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特許7643154画像形成装置、画像形成プログラム、及び画像形成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成プログラム、及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20250304BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20250304BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20250304BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20250304BHJP
【FI】
G06F3/12 339
G03G21/00 388
B41J29/38 203
H04N1/00 127B
G06F3/12 304
G06F3/12 322
G06F3/12 338
G06F3/12 324
G06F3/12 392
G06F3/12 357
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021067889
(22)【出願日】2021-04-13
(65)【公開番号】P2022162854
(43)【公開日】2022-10-25
【審査請求日】2024-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 哲史
【審査官】佐藤 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-053939(JP,A)
【文献】特開2017-177792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
B41J 29/00 -29/70
H04N 1/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
印刷権限を有する認証端末として予め登録されていない外部端末から印刷データを受け付けると、近距離無線通信を行う近距離通信ユニットから予め定められた距離まで近づけられた前記認証端末である特定認証端末と通信回線を確立すると共に、前記印刷データの印刷設定が、印刷を許可する印刷設定として予め記憶装置に記憶されている許可印刷設定と同じ内容に設定されている場合、前記印刷データの印刷可否を問い合わせる問い合わせ通知を前記特定認証端末に送信することなく前記印刷データの印刷準備を行い、前記印刷データの印刷設定が、前記許可印刷設定と異なる内容に設定されている場合、前記問い合わせ通知を前記特定認証端末に送信することなく前記印刷データの印刷を行わないようにする
画像形成装置。
【請求項2】
前記記憶装置に複数の前記許可印刷設定が記憶されている場合、
前記プロセッサは、記印刷データの印刷設定が、前記記憶装置に記憶されているすべての前記許可印刷設定と同じ内容に設定されているか、又は前記印刷データの印刷設定が、前記記憶装置に記憶されている前記許可印刷設定のうち何れか1つの前記許可印刷設定と同じ内容に設定されている場合に、前記問い合わせ通知を前記認証端末に送信することなく前記印刷データの印刷準備を行う
請求項記載の画像形成装置。
【請求項3】
コンピュータに、
印刷権限を有する認証端末として予め登録されていない外部端末から印刷データを受け付けると、近距離無線通信を行う近距離通信ユニットから予め定められた距離まで近づけられた前記認証端末である特定認証端末と通信回線を確立すると共に、前記印刷データの印刷設定が印刷を許可する印刷設定として予め記憶装置に記憶されている許可印刷設定と同じ内容に設定されている場合、前記印刷データの印刷可否を問い合わせる問い合わせ通知を前記特定認証端末に送信することなく前記印刷データの印刷準備を行い、前記印刷データの印刷設定が、前記許可印刷設定と異なる内容に設定されている場合、前記問い合わせ通知を前記特定認証端末に送信することなく前記印刷データの印刷を行わないようにする処理を実行させる
画像形成プログラム。
【請求項4】
画像形成装置での印刷が許可されている認証端末と、
前記認証端末として予め登録されていない外部端末から印刷データを受け付けると、近距離無線通信を行う近距離通信ユニットから予め定められた距離まで近づけられた前記認証端末である特定認証端末と通信回線を確立し、前記特定認証端末に対して、前記印刷データの印刷可否を問い合わせる問い合わせ通知を、前記近距離無線通信を通じて前記特定認証端末に送信し、
前記特定認証端末から前記印刷データの印刷許可を受け付けると、前記印刷データの印刷準備を行う前記画像形成装置と、
を含み、
前記特定認証端末は、前記問い合わせ通知と共に前記画像形成装置から受け付けた前記印刷データの印刷設定が、印刷を許可する印刷設定として予め前記特定認証端末の記憶装置に記憶されている許可印刷設定と同じ内容に設定されている場合、前記特定認証端末のユーザから前記印刷データの印刷を許可するか否かの指示を受け付けることなく、前記特定認証端末から前記画像形成装置に前記印刷データの印刷を許可する指示を送信し、
前記画像形成装置から受け付けた前記印刷データの印刷設定が、前記許可印刷設定と異なる内容に設定されている場合、前記特定認証端末のユーザから前記印刷データの印刷を許可するか否かの指示を受け付けることなく、前記特定認証端末から前記画像形成装置に前記印刷データの印刷を禁止する指示を送信する
画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成プログラム、及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、携帯端末と情報処理装置とを有する通信システムであって、前記携帯端末は、前記情報処理装置との間での近距離無線通信の信号に基づいて前記情報処理装置との間の距離を取得する取得手段と、前記取得手段により取得した距離が第1の所定の値よりも短い場合に前記情報処理装置との間で近距離無線通信を確立する確立手段と、前記近距離無線通信が確立した状態で前記情報処理装置にサービスの要求を送信する第1送信手段と、前記サービスの要求に対する応答を前記情報処理装置から受信する第1受信手段と、を有し、前記情報処理装置が前記携帯端末からのサービスの要求を受信する第2受信手段と、前記サービスの要求に対する応答を前記携帯端末に前記近距離無線通信により送信する第2送信手段と、を有する通信システムが開示されている。
【0003】
特許文献2には、画像形成装置と、前記画像形成装置と接続される複数の通信端末と、を備え、前記画像形成装置は、複数のユーザ情報を記憶する第1記憶部と、前記複数の通信端末それぞれからユーザ情報を受信する第1受信部と、受信した前記ユーザ情報と、前記第1記憶部に記憶された前記複数のユーザ情報とが一致するか否かにより、前記通信端末の認証を行う認証部と、前記認証が成功した場合、その旨を示す認証情報を前記複数の通信端末それぞれに送信する第1送信部と、を備え、前記第1受信部は、前記認証情報を送信した前記通信端末から、前記画像形成装置で実行中のジョブの停止を要求する停止要求と、前記画像形成装置で実行する新たなジョブと、を受信し、受信した前記停止要求に基づいて、前記実行中のジョブを停止し、受信した前記新たなジョブを実行する制御部を更に備え、前記通信端末それぞれは、ユーザ情報を記憶する第2記憶部と、前記ユーザ情報を前記画像形成装置に送信する第2送信部と、前記画像形成装置から前記認証情報を受信する第2受信部と、を備え、前記第 送信部は、前記認証情報を受信した場合、前記停止要求と前記新たなジョブとを前記画像形成装置に送信する画像形成システムが開示されている。
【0004】
特許文献3には、ジョブ処理装置と、携帯情報端末と、情報処理装置と、を含み、前記情報処理装置は、前記ジョブ処理装置にジョブを送信する第1の送信手段を有し、前記ジョブ処理装置は、前記第1の送信手段によって送信されたジョブを受信する第1の受信手段と、前記第1の受信手段によって受信されたジョブを格納する格納手段と、前記格納手段に格納されたジョブの情報を前記携帯情報端末に送信する第2の送信手段と、前記ジョブ処理装置にログインするユーザを認証する認証手段と、を有し、前記携帯情報端末は、前記第2の送信手段によって送信されたジョブの情報を受信する第2の受信手段と、前記第2の受信手段によって受信されたジョブの情報を表示する表示手段と、前記表示手段によって表示された複数のジョブの情報を介して、前記ジョブ処理装置に実行させるジョブを選択する選択手段と、前記選択手段によって選択されたジョブを前記認証手段によってユーザが認証されたことに従って前記ジョブ処理装置に実行させるよう、ユーザの識別情報に関連付けて前記ジョブ処理装置に指示する指示手段と、を有し、前記ジョブ処理装置は、更に、前記指示手段によって実行が指示され、前記認証手段によって認証されたユーザの識別情報が関連付けられたジョブを、前記認証手段によってユーザが認証されたことに従って実行する実行手段を有する特徴ジョブ処理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-66217号公報
【文献】特開2016-220001号公報
【文献】特開2017-78986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
予め登録されている認証端末からの印刷データのみ印刷するといった認証管理が行われている画像形成装置が存在する。
【0007】
こうした認証管理が行われている画像形成装置で、例えばお客様のように認証端末を持っていない外部の人が印刷を行おうとした場合、外部の人が使用する外部端末を認証端末として一時的に画像形成装置に登録したり、認証端末を使用している人に印刷データを渡して印刷を依頼したりする必要があり、既に認証端末を使用している人が印刷を行うのに比べて印刷に手間がかかる。
【0008】
本発明は、予め登録された認証端末からの印刷データのみを印刷する認証管理が行われている場合であっても、未登録の外部端末を認証端末として新たに登録することなく、外部端末からの印刷データを印刷することができる画像形成装置、画像形成プログラム、及び画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1態様に係る画像形成装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、印刷権限を有する認証端末として予め登録されていない外部端末から印刷データを受け付けると、前記認証端末に対して前記印刷データの印刷可否を問い合わせる問い合わせ通知を前記認証端末に送信し、前記認証端末から前記印刷データの印刷許可を受け付けると、前記印刷データの印刷準備を行う。
【0010】
第2態様に係る画像形成装置は、第1態様に係る画像形成装置において、前記プロセッサは、前記外部端末を識別する識別情報、及び前記印刷データの内容を表すデータ情報の少なくとも一方を、前記問い合わせ通知と共に前記認証端末に送信する。
【0011】
第3態様に係る画像形成装置は、第2態様に係る画像形成装置において、前記識別情報は、前記外部端末に予め設定されている端末名であり、前記データ情報は、前記印刷データを記録媒体に印刷した場合に記録媒体に形成される画像のサムネイルである。
【0012】
第4態様に係る画像形成装置は、第1態様~第3態様の何れかの態様に係る画像形成装置において、前記プロセッサは、前記外部端末から前記印刷データを受け付ける前に、前記印刷データに対して印刷を許可する印刷設定を前記認証端末から予め受け付け、前記印刷データの印刷設定が印刷を許可する印刷設定に設定されている場合、前記問い合わせ通知を前記認証端末に送信することなく前記印刷データの印刷準備を行う。
【0013】
第5態様に係る画像形成装置は、第4態様に係る画像形成装置において、前記プロセッサは、前記外部端末から前記印刷データに対して印刷を許可する印刷設定を複数受け付け、前記印刷データの印刷設定が印刷を許可する複数のすべての印刷設定に設定されているか、又は前記印刷データの印刷設定が印刷を許可する複数の印刷設定のうち何れか1つの印刷設定に設定されている場合に、前記問い合わせ通知を前記認証端末に送信することなく前記印刷データの印刷準備を行う。
【0014】
第6態様に係る画像形成装置は、第1態様~第3態様の何れかの態様に係る画像形成装置において、前記プロセッサは、前記認証端末への前記問い合わせ通知の送信に失敗すると、前記問い合わせ通知の送信に失敗したことを知らせるエラー通知を前記外部端末に送信する。
【0015】
第7態様に係る画像形成プログラムは、コンピュータに、印刷権限を有する認証端末として予め登録されていない外部端末から印刷データを受け付けると、前記認証端末に対して前記印刷データの印刷可否を問い合わせる問い合わせ通知を前記認証端末に送信し、前記認証端末から前記印刷データの印刷許可を受け付けると、前記印刷データの印刷を開始する処理を実行させるプログラムである。
【0016】
第8態様に係る画像形成システムは、画像形成装置での印刷が許可されている認証端末と、前記認証端末として予め登録されていない外部端末から印刷データを受け付けると、前記認証端末に対して前記印刷データの印刷可否を問い合わせる問い合わせ通知を前記認証端末に送信し、前記認証端末から前記印刷データの印刷許可を受け付けると、前記印刷データの印刷準備を行う前記画像形成装置と、を含む。
【0017】
第9態様に係る画像形成システムは、第8態様に係る画像形成システムにおいて、前記認証端末は、前記印刷データに対して印刷を許可する印刷設定を前記認証端末のユーザから受け付け、前記問い合わせ通知と共に前記画像形成装置から受け付けた前記印刷データの印刷設定が前記認証端末のユーザから受け付けた印刷を許可する印刷設定に設定されている場合、前記認証端末のユーザから前記印刷データの印刷を許可するか否かの指示を受け付けることなく、前記認証端末から前記画像形成装置に前記印刷データの印刷許可を送信する。
【発明の効果】
【0018】
第1態様、第7態様、及び第8態様によれば、予め登録された認証端末からの印刷データのみを印刷する認証管理が行われている場合であっても、未登録の外部端末を認証端末として新たに登録することなく、外部端末からの印刷データを印刷することができる、という効果を有する。
【0019】
第2態様によれば、ユーザに外部端末からの印刷データに対する印刷可否を判断する情報を提供することができる、という効果を有する。
【0020】
第3態様によれば、ユーザは印刷を行おうとしている外部端末を特定し、また、印刷を行おうとしている印刷データの内容を確認することができる、という効果を有する。
【0021】
第4態様によれば、認証端末を有するユーザに印刷データの印刷可否を問い合わせることなく、外部端末から受け付けた印刷データを印刷することができる、という効果を有する。
【0022】
第5態様によれば、ユーザに印刷データの印刷可否を問い合わせることなく印刷することができる、外部端末から受け付けた印刷データの印刷条件を、複数の印刷設定を組み合わせて設定することができる、という効果を有する。
【0023】
第6態様によれば、認証端末を使用するユーザに印刷データの印刷可否の問い合わせが通知されていないにもかかわらず、外部端末を使用するユーザが印刷データに対する対応指示を待ち続けないようにすることができる、という効果を有する。
【0024】
第9態様によれば、認証端末を使用するユーザは、印刷可否の問い合わせ通知を受け付ける毎に印刷データの印刷可否を判断し、判断結果を認証端末に入力する手間を省くことができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】画像形成システムの構成例を示す図である。
図2】画像形成装置をコンピュータで構成した構成例を示す図である。
図3】認証端末及び外部端末をコンピュータで構成した構成例を示す図である。
図4】画像形成装置によって実行される印刷処理の一例を示すフローチャートである。
図5】印刷処理を実行した場合に画像形成装置、認証端末、及び外部端末の間で送受信されるデータの流れの一例を示すシーケンス図である。
図6】認証端末に表示される画像形成装置との接続手順の案内例、並びに、認証端末及び外部端末に表示される画像形成装置との接続完了を通知する表示例を示す図である。
図7】外部端末における印刷の実行例を示す図である。
図8】認証端末に表示される確認処理実行時の画面例を示す図である。
図9】画像形成装置によって実行されるゲスト印刷処理の一例を示すフローチャートである。
図10】ゲスト印刷処理を実行した場合に画像形成装置、認証端末、及び外部端末の間で送受信されるデータの流れの一例を示すシーケンス図である。
図11】認証端末に表示される確認画面の一例を示す図である。
図12】画像形成装置によって実行される印刷処理の変形例を示すフローチャートである。
図13】印刷処理の変形例におけるゲスト印刷処理を示すフローチャートである。
図14】認証端末によって実行される確認処理の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、同じ構成要素及び同じ処理には全図面を通して同じ符号を付与し、重複する説明を省略する。
【0027】
図1は、指示された画像を記録媒体に印刷する画像形成システム1の構成例を示す図である。
【0028】
図1に示すように、画像形成システム1は画像形成装置10、認証端末20、及び外部端末30を含み、画像形成装置10、認証端末20、及び外部端末30は通信回線2で接続されている。
【0029】
画像形成装置10は、認証端末20及び外部端末30から通信回線2を通じて受け付けた印刷データによって表される画像を、用紙等の記録媒体に印刷する画像形成機能を備えた装置である。画像形成装置10は画像形成機能を備えていれば、例えばファクシミリ、スキャナ、及びコピーといった複数の機能を含む装置であってもよい。以降では一例として、画像形成装置10は画像形成機能のみを備えた装置として説明する。
【0030】
認証端末20及び外部端末30は、例えばスマートフォン、タブレット型コンピュータ、及びノート型コンピュータのように、記憶装置に記憶された印刷データをユーザが指定した印刷設定と共に、通信回線2を通じて画像形成装置10に送信する通信機能を備えた情報機器である。以降では一例として、認証端末20及び外部端末30がそれぞれスマートフォンである場合について説明する。
【0031】
図1に示す画像形成システム1の例では、認証端末20及び外部端末30はそれぞれ1台しか図示されていないが、画像形成システム1に含まれる認証端末20及び外部端末30の台数に制約はなく複数であってもよい。
【0032】
このように、認証端末20及び外部端末30は、共に印刷データを画像形成装置10に送信する情報機器であるが、画像形成装置10での認証管理上の取り扱いの違いにより区別される。
【0033】
画像形成装置10では情報セキュリティーの関係上、不特定多数の情報機器から印刷要求を受け付けないようにするため、画像形成装置10で印刷が可能な情報機器を予め登録された情報機器に制限し、登録されていないその他の情報機器から受け付けた印刷データは、画像形成装置10に登録された情報機器と連携しなければ印刷できないようにした認証管理が行われている。
【0034】
画像形成装置10に登録され、画像形成装置10での印刷権限を有する情報機器が認証端末20であり、画像形成装置10に登録されておらず、認証端末20と連携しなければ画像形成装置10で印刷することができない情報機器が外部端末30である。
【0035】
例えば会社に設置されている画像形成装置10の場合、当該会社の社員は、日常の業務において画像形成装置10で印刷を行うことがあるため、社員が使用する情報機器は予め画像形成装置10に登録されている。このように、社員が使用する情報機器が認証端末20であるのに対して、一時的に会社を訪問してきた訪問者や協力会社の従業員といったゲストが使用する情報機器は画像形成装置10に登録されていないことから外部端末30となる。すなわち、画像形成装置10は、認証端末20から受け付けた印刷データと、外部端末30から受け付けた印刷データを区別して取り扱う。
【0036】
こうした認証管理が行われた画像形成装置10は、通信部11、認証部12、印刷データDB(Database)13、画像形成部14、ユーザIF(Interface)部15、及び制御部16の各機能部を含む。
【0037】
通信部11は、通信回線2を通じて認証端末20及び外部端末30から印刷データ、印刷設定を含む印刷指示、及び印刷を要求する情報機器を一意に識別する識別情報を受信すると共に、認証端末20及び外部端末30に対して、画像形成装置10で実行する印刷に関する各種情報を送信する。
【0038】
認証部12は、通信部11で受け付けた識別情報と、予め登録されている情報機器の識別情報とを照合して、印刷を要求する情報機器が認証端末20であるか、それとも外部端末30であるかを認証する。具体的には、認証部12は、画像形成装置10に予め登録されている識別情報の中に通信部11で受け付けた識別情報と一致する識別情報が含まれる場合に、印刷を要求する情報機器が認証端末20であると判定する。
【0039】
認証部12での認証に用いる識別情報は、情報機器に予め設定されている端末名やMACアドレス等、印刷を要求する情報機器を一意に識別することができる情報であればどのようなものであってもよい。
【0040】
印刷データDB13は、通信部11で受け付けた印刷データを記憶する。
【0041】
画像形成部14は、印刷データDB13に記憶された印刷データで表される画像を記録媒体に印刷する。画像形成部14における画像の画像形成手法に制約はなく、例えばゼログラフィーやインクジェット等の公知の画像形成手法が用いられる。
【0042】
ユーザIF部15は、画像形成装置10を操作するユーザからの指示を受け付けて制御部16に通知すると共に、制御部16の指示に従って、画像形成装置10で実行する印刷に関する各種情報をユーザに出力する。
【0043】
制御部16は、通信部11、認証部12、印刷データDB13、画像形成部14、及びユーザIF部15がそれぞれ上述した処理を行うように、通信部11、認証部12、印刷データDB13、画像形成部14、及びユーザIF部15の制御を行う。
【0044】
画像形成装置10、認証端末20、及び外部端末30を接続する通信回線2は無線回線であり、複数の無線通信手段が用いられる。具体的には、画像形成装置10と認証端末20は近距離無線通信を用いて通信を行い、画像形成装置10と外部端末30は、無線LAN(Local Area Network)及び近距離無線通信を用いて通信を行う。
【0045】
近距離無線通信は、数cmから数十メートルまでの見通し距離の範囲内で通信を行う無線通信であり、例えばBLE(登録商標)及びNFC(Near Field Communication)が用いられる。なお、BLE(登録商標)は、“Bluetooth(登録商標) Low Energy”の略である。
【0046】
BLE(登録商標)及びNFCは共に近距離無線通信の一例であるが、説明の便宜上、区別して説明を行う。以降ではBLE(登録商標)を用いた無線通信を単に「近距離無線通信」という。また、NFCを用いた情報機器と画像形成装置10との無線通信は、情報機器を画像形成装置10に取り付けられたNFCリーダーに数cm程度まで近づけて行うことから「NFCタップ」と表すことにする。
【0047】
こうした図1に示す画像形成装置10はコンピュータ40を用いて実現される。図2は、画像形成装置10をコンピュータ40で構成した構成例を示す図である。
【0048】
コンピュータ40は、画像形成装置10が有する機能の実行を担うプロセッサの一例であるCPU(Central Processing Unit)41、コンピュータ40を画像形成装置10として機能させる画像形成プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)42、CPU41の一時的な作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)43、不揮発性メモリ44、及び入出力インターフェース(I/O)45を備える。CPU41、ROM42、RAM43、不揮発性メモリ44、及びI/O45はバス46を介して各々接続されている。
【0049】
不揮発性メモリ44は、不揮発性メモリ44に供給される電力が遮断されても記憶した情報が維持される記憶装置の一例であり、例えば半導体メモリが用いられるがハードディスクを用いてもよい。不揮発性メモリ44には、例えば予め登録されている認証端末20の識別情報が記憶される。
【0050】
I/O45には、例えば無線ユニット47、NFCユニット48、UI(User Interface)ユニット49、及び画像形成ユニット50が接続される。
【0051】
無線ユニット47は、近距離無線通信を用いて認証端末20とデータ通信を行う通信プロトコルと、無線LANを用いて外部端末30とデータ通信を行う通信プロトコルを備える。
【0052】
NFCユニット48はNFCリーダーを含み、NFCタップされた認証端末20及び外部端末30から識別情報を読み取ると共に、近距離無線通信で認証端末20と接続するために必要な情報、及び無線LANで外部端末30と接続するために必要な情報をそれぞれ認証端末20及び外部端末30に送信する。
【0053】
UIユニット49は、画像形成装置10と画像形成装置10を操作するユーザのインターフェースを提供するユニットであり、画像形成装置10を操作するユーザからの指示を受け付けてCPU41に通知すると共に、CPU41によって処理された情報を外部に出力する装置である。UIユニット49は、例えばボタン、タッチパネル、及び液晶ディスプレイで構成され、液晶ディスプレイにタッチパネルが重畳して取り付けられている。CPU41によって処理された情報は液晶ディスプレイに表示され、タッチパネルを介して選択された液晶ディスプレイの位置に表示されているボタン等のオブジェクトと関連付けられた処理が実行される。
【0054】
なお、UIユニット49では、液晶ディスプレイの代わりに有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示デバイスを用いてもよい。
【0055】
画像形成ユニット50は、CPU41の指示に従って記録媒体に画像を形成する。
【0056】
一方、図1に示す認証端末20及び外部端末30の情報機器もそれぞれコンピュータ60を用いて実現される。図3は、認証端末20及び外部端末30をコンピュータ60で構成した構成例を示す図である。なお、図3の説明では認証端末20及び外部端末30を区別して説明する必要がないため、認証端末20及び外部端末30を単に「情報機器」と表すことにする。
【0057】
コンピュータ60は、情報機器が有する機能の実行を担うプロセッサの一例であるCPU61、コンピュータ60を情報機器として機能させるプログラムを記憶するROM62、CPU61の一時的な作業領域として使用されるRAM63、不揮発性メモリ64、及びI/O65を備える。CPU61、ROM62、RAM63、不揮発性メモリ64、及びI/O65はバス66を介して各々接続されている。
【0058】
不揮発性メモリ64には、例えば画像形成装置10で印刷しようとしている印刷データが記憶される。
【0059】
I/O65には、例えば無線ユニット67、NFCユニット68、及びUIユニット69が接続される。
【0060】
無線ユニット67は、無線LAN及び近距離無線通信を用いて画像形成装置10とデータ通信を行う通信プロトコルを備える。なお、認証端末20の無線ユニット67では、画像形成装置10とのデータ通信に近距離無線通信が用いられ、外部端末30の無線ユニット67では、画像形成装置10とのデータ通信に無線LANが用いられる。
【0061】
NFCユニット68は、NFCタップした画像形成装置10に情報機器の識別情報を送信すると共に、無線ユニット67を用いて画像形成装置10と接続するために必要な情報を画像形成装置10から受信する。
【0062】
UIユニット69は、情報機器と情報機器を操作するユーザのインターフェースを提供するユニットであり、情報機器を操作するユーザからの指示を受け付けてCPU61に通知すると共に、CPU61によって処理された情報を外部に出力する。画像形成装置10のUIユニット49と同じく、UIユニット69は、例えばボタン、タッチパネル、及び液晶ディスプレイで構成され、液晶ディスプレイにタッチパネルが重畳して取り付けられている。当然のことながら、液晶ディスプレイの代わりに有機ELディスプレイ等の表示デバイスが用いられることがある。
【0063】
説明の便宜上、以降では情報機器のうち認証端末20を操作するユーザを「社員」、外部端末30を操作するユーザを「ゲスト」ということにする。
【0064】
次に、画像形成装置10における印刷処理について詳細に説明する。
【0065】
図4は、例えば画像形成装置10の電源投入後に、画像形成装置10のCPU41によって実行される印刷処理の一例を示すフローチャートであり、図5は、図4に示す印刷処理を実行した場合に画像形成装置10、認証端末20、及び外部端末30の間で送受信されるデータの流れを示すシーケンス図である。
【0066】
印刷処理を規定する画像形成プログラムは、例えば画像形成装置10のROM42に予め記憶されている。画像形成装置10のCPU41は、ROM42に記憶される画像形成プログラムを読み込み、印刷処理を実行する。
【0067】
認証端末20が画像形成装置10で印刷を行う場合、及び外部端末30による印刷を許可する場合には通信回線2を通じて画像形成装置10に接続する必要がある。そのため、認証端末20で接続サービスを開始すると、最初に画像形成装置10との接続手順が案内される。
【0068】
図6は、認証端末20に表示される画像形成装置10との接続手順の案内例を示す図である。認証端末20が画像形成装置10と接続しようとする場合、認証端末20には画像形成装置10に対してNFCタップを促す図6(A)に示すような案内が表示される。また、後ほど図8で説明するように、外部端末30で印刷を行うとする場合にも、画像形成装置10に対してNFCタップを促す案内が表示される。これに伴い、認証端末20又は外部端末30によるNFCタップが行われる。
【0069】
認証端末20又は外部端末30によってNFCタップが行われると、図4のステップS10において、CPU41は、認証端末20及び外部端末30の何れの情報機器が画像形成装置10に対してNFCタップを行ったか否かを、NFCユニット48を通じて検知する。認証端末20又は外部端末30によるNFCタップが検知されない場合、CPU41は、ステップS10の判定処理を繰り返し実行してNFCタップの検知を続行する。認証端末20又は外部端末30によるNFCタップが検知された場合にはステップS20に移行する。なお、図5のシーケンスF1は、認証端末20によってNFCタップが行われた場合の状況を表している。
【0070】
図4のステップS20において、CPU41は、画像形成装置10に対してNFCタップを行った情報機器が認証端末20であるか否かを判定する。情報機器によってNFCタップが行われた場合、NFCタップを行った情報機器から画像形成装置10に識別情報が送信される。したがって、CPU41は、NFCユニット48を通じて受信した識別情報が、不揮発性メモリ44に予め記憶されている認証端末20の識別情報の何れかと一致する場合に、NFCタップを行った情報機器が認証端末20であると判定すればよい。
【0071】
NFCタップを行った情報機器が認証端末20である場合、ステップS30に移行する。なお、以降の説明では、NFCタップを行った認証端末20のことを、単に「認証端末20」ということにする。
【0072】
ステップS30において、CPU41は、無線ユニット47を制御することで認証端末20に接続して、認証端末20との間で近距離無線通信を用いたデータ通信が可能な状態にする。
【0073】
そのためにCPU41は、まずNFCユニット48を通じて認証端末20にアドバタイズ情報を送信する(図5のシーケンスF2)。
【0074】
画像形成装置10からアドバタイズ情報を受信した認証端末20は近距離無線通信を用いてアドバタイズを行う。アドバタイズとは、認証端末20に接続するのに必要な情報(「接続情報」という)を、認証端末20が近距離無線通信の電波の到達範囲内にある他の機器(この場合、画像形成装置10)に予め定めた間隔で繰り返しブロードキャスト送信し、画像形成装置10が近距離無線通信経由で認証端末20に接続してくるのを待つ処理である。
【0075】
認証端末20から接続情報を受信した画像形成装置10のCPU41は、受信した接続情報を用いて認証端末20に接続する(図5のシーケンスF3)。これにより、画像形成装置10と認証端末20との間で近距離無線通信による通信回線2が確立される。画像形成装置10との接続が完了すると、認証端末20には、図6(B)に示すような接続完了の通知が表示される。
【0076】
認証端末20との間で近距離無線通信による通信回線2が確立された後、図4のステップS40において、CPU41は、近距離無線通信経由で認証端末20から印刷データを受信したか否かを判定する。印刷データを受信していない場合には、ステップS50に移行する。
【0077】
一方、外部端末30が画像形成装置10で印刷を実行する場合にも画像形成装置10に対するNFCタップが印刷の起点となることから(図5のシーケンスF4)、ステップS50において、CPU41は、外部端末30によるNFCタップを検知したか否かを判定する。
【0078】
外部端末30によるNFCタップが検知されない場合にはステップS40に移行する。すなわち、CPU41は、認証端末20から印刷データを受信するか、又は外部端末30によるNFCタップを検知するまではステップS40とステップS50を繰り返し実行して状況の変化を監視する。
【0079】
ステップS50の判定処理で外部端末30によるNFCタップが検知された場合にはステップS60に移行する。
【0080】
外部端末30の場合、認証端末20と異なりどのような機種が用いられているかわからない。したがって、ステップS60において、CPU41は無線ユニット47を制御して、情報機器であればどのような機種であっても予め備えられている無線LANで外部端末30と接続し、外部端末30との間で無線LANを用いたデータ通信が可能な状態にする。
【0081】
そのためにCPU41は、無線LANで画像形成装置10に接続するために必要な接続情報(例えばIPアドレス等)を、NFCユニット48を通じて外部端末30に送信する(図5のシーケンスF5)。画像形成装置10から接続情報を受信した外部端末30は、受信した接続情報を用いて無線LAN経由で画像形成装置10に接続する(図5のシーケンスF6)。これにより、画像形成装置10と外部端末30との間で無線LANによる通信回線2が確立される。画像形成装置10との接続が完了すると、外部端末30には、図6(B)に示すような接続完了の通知が表示される。
【0082】
外部端末30が画像形成装置10に対してNFCタップを行ったということは、ゲストが外部端末30から印刷を実行したいということを表している。
【0083】
図7は、外部端末30における印刷の実行例を示す図である。ゲストが外部端末30から印刷を行う場合、外部端末30にインストールされた印刷ドライバが、印刷対象となる印刷データに対して印刷設定を行う設定画面を表示する。印刷設定とは、印刷データの印刷可否の判断に供する情報や、印刷データを印刷する場合に印刷データをどのような形式で印刷するかを画像形成装置10に指示する情報のことである。
【0084】
例えば印刷設定には、印刷データで表される画像をカラーで印刷するのか、それとも白黒で印刷するのかを指示するカラーモードや、印刷データで表される画像を記録媒体の両面に印刷するのか、それとも片面に印刷するのかを指示する印刷面や、印刷部数及び使用する記録媒体のサイズ等の設定が含まれる。
【0085】
図7(A)は、印刷データに対して印刷設定を行う設定画面例を示す図である。図7(A)に示す印刷画面では、印刷設定の項目と共に印刷データによって表される画像の先頭ページのサムネイル3が表示されている。ゲストが設定画面に表示される各印刷設定の内容を設定した後に印刷ボタンを選択すると、図7(B)に示すようなNFCタップの案内を表示したダイアログ32が外部端末30に表示される。
【0086】
ゲストがダイアログ32に表示されたNFCタップの案内に従って画像形成装置10のNFCユニット48に外部端末30を近づけNFCタップを行うと、図4のステップS50の判定処理により、外部端末30によるNFCタップが検知され、無線LANで画像形成装置10と外部端末30とが接続される。
【0087】
無線LANで画像形成装置10と外部端末30とが接続されると、外部端末30は無線LAN経由で画像形成装置10に印刷対象となる印刷データを印刷設定と共に送信する(図5のシーケンスF7)。なお、図7(C)は、印刷データを送信している外部端末30に表示される画面例を示す図である。
【0088】
したがって、ステップS70において、CPU41は、無線LAN経由で外部端末30から印刷データを受信したか否かを判定する。
【0089】
印刷データを受信していない場合には、ステップS70の判定処理を繰り返し実行して、外部端末30から印刷データを受信するまで待機する。一方、外部端末30から印刷データを受信した場合にはステップS80に移行する。
【0090】
既に説明したように、外部端末30自体には印刷権限がないため、CPU41は、外部端末30から印刷データを受信したからといって印刷準備に入ることはなく、受信した印刷データを一旦RAM43に記憶する。その上で、ステップS80において、CPU41は、NFCタップを行った認証端末20に対して外部端末30から受信した印刷データの印刷可否を問い合わせる問い合わせ通知を近距離無線通信経由で認証端末20に送信する。
【0091】
近距離無線通信を用いて認証端末20に問い合わせ通知を送信する場合、まずCPU41は、Notifyコマンドを用いて問い合わせに対する対応指示を画像形成装置10に送信するように認証端末20に指示する(図5のシーケンスF8)。その後、CPU41は、Writeコマンドを用いて問い合わせ通知を認証端末20に送信する(図5のシーケンスF9)。
【0092】
このようにして画像形成装置10から問い合わせ通知を受信した認証端末20では、外部端末30から受信した印刷データに対する印刷可否の確認処理が実行される。
【0093】
図8は、印刷可否の確認処理によって認証端末20に表示される画面例を示す図である。画像形成装置10から問い合わせ通知を受信すると、認証端末20には図8(A)に示すような確認画面が表示される。確認画面には、外部端末30から受信した印刷データに対して印刷許可を与える指示を行う印刷ボタンと、印刷許可を与えない指示を行う不許可ボタンが表示される。
【0094】
社員は、ゲストが外部端末30から印刷しようとしている印刷データに印刷許可を与える場合には印刷ボタンを選択する。図8(B)は、社員が確認画面の許可ボタンを選択した場合に認証端末20に表示される画面例を示す図であり、ゲストが外部端末30から印刷しようとしている印刷データに印刷許可を与えたことが表示される。
【0095】
一方、社員は、ゲストが外部端末30から印刷しようとしている印刷データに印刷許可を与えないようにする場合には不許可ボタンを選択する。図8(C)は、社員が確認画面の不許可ボタンを選択した場合に認証端末20に表示される画面例を示す図であり、ゲストが外部端末30から印刷しようとしている印刷データに印刷許可を与えなかったことが表示される。
【0096】
社員によって確認画面の許可ボタン又は不許可ボタンが選択されると、認証端末20は、Notifyコマンドを用いて問い合わせ通知に対する対応指示を画像形成装置10に送信する(図5のシーケンスF10)。
【0097】
したがって、図4のステップS90において、CPU41は、外部端末30から受信した印刷データに対する対応指示を認証端末20から受信したか否かを判定する。認証端末20から対応指示を受信していない場合にはステップS90の判定処理を繰り返し実行して、対応指示の受信を監視する。一方、認証端末20から対応指示を受信した場合にはステップS100に移行する。
【0098】
認証端末20で確認画面の許可ボタンが選択された場合には対応指示の内容が印刷許可に設定され、認証端末20で確認画面の不許可ボタンが選択された場合には対応指示の内容が印刷禁止に設定される。すなわち、対応指示は印刷データの印刷を許可するか否かを示す指示の一例である。
【0099】
したがって、ステップS100において、CPU41は、対応指示の内容が印刷許可に設定されているか否かを判定する。対応指示の内容が印刷許可に設定されている場合にはステップS110に移行し、ステップS110において、CPU41は、外部端末30から受信した印刷データの印刷準備を行う。印刷準備とは、画像形成装置10の状態を印刷が可能な状態に移行させることであり、例えば画像の濃度補正や熱で記録媒体に画像を定着させる定着装置の加熱といった画像形成ユニット50のウォームアップが行われる。
【0100】
CPU41は、印刷準備が完了した後に印刷データの印刷を開始してもよいが、印刷データの送信元である情報機器に印刷準備が完了したことを通知し、印刷データの送信元である情報機器から印刷開始の指示を受信してから印刷データの印刷を開始してもよい。したがって、外部端末30から印刷データを受信した場合には、CPU41は、無線LANを通じて外部端末30に印刷準備が完了したことを通知し、外部端末30から印刷開始の指示を受信してから印刷データの印刷を開始してもよい。なお、CPU41は外部端末30から印刷データを受信した場合、外部端末30に印刷準備が完了したことを通知するのではなく、認証端末20に外部端末30から受信した印刷データの印刷準備が完了したことを通知し、認証端末20から印刷開始の指示を受信してから印刷データの印刷を開始してもよい。なお、印刷データの印刷とは、印刷データによって表される画像の印刷のことを意味する。CPU41は、印刷データの印刷を実行すると図4に示す印刷処理を終了する。
【0101】
一方、ステップS100の判定処理で対応指示の内容が印刷禁止に設定されている場合には、CPU41は、外部端末30から受け付けた印刷データを印刷することなく、図4に示す印刷処理を終了する。
【0102】
なお、図4のステップS40の判定処理で認証端末20から印刷データを受信したと判定された場合、認証端末20は印刷権限を有していることから、認証端末20に問い合わせ通知を送信して社員に印刷可否の判断を仰ぐまでもなく、認証端末20から受信した印刷データを印刷して構わない。したがって、ステップS50~S100の処理を実行することなくステップS110に移行し、CPU41は、認証端末20から受信した印刷データの印刷を実行する。
【0103】
一方、図4のステップS20の判定処理で画像形成装置10に対してNFCタップを行った情報機器が認証端末20ではないと判定された場合、すなわち、外部端末30がNFCタップを行ったと判定された場合にはステップS120に移行する。
【0104】
このように認証端末20より先に外部端末30がNFCタップを行った場合であっても、CPU41は認証端末20と連携して外部端末30から受信した印刷データを記録媒体に印刷できるように、ステップS120においてゲスト印刷処理を実行して図4に示す印刷処理を終了する。
【0105】
図9は、図4のステップS120で実行されるゲスト印刷処理の一例を示すフローチャートであり、図10は、図9に示すゲスト印刷処理を実行した場合に画像形成装置10、認証端末20、及び外部端末30の間で送受信されるデータの流れを示すシーケンス図である。
【0106】
図10のシーケンスF4に示すように、認証端末20がNFCタップを行うよりも先に外部端末30がNFCタップを行った場合、図9のステップS200において、CPU41は、図4のステップS60で説明したように、無線LAN経由で外部端末30と接続し、外部端末30との間で無線LANを用いたデータ通信が可能な状態にする(図10のシーケンスF5及びシーケンスF6)。
【0107】
NFCタップを行った外部端末30と無線LANで接続されると図9のステップS210において、CPU41は、無線LAN経由で外部端末30から印刷データを受信したか否かを判定する。
【0108】
印刷データを受信していない場合には、ステップS210の判定処理を繰り返し実行して、外部端末30から印刷データを受信するまで待機する。一方、外部端末30から印刷データを受信した場合には(図10のシーケンスF7)、ステップS220に移行する。
【0109】
外部端末30から受け付けた印刷データを画像形成装置10で印刷するためには、社員の印刷許可が必要となる。したがって、ゲストは社員に声をかけて、認証端末20で画像形成装置10のNFCユニット48をNFCタップしてもらうように声をかける。
【0110】
一方、ステップS220において、CPU41は、認証端末20によるNFCタップを検知したか否かを判定する。認証端末20によるNFCタップが検知されない場合にはステップS220の判定処理を繰り返し実行して、認証端末20によるNFCタップの実行を監視する。一方、認証端末20によるNFCタップが検知された場合には(図10のシーケンスF1)、ステップS230に移行する。
【0111】
ステップS230において、CPU41は、図4のステップS30で説明したように、無線ユニット47を制御することで認証端末20に接続して、認証端末20との間で近距離無線通信を用いたデータ通信が可能な状態にする(図10のシーケンスF2及びシーケンスF3)。
【0112】
ステップS240において、CPU41は、外部端末30から受信した印刷データに対する問い合わせ通知を、近距離無線通信経由で認証端末20に送信する(図10のシーケンスF8及びシーケンスF9)。
【0113】
図8で既に説明したように、認証端末20では問い合わせ通知に対して確認処理が実行され、問い合わせ通知に対する対応指示が画像形成装置10に送信されるため、ステップS250において、CPU41は、外部端末30から受信した印刷データに対する対応指示を認証端末20から受信したか否かを判定する。認証端末20から対応指示を受信していない場合にはステップS250の判定処理を繰り返し実行して、対応指示の受信を監視する。一方、認証端末20から対応指示を受信した場合には(図10のシーケンスF10)、ステップS260に移行する。
【0114】
ステップS260において、CPU41は、受信した対応指示の内容が印刷許可に設定されているか否かを判定する。対応指示の内容が印刷許可に設定されている場合にはステップS270に移行し、ステップS270において、CPU41は、受信した印刷データの印刷準備を行い、印刷データの印刷を実行すると図9に示すゲスト印刷処理を終了する。
【0115】
一方、ステップS260の判定処理で対応指示の内容が印刷禁止に設定されている場合には、CPU41は、外部端末30から受け付けた印刷データを印刷することなく、図9に示すゲスト印刷処理を終了する。なお、図9のゲスト印刷処理を終了することは、図4の印刷処理を終了することでもある。
【0116】
以上により図4に示した印刷処理の説明を終了する。
【0117】
図9に示したゲスト印刷処理では、外部端末30から送信した印刷データを画像形成装置10で印刷するため、ゲストは、社員に声をかけて画像形成装置10のNFCユニット48に認証端末20をNFCタップするように依頼した。しかしながら、CPU41は、図9のステップS210の判定処理で外部端末30から印刷データを受信したと判定した場合、ステップS220の判定処理を実行する前にステップS230を実行して近距離無線通信によって認証端末20に接続し、画像形成装置10のNFCユニット48に認証端末20をNFCタップするように依頼する依頼通知を認証端末20に送信してもよい。この場合、画像形成装置10がペリフェラルとなりアドバタイズを実行することになる。
【0118】
なお、社員が認証端末20を携帯したまま近距離無線通信の電波の到達範囲外に移動している場合、問い合わせ通知や依頼通知が認証端末20に送信されずに送信失敗となる。問い合わせ通知や依頼通知の送信に失敗した場合、ゲストが印刷データの印刷許可を待ち続けないように、CPU41は、問い合わせ通知や依頼通知の送信に失敗したことをゲストに知らせるエラー通知を無線LAN経由で外部端末30に送信することが好ましい。
【0119】
また、NFCタップの依頼通知はブロードキャスト送信されることから、例えば外部端末30が複数存在する場合には、認証端末20で依頼通知を受信した社員は、どの外部端末30から要求されたNFCタップの依頼であるのかがわからないことがある。したがって、CPU41は、印刷データを送信してきた外部端末30の識別情報を依頼通知と共に認証端末20に送信してもよい。社員は、外部端末30の識別情報によって自分と関係するゲストからのNFCタップの依頼であるか否かを判断できるようになるため、自分と関係するゲストからのNFCタップの依頼であれば、画像形成装置10のNFCユニット48に認証端末20をNFCタップすればよい。
【0120】
同様に、図4のステップS80、及び図9のステップS240による問い合わせ通知を認証端末20で受信した社員は、単に外部端末30から受信した印刷データの印刷可否を問い合わせる問い合わせ通知だけでは、どの外部端末30から受信した印刷データなのか、また、どのような内容の印刷データなのかがわからず、印刷データの印刷を許可してよいのか判断に困ることがある。
【0121】
したがって、CPU41は、印刷データを送信してきた外部端末30の識別情報、及び外部端末30から受信した印刷データの内容を表すデータ情報の少なくとも一方を、問い合わせ通知と共に認証端末20に送信してもよい。
【0122】
具体的には、外部端末30の識別情報とは外部端末30の端末名や外部端末30を操作するゲストのゲスト名といった外部端末30を一意に識別する情報であり、印刷データの内容を表すデータ情報は、印刷データを印刷した場合に記録媒体に形成される画像のサムネイル3や印刷データのファイル名である。
【0123】
図11は、印刷データを送信してきた外部端末30の端末名と、外部端末30から受信した印刷データによって表される画像のサムネイル3とを、問い合わせ通知と共に画像形成装置10から受信した認証端末20に表示される確認画面の一例を示す図である。図11に示す確認画面の例では、「ゲスト用端末A」といった外部端末30の端末名と、印刷データによって表される画像のサムネイル3が表示されている。したがって、社員は、誰のどのような印刷データに対して印刷可否の問い合わせがきているのかを把握することができるため、外部端末30の端末名や画像のサムネイル3が表示されない場合と比較して、印刷可否の判断を行いやすくなる。
【0124】
なお、外部端末30の端末名や外部端末30を操作するゲストのゲスト名といった外部端末30の識別情報が偽造され、いわゆる「なりすまし」による印刷が行われることも考えられることから、CPU41は、セキュリティー対策を追加した印刷処理を行うようにしてもよい。
【0125】
具体的には、社員とゲストで同じPIN(Personal Identification Number)コードを共有しておき、ゲストは図7(A)に示した設定画面でPINコードを設定して、PINコードを印刷データと共に画像形成装置10に送信する。CPU41は、外部端末30から受信した印刷データにPINコードが設定されている場合には、問い合わせ通知と共にPINコードも認証端末20に送信する。
【0126】
問い合わせ通知と共にPINコードを受信した認証端末20のCPU61が、図8(A)や図11に示した確認画面に画像形成装置10から受信したPINコードを表示すれば、社員は、受信した問い合わせ通知が正規のゲストの印刷データに対する印刷可否の問い合わせであることを把握することができるようになる。こうしたPINコードは、印刷データの印刷可否に用いられることから、印刷設定の一例である。
【0127】
このように本実施形態に係る画像形成システム1によれば、印刷権限を有していない外部端末30であっても、認証端末20と連携することによって画像形成装置10で印刷データを印刷することができるようになる。
【0128】
<画像形成装置10における印刷処理の変形例>
図4に示した印刷処理では、認証端末20で画像形成装置10から問い合わせ通知を受信した社員は、図8(A)や図11に示した確認画面を通じて対応指示を入力することになるが、ここでは社員が認証端末20で対応指示を入力しなくても、画像形成装置10で外部端末30から受信した印刷データの印刷可否を判断することができる印刷処理の変形例について説明する。
【0129】
図12は、画像形成装置10のCPU41によって実行される本変形例に係る印刷処理の一例を示すフローチャートである。図12に示す印刷処理のフローチャートが図4に示した印刷処理のフローチャートと異なる点はステップS80~ステップS100が削除された代わりにステップS75が追加され、ステップS120がステップS120Aに置き換えられた点である。
【0130】
また、図13は、図12に示した本変形例に係る印刷処理のステップS120Aを構成するゲスト印刷処理の一例を示すフローチャートである。図13に示すゲスト印刷処理が図9に示したゲスト印刷処理と異なる点はステップS220~S260が削除された代わりにステップS215が追加された点である。
【0131】
図12及び図13共に、上記に示した相違点以外の処理はそれぞれ図4に示した印刷処理、及び図9に示したゲスト印刷処理と同じである。
【0132】
図12に示す印刷処理の変形例を規定する画像形成プログラムは、例えば画像形成装置10のROM42に予め記憶されている。画像形成装置10のCPU41は、ROM42に記憶される画像形成プログラムを読み込み、図12に示す印刷処理の変形例を実行する。
【0133】
なお、画像形成装置10の不揮発性メモリ44には、外部端末30から受信した印刷データに対して印刷を許可する印刷設定、すなわち「許可印刷設定」が予め記憶されている。許可印刷設定は、社員による画像形成装置10のUIユニット49の操作、又は社員による認証端末20のUIユニット69の操作によって設定される。社員が認証端末20で許可印刷設定を設定した場合、設定された許可印刷設定は近距離無線通信を通じて画像形成装置10の不揮発性メモリ44に記憶されるが、認証端末20で画像形成装置10のNFCユニット48をNFCタップすることで画像形成装置10の不揮発性メモリ44に許可印刷設定を記憶してもよい。
【0134】
図12におけるステップS70の判定処理で、認証端末20よりも後にNFCタップが行われた外部端末30から印刷データを受信したと判定された場合には、ステップS75が実行される。
【0135】
ステップS75において、CPU41は、外部端末30から印刷データと共に受信した印刷設定が許可印刷設定と同じ内容に設定されているか否かを判定する。印刷データの印刷設定が許可印刷設定と同じ内容に設定されている場合には、当該印刷設定が行われている印刷データは問い合わせ通知で社員に印刷可否を問い合わせなくても、社員が予め印刷を許可している印刷データということになる。したがって、CPU41は、認証端末20に問い合わせ通知を送信することなくステップS110に移行し、受信した印刷データの印刷準備を行った後、印刷データの印刷を開始する。
【0136】
一方、印刷データの印刷設定が許可印刷設定と異なる内容に設定されている場合には、当該印刷設定が行われている印刷データは問い合わせ通知で社員に印刷可否を問い合わせなくても、社員が予め印刷を禁止している印刷データということになる。したがって、CPU41は、認証端末20に問い合わせ通知を送信することなく図12に示す印刷処理を終了し、外部端末30から受信した印刷データを印刷しないようにする。
【0137】
具体的には、許可印刷設定としてカラーモードが選択されており、その内容が「白黒」に設定されている場合、印刷データのカラーモードが「白黒」に設定されていれば、CPU41は印刷データの印刷を行い、印刷データのカラーモードが「カラー」に設定されていれば、CPU41は印刷データの印刷を行わないようにする。
【0138】
なお、許可印刷設定が複数存在する場合、社員は印刷データの印刷設定と許可印刷設定の照合をAND照合で行うか、又はOR照合で行うかを予め設定しておくことができる。
【0139】
印刷データの印刷設定と許可印刷設定の照合がAND照合に設定されている場合、CPU41は、印刷データの印刷設定がすべての許可印刷設定と同じ内容に設定されていれば印刷データの印刷を行う。
【0140】
具体的には、許可印刷設定としてカラーモードと用紙サイズが選択されており、カラーモードの内容が「白黒」に設定され、用紙サイズの内容が「A4」に設定されている場合、印刷データのカラーモードが「白黒」に設定され、かつ、画像を印刷する用紙の用紙サイズが「A4」に設定されていれば、CPU41は印刷データの印刷を行う。
【0141】
一方、印刷データの印刷設定と許可印刷設定の照合がOR照合に設定されている場合、CPU41は、印刷データの印刷設定が少なくとも1つの許可印刷設定と同じ内容に設定されていれば印刷データの印刷を行う。
【0142】
具体的には、許可印刷設定としてカラーモードと用紙サイズが選択されており、カラーモードの内容が「白黒」に設定され、用紙サイズの内容が「A4」に設定されている場合、印刷データのカラーモードが「白黒」に設定されているか、又は画像を印刷する用紙の用紙サイズが「A4」に設定されていれば、CPU41は印刷データの印刷を行う。
【0143】
なお、印刷データの印刷設定と許可印刷設定の照合種類はAND照合とOR照合の他にも、例えば閾値照合が存在する。閾値照合とは、印刷データの印刷設定が予め設定された個数以上の許可印刷設定と同じ内容に設定されていれば印刷データの印刷を行う。
【0144】
具体的には、閾値として“3”が設定されている場合、印刷データの印刷設定が、複数ある許可印刷設定のうち何れか3つ以上の許可印刷設定と同じ内容に設定されていれば、CPU41は印刷データの印刷を行う。
【0145】
一方、図12のステップS20の判定処理で外部端末30がNFCタップを行ったと判定された場合にはステップS120Aに移行し、図13に示すゲスト印刷処理が実行される。図13に示すゲスト印刷処理において、無線LANを通じて外部端末30から印刷データを受信するとステップS215が実行される。
【0146】
ステップS215において、CPU41は図12におけるステップS75の判定処理と同様に、外部端末30から印刷データと共に受信した印刷設定が許可印刷設定と同じ内容に設定されているか否かを判定する。印刷データの印刷設定が許可印刷設定と同じ内容に設定されている場合には、当該印刷設定が行われている印刷データは問い合わせ通知で社員に印刷可否を問い合わせなくても、社員が予め印刷を許可している印刷データということになる。したがって、CPU41は、認証端末20に問い合わせ通知を送信することなくステップS270に移行し、受信した印刷データの印刷準備を行った後、印刷データの印刷を開始する。
【0147】
一方、印刷データの印刷設定が許可印刷設定と異なる内容に設定されている場合には、当該印刷設定が行われている印刷データは問い合わせ通知で社員に印刷可否を問い合わせなくても、社員が予め印刷を禁止している印刷データということになる。したがって、CPU41は、認証端末20に問い合わせ通知を送信することなく図13に示すゲスト印刷処理を終了し、外部端末30から受信した印刷データを印刷しないようにする。
【0148】
なお、許可印刷設定が複数存在する状況における、図12のステップS75で説明した印刷データの印刷設定と許可印刷設定の照合種類に関する説明は、図13のステップS215の判定処理にも適用される。
【0149】
このように印刷処理の変形例によれば、社員が認証端末20で対応指示を入力しなくても、外部端末30から受信した印刷データの印刷可否を画像形成装置10で判断することができる。
【0150】
<認証端末20における確認処理の変形例>
上記に示した画像形成装置10における印刷処理の変形例では、画像形成装置10の不揮発性メモリ44に許可印刷設定を予め記憶しておくことで、社員が認証端末20で対応指示を入力しなくても、外部端末30から受信した印刷データの印刷可否を判断することができる実施例について説明した。
【0151】
ここでは画像形成装置10の不揮発性メモリ44の代わりに、認証端末20の不揮発性メモリ64に許可印刷設定を予め記憶しておくことで、社員が認証端末20で対応指示を入力しなくても、外部端末30から受信した印刷データの印刷可否を判断することができる実施例について説明する。
【0152】
許可印刷設定は、社員による認証端末20のUIユニット69の操作によって認証端末20の不揮発性メモリ64に記憶される。
【0153】
画像形成装置10では図4に示した印刷処理が実行されるのに対して、認証端末20では図14に示す確認処理が実行される。なお、画像形成装置10が図4のS80及び図9のS240で認証端末20に送信する問い合わせ通知には、外部端末30から受信した印刷データの印刷設定が含まれているものとする。
【0154】
図14は、画像形成装置10から問い合わせ通知を受信した場合に、認証端末20のCPU61によって実行される本変形例に係る確認処理の一例を示すフローチャートである。
【0155】
確認処理を規定する認証プログラムは、例えば認証端末20のROM62に予め記憶されている。認証端末20のCPU61は、ROM62に記憶される認証プログラムを読み込み、確認処理を実行する。
【0156】
図14のステップS300において、CPU61は、画像形成装置10から問い合わせ通知と共に受信した印刷設定が、不揮発性メモリ64に記憶されている許可印刷設定と同じ内容に設定されているか否かを判定する。
【0157】
印刷データの印刷設定が許可印刷設定と異なる内容に設定されている場合には、外部端末30から受信した印刷データは、社員が予め印刷を禁止している印刷データということになる。したがって、ステップS310に移行し、ステップS310において、CPU61は無線ユニット67を制御して、内容を印刷禁止に設定した対応指示を近距離無線通信経由で画像形成装置10に送信して図14に示す確認処理を終了する。
【0158】
一方、印刷データの印刷設定が許可印刷設定と同じ内容に設定されている場合には、外部端末30から受信した印刷データは、社員が予め印刷を許可している印刷データということになる。したがって、ステップS320に移行し、ステップS320において、CPU61は無線ユニット67を制御して、内容を印刷許可に設定した対応指示を近距離無線通信経由で画像形成装置10に送信して図14に示す確認処理を終了する。
【0159】
なお、許可印刷設定が複数存在する状況における、図12のステップS75で説明した印刷データの印刷設定と許可印刷設定の照合種類に関する説明は、図14のステップS300の判定処理にも適用される。
【0160】
このように本変形例によれば、問い合わせ通知に対して社員が認証端末20で対応指示を入力しなくても、外部端末30から受信した印刷データの印刷可否が設定された対応指示を画像形成装置10に送信することができる。
【0161】
以上、実施形態を用いて画像形成システム1の一態様について説明したが、開示した画像形成システム1の形態は一例であり、画像形成システム1の形態は実施形態に記載の範囲に限定されない。本開示の要旨を逸脱しない範囲で実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、当該変更又は改良を加えた形態も開示の技術的範囲に含まれる。例えば、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、図4及び図9に示した印刷処理、図12及び図13に示した印刷処理の変形例、並びに、図14に示した確認処理の順序を変更してもよい。
【0162】
また、上記の実施形態では、一例として各処理をソフトウエアで実現する形態について説明した。しかしながら、図4図9、及び図12図14に示した各々のフローチャートと同等の処理をハードウエアで処理させるようにしてもよい。この場合、各処理をソフトウエアで実現した場合と比較して処理の高速化が図られる。
【0163】
上記の実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU41及びCPU61)や、専用のプロセッサ(例えば GPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0164】
また、上記の実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記の実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0165】
上記の実施形態では、ROM42に画像形成プログラムが記憶されている例について説明したが、画像形成プログラムの記憶先はROM42に限定されない。本開示の画像形成プログラムは、コンピュータ40で読み取り可能な記憶媒体に記録された形態で提供することも可能である。例えば画像形成プログラムをCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)及びDVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)のような光ディスクに記録した形態で提供してもよい。また、画像形成プログラムを、USB(Universal Serial Bus)メモリ及びメモリカードのような可搬型の半導体メモリに記録した形態で提供してもよい。
【0166】
同様に、本開示の認証プログラムもROM62に記憶される形態に限らず、コンピュータ60で読み取り可能な記憶媒体に記録された形態で提供することも可能である。
【0167】
ROM42、ROM62、不揮発性メモリ44、不揮発性メモリ64、CD-ROM、DVD-ROM、USB、及びメモリカードは非一時的(non-transitory)記憶媒体の一例である。
【0168】
更に、画像形成装置10は、無線LANに接続された図示しない外部装置から画像形成プログラムをダウンロードし、ダウンロードした画像形成プログラムを非一時的記憶媒体に記憶してもよい。この場合、画像形成装置10のCPU41は、図示しない外部装置からダウンロードした画像形成プログラムを読み込んで印刷処理を実行する。
【0169】
同様に、認証端末20は、無線LANに接続された図示しない外部装置から認証プログラムをダウンロードし、ダウンロードした認証プログラムを非一時的記憶媒体に記憶してもよい。この場合、認証端末20のCPU61は、図示しない外部装置からダウンロードした認証プログラムを読み込んで確認処理を実行する。
【符号の説明】
【0170】
1 画像形成システム、2 通信回線、3 サムネイル、10 画像形成装置、11 通信部、12 認証部、13 印刷データDB、14 画像形成部、15 ユーザIF部、16 制御部、20 認証端末、30 外部端末、32 ダイアログ、40(60) コンピュータ、41(61) CPU、42(62) ROM、43(63) RAM、44(64) 不揮発性メモリ、45(65) I/O、46(66) バス、47(67) 無線ユニット、48(68) NFCユニット、49(69) UIユニット、50 画像形成ユニット
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