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特許7643206材料送出装置、三次元造形装置、および、射出成形装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】材料送出装置、三次元造形装置、および、射出成形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/47 20060101AFI20250304BHJP
   B29C 64/106 20170101ALI20250304BHJP
   B29C 64/209 20170101ALI20250304BHJP
   B29C 64/321 20170101ALI20250304BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20250304BHJP
   B29C 64/295 20170101ALI20250304BHJP
【FI】
B29C45/47
B29C64/106
B29C64/209
B29C64/321
B33Y30/00
B29C64/295
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021104749
(22)【出願日】2021-06-24
(65)【公開番号】P2023003588
(43)【公開日】2023-01-17
【審査請求日】2024-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】小林 宏貴
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-010693(JP,A)
【文献】特開平09-277337(JP,A)
【文献】特開2021-006375(JP,A)
【文献】特開2017-100285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリューを有し、前記スクリューの回転によって材料を可塑化して可塑化材料を生成する可塑化部と、
前記可塑化材料が流れる流路と、
前記流路に連通し、前記可塑化材料を外部に送出するノズル開口を有するノズルと、
前記流路に接続されるシリンダーと、
前記シリンダー内に挿入されるロッドと、
前記ロッドを介して前記流路内の前記可塑化材料の圧力を検出する第1圧力検出部と、
を備え、
前記ロッドは、前記ロッドの長手方向において、前記流路に面するロッド端面、及び、前記ロッド端面より前記流路から遠い伝達部を有し、前記ロッド端面で受けた前記圧力による力を、前記伝達部を介して前記第1圧力検出部に伝達し、
前記第1圧力検出部は、出力軸を有するモーターと、前記出力軸に接続され前記伝達部を介して伝達される前記力を受けるトルク部材と、を有し、
前記トルク部材は、受けた前記力によるトルクを前記出力軸に付与し、
前記第1圧力検出部は、前記トルクによって発生する前記モーターの電流値または電圧値に基づいて、前記圧力を検出する、材料送出装置。
【請求項2】
請求項に記載の材料送出装置であって、
前記トルク部材は、前記出力軸に沿って見た時に、前記出力軸の回転軸からずれた位置に、前記伝達部を介して伝達される前記力を受ける受力部を有する、材料送出装置。
【請求項3】
請求項に記載の材料送出装置であって、
前記受力部は、カムフォロワーまたはローラーフォロワーによって構成されている、材料送出装置。
【請求項4】
請求項1からのいずれか一項に記載の材料送出装置であって、
前記ノズルを加熱するノズルヒーターを備え、
前記スクリューは、溝が形成された溝形成面を有し、
前記可塑化部は、
前記溝形成面に対向する対向面を有し、前記対向面に前記流路の少なくとも一部を形
成する連通孔が形成されたバレルと、
前記スクリューと前記バレルとの間に供給された前記材料を加熱する可塑化ヒーターと、を更に備え、
前記ノズルヒーターの設定温度は、前記可塑化ヒーターの設定温度よりも高い、材料送出装置。
【請求項5】
スクリューを有し、前記スクリューの回転によって材料を可塑化して可塑化材料を生成する可塑化部と、
前記可塑化材料が流れる流路と、
前記流路に連通し、前記可塑化材料を外部に送出するノズル開口を有するノズルと、
前記流路に接続されるシリンダーと、
前記シリンダー内に挿入されるロッドと、
前記ロッドを介して前記流路内の前記可塑化材料の圧力を検出する第1圧力検出部と、
前記スクリューと前記ノズル開口との間の前記流路に接続され、前記流路内の前記可塑化材料を吸引し、吸引した前記可塑化材料を前記ノズル開口に向かって押し出す吸引排出部と、
を備え、
前記ロッドは、前記ロッドの長手方向において、前記流路に面するロッド端面、及び、前記ロッド端面より前記流路から遠い伝達部を有し、前記ロッド端面で受けた前記圧力による力を、前記伝達部を介して前記第1圧力検出部に伝達し、
前記シリンダーは、前記吸引排出部と前記ノズル開口との間の前記流路、又は、前記スクリューと前記吸引排出部との間の前記流路に接続される、材料送出装置。
【請求項6】
材料送出装置と、
前記材料送出装置を制御する制御部と、
を備え、
前記材料送出装置は、
スクリューを有し、前記スクリューの回転によって材料を可塑化して可塑化材料を生成する可塑化部と、
前記可塑化材料が流れる流路と、
前記流路に連通し、前記可塑化材料を外部に送出するノズル開口を有するノズルと、
前記流路に接続されるシリンダーと、
前記シリンダー内に挿入されるロッドと、
前記ロッドを介して前記流路内の前記可塑化材料の圧力を検出する第1圧力検出部と、
前記流路において、前記流路と前記シリンダーとの接続部よりも上流に配置され、前記ノズル開口から送出される前記可塑化材料の流量を調整する送出量調整部と、
前記ノズルから送出される前記可塑化材料を堆積するステージと、
を有し、
前記ロッドは、前記ロッドの長手方向において、前記流路に面するロッド端面、及び、前記ロッド端面より前記流路から遠い伝達部を有し、前記ロッド端面で受けた前記圧力による力を、前記伝達部を介して前記第1圧力検出部に伝達する、三次元造形装置。
【請求項7】
請求項に記載の三次元造形装置であって、
前記材料送出装置は、前記流路において、前記送出量調整部よりも上流の前記可塑化材料の圧力を検出する第2圧力検出部を有し、
前記制御部は、前記第2圧力検出部による検出値に基づいて、前記スクリューの回転を制御する、三次元造形装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の三次元造形装置であって、
前記材料送出装置は、前記スクリューと前記ノズル開口との間の前記流路に接続され、前記流路内の前記可塑化材料を吸引し、吸引した前記可塑化材料を前記ノズル開口に向かって押し出す吸引排出部を有し、
前記吸引排出部は、前記流路において前記送出量調整部と前記ノズル開口との間に接続され、
前記制御部は、前記第1圧力検出部による検出値に基づいて前記吸引排出部を制御する、三次元造形装置。
【請求項9】
請求項6又は7に記載の三次元造形装置であって、
前記制御部は、前記第1圧力検出部による検出値に基づいて、前記ロッドを前記流路に対して後退させて前記流路内の前記可塑化材料を前記シリンダー内に吸引する動作と、前記ロッドを前記流路に対して前進させて吸引した前記可塑化材料を前記ノズル開口に向かって押し出す動作と、を実行する、三次元造形装置。
【請求項10】
材料送出装置と、
前記材料送出装置を制御する制御部と、
を備え、
前記材料送出装置は、
スクリューを有し、前記スクリューの回転によって材料を可塑化して可塑化材料を生成する可塑化部と、
前記可塑化材料が流れる流路と、
前記流路に連通し、前記可塑化材料を外部に送出するノズル開口を有するノズルと、
前記流路に接続されるシリンダーと、
前記シリンダー内に挿入されるロッドと、
前記ロッドを介して前記流路内の前記可塑化材料の圧力を検出する第1圧力検出部と、
を有し、
前記ロッドは、前記ロッドの長手方向において、前記流路に面するロッド端面、及び、前記ロッド端面より前記流路から遠い伝達部を有し、前記ロッド端面で受けた前記圧力による力を、前記伝達部を介して前記第1圧力検出部に伝達し、
前記ノズルは、前記可塑化材料を成形型に送出する、射出成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、材料送出装置、三次元造形装置、および、射出成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
材料を可塑化して外部へ送出する材料送出装置に関して、特許文献1には、プランジャーによって金型に注入される注入樹脂の圧力を、圧力検出手段によって検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開1994-198689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような装置では、検出した圧力に基づいてプランジャー等の機構を制御することで、例えば、装置から送出される材料の過多や不足を抑制し、送出された材料によって形成される製品等の不良を抑制できる。この場合、圧力に基づいて機構をより精度良く制御するためには、その機構に近い流路等における樹脂の圧力を検出すると好ましい。しかしながら、例えば、圧力を検出したい部分の近くに熱源が設けられている場合や、その部分の近くに圧力検出手段の設置スペースを確保できない場合には、その部分における圧力を検出できない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の形態によれば、材料送出装置が提供される。この材料送出装置は、スクリューを有し、前記スクリューの回転によって材料を可塑化して可塑化材料を生成する可塑化部と、前記可塑化材料が流れる流路と、前記流路に連通し、前記可塑化材料を外部に送出するノズル開口を有するノズルと、前記流路に接続されるシリンダーと、前記シリンダー内に挿入されるロッドと、前記ロッドを介して前記流路内の前記可塑化材料の圧力を検出する第1圧力検出部と、を備える。前記ロッドは、前記ロッドの長手方向において、前記流路に面するロッド端面、及び、前記ロッド端面より前記流路から遠い伝達部を有し、前記ロッド端面で受けた前記圧力による力を、前記伝達部を介して前記第1圧力検出部に伝達する。
【0006】
本開示の第2の形態によれば、三次元造形装置が提供される。この三次元造形装置は、上記形態の材料送出装置と、前記ノズルから送出される前記可塑化材料を堆積するステージと、前記材料送出装置を制御する制御部と、前記流路において、前記流路と前記シリンダーとの接続部よりも上流に配置され、前記ノズル開口から送出される前記可塑化材料の流量を調整する送出量調整部と、を備える。
【0007】
本開示の第3の形態によれば、射出成形装置が提供される。この射出成形装置は、上記形態の材料送出装置と、前記材料送出装置を制御する制御部と、を備え、前記ノズルは、前記可塑化材料を成形型に送出する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態における三次元造形装置の概略構成を示す図である。
図2】スクリューの溝形成面側の構成を示す概略斜視図である。
図3】バレルのスクリュー対向面側の構成を示す図である。
図4】第1実施形態における圧力検出ユニットの概略構成を示す図である。
図5図4におけるV-V断面を示す図である。
図6】他の実施形態における検出トルクの伝達の例を示す図である。
図7】第2実施形態における三次元造形装置の概略構成を示す図である。
図8】第3実施形態における三次元造形装置の概略構成を示す図である。
図9】第3実施形態における圧力検出ユニットを示す斜視図である。
図10図8におけるX-X断面を示す図である。
図11】第3実施形態における検出部の動作を説明する図である。
図12】第4実施形態における射出成形装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
図1は、本実施形態における三次元造形装置100の概略構成を示す図である。図1には、互いに直交するX,Y,Z方向に沿った矢印が表されている。X,Y,Z方向は、互いに直交する3つの空間軸であるX軸、Y軸、Z軸に沿った方向であり、それぞれ、X軸、Y軸、Z軸に沿う一方側の方向と、その反対方向とを、両方含む。X軸およびY軸は、水平面に沿った軸であり、Z軸は、鉛直線に沿った軸である。他の図においても、X,Y,Z方向に沿った矢印が、適宜、表されている。図1におけるX,Y,Z方向と、他の図におけるX,Y,Z方向とは、同じ方向を表している。以下の説明において、向きを特定する場合には、矢印が指し示す正の方向を「+」、反対側の負の方向を「-」として、方向表記に正負の符号を併用する。
【0010】
本実施形態における三次元造形装置100は、材料送出装置150と、ステージ300と、位置変更部400と、制御部500とを、備えている。
【0011】
制御部500は、三次元造形装置100全体の動作を制御して、三次元造形物を造形する造形処理を実行する。制御部500は、1つ、または、複数のプロセッサーと、主記憶装置と、を備えるコンピューターによって構成される。制御部500は、主記憶装置に読み込んだプログラムをプロセッサーが実行することによって、種々の機能を発揮する。なお、制御部500の機能の一部を、ハードウェア回路により実現するようにしてもよい。制御部500が実行する造形処理では、三次元造形物の造形データに従って、材料送出装置150と位置変更部400とが制御される。
【0012】
材料送出装置150は、制御部500の制御下で、固体状態の材料を溶融させてペースト状にした可塑化材料を外部へと送出する。本実施形態では、材料送出装置150は、可塑化材料を、三次元造形物の基台となる造形用のステージ300上に吐出する。材料送出装置150は、可塑化材料に転化される前の材料の供給源である材料供給部20と、スクリュー40の回転によって材料を可塑化して可塑化材料を生成する可塑化部30と、生成された可塑化材料が流れる流路66と、流路66に連通し可塑化材料を外部に送出するノズル61と、流路66に接続され流路66内の可塑化材料の圧力を検出する圧力検出ユニット200を備える。更に、本実施形態では、流路66には、送出量調整部70が配置され、吸引排出部75が接続されている。
【0013】
材料供給部20には、ペレットや粉末等の状態の材料が収容されている。本実施形態では、ペレット状に形成されたABS樹脂が材料として用いられる。本実施形態における材料供給部20は、ホッパーによって構成されている。材料供給部20の下方には、材料供給部20と可塑化部30との間を接続する供給路22が設けられている。材料供給部20は、供給路22を介して、可塑化部30に材料を供給する。
【0014】
可塑化部30は、スクリューケース31と、駆動モーター32と、スクリュー40と、バレル50と、可塑化ヒーター58とを備えている。可塑化部30は、材料供給部20から供給された材料の少なくとも一部をスクリュー40の回転によって可塑化し、流動性を有するペースト状の可塑化材料を生成する。そして、可塑化部30は、スクリュー40とノズル61との間に設けられた流路66を介して、生成した可塑化材料をノズル61に供給する。「可塑化」とは 、溶融を含む概念であり、固体から流動性を有する状態に変化させることである。具体的には、ガラス転移が起こる材料の場合、可塑化とは、材料の温度をガラス転移点以上にすることである。ガラス転移が起こらない材料の場合、可塑化とは、材料の温度を融点以上にすることである。なお、本実施形態のスクリュー40は、いわゆるフラットスクリューであり、「スクロール」と呼ばれることもある。
【0015】
スクリューケース31は、スクリュー40を収容するための筐体である。スクリューケース31の下面には、バレル50が固定されており、スクリューケース31とバレル50とによって囲まれた空間に、スクリュー40が収容されている。スクリュー40は、バレル50に対向する面に、溝45が形成された溝形成面42を有している。スクリューケース31の上面には、駆動モーター32が固定されている。駆動モーター32の回転軸は、スクリュー40の上面41側に接続されている。なお、駆動モーター32は、直接、スクリュー40と接続されていなくてもよく、例えば、スクリュー40と駆動モーター32とは、減速機を介して接続されていてもよい。駆動モーター32は、制御部500の制御下で駆動される。
【0016】
バレル50は、スクリュー40の下方に配置されている。バレル50は、スクリュー40の溝形成面42に対向するスクリュー対向面52を有している。バレル50には、スクリュー40の中心軸AX上に、連通孔56が設けられている。本実施形態では、連通孔56は、上述した流路66の一部を形成している。より詳細には、流路66は、連通孔56と、供給流路67とによって形成されている。供給流路67は、連通孔56とノズル61とを接続する流路である。他の実施形態では、供給流路67は設けられていなくてもよく、連通孔56とノズル61とが直接、接続されていてもよい。
【0017】
本実施形態では、可塑化ヒーター58は、バレル50の、スクリュー40の溝45に対向する位置に内蔵されている。可塑化ヒーター58は、スクリュー40とバレル50との間に供給された材料を加熱する。可塑化ヒーター58の温度は、制御部500によって制御される。
【0018】
図2は、スクリュー40の溝形成面42側の構成を示す概略斜視図である。スクリュー40の溝形成面42の中央部47は、溝45の一端が接続されている窪みとして構成されている。中央部47は、図2に示したバレル50の連通孔56に対向する。中央部47は、中心軸AXと交差する。溝45は、いわゆるスクロール溝を構成する。溝45は、中央部47から、スクリュー40の外周に向かって弧を描くように渦状に延びている。溝形成面42には、溝45の側壁部を構成し、各溝45に沿って延びている凸条部46が設けられている。溝45は、スクリュー40の側面43に形成された材料導入口44まで連続している。材料導入口44は、材料供給部20の供給路22を介して供給された材料を受け入れる部分である。材料導入口44によって受け入れられた材料は、スクリュー40とバレル50との間に供給される。図2に示すように、本実施形態では、溝45は、凸条部46によって隔てられて3本分形成されている。なお、溝45の数は、3本に限られず、1本でもよいし、2本以上であってもよい。溝45は、渦状に限らず、螺旋状あるいはインボリュート曲線状であってもよいし、中央部47から外周に向かって弧を描くように延びる形状であってもよい。
【0019】
図3は、バレル50のスクリュー対向面52側の構成を示す上面図である。上述したように、スクリュー対向面52の中央には、連通孔56が形成されている。スクリュー対向面52における連通孔56の周りには、複数の案内溝54が形成されている。それぞれの案内溝54は、その一端が連通孔56に接続され、連通孔56からスクリュー対向面52の外周に向かって渦状に延びている。それぞれの案内溝54は、可塑化材料を連通孔56に導く機能を有している。なお、案内溝54の一端が連通孔56に接続されていなくてもよい。また、バレル50には案内溝54が形成されていなくてもよい。
【0020】
本実施形態における可塑化部30は、上述したスクリュー40、バレル50および可塑化ヒーター58によって、スクリュー40とバレル50との間に供給された材料を流路66に向かって搬送しながら加熱して可塑化材料を生成し、生成した可塑化材料を、流路66を介してノズル61へと供給する。
【0021】
図1に示すように、ノズル61は、ノズル流路65と、ノズル開口62が設けられた先端面63とを備えている。ノズル流路65は、ノズル61内に形成された可塑化材料の流路であり、上述した流路66に連通している。より具体的には、本実施形態では、ノズル流路65は、上述した供給流路67に接続されている。先端面63は、ノズル61の、造形面311に向かって-Z方向に突出した先端部分を構成する面である。ノズル開口62は、ノズル流路65の大気に連通する側の端部に設けられた、ノズル流路65の流路断面が縮小された部分である。可塑化部30によって生成された可塑化材料は、流路66を介してノズル61へ供給され、ノズル流路65を介してノズル開口62から吐出される。
【0022】
本実施形態では、ノズル流路65の周囲には、ノズルヒーター68が設けられている。ノズルヒーター68は、制御部500による制御下において、ノズル61を加熱し、ノズル流路65内の可塑化材料を加熱する。制御部500は、ノズルヒーター68の出力を制御することによって、ノズル流路65内における可塑化材料の流動性を調整できる。本実施形態では、ノズルヒーター68の設定温度は、上述した可塑化部30の可塑化ヒーター58の設定温度よりも高い温度に設定される。
【0023】
送出量調整部70は、ノズル開口62から送出される可塑化材料の流量を調整する。ノズル開口62から外部へと送出される可塑化材料の流量のことを送出量と呼ぶこともある。本実施形態では、送出量調整部70は、流路66内で回転することにより流路66の開度を変化させるバタフライバルブによって構成され、流路66のうち、供給流路67に配置されている。送出量調整部70は、制御部500による制御下において、ステッピングモーター等によって構成される第1駆動部74によって駆動される。制御部500は、第1駆動部74を用いて、バタフライバルブの回転角度を制御することによって、流路66の開度を調整する。これによって、制御部500は、可塑化部30からノズル61に流れる可塑化材料の流量を調整し、送出量を調整することができる。送出量調整部70は、流路66の開度を0とすることによって、送出量を0とすることもできる。つまり、送出量調整部70は、送出量を調整すると共に、可塑化材料の送出のオン/オフを制御する。
【0024】
吸引排出部75は、流路66において送出量調整部70とノズル開口62との間に接続されている。吸引排出部75は、流路66内の可塑化材料を吸引する吸引動作と、吸引した可塑化材料をノズル開口62に向かって押し出す排出動作とを行う。本実施形態において、吸引排出部75は、プランジャーにより構成されている。吸引排出部75は、上述した吸引動作において、プランジャーを流路66から遠ざかる方向へと後退させ、排出動作において、プランジャーを流路66へと近付く方向に前進させる。吸引排出部75は、制御部500による制御下において、第2駆動部76によって駆動される。第2駆動部76は、例えば、ステッピングモーターや、ステッピングモーターの回転力をプランジャーの並進運動に変換するラックアンドピニオン機構等によって構成される。
【0025】
本実施形態において、制御部500は、ノズル61からの可塑化材料の送出を停止する際に吸引排出部75による吸引動作を実行することによって、可塑化材料がノズル開口62から糸を引くように垂れる尾引き現象を抑制する。この場合、制御部500は、送出量調整部70によって流路66の開度を0とした後に吸引動作を実行することで、尾引き現象をより効果的に抑制できる。また、吸引排出部75は、ノズル61からの可塑化材料の送出を開始する際や再開する際に吸引排出部75による排出動作を行うことで、ノズル61からの可塑化材料の送出の応答性を高める。この場合、制御部500は、送出量調整部70によって流路66の開度を0より大きくする前に吸引動作を実行することで、可塑化材料の送出の応答性をより高めることができる。
【0026】
ステージ300は、ノズル61の先端面63に対向する位置に配置されている。三次元造形装置100は、ノズル61からステージ300の造形面311に向けて可塑化材料を送出させ、可塑化材料の層を積層することによって三次元造形物を造形する。
【0027】
位置変更部400は、材料送出装置150とステージ300との相対的な位置を変化させることによって、ノズル61とステージ300との相対的な位置を変化させる。本実施形態では、位置変更部400は、材料送出装置150に対してステージ300を移動させる。なお、ステージ300に対する材料送出装置150やノズル61の相対的な位置の変化を、単に、材料送出装置150やノズル61の移動と呼ぶこともある。つまり、例えば、ステージ300を+X方向に移動させたことを、材料送出装置150やノズル61を-X方向に移動させたと言い換えることもできる。本実施形態における位置変更部400は、3つのモーターの駆動力によって、ステージ300をX,Y,Z方向の3軸方向に移動させる3軸ポジショナーによって構成される。各モーターは、制御部500の制御下にて駆動する。なお、位置変更部400は、ステージ300を移動させる構成ではなく、ステージ300を移動させずに材料送出装置150を移動させる構成であってもよい。また、位置変更部400は、ステージ300と材料送出装置150との両方を移動させる構成であってもよい。
【0028】
図4は、圧力検出ユニット200の概略構成を示す図である。圧力検出ユニット200は、流路66に接続されるシリンダー210と、シリンダー210内に挿入されるロッド220と、ロッド220を介して流路66内の可塑化材料の圧力を検出する第1圧力検出部240とを有している。更に、本実施形態における圧力検出ユニット200は、力付与部材230を有している。本実施形態における第1圧力検出部240は、ロッド220および力付与部材230を介して、流路66内の可塑化材料の圧力を検出する。
【0029】
本実施形態におけるシリンダー210は、その軸方向を長手方向とする筒状を有している。図1および図4に示すように、シリンダー210は、その長手方向がX方向に沿うように配置されている。図1に示すように、シリンダー210の-X方向の端部は、流路66に向かって-X方向に開口している。シリンダー210の+X方向の端部は、流路66の+X方向に位置している。流路66は、シリンダー210を介して、流路66の外部とX方向に連通している。
【0030】
本実施形態において、シリンダー210は、流路66において、送出量調整部70よりも下流に接続されている。つまり、送出量調整部70は、流路66において、流路66とシリンダー210との接続部よりも上流に配置されている。また、シリンダー210は、流路66において、吸引排出部75よりも下流に接続されている。他の実施形態では、シリンダー210は、例えば、流路66において、吸引排出部75よりも上流に接続されていてもよい。
【0031】
ロッド220は、その軸方向を長手方向とする軸状を有している。本実施形態では、ロッド220は、工具鋼によって形成されている。図1および図4に示すように、ロッド220は、その長手方向がX方向に沿うように、シリンダー210に挿入されている。ロッド220は、X方向において、ロッド端面221と、ロッド端面221より流路66から遠い伝達部222とを有している。本実施形態では、ロッド端面221は、ロッド220の-X方向の端面である。図1に示すように、ロッド端面221は、シリンダー210内において、流路66に面している。本実施形態では、伝達部222は、ロッド220の長手方向におけるロッド端面221と反対側の端面であり、ロッド220の+X方向の端面である。図4に示すように、本実施形態では、ロッド220は、+X方向の端部に、ロッド220のX方向における他の部分より大きい径を有する結合部223を有している。本実施形態において、伝達部222は、結合部223の+X方向の端面である。図1および図4に示すように、伝達部222は、シリンダー210の+X方向の位置において、力付与部材230とX方向に接触している。
【0032】
ロッド220の側面と、シリンダー210の内側面との間隔は、ロッド220とシリンダー210との隙間を介して流路66内の可塑化材料が外部に漏出するのを抑制する観点から、例えば、50μm以下であると好ましく、20μm以下であるとより好ましく、10μm以下であると更に好ましい。また、流路66内の可塑化材料から発生するガスをロッド220とシリンダー210との隙間を介して流路66外へと排出する観点から、例えば、5μm以上であると好ましい。
【0033】
図1および図4に示すように、力付与部材230は、X方向において、ロッド220と第1圧力検出部240との間に配置されている。力付与部材230は、その軸方向を長手方向とする軸状を有し、長手方向がX方向に沿うように配置されている。本実施形態では、力付与部材230は、ステンレス鋼によって形成されている。力付与部材230の+X方向の端面である力付与面231は、第1圧力検出部240に接触している。図4に示すように、力付与部材230の-X方向の端部には、-X方向に開口する凹部232が形成されている。上述したロッド220の+X方向の先端部分は、凹部232の開口内に挿入されている。凹部232の開口内において、ロッド220の伝達部222は、凹部232の底部233とX方向に接触している。ロッド220と力付与部材230とは、力付与部材230の-X方向の端部の側面を覆う継手234によって連結されている。継手234は、ロッド220の結合部223の-X方向の面と係合する形状を有しており、ロッド220の力付与部材230に対する-X方向への移動を規制する。
【0034】
本実施形態では、ロッド220の結合部223の側面と、凹部232の内側面との間には、空隙Gpが形成されている。従って、ロッド220は、力付与部材230とX方向に接触する一方で、Y方向やZ方向には接触しない。これによって、例えば、ロッド220と力付与部材230との間に空隙Gpが設けられていない場合と比較して、流路66内の可塑化材料の熱がロッド220を介して力付与部材230に伝わることが抑制され、更に、可塑化材料の熱が第1圧力検出部240へと伝わることが抑制される。また、例えば、ロッド220と第1圧力検出部240とが力付与部材230を介さず直接、接触している形態と比較しても、可塑化材料の熱が第1圧力検出部240へ伝わることが抑制される。なお、本実施形態では、ロッド220の側面と結合部223との間にも空隙が形成されている。
【0035】
ロッド220は、流路66内の可塑化材料の圧力を、第1圧力検出部240へと伝達する。より詳細には、ロッド220は、ロッド端面221において、流路66内の可塑化材料の圧力による+X方向の力を受け、伝達部222を介して、力付与部材230へと伝達する。伝達部222を介して力付与部材230へと伝達された力は、力付与部材230の力付与面231を介して、第1圧力検出部240へと伝達される。以下では、このように伝達部222を介して第1圧力検出部240へと伝達される力のことを、検出力と呼ぶこともある。
【0036】
図4に示すように、第1圧力検出部240は、出力軸251を有するモーター250と、出力軸251に接続されたトルク部材260とを有している。
【0037】
本実施形態では、モーター250は、出力軸251が、ロッド220の長手方向と直交するZ方向に沿うように、出力軸251を-Z方向に向けて配置されている。モーター250は、サーボモーターによって構成されている。第1圧力検出部240は、モーター250をサーボ制御するためのコントローラー255を備えている。本実施形態では、モーター250の駆動は、コントローラー255を介して、制御部500によって制御される。
【0038】
本実施形態では、コントローラー255は、出力軸251の回転位置を保持するようにフィードバック制御する位置保持制御を行う。より詳細には、コントローラー255は、モーター250の駆動が停止している状態において、出力軸251に外部からトルクが付与された場合、そのトルクと逆方向のトルクを出力軸251に発生させることによって、出力軸251の回転位置の変化を規制する。また、外部から付与されたトルクによって出力軸251の回転位置が変化した場合、同様に、そのトルクと逆方向のトルクを出力軸251に発生させることによって、出力軸251の回転位置を元に戻す。このような位置保持制御は、サーボロックと呼ばれることもある。以下では、位置保持制御における、出力軸251の回転位置を保持するためのトルクのことを、位置保持トルクと呼ぶこともある。
【0039】
図5は、図4におけるV-V断面を示す図である。図4および図5に示すように、トルク部材260は、接続部261と、受力部270とを有している。
【0040】
本実施形態における接続部261は、Z方向に沿って配置された略円柱状の部材である。接続部261には、モーター250の出力軸251を接続するための接続孔262と、受力部270を固定するための固定孔263とが形成されている。図4に示すように、接続孔262は、接続部261の+Z方向の端部において+Z方向に開口している。固定孔263は、接続部261の-Z方向の端部において-Z方向に開口している。図5には、X方向およびY方向における接続孔262の位置が二点鎖線によって示され、同様に、固定孔263の位置が一点鎖線によって示されている。図5に示すように、接続孔262は、Z方向に沿って見た時に、接続部261の中心部に形成されている。固定孔263は、Z方向に沿って見た時に、接続部261の中心部からずれた位置に形成されている。そのため、固定孔263は、Z方向に沿って見た時に、出力軸251の回転軸RXからずれた位置に位置している。接続孔262は、例えば、出力軸251の形状に応じて、例えば、Dカット形状に対応する形状やキー溝形状に対応する形状に形成されてもよい。
【0041】
本実施形態では、受力部270は、カムフォロワーによって構成され、軸271と外輪272とを有している。カムフォロワーは、トラックフォロワーと呼ばれることもある。軸271の+Z方向の端部は、上述した接続部261の固定孔263に挿入されている。外輪272は、軸271の側面に固定されたベアリング273によって、軸271を中心にその場で回転可能に支持されている。外輪272およびベアリング273は、接続部261の-Z方向に配置されている。ベアリング273は、例えば、ボールベアリングであってもよいし、ニードルベアリングであってもよい。
【0042】
上述したように、固定孔263は、回転軸RXからずれた位置に形成されている。そのため、図5に示すように、受力部270は、Z方向に沿って見た時に、回転軸RXからずれた位置に配置される。より詳細には、本実施形態において、受力部270は、Z方向に沿って見た時に、回転軸RXから-Y方向に距離Lだけずれた位置に配置されている。
【0043】
トルク部材260は、上述した検出力を受け、検出力によるトルクを出力軸251に付与する。本実施形態におけるトルク部材260は、受力部270の外輪272によって検出力を受けることによって、出力軸251に接続された接続部261を回転させる回転力を発生させ、この回転力によって生じるトルクを出力軸251に付与する。以下では、出力軸251に付与される、検出力によって生じるトルクのことを、検出トルクと呼ぶこともある。
【0044】
本実施形態における第1圧力検出部240は、出力軸251に付与される検出トルクによって発生するモーター250の電流値又は電圧値に基づいて、流路66内の可塑化材料の圧力を検出する。より詳細には、第1圧力検出部240は、上述したコントローラー255による位置保持制御を行っている状態で、検出トルクに応じた位置保持トルクを発生させるための電圧値を検出し、検出した電圧値に基づいて流路66内の可塑化材料の圧力を検出する。これによって、第1圧力検出部240は、ロッド220や力付与部材230の+X方向への移動を規制しつつ、圧力を検出できる。
【0045】
より具体的には、流路66内の可塑化材料の圧力を圧力Pとすると、本実施形態において、圧力Pは下記式(1)によって表される。
P=(V・T)/(L・S・cosθ) (0<θ<180°)…(1)
電圧Vは、出力軸251に検出トルクが付与された際のモーター250の電圧値を表す。トルクTは、モーター250の定格トルクを表す。面積Sは、ロッド220のロッド端面221の面積を表す。角度θは、検出力の伝達方向Dfと、検出力を受けたトルク部材260の出力軸251を中心とした回転の回転方向Drと、が成す角の角度を表す。本実施形態では、伝達方向Dfと回転方向Drとは共に+X方向であるため、θは0°である。従って、本実施形態において、上記式(1)は、下記式(2)と同値である。
P=(V・T)/(L・S)…(2)
【0046】
図6は、他の実施形態における検出トルクの伝達の例を示す図である。図6には、+Z方向に見た時に、トルク部材260が図5の場合よりも左回りに回転した状態で、力付与部材230と受力部270とが接触している様子が示されている。図6に示した例では、伝達方向Dfと回転方向Drとが一致しないため、トルク部材260が検出力を受けた際、受けた検出力のうち、回転方向Drの成分のみが出力軸251への検出トルクの付与に寄与する。
【0047】
上記式(1)および(2)に示すように、同じ圧力Pを検出する場合、距離Lが小さいほど圧力Pの検出時にモーター250に生じる電圧Vは小さくなる。従って、距離Lをより小さくすることによって、圧力Pの検出時にモーター250に生じる負荷を小さくできる。圧力Pの検出において、モーター250に発生する電圧Vをモーター250の定格電圧以下とすると好ましいため、距離Lを小さくすることによって、検出可能な圧力Pの値の幅を広げることができると言い換えることもできる。また、距離Lをより大きくすることによって、圧力Pの変化に対する電圧Vの変化幅が大きくなるため、検出される圧力Pの分解能を高めることができる。
【0048】
制御部500は、第1圧力検出部240による圧力の検出値に基づいて、上述した吸引排出部75の動作を制御する。本実施形態では、制御部500は、圧力の検出値に基づいて、吸引動作や排出動作における吸引排出部75のプランジャーの動作タイミングや、動作スピード、後退距離又は前進距離等を調整する。例えば、制御部500は、吸引動作において、圧力の検出値が高いほどプランジャーの後退開始のタイミングを早める、あるいは、後退スピードを大きくすることで、ノズル開口62からの可塑化材料の送出の停止の応答性をより高めることができる。また、制御部500は、送出動作において、圧力の検出値が低いほどプランジャーの前進開始のタイミングを早める、あるいは前進スピードを大きくすることで、ノズル開口62からの可塑化材料の送出の開始の応答性をより高めることができる。また、制御部500は、例えば、圧力の検出値に基づいて、吸引排出部75をフィードバック制御してもよい。この場合、制御部500は、例えば、流路66内の可塑化材料の圧力が高まりすぎた場合に吸引動作を実行し、圧力が低くなりすぎた場合に排出動作を実行してもよい。更に、制御部500は、圧力の検出値に基づいて、例えば、送出量調整部70をフィードバック制御して、流路66内の可塑化材料の流量を調整してもよい。
【0049】
以上で説明した本実施形態における三次元造形装置100によれば、ロッド220は、ロッド端面221で受けた可塑化材料の圧力による力を、伝達部222を介して第1圧力検出部240に伝達し、第1圧力検出部240は、流路66内の可塑化材料の圧力を、ロッド220を介して検出する。これによって、第1圧力検出部240は、流路66内の可塑化材料の圧力を、ロッド220を介して間接的に測定できる。そのため、圧力を測定したい部分の近くに熱源が設けられている場合や、その部分の近くの設置スペースが限られている場合であっても、その部分において圧力を検出できる可能性が高まる。
【0050】
また、本実施形態では、第1圧力検出部240は、出力軸251を有するモーター250と、受けた検出力による検出トルクを出力軸251に付与するトルク部材260とを有し、第1圧力検出部240は、検出トルクによって発生するモーター250の電流値または電圧値に基づいて流路66内の可塑化材料の圧力を検出する。これによって、モーター250を用いて流路66内の可塑化材料の圧力を検出できる。そのため、例えば、第1圧力検出部240が水晶等の圧電効果によって圧力を測定する圧電型のセンサーによって構成されている場合と比較して、第1圧力検出部240の耐熱性を容易に向上させることができる。
【0051】
また、本実施形態では、トルク部材260は、出力軸251に沿って見た時に、出力軸251の回転軸RXからずれた位置に、検出力を受ける受力部270を有する。そのため、トルク部材260は、受力部270によって検出力を受けることで、簡易に検出トルクを出力軸251に付与できる。また、受力部270の回転軸RXからの距離Lを調整することによって、第1圧力検出部240によって検出可能な圧力値の幅や分解能を簡易に調整できる。
【0052】
また、本実施形態では、受力部270は、カムフォロワーによって構成されている。これによって、検出力が受力部270へとより効率良く伝達される。そのため、受力部270に検出力が伝達される際の受力部270の摩耗や破損が抑制される。なお、他の実施形態では、受力部270はローラーフォロワーによって構成されていてもよく、この場合であっても、検出力が受力部270へとより効率良く伝達され、受力部270に検出力が伝達される際の受力部270の摩耗や破損が抑制される。
【0053】
また、本実施形態では、スクリュー40は、溝45が形成された溝形成面42を有し、可塑化部30は、バレル50と、可塑化ヒーター58とを備える。これによって、可塑化部30を小型化できるため、材料送出装置150全体を小型化できる。
【0054】
また、本実施形態では、ノズルヒーター68を備え、ノズルヒーター68の設定温度は、可塑化ヒーター58の設定温度よりも高い。そのため、ノズルヒーター68によって、ノズル61内の可塑化材料の流動性をより高め、ノズル開口62から可塑化材料を外部へと効率良く送出できる。また、ノズルヒーター68によってノズル61近傍の流路66等の温度が高まった場合であっても、第1圧力検出部240によって、ノズル61近傍の流路66等における可塑化材料の圧力を、ロッド220を介して簡易に検出できる。
【0055】
また、本実施形態では、三次元造形装置100は、流路66において、流路66とシリンダー210との接続部よりも上流に配置された送出量調整部70を備える。これによって、第1圧力検出部240は、流路66において、送出量調整部70よりも下流の可塑化材料の圧力を精度良く検出できる。特に、送出量調整部70によって流路66における送出量調整部70よりも下流の可塑化材料の流量が小さく調整されている場合であっても、送出量調整部70よりも下流の可塑化材料の圧力を精度良く検出できる。そのため、圧力検出ユニット200が流路66において送出量調整部70よりも上流に接続される場合と比較して、流路66において送出量調整部70の下流に配置される機構等を、検出された圧力に基づいてより精度良く制御できる。また、検出される圧力に基づいて送出量調整部70を制御することによって、ノズル開口62からステージ300へ向かって送出される可塑化材料の送出量をより精度良く調整できる。
【0056】
また、本実施形態では、三次元造形装置100は、流路66において送出量調整部70とノズル開口62との間に接続された吸引排出部75を備え、制御部500は、第1圧力検出部240による検出値に基づいて、吸引排出部75を制御する。これによって、圧力検出ユニット200と吸引排出部75とが、共に、流路66において送出量調整部70とノズル開口62との間に接続されるため、第1圧力検出部240によって検出される圧力に基づいて、吸引排出部75をより精度良く制御できる。そのため、ノズル開口62からの可塑化材料の送出の開始や停止の応答性をより高めることができる。
【0057】
B.第2実施形態:
図7は、第2実施形態における三次元造形装置100bの概略構成を示す図である。本実施形態における三次元造形装置100bは、第1実施形態と異なり、更に、第2圧力検出部298を備えている。三次元造形装置100bの構成のうち、特に説明しない部分については、第1実施形態と同様である。
【0058】
第2圧力検出部298は、流路66において、送出量調整部70よりも上流の可塑化材料の圧力を検出する。本実施形態では、第2圧力検出部298は、ダイアフラム式の圧力センサーによって構成されている。第2圧力検出部298は、バレル50を-X方向に貫通する貫通孔57内を-X方向から塞ぐように、貫通孔57に挿入されている。第2圧力検出部298の+X方向の先端299は、貫通孔57内において連通孔56に面している。第2圧力検出部298は、先端299で貫通孔57内の可塑化材料の圧力を受けることによって、連通孔56内の可塑化材料を検出する。他の実施形態では、第2圧力検出部298は、連通孔56内ではなく、例えば、供給流路67のうち、送出量調整部70よりも上流の可塑化材料の圧力を検出してもよい。また、第2圧力検出部298は、例えば、圧電型の圧力センサーによって構成されていてもよいし、圧力検出ユニット200の第1圧力検出部240と同様に、ロッドを介して間接的に圧力を測定する構成であってもよい。
【0059】
本実施形態では、制御部500は、第2圧力検出部298によって検出される圧力の検出値に基づいて、スクリュー40の回転を制御する。例えば、制御部500は、第2圧力検出部298による検出値に基づいて駆動モーター32をフィードバック制御することによって、流路66において送出量調整部70よりも上流の可塑化材料の圧力に基づいて、可塑化部30によって生成される可塑化材料の量を調整できる。
【0060】
以上で説明した本実施形態の三次元造形装置100bによっても、圧力を測定したい部分の近くに熱源が設けられている場合や、その部分の近くの設置スペースが限られている場合であっても、その部分において圧力を測定できる可能性が高まる。特に、本実施形態では、流路66において、送出量調整部70よりも上流の可塑化材料の圧力を検出する第2圧力検出部298を備え、制御部500は、第2圧力検出部298による検出値に基づいて、スクリュー40の回転を制御する。このような形態によれば、制御部500は、送出量調整部70よりも上流の可塑化材料の圧力に基づいて、可塑化部30によって生成される可塑化材料の量を調整できる。これによって、流路66において、送出量調整部70よりも上流の可塑化材料の流量をより精度良く調整できるため、流路66全体における可塑化材料の流量をより調整しやすくなる。そのため、ノズル開口62から送出される可塑化材料の送出量をより精度良く調整できる可能性が高まる。
【0061】
C.第3実施形態:
図8は、第3実施形態における三次元造形装置100cの概略構成を示す図である。本実施形態では、三次元造形装置100cは、第1実施形態と異なり、吸引排出部75を備えていない。そして、三次元造形装置100cにおいて、圧力検出ユニット200cが、流路66内の可塑化材料の圧力を検出するとともに、第1実施形態における吸引排出部75と同様の機能を発揮する。三次元造形装置100cの構成のうち、特に説明しない部分については、第1実施形態と同様である。
【0062】
図8に示すように、本実施形態おける力付与部材230cは、第1実施形態とは異なり、軸状部235と、挟持部236を有している。
【0063】
図9は、本実施形態における圧力検出ユニット200cを示す斜視図である。図10は、図8におけるX-X断面を示す図である。図10には、第1実施形態で説明した図5と同様に、X方向およびY方向における接続孔262の位置が二点鎖線によって示され、X方向およびY方向における固定孔263の位置が一点鎖線によって示されている。また、図10には、X方向およびY方向における接続部261の位置が破線によって示されている。図8および図9に示すように、軸状部235は、その軸方向を長手方向とする軸状の部材であり、長手方向がX方向に沿うように配置されている。軸状部235の-X方向の端部には、第1実施形態における力付与部材230と同様に、凹部232が形成されている。
【0064】
挟持部236は、軸状部235によってX方向に貫通されて、軸状部235に固定されている。挟持部236の+Z方向の端部には、Y方向に沿って溝部237が形成されている。溝部237の-X方向には、第1壁部238が形成され、+X方向には、第2壁部239が形成されている。溝部237内には、受力部270の外輪272が配置されている。つまり、外輪272は、X方向において、第1壁部238と第2壁部239とに挟まれている。
【0065】
本実施形態における力付与部材230cは、挟持部236を介して、第1圧力検出部240に検出力を伝達する。より詳細には、ロッド220の伝達部222を介して力付与部材230cの軸状部235に力が伝達されることによって、軸状部235とともに挟持部236が+X方向に押される。そして、挟持部236の第1壁部238が受力部270の外輪272に接触して外輪272を+X方向に押すことによって、受力部270に検出力を伝達する。これによって、トルク部材260は、出力軸251に検出トルクを付与できる。
【0066】
図11は、第3実施形態における第1圧力検出部240の動作を説明する図である。本実施形態において、制御部500は、第1圧力検出部240のモーター250を駆動させることによって、シリンダー210内でロッド220を摺動させる。例えば、制御部500は、-Z方向に沿って見た時に、モーター250を右回りに回転させてトルク部材260を右回りに回転させることによって、図11に示すように、トルク部材260の受力部270によって挟持部236の第2壁部239を+X方向に押すことができる。そして、挟持部236とともに力付与部材230cが+X方向に移動し、力付与部材230cの移動に伴って、ロッド220が流路66から遠ざかる+X方向に後退する。これによって、シリンダー210内に流路66内の可塑化材料が吸引される。同様に、制御部500は、ロッド220を後退させる場合とは逆方向にモーター250を回転させることによって、トルク部材260によって第1壁部238を-X方向に押すことができる。これによって、ロッド220が、流路66に近付く-X方向に前進し、シリンダー210内の可塑化材料がノズル開口62に向かって押し出される。このように、制御部500は、ロッド220をシリンダー210内で動作させることによって、第1実施形態で説明した吸引排出部75の場合と同様に、吸引動作と排出動作を実行できる。
【0067】
本実施形態においても、第1圧力検出部240は、出力軸251に付与される検出トルクによって発生するモーター250の電流値又は電圧値に基づいて、流路66内の可塑化材料の圧力を検出する。また、制御部500は、第1圧力検出部240による検出値に基づいて、上述したロッド220の動作による吸引動作と排出動作とを実行する。より詳細には、第1圧力検出部240は、上述した吸引動作および排出動作を行う際にもモーター250の位置保持制御を行い、ロッド220による吸引動作や排出動作を行っている際にロッド220を介して検出力が伝達された場合、モーター250の出力軸251の回転位置を吸引動作や排出動作における制御位置に維持させるための位置保持トルクを発生させる。そして、第1圧力検出部240は、この位置保持トルクを発生させるための電圧値に基づいて、流路66内の可塑化材料の圧力を検出する。また、制御部500は、このロッド220による吸引動作および排出動作を、第1実施形態において第1圧力検出部240による検出値に基づいて吸引排出部75による吸引動作および排出動作を実行するのと同様に、第1圧力検出部240による検出値に基づいて実行する。なお、ロッド220の前進または後退によって、図10および図11に示すように、検出力の伝達方向Dfとトルク部材260の回転方向Drとが成す角の角度θが変化するが、第1圧力検出部240は、第1実施形態で説明した式(1)によって圧力Pを検出できる。
【0068】
また、本実施形態では、受力部270がカムフォロワーによって構成されているため、受力部270は、第1壁部238または第2壁部239と接触した状態で、溝部237内をY方向に沿って円滑に移動できる。そのため、受力部270は、検出力を第1壁部238から効率良く伝達されることができ、また、モーター250の回転による力を第1壁部238や第2壁部239に効率良く伝達することができる。
【0069】
以上で説明した本実施形態の三次元造形装置100cによっても、圧力を測定したい部分の近くに熱源が設けられている場合や、その部分の近くの設置スペースが限られている場合であっても、その部分において圧力を測定できる可能性が高まる。特に、本実施形態では、制御部500は、第1圧力検出部240によって検出される圧力に基づいて、ロッド220を流路66に対して後退させて流路66内の可塑化材料をシリンダー210内に吸引する動作と、ロッド220を流路66に対して前進させて、吸引した可塑化材料をノズル開口62に向かって押し出す動作とを実行する。このような形態によれば、第1圧力検出部240による検出値に基づいてシリンダー210内でロッド220を動作させることによって、シリンダー210およびロッド220とは別に可塑化材料の吸引や押し出しを行う部材を設けることなく、検出値に基づく可塑化材料の吸引および押し出しを実行できる。そのため、三次元造形装置100cの省スペース化を実現し、かつ、ノズル開口62からの可塑化材料の送出の停止や開始の応答性を高めることができる。
【0070】
D.第4実施形態:
図12は、第4実施形態における射出成形装置101の概略構成を示す図である。射出成形装置101は、材料送出装置150dと、射出制御部600と、成形型610と、型締装置620と、制御部500dとを備えている。材料送出装置150dは、可塑化部30dと、ノズル61dと、圧力検出ユニット200とを備えている。本実施形態における材料送出装置150dと、圧力検出ユニット200と、制御部500dとの構成は、特に説明しない限り、第1実施形態における構成と同様である。
【0071】
本実施形態における可塑化部30dのバレル50dに形成された連通孔56は、流路66の全部を形成している。連通孔56には、射出制御部600の射出シリンダー601が接続されている。
【0072】
本実施形態におけるノズル61dは、可塑化部30dによって生成された可塑化材料を、ノズル開口62dから成形型610に送出する。より詳細には、ノズル61dは、可塑化材料を、後述する成形型610のキャビティーCvへと射出する。
【0073】
成形型610は、互いに対面する可動型611および固定型612を有し、両者の間にキャビティーCvを有している。キャビティーCvは、成形品の形状に相当する空間である。本実施形態では、可動型611および固定型612は、金属によって形成されている。他の実施形態では、可動型611および固定型612は、セラミックス材料や樹脂材料によって形成されてもよい。
【0074】
型締装置620は、型駆動部621と、ボールネジ部622とを備えている。型駆動部621は、モーターやギア等によって構成され、ボールネジ部622を介して可動型611に接続されている。型駆動部621の駆動は、制御部500によって制御される。ボールネジ部622は、型駆動部621の駆動による動力を可動型611に伝達する。型締装置620は、制御部500の制御下で、型駆動部621およびボールネジ部622によって可動型611を移動させることによって、成形型610の開閉を行う。
【0075】
射出制御部600は、射出シリンダー601と、射出プランジャー602と、第3駆動部603とを備えている。射出シリンダー601は、連通孔56に接続されている。射出プランジャー602は、射出シリンダー601内に挿入されている。射出シリンダー601は、第3駆動部603によって駆動され、射出シリンダー601内を摺動する。第3駆動部603は、例えば、第1実施形態で説明した第2駆動部76と同様に、ステッピングモーターやラックアンドピニオン機構等によって構成される。
【0076】
射出制御部600は、制御部500の制御下で、射出プランジャー602を射出シリンダー601内で摺動させることによって、計量操作と射出操作とを実行する。計量操作とは、第1実施形態で説明した吸引排出部75による吸引動作と同様に、射出プランジャー602を流路66から遠ざかる方向に後退させることによって、流路66内の可塑化材料を射出シリンダー601内へと導いて、射出シリンダー601内に可塑化材料を計量する操作を指す。射出操作とは、第1実施形態で説明した吸引排出部75による排出動作と同様に、射出プランジャー602を流路66へと近付く方向に前進させることによって、射出シリンダー601内の可塑化材料を、ノズル61dを介して成形型610に射出する操作を指す。
【0077】
圧力検出ユニット200のシリンダー210は、第1実施形態と同様に、流路66に接続されている。より詳細には、本実施形態では、シリンダー210は、連通孔56において、射出制御部600の射出シリンダー601よりも下流に接続されている。他の実施形態では、シリンダー210は、例えば、流路66において、射出シリンダー601よりも上流に接続されていてもよい。本実施形態では、シリンダー210およびロッド220は、Z方向に沿って配置され、シリンダー210は、流路66の+Z方向から流路66に接続されている。また、シリンダー210およびロッド220の+Z方向には、図1に示した第1圧力検出部240と同様に構成された、図示しない圧力検出部が配置されている。図12には、X方向およびY方向におけるシリンダー210およびロッド220の位置が示されている。
【0078】
本実施形態においても、制御部500は、圧力検出ユニット200の第1圧力検出部によって検出される圧力に基づいて、例えば、射出制御部600の駆動を制御できる。制御部500は、例えば、計量操作を行う際、連通孔56内の可塑化材料の圧力に応じて、射出プランジャー602の後退スピードを調整することで、射出シリンダー601に過剰な可塑化材料が引き込まれることや、射出シリンダー601内の可塑化材料に空気が混入することを抑制できる。また、制御部500は、例えば、射出操作を行う際、連通孔56内の可塑化材料の圧力に応じて、射出プランジャー602を前進させる速さを調整することで、成形型610に射出される可塑化材料の量の不足や、可塑化材料が過剰な圧力で成形型610射出されることによる残留応力の発生を抑制できる。更に、制御部500は、例えば、第1圧力検出部によって検出される圧力に応じて、可塑化部30dの駆動モーター32の回転数や、型締装置620を駆動させる速さや時間等を調整してもよい。
【0079】
以上で説明した本実施形態における射出成形装置101によっても、圧力を測定したい部分の近くに熱源が設けられている場合や、その部分の近くの設置スペースが限られている場合であっても、その部分において圧力を測定できる可能性が高まる。
【0080】
なお、他の実施形態では、射出成形装置101は、例えば、流路66において、圧力検出ユニット200よりも上流に、第2実施形態で説明した第2圧力検出部298と同様に構成された他の圧力検出部を備えていてもよい。また、例えば、射出成形装置101に射出制御部600が設けられず、圧力検出ユニット200が射出制御部600として機能してもよい。この場合、制御部500dは、第3実施形態において圧力検出ユニット200cに吸引排出部75と同様の機能を発揮させる場合と同様に、第1圧力検出部による検出値に基づいて、ロッド220を後退させて可塑化材料をシリンダー210内に吸引する動作と、ロッド220を前進させて吸引した可塑化材料をノズル開口62に向かって押し出す動作とを実行する。このような形態によれば、第3実施形態と同様に、第1圧力検出部による検出値に基づいてシリンダー210内でロッド220を動作させることによって、シリンダー210およびロッド220とは別に可塑化材料の吸引や押し出しを行う部材を設けることなく、検出値に基づく可塑化材料の吸引および押し出しを実行できる。そのため、射出成形装置101の省スペース化を実現できる。
【0081】
E.他の実施形態:
(E-1)上記実施形態では、伝達部222は、ロッド220の長手方向におけるロッド端面221と反対側の端面である。これに対して、伝達部222は、ロッド220の長手方向におけるロッド端面221と反対側の端面でなくてもよい。例えば、伝達部222は、ロッド220の長手方向における両端面の間の部分の側面であってもよいし、ロッド220の長手方向における両端面の間の部分の側面に設けられた凹凸であってもよい。
【0082】
(E-2)上記実施形態では、圧力検出ユニット200は、力付与部材230を有している。これに対して、圧力検出ユニット200は力付与部材230を有していなくてもよい。例えば、ロッド220の伝達部222が、流路66内の可塑化材料の圧力による力を、第1圧力検出部240に直接、伝達してもよい。
【0083】
(E-3)上記実施形態では、第1圧力検出部240は、可塑化材料の圧力を検出する際、モーター250の位置保持制御を行っている。これに対して、第1圧力検出部240は、可塑化材料の圧力を検出する際、モーター250の位置保持制御を行わなくてもよい。この場合、第1圧力検出部240は、例えば、出力軸251に検出トルクが付与された際にモーター250に生じる回生電力の電流値や電圧値に基づいて、流路66内の可塑化材料の圧力を検出してもよい。
【0084】
(E-4)上記実施形態では、第1圧力検出部240は、モーター250を有している。これに対して、第1圧力検出部240は、モーター250を有していなくてもよい。例えば、第1圧力検出部240は、圧電型の圧力センサーによって構成されていてもよいし、ダイアフラム式の圧力センサーによって構成されていてもよい。
【0085】
(E-5)上記実施形態では、受力部270は、カムフォロワー又はローラーフォロワーによって構成されている。これに対して、受力部270は、カムフォロワーによって構成されていなくてもよいし、ローラーフォロワーによって構成されていなくてもよい。
【0086】
(E-6)上記実施形態では、材料送出装置150の可塑化部30は、フラットスクリューによって材料を可塑化し、可塑化材料を生成している。これに対して可塑化部30は、例えば、インラインスクリューを回転させることによって材料を可塑化して可塑化材料を生成するものであってもよい。また、三次元造形装置100において、材料送出装置150は、フィラメント状の材料を可塑化してノズル開口62から可塑化材料を送出する構成であってもよい。
【0087】
(E-7)上記実施形態では、ノズルヒーター68の設定温度は、可塑化ヒーター58の設定温度よりも高い。これに対して、ノズルヒーター68の設定温度は、可塑化ヒーター58の設定温度以下であってもよい。また、例えば、ノズルヒーター68が設けられていなくてもよい。
【0088】
(E-8)上記実施形態では、送出量調整部70は、流路66において、流路66とシリンダー210との接続部よりも上流に配置されている。これに対して、送出量調整部70は、例えば、流路66とシリンダー210との接続部よりも下流に配置されてもよい。また、送出量調整部70が設けられていなくてもよい。
【0089】
(E-9)上記実施形態では、吸引排出部75は、流路66において、送出量調整部70とノズル開口62との間に接続されている。これに対して、吸引排出部75は、例えば、流路66において、送出量調整部70よりも上流に配置されてもよい。
【0090】
F.他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0091】
(1)本開示の第1の形態によれば、材料送出装置が提供される。この材料送出装置は、スクリューを有し、前記スクリューの回転によって材料を可塑化して可塑化材料を生成する可塑化部と、前記可塑化材料が流れる流路と、前記流路に連通し、前記可塑化材料を外部に送出するノズル開口を有するノズルと、前記流路に接続されるシリンダーと、前記シリンダー内に挿入されるロッドと、前記ロッドを介して前記流路内の前記可塑化材料の圧力を検出する第1圧力検出部と、を備える。前記ロッドは、前記ロッドの長手方向において、前記流路に面するロッド端面、及び、前記ロッド端面より前記流路から遠い伝達部を有し、前記ロッド端面で受けた前記圧力による力を、前記伝達部を介して前記第1圧力検出部に伝達する。
このような形態によれば、第1圧力検出部は、流路内の可塑化材料の圧力を、ロッドを介して間接的に測定できる。そのため、圧力を測定したい部分の近くに熱源が設けられている場合や、その部分の近くの設置スペースが限られている場合であっても、その部分において圧力を検出できる可能性が高まる。
【0092】
(2)上記形態の材料送出装置において、前記第1圧力検出部は、出力軸を有するモーターと、前記出力軸に接続され前記伝達部を介して伝達される前記力を受けるトルク部材と、を有し、前記トルク部材は、受けた前記力によるトルクを前記出力軸に付与し、前記第1圧力検出部は、前記トルクによって発生する前記モーターの電流値または電圧値に基づいて、前記圧力を検出してもよい。このような形態によれば、モーターを用いて流路内の可塑化材料の圧力を検出できる。そのため、例えば、第1圧力検出部が圧電効果によって圧力を測定するセンサーによって構成されている場合等と比較して、第1圧力検出部の耐熱性を容易に向上させることができる。
【0093】
(3)上記形態の材料送出装置において、前記トルク部材は、前記出力軸に沿って見た時に、前記出力軸の回転軸からずれた位置に、前記伝達部を介して伝達される前記力を受ける受力部を有していてもよい。このような形態によれば、トルク部材は、受力部によって力を受けることで、簡易にトルクを出力軸に付与できる。また、受力部の回転軸からの距離を調整することによって、検出可能な圧力値の幅や分解能を簡易に調整できる。
【0094】
(4)上記形態の材料送出装置において、前記受力部は、カムフォロワーまたはローラーフォロワーによって構成されていてもよい。このような形態によれば、検出力が受力部へとより効率良く伝達される。そのため、受力部に検出力が伝達される際の、受力部の摩耗や破損が抑制される。
【0095】
(5)上記形態の材料送出装置において、前記スクリューは、溝が形成された溝形成面を有し、前記可塑化部は、前記溝形成面に対向する対向面を有し、前記対向面に前記流路の少なくとも一部を形成する連通孔が形成されたバレルと、前記スクリューと前記バレルとの間に供給された前記材料を加熱する可塑化ヒーターと、を更に備えていてもよい。このような形態によれば、可塑化部を小型化できるため、材料送出装置全体を小型化できる。
【0096】
(6)上記形態の材料送出装置において、前記ノズルを加熱するノズルヒーターを備え、前記ノズルヒーターの設定温度は、前記可塑化ヒーターの設定温度よりも高くてもよい。このような形態によれば、ノズルヒーターによって、ノズル内の可塑化材料の流動性をより高め、ノズル開口から可塑化材料を外部へと効率良く送出できる。また、ノズルヒーターによってノズル近傍の流路等の温度が高まった場合であっても、第1圧力検出部によってノズル近傍の流路等における可塑化材料の圧力を、ロッド220を介して簡易に検出できる。
【0097】
(7)本開示の第2の形態によれば、三次元造形装置が提供される。この三次元造形装置は、上記形態の材料送出装置と、前記ノズルから送出される前記可塑化材料を堆積するステージと、前記材料送出装置を制御する制御部と、前記流路において、前記流路と前記シリンダーとの接続部よりも上流に配置され、前記ノズル開口から送出される前記可塑化材料の流量を調整する送出量調整部と、を備える。このような形態によれば、第1圧力検出部は、流路において、送出量調整部よりも下流の可塑化材料の圧力を精度良く検出できる。特に、送出量調整部によって流路における送出量調整部よりも下流の可塑化材料の流量が小さく調整されている場合であっても、送出量調整部よりも下流の可塑化材料の圧力を精度良く検出できる。そのため、流路において送出量調整部の下流に配置される機構等を、第1圧力検出部によって検出される圧力に基づいてより精度良く制御できる。
【0098】
(8)上記形態の三次元造形装置では、前記流路において、前記送出量調整部よりも上流の前記可塑化材料の圧力を検出する第2圧力検出部を備え、前記制御部は、前記第2圧力検出部による検出値に基づいて、前記スクリューの回転を制御してもよい。このような形態によれば、制御部は、送出量調整部よりも上流の可塑化材料の圧力に基づいて、可塑化部によって生成される可塑化材料の量を調整できる。これによって、流路において、送出量調整部よりも上流の可塑化材料の流量をより精度良く調整できるため、流路全体における可塑化材料の流量をより調整しやすくなる。そのため、ノズル開口から送出される可塑化材料の送出量をより精度良く調整できる可能性が高まる。
【0099】
(9)上記形態の三次元造形装置では、前記流路において前記送出量調整部と前記ノズル開口との間に接続され、前記流路内の前記可塑化材料を吸引し、吸引した前記可塑化材料を前記ノズル開口に向かって押し出す吸引排出部を備え、前記制御部は、前記第1圧力検出部による検出値に基づいて前記吸引排出部を制御してもよい。このような形態によれば、シリンダーと吸引排出部とが、共に、流路において送出量調整部とノズル開口との間に接続されるため、シリンダー内に挿入されたロッドを介して第1圧力検出部によって検出される圧力に基づいて、吸引排出部をより精度良く制御できる。そのため、ノズル開口からの可塑化材料の送出の開始や停止の応答性をより高めることができる。
【0100】
(10)上記形態の三次元造形装置において、前記制御部は、前記第1圧力検出部による検出値に基づいて、前記ロッドを前記流路に対して後退させて前記流路内の前記可塑化材料を前記シリンダー内に吸引する動作と、前記ロッドを前記流路に対して前進させて吸引した前記可塑化材料を前記ノズル開口に向かって押し出す動作と、を実行してもよい。このような形態によれば、第1圧力検出部による検出値に基づいてシリンダー内でロッドを動作させることによって、シリンダーおよびロッドとは別に可塑化材料の吸引や押し出しを行う部材を設けることなく、検出値に基づく可塑化材料の吸引および押し出しを実行できる。そのため、三次元造形装置の省スペース化を実現し、かつ、ノズル開口からの可塑化材料の送出の停止や開始の応答性を高めることができる。
【0101】
(11)本開示の第3の形態によれば、射出成形装置が提供される。この射出成形装置は、上記形態の材料送出装置と、前記材料送出装置を制御する制御部と、を備え、前記ノズルは、前記可塑化材料を成形型に送出する。
【0102】
(12)上記形態の射出成形装置において、前記制御部は、前記第1圧力検出部による検出値に基づいて、前記ロッドを前記流路に対して後退させて前記流路内の前記可塑化材料を前記シリンダー内に吸引する動作と、前記ロッドを前記流路に対して前進させて吸引した前記可塑化材料を前記ノズル開口に向かって押し出す動作と、を実行してもよい。このような形態によれば、第1圧力検出部による検出値に基づいてシリンダー内でロッドを動作させることによって、シリンダーおよびロッドとは別に可塑化材料の吸引や押し出しを行う部材を設けることなく、可塑化材料の吸引および押し出しを実行できる。そのため、射出成形装置の省スペース化を実現できる。
【符号の説明】
【0103】
20…材料供給部、22…供給路、30,30d…可塑化部、31…スクリューケース、32…駆動モーター、40…スクリュー、41…上面、42…溝形成面、43…側面、44…材料導入口、45…溝、46…凸条部、47…中央部、50,50d…バレル、52…スクリュー対向面、54…案内溝、56…連通孔、57…貫通孔、58…可塑化ヒーター、61,61d…ノズル、62,62d…ノズル開口、63…先端面、65…ノズル流路、66…流路、67…供給流路、68…ノズルヒーター、70…送出量調整部、74…第1駆動部、75…吸引排出部、76…第2駆動部、100,100b,100c…三次元造形装置、101…射出成形装置、150,150d…材料送出装置、200,200c…圧力検出ユニット、210…シリンダー、220…ロッド、221…ロッド端面、222…伝達部、223…連結部、230,230c…力付与部材、231…力付与面、232…凹部、233…底部、234…継手、235…軸状部、236…挟持部、237…溝部、238…第1壁部、239…第2壁部、240…第1圧力検出部、250…モーター、251…出力軸、255…コントローラー、260…トルク部材、261…接続部、262…接続孔、263…固定孔、270…受力部、271…軸、272…外輪、273…ベアリング、298…第2圧力検出部、299…先端、300…ステージ、311…造形面、400…位置変更部、500,500d…制御部、600…射出制御部、601…射出シリンダー、602…射出プランジャー、603…第3駆動部、610…成形型、611…可動型、612…固定型、620…型締装置、621…型駆動部、622…ボールネジ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12