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  • 特許-荷物積込誘導システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】荷物積込誘導システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 61/00 20060101AFI20250304BHJP
   B65G 67/04 20060101ALI20250304BHJP
【FI】
B65G61/00 540
B65G67/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023150900
(22)【出願日】2023-09-19
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 真矢
(72)【発明者】
【氏名】下沢 智啓
(72)【発明者】
【氏名】水師 由佳
(72)【発明者】
【氏名】下中 淳史
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-142891(JP,A)
【文献】特開2013-043736(JP,A)
【文献】特開2019-167240(JP,A)
【文献】特開2020-172384(JP,A)
【文献】特開2021-080064(JP,A)
【文献】国際公開第2018/100631(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 61/00
B65G 67/00 - 67/62
B65G 1/00 - 1/20
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷室内における荷物の積込を誘導する荷物積込誘導システムであって、
荷室内に設置され、荷室の深度データを計測する深度センサと、
計測された前記深度データから荷室状態を推定する荷室状態推定部と、
推定された前記荷室状態に基づき、前記荷物のサイズを参照して、荷室内における前記荷物の置き場所を特定する特定部と、
前記荷室の天井に配置されたガイドレールと、
前記ガイドレールに沿って移動するスライダと、
前記スライダに設けられる発光ダイオードと、
前記荷室の内部に設置され、光を用いて前記荷室の出入口側から前記特定部により特定された前記置き場所に向かう方向を示す誘導装置と、
を備え、
前記誘導装置は、前記方向を示すように、前記発光ダイオードを発光させるとともに、前記スライダを前記ガイドレールに沿って移動制御する、
荷物積込誘導システム。
【請求項2】
計測された前記深度データから前記荷物のサイズを推定する荷物サイズ推定部をさらに備え、
前記特定部は、推定された前記荷物のサイズを参照して、前記置き場所を特定する、
請求項1に記載の荷物積込誘導システム。
【請求項3】
前記特定部は、配送順序の早い前記荷物の置き場所が配送順序の遅い前記荷物の置き場所よりも荷室の出入口側になるように特定する、
請求項1に記載の荷物積込誘導システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、荷物積込誘導システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両荷台に荷物を積み込む際、その積み込む位置は、荷物のサイズ、荷室内の状態を確認し、配送順や、荷室内の空スペースなどを考慮して決定することが一般的である。
【0003】
このような積み込み位置の決定は、運送システムや、熟練作業者のノウハウが活用される。また、荷室内に置かれた荷物の積み下ろしを行う場合も、荷物の置き場の位置は、運送システムや、作業者の記憶から取得する。
【0004】
例えば、特許文献1には、車両が備える荷室に取り付けられる荷物センサと、荷物センサの出力信号に基づいて、荷物を積載可能な空間である空スペースを検出する検出部と、荷物のサイズに基づいて、空スペースに荷物を積載可能であるか否かを判定する判定部、判定結果を出力する出力部と、を備えるシステムが開示されている。
【0005】
また、例えば、特許文献2には、荷積みの自動化を支援するシステムであって、移動体の側方に配置された深度センサと、深度センサの側方データに基づいて、荷物の所定面を検出する荷物検出部と、荷物の所定面のデータに基づいて、治具の所定面を特定し、特定したデータを用いて、治具の所定面を検出する治具検出部と、荷物の所定面と治具の所定面との距離を計算する距離算出部と、を備えるシステムが開示されている。さらに、算出された距離を運搬システムに送信し、運搬システムが送信された距離を用いて、荷台に荷物を荷積みする際に必要な各種制御、例えば、工場内に設置されたクレーンなどの制御を実行することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2021-42028号公報
【文献】特開2023-36125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、荷物の積み込み位置を決定する際に、運送システムを活用する場合、作業者は、システムが決定した積み込み位置や、荷物の位置を手元の端末などで確認する必要があり、作業性が低下する場合がある。
【0008】
また、熟練作業者ノウハウや記憶を活用する場合は、作業効率に個人差が生じるおそれがある。
【0009】
また、特許文献1に記載のシステムでは、荷物を積載可能であるか否かの判定結果を、ユーザインターフェースに出力する場合、荷物の積載位置を手元の端末などで確認する必要があり、荷役作業における作業効率が低下する場合がある。
【0010】
また、特許文献2に記載のシステムでは、荷物の移動に使われるクレーンなどの荷役機械を用いて荷積み作業を行う場合に適用することが可能であるが、荷役機械を用いないで、作業者が荷積み作業を行う場合に適用することは困難である。
【0011】
本開示の目的は、荷役作業における作業効率を高めることが可能な荷役積込誘導システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、本開示における荷物積込誘導システムは、
荷室内における荷物の積込を誘導する荷物積込誘導システムであって、
荷室内に設置され、荷室の深度データを計測する深度センサと、
計測された前記深度データから荷室状態を推定する荷室状態推定部と、
推定された前記荷室状態に基づき、前記荷物のサイズを参照して、荷室内における前記荷物の置き場所を特定する特定部と、
前記荷室の天井に配置されたガイドレールと、
前記ガイドレールに沿って移動するスライダと、
前記スライダに設けられる発光ダイオードと、
前記荷室の内部に設置され、光を用いて前記荷室の出入口側から前記特定部により特定された前記置き場所に向かう方向を示す誘導装置と、
を備え、
前記誘導装置は、前記方向を示すように、前記発光ダイオードを発光させるとともに、前記スライダを前記ガイドレールに沿って移動制御する
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、荷役作業における作業効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本開示の実施の形態における荷物積込誘導システムを機能的に示す機能ブロック図である。
図2図2は、本開示の実施の形態における荷物積込誘導システムが搭載された車両1を模式的に示す図である。
図3図3は、本開示の他の実施の形態における誘導装置を示す図である。
図4A図4Aは、車両を後方から見た車両の背面図である。
図4B図4Bは、車両を側方から見た車両の側面図である。
図5図5は、本開示の他の実施の態様における深度センサを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本開示の実施の形態における荷物積込誘導システムを機能的に示す機能ブロック図である。図1において、矢印は主なデータの流れを示しており、図1に示していないデータの流れがあってもよい。図1において、各機能ブロックは、ハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図1に示す機能ブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。機能ブロック間のデータの授受は、データバス、通信ネットワーク等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0016】
図2は、本開示の実施の形態における荷物積込誘導システム100が搭載された車両1を模式的に示す図である。荷物積込誘導システム100は、荷物が車両の荷室内の適切な場所に置かれるように、作業者(作業者がドライバーである場合、ドライバー)を誘導するシステムである。なお、車両1は、例えば、荷物としての配送物が積み込まれる配送車や、荷物としての貨物が積み込まれる貨物自動車であるが、これらの車両に限定するものではない。
【0017】
図1に示すように、荷物積込誘導システム100は、深度センサ10と、記憶部20と、制御装置30と、誘導装置40と、を備える。
【0018】
(深度センサ10)
深度センサ10は、荷室2内に配置されている。深度センサ10は、例えば、荷室2の天井3における車両後側端に配置されている。深度センサ10は、配置された位置から荷室2内を撮影する。具体的には、深度センサ10は、荷物LDを積み込むに際し、荷室2の出入り口の付近位置(図2に示す車両後側端部の位置)に仮置きされた荷物LDを撮影し、撮影した画像データである荷物深度画像データを制御装置30に出力する。また、深度センサ10は、荷室状態を撮影し、撮影した画像データである荷室状態深度画像データを制御装置30に出力する。
【0019】
以下の説明で、荷室2の内部空間において、荷物LDの置き場所として制限されるスペースを「使用制限スペース」という。また、荷物LDの置き場所として制限されていないスペースを「使用可能スペース」という。
【0020】
(記憶部20)
記憶部20は、制御装置30を実現するコンピュータのBIOS(Basic Input Output System)等を格納するROM(Read Only Memory)や制御装置30の作業領域となるRAM(Random Access Memory)、OS(Operating System)やアプリケーションプログラム、当該アプリケーションプログラムの実行時に参照される種々の情報、各種のマップを格納するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記憶装置である。なお、制御装置30は、車両内に設置され、車両に装備される機器やシステムを制御する他の一または複数の車載ECU(Electronic Control Unit)と一体または別体に構成されている。一方、制御装置30は、車両外に設置され、深度センサ10および誘導装置40と通信ネットワークを介して接続されてもよい。
【0021】
(制御部31)
制御部31は、制御装置30のCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部20記憶されたプログラムを実行することによって、荷物サイズ推定部32、荷室状態推定部33、および、特定部34として機能する。なお、図1は、制御装置30が単一の装置で構成されている場合の例を示している。しかしながら、制御装置30は、例えば複数のプロセッサやメモリ等の計算リソースによって実現されてもよい。この場合、制御部31を構成する各部は、複数の異なるプロセッサの中の少なくともいずれかのプロセッサがプログラムを実行することによって実現される。
【0022】
荷物サイズ推定部32は、荷物深度画像データに基づいて、公知の方法(例えば、特開2023-37107号公報に記載された方法)を用いて、荷物LDのサイズ(幅、奥行き、高さ)を推定する。
【0023】
荷室状態推定部33は、荷室状態深度画像データに基づいて、同じく、公知の方法を用いて、荷室の内部空間における使用制限スペースおよび使用可能スペースを推定する。
【0024】
特定部34は、荷室状態推定部33により推定された使用可能スペースに基づいて、荷物サイズ推定部32により推定された荷物LDのサイズを参照して、荷室内における荷物LDの置き場所を特定する。なお、荷物LDのサイズが既知である場合、特定部34は、既知のサイズを参照して、荷室内における荷物の置き場所を特定してもよい。
【0025】
なお、複数の場所の中から最適な置き場所を特定する場合、特定部34は、熟練作業者のノウハウを参照して、複数のノウハウがある場合、その優先順位に基づいて、置き場所を特定する。例えば、特定部34は、配送順が早い荷物である場合、出入り口から遠い方よりも出入り口に近い方を置き場所として特定する。また、特定部34は、通常よりも高さのある荷物である場合、荷室内壁から遠い方よりも荷室内壁に近い方を置き場所として特定する。
【0026】
記憶部20は、荷室内における荷物の置き場所を記憶する。また、記憶部20は、当該置き場所に載置される荷物の識別情報を、当該荷物の置き場所と対応づけて記憶する。
【0027】
(誘導装置40)
誘導装置40は、複数の発光ダイオード41を有している。複数の発光ダイオード41のそれぞれは、車両前後方向に所定の間隔で並ぶように、荷室2の天井3に配置されている。
【0028】
誘導装置40は、特定部34により特定され、記憶部20に記憶された置き場所を示す。以下の説明で、「置き場所」を「誘導したい場所」という場合がある。誘導装置40は、例えば、置き場所(誘導したい場所)に対応する発光ダイオード41のみを発光させる。なお、誘導装置40は、荷室2の出入口側から置き場所に向かう方向を示してもよい。例えば、誘導装置40は、出入り口側から置き場所に向かって光が流れるように発光ダイオード41を発光させてもよい(図2を参照)。この場合、誘導装置40は、複数の中の二以上の発光ダイオード41を所定の順番で発光させる。また、誘導装置40は、音(例えば、音声によるアナウンス)を用いて方向(荷室2の出入口側から置き場所に向かう方向)を示してもよい。
【0029】
(他の実施の形態における誘導装置40)
次に、本開示の他の実施の形態における誘導装置40について図3を参照して説明する。図3は、本開示の他の実施の形態における誘導装置40を示す図である。図3に示す誘導装置40は、例えば6個の発光ダイオード41を有し、荷室内側壁に配置されている。図3に示す荷室2は、例えば、車両前後方向に3つ、車両幅方向で2つの合計で6つの領域FR,FL,MR,MK,BR,BLに区分けされている。6個の発光ダイオード41のそれぞれは、6つの領域FR,FL,MR,MK,BR,BLのそれぞれに対応して配置されている。そして、誘導装置40は、置き場所に対応する発光ダイオード41のみを発光させる。例えば、置き場所が領域MRである場合、領域MRに対応した配置された発光ダイオード41のみを発光させる(図3を参照)。
【0030】
(他の実施の形態における誘導装置40)
次に、本開示の他の実施の形態における誘導装置40について説明する。荷室2の天井3には、車両前後方向に延在するガイドレール(不図示)が配置されるとともに、ガイドレールに沿って移動するスライダ(不図示)が配置され、さらに、スライダに発光ダイオード(不図示)が設けられている。誘導装置40は、発光ダイオードを発光させるとともに、スライダを介して発光ダイオードを、ガイドレールの車両後側端部の位置から車両前側へ移動制御する。これにより、1台または少数の発光ダイオードで、出入り口側から置き場所に向かう方向を示すことが可能となる。なお、複数の発光ダイオードを天井3における出入り口側から車両前側に向かって所定の間隔で並設し、出入り口側から置き場所に向かって光が流れるように、複数の発光ダイオードのそれぞれを発光させてもよい。
【0031】
(他の実施の形態における誘導装置40)
次に、本開示の他の実施の形態における誘導装置40について図4Aおよび図4Bを参照して説明する。図4Aは、車両を後方から見た車両の背面図である。図4Bは、車両を側方から見た車両の側面図である。図4Aおよび図4Bに、置き場所(誘導したい場所)を破線で示す。誘導装置40は、荷室内側壁に配置されたレーザポインタ照射部45を有する。また、レーザポインタ照射部45は、天井におけるいずれの位置も照射できるように首振り機能を有している。これにより、天井における置き場所(誘導したい場所)の位置に対応する位置を正確に照射することができるため、作業者を正確な置き場所に誘導することができ、荷役作業における作業効率をさらに高めることが可能となる。また、1台のレーザポインタ照射部45で、天井の全範囲を照射することが可能となる。
【0032】
なお、レーザポインタ照射部45は、荷室内壁における車両前後方向の中央位置、換言すれば、荷室内壁における車両前側端または車両後側端から中央位置までの距離が車両前後方向の全長L/2であって、天井から車両下側に所定距離Hだけ離れた位置に配置されている。なお、レーザポインタ照射部45が中央位置に配置される理由は、置き場所とポインタが離れると、レーザ光と天井のなす角は鋭角になり、凸状の構造物(例えば、梁)に邪魔されます.凸状の構造物を回避するためにポインタ位置を下げる(Hを増やす)と、ポインタが荷物に当たりやすくなります。よって、Hを最小限に抑えるために、置き場所とポインタは近い方が良く、中央配置が最適となりためである。また、レーザポインタ照射部45が天井から車両下側に所定距離Hだけ離れた位置に配置される理由は、レーザポインタ照射部45が天井近傍に配置された場合、天井に配置され、車両下側に突出する凸状の構造物にレーザ光が当たって、照射すべき位置を照射できない事態を回避するためである。なお、上記実施の形態では、誘導装置40としてレーザポインタ照射部45を示したが、プロジェクタであってもよい。
【0033】
上記実施の形態における荷物積込誘導システムは、荷室内における荷物の積込を誘導する荷物積込誘導システムであって、荷室内に設置され、荷室の深度データを計測する深度センサ10と、計測された前記深度データから荷室状態を推定する荷室状態推定部33と、推定された荷室状態に基づき、荷物のサイズを参照して、荷室内における荷物の置き場所を特定する特定部34と、荷室の内部に設置され、特定部34により特定された置き場所を示す誘導装置40と、を備える。
【0034】
上記の構成により、誘導装置40が作業者を置き場所に誘導するため、作業者が手元の端末などで確認する必要がなく、荷役作業における作業効率を高めることが可能となる。
【0035】
また、上記実施の形態における荷物積込誘導システムでは、誘導装置40は、荷室の出入口側から置き場所に向かう方向を示す。これにより、作業者が荷物を移動させる方向を認識することができるため、荷役作業における作業効率を高めることが可能となる。
【0036】
また、上記実施の形態における荷物積込誘導システムでは、誘導装置40は、光または音を用いて、荷室の出入口側から置き場所に向かう方向を示す。光や、音を用いて方向を示すため、作業者が手元の端末などで置き場所を確認する必要がなく、荷役作業における作業効率を高めることが可能となる。
【0037】
また、上記実施の形態における荷物積込誘導システムでは、誘導装置40は、荷室の天井に配置された複数の発光ダイオード41を有し、誘導装置40は、荷室の出入口側から置き場所に向かう方向を示すように、複数の中の二以上の発光ダイオード41を所定の順番で発光させる。発光ダイオード41が天井に配置されていことで、発光ダイオード41から作業者に届けられる光が、荷室内に積み込まれる荷物によって遮断され難くなるため、作業者が置き場所の方向を確実に視認することが可能となる。
【0038】
また、上記実施の形態における荷物積込誘導システムでは、計測された深度データから荷物のサイズを推定する荷物サイズ推定部32をさらに備え、特定部34は、推定された荷物サイズを参照して、置き場所を特定する。これにより、荷物サイズが予め定められてなくても、荷役作業を支障なく、行うことができるため、荷役作業における作業効率の低下を抑えることが可能となる。
【0039】
また、上記実施の形態における荷物積込誘導システムでは、特定部34は、配送順序の早い荷物の置き場所が配送順序の遅い荷物の置き場所よりも荷室の出入口側になるように特定する。これにより、荷役作業の初心者であっても、熟練作業者のノウハウを容易に活用することが可能となる。
【0040】
なお、上記実施の形態における荷物積込誘導システムでは、誘導装置40は、荷室内に荷物を積み込む場合、荷室内における当該荷物の置き場所を示したが、本開示は、これに限らず、誘導装置40は、荷室内に置かれた荷物の積下ろしを行う場合、荷室内における当該荷物の置き場所を示してもよい。この場合、例えば、制御装置30は、荷物の識別情報に対応付けて記憶された置き場所を、記憶部20から読み出し、誘導装置40は、読み出された置き場所に基づいて、置き場所を示す。これにより、荷物の積み込み、および、荷物の積み下ろし作業を一つのシステムを用いて支援することが可能となる。
【0041】
(他の実施の態様における深度センサ)
次に、本開示の他の実施の態様における深度センサ10について図5を参照して説明する。図5は、他の実施の態様における深度センサ10を模式的に示す図である。なお、図5では、誘導装置を省略して示す。
【0042】
荷室2の天井3には、車両前後方向に延在するガイドレール4が配置されるとともに、ガイドレール4に沿って移動するスライダ5が配置され、さらに、スライダ5に1台のステレオカメラ10A(深度センサ)および制御装置30が取り付けられている。ステレオカメラ10Aで荷室内を撮影し、撮影した荷室内の画像データである荷物深度画像データおよび荷室状態深度画像データを制御装置30に出力する。これにより、1台のステレオカメラ10Aの位置を車両前後方向に所定の距離ずらしながら荷室内の全範囲を撮影することが可能となる。
【0043】
その他、上記実施の形態は、何れも本開示の実施をするにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本開示の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本開示はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本開示は、荷役作業における作業効率を高めることが要求される荷物積込システムを備えた車両に好適に利用される。
【符号の説明】
【0045】
1 車両
2 荷室
3 天井
4 ガイドレール
5 スライダ
10 深度センサ
10A ステレオカメラ
20 記憶部
30 制御装置
31 制御部
32 荷物サイズ推定部
33 荷室状態推定部
34 特定部
40 誘導装置
41 発光ダイオード
45 レーザポインタ照射部
100 荷物積込誘導システム
【要約】
【課題】荷役作業における作業効率を高めることが可能な荷役誘導システムを提供する。
【解決手段】荷物積込誘導システムは、荷室内における荷物の積込を誘導する荷物積込誘導システムであって、荷室内に設置され、荷室の深度データを計測する深度センサと、計測された深度データから荷室状態を推定する荷室状態推定部と、推定された荷室状態に基づき、荷物のサイズを参照して、荷室内における荷物の置き場所を特定する特定部と、荷室の内部に設置され、特定部により特定された置き場所を示す誘導装置と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5