(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】搭乗者管理システム
(51)【国際特許分類】
G07C 9/00 20200101AFI20250304BHJP
G07C 9/37 20200101ALI20250304BHJP
G07C 9/38 20200101ALI20250304BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20250304BHJP
G06Q 10/00 20230101ALI20250304BHJP
【FI】
G07C9/00
G07C9/37
G07C9/38
G06Q50/06
G06Q10/00
(21)【出願番号】P 2021141009
(22)【出願日】2021-08-31
【審査請求日】2024-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】石橋 徳保
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-065705(JP,A)
【文献】特開2020-057191(JP,A)
【文献】特開2020-102264(JP,A)
【文献】特開2010-144485(JP,A)
【文献】特開平08-249507(JP,A)
【文献】特開2018-097754(JP,A)
【文献】特許第6903802(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 9/00
G07C 9/37
G07C 9/38
G06Q 50/06
G06Q 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設に向かう移動体に搭乗する際に、各搭乗者の生体情報を取得する第1の生体情報取得手段と、
前記施設への入場を許可された各登録者の生体情報を含む登録者情報を記憶する登録者情報記憶手段と、
前記第1の生体情報取得手段で取得された生体情報と前記登録者情報記憶手段に記憶された生体情報に基づいて、前記搭乗者が登録者であるか否かを判定して前記施設のゲートを開閉制御する管理手段と、
を備え、前記管理手段は、すべての前記搭乗者を登録者と判定した場合、前記移動体が前記施設のゲート前に到着した際に前記ゲートを開
き、
さらに、前記搭乗者が前記移動体から降りる際に、前記搭乗者の生体情報を取得する第2の生体情報取得手段を備え、
前記管理手段は、いずれかの搭乗者を未登録者と判定し、前記移動体が前記施設のゲート前に到着した際に前記第2の生体情報取得手段で取得された生体情報と、前記未登録者と判定された搭乗者の生体情報とが一致する場合に、前記ゲートを開く、
ことを特徴とする搭乗者管理システム。
【請求項2】
前記登録者情報記憶手段は、前記登録者情報として有効期限を記憶し、
前記管理手段は、前記第1の生体情報取得手段で取得された生体情報と一致する前記登録者情報記憶手段に記憶された生体情報の有効期限に基づいて、前記搭乗者が登録者であるか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の搭乗者管理システム。
【請求項3】
前記施設から外出する移動体に搭乗する際に、各搭乗者の生体情報を取得する第3の生体情報取得手段を備え、
前記管理手段は、前記第3の生体情報取得手段で取得された生体情報と前記登録者情報記憶手段に記憶された生体情報に基づいて、前記搭乗者が登録者であるか否かを判定し、未登録者と判定した搭乗者の生体情報が前記第2の生体情報取得手段で取得された生体情報と一致し、かつ、残りのすべての前記搭乗者を登録者と判定した場合に、前記ゲートを開く、
ことを特徴とする請求項
1または2に記載の搭乗者管理システム。
【請求項4】
前記管理手段は、前記第1の生体情報取得手段で取得された生体情報と前記登録者情報記憶手段に記憶された生体情報が入力されると、前記搭乗者が前記登録者情報記憶手段に記憶された登録者であるか否かが出力されるように、過去の実績データに基づいて機械学習された認証用学習モデルを用いる、
ことを特徴とする請求項1から
3のいずれか1項に記載の搭乗者管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に搭乗する搭乗者・乗降者を管理する搭乗者管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、原子力発電所への入構は、通常、関係者のみに制限され、原子力発電所へ入構するバスに乗車する際には、警備員による本人確認が行われている。すなわち、搭乗者が所持している通門証・社員証に記載してある顔写真と有効期限を見ながら、警備員が照合確認している。また、通門証を所持していない外部者が乗車する場合には、運転者がその外部者を認識し、原子力発電所のゲート前に着いた際に、外部者を降車させて受付・守衛所で入構手続きをするように説明する。そして、ゲートが開くと、外部者以外をバスに乗せた状態で入構する、という手順をとっていた。
【0003】
一方、大きな初期投資を要せずにゲートパスを構築できる、というゲートシステムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このシステムは、移動体の出入り口であるゲートを通過することで、その移動体に乗り降りする利用者が有する情報記憶媒体または利用者端末から、ゲートが開放状態の間だけ情報を取得するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来、原子力発電所行きのバスに人が乗車する際に、警備員が通門証を見ながら本人確認を行っていたため、時間と労力を要するばかりでなく、確認ミスが発生するおそれがあった。特に、通門証の有効期限が切れているにもかかわらず、それを見過ごして乗車させてしまうおそれがあった。しかも、外部者が乗車した場合には、運転者がその外部者を覚えておき、ゲート前で外部者を降車させてからゲートを通過するが、運転者にとって負担になるばかりでなく、運転者が失念した場合には、外部者を手続きなしで入構させてしまうおそれがある。
【0006】
一方、特許文献1のシステムでは、容易にゲートパスを構築することはできるが、情報記憶媒体や利用者端末を所持していない利用者を識別、管理することはできない。しかも、未登録の外部者が乗車した場合に、原子力発電所などへの入構を制限、管理することができない。
【0007】
そこで本発明は、適正な搭乗者のみを確実に施設に入場可能にする搭乗者管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、施設に向かう移動体に搭乗する際に、各搭乗者の生体情報を取得する第1の生体情報取得手段と、前記施設への入場を許可された各登録者の生体情報を含む登録者情報を記憶する登録者情報記憶手段と、前記第1の生体情報取得手段で取得された生体情報と前記登録者情報記憶手段に記憶された生体情報に基づいて、前記搭乗者が登録者であるか否かを判定して前記施設のゲートを開閉制御する管理手段と、を備え、前記管理手段は、すべての前記搭乗者を登録者と判定した場合、前記移動体が前記施設のゲート前に到着した際に前記ゲートを開き、さらに、前記搭乗者が前記移動体から降りる際に、前記搭乗者の生体情報を取得する第2の生体情報取得手段を備え、前記管理手段は、いずれかの搭乗者を未登録者と判定し、前記移動体が前記施設のゲート前に到着した際に前記第2の生体情報取得手段で取得された生体情報と、前記未登録者と判定された搭乗者の生体情報とが一致する場合に、前記ゲートを開く、ことを特徴とする搭乗者管理システムである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の搭乗者管理システムにおいて、前記登録者情報記憶手段は、前記登録者情報として有効期限を記憶し、前記管理手段は、前記第1の生体情報取得手段で取得された生体情報と一致する前記登録者情報記憶手段に記憶された生体情報の有効期限に基づいて、前記搭乗者が登録者であるか否かを判定する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の搭乗者管理システムにおいて、前記施設から外出する移動体に搭乗する際に、各搭乗者の生体情報を取得する第3の生体情報取得手段を備え、前記管理手段は、前記第3の生体情報取得手段で取得された生体情報と前記登録者情報記憶手段に記憶された生体情報に基づいて、前記搭乗者が登録者であるか否かを判定し、未登録者と判定した搭乗者の生体情報が前記第2の生体情報取得手段で取得された生体情報と一致し、かつ、残りのすべての前記搭乗者を登録者と判定した場合に、前記ゲートを開く、ことを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1から3に記載の搭乗者管理システムにおいて、前記管理手段は、前記第1の生体情報取得手段で取得された生体情報と前記登録者情報記憶手段に記憶された生体情報が入力されると、前記搭乗者が前記登録者情報記憶手段に記憶された登録者であるか否かが出力されるように、過去の実績データに基づいて機械学習された認証用学習モデルを用いる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、施設に向かう移動体に搭乗する際に取得された搭乗者の生体情報に基づいて、搭乗者が登録者であるか否かを判定し、すべての搭乗者が登録者と判定された場合に、施設のゲートが開く。このように、搭乗者の生体情報に基づいて自動的に入場の可否を判定するため、警備員などによる労力と時間を削減できるばかりでなく、入場の可否を適正かつ迅速に判定することが可能となる。そして、すべての搭乗者が登録者と判定された場合にゲートが開くため、適正な搭乗者のみを確実に施設に入場させることが可能となる。しかも、移動体が施設のゲート前に到着すると、自動的にゲートが開くため、円滑な入場が可能となる。また、生体情報によって搭乗者を判定・識別するため、通門証などが不要で、登録者が通門証などを忘れた場合であっても適正に判定・識別することが可能となる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、登録者情報記憶手段に記憶された有効期限にも基づいて、搭乗者が登録者であるか否かが判定されるため、より適正に入場の可否を判定することが可能となる。そして、有効期限が過ぎていれば適正・有効な登録者でないと判定可能なため、適正な搭乗者のみをより確実に施設に入場させることが可能となる。
【0015】
また、請求項1に記載の発明によれば、移動体に搭乗する際に取得された搭乗者の生体情報に基づいて、いずれかの搭乗者を未登録者と判定し、ゲート前で搭乗者が降りた際に第2の生体情報取得手段で取得された生体情報と、未登録者の生体情報とが一致する場合に、ゲートが開く。すなわち、未登録者がゲート前で移動体から降り、移動体に登録者のみが搭乗している状態になると、ゲートが開く。このため、適正な搭乗者のみを確実に施設に入場させることが可能となる。なお、未登録者は、受付で入場手続きをすることで、入場可能にすればよい。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、施設から外出する移動体に搭乗する際に取得された未登録者の生体情報が、施設に入る際にゲート前で降りた搭乗者の生体情報と一致し、かつ、残りのすべての搭乗者が登録者と判定された場合に、ゲートが開く。すなわち、施設に入る際に移動体から降りた未登録者が、施設から出る際に移動体に搭乗する場合には、適正な搭乗者としてゲートが開く。このため、適正な搭乗者のみを確実に施設に入退出させることが可能となる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、機械学習された認証用学習モデルを用いて搭乗者が登録者であるか否かが出力されるため、より適正に搭乗者を認証、判定することが可能となる。この結果、適正な搭乗者のみをより確実に施設に入場させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】この発明の実施の形態に係る搭乗者管理システムを示す概略構成図である。
【
図2】
図1の搭乗者管理システムの通勤バスのドアが開いた状態を示す正面図である。
【
図3】
図1の搭乗者管理システムにおいて、集合場所で搭乗者が通勤バスに搭乗する状態を示す図である。
【
図4】
図1の搭乗者管理システムの管理サーバを示す概略構成ブロック図である。
【
図5】
図1の搭乗者管理システムにおいて、原子力発電所内で搭乗者が通勤バスに搭乗する状態を示す図である。
【
図6】
図4の管理サーバの認証用学習モデルの概略構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0020】
図1~
図6は、この発明の実施の形態を示し、
図1は、この実施の形態に係る搭乗者管理システムシステム1を示す概略構成図である。この搭乗者管理システム1は、移動体に搭乗する搭乗者・乗降者を管理するシステムであり、この実施の形態では、移動体が通勤バス2で、原子力発電所(施設)101と乗降場所201との間を原子力発電所101の社員(搭乗者)M1などが通勤バス2に乗って往復する場合について、主として説明する。
【0021】
ここで、この実施の形態では、
図3に示すように、駅前などの乗降場所201ですべての搭乗者Mが乗り降りするものとする。また、搭乗者一般を符号「M」で示し、原子力発電所101への入構・入場を予め許可された社員などの搭乗者・登録者を符号「M1」で示し、原子力発電所101への入構を予め許可されていない搭乗者・未登録者を「M2」で示す。
【0022】
搭乗者管理システム1は、主として、入口側カメラ(第1の生体情報取得手段、第3の生体情報取得手段)21と、出口側カメラ(第2の生体情報取得手段)22と、管理サーバ(管理手段)3と、を備える。ここで、通勤バス2と管理サーバ3は通信自在で、カメラ21、22で撮影された画像を通勤バス2経由で管理サーバ3に送信するようになっている。また、通勤バス2は、運転手などに知らせるためのブザーやランプ、ディスプレイを備え、これらを管理サーバ3から遠隔操作できるようになっている。
【0023】
入口側カメラ21は、原子力発電所101に向かう通勤バス2に搭乗者Mが搭乗する際、および、原子力発電所101から外出する通勤バス2に搭乗者Mが搭乗する際に、各搭乗者Mの顔(生体情報)を撮影・取得するカメラである。すなわち、この実施の形態では、搭乗者Mの顔を生体情報とし、
図2に示すように、通勤バス2の入口2Aに入口側カメラ21が設置され、通勤バス2に乗り込む搭乗者Mの顔を撮影して、撮影した顔の画像を順次管理サーバ3に送信する。
【0024】
また、通勤バス2は、GPS(Global Positioning System)を備え、管理サーバ3において通勤バス2の位置を常時取得・監視できるようになっている。これにより、入口側カメラ21から受信した画像が、原子力発電所101に向かう通勤バス2に搭乗する際に乗降場所201で撮影されたのか、原子力発電所101から外出する通勤バス2に搭乗する際に原子力発電所101付近で撮影されたのかを、判別できるようになっている。
【0025】
同様に、出口側カメラ22は、搭乗者Mが通勤バス2から降りる際に、各搭乗者Mの顔(生体情報)を撮影・取得するカメラである。すなわち、通勤バス2の出口2Bに設置され、通勤バス2から降りる搭乗者Mの顔を撮影し、撮影した顔の画像を順次管理サーバ3に送信する。
【0026】
このように、この実施の形態では、通勤バス2にカメラ21、22を設けているが、次のようにしてもよい。すなわち、乗降場所201に、原子力発電所101に向かう通勤バス2に搭乗する際の搭乗者Mの顔を撮影するカメラ(第1の生体情報取得手段)を設ける。また、原子力発電所101のゲート102外(守衛所103近く)に、搭乗者Mが通勤バス2から降りる際の搭乗者Mの顔を撮影するカメラ(第2の生体情報取得手段)を設ける。さらに、原子力発電所101のゲート102内に、原子力発電所101から外出する通勤バス2に搭乗する際の搭乗者Mの顔を撮影するカメラ(第3の生体情報取得手段)を設ける。
【0027】
また、入口側カメラ21と出口側カメラ22を1つのカメラで構成してもよい。すなわち、1つのカメラで撮影した画像(搭乗者Mの向き等)に基づいて、あるいは、上記のような通勤バス2の行き先と位置に基づいて、どこで搭乗者Mが通勤バス2に乗るのか降りるのかを判断するようにしてもよい。
【0028】
管理サーバ3は、原子力発電所101への搭乗者Mの入構を管理などするサーバであり、原子力発電所101を運営する電力事業者の管理センターCに設置されている。また、管理サーバ3は、ゲート102および守衛所103のコンピュータ(図示せず)とも通信自在で、ゲート102やコンピュータを遠隔で制御できるようになっている。すなわち、後述するように、ゲート102は、管理サーバ3からの情報・指令に基づいて開閉し、守衛所103のコンピュータは、管理サーバ3からの情報・指令に基づいて所定の表示などを行う。
【0029】
この管理サーバ3は、
図4に示すように、主として、入力部31と、表示部32と、通信部33と、記憶部34と、管理タスク(管理手段)35と、学習タスク36と、これらを制御などする中央処理部37と、を備える。
【0030】
入力部31は、各種情報や指令などを入力するためのインターフェイスであり、具体的には後述する登録者情報などを入力する。表示部32は、各種データや情報などを表示するディスプレイであり、具体的には後述する異常入退出情報などを表示する。通信部33は、インターネット網や電話通信網などを介して外部と通信するためのインターフェイスであり、具体的には通勤バス2やゲート102などと情報、指令を授受したりする。
【0031】
記憶部34は、主として、登録者データベース(登録者情報記憶手段)341と、入退出データベース342と、認証用学習モデル343と、認証用実績データベース344と、を備える。ここでは、データベース341、342について説明し、認証用学習モデル343と認証用実績データベース344については後述する。
【0032】
登録者データベース341は、原子力発電所101への入構を予め許可された社員などの登録者M1の生体情報を含む登録者情報を記憶するデータベースである。すなわち、各登録者M1の識別情報(氏名、社員番号など)に対して、顔画像と、入構を許可された有効期限と、所属部署などとが記憶されている。
【0033】
入退出データベース342は、原子力発電所101への入退出情報を記憶するデータベースである。すなわち、どの登録者M1や未登録者M2がいつ原子力発電所101へ入構し、いつ原子力発電所101から退出したかを示す入退出情報を時系列で記憶する。このような入退出情報は、後述する管理タスク35によって生成、記憶される。
【0034】
管理タスク35は、カメラ21、22で撮影された顔画像と登録者データベース341に記憶された顔画像とに基づいて、搭乗者Mが登録者M1であるか否かを判定(生体認証)して、原子力発電所101のゲート102を開閉制御などする。
【0035】
第1に、
図3に示すように、乗降場所201で原子力発電所101に向かう通勤バス2に搭乗者Mが搭乗する際に、各搭乗者Mが登録者M1であるか否かを判定する。すなわち、各搭乗者Mの顔が入口側カメラ21で撮影されて顔画像が管理サーバ3に送信されると、撮影された顔画像と登録者データベース341の各登録者M1の顔画像とを比較・画像解析して、搭乗者Mが登録者M1であるか否かを判定する。この際、登録者データベース341に記憶された有効期限にも基づいて、適正・有効な登録者M1であるか否かを判定する。すなわち、撮影された顔画像と一致する顔画像の登録者M1であって、この登録者M1の有効期限が現時点で過ぎていない場合に、搭乗者Mが登録者M1であると判定する。なお、有効期限が現時点で過ぎていても、過ぎてから所定の期間であったり、所定の要件を満たしたりする(例えば、所定の部署に所属する)場合に、搭乗者Mが登録者M1であると判定してもよい。
【0036】
その結果、搭乗者Mが登録者M1の場合には、この登録者M1の識別情報と搭乗日時(入構日時)を入退出情報として入退出データベース342に記憶する。一方、搭乗者Mが未登録者M2の場合には、この未登録者M2の識別情報を生成して顔画像および搭乗日時とともに、入退出情報として入退出データベース342に記憶する。
【0037】
そして、すべての搭乗者Mが登録者M1と判定した場合、ゲート102と守衛所103のコンピュータに全員が登録者M1である旨を通知する。これを受けて、通勤バス2が原子力発電所101のゲート102前に到着した際に、ゲート102が開き、守衛所103のコンピュータに全員が登録者M1である旨が表示される。
【0038】
第2に、いずれかの搭乗者Mが未登録者M2であると判定した場合、ブザーを鳴らしたり運転席のランプを点灯させたりすることで、未登録者M2が搭乗したことを運転者に知らせる。これにより、運転者は、原子力発電所101のゲート102前で未登録者M2を降ろす必要があることを認識する。そして、
図1に示すように、通勤バス2がゲート102前に到着、停止し、搭乗者Mが出口2Bから通勤バス2を降りる際に、この搭乗者Mの顔が出口側カメラ22で撮影されて顔画像が管理サーバ3に送信される。続いて、この顔画像と搭乗時に作成された入退出情報の未登録者M2の顔画像とを比較して、乗降場所201で乗った未登録者M2が通勤バス2から降りているか否かを判定する。このような判定を通勤バス2から降りたすべての搭乗者Mに対して行う。
【0039】
その結果、すべての未登録者M2が通勤バス2から降りた場合には、ゲート102と守衛所103のコンピュータに全未登録者M2が降りた旨を通知する。これを受けてゲート102が開き、守衛所103のコンピュータに全未登録者M2が降りた旨が表示される。これにより、登録者M1のみを乗せた通勤バス2がゲート102から入構する。
【0040】
一方、いずれかの未登録者M2が通勤バス2から降りていない場合には、ブザーを鳴らしたり運転席のランプを点灯させたりすることで、未登録者M2が降りていないことを運転者やこの未登録者M2に知らせ、未登録者M2が降りるようにする。また、登録者M1が通勤バス2から降りた場合には、別のブザーを鳴らしたり別のランプを点灯させたりすることで、登録者M1が降りてしまったことを運転者やこの登録者M1に知らせ、この登録者M1が通勤バス2に戻るようにする。そして、通勤バス2から降りた未登録者M2は、守衛所103の守衛104に訪問用件などを伝えて入構手続きをして入構する。
【0041】
第3に、
図5に示すように、原子力発電所101から外出する通勤バス2に各搭乗者Mが搭乗する際に、各搭乗者Mが登録者M1であるか否かを判定する。すなわち、各搭乗者Mの顔が入口側カメラ21で撮影されて顔画像が管理サーバ3に送信されると、撮影された顔画像と登録者データベース341の各登録者M1の顔画像とを比較・画像解析して、搭乗者Mが登録者M1であるか否かを判定する。
【0042】
その結果、全搭乗者Mを登録者M1と判定した場合には、判定良の旨をゲート102と守衛所103のコンピュータに通知する。また、いずれかの搭乗者Mを未登録者M2と判定し、その未登録者M2の顔画像が入構時にゲート102前で降りた未登録者M2の顔画像と同じ場合であって、つまり、原子力発電所101から出る未登録者M2が守衛所103で入構手続きをして入構した未登録者M2の場合であって、かつ、残りのすべての搭乗者Mを登録者M1と判定した場合には、判定良の旨をゲート102と守衛所103のコンピュータに通知する。すなわち、各搭乗者Mが登録者M1であったり、入構時に未登録者M2であると判明している未登録者M2であったりする場合には、原子力発電所101からの外出を許可する。そして、この判定良の旨を受けてゲート102が開き、通勤バス2がゲート102から外出する。
【0043】
さらに、搭乗者Mが登録者M1の場合には、登録者M1の識別情報と搭乗日時(退出日時)を入退出情報として入退出データベース342に記憶する。同様に、搭乗者Mが未登録者M2の場合には、入構時に記憶された入退出情報からこの未登録者M2の識別情報を取得し、この識別情報と搭乗日時を入退出情報として入退出データベース342に記憶する。なお、乗降場所201に到着して搭乗者Mが通勤バス2から降りると、出口側カメラ22で各搭乗者Mの顔が撮影されて、上記と同時に、すべての搭乗者Mが通勤バス2から降りたかが判定される。
【0044】
一方、搭乗する未登録者M2の顔画像が入構時にゲート102前で降りた未登録者M2の顔画像と同じでない場合、つまり、入構時に判明している未登録者M2以外の未登録者M2が原子力発電所101から出ようとしている場合には、ブザーを鳴らしたり運転席のランプを点灯させたりすることで、不明な未登録者M2が搭乗したことを運転者などに知らせる。これにより、この未登録者M2に対して所定の措置(身元確認など)が行われる。
【0045】
また、上記のようにして生成・作成された入退出情報は、所定期間(例えば、1日)ごとに集計される。すなわち、乗降場所201で通勤バス2に乗って原子力発電所101に入構した搭乗者Mが、所定時間内に(例えば、その日のうちに)原子力発電所101から退出したかを集計、確認する。その結果、原子力発電所101に入構した搭乗者Mが所定時間内に退出していない場合には、その搭乗者Mの識別情報や入構日時などを含む異常入退出情報を作成し、表示部32に表示するとともに所定の部署・端末に送信する。このような集計は、登録者M1と未登録者M2の双方に対して行う。
【0046】
このような管理タスク41は、カメラ21、22で撮影された顔画像と、登録者データベース341の登録者情報や入退出データベース342の入退出情報に記憶された顔画像とが入力されると、乗り降りする搭乗者Mが登録者情報や入退出情報に記憶された登録者M1や未登録者M2などであるか否かが出力されるように、過去の実績データに基づいて機械学習された認証用学習モデル343を用いる。この認証用学習モデル343は、学習タスク36によって作成される。
【0047】
すなわち、学習タスク36は、認証用実績データベース344に記録・蓄積されている過去の実績データを用いて、ニューラルネットワーク等の公知の機械学習アルゴリズムにより認証用学習モデル343を作成する。この認証用実績データベース344は、入力情報としてのカメラ21、22で撮影された顔画像と、登録者情報や入退出情報の顔画像とに基づいて、顔認証・生体認証の有識者・経験者などがカメラ21、22で撮影された顔画像に一致する顔画像が登録者情報や入退出情報に含まれているか否かを判定した結果、を含む実績データが記録・蓄積されているデータベースである。なお、過去の実績データには、実際に撮影された顔画像などや、有識者・経験者が実際に判定した結果に基づいて作成されたデータの他、事前訓練などで作成されたデータなどが含まれる。
【0048】
この学習タスク36は、
図6に示すように、ニューラルネットワークを利用した機械学習・深層学習を用い、認証用実績データベース344に記録されている実績データに基づいて、例えば、カメラ21、22で撮影された顔画像と、登録者情報や入退出情報の顔画像とを入力層、一致する登録者M1、未登録者M2などの判定結果を出力層、入力層から出力層への解析処理を中間層とするニューラルネットワークを作成する。そして、学習タスク36は、認証用学習モデル343の実績データを学習データとして用いて、中間層における各種パラメータについて学習を行う。すなわち、学習タスク36は、カメラ21、22で撮影された顔画像と登録者情報や入退出情報の顔画像とに基づいて、適正な判定結果が出力されるように、中間層における各種パラメータの学習を行う。
【0049】
以上のように、この搭乗者管理システム1によれば、原子力発電所101に向かう通勤バス2に搭乗者Mが搭乗する際に撮影された搭乗者Mの顔画像に基づいて、搭乗者Mが登録者M1であるか否かを判定し、すべての搭乗者Mが登録者M1と判定された場合に、原子力発電所101のゲート102が開く。このように、搭乗者Mの顔画像に基づいて自動的に入場の可否を判定するため、警備員などによる労力と時間を削減できるばかりでなく、入場の可否を適正かつ迅速に判定することが可能となる。そして、すべての搭乗者Mが登録者M1と判定された場合にゲート102が開くため、適正な搭乗者Mのみを確実に原子力発電所101に入場させることが可能となる。つまり、原子力発電所101のセキュリティを確保することが可能となる。
【0050】
しかも、通勤バス2が原子力発電所101のゲート102前に到着すると、自動的にゲート102が開くため、円滑な入場が可能となる。また、顔画像によって搭乗者Mを判定・識別するため、通門証などが不要で、登録者M1が通門証などを忘れた場合であっても適正に判定・識別することが可能となる。
【0051】
また、登録者データベース341に記憶された有効期限にも基づいて、搭乗者Mが登録者M1であるか否かが判定されるため、より適正に入場の可否を判定することが可能となる。そして、有効期限が過ぎていれば適正・有効な登録者M1でないと判定されるため、適正な搭乗者Mのみをより確実に原子力発電所101に入場させることが可能となる。
【0052】
さらに、通勤バス2に搭乗する際に取得された搭乗者Mの顔画像に基づいて、いずれかの搭乗者Mを未登録者M2と判定し、ゲート102前で搭乗者Mが降りた際に出口側カメラ22で取得された顔画像と、未登録者M2の顔画像とが一致する場合に、ゲート102が開く。すなわち、未登録者M2がゲート102前で通勤バス2から降り、通勤バス2に登録者M1のみが搭乗している状態になると、ゲート102が開く。このため、適正な搭乗者Mのみを確実に原子力発電所101に入場させることが可能となる。なお、未登録者M2は、守衛所103で入場手続きをすることで、入場可能となる。
【0053】
また、原子力発電所101から外出する通勤バス2に搭乗する際に撮影された未登録者M2の顔画像が、原子力発電所101に入る際にゲート102前で降りた搭乗者Mの顔画像と一致し、かつ、残りのすべての搭乗者Mが登録者M1と判定された場合に、ゲート102が開く。すなわち、原子力発電所101に入る際に通勤バス2から降りて守衛所103で入場手続きした未登録者M2が、原子力発電所101から出る際に通勤バス2に搭乗する場合には、適正な搭乗者Mとしてゲート102が開く。このため、適正な搭乗者Mのみを確実に原子力発電所101に入退出させることが可能となる。
【0054】
一方、機械学習された認証用学習モデル343を用いて搭乗者Mが登録者M1であるか否かなどが出力されるため、より適正に搭乗者Mを認証、判定することが可能となる。この結果、適正な搭乗者Mのみをより確実に原子力発電所101に入退出させることが可能となる。
【0055】
以上、この発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、搭乗者Mの顔を生体情報としているが、搭乗者Mの指紋や網膜などを生体情報としてもよい。
【0056】
また、通勤バス2のブザーを鳴らしたりすることで、異常状態などを知らせているが、異常状態などに応じたアナウンスを流すようにしてもよい。さらに、管理サーバ3がゲート102を直接開閉制御しているが、管理サーバ3が情報・指令を守衛所103のコンピュータなどに送信すると、当該コンピュータや守衛104などがゲート102を開閉するようにしてもよい。また、移動体が通勤バス2で施設が原子力発電所101の場合について説明したが、その他の移動体や施設にも適用できることは勿論である。
【符号の説明】
【0057】
1 搭乗者管理システム
2 通勤バス(移動体)
21 入口側カメラ(第1の生体情報取得手段、第3の生体情報取得手段)
22 出口側カメラ(第2の生体情報取得手段)
3 管理サーバ(管理手段)
35 管理タスク(管理手段)
341 登録者データベース(登録者情報記憶手段)
343 認証用学習モデル
101 原子力発電所(施設)
102 ゲート
103 守衛所
201 乗降場所
M1 登録者(搭乗者)
M2 未登録者(搭乗者)