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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】充放電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20250304BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20250304BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20250304BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20250304BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20250304BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20250304BHJP
【FI】
H02J7/02 J
H02J7/00 B
H02J7/34 B
H02J1/00 304H
H01M10/48 P
H01M10/44 P
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021082142
(22)【出願日】2021-05-14
(65)【公開番号】P2022175595
(43)【公開日】2022-11-25
【審査請求日】2024-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】密岡 重日
(72)【発明者】
【氏名】長内 弘樹
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-135533(JP,A)
【文献】国際公開第2018/147046(WO,A1)
【文献】特開2019-193475(JP,A)
【文献】特開2018-113843(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0320772(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/02
H02J 7/00
H02J 7/34
H02J 1/00
H01M 10/48
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池モジュールと、
前記複数の電池モジュールが並列に接続された接続路と、
前記接続路に接続された電気負荷と、
前記電池モジュールと前記接続路とを接続するオン状態又は切断するオフ状態を切替可能なスイッチと、
前記接続路に接続され、前記スイッチの切替を制御する通信制御装置と、
前記複数の電池モジュール及び前記通信制御装置に電力を供給可能に前記接続路に接続された電源装置と、を備え、
前記電池モジュールは、
蓄電池と、
前記蓄電池の状態を管理するBMUと、を有し、
前記複数の電池モジュールそれぞれの前記BMUは、共通の識別信号を有しており、
前記通信制御装置には、前記電池モジュールごとに前記蓄電池の電圧値を記憶する記憶部が設けられ、
前記通信制御装置は、
前記共通の識別信号を用いて各BMUを制御するよう構成されており、
前記複数の電池モジュールの全ての前記スイッチがオフ状態であるときに、前記記憶部に記憶された前記電圧値のなかで最も電圧値が低い前記蓄電池を有する前記電池モジュールの前記スイッチをオン状態に切り替えることを特徴とする充放電装置。
【請求項2】
前記複数の電池モジュールと前記スイッチと前記通信制御装置とからなる電池モジュール群を複数備え、
前記電源装置からの供給電圧が前記BMU及び前記通信制御装置の作動電圧未満である場合において、複数の電池モジュール群のうち一の電池モジュール群内において前記スイッチがオン状態にされている電池モジュールを切り替える際には、他の電池モジュール群内のいずれかの電池モジュールの前記スイッチがオン状態に切り替えられた後に、前記一の電池モジュール群内において前記スイッチがオン状態にされている電池モジュールの切替が行われることを特徴とする請求項1に記載の充放電装置。
【請求項3】
前記一の電池モジュール群内において前記スイッチがオン状態にされている電池モジュールの切替が行われた後は、前記他の電池モジュール群内で前記オン状態に切り替えられていた前記スイッチがオフ状態に切り替えられることを特徴とする請求項2に記載の充放電装置。
【請求項4】
前記スイッチを第1のスイッチとしたとき、
前記接続路と前記電源装置及び前記電気負荷との間に設けられ、前記接続路と前記電源装置又は前記電気負荷とを接続するオン状態又は切断するオフ状態を切替可能な第2のスイッチを備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の充放電装置。
【請求項5】
前記電源装置は、再生可能エネルギを利用して発電を行う発電装置によって構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の充放電装置。
【請求項6】
前記電気負荷は、発光体を負荷として有する装置によって構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の充放電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、山間部など、商用電源を引くことができない遠隔地に設置される携帯電話の基地局(負荷)に対して、電力を供給するための独立駆動システムを構成する蓄電システムが開示されている。この蓄電システムは、複数の電池ユニットと、発電ユニットと、電力変換ユニットと、充電用電源ユニットと、制御ユニットとを備えている。
【0003】
この蓄電システムにおいては、放電される電池ユニットを第一電池ユニットから第二電池ユニットに切り替える際、第三電池ユニットでバックアップを行い、万一第二電池ユニットからの放電に失敗しても、第三電池ユニットから電力供給することで、負荷の動作停止を回避している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-135533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のような蓄電システムの電池ユニットとして、車両に搭載されていた電池モジュールのリユース品を用いる場合、次のような課題がある。
【0006】
車両に搭載される電池モジュールは、蓄電池の電圧値等をセル毎に管理するコントローラ(以下、「BMU(Battery Management Unit)」という)を有している。このBMUでは、他のコントローラと通信を行うための規格としてCAN(Controller Area Network)が用いられている。
【0007】
CANでは、信号毎にIDが割り当てられているが、同一仕様の電池モジュールのリユース品を複数用いる場合には、これら全ての電池モジュールのBMUで用いられるIDが同一となってしまう。このため、1つの通信制御装置で複数の同一仕様の電池モジュールのBMUとCANを通じて通信を行おうとすると、信号が重複してしまい、複数のBMUを個別に制御することができない。
【0008】
この場合、例えばBMUごとにそれぞれ通信制御装置を設ければ複数の同一仕様の電池モジュールのBMUを個別に制御できるが、電池モジュールの個数分の通信制御装置を要するため、安価なリユース品を用いるにも関わらずコストがかかってしまう。
【0009】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたもので、車両に搭載されていた同一仕様の電池モジュールを複数用いる場合であっても、1つの通信制御装置でこれら複数の電池モジュールのBMUを個別に制御することができる充放電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するため、複数の電池モジュールと、前記複数の電池モジュールが並列に接続された接続路と、前記接続路に接続された電気負荷と、前記電池モジュールと前記接続路とを接続するオン状態又は切断するオフ状態を切替可能なスイッチと、前記接続路に接続され、前記スイッチの切替を制御する通信制御装置と、前記複数の電池モジュール及び前記通信制御装置に電力を供給可能に前記接続路に接続された電源装置と、を備え、前記電池モジュールは、蓄電池と、前記蓄電池の状態を管理するBMUと、を有し、前記複数の電池モジュールそれぞれの前記BMUは、共通の識別信号を有しており、前記通信制御装置には、前記電池モジュールごとに前記蓄電池の電圧値を記憶する記憶部が設けられ、前記通信制御装置は、前記共通の識別信号を用いて各BMUを制御するよう構成されており、前記複数の電池モジュールの全ての前記スイッチがオフ状態であるときに、前記記憶部に記憶された前記電圧値のなかで最も電圧値が低い前記蓄電池を有する前記電池モジュールの前記スイッチをオン状態に切り替える構成を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、車両に搭載されていた同一仕様の電池モジュールを複数用いる場合であっても、1つの通信制御装置でこれら複数の電池モジュールのBMUを個別に制御することができる充放電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の第1の実施例に係る充放電装置の概略構成図である。
図2図2は、本発明の第1の実施例に係る充放電装置の記憶部に記憶された各電圧値の一例を示す図である。
図3図3は、本発明の第2の実施例に係る充放電装置の概略構成図である。
図4図4は、本発明の第2の実施例に係る充放電装置における電池モジュール切替時のタイミングチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施の形態に係る充放電装置は、複数の電池モジュールと、複数の電池モジュールが並列に接続された接続路と、接続路に接続された電気負荷と、電池モジュールと接続路とを接続するオン状態又は切断するオフ状態を切替可能なスイッチと、接続路に接続され、スイッチの切替を制御する通信制御装置と、複数の電池モジュール及び通信制御装置に電力を供給可能に接続路に接続された電源装置と、を備え、電池モジュールは、蓄電池と、蓄電池の状態を管理するBMUと、を有し、複数の電池モジュールそれぞれのBMUは、共通の識別信号を有しており、通信制御装置には、電池モジュールごとに蓄電池の電圧値を記憶する記憶部が設けられ、通信制御装置は、共通の識別信号を用いて各BMUを制御するよう構成されており、複数の電池モジュールの全てのスイッチがオフ状態であるときに、記憶部に記憶された電圧値のなかで最も電圧値が低い蓄電池を有する電池モジュールのスイッチをオン状態に切り替えることを特徴とする。これにより、本発明の一実施の形態に係る充放電装置は、車両に搭載されていた同一仕様の電池モジュールを複数用いる場合であっても、1つの通信制御装置でこれら複数の電池モジュールのBMUを個別に制御することができる。
【実施例
【0014】
以下、本発明の一実施例に係る充放電装置について図面を参照して説明する。
【0015】
(第1の実施例)
図1に示すように、第1の実施例に係る充放電装置1は、電源装置としての発電装置2と、電気負荷3と、複数の電池モジュール4と、接続路5と、スイッチとしての第1のスイッチ6と、第2のスイッチ7と、通信制御装置8と、を含んで構成されている。
【0016】
本実施例に係る充放電装置1においては、電池モジュール4が1からn個設けられている。本実施例においては、複数の電池モジュール4のそれぞれを区別するために複数の電池モジュール4をそれぞれ電池モジュール4(1)から4(n)で示すこととする。電池モジュール4(1)から4(n)のうちいずれかの電池モジュールを特定せずに、1つの電池モジュールを示す場合には単に「電池モジュール4」と記す。
【0017】
発電装置2は、複数の電池モジュール4及び通信制御装置8に電力を供給可能に接続路5に接続されている。
【0018】
発電装置2は、例えば太陽光発電装置や風力発電装置等の再生可能エネルギを利用して発電を行う発電装置によって構成されている。再生可能エネルギを利用して発電を行う発電装置としては、太陽光発電装置や風力発電装置に限らず、水力、地熱、バイオマス等の再生可能エネルギを利用した発電装置等も適用可能である。
【0019】
電気負荷3は、例えば照明や電光掲示板等のように、発光体を負荷として有する装置によって構成されている。電気負荷3は、発光体を負荷として有する装置に限られない。
【0020】
電池モジュール4(1)から4(n)は、接続路5に対して互いに並列に接続されている。各電池モジュール4はそれぞれ、蓄電池41と、BMU(Battery Management Unit)42と、を有している。本実施例の電池モジュール4は、車両に搭載されていた電池モジュールをリユースして用いるものである。
【0021】
本実施例においては、電池モジュール4(1)から4(n)のいずれの蓄電池41及びBMU42であるかを区別するため、電池モジュール4(1)から4(n)のそれぞれに対応する蓄電池41及びBMU42を、蓄電池41(1)から41(n)、及び、BMU42(1)から42(n)で示す。蓄電池41(1)から41(n)、及び、BMU42(1)から42(n)について、電池モジュール4(1)から4(n)のいずれのものであるかを特定せずに、1つの蓄電池及びBMUを示す場合にはそれぞれ単に「蓄電池41」、「BMU42」と記す。
【0022】
蓄電池41は、例えばリチウムイオン電池等の充放電可能な二次電池によって構成されている。蓄電池41としては、例えば車両に搭載されていたリチウムイオンバッテリをリユースしたものを用いる。
【0023】
BMU42は、蓄電池41の電圧値や残容量(SOC:state of charge)など、蓄電池41の状態を監視及び管理するようになっている。BMU42は、蓄電池41の充放電電流に基づきSOCを算出する。
【0024】
BMU42は、通信制御装置8に接続されており、蓄電池41の電圧値やSOC等の各種情報を通信制御装置8に送信可能に構成されている。BMU42は、通信制御装置8と通信を行う通信規格としてCAN(Controller Area Network)を用いている。
【0025】
BMU42(1)から42(n)のそれぞれは、通信制御装置8と通信を行うに際し、自装置を識別する識別信号としてCAN_IDを有している。本実施例において、BMU42(1)から42(n)のCAN_IDは、互いに共通している。すなわち、BMU42(1)から42(n)のそれぞれは、互いに共通のCAN_IDを用いている。
【0026】
これは、車両に搭載されている同一仕様の電池モジュールのBMUのCAN_IDが同一であり、本実施例の充放電装置1がそれら同一仕様の電池モジュールのリユース品を複数用いるからである。
【0027】
第1のスイッチ6は、電池モジュール4と接続路5との間に設けられ、電池モジュール4と接続路5とを接続するオン状態、又は、切断するオフ状態を切替可能なスイッチである。
【0028】
本実施例においては、電池モジュール4(1)から4(n)の第1のスイッチ6であるかを区別するため、電池モジュール4(1)から4(n)のそれぞれに対応する第1のスイッチ6を、第1のスイッチ6(1)から6(n)で示す。第1のスイッチ6(1)から6(n)について、電池モジュール4(1)から4(n)のいずれのものであるかを特定せずに、1つの第1のスイッチを示す場合には単に「第1のスイッチ6」と記す。
【0029】
第1のスイッチ6のオン状態又はオフ状態の切替は、通信制御装置8よって制御されるようになっている。
【0030】
接続路5には、電池モジュール4(1)から4(n)が並列に接続されている。接続路5の一端には、第2のスイッチ7が接続されている。
【0031】
第2のスイッチ7は、接続路5と発電装置2及び電気負荷3との間に設けられ、接続路5と発電装置2又は電気負荷3とを接続するオン状態、又は、切断するオフ状態を切替可能なスイッチである。
【0032】
すなわち、第2のスイッチ7は、接続路5と発電装置2とを接続する発電オン状態、又は、接続路5と電気負荷3とを接続する放電オン状態のいずれかのオン状態と、発電装置2及び電気負荷3のいずれとも接続路5を接続しないオフ状態と、に切替可能である。
【0033】
第2のスイッチ7の発電オン状態、放電オン状態又はオフ状態の切替は、通信制御装置8よって制御されるようになっている。充放電装置1の初回起動時等、通信制御装置8の電源投入がなされていない状態においては、充放電装置1を起動するための電力を確保する観点から第2のスイッチ7が発電オン状態に切り替えられているのが好ましい。
【0034】
通信制御装置8は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、入力ポートと、出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されている。コンピュータユニットのROMには、各種定数等とともに、当該コンピュータユニットを通信制御装置8として機能させるためのプログラムが格納されている。すなわち、CPUがRAMを作業領域としてROMに格納されたプログラムを実行することにより、コンピュータユニットは、本実施例における通信制御装置8として機能する。
【0035】
通信制御装置8は、接続路5に接続されており、接続路5を介して発電装置2又は電池モジュール4(1)から4(n)の少なくとも1つから電力が供給されるようになっている。通信制御装置8は、第1のスイッチ6及び第2のスイッチ7のオン状態又はオフ状態の切替を制御するようになっている。
【0036】
通信制御装置8には、各種センサ9が接続されている。本実施例においては、各種センサ9として、発電装置2の種類や電気負荷3の種類に応じて必要なセンサが接続されるようになっており、例えば、風力センサ、照度センサ、温度センサ等の外部環境の変化を検出可能なセンサ類が接続されている。また、通信制御装置8は、電気負荷3が照明である場合には、照明時間や照明時刻を管理するタイマを備えていてもよい。
【0037】
本実施例において、通信制御装置8には、記憶部81が設けられている。記憶部81は、例えば上述したRAMによって構成されていてもよいし、上述したRAMとは別の記憶装置によって構成されていてもよい。
【0038】
通信制御装置8の記憶部81には、電池モジュール4ごとに蓄電池41の電圧値が記憶されるようになっている。具体的には、図2に示すように、記憶部81には、共通のCAN_IDに対して、蓄電池41(1)から41(n)の各電圧値が電池モジュール4(1)から4(n)のそれぞれに対応付けられて記憶されている。
【0039】
記憶部81に記憶される電圧値は、例えば、第1のスイッチ6がオフ状態に切り替えられるタイミングで測定された電圧値である。つまり、通信制御装置8は、第1のスイッチ6(1)から6(n)のうち、いずれかの第1のスイッチ6をオフ状態に切り替えるよう第1のスイッチ6に指示を送るタイミングで、当該指示が送られる第1のスイッチ6に対応する電池モジュール4のBMU42から電圧値を取得する。
【0040】
通信制御装置8は、共通のCAN_IDを用いてBMU42(1)から42(n)のそれぞれを制御するようになっている。このため、通信制御装置8がBMU42(1)から42(n)を制御しようとすると、CAN_IDが重複してしまい、BMU42(1)から42(n)のそれぞれを個別に制御することができない。この場合、通信制御装置8は、各BMU42から送信されてくる電圧値がいずれの蓄電池41の電圧値であるか区別できず、結果として第1のスイッチ6(1)から6(n)のいずれを切り替えればよいのか、判断できなくなってしまう。
【0041】
そこで、本実施例では、通信制御装置8は、BMU42(1)から42(n)で共通のCAN_IDを用いる場合であっても、BMU42(1)から42(n)のそれぞれを個別に制御することができるよう、次のような構成を採用した。
【0042】
すなわち、通信制御装置8は、電池モジュール4(1)から4(n)の全ての第1のスイッチ6がオフ状態であるときに、記憶部81に記憶された蓄電池41(1)から41(n)の各電圧値のなかで最も電圧値が低い蓄電池41を有する電池モジュール4の第1のスイッチ6をオン状態に切り替えるようになっている。
【0043】
以上のように、本実施例に係る充放電装置1は、電池モジュール4ごとに各蓄電池41の電圧値が通信制御装置8の記憶部81に記憶されるよう構成されている。
【0044】
この構成により、本実施例に係る充放電装置1は、電池モジュール4(1)から4(n)の各BMU42で共通のCAN_IDが用いられる場合であっても、蓄電池41(1)から41(n)の各電圧値を記憶部81に記憶しているので、各蓄電池41の電圧値を区別して把握することができる。
【0045】
また、本実施例に係る充放電装置1は、電池モジュール4(1)から4(n)の全ての第1のスイッチ6がオフ状態であるときに、記憶部81に記憶された蓄電池41(1)から41(n)の各電圧値のなかで最も電圧値が低い蓄電池41を有する電池モジュール4の第1のスイッチ6をオン状態に切り替えるよう構成されている。
【0046】
この構成により、本実施例に係る充放電装置1は、電圧値の低い蓄電池41を有する電池モジュール4を他の電池モジュール4に優先して充電しつつ、通信制御装置8とBMU42とが一対一で通信することができる。これにより、車両に搭載されていた同一仕様の電池モジュール4のリユース品を複数用いる場合であっても、1つの通信制御装置8でこれら複数の電池モジュール4のBMU42を個別に制御することができる。
【0047】
さらに、本実施例に係る充放電装置1は、例えばBMU42ごとにCAN_IDを変更する等の仕様変更をしなくとも、1つの通信制御装置8で複数のBMU42を制御できるので、コスト削減に寄与することができ、電池モジュール4のリユース品を用いる利点を生かすことができる。
【0048】
また、本実施例に係る充放電装置1は、接続路5と発電装置2及び電気負荷3との間に設けられ、接続路5と発電装置2又は電気負荷3とを接続するオン状態、又は、切断するオフ状態を切替可能な第2のスイッチ7を備えている。
【0049】
この構成により、本実施例に係る充放電装置1は、例えば、電気負荷3への電力供給元を必要に応じて発電装置2と電池モジュール4との間で切り替えたり、また、発電装置2からの充電も電気負荷3への放電もない状態において通信制御装置8への電力供給を確保したりすることができる。これにより、本実施例に係る充放電装置1は、独立した充放電装置として機能することができる。
【0050】
また、本実施例に係る充放電装置1は、発電装置2が再生可能エネルギを利用して発電を行う発電装置によって構成されている。これにより、本実施例に係る充放電装置1を屋外に独立して設置することができる。
【0051】
また、本実施例に係る充放電装置1は、電気負荷3が発光体を負荷として有する装置によって構成されている。これにより、本実施例に係る充放電装置1を、屋外に独立して設置される照明や電光掲示板に用いることができる。
【0052】
(第2の実施例)
次に、図3及び図4を参照して、第2の実施例に係る充放電装置101について説明する。
【0053】
図3に示すように、本実施例の充放電装置101は、第1の実施例における、複数の電池モジュール4と第1のスイッチ6と通信制御装置8とからなる電池モジュール群104を複数備えている。
【0054】
本実施例では、2つの電池モジュール群104を備えており、それぞれを区別するため、一を電池モジュール群104Aとし、他を電池モジュール群104Bとして表示する。本実施例では、2つの電池モジュール群104を備える例について説明するが、3つ以上の電池モジュール群104を備える構成であってもよい。
【0055】
また、本実施例中、2つの電池モジュール群104のうち、いずれの電池モジュール群に属する電池モジュール4、第1のスイッチ6及び通信制御装置8であるのかを明確にするため、電池モジュール群104Aに属するものには符号に「A」を付し、電池モジュール群104Bに属するものには符号に「B」を付して区別した。蓄電池41、BMU42及び記憶部81についても同様に、符号に「A」又は「B」を付して区別した。
【0056】
本実施例の充放電装置101において、通信制御装置8Aと通信制御装置8Bとは、双方向通信可能に接続されている。通信制御装置8Aの記憶部81Aには、電池モジュール群104Aに属する各電池モジュール4のそれぞれの電圧値が記憶されるようになっている。通信制御装置8Bの記憶部81Bには、電池モジュール群104Bに属する各電池モジュール4のそれぞれの電圧値が記憶されるようになっている。
【0057】
このように構成された本実施例の充放電装置101において、通信制御装置8A及び通信制御装置8Bは、発電装置2から供給される電力によって電池モジュール4を充電する場合、記憶部81A及び記憶部81Bに記憶された各電池モジュール4の電圧値のなかで最も電圧値が低い蓄電池41を有する電池モジュール4の第1のスイッチ6をオン状態に切り替える。
【0058】
例えば、通信制御装置8A及び通信制御装置8Bは、記憶部81Aに記憶された各蓄電池41の電圧値の電圧値のなかで最も低い電圧値と、記憶部81Bに記憶された各蓄電池41の電圧値の電圧値のなかで最も低い電圧値と、を比較し、低い方の電圧値の蓄電池41を有する電池モジュール4の第1のスイッチ6をオン状態に切り替える。
【0059】
また、本実施例の充放電装置101は、発電装置2からの供給電圧がBMU42及び通信制御装置8の作動に必要な電圧(以下、「作動電圧」という)未満である場合には、現在第1のスイッチ6がオン状態にされている電池モジュール4からBMU42及び通信制御装置8に対し電力を供給する。
【0060】
このとき、第1のスイッチ6がオン状態にされている電池モジュール4の蓄電池41の電圧値が、上記作動電圧に所定のマージンを加えた所定値未満となると、BMU42及び通信制御装置8の作動電圧を維持できなくなるおそれがある。つまり、BMU42及び通信制御装置8に対し作動に必要な電力を供給できなくなるおそれがある。
【0061】
そこで、本実施例の充放電装置101は、発電装置2からの供給電圧が作動電圧未満で、かつ、現在、オン状態の第1のスイッチ6を介して接続路5に接続されている蓄電池41の電圧値が所定値未満の場合、接続路5に接続される蓄電池41を所定値以上の電圧値の蓄電池41に切り替えるようになっている。具体的には、現在オン状態にある第1のスイッチ6をオフ状態に切り替え、切替先の蓄電池41を有する電池モジュール4に対応する第1のスイッチ6をオン状態に切り替える。
【0062】
ここで、電池モジュール群104Aと電池モジュール群104Bとの間で蓄電池41を切り替える場合、すなわち、電池モジュール群104Aのいずれかの蓄電池41から電池モジュール群104Bのいずれかの蓄電池41に切り替える場合、又は、この逆の場合には、切替前の蓄電池41を有する電池モジュール群104の通信制御装置8と、切替先の蓄電池41を有する電池モジュール群104の通信制御装置8とが異なることになる。このため、同一の通信制御装置8においてCAN_IDが重複することがない。
【0063】
したがって、電池モジュール群104Aと電池モジュール群104Bとの間で蓄電池41を切り替える場合は、例えば、現在オン状態にある第1のスイッチ6のオフ状態への切替と、切替先の蓄電池41を有する電池モジュールに対応する第1のスイッチ6のオン状態への切替とを同時に行うか、又は、切替先の蓄電池41を有する電池モジュールに対応する第1のスイッチ6をオン状態に切り替えた後に現在オン状態にある第1のスイッチ6をオフ状態に切り替える。
【0064】
これに対し、電池モジュール群104A、104Bのうち一の電池モジュール群内において第1のスイッチ6がオン状態にされている電池モジュール4を切り替える場合、すなわち、同一の電池モジュール群内で蓄電池41を切り替える場合には、通信制御装置8においてCAN_IDが重複することがないよう、現在オン状態にある第1のスイッチ6をオフ状態に切り替えた後に、切替先の蓄電池41を有する電池モジュールに対応する第1のスイッチ6をオン状態に切り替えるのが望ましい。
【0065】
しかしながら、この場合、現在オン状態にある第1のスイッチ6をオフ状態に切り替えると、通信制御装置8への電力供給が途絶えてしまい、切替先の蓄電池41を有する電池モジュールに対応する第1のスイッチ6をオン状態に切り替えることができなくなってしまう。
【0066】
そこで、本実施例においては、電池モジュール群104A、104Bのうち一の電池モジュール群内において第1のスイッチ6がオン状態にされている電池モジュール4を切り替える場合には、通信制御装置8への電力供給が途絶えないよう、当該一の電池モジュール群内での電池モジュール4の切替が完了するまで、他の電池モジュール群のいずれかの電池モジュール4の蓄電池41を接続路5に接続するようにした。
【0067】
具体的には、一の電池モジュール群内において第1のスイッチ6がオン状態にされている電池モジュール4を切り替える場合、他の電池モジュール群のいずれかの電池モジュール4の第1のスイッチ6がオン状態に切り替えられた後に、当該一の電池モジュール群内において第1のスイッチ6がオン状態にされている電池モジュール4の切替が行われる。
【0068】
当該一の電池モジュール群内において電池モジュール4の切替が行われた後は、他の電池モジュール群内でオン状態に切り替えられていた第1のスイッチ6がオフ状態に切り替えられる。
【0069】
同一の電池モジュール群内で蓄電池41を切り替える場合の一例について、図4を参照して説明する。
【0070】
図4は、同一の電池モジュール群104A内で第1のスイッチ6がオン状態にされる電池モジュールが電池モジュール4A(1)から電池モジュール4A(2)に切り替えられる場合を例にしたタイミングチャートである。
【0071】
図4に示すように、時刻t1前においては、発電装置2からの供給電圧がBMU42及び通信制御装置8の作動電圧未満である状況下で、電池モジュール4A(1)に対応する第1のスイッチ6A(1)がオン状態にされており、電池モジュール群104Aに属する電池モジュール4A(1)からBMU42A(1)及び通信制御装置8Aに対し電力が供給されている。
【0072】
その後、時刻t1において、電池モジュール4A(1)の蓄電池41の電圧値が所定値未満となると、電池モジュール群104Bに属する電池モジュール4B(1)に対応する第1のスイッチ6B(1)がオン状態に切り替えられる。
【0073】
その後、時刻t2において、電池モジュール4A(1)に対応する第1のスイッチ6A(1)がオフ状態に切り替えられる。これにより、電池モジュール群104Aと接続路5との接続が一旦遮断される。このとき、既に、電池モジュール4B(1)に対応する第1のスイッチ6B(1)がオン状態に切り替えられているので、電池モジュール群104Bが接続路5に接続された状態となっている。したがって、電池モジュール群104Aと接続路5との接続が一旦遮断される間も、通信制御装置8への電力供給が維持されている。
【0074】
その後、時刻t3において、電池モジュール4A(2)に対応する第1のスイッチ6A(2)がオン状態に切り替えられる。これにより、電池モジュール群104Aが接続路5に接続され、電池モジュール群104Aから通信制御装置8に電力供給可能となる。
【0075】
その後、時刻t4において、電池モジュール4B(1)に対応する第1のスイッチ6B(1)がオフ状態に切り替えられる。
【0076】
このように、図4に示す例では、電池モジュール4B(1)に対応する第1のスイッチ6B(1)がオン状態にある間に、電池モジュール群104A内で接続路5に接続される電池モジュール4Aを切り替えるので、当該切替の間も接続路5の電圧値が作動電圧以上に維持される。
【0077】
以上のように、本実施例に係る充放電装置1は、発電装置2からの供給電圧がBMU42及び通信制御装置8の作動電圧未満である場合において、一の電池モジュール群内において第1のスイッチ6がオン状態にされている電池モジュール4を切り替える際には、他の電池モジュール群のいずれかの電池モジュール4の第1のスイッチ6がオン状態に切り替えられた後に、当該一の電池モジュール群内において第1のスイッチ6がオン状態にされている電池モジュール4の切替が行われるよう構成されている。
【0078】
この構成により、本実施例に係る充放電装置1は、発電装置2からの供給電圧が不足する場合であっても、BMU42及び通信制御装置8の作動電圧を維持しつつ、一の電池モジュール群内において第1のスイッチ6がオン状態にされている電池モジュール4を切り替えることができる。
【0079】
また、本実施例に係る充放電装置1は、当該一の電池モジュール群内において電池モジュール4の切替が行われた後は、他の電池モジュール群内でオン状態に切り替えられていた第1のスイッチ6がオフ状態に切り替えられるよう構成されている。
【0080】
この構成により、本実施例に係る充放電装置1は、不要な放電を防止することができ、消費電力を抑えることができる。
【0081】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0082】
1、101 充放電装置
2 発電装置(電源装置)
3 電気負荷
4 電池モジュール
5 接続路
6 第1のスイッチ(スイッチ)
7 第2のスイッチ
8 通信制御装置
9 各種センサ
41 蓄電池
42 BMU
81 記憶部
104 電池モジュール群
図1
図2
図3
図4