(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】電線、及び電線の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01B 7/02 20060101AFI20250304BHJP
H01B 13/16 20060101ALI20250304BHJP
H01B 3/44 20060101ALI20250304BHJP
H01B 13/00 20060101ALI20250304BHJP
【FI】
H01B7/02 C
H01B13/16 C
H01B3/44 C
H01B13/00 517
(21)【出願番号】P 2021055282
(22)【出願日】2021-03-29
【審査請求日】2023-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 一秋
(72)【発明者】
【氏名】杉原 直樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 淳
(72)【発明者】
【氏名】金澤 進一
【審査官】中嶋 久雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/052987(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/103804(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/02
H01B 13/16
H01B 3/44
H01B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体と、前記導体を被覆する被覆層とを備え、
前記被覆層
が、フッ素樹脂を含み、
前記被覆層中のフッ素樹脂が架橋フッ素樹脂であり、
前記被覆層表面の粗さを表す最大高さが4μm以下である、
電線。
【請求項2】
前記導体が平角線であり、
前記導体が4つの角部を有し、
前記被覆層が前記導体の角部に対応する部分に曲部を有し、
前記曲部の外側面が電線の角部を構成し、
前記導体の角部と、前記電線の角部とが丸められており、
前記電線角部の丸め半径Rwの、前記導体角部の丸め半径Rcに対する比(Rw/Rc)が、1以下である、
請求項1に記載の電線。
【請求項3】
前記
架橋フッ素樹脂が、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、及びポリフッ化ビニルからなる群から選択される少なくとも一種
の架橋物である、
請求項1又は請求項2に記載の電線。
【請求項4】
導体と、前記導体を被覆する被覆層とを備える電線を製造する方法であって、
フッ素樹脂を含むフッ素塗料からなる塗膜を前記導体の周囲に形成する工程と、
前記塗膜を焼成する工程と、
焼成した前記塗膜を整形する工程と、
整形した前記塗膜に電離性放射線を照射する工程と
を含み、
前記塗膜を形成する工程において、前記フッ素塗料とともに前記導体が塗布ダイスに通され、
前記塗膜を整形する工程において、焼成した前記塗膜が前記導体とともに、加熱した整形ダイスに通され、
前記塗膜に電離性放射線を照射する工程において、
前記塗膜中の前記フッ素樹脂が架橋され架橋フッ素樹脂となり、前記被覆層が形成され
る、
電線の製造方法。
【請求項5】
前記塗膜を焼成する工程において、前記フッ素樹脂の結晶融点以上の温度に調整された雰囲気において前記塗膜が焼成される、
請求項4に記載の電線の製造方法。
【請求項6】
前記整形ダイスが前記フッ素樹脂の結晶融点以上の温度を有する、
請求項4又は請求項5に記載の電線の製造方法。
【請求項7】
前記導体が平角線である、
請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の電線の製造方法。
【請求項8】
前記フッ素樹脂が、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、及びポリフッ化ビニルからなる群から選択される少なくとも一種である、
請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の電線の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線、及び電線の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モーター用巻線に用いられる電線として、絶縁ワニスを導体表面に塗布し、この絶縁ワニスを焼き付けることで被覆層を形成した電線が知られている(例えば、下記の特許文献1)。
【0003】
耐摩耗性及び耐薬品性に優れる素材として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなフッ素樹脂が知られている。フッ素樹脂は、絶縁材料として一般的なポリエチレンの結晶融点よりも高い結晶融点を有し、ポリエチレンの誘電率より低い誘電率を有する。フッ素樹脂は、絶縁材料として期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フッ素樹脂を被覆層に適用した電線の製造では通常、フッ素樹脂を含むフッ素塗料が用いられる。フッ素塗料を導体とともに塗布ダイスに通して、導体表面に塗膜が形成される。この塗膜を焼成後、電離性放射線を照射することで被覆層が形成される。
【0006】
この製造では、塗布ダイスの通過によって塗膜、すなわち被覆層の表面が形成される。フッ素樹脂は一般にフィブリル化しやすい。被覆層の表面は荒れる傾向にあり、平滑な表面を有する被覆層を形成するのは難しい。凹みやピンホールの存在は、電線の絶縁性能の低下を招く。フッ素樹脂が有する良好な絶縁性能を発揮させるために、平滑な表面を有する被覆層を形成できる技術の確立が求められている。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、フッ素樹脂が有する良好な絶縁性能を発揮できる電線、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る電線は、導体と、前記導体を被覆する被覆層とを備える。前記被覆層はフッ素樹脂を含む。前記被覆層中のフッ素樹脂は架橋フッ素樹脂である。前記被覆層表面の粗さを表す最大高さは4μm以下である。
【0009】
本発明の一態様に係る電線の製造方法は、導体と、前記導体を被覆する被覆層とを備える電線を製造する方法である。この電線の製造方法は、フッ素樹脂を含むフッ素塗料からなる塗膜を前記導体の周囲に形成する工程と、前記塗膜を焼成する工程と、焼成した前記塗膜を整形する工程と、整形した前記塗膜に電離性放射線を照射する工程とを含む。前記塗膜を形成する工程において、前記フッ素塗料とともに前記導体が塗布ダイスに通される。前記塗膜を整形する工程において、焼成した前記塗膜が前記導体とともに、加熱した整形ダイスに通される。前記塗膜に電離性放射線を照射する工程において、前記塗膜中の前記フッ素樹脂が架橋され架橋フッ素樹脂となり、前記被覆層が形成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フッ素樹脂が有する良好な絶縁性能を発揮できる電線、及びその製造方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る電線の一例を示す断面図である。
【
図2】
図2は、電線の製造装置の一例を示す概略図である。
【
図3】
図3は、塗布ダイスの一例を示す平面図である。
【
図4】
図4は、整形ダイスの一例を示す平面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る電線の製造方法のフローを示すフロー図である。
【
図6】
図6は、整形ダイスによる作用を説明する図である。
【
図7】
図7は、電線の表面状態を説明する図である。
【
図8】
図8は、従来の電線の表面状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
[1]本開示の一態様に係る電線は、導体と、前記導体を被覆する被覆層とを備え、前記被覆層が、フッ素樹脂を含み、前記被覆層中のフッ素樹脂が架橋フッ素樹脂であり、前記被覆層表面の粗さを表す最大高さが4μm以下である。
【0013】
前述のように構成された電線では、被覆層が平滑な表面を有する。この被覆層は、絶縁破壊の起点となる恐れのある、凹みやピンホールを含まない。この被覆層の絶縁性能には、この被覆層を構成する素材の特性が十分に発揮される。この被覆層はフッ素樹脂の架橋物である架橋フッ素樹脂を含む。この電線では、フッ素樹脂が有する良好な絶縁性能が発揮される。
【0014】
本開示において、被覆層表面の粗さを表す最大高さは、ISO25178-2に準拠して測定される、最大高さSzで表される。測定は、表面粗さ測定装置(キーエンス社の「VKX-1100」を用いて、0.25mm×0.25mmの領域に対して行われる。
【0015】
[2]また、前述の[1]に記載の電線において、好ましくは、前記導体が平角線であり、前記導体が4つの角部を有し、前記被覆層が前記導体の角部に対応する部分に曲部を有し、前記曲部の外側面が電線の角部を構成し、前記導体の角部と、前記電線の角部とが丸められており、前記電線角部の丸め半径Rwの、前記導体角部の丸め半径Rcに対する比(Rw/Rc)が、1以下である。
【0016】
前述のように構成された電線では、電界が集中しやすい角部において、被覆層の厚さが十分に確保される。この電線では、フッ素樹脂が有する良好な絶縁性能が発揮される。
【0017】
[3]また、前述の[1]又は[2]に記載の電線において、好ましくは、前記架橋フッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、及びポリフッ化ビニルからなる群から選択される少なくとも一種の架橋物である。
【0018】
前述のように構成された電線では、フッ素樹脂が有する良好な絶縁性能が発揮される。
【0019】
[4]本開示の他の態様に係る電線の製造方法は、導体と、前記導体を被覆する被覆層とを備える電線を製造する方法である。この電線の製造方法は、フッ素樹脂を含むフッ素塗料からなる塗膜を前記導体の周囲に形成する工程と、前記塗膜を焼成する工程と、焼成した前記塗膜を整形する工程と、整形した前記塗膜に電離性放射線を照射する工程とを含み、前記塗膜を形成する工程において、前記フッ素塗料とともに前記導体が塗布ダイスに通され、前記塗膜を整形する工程において、焼成した前記塗膜が前記導体とともに、加熱した整形ダイスに通され、前記塗膜に電離性放射線を照射する工程において、前記塗膜中の前記フッ素樹脂が架橋され架橋フッ素樹脂となり、前記被覆層が形成される。
【0020】
前述のように構成された電線の製造方法では、整形ダイスの通過の前に塗膜に含まれるフッ素樹脂が可塑化される。塗膜は加熱した整形ダイスを通過するので、整形ダイスを通過する塗膜の温度は安定に保持される。フッ素樹脂が可塑化した状態で塗膜が整形ダイスを通過する。この整形ダイスの通過により、塗膜は均される。この製造方法では、平滑な表面を有する被覆層が形成される。絶縁破壊の起点になりやすい、凹みやピンホールの形成が防止される。この被覆層の絶縁性能には、この被覆層を構成する素材の特性が十分に発揮される。この被覆層はフッ素樹脂の架橋物である架橋フッ素樹脂を含む。この製造方法により得られる電線では、フッ素樹脂が有する良好な絶縁性能が発揮される。
【0021】
[5]また、前述の[4]に記載の電線の製造方法において、好ましくは、前記塗膜を焼成する工程において、前記フッ素樹脂の結晶融点以上の温度に調整された雰囲気において前記塗膜が焼成される。
【0022】
前述のように構成された電線の製造方法では、塗膜に含まれるフッ素樹脂の可塑化が促される。フッ素樹脂が十分に可塑化した状態で塗膜は整形ダイスを通過する。この製造方法では、平滑な表面を有する被覆層が形成される。この被覆層の絶縁性能には、この被覆層を構成する素材の特性が十分に発揮される。この製造方法により得られる電線では、フッ素樹脂が有する良好な絶縁性能が発揮される。
【0023】
本開示において、フッ素樹脂の結晶融点は、示差走査熱測定を用いた、次に示す方法で測定する。
事前に標準サンプルとしてインジウム及び鉛を用いて温度校正した示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー社の「X-DSC7000」)を使用する。
フッ素樹脂3mgをアルミ製パン(クリンプ容器)に入れ、40ml/分の窒素気流下で、230~380℃の温度領域を昇温速度10℃/分で昇温させて、前述の領域における融解ピークの極小点を計測し、この極小点を前述のフッ素樹脂の結晶融点とする。
【0024】
[6]また、前述の[4]又は[5]に記載の、電線の製造方法において、好ましくは、前記整形ダイスが前記フッ素樹脂の結晶融点以上の温度を有する。
【0025】
前述のように構成された電線の製造方法では、整形ダイスを通過する塗膜において、フッ素樹脂が可塑化した状態が安定に保持される。整形ダイスによって塗膜が効果的に均されるので、この製造方法では、平滑な表面を有する被覆層が形成される。この被覆層の絶縁性能には、この被覆層を構成する素材の特性が十分に発揮される。この製造方法により得られる電線では、フッ素樹脂が有する良好な絶縁性能が発揮される。
【0026】
[7]また、前述の[4]から[6]のいずれかの1つに記載の、電線の製造方法において、好ましくは、前記導体が平角線である。
【0027】
前述のように構成された電線の製造方法では、電界が集中しやすい角部において、十分に厚さが確保された被覆層が形成される。この被覆層の絶縁性能には、この被覆層を構成する素材の特性が十分に発揮される。この製造方法により得られる電線では、フッ素樹脂が有する良好な絶縁性能が発揮される。
【0028】
[8]また、前述の[4]から[7]のいずれかの1つに記載の、電線の製造方法において、好ましくは、前記フッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、及びポリフッ化ビニルからなる群から選択される少なくとも一種である。
【0029】
前述のように構成された電線では、フッ素樹脂が有する良好な絶縁性能が発揮される。
【0030】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態について、具体例を挙げて、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0031】
[電線]
図1は、本開示の一実施形態にかかる電線2の一例を示す。
図1には、電線2の断面が示される。この電線2は平角電線である。この電線2は4つの角部4を有する。これら角部4は丸められている。この電線2の断面形状はほぼ四角形である。この電線2が、その断面形状が円形である、丸型電線であってもよい。
【0032】
本開示において、ほぼ四角形とは、4つの角部が丸められている四角形を意味する。
【0033】
図1に示された電線2は、モーターの巻線に用いられる電線である。高密度に電線2を巻き付けることができる観点から、モーターの巻線に用いられる電線2としては、
図1に示された平角電線が好ましい。
【0034】
電線2は、導体6と、被覆層8とを備える。導体6は通常、銅線である。導体6が、アルミニウム線、アルミ合金線、ニッケルめっき銅線、銀めっき銅線などの金属線であってもよい。前述したように、この電線2は平角電線である。この電線2では、断面形状がほぼ四角形である平角線が導体6として用いられる。電線2が丸型電線であれば、断面形状が円形である丸線が導体6として用いられる。
図1において、矢印Rcは導体6の角部10(以下、導体角部10)の丸め半径である。
【0035】
被覆層8は、導体6を被覆する。導体6が平角線であるので、被覆層8には、導体6の角部4に対応する部分に曲部12が構成される。この被覆層8は4つの曲部12を有する。この電線2では、曲部12の外側面が電線2の角部4(以下、電線角部4)を構成する。前述したように、電線角部4は丸められている。
図1において、矢印Rwはこの電線角部4の丸め半径である。
【0036】
この電線2では、被覆層8はフッ素塗料を用いて形成される。後述するが、導体6の周囲にフッ素塗料を塗布して形成した塗膜に、所定の条件下で電離性放射線を照射することで被膜層が得られる。この電離性放射線としては、電子線、γ線、X線、中性子線、及び高エネルギーイオンが例示される。
【0037】
フッ素塗料はフッ素樹脂を含む。この電線2では、フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン-エチレン共重合体(ECTFE)、フルオロオレフィン-ビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン共重合体、及びフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0038】
この電線2では、電気特性、耐熱性及び耐薬品性が良好であるとの観点から、フッ素樹脂は、PTFE、PFA、FEP、ETFE、PVDF、及びPVFからなる群から選択される少なくとも一種が好ましく、PTFEがより好ましい。
【0039】
フッ素樹脂がPTFEである場合、このPTFEは、ホモPTFEであってもよく、変性PTFEであってもよい。ホモPTFEとは、テトラフルオロエチレンの単独重合体をいう。変性PTFEとは、テトラフルオロエチレンと、テトラフルオロエチレン以外のモノマー(「変性モノマー」ともいう。)との共重合体をいう。変性PTFEにおける変性モノマーに由来する構造単位の含有率の上限としては、1質量%が好ましく、0.5質量%がより好ましい。変性モノマーは、公知のモノマーを用いることができ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0040】
フッ素樹脂は、従来公知の製造方法で製造することができる。具体的には、PTFEの場合、水性分散媒、界面活性剤及びラジカル重合開始剤の存在下で、テトラフルオロエチレン(TFE)を乳化重合することにより製造できる。ここで、界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸及びその塩、含フッ素スルホン酸及びその塩などの含フッ素界面活性剤が挙げられる。ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、ジコハク酸パーオキシド、tert-ブチルヒドロパーオキシド等の水溶性有機過酸化物が挙げられる。PTFEの合成時には、得られるPTFEの分子量(溶融粘度)を制御するために、連鎖移動剤を用いてもよく、更には、パラフィンワックス等の乳化安定剤や、炭酸アンモニウム等のpH調整剤等を用いてもよい。この電線2では、フッ素樹脂として、市販のフッ素樹脂を使用することもできる。
【0041】
フッ素塗料は、前述のフッ素樹脂の粉末を、水を主成分とする溶媒に分散させた液体である。この電線2では、例えば、0.1μm以上0.5μm以下の平均一次粒子径を有するフッ素樹脂粉末がフッ素樹脂として用いられる。フッ素塗料に含まれるフッ素樹脂の含有量は、例えば、10質量%以上60質量%以下の範囲で適宜調整される。
【0042】
本開示において、フッ素樹脂粉末の平均一次粒子径は次のようにして求められる。ポリマー濃度を0.22質量%に調整した、フッ素樹脂粉末の水性分散液の、波長550nmの投射光の単位長さに対する透過率が測定される。透過型電子顕微鏡写真におけるフッ素樹脂粉末の定方向径を測定し、一次粒子径が決定される。測定した透過率と、決定された平均一次粒子径との検量線が作製される。測定対象である水性分散液について、透過率を測定し、作製した検量線を元に、フッ素樹脂粒子の平均一次粒子径が求められる。
【0043】
溶媒は、水を主成分とする液体であれば特に限定されない。この溶媒が水のみで構成されてもよい。この溶媒が水以外の成分を含んでいてもよい。水以外の成分としては、アルコール等の水溶性有機溶媒が例示される。水を主成分とするとは、溶媒中に占める水の割合が50体積%以上であることを意味する。
【0044】
フッ素塗料は、フッ素樹脂及び溶媒以外に、界面活性剤、増粘剤、造膜助剤、消泡剤、充填剤、顔料、難燃剤等の薬品を含むことができる。
【0045】
[製造装置]
次に電線2の製造に用いられる製造装置が説明される。
図2は、製造装置22の一例を示す。この製造装置22には、図示されない導体供給装置から導体6が供給される。この製造装置22において、導体6の周囲に被覆層8を形成し電線2が製造される。製造した電線2は、図示されない電線巻取装置に巻き取られる。この
図2において導体6は、左側から右側に向かって移動する。この紙面の左側が製造装置22の上流側であり、右側が製造装置22の下流側である。導体供給装置は製造装置22の上流側に位置し、電線巻取装置は製造装置22の下流側に位置する。
【0046】
この製造装置22は、上流側から下流側に向かって、調芯装置24、塗布装置26、及び形成装置28を備える。調芯装置24、塗布装置26、及び形成装置28をこの順に導体6が通過することで電線2が製造される場合を例にして、この製造装置22が説明される。
【0047】
調芯装置24は、塗布装置26及び形成装置28に対する、導体6の位置を調整する。調芯装置24は、電線の製造において一般的に使用される装置が用いられる。
【0048】
塗布装置26は調芯装置24の下流側に位置する。塗布装置26は、導体6の周囲にフッ素塗料からなる塗膜を形成する。この塗布装置26は、塗膜形成のために塗布ダイス30を備える。図示されないが、この塗布装置26では、フッ素塗料で満たされた塗料槽に導体6が通される。これにより、フッ素塗料が導体6の周囲に付着する。付着したフッ素塗料とともに導体6が塗布ダイス30に通される。これにより、導体6の周囲に塗膜が形成される。
【0049】
図3には、上流側から見た塗布ダイス30の正面図が示される。塗布ダイス30は、その中央に貫通孔32を備える。フッ素塗料が付着した導体6はこの貫通孔32を通過する。前述したように、電線2は平角電線である。この貫通孔32の形状はほぼ四角形である。
図3において、両矢印Wbは貫通孔32の幅である。両矢印Tbは貫通孔32の高さである。矢印Rbは貫通孔32の角部34の丸め半径である。塗布ダイス30における貫通孔32の大きさ、長さ及び形状は、製造する電線2の仕様に応じて適宜決められる。
【0050】
形成装置28は塗布装置26の下流側に位置する。形成装置28は、導体6の周囲に形成した塗膜を焼成し、この塗膜に電離性放射線を照射する。この形成装置28は、塗膜を焼成する焼成モジュール36、そして、塗膜に電離性放射線を照射する照射モジュール38を備える。
【0051】
焼成モジュール36は、後述する整形ダイスを設けたこと以外は、電線の製造において一般的に使用される装置と同様の構成を有する。この焼成モジュール36は筒状の焼成炉40を備える。塗膜が形成された導体6は、焼成炉40内を通過する。この焼成モジュール36では、焼成炉40内の温度は、図示されない温度調整装置によって調整される。塗膜は、所定の温度に調整された雰囲気において焼成される。
【0052】
焼成モジュール36は、整形ダイス42をさらに備える。整形ダイス42は焼成炉40内に配置される。焼成炉40内において整形ダイス42は、下流側に位置する。整形ダイス42の温度も、前述の温度調整装置によって調整される。この焼成モジュール36では、焼成した塗膜が導体6とともに、温度が調整された整形ダイス42に通される。
【0053】
図4には、上流側から見た整形ダイス42の正面図が示される。整形ダイス42は、塗布ダイス30と同様、その中央に貫通孔44を備える。焼成した塗膜は導体6とともに、この貫通孔44を通過する。前述したように、電線2は平角電線である。この貫通孔44の形状はほぼ四角形である。
図4において、両矢印Waは貫通孔44の幅である。両矢印Taは貫通孔44の高さである。矢印Raは貫通孔44の角部46の丸め半径である。整形ダイス42における貫通孔44の大きさ、長さ及び形状は、製造する電線2の仕様に応じて適宜決められる。
【0054】
この製造装置22では、焼成モジュール36を通過した塗膜は導体6とともに、照射モジュール38に投入される。照射モジュール38は、電線2の製造において一般的に使用される装置と同様の構成を有する。この照射モジュール38は、電離性放射線を照射する照射ユニット48を備える。この照射モジュール38では、導体6とともに反応炉50内を通過する塗膜に向けて、照射ユニット48が電離性放射線を照射する。これにより、塗膜に含まれるフッ素樹脂が架橋反応を起こし、被覆層8が形成される。この被覆層8は、フッ素樹脂の架橋物である架橋フッ素樹脂を含む。
【0055】
この照射モジュール38では、反応炉50内は実質的な無酸素状態に調整される。具体的には、この反応炉50内は、5.0×10-4Torr以下の真空状態、又は、酸素濃度が100ppm以下の窒素等の不活性ガス雰囲気に調整される。この照射モジュール38では、実質的な無酸素下で、電離性放射線が塗膜に向けて照射される。これにより、照射時における塗膜の酸化が防止される。
【0056】
この照射モジュール38では、反応炉50内の温度は、図示されない温度調整装置によって調整される。この照射モジュール38では、所定の温度に調整された雰囲気において、電離性放射線が塗膜に向けて照射される。
【0057】
この形成装置28は、冷却モジュール52をさらに備える。照射モジュール38から排出される電線2の温度は高い。この冷却モジュール52において、高温状態にある電線2が冷却される。冷却後、電線2は電線巻取装置において巻き取られる。
【0058】
[電線2の製造方法]
次に本開示の一実施形態にかかる電線2の製造方法が説明される。
図5は、この製造方法のフローの一例を示す。この製造方法は、導体6と、導体6を被覆する被覆層8とを備える電線2を製造する方法である。この製造方法は、形成工程S1、焼成工程S2、整形
工程S3、及び照射工程S4を含む。
【0059】
この製造方法では、形成工程S1、焼成工程S2、整形工程S3、及び照射工程S4を連続的に行うことで電線2が製造される。この製造方法では、例えば、形成工程S1、焼成工程S2、整形工程S3、及び照射工程S4の各工程をバッチ式で行うことで電線2が製造されてもよい。
【0060】
形成工程S1では、塗布装置26において、フッ素塗料とともに導体6が塗布ダイス30に通される。これにより、このフッ素塗料からなる塗膜が導体6の周囲に形成される。この塗膜はフッ素樹脂を含む。
【0061】
この製造方法では、フッ素樹脂を含む塗膜の形成方法として、フッ素塗料を導体6の周囲に塗布しながら塗布ダイス30を通過させることで塗膜を形成する方法が示されたが、この塗膜の形成方法は、この塗布ダイス30による方法に限られない。この製造方法では、フッ素塗料に導体6を浸漬することで塗膜が形成されてもよく、フッ素塗料を導体6に吹き付けることで塗膜が形成されてもよい。粉体塗装法によってフッ素樹脂からなる粉体を導体6に塗布してフッ素樹脂を含む塗膜が形成されてもよく、溶融押出法によってフッ素樹脂で導体6を被覆することで、フッ素樹脂を含む塗膜が形成されてもよい。
【0062】
焼成工程S2では、形成装置28の焼成モジュール36において、導体6の周囲に形成された塗膜が焼成される。これにより、塗膜に含まれる溶媒等の揮発成分が揮発し、塗膜は硬化する。
【0063】
整形工程S3では、焼成した塗膜が導体6とともに整形ダイス42に通される。前述したように、整形ダイス42は焼成炉40内に配置される。焼成炉40内は、少なくとも塗膜に含まれる溶媒等の揮発成分が揮発できる温度に調整される。この焼成炉40内に配置された整形ダイス42は、この焼成炉40内の雰囲気によって加熱される。この整形工程S3では、焼成した塗膜が導体6とともに、加熱した整形ダイス42に通される。これにより、塗膜が整形される。
【0064】
照射工程S4では、整形工程S3において整形した塗膜に電離性放射線が実質的に無酸素下で照射される。これにより、架橋フッ素樹脂を含む被覆層8が形成され、
図1に示された電線2が得られる。
【0065】
この照射工程S4では、塗膜に向けて照射する電離性放射線の照射量は、架橋反応を十分に進行させる観点から、10kGy以上が好ましく、30kGy以下がより好ましい。生産性及び被覆層8の機械的特性の低下を防止する観点から、この照射量は2000kGy以下が好ましく、200kGy以下がより好ましい。
【0066】
この照射工程S4では、効果的に架橋反応を進行させる観点から、反応炉50内の温度は、フッ素樹脂の結晶融点以上に設定されるのが好ましい。フッ素樹脂の結晶融点は分子量等によって異なるが、例えば、320℃以上350℃未満の範囲にある。この反応炉50内の温度は、結晶融点以上で、かつ、320℃以上が好ましく、360℃以下が好ましい。
【0067】
以上、調芯装置24、塗布装置26、及び形成装置28をこの順に導体6が通過することで電線2が製造される場合、すなわち、導体6に形成した塗膜に電離性放射線を照射して電線2が製造される場合を例にして、製造方法が説明されたが、塗膜を複数積層して得られる塗膜の積層体に電離性放射線を照射し、電線2が製造されてもよい。この場合、形成工程S1を複数回繰り返した後に、加熱工程S2、整形工程S3、及び照射工程S4が行われ、電線2が製造される。この製造方法では、形成工程S1から照射工程S4までを1クールとし、このクールを複数回繰り返して、電線2が形成されてもよい。この場合、電線2の被覆層8は、架橋フッ素樹脂を含む、塗膜の硬化物層の積層体として構成される。2クール以降のクールでは、硬化物層で被覆された導体6に対して、形成工程S1、加熱工程S2、整形工程S3、及び照射工程S4が行われる。
【0068】
この製造方法では、焼成工程S2において、フッ素樹脂を含む塗膜が焼成される。この焼成工程S2では、揮発成分の揮発により塗膜は硬化する一方で、この塗膜に含まれるフッ素樹脂の可塑化が促される。焼成工程S2の後に整形工程S3が行われるので、この製造方法では、整形ダイス42の通過の前に塗膜に含まれるフッ素樹脂が可塑化される。前述したように、整形工程S3では、塗膜は、加熱した整形ダイス42を通過する。整形ダイス42を通過する塗膜の温度は安定に保持される。この製造方法では、フッ素樹脂が可塑化した状態で塗膜が整形ダイス42を通過する。
【0069】
図6には、整形ダイス42の通過による塗膜54の状態変化が概念として示される。この
図6の左下側には、上側の概念図におけるb-b線に沿った、整形ダイス42通過前の塗膜54の断面が導体6の断面とともに示される。この
図6の右下側には、上側の概念図におけるa-a線に沿った、整形ダイス42通過後の塗膜54の断面が導体6の断面とともに示される。
【0070】
図6に示されるように、整形ダイス42の通過により、塗膜54に存在していた凹み56やピンホール58は消失する。そして、ドッグボーンとも称される塗膜54の偏肉状態が解消され、整形ダイス42通過前の塗膜54が、ほぼ一様な厚さを有する塗膜54に修正される。このように、整形ダイス42の通過により塗膜54が均される。均された塗膜54に対して、照射工程S4が行われるので、この製造方法では、平滑な表面を有する被覆層8が形成される。
【0071】
この製造方法では、好ましくは、整形ダイス42の貫通孔44は塗布ダイス30の貫通孔32の形状と同等の形状に構成される。平滑な被覆層8を有する電線2が得られるのであれば、整形ダイス42の貫通孔44が塗布ダイス30の貫通孔32よりも大きくてもよく、整形ダイス42の貫通孔44が塗布ダイス30の貫通孔32よりも小さくてもよい。
【0072】
図7は、
図1に示された電線2の表面状態の一例を示す。
図8は、整形工程S3を含まない従来の製造方法によって製造された、従来電線の表面状態の一例を示す。
【0073】
図7と
図8との対比から明らかなように、この電線2の被覆層8の表面は、従来電線の被覆層の表面よりも平滑である。具体的には、この電線2の被覆層8表面の粗さを表す最大高さは4μm以下である。従来電線の被覆層では、被覆層表面の粗さを表す最大高さは60μmから70μmの範囲にあるので、この電線2の被覆層8表面の平滑性が、従来電線のそれよりも格段に向上しているのは明らかである。
【0074】
この製造方法で製造される電線2は平滑な被覆層8を有する。絶縁破壊の起点になりやすい、凹み56やピンホール58の形成が防止される。この被覆層8は、絶縁破壊の起点になりやすい、凹み56やピンホール58を含まない。この被覆層8の絶縁性能には、この被覆層8を構成する素材の特性が十分に発揮される。この被覆層8はフッ素樹脂の架橋物である架橋フッ素樹脂を含む。この製造方法により得られる電線2では、フッ素樹脂が有する良好な絶縁性能が発揮される。
【0075】
この製造方法では、焼成工程S2において、フッ素樹脂の結晶融点以上の温度に調整された雰囲気において塗膜54が焼成されるのが好ましい。これにより、塗膜54に含まれるフッ素樹脂の可塑化が促される。フッ素樹脂が十分に可塑化した状態で塗膜54は整形ダイス42を通過する。この製造方法では、平滑な表面を有する被覆層8が形成される。この被覆層8の絶縁性能には、この被覆層8を構成する素材の特性が十分に発揮される。この製造方法により得られる電線2では、フッ素樹脂が有する良好な絶縁性能が発揮される。焼成による塗膜54の変質を防止する観点から、フッ素樹脂の結晶融点よりも60℃高い温度よりも低い温度に調整された雰囲気において、塗膜54が焼成されるのが好ましい。
【0076】
この製造方法では、整形工程S3において、整形ダイス42はフッ素樹脂の結晶融点以上の温度を有するのが好ましい。これにより、整形ダイス42を通過する塗膜54において、フッ素樹脂が可塑化した状態が安定に保持される。整形ダイス42によって塗膜54が効果的に均されるので、この製造方法では、平滑な表面を有する被覆層8が形成される。この被覆層8の絶縁性能には、この被覆層8を構成する素材の特性が十分に発揮される。この製造方法により得られる電線2では、フッ素樹脂が有する良好な絶縁性能が発揮される。整形ダイス42の通過による塗膜54の変質を防止する観点から、整形ダイス42は、フッ素樹脂の結晶融点よりも50℃高い温度よりも低い温度を有するのが好ましい。
【0077】
平滑な表面を有する被覆層8が安定に形成される観点から、焼成工程S2において、フッ素樹脂の結晶融点以上の温度に調整された雰囲気において塗膜54が焼成され、整形工程S3において、整形ダイス42はフッ素樹脂の結晶融点以上の温度を有するのがより好ましい。この場合、塗膜54の変質防止の観点から、フッ素樹脂の結晶融点よりも60℃高い温度よりも低い温度に調整された雰囲気において塗膜54が焼成され、整形ダイス42が、フッ素樹脂の結晶融点よりも50℃高い温度よりも低い温度を有するのがより好ましい。
【0078】
前述したように、この電線2の導体6は平角線である。導体面積確保の観点から、導体角部10は小さな丸め半径Rcを有するのが好ましい。この場合、電線角部4も、この導体角部10と同様に小さな丸め半径を有するのが好ましい。しかし、電線角部が小さな丸め半径を有するように、被覆層を形成するのも難しく、例えば、絶縁ワニスを焼き付けて形成される被覆層を有する従来の電線では、導体角部10の丸め半径Rcよりも大きな丸め半径を有する電線角部が形成される。これに対してこの製造方法では、整形ダイス42の通過により、塗膜54が効果的に均されるので、導体角部10の丸め半径Rcと同等以下の電線角部4が得られる。具体的には、電線角部4の丸め半径Rwの、導体角部10の丸め半径Rcに対する比(Rw/Rc)は1以下である。この製造方法では、電線角部4における被覆層8が従来電線のそれよりも厚い電線2が得られる。
【0079】
この電線2では、電線角部4における被覆層8の厚さの確保の観点から、電線角部4の丸め半径Rwの、導体角部10の丸め半径Rcに対する比(Rw/Rc)は0.77以下が好ましく、0.67以下がより好ましい。
【0080】
以上の説明から明らかなように、本開示の電線2は、フッ素樹脂が有する良好な絶縁性能を発揮できる。そして本開示の電線の製造方法によれば、フッ素樹脂が有する良好な絶縁性能を発揮できる電線2が得られる。
【符号の説明】
【0081】
2 電線
4 角部(電線角部)
6 導体
8 被覆層
10 導体6の角部(導体角部)
12 被覆層8の曲部
22 製造装置
24 調芯装置
26 塗布装置
28 形成装置
30 塗布ダイス
32 塗布ダイス30の貫通孔
34 塗布ダイス30の角部
36 焼成モジュール
38 照射モジュール
40 焼成炉
42 整形ダイス
44 整形ダイス42の貫通孔
46 整形ダイス42の角部
48 照射ユニット
50 反応炉
52 冷却モジュール
54 塗膜
56 凹み
58 ピンホール