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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】加熱ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20250304BHJP
【FI】
G03G15/20 515
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021068973
(22)【出願日】2021-04-15
(65)【公開番号】P2022163871
(43)【公開日】2022-10-27
【審査請求日】2024-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】池野 雄一
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-090865(JP,A)
【文献】特開2019-124800(JP,A)
【文献】特開2020-038400(JP,A)
【文献】特開2015-099327(JP,A)
【文献】特開2017-167462(JP,A)
【文献】特開2001-068261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板に支持された抵抗発熱体とを有するヒータと、
前記ヒータのニップ面に接触する内周面を有し、前記ヒータの周りを回転する無端状のベルトと、
前記ヒータとの間でベルトを挟むことでニップ部を形成する加圧部材と、
前記ヒータを支持するホルダと、
前記ヒータの前記ニップ面とは反対側の裏側面と前記ホルダの間に位置し、前記基板よりも熱伝導率が大きい熱伝導部材と、を備え、
前記基板の長手方向における前記熱伝導部材の端部は、前記長手方向において、前記ニップ部の前記長手方向の端部よりも外側に位置し、
前記熱伝導部材は、
前記長手方向において前記抵抗発熱体に対応する位置に位置し、前記ヒータの前記裏側面と接触する第1部分と、
前記長手方向において前記第1部分の外側に位置し、前記ヒータの前記裏側面と接触しない第2部分と、
前記長手方向において前記第2部分の外側に位置し、前記ヒータの前記裏側面と接触する第3部分と、を有することを特徴とする加熱ユニット。
【請求項2】
前記ニップ部の前記長手方向の端部は、前記長手方向において、前記抵抗発熱体の前記長手方向の端部よりも外側に位置することを特徴とする請求項1に記載の加熱ユニット。
【請求項3】
前記ベルトの前記内周面における、前記長手方向の端部をガイドするガイド面を有するガイド部材をさらに備え、
前記熱伝導部材の一部は、前記長手方向において、前記ガイド面の少なくとも一部と同じ位置に位置することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の加熱ユニット。
【請求項4】
前記第2部分は、前記ヒータの前記裏側面に対し、隙間を有する状態で対向していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の加熱ユニット。
【請求項5】
基板と、前記基板に支持された抵抗発熱体とを有するヒータと、
前記ヒータのニップ面に接触する内周面を有し、前記ヒータの周りを回転する無端状のベルトと、
前記ヒータとの間でベルトを挟むことでニップ部を形成する加圧部材と、
前記ヒータを支持するホルダと、
前記ヒータの前記ニップ面とは反対側の裏側面と前記ホルダの間に位置し、前記基板よりも熱伝導率が大きい熱伝導部材と、を備え、
前記基板の長手方向における前記熱伝導部材の端部は、前記長手方向において、前記ニップ部の前記長手方向の端部よりも外側に位置し、
前記熱伝導部材は、
前記長手方向において前記抵抗発熱体に対応する位置に位置し、前記ヒータの前記裏側面と接触する第1部分と、
前記長手方向において前記第1部分の外側に位置し、前記ヒータの前記裏側面と接触する第2部分であって、前記長手方向に直交する断面の断面積が前記第1部分よりも小さい第2部分と、
前記長手方向において前記第2部分の外側に位置し、前記ヒータの前記裏側面と接触する第3部分と、を有することを特徴とする加熱ユニット。
【請求項6】
前記第2部分は、穴を有することを特徴とする請求項に記載の加熱ユニット。
【請求項7】
前記抵抗発熱体の前記長手方向の端部は、前記長手方向において、前記第2部分の範囲内に位置することを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載の加熱ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の定着装置などに用いられる加熱ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱ユニットとして、無端状のベルトと、ベルトの内周面に接触する板状のヒータと、ヒータの長手方向の温度分布を均一に近づける熱伝導部材と、ヒータとの間でベルトを挟むことでニップ部を形成する加圧ローラと、を備えたものが知られている(特許文献1参照)。この技術では、熱伝導部材の長手方向の端部が、ニップ部の長手方向の端部よりも内側に位置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-43075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、熱伝導部材の長手方向の端部がニップ部の長手方向の端部よりも内側に位置するので、ニップ部のうち、熱伝導部材の長手方向の端部の内側と外側とで熱の流れが異なることにより、ニップ部の長手方向の端部で過昇温が起こり、シートが通らないヒータの端部の過昇温を緩和できないおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、シートが通らないヒータの端部が過昇温するのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る加熱ユニットは、基板と、前記基板に支持された抵抗発熱体とを有するヒータと、前記ヒータのニップ面に接触する内周面を有し、前記ヒータの周りを回転する無端状のベルトと、前記ヒータとの間でベルトを挟むことでニップ部を形成する加圧部材と、前記ヒータを支持するホルダと、前記ヒータの前記ニップ面とは反対側の裏側面と前記ホルダの間に位置し、前記基板よりも熱伝導率が大きい熱伝導部材と、を備える。
前記基板の長手方向における前記熱伝導部材の端部は、前記長手方向において、前記ニップ部の前記長手方向の端部よりも外側に位置する。
【0007】
この構成によれば、ニップ部の長手方向の端部の過昇温を熱伝導部材によって抑制することができるので、シートが通らないヒータの端部が過昇温するのを抑制することができる。
【0008】
また、前記ニップ部の前記長手方向の端部は、前記長手方向において、前記抵抗発熱体の前記長手方向の端部よりも外側に位置していてもよい。
【0009】
この構成によれば、例えば抵抗発熱体の長手方向の端部がニップ部の長手方向の端部よりも外側に位置する構成と比べ、シートが通らないヒータの端部が過昇温するのを抑制することができる。
【0010】
また、前記加熱ユニットは、前記ベルトの前記内周面における、前記長手方向の端部をガイドするガイド面を有するガイド部材をさらに備え、前記熱伝導部材の一部は、前記長手方向において、前記ガイド面の少なくとも一部と同じ位置に位置していてもよい。
【0011】
この構成によれば、ベルトの内周面の端部をガイドするガイド面の少なくとも一部と熱伝導部材の一部が同じ位置に位置することで、ベルトの端部が過昇温するのを熱伝導部材によって抑制することができる。
【0012】
また、前記熱伝導部材は、前記長手方向において前記抵抗発熱体に対応する位置に位置し、前記ヒータの前記裏側面と接触する第1部分と、前記長手方向において前記第1部分の外側に位置し、前記ヒータの前記裏側面と接触しない第2部分と、前記長手方向において前記第2部分の外側に位置し、前記ヒータの前記裏側面と接触する第3部分と、を有していてもよい。
【0013】
この構成によれば、第1部分から第3部分への熱伝導を鈍らせることができるので、ヒータの端部が過昇温するのを抑制することができる。
【0014】
また、前記第2部分は、前記ヒータの前記裏側面に対し、隙間を有する状態で対向していてもよい。
【0015】
この構成によれば、第2部分をヒータの裏側面と接触しないようにすることができる。
【0016】
また、前記熱伝導部材は、前記長手方向において前記抵抗発熱体に対応する位置に位置し、前記ヒータの前記裏側面と接触する第1部分と、前記長手方向において前記第1部分の外側に位置し、前記ヒータの前記裏側面と接触する第2部分であって、前記長手方向に直交する断面の断面積が前記第1部分よりも小さい第2部分と、前記長手方向において前記第2部分の外側に位置し、前記ヒータの前記裏側面と接触する第3部分と、を有していてもよい。
【0017】
この構成によれば、第1部分から第3部分への熱伝導を鈍らせることができるので、ヒータの端部が過昇温するのを抑制することができる。
【0018】
また、前記第2部分は、穴を有していてもよい。
【0019】
この構成によれば、熱伝導部材に断面積が小さい第2部分を容易に形成することができる。
【0020】
また、前記抵抗発熱体の前記長手方向の端部は、前記長手方向において、前記第2部分の範囲内に位置していてもよい。
【0021】
この構成によれば、抵抗発熱体の熱が抵抗発熱体の端部より外側に伝わることを抑制でき、抵抗発熱体の端部の近くにおいて、温度の低下を抑制できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、シートが通らないヒータの端部が過昇温するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】加熱ユニットの構成を示す横断面図である。
図2】第1実施形態に係る加熱ユニットの構成を示す縦断面図(a)と、ヒータの抵抗発熱体が配置された面の構成を示す図(b)である。
図3】加熱ユニットの長手方向の両端部を拡大して示す図である。
図4】第2実施形態に係る加熱ユニットの構成を示す縦断面図である。
図5】第2実施形態の熱伝導部材の構成を示す斜視図である。
図6】第3実施形態に係る加熱ユニットの長手方向の両端部を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、第1実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、加熱ユニット1は、電子写真方式の画像形成装置の定着装置や、熱により箔を転写する箔転写装置などに使用されるものである。加熱ユニット1は、ベルト3と、ヒータ10と、ホルダ20と、ステイ25と、熱伝導部材30と、加圧部材の一例としての加圧ローラ40と、ガイド部材50とを備えている。
【0025】
ベルト3は、無端状のベルトであり、金属や樹脂などからなる。ベルト3は、ヒータ10の周りを回転する。ベルト3は、外周面3Aと内周面3Bを有する。外周面3Aは、加熱対象となるシートまたは加圧ローラ40と接触する。内周面3Bは、ヒータ10のニップ面15に接触する。
【0026】
ヒータ10は、基板11と、基板11に支持された抵抗発熱体12と、カバー13とを有する。また、ヒータ10は、ベルト3の内周面3Bに接触するニップ面15と、ニップ面15とは反対側の裏側面16とを有する。
【0027】
基板11は、セラミックの細長い長方形の板からなる。ヒータ10は、いわゆるセラミックヒータである。
【0028】
抵抗発熱体12は、基板11の一方の面に、印刷により形成されている。図2(b)に示すように、本実施形態では、抵抗発熱体12は、2本設けられている。2本の抵抗発熱体12は、それぞれ、ヒータ10の長手方向(以下、ヒータ10の長手方向を単に「長手方向」という。)に長く、長手方向に直交する短手方向に互いに離れて平行に配置されている。各抵抗発熱体12の長手方向の一端部12Aには、それぞれ導線19Aが接続され、導線19Aの各端部には、抵抗発熱体12に電力を供給するための端子18が設けられている。また、各抵抗発熱体12の長手方向の他端部12Bは、導線19Bにより互いに接続されている。
【0029】
なお、抵抗発熱体12の本数は、特に限定されない。また、長手方向の中央部の発熱量を長手方向の端部の発熱量より大きくした抵抗発熱体と、長手方向の端部の発熱量を長手方向の中央部の発熱量より大きくした抵抗発熱体とを設けて、各抵抗発熱体を個別に制御することで、長手方向の発熱分布を調整できるようにしてもよい。
【0030】
図1に戻り、カバー13は、抵抗発熱体12を覆っている。カバー13は、例えば、ガラスなどからなる。
【0031】
ホルダ20は、ヒータ10を支持する部材である。ホルダ20は、支持部21と、案内部22とを有する。
支持部21は、ヒータ10の形状に対応した板形状を有する。支持部21は、ヒータ10が配置された側を向く面である支持面21Aと、支持面21Aとは反対側の内側面21Bとを有する。
【0032】
案内部22は、支持部21の短手方向の両端に設けられている。各案内部22は、ベルト3の内周面3Bに沿った案内面22Gを有する。
【0033】
ステイ25は、ホルダ20の支持部21の内側面21B側に設けられ、ホルダ20を支持する部材である。ステイ25は、長手方向に延び、ホルダ20より剛性が大きい板材、例えば、鋼板などを長手方向から見て略U字状に折り曲げることで形成される。
【0034】
加圧ローラ40は、ヒータ10との間でベルト3を挟むことでニップ部NPを形成している。加圧ローラ40は、円柱状のシャフト41と、円筒状のローラ部42とを有する。シャフト41は、例えば金属などからなる。ローラ部42は、例えばゴムなどからなる。ローラ部42は、シャフト41の一部を被覆する。ローラ部42は、ベルト3に接触する。ホルダ20および加圧ローラ40の一方は、他方に向けて付勢されている。
【0035】
ガイド部材50は、ベルト3の長手方向の端部をガイドする部材である。ガイド部材50は、ステイ25の長手方向の両端部に設けられる。図2(a)に示すように、ガイド部材50は、長手方向において、ベルト3の一端と他端に配置されている。なお、図2(a)等においては、便宜上、ステイ25の図示を省略している。
【0036】
ガイド部材50は、ガイド面51と、規制面52とを有する。ガイド面51は、ベルト3の内周面における長手方向の端部をガイドする面である。ガイド面51は、ベルト3の内周面3Bに沿った円弧状の面である(図1参照)。ガイド面51は、規制面52から長手方向において内側に延出している。ベルト3は、ガイド面51と案内部22の案内面22Gに案内され、ヒータ10、ホルダ20、およびステイ25の周りを回転する。
【0037】
規制面52は、ベルト3の長手方向への移動を規制する面である。規制面52は、長手方向に直交する方向に延びる面である。規制面52は、長手方向において、ベルト3の端部と対向している。規制面52は、ガイド面51よりもベルト3の外側に突出する。
【0038】
図1に示すように、熱伝導部材30は、ヒータ10の長手方向に熱を伝導して、ヒータ10の温度を、長手方向に均一化するための部材である。熱伝導部材30は、シート状の部材であり、ヒータ10の裏側面16とホルダ20の支持部21との間に位置する。加熱ユニット1が、加圧ローラ40との間で、加熱対象物であるシートを挟むときには、熱伝導部材30は、ヒータ10と支持部21により挟まれる。熱伝導部材30は、ヒータ10の裏側面16に接触するヒータ側面30Aと、ヒータ側面30Aとは反対側の反対面30Bとを有する。反対面30Bは、支持部21の支持面21Aと接触している。
【0039】
熱伝導部材30は、ヒータ側面30Aに平行な方向(以下、単に「平面方向」という。)における熱伝導率が、基板11の平面方向における熱伝導率よりも大きい部材である。熱伝導部材30の材料は特に限定されないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅などの熱伝導率が大きい金属を採用することができる。また、熱伝導部材30は、平面方向における熱伝導率が、ヒータ側面30Aに直交する厚み方向における熱伝導率より大きい異方性熱伝導部材であることが望ましい。異方性熱伝導部材としては、例えば、グラファイトシートを採用することができる。また、熱伝導部材30の厚さも特に限定されず、例えば、0.1mmより薄いフィルム状のものであってもよいし、1mmより厚い板状のものであってもよい。
【0040】
図2(a)に示すように、熱伝導部材30は、第1部分31と、2つの第2部分32と、2つの第3部分33とを有する。
【0041】
第1部分31は、長手方向において、抵抗発熱体12に対応する位置に位置する部分である。第1部分31は、長手方向において、抵抗発熱体12の一端部12Aおよび他端部12Bの内側に位置している。第1部分31は、ヒータ10の裏側面16と接触している。
【0042】
第2部分32は、長手方向において、第1部分31の外側に位置する部分である。第2部分32は、ヒータ10の裏側面16と接触しない。詳しくは、第2部分32は、熱伝導部材30を構成するシート状の部材の一部を、ヒータ10の裏側面16から離れる方向に凸となるように、略U字形状に曲げることで形成されている。第2部分32は、ヒータ10の裏側面16に対し、隙間を有する状態で対向している。
【0043】
第3部分33は、長手方向において、第2部分32の外側に位置する部分である。第3部分33は、ヒータ10の裏側面16と接触している。
【0044】
各部材の長手方向の長さの関係は、以下の通りである。
ホルダ20>基板11>熱伝導部材30>2つの規制面52の長手方向の間隔>ベルト3>加圧ローラ40のローラ部42(ニップ部NP)>抵抗発熱体12>加熱ユニット1で使用可能なシートの最大幅W1
【0045】
抵抗発熱体12の一端部12Aおよび他端部12Bは、長手方向において、最大幅W1のシートが通過可能な範囲の外側に位置している。抵抗発熱体12の一端部12Aおよび他端部12Bは、それぞれ、長手方向において、第2部分32の範囲内に位置している。第1部分31および第2部分32は、長手方向において、ニップ部NPの範囲内に位置している。
【0046】
抵抗発熱体12は、長手方向において、ニップ部NPの範囲内に位置している。言い換えると、図3に示すように、ニップ部NPの長手方向の一端部NP1は、長手方向において、抵抗発熱体12の一端部12Aよりも外側に位置している。ニップ部NPの長手方向の他端部NP2は、長手方向において、抵抗発熱体12の他端部12Bよりも外側に位置している。
【0047】
熱伝導部材30の長手方向の一端部38Aは、長手方向において、ニップ部NPの一端部NP1よりも外側に位置している。詳しくは、熱伝導部材30の一端部38Aは、一端側のガイド面51の長手方向の中央C1よりも長手方向の外側に位置している。より詳しくは、熱伝導部材30の一端部38Aは、長手方向において、一端側の規制面52よりも外側に位置している。
【0048】
熱伝導部材30の長手方向の他端部38Bは、長手方向において、ニップ部NPの他端部NP2よりも外側に位置している。詳しくは、熱伝導部材30の他端部38Bは、他端側のガイド面51の長手方向の中央C2よりも長手方向の外側に位置している。より詳しくは、熱伝導部材30の他端部38Bは、長手方向において、他端側の規制面52よりも外側に位置している。
【0049】
熱伝導部材30の一部は、長手方向において、ガイド面51の全体と同じ位置に位置している。言い換えると、ガイド面51は、長手方向において、熱伝導部材30の範囲内に位置する。詳しくは、第3部分33の一部が、長手方向において、ガイド面51の一部と同じ位置に位置し、第2部分32の一部が、長手方向において、ガイド面51の他部と同じ位置に位置している。
【0050】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
熱伝導部材30の端部38A,38Bが、長手方向において、ニップ部NPの端部NP1,NP2よりも外側に位置することで、ニップ部NPの端部NP1,NP2の過昇温を熱伝導部材30によって抑制することができるので、シートが通らないヒータ10の端部が過昇温するのを抑制することができる。
【0051】
ニップ部NPの端部NP1,NP2が、長手方向において、抵抗発熱体12の端部12A,12Bよりも外側に位置することで、例えば抵抗発熱体の端部がニップ部の端部よりも長手方向の外側に位置する構成と比べ、シートが通らないヒータ10の端部が過昇温するのを抑制することができる。
【0052】
熱伝導部材30の一部が、長手方向において、ガイド面51の全体と同じ位置に位置することで、ベルト3の端部が長手方向において熱伝導部材30の範囲内に位置するので、ベルト3の端部の熱をヒータ10を介して熱伝導部材30で拡散することができる。そのため、ベルト3の端部が過昇温するのを熱伝導部材30によって抑制することができる。
【0053】
ヒータ10と接触する第1部分31および第3部分33の間に、ヒータ10と接触しない第2部分32が介在することで、第1部分31から第3部分33への熱伝導を鈍らせることができるので、ヒータ10の端部が過昇温するのを抑制することができる。
【0054】
第2部分32がヒータ10の裏側面16に対して隙間を有する状態で対向していることで、第2部分32をヒータ10の裏側面16と接触しないようにすることができる。
【0055】
抵抗発熱体12の端部12A,12Bが、長手方向において、第2部分32の範囲内に位置するので、抵抗発熱体12の熱が抵抗発熱体12の端部12A,12Bより外側に伝わることを抑制でき、抵抗発熱体12の端部12A,12Bの近くにおいて、温度の低下を抑制できる。
【0056】
熱伝導部材30の端部38A,38Bが、ガイド面51の中央C1,C2よりも長手方向の外側に位置することで、長手方向において熱伝導部材30の一部がベルト3の端部の近くに位置するので、ベルト3の端部の熱をヒータ10を介して熱伝導部材30で拡散することができる。そのため、ベルト3の端部が過昇温するのを熱伝導部材30によって抑制することができる。
【0057】
熱伝導部材30の端部38A,38Bが、長手方向において、規制面52よりも外側に位置することで、ベルト3の端部が長手方向において熱伝導部材30の範囲内に位置するので、ベルト3の端部の熱をヒータ10を介して熱伝導部材30で拡散することができる。そのため、ベルト3の端部が過昇温するのをより確実に抑制することができる。
【0058】
次に、第2実施形態について説明する。なお、以下では、先に説明した実施形態と異なる点について詳細に説明し、先に説明した実施形態と同様の点については、例えば、同様の構成要素に同一の符号を付すなどして適宜説明を省略する。
【0059】
図4および図5に示すように、熱伝導部材30は、第1部分31と、2つの第2部分34と、2つの第3部分33とを有する。図5に示すように、熱伝導部材30は、曲げのない平らなシート状であり、熱伝導部材30の長手方向に直交する短手方向の長さが、長手方向にわたって略一定である。また、第1部分31の長手方向の長さは、第2部分34の長手方向の長さよりも長い。第1部分31は、長手方向において、抵抗発熱体12に対応する位置に位置する部分である。
【0060】
第2部分34は、長手方向において、第1部分31の外側に位置する部分である。第2部分34は、貫通した矩形の穴34Hを有している。穴34Hは、長手方向において、第1部分31の外側の端と第3部分33の内側の端に隣接している。第2部分34は、熱伝導部材30の短手方向において、穴34Hの両側の部分がヒータ10の裏側面16と接触している。抵抗発熱体12の一端部12Aおよび他端部12Bは、それぞれ、長手方向において、穴34Hの範囲内に位置している。
【0061】
第2部分34の、長手方向に直交する断面の断面積S34は、第1部分31の、長手方向に直交する断面の断面積S31よりも小さくなっている。すなわち、長手方向における単位長さあたりの第2部分34とヒータ10の裏側面16との接触面積は、長手方向における単位長さあたりの第1部分31とヒータ10の裏側面16との接触面積よりも小さくなっている。
【0062】
なお、第1部分31の、長手方向に直交する断面は、第1部分31に、例えば、サーミスタやサーモスタットなどの温度検知部材を配置するための図示しない貫通孔や切欠などが設けられている場合には、長手方向において、そのような貫通孔や切欠などが設けられていない位置における、長手方向に直交する断面とする。
【0063】
第3部分33は、長手方向において、第2部分34の外側に位置する部分である。第3部分33の、長手方向に直交する断面の断面積S33は、第1部分31の、長手方向に直交する断面の断面積S31と同じである。すなわち、長手方向における単位長さあたりの第3部分33とヒータ10の裏側面16との接触面積は、長手方向における単位長さあたりの第1部分31とヒータ10の裏側面16との接触面積と同じである。
【0064】
また、第2実施形態では、第3部分33の一部が、長手方向において、ガイド面51の全体と同じ位置に位置する。言い換えると、ガイド面51は、長手方向において、第3部分33の範囲内に位置する。第2部分34は、長手方向において、ガイド面51よりも内側に位置する。
【0065】
以上説明した第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0066】
また、第2実施形態において、第2部分34は、第1実施形態とは異なり、ヒータ10と接触しているが、接触面積が小さいため、ヒータ10内の熱が第2部分34から熱伝導部材30へ移動するのを抑制することができる。これにより、ヒータ10と熱伝導部材30との間の熱の移動を接触面積が大きい第1部分31が位置する領域で促進することができる。
【0067】
また、第2部分34を穴34Hを有する構成とすることで、熱伝導部材30に断面積が小さい第2部分34を容易に形成することができる。
【0068】
なお、第2実施形態では、各第2部分34に穴34Hが1つずつ形成されていたが、これに限定されず、複数形成されていてもよい。また、穴34Hの形状は任意であり、矩形に限定されず、例えば、円形などであってもよい。また、穴34Hは、貫通した穴ではなく、ヒータ10に向けて開口する、貫通していない穴(凹部)であってもよい。また、第2部分34には、穴34Hでなく、短手方向の一方の端部を切り欠いた切欠(凹部)が形成されていてもよい。
【0069】
第1部分31および第3部分33の断面積S31,S33よりも第2部分34の断面積S34を小さくすることで、第1部分31から第3部分33への熱伝導を鈍らせることができるので、ベルト3の端部が過昇温するのを抑制することができる。
【0070】
次に、第3実施形態について説明する。なお、以下では、先に説明した実施形態と異なる点について詳細に説明し、先に説明した実施形態と同様の点については、例えば、同様の構成要素に同一の符号を付すなどして適宜説明を省略する。
【0071】
図6に示すように、第3実施形態に係る熱伝導部材30は、曲げのない平らなシート状となっている。つまり、第3実施形態に係る熱伝導部材30は、第2実施形態に係る熱伝導部材30から穴34Hを取り除いた構造となっている。第3実施形態では、熱伝導部材30の一端部38Aは、長手方向において、一端側のガイド面51の中央C1よりも外側で、かつ、一端側の規制面52よりも内側に位置している。また、熱伝導部材30の他端部38Bは、長手方向において、他端側のガイド面51の中央C2よりも外側で、かつ、他端側の規制面52よりも内側に位置している。つまり、第3実施形態では、熱伝導部材30の一部は、長手方向において、ガイド面51一部と同じ位置に位置している。また、熱伝導部材30の一端部38Aは、長手方向において、ニップ部NPの一端部NP1よりも外側に位置している。熱伝導部材30の他端部38Bは、長手方向において、ニップ部NPの他端部NP2よりも外側に位置している。
【0072】
第3実施形態では、各部材の長手方向の長さの関係は、以下の通りである。
ホルダ20>基板11>2つの規制面52の長手方向の間隔>ベルト3>熱伝導部材30>加圧ローラ40のローラ部42(ニップ部NP)>抵抗発熱体12>加熱ユニット1で使用可能なシートの最大幅W1
【0073】
以上説明した第3実施形態においても、熱伝導部材30の端部38A,38Bが、長手方向において、ニップ部NPの端部NP1,NP2よりも外側に位置することで、ニップ部NPの端部NP1,NP2の過昇温を熱伝導部材30によって抑制することができるので、シートが通らないヒータ10の端部が過昇温するのを抑制することができる。
【0074】
以上、実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように適宜変形して実施することができる。
【0075】
また、前記実施形態では、熱伝導部材30が1枚のシート状の部材からなっていたが、これに限定されない。例えば、熱伝導部材は、複数枚のシート状の部材の組合せにより構成されていてもよい。この場合、複数枚のシート状の部材は、材質、熱伝導率、形状などが互いに異なっていてもよいし、互いに同じであってもよい。
【0076】
また、前記実施形態では、熱伝導部材30がシート状(フィルム状および板状を含む)であったが、これに限定されない。例えば、熱伝導部材は、板状よりも厚めの形状であってもよい。
【0077】
また、前記実施形態では、抵抗発熱体12の端部12A,12Bが、長手方向において、第2部分32の範囲内に位置したが、これに限定されない。例えば、抵抗発熱体12の端部12A,12Bは、長手方向において、第1部分31の範囲内に位置してもよい。
【0078】
また、前記実施形態では、ヒータ10の基板11がセラミックの細長い長方形の板からなっていたが、熱伝導部材よりも熱伝導率が小さければ、これに限定されない。例えば、ヒータの基板は、ステンレスなどの金属の細長い長方形の板からなっていてもよい。
【0079】
また、前記した実施形態および変形例で説明した各要素は、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 加熱ユニット
3 ベルト
3B 内周面
10 ヒータ
11 基板
12 抵抗発熱体
15 ニップ面
16 裏側面
20 ホルダ
30 熱伝導部材
38A 一端部
38B 他端部
40 加圧ローラ
NP ニップ部
NP1 一端部
NP2 他端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6