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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】生体情報検出装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/021 20060101AFI20250304BHJP
   A61B 5/02 20060101ALI20250304BHJP
   A61B 5/0245 20060101ALI20250304BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20250304BHJP
【FI】
A61B5/021
A61B5/02 310Z
A61B5/0245 C
A61B5/11 110
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021122400
(22)【出願日】2021-07-27
(65)【公開番号】P2023018344
(43)【公開日】2023-02-08
【審査請求日】2024-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 里穂
【審査官】阿部 知
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-003245(JP,A)
【文献】特開平10-229973(JP,A)
【文献】特開2020-031732(JP,A)
【文献】特開2020-141997(JP,A)
【文献】特開2021-049119(JP,A)
【文献】特開2021-096536(JP,A)
【文献】特開2022-114807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 - 5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の生体情報を検出する生体情報検出装置であって、
送信アンテナ(12)から放射されて前記対象者を透過した電波を受信する受信アンテナ(13)と、
前記送信アンテナから電波が放射された際に、前記受信アンテナが受けた電波に応じた受信信号を取得する信号取得部(21)と、
前記対象者の脈波の時間波形を検出するための脈波検出装置(15、16、24、25、30)と、
前記対象者の血圧を前記生体情報として算出する演算部(24)と、を備え、
前記演算部は、前記受信信号から前記対象者の心臓の動きに起因して生ずる信号成分の時間波形から前記血圧に相関する物理量を算出し、前記物理量を前記脈波の時間波形に基づいて補正することで前記血圧を算出する、生体情報検出装置。
【請求項2】
前記演算部は、
前記信号成分の時間波形において第1の特徴量が発現してから前記脈波の時間波形において前記第1の特徴量に対応する第2の特徴量が発現するまでの時間を前記脈波の遅延時間として検出し、
前記物理量を前記遅延時間に基づいて補正することで前記血圧を算出する、請求項1に記載の生体情報検出装置。
【請求項3】
前記演算部は、前記物理量と前記遅延時間との乗算結果に基づいて前記血圧を算出する、請求項2に記載の生体情報検出装置。
【請求項4】
前記演算部は、前記対象者を特定する特定情報と前記遅延時間とを関連付けて記憶部(22)に記憶し、
前記対象者の前記血圧を算出する際に、前記特定情報を参照して前記対象者に対応する前記遅延時間を前記記憶部から読み込み、前記記憶部から読み込んだ前記遅延時間に基づいて前記物理量を補正する、請求項2または3に記載の生体情報検出装置。
【請求項5】
前記脈波検出装置は、前記対象者と非接触で前記脈波の時間波形を検出する、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の生体情報検出装置。
【請求項6】
前記脈波検出装置は、カメラ(31)によって撮像される前記対象者の顔を含む範囲の画像を周期的に取得し、前記画像の時間変化に基づいて前記脈波の時間波形を検出する、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の生体情報検出装置。
【請求項7】
前記脈波検出装置は、前記受信アンテナとは異なる位置に配置されて前記送信アンテナから放射されて前記対象者を透過した電波を受信するサブアンテナ(16)を含み、
前記信号取得部は、前記送信アンテナから電波が放射された際に、前記サブアンテナが受けた電波に応じた信号をサブ受信信号として取得し、
前記演算部は、前記サブ受信信号の時間波形に基づいて前記脈波の時間波形を検出する、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の生体情報検出装置。
【請求項8】
前記受信アンテナは、前記対象者の身体のうち前記心臓を含む胸部位を透過した電波を受信するように配置され、
前記サブアンテナは、前記対象者の身体のうち前記胸部位とは異なる部位を透過した電波を受信するように配置される、請求項7に記載の生体情報検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対象者の生体情報を検出する生体情報検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象者の指に装着された光電式脈波センサで脈波を常時検出しつつ、心電図検査でR波の出現タイミングを常時観測し、これらの結果に基づいて、心拍に相関性を有する脈波伝播時間を計測するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-66681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の装置は、心電図のR波を観測するための電極および脈波を検出するための脈波センサそれぞれを対象者に装着した状態で、心拍に相関する物理量を検出する必要がある。この場合、対象者の血圧を検出する際に、2以上の箇所で対象者の身体が拘束され、対象者の行動が大きく妨げられてしまう。
【0005】
本開示は、対象者の行動の妨げとなることを抑制しつつ、対象者の血圧を検出可能な生体情報検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、
対象者の生体情報を検出する生体情報検出装置であって、
送信アンテナ(12)から放射されて対象者を透過した電波を受信する受信アンテナ(13)と、
送信アンテナから電波が放射された際に、受信アンテナが受けた電波に応じた受信信号を取得する信号取得部(21)と、
対象者の脈波の時間波形を検出するための脈波検出装置(15、16、24、25、30)と、
対象者の血圧を生体情報として算出する演算部(24)と、を備え、
演算部は、受信信号から対象者の心臓の動きに起因して生ずる信号成分の時間波形から血圧に相関する物理量を算出し、物理量を脈波の時間波形に基づいて補正することで血圧を算出する。
【0007】
これによれば、少なくとも血圧に相関する物理量については、対象者を透過した電波に基づいて算出するので、血圧検出時の対象者の身体の拘束を抑制することができる。したがって、対象者の行動の妨げとなることを抑制しつつ、対象者の血圧を測定することができる。
【0008】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る生体情報検出装置の概略構成図である。
図2】送信アンテナおよび受信アンテナの配置態様の一例を示す模式図である。
図3】心電図データを説明するための説明図である。
図4】受信アンテナが受けた電波に応じた受信信号の時間波形を説明するための説明図である。
図5】第1実施形態に係る生体情報検出装置の情報制御部が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図6】受信信号の時間波形と脈波センサのセンサ出力である脈波の時間波形との関係を説明するための説明図である。
図7】受信信号から抽出した成分の変動量と心室の収縮量との相関関係を説明するための説明図である。
図8】第2実施形態に係る生体情報検出装置の概略構成図である。
図9】第3実施形態に係る生体情報検出装置の概略構成図である。
図10】身体にある血管の一部を説明するための説明図である。
図11】サブアンテナが受けた電波に応じたサブ受信信号の周波数特性を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
【0011】
(第1実施形態)
本実施形態について、図1図7を参照して説明する。本実施形態では、本開示の生体情報検出装置1を用いて、車両のシートSに着座した乗員Pの一人の血圧を生体情報として算出する例について説明する。
【0012】
近年、病気の症状が現れてからの治療ではなく、日々の健康管理等で未然に防ぐ予防医療が重視されつつある。日々の健康管理に用いる指標として血圧がある。血圧は心臓Hにどの程度負担がかかっているかを測る指標の1つであり、日本国では健康診断での必須の項目となっている。しかし、血圧は測る時間や測る前の食事や緊張等によってばらつくため、1年に1回の健康診断の場だけでなく、例えば1日1回同じ時間に測り推移を見ることが推奨されている。その環境に適していると考えられる1つが車両を用いた通勤時間である。但し、車両に乗車している際の条件として「運転の妨げにならない」があるため、非拘束で血圧を検出することが求められている。
【0013】
これらを加味して、生体情報検出装置1は、乗員Pを透過した電波信号に基づいて、乗員Pの血圧に相関する物理量を検出する電波透過式の装置を含んで構成されている。生体情報検出装置1は、車両のシートSのうち、運転席DSに着座した乗員Pを対象者とし、当該対象者の血圧を算出する。生体情報検出装置1は、発信機11、送信アンテナ12、受信アンテナ13、受信機14、脈波センサ15、情報制御部20を備えている。
【0014】
発信機11は、所定の周波数(例えば、900MHz帯の周波数)の送信信号を送信アンテナ12に出力する。送信アンテナ12は、車内のインストルメントパネルのうち、運転席DSに対して車両の進行方向の前方側に配置されている。送信アンテナ12は、発信機11からの送信信号に応じた電波信号を運転席DSに着座した乗員Pの上半身に向けて発信する。
【0015】
受信アンテナ13は、図2に示すように、運転席DSに着座した乗員Pを挟んで送信アンテナ12と対向して配置されている。本実施形態の受信アンテナ13は、運転席DSのシートバックに取り付けられている。受信アンテナ13は、送信アンテナ12から送信された電波を受信可能に構成されている。受信アンテナ13は、送信アンテナ12から放射されて対象者である乗員Pを透過した電波を受信する。
【0016】
受信機14は、受信アンテナ13が受信した電波信号を増幅して出力する。具体的には、受信機14は、受信アンテナ13が受信した電波信号を増幅して生体信号P1として情報制御部20に出力する。
【0017】
脈波センサ15は、乗員Pの身体に装着されて乗員Pの脈波を逐次検出する装着型センサで構成されている。脈波センサ15は、乗員Pの身体のうち、センサ部を装着した部位の脈波を検出する。脈波センサ15は、例えば、光電式脈波センサ、インピーダンス式脈波センサ等を用いることができる。脈波センサ15は、心臓Hが血液を送り出すことに伴い発生する血管の容積変化を波形として検出する。本実施形態では、脈波センサ15が対象者である乗員Pの脈波の時間波形を検出するための脈波検出装置を構成する。
【0018】
情報制御部20は、受信機14から取得した生体信号P1および脈波センサ15が検出する脈波の時間波形に基づいて、生体情報として乗員Pの血圧を算出する。情報制御部20は、入力部21、記憶部22、出力部23、処理部24を含んでいる。
【0019】
入力部21は、送信アンテナ12から電波が放射された際に受信アンテナ13が受けた電波に応じた受信信号を取得する信号取得部である。入力部21は、受信機14から入力されたアナログ信号である生体信号P1をデジタル信号として処理部24に出力する。
【0020】
記憶部22は、RAM、ROM、書き込み可能な不揮発性メモリ等を含む。記憶部22を構成するRAM、ROM、書き込み可能な不揮発性メモリは、いずれも非遷移的実体的記憶媒体である。
【0021】
出力部23は、処理部24から入力された信号を情報制御部20の外部の装置に出力する。出力先の外部の装置は、例えば、経路案内等を行う車載ナビゲーション装置でもよいし、車両の外部と通信を行う車載データ通信モジュールでもよいし、乗員Pが携帯する携帯通信端末でもよい。
【0022】
処理部24は、記憶部22のROMまたは書き込み可能な不揮発性記憶媒体に記録されたプログラムに従った処理を実行する装置である。本実施形態の処理部24は、記憶部22のRAMを作業領域として使用する。処理部24は、乗員Pの血圧を生体情報として算出する演算部として機能する。
【0023】
ここで、情報制御部20は、CAN通信を介して車載ネットワークに接続されている。CANは、Controller Area Networkの略称である。情報制御部20は、通信バスであるCANバス30に接続されている。このCANバス30には、脈波センサ15を含む車載機器が接続されている。情報制御部20は、CANバス30を介して脈波センサ15で検出された脈波の時間波形を取得可能になっている。なお、情報制御部20と脈波センサ15は、CANバス30を介さずに別の接続手段で接続されていたり、直に接続されていたりしてもよい。
【0024】
次に、生体情報検出装置1の作動について説明する。発信機11は、所定の周波数の送信信号を送信アンテナ12に出力する。送信アンテナ12は、発信機11からの送信信号に応じた電波を運転席DSに乗車した乗員Pに向けて送信する。送信アンテナ12から送信された電波の一部は、運転席DSに乗車した乗員Pを透過して受信アンテナ13に受信される。
【0025】
電波に対して乗員Pの身体は誘電体として機能する。このため、乗員Pの身体を電波が通過する際に、電波の電界強度に誘電体損失が生じる。乗員Pの身体のうち、心臓Hは、拡張、収縮に伴ってその形状が変化する。このため、心臓Hを透過して受信アンテナ13に至る電波において、電界強度に生じる誘電体損失は、心臓Hの動きに応じて変化する。
【0026】
このように、受信アンテナ13が受信する受信信号の強度は、心臓Hの動きに応じて周期的に変化する成分を含む。したがって、送信アンテナ12からの電波を受信アンテナ13が受信した際に受信アンテナ13から受信機14に出力される電気信号のレベルは、心臓Hの動きに応じて変動する成分が含まれる。
【0027】
ここで、図3は、心電図データであり、横軸が時間を示し、縦軸が心電図の波形の振幅を示している。心電図データは、心臓Hが収縮する際に生ずる電気エネルギを記録したものである。心電図データには、心臓Hの動きが反映される。すなわち、心電図データには、心臓Hの動きに応じて変動する成分が含まれる。具体的には、図3に示すように、心臓Hの心房の収縮は、心電図のP波に対応している。心臓Hの心室の収縮は、P波に続くQRS波に対応している。QRS波の電圧は、P波の電圧よりも大きい。
【0028】
心臓Hは、心房の収縮と心室の収縮とが繰り返されることで、心房から入った血液が心室に押し出され、心室から心臓Hの外部へ送り出される。具体的には、血液は、右心室から肺へ、左心室から全身へ血液を送り出される。このため、左心室の収縮量が、心臓Hから全身に送り出される血液の駆出量に比例する。血圧は、心臓Hから全身へ送り出される血液の駆出量および血管抵抗に応じて変化する。このため、血圧と心臓Hの動きには一定の相関性がある。
【0029】
生体情報検出装置1の受信アンテナ13が受信する受信信号の強度は、心電図データと同様に、心臓Hの動きに応じて変化する。心臓Hの動きは、心房と心室の2段階の動きがある。これに対応して、受信信号の時間波形は、図4に示すように、信号強度が2段階で変動する。本発明者らの調査検討によれば、心室が収縮する際に受信信号の信号強度の変化が大きくなることが判っている。具体的には、心臓Hの心室の収縮量は、受信信号の信号強度の最大変化量ΔAと強い相関性がある。
【0030】
これらを加味して、本実施形態の生体情報検出装置1では、所定期間における受信信号の信号強度の変化のうち特徴的な変化量を心臓Hの心室の収縮量として抽出し、当該成分に基づいて対象者の血圧を算出する。
【0031】
ここで、血圧は、オームの法則における電圧V、電流I、抵抗と同様に、血液の流量と抵抗とが寄与する。流量は、心臓Hの心室から全身に送られる血液の駆出量である。前述したように、血液の駆出量は、心臓Hの心室の収縮量と強い相関があり、受信信号の信号強度の変化から心臓Hの心室の収縮量を抽出することによって把握することができる。
【0032】
一方、抵抗は、血管における血液の流れ難さを示す血管抵抗である。この血管抵抗は、個人毎に異なるので、血圧を精度よく検出するためには個人毎に把握する必要がある。血管抵抗は、血液の駆出量および血圧を同時に取得する専用のキットを用いたキャリブレーションによって得ることが可能である。
【0033】
しかし、専用のキットを用いたキャリブレーションをユーザが実施する場合、ユーザが専用のキットを用意するとともに、当該キットを操作する必要がある。このため、上記のキャリブレーションをユーザが実施することは、実質的に困難であり、ディーラ等の専門業者へ対応を依頼せざるを得ない。
【0034】
これらを加味して、本実施形態の生体情報検出装置1は、血管抵抗と脈波の遅延との間の強い相関性を利用して、脈波の遅延から血管抵抗を把握するように構成されている。この血管抵抗の把握は、情報制御部20の処理部24における演算処理で実現される。以下、情報制御部20の処理部24が実行する処理の流れについて図5を参照しつつ説明する。図5に示す処理は、車両の運転席DSに乗員Pが着座した状態において、情報制御部20によって定期的または不定期に実行される。
【0035】
図5に示すように、処理部24は、ステップS100にて、送信アンテナ12から電波が送信された際に受信アンテナ13で受信される受信信号の時間波形を、受信機14を介して取得する。また、処理部24は、乗員Pの指先における脈波の時間波形を脈波センサ15から逐次取得する。
【0036】
ここで、受信信号の時間波形は、受信信号の信号強度の時間変化であり、例えば、図4および図6の上段に示すような波形となる。受信信号の時間波形には、心臓Hの心室の動きに相関性を有する成分が含まれる。また、脈波の時間波形は、図6の下段で示すような波形となる。脈波は、心臓Hが血液を送り出すことに伴い発生する。このため、脈波の時間波形には、受信信号の時間波形に対応した特徴が現れる。
【0037】
続いて、処理部24は、ステップS110にて、運転席DSに着座した乗員Pの脈波の遅延時間ΔTについて記憶部22に記憶されているか否かを判定する。この判定処理は、記憶部22に記憶された情報に基づいて行われる。
【0038】
遅延時間ΔTについて記憶部22に記憶されてない場合、処理部24は、ステップS120に移行する。一方、遅延時間ΔTについて記憶部22に記憶されている場合、ステップS120、S130をスキップしてステップS140に移行する。
【0039】
処理部24は、ステップS120にて、受信信号の信号成分の時間波形において第1の特徴量Aが発現してから脈波の時間波形において第1の特徴量Aに対応する第2の特徴量Bが発現するまでの時間を遅延時間ΔTとして検出する。
【0040】
処理部24は、例えば、受信信号の信号成分の時間波形において振幅が最大となるポイントを第1の特徴量Aとして特定する。また、処理部24は、脈波の時間波形において第1の特徴量Aに対応するポイントを第2の特徴量Bとして特定する。処理部24は、例えば、第1の特徴量Aが発現したタイミングの後に、脈波の時間波形において最初に振幅が最大となるポイントを第2の特徴量Bとして特定する。
【0041】
そして、処理部24は、第1の特徴量Aが発現したタイミングから第2の特徴量Bが発現するまでの時間を遅延時間ΔTとして検出する。例えば、処理部24は、第1の特徴量Aが発現した時刻taと第2の特徴量Bが発現した時刻tbとの時間差を遅延時間ΔTとして検出する。
【0042】
続いて、処理部24は、ステップS130にて、遅延時間ΔTを記憶部22に記憶する。具体的には、処理部24は、車両のイグニッションスイッチがオフされても遅延時間ΔTが記憶部22に保持されるように、遅延時間ΔTを記憶部22の不揮発性メモリに記憶する。
【0043】
ここで、脈波の遅延時間ΔTは、個人間で異なるパラメータである。このため、処理部24は、乗員Pを特定する特定情報と関連付けて遅延時間ΔTを記憶部22に記憶する。特定情報としては、例えば、乗員Pの顔画像、指紋情報等の固有な情報が挙げられる。
【0044】
続いて、処理部24は、ステップS140にて、受信信号から心室の収縮に起因する信号成分を抽出する。前述の如く、心臓Hの心室の収縮量は、受信信号の信号強度の最大変化量ΔAと強い相関性がある。このため、処理部24は、所定期間における受信信号の信号強度の変化のうち最大変化量ΔAを特徴的な変化量として抽出する。
【0045】
続いて、処理部24は、ステップS150にて、血圧に相関する物理量として心室の収縮量を算出する。例えば、処理部24は、図7に示す最大変化量ΔAと心室の収縮量との関係を規定した制御マップまたは関係式を参照して、ステップS120で抽出した最大変化量ΔAを用いて心室の収縮量を算出する。最大変化量ΔAと心室の収縮量との関係を規定した制御マップまたは関係式は、例えば、心室の収縮量が把握可能なエコー画像と受信アンテナ13の受信信号とを同期して取得することで作成可能である。
【0046】
続いて、処理部24は、ステップS160にて、心室の収縮量を遅延時間ΔTによって補正することで乗員Pの血圧を算出する。以下、血圧の算出方法の一例について説明する。
【0047】
血圧は、電気回路における電圧V、電流I、電気抵抗Rの関係を示すオームの法則のように、以下の数式F1で表すことができる。
【0048】
血圧=血管抵抗×心拍出量 ・・・(F1)
数式F1中の血管抵抗は、以下の数式F2で表すことができる。
【0049】
血管抵抗=α×脈波の遅延時間ΔT ・・・(F2)
但し、数式F2におけるαは、遅延時間ΔTを血管抵抗に換算するために事前に設定される定数である。
【0050】
また、数式F1中の心拍出量は、以下の数式F3で表すことができる。
【0051】
心拍出量=β×心室の収縮量 ・・・(F3)
但し、数式F3におけるβは、心室の収縮量を心拍出量に換算するために事前に設定される定数である。
【0052】
上記の数式F1は、数式F2、数式F3を用いて以下の数式F4に変形することができる。
【0053】
血圧=(α×脈波の遅延時間ΔT)×(β×心室の収縮量)
=γ×脈波の遅延時間ΔT×心室の収縮量 ・・・(F4)
但し、数式F4におけるγは、生体情報検出装置1の固有のパラメータとして事前に設定される定数である。
【0054】
本実施形態の処理部24は、上記の数式F4に対して、記憶部22に記憶された遅延時間ΔTおよびステップS150で算出した心室の収縮量を代入して血圧を算出する。すなわち、処理部24は、血圧に相関する物理量である心室の収縮量と遅延時間ΔTとの乗算結果に基づいて血圧を算出する。
【0055】
具体的には、処理部24は、乗員Pを特定する特定情報を参照して乗員Pに対応する遅延時間ΔTを記憶部22から読み出す。処理部24は、例えば、車載機器から取得した乗員Pの顔画像、指紋情報等を記憶部22に記憶された乗員Pの特定情報と照合して乗員Pを特定した後、当該乗員Pに対応する遅延時間ΔTを記憶部22から読み出す。そして、処理部24は、記憶部22から読み込んだ遅延時間ΔTに基づいて血圧に相関する物理量を補正する。
【0056】
続いて、処理部24は、ステップS160にて、ステップS150で算出した血圧を出力部23から生体情報検出装置1の外部の装置に出力する。処理部24は、例えば、乗員Pの覚醒度等を検出するドライバステータスモニタDSMに対して血圧を出力するようになっていてもよい。
【0057】
以上説明した生体情報検出装置1は、送信アンテナ12から放射されて乗員Pを透過した電波を受信する受信アンテナ13と、送信アンテナ12から電波が放射された際に、受信アンテナ13が受けた電波に応じた受信信号を取得する入力部21と、を備える。生体情報検出装置1は、乗員Pの脈波の時間波形を検出するための脈波センサ15と、乗員Pの血圧を生体情報として算出する処理部24と、を備える。この処理部24は、受信信号から乗員Pの心臓Hの動きに起因して生ずる信号成分の時間波形から血圧に相関する物理量を算出し、当該物理量を脈波の時間波形に基づいて補正することで血圧を算出する。これによれば、血圧に相関する物理量については、対象者を透過した電波に基づいて算出するので、血圧検出時の乗員Pの身体の拘束を抑制することができる。したがって、乗員Pの行動の妨げとなることを抑制しつつ、乗員Pの血圧を測定することができる。
【0058】
(1)処理部24は、受信信号の信号成分の時間波形において第1の特徴量Aが発現してから脈波の時間波形において第1の特徴量Aに対応する第2の特徴量Bが発現するまでの時間を遅延時間ΔTとして検出する。処理部24は、血圧に相関する物理量である心室の収縮量を遅延時間ΔTに基づいて補正することで血圧を算出する。これによると、血管抵抗に相関性を有する遅延時間ΔTで血圧に相関する物理量を補正すれば、個人間で異なる血管抵抗の差を血圧に反映させることができるので、乗員Pの血圧を精度よく測定することができる。また、最短で一拍分の時間で遅延時間ΔTを検出することができるので、血圧の算出するためのキャリブレーションの作業時間を短縮することができる。
【0059】
(2)具体的には、処理部24は、血圧に相関する物理量と遅延時間ΔTとの乗算結果に基づいて血圧を算出する。これにより、簡易な演算によって個人間で異なる血管抵抗の差を血圧に反映することができる。
【0060】
(3)処理部24は、乗員Pを特定する特定情報と遅延時間ΔTとを関連付けて記憶部22に記憶する。乗員Pの血圧を算出する際に、乗員Pを特定する特定情報を参照して乗員Pに対応する遅延時間ΔTを記憶部22から読み込み、記憶部22から読み込んだ遅延時間ΔTに基づいて血圧に相関する物理量を補正する。これによると、予め求めておいた遅延時間ΔTで血圧に相関する物理量を補正することができるので、遅延時間ΔTの検出が血圧検出時の乗員Pの身体を拘束する要因となることを抑制できる。
【0061】
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態では、遅延時間ΔTの検出と血圧の算出とが一連の処理の中で実施されるものを例示したが、遅延時間ΔTの検出と血圧の算出とは異なるタイミングで実施されてもよい。例えば、遅延時間ΔTの検出が車両の駐停車中に実施され、血圧の算出が車両の走行中に実施されるようになっていてもよい。これによると、車両の走行中は、脈波センサ15を装着する必要がないので、車両の走行中における乗員Pの身体の拘束を抑制することができる。
【0062】
第1実施形態で説明したステップS110の判定処理は、例えば、遅延時間ΔTが記憶部22に記憶されてからの経過時間が所定時間以内である否かを判定するようになっていてもよい。この判定処理では、判定結果が否定的な場合に、ステップS120に移行し、判定結果が肯定的な場合に、ステップS120、S130をスキップしてステップS140に移行するようにすればよい。これによれば、遅延時間ΔTが随時更新されることになるので、身体の変化に伴う血管抵抗の変化を反映した血圧の測定を実現することができる。
【0063】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図8を参照して説明する。本実施形態では、脈波の時間波形を検出するための機器が第1実施形態と相違している。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
【0064】
生体情報検出装置1は、乗員Pと非接触で脈波の時間波形を検出するように構成されている。すなわち、生体情報検出装置1は、乗員Pの身体に装着することなく、非接触で乗員Pの脈波を逐次検出する非接触型センサによって脈波検出装置が構成されている。
【0065】
具体的には、図8に示すように、生体情報検出装置1は、脈波センサ15の代わりに、車室内の乗員Pの顔を撮像するためのカメラ31を有している。このカメラ31は、例えば、専用のものを用いてもよいし、ドライバステータスモニタDSMで用いられるものを用いてもよい。
【0066】
カメラ31で撮像される顔画像は、顔における血管がある特定領域の画素の輝度が脈拍に応じて変化する。このため、情報制御部20は、カメラ31によって撮像される乗員Pの顔を含む範囲の画像を周期的に取得し、当該画像の時間変化に基づいて脈波の時間波形を検出する。具体的には、情報制御部20は、カメラ31によって撮像される乗員Pの顔画像のうち、顔における血管がある特定領域の画素の輝度変化を観察することで脈波の時間波形を検出する。
【0067】
ここで、本実施形態の情報制御部20には、カメラ31によって撮像される画像から脈波の時間波形に対応する情報を抽出するための画像処理部25が含まれている。本実施形態では、画像処理部25およびカメラ31が対象者の脈波の時間波形を検出するための脈波検出装置を構成している。
【0068】
その他については、第1実施形態と同様である。本実施形態の生体情報検出装置1は、第1実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0069】
また、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0070】
(1)生体情報検出装置1は、乗員Pと非接触で脈波の時間波形を検出可能に構成されている。これによると、乗員Pの身体を拘束することなく、乗員Pの血圧を測定することができる。
【0071】
(2)具体的には、生体情報検出装置1は、カメラ31によって撮像される乗員Pの顔を含む範囲の画像を周期的に取得し、当該画像の時間変化に基づいて脈波の時間波形を検出する。これにより、乗員Pの身体を拘束することなく、乗員Pの脈波の時間波形を検出することができる。特に、カメラ31をドライバステータスモニタDSMで用いるものと兼用する場合、別途専用機器を追加する必要がないので、生体情報検出装置1の部品点数の増加を抑制することができる。
【0072】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、図9図11を参照して説明する。本実施形態では、脈波の時間波形を検出するための機器が第1実施形態および第2実施形態と相違している。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
【0073】
図9に示すように、生体情報検出装置1は、脈波センサ15の代わりに、サブアンテナ16を有している。サブアンテナ16は、運転席DSに着座した乗員Pを挟んで送信アンテナ12と対向して配置されている。サブアンテナ16は、受信アンテナ13とともに、運転席DSのシートバックに取り付けられている。サブアンテナ16は、受信アンテナ13とは異なる位置に配置されて送信アンテナ12から放射されて乗員Pを透過した電波を受信する。
【0074】
生体情報検出装置1は、乗員Pの身体のうち心臓Hを含む胸部位を透過した電波を受信するように受信アンテナ13が配置される。また、生体情報検出装置1は、乗員Pの身体のうち胸部位とは異なる部位を透過した電波を受信するようにサブアンテナ16が配置される。具体的には、サブアンテナ16は、図10に示す腹部大動脈を透過した電波を受信するように、運転席DSのうち乗員Pの腰部分を支持するランバーサポート部位に配置されている。
【0075】
ここで、血管は、脈拍に応じてその形状が変化する。このため、血管およびその周囲を透過してサブアンテナ116に至る電波において、電界強度に生じる誘電体損失は、血管の動きに応じて変化する。このため、サブアンテナ16が受信するサブ受信信号の強度は、腹部大動脈の動きに応じて周期的に変化する成分を含む。すなわち、送信アンテナ12からの電波をサブアンテナ16が受信した際にサブアンテナ16から受信機14に出力される電気信号のレベルは、腹部大動脈の動きに応じて変動する成分が含まれる。
【0076】
このため、本実施形態の処理部24は、サブ受信信号の信号成分の時間波形に基づいて脈波の時間波形を検出する。具体的には、処理部24は、所定期間におけるサブ受信信号の信号強度の変化を腹部大動脈における脈波の時間波形として検出する。本実施形態では、サブアンテナ16および処理部24が対象者の脈波の時間波形を検出するための脈波検出装置を構成している。
【0077】
その他については、第1実施形態と同様である。本実施形態の生体情報検出装置1は、第1実施形態および第2実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される効果を第1実施形態および第2実施形態と同様に得ることができる。
【0078】
また、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0079】
(1)生体情報検出装置1は、乗員Pと非接触で脈波の時間波形を検出可能に構成されている。これによると、乗員Pの身体を拘束することなく、乗員Pの血圧を測定することができる。
【0080】
(2)生体情報検出装置1は、受信アンテナ13とは異なる位置に配置されて送信アンテナ12から放射されて乗員Pを透過した電波を受信するサブアンテナ16を含む。入力部21は、送信アンテナ12から電波が放射された際に、サブアンテナ16が受けた電波に応じたサブ受信信号を取得する。そして、処理部24は、サブ受信信号の信号成分の時間波形に基づいて脈波の時間波形を検出する。これによっても、乗員Pの身体を拘束することなく、乗員Pの脈波の時間波形を検出することができる。特に、血圧に相関する物理量および脈波の時間波形それぞれを共通の発信機11および送信アンテナ12からの電波を利用して検出することができる。このことは、生体情報検出装置1の簡素化に大きく寄与する。
【0081】
(3)具体的には、受信アンテナ13は、乗員Pの身体のうち心臓Hを含む胸部位を透過した電波を受信するように配置される。また、サブアンテナ16は、乗員Pの身体のうち胸部位とは異なる部位を透過した電波を受信するように配置される。これによると、乗員Pに接触することなく対象者を透過した電波に基づいて血圧を算出するので、血圧検出時の対象者の身体の拘束を抑制することができる。
【0082】
(4)ここで、第2実施形態や第3実施形態の如く、脈波検出装置を非接触型センサで構成する場合、脈波センサ15を用いる場合に比べて、センサ出力として取得される脈波の時間波形が非常に小さい。そして、車両の走行時に脈波の時間波形を検出すると、車両の振動に起因して生ずる信号成分と区別して検出することが困難となる場合がある。
【0083】
このため、脈波の時間波形は、信号待ち等の停車中や、走行時において脈波信号が安定している部分を用いることが好ましい。脈波信号が安定している部分の有無は、例えば、図11に示すような或る一定区間の周波数特性におけるピーク強度やSN比に基づいて判断することができる。例えば、一定区間の周波数特性に単一のピーク強度が形成される場合は、脈波信号が安定している部分の有りと判断することができる。なお、図11に示す周波数特性は、受信信号の時間波形をフーリエ変換することで得ることができる。また、SN比は、ピーク強度を他の周波数の強度の平均値で除した値である。
【0084】
(第3実施形態の変形例)
第3実施形態では、腹部大動脈を透過した電波を受信するように、運転席DSのうち乗員Pの腰部分を支持するランバーサポート部位にサブアンテナ16が配置された例を説明したが、サブアンテナ16の配置はこれに限定されない。また、サブアンテナ16は、例えば、頸動脈を透過した電波を受信するように、ヘッドレストに配置されていてもよい。また、サブアンテナ16は、膝窩動脈を透過した電波を受信するように、運転席DSにておける座面を形成するシートクッションに配置されていてもよい。
【0085】
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
【0086】
上述の実施形態では、受信信号の信号成分の時間波形において第1の特徴量Aが発現してから脈波の時間波形において第2の特徴量Bが発現するまでの時間を遅延時間ΔTとして検出しているが、これに限定されない。遅延時間ΔTは、例えば、受信信号の信号成分の時間波形、脈波の時間波形、遅延時間ΔTを予め関連付けた制御マップまたは関係式によって検出されるようになっていてもよい。
【0087】
上述の実施形態では、血圧に相関する物理量と遅延時間ΔTとの乗算結果に基づいて血圧を算出しているが、これに限定されない。血圧は、例えば、血圧に相関する物理量、遅延時間ΔT、血圧を予め関連付けた制御マップまたは関係式によって算出されるようになっていてもよい。
【0088】
上述の実施形態では、乗員Pの血圧を算出する際に、処理部24が乗員Pに対応する遅延時間ΔTを自動的に記憶部22から読み出すものを例示したが、これに限定されない。例えば、例えば、乗員Pが自分の脈波に関する情報として選択した遅延時間ΔTが記憶部22から読み出されるようになっていてもよい。
【0089】
上述の実施形態では、車両の駐停車中や走行中に遅延時間ΔTを検出する例について説明したが、遅延時間ΔTは、例えば、ディーラ等での車両点検の待ち時間を用いて専用設備で遅延時間ΔTを検出するようになっていてもよい。
【0090】
脈波検出装置は、第1~第3実施形態で説明したものに限らず、例えば、圧電センサ、ミリ波レーダ等を変位センサとして用いて、脈拍による体表変位から脈波を検出するように構成されていてもよい。なお、脈波検出装置は、遅延時間ΔTを求めるための装置であるため、遅延時間ΔTを求める際に車両に持ち込めばよく、車両に常設されている必要はない。
【0091】
上述の実施形態では、受信アンテナ13がシートSに取り付けられているものを例示したが、これに限らず、受信アンテナ13がシートS以外のものに取り付けられていてもよい。
【0092】
上述の実施形態では、送信アンテナ12および受信アンテナ13が乗員Pを挟んで車両の前後に並ぶように配置されているもの例示したが、生体情報検出装置1は、これに限定されない。生体情報検出装置1は、例えば、送信アンテナ12および受信アンテナ13が乗員Pを挟んで車両の左右に並ぶように配置されていてもよい。生体情報検出装置1は、運転手だけでなく、他の乗員Pの生体情報を算出するように構成されていてもよい。また、生体情報検出装置1は、車両の乗員Pの生体情報を算出する用途だけでなく、車両の外部(例えば、建造物の内部)にいる人の生体情報を算出する用途に用いられていてもよい。
【0093】
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0094】
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
【0095】
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
【0096】
上述の実施形態において、センサから車両の外部環境情報を取得することが記載されている場合、そのセンサを廃し、車両の外部のサーバまたはクラウドからその外部環境情報を受信することも可能である。あるいは、そのセンサを廃し、車両の外部のサーバまたはクラウドからその外部環境情報に関連する関連情報を取得し、取得した関連情報からその外部環境情報を推定することも可能である。
【0097】
本開示の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータで、実現されてもよい。本開示の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータで、実現されてもよい。本開示の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせで構成された一つ以上の専用コンピュータで、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1 生体情報検出装置
12 送信アンテナ
13 受信アンテナ
14 受信機
15 脈波センサ(脈波検出装置)
21 入力部(信号取得部)
24 処理部(演算部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11