(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】音響システム
(51)【国際特許分類】
G10K 15/04 20060101AFI20250304BHJP
【FI】
G10K15/04 302L
(21)【出願番号】P 2021026578
(22)【出願日】2021-02-22
【審査請求日】2023-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 大平
(72)【発明者】
【氏名】杉田 佳弘
(72)【発明者】
【氏名】森下 翔午
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 俊洲
【審査官】中村 天真
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-151985(JP,A)
【文献】特開2005-055797(JP,A)
【文献】特開2018-125689(JP,A)
【文献】特開2012-026202(JP,A)
【文献】特開2007-051446(JP,A)
【文献】特開2002-267220(JP,A)
【文献】特開平09-160580(JP,A)
【文献】特開平02-282575(JP,A)
【文献】実開平06-012658(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 13/00-17/02
E03D 9/00- 9/16
E04H 1/00- 1/14
G10K 11/00-15/12
H04R 3/00- 3/14
H04R 27/00-27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ空間において大便器を備えるトイレブースに配置され、人の心理に作用する誘導効果音を出力するスピーカと、
前記トイレブースと前記トイレ空間の共用空間との少なくとも一方における人の動作を検知するセンサ部と、
前記センサ部により検知された前記人の動作に応じて、前記スピーカにより出力される前記誘導効果音の音圧を所定の音圧から上げる制御部と、
を有
し、
前記センサ部は、
前記トイレ空間に存在する人の数を検知し、
前記制御部は、
前記トイレ空間に二人以上存在している場合に、前記スピーカが出力する前記誘導効果音の音圧を前記所定の音圧から上げることを特徴とする音響システム。
【請求項2】
前記センサ部は、
前記トイレブースへの人の入室を検知し、
前記制御部は、
前記トイレブースに人が入室している場合に、前記誘導効果音を前記所定の音圧で前記スピーカに再生させる
ことを特徴とする請求項1に記載の音響システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、音響システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレブース等のトイレ空間で音を流す装置が知られている。例えば、排泄音等を消し、かつトイレブースを快適にするために快適音を発生する快適音発生装置が提供されている(例えば特許文献1)。また、例えば、トイレの壁等に取り付けられ、排泄時の尿や便やガスを排出する行為音をマスキング可能な音を出力する擬音装置が提供されている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-055797号公報
【文献】特開2019-052493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような技術では、聞かせたい(認識させたい)音を、トイレを利用する人に対して聞かせることができるとは限らない。
【0005】
特許文献1に記載の音響装置では、快適音といったトイレを利用する人に聞かせたい音以外の音であるノイズ(ノイズ音)が発生すると快適音が聞こえにくくなり快適音の効果が得られなくなる場合がある。ノイズとしては、例えば、他人のトイレ使用音、小便器洗浄、温風乾燥等に用いられる機器の動作音等が挙げられる。より具体的には、複数のトイレブースが並列するトイレにおける別ブース、すなわち自身が使用しているトイレブースである自ブース以外のトイレブース、共用空間、自ブース等での人や機器の動作音、または、別ブースで再生される快適音等の音が挙げられる。例えば、人の心理に作用する音である誘導効果音を自ブースで再生する場合、上記のようなノイズが自ブースの誘導効果音と混ざり合うことで、ノイズが自ブースの誘導効果音を聞こえづらくすること、トイレを利用する人の意識(注意)がノイズに向いてしまうこと等により、誘導効果音の効果が低減するという問題がある。
【0006】
また、特許文献2に記載の音響装置では、排泄時の尿や便やガスを排出する行為音をマスキングすること目的としている。すなわち、特許文献2は、人のトイレの使用音の消音し、人の音を聞かせない(認識させない)ことを目的としており、トイレを利用する人にどのような音を聞かせる(認識させる)のかという点については考慮されていない。そのため、トイレブースで流れる誘導効果音以外の音が発生した場合にも、トイレを利用する人に対する誘導効果音の効果の低減を抑制することが望まれている。
【0007】
上記のような点を鑑みて、トイレを利用する人に対する誘導効果音の効果の低減を抑制することが課題となる。
【0008】
開示の実施形態は、トイレを利用する人に対する誘導効果音の効果の低減を抑制することができる音響システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の一態様に係る音響システムは、トイレ空間において大便器を備えるトイレブースに配置され、人の心理に作用する誘導効果音を出力するスピーカと、前記トイレブースと前記トイレ空間の共用空間との少なくとも一方における人の動作を検知するセンサ部と、前記センサ部により検知された前記人の動作に応じて、前記スピーカにより出力される前記誘導効果音の音圧を所定の音圧から上げる制御部と、を有することを特徴とする。
【0010】
実施形態の一態様に係る音響システムによれば、トイレブースを人(以下「使用者」ともいう)が使用する際にトイレ空間内の人の動作を検知するセンサにより検知した人の動作に応じて、人の心理に作用する音である誘導効果音の音圧を所定の音圧から上げる。例えば、音響システムは、トイレ空間内の人の動作を検知するセンサにより検知した人の動作に応じて、トイレブースに配置されたスピーカが出力する誘導効果音を大きくするように制御する。また、音響システムは、トイレ空間内に設置されている機器の動作信号を取得し、機器の動作に応じてトイレブース内で再生される誘導効果音の音圧を大きくするように制御する。これによって、音響システムは、人の動作によって生じるノイズ音(単に「ノイズ」ともいう)を聞こえづらくし、ノイズが誘導効果音を阻害することを抑制することが可能となる。このように、音響システムは、誘導効果音を流す際にノイズが発生した場合でも誘導効果音の音圧を大きくすることで、誘導効果音以外の音(ノイズ)に対する誘導効果音の減少を防止することができる。したがって、音響システムは、トイレを利用する人に対する誘導効果音の効果の低減を抑制することができる。
【0011】
実施形態の一態様に係る音響システムにおいて、前記センサ部は、前記トイレブースへの人の入室を検知し、前記制御部は、前記トイレブースに人が入室している場合に、前記誘導効果音を前記所定の音圧で前記スピーカに再生させることを特徴とする。
【0012】
実施形態の一態様に係る音響システムによれば、人の動作を検知するセンサにより、トイレブース内への人の入室を検知した場合、入室したトイレブース内に誘導効果音が流れるように制御する。これによって、音響システムは、必要な時にのみ誘導効果音を流すことで無駄な電力を抑えることが可能となる。また、トイレブース内に人が入出したことで誘導効果音が流れるため、より誘導効果音に利用者の意識を向かせることができる。
【0013】
実施形態の一態様に係る音響システムにおいて、前記センサ部は、前記トイレブースのドアの開閉を検知し、前記制御部は、前記トイレブースのドアが閉じられている場合に、前記スピーカが出力する前記誘導効果音の音圧を前記所定の音圧から上げることを特徴とする。
【0014】
実施形態の一態様に係る音響システムによれば、トイレブースの扉の開閉状態を検知するセンサにより、トイレブースの扉が閉まったことを検知した場合、そのブースで再生される誘導効果音の音圧を大きくするように制御する。これによって、音響システムは、使用者がトイレブースに入室している間は、他者の行動や自分の行動、機械の自動洗浄音等のノイズを聞こえづらくすることができる。このように、音響システムは、使用者のトイレブース入室中にノイズが誘導効果音を阻害することを抑制することが可能となる。したがって、音響システムは、トイレを利用する人に対する誘導効果音の効果の低減を抑制することができる。
【0015】
実施形態の一態様に係る音響システムにおいて、前記センサ部は、前記トイレブースの前記大便器への人の着座を検知し、前記制御部は、前記大便器に人が着座している場合に、前記スピーカが出力する前記誘導効果音の音圧を前記所定の音圧から上げることを特徴とする。
【0016】
実施形態の一態様に係る音響システムによれば、トイレブース内に設置された大便器(単に「便器」ともいう)への着座状態を検知するセンサにより、便器への着座を検知した場合、そのブースで再生される誘導効果音の音圧を大きくするように制御する。これによって、音響システムは、使用者が便器に着座している間は他者の行動や自分の行動、機械の自動洗浄音等のノイズを聞こえづらくすることができる。このように、音響システムは、使用者の便器着座中にノイズが誘導効果音を阻害することを抑制することが可能となる。したがって、音響システムは、トイレを利用する人に対する誘導効果音の効果の低減を抑制することができる。また、着座中に利用者がリフレッシュやリラックス等を求める場合が多く、音響システムは、効率的に誘導効果音の効果を奏させることができる。
【0017】
実施形態の一態様に係る音響システムにおいて、前記センサ部は、前記トイレ空間に存在する人の数を検知し、前記制御部は、前記トイレ空間に2人(二人)以上存在している場合に、前記スピーカが出力する前記誘導効果音の音圧を前記所定の音圧から上げることを特徴とする。
【0018】
実施形態の一態様に係る音響システムによれば、人の動作を検知できるセンサにより、トイレ空間内に2人以上存在することを検知した場合、トイレブース内で再生される誘導効果音の音圧を大きくするように制御する。これによって、音響システムは、ある一人(人物A)が誘導効果音を聞いている時に、他の人(人物B)がノイズを発生させた場合でも、音圧が上がった状態で誘導効果音を人物Aに聞かせることができる。そのため、音響システムは、人物Bによるノイズを人物Aに聞こえづらくすることができ、他人が発生するノイズが誘導効果音を阻害することを抑制することが可能となる。したがって、音響システムは、トイレを利用する人に対する誘導効果音の効果の低減を抑制することができる。
【0019】
実施形態の一態様に係る音響システムは、トイレ空間において大便器を備えるトイレブースに配置され、人の心理に作用する誘導効果音を出力するスピーカと、前記トイレ空間に配置される機器の動作に応じて、前記スピーカにより出力される前記誘導効果音の音圧を所定の音圧から上げる制御部と、を有することを特徴とする。
【0020】
実施形態の一態様に係る音響システムによれば、トイレブースを使用者が使用する際にトイレ空間に配置される機器の動作を検知するセンサ等により検知した機器の動作に応じて、人の心理に作用する音である誘導効果音の音圧を所定の音圧から上げる。例えば、音響システムは、トイレ空間内に設置されている機器の動作信号を取得し、機器の動作に応じてトイレブース内で再生される誘導効果音の音圧を大きくするように制御する。これによって、音響システムは、機器の動作によって生じるノイズ音(ノイズ)を聞こえづらくし、ノイズが誘導効果音を阻害することを抑制することが可能となる。このように、音響システムは、誘導効果音を流す際にノイズが発生した場合でも誘導効果音の音圧を大きくすることで、誘導効果音以外の音(ノイズ)に対する誘導効果音の減少を防止することができる。したがって、音響システムは、トイレを利用する人に対する誘導効果音の効果の低減を抑制することができる。
【0021】
実施形態の一態様に係る音響システムにおいて、前記制御部は、前記トイレ空間に配置される前記機器の動作信号を受け取った場合に、前記スピーカが出力する前記誘導効果音の音圧を前記所定の音圧から上げることを特徴とする。
【0022】
実施形態の一態様に係る音響システムによれば、トイレ空間内に設置されている機器の動作信号を取得し、機器の動作に応じてトイレブース内で再生される誘導効果音の音圧を大きくするように制御する。これによって、音響システムは、自動洗浄の音等、人の動作に関係ない機器の動作音によるノイズを聞こえづらくすることができる。そのため、音響システムは、人以外の物(機器)により生じるノイズが誘導効果音を阻害することを抑制することが可能となる。したがって、音響システムは、トイレを利用する人に対する誘導効果音の効果の低減を抑制することができる。
【0023】
実施形態の一態様に係る音響システムは、トイレ空間において共用空間に配置され、人の心理に作用する誘導効果音を出力するスピーカと、前記トイレ空間において大便器を備えるトイレブースと前記共用空間との少なくとも一方における人の動作を検知するセンサ部と、前記センサ部により検知された前記人の動作に応じて、前記スピーカにより出力される前記誘導効果音の音圧を所定の音圧から上げる制御部と、を有することを特徴とする。
【0024】
実施形態の一態様に係る音響システムによれば、共有空間にスピーカを備え、トイレ空間内の人の動作を検知するセンサにより検知した人の動作に応じて、人の心理に作用する音(誘導効果音)の音圧を所定の音圧から上げる。例えば、音響システムは、トイレ空間内の人の動作を検知するセンサにより検知した人の動作に応じて、共有空間に配置されたスピーカが出力する誘導効果音を大きくするように制御する。これによって、音響システムは、共有空間で誘導効果音を流すことが可能となり、人等の動作によって生じるノイズを聞こえづらくし、ノイズが誘導効果音を阻害することを抑制することが可能となる。このように、音響システムは、誘導効果音を流す際にノイズが発生した場合でも誘導効果音の音圧を大きくすることで、誘導効果音以外の音(ノイズ)に対する誘導効果音の減少を防止することができる。したがって、音響システムは、トイレを利用する人に対する誘導効果音の効果の低減を抑制することができる。
【0025】
実施形態の一態様に係る音響システムにおいて、前記センサ部は、前記共用空間の人を検知し、前記制御部は、前記共用空間に人が存在している場合に、前記誘導効果音を前記所定の音圧で前記スピーカに再生させることを特徴とする。
【0026】
実施形態の一態様に係る音響システムによれば、人の動作を検知するセンサにより、共有空間の人の存在を検知した場合、共有空間において誘導効果音が流れるように制御する。これによって、音響システムは、必要な時にのみ誘導効果音を流すことで無駄な電力を抑えることが可能となる。
【0027】
実施形態の一態様に係る音響システムにおいて、前記センサ部は、前記トイレ空間に存在する人の数を検知し、前記制御部は、前記トイレ空間に2人以上存在している場合に、前記スピーカが出力する前記誘導効果音の音圧を前記所定の音圧から上げることを特徴とする。
【0028】
実施形態の一態様に係る音響システムによれば、人の動作を検知できるセンサにより、トイレ空間内に2人以上存在することを検知した場合、共有空間において再生される感情制御音の音圧を大きくするように制御する。これによって、音響システムは、ある一人(人物A)が誘導効果音を聞いている時に、他の人(人物B)がノイズを発生させた場合でも音圧が上がった状態で、人物Aに誘導効果音を聞かせることができる。そのため、音響システムは、人物Bによるノイズを人物Aに聞こえづらくすることができ、他人が発生するノイズが誘導効果音を阻害することを抑制することが可能となる。したがって、音響システムは、トイレを利用する人に対する誘導効果音の効果の低減を抑制することができる。
【0029】
実施形態の一態様に係る音響システムは、トイレ空間において共用空間に配置され、人の心理に作用する誘導効果音を出力するスピーカと、前記トイレ空間に配置される機器の動作に応じて、前記スピーカにより出力される前記誘導効果音の音圧を所定の音圧から上げる制御部と、を有することを特徴とする。
【0030】
実施形態の一態様に係る音響システムによれば、共有空間にスピーカを備え、トイレ空間に配置される機器の動作を検知するセンサにより検知した機器の動作に応じて、人の心理に作用する音(誘導効果音)の音圧を所定の音圧から上げる。例えば、音響システムは、トイレ空間内に設置されている機器の動作信号を取得し、機器の動作に応じてトイレブース内で再生される誘導効果音の音圧を大きくするように制御する。これによって、音響システムは、共有空間で誘導効果音を流すことが可能となり、機器の動作によって生じるノイズを聞こえづらくし、ノイズが誘導効果音を阻害することを抑制することが可能となる。このように、音響システムは、誘導効果音を流す際にノイズが発生した場合でも誘導効果音の音圧を大きくすることで、誘導効果音以外の音(ノイズ)に対する誘導効果音の減少を防止することができる。したがって、音響システムは、トイレを利用する人に対する誘導効果音の効果の低減を抑制することができる。
【0031】
実施形態の一態様に係る音響システムにおいて、前記制御部は、前記トイレ空間に配置される前記機器の動作信号を受け取った場合に、前記スピーカが出力する前記誘導効果音の音圧を前記所定の音圧から上げることを特徴とする。
【0032】
実施形態の一態様に係る音響システムによれば、トイレ空間内に設置されている機器の動作信号を取得し、機器の動作に応じて共有空間内で再生される感情制御音の音圧を大きくするように制御する。これによって、音響システムは、自動洗浄の音等、人の動作に関係ない機器の動作音によるノイズを聞こえづらくすることができる。そのため、音響システムは、人以外の物(機器)により生じるノイズが誘導効果音を阻害することを抑制することが可能となる。したがって、音響システムは、トイレを利用する人に対する誘導効果音の効果の低減を抑制することができる。
【発明の効果】
【0033】
実施形態の一態様によれば、トイレを利用する人に対する誘導効果音の効果の低減を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る音出力制御処理の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る音出力制御処理のタイミングチャートの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る音響システムの構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る配置情報記憶部の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、音響システムが実行する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、第2の実施形態に係る音響システムの構成例を示す図である。
【
図8】
図8は、第2の実施形態に係る音出力制御処理のタイミングチャートの一例を示す図である。
【
図9】
図9は、第3の実施形態に係る音出力制御処理の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、第3の実施形態に係る音出力制御処理のタイミングチャートの一例を示す図である。
【
図11】
図11は、第3の実施形態に係る音響システムの構成例を示す図である。
【
図12】
図12は、第3の実施形態に係る配置情報記憶部の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、第4の実施形態に係る音出力制御処理の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、第4の実施形態に係る音出力制御処理のタイミングチャートの一例を示す図である。
【
図15】
図15は、第4の実施形態に係る音響システムの構成例を示す図である。
【
図16】
図16は、第5の実施形態に係る音出力制御処理の一例を示す図である。
【
図17】
図17は、第5の実施形態に係る音響システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する音響システムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0036】
<1.第1の実施形態>
第1の実施形態に係る音響システム1(
図3参照)において実行される情報処理の概要について
図1を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態に係る音出力制御処理の一例を示す図である。
【0037】
まず、
図1に示す処理の説明に先立って、音響システム1が適用されるトイレ空間について説明する。トイレ空間とは、個室空間を形成するトイレブースと、トイレブース以外の空間である共有空間を有する。
【0038】
トイレブースは、パーティション(間仕切り)で区切られた空間(個室空間)である。各トイレブースは、大便器を備え、人が排泄行為を行う場所としての機能を有する。また、各トイレブースは、そのトイレブース内に入室するための開閉可能なドア(図示は省略)を備える。なお、各トイレブースのドアは、一般的なトイレブースに設けられるドアと同様であるため、詳細な説明は省略する。また、トイレブースは、パーティションによって、完全に区切られた空間でなくてもよく、パーティションの上部や下部に、隣接するトイレブースや供給空間と区切られていない部分が設けられていてもよい。
【0039】
また、共有空間は、トイレ空間内において複数人が同時に滞在し得る共有部である。例えば、共有空間は、トイレ空間への入り口、洗面の設備、各トイレブースへの経路を有する。共有空間は、トイレ空間への入場、手等の洗浄、各トイレブースへの移動等を行うための場所としての機能を有する。なお、トイレ空間が男性用のトイレ空間として機能する場合、その共有空間には小便器が配置されてもよい。すなわち、共有空間も人が排泄行為を行う場所として機能してもよい。
【0040】
図1に示すトイレ空間TSは、トイレブースTB1と、トイレブースTB2と、共有空間CSとを有する。なお、トイレブースTB1、トイレブースTB2等、トイレ空間TSに設けられるトイレブースを区別せずに説明する場合、「トイレブースTB」と記載する場合がある。
図1では、トイレ空間TSが2つのトイレブースTBを有する場合を一例として説明するが、トイレ空間TSは3つ以上のトイレブースTBを有してもよい。また、トイレ空間TSは、複数のトイレブースTBを有しなくてもよく、1つのトイレブースTBを有してもよい。共有空間CSは、トイレ空間TSへの入り口を有し、トイレ空間TS内への入退場、各トイレブースTBへの移動、手の洗浄等の場所として利用される。例えば、トイレ空間TSは、デパート等の(商業)施設に設けられる。なお、トイレ空間TSが設けられる場所は、商業施設に限らず様々な場所に設けられてもよいが、この点については後述する。
【0041】
次に、トイレ空間TSにおける各装置の配置について説明する。スピーカ101は、トイレブースTB1に配置される。また、スピーカ102は、トイレブースTB2に配置される。スピーカ101、スピーカ102等、トイレ空間TSに配置されるスピーカを区別せずに説明する場合、「スピーカ10」と記載する場合がある。スピーカ10は、後述する制御装置100の制御に応じて、音を出力する音響装置である。スピーカ10は、人の心理に作用する誘導効果音を出力する。なお、スピーカ10の配置位置は、特に限定されず、各トイレブースTB内に設置されていればよく、例えば各トイレブースTBの天井、壁面、床等に設置してもよく、また大便器上部に備える便座装置等に設置してもよい。
【0042】
<1-1.誘導効果音>
ここで、誘導効果音について説明する。誘導効果音は、例えば、感情誘導効果、イメージ誘導効果、行動誘導効果のうち少なくとも1つの効果を有する音である。例えば、感情誘導効果とは、喜びや悲しみ等、人を特定の感情にする効果である。また、例えば、イメージ誘導効果とは、高級感のある印象等、特定の印象を持つように誘導する効果である。また、例えば、行動誘導効果とは、行動を早める、注意を誘導する等、人の行動を誘導する効果である。
【0043】
感情誘導効果を有する音の例としては、テンポが速く、長調の音楽等があり、これらの音には高揚感を感じさせる効果があるとされている。また、感情誘導効果を有する音の例としては、波の音等の自然界の音やテンポが遅く、長調の音楽等があり、これらの音にはリラックス感を感じさせる効果があるとされている。
【0044】
イメージ誘導効果を有する音の例としては、クラシック音楽等があり、これらの音には高級感のあるイメージを持たせる効果があるとされている。また、イメージ誘導効果を有する音の例としては、長調の音楽等があり、これらの音には明るいイメージを持たせる効果があるとされている。
【0045】
行動誘導効果を有する音の例としては、テンポの速い音楽等があり、これらの音には人の行動を早める効果があるとされている。また、行動誘導効果を有する音の例としては、テンポが速く、音が大きい音楽等があり、これらの音には人の注意を引きつける効果があるとされている。
【0046】
なお、上記の感情誘導効果、イメージ誘導効果、行動誘導効果は排他的ではなく、1つの音が複数の効果を有してもよい。例えば、1つの音(誘導効果音)が感情誘導効果及び行動誘導効果の2つの効果を有する等、1つの音(誘導効果音)が複数の効果を有してもよい。また、上記の感情誘導効果、イメージ誘導効果、行動誘導効果は一例に過ぎず、誘導効果音には、人の心理に作用する音であればどのような音が含まれてもよい。
【0047】
トイレ空間TSにおける各装置の配置に戻って説明を続ける。第1センサ50
1は、トイレブースTB1への人の入室を検知するセンサ装置である。なお、
図1では、対応関係を示すために、第1センサ50
1がトイレブースTB1内に配置されるイメージを示すが、トイレブースTB1への人の入室が検知可能であれば、第1センサ50
1は、トイレブースTB1外に配置されてもよい。
【0048】
また、第1センサ50
2は、トイレブースTB2への人の入室を検知するセンサ装置である。なお、
図1では、対応関係を示すために、第1センサ50
2がトイレブースTB2内に配置されるイメージを示すが、トイレブースTB2への人の入室が検知可能であれば、第1センサ50
2は、トイレブースTB2外に配置されてもよい。
【0049】
以下、第1センサ501、第1センサ502等、トイレ空間TSのトイレブースTBへの人の入室を検知するセンサ装置を区別せずに説明する場合、「第1センサ50」と記載する場合がある。第1センサ50は、対応するトイレブースTBへの人の入室の検知結果を制御装置100へ送信する。
【0050】
第2センサ60
1は、トイレブースTB1のドアの開閉を検知するセンサ装置である。なお、
図1では、対応関係を示すために、第2センサ60
1がトイレブースTB1内に配置されるイメージを示すが、トイレブースTB1のドアの開閉が検知可能であれば、第2センサ60
1は、トイレブースTB1外に配置されてもよい。
【0051】
また、第2センサ60
2は、トイレブースTB2のドアの開閉を検知するセンサ装置である。なお、
図1では、対応関係を示すために、第2センサ60
2がトイレブースTB2内に配置されるイメージを示すが、トイレブースTB2のドアの開閉が検知可能であれば、第2センサ60
2は、トイレブースTB2外に配置されてもよい。
【0052】
以下、第2センサ601、第2センサ602等、トイレ空間TSのトイレブースTBのドアの開閉を検知するセンサ装置を区別せずに説明する場合、「第2センサ60」と記載する場合がある。第2センサ60は、対応するトイレブースTBのドアの開閉の検知結果を制御装置100へ送信する。
【0053】
制御装置100は、スピーカ10、第1センサ50、及び第2センサ60と通信可能なコンピュータである。
図1では、制御装置100がトイレ空間TSの共有空間CSに配置されている場合を一例として説明するが、制御装置100はトイレ空間TS外に配置されてもよい。例えば、制御装置100は、トイレ空間TS外の音響システム1の管理施設などに配置されるサーバ装置であってもよい。なお、上記は一例に過ぎず、スピーカ10、第1センサ50、及び第2センサ60と通信し、処理が実現可能であれば、制御装置100の装置構成及び配置は任意の形態が採用可能である。例えば、制御装置100は、音響システム1の管理者等が携帯可能なノートパソコン等の携帯端末(デバイス)であってもよい。
【0054】
制御装置100は、スピーカ10の出力を制御する。制御装置100は、第1センサ50または第2センサ60による検知結果に応じて、スピーカ10により出力される誘導効果音の音圧を変更する。この点について、以下
図1を用いて説明する。
【0055】
<1-2.音声制御処理例>
図1では、使用者UがトイレブースTB1を使用する場合に、トイレブースTB1での誘導効果音の再生及び誘導効果音の音圧の変更が行われる例を説明する。なお、
図1では、トイレブースTB1が備える便器TLの便座STに使用者Uが座っている状態を図示するが、トイレブースTBの利用者による使用態様のイメージを示すためのものであり、トイレブースTB1の使用状態は使用者Uの行動により変化する。
【0056】
まず、
図1の例では、トイレブースTB1に使用者Uが入室する。例えば、使用者Uは、ドアが開放状態であるトイレブースTB1の中へ移動することにより、トイレブースTB1に入室する。これにより、第1センサ50
1は、トイレブースTB1への使用者Uの入室を検知する。そして、第1センサ50
1は、トイレブースTB1への使用者Uの入室を示す情報を制御装置100に送信する(ステップS1)。
【0057】
第1センサ501からトイレブースTB1への使用者Uの入室を示す情報を受信した制御装置100は、トイレブースTB1のスピーカ101へ誘導効果音の再生を指示する(ステップS2)。制御装置100は、トイレブースTB1のスピーカ101へ誘導効果音の再生を指示する情報を送信する。例えば再生対象となる誘導効果音が複数ある場合、制御装置100は、トイレブースTB1のスピーカ101へ、再生する誘導効果音を特定するための情報を送信してもよいし、誘導効果音の音源データを送信してもよい。
【0058】
なお、各トイレブースTBで再生される誘導効果音は予め設定されてもよい。例えば、制御装置100は、トイレ空間TSがデパートに設置されている場合、そのデパートが人に抱かせたいイメージに適合する誘導効果音、すなわちイメージ誘導効果を有する誘導効果音をスピーカ101に再生させてもよい。例えば、制御装置100は、トイレ空間TSが設置されたデパートが人にそのデパートに対して高級感を抱かせたい場合、例えばクラシック等、高級感のあるイメージを持たせる効果を有する誘導効果音をスピーカ101に再生させる。また、制御装置100は、トイレ空間TSが設置された施設(デパート等)に人が多く混雑している場合、人の行動を早める誘導効果音をスピーカ101に再生させてもよい。例えば、制御装置100は、トイレ空間TSを利用する人に待ち行列が生じている等、トイレ空間TSの利用を望む人が多く混雑している場合、人の行動を早める誘導効果音をスピーカ101に再生させてもよい。また、時々の季節や天候や気温に基いて誘導効果音を設定・変更してもよいし、例えば、開館時間、閉館時間等の時間帯によって、誘導効果音を設定・変更してもよい。
【0059】
制御装置100から誘導効果音の再生の指示を受けたスピーカ101は、誘導効果音の再生を開始する(ステップS3)。これにより、トイレブースTB1内に位置する使用者Uは再生されている誘導効果音を認識する(聞く)。
【0060】
その後、
図1の例では、トイレブースTB1に入室した使用者UがトイレブースTB1のドアを閉める。例えば、使用者Uは、開放状態であるトイレブースTB1のドアを閉鎖状態の位置へ移動させる。これにより、第2センサ60
1は、トイレブースTB1のドアが閉まったことを検知する。そして、第2センサ60
1は、トイレブースTB1のドアが閉まったことを示す情報を制御装置100に送信する(ステップS4)。なお、使用者Uは、トイレブースTB1のドアに鍵をかけることによりトイレブースTB1のドアの閉鎖状態を維持させ、脱衣行為を行った後、排泄行為等を行う。
【0061】
第2センサ601からトイレブースTB1のドアが閉まったことを示す情報を受信した制御装置100は、トイレブースTB1のスピーカ101により出力される誘導効果音の音圧を上げるようにスピーカ101へ指示する(ステップS5)。制御装置100は、トイレブースTB1のスピーカ101へ誘導効果音を出力する音圧を上げる(大きくする)ことを指示する情報を送信する。例えば、制御装置100は、所定の設定値だけ音圧を上げることをスピーカ101へ指示する。
【0062】
制御装置100から誘導効果音の音圧を上げる指示を受けたスピーカ101は、誘導効果音の音圧を上げる(ステップS6)。これにより、脱衣行為、排泄行為等の音(ノイズ)が発生している環境においても、使用者Uは再生されている誘導効果音を認識する(聞く)ことができる。なお、トイレブースTB1のドアが開放状態に戻った際、制御装置100は、スピーカ101に誘導効果音を出力する音圧を元に戻す、すなわち音圧を上げる前の音圧に戻すように指示する。
【0063】
このように、音響システム1は、使用者UがトイレブースTB1に入室した際には誘導効果音を再生することで、使用者Uに誘導効果音を認識させる(聞かせる)ことができる。また、音響システム1は、トイレブースTB1内に人がいない時に誘導効果音を再生することで生じる無駄な電力消費を抑えることができる。そして、音響システム1は、トイレブースTB1のドアが閉まっている間は、誘導効果音を出力する音圧を上げることで、脱衣行為、排泄行為等の音(ノイズ)が発生しても、使用者Uに誘導効果音を認識させる(聞かせる)ことができる。すなわち、音響システム1は、トイレブースTBの使用者自身によるノイズが発生している状況において、トイレブースTBの使用者に対する誘導効果音の効果の低減を抑制することができる。したがって、音響システム1は、トイレを利用する人に対する誘導効果音の効果の低減を抑制することができる。
【0064】
<1-3.トイレ空間の配置>
図1の例では、トイレ空間TSが設置される場所として、デパート(百貨店)等のような商業施設を一例として示したが、トイレ空間TSが設置される場所は、店舗等の商業施設に限らず、種々の施設であってもよい。例えば、トイレ空間TSが設置される場所は、遊園地や競技場やオフィスビル等であってもよい。例えば、トイレ空間TSが設置される場所は、観光地等の地域に設置されるトイレであってもよい。例えば、トイレ空間TSが設置される場所は、公園や駐車場等であってもよい。すなわち、トイレは公園や駐車場等の屋外に設置されてもよい。このように、トイレ空間TSが設置される場所は、トイレ空間TSが設置可能な空間があれば、どのような場所であってもよい。
【0065】
<1-4.制御フロー例>
図2を用いて、制御フロー例について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る音出力制御処理のタイミングチャートの一例を示す図である。なお、
図1と同様の点については適宜説明を省略する。
【0066】
図2の例では、トイレブースTB1を対象とする制御フローを一例として説明する。すなわち、
図2の例は、スピーカ10がスピーカ10
1であり、第1センサ50が第1センサ50
1であり、第2センサ60が第2センサ60
1であるものとして以下説明する。
【0067】
図2中の波形LN1は、第1センサ50
1によるトイレブースTB1の入室検知の検知結果を示す。また、
図2中の波形LN2は、第2センサ60
1によるトイレブースTB1のドアの開閉検知の検知結果を示す。また、
図2中の波形LN3は、スピーカ10
1が出力する誘導効果音の音圧を示す。
【0068】
図2の例では、波形LN1に示すように、時間t1において、第1センサ50
1によりトイレブースTB1への人の入室が検知される。例えば、時間t1において、第1センサ50
1の検知結果が、トイレブースTB1への人の入室が検知されていないことを示す「off」から、トイレブースTB1への人の入室が検知されたことを示す「on」へ変更される。
【0069】
第1センサ50
1によるトイレブースTB1への人の入室検知に応じて、波形LN3に示すように、スピーカ10
1が誘導効果音の出力を開始する。例えば、時間t1以降において、スピーカ10
1は、
図2中の「low」で示す第1音圧で誘導効果音の出力を開始する。
【0070】
その後、波形LN2に示すように、時間t2において、第2センサ601によりトイレブースTB1のドアが閉まったことが検知される。例えば、時間t2において、第2センサ601の検知結果が、トイレブースTB1のドアが開放状態であることを示す「off」から、トイレブースTB1のドアが閉鎖状態であることを示す「on」へ変更される。
【0071】
第2センサ60
1によるトイレブースTB1のドアが閉鎖状態になったことの検知に応じて、波形LN3に示すように、スピーカ10
1が出力する誘導効果音の音圧を上げる。例えば、時間t2以降において、スピーカ10
1は、第1音圧から、第1音圧よりも大きい音圧であり、
図2中の「high」で示す第2音圧へ誘導効果音の出力音圧を上げる。
【0072】
その後、波形LN2に示すように、時間t3において、第2センサ601によりトイレブースTB1のドアが開いたことが検知される。例えば、時間t3において、第2センサ601の検知結果が、トイレブースTB1のドアが閉鎖状態であることを示す「on」から、トイレブースTB1のドアが開放状態であることを示す「off」へ変更される。
【0073】
第2センサ601によるトイレブースTB1のドアが開放状態になったことの検知に応じて、波形LN3に示すように、スピーカ101が出力する誘導効果音の音圧を元に戻す。例えば、時間t3以降において、スピーカ101は、第2音圧から、第2音圧よりも小さい第1音圧へ誘導効果音の出力音圧を下げる。
【0074】
その後、波形LN1に示すように、時間t4において、第1センサ501によりトイレブースTB1からの人の退室が検知される。例えば、時間t4において、第1センサ501の検知結果が、トイレブースTB1への人の入室が検知されたことを示す「on」から、トイレブースTB1への人の入室が検知されていないことを示す「off」へ変更される。
【0075】
第1センサ50
1によるトイレブースTB1からの人の退室検知に応じて、波形LN3に示すように、スピーカ10
1が誘導効果音の出力を停止する。例えば、時間t4以降において、スピーカ10
1は、
図2中の「off」で示す誘導効果音を出力していない状態に変更する。
【0076】
本実施形態では、第1センサ50
1によるトイレブースTB1への人の入室検知に応じて、
図2中の「off」で示す誘導効果音を出力していない状態から、
図2中の「low」で示す第1音圧で誘導効果音の出力を開始し、第2センサ60
1によるトイレブースTB1のドアが閉鎖状態になったことの検知に応じて、第1音圧から、
図2中の「high」で示す第2音圧へ誘導効果音の出力音圧を上げる一例を示したが、この限りではなく、第2センサ60
1によるトイレブースTB1のドアが閉鎖状態になったことの検知に応じて、少なくとも一部の周波数帯においてノイズの音圧より誘導効果音の音圧が大きく、誘導効果音が聞こえ易くなる様な音圧(例えば、
図2中の「high」で示す第2音圧)にて、誘導効果音が出力されればよく、例えば、第2センサ60
1によるトイレブースTB1のドアが閉鎖状態になったことの検知に応じて、誘導効果音の出力を開始し、徐々に誘導効果音が聞こえ易くなる「high」で示す第2の音圧まで、音圧を変更するように制御してもよい。
【0077】
また、本実施形態では、
図2中の「high」で示す第2音圧へ誘導効果音の出力音圧から、第2センサ60
1によるトイレブースTB1のドアが開放状態になったことの検知に応じて、第2音圧から
図2中の「low」で示す第1音圧で誘導効果音の出力に戻し、第1センサ50
1によるトイレブースTB1への人の退室検知に応じて、第1音圧から
図2中の「off」で示す誘導効果音を出力していない状態に戻す(下げる)一例を示したが、この限りではなく、第2センサ601によるトイレブースTB1のドアが開放状態になったことの検知に応じて、誘導効果音をノイズが聞こえ難くなる様な音圧(例えば、
図2中の「high」で示す第2音圧)から、
図2中の「off」で示す出力していない状態に音圧を徐々に変更するように制御してもよい。
【0078】
<1-5.音響システムの構成>
次に、音響システム1の構成について
図3を参照して説明する。
図3は、第1の実施形態に係る音響システムの構成例を示す図である。具体的には、
図3は、音響システム1の構成を示す。音響システム1は、複数のスピーカ10と、複数の第1センサ50と、複数の第2センサ60と、制御装置100とが含まれる。音響システム1には、複数の制御装置100が含まれてもよい。
【0079】
スピーカ10は、トイレ空間TSにおいて大便器である便器TLを備えるトイレブースTBに配置される。スピーカ10は、制御装置100の制御に応じて音を出力する。スピーカ10は、人の心理に作用する誘導効果音を出力する。なお、スピーカ10の配置位置は、特に限定されず、トイレブースTB内に設置されていればよく、トイレブースTBの天井、壁面、床等に設置してもよく、また便座STに搭載してもよい。
【0080】
第1センサ50は、対象とするトイレブースTBへの人(使用者)の入室を検知する検知部として機能する。第1センサ50は、種々のセンサにより実現されてもよい、例えば、第1センサ50は、人体検知センサ、行動検知センサ、存在検知センサ等の各種のセンサであってもよい。第1センサ50は、トイレブースTB外を撮像する画像センサ(行動検知センサ)であってもよい。なお、上記は一例であり、第1センサ50は、使用者のトイレブースTBへの入室を検知可能であればどのような手段により実現されてもよい。例えば、第1センサ50は、トイレブースTBへの人の入室を検知した場合、その検知や検知の日時などを示す検知情報を制御装置100へ送信する。
【0081】
第2センサ60は、トイレブースTBのドアの開閉を検知する検知部として機能する。トイレブースTBのドア等に設けられたドアセンサ(行動検知センサ)であってもよい。第2センサ60は、トイレブースTB外を撮像する画像センサ(行動検知センサ)であってもよい。例えば、第2センサ60は、トイレブースTBのドアの開閉を検知した場合、その検知や検知の日時などを示す検知情報を制御装置100へ送信する。
【0082】
第1センサ50及び第2センサ60は、トイレ空間TSのトイレブースTBと共用空間CSとの少なくとも一方の人の動作を検知するセンサ部として機能する。なお、センサ部が共用空間CSの人の動作を検知する例については後述する。
【0083】
制御装置100は、センサ部により検知された人の動作に応じて、スピーカ10により出力される誘導効果音の音圧を変更する情報処理装置である。制御装置100は、第1センサ50及び第2センサ60から検知結果を受信する。制御装置100は、スピーカ10に音の出力開始や出力する音の音圧の変更を指示する。
【0084】
制御装置100は、スピーカ10、第1センサ50、及び第2センサ60と、インターネット等の所定のネットワークNを介して、無線または有線により通信可能に接続される。なお、制御装置100は、情報の送受信が可能であれば、スピーカ10、第1センサ50、及び第2センサ60とどのように接続されてもよく、無線により通信可能に接続されてもよいし、有線により通信可能に接続されてもよい。
【0085】
<1-6.制御装置の機能構成>
以下、制御装置の機能構成について
図4を参照して説明する。
図4は、第1の実施形態に係る制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0086】
図4に示すように、制御装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。なお、制御装置100は、制御装置100の管理者等から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0087】
通信部110は、例えば、通信回路等によって実現される。通信部110は、所定のネットワークN(
図3参照)と有線または無線で接続され、外部の情報処理装置との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部110は、所定のネットワークN(
図3参照)と有線または無線で接続され、スピーカ10、第1センサ50、及び第2センサ60等の他の装置との間で情報の送受信を行う。
【0088】
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。例えば、記憶部120は、音響制御プログラム等によって使用されるデータ等を非一時的に記録するコンピュータが読み取り可能な記録媒体である。第1の実施形態に係る記憶部120は、
図4に示すように、配置情報記憶部121と、誘導効果音情報記憶部122とを有する。
【0089】
第1の実施形態に係る配置情報記憶部は、音響システム1のスピーカ(音響装置)やセンサ部(センサ装置)等の配置に関する各種情報を記憶する。例えば、配置情報記憶部は、スピーカ10、第1センサ50、及び第2センサ60の配置に関する情報を記憶する。
図5は、第1の実施形態に係る配置情報記憶部の一例を示す図である。
図5に示す配置情報記憶部には、「配置箇所」、「スピーカ」、「センサ」といった項目が含まれる。
【0090】
「配置箇所」は、各配置箇所を識別するための識別情報を示す。
図5では、説明の為に「配置箇所」に「TB1」、「TB2」といった各トイレブースに付した符号を図示するが、「配置箇所」には、配置箇所を特定可能な情報(例えば配置箇所ID等)が記憶される。
【0091】
「スピーカ」は、対応する配置箇所に配置されるスピーカ(音響装置)を識別するための識別情報を示す。
図5では、説明の為に「スピーカ」に「10
1」、「10
2」といった各スピーカに付した符号を図示するが、「スピーカ」には、スピーカを特定可能な情報(例えばスピーカID等)が記憶される。
【0092】
「センサ」は、センサ部に含まれる各種のセンサの情報が格納される。
図5の「センサ」には、「第1センサ」、「第2センサ」の2つの種別のセンサに対応する項目が含まれる。
【0093】
「第1センサ」は、対応する配置箇所に配置される第1センサを識別するための識別情報を示す。
図5では、説明の為に「第1センサ」に「50
1」、「50
2」といった各第1センサに付した符号を図示するが、「第1センサ」には、第1センサを特定可能な情報(例えばセンサID等)が記憶される。
【0094】
また「第2センサ」は、対応する配置箇所に配置される第2センサを識別するための識別情報を示す。
図5では、説明の為に「第2センサ」に「60
1」、「60
2」といった各第2センサに付した符号を図示するが、「第2センサ」には、第2センサを特定可能な情報(例えばセンサID等)が記憶される。
【0095】
図5の例では、「TB1」により識別される配置箇所であるトイレブースTB1には、「10
1」により識別される音響装置であるスピーカ10
1、「50
1」により識別されるセンサ装置である第1センサ50
1、及び「60
1」により識別されるセンサ装置である第2センサ60
1が配置されることを示す。
【0096】
また、「TB2」により識別される配置箇所であるトイレブースTB2には、「102」により識別される音響装置であるスピーカ102、「502」により識別されるセンサ装置である第1センサ502、及び「602」により識別されるセンサ装置である第2センサ602が配置されることを示す。
【0097】
なお、配置情報記憶部121は、上記に限らず、目的に応じて種々の情報を記憶してもよい。例えば、配置情報記憶部121は、各スピーカ10が出力する誘導効果音を示す情報や各スピーカ10の具体的な配置位置を示す情報(例えば緯度経度情報等)を、各スピーカ10に対応付けて記憶してもよい。また、例えば、配置情報記憶部121は、各第1センサ50が検知する情報や各第1センサ50の具体的な配置位置を示す情報(例えば緯度経度情報等)を、各第1センサ50に対応付けて記憶してもよい。また、例えば、配置情報記憶部121は、各第2センサ60が検知する情報や各第2センサ60の具体的な配置位置を示す情報(例えば緯度経度情報等)を、各第2センサ60に対応付けて記憶してもよい。また、配置情報記憶部121は、各第1センサ50や各第2センサ60の配置箇所と検知する範囲(検知範囲)が異なる場合、各第1センサ50や各第2センサ60の検知範囲を示す情報を記憶してもよい。
【0098】
誘導効果音情報記憶部122は、スピーカ10に出力させる誘導効果音に関する各種情報を記憶する。例えば、誘導効果音情報記憶部122は、スピーカ10に出力させる誘導効果音の音源(データ)を記憶する。誘導効果音情報記憶部122は、誘導効果音の音源(データ)に、その誘導効果音が人の心理にどのように作用するかを示す情報、すなわち誘導効果の内容を示す情報を対応付けて記憶する。
【0099】
また、誘導効果音情報記憶部122は、どのトイレブースでどの誘導効果音を出力するかを示す情報を記憶してもよい。例えば、誘導効果音情報記憶部122は、各スピーカ10にそのスピーカ10に出力させる誘導効果音を示す情報を対応付けて記憶する。なお、上記は一例に過ぎず、誘導効果音情報記憶部122は、必要に応じて誘導効果音に関する様々な情報を記憶する。
【0100】
図4に戻り、説明を続ける。制御部130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって、制御装置100内部に記憶されたプログラム(例えば、本開示に係る音響制御プログラム等)がRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、コントローラ(controller)であり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0101】
図4に示すように、制御部130は、取得部131と、決定部132と、変更部133と、送信部134とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、
図4に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0102】
取得部131は、各種情報を取得する。取得部131は、記憶部120から各種情報を取得する。取得部131は、他の装置から情報を取得する。取得部131は、第1センサ50やスピーカ10等から各種情報を受信する。取得部131は、第1センサ50の検知結果を第1センサ50から受信する。取得部131は、第2センサ60の検知結果を第2センサ60から受信する。
【0103】
決定部132は、決定処理を行う。決定部132は、第1センサ50の検知結果に応じて、スピーカ10による誘導効果音の出力開始を決定する。決定部132は、第1センサ50によりトイレブースTBへの人の入室が検知された場合、スピーカ10による誘導効果音の出力開始を決定する。また、決定部132は、第1センサ50の検知結果に応じて、スピーカ10による誘導効果音の出力停止を決定する。決定部132は、第1センサ50によりトイレブースTBからの人の退出が検知された場合、スピーカ10による誘導効果音の出力停止を決定する。決定部132は、決定内容を示す情報を送信部134に送信させることにより、スピーカ10に音の出力開始または出力停止を指示する。
【0104】
変更部133は、スピーカ10により出力される誘導効果音の音圧を変更する変更処理を実行する。変更部133は、第2センサ60の検知結果に応じて、スピーカ10が出力する誘導効果音の音圧を所定の音圧から上げる。変更部133は、第2センサ60によりトイレブースTBのドアが開放状態であると検知されている場合、スピーカ10が出力する誘導効果音の音圧を第1音圧に変更する。
【0105】
変更部133は、第2センサ60によりトイレブースTBのドアが閉鎖状態であると検知されている場合、スピーカ10が出力する誘導効果音の音圧を第2音圧に変更する。変更部133は、変更内容を示す情報を送信部134に送信させることにより、スピーカ10に音圧の変更を指示する。
【0106】
送信部134は、外部の情報処理装置へ情報を送信する。例えば、送信部134は、スピーカ10へ各種情報を送信する。送信部134は、決定部132による決定を示す情報をスピーカ10へ送信する。送信部134は、変更部133による変更を示す情報をスピーカ10へ送信する。送信部134は、誘導効果音の出力に関する情報をスピーカ10へ送信する。なお、送信部134は、第1センサ50または第2センサ60へ情報を送信してもよい。
【0107】
<1-7.処理の流れ>
ここから、
図6を用いて、音出力制御処理の処理フローについて説明する。
図6は、音響システムが実行する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0108】
音響システム1は、トイレ空間において大便器を備えるトイレブースに配置されるスピーカ10により人の心理に作用する誘導効果音を出力する(ステップS101)。例えば、音響システム1のスピーカ10がトイレ空間TSにおいて便器TLを備えるトイレブースTBに配置され、人の心理に作用する誘導効果音を出力する。
【0109】
音響システム1は、トイレブースと共用空間との少なくとも一方における人の動作を検知する(ステップS102)。例えば、音響システム1の第1センサ50または第2センサ60の少なくとも1つを含むセンサ部がトイレ空間TSのトイレブースTBと共用空間CSとの少なくとも一方の人の動作を検知する。
【0110】
音響システム1は、検知された人の動作に応じて、スピーカにより出力される誘導効果音の音圧を所定の音圧から上げる(ステップS103)。例えば、音響システム1の制御装置100が検知された人の動作に応じて、スピーカ10により出力される誘導効果音の音圧を所定の音圧から上げる。
【0111】
<2.第2の実施形態>
第2センサ60が検知する対象(検知対象)は、トイレブースTBのドアの開閉に限らず、様々な検知対象であってもよい。この点について以下説明する。まず、第2センサ60の検知対象が、トイレブースTBの便器TL(の便座ST)への使用者の着座(及び離座)である場合を
図7及び
図8を用いて説明する。
図7は、第2の実施形態に係る音響システムの構成例を示す図である。また、
図8は、第2の実施形態に係る音出力制御処理のタイミングチャートの一例を示す図である。なお、第2の実施形態に係る音響システム1Aにおいて、第1の実施形態に係る音響システム1と同様の点については適宜説明を省略する。
【0112】
<2-1.音響システムの構成>
音響システム1Aにおいては、
図7のシステム構成図に示すように、第2センサ60がトイレブースTBの便器TLの着座離座を検知する点で音響システム1と相違する。具体的には、音響システム1Aにおいては、第2センサ60
1は、トイレブースTB1の便器TLに対する人の着座及び離座を検知するセンサ装置である。すなわち、音響システム1Aの第2センサ60
2は、トイレブースTB2の便器TLに対する人の着座及び離座を検知する検知部として機能する。
【0113】
音響システム1Aの第2センサ60は、着座検知センサにより実現される。音響システム1Aの第2センサ60は、使用者が便器TLに着座する直前において便座STの上方に存在する人体や、便器TLに着座した使用者を検知する。音響システム1Aの第2センサ60は、赤外線投受光式の測距センサ等であってもよい。また、音響システム1Aの第2センサ60は、便器TLに着座した使用者の荷重によってON・OFFが切り替わるスイッチでもよい。なお、上記は一例に過ぎず、音響システム1Aの第2センサ60は、使用者の便器TLに対する着座及び離座が検知可能であればどのようなセンサ装置であってもよい。
【0114】
音響システム1Aの制御装置100は、第2センサ60によるトイレブースTBの便器TL(の便座ST)への使用者の着座及び離座の検知に応じて、スピーカ10により出力される誘導効果音の音圧を所定の音圧から上げる。音響システム1Aの制御装置100は、第2センサ60によりトイレブースTBの便器TLへの使用者の着座が検知された場合、スピーカ10により出力される誘導効果音の音圧を上げる。また、音響システム1Aの制御装置100は、第2センサ60によりトイレブースTBの便器TLからの使用者の離座が検知された場合、スピーカ10により出力される誘導効果音の音圧を元に戻す(下げる)。
【0115】
<2-2.制御フロー例>
ここから
図8を用いて、第2の実施形態に係る音出力制御処理の制御フローを説明する。
図8は、第2の実施形態に係る音出力制御処理のタイミングチャートの一例を示す図である。なお、
図2と同様の点については適宜説明を省略する。
【0116】
図8の例では、トイレブースTB1を対象とする制御フローを一例として説明する。すなわち、
図8の例は、スピーカ10がスピーカ10
1であり、第1センサ50が第1センサ50
1であり、第2センサ60が第2センサ60
1であるものとして以下説明する。
【0117】
図8中の波形LN11は、第1センサ50
1によるトイレブースTB1の入室検知の検知結果を示す。また、
図8中の波形LN12は、第2センサ60
1によるトイレブースTB1のドアの開閉検知の検知結果を示す。また、
図8中の波形LN13は、スピーカ10
1が出力する誘導効果音の音圧を示す。
【0118】
図8の例では、波形LN11に示すように、時間t11において、第1センサ50
1によりトイレブースTB1への人の入室が検知される。例えば、時間t11において、第1センサ50
1の検知結果が、トイレブースTB1への人の入室が検知されていないことを示す「off」から、トイレブースTB1への人の入室が検知されたことを示す「on」へ変更される。
【0119】
第1センサ50
1によるトイレブースTB1への人の入室検知に応じて、波形LN13に示すように、スピーカ10
1が誘導効果音の出力を開始する。例えば、時間t11以降において、スピーカ10
1は、
図8中の「low」で示す第1音圧で誘導効果音の出力を開始する。
【0120】
その後、波形LN12に示すように、時間t12において、第2センサ601によりトイレブースTB1の便器TLに人が着座したことが検知される。例えば、時間t12において、第2センサ601の検知結果が、トイレブースTB1の便器TLに人が着座していない状態(「離座状態」ともいう)であることを示す「off」から、トイレブースTB1の便器TLに人が着座している状態(「着座状態」ともいう)であることを示す「on」へ変更される。
【0121】
第2センサ60
1によるトイレブースTB1の便器TLが着座状態になったことの検知に応じて、波形LN13に示すように、スピーカ10
1が出力する誘導効果音の音圧を上げる。例えば、時間t12以降において、スピーカ10
1は、第1音圧から、第1音圧よりも大きい音圧であり、
図8中の「high」で示す第2音圧へ誘導効果音の出力音圧を上げる。
【0122】
その後、波形LN12に示すように、時間t13において、第2センサ601によりトイレブースTB1の便器TLが離座状態であることが検知される。例えば、時間t13において、第2センサ601の検知結果が、トイレブースTB1の便器TLが着座状態であることを示す「on」から、トイレブースTB1の便器TLが離座状態であることを示す「off」へ変更される。
【0123】
第2センサ601によるトイレブースTB1の便器TLが離座状態になったことの検知に応じて、波形LN13に示すように、スピーカ101が出力する誘導効果音の音圧を元に戻す。例えば、時間t13以降において、スピーカ101は、第2音圧から、第2音圧よりも小さい第1音圧へ誘導効果音の出力音圧を下げる。
【0124】
その後、波形LN11に示すように、時間t14において、第1センサ501によりトイレブースTB1からの人の退室が検知される。例えば、時間t14において、第1センサ501の検知結果が、トイレブースTB1への人の入室が検知されたことを示す「on」から、トイレブースTB1への人の入室が検知されていないことを示す「off」へ変更される。
【0125】
第1センサ50
1によるトイレブースTB1からの人の退室検知に応じて、波形LN13に示すように、スピーカ10
1が誘導効果音の出力を停止する。例えば、時間t14以降において、スピーカ10
1は、
図8中の「off」で示す誘導効果音を出力していない状態に変更する。
【0126】
本実施形態では、第1センサ50
1によるトイレブースTB1への人の入室検知に応じて、
図8中の「low」で示す第1音圧で誘導効果音の出力を開始し、第2センサ60
1によるトイレブースTB1の便器TLが着座状態になったことの検知に応じて、第1音圧から、
図8中の「high」で示す第2音圧へ誘導効果音の出力音圧を上げる一例を示したが、この限りではなく、第2センサ60
1によるトイレブースTB1の便器TLが着座状態になったことの検知に応じて、ノイズの音圧より誘導効果音の音圧が大きく、誘導効果音が聞こえ易くなる様な音圧(例えば、
図8中の「high」で示す第2音圧)にて誘導効果音が出力されればよく、例えば、第2センサ60
1によるトイレブースTB1の便器TLが着座状態になったことの検知に応じて、誘導効果音の出力を開始し、徐々に誘導効果音が聞こえ易くなる「high」で示す第2の音圧まで、音圧を変更するように制御してもよい。
【0127】
また、本実施形態では、
図8中の「high」で示す第2音圧へ誘導効果音の出力音圧から、第2センサ60
1によるトイレブースTB1の便器TLが離座状態になったことの検知に応じて、第2音圧から
図8中の「low」で示す第1音圧で誘導効果音の出力に戻し、第1センサ50
1によるトイレブースTB1への人の退室検知に応じて、第1音圧から
図8中の「off」で示す誘導効果音を出力していない状態に戻す(下げる)一例を示したが、この限りではなく、第2センサ601によるトイレブースTB1の便器TLが離座状態になったことの検知に応じて、誘導効果音をノイズが聞こえ難くなる様な音圧(例えば、
図8中の「high」で示す第2音圧)から、
図8中の「off」で示す出力していない状態に徐々に音圧を変更するように制御してもよい。
【0128】
<3.第3の実施形態>
上述した例では、第2センサが各トイレブースTBを検知対象とする場合を示したが、第2センサはトイレ空間TS全体を検知対象としてもよい。この点について、
図9~
図11を用いて説明する。まず、
図9を参照して、第3の実施形態に係る音響システム1B(
図11参照)において実行される情報処理の概要について説明する。
図9は、第3の実施形態に係る音出力制御処理の一例を示す図である。なお、第3の実施形態に係る音響システム1Bにおいて、第1の実施形態に係る音響システム1または第2の実施形態に係る音響システム1Aと同様の点については適宜説明を省略する。
【0129】
第3の実施形態に係る音響システム1Bにおいて、第2センサ70は、トイレ空間TSの人の存在を検知するセンサ装置である。例えば、第2センサ70は、トイレ空間TSに位置する人の数を検知する検知部として機能する。なお、
図9では、第2センサ70がトイレ空間TSの共有空間CSに配置されるイメージを示すが、トイレ空間TSに位置する人の数を検知可能であれば、第2センサ70は、どこに配置されてもよい。第2センサ70は、トイレ空間TSに位置する人の数を示す情報を検知結果として制御装置100へ送信する。
【0130】
音響システム1Bの制御装置100は、第2センサ70による検知結果に応じて、スピーカ10により出力される誘導効果音の音圧を変更する。この点について、以下説明する。
【0131】
<3-1.音声制御処理例>
図9では、使用者UがトイレブースTB1を使用する場合に、トイレブースTB1での誘導効果音の再生及び誘導効果音の音圧の変更が行われる例を説明する。なお、
図9では、トイレブースTB1が備える便器TLの便座STに使用者Uが座っている状態を図示するが、トイレブースTBの利用者による使用態様のイメージを示すためのものであり、トイレブースTB1の使用状態は使用者Uの行動により変化する。
【0132】
まず、
図9の例では、トイレブースTB1に使用者Uが入室する。例えば、使用者Uは、ドアが開放状態であるトイレブースTB1の中へ移動することにより、トイレブースTB1に入室する。これにより、第1センサ50
1は、トイレブースTB1への使用者Uの入室を検知する。そして、第1センサ50
1は、トイレブースTB1への使用者Uの入室を示す情報を制御装置100に送信する(ステップS21)。なお、ステップS21の時点において、トイレ空間TSには、使用者Uのみが位置するものとする。このように使用者Uのみがトイレ空間TSに入場した状態の場合、第2センサ70は、トイレ空間TSに位置する人の数が1人であると検知する。第2センサ70は、トイレ空間TSに位置する人の数が1人であることを示す情報を制御装置100に送信してもよい。
【0133】
第1センサ501からトイレブースTB1への使用者Uの入室を示す情報を受信した制御装置100は、トイレブースTB1のスピーカ101へ誘導効果音の再生を指示する(ステップS22)。制御装置100は、トイレブースTB1のスピーカ101へ誘導効果音の再生を指示する情報を送信する。
【0134】
制御装置100から誘導効果音の再生の指示を受けたスピーカ101は、誘導効果音の再生を開始する(ステップS23)。これにより、トイレブースTB1内に位置する使用者Uは再生されている誘導効果音を認識する(聞く)。
【0135】
その後、
図9の例では、トイレ空間TSに使用者U以外の人が入場する。例えば、使用者U以外の人(「使用者X」とする)は、トイレ空間TSに入場し共有空間CSの洗面所に滞在(存在)する。これにより、第2センサ70は、トイレ空間TSに位置する人の数が複数(2人以上)であると検知する。なお、使用者XがトイレブースTB1以外のトイレ空間TSのトイレブースTBであるトイレブースTB2に入室した場合も、第2センサ70は、トイレ空間TSに位置する人の数が複数であると検知する。すなわち、第2センサ70は、トイレ空間TSに使用者U以外の他人が存在していると検知する。そして、第2センサ70は、トイレ空間TSに位置する人の数が複数であることを示す情報を制御装置100に送信する(ステップS24)。
【0136】
第2センサ70からトイレ空間TSに位置する人の数が複数であることを示す情報を受信した制御装置100は、トイレブースTB1のスピーカ101により出力される誘導効果音の音圧を上げるようにスピーカ101へ指示する(ステップS25)。制御装置100は、トイレブースTB1のスピーカ101へ誘導効果音を出力する音圧を上げる(大きくする)ことを指示する情報を送信する。
【0137】
制御装置100から誘導効果音の音圧を上げる指示を受けたスピーカ10
1は、誘導効果音の音圧を上げる(ステップS26)。これにより、使用者U以外の人(
図9では使用者X)が音(ノイズ)が発生している環境においても、使用者Uは再生されている誘導効果音を認識する(聞く)ことができる。なお、トイレ空間TSに位置する人が1人に戻った際、すなわちトイレ空間TSに位置する人が使用者Uのみに戻った際、制御装置100は、スピーカ10
1に誘導効果音を出力する音圧を元に戻す、すなわち音圧を上げる前の音圧に戻すように指示する。
【0138】
このように、音響システム1Bは、トイレ空間TSに他の使用者である使用者Xがいる間は、使用者UがいるトイレブースTBのスピーカ101が誘導効果音を出力する音圧を上げることで、使用者Xによる音(ノイズ)が発生しても、使用者Uに誘導効果音を認識させる(聞かせる)ことができる。すなわち、音響システム1Bは、トイレ空間TSで他の使用者によるノイズが発生している状況において、トイレブースTBの使用者に対する誘導効果音の効果の低減を抑制することができる。したがって、音響システム1Bは、トイレを利用する人に対する誘導効果音の効果の低減を抑制することができる。
【0139】
<3-2.制御フロー例>
図10を用いて、制御フロー例について説明する。
図10は、第3の実施形態に係る音出力制御処理のタイミングチャートの一例を示す図である。なお、
図9と同様の点については適宜説明を省略する。
【0140】
図10の例では、トイレブースTB1を対象とする制御フローを一例として説明する。すなわち、
図10の例は、スピーカ10がスピーカ10
1であり、第1センサ50が第1センサ50
1であるものとして以下説明する。
【0141】
図10中の波形LN21は、第1センサ50
1によるトイレブースTB1の入室検知の検知結果を示す。また、
図10中の波形LN22は、第2センサ70によるトイレ空間TSに位置する人の数の検知結果を示す。また、
図10中の波形LN23は、スピーカ10
1が出力する誘導効果音の音圧を示す。
【0142】
図10の例では、波形LN21に示すように、時間t21において、第1センサ50
1によりトイレブースTB1への人の入室が検知される。例えば、時間t21において、第1センサ50
1の検知結果が、トイレブースTB1への人の入室が検知されていないことを示す「off」から、トイレブースTB1への人の入室が検知されたことを示す「on」へ変更される。
【0143】
第1センサ50
1によるトイレブースTB1への人の入室検知に応じて、波形LN23に示すように、スピーカ10
1が誘導効果音の出力を開始する。例えば、時間t21以降において、スピーカ10
1は、
図10中の「low」で示す第1音圧で誘導効果音の出力を開始する。
【0144】
その後、波形LN22に示すように、時間t22において、第2センサ70によりトイレ空間TSに位置する人の数が複数(2人以上)であると検知される。例えば、時間t22において、第2センサ70の検知結果が、トイレ空間TSに位置する人の数が1人以下であることを示す「off」から、トイレ空間TSに位置する人の数が2人以上であることを示す「on」へ変更される。
【0145】
第2センサ70によるトイレ空間TSに位置する人の数が2人以上になったことの検知に応じて、波形LN23に示すように、スピーカ10
1が出力する誘導効果音の音圧を上げる。例えば、時間t22以降において、スピーカ10
1は、第1音圧から、第1音圧よりも大きい音圧であり、
図10中の「high」で示す第2音圧へ誘導効果音の出力音圧を上げる。
【0146】
その後、波形LN22に示すように、時間t23において、第2センサ70によりトイレ空間TSに位置する人の数が1以下になったことが検知される。例えば、時間t23において、第2センサ70の検知結果が、トイレ空間TSに位置する人の数が2人以上であることを示す「on」から、トイレ空間TSに位置する人の数が1以下であることを示す「off」へ変更される。
【0147】
第2センサ70によるトイレ空間TSに位置する人の数が1以下になったことの検知に応じて、波形LN23に示すように、スピーカ101が出力する誘導効果音の音圧を元に戻す。例えば、時間t23以降において、スピーカ101は、第2音圧から、第2音圧よりも小さい第1音圧へ誘導効果音の出力音圧を下げる。
【0148】
その後、波形LN21に示すように、時間t24において、第1センサ501によりトイレブースTB1からの人の退室が検知される。例えば、時間t24において、第1センサ501の検知結果が、トイレブースTB1への人の入室が検知されたことを示す「on」から、トイレブースTB1への人の入室が検知されていないことを示す「off」へ変更される。
【0149】
第1センサ50
1によるトイレブースTB1からの人の退室検知に応じて、波形LN23に示すように、スピーカ10
1が誘導効果音の出力を停止する。例えば、時間t24以降において、スピーカ10
1は、
図10中の「off」で示す誘導効果音を出力していない状態に変更する。
【0150】
<3-3.音響システムの構成>
次に、音響システム1Bの構成について
図11を参照して説明する。
図11は、第3の実施形態に係る音響システムの構成例を示す図である。具体的には、
図11は、音響システム1Bの構成を示す。音響システム1Bは、複数のスピーカ10と、複数の第1センサ50と、第2センサ70と、制御装置100とが含まれる。音響システム1Bには、複数の制御装置100や複数の第2センサ70が含まれてもよい。
【0151】
第2センサ70は、トイレ空間TSに位置する人の数を検知する。第2センサ70は、種々のセンサにより実現されてもよい、例えば、第2センサ70は、人体検知センサ、行動検知センサ、存在検知センサ等の各種のセンサであってもよい。第2センサ70は、トイレ空間TSを撮像する画像センサ(行動検知センサ)であってもよい。例えば、第2センサ70は、トイレ空間TSの入り口を撮像し、トイレ空間TSへの入退場の人の数をカウントすることにより、トイレ空間TSに位置する人の数を検知してもよい。なお、上記は一例であり、第2センサ70は、トイレ空間TSに位置する人の数を検知可能であればどのような手段により実現されてもよい。例えば、第2センサ70は、トイレ空間TSに位置する人の数の変化を検知した場合、その変化した数や変化を検知した日時などを示す検知情報を制御装置100へ送信する。
【0152】
第1センサ50及び第2センサ70は、トイレ空間TSのトイレブースTBと共用空間CSとの少なくとも一方の人の動作を検知するセンサ部として機能する。
【0153】
音響システム1Bの制御装置100は、第2センサ70によるトイレ空間TSに位置する人の数の検知に応じて、スピーカ10により出力される誘導効果音の音圧を所定の音圧から上げる。音響システム1Bの制御装置100は、第2センサ70によりトイレ空間TSに位置する人の数が複数であると検知された場合、スピーカ10により出力される誘導効果音の音圧を上げる。また、音響システム1Bの制御装置100は、第2センサ70によりトイレ空間TSに位置する人の数が1人以下であると検知された場合、スピーカ10により出力される誘導効果音の音圧を元に戻す(下げる)。
【0154】
また、音響システム1Bの制御装置100は、配置情報記憶部121に示す情報に代えて、
図12中の配置情報記憶部121Aに示す情報を記憶する。第3の実施形態に係る記憶部120は、配置情報記憶部121Aと、誘導効果音情報記憶部122とを有する。
【0155】
第3の実施形態に係る配置情報記憶部は、音響システム1Bのスピーカ(音響装置)やセンサ部(センサ装置)等の配置に関する各種情報を記憶する。例えば、配置情報記憶部は、スピーカ10、第1センサ50、及び第2センサ70の配置に関する情報を記憶する。
図12は、第3の実施形態に係る配置情報記憶部の一例を示す図である。
図12に示す配置情報記憶部には、「配置箇所」、「スピーカ」、「センサ」といった項目が含まれる。なお、
図12に示す配置情報記憶部121Aにおいて、
図5に示す配置情報記憶部121と同様の点については適宜説明を省略する。
【0156】
「配置箇所」は、各配置箇所を識別するための識別情報を示す。
図12では、説明の為に「配置箇所」に「TB1」、「TB2」、「CS」といったトイレ空間を構成する各領域(範囲)に付した符号を図示するが、「配置箇所」には、配置箇所を特定可能な情報(例えば配置箇所ID等)が記憶される。「スピーカ」、「センサ」の項目中の「-」(ハイフン)は、対応する装置がその配置箇所に対応して配置されないことを示す。
【0157】
「第2センサ」は、対応する配置箇所に配置される第2センサを識別するための識別情報を示す。
図12では、説明の為に「第2センサ」に「70」といった各第2センサに付した符号を図示するが、「第2センサ」には、第2センサを特定可能な情報(例えばセンサID等)が記憶される。
【0158】
図12の例では、「TB1」により識別される配置箇所であるトイレブースTB1には、「10
1」により識別される音響装置であるスピーカ10
1、「50
1」により識別されるセンサ装置である第1センサ50
1が配置されることを示す。第2センサが「-」であり、トイレブースTB1には第2センサ70が対応して配置されていないことを示す。また、「TB2」により識別される配置箇所であるトイレブースTB2には、「10
2」により識別される音響装置であるスピーカ10
2、「50
2」により識別されるセンサ装置である第1センサ50
2が配置されることを示す。また、第2センサが「-」であり、トイレブースTB2には第2センサ70が対応して配置されていないことを示す。このように、
図12の例では、各トイレブースTBには第2センサ70が対応して配置されないことを示す。
【0159】
また、「CS」により識別される配置箇所である共有空間CSには、「70」により識別されるセンサ装置である第2センサ70が配置されることを示す。また、スピーカ及び第1センサが「-」であり、共有空間CSにはスピーカ10及び第1センサ50が対応して配置されないことを示す。
【0160】
なお、配置情報記憶部121Aは、上記に限らず、目的に応じて種々の情報を記憶してもよい。例えば、配置情報記憶部121Aは、共有空間CSに配置される第2センサ70に、その検知範囲がトイレ空間TSであることを示す情報を対応付けて記憶する。
【0161】
<4.第4の実施形態>
上述した例では、第2センサが検知した情報を基に誘導効果音の音圧を変更する例を示したが、第2センサ以外の情報を用いて誘導効果音の音圧を変更してもよい。この点について、
図13~
図15を用いて説明する。まず、
図13を参照して、第4の実施形態に係る音響システム1C(
図15参照)において実行される情報処理の概要について説明する。
図13は、第4の実施形態に係る音出力制御処理の一例を示す図である。なお、第4の実施形態に係る音響システム1Cにおいて、第1の実施形態に係る音響システム1、第2の実施形態に係る音響システム1A、または第3の実施形態に係る音響システム1Bと同様の点については適宜説明を省略する。
【0162】
第4の実施形態に係る音響システム1Cは、第2センサを有さない点で他の音響システム1、1A、1Bと相違する。音響システム1Cは、第2センサの検知結果に代えて、例えばトイレ空間TSに配置された機器が発する音(ノイズ)に応じて、誘導効果音の音圧を変更する。この点について、以下説明する。トイレ空間TSに配置され音(ノイズ)を発生させる機器としては、例えば小便器洗浄を行う装置、温風乾燥を行う装置等がある。なお、以下では、トイレ空間TSに配置され音(ノイズ)を発生させる機器を「音発生機器MC」と総称する。
【0163】
<4-1.音声制御処理例>
図13では、使用者UがトイレブースTB1を使用する場合に、トイレブースTB1での誘導効果音の再生及び誘導効果音の音圧の変更が行われる例を説明する。なお、
図13では、トイレブースTB1が備える便器TLの便座STに使用者Uが座っている状態を図示するが、トイレブースTBの利用者による使用態様のイメージを示すためのものであり、トイレブースTB1の使用状態は使用者Uの行動により変化する。
【0164】
まず、
図13の例では、トイレブースTB1に使用者Uが入室する。例えば、使用者Uは、ドアが開放状態であるトイレブースTB1の中へ移動することにより、トイレブースTB1に入室する。これにより、第1センサ50
1は、トイレブースTB1への使用者Uの入室を検知する。そして、第1センサ50
1は、トイレブースTB1への使用者Uの入室を示す情報を制御装置100に送信する(ステップS31)。なお、ステップS31の時点において、音発生機器MCは動作していない、すなわち音発生機器MCが音(ノイズ)を発生させていないものとする。例えば、制御装置100は、音発生機器MCは動作していないことを示す情報を取得する。例えば、制御装置100は、音発生機器MCと通信し、音発生機器MCの動作状態を示す情報を音発生機器MCから受信してもよいし、音発生機器MCの動作状態を監視する装置から音発生機器MCの動作状態を示す情報を取得してもよい。
【0165】
第1センサ501からトイレブースTB1への使用者Uの入室を示す情報を受信した制御装置100は、トイレブースTB1のスピーカ101へ誘導効果音の再生を指示する(ステップS32)。制御装置100は、トイレブースTB1のスピーカ101へ誘導効果音の再生を指示する情報を送信する。
【0166】
制御装置100から誘導効果音の再生の指示を受けたスピーカ101は、誘導効果音の再生を開始する(ステップS33)。これにより、トイレブースTB1内に位置する使用者Uは再生されている誘導効果音を認識する(聞く)。
【0167】
その後、
図13の例では、音発生機器MCが動作を開始する。例えば、小便器洗浄を行う装置である音発生機器MCが動作を開始し、音(ノイズ)を発生させる。制御装置100は、音発生機器MCは動作していることを示す情報(動作信号)を取得する(ステップS34)。
【0168】
音発生機器MCは動作していることを示す情報(動作信号)を取得した制御装置100は、トイレブースTB1のスピーカ101により出力される誘導効果音の音圧を上げるようにスピーカ101へ指示する(ステップS35)。制御装置100は、トイレブースTB1のスピーカ101へ誘導効果音を出力する音圧を上げる(大きくする)ことを指示する情報を送信する。
【0169】
制御装置100から誘導効果音の音圧を上げる指示を受けたスピーカ10
1は、誘導効果音の音圧を上げる(ステップS36)。これにより、トイレ空間TSに配置され音(ノイズ)を発生させる機器(
図13では音発生機器MC)が音(ノイズ)が発生している環境においても、使用者Uは再生されている誘導効果音を認識する(聞く)ことができる。なお、音発生機器MCが動作を停止した際、制御装置100は、スピーカ10
1に誘導効果音を出力する音圧を元に戻す、すなわち音圧を上げる前の音圧に戻すように指示する。
【0170】
このように、音響システム1Cは、音発生機器MCが動作している間は、使用者UがいるトイレブースTBのスピーカ101が誘導効果音を出力する音圧を上げることで、他の機器(音発生機器MC)による音(ノイズ)が発生しても、使用者Uに誘導効果音を認識させる(聞かせる)ことができる。すなわち、音響システム1Cは、音発生機器MCによるノイズが発生している状況において、トイレブースTBの使用者に対する誘導効果音の効果の低減を抑制することができる。したがって、音響システム1Cは、トイレを利用する人に対する誘導効果音の効果の低減を抑制することができる。
【0171】
<4-2.制御フロー例>
図14を用いて、制御フロー例について説明する。
図14は、第4の実施形態に係る音出力制御処理のタイミングチャートの一例を示す図である。なお、
図13と同様の点については適宜説明を省略する。
【0172】
図14の例では、トイレブースTB1を対象とする制御フローを一例として説明する。すなわち、
図14の例は、スピーカ10がスピーカ10
1であり、第1センサ50が第1センサ50
1であるものとして以下説明する。
【0173】
図14中の波形LN31は、第1センサ50
1によるトイレブースTB1の入室検知の検知結果を示す。また、
図14中の波形LN32は、制御装置100による機器(例えば音発生機器MC)の動作信号の取得有無を示す。また、
図14中の波形LN33は、スピーカ10
1が出力する誘導効果音の音圧を示す。
【0174】
図14の例では、波形LN31に示すように、時間t31において、第1センサ50
1によりトイレブースTB1への人の入室が検知される。例えば、時間t31において、第1センサ50
1の検知結果が、トイレブースTB1への人の入室が検知されていないことを示す「off」から、トイレブースTB1への人の入室が検知されたことを示す「on」へ変更される。
【0175】
第1センサ50
1によるトイレブースTB1への人の入室検知に応じて、波形LN33に示すように、スピーカ10
1が誘導効果音の出力を開始する。例えば、時間t31以降において、スピーカ10
1は、
図14中の「low」で示す第1音圧で誘導効果音の出力を開始する。
【0176】
その後、波形LN32に示すように、時間t32において、制御装置100が機器の動作信号を取得する。例えば、時間t32において、制御装置100が機器の動作信号を取得していないことを示す「off」から、制御装置100が機器の動作信号を取得していることを示す「on」へ変更される。
【0177】
制御装置100による機器の動作信号の取得に応じて、波形LN33に示すように、スピーカ10
1が出力する誘導効果音の音圧を上げる。例えば、時間t32以降において、スピーカ10
1は、第1音圧から、第1音圧よりも大きい音圧であり、
図14中の「high」で示す第2音圧へ誘導効果音の出力音圧を上げる。
【0178】
その後、波形LN32に示すように、時間t33において、制御装置100が機器の動作信号を取得しなくなる。例えば、時間t33において、制御装置100が機器の動作信号を取得していることを示す「on」から、制御装置100が機器の動作信号を取得していないことを示す「off」へ変更される。
【0179】
制御装置100により機器の動作信号が取得されなくなったことに応じて、波形LN33に示すように、スピーカ101が出力する誘導効果音の音圧を元に戻す。例えば、時間t33以降において、スピーカ101は、第2音圧から、第2音圧よりも小さい第1音圧へ誘導効果音の出力音圧を下げる。
【0180】
その後、波形LN31に示すように、時間t34において、第1センサ501によりトイレブースTB1からの人の退室が検知される。例えば、時間t34において、第1センサ501の検知結果が、トイレブースTB1への人の入室が検知されたことを示す「on」から、トイレブースTB1への人の入室が検知されていないことを示す「off」へ変更される。
【0181】
第1センサ50
1によるトイレブースTB1からの人の退室検知に応じて、波形LN33に示すように、スピーカ10
1が誘導効果音の出力を停止する。例えば、時間t34以降において、スピーカ10
1は、
図14中の「off」で示す誘導効果音を出力していない状態に変更する。
【0182】
<4-3.音響システムの構成>
次に、音響システム1Cの構成について
図15を参照して説明する。
図15は、第4の実施形態に係る音響システムの構成例を示す図である。具体的には、
図15は、音響システム1Cの構成を示す。音響システム1Cは、複数のスピーカ10と、複数の第1センサ50と、制御装置100とが含まれる。音響システム1Cには、複数の制御装置100が含まれてもよい。また、音響システム1Cには、例えば音発生機器MC等のノイズを発生する機器が含まれてもよい。
【0183】
音響システム1Cの制御装置100は、音(ノイズ)を発生する機器の動作に応じて、スピーカ10により出力される誘導効果音の音圧を所定の音圧から上げる。音響システム1Cの制御装置100は、音(ノイズ)を発生する機器が動作している場合、スピーカ10により出力される誘導効果音の音圧を上げる。また、音響システム1Cの制御装置100は、音(ノイズ)を発生する機器が動作していない場合、スピーカ10により出力される誘導効果音の音圧を元に戻す(下げる)。
【0184】
また、第4の実施形態に係る配置情報記憶部121には、第2センサの情報が含まれなくてもよい。また、例えば、第4の実施形態に係る記憶部120は、ノイズを発生する機器に関する情報(例えば機器の種別や配置箇所等)が記憶されてもよい。
【0185】
<5.第5の実施形態>
上述した例では、スピーカ10がトイレブースTBに配置される場合を示したが、スピーカは共有空間CSに配置されてもよい。この点について、
図16及び
図17を用いて説明する。まず、
図16を参照して、第5の実施形態に係る音響システム1D(
図17参照)において実行される情報処理の概要について説明する。
図16は、第5の実施形態に係る音出力制御処理の一例を示す図である。なお、第5の実施形態に係る音響システム1Dにおいて、第1の実施形態に係る音響システム1、第2の実施形態に係る音響システム1A、第3の実施形態に係る音響システム1B、または第4の実施形態に係る音響システム1Cと同様の点については適宜説明を省略する。
【0186】
第5の実施形態に係る音響システム1Dにおいて、スピーカ10
11は、共有空間CSに配置される。このように、音響システム1Dでは、他の音響システム1、1A、1B、1Cと異なり、スピーカ10がトイレブースTBではなく、共有空間CSに配置される。なお、
図16の例では、トイレブースTBには、スピーカ10やセンサ等は配置されない例を示すが、トイレブースTBにもスピーカ10が配置されてもよい。また、共有空間CSに配置されるスピーカ10
11の配置位置は、特に限定されず、共有空間CS内に配置されていればよく、共有空間CSの天井、壁面、床等に設置してもよい。
【0187】
また、第5の実施形態に係る音響システム1Dにおいて、第2センサ70は、第3の実施形態に係る音響システム1Bの第2センサ70と同様にトイレ空間TSに存在する人を検知するセンサ装置である。音響システム1Dの第2センサ70は、トイレ空間TSに存在する人の数を示す情報を検知結果として出力する。例えば、音響システム1Dの第2センサ70は、トイレ空間TSに存在する人が0人(誰もいない)、1人、または2人以上のいずれであるかを示す情報を検知結果として出力してもよい。
【0188】
音響システム1Dの制御装置100は、第2センサ70による検知結果に応じて、スピーカ10による誘導効果音の出力の開始または停止をしたり、スピーカ10により出力される誘導効果音の音圧を変更したりする。この点について、以下説明する。
【0189】
<5-1.音声制御処理例>
図16では、トイレ空間TSに存在する人の数に応じて、誘導効果音の再生及び誘導効果音の音圧の変更が行われる例を説明する。
【0190】
例えば、
図16の例では、トイレ空間TSに一人の人(「使用者Y」とする)が入場する。なお、使用者Yの入場前にトイレ空間TSに存在する人はいないものとする。そのため、トイレ空間TSへの使用者Yの入場前の時点では、第2センサ70は、トイレ空間TSに位置する人の数が0人である、すなわちトイレ空間TSには誰もいないと検知する。この場合、第2センサ70は、トイレ空間TSに位置する人の数が0人であることを示す情報を制御装置100に送信する。
【0191】
そして、トイレ空間TSへの使用者Yの入場に応じて、第2センサ70は、トイレ空間TSに位置する人の数が1人であると検知する。そして、第2センサ70は、トイレ空間TSに位置する人の数が1人であることを示す情報を制御装置100に送信する(ステップS41)。
【0192】
第2センサ70からトイレ空間TSに位置する人の数が1人であることを示す情報を受信した制御装置100は、スピーカ1011へ誘導効果音の再生を指示する(ステップS42)。制御装置100は、スピーカ1011へ誘導効果音の再生を指示する情報を送信する。
【0193】
制御装置100から誘導効果音の再生の指示を受けたスピーカ1011は、誘導効果音の再生を開始する。これにより、トイレ空間TSに位置する使用者Yは再生されている誘導効果音を認識する(聞く)。
【0194】
その後、
図16の例では、トイレ空間TSに使用者Y以外の人(「使用者Z」とする)が入場する。例えば、使用者Zは、トイレ空間TSに入場し共有空間CSの洗面所に存在する。これにより、第2センサ70は、トイレ空間TSに位置する人の数が複数(2人以上)であると検知する。すなわち、第2センサ70は、トイレ空間TSに使用者Y以外の他人が存在していると検知する。そして、第2センサ70は、トイレ空間TSに位置する人の数が複数であることを示す情報を制御装置100に送信する(ステップS43)。
【0195】
第2センサ70からトイレ空間TSに位置する人の数が複数であることを示す情報を受信した制御装置100は、スピーカ1011により出力される誘導効果音の音圧を上げるようにスピーカ1011へ指示する(ステップS44)。制御装置100は、スピーカ1011へ誘導効果音を出力する音圧を上げる(大きくする)ことを指示する情報を送信する。
【0196】
制御装置100から誘導効果音の音圧を上げる指示を受けたスピーカ10
11は、誘導効果音の音圧を上げる。これにより、一の使用者(
図16では使用者Yまたは使用者Z)以外の他の使用者(
図16では使用者Yにとっては使用者Zであり、使用者Zとっては使用者Y)が音(ノイズ)が発生している環境においても、一の使用者は再生されている誘導効果音を認識する(聞く)ことができる。なお、トイレ空間TSに位置する人が1人に戻った際、すなわちトイレ空間TSに位置する人が一人に戻った際、制御装置100は、スピーカ10
11に誘導効果音を出力する音圧を元に戻す、すなわち音圧を上げる前の音圧に戻すように指示する。
【0197】
このように、音響システム1Dは、トイレ空間TSに使用者が複数存在している間は、スピーカ1011が誘導効果音を出力する音圧を上げることで、一の使用者以外の他の使用者による音(ノイズ)が発生しても、一の使用者に誘導効果音を認識させる(聞かせる)ことができる。すなわち、音響システム1Dは、トイレ空間TSで他の使用者によるノイズが発生している状況において、一の使用者に対する誘導効果音の効果の低減を抑制することができる。したがって、音響システム1Dは、トイレを利用する人に対する誘導効果音の効果の低減を抑制することができる。
【0198】
<5-2.音響システムの構成>
次に、音響システム1Dの構成について
図17を参照して説明する。
図17は、第5の実施形態に係る音響システムの構成例を示す図である。具体的には、
図17は、音響システム1Dの構成を示す。音響システム1Dは、スピーカ10
11と、第2センサ70と、制御装置100とが含まれる。音響システム1Dには、複数のスピーカ10や複数の第2センサ70や複数の制御装置100が含まれてもよい。
【0199】
音響システム1Dの制御装置100は、第2センサ70によるトイレ空間TSに位置する人の数の検知に応じて、スピーカ10により出力される誘導効果音の音圧を所定の音圧から上げる。音響システム1Dの制御装置100は、第2センサ70によりトイレ空間TSに位置する人の数が複数であると検知された場合、スピーカ10により出力される誘導効果音の音圧を上げる。また、音響システム1Dの制御装置100は、第2センサ70によりトイレ空間TSに位置する人の数が1人であると検知された場合、スピーカ10により出力される誘導効果音の音圧を元に戻す(下げる)。
【0200】
音響システム1Dの制御装置100は、音響システム1Cの制御装置100と同様に、音(ノイズ)を発生する機器の動作に応じて、スピーカ10により出力される誘導効果音の音圧を変更してもよい。この場合、音響システム1Dの制御装置100は、トイレ空間TSに位置する人の数が一人である際に、トイレ空間TSに配置される機器の動作信号を受け取った場合、スピーカ10が出力する誘導効果音の音圧を上げる。
【0201】
第5の実施形態に係る配置情報記憶部121は、共有空間CSに配置されたスピーカ1011や第2センサ70に関する情報を記憶する。なお、第5の実施形態に係る配置情報記憶部121には、第1センサの情報が含まれなくてもよい。
【0202】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0203】
1 音響システム
100 制御装置
110 通信部
120 記憶部
121 配置情報記憶部
122 誘導効果音情報記憶部
130 制御部
131 取得部
132 決定部
133 変更部
134 送信部
10 スピーカ(音響装置)
50 第1センサ(センサ装置)
60 第2センサ(センサ装置)
TS トイレ空間
CS 共有空間
TB トイレブース
TL 便器
ST 便座