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  • 特許-画像形成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20250304BHJP
   C09D 11/101 20140101ALI20250304BHJP
   C09D 11/54 20140101ALI20250304BHJP
【FI】
B41J2/01 123
B41J2/01 129
B41J2/01 501
C09D11/101
C09D11/54
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020052993
(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公開番号】P2021151742
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-02-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 正見
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-194462(JP,A)
【文献】特開2016-005873(JP,A)
【文献】特開2000-095990(JP,A)
【文献】特開2018-202843(JP,A)
【文献】特開2009-241586(JP,A)
【文献】国際公開第2019/235141(WO,A1)
【文献】特開2018-138347(JP,A)
【文献】特開2007-106790(JP,A)
【文献】特開2004-181669(JP,A)
【文献】国際公開第2012/133667(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01
C09D 11/101
C09D 11/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙である記録媒体に前処理液を付与する工程と、
前記記録媒体の前記前処理液が付与された面に活性線硬化型インクを付与する工程と、
前記付与された活性線硬化型インクに活性線を照射する工程と、
を有し、
前記前処理液は、水および樹脂を含み、
前記活性線硬化型インクは、2官能モノマーまたは多官能モノマーを含み、
前記活性線硬化型インクは、前記樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも低い温度に設定された、前記前処理液を付与された記録媒体の表面に付与される、
画像形成方法。
【請求項2】
前記前処理液は、ガラス転移温度(Tg)が15℃以上90℃以下である樹脂を含む、請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記前処理液は、ガラス転移温度(Tg)が45℃以上65℃以下である樹脂を含む、請求項1または2に記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記活性線硬化型インクは、前記樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも10℃以上低い温度に設定された、前記記録媒体の表面に付与される、請求項1~3のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項5】
記録媒体に前処理液を付与する工程と、
前記記録媒体の前記前処理液が付与された面に活性線硬化型インクを付与する工程と、
前記付与された活性線硬化型インクに活性線を照射する工程と、
を有し、
前記前処理液は、水およびガラス転移温度(Tg)が45℃以上65℃以下である樹脂を含み、
前記活性線硬化型インクは、2官能モノマーまたは多官能モノマーを含み、
前記活性線硬化型インクは、前記樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも低い温度に設定された、前記前処理液を付与された記録媒体の表面に付与される、
画像形成方法。
【請求項6】
前記活性線硬化型インクは、前記樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも10℃以上低い温度に設定された、前記記録媒体の表面に付与される、請求項5に記載の画像形成方法。
【請求項7】
前記記録媒体は、前記前処理液および前記活性線硬化型インクを付与される面が紙(ただし混抄紙を除く)である、請求項5または6に記載の画像形成方法。
【請求項8】
前記前処理液は、水溶性有機溶剤をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項9】
前記前処理液は、前記前処理液の全質量に対して50質量%以上の前記水溶性有機溶剤を含む、請求項に記載の画像形成方法。
【請求項10】
前記記録媒体の表面に付与された前処理液を乾燥する工程をさらに有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項11】
前記活性線硬化型インクは、前記2官能モノマーまたは多官能モノマーを、前記活性線硬化型インクの全質量に対して30質量%以上含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項12】
前記活性線硬化型インクは、ゲル化剤を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項13】
前処理液を付与される記録媒体は、前記記録媒体のブリストー法において前記前処理液との接触開始から30msec1/2以内の前記前処理液に含まれる水の吸収量、10ml/m以上30ml/m以下である、請求項1~12のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット法は、簡便かつ安価に画像を作製できるため、各種印刷、マーキング、細線形成、カラーフィルター等の特殊印刷を含む様々な印刷分野に応用されている。インクジェット法は、版を用いずデジタル印刷が可能であるため、多様な画像を少量ずつ形成するような用途に特に好適である。
【0003】
インクジェット法によって、紙などのインクを吸収する記録媒体に画像を形成するとき、インクジェットヘッドから吐出されて記録媒体に着弾したインク中の成分(例えば、活性線重合性化合物、色材など)が記録媒体の内部へ吸収されやすいため、着弾したインクの裏抜け、インクの滲み、形成される画像の濃度ムラが生じやすい。そこで、インクが記録媒体の内部に吸収されるのを抑制するために、記録媒体の表面に前処理液を付与して前処理層を形成し、その表面にインクを付与する方法が検討されている。
【0004】
たとえば、特許文献1には、ポリオレフィン系樹脂粒子を含む前処理液が塗布された記録媒体上に油性インクを付与する画像形成方法が記載されている。特許文献1によれば、油性インク中の溶剤が上記ポリオレフィン系樹脂粒子に吸収されて、記録媒体への浸透が抑制されることにより、色材が記録媒体の表面に留まるので、インクの裏抜けおよび滲みを抑制できるとされている。
【0005】
また、特許文献2には、樹脂を含む前処理層形成用材料を用いて記録媒体の表面に前処理層を形成する工程と、インク付与手段によって上記形成された前処理層上にインクを付与する工程とを含む画像形成方法が記載されている。特許文献2によれば、インク付与手段が、上記前処理層に含まれる樹脂のガラス転移温度よりも高い温度に加熱されていることで、インク成分の一部が前処理層の内部に含浸して、インクが速やかに前処理層上で固定化されるので、インクの滲みが抑制されるとされている。
【0006】
また、特許文献3には、水系インク組成物の成分を凝集させるための凝集剤を含有する反応液を記録媒体の表面に付与する工程と、水系インクを上記記録媒体の表面に付与された反応液の表面に付与する工程と、を有する画像形成方法が記載されている。特許文献3によれば、上記水系インクが表面処理顔料を含むことにより、上記反応液に含まれる凝集剤との反応性が向上するので、反応液の塗布量を減らしても十分な画質が得られるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2015-104872号公報
【文献】特開2018-138347号公報
【文献】特開2018-165029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1~3に記載のように、記録媒体に画像を形成する際には、インクの裏抜けや滲みを抑制することが求められている。ここで、特許文献1および3に記載の方法は、それぞれ油性インクおよび水性インクを対象とするものである。しかし、活性線硬化型インクを用いて画像を形成する際にもインクの裏抜けや滲みは発生しており、これらの文献に記載の方法では、活性線硬化型インクの裏抜けや滲みを抑制することができない。
【0009】
一方で、特許文献2に記載の方法によれば、活性線硬化型インクの裏抜けや滲みも抑制できると期待される。しかし、本発明者らの検討によると、特許文献2に記載の方法でも、活性線硬化型インクの裏抜けや滲みを抑制しきれてはいなかった。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、活性線硬化型インクを用いて画像を形成するときの、インクの裏抜けや滲みを抑制することができる画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の一実施の形態に係る画像形成方法は、記録媒体に前処理液を付与する工程と、前記記録媒体の前記前処理液が付与された面に活性線硬化型インクを付与する工程と、前記付与された活性線硬化型インクに活性線を照射する工程と、を有し、前記前処理液は、水および樹脂を含み、前記活性線硬化型インクは、2官能モノマーまたは多官能モノマーを含み、前記活性線硬化型インクは、前記樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも低い温度に設定された前記記録媒体の表面に付与される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、活性線硬化型インクを用いて画像を形成するときの、インクの裏抜けや滲みを抑制することができる画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成方法を実施するための画像形成装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
1.画像形成方法
本発明の一実施形態に係る画像形成方法は、(1)記録媒体に前処理液を付与する工程と、(2)前記記録媒体の前記前処理液が付与された面に活性線硬化型インクを付与する工程と、(3)前記付与された活性線硬化型インクに活性線を照射する工程と、を有する。以下、各工程について説明する。
【0016】
1-1.前処理液を付与する工程
前処理液を付与する工程は、記録媒体の表面に前処理液を付与する工程である。
【0017】
[前処理液]
本発明の一実施形態に係る前処理液は、水および樹脂を含む液体である。また、上記前処理液は、水溶性有機溶剤、および添加剤として、界面活性剤、防腐剤、防黴剤などを含んでいてもよい。
【0018】
(樹脂)
上記樹脂の例には、水溶性樹脂、水性樹脂エマルジョンが含まれる。水溶性樹脂、水性樹脂エマルジョンの種類は、特に限定されず、公知または市販の水溶性樹脂、水性樹脂エマルジョンを用いることができる。なお、上記水溶性樹脂および水性樹脂エマルジョンは、それらを併用することもできる。
【0019】
水溶性樹脂の例には、ポリアクリル酸、アクリル酸-アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-アクリル酸-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン-アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン-マレイン酸共重合体、酢酸ビニル-マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル-クロトン酸共重合体、酢酸ビニル-アクリル酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、糖類等およびこれらの塩が含まれる。上記水溶性樹脂は、1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。また、共重合体の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。
【0020】
水溶性のアクリル樹脂の市販品の例には、BASF社製のジョンクリル63J(重量平均分子量(Mw):12500、酸価:213)、ジョンクリル67(重量平均分子量(Mw):12,500、酸価:213)、ジョンクリル678(重量平均分子量(Mw):8,500、酸価:215)、ジョンクリル586(重量平均分子量(Mw):4,600、酸価:108)、ジョンクリル611(重量平均分子量(Mw):8,100、酸価:53)、ジョンクリル680(重量平均分子量(Mw):4,900、酸価:215)、ジョンクリル682(重量平均分子量(Mw):1,700、酸価:238)、ジョンクリル683(重量平均分子量(Mw):8,000、酸価:160)、ジョンクリル690(重量平均分子量(Mw):16,500、酸価:240)(「ジョンクリル」は同社の登録商標)、東亞合成株式会社製のジュリマーAT-210、AT-510、AT-613、ARUFONシリーズ(「ジュリマー」、「ARUFON」は同社の登録商標)、星光PMC株式会社製のX-1、X-200、X-205、X-220、YS-1274、VS-1047、RS-1191、TS-1315、RS-1190等が含まれる。これらの中には、固形の樹脂も含まれ、適宜塩基で水などに中和溶解、もしくは溶剤に溶かすなどして使用することができる。
【0021】
上記水性樹脂エマルジョンの例には、(メタ)アクリル系樹脂エマルジョン、ウレタン系樹脂エマルジョン、ポリエステル系樹脂エマルジョン、ポリオレフィン系樹脂エマルジョンなどが含まれる。
【0022】
上記(メタ)アクリル系樹脂エマルジョンの市販品の例には、ビニブラン2580、ビニブラン2585、ビニブラン2680、ビニブラン2682、ビニブラン2684、ビニブラン2685、ビニブラン2687、ビニブランGA-6610(いずれも日信化学工業株式会社製)、ジョンクリル741、ジョンクリル790、ジョンクリル537J(いずれもBASF社製、「ジョンクリル」は同社の登録商標)などが含まれる。なお、上記(メタ)アクリル系樹脂エマルジョンは、1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0023】
上記ウレタン系樹脂エマルジョンの例には、WBR-016U(大成ファインケミカル株式会社製)、スーパーフレックス150HS、スーパーフレックス620、スーパーフレックス650、スーパーフレックス500M、スーパーフレックスE-2000(いずれも第一工業製薬株式会社製、「スーパーフレックス」は同社の登録商標)、パーマリンUC-20(三洋化成工業株式会社製、「パーマリン」は同社の登録商標)、パラサーフUP-22(大原パラヂウム化学株式会社製)などが含まれる。なお、上記ウレタン系樹脂エマルジョンは、1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0024】
上記ポリエステル系樹脂エマルジョンの市販品の例には、エリーテルKA-5034、エリーテルKA-5071S、エリーテルKA-1449、エリーテルKA-0134、エリーテルKA-3556、エリーテルKA-6137、エリーテルKZA-6034、エリーテルKT-8803、エリーテルKT-8701、エリーテルKT-9204、エリーテルKT-8904、エリーテルKT-0507、エリーテルKT-9511などが含まれる(いずれもユニチカ株式会社製、「エリーテル」は同社の登録商標)。なお、上記ポリエステル系樹脂エマルジョンは、1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0025】
上記ポリオレフィン系樹脂エマルジョンの例には、アローベースSB-1200(ユニチカ株式会社製、「アローベース」は同社の登録商標)、アウローレン150A、アウローレンAE-301(日本製紙株式会社製、「アウローレン」は同社の登録商標)、スーパークロンE-415(日本製紙株式会社製、「スーパークロン」は同社の登録商標)、ハードレンNa-1001(東洋紡株式会社製、「ハードレン」は同社の登録商標)等が含まれる。なお、上記ポリオレフィン系樹脂エマルジョンは、1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0026】
上記水溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1000以上100000以下であることが好ましく、3000以上50000以下であることがより好ましい。上記水溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)が上記範囲内にあることで、前処理液の保存安定性を良好に保つことができ、また、適度な流動性により前処理液を記録媒体に均一に塗布することができるので、インクを記録媒体の表面で留めることができ、画像濃度が低下するのを抑制することができる。
【0027】
上記樹脂の中では、水性樹脂エマルジョンであることが好ましい。また、上記水性樹脂エマルジョンの中では、(メタ)アクリル系樹脂エマルジョン、スチレン-(メタ)アクリル系樹脂エマルジョン、ウレタン系樹脂エマルジョンであることが好ましい。水性樹脂エマルジョンとして、(メタ)アクリル系樹脂エマルジョン、スチレン-(メタ)アクリル系樹脂エマルジョン、ウレタン系樹脂エマルジョンを用いると、前処理液の記録媒体への密着性が良好となり、エマルジョンが沈降しにくいなどの保存安定性にも優れる。
【0028】
また、水溶性樹脂および水性樹脂エマルジョンに含まれる樹脂は、ガラス転移温度(Tg)を有することが好ましい。
【0029】
本発明の一実施形態に係る水溶性樹脂および水性樹脂エマルジョンに含まれる樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が15℃以上90℃以下であることが好ましく、ガラス転移温度(Tg)が45℃以上65℃以下であることがより好ましい。上記樹脂のガラス転移温度(Tg)が15℃以上90℃以下であると、インクが記録媒体や樹脂に浸透するのを抑制するので、画像表面に濃度ムラがほとんどなく、高濃度の画像を形成することができ、また、記録媒体の裏面にインクが浸透して裏抜けするのを抑制することができる。さらに、上記樹脂のガラス転移温度(Tg)が45℃以上65℃以下であると、常温では樹脂が軟化しにくいことから、形成される画像の擦過性を向上させることができる。
【0030】
水溶性樹脂および水性樹脂エマルジョンに含まれる樹脂のガラス転移温度(Tg)は、例えば、「ダイヤモンドDSC」(パーキンエルマー社製)などの市販の測定装置を用いて測定することができる。
【0031】
前処理液に含まれる樹脂の含有量は、前処理液の全質量に対して、固形分量として5質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。前処理液に含まれる樹脂の含有量を5質量%以上とすると、樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも低い温度に設定された記録媒体の表面は前処理液に含まれる樹脂で被覆される。そのため、活性線硬化型インクは記録媒体に吸収されにくくなるので、活性線硬化型インクの裏抜けを抑制することができる。また、前処理液に含まれる樹脂の含有量を20質量%以下にすると、塗布方法としてインクジェット法、スプレー塗布などを用いた場合であっても吐出しやすく、また、水性樹脂エマルジョンの場合には、樹脂が凝集して析出するのを抑制できるので保存安定性が良好となる。
【0032】
(水溶性有機溶剤)
本発明の一実施形態に係る前処理液は、水溶性有機溶剤を含むことができる。
【0033】
上記水溶性有機溶剤の例には、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどのグリセリン類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコールグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリブチロールプロパン、ペンタエリスリトール、およびソルビトールを含む多官能グリコールなどのグリコール類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、イソペンタノール、ヘキサノール、イソヘキサノール、オクタノール、イソオクタノール、2-エチルヘキシルアルコール、ノニルアルコール、イソノニルアルコール、tert-ノニルアルコール、デカノール、ドデカノール、ドデカヘキサノール、ドデカオクタノール、アリルアルコール、オレイルアルコール、1-メトキシ-1-プロパノール、3-メトキシ-1-ブタノール、シクロヘキシルアルコール、ベンジルアルコール、3-フェニルプロパノールなどのモノアルコール類;1,2-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジブチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノールなどのアルカンジオール類;1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなどのイミダゾリジノン類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-ブタノールなどのグリコールエーテル類;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、モルホリン、N-エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミンなどのアミン類;ホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどのアミド類が含まれる。
【0034】
上記水溶性有機溶剤の中では、グリセリン類、およびグリコール類が好ましい。グリセリン類、およびグリコール類の中では、グリセリン、プロピレングリコールが好ましい。グリセリン類、およびグリコール類に含まれる1分子内に2つ以上の水酸基を有する水溶性有機溶剤を用いることにより、前処理液の親水性を高めて、前処理液の表面に付与される活性線硬化型インクと相溶しにくくすることができる。そのため、前処理液の表面に付与された活性線硬化型インクが前処理液に浸透しにくくなるので活性線硬化型インクの裏抜けを抑制することができる。また、活性線硬化型インクが前処理液の表面に留まりやすくなることから、インクの滲みを抑制することができる。
【0035】
上記水溶性有機溶剤は、上記前処理液の全質量に対して0質量%以上80質量%以下であることが好ましく、50質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。上記水溶性有機溶剤の含有量を前処理液の全質量に対して50質量%以上とすることにより、上記水溶性有機溶剤と前処理液に含まれる樹脂とが良好に相溶して、均質に上記樹脂を記録媒体の表面に付与ことができる。そのため、記録媒体の表面に存在する空隙を前処理層に含まれる樹脂によって埋めることができるので、記録媒体に活性線硬化型インクが吸収されて裏抜けするのを抑制することができる。また、上記水溶性有機溶剤の含有量を前処理液の全質量に対して80質量%以下とすることにより、流動性の低下を抑制することができ、また、水性樹脂エマルジョンを含む場合には、水性樹脂エマルジョンの凝集、沈降を抑制することができる。
【0036】
[その他成分]
本発明の一実施形態に係る前処理液は、界面活性剤、防腐剤、防黴剤を含むことができる。
【0037】
(界面活性剤)
界面活性剤の例には、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類および脂肪酸塩類を含むアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類およびポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類を含むノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類および第四級アンモニウム塩類を含むカチオン性界面活性剤、シリコーン系の界面活性剤、ならびにフッ素系の界面活性剤が含まれる。
【0038】
上記界面活性剤は、上記前処理液の全質量に対して0質量%以上5質量%以下であることが好ましく、前処理液の全質量に対して0質量%以上2質量%以下であることがより好ましい。
【0039】
(防腐剤・防黴剤)
防腐剤または防黴剤の例には、芳香族ハロゲン化合物(例えば、ランクス社製のPreventolCMK)、メチレンジチオシアナート、含ハロゲン窒素硫黄化合物、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(例えば、ロンザ社製のPROXELGXL)が含まれる。
【0040】
上記防腐剤または防黴剤は、上記前処理液の全質量に対して0.1質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上0.5質量%以下であることがより好ましい。
【0041】
(前処理液の物性)
前処理液の粘度は、20℃において、1000cPs以上10000cPs以下であることが好ましい。上記前処理液の粘度が、1000Ps以上であると、前処理液を記録媒体の表面全体にまたは表面処理液を付与したい部分に均一に付与することができる。なお、20℃における、上記前処理液の粘度は、ストレス制御型レオメータ「Physica MCR301」(Anton Paar社製、コーンプレートの直径:75mm、コーン角:1.0°)で測定することができる。
【0042】
[前処理液の付与方法]
前処理液は、スプレー塗布、ノズルやスリットを用いたスパイラル塗布、ディッピング塗布、ロールコーター塗布、グラビア塗布、フレキソ塗布、インクジェット方式の塗布など公知の液体塗布方法を用いることができる。
【0043】
上記前処理液の付与量は、1g/m以上50g/m以下であることが好ましく、2g/m以上30g/m以下であることがより好ましい。上記前処理液の付与量を1g/m以上とすると、記録媒体の表面に存在する空隙を前処理層に含まれる樹脂によって埋めることができる。上記前処理液の付与量を50g/m以下とすると、前処理層内に含まれる樹脂が多くなることから、前処理層内の空隙も減少するので付与された前処理層内にインクが浸透しにくくなり、インクの裏抜けを抑制することができる。
【0044】
[記録媒体]
本発明の一実施形態に係る記録媒体は、特に制限されず、公知の記録媒体を用いることができる。
【0045】
上記記録媒体の例には、インクの受容層やフィルム層などの表面層を有さない紙、例えば、コピー用紙、上質紙、再生紙などが含まれる。上記コピー用紙、上質紙、再生紙の例には、Xerox4200や、Xerox 4024(いずれもXerox社製)、GeoCycle(Gerogia-Pacific)、リサイクルカットR-100(王子製紙株式会社社製)、55PW(リンテック株式会社製)などが含まれる。
【0046】
また、中質紙、更紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙などを用いてもよい。
【0047】
上記吸収性記録媒体としては、ブリストー法において前処理液との接触開始から30msec1/2以内の前処理液に含まれる水の吸収量が、10ml/m以上30ml/m以下であることが好ましい。
【0048】
上記前処理液に含まれる水の吸収量は、日本紙パルプ技術協会(JAPANTAPPI)で採用されている「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法」の規格No.51「紙及び板紙-液体吸収性試験方法-ブリストー法」に準拠して求めることができる。
【0049】
1-2.インクジェット用の活性線硬化型インクを付与する工程
インクジェット用の活性線硬化型インクを付与する工程(以下、単に「インク付与工程」ともいう)は、記録媒体の表面に付与された前処理液の表面に活性線硬化型インクを付与して、中間画像を形成する工程である。
【0050】
本発明の一実施形態に係るインク付与工程において、活性線硬化型インクは、前処理液に含まれる樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも低い温度に設定された記録媒体の表面に付与される。記録媒体の温度をこのようにすることで、前処理液により付与された樹脂がさほど軟化せず、かつ樹脂の移動による樹脂の分子間の隙間が生じにくい状態とした表面にインクを付与することができるため、樹脂がインクの意図せぬ拡散を十分に抑制し、これによりインクの裏抜けおよび滲みを十分に抑制できると考えられる。上記観点からは、上記記録媒体の温度は、前処理液に含まれる樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも10℃以上30℃以下低いことが好ましく、10℃以上20℃以下低いことがより好ましい。
【0051】
本発明において、「前処理液に含まれる樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも低い温度に設定された」とは、前処理液に含まれる樹脂が複数である場合には、その樹脂の中において、ガラス転移温度が最大の値よりも低い温度に設定されることをいう。
【0052】
また、前処理液に含まれる樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも低い温度とは、前処理液に含まれる樹脂のうち、最も多く含まれる樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも低いことが好ましい。また、前処理液に含まれる全ての樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも低いことが好ましい。
【0053】
本発明において、記録媒体に前処理液を付与する工程の後に、上記記録媒体の表面に付与された前処理液を乾燥する工程をさらに有することが好ましい。前処理液を乾燥する方法の例には、乾燥炉や熱風送風機などの非接触加熱型の乾燥装置を用いる方法、および、赤外線ヒーター、ホットプレート、熱ローラーなどの接触加熱型の乾燥装置を用いる方法などが含まれる。上記方法は、前処理液に含まれる水溶性有機溶剤の種類などに応じて適宜選択することができる。
【0054】
[活性線硬化型インク]
本発明の一実施形態に係る活性線硬化型インクは、活性線重合性化合物を含み、活性線の照射により上記活性線重合性化合物が重合および架橋して硬化するインクである。
【0055】
本発明の一実施形態に係る活性線硬化型インクに含まれる活性線重合性化合物は、溶解度パラメータ(SP値)が20以下のモノマーであることが好ましく、モノマーのSP値が17以上20以下であることがより好ましい。SP値が17以上20以下であることにより、前処理液に含まれる樹脂のSP値との差を大きくすることができる。そのため、活性線硬化型インクに含まれるモノマーと、前処理液に含まれる樹脂とが相溶しにくくなるので、活性線硬化型インクの浸透による裏抜けを抑制することができる。また、活性線硬化型インクが前処理液の表面に留まりやすくなることから、インクの滲みを抑制することができる。
【0056】
また、本発明の一実施形態に係る活性線硬化型インクに含まれる活性線重合性化合物は、単官能モノマー、2官能モノマー、多官能モノマーを含むことができる。
【0057】
上記活性線硬化型インクは、2官能モノマーまたは多官能モノマーを含むことが好ましい。上記2官能モノマーまたは上記多官能モノマーを、活性線硬化型インクの全質量に対して30質量%以上80質量%以下含むことが好ましく、50質量%以上80質量%以下含むことがより好ましい。上記2官能モノマーまたは上記多官能モノマーを活性線硬化型インクの全質量に対して30質量%以上含むことにより、活性線を照射してインクを硬化させた際に、インクを硬化してなる硬化物が網目構造を形成するため、その表面が硬くなるので、形成される画像の擦過性を向上させることができる。また、上記2官能モノマーおよび上記多官能モノマーを活性線硬化型インクの全質量に対して80質量%以下含むことにより、インクを硬化してなる硬化物が硬くなりすぎないので記録媒体への定着性が損なわれにくい。
【0058】
(活性線重合性化合物)
上記活性線重合性化合物は、活性線の照射により架橋または重合する化合物である。活性線の例には、電子線、紫外線、α線、γ線およびエックス線などが含まれる。上記活性線の中では、紫外線または電子線が好ましく、紫外線がより好ましい。上記活性線重合性化合物の例には、ラジカル重合性化合物、カチオン重合性化合物、またはそれらの混合物が含まれる。上記活性線重合性化合物の中では、ラジカル重合性化合物が好ましい。なお、上記活性線重合性化合物は、モノマー、重合性オリゴマー、プレポリマーおよびこれらの混合物のいずれであってもよい。
【0059】
ラジカル重合性化合物とは、分子中にエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物である。ラジカル重合性化合物は、単官能または多官能の化合物でありうる。ラジカル重合性化合物の例には、不飽和カルボン酸エステル化合物である、(メタ)アクリレートが含まれる。なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基またはメタクリロイル基を意味し、「(メタ)アクリル」は、アクリルまたはメタクリルを意味する。
【0060】
単官能の(メタ)アクリレートの例には、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミルスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル-ジグリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチル-フタル酸およびt-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートが含まれる。上記単官能の(メタ)アクリレートは、1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0061】
2官能および多官能の(メタ)アクリレートの例には、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、およびトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの2官能の(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの3官能の(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレートなどの3官能以上の(メタ)アクリレート;ポリエステルアクリレートオリゴマーを含む(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー、ならびにこれらの変性物などが含まれる。上記変性物の例には、エチレンオキサイド基を挿入したエチレンオキサイド変性(EO変性)(メタ)アクリレート、およびプロピレンオキサイドを挿入したプロピレンオキサイド変性(PO変性)(メタ)アクリレートが含まれる。上記2官能および多官能の(メタ)アクリレートは、1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0062】
また、カチオン重合性化合物とは、分子中にカチオン重合性基を有する化合物である。カチオン重合性化合物の例には、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物およびオキセタン化合物などが含まれる。
【0063】
上記エポキシ化合物の例には、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンモノエポキサイド、ε-カプロラクトン変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1-メチル-4-(2-メチルオキシラニル)-7-オキサビシクロ[4,1,0]ヘプタン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサノン-メタ-ジオキサンおよびビス(2,3-エポキシシクロペンチル)エーテルなどの脂環式エポキシ樹脂、1,4-ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、およびグリセリンなどの脂肪族多価アルコールに1種類または2種類以上のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドなど)を付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテルなどを含む脂肪族エポキシ化合物、ならびに、ビスフェノールAまたはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAまたはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、およびノボラック型エポキシ樹脂などを含む芳香族エポキシ化合物などが含まれる。
【0064】
上記ビニルエーテル化合物の例には、エチルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル-o-プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、およびオクタデシルビニルエーテルなどを含むモノビニルエーテル化合物、ならびにエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、およびトリメチロールプロパントリビニルエーテルなどを含むジまたはトリビニルエーテル化合物などが含まれる。
【0065】
上記オキセタン化合物の例には、3-ヒドロキシメチル-3-メチルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-エチルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-プロピルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-ノルマルブチルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-フェニルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-ベンジルオキセタン、3-ヒドロキシエチル-3-メチルオキセタン、3-ヒドロキシエチル-3-エチルオキセタン、3-ヒドロキシエチル-3-プロピルオキセタン、3-ヒドロキシエチル-3-フェニルオキセタン、3-ヒドロキシプロピル-3-メチルオキセタン、3-ヒドロキシプロピル-3-エチルオキセタン、3-ヒドロキシプロピル-3-プロピルオキセタン、3-ヒドロキシプロピル-3-フェニルオキセタン、3-ヒドロキシブチル-3-メチルオキセタン、1,4ビス{[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタンおよびジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテルなどが含まれる。
【0066】
上記ラジカル重合性化合物およびカチオン重合性化合物の中では、ラジカル重合性化合物を含むことが好ましい。
【0067】
(重合開始剤)
本発明の一実施形態に係る活性線硬化型インクは、重合開始剤を含むことができる。上記重合開始剤は、活性線の照射により、上記活性線重合性化合物の重合を開始できるものであればよい。たとえば、上記活性線硬化型インクがラジカル重合性化合物を有するときは、重合開始剤は光ラジカル開始剤とすることができ、上記活性線硬化型インクがカチオン重合性化合物を有するときは、重合開始剤は光カチオン開始剤(光酸発生剤)とすることができる。
【0068】
ラジカル重合開始剤には、分子内結合開裂型のラジカル重合開始剤と分子内水素引き抜き型のラジカル重合開始剤とが含まれる。
【0069】
分子内結合開裂型のラジカル重合開始剤の例には、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン、2-メチル-2-モルホリノ(4-メチルチオフェニル)プロパン-1-オン、および2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノンなどを含むアセトフェノン系の開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、およびベンゾインイソプロピルエーテルなどを含むベンゾイン類、2,4,6-トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシドなどを含むアシルホスフィンオキシド系の開始剤、ならびに、ベンジルおよびメチルフェニルグリオキシエステルなどが含まれる。
【0070】
分子内水素引き抜き型のラジカル重合開始剤の例には、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、および3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノンなどを含むベンゾフェノン系の開始剤、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントンなどを含むチオキサントン系の開始剤、ミヒラーケトン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノンなどを含むアミノベンゾフェノン系の開始剤、10-ブチル-2-クロロアクリドン、2-エチルアンスラキノン、9,10-フェナンスレンキノン、ならびにカンファーキノンなどが含まれる。
【0071】
カチオン系の重合開始剤の例には、光酸発生剤が含まれる。光酸発生剤の例には、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、およびホスホニウムなどを含む芳香族オニウム化合物のB(C 、PF 、AsF 、SbF 、CFSO 塩など、スルホン酸を発生するスルホン化物、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物、ならびに鉄アレン錯体などが含まれる。
【0072】
(ゲル化剤)
本発明の一実施形態に係る活性線硬化型インクは、ゲル化剤を含むことができる。ゲル化剤は、常温では固体であるが、加熱すると液体となることにより、上記活性線硬化型インクを温度変化に応じてゾルゲル相変移させることができる有機物である。
【0073】
また、上記ゲル化剤は、インクのゲル化温度以下の温度で、インク中で結晶化することが好ましい。ここで、ゲル化温度とは、加熱によりゾル化または液体化したインクを冷却していったときに、インクがゾルからゲルに相転移し、インクの粘度が急変する温度をいう。具体的には、ゾル化または液体化したインクを、例えば、レオメータ「MCR300」(AntonPaar社製)で粘度を測定しながら冷却していき、粘度が急激に上昇した温度を、そのインクのゲル化温度とすることができる。
【0074】
上記ゲル化剤がインク中で結晶化すると、板状に結晶化した上記ゲル化剤およびワックスによって形成された三次元空間に活性線重合性化合物が内包される構造が形成されることがある(このような構造を、以下「カードハウス構造」という)。カードハウス構造が形成されると、液体の活性線重合性化合物が上記空間内に保持されるため、上記活性線重合性化合物と前処理液に含まれる樹脂とが相溶しにくくなるので、活性線硬化型インクが前処理液に浸透しにくくなり、インクの裏抜けを抑制することができる。
【0075】
ゲル化剤の例には、ジペンタデシルケトン、ジヘプタデシルケトン(ステアロン)、ジリグノセリルケトン、ジベヘニルケトン、ジステアリルケトン、ジエイコシルケトン、ジパルミチルケトン、ジミリスチルケトン、ラウリルミリスチルケトン、ラウリルパルミチルケトン、ミリスチルパルミチルケトン、ミリスチルステアリルケトン、ミリスチルベヘニルケトン、パルミチルステアリルケトン、バルミチルベヘニルケトンおよびステアリルベヘニルケトン等の脂肪族ケトンワックス;パルミチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸ベヘニル、イコサン酸イコシル、ステアリン酸ベヘニル、ステアリン酸パルミチル、ステアリン酸ラウリル、パルミチン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸ステアリル、エルカ酸ステアリル、リノール酸ステアリル、オレイン酸ベヘニルおよびリノール酸アラキジル等の脂肪族エステルワックス;N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジブチルアミド、N-(2-エチルヘキサノイル)-L-グルタミン酸ジブチルアミド等のアミド化合物;1,3:2,4-ビス-O-ベンジリデン-D-グルシトール等のジベンジリデンソルビトール類;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス;キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、ホホバ固体ロウ、およびホホバエステル等の植物系ワックス;ミツロウ、ラノリンおよび鯨ロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、および水素化ワックス等の鉱物系ワックス;硬化ヒマシ油または硬化ヒマシ油誘導体;モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体またはポリエチレンワックス誘導体等の変性ワックス;ベヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸,ラウリン酸、オレイン酸、およびエルカ酸等の高級脂肪酸;ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;12-ヒドロキシステアリン酸等のヒドロキシステアリン酸;12-ヒドロキシステアリン酸誘導体;ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、12-ヒドロキシステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド;N-ステアリルステアリン酸アミド、N-オレイルパルミチン酸アミド等のN-置換脂肪酸アミド;N,N’-エチレンビスステアリルアミド、N,N’-エチレンビス-12-ヒドロキシステアリルアミド、およびN,N’-キシリレンビスステアリルアミド等の特殊脂肪酸アミド;ドデシルアミン、テトラデシルアミンまたはオクタデシルアミンなどの高級アミン;ステアリルステアリン酸、オレイルパルミチン酸、グリセリン脂肪酸エステル,ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル化合物;ショ糖ステアリン酸、ショ糖パルミチン酸等のショ糖脂肪酸エステル;ポリエチレンワックス、α-オレフィン無水マレイン酸共重合体ワックス等の合成ワックス;重合性ワックス;ダイマー酸;ダイマージオール等が含まれる。これらのワックスは、1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0076】
これらのうち、インクのピニング性をより高める観点からは、脂肪族ケトンワックス、脂肪族エステルワックス、高級脂肪酸、高級アルコールおよび脂肪酸アミドが好ましく、ケト基またはエステル基を挟んで両側に配置された炭素鎖の炭素数がいずれも9以上25以下である脂肪族ケトンワックスまたは脂肪族エステルワックスがより好ましい。
【0077】
上記ゲル化剤の含有量は、活性線硬化型インクの全質量に対して0.5質量%以上10.0質量%未満であることが好ましく、活性線硬化型インクの全質量に対して1.0質量%以上10.0質量%未満であることがより好ましく、活性線硬化型インクの全質量に対して2.0質量%以上7.0質量%以下であることがさらに好ましい。
【0078】
(重合禁止剤)
上記活性線硬化型インクは、重合禁止剤を含むことができる。
【0079】
上記重合禁止剤の例には、(アルキル)フェノール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、t-ブチルハイドロキノン、ピロガロール、1,1-ピクリルヒドラジル、フェノチアジン、p-ベンゾキノン、ニトロソベンゼン、2,5-ジ-t-ブチル-p-ベンゾキノン、ジチオベンゾイルジスルフィド、ピクリン酸、クペロン、アルミニウムN-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、トリ-p-ニトロフェニルメチル、N-(3-オキシアニリノ-1,3-ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、ジブチルクレゾール、シクロヘキサノンオキシムクレゾール、グアヤコール、o-イソプロピルフェノール、ブチラルドキシム、メチルエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシムが含まれる。
【0080】
上記重合禁止剤の含有量は、インクの全質量に対して0.05質量%以上0.2質量%以下とすることができる。
【0081】
(色材)
上記活性線硬化型インクは、色材を含むことができる。色材には、顔料および染料が含まれる。活性線硬化型インクの分散安定性をより高め、かつ耐候性が高い画像を形成する観点からは、色材は顔料であることが好ましい。顔料の例には、有機顔料および無機顔料が含まれる。染料の例には、各種の油溶性染料が含まれる。
【0082】
上記顔料は、形成すべき画像の色などに応じて、例えば、カラーインデックスに記載される赤またはマゼンタ顔料、黄顔料、緑顔料、青またはシアン顔料および黒顔料から選択することができる。
【0083】
顔料または染料の含有量は、インクの全質量に対して0.1質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、0.4質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。顔料または染料の含有量が、インクの全質量に対して0.1質量%以上であると、得られる画像の発色が十分となる。顔料または染料の含有量がインクの全質量に対して20.0質量%以下であると、インクの粘度が高まりすぎない。
【0084】
(分散剤)
上記顔料は、分散剤で分散されていてもよい。上記分散剤は、上記顔料を十分に分散させることができればよい。分散剤の例には、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、およびステアリルアミンアセテートが含まれる。
【0085】
(定着樹脂)
上記活性線硬化型インクは、塗膜の耐擦過性およびブロッキング耐性をより高めるため、定着樹脂を含有してもよい。
【0086】
定着樹脂の例には、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリシロキサン樹脂、マレイン酸樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ニトロセルロース、酢酸セルロース、エチルセルロース、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、およびアルキド樹脂が含まれる。
【0087】
上記定着樹脂の含有量は、たとえば、活性線重合性化合物の全質量に対して1.0質量%以上10.0質量%以下とすることができる。
【0088】
(界面活性剤)
上記活性線硬化型インクは、界面活性剤を含有してもよい。
【0089】
界面活性剤は、インクの表面張力を調整して、付与後のインクの基材に対する濡れ性を調整したり、隣接する液滴間の合一を抑制したりすることができる。
【0090】
界面活性剤の例には、シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、およびパーフルオロアルケニル基を有するフッ素系界面活性剤などが含まれる。
【0091】
界面活性剤の含有量は、活性線硬化型インクの全質量に対して0.001質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.001質量%以上1.0質量%以下であることがより好ましい。
【0092】
(その他の成分)
上記活性線硬化型インクは、上記成分以外に、必要に応じて、多糖類、粘度調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防黴剤、防錆剤などを含んでもよい。上記その他の成分は、上記組成物中に、1種類のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
【0093】
本発明において、上記活性線硬化型インクは、インクジェットインクとして用いることができる。
【0094】
(活性線硬化型インクの物性)
上記活性線硬化型インクの粘度は、インクジェットヘッドからの射出性をより高める観点からは、上記活性線硬化型インクがゲル化剤を含まないインクであるとき、上記活性線硬化型インクの40℃における粘度は、3mPa・s以上20mPa・s以下であることが好ましい。また、上記活性線硬化型インクがゲル化剤を含むインクであるとき、上記活性線硬化型インクの80℃における粘度は3mPa・s以上20mPa・s以下であることが好ましい。80℃における粘度が3mPa・s以上20mPa・s以下であると、インクジェットヘッドからの上記活性線硬化型インクの射出時に活性線硬化型インクがゲル化しにくいため、より安定して上記活性線硬化型インクを射出することができる。また、活性線硬化型インクがゲル化剤を含有している場合には、着弾して常温に降温した際にインクを十分にゲル化させる観点から、上記活性線硬化型インクの25℃における粘度は1000mPa・s以上であることが好ましい。25℃における粘度は1000mPa・s以上であると、前処理層を有する記録媒体に付与されたインク液滴が広がり難く、液滴同士が合一し難い。
【0095】
上記活性線硬化型インクの40℃における粘度、80℃における粘度は、レオメータにより、活性線硬化型インクを100℃に加熱し、ストレス制御型レオメータ「PhysicaMCR301」(Anton Paar社製)によって粘度を測定しながら、剪断速度11.7(1/s)、降温速度0.1℃/sの条件で40℃までインクを冷却して得られた粘度の温度変化曲線において40℃および80℃における粘度をそれぞれ読み取ることにより求める。
【0096】
[活性線硬化型インクの調製方法]
上記活性線硬化型インクは、前述の活性線重合性化合物、重合開始剤、重合禁止剤、色材と、任意のその他の成分とを、加熱下において混合することにより調製することができる。この際、得られた混合液を所定のフィルターで濾過することが好ましい。なお、顔料を含有するインクを調製する際は、顔料、活性線重合性化合物を含む顔料分散液を調製し、その後、顔料分散液と他の成分とを混合することが好ましい。顔料分散液は、分散剤をさらに含んでもよい。
【0097】
上記顔料分散液は、活性線重合性化合物に顔料を分散して調製することができる。顔料の分散は、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカーなどを用いて行えばよい。このとき、分散剤を添加してもよい。
【0098】
[活性線硬化型インクを付与する方法]
上記活性線硬化型インクを上記液体状の前処理層の表面に付与する方法は、特に限定されず、スプレー塗布、浸漬法、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、インクジェット法などの公知の方法を使用することができる。本発明の一実施形態に係るでは、上記液体状の前処理層の表面に活性線硬化型インクを付与して、中間画像を形成する工程では、活性線硬化型インクを、インクジェットヘッドから吐出して、上記液体状の前処理層の表面に付与する、インクジェット法を用いることが好ましい。
【0099】
インクジェット法で使用するインクジェットヘッドは、オンデマンド方式およびコンティニュアス方式のいずれのインクジェットヘッドでもよい。オンデマンド方式のインクジェットヘッドの例には、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型およびシェアードウォール型を含む電気-機械変換方式、ならびにサーマルインクジェット型およびバブルジェット(「バブルジェット」はキヤノン株式会社の登録商標)型を含む電気-熱変換方式等が含まれる。
【0100】
また、インクジェットヘッドは、スキャン式およびライン式のいずれのインクジェットヘッドでもよい。
【0101】
このとき、活性線硬化型インクの液滴の吐出性を高めるために、インクジェットヘッド内の活性線硬化型インクを40~90℃に加熱して、上記加熱された活性線硬化型インクを吐出することが好ましい。
【0102】
また、上記活性線硬化型インクがゲル化剤を含むときは、インクジェットヘッド内の活性線硬化型インクの温度を、活性線硬化型インクに含まれるゲル化剤のゲル化温度より10℃以上40℃未満高い温度に設定することが好ましい。インクジェットヘッド内の活性線硬化型インクの温度をゲル化温度+10℃以上にすることで、インクジェットヘッド内もしくはノズル表面で活性線硬化型インクがゲル化することがなく、活性線硬化型インクを良好に射出することができる。また、インクジェットヘッド内の活性線硬化型インクの温度を活性線硬化型インクのゲル化温度+40℃未満とすることで、インクジェットヘッドの熱的負荷を小さくすることができる。特に、ピエゾ素子を用いたインクジェットヘッドでは、熱的負荷による性能低下が生じやすいため、活性線硬化型インクの温度を上記範囲内とすることが特に好ましい。
【0103】
上記活性線硬化型インクがゲル化剤を含むときは、記録媒体の表面に付与された活性線硬化型インクは、ゲル化剤が結晶化してピニングされる。そのため、付与されたインクは、記録媒体の表面に形成された前処理層の表面に留まるので、インクの裏抜けを顕著に抑制することができる。
【0104】
1-3.活性線硬化型インクに活性線を照射する工程
活性線硬化型インクに活性線を照射する工程では、記録媒体の表面に付与された活性線硬化型インク(中間画像)に活性線(たとえば紫外線)を照射して、上記活性線硬化型インク(中間画像)を完全に硬化させる工程である。なお、当該工程で照射される活性線の波長は350nm以上450nm以下であること好ましく、380nm以上430nm未満であることがより好ましい。これにより、活性線硬化型インクを本硬化させて、記録媒体と活性線硬化型インクの定着性を高めることができる。
【0105】
2.画像形成装置
図1は、本発明の一実施形態に係る形態に係るインクジェット用の画像形成装置100の例示的な構成を示す模式図である。
【0106】
本発明の一実施形態に係る画像形成装置100は、記録媒体110と、記録媒体110の表面に前処理液を付与する前処理液付与部120と、前処理液が付与された面に活性線硬化型インクを付与するインク付与部130と、活性線硬化型インクが付与された面に活性線を照射するための活性線照射部140と、記録媒体の温度を調整するための温度調整部150と、を有する。
【0107】
図1では、基材の搬送方向(図中矢印方向)に沿って上流側から、前処理液付与部120、インク付与部130および活性線照射部140がこの順に配置されている。
【0108】
前処理液付与部120は、活性線硬化型インクの液滴が着弾される記録媒体110上の領域よりも広い領域に、前処理液を付与できる構成であればよい。たとえば、前処理液付与部120は、塗布ローラー121に前処理液を供給するディスペンサー122と、供給された前処理液をフィルム状に塗布する塗布ローラー121と、を含む構成とすることができる。なお、前処理液付与部120では、バーコーターを用いる方法やインクジェット法などを用いてもよい。
【0109】
インク付与部130は、本発明の一実施形態ではインクジェット法により画像を形成するインク付与部であり、それぞれY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色の活性線硬化型組成物(インクジェットインク)をノズル131から吐出して、記録媒体110の表面に形成された前処理層上に付与させるためのインクジェットヘッド132Y、132M、132Cおよび132Kを有する。インクジェットヘッド132Y、132M、132Cおよび132Kは、上記各色の活性線硬化型インクを、記録媒体110の表面に形成された前処理層上のうち形成されるべき画像に応じた位置に付与して、画像を形成する。
【0110】
活性線照射部140は、記録媒体110の搬送方向における、インク付与部130より下流側に配置され、記録媒体110の前処理液および活性線硬化型インクが付与されている面に向けて活性線(紫外線)を照射する。これにより、活性線照射部140は、記録媒体110の表面に付与された前処理液および活性線硬化型インクに活性線を照射して、前処理液および活性線硬化型インクを硬化させる。
【0111】
温度調整部150は、記録媒体110の温度を調整するためのものである。温度調整部150は、前処理液に含まれる樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも低い温度に調整することができる公知の装置を利用することができる。温度調整部150の例には、ヒーター、冷却装置、送風装置が含まれる。
【0112】
また、以上の説明では、インクジェット法により記録媒体の表面に付与された前処理液の表面に画像を形成しているが、画像の形成方法は特に限定されず、スプレー塗布、浸漬法、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷などの公知の方法を使用することができる。
【実施例
【0113】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0114】
1.前処理液の調製
(前処理液1~16の調製)
表1に示す各成分を混合し、スターラーで1時間撹拌した。得られた溶液を5μmのメンブランフィルターで濾過して、前処理液1~16を得た。なお、表1中に示される数値の単位は質量部であり、樹脂の含有量は固形分換算値であり、添加剤は防腐剤(プロキセルGXL(S)、ロンザジャパン株式会社製)であり、水はイオン交換水である。また、表1に記載の数値は、合計量を100質量部とした値である。
【0115】
表1で示される各略号は次のとおりである。
(樹脂)
樹脂1:水分散性アクリル樹脂エマルション「ジョンクリル790」(BASF社製)
樹脂2:スチレン-アクリル酸共重合体「ジョンクリル63J」
樹脂3:水分散性アクリル樹脂エマルション「ジョンクリル537J」
樹脂4:ポリウレタン水分散体「スーパーフレックス150HS」(第一工業製薬株式会社製)
樹脂5:水分散性アクリル樹脂エマルション「ジョンクリル741」
【0116】
なお、表1に示される、樹脂1~5のガラス転移温度(Tg)は、カタログ値を記載している。
【0117】
(水溶性有機溶剤)
Gly:グリセリン
PG :プロピレングリコール
(界面活性剤)
E1010:アセチレングリコール系界面活性剤「オルフィンE1010」(日信化学工業株式会社製)
【0118】
【表1】
【0119】
2.活性線硬化型インクの調製
活性線硬化型インクを以下の手順で調製した。
【0120】
2-1.顔料分散液の調製
(シアン顔料分散液1の調製)
72.7質量部のラウリルアクリレート「ライトアクリレートL-A」(共栄社化学株式会社製)と、7.0質量部の顔料分散剤「BYKJET-9151」(ビックケミー・ジャパン株式会社製、「BYKJET」は同社の登録商標)と、0.3質量部の重合禁止剤「Igastab UV-10」(BASF社製、「Igastab」は同社の登録商標)と、をステンレス鋼製のビーカーに入れ、65℃のホットプレート上で加熱しながら1時間撹拌した。得られた溶液を室温まで冷却した後、20.0質量部のシアン顔料「クロモファインブルー6332JC」(Pigment Blue15:4、大日精化工業株式会社製)と、直径0.5mmのジルコニアビーズ200gと、をポリ容器に入れて密栓し、ペイントシェーカーにて3時間分散処理した。分散液からジルコニアビーズを除去して、シアン顔料分散液1を得た。
【0121】
(シアン顔料分散液2の調製)
ラウリルアクリレートをトリプロピレングリコールジアクリレートに変更した以外は、シアン顔料分散液1と同様にして、シアン顔料分散液2を得た。
【0122】
2-2.活性線硬化型インクの調製
(活性線硬化型インク1の調製)
33.3質量部のシアン顔料分散液1と、33.6質量部の活性線重合性化合物「ラウリルアクリレート」と、20質量部のトリプロピレングリコールジアクリレートと、8質量部のジプロピレングリコールジアクリレートと、5質量部の重合開始剤「IRGACURE 819」(BASF社製、「IRGACURE」は同社の登録商標)と、0.15質量部の重合禁止剤「Irgastab UV-10」と、をステンレスビーカーに入れ、105℃で45分間攪拌した後、ADVATEC社製テフロン(登録商標)3μmメンブランフィルターで濾過することにより活性線硬化型インク1を得た。
【0123】
(活性線硬化型インク2~4の調製)
上記活性線硬化型インク1および活性線硬化型インク2~4の各成分の含有量(単位は質量部)を表2に示す。なお、2官能および多官能モノマーの合計量には、分散液1、分散液2に含まれる2官能および多官能モノマーが含まれる。
【0124】
表2で示される各略号は次のとおりである。
(シアン顔料分散液)
分散液1:シアン顔料分散液1
分散液2:シアン顔料分散液2
(単官能モノマー)
LA:ラウリルアクリレート
BA:ベンジルアクリレート
(2官能モノマー)
TPGDA:トリプロピレングリコールジアクリレート(SP値:17.5)
DPGDA:ジプロピレングリコールジアクリレート(SP値:17.7)
1,9-NDDA:1,9-ノナンジオールジアクリレート(SP値:17.1)
(多官能モノマー)
TMP(EO)9TA:トリメチロールプロパンEO変性(9)トリアクリレート(SP値:19.0)
TMP(EO)3TA:トリメチロールプロパンEO変性(3)トリアクリレート(SP値:17.7)
(重合開始剤)
819:IRGACURE 819
(重合禁止剤)
UV-10:Irgastab UV-10
(ゲル化剤)
SS:ステアリン酸ステアリル
【0125】
【表2】
【0126】
3.評価
前処理液1~16、インク1~4を用いて画像形成を行い、画像濃度、裏抜け、滲みおよび擦過性の評価を下記条件で行った。
【0127】
3-1.画像形成方法
(前処理液の塗布方法)
バーコーターNo.8でウェット膜厚(18μm)となるように、前処理液1~16をそれぞれ記録媒体「Xerox 4024」(コピー用紙、坪量105g/m、Xerox社製)の表面に塗布し、60℃で乾燥させた。
【0128】
(画像形成方法)
インク1を、ピエゾ型インクジェットノズルを備えたインクジェットヘッドを有するシングルパスのインクジェット画像形成装置に装填した。インク供給系は、インクタンク、インク流路、インクジェットヘッド直前のサブインクタンク、フィルター付き配管、およびインクジェットヘッドを有し、インクジェットヘッドの温度を80℃に設定した。インクジェットヘッドは、ノズル径20μm、ノズル数1024ノズル(512ノズル×2列、千鳥配列、1列のノズルピッチ600dpi)のピエゾヘッドを用いた。インク1~4を1滴の液適量が3.0plとなる吐出条件で、液滴速度約6m/sで射出した。記録媒体の搬送部は、上記前処理液が付与された記録媒体の温度が82℃になるように設定し、記録媒体に着弾した活性線硬化型インクに、インクジェットヘッドよりも下流側に配置したLEDランプ(Phoseon Technology社製、395nm、水冷LED)から紫外線を照射して、ベタ画像を得た(解像度:1200dpi×1200dpi)。なお、画像形成は、23℃、55%RHの環境下で行った。
【0129】
また、インク1をインク2~4に変更し、表3に示される記録媒体の温度に変更した以外は、インク1を用いた画像形成方法と同様にしてベタ画像を形成した。
【0130】
3-2.画像濃度の評価
(評価方法)
上記画像形成方法で得られたベタ画像をそれぞれ目視で観察した。
【0131】
(評価基準)
A:画像表面に濃度ムラがほとんどなく、高濃度である
B:画像表面に濃度ムラが少しあり、やや濃度が低く感じられる
C:画像表面に濃度ムラがあり、濃度が低い
【0132】
3-3.裏抜けの評価
(評価方法)
1200dpi×1200dpiの解像度で、印字率70%の画像を形成し、裏面側から目視で観察した。
【0133】
(評価基準)
A:裏抜けが全く認められない
B:裏面にインクの滲み、裏抜けがわずかに認められる
C:裏面にインクの滲み、裏抜けが認められる
【0134】
3-4.滲みの評価
(評価方法)
1200dpi×1200dpiの解像度で、8ポイントの英数文字を印刷し、文字の太りなどがないかを目視で観察した。
【0135】
(評価基準)
A:滲みがなく文字がはっきり読める
B:わずかに文字の太りがあるが文字は読める
C:文字の太りがあり読みにくい文字がある
D:文字が滲んで読みにくい
【0136】
3-5.擦過性の評価
(評価方法)
JIS K5701-1 6.2.3に準拠して、適切な大きさの記録用紙を上記画像形成方法で得られたベタ画像上に設置し、荷重をかけて記録用紙とベタ画像とを擦り合わせた。擦り合わせた後の画像の濃度の程度を目視で観察した。
【0137】
(評価基準)
A:100回以上擦った段階で画像の変化は認められない
B:100回以上擦った段階で画像濃度の低下が認められるが、実用上問題がない
C:50回未満擦った段階で明らかな画像濃度の低下が認められ、実用上問題がある
【0138】
上記評価結果を表3に示す。
【0139】
【表3】
【0140】
上記評価結果から、記録媒体の温度を樹脂のガラス転移温度よりも低くすることにより、インクの裏抜け、滲みおよび画像の濃度ムラの発生を抑制できることがわかった。これは、加熱されたインクを、前処理層を有する記録媒体の表面に付与しても、前処理層に含まれる樹脂は軟化しにくいので、上記インクは前処理層に浸透せずにその表面に留まりやすくなるためであると考えられる。
【0141】
また、ゲル化剤を含むインクを用いることにより、インクの裏抜けを顕著に抑制できることがわかった。これは、記録媒体の温度を樹脂のガラス転移温度よりも低く(ゲル化温度以下)になっている前処理層の表面に付与されたインクのゲル化剤が速やかにインク中で結晶化して、カードハウス構造と呼ばれる三次元空間を形成し、活性線硬化型インクに含まれる活性線重合性化合物を上記空間内に保持するため、上記活性線重合性化合物と前処理液に含まれる樹脂とが相溶しにくくなる。そのため、活性線硬化型インクが前処理液に浸透しにくくなるので、インクの裏抜けを抑制することができると考えられる。
【0142】
また、2官能モノマーおよび多官能モノマーの合計量を、活性線硬化型インクの全質量に対して30質量%以上とすることにより、画像の擦過性が向上することがわかった。これは、活性線を照射して、インクを硬化させた際に、インクを硬化してなる硬化物が網目構造を形成するため、その表面が硬く密になるためであると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明の前処理液を用いることにより、吸収性記録媒体に活性線硬化型インクを用いても、インクの裏抜けおよびインクの滲みを抑制することができるので、形成される画像の濃度ムラを抑制することができる。そのため、本発明は、活性線硬化型インクを用いた画像形成方法の適用の幅を広げ、同分野の技術の進展および普及に貢献することが期待される。
【符号の説明】
【0144】
100 画像形成装置
110 記録媒体
120 前処理液付与部
121 塗布ローラー
122 ディスペンサー
130 インク付与部
131 ノズル
132 インクジェットヘッド
140 活性線照射部
150 温度調整部
図1