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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】監視システム、監視装置、及び監視方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/01 20060101AFI20250304BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20250304BHJP
   G06Q 10/06 20230101ALI20250304BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20250304BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20250304BHJP
【FI】
G08G1/01 A
G08G1/13
G06Q10/06
G06Q50/40
G16Y10/40
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2023537853
(86)(22)【出願日】2021-07-29
(86)【国際出願番号】 JP2021028169
(87)【国際公開番号】W WO2023007663
(87)【国際公開日】2023-02-02
【審査請求日】2024-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】逸身 勇人
(72)【発明者】
【氏名】二瓶 浩一
(72)【発明者】
【氏名】篠原 悠介
(72)【発明者】
【氏名】小野村 隆男
(72)【発明者】
【氏名】竹井 豊
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-060841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/01
G08G 1/13
G06Q 10/06
G06Q 50/40
G16Y 10/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の監視対象のそれぞれから1以上のセンサデータを受信する情報受信手段と、
前記センサデータに基づいて前記複数の監視対象のそれぞれの状態を分析し、各監視対象における所定の事象の発生を判断する状態分析手段と、
前記複数の監視対象のうち少なくとも1つを監視する複数の監視者のそれぞれについて、監視業務の労力を示す負荷指数と、前記複数の監視者それぞれの前記所定の事象に対する指示にかかる時間に関する対応能力とを管理する監視者状態管理手段と、
前記状態分析手段で1以上の監視対象において前記所定の事象が発生したと判断された場合、前記発生した所定の事象と前記負荷指数と前記対応能力に基づいて、前記複数の監視者のうち、前記所定の事象が発生したと判断された監視対象の監視業務を担当する監視者を決定する監視者割当手段とを備える監視装置。
【請求項2】
前記状態分析手段は、更に、前記監視対象において発生した所定の事象の監視重要度を計算し、
前記監視者状態管理手段は、前記監視者割当手段にて決定された監視者が前記監視業務を行った場合、当該監視者の負荷指数を、前記監視重要度に応じて更新する、請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記監視者割当手段は、前記複数の監視対象において所定の事象が発生したと判断された場合、前記監視重要度が高い順に、前記監視業務を担当する監視者を決定する、請求項2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記監視対象は移動体であり、
前記状態分析手段は、前記移動体に乗車している乗員の数、前記移動体が走行している道路の状況、又はそれらの組み合わせに応じて、前記監視重要度を計算する、請求項2又は3に記載の監視装置。
【請求項5】
前記監視者状態管理手段は、前記複数の監視者のそれぞれが担当可能な監視業務を更に管理し、
前記監視者割当手段は、前記複数の監視者のうち、前記所定の事象が発生したと判断された監視対象の監視業務を担当可能な1以上の監視者を特定し、前記発生した所定の事象と前記負荷指数とに基づいて、該特定した1以上の監視者のうち前記監視業務を担当する監視者を決定する、請求項1から4何れか1項に記載の監視装置。
【請求項6】
前記決定された監視者が使用する表示装置に、前記所定の事象が発生したと判断された監視対象から受信された1以上のセンサデータを表示する監視画面表示手段を更に有し、
前記監視画面表示手段は、前記表示装置に、前記複数の監視対象を監視するための第1の監視画面と、前記所定の事象が発生したと判断された監視対象を監視するための第2の監視画面とを表示可能であり、前記状態分析手段で1以上の監視対象において前記所定の事象が発生したと判断されていない場合、前記監視者に前記第1の監視画面を用いて前記複数の監視対象の監視を実施させ、前記監視者割当手段で前記所定の事象が発生したと判断された監視対象の監視業務を担当する監視者が決定された場合、該決定された監視者が使用する表示装置に前記第2の監視画面を表示し、当該監視者に前記所定の事象が発生したと判断された監視対象の監視を実施させる、請求項1から5何れか1項に記載の監視装置。
【請求項7】
複数の監視対象を監視するために使用される監視装置と、
前記複数の監視対象のセンサデータを取得する複数のセンサとを備え、
前記監視装置は、
前記複数のセンサからセンサデータを受信する情報受信手段と、
前記センサデータに基づいて前記複数の監視対象のそれぞれの状態を分析し、各監視対象における所定の事象の発生を判断する状態分析手段と、
前記複数の監視対象のうち少なくとも1つを監視する複数の監視者のそれぞれについて、監視業務の労力を示す負荷指数と、前記複数の監視者それぞれの前記所定の事象に対する指示にかかる時間に関する対応能力とを管理する監視者状態管理手段と、
前記状態分析手段で1以上の監視対象において前記所定の事象が発生したと判断された場合、前記発生した所定の事象と前記負荷指数と前記対応能力とに基づいて、前記複数の監視者のうち、前記所定の事象が発生したと判断された監視対象の監視業務を担当する監視者を決定する監視者割当手段とを備える、監視システム。
【請求項8】
前記状態分析手段は、更に、前記監視対象において発生した所定の事象の監視重要度を計算し、
前記監視者状態管理手段は、前記監視者割当手段にて決定された監視者が前記監視業務を行った場合、当該監視者の負荷指数を、前記監視重要度に応じて更新する、請求項7に記載の監視システム。
【請求項9】
前記監視者割当手段は、前記複数の監視対象において所定の事象が発生したと判断された場合、前記監視重要度が高い順に、前記監視業務を担当する監視者を決定する、請求項8に記載の監視システム。
【請求項10】
前記監視対象は移動体であり、
前記状態分析手段は、前記移動体に乗車している乗員の数、前記移動体が走行している道路の状況、又はそれらの組み合わせに応じて、前記監視重要度を計算する、請求項8又は9に記載の監視システム。
【請求項11】
前記監視者状態管理手段は、前記複数の監視者のそれぞれが担当可能な監視業務を更に管理し、
前記監視者割当手段は、前記複数の監視者のうち、前記所定の事象が発生したと判断された監視対象の監視業務を担当可能な1以上の監視者を特定し、前記発生した所定の事象と前記負荷指数とに基づいて、該特定した1以上の監視者のうち前記監視業務を担当する監視者を決定する、請求項7から10何れか1項に記載の監視システム。
【請求項12】
前記監視装置は、前記決定された監視者が使用する表示装置に、前記所定の事象が発生したと判断された監視対象から受信された1以上のセンサデータを表示する監視画面表示手段を更に有し、
前記監視画面表示手段は、前記表示装置に、前記複数の監視対象を監視するための第1の監視画面と、前記所定の事象が発生したと判断された監視対象を監視するための第2の監視画面とを表示可能であり、前記状態分析手段で1以上の監視対象において前記所定の事象が発生したと判断されていない場合、前記監視者に前記第1の監視画面を用いて前記複数の監視対象の監視を実施させ、前記監視者割当手段で前記所定の事象が発生したと判断された監視対象の監視業務を担当する監視者が決定された場合、該決定された監視者が使用する表示装置に前記第2の監視画面を表示し、当該監視者に前記所定の事象が発生したと判断された監視対象の監視を実施させる、請求項7から11何れか1項に記載の監視システム。
【請求項13】
コンピュータが、複数の監視対象のそれぞれから1以上のセンサデータを受信し、
前記コンピュータが、前記センサデータに基づいて前記複数の監視対象のそれぞれの状態を分析し、各監視対象における所定の事象の発生を判断し、
前記コンピュータが、1以上の監視対象において前記所定の事象が発生したと判断された場合、前記発生した所定の事象と監視者の監視業務の労力を示す負荷指数と、前記監視者の前記所定の事象に対する指示にかかる時間に関する対応能力とに基づいて、前記複数の監視対象のうち少なくとも1つを監視する複数の監視者のうち、前記所定の事象が発生したと判断された監視対象の監視業務を担当する監視者を決定する監視方法。
【請求項14】
前記コンピュータが、前記監視対象において発生した所定の事象の監視重要度を計算し、
前記決定された監視者が前記監視業務を行った場合、前記コンピュータが、当該監視者の負荷指数を、前記監視重要度に応じて更新することを更に有する、請求項13に記載の監視方法。
【請求項15】
前記複数の監視対象において所定の事象が発生したと判断された場合、前記コンピュータは、前記監視重要度が高い順に、前記監視業務を担当する監視者を決定する、請求項14に記載の監視方法。
【請求項16】
前記監視対象は移動体であり、
前記監視重要度を計算することは、前記移動体に乗車している乗員の数、前記移動体が走行している道路の状況、又はそれらの組み合わせに応じて、前記監視重要度を計算することを含む、請求項14又は15に記載の監視方法。
【請求項17】
前記監視業務を担当する監視者を決定することは、前記複数の監視者のうち、前記所定の事象が発生したと判断された監視対象の監視業務を担当可能な1以上の監視者を特定し、前記発生した所定の事象と前記負荷指数とに基づいて、該特定した1以上の監視者のうち前記監視業務を担当する監視者を決定することを含む、請求項13から16何れか1項に記載の監視方法。
【請求項18】
前記コンピュータが、前記決定された監視者が使用する表示装置に、前記所定の事象が発生したと判断された監視対象から受信された1以上のセンサデータを表示することを更に有し、
前記監視対象において前記所定の事象が発生したと判断されていない場合、前記コンピュータは、前記監視者に前記複数の監視対象を監視するための第1の監視画面を用いて前記複数の監視対象の監視を実施させ、前記所定の事象が発生したと判断された監視対象の監視業務を担当する監視者が決定された場合、前記コンピュータは、該決定された監視者が使用する表示装置に前記所定の事象が発生したと判断された監視対象を監視するための第2の監視画面を表示し、当該監視者に前記所定の事象が発生したと判断された監視対象の監視を実施させる、請求項13から17何れか1項に記載の監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、監視システム、監視装置、及び監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術として、特許文献1は、作業車両の遠隔制御システムを開示する。特許文献1に記載の遠隔制御システムは、複数の作業車両にそれぞれ搭載された車両制御装置と、作業車両の外部に存在する遠隔操作装置とを有する。作業車両は、自律走行モードと、遠隔操縦走行モードとの間で走行モードを切り替え可能に構成される。車両制御装置は、自律走行モードでは、作業車両を、設定された走行経路に沿って自律的に走行させる。車両制御装置は、遠隔操縦走行モードでは、遠隔操作装置から受信する操舵制御を含む指示に従って作業車両を走行させる。
【0003】
遠隔操作装置は、遠隔操作者の操作に従って、複数の作業車両のそれぞれにおける走行モードを制御する。遠隔操作装置は、複数の作業車両のうち、遠隔操縦走行モードに設定される作業車両が同時に2つ以上とならないように、走行モードの設定を制御する。例えば、遠隔操作装置は、一の作業車両が遠隔操縦走行モードに設定されている場合、他の作業車両を選択する操作を無効とし、他の作業車両に対して、遠隔操縦走行モードを設定する指示を送信しない。
【0004】
別の関連技術として、特許文献2は、車両の監視に用いられる情報処理システムを開示する。特許文献2に記載の情報処理システムにおいて、サーバは、監視者の監視対象である車両から車両情報を取得する。サーバは、取得した車両情報に基づいて、車両に対する監視者による監視を要する度合いに応じた監視優先度を決定する。監視優先度は、例えば、「高い」、「中程度」、及び「低い」の3段階で示される。サーバは、監視優先度に基づいて車両の監視のための提示情報を生成し、提示情報を表示装置上に表示させる。サーバは、例えば、監視優先度が高い車両から取得した画像を、その車両より監視優先度が低い他の車両から取得した画像より大きい面積で表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2021-36796号公報
【文献】特開2020-61120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、遠隔操作者は、複数台、例えば4台の作業車両を監視し、そのうちの1台を遠隔操作することができる。しかしながら、特許文献1において、遠隔操作者には、複数台の作業車両が固定的に割り当てられる。特許文献1では、複数台の作業車両のうちの1台のみが、遠隔操縦モードに設定可能である。このため、ある遠隔操作者がある作業車両を遠隔操縦モードで遠隔操作しているとき、他の作業車両において対処を要する事象が発生したとしても、遠隔操作者は、その作業車両を遠隔操作することができない。
【0007】
特許文献2には、複数の監視者がいる場合、車両に発生した状況に応じて監視者を選択することが記載されている。例えば、監視者Aは、監視者Bに比べて、「事故発生」という状況に対する対処を行った実績が多いとする。その場合、サーバは、監視者Aにおける「事故発生」の優先度を、監視者Bにおける「事故発生」の優先度よりも高く設定する。この場合、監視者A及び監視者Bのうち、車両の状況情報に円滑に対処することができる監視者Aに車両の監視を行わせることができる。
【0008】
しかしながら、特許文献2では、「事故発生」という状況が連続して発生した場合、監視者Aが「事故発生」に対する対処を実施することになる。このため、特許文献2は、特定の監視者に、監視負荷が高い監視業務が集中することが考えられる。上記した問題は、車両の監視だけでなく、他の監視対象の監視においても生じ得る。
【0009】
本開示は、上記事情に鑑み、複数の監視者の中から特定の監視対象の詳細な監視業務を担当する監視者を決定する場合に、複数の監視者間で、監視業務の負荷を適切に配分することができる監視システム、監視装置、及び監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本開示は、第1の態様として、監視装置を提供する。監視装置は、複数の監視対象のそれぞれから1以上のセンサデータを受信する情報受信手段と、前記センサデータに基づいて前記複数の監視対象のそれぞれの状態を分析し、各監視対象における所定の事象の発生を判断する状態分析手段と、前記複数の監視対象のうち少なくとも1つを監視する複数の監視者のそれぞれについて、監視業務の労力を示す負荷指数を管理する監視者状態管理手段と、前記状態分析手段で1以上の監視対象において前記所定の事象が発生したと判断された場合、前記発生した所定の事象と前記負荷指数とに基づいて、前記複数の監視者のうち、前記所定の事象が発生したと判断された監視対象の監視業務を担当する監視者を決定する監視者割当手段とを含む。
【0011】
本開示は、第2の態様として、監視システムを提供する。監視システムは、複数の監視対象を監視するために使用される監視装置と、前記複数の監視対象のセンサデータを取得する複数のセンサとを含む。監視装置は、前記複数のセンサからセンサデータを受信する情報受信手段と、前記センサデータに基づいて前記複数の監視対象のそれぞれの状態を分析し、各監視対象における所定の事象の発生を判断する状態分析手段と、前記複数の監視対象のうち少なくとも1つを監視する複数の監視者のそれぞれについて、監視業務の労力を示す負荷指数を管理する監視者状態管理手段と、前記状態分析手段で1以上の監視対象において前記所定の事象が発生したと判断された場合、前記発生した所定の事象と前記負荷指数とに基づいて、前記複数の監視者のうち、前記所定の事象が発生したと判断された監視対象の監視業務を担当する監視者を決定する監視者割当手段とを含む。
【0012】
本開示は、第3の態様として、監視方法を提供する。監視方法は、複数の監視対象のそれぞれから1以上のセンサデータを受信し、前記センサデータに基づいて前記複数の監視対象のそれぞれの状態を分析し、各監視対象において所定の事象が発生したか否かを判断し、1以上の監視対象において前記所定の事象が発生したと判断された場合、前記発生した所定の事象と監視者の監視業務の労力を示す負荷指数とに基づいて、前記複数の監視対象のうち少なくとも1つを監視する複数の監視者のうち、前記所定の事象が発生したと判断された監視対象の監視業務を担当する監視者を決定することを含む。
【発明の効果】
【0013】
本開示に係る監視システム、監視装置、及び監視方法は、複数の監視者間で、監視業務の負荷を適切に配分することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の第1実施形態に係る監視システムを示すブロック図。
図2】監視装置の構成例を示すブロック図。
図3】監視者状態管理部で管理される各監視者の情報の一例を示す図。
図4】監視者状態管理部で管理される各監視者の情報の別の例を示す図。
図5】監視装置における動作手順を示すフローチャート。
図6】本開示の第2実施形態に係る監視システムを示すブロック図。
図7】移動体の構成例を示すブロック図。
図8】遠隔監視装置の構成例を示すブロック図。
図9】第2実施形態における全体監視画面の一例を示す図。
図10】第2実施形態における詳細監視画面の一例を示す図。
図11】本開示の第3実施形態に係る監視システムを示すブロック図。
図12】監視装置の構成例を示すブロック図。
図13】第3実施形態における全体監視画面の一例を示す図。
図14】第3実施形態における詳細監視画面の一例を示す図。
図15】コンピュータ装置の構成例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の記載及び図面は、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がなされている。また、以下の各図面において、同一の要素及び同様な要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0016】
図1は、本開示の第1実施形態に係る監視システムを示す。監視システム100は、監視装置110、及び複数のセンサ130を有する。監視装置110は、複数の監視対象を監視するために使用される装置である。監視対象は、例えば、自動車、バス、建設機器、又は作業車両などの移動体であってもよいし、道路や工事現場などの現場であってもよい。本実施形態において、監視者の数は、監視対象の数よりも少なくてよい。
【0017】
複数の監視対象のそれぞれは、1以上のセンサ130を有する。各センサ130は、監視対象のセンサデータを取得する。各センサ130は、例えば無線通信ネットワーク、有線通信ネットワーク、又はそれらの組み合わせを介して監視装置110に接続される。各センサ130は、センサデータを監視装置110に出力する。センサ130は、画像を取得するカメラなどの撮像装置を含み得る。センサ130は、監視対象の状態情報を出力するセンサを含み得る。例えば、監視対象の移動体の場合、複数のセンサ130は、移動体に搭載される撮像装置と、移動体の速度、加速度、及び操舵角を計測するためのセンサとを含み得る。センサ130は、監視対象を被写体とする映像を出力する撮像装置であってもよい。
【0018】
図2は、監視装置110の構成例を示す。監視装置110は、情報受信部111、状態分析部112、監視者状態管理部113、及び監視者割当部114を有する。監視装置110は、例えば1以上のプロセッサと1以上のメモリとを含むハードウェアを含むコンピュータ装置として構成され得る。監視装置110内の各部の機能の少なくとも一部は、1以上のプロセッサが、1以上のメモリから読み出したプログラムに従って動作することで実現され得る。
【0019】
情報受信部(情報受信手段)111は、複数のセンサ130(図1を参照)からセンサデータを受信する。別の言い方をすると、情報受信部111は、複数の監視対象のそれぞれから1以上のセンサデータを受信する。例えば、監視対象が移動体の場合、情報受信部111は、各移動体から、撮像装置が撮影した映像を受信する。また、情報受信部111は、速度、加速度、及び操舵角の情報を各移動体から受信する。監視対象の複数の移動体は、自律的に走行する自律運転車両を含み得る。その場合、情報受信部111は、自動運転の情報を受信してもよい。監視対象が工事現場の場合、情報受信部111は、作業対象の現場の映像を受信してもよい。監視対象は工事現場における重機などの作業車両であってもよく、その場合、情報受信部111は、作業車両を被写体として含む映像を受信してもよい。
【0020】
状態分析部(状態分析手段)112は、受信されたセンサデータに基づいて複数の監視対象のそれぞれの状態を分析し、各監視対象において所定の事象が発生したか否かを判断する。所定の事象は、例えば、監視者による詳細な監視が必要な事象を含む。所定の事象は、監視者による対処が必要な事象を含んでいてもよい。例えば、監視対象が移動体の場合、状態分析部112は、移動体を注意深く監視することが必要な事象が発生しているか否かを判断する。状態分析部112は、移動体が自律走行可能な車両の場合、移動体において監視者の対処(指示)が必要な事象が発生しているか否かを判断してもよい。監視者の対処が必要な事象としては、例えば、自律走行可能な車両が追い越しをする場合、一時停止から運転を再開する場合のような車両自身の判断で走行が難しい事象が挙げられる。監視対象が工事現場の場合、状態分析部112は、工事現場を注意深く監視することが必要な事象が発生しているか否かを判断してもよい。例えば、状態分析部112は、工事現場において、作業車両に接近する人物がいるか否かを判断してもよい。さらに、状態分析部112は、作業が所定の順序で行われているか否か、又は作業が所定の人数以上で行われているか否かを判断してもよい。
【0021】
状態分析部112は、更に、監視対象において発生した所定の事象の監視重要度を計算してもよい。監視重要度は、例えば、監視の重要性を示す指標である。例えば、所定の事象に対する監視において、監視者が注意深く監視を行わなかった場合に重大な事故が発生する可能性がある場合や即時対応が必要な場合、監視重要度は高く設定される。一方、多少の見過ごしがあった場合でも、その結果として重大な事故などが発生しない場合や対処までに待機時間が生じても問題ない場合、監視重要度は低く設定される。状態分析部112は、例えば、監視対象に発生した所定の事象に応じて、監視重要度を決定する。例えば、発生した事象が車両の追越しである場合は、監視重要度は高く設定され得る。一方、発生した事象が一時停止からの運転の再開である場合、監視重要度は低く設定され得る。監視重要度は、例えば、予め事象と対応させたスコアから計算されるものであっても良い。例えば、監視重要度を停止から運転を再開する対応は1点、横断歩道の対応は3点、追い越しの対応は5点と予め定めておき、発生した事象に応じて対応するスコアから決定されても良い。状態分析部112は、所定の事象が発生したときの監視対象の状況に応じて監視重要度を応じて変化させてもよい。例えば、監視重要度を人の多い道路において発生した場合は5点、見通しの良い直線道路において発生した場合は1点と予め定めておき、事象に応じて決定したスコアにプラスする、として計算しても良い。状態分析部112は、例えば、監視対象が移動体の場合、移動体に乗車している乗員の数、移動体が走行している道路の状況(幹線道路、又は住宅街など)、又はそれらの組み合わせに応じて、監視重要度を計算してもよい。例えば、発生した事象が車両の追越しで、かつその事象が人の往来が多い道路において発生した場合、監視重要度は高く設定され得る。一方、発生した事象が車両の追越しで、かつその事象が見通しのよい直線道路において発生した場合、監視重要度は少し低く設定され得る。
【0022】
監視者状態管理部(監視者状態管理手段)113は、複数の監視対象のうち少なくとも1つを監視する複数の監視者のそれぞれについて、監視業務の労力を示す負荷指数を管理する。監視者状態管理部113は、例えば監視を実施する当日、1週間などの所定の期間に担当する監視業務の労力を、負荷指数として管理する。負荷指数は、例えば、監視者が詳細な監視業務において監視を担当した時間の総和(総監視時間)、詳細な監視業務を担当した回数(総担当回数)、担当した詳細な監視業務の監視重要度の総和(総監視重要度)、又はそれらの組み合わせに応じて決定され得る。
【0023】
上記負荷指数の各基準は、基準に対応する単位(回数、時間など)によって管理されても良いし、予め値の範囲を定めてレベルとして管理しても良い。例えば、総監視時間が1~3時間を「低」、4~6時間を「中」、7時間以上を「高」として範囲を定めておき、監視者Aの総監視時間が4時間であった場合に、監視者Aの総監視時間のレベルは「中」として管理しても良い。あるいは、例えば、総担当回数が1~10回を「少」、11~20回を「標準」、21回以上を「多」として範囲を定めておき、監視者Bの総担当回数が15回であった場合に、監視者Bの総担当回数を「標準」として管理しても良い。
【0024】
また、レベルは基準毎に付与しても良いし、組み合わせによって決定されても良い。例えば、監視者Cの総監視時間が「高」で総担当回数が「高」であった場合に、監視者Cの負荷指数を「高」として管理し、監視者Dの総監視時間が「少」で総担当回数が「少」であった場合に、監視者Cの負荷指数を「低」として管理しても良い。
【0025】
監視者割当部(監視者割当手段)114は、状態分析部112で1以上の監視対象において所定の事象が発生したと判断された場合、所定の事象が発生したと判断された監視対象の詳細な監視業務を担当する監視者を決定する。その際、監視者割当部114は、発生した所定の事象と各監視者の負荷指数とに基づいて、複数の監視者のうち、詳細な監視業務を担当する監視者を決定する。
【0026】
監視者割当部114は、例えば、複数の監視者の間で詳細な監視業務が適切に配分され、負荷指数が平準化するように、詳細な監視業務を担当する監視者を決定する。別の言い方をすると、監視者割当部114は、特定の監視者に詳細な監視業務が集中しないように、詳細な監視業務を担当する監視者を決定する。例えば、監視者割当部114は、複数の監視者の総監視時間を比較し、総監視時間が短い監視者に対して、詳細な監視業務を割り当ててもよい。あるいは、監視者割当部114は、総担当回数が少ない監視者に対して、詳細な監視業務を割り当ててもよい。監視者割当部114は、総監視重要度の値が小さい監視者に対して、詳細な監視業務を割り当ててもよい。
【0027】
監視者割当部114は、複数の監視対象において所定の事象が発生したと判断された場合、監視重要度が高い順に、監視業務を担当する監視者を決定してもよい。例えば、監視重要度が異なる2つの所定の事象が発生したとする。その場合、監視者割当部114は、まず、監視重要度が高い所定の事象について、詳細な監視業務を担当する監視者を決定する。例えば、監視者割当部114は、総監視時間が最も短い監視者に対して、監視重要度が高い詳細な監視業務を割り当てる。次いで、監視者割当部114は、監視重要度が低い所定の事象について、詳細な監視業務を担当する監視者を決定する。例えば、監視者割当部114は、総監視時間が2番目に短い監視者に対して、監視重要度が低い詳細な監視業務を割り当てる。
【0028】
監視者状態管理部113は、各監視者が担当可能な監視業務を更に管理してもよい。監視者状態管理部113は、例えば、ある監視者について、事象Aが発生した場合の詳細な監視業務と、事象Bが発生した場合の詳細な監視業務が担当可能であるという情報を管理する。また、監視者状態管理部113は、別の監視者について、事象Bが発生した場合の詳細な監視業務と事象Cが発生した場合の詳細な監視業務とが担当可能であるという情報を管理する。監視者割当部114は、各監視者が担当可能な監視業務の情報を用いて、複数の監視者のうち、所定の事象が発生したと判断された監視対象の監視業務を担当可能な1以上の監視者を特定してもよい。監視者割当部114は、発生した所定の事象と各監視者の負荷指数とに基づいて、特定した1以上の監視者のうち、詳細な監視業務を担当する監視者を決定してもよい。
【0029】
図3は、監視者状態管理部113で管理される各監視者の情報の一例を示す。監視者状態管理部113は、監視者ごとに、例えば「在席状況」、「監視車両」、「総監視時間」、「負荷指数」、及び「担当」の情報を管理する。「在席状況」は、監視者が在席しているか否か、つまり監視業務を実施可能か否かを示す。「監視車両」は、監視者が詳細な監視業務を行っている移動体を示す。「総監視時間」は、監視者が詳細な監視業務を実施した時間を示す。「負荷指数」は、監視業務の負荷指数を示す。「担当」は、監視者が担当可能な監視業務を示す。例えば、監視者割当部114は、横断歩道での対処が必要な事象が発生した場合に、横断歩道で生じた事象を担当可能である監視者B及び監視者Cのうち、負荷指数の低い監視者Cを当該横断歩道で生じた事象の担当者として決定する。
【0030】
監視者状態管理部113は、上記した詳細な監視業務における、各監視者の所定の事象に対する対応能力を更に管理してもよい。監視者状態管理部113は、例えば、各監視者について、所定の事象ごとに、詳細な監視業務を開始した時刻から対処が終わる時刻までの時間を示す対処時間を、対応能力として管理する。具体的には、監視者状態管理部113は、監視者Aについて、監視者Aが事象Aに対する詳細な監視業務を開始した時刻から、事象Aに対する対処が終わる時刻までの時間を、事象Aに対する対応能力として管理してもよい。あるいは、監視者状態管理部113は、各監視者について、所定の事象ごとに、詳細な監視業務が割り当てられた回数を、対応能力として管理してもよい。監視者割当部114は、各監視者の負荷指数に加えて、各監視者の対応能力に基づいて、詳細な監視業務を担当する監視者を決定してもよい。その場合、監視者割当部114は、例えばある事象について、その事象に対する対処を素早く実施できる監視者を、詳細な監視業務を実施する担当者とすることができる。
【0031】
図4は、監視者状態管理部113で管理される各監視者の情報の別の例を示す。監視者状態管理部113は、監視者ごとに、例えば「在席状況」、「監視車両」、「総監視時間」、「負荷指数」、及び「対応能力」の情報を管理する。図4において、「対応能力」は、各監視者が、所定の事象に対する詳細な監視業務を開始した時刻から、所定の事象に対する対処が終わる時刻までの時間を示す。例えば、監視者割当部114は、右左折するための対処が必要な事象が発生した場合、対応可能な監視者B及び監視者Dのうち、過去に当該事象で比較的対処を素早く実施していた監視者Dを、当該右左折するための対処が必要な事象の担当者と決定する。
【0032】
なお、上記の説明において、所定の事象が発生したと判断された監視対象の詳細な監視業務を担当する監視者の決定において、監視者割当部114が、監視者状態管理部113が保持する何れか一の情報と負荷指数とに応じて監視者を決定することを記載した。しかしながら、本実施形態は、これに限られない。例えば、監視者割当部114は、監視者状態管理部113の保持する複数の情報と負荷指数とに応じて、監視対象の詳細な監視業務を担当する監視者を決定しても良い。例えば、監視者割当部114は、監視対象の詳細な監視業務の種別(横断歩道、停留所等)と、対応能力と、総監視時間とに応じて、監視業務を担当する監視者を決定しても良い。
【0033】
また、上記では、監視者状態管理部113の管理する情報について値を記載しているが、本実施形態はこれに限られない。例えば、監視者状態管理部113は、各項目に対して基準と高い、低いとするレベル分けをして管理しても良い。
【0034】
監視装置110は、更に監視画面表示部(監視画面表示手段)を有し得る。監視画面表示部は、複数の監視者によって使用される複数の表示装置(図示せず)における画面表示を制御する。監視者割当部114は、監視業務を担当する監視者として決定した監視者の情報を監視画面表示部に通知する。監視者割当部114は、決定した監視者の情報として、例えば、当該監視者の氏名、識別情報(ID:Identifier)、座席番号、当該監視者が使用する表示装置の識別番号、及びIP(Internet Protocol)アドレスなどの情報を画面表示部に通知する。
【0035】
監視画面表示部は、複数の表示装置のうち、監視者割当部114が決定した監視者が使用する表示装置に、所定の事象が発生したと判断された監視対象から受信された1以上のセンサデータを表示する。監視画面表示部は、例えば、監視対象の映像を、表示装置に表示する。監視者は、表示装置に表示された映像を見ながら、所定の事象が発生したと判断された監視対象の詳細な監視業務を行う。監視者は、必要に応じて、監視対象を遠隔制御する。
【0036】
監視者状態管理部113は、監視者が詳細な監視業務を行った場合、その監視者の負荷指数を、状態分析部112が計算した監視重要度に応じて更新する。例えば、監視者状態管理部113は、詳細な監視業務を行った監視者の負荷指数に、監視重要度に応じた値を加算することで、負荷指数を更新する。また、監視者状態管理部113は、監視者が詳細な監視業務を行った場合、当該監視業務に関連する項目、例えば、対応能力(当該監視業務に要した対処時間等)や総監視時間を更新する。
【0037】
監視画面表示部は、表示装置に、複数の監視対象を全体的に監視するための第1の監視画面と、所定の事象が発生した監視対象を詳細に監視するための第2の監視画面とを表示可能であってよい。第1の監視画面は、複数の監視対象から受信されたセンサデータを表示する領域を含み得る。第1の監視画面は、状態分析部112で発生していると判断された所定の事象を通知する領域を含んでいてもよい。第2の監視画面は、特定の監視対象から受信されたセンサデータを表示する領域を含む。例えば、第2の監視画面には、特定の監視対象から受信されたセンサデータのみが表示される。あるいは、第2の監視画面において、特定の監視対象のセンサデータが、他の監視対象のセンサデータに比べて、相対的に大きな領域で表示されてもよい。
【0038】
監視画面表示部は、状態分析部112で1以上の監視対象において所定の事象が発生したと判断されていない場合、表示装置に第1の監視画面を表示させてもよい。例えば、監視画面表示部は、各監視者が個別に使用する1以上の表示装置のそれぞれに第1の監視画面を表示させ、複数の監視者に、複数の監視対象の監視を実施させてもよい。あるいは、監視画面表示部は、複数の監視者が共通で使用する大型の表示装置に第1の監視画面を表示させ、複数の監視者に、複数の監視対象の監視を実施させてもよい。
【0039】
監視画面表示部は、所定の事象が発生したと判断され、監視者割当部114で詳細な監視業務を担当する監視者が決定された場合、その監視者が個別に使用する1以上の表示装置に、第2の監視画面を表示させてもよい。監視者は、表示装置に表示された、所定の事象が発生したと判断された監視対象の映像などを見ることで、その監視対象の詳細な監視業務を実施する。監視画面表示部は、他の監視者が使用する表示装置には第1の監視画面を表示させ、他の監視者に、複数の監視対象の監視を実施させてもよい。
【0040】
続いて、動作手順を説明する。図5は、監視装置110における動作手順(監視方法)を示す。監視装置110において、情報受信部111は、複数の監視対象のそれぞれから1以上のセンサデータを受信する(ステップS1)。状態分析部112は、受信されたセンサデータに基づいて複数の監視対象のそれぞれの状態を分析し(ステップS2)、各監視対象において所定の事象が発生したか否かを判断する(ステップS3)。
【0041】
ステップS3で、所定の事象が発生したと判断された場合、監視者割当部114は、発生した所定の事象と各監視者の負荷指数とに基づいて、複数の監視者のうち、所定の事象が発生したと判断された監視対象の監視業務を担当する監視者を決定する(ステップS4)。監視画面表示部は、複数の表示装置のうち、ステップS4で決定された監視者が使用する表示装置に、所定の事象が発生したと判断された監視対象の詳細監視画面(第2の監視画面)を表示してもよい。
【0042】
以上のとおり、本実施形態によれば、複数の監視者の中から特定の監視対象の詳細な監視業務を担当する監視者を決定する場合に、複数の監視者間で適切な割当を実施することが可能になる。
【0043】
例えば、ある事象が発生した場合の詳細な監視業務は、労力をそれほど要しないのに対し、別の事象が発生した場合の詳細な監視業務は、対処に時間を要し、監視業務の負荷が高い場合がある。本実施形態では、監視対象において所定の事象が発生した場合、各監視者が過去に担当した監視業務の負荷指数を用いて、詳細な監視業務を担当する監視担当者を決定する。このため、本実施形態は、複数の監視者の中から特定の監視対象の詳細な監視業務を担当する監視者を決定する場合に、複数の監視者間で、監視業務の負荷を適切に配分することができる。
【0044】
本開示の第2実施形態を説明する。図6は、本開示の第2実施形態に係る監視システム(遠隔監視システム)を示す。本実施形態において、遠隔監視システム200は、遠隔監視装置210、複数の移動体230、及び監視画面表示装置250を有する。本実施形態は、第1実施形態で説明した監視システム100が複数の移動体230の遠隔監視に適用される実施形態である。
【0045】
遠隔監視装置210は、複数の移動体230を遠隔で監視するための装置である。遠隔監視装置210は、ネットワーク270を介して移動体230と接続される。ネットワーク270は、例えば、LTE(Long Term Evolution)などの通信回線規格を用いた無線通信網を含む。ネットワーク270は、WiFi(登録商標)、又は第5世代移動通信システムなどの無線通信網を含んでいてもよい。遠隔監視装置210は、移動体230を遠隔で操縦可能であってもよい。遠隔監視装置210は、図1に示される監視装置110に対応する。
【0046】
監視画面表示装置250は、監視者(オペレータ)に、移動体230の監視に用いられる情報を表示するための表示装置である。監視画面表示装置250は、必ずしも遠隔監視装置210から独立した装置である必要はなく、遠隔監視装置210の一部であってもよい。監視画面表示装置250は、例えば液晶表装置などの表示装置を含む。監視画面表示装置250は、各監視者が個別に使用する表示装置を含み得る。各監視者は、2以上の表示装置を個別に使用してもよい。監視画面表示装置250は、複数の監視者に共通に使用される表示装置を含んでいてもよい。
【0047】
各移動体230は、遠隔監視装置210によって遠隔で監視される。移動体230は、例えば、自動車、バス、タクシー、又はトラックなどの陸上車両として構成される。移動体230は、水中ドローンなどの水中若しくは水上を移動する物体、又は、飛行ドローンなどの空中を移動する物体であってもよい。移動体230は、移動体に搭載されるセンサの情報に基づいて自動運転(自律運転)が可能に構成されていてもよい。移動体230は、例えば自動運転と、車内の運転者による手動運転とが切替え可能に構成されていてもよい。移動体230は、例えば遠隔監視装置210から送信される指示に応じて、手動運転から自動運転に、又は自動運転から手動運転に切り替えられてもよい。移動体230は、鉄道、船舶、又は航空機であってもよいし、AGV(Automated Guided Vehicle)などの移動型のロボットであってよい。
【0048】
図7は、移動体230の構成例を示す。移動体230は、周辺監視センサ231、車両センサ232、車両制御ECU(Electric Control Unit)233、自動運転ECU234、及び通信装置235を有する。移動体230において、これら構成要素は車内LAN(Local Area Network)やCAN(Controller Area Network)などを介して相互に通信可能に構成される。
【0049】
周辺監視センサ231は、移動体230の周辺状況を監視するセンサである。以降の説明では、周辺監視センサ231はカメラを例に説明するが、これに限られない。周辺監視センサ231は、例えばカメラ、Depthカメラ、レーダ、及びLiDAR(Light Detection and Ranging)などを含む。周辺監視センサ231は、例えば車両の前方、後方、右側方、及び左側方を撮影する複数のカメラを含んでいてもよい。周辺監視センサ231は、移動体230の内部を撮影するカメラを含んでいてもよい。
【0050】
車両センサ232は、移動体230の各種状態を検出するためのセンサである。車両センサ232は、例えば、車速を検出する車速センサ、操舵角を検出する操舵センサ、アクセルペダルの開度を検出するアクセル開度センサ、及びブレーキペダルの踏み込み量を検出するブレーキ踏力センサなどのセンサを含む。車両センサ232は、移動体230の位置情報を取得する位置情報センサを含み得る。周辺監視センサ231、及び車両センサ232の少なくとも一方は、図1に示されるセンサ130に対応する。
【0051】
車両制御ECU233は、移動体230の走行制御などを行う電子制御装置である。一般に、電子制御装置は、プロセッサ、メモリ、I/O(Input / Output)、及びこれらを接続するバスを有する。車両制御ECU233は、車両センサ232が出力するセンサ情報に基づいて、例えば、燃料噴射量の制御、エンジン点火時期の制御、及びパワーステアリングのアシスト量の制御などの各種制御を実施する。
【0052】
自動運転ECU234は、移動体230の自動運転を制御する電子制御装置である。自動運転ECU234は、周辺監視センサ231及び車両センサ232からセンサ情報を取得し、取得したセンサ情報に基づいて移動体230の自動運転を制御する。
【0053】
通信装置235は、移動体230とネットワーク270(図6を参照)との間で無線通信を行う装置として構成される。通信装置235は、ハードウェア構成として、無線通信用アンテナ、送信機、及び受信機を含む。また、通信装置235は、プロセッサ、メモリ、I/O、及びこれらを接続するバスを有する。通信装置235内の各部の機能は、例えば、メモリに記憶された制御プログラムをプロセッサで実行することにより実現される。
【0054】
通信装置235は、周辺監視センサ231が取得したカメラ映像を取得し、取得したカメラ映像(映像データ)をネットワーク270を介して遠隔監視装置210に送信する。また、通信装置235は、車両センサ232から、車速情報などのセンサ情報を取得し、取得したセンサ情報をネットワーク270を介して遠隔監視装置210に送信する。
【0055】
通信装置235は、移動体230の制御に関する情報を、ネットワーク270を介して遠隔監視装置210から受信することができる。通信装置235は、例えば、移動体230において行われる自動運転に対する制御内容(例えば制御コマンド)を示す制御情報を遠隔監視装置210から受信することができる。制御内容は、例えば「一時停止」、「追い越し」、「徐行」、及び「発進」を含む。通信装置235は、自動運転ECU234に設定されるパラメータなどの情報を遠隔監視装置210から受信してもよい。通信装置235は、受信した情報を車内LANなどを介して自動運転ECU234に送信する。自動運転ECU234は、受信した制御内容に従って、移動体230の走行を制御する。また、自動運転ECU234は、受信したパラメータなどを用いて、移動体230の自動運転を行う。
【0056】
通信装置235は、移動体230を遠隔制御するための情報である遠隔制御情報を遠隔監視装置210から受信してもよい。遠隔制御情報は、例えばアクセル開度、ステアリングホイールの操作量、及びブレーキペダルの踏み込み量などを示す情報を含む。通信装置235は、遠隔制御情報を受信した場合、受信した遠隔制御情報を車内LANなどを介して車両制御ECU233に送信する。車両制御ECU233は、受信した遠隔制御情報に基づいて、移動体230を制御する。
【0057】
図8は、遠隔監視装置210の構成例を示す。遠隔監視装置210は、車両情報受信部211、車両状態分析部212、重要度計算部213、車両状態管理部214、監視者状態管理部215、監視者割当部216、監視画面表示部217、及び操作部218を有する。車両情報受信部211は、各移動体230の通信装置235(図7を参照)から送信された情報を受信する。車両情報受信部211が受信する情報は、移動体230に搭載される複数のカメラで撮影された映像を含み得る。車両情報受信部211は、例えば、移動体230の前方、後方、右側方、及び左側方の映像を受信する。車両情報受信部211は、移動体230から、車両センサ232が取得したセンサ情報を受信してもよい。車両情報受信部211は、図2に示される情報受信部111に対応する。
【0058】
車両状態分析部212は、車両情報受信部211が受信した情報を用いて、移動体230の状態を分析する。例えば、車両状態分析部212は、車両情報受信部211が受信した映像に対して映像分析を実施し、映像分析の結果に基づいて、移動体230の状態を分析する。車両状態分析部212は、複数の移動体230のそれぞれの状態を分析することで、各移動体230において所定の事象が発生したか否かを判断する。
【0059】
本実施形態において、車両状態分析部212は、所定の事象の検出をアラートとして発報する。車両状態分析部212が発報するアラートは、例えば、「路上駐車接近」、「交差点進入」、「横断歩道接近」、「危険エリア進入」、及び「停留所接近」を含み得る。車両状態分析部212は、例えば、物体検出、レーン検出、及び距離推定などの分析エンジンを利用し、走行レーン上の物体の距離変化から前方停止車両を認識する。例えば、車両状態分析部212は、走行レーン上に停止車両が認識された場合、「路上駐車接近」のアラートを発報する。車両状態分析部212は、例えば、外部情報220として記憶されている移動体のルート情報と、移動体230から取得した方向指示器などの情報、現在位置、及び指定位置又は路面標示の少なくとも1つとから、移動体が右折又は左折することを認識する。車両状態分析部212は、移動体が右折又は左折すると認識した場合、「交差点進入」のアラートを発報する。
【0060】
車両状態分析部212は、例えば、外部情報220として記憶されている地図情報、移動体の現在位置、及び指定位置又は路面標示から、移動体が横断歩道に接近していることを認識する。車両状態分析部212は、移動体が横断歩道に接近していることを認識した場合、「横断歩道接近」のアラートを発報する。車両状態分析部212は、移動体が横断歩道に接近していることを認識し、かつ、横断歩道の周囲に人が存在する場合に、「横断歩道接近」のアラートを発報してもよい。
【0061】
車両状態分析部212は、例えば、外部情報220として記憶されている地図情報、及び移動体の現在位置から、移動体が事前に設定された事故が起こりやすいエリアに進入したか否かを判断する。車両状態分析部212は、移動体が事故が起こりやすいエリアに進入した場合、「危険エリア進入」のアラートを発報する。車両状態分析部212は、外部情報220として記憶されている移動体のルート情報、及び移動体の現在位置から、移動体が停留所に接近しているか否かを判断する。車両状態分析部212は、移動体が停留所に接近した場合、「停留所接近」のアラートを発報する。車両状態分析部212は、外部情報220として記憶されている移動体の運行計画情報を参照し、現在時刻が、移動体が停留所に到着する時刻、又は停留所から発射する時刻に近い場合に、「停留所接近」のアラートを発報してもよい。
【0062】
車両状態分析部212は、複数の移動体のそれぞれについて、分析した車両の状態を車両状態管理部214に記憶する。車両状態管理部214は、例えば、発報されたアラートについて、その発生時刻、種別、及びアラート自体の重要度(優先度)を記憶する。アラート自体の重要度は、例えば人命に関わる可能性が高いアラートほど高く設定される。例えば、「交差点進入」、「横断歩道接近」、及び「危険エリア進入」のアラート自体の重要度は、高い重要度に設定される。車両状態管理部214は、移動体の現在位置、乗客数、次の目的地(停留所)への予測到着時刻及び目標到着時刻、車速、監視担当者、及び監視重要度を更に記憶する。
【0063】
重要度計算部213は、車両状態分析部212がアラートを発報した場合、言い換えれば移動体230において所定の事象が発生した場合、その移動体230の監視重要度を計算する。重要度計算部213は、例えば、発報されたアラート自体の重要度と、アラート発生からの経過時間と、移動体の車速と、道路状況(幹線道路、又は住宅街など)と、対処のリミットまでの時間とに応じて、監視重要度を計算してもよい。重要度計算部213は、例えば移動体がバスなどの車両である場合、乗客数、及び定刻運行からの差分値(遅れ時間)に応じて、重要度を計算してもよい。定刻運行からの差分値は、例えば、次の目的地への予測到着時間と、その目的地への定刻到着時間との差で表される。
【0064】
具体的に、重要度計算部213は、例えば、αを1より大きい所定の係数として、下記式を用いて重要度を計算してもよい。
重要度=α×(アラート自体の重要度)+(乗客数)×(定刻運行との差分値)
この場合、アラート自体の優先度を重視しつつ、定刻運行からの差分値と乗客数とに応じて、監視重要度を変化させることができる。重要度計算部213は、計算した監視重要度を、車両状態管理部214に記憶する。車両状態分析部212及び重要度計算部213は、図2に示される状態分析部112に対応する。
【0065】
監視者状態管理部215は、複数の監視者の情報を記憶する。監視者状態管理部215は、例えば、複数の監視者のそれぞれについて、累積監視時間、監視に使用する表示装置の識別子(ID)、在席フラグ、担当車両、及び監視の負荷指数を記憶する。監視者状態管理部215は、各監視者がどのアラートに関連した詳細な監視業務を担当可能かを示す情報を更に記憶してもよい。例えば、監視者状態管理部215は、ある監視者について、その監視者は「交差点進入」及び「横断歩道接近」が発報された場合の詳細な監視業務を担当可能であることを示す情報を記憶する。監視者状態管理部215は、図2に示される監視者状態管理部113に対応する。
【0066】
監視者割当部216は、車両状態分析部212でアラートが発報された場合、アラートが発報された移動体の詳細な監視業務を担当する監視者を決定する。その際、監視者割当部216は、発報されたアラートと監視者状態管理部215に記憶される各監視者の負荷指数とに基づいて、複数の監視者のうち、詳細な監視業務を担当する監視者を決定する。監視者ごとに、担当可能なアラートが決められている場合、監視者割当部216は、発生したアラートに対する詳細な監視業務が担当可能な監視者の中から、詳細な監視業務を担当する監視者を決定する。監視者割当部216は、図2に示される監視者割当部114に対応する。
【0067】
監視者割当部216は、監視業務を担当する監視者として決定した監視者の情報を監視画面表示部217に通知する。監視者割当部216は、決定した監視者の情報として、例えば、当該監視者の氏名、識別情報(ID)、座席番号、当該監視者の使用する表示装置の識別番号、及びIPアドレスなどの情報を監視画面表示部217に通知する。
【0068】
監視画面表示部217は、監視画面表示装置250における画面表示を制御する。監視画面表示部217は、車両状態分析部212がアラートを発報していない場合、監視画面表示装置250に、複数の移動体を監視するための全体監視画面(第1の監視画面)を表示させる。監視画面表示部217は、監視者割当部216がアラートが発報された移動体の詳細な監視業務を担当する監視者を決定した場合、その担当者が使用する表示装置に、アラートが発生した移動体230の詳細な監視画面(第2の監視画面)を表示させる。
【0069】
図9は、全体監視画面の一例を示す。図9の例では、全体監視画面は、計10台の移動体230の情報を表示する領域を含む。各移動体230の領域は、映像表示領域、アラート発生状況表示領域、及び地図情報表示領域を含む。映像表示領域は、移動体から受信された映像を表示する領域である。アラート発生状況表示領域は、移動体において発報されたアラートを通知するための領域である。地図情報表示領域は、移動体が走行している場所を表示する領域である。全体監視画面において、アラートが発生している移動体の情報を表示する領域の枠線は、所定の色、例えば赤色で表示されてもよいし、強調表示されてもよい。図9の例では、番号「03」の移動体においてアラートが発生しており、その移動体の情報を表示する領域が太い枠線で囲まれている。
【0070】
図10は、詳細監視画面の一例を示す。詳細監視画面には、例えば、監視者が担当する1台の移動体230の情報が表示される。詳細監視画面は、移動体230の前方、後方、右側方、及び左側方の映像が表示される領域を含む。詳細監視画面において、アラートが発生した移動体の情報は、図9に示される全体監視画面におけるその移動体の情報と比較して、拡大して表示される。担当者として決定された監視者は、詳細監視画面を見ることで、アラートが発報された移動体の詳細な監視業務を実施できる。映像表示領域において、例えば他の車両や歩行者などの、発報されたアラートが生じた要因となった対象物は矩形などの図形で囲まれていてもよい。その場合、監視者は、画面上で、発報されたアラートの要因となった対象物の位置などを知ることができる。
【0071】
なお、上記では、詳細監視画面に、監視者が担当する1台の移動体の情報が表示される例を示したが、本実施形態はこれには限定されない。詳細監視画面に、複数の移動体230の情報が表示される場合、監視者が担当する移動体の情報が表示される領域は、強調して表示されてもよい。例えば、複数の移動体の情報が表示される詳細監視画面において、監視者が担当する移動体の情報は、他の移動体の情報より大きなサイズで表示されてもよい。別の言い方をすると、監視者が担当する移動体の情報は拡大して表示され、他の移動体の情報は縮小して表示されてもよい。
【0072】
図8に戻り、操作部218は、移動体230に対する制御情報の入力を受け付ける。操作部218は、例えばタッチパネルやマウスなどの入力装置を含む。アラートが発生した移動体の詳細な監視業務を担当する監視者は、詳細監視画面(図10を参照)に表示された映像を見ることで、移動体230の周囲の状況を判断する。監視者は、操作部218に対し、移動体230に対する制御情報を、アラートに対する対処として入力する。アラートに対する対処は、例えば「対処の必要なし」、「停止」、「発進指示」、「自動追越し指示」、「遠隔運転への切替え」などが考えられる。操作部218は、全体監視画面を用いて複数の移動体230を監視する監視者から、任意の移動体230に対する制御情報を受け付けることもできる。
【0073】
操作部218は、ネットワーク270(図6を参照)を介して、移動体230に監視者が入力した制御情報を示す制御信号を送信する。移動体230の通信装置235(図7を参照)は、遠隔監視装置210から制御信号を受信する。移動体230において、自動制御ECU234は、受信された制御信号が示す制御内容に従って、移動体230を制御する。操作部218は、移動体230を遠隔で制御するための情報を、移動体230に送信してもよい。操作部218は、例えば、ステアリングホイール、アクセルペダル、及びブレーキペダルなどの車両を遠隔で操縦するための設備を含む。監視者(遠隔運転者)は、詳細監視画面に表示された映像を見ながらステアリングホイールなどの操作を行うことができる。操作部218は、ステアリングホイールの操作量などを示す情報を、移動体230に送信する。
【0074】
本実施形態では、車両状態分析部212においてアラートが発報されていない場合、複数の移動体230は、複数の監視者により監視される。複数の監視者の一部は、AI(Artificial Intelligence)を用いた装置であってもよい。監視者の数が監視される移動体230の数より少ない場合、移動体230の監視を効率的に実施できる。車両状態分析部212においてアラートが発報された場合、監視者割当部216は、複数の監視者の中から、アラートが発報された移動体230の詳細な監視業務を行う監視者を決定する。その際、監視者割当部216は、各監視者の過去の監視業務の負荷指数を用いて、詳細な監視業務を行う監視者を決定する。担当者として決定された監視者は、アラートが発報された移動体230の詳細な監視業務を行う。本実施形態では、過去に担当した監視業務の負荷指数を用いて、詳細な監視業務を担当する監視担当者が決定されるため、複数の監視者間で、監視業務の負荷を平準化することができる。従って、本実施形態は、特定の監視者に大きな労力を要する監視業務が集中することを抑制できる。
【0075】
本開示の第3実施形態を説明する。図11は、本開示の第3実施形態に係る監視システムを示す。本実施形態において、監視システム300は、監視装置310、複数の現場330、及び監視画面表示装置350を有する。本実施形態は、第1実施形態で説明した監視システム100が複数の現場330の監視に適用される実施形態である。
【0076】
監視装置310は、複数の現場330を監視するための装置である。図11において、監視装置310は、現場A330と現場B330とを、遠隔で監視するために使用される。現場Aと現場Bとは、必ずしも別の場所の現場である必要ない。例えば、現場Aと現場Bは、同じ現場で異なるエリアのカメラの撮像データ及びセンサ情報であったり、同じ現場について異なる場所から撮像したカメラの撮像データ及びセンサ情報を取得するものであってもよい。監視装置310は、ネットワーク370を介して複数の現場330と接続される。ネットワーク370は、例えば、無線通信網、有線通信網、又はそれらの組み合わせを含む。監視装置310は、図1に示される監視装置110に対応する。監視画面表示装置350は、監視者(オペレータ)に、現場330の監視に用いられる情報を表示するための表示装置である。監視画面表示装置350は、図6に示される監視画面表示装置250に対応する。
【0077】
各現場330は、監視装置310によって監視される。各現場330は、例えば工事現場などの、重機などの作業用車両が稼働している現場であってよい。各現場330は、現場情報送信部331、及び1以上のカメラ332を有する。カメラ322は、定点カメラであってもよいし、作業用車両に搭載されたカメラであってもよい。現場情報送信部331は、各カメラ332が撮影した映像を、ネットワーク370を介して監視装置310に送信する。現場情報送信部331は、作業用車両のセンサデータを、監視装置310に送信してもよい。作業用車両のセンサデータは、例えばバケットの角度、及びアームの角度などの情報を含む。カメラ332は、図1に示されるセンサ130に対応する。
【0078】
図12は、監視装置310の構成例を示す。監視装置310は、現場情報受信部311、現場状態分析部312、重要度計算部313、現場状態管理部314、監視者状態管理部315、監視者割当部316、監視画面表示部317、及び操作部318を有する。現場情報受信部311は、各現場330の現場情報送信部331(図11を参照)から送信された情報を受信する。現場情報受信部311は、各現場330から、カメラ332で撮影された映像を受信する。現場情報受信部311は、図2に示される情報受信部111に対応する。
【0079】
現場状態分析部312は、現場情報受信部311が受信した情報を用いて、現場330の状態を分析する。例えば、現場状態分析部312は、現場情報受信部311が受信した映像に対して映像分析を実施し、映像分析の結果に基づいて、現場330の状態を分析する。現場状態分析部312は、複数の現場330における複数の映像のそれぞれの状態を分析することで、各現場330のカメラ332の撮影範囲において所定の事象が発生したか否かを判断する。
【0080】
本実施形態において、現場状態分析部312は、所定の事象の検出を、アラートとして発報する。現場状態分析部312が発報するアラートは、例えば、「不安全行動」、及び「作業ミス」を含み得る。現場状態分析部312は、例えば、カメラ332の映像に対して、人物検知、人物骨格検出、及び関係機材物体検出を行う。例えば、現場状態分析部312は、カメラ332の映像から、ショベルカーなどの作業用車両と作業員とを検出する。現場状態分析部312は、作業用車両と作業員との間の距離が所定距離以内の場合、「不安全行動」のアラートを発報する。
【0081】
現場状態分析部312は、例えば、カメラ332の映像から、高所作業用足場を識別し、高所作業用足場で作業している作業員が、安全フックを装着しているか否かを判断してもよい。現場状態分析部312は、高所作業用足場で作業している作業員が安全フックを装着していないと判断した場合、「不安全行動」のアラートを発報する。
【0082】
現場状態分析部312は、例えば、カメラ332の映像から、作業の進行状況を分析する。現場状態分析部312は、作業が、あらかじめ定められた作業手順に従って実施されていない場合、「作業ミス」のアラートを発報する。一例として、現場状態分析部312は、転圧機における転圧作業の状況を分析する。現場状態分析部312は、転圧回数が所定回数に満たない場合、「作業ミス」のアラートを発報する。
【0083】
現場状態分析部312は、複数の現場のそれぞれについて、分析した現場の状態を現場状態管理部314に記憶する。現場状態管理部314は、例えば、発報されたアラートについて、その発生時刻、種別、及びアラート自体の重要度を記憶する。アラート自体の重要度は、例えば事故が発生する可能性が高いアラートほど高く設定される。例えば、「不安全行動」のアラート自体の重要度は、高い重要度に設定される。現場状態管理部314は、カメラ332の映像に含まれる物体の種類、及び物体の数を記憶してもよい。
【0084】
重要度計算部313は、各カメラ332の撮影範囲において所定の事象が発生したと判断された場合、現場において発生した所定の事象の監視重要度を計算する。重要度計算部313は、例えば、発報されたアラート自体の重要度と、関係機材と人との間の距離、及び対処済みであるか否かに応じて、監視重要度を計算してもよい。重要度計算部313は、カメラ332の撮影範囲に複数の種類の物体が存在する場合、種類ごとの物体の数に応じて、監視重要度を計算してもよい。
【0085】
具体的に、重要度計算部313は、例えば、αを1より大きい所定の係数とし、βを物体iに対する所定の係数として、下記式を用いて重要度を計算してもよい。
重要度=α×(アラート自体の重要度)+Σ[β×(物体iの数)]
この場合、アラート自体の優先度を重視しつつ、種類ごとの物体の数に応じて、監視重要度を変化させることができる。重要度計算部313は、計算した監視重要度を、現場状態管理部314に記憶する。現場状態分析部312及び重要度計算部313は、図2に示される状態分析部112に対応する。
【0086】
監視者状態管理部315は、複数の監視者の情報を記憶する。監視者状態管理部315は、例えば、複数の監視者のそれぞれについて、累積監視時間、監視に使用する表示装置の識別子(ID:Identifier)、在席フラグ、担当現場(カメラ)、及び監視の負荷指数を記憶する。監視者状態管理部315は、各監視者がどのアラートに関連した詳細な監視業務を担当可能かを示す情報を更に記憶してもよい。監視者状態管理部315は、図2に示される監視者状態管理部113に対応する。
【0087】
監視者割当部316は、現場状態分析部312でアラートが発報された場合、アラートが発報されたカメラ映像の詳細な監視業務を担当する監視者を決定する。その際、監視者割当部316は、発報されたアラートと監視者状態管理部315に記憶される各監視者の負荷指数とに基づいて、複数の監視者のうち、詳細な監視業務を担当する監視者を決定する。監視者ごとに、担当可能なアラートが決められている場合、監視者割当部316は、発生したアラートに対する詳細な監視業務が担当可能な監視者の中から、詳細な監視業務を担当する監視者を決定する。監視者割当部316は、図2に示される監視者割当部114に対応する。
【0088】
監視画面表示部317は、監視画面表示装置350における画面表示を制御する。監視画面表示部317は、現場状態分析部312がアラートを発報していない場合、監視画面表示装置350に、複数の現場を監視するための全体監視画面を表示させる。監視画面表示部317は、監視者割当部316がアラートが発報された現場の詳細な監視業務を担当する監視者を決定した場合、その担当者が使用する表示装置に、アラートが発生した現場の詳細な監視画面を表示させる。
【0089】
図13は、全体監視画面の一例を示す。図13の例では、全体監視画面は、計4つの現場(カメラ)の映像を表示する領域を含む。全体監視画面において、アラートが発生しているカメラの映像を表示する領域の枠線は、所定の色、例えば赤色で表示されてもよいし、強調表示されてもよい。図13の例では、CAM2のカメラにおいてアラートが発生しており、そのカメラの映像を表示する領域が太い枠線で囲まれている。全体監視画面には、アラートの通知履歴が表示されてもよいし、各映像に撮像された対象の動作や工程などの情報が表示されてもよい。
【0090】
図14は、詳細監視画面の一例を示す。詳細監視画面には、例えば、監視者が担当する1台のカメラの映像が表示される。詳細監視画面において、アラートが発生したカメラの映像は、図13に示される全体監視画面におけるそのカメラの映像と比較して、拡大して表示される。担当者として決定された監視者は、詳細監視画面を見ることで、アラートが発報された現場の詳細な監視業務を実施できる。映像表示領域において、例えば重機や人などの、発報されたアラートが生じた要因となった物体は矩形などの図形で囲まれていてもよい。その場合、監視者は、画面上で、発報されたアラートの要因となった物体の位置などを知ることができる。
【0091】
図12に戻り、操作部318は、現場330に対する制御情報の入力を受け付ける。アラートが発生した現場の詳細な監視業務を担当する監視者は、詳細監視画面(図14を参照)に表示された映像を見ることで、その現場の状況を判断する。監視者は、操作部318に対し、現場への注意喚起を行うための制御情報を、アラートに対する対処として入力する。作業用車両が遠隔で制御可能な場合、監視者は、作業用車両の制御情報を、アラートに対する対処として入力できる。
【0092】
操作部318は、ネットワーク370(図6を参照)を介して、現場330に監視者が入力した制御情報を示す制御信号を送信する。現場330において、例えば図示されないスピーカやランプなどの報知部は、現場で作業する人に対して、アラートを通知する。制御信号が、作業用車両の制御情報を含む場合、作業用車両は制御情報に従って動作する。
【0093】
本実施形態では、現場状態分析部312においてアラートが発報されていない場合、複数の現場330は、複数の監視者により監視される。監視者の数が監視される現場330の数より少ない場合、現場330の監視を効率的に実施できる。現場状態分析部312においてアラートが発報された場合、監視者割当部316は、複数の監視者の中から、アラートが発報された現場330の詳細な監視業務を行う監視者を決定する。その際、監視者割当部316は、各監視者の過去の監視業務の負荷指数を用いて、詳細な監視業務を行う監視者を決定する。担当者として決定された監視者は、アラートが発報された現場330の詳細な監視業務を行う。本実施形態では、過去に担当した監視業務の負荷指数を用いて、詳細な監視業務を担当する監視担当者が決定されるため、複数の監視者間で、監視業務の負荷を平準化することができる。従って、本実施形態においても、第2実施形態と同様に、特定の監視者に大きな労力を要する監視業務が集中することを抑制できる。
【0094】
なお、上記第2実施形態及び第3実施形態では、全体監視画面(図9及び図13を参照)において、アラートが発生した監視対象を強調するために、赤色の枠線が用いられる例を説明した。しかしながら、本開示はこれには限定されない。枠線の表示色は、赤色には限定されず、青色や緑色であってもよい。枠線を点滅表示することで、アラートが発生した監視対象を強調してもよい。
【0095】
上記に代えて、又は加えて、全体監視画面において、アラートが発生した監視対象と、アラートが発生していない監視対象とで、表示の明るさを変えることで、アラートが発生した監視対象を強調してもよい。例えば、全体監視画面において、アラートが発生していない監視対象の表示輝度を下げ、アラートが発生した監視対象を、相対的に明るく表示してもよい。
【0096】
全体監視画面において、アラートが発生した監視対象の監視重要度に応じて、強調表示の態様を変えてもよい。例えば、全体監視画面において、監視重要度が最も高い監視対象については、その監視対象の情報を表示する領域を囲む赤色の枠線が点滅表示されてもよい。全体監視画面において、監視重要度がそれほど高くない監視対象については、その監視対象の情報を表示する領域が、赤色とは異なる色、例えば青色の枠線で囲まれてもよい鵜。その場合、監視者は、複数の監視対象において監視重要度が異なる状況が発生した場合に、監視重要度が高い状況が発生した監視対象を容易に認識できる。
【0097】
本開示において、監視装置110は、コンピュータ装置(サーバ装置)として構成され得る。図15は、監視装置110として用いられ得るコンピュータ装置の構成例を示す。コンピュータ装置500は、制御部(CPU:Central Processing Unit)510、記憶部520、ROM(Read Only Memory)530、RAM(Random Access Memory)540、通信インタフェース(IF:Interface)550、及びユーザインタフェース560を有する。コンピュータ装置500は、遠隔監視装置210、又は監視装置310として用いられ得る。
【0098】
通信インタフェース550は、有線通信手段又は無線通信手段などを介して、コンピュータ装置500と通信ネットワークとを接続するためのインタフェースである。ユーザインタフェース560は、例えばディスプレイなどの表示部を含む。また、ユーザインタフェース560は、キーボード、マウス、及びタッチパネルなどの入力部を含む。
【0099】
記憶部520は、各種のデータを保持できる補助記憶装置である。記憶部520は、必ずしもコンピュータ装置500の一部である必要はなく、外部記憶装置であってもよいし、ネットワークを介してコンピュータ装置500に接続されたクラウドストレージであってもよい。
【0100】
ROM530は、不揮発性の記憶装置である。ROM530には、例えば比較的容量が少ないフラッシュメモリなどの半導体記憶装置が用いられる。CPU510が実行するプログラムは、記憶部520又はROM530に格納され得る。記憶部520又はROM530は、例えば遠隔監視装置210内の各部の機能を実現するための各種プログラムを記憶する。
【0101】
プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、Compact Disc (CD)、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0102】
RAM540は、揮発性の記憶装置である。RAM540には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)又はSRAM(Static Random Access Memory)などの各種半導体メモリデバイスが用いられる。RAM540は、データなどを一時的に格納する内部バッファとして用いられ得る。CPU510は、記憶部520又はROM530に格納されたプログラムをRAM540に展開し、実行する。CPU510がプログラムを実行することで、遠隔監視装置210内の各部の機能が実現され得る。CPU510は、データなどを一時的に格納できる内部バッファを有してもよい。
【0103】
以上、本開示の実施形態を詳細に説明したが、本開示は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に対して変更や修正を加えたものも、本開示に含まれる。
【0104】
例えば、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0105】
[付記1]
複数の監視対象のそれぞれから1以上のセンサデータを受信する情報受信手段と、
前記センサデータに基づいて前記複数の監視対象のそれぞれの状態を分析し、各監視対象における所定の事象の発生を判断する状態分析手段と、
前記複数の監視対象のうち少なくとも1つを監視する複数の監視者のそれぞれについて、監視業務の労力を示す負荷指数を管理する監視者状態管理手段と、
前記状態分析手段で1以上の監視対象において前記所定の事象が発生したと判断された場合、前記発生した所定の事象と前記負荷指数とに基づいて、前記複数の監視者のうち、前記所定の事象が発生したと判断された監視対象の監視業務を担当する監視者を決定する監視者割当手段とを備える監視装置。
【0106】
[付記2]
前記状態分析手段は、更に、前記監視対象において発生した所定の事象の監視重要度を計算し、
前記監視者状態管理手段は、前記監視者割当手段にて決定された監視者が前記監視業務を行った場合、当該監視者の負荷指数を、前記監視重要度に応じて更新する、付記1に記載の監視装置。
【0107】
[付記3]
前記監視者割当手段は、前記複数の監視対象において所定の事象が発生したと判断された場合、前記監視重要度が高い順に、前記監視業務を担当する監視者を決定する、付記2に記載の監視装置。
【0108】
[付記4]
前記監視対象は移動体であり、
前記状態分析手段は、前記移動体に乗車している乗員の数、前記移動体が走行している道路の状況、又はそれらの組み合わせに応じて、前記監視重要度を計算する、付記2又は3に記載の監視装置。
【0109】
[付記5]
前記監視者状態管理手段は、前記複数の監視者のそれぞれが担当可能な監視業務を更に管理し、
前記監視者割当手段は、前記複数の監視者のうち、前記所定の事象が発生したと判断された監視対象の監視業務を担当可能な1以上の監視者を特定し、前記発生した所定の事象と前記負荷指数とに基づいて、該特定した1以上の監視者のうち前記監視業務を担当する監視者を決定する、付記1から4何れか1項に記載の監視装置。
【0110】
[付記6]
前記監視者状態管理手段は、前記監視業務における、前記複数の監視者のそれぞれの前記所定の事象に対する対応能力を更に管理し、
前記監視者割当手段は、更に前記対応能力に基づいて、前記監視業務を担当する監視者を決定する、付記1から5何れか1項に記載の監視装置。
【0111】
[付記7]
前記決定された監視者が使用する表示装置に、前記所定の事象が発生したと判断された監視対象から受信された1以上のセンサデータを表示する監視画面表示手段を更に有し、
前記監視画面表示手段は、前記表示装置に、前記複数の監視対象を監視するための第1の監視画面と、前記所定の事象が発生したと判断された監視対象を監視するための第2の監視画面とを表示可能であり、前記状態分析手段で1以上の監視対象において前記所定の事象が発生したと判断されていない場合、前記監視者に前記第1の監視画面を用いて前記複数の監視対象の監視を実施させ、前記監視者割当手段で前記所定の事象が発生したと判断された監視対象の監視業務を担当する監視者が決定された場合、該決定された監視者が使用する表示装置に前記第2の監視画面を表示し、当該監視者に前記所定の事象が発生したと判断された監視対象の監視を実施させる、付記1から6何れか1項に記載の監視装置。
【0112】
[付記8]
複数の監視対象を監視するために使用される監視装置と、
前記複数の監視対象のセンサデータを取得する複数のセンサとを備え、
前記監視装置は、
前記複数のセンサからセンサデータを受信する情報受信手段と、
前記センサデータに基づいて前記複数の監視対象のそれぞれの状態を分析し、各監視対象における所定の事象の発生を判断する状態分析手段と、
前記複数の監視対象のうち少なくとも1つを監視する複数の監視者のそれぞれについて、監視業務の労力を示す負荷指数を管理する監視者状態管理手段と、
前記状態分析手段で1以上の監視対象において前記所定の事象が発生したと判断された場合、前記発生した所定の事象と前記負荷指数とに基づいて、前記複数の監視者のうち、前記所定の事象が発生したと判断された監視対象の監視業務を担当する監視者を決定する監視者割当手段とを備える、監視システム。
【0113】
[付記9]
前記状態分析手段は、更に、前記監視対象において発生した所定の事象の監視重要度を計算し、
前記監視者状態管理手段は、前記監視者割当手段にて決定された監視者が前記監視業務を行った場合、当該監視者の負荷指数を、前記監視重要度に応じて更新する、付記8に記載の監視システム。
【0114】
[付記10]
前記監視者割当手段は、前記複数の監視対象において所定の事象が発生したと判断された場合、前記監視重要度が高い順に、前記監視業務を担当する監視者を決定する、付記9に記載の監視システム。
【0115】
[付記11]
前記監視対象は移動体であり、
前記状態分析手段は、前記移動体に乗車している乗員の数、前記移動体が走行している道路の状況、又はそれらの組み合わせに応じて、前記監視重要度を計算する、付記9又は10に記載の監視システム。
【0116】
[付記12]
前記監視者状態管理手段は、前記複数の監視者のそれぞれが担当可能な監視業務を更に管理し、
前記監視者割当手段は、前記複数の監視者のうち、前記所定の事象が発生したと判断された監視対象の監視業務を担当可能な1以上の監視者を特定し、前記発生した所定の事象と前記負荷指数とに基づいて、該特定した1以上の監視者のうち前記監視業務を担当する監視者を決定する、付記8から11何れか1項に記載の監視システム。
【0117】
[付記13]
前記監視者状態管理手段は、前記監視業務における、前記複数の監視者のそれぞれの前記所定の事象に対する対応能力を更に管理し、
前記監視者割当手段は、更に前記対応能力に基づいて、前記監視業務を担当する監視者を決定する、付記8から12何れか1項に記載の監視システム。
【0118】
[付記14]
前記監視装置は、前記決定された監視者が使用する表示装置に、前記所定の事象が発生したと判断された監視対象から受信された1以上のセンサデータを表示する監視画面表示手段を更に有し、
前記監視画面表示手段は、前記表示装置に、前記複数の監視対象を監視するための第1の監視画面と、前記所定の事象が発生したと判断された監視対象を監視するための第2の監視画面とを表示可能であり、前記状態分析手段で1以上の監視対象において前記所定の事象が発生したと判断されていない場合、前記監視者に前記第1の監視画面を用いて前記複数の監視対象の監視を実施させ、前記監視者割当手段で前記所定の事象が発生したと判断された監視対象の監視業務を担当する監視者が決定された場合、該決定された監視者が使用する表示装置に前記第2の監視画面を表示し、当該監視者に前記所定の事象が発生したと判断された監視対象の監視を実施させる、付記8から13何れか1項に記載の監視システム。
【0119】
[付記15]
複数の監視対象のそれぞれから1以上のセンサデータを受信し、
前記センサデータに基づいて前記複数の監視対象のそれぞれの状態を分析し、各監視対象における所定の事象の発生を判断し、
1以上の監視対象において前記所定の事象が発生したと判断された場合、前記発生した所定の事象と監視者の監視業務の労力を示す負荷指数とに基づいて、前記複数の監視対象のうち少なくとも1つを監視する複数の監視者のうち、前記所定の事象が発生したと判断された監視対象の監視業務を担当する監視者を決定する監視方法。
【0120】
[付記16]
前記監視対象において発生した所定の事象の監視重要度を計算し、
前記決定された監視者が前記監視業務を行った場合、当該監視者の負荷指数を、前記監視重要度に応じて更新することを更に有する、付記15に記載の監視方法。
【0121】
[付記17]
前記複数の監視対象において所定の事象が発生したと判断された場合、前記監視重要度が高い順に、前記監視業務を担当する監視者を決定する、付記16に記載の監視方法。
【0122】
[付記18]
前記監視対象は移動体であり、
前記監視重要度の計算では、前記移動体に乗車している乗員の数、前記移動体が走行している道路の状況、又はそれらの組み合わせに応じて、前記監視重要度を計算する、付記16又は17に記載の監視方法。
【0123】
[付記19]
前記監視業務を担当する監視者を決定することは、前記複数の監視者のうち、前記所定の事象が発生したと判断された監視対象の監視業務を担当可能な1以上の監視者を特定し、前記発生した所定の事象と前記負荷指数とに基づいて、該特定した1以上の監視者のうち前記監視業務を担当する監視者を決定することを含む、付記15から18何れか1項に記載の監視方法。
【0124】
[付記20]
前記監視業務を担当する監視者を決定することは、前記監視業務における、前記監視者の前記所定の事象に対する対応能力に基づいて、前記監視業務を担当する監視者を決定することを含む、付記15から19何れか1項に記載の監視方法。
【0125】
[付記21]
前記決定された監視者が使用する表示装置に、前記所定の事象が発生したと判断された監視対象から受信された1以上のセンサデータを表示することを更に有し、
前記監視対象において前記所定の事象が発生したと判断されていない場合、前記監視者に前記複数の監視対象を監視するための第1の監視画面を用いて前記複数の監視対象の監視を実施させ、前記所定の事象が発生したと判断された監視対象の監視業務を担当する監視者が決定された場合、該決定された監視者が使用する表示装置に前記所定の事象が発生したと判断された監視対象を監視するための第2の監視画面を表示し、当該監視者に前記所定の事象が発生したと判断された監視対象の監視を実施させる、付記15から20何れか1項に記載の監視方法。
【符号の説明】
【0126】
100:監視システム
110:監視装置
111:情報受信部
112:状態分析部
113:監視者状態管理部
114:監視者割当部
130:センサ
200:遠隔監視システム
210:遠隔監視装置
211:車両情報受信部
212:車両状態分析部
213:重要度計算部
214:車両状態管理部
215:監視者状態管理部
216:監視者割当部
217:監視画面表示部
218:操作部
230:移動体
231:周辺監視センサ
232:車両センサ
233:車両制御ECU
234:自動運転ECU
235:通信装置
250:監視画面表示装置
270:ネットワーク
300:監視システム
310:監視装置
311:現場情報受信部
312:現場状態分析部
313:重要度計算部
314:現場状態管理部
315:監視者状態管理部
316:監視者割当部
317:監視画面表示部
318:操作部
330:現場
331:現場情報送信部
332:カメラ
350:監視画面表示装置
370:ネットワーク
500:コンピュータ装置
510:CPU
520:記憶部
530:ROM
540:RAM
550:通信インタフェース
560:ユーザインタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15