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特許7643545ストレス要因推定装置、ストレス要因推定方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】ストレス要因推定装置、ストレス要因推定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/16 20060101AFI20250304BHJP
【FI】
A61B5/16 110
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023525213
(86)(22)【出願日】2021-06-01
(86)【国際出願番号】 JP2021020837
(87)【国際公開番号】W WO2022254575
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-11-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】北出 祐
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-011892(JP,A)
【文献】特開2018-011721(JP,A)
【文献】国際公開第2019/159252(WO,A1)
【文献】特表2005-521506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06 - 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の第1期間における第1慢性ストレス値と、前記対象者の第2期間における第2慢性ストレス値とを取得する慢性ストレス取得手段と、
前記第1慢性ストレス値と前記第2慢性ストレス値の差分と、前記第1期間又は前記第2期間のいずれかのみに発生したイベントの種類及び前記第1期間又は前記第2期間のいずれに前記イベントが発生したかを示す符号とを表す差分情報を取得する差分取得手段と、
前記差分情報に基づき、前記対象者の慢性ストレスに関するストレス要因を推定するストレス要因推定手段と、
を有するストレス要因推定装置。
【請求項2】
前記対象者の短期ストレス値を取得する短期ストレス取得手段をさらに有し、
前記差分取得手段は、前記第1期間と前記第2期間とで重複しない期間に発生したイベントであって、前記短期ストレス値又は短期ストレス値の増加量が閾値以上となるイベントについての前記種類及び前記符号を表す前記差分情報を生成する、請求項1に記載のストレス要因推定装置。
【請求項3】
前記ストレス要因推定手段は、前記ストレス要因として、前記対象者の慢性ストレス値が増加するストレス増加要因を少なくとも推定する、請求項1または2に記載のストレス要因推定装置。
【請求項4】
前記ストレス要因推定手段は、前記ストレス要因として、前記対象者の慢性ストレス値が減少するストレス解消要因を少なくとも推定する、請求項1~3のいずれか一項に記載のストレス要因推定装置。
【請求項5】
前記差分取得手段は、前記第1期間と前記第2期間とで重複しない期間に発生したイベントを前記対象者に関するイベント情報から取得し、前記イベントのうち前記対象者の短期ストレス値が閾値以上減少したイベントを特定し、特定した前記イベントについての前記種類及び前記符号を表す前記差分情報を生成する、請求項4に記載のストレス要因推定装置。
【請求項6】
前記ストレス要因推定手段は、前記ストレス要因として、前記イベントの種類、前記イベントが行われる場所、前記イベントに参加した人物、前記イベントが行われる時間帯の少なくともいずれかを推定する、請求項1~5のいずれか一項に記載のストレス要因推定装置。
【請求項7】
前記ストレス要因推定手段が推定した前記ストレス要因に関する情報を出力装置に出力させる制御を行う通知手段をさらに有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のストレス要因推定装置。
【請求項8】
前記ストレス要因推定手段が推定した前記ストレス要因に該当するイベントが発生したか否か判定するイベント判定手段と、
前記イベント判定手段による判定結果に基づく情報を出力装置に出力させる通知手段と、をさらに有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のストレス要因推定装置。
【請求項9】
前記通知手段は、前記ストレス要因に該当するイベントが発生し、かつ、当該イベントにおいて前記対象者の短期ストレス値又は前記短期ストレス値の増加量が閾値以上となる場合に、ストレス解消を促す情報を前記出力装置に出力させる、請求項8に記載のストレス要因推定装置。
【請求項10】
コンピュータが、
対象者の第1期間における第1慢性ストレス値と、前記対象者の第2期間における第2慢性ストレス値とを取得し、
前記第1慢性ストレス値と前記第2慢性ストレス値の差分と、前記第1期間又は前記第2期間のいずれかのみに発生したイベントの種類及び前記第1期間又は前記第2期間のいずれに前記イベントが発生したかを示す符号とを表す差分情報を取得し、
前記差分情報に基づき、前記対象者の慢性ストレスに関するストレス要因を推定する、
ストレス要因推定方法。
【請求項11】
対象者の第1期間における第1慢性ストレス値と、前記対象者の第2期間における第2慢性ストレス値とを取得し、
前記第1慢性ストレス値と前記第2慢性ストレス値の差分と、前記第1期間又は前記第2期間のいずれかのみに発生したイベントの種類及び前記第1期間又は前記第2期間のいずれに前記イベントが発生したかを示す符号とを表す差分情報を取得し、
前記差分情報に基づき、前記対象者の慢性ストレスに関するストレス要因を推定する処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ストレス要因の推定に関する処理を行うストレス要因推定装置、ストレス要因推定方法及び記憶媒体の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
対象者から測定したデータに基づき対象者のストレス状態を判定する装置又はシステムが知られている。例えば、特許文献1には、対象者の検査データに基づき、各日の対象者の一時的ストレス度を判定する携帯用ストレス測定装置が開示されている。また、特許文献2には、スケジュール情報に基づき慢性ストレスを推定するストレス推定手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-275287号公報
【文献】特開2018-011721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、短期的なストレスの一部が慢性化するため、慢性ストレスに繋がるストレス要因を特定することはストレスの慢性化の予防及び改善にとって重要な要素となる。一方、特許文献1及び特許文献2には、慢性ストレスの要因を特定する具体的な手法については開示していない。
【0005】
本開示は、上述した課題を鑑み、ストレス要因を的確に推定することが可能なストレス要因推定装置、ストレス要因推定方法及び記憶媒体を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ストレス要因推定装置の一の態様は、
対象者の第1期間における第1慢性ストレス値と、前記対象者の第2期間における第2慢性ストレス値とを取得する慢性ストレス取得手段と、
前記第1慢性ストレス値と前記第2慢性ストレス値の差分と、前記第1期間又は前記第2期間のいずれかのみに発生したイベントの種類及び前記第1期間又は前記第2期間のいずれに前記イベントが発生したかを示す符号とを表す差分情報を取得する差分取得手段と、
前記差分情報に基づき、前記対象者の慢性ストレスに関するストレス要因を推定するストレス要因推定手段と、
を有するストレス要因推定装置である。
【0007】
ストレス要因推定方法の一の態様は、
コンピュータが、
対象者の第1期間における第1慢性ストレス値と、前記対象者の第2期間における第2慢性ストレス値とを取得し、
前記第1慢性ストレス値と前記第2慢性ストレス値の差分と、前記第1期間又は前記第2期間のいずれかのみに発生したイベントの種類及び前記第1期間又は前記第2期間のいずれに前記イベントが発生したかを示す符号とを表す差分情報を取得し、
前記差分情報に基づき、前記対象者の慢性ストレスに関するストレス要因を推定する、
ストレス要因推定方法である。なお、「コンピュータ」は、あらゆる電子機器(電子機器に含まれるプロセッサであってもよい)を含み、かつ、複数の電子機器により構成されてもよい。
【0008】
プログラムの一の態様は、
対象者の第1期間における第1慢性ストレス値と、前記対象者の第2期間における第2慢性ストレス値とを取得し、
前記第1慢性ストレス値と前記第2慢性ストレス値の差分と、前記第1期間又は前記第2期間のいずれかのみに発生したイベントの種類及び前記第1期間又は前記第2期間のいずれに前記イベントが発生したかを示す符号とを表す差分情報を取得し、
前記差分情報に基づき、前記対象者の慢性ストレスに関するストレス要因を推定する処理をコンピュータに実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、対象者のストレス要因を的確に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係るストレス管理システムの概略構成を示す。
図2】各実施形態に共通するストレス要因推定装置のハードウェア構成の一例を示す。
図3】第1実施形態に係るストレス要因推定装置の機能ブロックの一例である。
図4】差分情報の生成の具体例を表す図である。
図5】第1実施形態においてストレス要因推定装置が実行するフローチャートの一例である。
図6】第2実施形態において高ストレスイベント通知処理に関するストレス要因推定装置の機能ブロック図の一例である。
図7】第2実施形態における高ストレスイベント通知処理の手順を示すフローチャートの一例である。
図8】第3実施形態におけるストレス管理システムの概略構成を示す。
図9】第4実施形態におけるストレス要因推定装置のブロック図である。
図10】第4実施形態においてストレス要因推定装置が実行するフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、ストレス要因推定装置、ストレス要因推定方法及び記憶媒体の実施形態について説明する。
【0012】
<第1実施形態>
(1)システム構成
図1は、第1実施形態に係るストレス管理システム100の概略構成を示す。ストレス管理システム100は、対象者のストレスに関する情報の管理を行う。ここで、「対象者」は、組織によりストレス状態の管理が行われるスポーツ選手又は従業員であってもよく、個人のユーザであってもよい。
【0013】
ストレス管理システム100は、主に、ストレス要因推定装置1と、入力装置2と、出力装置3と、記憶装置4と、センサ5とを備える。
【0014】
ストレス要因推定装置1は、対象者のストレス要因を推定し、その推定結果の提示を行う。ストレス要因推定装置1は、通信網を介し、又は、無線若しくは有線による直接通信により、入力装置2、出力装置3、及びセンサ5とデータ通信を行う。例えば、ストレス要因推定装置1は、入力装置2から供給される入力信号「S1」、センサ5から供給されるセンサ信号「S3」、及び記憶装置4に記憶された種々の情報を受信する。
【0015】
本実施形態において、ストレス要因推定装置1は、対象者を観測(測定)した情報であって、センサ信号S3に基づく情報(「観測情報」とも呼ぶ。)を用いて対象者のストレス状態(具体的には、ストレスの度合いを表すストレス値)の推定を行う。そして、ストレス要因推定装置1は、推定したストレス値と、ストレスを推定する対象期間において発生したイベントに関するイベント情報と、に基づいて、ストレス要因の推定を行う。ストレス要因推定装置1は、対象者のストレス要因の推定結果等に基づき出力制御信号「S2」を生成し、生成した出力制御信号S2を出力装置3に供給する。なお、本実施形態において、ストレス要因推定装置1は、比較的短期(数分~数日程度)におけるストレスである短期ストレスの度合いを表す短期ストレス値と、短期ストレスよりも長い(例えば数日から週又は月単位)長期(慢性)的な観点でのストレスである慢性ストレスの度合いを表す慢性ストレス値とを夫々算出する。以後では、慢性ストレス値の推定において対象者の状態が慢性ストレス値に反映される期間(即ち、上述した数日から週又は月単位の期間)を、「ストレス反映期間」とも呼ぶ。
【0016】
入力装置2は、各対象者に関する情報の外部入力(手入力)を受け付けるインターフェースである。なお、入力装置2を用いて情報の入力を行うユーザは、対象者本人であってもよく、対象者の活動を管理又は監督する者であってもよい。入力装置2は、例えば、タッチパネル、ボタン、キーボード、マウス、音声入力装置などの種々の外部入力用インターフェースであってもよい。入力装置2は、ユーザの入力に基づき生成した入力信号S1を、ストレス要因推定装置1へ供給する。出力装置3は、ストレス要因推定装置1から供給される出力制御信号S2に基づき、所定の情報を表示又は/及び音出力する。出力装置3は、例えば、ディスプレイ、仮想(拡張)現実端末又はプロジェクタ等の出力装置、スピーカなどの音出力装置を含む。
【0017】
センサ5は、対象者の生体信号等を測定し、測定した生体信号等を、センサ信号S3としてストレス要因推定装置1へ供給する。この場合、センサ信号S3は、対象者の心拍、脳波、脈波、発汗量、ホルモン分泌量、脳血流、血圧、体温、筋電、呼吸数、加速度などの任意の生体信号(バイタル情報を含む)であってもよい。また、センサ5は、対象者から採取された血液を分析し、その分析結果を示すセンサ信号S3を出力する装置であってもよい。また、センサ5は、対象者が装着するウェアラブル端末であってもよく、対象者を撮影するカメラ又は対象者の発話の音声信号を生成するマイク等であってもよく、対象者が操作するパーソナルコンピュータやスマートフォンなどの端末であってもよい。例えば、上述のウェアラブル端末は、GNSS(global navigation satellite system)受信機、加速度センサ、その他生体信号を検出する任意のセンサを含んでおり、これらの各センサの出力信号をセンサ信号S3として出力する。また、センサ5は、パーソナルコンピュータやスマートフォンなどの操作量に相当する情報をセンサ信号S3としてストレス要因推定装置1に供給してもよい。また、センサ5は、対象者の睡眠中に対象者から生体データ(睡眠時間を含む)を表すセンサ信号S3を出力するものであってもよい。
【0018】
記憶装置4は、ストレス状態の推定等に必要な各種情報を記憶するメモリである。記憶装置4は、ストレス要因推定装置1に接続又は内蔵されたハードディスクなどの外部記憶装置であってもよく、フラッシュメモリなどの記憶媒体であってもよい。また、記憶装置4は、ストレス要因推定装置1とデータ通信を行うサーバ装置であってもよい。また、記憶装置4は、複数の装置から構成されてもよい。
【0019】
記憶装置4は、観測情報記憶部40と、イベント情報記憶部41と、差分情報記憶部42と、ストレス要因情報記憶部43とを有している。
【0020】
観測情報記憶部40は、センサ信号S3に基づく客観的な対象者の情報である観測情報を記憶する。ここで、センサ信号S3そのものが観測情報として扱われてもよく、センサ信号S3に基づき算出される特徴量(画像又は音声データから解析される表情、感情などを表す指標を含む)が観測情報として扱われてもよい。また、観測情報は、入力信号S1に基づくアンケート情報又は当該情報に基づく性格等の診断結果を含んでもよい。観測情報は、例えば、観測対象となる対象者の識別情報(対象者ID)及び観測された日時情報等とが紐付けられて観測情報記憶部40に記憶される。
【0021】
イベント情報記憶部41は、対象者に関するイベント情報を記憶する。イベント情報は、例えば、イベントの内容及びイベントが行われる日時(時間帯)に関する情報を少なくとも含む。なお、イベント情報記憶部41は、対象者のスケジュールを管理するシステムにより構成されてもよく、当該システムから取得された対象者のスケジュール情報をイベント情報として記憶するものであってもよい。
【0022】
差分情報記憶部42は、ストレス要因推定装置1が算出する差分情報を記憶する。差分情報は、ストレス反映期間が異なる慢性ストレス値の差分値及びこれらのストレス反映期間でのイベントの差異に関する情報であり、ストレス要因の推定に用いられる情報となる。差分情報の詳細は後述する。差分情報は、例えば、対象者の識別情報と紐付けられて差分情報記憶部42に記憶される。
【0023】
ストレス要因情報記憶部43は、ストレス要因推定装置1が推定した対象者のストレス要因(詳しくは慢性ストレスの要因)を表すストレス要因情報を記憶する。ストレス要因は、例えば、イベントの種類、イベントの時間帯、イベントに一緒に参加した人物、イベントの場所又はこれらの組み合わせにより特定される。ストレス要因情報は、例えば、対象者の識別情報と紐づけられてストレス要因情報記憶部43に記憶される。
【0024】
なお、図1に示すストレス管理システム100の構成は一例であり、当該構成に種々の変更が行われてもよい。例えば、入力装置2及び出力装置3は、一体となって構成されてもよい。この場合、入力装置2及び出力装置3は、ストレス要因推定装置1と一体又は別体となるタブレット型端末として構成されてもよい。また、入力装置2とセンサ5とは、一体となって構成されてもよい。また、ストレス要因推定装置1は、複数の装置から構成されてもよい。この場合、ストレス要因推定装置1を構成する複数の装置は、予め割り当てられた処理を実行するために必要な情報の授受を、これらの複数の装置間において行う。この場合、ストレス要因推定装置1は、情報処理システムとして機能する。
【0025】
(2)ストレス要因推定装置のハードウェア構成
図2は、ストレス要因推定装置1のハードウェア構成を示す。ストレス要因推定装置1は、ハードウェアとして、プロセッサ11と、メモリ12と、インターフェース13とを含む。プロセッサ11、メモリ12及びインターフェース13は、データバス90を介して接続されている。
【0026】
プロセッサ11は、メモリ12に記憶されているプログラムを実行することにより、ストレス要因推定装置1の全体の制御を行うコントローラ(演算装置)として機能する。プロセッサ11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、TPU(Tensor Processing Unit)などのプロセッサである。プロセッサ11は、複数のプロセッサから構成されてもよい。プロセッサ11は、コンピュータの一例である。
【0027】
メモリ12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリなどの各種の揮発性メモリ及び不揮発性メモリにより構成される。また、メモリ12には、ストレス要因推定装置1が実行する処理を実行するためのプログラムが記憶される。なお、メモリ12が記憶する情報の一部は、ストレス要因推定装置1と通信可能な1又は複数の外部記憶装置により記憶されてもよく、ストレス要因推定装置1に対して着脱自在な記憶媒体により記憶されてもよい。
【0028】
インターフェース13は、ストレス要因推定装置1と他の装置とを電気的に接続するためのインターフェースである。これらのインターフェースは、他の装置とデータの送受信を無線により行うためのネットワークアダプタなどのワイアレスインタフェースであってもよく、他の装置とケーブル等により接続するためのハードウェアインターフェースであってもよい。
【0029】
なお、ストレス要因推定装置1のハードウェア構成は、図2に示す構成に限定されない。例えば、ストレス要因推定装置1は、入力装置2又は出力装置3の少なくとも一方を含んでもよい。また、ストレス要因推定装置1は、スピーカなどの音出力装置と接続又は内蔵してもよい。
【0030】
(3)ストレス要因推定処理
次に、ストレス要因推定装置1が実行するストレス要因推定処理について説明する。概略的には、ストレス要因推定装置1は、ストレス反映期間が異なる慢性ストレス値の差分、及び、イベントの差異を表す差分情報を生成し、この差分情報に基づきストレス要因を推定する。これにより、ストレス要因推定装置1は、対象者のストレス要因を高精度に推定し、その推定結果を提示する。
【0031】
(3-1)機能ブロック
図3は、ストレス要因推定装置1の機能ブロックの一例である。ストレス要因推定装置1のプロセッサ11は、機能的には、観測情報取得部14と、短期ストレス推定部15と、慢性ストレス推定部16と、差分取得部17と、ストレス要因推定部18と、通知部19とを有する。なお、図3では、データの授受が行われるブロック同士を実線により結んでいるが、データの授受が行われるブロックの組合せは図3に限定されない。後述する他の機能ブロックの図においても同様である。
【0032】
観測情報取得部14は、センサ信号S3に基づき、対象者の観測情報を取得し、取得した観測情報を観測情報記憶部40に記憶する。この場合、上述したように、観測情報取得部14は、センサ信号S3を観測情報として取得してもよく、センサ信号S3に基づき算出される特徴量(画像又は音声データから解析される表情、感情などを表す指標を含む)を観測情報として取得してもよい。なお、観測情報取得部14は、入力信号S1に基づくアンケート情報又は当該情報に基づく性格等の診断結果を観測情報として取得してもよい。同様に、観測情報取得部14は、入力信号S1に基づき、又はセンサ信号S3に基づき、対象者の属性(例えば年齢、性別、人種、職業等)を観測情報として取得してもよい。この場合、対象者の属性等は、短期ストレス推定部15又は慢性ストレス推定部16の入力情報として使用される。
【0033】
短期ストレス推定部15は、対象者の短期ストレス値を推定する。この場合、短期ストレス推定部15は、観測情報記憶部40から、短期ストレス値と相関を有する観測情報を抽出し、抽出した観測情報から短期ストレス値を推定する。この場合、短期ストレス推定部15は、例えば、加速度、生体データ、その他の観測情報(表情情報などを含む)等から短期ストレス値を推定する。この場合、短期ストレス推定部15は、短期ストレス値の推定を行う推定モデルを用いて短期ストレス値を推定してもよい。ここで、上述の推定モデルは、例えば、対象者の観測情報が入力された場合に当該対象者の短期ストレス値を出力するように予め学習されたモデルであり、当該モデルを構成するためのパラメータが記憶装置4等に予め記憶されている。短期ストレス推定部15は、推定結果を差分取得部17に供給する。
【0034】
慢性ストレス推定部16は、対象者の慢性ストレス値を推定する。この場合、慢性ストレス推定部16は、観測情報記憶部40から、ストレス反映期間内の観測情報であって慢性ストレス値と相関を有する観測情報を抽出し、抽出した観測情報から慢性ストレス値を推定する。この場合、慢性ストレス推定部16は、任意の方法に基づいて観測情報から慢性ストレス値を推定してもよい。また、慢性ストレス推定部16は、慢性ストレスを推定するためのアンケートの回答結果に基づく観測情報(即ち主観的に測定された情報)から慢性ストレス値を推定してもよい。なお、慢性ストレス値を推定するためのアンケートとしてPSS(Perceived Stress Scale)アンケートなどが存在する。また、慢性ストレス推定部16は、慢性ストレス値の推定を行う推定モデルを用いて慢性ストレス値を推定してもよい。慢性ストレス推定部16は、推定結果をストレス要因推定部18に供給する。
【0035】
なお、短期ストレス推定部15及び慢性ストレス推定部16は、所定時間間隔ごとにストレス値を算出してもよく、ストレス要因の推定タイミングになった場合にストレス要因の推定に必要なストレス値の算出を一括して行ってもよい。また、短期ストレス推定部15及び慢性ストレス推定部16は、ストレス推定結果を差分取得部17に供給する代わりに、ストレス推定結果を記憶装置4等に記憶させてもよい。この場合、差分取得部17は、記憶装置4から差分情報の算出に必要なストレス値を取得する。
【0036】
差分取得部17は、短期ストレス推定部15及び慢性ストレス推定部16によるストレス推定結果及びイベント情報記憶部41から抽出する対象者のイベント情報に基づき、ストレス反映期間が異なる2つの慢性ストレス値の差分及びストレス反映期間でのイベントの差異を表す差分情報を生成する。この場合、例えば、差分取得部17は、短期ストレス推定部15によるストレス推定結果に基づき、差異となるイベントを短期ストレス値が閾値以上となったイベントに限定した差分情報を生成する。差分取得部17は、ストレス反映期間をスライドさせることで複数の差分情報を生成する。差分情報の生成方法の詳細については後述する。差分取得部17は、生成した差分情報を差分情報記憶部42に記憶する。なお、差分取得部17は、ストレス要因推定部18からストレス要因の推定を行う旨の通知があった場合に必要な(例えば所定個数分の)差分情報の生成を行ってもよく、所定時間間隔ごと(例えば慢性ストレス推定部16が慢性ストレス値を算出するタイミングごと)に差分情報の生成を行ってもよい。
【0037】
ストレス要因推定部18は、差分取得部17が算出する複数の差分情報に基づいて、対象者の慢性ストレスに関するストレス要因を推定する。この場合、ストレス要因推定部18は、例えば、相関分析、偏相関分析、主成分分析などの任意の統計的手法又は機械学習手法などを用いてストレス要因(イベントの種類、場所、参加者、又は/及び時間帯等)を推定する。そして、ストレス要因推定部18は、推定したストレス要因を表すストレス要因情報を通知部19に供給し、かつ、ストレス要因情報を対象者の識別情報と関連付けてストレス要因情報記憶部43に記憶する。
【0038】
通知部19は、ストレス要因推定部18が推定したストレス要因に関する情報を出力装置3に出力させる制御を行う。この場合、通知部19は、ストレス要因に関する情報を表示又は音出力するための出力制御信号S2を生成し、当該出力制御信号S2を出力装置3にインターフェース13を介して供給する。この場合、通知部19は、例えば、ストレス要因となるイベントの種類、場所、参加者又は/及び時間帯等をユーザに通知するための情報を出力装置3に出力させる。
【0039】
なお、一般に、慢性ストレスの増加に繋がる一部の短期ストレスを解消できずに蓄積すると慢性ストレスが悪化する。以上を勘案し、ストレス要因推定装置1は、慢性ストレス化しやすいストレス要因を推定し、その推定結果をユーザに通知する。これにより、特に慢性化しやすいストレスが発生するイベントの種類や時間帯、場所などの傾向をユーザに認識させ、その対処を好適に促すことができる。
【0040】
なお、図3において説明した観測情報取得部14、短期ストレス推定部15、慢性ストレス推定部16、差分取得部17、ストレス要因推定部18及び通知部19の各構成要素は、例えば、プロセッサ11がプログラムを実行することによって実現できる。また、必要なプログラムを任意の不揮発性記憶媒体に記録しておき、必要に応じてインストールすることで、各構成要素を実現するようにしてもよい。なお、これらの各構成要素の少なくとも一部は、プログラムによるソフトウェアで実現することに限ることなく、ハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうちのいずれかの組合せ等により実現してもよい。また、これらの各構成要素の少なくとも一部は、例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)又はマイクロコントローラ等の、プログラミング可能な集積回路を用いて実現してもよい。この場合、この集積回路を用いて、上記の各構成要素から構成されるプログラムを実現してもよい。また、各構成要素の少なくとも一部は、ASSP(Application Specific Standard Produce)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又は量子プロセッサ(量子コンピュータ制御チップ)により構成されてもよい。このように、各構成要素は、種々のハードウェアにより実現されてもよい。以上のことは、後述する他の実施の形態においても同様である。さらに、これらの各構成要素は、例えば、クラウドコンピューティング技術などを用いて、複数のコンピュータの協働によって実現されてもよい。
【0041】
(3-2)差分情報の生成
図4は、差分取得部17による差分情報の生成の具体例を表す図である。図4は、1月17日の慢性ストレス値「CS0117」と翌日の1月18日の慢性ストレス値「CS0118」の夫々に対応するストレス反映期間での対象者のスケジュール及び後述する差分情報に相当する式を表している。差分に基づく差分情報の生成の具体例を示している。ここで、1月8日から1月16日までの期間は、互いのストレス反映期間が重複する期間(「共通期間」とも呼ぶ。)となっており、1月7日及び1月17日は、互いのストレス反映期間が重複しない期間(「差異期間」とも呼ぶ。)となっている。なお、共通期間の対象者のスケジュールは差分情報の生成に関連しないため図4では明示されていない。
【0042】
図4の例では、慢性ストレス推定部16は、ある対象日の慢性ストレス値を算出する場合に、ストレス反映期間を対象日の前日から10日前までの期間に定め、当該ストレス反映期間での観測情報に基づき対象日の慢性ストレス値を算出している。そして、慢性ストレス推定部16は、対象日を1日ずつずらしながら、日ごとに慢性ストレス値を算出する。具体的には、慢性ストレス推定部16は、1月17日の慢性ストレス値CS0117を、1月7日から1月16日までのストレス反映期間の観測情報に基づき算出し、1月18日の慢性ストレス値CS0118を、1月8日から1月17日までのストレス反映期間の観測情報に基づき算出する。
【0043】
そして、差分取得部17は、ストレス反映期間が1日ずれた関係にある慢性ストレス値の組に対して夫々差分情報を生成する。図4の例では、差分取得部17は、ストレス反映期間が1日ずれた関係にある慢性ストレス値CS0117、CS0118に対して差分情報を生成している。
【0044】
そして、慢性ストレス値CS0117、CS0118に対する差分情報を生成する場合、差分取得部17は、まず、慢性ストレス値CS0117、CS0118の夫々のストレス反映期間でのイベントに関するイベント情報をイベント情報記憶部41から取得する。そして、差分取得部17は、これらのストレス反映期間において重複しない差異期間で発生したイベントのうち、対象者の短期ストレス値が閾値以上となったイベント(「高ストレスイベント」とも呼ぶ。)を特定する。上述の閾値(「イベント判定閾値」とも呼ぶ。)は、例えば予め記憶装置4等に記憶されている。図4の例では、差分取得部17は、重複しない差異期間である1月7日と1月17日のイベントのうち、当該イベントの発生時間帯での短期ストレス値がイベント判定閾値以上となるイベントA、イベントB、イベントCを、高ストレスイベントとして認識する。イベントA~イベントCは、例えば、「月次報告」、「客先訪問」、「内部ミーティング」などの種々のイベントが該当する。
【0045】
ここで、高ストレスイベントの判定に用いるイベントごとの短期ストレス値は、対象となるイベントの実行期間中での短期ストレス値の平均値、中央値、最大値等の任意の代表値(統計値)であってもよく、対象となるイベント終了時点での短期ストレス値であってもよい。
【0046】
そして、差分取得部17は、慢性ストレス値CS0117、CS0118の差分「ΔCS0118」(=CS0118-CS0117)は、差異期間での高ストレスイベントに起因して生じたとみなす。ここで、あるイベントxに起因した慢性ストレス値の増加分を「F(x)」とすると、差分ΔCS0118は、以下の式(1)のように表される。
【0047】
ΔCS0118≒+F(イベントC)-F(イベントA)-F(イベントB) (1)
【0048】
式(1)では、差分ΔCS0118の算出において減算される側の慢性ストレス値CS0118のストレス反映期間にのみ存在するイベントCの符号をプラス(+)とし、ΔCS0118の算出において減算する側の慢性ストレス値CS0117のストレス反映期間にのみ存在するイベントA、イベントBの符号をマイナス(-)としている。
【0049】
そして、式(1)は、慢性ストレス値の差分と、差異となる高ストレスイベントとの関係を表した式となっており、ストレス要因の推定に好適に用いられる情報となる。例えば、ΔCS0118が正値である場合には、イベントCは、イベントA及びイベントBよりも慢性ストレス値と高い相関を有するイベントであるとみなすことができる。
【0050】
そして、差分取得部17は、慢性ストレス値CS0117、CS0118に対応する差分情報として、慢性ストレス値の差分と差異となる高ストレスイベントとの関係(図4の例では式(1))を表す情報を生成する。具体的には、差分情報は、式(1)の左辺に相当する慢性ストレス値の差分ΔCS0118と、式(1)の右辺の各項を構成するイベントの種類及び符号の組み合わせとを少なくとも含む。
【0051】
なお、差分取得部17は、符号が異なる同一種類のイベントの項が式(1)の右辺に存在する場合には、これらの項を統合して式を簡略化してもよい。例えば、「+F(イベントA)」と「-F(イベントA)」が存在する場合にはこれらを相殺し、「+2F(イベントA)」と「-F(イベントA)」が存在する場合には、これらを統合した「+F(イベントA)」を残す。
【0052】
また、差分取得部17は、好適には、各高ストレスイベントに対応する短期ストレス値を表す情報を差分情報に含めるとよい。この場合、各高ストレスイベントの種類、符号(プラス、マイナス)及び短期ストレス値は、ストレス要因推定部18によるストレス要因の推定に用いられる。短期ストレス値を表す情報は、短期ストレス値そのものを表す情報であってもよく、短期ストレス値のレベルを表す情報であってもよい。
【0053】
以上のように、差分取得部17は、1日ずれたストレス反映期間となる慢性ストレス値の差分及びこれらの期間でのイベントの差異に相当する差分情報を生成する。これにより、差分取得部17は、ストレス要因の推定に必要な差分情報を好適に生成することができる。なお、図4の例において、慢性ストレス値CS0117、CS0118の組は、「第1慢性ストレス値」及び「第2慢性ストレス値」の組の一例であり、慢性ストレス値CS0117のストレス反映期間(1月7日~1月16日)及び慢性ストレス値CS0118のストレス反映期間(1月8日~1月17日)は、「第1期間」及び「第2期間」の一例である。
【0054】
(3-3)ストレス要因の推定
次に、ストレス要因推定部18によるストレス要因の推定方法について説明する。ストレス要因推定部18は、対象者の複数の差分情報に基づき、対象者のストレス要因となるイベントの種類、場所、参加者又は/及び時間帯等を推定する。
【0055】
例えば、各差分情報が示す慢性ストレス値の差分と高ストレスイベントとの関係に基づき、任意の相関分析(偏相関分析)手法を用いて、各高ストレスイベントと慢性ストレス値との相関(相関係数又は偏相関係数)を算出する。ここで、好適には、ストレス要因推定部18は、高ストレスイベントの短期ストレス値を用いて上述の相関を算出してもよい。そして、ストレス要因推定部18は、算出した相関が高い高ストレスイベントほど、ストレス要因となるイベントであるとみなし、相関が所定値以上の高ストレスイベントを特定する。そして、ストレス要因推定部18は、特定した各高ストレスイベントの種類、場所、参加者又は/及び時間帯などを集計し、その集計結果に基づき、ストレス要因を推定する。例えば、ストレス要因推定部18は、相関が所定値以上の高ストレスイベントのうち、所定割合以上占めるイベントの種類、場所、参加者又は/及び時間帯などを、ストレス要因として特定する。なお、ストレス要因推定部18は、上述した例の他、任意の多変量解析手法又は任意の機械学習(例えばクラスター分析、主成分分析、ベクトル量子化、自己組織化マップ等)に基づき、慢性ストレス値の増加に寄与するイベントを特定してもよい。
【0056】
(3-4)処理フロー
図5は、第1実施形態においてストレス要因推定装置1が実行するフローチャートの一例である。ストレス要因推定装置1は、例えば、図5に示すフローチャートの処理を繰り返し実行する。図5では、一例として、ストレス要因推定装置1は、短期ストレス値、慢性ストレス値及び差分情報の算出を、夫々に対して個別の時間長に設定された所定時間間隔ごとに実行し、かつ、ストレス要因の推定タイミングとなった場合に、ストレス要因の推定及び推定結果の出力を行っている。
【0057】
まず、ストレス要因推定装置1は、観測情報を取得する(ステップS11)。この場合、ストレス要因推定装置1は、センサ5から供給されるセンサ信号S3に基づき、観測情報を取得し、取得した観測情報を観測情報記憶部40に記憶する。
【0058】
次に、ストレス要因推定装置1は、観測情報記憶部40に記憶された観測情報に基づき、短期ストレス値及び慢性ストレス値の推定を行う(ステップS12)。この場合、ストレス要因推定装置1は、例えば、短期ストレス値の推定を第1時間間隔(例えば数分間隔)により行い、慢性ストレス値の推定を第1時間間隔よりも長い第2時間間隔(例えば1日間隔)により行う。ストレス要因推定装置1は、これらの推定結果を記憶装置4等に記憶する。
【0059】
そして、ストレス要因推定装置1は、短期ストレス値、慢性ストレス値及びイベント情報に基づき差分情報を生成する(ステップS13)。この場合、ストレス要因推定装置1は、例えば、差分情報をステップS12での慢性ストレス値の推定と同じ第2時間間隔により生成し、生成した差分情報を差分情報記憶部42に記憶させる。この場合、ストレス要因推定装置1は、例えば、慢性ストレス値を推定する度に、推定した最新の慢性ストレス値とその直前に算出した慢性ストレス値との差分に相当する差分情報を生成する。
【0060】
次に、ストレス要因推定装置1は、ストレス要因の推定タイミングであるか否か判定する(ステップS14)。ストレス要因推定装置1は、例えば、入力装置2から供給される入力信号S1に基づきストレス要因推定の実行指示を検知した場合、又は、前回のストレス要因の推定タイミングから所定時間経過した場合などに、ストレス要因の推定タイミングであると判定する。
【0061】
そして、ストレス要因推定装置1は、ストレス要因の推定タイミングであると判定した場合(ステップS14;Yes)、ステップS13で生成された対象者の差分情報に基づき、対象者の慢性ストレスに関するストレス要因を推定する(ステップS15)。そして、ストレス要因推定装置1は、ステップS15でのストレス要因の推定結果を出力する(ステップS16)。この場合、例えば、ストレス要因推定装置1は、出力制御信号S2を出力装置3に供給することで、ストレス要因として推定した特定のイベントの種類、場所、参加者、時間帯等を出力装置3に表示又は音声出力させる。
【0062】
なお、ストレス要因推定装置1は、ステップS12及びステップS13の少なくとも一方の処理を、ステップS14においてストレス要因推定タイミングであると判定した後に一括して実行してもよい。
【0063】
(4)変形例
次に、上述した実施形態の変形例について説明する。以下の変形例は任意に組み合わせて上述した実施形態に適用してもよい。
【0064】
(変形例1)
差分取得部17は、1日ずれたストレス反映期間となる慢性ストレス値の組に対する差分情報を生成する代わりに、2日以上ずれたストレス反映期間となる慢性ストレス値の組に対する差分情報を生成してもよい。
【0065】
例えば、差分取得部17は、X(Xは2以上の整数)日ずれたストレス反映期間となる慢性ストレス値の組に基づき差分情報を生成する場合、これらのストレス反映期間の差異期間に対応するイベント情報を取得し、短期ストレス値に基づき当該差異期間における高ストレスイベントを特定する。そして、差分取得部17は、慢性ストレス値の差分及び高ストレスイベントの差異に関する差分情報を生成する。
【0066】
このように、差分取得部17は、2日以上ずれたストレス反映期間となる慢性ストレス値の組に対する差分情報についても好適に生成することができる。そして、ストレス要因推定部18は、このように生成された差分情報に基づきストレス要因を推定することで、複数の要因の組み合わせをストレス悪化要因として推定することも可能となる。
【0067】
なお、本変形例において、慢性ストレス値のストレス反映期間よりも上述のX日が長くともよい。この場合、慢性ストレス値の組に対応するストレス反映期間は、互いに重複がない期間となる。
【0068】
(変形例2)
差分取得部17は、高ストレスイベントの判定において、対象となるイベントの開始時点から終了時点までの短期ストレス値の増加量を算出し、算出した増加量が所定の閾値以上であるイベントを高ストレスイベントとして判定してもよい。この態様によっても、差分取得部17は、イベントの参加により対象者の短期ストレス値が増加したイベントを高ストレスイベントとして的確に特定することができる。
【0069】
(変形例3)
差分取得部17は、対象となるイベントの開始時点から終了時点までの短期ストレス値の減少量が所定値以上であるイベントを、ストレス解消に効果があるイベント(「ストレス解消イベント」とも呼ぶ。)として特定してもよい。
【0070】
この場合、例えば、差分取得部17は、差異期間に属するイベントのうち、短期ストレス値の減少量が所定閾値以上となるイベントをストレス解消イベントとして抽出する。そして、差分取得部17は、ストレス解消イベントの種類及び符号等を示す差分情報を生成する。
【0071】
そして、ストレス要因推定部18は、ストレス要因として、ストレス解消要因を推定する。この場合、ストレス要因推定部18は、慢性ストレス値と各ストレス解消イベントとの相関を算出し、その相関が負値かつ絶対値が所定値以上となるストレス解消イベントの種類、場所、参加者又は/及び時間帯等を集計する。そして、ストレス要因推定部18は、その集計結果に基づき、ストレス解消要因となる種類、場所、参加者又は/及び時間帯等を推定する。そして、通知部19は、ストレス要因推定部18が推定したストレス解消要因に関する情報を出力装置3に出力させる制御を行う。
【0072】
このように、本変形例によれば、ストレス要因推定装置1は、ストレス解消要因を好適に推定し、その推定結果をユーザに通知することができる。なお、ストレス要因推定装置1は、本変形例による処理に加えて、ストレス増加要因についても上述した実施形態に基づき推定し、ストレス増加要因及びストレス解消要因の両方を出力する制御を行ってもよい。
【0073】
<第2実施形態>
第2実施形態に係るストレス管理システム100は、第1実施形態において説明したストレス要因推定処理に加えて、推定したストレス要因に基づいて高ストレスイベントの発生を検知し、その検知結果に基づきストレス解消を促す通知をユーザに行う高ストレスイベント通知処理を行う。この高ストレスイベント通知処理によれば、慢性ストレスになりやすいイベントが発生した場合にストレス解消を促して慢性ストレス化を好適に抑制する。第2実施形態において第1実施形態と同一の構成要素については適宜同一符号を付し、その説明を省略する。
【0074】
図6は、第2実施形態に係るストレス要因推定装置1Aの高ストレスイベント通知処理に関する機能ブロック図の一例である。第2実施形態におけるストレス要因推定装置1Aは、図2に示すハードウェア構成を有し、ストレス要因推定装置1Aのプロセッサ11は、図3に示すストレス要因推定処理に関する機能ブロックに加えて、図6に示される高ストレスイベント通知処理に関する機能ブロックを有する。図6に示すように、プロセッサ11は、高ストレスイベント通知処理に関し、短期ストレス推定部15Aと、高ストレスイベント判定部20と、通知部19Aとを有する。ここでは、第1実施形態において説明したストレス要因推定処理により、対象者のストレス要因情報がストレス要因情報記憶部43に既に記憶されているものとする。
【0075】
短期ストレス推定部15Aは、センサ5から供給されるセンサ信号S3に基づき、センサ5により観測された対象者の短期ストレス値を推定する。この場合、短期ストレス推定部15Aは、第1実施形態における観測情報取得部14及び短期ストレス推定部15に相当する処理を行うことで、センサ信号S3から対象者の現時点における短期ストレス値を推定する。
【0076】
高ストレスイベント判定部20は、イベント情報記憶部41に記憶された対象者のイベント情報と、ストレス要因情報記憶部43に記憶された対象者のストレス要因情報とに基づき、高ストレスイベントの判定を行う。この場合、例えば、高ストレスイベント判定部20は、上述のイベント情報及び現在日時に基づき特定される現在発生中のイベントが、対象者のストレス要因情報が示すストレス要因に該当するイベントであり、かつ、対応する短期ストレス値がイベント判定閾値以上の場合に、高ストレスイベントが発生したと判定する。この場合、イベント判定閾値は、第1実施形態において短期ストレス値から高ストレスイベントを判定する際に用いるイベント判定閾値と同一であり、記憶装置4等に予め記憶されている。また、「ストレス要因に該当するイベント」は、ストレス要因情報が示すイベントの種類、場所、参加者又は/及び時間帯等に該当するイベントを指す。高ストレスイベント判定部20は、高ストレスイベントの判定結果を通知部19Aに供給する。
【0077】
通知部19Aは、高ストレスイベント判定部20による高ストレスイベントの判定結果に関する情報を出力装置3により出力する制御を行う。この場合、通知部19Aは、例えば、高ストレスイベントが発生したと高ストレスイベント判定部20が判定した場合に、高ストレスイベントが発生した旨及びストレス解消を促す情報を、出力制御信号S2により出力装置3に出力させる。
【0078】
ストレス要因推定装置1Aは、このような高ストレスイベント通知処理を行うことで、慢性ストレスになりやすい高ストレスイベントの発生を的確に検知し、当該高ストレスイベントの発生に起因して慢性ストレス値が上昇しないようにストレス解消をユーザに好適に促すことができる。
【0079】
図7は、第2実施形態における高ストレスイベント通知処理の手順を示すフローチャートの一例である。ストレス要因推定装置1Aは、図7に示すフローチャートの処理を繰り返し実行する。
【0080】
まず、ストレス要因推定装置1Aは、センサ5から供給されるセンサ信号S3に基づき、対象者の短期ストレス値を推定する(ステップS21)。
【0081】
次に、ストレス要因推定装置1Aは、ストレス要因情報記憶部43に記憶された対象者のストレス要因情報が示すストレス要因に該当するイベントを検知したか否か判定する(ステップS22)。そして、ストレス要因推定装置1Aは、上述のストレス要因に該当するイベントを検知した場合(ステップS22;Yes)、ステップS21で算出した短期ストレス値がストレス判定閾値以上であるか否か判定する(ステップS23)。この場合、ストレス要因推定装置1Aは、ストレス判定閾値と比較する短期ストレス値として、ストレス要因に該当するイベント中において推定された任意の短期ストレス値を採用してもよく、当該イベント中において推定された複数の短期ストレス値の平均値その他の代表値(統計値)を採用してもよい。
【0082】
そして、ストレス要因に該当するイベントを検知し(ステップS22;Yes)、かつ、短期ストレス値がストレス判定閾値以上である場合(ステップS23;Yes)、ストレス要因推定装置1Aは、ストレス解消を促す情報を出力装置3に出力させる(ステップS24)。これにより、ストレス要因推定装置1Aは、慢性ストレスになりやすいイベントの発生を検知した場合に、対象者にストレス解消を促して慢性ストレス化するのを好適に抑制させることができる。
【0083】
一方、ストレス要因に該当するイベントを検知しない場合(ステップS22;No)、または、短期ストレス値がストレス判定閾値未満である場合(ステップS22;No)、ストレス要因推定装置1は、ステップS21へ処理を戻す。
【0084】
<第3実施形態>
図8は、第3実施形態におけるストレス管理システム100Bの概略構成を示す。第3実施形態に係るストレス管理システム100Bは、サーバクライアントモデルのシステムであり、サーバ装置として機能するストレス要因推定装置1Bが第1実施形態におけるストレス要因推定装置1又は第2実施形態におけるストレス要因推定装置1Aの処理を行う。以後では、第1実施形態又は第2実施形態と同一構成要素については、適宜同一符号を付し、その説明を省略する。
【0085】
図8に示すように、ストレス管理システム100Bは、主に、サーバとして機能するストレス要因推定装置1Bと、記憶装置4と、クライアントとして機能する端末装置8とを有する。ストレス要因推定装置1Bと端末装置8とは、ネットワーク7を介してデータ通信を行う。
【0086】
端末装置8は、対象者となる利用者が使用する端末であり、入力機能、表示機能、及び通信機能を有し、図1に示される入力装置2及び出力装置3等として機能する。端末装置8は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォンなどのタブレット型端末、PDA(Personal Digital Assistant)などであってもよい。端末装置8は、利用者が装着するウェアラブルセンサなどのセンサ5と電気的に接続し、センサ5が出力する対象者の生体信号等(即ち、図1におけるセンサ信号S3に相当する情報)を、ストレス要因推定装置1Bに送信する。また、端末装置8は、外部入力により生成された情報(図1における入力信号S1に相当する情報)を、ストレス要因推定装置1Bに送信する。
【0087】
ストレス要因推定装置1Bは、図2に示すストレス要因推定装置1のハードウェア構成と同一のハードウェア構成を有し、ストレス要因推定装置1Bのプロセッサ11は、図3に示される機能ブロックを有する。そして、ストレス要因推定装置1Bは、図1における入力信号S1及びセンサ信号S3に相当する情報を、ネットワーク7を介して端末装置8から受信し、ストレス要因推定処理(及び高ストレスイベント通知処理)を実行する。また、ストレス要因推定装置1Bは、端末装置8からの表示要求に基づき、ストレス推定結果を出力するための出力信号を、ネットワーク7を介して端末装置8へ送信する。
【0088】
第3実施形態によれば、対象者が使用する端末装置8から受信する対象者の生体信号等に基づき対象者のストレス要因の推定を行い、対象者にその推定結果及び高ストレスイベントの発生を端末装置8により好適に通知することができる。
【0089】
<第4実施形態>
図9は、第3実施形態におけるストレス要因推定装置1Xのブロック図である。ストレス要因推定装置1Xは、主に、慢性ストレス取得手段16Xと、差分取得手段17Xと、ストレス要因推定手段18Xとを有する。なお、ストレス要因推定装置1Xは、複数の装置により構成されてもよい。
【0090】
慢性ストレス取得手段16Xは、対象者の第1期間における第1慢性ストレス値と、対象者の第2期間における第2慢性ストレス値とを取得する。この場合、慢性ストレス取得手段16Xは、第1慢性ストレス値及び第2慢性ストレス値を対象者の生体信号などから算出することで取得してもよく、記憶装置等に記憶された又は他の装置が算出した第1慢性ストレス値及び第2慢性ストレス値を取得してもよい。慢性ストレス取得手段16Xは、例えば、第1実施形態(変形例を含む、以下同じ)~第3実施形態における慢性ストレス推定部16とすることができる。
【0091】
差分取得手段17Xは、第1慢性ストレス値と第2慢性ストレス値の差分と、第1期間と第2期間とにおいて発生したイベントの差異と、を表す差分情報を取得する。差分取得手段17Xは、例えば、第1実施形態~第3実施形態における差分取得部17とすることができる。
【0092】
ストレス要因推定手段18Xは、差分情報に基づき、対象者の慢性ストレスに関するストレス要因を推定する。ストレス要因推定手段18Xは、例えば、第1実施形態~第3実施形態におけるストレス要因推定部18とすることができる。
【0093】
図10は、第4実施形態においてストレス要因推定装置1Xが実行するフローチャートの一例である。まず、慢性ストレス取得手段16Xは、対象者の第1期間における第1慢性ストレス値と、対象者の第2期間における第2慢性ストレス値とを取得する(ステップS31)。次に、差分取得手段17Xは、第1慢性ストレス値と第2慢性ストレス値の差分、及び、第1期間と第2期間とにおいて発生したイベントの差異を表す差分情報を取得する(ステップS32)。そして、ストレス要因推定手段18Xは、差分情報に基づき、対象者の慢性ストレスに関するストレス要因を推定する(ステップS33)。
【0094】
第4実施形態によれば、ストレス要因推定装置1Xは、対象者のストレス要因を好適に推定することができる。
【0095】
なお、上述した各実施形態において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータであるプロセッサ等に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記憶媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記憶媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記憶媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0096】
その他、上記の各実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが以下には限られない。
【0097】
[付記1]
対象者の第1期間における第1慢性ストレス値と、前記対象者の第2期間における第2慢性ストレス値とを取得する慢性ストレス取得手段と、
前記第1慢性ストレス値と前記第2慢性ストレス値の差分と、前記第1期間と前記第2期間とにおいて発生したイベントの差異とを表す差分情報を取得する差分取得手段と、
前記差分情報に基づき、前記対象者の慢性ストレスに関するストレス要因を推定するストレス要因推定手段と、
を有するストレス要因推定装置。
[付記2]
前記対象者の短期ストレス値を取得する短期ストレス取得手段をさらに有し、
前記差分取得手段は、前記第1期間と前記第2期間とで重複しない期間に発生したイベントであって、前記短期ストレス値又は短期ストレス値の増加量が閾値以上となるイベントを前記差異として表した前記差分情報を生成する、付記1に記載のストレス要因推定装置。
[付記3]
前記ストレス要因推定手段は、前記ストレス要因として、前記対象者の慢性ストレス値が増加するストレス増加要因を少なくとも推定する、付記1または2に記載のストレス要因推定装置。
[付記4]
前記ストレス要因推定手段は、前記ストレス要因として、前記対象者の慢性ストレス値が減少するストレス解消要因を少なくとも推定する、付記1~3のいずれか一項に記載のストレス要因推定装置。
[付記5]
前記差分取得手段は、前記第1期間と前記第2期間とで重複しない期間に発生したイベントであって、前記対象者の短期ストレス値が閾値以上減少したイベントを前記差異として表した前記差分情報を生成する、付記4に記載のストレス要因推定装置。
[付記6]
前記ストレス要因推定手段は、前記ストレス要因として、前記イベントの種類、前記イベントが行われる場所、前記イベントに参加した人物、前記イベントが行われる時間帯の少なくともいずれかを推定する、付記1~5のいずれか一項に記載のストレス要因推定装置。
[付記7]
前記ストレス要因推定手段が推定した前記ストレス要因に関する情報を出力装置に出力させる制御を行う通知手段をさらに有する、付記1~6のいずれか一項に記載のストレス要因推定装置。
[付記8]
前記ストレス要因推定手段が推定した前記ストレス要因に該当するイベントが発生したか否か判定するイベント判定手段と、
前記イベント判定手段による判定結果に基づく情報を出力装置に出力させる通知手段と、をさらに有する、付記1~7のいずれか一項に記載のストレス要因推定装置。
[付記9]
前記通知手段は、前記ストレス要因に該当するイベントが発生し、かつ、当該イベントにおいて前記対象者の短期ストレス値又は前記短期ストレス値の増加量が閾値以上となる場合に、ストレス解消を促す情報を前記出力装置に出力させる、付記8に記載のストレス要因推定装置。
[付記10]
コンピュータが、
対象者の第1期間における第1慢性ストレス値と、前記対象者の第2期間における第2慢性ストレス値とを取得し、
前記第1慢性ストレス値と前記第2慢性ストレス値の差分と、前記第1期間と前記第2期間とにおいて発生したイベントの差異とを表す差分情報を取得し、
前記差分情報に基づき、前記対象者の慢性ストレスに関するストレス要因を推定する、
ストレス要因推定方法。
[付記11]
対象者の第1期間における第1慢性ストレス値と、前記対象者の第2期間における第2慢性ストレス値とを取得し、
前記第1慢性ストレス値と前記第2慢性ストレス値の差分と、前記第1期間と前記第2期間とにおいて発生したイベントの差異とを表す差分情報を取得し、
前記差分情報に基づき、前記対象者の慢性ストレスに関するストレス要因を推定する処理をコンピュータに実行させるプログラムが格納された記憶媒体。
【0098】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。すなわち、本願発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。また、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。
【符号の説明】
【0099】
1、1A、1B、1X ストレス要因推定装置
2 入力装置
3 出力装置
4 記憶装置
5 センサ
8 端末装置
100、100B ストレス管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10