧力が加えられたとき、静電センサ161によって、第1電極161Aと第2電極161Bとの間の距離D2の変化に伴う静電容量の変化を検出する事で、他端部152(変位部)のX方向の変位を検出し、インナーケース110に加えられた圧力を検出する。
【0051】
(検出装置10の第3変形例)
図10は、第1実施形態に係る検出装置10の第3変形例を模式的に示す図である。図10に示すように、第1実施形態の第3変形例に係る検出装置10は、第1実施形態の歪みセンサ140の代わりに、ドアハンドル100の長手方向(X軸方向)へのホルダ150の他端部152の移動に伴う静電容量の変化を検出する静電センサ162を備える。図10に示す例では、静電センサ162は、第1電極162Aおよび第2電極162Bを有する。第1電極162Aは、ホルダ150の他端部152における車内側表面150Aに設けられている。第2電極162Bは、基板130の車外側表面130Aにおいて、第1電極162Aと対向して設けられている。第3変形例に係る検出装置10は、インナーケース110に圧力が加えられたとき、静電センサ162によって、第1電極162Aと第2電極162Bとの重なり面積の変化に伴う静電容量の変化を検出する事で、他端部152(変位部)のX方向の変位を検出し、インナーケース110に加えられた圧力を検出する。
【0052】
(検出装置10の第4変形例)
図11は、第1実施形態に係る検出装置10の第4変形例を模式的に示す図である。図11に示すように、第1実施形態の第4変形例に係る検出装置10は、第1実施形態の歪みセンサ140の代わりに、ドアハンドル100の長手方向(X軸方向)へのホルダ150の他端部152の移動に伴う圧力を検出する圧電センサ163を備える。図11に示す例では、圧電センサ163は概略四角形状でありX側の側面の中央部が突出した形状となっている。又、ホルダ150の他端部152における車内側表面150Aには、車内側(基板130側)に向かって突出した突起部152Aが設けられている。そして、図11に示す例では、基板130の車外側表面130Aにおいて、突起部152Aよりも後側(X軸負側)に、圧電センサ163が設けられ、突起部152Aと圧電センサ163は当接して設けられている。第4変形例に係る検出装置10は、インナーケース110に圧力が加えられたとき、突起部152Aによる圧電センサ163に対する押圧力の変化を検出する事で、他端部152(変位部)のX方向の変位を検出し、インナーケース110に加えられた圧力を検出する。
【0053】
(検出装置10の第5変形例)
図12は、第1実施形態に係る検出装置10の第5変形例を模式的に示す図である。図11に示すように、第1実施形態の第5変形例に係る検出装置10は、歪みセンサ140の軸部142に装着される弾性キャップ143を有し、当該弾性キャップ143が、ホルダ150の他端部152に設けられた開口部155に嵌め込まれてもよい。これにより、第5変形例に係る検出装置10は、軸部142と他端部152とをガタつくことなく結合する事が可能となる。また、第1実施形態において、インナーケース110に少ない荷重が加えられた場合からでも検知できるようにする為には、凹部154と軸部142の先端部をガタつくことなく嵌め込む必要がある。しかし、部品精度や組み込み精度の問題で接続部151Aから凹部154までの距離と、基板130の後側(X軸負側)の端部から軸部142の先端部までの距離がずれた状態で組み込まれる場合がある。そうなると、把持部111に対する圧力が加えられていないときであっても、ホルダ150の他端部152から歪みセンサ140の軸部142に初期荷重が加わることとなるが、弾性キャップ143を設けることによって、初期状態で大きな力が加わらないようにすることができる。
【0054】
〔第2実施形態〕
(ドアハンドル100-2の内部構成)
図13および図14は、第2実施形態に係るドアハンドル100-2の分解斜視図である。図15は、第2実施形態に係るドアハンドル100-2の断面図であり、ドアハンドル100-2の上方(Z軸正方向)から見たXY平面による断面を示す。
【0055】
<ケース100Aの構成>
図13図15に示すように、ドアハンドル100-2は、ケース100Aを備える。ケース100Aは、第1実施形態に係るドアハンドル100が備えるケース100Aと同様であるため、説明を省略する。
【0056】
<ケース100Aの内部の構成>
また、図13図15に示すように、ドアハンドル100-2は、ケース100Aの内部に、基板130、歪みセンサ140、およびホルダ170を備える。基板130、歪みセンサ140、およびホルダ170は、検出装置20を構成する。
【0057】
検出装置20が備える基板130および歪みセンサ140は、第1実施形態に係る検出装置10が備える基板130および歪みセンサ140と同様である。但し、第2実施形態に係る検出装置20において、歪みセンサ140の固定部141は、基板130の車外側表面130Aにおいて、基板130の長手方向(X軸方向)における中央部に固定される。また、第2実施形態に係る検出装置20において、歪みセンサ140の軸部142の先端部は、ホルダ170の車内側の表面に形成されている凹部174に嵌め込まれている。
【0058】
また、第2実施形態に係る検出装置20において、歪みセンサ140は、ドアハンドル100-2に圧力が加えられたとき、車内側(Y軸負側)に変位したホルダ170の中央部によって軸部142が車内側(Y軸負側)に押圧されることにより、固定部141に歪みが生じる。固定部141の車内側(Y軸負側)の表面には、複数の歪み素子(図示省略)が設けられている。これにより、歪みセンサ140は、複数の歪み素子によって、固定部141の歪みを検出することができ、すなわち、ドアハンドル100-2に圧力が加えられたことを検出することができる。
【0059】
ホルダ170は、「変位部材」の一例である。ホルダ170は、前後方向(X軸方向)を長手方向とする弾性変形可能な樹脂製且つ平板状の部材である。すなわち、ホルダ170は、ドアハンドル100-2の長手方向に沿って延在する長手形状を有する。また、ホルダ170は、基板130よりも前後方向(X軸方向)の長さが短く、基板130の車外側表面130Aの中央部と対向して設けられている。
【0060】
ホルダ170は、後側(X軸負側)の端部である一端部171に、上下方向(Z軸方向)に一対の脚部173が設けられおり、当該一対の脚部173によって、基板130の中央部における後側(X軸負側)の上下一対の縁部に係合されている。
【0061】
また、ホルダ170は、前側(X軸正側)の端部である他端部172に、上下方向(Z軸方向)に一対の脚部173が設けられおり、当該一対の脚部173によって、基板130の中央部における前側(X軸負側)の上下一対の縁部に係合されている。
【0062】
複数の脚部173の各々は、ホルダ170の上側(Z軸正側)の側面および下側(Z軸負側)の側面から基板130に向かって延在し、ホルダ170の基板130側の表面が基板130の車外側表面130Aに当接することで、ホルダ170の脚部173と基板130との相対的な位置関係を一定に保つ。各脚部173は、先端部分がホルダ170の内側(ホルダ170のZ軸方向の中央)に向かって直角に折れ曲がった形状をしており、先端部分とホルダ170の基板130側の表面との間で、基板130の縁部を挟持する。これにより、各脚部173は、基板130に嵌合して垂直に固定されホルダ170の左右方向(Y軸方向)および上下方向(Z軸方向)への移動を規制するように、ホルダ170の縁部を挟持する。なお、各脚部173は、基板130に対して、篏合に限らず接着により固定されてもよい。
【0063】
また、ホルダ170は、前後方向(X軸方向)における中央部が、変位部であり、複数の脚部173は基板130に対して垂直であるため、基板130の変形(湾曲)に伴って、複数の脚部173の車外側(Y軸正側)が、外側(ホルダ170のX方向の中央から遠ざかる方向)に倒れこみ、この為、変位部が車内側に向かって(すなわち、基板130に近づく方向に)変位する。すなわち、ホルダ170の中央の変位部は、複数の脚部173の倒れこみによって、複数の脚部173からX軸方向の両側に引っ張られることにより、水平状態を維持しつつ、基板130の車外側表面130Aに近づく。
【0064】
このように、ホルダ170は、ドアハンドル100-2に圧力が加えられたときに、インナーケース110の把持部111および基板130に近づくように弾性変形する。
【0065】
ホルダ170における車内側の表面の中央部(歪みセンサ140の軸部142と対向する位置)には、車外側(Y軸正側)に向かって凹んだ形状の凹部174が形成されている。凹部174は、「係合部」の一例である。凹部174には、歪みセンサ140の軸部142の先端部が嵌め込まれて係合する。これにより、第2実施形態に係るドアハンドル100-2は、ドアハンドル100-2に圧力が加えられたとき、ホルダ170の中央部の車内側(Y軸負側)への変位に伴って、ホルダ170の中央部が歪みセンサ140の軸部142を車内側(Y軸負側)に押圧できるようになっている。なお、凹部174を設けずに、軸部142の先端面をホルダ170における車内側の表面の中央部に当接するようにしても良い。
【0066】
(検出装置20の動作)
図16Aおよび図16Bは、第2実施形態に係る検出装置20の動作を模式的に示す図である。第2実施形態に係る検出装置20は、歪みセンサ140によって、ユーザの手によってインナーケース110に加えられた圧力を検出することができる。
【0067】
具体的には、ユーザの手によって、ドアハンドル100-2のインナーケース110の把持部111に対して、車外側方向(Y軸正方向)への圧力が加えられた場合(図16に示す矢印A)について説明する。
【0068】
図16Aに示すように、把持部111に対する圧力が加えられていないとき、ホルダ170は、基板130の車外側表面130Aと平行であり、ホルダ170の複数の脚部173の各々は、基板130の車外側表面130Aと垂直である。
【0069】
また、図16Aに示すように、歪みセンサ140の固定部141は、基板130の車外側表面130Aにおける中央部に固定されている。また、歪みセンサ140の軸部142の先端部は、ホルダ170の車内側の表面の中央部に設けられている凹部174内に嵌め込まれている。
【0070】
一方、図16Bに示すように、インナーケース110の把持部111に対する圧力が加えられたとき、インナーケース110の両端部(固定部112,113)がアウターケース120に固定されているため、当該把持部111が車外側(Y軸正側)へ撓むように弾性変形する。同時に、把持部111に固定されている基板130が、把持部111とともに車外側(Y軸正側)へ撓むように弾性変形する。これにより、基板130の中央部が、ホルダ170に近づく方向(Y軸正方向)に変位する(図16に示す矢印B)。このとき、前述したよう脚部173は基板130との垂直関係が維持されるよう倒れるので、図16Bに示すように、基板130に連結されている、前側(X軸正側)の脚部173の車外側(Y軸正側)の端部と、後側(X軸負側)の脚部173の車外側(Y軸正側)の端部との間の距離が広がり、ホルダ170が長手方向(X軸方向)に伸張して、ホルダ170が平坦になるように車内側に弾性変形する。これにより、ホルダ170の中央部が、基板130に近づく方向(Y軸負方向)に変位する(図16に示す矢印C)。基板130が、車外側(Y軸正側)へ撓むように弾性変形することも相俟って、ホルダ170の中央部は、歪みセンサ140の軸部142を車内側(Y軸負側)に押圧することができる。
【0071】
なお、図16に示すように、ホルダ170の車内側(Y軸負側)の表面には、上下方向(Z軸方向)に延びる直線状に切り欠かれた溝部175が、前後一対に形成されている。これにより、ホルダ170は、上記のように伸張および変形し易い形状となっている。
【0072】
歪みセンサ140においては、軸部142が押圧されることにより、固定部141に歪みが生じる。歪みセンサ140は、この固定部141の歪みを、複数の歪み素子(図示省略)によって検出し、当該歪みを表す歪み検出信号を、ユーザの手によって圧力が加えられたことを表す圧力検出信号として出力する。
【0073】
第2実施形態に係る検出装置20は、インナーケース110を有する車両用のドアハンドル100-2の内部に設けられる検出装置20であって、ドアハンドル100-2の長手方向に沿って延在する長手形状を有し、インナーケース110に対して固定的に設置され、インナーケース110に圧力が加えられた際に変形する基板130と、ドアハンドル100-2の長手方向に沿って延在する長手形状を有し、基板130と対向して設けられ、一端部171および他端部172の双方が基板130に接続され、基板130の変形に伴って基板130に対して相対的に変位する変位部を有するホルダ170と、変位部の変位を検出する歪みセンサ140とを備える。
【0074】
これにより、第2実施形態に係る検出装置20は、インナーケース110に圧力が加えられたときに、インナーケース110とともに基板130およびホルダ170を変形させて、ホルダ170の変位部を基板130に対して相対的に変位させることができる。このため、第2実施形態に係る検出装置20は、歪みセンサ140によって、ホルダ170の変位部の変位を一か所で検出することで、ドアハンドル100-2の内側に加えられた圧力を、比較的簡単な構成でより確実に検出することができる。
【0075】
第2実施形態に係る検出装置20において、ホルダ170は、一端部171および他端部172の双方が基板130に接続され、一端部171と他端部172との間の中央部が変位部であり、変位部が基板130に近づく方向に変位する。
【0076】
これにより、第2実施形態に係る検出装置20は、インナーケース110に圧力が加えられたときに、基板130に近づく方向へのホルダ170の中央部の変位を検出することで、ドアハンドル100-2の内側に加えられた圧力を、比較的簡単な構成でより確実に検出することができる。
【0077】
また、第2実施形態に係る検出装置20において、歪みセンサ140は、変位部の基板130に近づく方向への変位に伴って歪みが生じ、当該歪みを検出する歪みセンサ140である。
【0078】
これにより、第2実施形態に係る検出装置20は、歪みセンサ140に歪みを生じさせることで、基板130に近づく方向へのホルダ170の中央部の変位を、より確実に検出することができる。
【0079】
また、第2実施形態に係る検出装置20において、歪みセンサ140は、基板130に固定的に設置される固定部141と、固定部141からホルダ170に向かって突出した軸部142とを有し、軸部142が変位部に設けられている係合部に係合している。
【0080】
これにより、第2実施形態に係る検出装置20は、軸部142を押圧して歪みセンサ140に歪みを生じさせることで、基板130に近づく方向へのホルダ170の中央部の変位を、より確実に検出することができる。なお、本実施例においては、溝部175を設け、またホルダ170の中央の上面が、脚部173の上端に比べてY軸正側に突出した形状(以下、「突出形状」と示す)としているので、脚部173の上端が広がった時に、脚部173の上端を繋ぐ部分にX軸方向で伸ばす向きの力が加わる。このため、ホルダ170の中央の上面は、Y軸負側に変位する。但し、溝部175および上記突出形状は必須の構成ではない。例えば、ホルダ170の脚部173の上端を繋ぐ部分を薄肉にして、X軸方向に弾性変形するようにしても良い。この場合、基板130の車外側(Y軸正側)への変形により、軸部142が車内側(Y軸負側)に押圧されるため、インナーケース110に加えられた圧力を検出する事ができる。
【0081】
(検出装置20の一変形例)
図17Aおよび図17Bは、第2実施形態に係る検出装置20の一変形例を模式的に示す図である。図17に示すように、第2実施形態に係る検出装置20は、ホルダ170および歪みセンサ140を基板130の長手方向(X軸方向)における中央部に配置する代わりに、ホルダ170および歪みセンサ140を基板130の長手方向(X軸方向)における端部に配置してもよい。図17に示す例では、ホルダ170および歪みセンサ140は、基板130の前端部(X軸正側の端部)に配置されている。
【0082】
図17に示すように、第2実施形態に係るドアハンドル100-2は、インナーケース110に圧力が加えられた場合、基板130が全体的に湾曲するため、ホルダ170および歪みセンサ140を基板130の長手方向におけるいずれの場所に配置した場合であっても、ホルダ170を同様に変形させて、ホルダ170の中央部によって歪みセンサ140の軸部142を押圧することができる。
【0083】
例えば、図17Bに示すように、インナーケース110の把持部111に対する圧力が加えられたとき(図17に示す矢印A)、当該把持部111および基板130が、車外側(Y軸正側)へ撓むように弾性変形する。これにより、基板130における歪みセンサ140の設置部が、ホルダ170に近づく方向(Y軸正方向)に変位する(図17に示す矢印B)。このとき、図17Bに示すように、ホルダ170が長手方向(X軸方向)に伸張し、ホルダ170が車内側に弾性変形する。これにより、ホルダ170の中央部が、基板130に近づく方向(Y軸負方向)に変位する(図17に示す矢印C)。その結果、ホルダ170の中央部は、歪みセンサ140の軸部142を車内側(Y軸負側)に押圧することができる。
【0084】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【0085】
本国際出願は、2021年7月2日に出願した日本国特許出願第2021-110981号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願の全内容を本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0086】
10,20 検出装置
30 ドア
30A 車外側表面
100,100-2 ドアハンドル
100A ケース
100B 凹部
100C 設置面
110 インナーケース
111 把持部
111A 車外側表面
111B 車内側表面
112 固定部
112A 台座部
112B 台座接続部
113 固定部
113A 台座部
113B 台座接続部
120 アウターケース
120A 車内側表面
120B 開口部
130 基板
130A 車外側表面
140 歪みセンサ
141 固定部
142 軸部
143 弾性キャップ
150 ホルダ
150C 空間部
151 一端部
151A 接続部
152 他端部
152A 突起部
153 脚部
154 凹部
155 開口部
160 距離センサ
161 静電センサ
161A 第1電極
161B 第2電極
162 静電センサ
162A 第1電極
162B 第2電極
163 圧電センサ
170 ホルダ
171 一端部
172 他端部
173 脚部
174 凹部
175 溝部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17A
図17B