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7643090画像形成装置、画像形成システム、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20250304BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20250304BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20250304BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20250304BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20250304BHJP
【FI】
G06F3/12 338
G06F3/12 303
G06F3/12 367
G06F3/12 385
B41J29/00 Z
B41J29/46 Z
G03G21/00 390
G03G21/00 376
H04N1/00 838
H04N1/00 912
H04N1/00 127Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021032563
(22)【出願日】2021-03-02
(65)【公開番号】P2022133715
(43)【公開日】2022-09-14
【審査請求日】2024-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東城 昂広
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-128555(JP,A)
【文献】特開2013-240929(JP,A)
【文献】特開2019-142172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
B41J 29/00
B41J 29/46
G03G 21/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを有し、
前記プロセッサは、
ネットワークに接続された複数の画像形成装置のうちの一の画像形成装置に登録されたパスワードを取得し、
印刷ジョブに設定された当該印刷ジョブを出力するために必要なパスワードと、前記登録されたパスワードとが一致する場合に、当該印刷ジョブの出力を可能とし、
前記印刷ジョブに設定されたパスワードと前記登録されたパスワードとの照合は、当該印刷ジョブを受信後、ユーザにより入力部を用いて前記印刷ジョブの一覧を表示部に表示させる指示を受け付けた際に行われる
画像形成装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記表示部に、前記印刷ジョブの一覧と、当該印刷ジョブ毎の前記照合の結果とを表示する請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記印刷ジョブに設定されたパスワードと前記登録されたパスワードとが一致しない場合は、パスワードが一致しない旨を報知する請求項1又は2に記載に画像形成装置。
【請求項4】
プロセッサを有し、
前記プロセッサは、
ネットワークに接続された複数の画像形成装置のうちの一の画像形成装置の記憶部に、ユーザにより入力されたパスワードを記憶し、
前記一の画像形成装置に登録されたパスワードを取得し、
印刷ジョブに設定された当該印刷ジョブを出力するために必要なパスワードと、前記登録されたパスワードとが一致する場合に、当該印刷ジョブの出力を可能とし、
前記印刷ジョブに設定されたパスワードと前記登録されたパスワードとの照合は、当該印刷ジョブを受信後、ユーザにより入力部を用いて前記印刷ジョブの一覧を表示部に表示させる指示を受け付けた際に行われる
画像形成システム。
【請求項5】
コンピュータを、請求項1~3のいずれか1項に記載の画像形成装置として機能させるための画像形成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パスワード保護された電子文書を印刷可能な印刷装置であって、 パスワードの入力手段として、事前にすくなくともひとつのパスワードを印刷装置内にプリセットする手段と、 パスワード保護された電子文書を受信した場合に、事前に印刷装置内にプリセットされたパスワードとの照合を行う手段と、 上記照合の結果、マッチするパスワードが存在する場合には、印刷出力を行う手段とを備えることを特徴とする、印刷装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、ネットワークに接続されたユーザ端末及び複数の画像形成装置を具備し、前記ユーザ端末が、前記複数の画像形成装置のうちの、親機として設定された画像形成装置の識別情報に基づいて印刷ジョブを前記親機に送信し、前記親機が、前記ユーザ端末からの前記印刷ジョブを保存し、前記複数の画像形成装置のうちの、子機として設定された画像形成装置が、前記親機に保存された前記印刷ジョブを実行するプリントサービスを利用可能な印刷システムに適用される、前記子機として設定された画像形成装置であって、前記親機の前記識別情報を記憶する識別情報設定記憶部と、前記プリントサービスの利用時に、前記識別情報設定記憶部に記憶された前記識別情報を前記ユーザ端末に送信する識別情報送信制御部と、を具備することを特徴とする画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-083439号公報
【文献】特開2018-18318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パスワードが設定されている印刷ジョブを出力させるために、予めパスワードを記憶しておくことで、出力時のパスワードの入力を省略することや、パスワードを解除してから出力指示することを省略することが可能な画像形成装置が提案されている。
【0006】
しかし、ネットワークに複数の画像形成装置が接続されている場合は、パスワードが登録されている画像形成装置以外で出力する場合に、パスワードの入力や解除が必要となり、ユーザの手間がかかる。
【0007】
本発明は、複数の画像形成装置が予め定められた関係にある場合に、パスワードを予め登録していない画像形成装置においても、ユーザによるパスワード入力を必要とせずにパスワードが設定されている印刷ジョブを出力できる画像形成装置、画像形成システム、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様に係る画像形成装置は、プロセッサを有し、前記プロセッサは、ネットワークに接続された複数の画像形成装置のうちの一の画像形成装置に登録されたパスワードを取得し、印刷ジョブに設定された当該印刷ジョブを出力するために必要なパスワードと、前記登録されたパスワードとが一致する場合に、当該印刷ジョブの出力を可能とする。
【0009】
第2態様に係る画像形成装置は、前記印刷ジョブに設定されたパスワードと前記登録されたパスワードとの照合は、当該印刷ジョブを受信後、ユーザにより入力部を用いて印刷指示を受け付けた際に行われる。
【0010】
第3態様に係る画像形成装置は、前記印刷ジョブに設定されたパスワードと前記登録されたパスワードとの照合は、当該印刷ジョブを受信後、ユーザにより入力部を用いて前記印刷ジョブの一覧を表示部に表示させる指示を受け付けた際に行われる。
【0011】
第4態様に係る画像形成装置は、前記プロセッサは、前記表示部に、前記印刷ジョブの一覧と、当該印刷ジョブ毎の前記照合の結果とを表示する。
【0012】
第5態様に係る画像形成装置は、前記プロセッサは、前記印刷ジョブに設定されたパスワードと前記登録されたパスワードとが一致しない場合は、パスワードが一致しない旨を報知する。
【0013】
第6態様に係る画像形成システムは、プロセッサを有し、前記プロセッサは、ネットワークに接続された複数の画像形成装置のうちの一の画像形成装置の記憶部に、ユーザにより入力されたパスワードを記憶し、前記一の画像形成装置に登録されたパスワードを取得し、印刷ジョブに設定された当該印刷ジョブを出力するために必要なパスワードと、前記登録されたパスワードとが一致する場合に、当該印刷ジョブの出力を可能とする。
【0014】
第7態様に係る画像形成プログラムは、コンピュータを、第1態様~第5態様のいずれか1つに記載の画像形成装置として機能させる。
【発明の効果】
【0015】
第1態様によれば、複数の画像形成装置が予め定められた関係にある場合に、パスワードを予め登録していない画像形成装置においても、ユーザによるパスワード入力を必要とせずにパスワードが設定されている印刷ジョブを出力できる、という効果を有する。
【0016】
第2態様によれば、ユーザによる印刷指示を受け付けた印刷ジョブに対してパスワードの照合をすることで、印刷指示を受け付けていない印刷ジョブに対してパスワードの照合をする必要がなく、パスワードの照合の処理負担を軽減させることができる、という効果を有する。
【0017】
第3態様によれば、ユーザによる印刷指示を受け付ける前の印刷ジョブの一覧を表示させる際に、パスワードの照合を済ませておくことができる、という効果を有する。
【0018】
第4態様によれば、印刷ジョブの一覧にパスワードの照合の結果を表示することで、ユーザによる印刷指示をする前に、印刷ジョブを印刷できるかできないかをユーザに報知することができる、という効果を有する。
【0019】
第5態様によれば、パスワードが一致しないことをユーザに報知することができる、という効果を有する。
【0020】
第6態様によれば、複数の画像形成装置が予め定められた関係にある場合に、パスワードを記憶していなくても、他の画像形成装置からパスワードを取得することで、ユーザによるパスワード入力を必要とせずにパスワードが設定されている印刷ジョブを出力できる、という効果を有する。
【0021】
第7態様によれば、複数の画像形成装置が予め定められた関係にある場合に、パスワードを記憶していなくても、他の画像形成装置からパスワードを取得することで、ユーザによるパスワード入力を必要とせずにパスワードが設定されている印刷ジョブを出力できる、画像形成プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る画像形成システムの概略構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略ブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る画像形成システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
図4】本発明の実施形態に係る画像形成装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図5図4に続く画像形成装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(実施形態)
以下、本開示の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一又は等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0024】
図1を用いて、本実施形態に係る画像形成システム10の一例を説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成システム10の概略構成の一例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成システム10は、複数の画像形成装置20、30、40がネットワークNを介して接続されている。このネットワークNには、例えば、LAN(=Local Area Network)、WAN(=Wide Area Network)、インターネット等が適用される。また、画像形成システム10には、PC(Personal Computer)50がネットワークNを介して接続されている。ここで、図1では、PC50が1台の場合を示しているが、これに限定されず、ネットワークNに複数台接続されてもよい。
【0025】
複数の画像形成装置20、30、40は、印刷機能や、コピー機能、ファクシミリ機能、スキャナー機能などの各種の機能を有するものである。
ここで、本実施形態においては、複数の画像形成装置20、30、40が予め定められた関係にある。予め定められた関係とは、具体的には、例えば、複数の画像形成装置20、30、40のうちの1台、本実施形態では画像形成装置20が親機であり、他の画像形成装置30、40が子機として設定されている関係である。親機は、例えば、印刷機能を使用する際に、印刷ジョブが記憶されたり、パスワードが保存されたりする画像形成装置である。なお、印刷ジョブやパスワードは親機に保存される場合に限定されず、子機に保存されてもよいし、又、画像形成装置のいずれかに保存されるようにしてもよい。また、親機は全てのユーザに共通の画像形成装置が設定されるようにしてもよいが、ユーザ毎に異なる画像形成装置が設定されるようにしてもよい。
【0026】
つぎに、複数の画像形成装置20、30、40のハードウェア構成について説明する。なお、複数の画像形成装置20、30、40のハードウェア構成は共通するため、重複部分については画像形成装置30を例に説明する。
【0027】
図2は、本実施形態に係る画像形成装置30のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2に示すように、画像形成装置30は、プロセッサの一例であるCPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、ストレージ104、入力部105、表示部106、文書読取部107、画像形成部108、通信部109、ICカードリーダ110を有する。各構成は、バス111を介して相互に通信可能に接続されている。
【0028】
CPU101は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU101は、ROM102又はストレージ104からプログラムを読み出し、RAM103を作業領域としてプログラムを実行する。CPU101は、ROM102又はストレージ104に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM102又はストレージ104には、プログラムが格納されている。
【0029】
ROM102は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM103は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ104は、HDD(Hard Disk Drive)、又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。
【0030】
また、ストレージ104には、ユーザが印刷ジョブに含まれる印刷データ、例えば、PDF(Portable Document Format)ファイルに設定された、当該PDFファイルを印刷するために必要なパスワードが記憶されている。後述するが、印刷するために必要なパスワードが設定されたPDFファイルを印刷する際に、CPU101がかかる記憶されているパスワードを入力することで印刷を可能としている。これにより、ユーザがパスワードを予め解除しておくことや、入力することなく、印刷することが可能となっている。
【0031】
入力部105は、マウス等のポインティングデバイス、およびキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。入力部105では、後述するように、印刷を開始させる指示などの機能の実行などに使用される。また、本実施形態では、タッチパネル式の表示部106が入力部105として機能している。
【0032】
表示部106は、例えば、液晶ディスプレイである。表示部106は、CPU101の制御に基づき各種の情報を表示する。また、表示部106は、タッチパネル方式を採用して、入力部105としても機能する。
【0033】
文書読取部107は、画像形成装置30の上部に設けられた図示しない自動送り装置の給紙台に置かれた文書を1枚ずつ取り込み、取り込んだ文書を光学的に読み取って画像情報を得る。あるいは、文書読取部107は、プラテンガラスなどの台に置かれた文書を光学的に読み取って画像情報を得る。
【0034】
ここで、文書読取部107で読み取られた文書の画像情報は、画像形成装置30のストレージ104に保存されたり、後述する画像形成部108により印刷されたり、後述する通信部109によりFAX(Facsimile)機能を有する他の画像形成装置に送信されたりする。
【0035】
画像形成部108は、ネットワークNを介して接続されたPC50から得られた印刷ジョブに含まれる印刷データや、文書読取部107による読み取りによって得られた画像情報に基づく画像を、紙などの記録媒体に形成、すなわち、印刷するものである。
【0036】
通信部109は、ネットワークNに接続されており、画像形成装置30を他の画像形成装置20、40や、PC50などの他の機器と通信を行う。
また、通信部109は、画像形成装置30を公衆回線に接続し、FAX機能を有する他の画像形成装置と文書読取部107による読み取りによって得られた画像情報を送受信する。
【0037】
ICカードリーダ110は、IC(Integrated Circuit)カードに記憶された情報、例えば、ユーザID、を読み取るためのものである。そして、ICカードリーダ110でICカードに記憶された情報を読み取り、ユーザを特定した後、画像形成装置30の機能を実行可能とする。
【0038】
なお、前提として、ユーザ情報としてユーザIDなどが記憶されたICカードが画像形成装置30のユーザに配布されている必要がある。
【0039】
また、ICカードリーダ110でICカードを読み取ることでユーザを特定する場合に限定されず、ICカードリーダ110を用いず、ユーザが自らのIDを入力部105を用いて入力することで使用するユーザを特定するようにしてもよいし、又、ユーザ情報を予め画像形成装置30に登録しておき、登録されているユーザ情報の一覧を呼び出して表示部106に表示し、当該表示部106に表示されたユーザ情報から自らのユーザ情報を選択することで使用するユーザを特定するようにしてもよい。
【0040】
つぎに、画像形成システム10の作用について説明する。
【0041】
図3は、画像形成システム10の動作の一例を示すシーケンス図である。
【0042】
図3に示すステップS100において、ユーザがネットワークNに接続されたPC50を用いて、親機に設定される画像形成装置20にアクセスする。そして、画像形成装置20を親機に設定する。かかる親機の設定を受け付けた画像形成装置20のCPU101は、親機としての設定情報を記憶する。
【0043】
ここで、親機の設定は、ネットワークNに接続されたPC50を用いて行う場合に限定されず、親機の画像形成装置20や子機の画像形成装置30、40の入力部105を用いて設定するようにしてもよい。また、本実施形態では、画像形成装置30、40を子機に設定することはなく、親機以外の画像形成装置30、40が子機となるが、これに限定されない。子機に設定される画像形成装置30、40にアクセスし、子機に設定するようにしてもよい。
【0044】
また、ステップS102において、ユーザがネットワークNに接続されたPC50を用いて、親機に設定された画像形成装置20にアクセスする。そして、画像形成装置20に印刷ジョブを印刷するためのパスワードを登録する。かかるパスワードの設定を受け付けた画像形成装置20のCPU101は、パスワードを記憶する。ここで、パスワードの登録は、ネットワークNに接続されたPC50を用いて行う場合に限定されず、親機の画像形成装置20や子機の画像形成装置30、40の入力部105を用いて設定するようにしてもよい。また、パスワードの設定は、親機にのみ設定する場合に限定されず、子機にも設定可能としてもよい。また、ステップS100の親機の設定と、ステップS102のパスワードの登録は、順番が逆になってもよいし、又、同じタイミングで行われてもよい。
【0045】
ステップS104において、ユーザがネットワークNに接続されたPC50から印刷する印刷ジョブを送信する。本実施形態では、上述したように親機である画像形成装置20に送信される。かかる印刷ジョブを受信した画像形成装置20は、印刷ジョブを記憶する。また、印刷ジョブには、PC50を使用するユーザを識別するユーザ情報が含まれており、印刷ジョブを送信したユーザを画像形成装置20のCPUが認識可能になっている。
【0046】
ステップS106において、ユーザが画像形成装置30のICカードリーダ110を用いてICカードを読み取らせる。ここで、ユーザがICカードを読み取らせた画像形成装置30は、ユーザが印刷ジョブを印刷するために自席などから設置場所まで移動した画像形成装置である。かかるICカードを受け付けた画像形成装置30のCPU101は、画像形成装置30へのログイン処理を行う。
【0047】
ステップS108において、ユーザが画像形成装置30の入力部105を用いて、印刷ジョブの一覧を表示させる操作を行う。
【0048】
ステップS110において、画像形成装置30のCPU101は、画像形成装置20に、読み取ったICカードに登録されているユーザ情報と一致するユーザ情報の印刷ジョブを要求する。そして、画像形成装置20のCPU101が印刷ジョブを送信する。印刷ジョブを受信した画像形成装置30のCPU101は、表示部106に印刷ジョブの一覧を表示する。
【0049】
ステップS114において、ユーザが画像形成装置30の入力部105を用いて印刷の指示が行われる。例えば、一覧表示された印刷ジョブの中から印刷するジョブを選択し、印刷実行スイッチを操作する。
【0050】
ステップS116において、画像形成装置30のCPU101は、画像形成装置20に、パスワードの情報を要求する。そして、画像形成装置20のCPU101がパスワードの情報を送信する。その後、画像形成装置30のCPU101は、印刷指示が行われた印刷ジョブに設定されたパスワードと、画像形成装置20から取得したパスワードとが一致する場合に、印刷ジョブの印刷を実行する。
【0051】
つぎに、図4及び図5を用いて、画像形成装置20、30を用いて印刷ジョブの印刷を行う場合の処理の流れについて説明する。
【0052】
図4に示すステップS200において、ユーザがICカードリーダ110を用いてICカードを読み取らせたことを契機に、画像形成装置30のCPU101により、ユーザのログイン処理が行われる。そして、次のステップS202に進む。
【0053】
ステップS202において、画像形成装置30のCPU101は、ユーザにより親機として設定されているか否かを判定する。親機として設定されていると判定しない場合、すなわち、子機である場合は、次のステップS204に進む。
【0054】
ステップS204において、子機の画像形成装置30のCPU101は、ユーザにより画像形成装置30の機能として、印刷機能が選択された場合に、読み取ったICカードに登録されているユーザ情報と一致するユーザ情報の印刷ジョブを、親機から取得する。そして、次のステップS206に進む。
【0055】
ステップS206において、画像形成装置30のCPU101は、ユーザにより入力部105を用いて印刷ジョブの一覧を表示部に表示させる指示を受け付けることで、ステップS204において取得した印刷ジョブを一覧にして表示部106に表示する。ここで、ユーザによる入力部105を用いた印刷ジョブの一覧を表示部に表示させる指示は、ユーザにより画像形成装置20、30の機能として、印刷機能が選択されたことが相当する。すなわち、ユーザが設置場所まで移動した画像形成装置30で、印刷機能を選択したことにより、印刷ジョブの一覧が表示される。そして、次のステップS208に進む。
【0056】
ステップS208において、画像形成装置30のCPU101は、ユーザによる印刷したい印刷ジョブの選択を受け付ける。具体的には、ユーザが表示部106に表示された印刷ジョブの一覧から、入力部105を用いて印刷したい印刷ジョブを選択し、画像形成装置30のCPU101は、当該選択結果を受け付ける。そして、次のステップS210に進む。
【0057】
ステップS210において、画像形成装置30のCPU101は、ユーザによる印刷ジョブの印刷の指示を受け付ける。具体的には、ステップS208においてユーザが印刷ジョブの選択を行った後に行われる、印刷を実行するスイッチの操作を受け付ける。そして、次のステップS212に進む。
【0058】
ステップS212において、画像形成装置30のCPU101は、選択された印刷ジョブに当該印刷ジョブを出力するためのパスワードが設定されているか否かを判定する。パスワードが設定されていると判定した場合は、次のステップS214に進み、パスワードが設定されていると判定しない場合、すなわち、パスワードが設定されていない場合は、後述するステップS218に進む。
【0059】
ステップS214において、画像形成装置30のCPU101は、親機である画像形成装置20からパスワードを取得する。そして、次のステップS216に進む。
【0060】
ステップS216において、画像形成装置30のCPU101は、ステップS214において取得した、親機に登録されていたパスワードと、ステップS210において印刷の指示を受け付けた印刷ジョブに設定されているパスワードと、が一致するか否かを照合する。照合の結果、パスワードが一致すると判定した場合は、次のステップS218に進む。
【0061】
ステップS218において、画像形成装置30のCPU101は、印刷ジョブの属性を印刷許可に変更し、印刷ジョブの印刷、すなわち、紙への出力を行う。そして、処理を終了する。
【0062】
一方、ステップS216において、パスワードが一致したと判定しない場合、すなわち、パスワードが異なる場合は、ステップS220に進む。
【0063】
ステップS220において、画像形成装置30のCPU101は、パスワードが一致しない旨の報知を行う。かかる報知は、例えば、表示部106に「パスワードが異なります」などのメッセージを表示することなどが行われる。そして、処理を終了する。なお、パスワードが一致しない旨の報知が行われる場合は、処理を終了せず、パスワードの入力を受け付けて、当該受け付けたパスワードと印刷ジョブに設定されているパスワードとを照合して、印刷をするようにしてもよい。
【0064】
一方、上述したステップS202において、親機であると判定された場合は、図5に示すステップS300に進む。
【0065】
ステップS300において、画像形成装置20のCPU101は、ユーザにより画像形成装置20の機能として、印刷機能が選択された場合に、PC50から送信された印刷ジョブを一覧にして表示部106に表示する。そして、次のステップS302に進む。
【0066】
ステップS302において、画像形成装置20のCPU101は、ユーザによる印刷したい印刷ジョブの選択を受け付ける。具体的には、ユーザが表示部106に表示された印刷ジョブの一覧から、入力部105を用いて印刷したい印刷ジョブを選択し、画像形成装置20のCPU101は、当該選択結果を受け付ける。そして、次のステップS304に進む。
【0067】
ステップS304において、画像形成装置20のCPU101は、ユーザによる印刷ジョブの印刷の指示を受け付ける。具体的には、ステップS302においてユーザが印刷ジョブの選択を行った後に行われる、印刷を実行するスイッチの操作を受け付ける。そして、次のステップS306に進む。
【0068】
ステップS306において、画像形成装置20のCPU101は、選択された印刷ジョブに当該印刷ジョブを出力するためのパスワードが設定されているか否かを判定する。パスワードが設定されていると判定した場合は、次のステップS308に進み、パスワードが設定されていると判定しない場合、すなわち、パスワードが設定されていない場合は、後述するステップS310に進む。
【0069】
ステップS308において、画像形成装置20のCPU101は、ストレージ104に記憶されていたパスワードと、ステップS304において印刷の指示を受け付けた印刷ジョブに設定されているパスワードと、が一致するか否かを照合する。照合の結果、パスワードが一致すると判定した場合は、次のステップS310に進む。
【0070】
ステップS310において、画像形成装置20のCPU101は、印刷ジョブの属性を印刷許可に変更し、印刷ジョブの印刷、すなわち、紙への出力を行う。そして、処理を終了する。
【0071】
一方、ステップS308において、パスワードが一致したと判定しない場合、すなわち、パスワードが異なる場合は、ステップS312に進む。
【0072】
ステップS312において、画像形成装置20のCPU101は、パスワードが一致しない旨の報知を行う。かかる報知は、例えば、表示部106に「パスワードが異なります」などのメッセージを表示することなどが行われる。そして、処理を終了する。なお、パスワードが一致しない旨の報知が行われる場合は、処理を終了せず、パスワードの入力を受け付けて、当該受け付けたパスワードと印刷ジョブに設定されているパスワードとを照合して、印刷をするようにしてもよい。
【0073】
(変形例)
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0074】
上述した実施形態では、親機に登録されていたパスワードと、印刷ジョブに設定されているパスワードと、が一致するか否かの照合は、印刷ジョブを受信後、ユーザにより入力部を用いて印刷指示を受け付けた際に行われる(図4のステップS216、図5のステップS308参照)。かかるパスワードの照合タイミングは、他のタイミングであってもよい。
【0075】
(変形例1)
例えば、パスワードの照合は、印刷ジョブを受信後、ユーザにより入力部105を用いて印刷ジョブの一覧を表示部に表示させる指示を受け付けた際に行われるようにしてもよい。かかるタイミングは、図4のステップS204とステップS206の間、又は、図4のステップS202と図5のステップS300との間に行われる。ここで、ユーザによる入力部105を用いた印刷ジョブの一覧を表示部に表示させる指示は、ユーザにより画像形成装置20、30の機能として、印刷機能が選択されたことが相当する。すなわち、ユーザが設置場所まで移動した画像形成装置20、30で、印刷機能を選択した場合に、パスワードの照合が行われる。その後、パスワードが一致した場合は、ユーザは、一覧表示された印刷ジョブから印刷ジョブを選択し(図4のステップS208、図5のステップS302参照)、印刷指示を行う(図4のステップS210、図5のステップS304参照)。パスワードが一致しなかった場合は、ユーザにパスワードが一致しない旨の報知がされる(図4のステップS220、図5のステップS312参照)。
【0076】
また、かかる変形例の場合は、表示部106に、印刷ジョブの一覧と、当該印刷ジョブ毎のパスワードの照合の結果とを表示することが望ましい。このように構成することにより、ユーザに、印刷を指示する前にパスワードの照合結果を認識させることができる。
【0077】
(変形例2)
また、例えば、パスワードの照合は、親機の画像形成装置20が印刷ジョブを受信した際に行われるようにしてもよい。かかるタイミングは、図3のステップS104の際である。このように構成することにより、親機がパスワードの照合を行うことから、子機がパスワードの照合を行う負担を軽減できる。
【0078】
また、かかる変形例の場合は、PC50のディスプレイに、送信した印刷ジョブのパスワードの照合結果を表示するようにしてもよい。このように構成することにより、ユーザが印刷のため画像形成装置20、30、40に移動する前に、パスワードの照合結果を認識させることができる。また、ユーザによる入力部105を用いた印刷ジョブの一覧を表示部に表示させる指示を受け付けた際に、表示部106に、印刷ジョブの一覧と、当該印刷ジョブ毎のパスワードの照合の結果とを表示するようにしてもよい。このように構成することにより、ユーザに、印刷を指示する前にパスワードの照合結果を認識させることができる。
【0079】
(その他)
親機の画像形成装置20にパスワードが登録される場合に限定されず、子機にもパスワードが登録されるようにしてもよい。
この場合には、子機で印刷する場合には、まず、子機に登録されているパスワードと印刷ジョブに設定されているパスワードとの照合が行われ、一致しない場合に、親機からパスワードを取得して照合することとなる。このように構成することにより、親機と子機とで異なるパスワードを登録することができる。
【0080】
また、上述した開示の技術は、画像形成装置ではない他の装置、例えば、スマートフォンやタブレットなどの情報処理装置に適用することも可能である。つまり本発明を、機器毎に固有の情報が設定されている少なくとも2つの機器間で、ファイルを一方の機器から他方の機器へと送信可能とし、前記他方の機器で前記一方の機器から送信された前記ファイルを開く際に、前記一方の機器に設定されている固有の情報が無いと当該ファイルが開かない場合に、前記一方の機器に設定されている固有の情報を用いて前記他方の機器でファイルを開くことを可能にする発明とも捉えられる。
具体的な例としては、まず、文書ファイルなどのファイルに、特定の情報処理装置でしか開封や表示ができないように、例えば、端末のMACアドレス(Media Access Control address)など機器固有の情報が一致する場合にのみ開封や表示ができるような制限を設定しておく。そして、一のスマートフォンと他のスマートフォンとの間に、特定の条件、例えば、同じアカウントでログインしているなどの、同一ユーザであることが確認されることなど、を満たす場合は、一のスマートフォンから他のスマートフォンに近接無線通信などの通信によりファイルを送信後、一のスマートフォンでMACアドレスが一致する場合は、他のスマートフォンでのファイルの開封を可能にする。
【0081】
このように構成することで、一のスマートフォンでファイルを受領したが、他のスマートフォンやタブレットで開封したい場合にも、他のスマートフォンにファイルを送信することや、他のスマートフォンでファイルを開封できるように制限を設定し直すことをする必要がなくなる。もちろん機器固有の情報は端末のMACアドレスのような機器に予め定められた固有情報に限定されるわけではなく、機器毎にユーザが設定したパスワード、機器以外のサーバなどが決めたIPアドレス(Internet Protocol address)やそれらから計算される値などでもよい。また、同一ユーザの確認に関しては、同じアカウントでログインする以外にも、近接無線通信のようなユーザの意図をもって動作を行わなければ通信できない方法を用いること、ファイルの通信時に特定の方向に向けることや一方の機器が待機状態になっている間に他方の機器において特定の操作を行うといった、同一ユーザでないと条件を満たす動作を行うことは無いことをもって特定してもよい。また、同一ユーザの確認は必須ではなく、例えばファイルを送信した場合には同一ユーザであるかどうかにかかわらず、ファイルを受信した機器で当該ファイルの開封を可能としてもよい。
【0082】
なお、上記実施形態では、プログラムがROM102又は記憶部(ストレージ)104に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0083】
また、上述した実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0084】
また、上述した実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上述した各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0085】
10 画像形成システム
20、30、40 画像形成装置
50 PC
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 ストレージ
105 入力部
106 表示部
107 文書読取部
108 画像形成部
109 通信部
110 ICカードリーダ
111 バス
N ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5