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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20250304BHJP
   B62D 25/10 20060101ALI20250304BHJP
【FI】
E02F9/00 N
B62D25/10 K
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022029208
(22)【出願日】2022-02-28
(65)【公開番号】P2023125222
(43)【公開日】2023-09-07
【審査請求日】2024-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】品村 一輝
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-050560(JP,A)
【文献】特開2020-114963(JP,A)
【文献】特開2002-317463(JP,A)
【文献】特開2019-019657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
B62D 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンを収容する機械室を区画し、それぞれ上部旋回体の幅方向に延伸する前側フレーム部材及び後側フレーム部材と、
前記上部旋回体の幅方向に互いに間隔をあけて配置され、前記機械室の上面を覆う第1ボンネット及び第2ボンネットと、
前記第1ボンネット及び前記第2ボンネットに連接して配置され、前記第1ボンネット及び前記第2ボンネットの間の前記機械室の上面を覆うボンネットスペーサと、
前記エンジンの上側において前記前側フレーム部材及び前記後側フレーム部材を連結する梁部材と、を備え、
前記梁部材の少なくとも一部が、平面視で、前記ボンネットスペーサと重なる位置に配置されることを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記ボンネットスペーサは、前記機械室の内部へ連通する開口と、前記開口を塞ぐ開閉可能な小窓と、を有することを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記第1ボンネット及び前記第2ボンネットの少なくとも一方は、開閉可能に構成され、且つ、閉状態において、前記ボンネットスペーサ及び前記小窓に対して上側に重なって配置されることを特徴とする請求項2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記梁部材は、前記上部旋回体の前後方向に延伸する水平面及び前記水平面から立設する垂直面を有し、前記開口に対向する位置に内部開口を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の建設機械。
【請求項5】
前記垂直面は、前記第1ボンネット及び前記第2ボンネットの少なくとも1方をガイドするガイドレールを有することを特徴とする請求項4に記載の建設機械。
【請求項6】
前記ボンネットスペーサは、前側固定部及び後側固定部が前記梁部材に固定されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の建設機械。
【請求項7】
前記梁部材は、前記上部旋回体の幅方向の断面形状が一様な薄板により構成されることを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下部走行体と上部旋回体によって構成される油圧ショベルなどの建設機械は、上部旋回体の旋回フレームが、下部走行体の上部に旋回可能に設けられている。旋回フレームの上部には機械室が設けられており、機械室には、油圧ポンプやエンジン等の動力機械が収容されている。
【0003】
近年では、機械室内に収容される動力機械の大型化に伴い、機械室が上部旋回体の幅方向において拡張されることがある。この場合、機械室の上面を覆うボンネットもまた大型化しなければならないが、ボンネットを大型化すると重量が増大するという問題がある。
【0004】
これに対して、特許文献1では、機械室の上面を覆うボンネットを上部旋回体の幅方向に3つに分割した建設機械が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-69964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
機械室の幅寸法の変化に伴いボンネットを適用させるためには、既存の建設機械と部品を共通化させることが効率的かつ経済的である。しかしながら、特許文献1に記載の建設機械は、既存のボンネットを適用させることは想定されていない。
【0007】
既存のボンネットを、機械室が拡張された新たな建設機械へ適用させるには、拡張分をカバーするための追加部材を配置する必要がある。この場合、追加部材は既存のボンネットと比べて幅寸法が小さいため、強度を確保しなければならないという新たな課題が発生する。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、既存の建設機械のボンネットを適用可能であって、機械室の拡張分を塞ぐ追加部材としてのボンネットスペーサの強度を十分に確保することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、第1の発明では、
エンジンを収容する機械室を区画し、それぞれ上部旋回体の幅方向に延伸する前側フレーム部材及び後側フレーム部材と、
前記上部旋回体の幅方向に互いに間隔をあけて配置され、前記機械室の上面を覆う第1ボンネット及び第2ボンネットと、
前記第1ボンネット及び前記第2ボンネットに連接して配置され、前記第1ボンネット及び前記第2ボンネットの間の前記機械室の上面を覆うボンネットスペーサと、
前記エンジンの上側において前記前側フレーム部材及び前記後側フレーム部材を連結する梁部材と、を備え、
前記梁部材の少なくとも一部が、平面視で、前記ボンネットスペーサと重なる位置に配置されることを特徴とする。
【0010】
上記の構成によると、第1ボンネット及び第2ボンネットを上部旋回体の幅方向に間隔をあけて配置することで、第1ボンネット及び第2ボンネットの間にスペースが生じる。このスペースから機械室が露出しないように、ボンネットスペーサが第1ボンネット及び第2ボンネットに連接して配置され機械室の上面を覆うことができる。そのため、例えば、既存の建設機械の第1ボンネット及び第2ボンネットを、機械室が拡張された他の建設機械との共通部品として活用し、機械室の拡張分をボンネットスペーサで補うことが可能となる。また、前側フレーム部材及び後側フレーム部材には、それぞれ捻られるような力が加えられるが、梁部材が前側フレーム部材及び後側フレーム部材を連結することで、そのような相対的な変位が抑制される。梁部材と重なるように配置されることで、ボンネットスペーサの強度を十分に確保することができる。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、
前記ボンネットスペーサは、前記機械室の内部へ連通する開口と、前記開口を塞ぐ開閉可能な小窓と、を有することを特徴とする。
【0012】
上記の構成によると、機械室内に収容されたエンジン等の動力機械のメンテナンススペースを確保することが可能となる。ボンネットスペーサの開閉機構を設ける必要がないため、コストを抑えることもできる。
【0013】
第3の発明では、第2の発明において、
前記第1ボンネット及び前記第2ボンネットの少なくとも一方は、開閉可能に構成され、且つ、閉状態において、前記ボンネットスペーサ及び前記小窓に対して上側に重なって配置されることを特徴とする。
【0014】
上記の構成によると、第1ボンネット及び第2ボンネットの少なくとも一方が、小窓の上側に重なることで小窓を固定できるため、小窓のロック機構を設ける必要がなく、コストを抑えることができる。
【0015】
第4の発明では、第2又は第3の発明において、
前記梁部材は、前記上部旋回体の前後方向に延伸する水平面及び前記水平面から立設する垂直面を有し、前記開口に対向する位置に内部開口を有することを特徴とする。
【0016】
上記の構成によると、小窓を開くと内部開口を介して、梁部材の下方へアクセス可能となるため、機械室内に収容された動力機械のメンテナンススペースをより広く確保することができる。また、梁部材は垂直面が補強部材として作用するため、内部開口が設けられても、十分な強度を確保できる。
【0017】
第5の発明では、第4の発明において、
前記垂直面は、前記第1ボンネット及び前記第2ボンネットの少なくとも1方をガイドするガイドレールを有することを特徴とする。
【0018】
上記の構成によると、梁部材にガイドレールの機能を備えて部品を兼用することにより、コストを抑えることができる。
【0019】
第6の発明では、第1から第5のいずれか1つの発明において、
前記ボンネットスペーサは、前側固定部及び後側固定部が前記梁部材に固定されることを特徴とする。
【0020】
上記の構成によると、梁部材上に固定されることで、ボンネットスペーサの強度をより確実に確保することができる。
【0021】
第7の発明では、第4から第6のいずれか1つの発明において、
前記梁部材は、前記上部旋回体の幅方向の断面形状が一様な薄板により構成されることを特徴とする。
【0022】
上記の構成によると、機械室の幅寸法が異なる複数の仕様の建設機械に対して、梁部材の幅寸法を変更することで適用できるため、第1ボンネット及び第2ボンネットの共通化が容易となる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によると、既存の建設機械のボンネットを適用可能とするとともに、機械室の拡張分を塞ぐ追加部材としてのボンネットスペーサの強度を十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】建設機械の一例を示す概略側面図である。
図2】実施形態に係る建設機械の上部旋回体を示す斜視図である。
図3図2の要部拡大図である。
図4】第1ボンネット、ボンネットスペーサ及び第2ボンネットの平面図である。
図5】梁部材が固定された機械室フレームの斜視図である。
図6】第1ボンネット、ボンネットスペーサ及び第2ボンネットを取り外した状態の斜視図である。
図7】第2ボンネットを開いた状態の斜視図である。
図8】ボンネットスペーサが固定された機械室フレームの斜視図である。
図9】第2ボンネット及び小窓を開いた状態の斜視図である。
図10】第2ボンネット及び小窓を開いた状態の斜視図である。
図11図4のXI-XI線端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施形態)
以下、実施形態に係る建設機械について、図面を参照しながら説明する。なお、いくつかの図面には上下や前後左右の方向を矢印で示しており、特に言及しない限り、上下等の方向についてはこれらの矢印で示す方向に従って説明する。以下の説明では、上部旋回体の前後方向を単に「前後方向」といい、上部旋回体の前側を単に「前側」といい、上部旋回体の後側を単に「後側」というものとする。また、上部旋回体の左右方向を「左右方向」や「幅方向」といい、左側を単に「左側」といい、右側を単に「右側」というものとする。なお、左右方向は、後側から前側を見たときの左側を左といい、右側を右という。
【0026】
図1は、実施形態に係る建設機械の一例を示す側面図であり、図2は実施形態に係る建設機械の上部旋回体を示す斜視図である。なお、図2における上部旋回体は、アタッチメントが設置されていない状態である。
【0027】
図1及び図2に示すように、本発明の実施形態に係る建設機械10は、例えば油圧ショベルであり、クローラ式の下部走行体11と、下部走行体11上に旋回自在に搭載された上部旋回体12とを備えている。上部旋回体12には、アタッチメント13、キャブ14、機械室15、旋回フレーム16等が設けられている。
【0028】
旋回フレーム16は、製缶の構造物であり、下部走行体11の上部に旋回可能に設けられ、旋回フレーム16の上面には、アタッチメント13、キャブ14、機械室15、作動油タンク17及び燃料タンク18が設けられている。
【0029】
アタッチメント13は、上部旋回体12の前部に設置され、ブーム13a、アーム13b及びバケット13cを有する。ブーム13a等はそれぞれ油圧制御された油圧シリンダ13dの伸縮に連動して動作し、掘削等の作業を行う。ブーム13a等の操作は、キャブ14において行われる。
【0030】
キャブ14は、例えば矩形箱形の運転室であり、アタッチメント13に隣接して上部旋回体12の前部に設置されている。キャブ14の後方には、燃料タンク18が配置され、燃料タンク18の上部にエンジンの吸気を濾過するためのエアクリーナ20が配置されている。
【0031】
燃料タンク18及びエアクリーナ20の側方には、中央足場21を挟んで対向する位置に作動油タンク17が配置されている。作動油タンク17の前方には、作業者を中央足場21へ導くための階段状の昇降ステップ22が設けられている。
【0032】
機械室15は、上部旋回体12の後部に配置され、上部旋回体12の幅方向に延びている。機械室15は、旋回フレーム16の上面に設置された機械室フレームによって区画され、内部に排気ガス後処理装置、エンジン、油圧ポンプ等の動力機械を収容している。機械室15は、前側を作動油タンク17及び燃料タンク18に覆われ、左右側方をサイドカバー23に覆われ、後側をカウンタウェイト19に覆われている。また、機械室15は、図3及び図4にも示すように、上部旋回体12の幅方向に互いに間隔をあけて配置された第1ボンネット30及び第2ボンネット40と、第1ボンネット30及び第2ボンネット40に連接して配置されたボンネットスペーサ50により上面を覆われている。
【0033】
機械室フレーム60は、図5に示すように、旋回フレーム16の上面に間隔をあけて立設する複数の柱部材61a~eや、前後左右に延伸するフレーム部材62a~dによって形成され、フレーム部材62a~dが機械室15を区画している。
【0034】
機械室フレーム60は、具体的には、右側に立設する柱部材61a~cの上端に天板63を有する。天板63の上面には、図6に示すように、排気ガス後処理装置80が設置される。また、天板63の上面には、柱部材64a~dが立設している。天板63の下部には、エンジン90の右側に連結された油圧ポンプ(不図示)が配置されている。
【0035】
機械室15には、排気ガス後処理装置80の左側に、エンジン90が幅方向に延びる横置きの状態で配置され、エンジン90の更に左側には、冷却ファン91と熱交換器92が配置されている。機械室フレーム60は、左端において前後方向に並んで立設する柱部材61d,61eを有する。エンジン90は、エンジンオイルを給油するための給油口90aを右端上部に有する。エンジン90のうち少なくとも給油口90aの上端部は、柱部材61d,61e及び64a~dの上端よりも上方に突出している。
【0036】
機械室フレーム60の右端部において前後方向に並んで立設する柱部材64a,64bの上端を架設するように、右側フレーム部材62aが前後方向に延伸している。機械室フレーム60の左端部において前後方向に並んで立設する柱部材61d,61eの上端を架設するように、左側フレーム部材62bが前後方向に延伸している。そして、機械室フレーム60の前端部において左右方向に並んで立設する柱部材64a,64c及び61dの上端を架設するように、前側フレーム部材62cが上部旋回体12の幅方向に延伸している。機械室フレーム60の後端部において左右方向に並んで立設する柱部材64c,64d及び61eの上端を架設するように、後側フレーム部材62dが上部旋回体12の幅方向に延伸している。前側フレーム部材62c及び後側フレーム部材62dは、複数の部材が連結されていてもよい。また、機械室フレーム60は、エンジン90の上側において、前側フレーム部材62c及び後側フレーム部材62dを連結する梁部材70を有する。
【0037】
第1ボンネット30は、機械室15の右側上部に位置し、右側フレーム部材62a、前側フレーム部材62c及び後側フレーム部材62dに支持されて、排気ガス後処理装置80の上部を覆う。
【0038】
第2ボンネット40は、機械室15の左側上部に位置し、左側フレーム部材62b、前側フレーム部材62c及び後側フレーム部材62dに支持されて、エンジン90、冷却ファン91及び熱交換器92の上部を覆う。
【0039】
梁部材70は、前側フレーム部材62c及び後側フレーム部材62dの捻られるような変位を低減し、機械室フレーム60及びボンネットスペーサ50の強度を確保する。梁部材70は、第1ボンネット30と第2ボンネット40との間に位置し、梁部材70の少なくとも一部が、平面視で、ボンネットスペーサ50と重なるように配置されている。本実施形態では、梁部材70の幅寸法はボンネットスペーサ50よりも広く形成されている。平面視で、梁部材70の右側端部は、第1ボンネット30と重なっており、梁部材70の左側端部は、第2ボンネット40と重なっている。また、ボンネットスペーサ50は、後述する内部開口73を除いて梁部材70と平面視で重なっている。
【0040】
梁部材70は、具体的には、天板63の左側において、前側フレーム部材62c及び後側フレーム部材62dを架設するように、前端部を前側フレーム部材62cの上部に固定され、後端部を後側フレーム部材62dの上部に固定されている。梁部材70は、上部旋回体12の幅方向の断面形状が一様な薄板により構成されることが好ましく、幅方向の長さを変更することで機械室15の幅寸法が異なる複数の仕様の建設機械に適用可能である。
【0041】
梁部材70は、上部旋回体12の前後方向へ略水平に延伸する水平面71及び水平面71から立設する垂直面72を有する。本実施形態において、垂直面72は、水平面71の左側端部から前後方向に亘って形成されており、梁部材70の幅方向の断面はL字形状となっている。梁部材70の断面はL字形状に限定されず、例えば、垂直面72が水平面71の左右の略中央部から立設するT字形状としてもよい。
【0042】
第1ボンネット30及び第2ボンネット40の少なくとも一方は、開閉可能に構成され、垂直面72は、第1ボンネット30及び第2ボンネット40の少なくとも1方の開閉をガイドするガイドレール72aを有する。本実施形態では、図7に示すように、第2ボンネット40が後部に連結されたヒンジによって開閉自在に構成されている。垂直面72には、前後方向に延びる長孔状のガイドレール72aが形成されている。一端部が第2ボンネット40に連結されたステー41の他端部が、ガイドレール72aを摺動可能に連結されており、ガイドレール72aは第2ボンネット40の開閉をガイドすることができる。
【0043】
梁部材70は、垂直面72によって強度を確保することができるため、水平面71及び垂直面72に内部開口73,74を設けることができる。例えば、本実施形態では、図6に示すように、エンジン90が梁部材70へ張り出し、少なくとも給油口90aが柱部材61d,61e及び64a~dの上端よりも上方に突出しているため、梁部材70とエンジン90との干渉を防止するために、梁部材70には、左側端部から右側へ向かって水平面71の一部を切り欠いた内部開口73が形成されるとともに、下端部から上方へ向かって垂直面72の一部を切り欠いた内部開口74が形成されている。水平面71に形成された内部開口73は、後述するボンネットスペーサ50の開口51に対向する位置に設けてあるため、梁部材70の下方へのアクセスを容易にする。また、水平面71には、内部開口73の周縁部に立設する堰71aが形成されており、機械室15内部への雨水等の浸入が防止されている。
【0044】
ボンネットスペーサ50は、例えば、機械室が拡張された新たな建設機械へ、既存の第1ボンネット30及び第2ボンネット40を適用させる際に、その拡張分をカバーするための追加部材であり、第1ボンネット30及び第2ボンネット40の間の機械室15の上面を覆う。
【0045】
ボンネットスペーサ50は、図8に示すように、前側に立設する前側固定部50aと、後側に立設する後側固定部50bと、前側固定部50a及び後側固定部50bの上端を繋ぐように前後方向に延伸する平面部50cとから構成されるアーチ形状の部材であり、前側固定部50a及び後側固定部50bが梁部材70の上面に固定されている。ボンネットスペーサ50の幅方向の寸法は、第1ボンネット30及び第2ボンネット40よりも短い。ボンネットスペーサ50には、左右両端部から前後方向に亘って垂下する縁部50dが形成されている。
【0046】
また図9に示すように、ボンネットスペーサ50は、機械室15の内部へ連通する開口51と、開口51を塞ぐ開閉可能な小窓52とを有する。具体的には、ボンネットスペーサ50には、前側固定部50aの上部から平面部50cの前後方向略中央部に亘って左側端部から右側に切り欠かれて開口51が形成されている。開口51は、梁部材70の内部開口73と対向する位置に設けられ、内部開口73よりも大きく形成されている。開口51の後端部には、開口51よりもひと回り大きな小窓52がヒンジ52aを介して回動自在に取り付けられている。なお、小窓52は、開口51を開閉可能にするものであれば上記形態に限定されることはなく、例えば、開口51に対して着脱自在なものであってもよい。
【0047】
中央足場21において、作業者が第2ボンネット40及び小窓52を開放すると、図10に示すように、開口51から内部開口73を介して機械室15内に収容された動力機械が露出するため、メンテナンスが容易となる。例えば本実施形態では、梁部材70の下部に位置する給油口90aが、開口51及び内部開口73によってアクセス可能となるため、エンジンオイルの給油が容易となる。
【0048】
次に、第1ボンネット30、第2ボンネット40及びボンネットスペーサ50の配置について説明する。第1ボンネット30及び第2ボンネット40の少なくとも一方は、閉状態において、ボンネットスペーサ50及び小窓52に対して上側に重なって配置される。本実施形態では、図11に示すように、開閉可能な第2ボンネット40が、縁端部に雨水等の浸入を防ぐためのウェザーストリップ42を有している。このウェザーストリップ42は、第2ボンネット40の閉状態において、ボンネットスペーサ50及び小窓52に対して上側に重なって配置されており、小窓52の閉状態を維持する。なお、第1ボンネット30の縁端部31は、ボンネットスペーサ50に対して上側に重なっているが、小窓52には干渉しない位置に接合されている。すなわち、第2ボンネット40を開状態とすることで、小窓52が開閉自在となる。この構成により、小窓52にロック機構を設ける必要がない。
【0049】
以上のように構成した本実施形態の建設機械10によれば、第1ボンネット30及び第2ボンネット40を左右に間隔をあけて配置すると、第1ボンネット30及び第2ボンネット40の間にスペースが生じるが、このスペースから機械室15が露出しないように、ボンネットスペーサ50が第1ボンネット30及び第2ボンネット40に連接して配置されて機械室15の上面を覆うことができる。例えば既存の建設機械のボンネットとしての第1ボンネット30及び第2ボンネット40を共通部品として活用しつつ、機械室15の拡張分をボンネットスペーサ50で覆うことが可能となる。また、ボンネットスペーサ50は、梁部材70と重なるように構成されることで、強度を十分に確保することができる。
【0050】
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0051】
10 建設機械
11 下部走行体
12 上部旋回体
15 機械室
30 第1ボンネット
40 第2ボンネット
50 ボンネットスペーサ
51 開口
52 小窓
60 機械室フレーム
61a~e 柱部材
62a 右側フレーム部材
62b 左側フレーム部材
62c 前側フレーム部材
62d 後側フレーム部材
63 天板
64a~d 柱部材
70 梁部材
71 水平面
72 垂直面
73,74 内部開口
80 排気ガス後処理装置
90 エンジン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11