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特許7643448光伝送システム、光装置、光ネットワーク管理装置、および光伝送方法
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  • 特許-光伝送システム、光装置、光ネットワーク管理装置、および光伝送方法 図1
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  • 特許-光伝送システム、光装置、光ネットワーク管理装置、および光伝送方法 図10A
  • 特許-光伝送システム、光装置、光ネットワーク管理装置、および光伝送方法 図10B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】光伝送システム、光装置、光ネットワーク管理装置、および光伝送方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/03 20130101AFI20250304BHJP
   H04B 10/29 20130101ALI20250304BHJP
   H04J 14/02 20060101ALI20250304BHJP
【FI】
H04B10/03
H04B10/29
H04J14/02 101
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022505918
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(86)【国際出願番号】 JP2021007475
(87)【国際公開番号】W WO2021182141
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2024-01-12
(31)【優先権主張番号】P 2020041096
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】朝田 英男
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-141867(JP,A)
【文献】特開2001-197083(JP,A)
【文献】特開2013-030884(JP,A)
【文献】特開2005-286961(JP,A)
【文献】国際公開第2014/020896(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/010151(WO,A1)
【文献】特開2013-243559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/03
H04B 10/29
H04J 14/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光伝送路における障害箇所の前段において、前記第1の光伝送路を伝搬する波長帯域信号の伝送路を、前記第1の光伝送路と同一経路の第2の光伝送路に変更する第1の光装置と、
前記障害箇所の後段において、前記波長帯域信号の伝送路を、前記第2の光伝送路から前記第1の光伝送路に変更する第2の光装置、とを有し、
前記第1の光伝送路および前記第2の光伝送路は運用光ファイバにより構成され
光伝送システム。
【請求項2】
前記第1の光伝送路は、運用光ファイバである複数の第1の光ファイバを含み、
前記第1の光装置は、前記複数の第1の光ファイバのうち、前記複数の第1の光ファイバの優先度に基づいて優先光ファイバを決定し、前記優先光ファイバを伝搬する前記波長帯域信号の伝送路を前記第2の光伝送路に変更する
請求項1に記載した光伝送システム。
【請求項3】
前記第1の光装置は、前記第1の光伝送路を伝搬する第1の波長多重光信号を構成する複数の第1の波長帯域信号のうち、前記複数の第1の波長帯域信号の優先度に基づいて、前記波長帯域信号としての優先帯域信号を決定し、前記優先帯域信号の伝送路を前記第2の光伝送路に変更する
請求項1に記載した光伝送システム。
【請求項4】
前記第1の光伝送路は、運用光ファイバである複数の第1の光ファイバを含み、
前記第1の光装置は、前記複数の第1の光ファイバのそれぞれを伝搬する第1の波長多重光信号を構成する複数の第1の波長帯域信号のうち、前記複数の第1の波長帯域信号の優先度に基づいて、前記複数の第1の光ファイバ毎に前記波長帯域信号としての優先帯域信号を決定し、前記優先帯域信号のそれぞれの伝送路を前記第2の光伝送路に変更する
請求項1に記載した光伝送システム。
【請求項5】
前記複数の第1の光ファイバのそれぞれを伝搬する前記優先帯域信号は、周波数軸上で互いに重複しない波長帯域をそれぞれ占有する
請求項4に記載した光伝送システム。
【請求項6】
前記第2の光伝送路は、運用光ファイバである複数の第2の光ファイバを含み、
前記第1の光装置は、前記複数の第2の光ファイバのうち、前記複数の第2の光ファイバの優先度に基づいて低優先光ファイバを決定し、前記波長帯域信号の伝送路を前記低優先光ファイバに変更する
請求項1から5のいずれか一項に記載した光伝送システム。
【請求項7】
前記第1の光装置は、前記第2の光伝送路を伝搬する第2の波長多重光信号を構成する複数の第2の波長帯域信号がそれぞれ占有する第2の波長帯域のうち、前記複数の第2の波長帯域信号の優先度に基づいて低優先帯域を決定し、前記波長帯域信号を前記低優先帯域に配置する
請求項1から6のいずれか一項に記載した光伝送システム。
【請求項8】
第1の切替処理と第2の切替処理のいずれかを行う切替手段と、
第1の光伝送路と、前記第1の光伝送路と同一経路の第2の光伝送路のそれぞれを、前記切替手段の入力側に接続する入力接続手段と、
前記第1の光伝送路と前記第2の光伝送路のそれぞれを、前記切替手段の出力側に接続する出力接続手段、とを有し、
前記第1の切替処理は、前記第1の光伝送路における障害箇所の前段において、前記第1の光伝送路を伝搬する波長帯域信号の伝送路を、前記第2の光伝送路に変更する処理であり、
前記第2の切替処理は、前記障害箇所の後段において、前記波長帯域信号の伝送路を、前記第2の光伝送路から前記第1の光伝送路に変更する処理であり、
前記第1の光伝送路および前記第2の光伝送路は運用光ファイバにより構成され
光装置。
【請求項9】
第1の光伝送路における障害の発生を監視し、前記障害の発生を検知した場合、障害発生情報を生成する監視手段と、
前記障害発生情報に基づいて、
前記障害が発生した箇所の前段に位置する第1の光装置に対して、前記第1の光伝送路を伝搬する波長帯域信号の伝送路を、前記第1の光伝送路と同一経路の第2の光伝送路に変更するように指示し、
前記障害が発生した箇所の後段に位置する第2の光装置に対して、前記波長帯域信号の伝送路を、前記第2の光伝送路から前記第1の光伝送路に変更するように指示する
制御手段、とを有し、
前記第1の光伝送路および前記第2の光伝送路は運用光ファイバにより構成され
光ネットワーク管理装置。
【請求項10】
第1の光伝送路における障害箇所の前段において、前記第1の光伝送路を伝搬する波長帯域信号の伝送路を、前記第1の光伝送路と同一経路の第2の光伝送路に変更し、
前記障害箇所の後段において、前記波長帯域信号の伝送路を、前記第2の光伝送路から前記第1の光伝送路に変更し、
前記第1の光伝送路および前記第2の光伝送路は運用光ファイバにより構成され
光伝送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送システム、光装置、および光伝送方法に関し、特に、光海底ケーブル伝送システムに用いられる光伝送システム、光装置、および光伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大陸間を光ファイバで結ぶ光海底ケーブル伝送システムは、国際的な通信ネットワークを支えるインフラとして重要な役割を担っている。光海底ケーブル伝送システムは、光ファイバを収容する海底ケーブル、光増幅器を搭載した海底中継器、光信号を分岐する海底分岐装置、および陸揚げ局に設置された端局装置等により構成される。端局装置は、波長多重分離装置(Wavelength Multiplexing Equipment:WME)、海底線路終端装置(Submarine Line Termination Equipment:SLTE)、およびシステム監視装置等を備える。
【0003】
光海底ケーブル伝送システムでは大容量トラヒックの通信が行われるため、光ファイバの断線や海底装置の故障などが原因で発生する通信障害から高速に復旧させるための技術の重要性が増している。このような光海底ケーブル伝送システムにおける障害復旧技術の一例が、特許文献1に記載されている。
【0004】
特許文献1に記載された関連する光海底ケーブルシステムは、関連する光装置が海底ケーブルによってメッシュ状に接続された構成としている。関連する光装置は、光アド/ドロップ回路、光経路断検出器、および光分配器を備える。そして、関連する光装置は、光信号の消失を検出すると、消失した区間を迂回するように光アド/ドロップ回路の設定を変更することとしている。すなわち、関連する光海底ケーブルシステムにおいては、経路上に障害が発生した際に、海底ケーブル単位でルートを切り替えて迂回路を設定する構成としている。
【0005】
また、関連技術としては、特許文献2および3に記載された技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2014/006861号
【文献】特表2019-517169号公報
【文献】特開2009-088606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、クラウドサービスの普及により、全世界に設置されたデータセンタ(data center:DC)間の通信トラフィックが増大している。それに伴い、通信事業者以外のクラウド事業者等が光海底ケーブル伝送システムに直接投資するようになってきている。その結果、海底ケーブルに収容された光ファイバ毎に、あるいは、光ファイバの波長帯域毎に、利用者(ユーザ)が異なる場合が生じる。
【0008】
また、海底分岐装置にも、波長単位で光信号の経路を切り替えるROADM(Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer)機能が導入され、波長選択スイッチ(Wavelength Selectable Switch:WSS)が搭載されている。そのため、波長選択スイッチ(WSS)等の故障により、一部の波長帯域においてのみ通信断や伝送品質劣化等の障害が生じる場合がある。
【0009】
このような場合、障害回復を図るために、上述した関連する光海底ケーブルシステムにおけるように、光ケーブル単位でルートを切り替える、あるいは、光ケーブルに収容された光ファイバ単位で切り替えることとすると、以下のような問題が生じる。
【0010】
光ケーブル内の複数の光ファイバの一部に障害が発生した場合、光ケーブル(経路)を冗長構成に切り替えると、障害が発生していない光ファイバについても光ケーブル(経路)が切り替わることになる。そのため、光伝送条件が変化し、端局装置が備える光伝送装置の変更を伴うことになる。これは、障害が発生していない光ファイバを利用する他のユーザにとっては不必要な変更であり、光伝送システムの安定した利用が損なわれるという問題が生じる。また、障害が発生していない光ファイバは使用可能であるにもかかわらず使用されなくなるので、光ファイバの波長帯域の有効利用が図れないという問題が生じる。
【0011】
また、光ファイバの一部の波長帯域において障害が発生した場合、光ケーブルに収容された光ファイバ単位で冗長構成に切り替えると、正常な波長帯域の光信号に対しても光ファイバが切り替わることになる。そのため、端局装置が備える光伝送装置の変更を伴うことになる。この場合も、正常な波長帯域を利用する他のユーザにとっては不必要な変更であり、光伝送システムの安定した利用が損なわれるという問題が生じる。また、光ファイバの正常な波長帯域は使用可能であるにもかかわらず使用されなくなるので、波長帯域の有効利用が図れないという問題が生じる。
【0012】
このように、光ケーブル内の光ファイバの一部において障害が発生した場合、冗長構成に切り替えることとすると、光伝送システムの安定した利用が損なわれ、波長帯域の有効利用が図れない、という問題があった。
【0013】
本発明の目的は、上述した課題を解決する光伝送システム、光装置、光ネットワーク管理装置、および光伝送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の光伝送システムは、第1の光伝送路における障害箇所の前段において、第1の光伝送路を伝搬する波長帯域信号の伝送路を、第1の光伝送路と同一経路の第2の光伝送路に変更する第1の光装置と、障害箇所の後段において、波長帯域信号の伝送路を、第2の光伝送路から第1の光伝送路に変更する第2の光装置、とを有する。
【0015】
本発明の光装置は、第1の切替処理と第2の切替処理のいずれかを行う切替手段と、第1の光伝送路と、第1の光伝送路と同一経路の第2の光伝送路のそれぞれを、切替手段の入力側に接続する入力接続手段と、第1の光伝送路と第2の光伝送路のそれぞれを、切替手段の出力側に接続する出力接続手段、とを有し、第1の切替処理は、第1の光伝送路における障害箇所の前段において、第1の光伝送路を伝搬する波長帯域信号の伝送路を、第2の光伝送路に変更する処理であり、第2の切替処理は、障害箇所の後段において、波長帯域信号の伝送路を、第2の光伝送路から第1の光伝送路に変更する処理である。
【0016】
本発明の光ネットワーク管理装置は、第1の光伝送路における障害の発生を監視し、障害の発生を検知した場合、障害発生情報を生成する監視手段と、障害発生情報に基づいて、障害が発生した箇所の前段に位置する第1の光装置に対して、第1の光伝送路を伝搬する波長帯域信号の伝送路を、第1の光伝送路と同一経路の第2の光伝送路に変更するように指示し、障害が発生した箇所の後段に位置する第2の光装置に対して、波長帯域信号の伝送路を、第2の光伝送路から第1の光伝送路に変更するように指示する制御手段、とを有する。
【0017】
本発明の光伝送方法は、第1の光伝送路における障害箇所の前段において、第1の光伝送路を伝搬する波長帯域信号の伝送路を、第1の光伝送路と同一経路の第2の光伝送路に変更し、障害箇所の後段において、波長帯域信号の伝送路を、第2の光伝送路から第1の光伝送路に変更する。
【0018】
本発明の光伝送方法は、第1の波長多重光信号を第1の光伝送路を通して伝搬させ、第2の波長多重光信号を第1の光伝送路と同一経路の第2の光伝送路を通して伝搬させ、第1の光伝送路において障害が発生した場合、障害が発生した箇所の前段において、第2の波長多重光信号の伝搬を中止するとともに、第1の波長多重光信号を構成する波長帯域信号の伝送路を、第2の光伝送路に変更し、障害が発生した箇所の後段において、波長帯域信号の伝送路を、第2の光伝送路から第1の光伝送路に変更する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の光伝送システム、光装置、光ネットワーク管理装置、および光伝送方法によれば、光ケーブル内の光ファイバの一部において障害が発生した場合であっても、光伝送システムの安定した利用を損なうことなく、波長帯域を有効に利用しながら障害回復を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施形態に係る光伝送システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る光伝送システムの構成を示すブロック図であって、波長帯域信号に加えて他の波長帯域信号が第1の光伝送路を伝搬する場合を示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る光装置の構成を示すブロック図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る光ネットワーク管理装置の構成を示すブロック図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る光伝送システムの動作を説明するための図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る光伝送システムの別の動作を説明するための図である。
図7】本発明の第3の実施形態に係る光伝送システムの動作を説明するための図である。
図8】本発明の第3の実施形態に係る光伝送システムの動作を説明するための図であって、一部の波長帯域においてのみ通信断や伝送品質劣化等の障害が生じている場合を示す図である。
図9】本発明の第3の実施形態に係る光伝送システムの別の動作を説明するための図である。
図10A】本発明の実施形態に係る第1の光装置および第2の光装置の動作を説明するための図である。
図10B】本発明の実施形態に係る第1の光装置および第2の光装置の別の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0022】
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態による光伝送システム1000の構成を示すブロック図である。光伝送システム1000は、第1の光装置1110と第2の光装置1120を有する。
【0023】
第1の光装置1110は、第1の光伝送路110における障害箇所100の前段において、第1の光伝送路110を伝搬する波長帯域信号S100の伝送路を、第1の光伝送路110と同一経路の第2の光伝送路120に変更する。第2の光装置1120は、障害箇所100の後段において、波長帯域信号S100の伝送路を、第2の光伝送路120から第1の光伝送路110に変更する。
【0024】
このような構成としたことにより本実施形態の光伝送システム1000によれば、波長帯域信号S100は、障害箇所100を第1の光装置1110と第2の光装置1120との間だけ迂回して伝搬する。そのため、第1の光装置1110および第2の光装置1120に接続される端局装置が備える光伝送装置の変更は不要である。
【0025】
すなわち、光伝送システム1000は、第1の光装置1110が波長帯域信号S100の伝送路を切り替えた後に、第2の光装置1120が元の伝送路に戻すように再度切り替える構成としている。そのため、障害箇所100を迂回することにより、波長帯域信号S100が端局装置において他の伝送路側に配置されることはない。その結果、第1の光伝送路110と第2の光伝送路120の利用者(ユーザ)が異なる場合であっても、ユーザのセキュリティを確保することができる。
【0026】
このように、光伝送システム1000によれば、光伝送システムの安定した利用を損なうことなく障害回復を図ることができる。
【0027】
光伝送システム1000は上述のように、第1の光伝送路110における障害箇所100の前段において第1の光装置1110が第1の光伝送路110から第2の光伝送路120に切り替える。そして、障害箇所100の後段において第2の光装置1120が第1の光伝送路110に戻すように再度切り替える。そのため、第1の光装置1110の前段および第2の光装置1120の後段においては、障害箇所100の迂回路となる第2の光伝送路120を他の波長帯域信号の伝送路として使用することができる。その結果、波長帯域を有効に利用しながら障害回復を図ることができる。
【0028】
ここで、第1の光伝送路110と第2の光伝送路120は典型的には光ファイバによって構成される。第1の光伝送路110と第2の光伝送路120を、例えば、同一の光ケーブルに収容することにより、同一経路とすることができる。また、第1の光伝送路110および第2の光伝送路120はいずれも、例えば、上り回線用の光ファイバであり、下り回線用の光ファイバ(図示せず)と共にそれぞれファイバペア(Fiber Pair:FP)を構成することとしてもよい。
【0029】
第1の光伝送路110は運用光信号が伝搬する運用光ファイバであり、第2の光伝送路120は障害発生時における迂回用の予備(スペア)光ファイバであってもよい。なお、通常時(障害発生時以外)においては、第2の光伝送路120を運用光ファイバとして使用することにより、伝送容量を増大させることが可能である。
【0030】
図1には波長帯域信号S100だけを示したが、図2に示すように、波長帯域信号S100に加えて他の波長帯域信号が第1の光伝送路110を伝搬する場合であってもよい。例えば、波長帯域信号S100は、波長分割多重(Wavelength Division Multiplexing:WDM)光信号を構成する複数の波長帯域信号のうちの少なくとも一部であってもよい。
【0031】
また、第1の光伝送路110が複数の第1の光ファイバを含み、複数の第1の光ファイバにおいて障害が発生した場合、第1の光装置1110は以下のように動作する構成とすることができる。
【0032】
すなわち、第1の光装置1110は、複数の第1の光ファイバのうち、複数の第1の光ファイバの優先度に基づいて優先光ファイバを決定する。そして、第1の光装置1110は、この優先光ファイバを伝搬する波長帯域信号S100の伝送路を第2の光伝送路120に変更する。ここで、第1の光装置1110は、複数の第1の光ファイバのうち最も早く信号断を検出した第1の光ファイバを、優先度が高いものとして優先光ファイバと決定することができる。これに限らず、あらかじめ設定された優先度が高い第1の光ファイバを優先光ファイバと決定することとしてもよい。
【0033】
また、第2の光伝送路120が複数の第2の光ファイバを含む場合、第1の光装置1110は以下のように動作する構成とすることができる。
【0034】
すなわち、第1の光装置1110は、複数の第2の光ファイバのうち、複数の第2の光ファイバの優先度に基づいて優先度が低い低優先光ファイバを決定し、波長帯域信号S100の伝送路をこの低優先光ファイバに変更する。この場合には、第2の光伝送路120として障害発生時における迂回用の予備(スペア)光ファイバを設けることなく、障害回復を図ることが可能である。
【0035】
次に、本実施形態による光装置について説明する。図3に、本実施形態による光装置1100の構成を示す。
【0036】
本実施形態による光装置1100は、第1の切替処理と第2の切替処理のいずれかを行う切替部(切替手段)1101、入力接続部(入力接続手段)1102、および出力接続部(出力接続手段)1103とを有する。入力接続部1102は、第1の光伝送路110と、第1の光伝送路110と同一経路の第2の光伝送路120のそれぞれを、切替部(切替手段)1101の入力側に接続する。出力接続部1103は、第1の光伝送路110と第2の光伝送路120のそれぞれを、切替部(切替手段)1101の出力側に接続する。
【0037】
ここで、第1の切替処理は、第1の光伝送路110における障害箇所の前段において、第1の光伝送路110を伝搬する波長帯域信号の伝送路を、第2の光伝送路120に変更する処理である。第2の切替処理は、障害箇所の後段において、波長帯域信号の伝送路を、第2の光伝送路120から第1の光伝送路に変更する処理である。
【0038】
切替部1101は、典型的には、波長選択スイッチ(Wavelength Selectable Switch:WSS)を備えた構成とすることができる。なお、光装置1100には、光海底ケーブル伝送システムにおいて用いられる海底機器、例えば光分岐装置、伝送装置、中継装置等が含まれる。
【0039】
光装置1100は、第1の光伝送路110に含まれる複数の第1の光ファイバのうち、複数の第1の光ファイバの優先度に基づいて優先光ファイバを決定する制御部(制御手段)をさらに有する構成とすることができる。この場合、切替部1101は、第1の切替処理において、優先光ファイバを伝搬する波長帯域信号の伝送路を第2の光伝送路120に変更する。
【0040】
また、制御部(制御手段)は、第2の光伝送路120に含まれる複数の第2の光ファイバのうち、複数の第2の光ファイバの優先度に基づいて低優先光ファイバを決定することとしてもよい。この場合、切替部1101は、第1の切替処理において、波長帯域信号の伝送路を低優先光ファイバに変更する。
【0041】
次に、本実施形態による光ネットワーク管理装置について説明する。図4に、本実施形態による光ネットワーク管理装置1200の構成を示す。
【0042】
光ネットワーク管理装置1200は、監視部(監視手段)1210と制御部(制御手段)1220を有する。
【0043】
監視部1210は、第1の光伝送路における障害の発生を監視し、障害の発生を検知した場合、障害発生情報を生成する。制御部1220は、この障害発生情報に基づいて、障害が発生した箇所の前段に位置する第1の光装置に対して、第1の光伝送路を伝搬する波長帯域信号の伝送路を、第1の光伝送路と同一経路の第2の光伝送路に変更するように指示する。制御部1220はさらに、障害が発生した箇所の後段に位置する第2の光装置に対して、波長帯域信号の伝送路を、第2の光伝送路から第1の光伝送路に変更するように指示する。
【0044】
次に、本実施形態による光伝送方法について説明する。
【0045】
本実施形態による光伝送方法においては、まず、第1の光伝送路における障害箇所の前段において、第1の光伝送路を伝搬する波長帯域信号の伝送路を、第1の光伝送路と同一経路の第2の光伝送路に変更する。そして、障害箇所の後段において、波長帯域信号の伝送路を、第2の光伝送路から第1の光伝送路に変更する。
【0046】
ここで、上述した伝送路を第2の光伝送路に変更する処理には、以下の処理が含まれることとしてもよい。すなわち、第1の光伝送路に含まれる複数の第1の光ファイバのうち、複数の第1の光ファイバの優先度に基づいて優先光ファイバを決定し、この優先光ファイバを伝搬する波長帯域信号の伝送路を第2の光伝送路に変更する。
【0047】
また、上述した伝送路を第2の光伝送路に変更する際に、第2の光伝送路に含まれる複数の第2の光ファイバのうち、複数の第2の光ファイバの優先度に基づいて低優先光ファイバを決定し、波長帯域信号の伝送路を低優先光ファイバに変更することとしてもよい。
【0048】
また、本実施形態による別の光伝送方法においては、まず、第1の波長多重光信号を第1の光伝送路を通して伝搬させ、第2の波長多重光信号を第1の光伝送路と同一経路の第2の光伝送路を通して伝搬させる。そして、第1の光伝送路において障害が発生した場合、障害が発生した箇所の前段において、第2の波長多重光信号の伝搬を中止するとともに、第1の波長多重光信号を構成する波長帯域信号の伝送路を、第2の光伝送路に変更する。さらに、障害が発生した箇所の後段において、波長帯域信号の伝送路を、第2の光伝送路から第1の光伝送路に変更する。
【0049】
以上説明したように、本実施形態の光伝送システム1000、光装置1100、光ネットワーク管理装置1200、および光伝送方法によれば、光ケーブル内の光ファイバの一部において障害が発生した場合であっても、光伝送システムの安定した利用を損なうことなく、波長帯域を有効に利用しながら障害回復を図ることができる。
【0050】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図5に示すように、本実施形態による光伝送システム2000の構成は、第1の実施形態による光伝送システム1000の構成と同様であり、第1の光装置2110と第2の光装置2120を有する。
【0051】
第1の光装置2110は、第1の光伝送路110における障害箇所100の前段において、第1の光伝送路110を伝搬する波長帯域信号の伝送路を、第1の光伝送路110と同一経路の第2の光伝送路120に変更する。このとき本実施形態の第1の光装置2110は、第1の光伝送路110を伝搬する第1の波長多重光信号S210を構成する複数の第1の波長帯域信号のうち、複数の第1の波長帯域信号の優先度に基づいて、波長帯域信号としての優先帯域信号S11を決定する。そして、第1の光装置2110は、この優先帯域信号S11の伝送路を第2の光伝送路120に変更する。
【0052】
第2の光装置2120は、障害箇所100の後段において、優先帯域信号S11の伝送路を、第2の光伝送路120から第1の光伝送路110に変更する。
【0053】
ここで優先度は、複数の優先度レベル、例えば、低・中・高の3段階、または1、2、3、4、5の5段階等により定義することができる。そして、第1の光装置2110は例えば、優先度レベルがより高い波長帯域信号を優先して、その伝送路を変更する構成とすることができる。これに限らず、第1の光装置2110は、中程度の優先度レベルの波長帯域信号を優先して、その伝送路を変更することとしてもよい。このように、第1の波長多重光信号S210を構成する複数の第1の波長帯域信号のうち、伝送路を変更する順番を優先度に基づいて定めることができる。
【0054】
ここで、第2の光伝送路120には、優先度に基づいて決定された優先帯域信号S11だけが伝搬する。そのため、障害箇所100に対応する区間(第1の光装置2110と第2の光装置2120の間)であっても、優先帯域信号S11が占める波長帯域以外の波長帯域では、第2の光伝送路120を伝送信号帯域として用いることができる。その結果、波長帯域をさらに有効に利用しながら障害回復を図ることができる。
【0055】
また、図6に示した光伝送システム2001のように、第1の光装置2110が、第1の光伝送路110を伝搬する波長帯域信号を、第2の光伝送路120を伝搬する第2の波長多重光信号S220の波長帯域の一部に配置する構成とすることができる。この場合、第1の光装置2110は、第2の光伝送路120を伝搬する第2の波長多重光信号S220を構成する複数の第2の波長帯域信号がそれぞれ占有する第2の波長帯域のうち、複数の第2の波長帯域信号の優先度に基づいて低優先帯域B21を決定する。そして、第1の光装置2110は、第1の光伝送路110を伝搬する波長帯域信号を優先度が低い低優先帯域B21に配置する構成とすることができる。図6では、波長帯域信号として、上述した優先帯域信号S11を低優先帯域B21に配置した例を示す。
【0056】
なお、低優先帯域には、第2の波長多重光信号S220を構成する第2の波長帯域信号が占有していない未使用帯域が含まれるものとする。
【0057】
上述したように、本実施形態による光伝送システム2000、2001は、第1の光装置2110が優先帯域信号S11の伝送路を切り替えた後に、第2の光装置2120が元の伝送路に戻すように再度切り替える構成としている。そのため、障害箇所100を迂回することにより、優先帯域信号S11が端局装置において他の伝送路側に配置されることはない。その結果、第1の光伝送路110と第2の光伝送路120の利用者(ユーザ)が異なる場合であっても、ユーザのセキュリティを確保することができる。
【0058】
このように、光伝送システム2000、2001によれば、光伝送システムの安定した利用を損なうことなく障害回復を図ることができる。
【0059】
次に、本実施形態による光装置について説明する。本実施形態による光装置の構成は、図3に示した第1の実施形態による光装置1100の構成と同様である。
【0060】
すなわち、本実施形態による光装置は、第1の切替処理と第2の切替処理のいずれかを行う切替部1101、入力接続部1102、および出力接続部1103とを有する。入力接続部1102は、第1の光伝送路110と、第1の光伝送路110と同一経路の第2の光伝送路120のそれぞれを、切替部1101の入力側に接続する。出力接続部1103は、第1の光伝送路110と第2の光伝送路120のそれぞれを、切替部1101の出力側に接続する。
【0061】
ここで、第1の切替処理は、第1の光伝送路110における障害箇所の前段において、第1の光伝送路110を伝搬する波長帯域信号の伝送路を、第2の光伝送路120に変更する処理である。第2の切替処理は、障害箇所の後段において、波長帯域信号の伝送路を、第2の光伝送路120から第1の光伝送路に変更する処理である。
【0062】
本実施形態の光装置は、第1の光伝送路110を伝搬する第1の波長多重光信号を構成する複数の第1の波長帯域信号のうち、複数の第1の波長帯域信号の優先度に基づいて、波長帯域信号としての優先帯域信号を決定する制御部(制御手段)をさらに有する構成とした。この場合、切替部1101は、第1の切替処理において、この優先帯域信号の伝送路を第2の光伝送路120に変更する。
【0063】
また、制御部(制御手段)は、第2の光伝送路120を伝搬する第2の波長多重光信号を構成する複数の第2の波長帯域信号がそれぞれ占有する第2の波長帯域のうち、複数の第2の波長帯域信号の優先度に基づいて低優先帯域を決定することとしてもよい。この場合、切替部1101は、第1の切替処理において、波長帯域信号を優先度が低い低優先帯域に配置する。なお、低優先帯域には、第2の波長多重光信号を構成する第2の波長帯域信号が占有していない未使用帯域が含まれるものとする。
【0064】
次に、本実施形態による光伝送方法について説明する。
【0065】
本実施形態による光伝送方法においては、まず、第1の光伝送路における障害箇所の前段において、第1の光伝送路を伝搬する波長帯域信号の伝送路を、第1の光伝送路と同一経路の第2の光伝送路に変更する。そして、障害箇所の後段において、波長帯域信号の伝送路を、第2の光伝送路から第1の光伝送路に変更する。
【0066】
本実施形態による光伝送方法においては、伝送路を第2の光伝送路に変更する処理に、以下の処理が含まれる構成とした。すなわち、第1の光伝送路を伝搬する第1の波長多重光信号を構成する複数の第1の波長帯域信号のうち、複数の第1の波長帯域信号の優先度に基づいて、波長帯域信号としての優先帯域信号を決定し、優先帯域信号の伝送路を第2の光伝送路に変更する。
【0067】
また、上述した伝送路を第2の光伝送路に変更する処理には、以下の処理が含まれることとしてもよい。すなわち、第2の光伝送路を伝搬する第2の波長多重光信号を構成する複数の第2の波長帯域信号がそれぞれ占有する第2の波長帯域のうち、複数の第2の波長帯域信号の優先度に基づいて低優先帯域を決定し、波長帯域信号を低優先帯域に配置することとしてもよい。なお、低優先帯域には、第2の波長多重光信号を構成する第2の波長帯域信号が占有していない未使用帯域が含まれるものとする。
【0068】
以上説明したように、本実施形態の光伝送システム2000、2001、光装置、および光伝送方法によれば、光ケーブル内の光ファイバの一部において障害が発生した場合であっても、光伝送システムの安定した利用を損なうことなく、波長帯域を有効に利用しながら障害回復を図ることができる。
【0069】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態による光伝送システム3000の構成は、第1の実施形態による光伝送システム1000の構成と同様である。
【0070】
本実施形態では図7に示すように、光伝送システム3000が、第1の光装置としての第1の光装置3111と第1の光装置3112、および第2の光装置3120を備えた場合を例に説明する。また、第1の光伝送路は複数の第1の光ファイバ111、112を含み、第1の光装置3111と第1の光装置3112の間の第1の光ファイバ111上に障害箇所101が、第1の光装置3112内に障害箇所102が存在するものとして説明する。なお、障害箇所101および障害箇所102には、図8に示すように、一部の波長帯域においてのみ通信断や伝送品質劣化等の障害が生じている場合も含まれる。
【0071】
第1の光装置3111は、第1の光伝送路としての第1の光ファイバ111における障害箇所101の前段において、第1の光ファイバ111を伝搬する波長帯域信号の伝送路を、第1の光ファイバ111と同一経路の第2の光伝送路120に変更する。また、第1の光装置3112は、第1の光伝送路としての第1の光ファイバ112における障害箇所102の前段において、第1の光ファイバ112を伝搬する波長帯域信号の伝送路を、第1の光ファイバ112と同一経路の第2の光伝送路120に変更する。
【0072】
第2の光装置3120は、障害箇所101および障害箇所102の後段において、上記波長帯域信号の伝送路を、第2の光伝送路から第1の光伝送路としての第1の光ファイバ111および第1の光ファイバ112に変更する。
【0073】
ここで、第1の光装置は、複数の第1の光ファイバのそれぞれを伝搬する第1の波長多重光信号を構成する複数の第1の波長帯域信号のうち、複数の第1の波長帯域信号の優先度に基づいて、複数の第1の光ファイバ毎に波長帯域信号としての優先帯域信号を決定する。そして、第1の光装置は、この優先帯域信号のそれぞれの伝送路を第2の光伝送路に変更する構成とした。
【0074】
図7に示した例では、第1の光装置3111は、第1の光ファイバ111を伝搬する第1の波長多重光信号S311を構成する複数の第1の波長帯域信号のうち、第1の光ファイバ111における波長帯域信号としての優先帯域信号S31を決定する。このとき、第1の光装置3111は、上記複数の第1の波長帯域信号の優先度に基づいて、優先帯域信号S31を決定する。そして、第1の光装置3111は優先帯域信号S31の伝送路を第2の光伝送路120に変更する。一方、第2の光装置3120は、障害箇所101の後段において、優先帯域信号S31の伝送路を、第2の光伝送路120から第1の光伝送路に含まれる第1の光ファイバ111に変更する。
【0075】
また、第1の光装置3112は、第1の光ファイバ112を伝搬する第2の波長多重光信号S312を構成する複数の第2の波長帯域信号のうち、第1の光ファイバ112における波長帯域信号としての優先帯域信号S32を決定する。このとき、第1の光装置3112は、上記複数の第2の波長帯域信号の優先度に基づいて、優先帯域信号S32を決定する。そして、第1の光装置3112は優先帯域信号S32の伝送路を第2の光伝送路120に変更する。一方、第2の光装置3120は、障害箇所102の後段において、優先帯域信号S32の伝送路を、第2の光伝送路120から第1の光伝送路に含まれる第1の光ファイバ112に変更する。
【0076】
このように、本実施形態の光伝送システム3000によれば、例えば、運用光信号が伝搬する複数の運用光ファイバのそれぞれに障害が発生した場合、各運用光ファイバを伝搬する波長帯域信号のうち優先度の設定が高い波長帯域信号を、予備(スペア)光ファイバに切り替えて伝搬させることが可能になる。
【0077】
この優先度は、複数の優先度レベル、例えば、低・中・高の3段階、または1、2、3、4、5の5段階等により定義される。そして、第1の光装置3111、3112は例えば、優先度レベルがより高い波長帯域信号を優先して、その伝送路を変更する構成とすることができる。これに限らず、第1の光装置3111、3112は、中程度の優先度レベルの波長帯域信号を優先して、その伝送路を変更することとしてもよい。このように、複数の波長帯域信号のうち、伝送路を変更する順番を優先度に基づいて定めることができる。
【0078】
本実施形態による光伝送システム3000においては、第2の光伝送路120には、優先度に基づいて決定された優先帯域信号S31およびS32だけが伝搬する。そのため、障害箇所101、102に対応する区間(第1の光装置3111と第2の光装置3120の間)であっても、優先帯域信号S31およびS32が占める波長帯域以外の波長帯域を、第2の光伝送路120における伝送信号帯域として用いることができる。その結果、波長帯域をさらに有効に利用しながら障害回復を図ることができる。
【0079】
ここで、複数の第1の光ファイバ111、112のそれぞれを伝搬する優先帯域信号S31、S32は、周波数軸上で互いに重複しない波長帯域をそれぞれ占有する構成とすることができる。すなわち、第1の波長多重光信号S311および第2の波長多重光信号S312において、例えば優先度が高い優先帯域信号S31およびS32を、周波数軸上で互いに重複しない波長帯域に割り当てることができる。これにより、複数の光伝送路において障害が発生した場合であっても、各光伝送路を伝搬する波長帯域信号のうち、優先度が高い波長帯域信号をそれぞれ伝送させることが可能となる。
【0080】
また、運用光信号が伝搬する複数の運用光ファイバに障害が発生した場合、各運用光ファイバを伝搬する波長多重光信号のうち優先度の設定が高い優先帯域信号を、他の運用光ファイバの波長帯域のうち優先度が低い低優先帯域に配置することとしてもよい。このような場合の光伝送システム3001の動作を、図9を用いて説明する。
【0081】
第1の光装置3111は、第1の光ファイバ111を伝搬する第1の波長多重光信号S311を構成する複数の第1の波長帯域信号のうち、例えば優先度が高い優先帯域信号S31A、S31Bの伝送路を別の第1の光ファイバ112に変更する。このとき、第1の光装置3111は、第1の光ファイバ112を伝搬する第2の波長多重光信号S312が占有する波長帯域のうち優先度が低い低優先帯域B12に、優先帯域信号S31A、S31Bを配置する。その結果、第1の光ファイバ112には、第1の光装置3112の前段において、第1の光ファイバ112を伝搬する第2の波長多重光信号S312に含まれる優先帯域信号S32A、S32Bに加えて、優先帯域信号S31A、S31Bが伝搬している。
【0082】
さらに、第1の光装置3112は、障害箇所102の前段において、優先帯域信号S31A、S31B、S32A、およびS32Bの伝送路を第2の光伝送路に変更する。ここで、第2の光伝送路は図9に示したように、複数の第2の光ファイバ121、122を含む場合について説明する。
【0083】
第1の光装置3112は、複数の第2の光ファイバ121、122のそれぞれを伝搬する第2の波長多重光信号を構成する複数の第2の波長帯域信号がそれぞれ占有する第2の波長帯域のうち、低優先帯域を決定する。このとき、第1の光装置3112は、複数の第2の波長帯域信号の優先度に基づいて、複数の第2の光ファイバ毎に低優先帯域を決定する。図9には、第1の光装置3112が、第2の光ファイバ121について低優先帯域B21を、第2の光ファイバ122について低優先帯域B22をそれぞれ決定した場合を例として示す。
【0084】
そして、第1の光装置3112は、波長帯域信号としての優先帯域信号を低優先帯域に配置する。図9に示した例では、第1の光装置3112は、優先帯域信号S31AおよびS32Bを第2の光ファイバ121の低優先帯域B21に配置し、優先帯域信号S31BおよびS32Aを第2の光ファイバ122の低優先帯域B22に配置する。このように、優先帯域信号S31A、S31B、S32A、およびS32Bを、伝送路の変更先である第2の光ファイバ121、122における低優先帯域B21、B22に最適化して配置することができる。なお、低優先帯域には、波長帯域信号によって占有されていない未使用帯域が含まれるものとする。
【0085】
一方、第2の光装置3120は、障害箇所101、102の後段において、波長帯域信号としての優先帯域信号の伝送路を、第2の光伝送路から第1の光伝送路に変更する。図9に示した例では、第2の光装置3120は、優先帯域信号S31A、S31Bの伝送路を、第2の光ファイバ121、122から元の第1の光ファイバ111に変更する。また、第2の光装置3120は、優先帯域信号S32A、S32Bの伝送路を、第2の光ファイバ121、122から元の第1の光ファイバ112に変更する。
【0086】
上述したように、本実施形態による光伝送システム3000、3001は、第1の光装置3111、3112が障害箇所101、102の前段において、優先帯域信号の伝送路を切り替える。その後に、第2の光装置3120が障害箇所101、102の後段において、元の伝送路に戻すように再度切り替える構成としている。そのため、障害箇所101、102を迂回することにより、優先帯域信号が端局装置において他の伝送路側に配置されることはない。その結果、第1の光ファイバ111、112および第2の光ファイバ121、122の利用者(ユーザ)が異なる場合であっても、ユーザのセキュリティを確保することができる。
【0087】
このように、光伝送システム3000、3001によれば、光伝送システムの安定した利用を損なうことなく障害回復を図ることができる。
【0088】
次に、本実施形態による光装置について説明する。本実施形態による光装置の構成は、図3に示した第1の実施形態による光装置1100の構成と同様である。
【0089】
すなわち、本実施形態による光装置は、第1の切替処理と第2の切替処理のいずれかを行う切替部1101、入力接続部1102、および出力接続部1103とを有する。入力接続部1102は、第1の光伝送路110と、第1の光伝送路110と同一経路の第2の光伝送路120のそれぞれを、切替部1101の入力側に接続する。出力接続部1103は、第1の光伝送路110と第2の光伝送路120のそれぞれを、切替部1101の出力側に接続する。
【0090】
ここで、第1の切替処理は、第1の光伝送路110における障害箇所の前段において、第1の光伝送路110を伝搬する波長帯域信号の伝送路を、第2の光伝送路120に変更する処理である。第2の切替処理は、障害箇所の後段において、波長帯域信号の伝送路を、第2の光伝送路120から第1の光伝送路に変更する処理である。
【0091】
本実施形態の光装置は制御部(制御手段)をさらに有する構成とした。この制御部は、第1の光伝送路110に含まれる複数の第1の光ファイバのそれぞれを伝搬する第1の波長多重光信号を構成する複数の第1の波長帯域信号のうち、複数の第1の光ファイバ毎に波長帯域信号としての優先帯域信号を決定する。このとき、制御部は複数の第1の波長帯域信号の優先度に基づいて、優先帯域信号を決定する。
【0092】
この場合、切替部1101は、第1の切替処理において、優先帯域信号のそれぞれの伝送路を第2の光伝送路120に変更する。
【0093】
ここで、複数の第1の光ファイバのそれぞれを伝搬する優先帯域信号は、周波数軸上で互いに重複しない波長帯域をそれぞれ占有する構成とすることができる。
【0094】
また、制御部(制御手段)は、複数の第2の波長帯域信号がそれぞれ占有する第2の波長帯域の中から低優先帯域を決定することとしてもよい。複数の第2の波長帯域信号は、第2の光伝送路120に含まれる複数の第2の光ファイバのそれぞれを伝搬する第2の波長多重光信号を構成している。このとき制御部は、複数の第2の波長帯域信号の優先度に基づいて、複数の第2の光ファイバ毎に低優先帯域を決定する。この場合、切替部1101は、第1の切替処理において、波長帯域信号を低優先帯域に配置する。なお、低優先帯域は、第2の波長帯域信号が占有していない未使用帯域を含むものとする。
【0095】
次に、本実施形態による光伝送方法について説明する。
【0096】
本実施形態による光伝送方法においては、まず、第1の光伝送路における障害箇所の前段において、第1の光伝送路を伝搬する波長帯域信号の伝送路を、第1の光伝送路と同一経路の第2の光伝送路に変更する。そして、障害箇所の後段において、波長帯域信号の伝送路を、第2の光伝送路から第1の光伝送路に変更する。
【0097】
本実施形態による光伝送方法においては、伝送路を第2の光伝送路に変更する処理に、以下の処理が含まれる。すなわち、複数の第1の波長帯域信号のうち、複数の第1の波長帯域信号の優先度に基づいて、複数の第1の光ファイバ毎に波長帯域信号としての優先帯域信号を決定し、優先帯域信号のそれぞれの伝送路を第2の光伝送路に変更する構成とした。ここで、複数の第1の波長帯域信号は、第1の光伝送路に含まれる複数の第1の光ファイバのそれぞれを伝搬する第1の波長多重光信号を構成している。
【0098】
この場合、複数の第1の光ファイバのそれぞれを伝搬する優先帯域信号は、周波数軸上で互いに重複しない波長帯域をそれぞれ占有する構成とすることができる。
【0099】
また、上述した伝送路を第2の光伝送路に変更する処理には、以下の処理が含まれることとしてもよい。すなわち、複数の第2の波長帯域信号がそれぞれ占有する第2の波長帯域のうち、複数の第2の波長帯域信号の優先度に基づいて複数の第2の光ファイバ毎に低優先帯域を決定し、波長帯域信号を低優先帯域に配置することとしてもよい。ここで、複数の第2の波長帯域信号は、第2の光伝送路に含まれる複数の第2の光ファイバのそれぞれを伝搬する第2の波長多重光信号を構成している。なお、低優先帯域には、第2の波長帯域信号が占有していない未使用帯域が含まれるものとする。
【0100】
以上説明したように、本実施形態の光伝送システム3000、3001、光装置、および光伝送方法によれば、光ケーブル内の光ファイバの一部において障害が発生した場合であっても、光伝送システムの安定した利用を損なうことなく、波長帯域を有効に利用しながら障害回復を図ることができる。
【0101】
上述した各実施形態において説明した光伝送システム、光装置、および光伝送方法を、光海底ケーブル伝送システムに用いることができる。ここで、光装置は、特定の波長の光信号を加える(アド)機能および取り出す(ドロップ)機能を備えた光アド/ドロップ多重装置(Optical Add Drop Multiplexer:OADM)とすることができる。
【0102】
上記実施形態において説明した第1の光装置および第2の光装置は、光海底ケーブル伝送システムにおいて対向する陸揚局(トランク局)間を結ぶ基幹区間(トランク区間)に配置された構成とすることができる。これに限らず、図10Aおよび図10Bに示すように、分岐局(ブランチ局)と結ぶ分岐区間(ブランチ区間)に光装置を配置した構成としてもよい。図10Aは、分岐区間に障害箇所400が存在する場合において、第1の光装置4110および第2の光装置4120が分岐局側に光信号を取り出す(ドロップ)動作の例を示す。また、図10Bは、分岐区間に障害箇所400が存在する場合において、第1の光装置4110および第2の光装置4120が分岐局側から光信号を加える(アド)動作の例を示す。
【0103】
また、上記実施形態における第1の光装置および第2の光装置の動作を、陸揚局の端局装置に備えられた光ネットワーク管理装置としてのシステム監視装置が制御する構成とすることができる。
【0104】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0105】
(付記1)第1の光伝送路における障害箇所の前段において、前記第1の光伝送路を伝搬する波長帯域信号の伝送路を、前記第1の光伝送路と同一経路の第2の光伝送路に変更する第1の光装置と、前記障害箇所の後段において、前記波長帯域信号の伝送路を、前記第2の光伝送路から前記第1の光伝送路に変更する第2の光装置、とを有する光伝送システム。
【0106】
(付記2)前記第1の光伝送路は、複数の第1の光ファイバを含み、前記第1の光装置は、前記複数の第1の光ファイバのうち、前記複数の第1の光ファイバの優先度に基づいて優先光ファイバを決定し、前記優先光ファイバを伝搬する前記波長帯域信号の伝送路を前記第2の光伝送路に変更する付記1に記載した光伝送システム。
【0107】
(付記3)前記第1の光装置は、前記第1の光伝送路を伝搬する第1の波長多重光信号を構成する複数の第1の波長帯域信号のうち、前記複数の第1の波長帯域信号の優先度に基づいて、前記波長帯域信号としての優先帯域信号を決定し、前記優先帯域信号の伝送路を前記第2の光伝送路に変更する付記1に記載した光伝送システム。
【0108】
(付記4)前記第1の光伝送路は、複数の第1の光ファイバを含み、前記第1の光装置は、前記複数の第1の光ファイバのそれぞれを伝搬する第1の波長多重光信号を構成する複数の第1の波長帯域信号のうち、前記複数の第1の波長帯域信号の優先度に基づいて、前記複数の第1の光ファイバ毎に前記波長帯域信号としての優先帯域信号を決定し、前記優先帯域信号のそれぞれの伝送路を前記第2の光伝送路に変更する付記1に記載した光伝送システム。
【0109】
(付記5)前記複数の第1の光ファイバのそれぞれを伝搬する前記優先帯域信号は、周波数軸上で互いに重複しない波長帯域をそれぞれ占有する付記4に記載した光伝送システム。
【0110】
(付記6)前記第2の光伝送路は、複数の第2の光ファイバを含み、前記第1の光装置は、前記複数の第2の光ファイバのうち、前記複数の第2の光ファイバの優先度に基づいて低優先光ファイバを決定し、前記波長帯域信号の伝送路を前記低優先光ファイバに変更する付記1から5のいずれか一項に記載した光伝送システム。
【0111】
(付記7)前記第1の光装置は、前記第2の光伝送路を伝搬する第2の波長多重光信号を構成する複数の第2の波長帯域信号がそれぞれ占有する第2の波長帯域のうち、前記複数の第2の波長帯域信号の優先度に基づいて低優先帯域を決定し、前記波長帯域信号を前記低優先帯域に配置する付記1から6のいずれか一項に記載した光伝送システム。
【0112】
(付記8)前記第2の光伝送路は、複数の第2の光ファイバを含み、前記第1の光装置は、前記複数の第2の光ファイバのそれぞれを伝搬する第2の波長多重光信号を構成する複数の第2の波長帯域信号がそれぞれ占有する第2の波長帯域のうち、前記複数の第2の波長帯域信号の優先度に基づいて、前記複数の第2の光ファイバ毎に低優先帯域を決定し、前記波長帯域信号を前記低優先帯域に配置する付記1から5のいずれか一項に記載した光伝送システム。
【0113】
(付記9)前記低優先帯域は、前記第2の波長帯域信号が占有していない未使用帯域を含む付記7または8に記載した光伝送システム。
【0114】
(付記10)第1の切替処理と第2の切替処理のいずれかを行う切替手段と、第1の光伝送路と、前記第1の光伝送路と同一経路の第2の光伝送路のそれぞれを、前記切替手段の入力側に接続する入力接続手段と、前記第1の光伝送路と前記第2の光伝送路のそれぞれを、前記切替手段の出力側に接続する出力接続手段、とを有し、前記第1の切替処理は、前記第1の光伝送路における障害箇所の前段において、前記第1の光伝送路を伝搬する波長帯域信号の伝送路を、前記第2の光伝送路に変更する処理であり、前記第2の切替処理は、前記障害箇所の後段において、前記波長帯域信号の伝送路を、前記第2の光伝送路から前記第1の光伝送路に変更する処理である光装置。
【0115】
(付記11)前記第1の光伝送路に含まれる複数の第1の光ファイバのうち、前記複数の第1の光ファイバの優先度に基づいて優先光ファイバを決定する制御手段をさらに有し、前記切替手段は、前記第1の切替処理において、前記優先光ファイバを伝搬する前記波長帯域信号の伝送路を前記第2の光伝送路に変更する付記10に記載した光装置。
【0116】
(付記12)前記第1の光伝送路を伝搬する第1の波長多重光信号を構成する複数の第1の波長帯域信号のうち、前記複数の第1の波長帯域信号の優先度に基づいて、前記波長帯域信号としての優先帯域信号を決定する制御手段をさらに有し、前記切替手段は、前記第1の切替処理において、前記優先帯域信号の伝送路を前記第2の光伝送路に変更する付記10に記載した光装置。
【0117】
(付記13)前記第1の光伝送路に含まれる複数の第1の光ファイバのそれぞれを伝搬する第1の波長多重光信号を構成する複数の第1の波長帯域信号のうち、前記複数の第1の波長帯域信号の優先度に基づいて、前記複数の第1の光ファイバ毎に前記波長帯域信号としての優先帯域信号を決定する制御手段をさらに有し、前記切替手段は、前記第1の切替処理において、前記優先帯域信号のそれぞれの伝送路を前記第2の光伝送路に変更する付記10に記載した光装置。
【0118】
(付記14)前記複数の第1の光ファイバのそれぞれを伝搬する前記優先帯域信号は、周波数軸上で互いに重複しない波長帯域をそれぞれ占有する付記13に記載した光装置。
【0119】
(付記15)前記第2の光伝送路に含まれる複数の第2の光ファイバのうち、前記複数の第2の光ファイバの優先度に基づいて低優先光ファイバを決定する制御手段をさらに有し、前記切替手段は、前記第1の切替処理において、前記波長帯域信号の伝送路を前記低優先光ファイバに変更する付記10から14のいずれか一項に記載した光装置。
【0120】
(付記16)前記第2の光伝送路を伝搬する第2の波長多重光信号を構成する複数の第2の波長帯域信号がそれぞれ占有する第2の波長帯域のうち、前記複数の第2の波長帯域信号の優先度に基づいて低優先帯域を決定する制御手段をさらに有し、前記切替手段は、前記第1の切替処理において、前記波長帯域信号を前記低優先帯域に配置する付記10から15のいずれか一項に記載した光装置。
【0121】
(付記17)前記第2の光伝送路に含まれる複数の第2の光ファイバのそれぞれを伝搬する第2の波長多重光信号を構成する複数の第2の波長帯域信号がそれぞれ占有する第2の波長帯域のうち、前記複数の第2の波長帯域信号の優先度に基づいて、前記複数の第2の光ファイバ毎に低優先帯域を決定する制御手段をさらに有し、前記切替手段は、前記第1の切替処理において、前記波長帯域信号を前記低優先帯域に配置する付記10から14のいずれか一項に記載した光装置。
【0122】
(付記18)前記低優先帯域は、前記第2の波長帯域信号が占有していない未使用帯域を含む付記16または17に記載した光装置。
【0123】
(付記19)第1の光伝送路における障害の発生を監視し、前記障害の発生を検知した場合、障害発生情報を生成する監視手段と、前記障害発生情報に基づいて、前記障害が発生した箇所の前段に位置する第1の光装置に対して、前記第1の光伝送路を伝搬する波長帯域信号の伝送路を、前記第1の光伝送路と同一経路の第2の光伝送路に変更するように指示し、前記障害が発生した箇所の後段に位置する第2の光装置に対して、前記波長帯域信号の伝送路を、前記第2の光伝送路から前記第1の光伝送路に変更するように指示する制御手段、とを有する光ネットワーク管理装置。
【0124】
(付記20)第1の光伝送路における障害箇所の前段において、前記第1の光伝送路を伝搬する波長帯域信号の伝送路を、前記第1の光伝送路と同一経路の第2の光伝送路に変更し、前記障害箇所の後段において、前記波長帯域信号の伝送路を、前記第2の光伝送路から前記第1の光伝送路に変更する光伝送方法。
【0125】
(付記21)前記伝送路を前記第2の光伝送路に変更することは、前記第1の光伝送路に含まれる複数の第1の光ファイバのうち、前記複数の第1の光ファイバの優先度に基づいて優先光ファイバを決定し、前記優先光ファイバを伝搬する前記波長帯域信号の伝送路を前記第2の光伝送路に変更することを含む付記20に記載した光伝送方法。
【0126】
(付記22)前記伝送路を前記第2の光伝送路に変更することは、前記第1の光伝送路を伝搬する第1の波長多重光信号を構成する複数の第1の波長帯域信号のうち、前記複数の第1の波長帯域信号の優先度に基づいて、前記波長帯域信号としての優先帯域信号を決定し、前記優先帯域信号の伝送路を前記第2の光伝送路に変更することを含む付記20に記載した光伝送方法。
【0127】
(付記23)前記伝送路を前記第2の光伝送路に変更することは、前記第1の光伝送路に含まれる複数の第1の光ファイバのそれぞれを伝搬する第1の波長多重光信号を構成する複数の第1の波長帯域信号のうち、前記複数の第1の波長帯域信号の優先度に基づいて、前記複数の第1の光ファイバ毎に前記波長帯域信号としての優先帯域信号を決定し、前記優先帯域信号のそれぞれの伝送路を前記第2の光伝送路に変更することを含む付記20に記載した光伝送方法。
【0128】
(付記24)前記複数の第1の光ファイバのそれぞれを伝搬する前記優先帯域信号は、周波数軸上で互いに重複しない波長帯域をそれぞれ占有する付記23に記載した光伝送方法。
【0129】
(付記25)前記伝送路を前記第2の光伝送路に変更することは、前記第2の光伝送路に含まれる複数の第2の光ファイバのうち、前記複数の第2の光ファイバの優先度に基づいて低優先光ファイバを決定し、前記波長帯域信号の伝送路を前記低優先光ファイバに変更することを含む付記20から24のいずれか一項に記載した光伝送方法。
【0130】
(付記26)前記伝送路を前記第2の光伝送路に変更することは、前記第2の光伝送路を伝搬する第2の波長多重光信号を構成する複数の第2の波長帯域信号がそれぞれ占有する第2の波長帯域のうち、前記複数の第2の波長帯域信号の優先度に基づいて低優先帯域を決定し、前記波長帯域信号を前記低優先帯域に配置することを含む付記20から25のいずれか一項に記載した光伝送方法。
【0131】
(付記27)前記伝送路を前記第2の光伝送路に変更することは、前記第2の光伝送路に含まれる複数の第2の光ファイバのそれぞれを伝搬する第2の波長多重光信号を構成する複数の第2の波長帯域信号がそれぞれ占有する第2の波長帯域のうち、前記複数の第2の波長帯域信号の優先度に基づいて、前記複数の第2の光ファイバ毎に低優先帯域を決定し、前記波長帯域信号を前記低優先帯域に配置することを含む付記20から24のいずれか一項に記載した光伝送方法。
【0132】
(付記28)前記低優先帯域は、前記第2の波長帯域信号が占有していない未使用帯域を含む付記26または27に記載した光伝送方法。
【0133】
(付記29)第1の波長多重光信号を第1の光伝送路を通して伝搬させ、第2の波長多重光信号を前記第1の光伝送路と同一経路の第2の光伝送路を通して伝搬させ、前記第1の光伝送路において障害が発生した場合、前記障害が発生した箇所の前段において、前記第2の波長多重光信号の伝搬を中止するとともに、前記第1の波長多重光信号を構成する波長帯域信号の伝送路を、前記第2の光伝送路に変更し、前記障害が発生した箇所の後段において、前記波長帯域信号の伝送路を、前記第2の光伝送路から前記第1の光伝送路に変更する光伝送方法。
【0134】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0135】
この出願は、2020年03月10日に出願された日本出願特願2020-041096を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0136】
1000、2000、2001、3000、3001 光伝送システム
1100 光装置
1101 切替部
1102 入力接続部
1103 出力接続部
1110、2110、3111、3112、4110 第1の光装置
1120、2120、3120、4120 第2の光装置
1200 光ネットワーク管理装置
1210 監視部
1220 制御部
100、101、102、400 障害箇所
110 第1の光伝送路
111、112 第1の光ファイバ
120 第2の光伝送路
121、122 第2の光ファイバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B