(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】調査領域判定装置、調査領域判定システム、調査領域判定方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 13/90 20060101AFI20250304BHJP
【FI】
G01S13/90 191
(21)【出願番号】P 2023541194
(86)(22)【出願日】2021-08-13
(86)【国際出願番号】 JP2021029796
(87)【国際公開番号】W WO2023017612
(87)【国際公開日】2023-02-16
【審査請求日】2024-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】菅原 千里
(72)【発明者】
【氏名】木村 洋介
(72)【発明者】
【氏名】十文字 奈々
(72)【発明者】
【氏名】石井 孝和
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 大輔
(72)【発明者】
【氏名】平田 寛道
(72)【発明者】
【氏名】大野 翔平
【審査官】山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/084698(WO,A1)
【文献】特開平11-283009(JP,A)
【文献】国際公開第2019/188509(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02990998(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00-17/95
G01C 7/00-15/00
G06Q50/26
G08B25/00-25/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ情報取得装置が取得したセンサ情報を用いて災害状況の調査の候補領域を抽出する候補領域抽出手段と、
前記候補領域における地表測定装置の測定結果を用いた分析の結果である地表変化を取得する地表情報取得手段と、
前記地表変化を用いて、前記候補領域における災害状況の調査領域を判定する調査領域判定手段と
を
含み、
前記候補領域が、前記候補領域の抽出に用いる前記センサ情報の未取得領域を含む
調査領域判定装置。
【請求項2】
前記候補領域が、前記未取得領域における前記センサ情報を取得できなかった領域を含む
請求項1に記載の調査領域判定装置。
【請求項3】
前記候補領域が、前記センサ情報取得装置を搭載する移動体が移動可能な領域である
請求項1又は2に記載の調査領域判定装置。
【請求項4】
前記センサ情報取得装置を搭載する移動体が車両である
請求項3に記載の調査領域判定装置。
【請求項5】
前記センサ情報が、画像、速度、加速度、及び、距離の少なくとも一つを含む
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の調査領域判定装置。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれか1項に記載の調査領域判定装置と、
前記調査領域判定装置に前記センサ情報を出力する前記センサ情報取得装置と、
前記調査領域判定装置に前記測定結果を出力する前記地表測定装置と、
前記調査領域判定装置から前記調査領域を取得して表示する表示装置と
を含む調査領域判定システム。
【請求項7】
センサ情報取得装置が取得したセンサ情報を用いて災害状況の調査の候補領域を抽出し、
前記候補領域における地表測定装置の測定結果を用いた分析の結果である地表変化を取得し、
前記地表変化を用いて、前記候補領域における災害状況の調査領域を
判定し、
前記候補領域が、前記候補領域の抽出に用いる前記センサ情報の未取得領域を含む
調査領域判定方法。
【請求項8】
調査領域判定装置が、
請求項7に記載の方法を実行し、
前記センサ情報取得装置が、前記調査領域判定装置に前記センサ情報を出力し、
前記地表測定装置が、前記調査領域判定装置に前記測定結果を出力し、
表示装置が、前記調査領域判定装置から前記調査領域を取得して表示する
調査領域判定方法。
【請求項9】
センサ情報取得装置が取得したセンサ情報を用いて災害状況の調査の候補領域を抽出する処理と、
前記候補領域における地表測定装置の測定結果を用いた分析の結果である地表変化を取得する処理と、
前記地表変化を用いて、前記候補領域における災害状況の調査領域を判定する処理と
をコンピュータに
実行させ、
前記候補領域が、前記候補領域の抽出に用いる前記センサ情報の未取得領域を含む
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調査領域の判定に関し、特に、災害状況の調査領域の判定に関連する。
【背景技術】
【0002】
災害の状況の調査を支援するために、各種の技術が提案されている。例えば、特許文献1及び2には、災害の状況の調査を支援する技術が記載されている。特許文献1に記載の災害対策支援方法は、人工衛星に搭載された合成開口レーダーを用いて、被災状況を把握する。特許文献2に記載の車両の制御装置は、被災したと判定すると、車両に搭載された撮像部を用いて画像を撮影し、画像と位置情報とを対応付けて蓄積する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開2008/016153号
【文献】特開2020-127091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術は、合成開口レーダーを用いた技術のため、災害の詳細な状況を把握できない場合があった。特許文献2に記載の技術は、災害発生時における車両の位置の画像を取得する技術のため、災害状況の調査に用いることができる画像を取得できない場合があった。そこで、適切な災害状況の調査領域の判定が望まれている。
【0005】
本発明の目的は、適切な調査領域を判定する調査領域判定装置などを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態における調査領域判定装置は、
センサ情報取得装置が取得したセンサ情報を用いて災害状況の調査の候補領域を抽出する候補領域抽出手段と、
候補領域における地表測定装置の測定結果を用いた分析の結果である地表変化を取得する地表情報取得手段と、
地表変化を用いて、候補領域における災害状況の調査領域を判定する調査領域判定手段と
を含む。
【0007】
本発明の一形態における調査領域判定システムは、
上記の調査領域判定装置と、
調査領域判定装置にセンサ情報を出力するセンサ情報取得装置と、
調査領域判定装置に測定結果を出力する地表測定装置と、
調査領域判定装置から調査領域を取得して表示する表示装置と
を含む。
【0008】
本発明の一形態における調査領域判定方法は、
センサ情報取得装置が取得したセンサ情報を用いて災害状況の調査の候補領域を抽出し、
候補領域における地表測定装置の測定結果を用いた分析の結果である地表変化を取得し、
地表変化を用いて、候補領域における災害状況の調査領域を判定する。
【0009】
本発明の一形態における調査領域判定方法は、
調査領域判定装置が、上記の方法を実行し、
センサ情報取得装置が、調査領域判定装置にセンサ情報を出力し、
地表測定装置が、調査領域判定装置に測定結果を出力し、
表示装置が、調査領域判定装置から調査領域を取得して表示する。
【0010】
本発明の一形態における記録媒体は、
センサ情報取得装置が取得したセンサ情報を用いて災害状況の調査の候補領域を抽出する処理と、
候補領域における地表測定装置の測定結果を用いた分析の結果である地表変化を取得する処理と、
地表変化を用いて、候補領域における災害状況の調査領域を判定する処理と
をコンピュータに実行させるプログラムを記録する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に基づくと、適切な調査領域を判定するとの効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施形態にかかる調査領域判定システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態にかかる調査領域判定システムの構成の一例を示す概念図である。
【
図4】調査領域及び危険領域を説明するための図である。
【
図5】第1の実施形態にかかる調査領域判定装置の動作の一例を示すフロー図である。
【
図6】調査領域判定装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】第2の実施形態にかかる調査領域判定システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】災害範囲の予測に基づく調査領域を説明するための図である。
【
図9】第2の実施形態にかかる調査領域判定装置の動作の一例を示すフロー図である。
【
図10】第3の実施形態にかかる調査領域判定装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図11】第4の実施形態にかかる調査領域判定システムの構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明における実施形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明の各実施形態は、図面の記載に限定されるものではない。また、各実施形態は、適宜組み合わせることができる。
【0014】
<用語>
「センサ情報取得装置」とは、所定のセンサを備え、構造物及びその周辺に関連するセンサ情報を取得する装置である。例えば、構造物は、道路、橋梁、のり枠、堤防、桟橋、護岸、又は、滑走路を含んでもよい。センサ情報については、後ほど、説明する。センサ情報取得装置は、移動体に搭載又は牽引されて移動する装置でもよいし、固定された装置でもよい。例えば、移動する装置は、ドライブレコーダーでもよい。固定された装置は、固定カメラでもよい。例えば、移動体は、車両、無人航空機(ドローン)、又は、人を含んでもよい。センサ情報取得装置として用いられる固定カメラは、撮影方向が固定されたカメラに限らず、ある一定の範囲において撮影方向及び撮影位置の少なくとも一方を変更できるカメラでもよい。
【0015】
「センサ情報」とは、構造物の状況及びその周辺の状況を判定するために、所定のセンサを用いて取得された情報である。例えば、センサは、カメラ、速度計、加速度計、角度計、又は、距離計を含んでもよい。また、例えば、取得された情報は、画像、速度、加速度、角度、又は、距離を含んでもよい。例えば、センサ情報は、道路及び橋梁などの構造物を走行する車両に搭載されたドライブレコーダーが撮影した画像又は測定した加速度である。あるいは、センサがLIDAR(Light Detection and Ranging)の場合、センサ情報は、距離の情報である。センサ情報は、複数の情報を含んでもよい。例えば、複数の情報は、画像と加速度、又は、動画のような複数画像でもよい。ただし、センサ情報は、画像、速度、加速度、及び、距離に限定されず、災害の判定に用いることができる情報であれば、任意の情報でよい。言い換えると、センサは、カメラ、速度計、加速度計、角度計、又は、距離計に限定されない。
【0016】
さらに、センサ情報は、センサ情報の取得に関連する情報を含んでいてもよい。例えば、センサ情報は、センサ情報の取得に関連する情報として、取得時間、又は、取得位置を含んでもよい。以下、センサ情報の取得に関連する情報を「取得関連情報」と呼ぶ。あるいは、センサ情報は、センサ情報取得装置に関連する情報、又は、センサに関連する情報を含んでもよい。例えば、センサ情報は、センサ情報取得装置に関連する情報として、センサ情報取得装置の装置名、取り付け位置、又は、向きを含んでもよいし、センサに関連する情報として、センサの仕様などを含んでもよい。以下、センサ情報取得装置に関連する情報、及び、センサに関連する情報をまとめて、「取得装置情報」と呼ぶ。
【0017】
さらに、センサ情報は、センサ情報取得装置を搭載した移動体に関連する情報を含んでもよい。例えば、移動体は、車両である。あるいは、例えば、移動体に関連する情報は、車両の型番である。以下、移動体に関連する情報を「移動体情報」と呼ぶ。さらに、センサ情報は、センサ情報取得装置を搭載した移動体の操作に関連する情報を含んでもよい。移動体は、例えば、車両である。移動体の操作に関連する情報は、車両の場合、例えば、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、ハンドル、ワイパー、ウインカー、及び、ドアの開閉などの操作に関連する情報である。以下、移動体の操作に関連する情報を「操作情報」と呼ぶ。あるいは、センサ情報は、センサ情報の取得におけるセンサ情報取得装置の周辺に関連する情報を含んでもよい。例えば、周辺に関連する情報は、天気、温度、湿度、照度、混雑度、又は、音声を含んでもよい。以下、周辺に関連する情報を「周辺情報」と呼ぶ。あるいは、センサ情報は、取得作業の作業者が追加した情報を含んでもよい。作業者が追加した情報は、例えば、作業者のコメントである。以下、作業者が追加した情報を「追加情報」と呼ぶ。
【0018】
以下、センサが取得した情報を除いたセンサ情報に含まれる情報をまとめて「関連情報」と呼ぶ。例えば、センサが取得した情報は、画像でもよい。また、センサ情報に含まれる情報は、取得関連情報、取得装置情報、移動体情報、操作情報、周辺情報、及び、追加情報の少なくとも一つを含む情報でもよい。このように、センサ情報は、センサが取得した情報に加え、関連情報を含んでもよい。例えば、センサが取得した情報は、画像でもよい。ただし、関連情報は、センサが取得した情報とは別の情報として扱われてもよい。例えば、一つのファイルが、センサが取得した情報と、関連情報とを別情報として保存してもよい。ただし、以下の説明では、センサ情報は、センサが取得した情報と関連情報とを含むものとして説明する。
【0019】
センサ情報取得装置とセンサとセンサ情報との対応の具体例を説明する。例えば、センサ情報取得装置がドライブレコーダーの場合、センサは、カメラである。そして、センサ情報は、例えば、画像である。センサ情報取得装置が加速度測定器の場合、センサは、加速度計である。そして、センサ情報は、加速度である。センサ情報取得装置は、複数のセンサを備えていてもよい。この場合の複数のセンサとは、同じ種類の複数のセンサでもよいし、複数の種類のセンサでもよい。例えば、複数の種類のセンサは、カメラ、加速度計、及び、角度計でもよい。例えば、センサ情報取得装置がドライブレコーダーの場合、ドライブレコーダーが、カメラと加速度計とを備え、画像と加速度とを取得してもよい。なお、以下の説明では、センサ情報取得装置、センサ、及び、センサ情報の一例として、それぞれ、ドライブレコーダー、カメラ、及び、画像を用いる。また、移動体の一例として、車両を用いる。
【0020】
「合成開口レーダー(Synthetic Aperture Radar)」とは、飛翔体が移動しながら電波を送信及び受信して、大きな開口を持ったアンテナと等価な画像を取得するレーダーである。以下、合成開口レータを「SAR」と呼ぶ。レーダー観測における分解能は、アンテナを大きくするほど向上する。しかし、人工衛星などに搭載できるアンテナの大きさには限りがある。そこで、SARは、実開口長が小さなアンテナを用いて、飛翔しながら電波を送信及び受信して、進行方向の分解能を高めている。つまり、SARは、人工的に「開口」を「合成」して、仮想的に大きなアンテナを構成している。なお、飛翔体は、SARを搭載する飛翔体であれば、任意の飛翔体でよい。例えば、飛翔体は、人工衛星、航空機、又は、無人航空機(ドローン)である。
【0021】
SARは、測定結果として画像を出力する。以下、SARの測定結果として画像を「SAR画像」と呼ぶ。各実施形態は、SAR画像を用いて「地表の変化」を分析できる。以下、「地表の変化を、単に「地表変化」と呼ぶ場合もある。例えば、各実施形態は、地表の変化として、同じ場所における異なる時間の2枚のSAR画像を用いて、2つの時間の間における地表の高さの変化を分析できる。あるいは、各実施形態は、地表の変化として、地表の強度の変化を分析してもよい。
【0022】
なお、各実施形態は、高さの変化及び強度の変化を分析する方法として、任意の方法を用いてもよい。例えば、各実施形態は、変化抽出、時系列干渉解析、又は、コヒーレント変化抽出などの技術を用いてもよい。あるいは、各実施形態は、過去のSAR画像などを教師データとした機械学習を実行し、機械学習の実行の結果として生成した分析モデルにSAR画像を適用して、地表の変化を分析してもよい。地表の変化の分析は、地表の高さの変化及び地表の強度の変化の分析に限られず、他の分析を含んでもよい。例えば、他の分析は、地表の変化の要因の分析、又は、地表の変化に基づくリスクの大きさの分析を含んでもよい。このように、SARは、地表の変化を分析するための測定結果を取得するために、地表を測定する装置である。例えば、測定結果は、SAR画像でもよい。
【0023】
ただし、各実施形態において、地表の変化を分析するための測定結果を取得する装置、つまり、地表を測定する装置は、SARに限定されない。地表を測定する装置としては、例えば、人工衛星、航空機、及び、無人航空機(ドローン)のいずれかに搭載された光学センサ、又は、レーザー測定器がある。各実施形態は、上記のような地表を測定する装置又はシステムの測定結果を用いて、地表の変化を分析してもよい。例えば、測定結果は、光学画像でもよい。以下の説明では、これら地表を測定する装置又はシステムをまとめて「地表測定装置」と呼ぶ。
【0024】
地表測定装置には、測定結果を用いて「地表の変化」を分析し、分析の結果である「地表の変化」を出力する装置がある。つまり、地表測定装置は、測定結果を出力する場合もあり、分析結果である地表の変化を出力する場合もある。そこで、以下の説明では説明の煩雑さを避けるため、特に区別して説明する場合を除き、上記の場合をまとめ、各実施形態の装置は、地表測定装置の測定結果を用いた分析の結果である地表の変化を取得するとして説明する。なお、以下の説明では、地表測定装置及び測定結果の一例として、SAR及びSAR画像を用いる。
【0025】
SARには、複数の周波数(マルチスペクトル)を用いた測定結果を取得できる装置がある。以下、マルチスペクトルを用いた測定結果を取得できる装置を「マルチスペクトル測定装置」と呼ぶ。マルチスペクトルを用いた測定結果を用いると、地表の変化に限らず、地表の種類を分析することができる。そこで、各実施形態は、マルチスペクトルを用いたSARの測定結果を用いて地表の種類を分析し、分析した地表の種類を用いてもよい。なお、地表の種類は、使用する周波数に対応して決定される。例えば、地表の種類は、水面、泥土、ゴミ、乾燥土壌、草原、森林、農地、及び、積雪の少なくとも一つを含む。このように、地表の種類は、地表の測定結果の分析結果の一つである。そこで、以下の説明では、特に区別した説明が必要な場合を除き、地表の種類を含め地表の変化と呼ぶ。つまり、以下の説明における地表の変化は、地表の種類を含む場合がある。
【0026】
SARなどの地表測定装置の測定結果は、ある程度の広い範囲を含む。そのため、SARなどの地表測定装置の測定結果を用いた分析は、ある程度の広い範囲の地表の変化を取得できる。また、SARは、ある程度の高度から、地表を測定する。そのため、SARなどの地表測定装置は、災害などが発生していても、地表を測定できる。ただし、SARが取得した測定結果を用いた分析の結果の精度は、メートル程度である。地表の状況を判定する精度としては、数センチメートルから十数センチメートル程度であることが望ましい場合が多い。
【0027】
これに対し、ドライブレコーダーから取得したセンサ情報を用いる判定の精度は、数センチメートルから数十センチメートル程度の精度である。しかし、ドライブレコーダーが取得するセンサ情報は、SARの測定結果に対して、狭い範囲の情報である。そのため、自治体などの管理対象となる地域の全ての位置においてセンサ情報を取得する場合、ドライブレコーダーを用いてセンサ情報を取得するために多くの時間と工数とが必要となる。災害状況の調査は、迅速に実施することが望ましい。そのため、ドライブレコーダーが取得したセンサ情報を用いて災害状況を調査するための有効な調査領域の提供が望まれている。
【0028】
つまり、センサ情報を用いた災害状況の調査を実現するため、センサ情報を取得するための適切な調査領域に関する情報の提供が望まれている。そこで、本発明における各実施形態は、以下で説明するように、センサ情報取得装置が取得したセンサ情報と、地表測定装置の測定結果を用いた分析の結果である地表の変化とを用いて、災害状況の調査として適切な調査領域を提供する。
【0029】
<第1の実施形態>
図面を参照して、本発明における第1の実施形態を説明する。
図1は、第1の実施形態にかかる調査領域判定システム80の構成の一例を示すブロック図である。調査領域判定システム80は、調査領域判定装置10と、ドライブレコーダー20と、SAR30と、表示装置40と、情報提供装置50とを含む。
図1における各構成の数は、一例であり、
図1に示される例に限られない。例えば、調査領域判定システム80は、複数のドライブレコーダー20を含んでもよい。
【0030】
ドライブレコーダー20は、調査領域判定装置10に、センサ情報を出力する。ドライブレコーダー20は、例えば、車両に搭載されて、車両が走行する道路などのセンサ情報を取得する。例えば、ドライブレコーダー20は、道路の画像を取得する。そして、ドライブレコーダー20は、取得したセンサ情報を、調査領域判定装置10に出力する。ただし、ドライブレコーダー20の移動手段は、車両に限定されない。例えば、ドライブレコーダー20は、車両以外の移動体に搭載されてもよい。例えば、ドライブレコーダー20は、無人航空機(ドローン)に搭載されてもよい。あるいは、人などが、ドライブレコーダー20を持ち運んでもよい。また、本実施形態では、固定カメラのように任意の箇所に固定されてセンサ情報の取得及び出力が可能な装置が、ドライブレコーダー20として含まれていてもよいものとする。
【0031】
なお、調査領域判定システム80は、複数のドライブレコーダー20を含んでもよい。例えば、調査領域判定システム80は、複数の車両にそれぞれ搭載されたドライブレコーダー20を含んでいてもよいし、移動体に搭載されたとドライブレコーダー20と所定の位置に固定されたドライブレコーダー20とを含んでいてもよい。
【0032】
SAR30は、調査領域判定装置10に、測定結果又は地表の変化を出力する。例えば、SAR30は、調査領域判定装置10に、測定結果であるSAR画像を出力する。この場合、調査領域判定装置10が、SAR30から取得したSAR画像を用いて、「地表の変化」を分析すればよい。なお、SAR30は、予め設定された範囲のSAR画像を出力してもよいし、調査領域判定装置10から要求された範囲のSAR画像を出力してもよい。例えば、予め設定された範囲は、撮像範囲でもよいし、測定範囲でもよい。
【0033】
あるいは、SAR30は、調査領域判定装置10に、SAR画像を分析した結果である「地表の変化」を出力してもよい。この場合も、SAR30は、予め設定された範囲の地表の変化を出力してもよいし、調査領域判定装置10から要求された範囲の地表の変化を出力してもよい。予め設定された範囲は、例えば、分析範囲である。なお、SAR30は、マルチスペクトルを用いて地表を測定してもよい。この場合、SAR30は、マルチスペクトルの測定結果を出力してもよいし、マルチスペクトルの測定結果を用いて分析した地表の種類を出力してもよい。
【0034】
表示装置40は、調査領域判定装置10が出力する情報を表示する。例えば、調査領域判定装置10が出力する情報は、調査領域でもよい。表示装置40は、調査領域判定装置10が出力する情報を表示する装置であれば、任意の装置でよい。また、表示装置40の設置位置は、設置可能な任意の場所でよい。あるいは、表示装置40は、所定の場所に設置された装置ではなく、携帯電話、スマートフォン又はタブレットのような持ち運び可能な装置でもよい。例えば、表示装置40は、地方自治体の災害支援システムに含まれる表示器でもよい。あるいは、表示装置40は、ドライブレコーダー20を搭載した車用に搭載された装置でもよい。例えば、車用に搭載された装置は、カーナビゲーション装置でもよい。さらに、表示装置40は、いずれかの装置に含まれる装置でもよいし、他の装置を含む装置でもよい。例えば、表示装置40は、調査領域判定装置10に含まれてもよい。あるいは、表示装置40は、調査領域判定装置10を含む装置でもよい。
【0035】
情報提供装置50は、調査領域判定装置10から要求された情報を提供する。情報提供装置50は、調査領域判定装置10から要求された情報を提供する装置であれば、任意の装置でよい。調査領域判定装置10の利用者などが、調査領域判定装置10における調査領域の判定に必要な情報を考慮して、情報提供装置50及び情報提供装置50から取得する情報を決定すればよい。例えば、情報提供装置50は、調査領域判定装置10に道路などの地図情報を提供してもよい。あるいは、情報提供装置50は、調査領域判定装置10に災害に関連する情報を提供してもよい。以下、災害に関連する情報を「災害情報」と呼ぶ。
【0036】
なお、災害情報は、対象とする災害に関連すれば、任意の情報でもよい。例えば、災害情報は、被災範囲に関する情報、二次災害に関する情報、及び、過去の類似の災害時の被災情報などに関連する情報でもよい。あるいは、災害情報は、降雨範囲、雨量、雨雲の情報、風向き、及び、風量などの天気に関連する情報でもよい。例えば、雨雲の情報は、雨雲の位置、範囲、及び、移動方向でもよい。あるいは、災害情報は、震源、震度、及び、余震の状況など地震に関連する情報でもよい。あるいは、災害情報は、停電、断水、又は、都市ガスの供給停止のような、社会インフラに関連する情報でもよい。あるいは、災害情報は、地形図及びハザードマップなどの地図に関連する情報でもよい。
【0037】
調査領域判定装置10は、調査の対象となる領域を出力する。以下、調査の対象となる領域を「調査領域」と呼ぶ。そのため、調査領域判定装置10は、ドライブレコーダー20からセンサ情報を取得する。例えば、調査領域判定装置10は、ドライブレコーダー20から道路の画像を取得する。なお、調査領域判定装置10は、ドライブレコーダー20からセンサ情報を取得してもよいし、ドライブレコーダー20が取得したセンサ情報を保存している装置からセンサ情報を取得してよい。ただし、以下の説明では、一例として、調査領域判定装置10は、ドライブレコーダー20からセンサ情報を取得するとして説明する。そして、調査領域判定装置10は、センサ情報を用いて調査領域の候補となる領域を抽出する。以下、調査領域の候補となる領域を「候補領域」と呼ぶ。そして、調査領域判定装置10は、SAR30から、候補領域におけるSAR画像を取得し、取得したSAR画像を用いて候補領域の地表の変化を分析する。あるいは、調査領域判定装置10は、SAR30から、候補領域における、SAR30が取得したSAR画像を分析した結果である地表の変化を取得する。つまり、分析の主体は異なるが、調査領域判定装置10は、候補領域における、SAR30の測定結果を用いた分析の結果である地表の変化を取得する。なお、調査領域判定装置10は、SAR30からSAR画像又は地表の変化を取得してもよいし、SAR画像又は地表の変化を保存している装置からSAR画像又は地表の変化を取得してよい。ただし、以下の説明では、一例として、調査領域判定装置10は、SAR30からSAR画像又は地表の変化を取得するとして説明する。そして、調査領域判定装置10は、取得した地表の変化を用いて、候補領域における災害状況の調査領域を判定する。そして、調査領域判定装置10は、判定した調査領域を出力する。
【0038】
図2は、第1の実施形態にかかる調査領域判定システム80の構成の一例を示す概念図である。
図2の調査領域判定システム80は、調査領域判定装置10の一例としてコンピュータ810、ドライブレコーダー20の一例としてドライブレコーダー820、及び、SAR30の一例として人工衛星と地上局とを含むSARシステム830を含む。さらに、
図2の調査領域判定システム80は、表示装置40の一例として端末装置840を含む。さらに、
図2の調査領域判定システム80は、ドライブレコーダー820を搭載して移動する移動体の一例として車両850を含む。
【0039】
さらに、
図2の調査領域判定システム80は、各装置及びシステムを接続する通信路として、ネットワーク880を含む。ネットワーク880は、各装置及びシステムを相互に接続する通信路である。ネットワーク880は、各装置及びシステムを接続できれば、特に制限はない。例えば、ネットワーク880は、インターネット、公衆電話回線、又は、それらの組合せでもよい。なお、
図2は、情報提供装置50を省略している。
【0040】
図2に含まれる調査領域判定システム80の構成は、一例である。各構成要素の数は、
図2に示されている例に限られない。例えば、調査領域判定システム80は、1つ、2つ、又は、4つ以上のドライブレコーダー820を含んでもよい。あるいは、少なくとも一部のドライブレコーダー820は、車両850に搭載されていなくてもよい。例えば、調査領域判定システム80は、ドライブレコーダー820として固定カメラを含んでもよい。なお、
図2は、理解を容易にするため、ドライブレコーダー820を、車両850の外に表示している。ただし、ドライブレコーダー820は、車両850の内部に搭載されてもよい。
【0041】
車両850は、ドライブレコーダー820を搭載して道路及び橋梁などの構造物を走行する。ドライブレコーダー820は、車両850に搭載され、車両850が走行する道路及び橋梁などのセンサ情報を取得し、取得したセンサ情報をコンピュータ810に出力する。例えば、ドライブレコーダー820は、車両850に搭載され、車両850が走行する道路及び橋梁などの画像及び加速度を取得し、取得した画像及び加速度をコンピュータ810に出力する。コンピュータ810は、ドライブレコーダー820からセンサ情報を取得し、取得したセンサ情報を用いて候補領域を抽出する。
【0042】
そして、コンピュータ810は、SARシステム830から、候補領域のSAR画像を取得し、取得したSAR画像を用いて地表の変化を分析する。ただし、コンピュータ810は、SARシステム830から、候補領域の地表の変化を取得してもよい。つまり、コンピュータ810は、候補領域における、SARシステム830が取得したSAR画像を用いた分析の結果である地表の変化を取得する。そして、コンピュータ810は、地表の変化を用いて、候補領域における調査領域を判定する。そして、コンピュータ810は、端末装置840に、調査領域を出力する。端末装置840は、コンピュータ810から取得した調査領域を表示する。
【0043】
なお、調査領域判定システム80に含まれるコンピュータ810、ドライブレコーダー820、SARシステム830、端末装置840、及び、車両850となる具体的な装置には、特に制限などはない。コンピュータ810、ドライブレコーダー820、SARシステム830、端末装置840、及び、車両850としては、一般的に利用可能な製品及びシステムが用いられてもよい。そのため、これらの詳細な説明を省略する。
【0044】
次に、
図1を参照して、調査領域判定装置10の構成を説明する。調査領域判定装置10は、候補領域抽出部110と、地表情報取得部120と、調査領域判定部130と、領域出力部140とを含む。
【0045】
候補領域抽出部110は、ドライブレコーダー20から取得したセンサ情報を用いて、候補領域を抽出する。候補領域抽出部110は、一つではなく、複数の候補領域を抽出してもよい。候補領域は、調査領域の判定に用いられる領域であれば、任意の領域でよい。ただし、調査領域は、災害状況の調査のために、ドライブレコーダー20を用いてセンサ情報を取得する領域である。
【0046】
そこで、例えば、候補領域抽出部110は、候補領域として、センサ情報を取得していない領域を抽出してもよい。以下、センサ情報を取得していない領域を「未取得領域」と呼ぶ。例えば、候補領域抽出部110は、ドライブレコーダー20から取得したセンサ情報に含まれる位置情報を用いて、センサ情報を取得していない領域(未取得領域)を抽出し、抽出した未取得領域を候補領域としてもよい。あるいは、候補領域抽出部110は、センサ情報を取得済みの領域を判定し、取得済領域を除外した領域を、候補領域としてもよい。以下、センサ情報を取得済みの領域を「取得済領域」と呼ぶ。
【0047】
候補領域抽出部110は、候補領域として、センサ情報の取得以外の所定の条件を満足する領域を抽出してもよい。条件の一例としては、車両の通行可否が挙げられる。例えば、センサ情報取得装置が移動体に搭載されている場合、センサ情報取得装置を搭載した移動体が移動できない領域は、センサ情報を取得できない領域である。例えば、車両に搭載されたドライブレコーダー20は、車両が侵入できないような狭い道路、又は、未舗装の道路などのセンサ情報を取得できない。そこで、例えば、車両に搭載されたドライブレコーダー20を用いて調査領域のセンサ情報を取得する場合、候補領域抽出部110は、候補領域として、車両が通行可能な道路を抽出してもよい。
【0048】
あるいは、候補領域抽出部110は、車両が通行できない道路を候補領域から除外してもよい。例えば、候補領域抽出部110は、狭い道路を候補領域から除外してもよい。このように、候補領域抽出部110は、候補領域として、ドライブレコーダー20などのセンサ情報取得装置を搭載した移動体が移動可能な領域を抽出してもよい。例えば、候補領域抽出部110は、候補領域として、ドライブレコーダー20などのセンサ情報取得装置を搭載した車両が移動可能な領域を抽出してもよい。以下、センサ情報取得装置及び移動体の少なくとも一方の機能からセンサ情報の取得が困難で、調査領域から除外した方がよい領域を「除外領域」と呼ぶ。
【0049】
図3は、候補領域の一例を示す図である。
図3は、領域の一例として道路を用いて候補領域を説明する図である。ただし、これは、第1の実施形態の候補領域を、道路に限定することを意図するものではない。候補領域は、道路に限らず、道路以外の領域でもよい。例えば、道路以外の領域は、農地、駐車場、公園、空地、工場などの施設、土手、及び、堤防の天端の少なくとも一つを含んでもよい。
図3は、3つの上下方向の道路と、2つの左右方向の道路とを含む。以下、3つの上下方向の道路を「左側、中央、又は右側の上下方向の道路」と呼ぶ。また、以下、2つの左右方向の道路を「上側、又は、下側の左右方向の道路」と呼ぶ。上下方向の道路は、2つの左右方向の道路を境として、3つの区間に分割されている。以下、3つの区間を「上部、中央部、又は、下部の区間」と呼ぶ。左右方向の道路は、3つの上下方向の道路を境として、4つの区間に分割されている。以下、4つの区間を「右から1つ目、2つ目、3つ目、又は、4つ目の区間」と呼ぶ。なお、交差点は、複数の道路に含まれるため、説明の便宜を考慮して、特に説明が必要な場合を除き、説明を省略する。
図3において、中央の上下方向の道路において、上部及び下部の区間は、取得済領域である。そのため、候補領域抽出部110は、この領域を、候補領域から除外する。
【0050】
それ以外の道路の区間は、未取得領域である。ただし、左側の上下方向の道は、上部、中央部、及び下部のいずれの区間においても道路幅が狭く、車両の進入が難しい道路のため、除外領域である。そのため、候補領域抽出部110は、センサ情報を未取得の領域であるが、これらの区間を、候補領域から除外している。その結果として、
図3において、候補領域抽出部110は、取得済領域及び除外領域以外の領域の道路を、候補領域として抽出する。
図1を参照した説明に戻る。
【0051】
未取得領域におけるセンサ情報を取得していない理由として、複数の理由が想定される。例えば、未取得領域には、通常時において、センサ情報の取得対象となっていない領域がある。以下、センサ情報の取得対象となっていない領域を「調査対象外領域」と呼ぶ。あるいは、未取得領域には、センサ情報を取得しようとしたが、センサ情報を取得できなかった領域がある。例えば、センサ情報を取得できなかった領域は、障害物などの影響で車両が通行できなくなった道路、又は、その道路の先の領域を含む領域でもよい。以下、センサ情報を取得できなかった領域を「取得不可領域」と呼ぶ。取得不可領域は、災害が発生している可能性が高い。つまり、取得不可領域及びその周辺は、優先的に調査領域に含ませた方がよい。そこで、候補領域抽出部110は、候補領域として、未取得領域における取得不可領域を抽出してもよい。
【0052】
なお、取得不可領域の判定方法は、限定されない。例えば、候補領域抽出部110は、センサ情報に含まれる情報を用いてドライブレコーダー20を搭載した車両の引き返し地点を判定し、判定した引き返した地点の先の領域を、取得不可領域と判定してもよい。例えば、候補領域抽出部110は、移動体の位置情報及び操作情報を用いてドライブレコーダー20を搭載した車両の引き返し地点を判定し、判定した引き返した地点の先の領域を、取得不可領域と判定してもよい。なお、候補領域抽出部110は、引き返し点の判定として、上記以外の情報を用いてもよい。例えば、候補領域抽出部110は、センサ情報に含まれる付加情報を用いて、引き返し点を判定してもよい。例えば、候補領域抽出部110は、作業者のコメントを用いて、引き返し点を判定してもよい。また、候補領域抽出部110は、作業者などのコメントに基づいて、直接的に、取得不可領域を判定してもよい。具体的には、候補領域抽出部110は、作業者が目視で確認した障害物有無の情報などを基に、取得不可領域を判定してもよい。
【0053】
ここで、調査対象外領域について説明する。通常時、ドライブレコーダー20を用いて幹線道路を監視している場合、ドライブレコーダー20は、幹線道路に関連するセンサ情報を取得する。しかし、災害は、幹線道路以外でも発生する可能性がある。そこで、候補領域抽出部110は、災害情報を用いて、その時点までドライブレコーダー20がセンサ情報を取得する領域とはなっていなかった領域(調査対象外領域)の中から、新たにセンサ情報を取得する領域を、候補領域として抽出してもよい。このように、候補領域抽出部110は、調査対象外領域において、新たにセンサ情報の取得が必要となった領域を抽出してもよい。以下、新たにセンサ情報の取得が必要となった領域を「新規取得領域」と呼ぶ。なお、新規取得領域は、未取得領域に含まれる領域である。
【0054】
候補領域抽出部110は、少なくとも一部の候補領域として、センサ情報を取得済みの領域(取得済領域)の中から候補領域を抽出してもよい。例えば、センサ情報を取得済みの領域でも、災害状況の判定にはセンサ情報が不足している領域がある場合が想定される。以下、災害状況の判定にはセンサ情報が不足している領域を「取得不足領域」と呼ぶ。取得不足領域は、少なくとも一部のセンサ情報を新たに取得した方がよい領域である。つまり、取得不足領域は、一部に新規取得領域に相当する領域を含む領域である。そこで、候補領域抽出部110は、取得済領域におけるセンサ情報の取得状態を判定し、取得状態を用いて取得不足領域を抽出し、抽出した取得不足領域を候補領域として抽出してもよい。
【0055】
あるいは、取得済みのセンサ情報が取得してからある程度の時間が経過しているなど、災害の判定に用いるのに不適切な場合がある。このような場合、センサ情報を取得済みの領域でも、再度、センサ情報を取得した方がよい。そこで、候補領域抽出部110は、センサ情報を取得済みの領域において、取得済みのセンサ情報が所定の条件を満足する領域を、候補領域として抽出してもよい。例えば、候補領域抽出部110は、センサ情報を取得済みの領域において、センサ情報の取得時間が災害発生時前の領域を、候補領域として抽出してもよい。このように、候補領域抽出部110は、候補領域として、少なくとも一部のセンサ情報を再取得する領域を抽出してもよい。以下、少なくとも一部のセンサ情報を再取得する領域を「再取得領域」と呼ぶ。
【0056】
なお、取得不足領域においても、少なくとも一部のセンサ情報は、再取得となる場合がある。つまり、取得不足領域は、災害状況の判定として不足しているセンサ情報を取得する領域(取得不足領域)と、センサ情報を再取得する再取得領域とを含む領域の場合がある。また、取得不足領域、及び、再取得領域は、災害の状況の判定に用いるためのセンサ情報としては、少なくとも一部のセンサ情報が、未取得の領域とみなすこともできる。そのため、取得不足領域及び再取得領域は、未取得領域の一例でもある。そこで、以下の説明では、未取得領域は、再取得領域及び取得不足領域を含むとする。このように、候補領域抽出部110は、少なくともセンサ情報を用いて、候補領域の抽出に用いるセンサ情報の未取得領域から、一つ又は複数の候補領域を抽出してもよい。
【0057】
候補領域抽出部110は、候補領域に優先度を設定してもよい。以下、候補領域の優先度を「候補優先度」と呼ぶ。例えば、取得不可領域は、災害が発生している可能性が高い領域のため、可能ならば、センサ情報を取得した方がよい領域である。そこで、取得不可領域を候補領域に含める場合、候補領域抽出部110は、候補領域のなかで、取得不可領域である候補領域の優先度を、他の候補領域の優先度より高くしてもよい。例えば、候補領域抽出部110は、候補領域のなかで、取得不可領域である候補領域の優先度を、取得不可領域ではない未取得領域の優先度より高くしてもよい。なお、予め、利用者などが所定の領域に優先度を設定している場合、候補領域抽出部110は、候補領域の優先度として、利用者などが設定した優先度を用いてもよい。
【0058】
あるいは、候補領域抽出部110は、センサ情報に加え、情報提供装置50から災害情報を取得し、取得した災害情報を用いて候補領域を抽出してもよい。例えば、災害が洪水の場合、候補領域抽出部110は、降雨範囲から候補領域を抽出してもよい。あるいは、候補領域抽出部110は、所定の地図情報を用いて、候補領域を抽出してもよい。例えば、候補領域抽出部110は、情報提供装置50から取得した地図情報を用いて、候補領域を抽出してもよい。例えば、候補領域抽出部110は、ハザードマップにおいて被災の可能性が高い範囲から候補領域を抽出してもよい。これらの場合、候補領域抽出部110は、情報提供装置50から取得した情報を用いて、候補領域に優先度を設定してもよい。そして、候補領域抽出部110は、候補領域を、地表情報取得部120と調査領域判定部130とに出力する。候補領域抽出部110は、候補領域と共に、取得したセンサ情報を調査領域判定部130及び領域出力部140の少なくとも一方に出力してもよい。
【0059】
地表情報取得部120は、SAR30から、候補領域に対応したSAR画像を取得する。そして、地表情報取得部120は、取得したSAR画像を用いて、候補領域に対応した地表の変化を分析する。あるいは、地表情報取得部120は、SAR30から、候補領域に対応した地表の変化を取得してもよい。このように、分析の主体は異なるが、地表情報取得部120は、候補領域における地表測定装置の測定結果を用いた分析の結果である地表変化を取得する。例えば、地表情報取得部120は、SAR30の測定結果であるSAR画像を用いた分析の結果である地表変化を取得する。
【0060】
なお、センサ情報の空間分解能は、SAR画像の空間分解能とは異なる場合が多い。また、センサ情報の取得区間の境目は、SAR画像の取得区間の境目と一致するとは限らない。つまり、地表情報取得部120は、候補領域と同じ範囲のSAR画像を取得できるとは限らない。候補領域が、SAR画像の取得範囲と一致しない場合、地表情報取得部120は、候補領域を含むより広い範囲のSAR画像を取得し、取得したSAR画像において地表の変化を分析してもよい。あるいは、地表情報取得部120は、SAR30から、候補領域を含むより広い範囲の地表の変化を取得してもよい。
【0061】
なお、マルチスペクトル測定装置などの地表測定装置は、地表の種類を分析できる測定結果を提供できる場合がある。この場合、地表情報取得部120は、SAR30から取得した情報を用いて、地表の種類を分析してもよい。あるいは、地表情報取得部120は、SAR30から地表の種類を取得してもよい。これらの場合、後ほど説明する、調査領域判定部130は、地表の種類を用いて調査領域を判定してもよい。そして、地表情報取得部120は、取得した地表の変化を調査領域判定部130に出力する。なお、取得した地表の変化は、地表の種類を含む場合もある。
【0062】
調査領域判定部130は、取得した地表の変化を用いて、候補領域における調査領域を判定する。調査領域判定部130は、複数の調査領域を判定してもよい。調査領域判定部130は、地表の変化に基づいて調査が可能な範囲を判定する。以下、調査が可能な範囲を「調査可能範囲」と呼ぶ。そして、調査領域判定部130は、調査可能範囲かつ候補領域となっている領域を調査領域と判定する。あるいは、調査領域判定部130は、取得した地表の変化から候補領域に対応する地表の変化を抽出し、抽出した地表の変化における調査可能範囲を判定し、判定した調査可能範囲を調査領域と判定してもよい。
【0063】
調査領域判定部130における調査可能領域の判定の方法は、特に限定されない。例えば、調査領域判定部130は、地表の変化の値を用いて調査可能範囲を判定してもよいし、地表の変化の値の変化を用いて調査可能範囲を判定してもよい。地表の変化の値は、例えば、値の絶対値である。また、地表の変化の値の変化は、例えば、変化率である。調査領域は、災害の状況の調査として、ドライブレコーダー20を用いてセンサ情報を取得する領域である。例えば、調査領域は、自治体などの担当者がドライブレコーダー20を運んでセンサ情報を取得する領域である。そのため、調査領域判定部130は、調査領域として、災害に伴う危険性が低い領域を判定してもよい。
【0064】
例えば、地表の変化が大きい領域は、災害の被害が大きい、又は、今後の被害が拡大する可能性が高い領域である。このような領域での調査は、危険性が高い場合が多い。そこで、調査領域判定部130は、調査領域として、候補領域の中で、地表の変化が閾値より小さい領域を判定してもよい。つまり、調査領域判定部130は、調査領域として、候補領域において危険性が低い領域を判定してもよい。ただし、調査領域は、少しでも災害状況を判定できる領域である方が望ましい。そこで、調査領域判定部130は、調査領域として、地表の変化が所定の値より大きな領域から所定の距離の範囲に含まれる領域を判定してもよい。例えば、調査領域判定部130は、調査領域として、地表の変化が大きい領域の周辺領域を判定してもよい。
【0065】
あるいは、調査領域は、自治体の担当者が、調査として、ドライブレコーダー20を搭載した車両を走行させる領域の場合がある。この場合、調査領域は、車両で通行可能であることが必要である。例えば、候補領域抽出部110が少なくとも一部の候補領域として車両通行可能な候補領域を抽出している場合、調査領域判定部130は、車両通行可能な候補領域から調査領域を判定してもよい。しかし、候補領域抽出部110は、候補領域の抽出において、車両などの移動体が通行できるか否か考慮しない場合がある。この場合、調査領域判定部130が、取得した候補領域又は地表の変化の領域において、車両などの移動体の通行可能な領域を判定して、判定した領域に基づいて調査領域を判定してもよい。このように、調査領域判定装置10において、車両などの移動体の通行の可否を判定する構成は、候補領域抽出部110に限定されない。
【0066】
調査領域判定部130は、地表の変化に加え、地表の種類を用いてもよい。例えば、洪水の場合、水が引いていない領域は、調査が困難な領域である。そこで、調査領域判定部130は、地表の種類が水面となっている領域を調査領域から除外してもよい。あるいは、地表がゴミ及び泥に覆われている範囲は、洪水の引いた領域の可能性が高い。そこで、調査領域判定部130は、地表の種類がゴミ及び泥の少なくとも一方の範囲を、調査領域として判定してもよい。
【0067】
調査領域判定部130は、調査領域の判定において、地表の変化に加え、センサ情報を用いてもよい。例えば、センサ情報である画像に、洪水の水面が含まれる場合、調査領域判定部130は、センサ情報を用いてその水面の位置を判定し、水面の位置及びその周辺の領域を調査領域から除外してもよい。このように、調査領域判定部130は、地表の変化に加え、センサ情報を用いて候補領域における調査の危険性を判定し、危険性が低い候補領域から調査領域を判定してもよい。
【0068】
さらに、調査領域判定部130は、地表の変化及びセンサ情報の少なくとも一方を用いて、調査を避けた方がよい領域を判定してもよい。つまり、調査領域判定部130は、地表の変化及びセンサ情報の少なくとも一方を用いて、災害状況の調査におけるセンサ情報の取得を避けた方がよい領域を判定してもよい。以下、調査を避けた方がよい領域を「危険領域」と呼ぶ。例えば、地表の変化が大きい領域は、災害の被害が大きい領域である可能性が高い。そこで、調査領域判定部130は、地表の変化が所定の閾値より大きい領域を危険領域と判定してもよい。あるいは、調査領域判定部130は、センサ情報に含まれる被災状態を用いて、危険領域を判定してもよい。例えば、調査領域判定部130は、画像に含まれる冠水又は路面の陥没を用いて、危険領域を判定してもよい。例えば、調査領域判定部130は、路面の画像を用いて路面のポットホール又は陥没の状態を判定し、車両の走行が難しい道路を危険領域と判定してもよい。
【0069】
あるいは、調査領域判定部130は、二次災害の発生の可能性を判定し、判定した二次災害の可能性が高い建物及びその周辺を、危険領域と判定してもよい。例えば、調査領域判定部130は、倒壊の可能性が高い建物及びその周辺を、危険領域と判定してもよい。二次災害の発生の可能性の判定方法は、予め、利用者などが、調査領域判定装置10に設定しておけばよい。例えば、調査領域判定部130は、センサ情報である画像に含まれる建物の倒壊状況を用いて、建物の倒壊などの二次災害の発生の可能性を判定してもよい。
【0070】
さらに、調査領域判定部130は、地表の変化に加え、地表の種類を用いて危険領域を判定してもよい。例えば、調査領域判定部130は、地表の種類が水面となっている領域を危険領域と判定してもよい。なお、調査領域判定部130は、安全性を考慮して、上記のように危険と判定した領域の周辺の所定範囲を含めて危険領域と判定してもよい。あるいは、取得不可領域は、災害が発生している可能性が高い。そこで、調査領域判定部130は、取得不可領域を危険領域と判定してもよい。このように、危険領域とは、地表の変化及びセンサ情報の少なくとも一方を用いて判定された、調査を避けた方がよいと判定された領域である。
【0071】
あるいは、調査領域判定部130は、地表の変化及びセンサ情報に加え、又は、替えて、情報提供装置50などから取得した情報を用いて、危険領域を判定してもよい。例えば、調査領域判定部130は、情報提供装置50から道路に関連する情報を取得し、道路の中でも危険性が高い所を、危険領域と判定してもよい。例えば、調査領域判定部130は、危険性が高い所として、トンネル、橋梁、又は、少なくとも片側が崖などの切り立った地形の道路を判定してもよい。あるいは、調査領域判定部130は、天候、又は、火災に関連する情報を用いて危険領域を判定してもよい。例えば、調査領域判定部130は、降雨範囲及び雨量予測、又は、火災の発生している地域及び風向きに関連する情報を用いて危険領域を判定してもよい。あるいは、調査領域判定部130は、情報提供装置50から取得した地図情報を用いて危険領域を判定してもよい。例えば、調査領域判定部130は、情報提供装置50から取得した河川又は崖など危険な領域を含むハザードマップを用いて危険領域を判定してもよい。
【0072】
情報提供装置50などから取得した情報を用いる場合、調査領域判定部130は、取得した情報を用いて、危険領域の判定における地表の変化及びセンサ情報の少なくとも一方の判定に用いる閾値を変更してもよい。例えば、崖又は斜面(のり面)の近傍は、平地に比べ、土砂崩れを起こしやすい。そこで、調査領域判定部130は、地表の変化の判定に用いる閾値を、情報提供装置50などから取得した地形情報に基づいて判定した崖又は斜面の近傍において、平地より、小さくしてもよい。
【0073】
図4は、調査領域及び危険領域を説明するための図である。
図4において、右下部の楕円の領域が、地表の変化が大きい領域である。例えば、地表の変化が大きい領域は、洪水の範囲である。そこで、調査領域判定部130は、この範囲に含まれる道路の区間を危険領域と判定する。なお、右側の上下方向の道路の上部の区間、及び、上側の左右方向の道路の右から2つ目の区間は、そのほとんどの部分が、地表の変化の大きい領域に含まれない。しかし、その2つの区間のそれぞれの片側の交差点は、地表の変化が大きい領域に含まれる。そのため、ドライブレコーダー20を搭載した車両が、センサ情報を取得ためにそのような区間に入った場合、車両が進むことができなくなり、調査できなくなる可能性がある。つまり、そのような領域は、調査ができなくなる可能性が高い領域である。そのため、調査領域判定部130は、そのような領域を調査領域から除外してもよい。以下、危険領域には含まれないが、地表の変化などに基づいて、調査を回避した方がよいと判定された領域を「調査回避領域」と呼ぶ。
図3において、調査領域判定部130は、危険領域及び調査回避領域を除いて残った候補領域を、調査領域と判定している。
図1を参照した説明に戻る。
【0074】
調査領域判定部130は、地表の変化、センサ情報、及び、情報提供装置50から取得した情報の少なくとも一つを用いて、危険領域の危険度を判定してもよい。例えば、調査領域判定部130は、地表の変化を大きさに対応していくつかの範囲を設定し、その範囲ごとに危険度を設定してもよい。危険度は、例えば、大/中/小である。あるいは、危険と判定した領域とその周辺領域とを危険領域と判定している場合、調査領域判定部130は、危険と判定した領域の危険度を、周辺領域の危険度をより高くしてもよい。
【0075】
調査領域判定部130は、調査領域に関連するセンサ情報及び地表の変化の少なくとも一方を用いて、調査領域の少なくとも一部における調査の優先度を設定してもよい。以下、調査領域の優先度を「調査優先度」と呼ぶ。例えば、危険領域及び調査回避領域は、災害の程度が高そうな領域であり、可能ならば周辺を含め優先的に調査したい領域である。そこで、調査領域判定部130は、危険領域及び調査回避領域の少なくとも一方に隣接する調査領域の優先度を高くしてもよい。あるいは、調査領域判定部130は、取得不可領域、又は、取得不足領域の優先度を高くしてもよい。あるいは、調査領域判定部130は、調査領域の優先度(調査優先度)として、候補領域抽出部110が設定した候補領域の優先度(候補優先度)を用いてもよい。
【0076】
あるいは、調査領域判定部130は、地表の種類を用いて、調査領域の優先度を設定してもよい。例えば、ゴミの領域は、ゴミがあまりない泥の領域に比べ、車両などの通行が難しい可能性が高い。以下、(ゴミがない場合及び少量のゴミがある場合を含め)ゴミがあまりない泥の領域を「泥の領域」と呼ぶ。そこで、例えば、調査領域判定部130は、泥の領域の優先度を、ゴミの領域の優先度より高くしてもよい。あるいは、予め、利用者などが少なくとも一部の地表の種類に優先度を設定している場合、調査領域判定部130は、設定されている地表の種類の優先度を用いてもよい。
【0077】
あるいは、調査領域判定部130は、センサ情報を取得できなかった領域(取得不可領域)の周辺領域におけるセンサ情報を用いて優先度を設定してもよい。例えば、センサ情報の取得において引き返した点を含む複数の調査領域がある場合、調査領域判定部130は、引き返し点における画像を用いて各引き返し点の災害の程度を判定し、災害の程度に基づいて調査領域に優先度を設定してもよい。
【0078】
あるいは、調査領域判定部130は、センサ情報に含まれる付加情報を用いて、優先度を設定してもよい。例えば、調査領域判定部130は、センサ情報に含まれる作業者のコメントを用いて、優先度を設定してもよい。例えば、センサ情報に含まれる作業者のコメントは、要調査、再調査要、及び、調査不要などの調査の必要性に関連するコメントを含んでもよい。あるいは、調査領域判定部130は、センサ情報を用いて道路の被災状態を判定し、道路の被災状態に対応して、優先度を設定してもよい。例えば、調査領域判定部130は、どの程度路面が破壊されているかを判定し、道路の被災状態に対応して、優先度を設定してもよい。あるいは、調査領域判定部130は、通行不能の道路における通行できない理由それぞれに設定された優先度を用いてもよい。例えば、調査領域判定部130は、通行不能の理由である冠水、ひび割れ、陥没、又は、倒木などそれぞれに設定された優先度を用いてもよい。この場合、利用者などが、予め、調査領域判定装置10に優先度を設定しておけばよい。
【0079】
さらに、調査領域判定部130は、センサ情報及び地表の変化の少なくとも一方を用いて、災害の種類及び災害範囲の少なくとも一方を判定してもよい。例えば、センサ情報が災害の種類の判定に用いることができる情報を含む場合がある。例えば、災害の種類の判定に用いることができる情報は、画像中の洪水の水面でもよい。そこで、調査領域判定部130は、センサ情報を用いて、災害の種類を判定してもよい。例えば、センサ情報として取得した画像が洪水の水面を含む場合、調査領域判定部130は、その画像を用いて、災害の種類が洪水と判定してもよい。なお、洪水の水面は、例えば、道路の冠水でもよい。さらに、複数のセンサ情報である画像が道路の冠水を含む場合、調査領域判定部130は、それらのセンサ情報の位置を用いて、洪水の範囲を判定してもよい。
【0080】
あるいは、地震に伴う加速度の変化は、車両の走行に伴う加速度の変化とは異なる場合が多い。そこで、調査領域判定装置10は、ドライブレコーダー20が取得した加速度を用いて、地震の発生を判定してもよい。さらに、調査領域判定部130は、複数のドライブレコーダー20から加速度を取得し、取得した加速度の検出時間及び大きさ、並びに、ドライブレコーダー20の位置を用いて、おおよその震源の位置と、震度とを判定してもよい。そして、調査領域判定部130は、震源の位置と震度とを用いて、災害範囲を判定してもよい。
【0081】
なお、調査領域判定部130が判定する災害の種類は、限定されない。例えば、災害は、土砂災害、又は、水害である。例えば、土砂災害は、斜面崩壊、山崩れ、がけ崩れ、土石流、又は、地滑りなどである。あるいは、水害は、洪水、河川の氾濫、浸水、高潮、又は、津波などである。あるいは、災害は、地震及び地震に伴う災害、又は、噴火及び噴火に伴う災害などである。地震に伴う災害は、津波、建物倒壊、火災の発生、土砂崩れ、又は、液状化現象などである。噴火に伴う災害は、噴石、火砕流、融雪型火山泥流、溶岩流、火山灰、又は、火山ガスなどである。ただし、災害は、土砂災害、水害、地震又は噴火などの自然災害だけでなく、火災、交通事故、工場爆発、又は、爆破テロなどの人的災害でもよい。
【0082】
そして、調査領域判定部130は、判定した調査領域を領域出力部140に出力する。調査領域判定部130は、調査領域に関連付けて、調査領域の優先度(調査優先度)を出力してもよい。調査領域判定部130は、危険領域を出力してもよい。調査領域判定部130は、危険領域に関連付けて、危険度を出力してもよい。調査領域判定部130は、災害の種類及び災害の範囲の少なくとも一方を出力してもよい。さらに、調査領域判定部130は、調査領域及び危険領域の少なくとも一方に関連するセンサ情報を出力してもよい。さらに、調査領域判定部130は、調査領域及び危険領域の少なくとも一方に関連する地表の変化を出力してもよい。地表の変化は、地表の種類を含んでもよい。調査領域判定部130は、さらに、候補領域を出力してもよい。
【0083】
候補領域抽出部110、地表情報取得部120、及び、調査領域判定部130の少なくとも一つは、所定の画像認識を用いてもよい。なお、本実施形態において、画像認識は、限定されない。例えば、画像認識には、判定モデルを用いた認識、別の方法を用いた認識、及び、それらを組合せた認識などが含まれる。例えば、利用者などが、予め収集した情報を教師データとした機械学習を実行し、機械学習の結果として候補領域の抽出する判定モデルを生成する。なお、予め収集した情報は、例えば、道路の画像、又は、SAR画像である。そして、利用者などが、生成した判定モデルを、調査領域判定装置10に保存する。
【0084】
そして、例えば、センサ情報を用いて生成された判定モデルが保存されている場合、候補領域抽出部110は、取得したセンサ情報を、保存されている判定モデルに適用して、候補領域を抽出する。センサ情報は、例えば、道路の画像である。あるいは、SAR画像を用いて生成された判定モデルが保存されている場合、地表情報取得部120は、取得したSAR画像を、保存されている判定モデルに適用して、地表の変化を取得する。あるいは、地表の変化を用いて生成された判定モデルが保存されている場合、調査領域判定部130は、候補領域に対応する地表の変化を、保存されている判定モデルに適用して、調査領域を判定する。
【0085】
さらに、画像認識を用いる場合、候補領域抽出部110、地表情報取得部120、及び、調査領域判定部130の少なくとも一つは、画像認識の結果の確からしさを算出してもよい。さらに、候補領域抽出部110、地表情報取得部120、及び、調査領域判定部130の少なくとも一つは、算出した確からしさのランクを判定してもよい。ランクは、例えば、確からしさの高/中/低である。そして、候補領域抽出部110、地表情報取得部120、及び、調査領域判定部130の少なくとも一つは、調査領域と共に、確からしさ及びランクの少なくとも一方を領域出力部140に出力してもよい。
【0086】
領域出力部140は、調査領域判定部130が判定した調査領域を出力する。領域出力部140は、調査領域と共に、調査領域の優先度(調査優先度)を出力してもよい。さらに、領域出力部140は、地図情報に関連付けて調査領域を出力してもよい。例えば、領域出力部140は、情報提供装置50からハザードマップを取得し、ハザードマップに関連付けて調査領域を出力してもよい。あるいは、領域出力部140は、さらに、調査領域内において、調査の際に注意が必要な構造物の情報を取得し、調査領域に関連付けてその情報を出力してもよい。例えば、調査の際に注意が必要な構造物は、トンネルの出入口、橋梁、及び、転倒の恐れがある建築物を含んでもよい。転倒の恐れがある建築物は、例えば、銅像及び掲示板を含んでもよい。
【0087】
領域出力部140は、調査領域の出力において、調査領域に関連するセンサ情報及び地表の変化の少なくとも一方を関連付けて出力してもよい。例えば、センサ情報は、画像でもよい。あるいは、領域出力部140は、地表の変化の分析したSAR30の測定結果の測定時間を出力してもよい。SAR30の測定は、ドライブレコーダー20でのセンサ情報の取得に比べ、取得周期が長い場合がある。そこで、調査領域判定装置10は、利用者などに対する調査領域の判定に関連する時間的な情報として、SAR30の測定結果の取得時間(又は測定時間)を出力してもよい。
【0088】
領域出力部140は、調査領域に関連する災害情報を出力してもよい。例えば、洪水の場合、領域出力部140は、調査領域に関連付けて、所定の装置から取得した川の上流を含めた各地点での雨量を出力してもよい。例えば、雨量は、過去からの雨量の変化、及び、降り始めからの総雨量の推移などでもよい。なお、領域出力部140は、雨に限らず、他の天候の情報を、調査領域に関連付けて出力してもよい。天候の情報は、例えば、雪などに関連する情報でもよい。あるいは、地震の場合、領域出力部140は、地震情報の提供機関から、震源及び各地の震度、並びに、余震の発生状況を取得し、調査領域に関連付けて出力してもよい。あるいは、広域火災の場合、領域出力部140は、延焼範囲、風向き及び風量など取得し、調査領域に関連付けて出力してもよい。あるいは、領域出力部140は、社会インフラの状況を取得し、調査領域に関連付けて出力してもよい。社会インフラの状況は、例えば、停電、断水、又は、都市ガスの供給停止の状況でもよい。あるいは、調査領域判定部130が二次災害の可能性を判定している場合、領域出力部140は、調査領域に関連付けて、判定した二次災害の可能性を出力してもよい。
【0089】
領域出力部140は、危険領域を出力してもよい。領域出力部140は、危険領域に関連付けて危険度を出力してもよい。あるいは、領域出力部140は、上記の調査領域に関連付けて出力する情報を、危険領域に関連付けて出力してもよい。例えば、領域出力部140は、危険領域に関連付けて、災害情報を出力してもよい。さらに、領域出力部140は、危険領域及びその周辺領域の少なくとも一方に関連する地表の変化を出力してもよい。
【0090】
さらに、領域出力部140は、危険領域及びその周辺の領域の少なくとも一方に関連するセンサ情報を出力してもよい。危険領域は、例えば、障害物などのために車両などが侵入できない領域である。そのため、車両に搭載されたドライブレコーダー20は、危険領域におけるセンサ情報を、取得できていない場合が多い。しかし、車両に搭載されたドライブレコーダー20は、危険領域の周辺領域におけるセンサ情報を取得できている場合がある。あるいは、ビルの屋上などに設置された固定カメラなどは、危険領域又は危険領域の周辺のセンサ情報を取得できている場合がある。そこで、領域出力部140は、危険領域及びその周辺領域の少なくとも一方に関連するセンサ情報を取得している場合、危険領域及びその周辺領域の少なくとも一方に関連するセンサ情報を出力してもよい。この場合、利用者などは、出力されたセンサ情報を参照して、危険領域などの状況を把握できる。
【0091】
なお、調査領域判定装置10は、所定の装置から、調査領域及び危険領域の少なくとも一方に関連する情報を取得して保存してもよい。例えば、表示装置40は、調査領域及び危険領域の少なくとも一方についてのセンサ情報を表示し、利用者からの調査領域及び危険情報の少なくとも一方に対するコメントを取得してもよい。この場合、調査領域判定装置10は、表示装置40から調査領域及び危険領域の少なくとも一方に対するコメントを取得し、調査領域及び危険領域の少なくとも一方に関連付けてコメントを保存してもよい。そして、コメントを要求された場合、調査領域判定装置10は、調査領域及び危険領域の少なくとも一方に関連付けてコメントを出力してもよい。
【0092】
そして、表示装置40は、領域出力部140が出力した情報を表示する。表示装置40は、利用者からの要求に対応して、表示する情報を変更してもよい。例えば、表示装置40は、まず、調査領域を表示する。そして、表示装置40は、利用者などからの要求に対応して、適宜、調査領域の優先度(調査優先度)、危険領域、危険領域の危険度、候補領域、未取得領域、地表の変化、及び、センサ情報の少なくとも一つを表示してもよい。あるいは、調査領域判定装置10が判定モデルを用いている場合、表示装置40は、利用者などからの要求に対応して、判定モデルを用いた判定の確からしさ又はランクを表示してもよい。これらの際、表示装置40は、調査領域判定装置10に対して、表示する情報を要求してもよいし、予め情報を取得して要求に対応して表示を変更してもよい。
【0093】
次に、第1の実施形態にかかる調査領域判定装置10の動作について、図面を参照して説明する。
図5は、第1の実施形態にかかる調査領域判定装置10の動作の一例を示すフロー図である。候補領域抽出部110は、ドライブレコーダー20が取得したセンサ情報を用いて災害状況の調査の候補領域を抽出する(ステップS201)。地表情報取得部120は、候補領域におけるSAR30の測定結果を用いた分析の結果である地表変化を取得する(ステップS202)。調査領域判定部130は、地表変化を用いて、候補領域における災害状況の調査領域を判定する(ステップS203)。そして、領域出力部140は、調査領域を所定の装置に出力する(ステップS204)。所定の装置は、例えば、表示装置40である。
【0094】
上記のように構成された調査領域判定装置10は、適切な調査領域を判定できる。その理由は、次のとおりである。調査領域判定装置10は、候補領域抽出部110と、地表情報取得部120と、調査領域判定部130とを含む。候補領域抽出部110は、センサ情報取得装置が取得したセンサ情報を用いて災害状況の調査の候補領域を抽出する。地表情報取得部120は、候補領域における地表測定装置の測定結果を用いた分析の結果である地表変化を取得する。調査領域判定部130は、地表変化を用いて、候補領域における災害状況の調査領域を判定する。センサ情報取得装置は、例えば、ドライブレコーダー20である。取得したセンサ情報は、例えば、画像である。地表測定装置は、例えば、SAR30である。また、測定結果は、例えば、SAR画像である。
【0095】
ドライブレコーダー20などのセンサ情報取得装置が取得したセンサ情報を用いた判定は、数センチメートルから数十センチメートルと、災害状況の判定において十分な精度を備えている。そのため、調査領域判定装置10は、センサ情報を用いて、適切な精度範囲で、調査のための候補領域を抽出できる。また、SAR30などの地表測定装置は、災害の発生している領域を測定できる。そのため、調査領域判定装置10は、地表変化を用いて、センサ情報を取得できなかった領域を含めて、調査領域として適切な領域を判定できる。例えば、特許文献2に記載の技術は、車両に搭載された撮像部が撮像した画像を用いる技術のため、車両が通行できない領域については、判定のための画像を取得できない。しかし、調査領域判定装置10は、SAR30から取得した測定結果の分析結果である地表の変化を用いて、センサ情報を取得できない領域を含めて調査領域として適切な領域を判定できる。
【0096】
候補領域は、候補領域の抽出に用いるセンサ情報の未取得領域を含んでもよい。未取得領域は、センサ情報が取得されていない領域であり、新たにセンサ情報の取得が望まれる領域である。そのため、調査領域判定装置10は、未取得領域を用いて、適切な候補領域を抽出できる。候補領域は、未取得領域におけるセンサ情報を取得できなかった領域(取得不可領域)を含んでもよい。取得不可領域は、災害が発生している可能性が高い領域である。そのため、調査領域判定装置10は、センサ情報を取得できなかった領域(取得不可領域)を含ませることで、適切な候補領域を抽出できる。
【0097】
さらに、候補領域は、センサ情報取得装置を搭載する移動体が移動可能な領域でもよい。センサ情報取得装置は、例えば、ドライブレコーダー20である。また、移動体は、例えば、車両である。この場合、調査領域判定装置10は、センサ情報取得装置を搭載した移動体を用いてセンサ情報を取得できる候補領域を判定できる。調査領域は、候補領域の中から判定される領域である。つまり、調査領域判定装置10は、移動体を用いて調査できる調査領域を判定できる。その結果、利用者などは、移動体を使用し、調査の負荷を低減しながら、迅速に調査を実行できる。
【0098】
さらに、センサ情報取得装置を搭載する移動体は、車両でもよい。センサ情報取得装置は、例えば、ドライブレコーダー20である。この場合、調査領域判定装置10は、車両が走行可能な調査領域を判定できる。その結果、利用者などは、車両を利用して、より迅速に調査を実行できる。例えば、通常時において、道路の状態監視として、車両に搭載されたドライブレコーダー20を用いている場合、利用者は、準備作業などを必要とせずに、センサ情報の取得などの調査を実施できる。センサ情報は、画像、速度、加速度、及び、距離の少なくとも一つを含んでもよい。これらの情報は、一般的なセンサ情報取得装置を用いて取得が容易な情報である。センサ情報取得装置は、例えば、ドライブレコーダー20である。そのため、調査領域判定装置10は、取得が容易な情報を用いて調査可能な調査領域を判定できる。地表測定装置は、合成開口レーダーでもよい。合成開口レーダーは、例えば、SAR30であ。現在、複数の利用可能な合成開口レーダーが運用されている。そのため、調査領域判定装置10は、適切に測定時期の測定結果を用いて、地表の変化を取得できる。
【0099】
候補領域抽出部110は、災害情報を用いて、候補領域を抽出してもよい。この場合、調査領域判定装置10は、センサ情報に加え、災害情報を考慮した候補領域を抽出できる。災害情報は、降雨範囲、雨量、雨雲の情報、風向き、風量、震源、震度、余震の状況、停電、断水、災害に関連する地図、被災範囲、二次災害、及び、過去の被災情報の少なくとも一つを含む情報でもよい。これらの情報は、災害情報として適切な情報である。
【0100】
調査領域判定部130は、地表変化を用いて調査可能領域を判定し、調査可能領域及び候補領域に基づいて調査領域を判定してもよい。この場合、調査領域判定装置10は、候補領域と、取得できるSAR画像の範囲とが異なる場合でも、調査領域として、調査可能な領域を判定できる。調査領域判定部130は、地表変化及びセンサ情報の少なくとも一方を用いて、調査領域における優先度(調査優先度)を設定してもよい。この場合、利用者などは、調査領域の優先度を用いて、調査の計画など作成できる。つまり、調査領域判定装置10は、利用者の利便性を向上できる。調査領域判定部130は、地表の種類を用いて調査領域を判定してもよい。この場合、調査領域判定装置10は、より正確に、調査領域を判定できる。
【0101】
調査領域判定部130は、地表変化及びセンサ情報の少なくとも一方を用いて、調査を避けた方がよい領域である危険領域を判定してもよい。利用者などは、調査における安全性を検討するために危険領域を用いることができる。つまり、調査領域判定装置10は、上記構成に基づいて、利用者の安全性の向上に貢献する情報を判定できる。地表変化が所定の値より大きな領域、及び、センサ情報が危険に関連する情報を含む領域は、危険である可能性が高い領域である。そのため、調査領域判定装置10が、地表変化が所定の値より大きな領域、及び、センサ情報が危険に関連する情報を含む領域の少なくとも一方を危険領域と判定してもよい。この場合、調査領域判定装置10は、危険性が高いと想定される領域を、危険領域と判定できる。
【0102】
調査領域判定部130は、地表変化及びセンサ情報の少なくとも一方を用いて、危険領域の危険度を判定してもよい。例えば、複数の危険領域がある場合、利用者などは、危険度を用いて、危険領域を比較することができる。このように、調査領域判定装置10は、危険領域を比較するための情報である危険度を判定できる。さらに、調査領域判定部130は、地表の種類を用いて危険領域を判定してもよい。この場合、調査領域判定装置10は、より正確に危険領域を判定できる。
【0103】
調査領域判定部130は、センサ情報及び地表変化の少なくとも一方を用いて災害の種類を判定してもよい。この場合、調査領域判定装置10は、調査領域における災害の種別を判定できる。あるいは、調査領域判定部130は、調査領域において取得されたセンサ情報及び地表変化の少なくとも一方を用いて災害の範囲を判定してもよい。この場合、調査領域判定装置10は、調査領域における災害の範囲を判定できる。このように、調査領域判定装置10は、センサ情報及び地表変化の少なくとも一方を用いて、災害に関連する情報として、災害の種別及び範囲の少なくとも一方を判定できる。
【0104】
調査領域判定装置10は、調査領域を出力する領域出力部140を含んでもよい。この場合、調査領域判定装置10は、所定の装置に調査領域を提供できる。領域出力部140は、調査領域と危険領域とを出力してもよい。この場合、調査領域判定装置10は、利用者に対して、調査における危険に関連する追加情報として、危険領域を提供できる。例えば、利用者などは、危険領域を避けて、調査領域に調査に行くことができる。
【0105】
領域出力部140は、調査領域と、調査領域の優先度(調査優先度)とを出力してもよい。この場合、調査領域判定装置10は、利用者などに対して、調査を進めるうえでの有効な情報である優先度を提供できる。例えば、利用者は、調査領域の中でも、優先度の高い領域から調査を開始してもよい。領域出力部140は、調査領域と、未取得領域とを出力してもよい。この場合も、調査領域判定装置10は、利用者などに対して、調査を進めるうえでの有効な情報である未取得領域を提供できる。例えば、利用者は、調査領域の中でも、未取得領域から調査を開始してもよい。このように、調査領域判定装置10は、利用者に有効な情報を提供してもよい。
【0106】
領域出力部140は、調査領域における、センサ情報を出力してもよい。あるいは、領域出力部140は、調査領域における、地表変化を出力してもよい。これらの場合、調査領域判定装置10は、利用者などに調査領域に関連する有効な情報を提供できる。例えば、利用者は、センサ情報及び地表変化の少なくとも一方を参照して、調査前に調査領域の状態を確認してもよい。利用者は、調査前に調査領域に関連する画像などを確認のうえ、調査の実施の要否又は可否などを検討してもよい。例えば、利用者は、調査領域に関連する画像を調査前に確認し、調査困難と判断した場合には、調査を中止してもよい。
【0107】
あるいは、領域出力部140は、候補領域を出力してもよい。候補領域は、センサ情報を用いて調査する調査領域の候補となった領域である。そして、調査領域は、地表の変化に基づいて、候補領域において調査可能と判定された領域である。一方、調査領域と判定されなかった候補領域は、地表の変化に基づいて調査可能と判定されなかった領域である。例えば、調査領域判定部130が地表の変化に基づいて災害に伴う危険性が低い領域を調査領域と判定している場合、調査可能と判定されなかった候補領域は、災害に伴う危険性が高い領域である。例えば、周囲が全て候補領域に囲まれている調査領域は、その調査領域の周囲の全ての候補領域が調査可能とは判定されなかった領域(つまり、危険性が高い領域)である。このように、候補領域と調査領域とを用いると、例えば、利用者は、周辺が全て候補領域に囲まれている調査領域を、その調査領域の周辺が調査に不適切な領域(つまり、危険性が高い領域)であることを把握できる。例えば、その調査領域に向かう場合、利用者は、その調査領域の周辺において、災害状態などを注意する必要がある。このように、調査領域判定装置10は、利用者に有効な情報である候補領域を提供してもよい。
【0108】
領域出力部140は、調査領域の判定に用いられた地表変化の分析に用いられた測定結果の測定時間を出力してもよい。測定結果は、例えば、SAR画像である。例えば、SAR30の測定の更新周期は、ある程度長い場合がある。利用者などは、測定時間を参照して、判定された調査領域の妥当性などを判定できる。領域出力部140は、調査領域に関連する災害情報を出力してもよい。この場合、調査領域判定装置10は、利用者などに、調査領域に関連する災害情報を提供できる。利用者などは、災害情報を参照して、調査の実施の可否などを判定できる。
【0109】
調査領域判定システム80は、調査領域判定装置10と、センサ情報出力装置と、地表測定装置と、表示装置40とを含む。センサ情報出力装置は、例えば、ドライブレコーダー20である。地表測定装置は、例えば、SAR30である。調査領域判定装置10は、上記のように動作する。センサ情報出力装置は、調査領域判定装置10にセンサ情報を出力する。地表測定装置は、調査領域判定装置10に測定結果を出力する。表示装置40は、調査領域判定装置10から調査領域を取得して表示する。このように構成された調査領域判定システム80は、利用者などに、適切な調査領域を提供できる。
【0110】
次に、調査領域判定装置10のハードウェア構成について説明する。調査領域判定装置10の各構成部は、ハードウェア回路で構成されてもよい。あるいは、調査領域判定装置10において、各構成部は、ネットワークを介して接続した複数の装置を用いて、構成されてもよい。例えば、調査領域判定装置10は、クラウドコンピューティングを利用して構成されてもよい。あるいは、調査領域判定装置10において、複数の構成部は、1つのハードウェアで構成されてもよい。
【0111】
あるいは、調査領域判定装置10は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを含むコンピュータ装置として実現されてもよい。調査領域判定装置10は、上記構成に加え、さらに、ネットワークインターフェース回路(NIC:Network Interface Circuit)を含むコンピュータ装置として実現されてもよい。
【0112】
図6は、調査領域判定装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。調査領域判定装置10は、CPU610と、ROM620と、RAM630と、記憶装置640と、NIC650とを含み、コンピュータ装置を構成している。CPU610は、ROM620及び記憶装置640の少なくとも一方からプログラムを読み込む。そして、CPU610は、読み込んだプログラムに基づいて、RAM630と、記憶装置640と、NIC650とを制御する。そして、CPU610を含むコンピュータは、これらの構成を制御し、
図1に示されている、候補領域抽出部110と、地表情報取得部120と、調査領域判定部130と、領域出力部140としての各機能を実現する。
【0113】
CPU610は、各機能を実現する際に、RAM630及び記憶装置640の少なくとも一方を、プログラム及びデータの一時的な記憶媒体として使用してもよい。また、CPU610は、コンピュータで読み取り可能にプログラムを記憶した記録媒体690が含むプログラムを、図示しない記録媒体読み取り装置を用いて読み込んでもよい。あるいは、CPU610は、NIC650を介して、図示しない外部の装置からプログラムを受け取り、RAM630及び記憶装置640の少なくとも一方に保存し、保存したプログラムに基づいて動作してもよい。
【0114】
ROM620は、CPU610が実行するプログラム及び固定的なデータを記憶する。ROM620は、例えば、P-ROM(Programmable-ROM)又はフラッシュROMである。RAM630は、CPU610が実行するプログラム及びデータの少なくとも一方を一時的に記憶する。RAM630は、例えば、D-RAM(Dynamic-RAM)である。記憶装置640は、調査領域判定装置10が長期的に保存するデータ及びプログラムを記憶する。また、記憶装置640は、CPU610の一時記憶装置として動作してもよい。記憶装置640は、例えば、ハードディスク装置、光磁気ディスク装置、SSD(Solid State Drive)又はディスクアレイ装置である。
【0115】
ROM620と記憶装置640とは、不揮発性(non-transitory)の記録媒体である。一方、RAM630は、揮発性(transitory)の記録媒体である。そして、CPU610は、ROM620、記憶装置640、及び、RAM630の少なくとも一つに記憶されているプログラムに基づいて動作可能である。つまり、CPU610は、不揮発性記録媒体及び揮発性記録媒体の少なくとも一方を用いて動作可能である。
【0116】
NIC650は、ネットワークを介した図示しない外部の装置とのデータのやり取りを中継する。NIC650は、例えば、LAN(Local Area Network)カードである。さらに、NIC650は、有線に限らず、無線を用いてもよい。このように構成された調査領域判定装置10は、
図1の調査領域判定装置10と同様の効果を得ることができる。その理由は、調査領域判定装置10のCPU610が、プログラムに基づいて、
図1の調査領域判定装置10と同様の機能を実現できるためである。
【0117】
<第2の実施形態>
次に、図面を参照して、第2の実施形態について説明する。
図7は、第2の実施形態にかかる調査領域判定システム82の構成の一例を示すブロック図である。調査領域判定システム82は、調査領域判定装置10に替えて調査領域判定装置12を含む点を除き、調査領域判定システム80と同様の構成を含む。そのため、調査領域判定装置12以外の構成の詳細な説明を省略する。
【0118】
調査領域判定装置12は、調査領域判定部130に替えて調査領域判定部132を含み、さらに災害範囲予測部150を含む。候補領域抽出部110及び地表情報取得部120は、第1の実施形態と同様に動作する。調査領域判定部132は、災害範囲予測部150の予測を用いる点を除き、調査領域判定部130と同様に動作する。さらに、領域出力部140は、調査領域判定部132及び災害範囲予測部150の動作結果を出力する点を除き、第1の実施形態の領域出力部140と同様に動作する。そのため、以下、第1の実施形態と同様の説明を適宜省略し、災害範囲予測部150を中心に説明する。なお、調査領域判定装置12は、
図6に示したハードウェアを用いて構成されてもよい。
【0119】
災害範囲予測部150は、地表情報取得部120が取得した地表の変化の履歴を用いて、所定の時間における災害範囲を予測する。なお、履歴とは、時系列情報である。例えば、災害が洪水の場合、地表の変化が閾値より大きい範囲は、概ね災害範囲とみなせる場合が多い。災害範囲は、例えば、洪水の範囲である。つまり、地表の変化が所定の閾値より大きい範囲は、災害範囲である場合が多い。そこで、災害範囲予測部150は、地表の変化の履歴を用いて、所定の時点における地表の変化を予測し、予測した地表の変化を用いてその時点での災害範囲を予測する。なお、地表の変化の履歴を保存する構成は、任意である。例えば、災害範囲予測部150が、地表情報取得部120が取得した地表の変化を、履歴として保存してもよい。あるいは、図示しない記憶部が、地表の変化の履歴を保存してもよい。あるいは、図示しない外部の装置が、地表の変化の履歴を保存してもよい。
【0120】
さらに、災害範囲予測部150は、地表の変化の履歴に加え、又は、地表の変化の履歴に替えて、候補領域抽出部110が取得したセンサ情報の履歴を用いて、災害範囲を予測してもよい。なお、センサ情報の履歴を保存する構成は、任意である。例えば、災害範囲予測部150が、候補領域抽出部110が取得したセンサ情報を、履歴として保存してもよい。あるいは、図示しない記憶部が、センサ情報の履歴を保存してもよい。あるいは、図示しない外部の装置が、センサ情報の履歴を保存してもよい。
【0121】
災害範囲予測部150が災害範囲の予測に用いる方法は、限定されない。例えば、災害範囲予測部150は、地表の変化の履歴及びセンサ情報の履歴の少なくとも一方に所定の統計的予測方法を適用して、災害範囲を予測してもよい。統計的予測方法は、例えば、自己回帰モデル、移動平均法、又は、指数平均法である。あるいは、災害範囲予測部150は、過去の地表の変化及びセンサ情報の少なくとも一方を教師データとした機械学習を用いて生成された予測モデルを用いてもよい。さらに、災害範囲予測部150は、地表の変化の履歴及びセンサ情報の履歴の少なくとも一方に基づいて、災害範囲に加え、二次災害の発生時期及び二次災害の範囲の少なくとも一方を予測してもよい。
【0122】
災害範囲予測部150は、地表の変化の履歴に加え、地表の種類の履歴を用いて、災害範囲を予測してもよい。地表の種類は、例えば、水面である。また、災害範囲は、例えば、洪水の範囲である。あるいは、災害範囲予測部150は、地表の変化の履歴に加え、災害情報を用いて、災害範囲を予測してもよい。あるいは、災害範囲予測部150は、予測において、各地の標高、地形、及び、地質など、土地に関連する情報を用いてもよい。
【0123】
災害範囲予測部150は、災害の種類に対応して、災害範囲の予測に用いる方法を変更してもよい。災害の種類は、例えば、洪水、又は、地震である。例えば、洪水の場合、災害範囲は、洪水で冠水した範囲となる。そこで、災害範囲予測部150は、地表の変化の履歴(及び利用可能ならば地表の種類の履歴)に基づいて、災害範囲を予測する。例えば、災害範囲は、洪水の範囲である。一方、地震の場合の路面の被害は、地表の変化だけではなく、地震での路面の被災状態に関連して被災及び復旧の進捗が異なってくる。路面の被災状態は、例えば、ひび割れ及び陥没の状況である。そこで、地震の場合、災害範囲予測部150は、地表の変化の履歴に基づいて判定した地表の変化の予測に加え、センサ情報の履歴に基づいて予測した路面の被害状況を用いて、災害範囲を予測してもよい。災害範囲は、例えば、道路の被災範囲である。
【0124】
調査領域判定部132は、予測された災害範囲を用いて、予測時点における調査領域を判定する。より具体的には、調査領域判定部132は、予測された所定時点の災害範囲を用いて、その時点での調査領域を判定する。調査領域判定部132は、予測された二次災害の発生時期及び二次災害の範囲の少なくとも一方を用いて、調査領域を判定してもよい。
【0125】
図8は、災害範囲の予測に基づく調査領域を説明するための図である。
図8は、災害範囲予測部150が予測した、
図4から所定時間後における災害範囲を示す。所定時間後は、例えば、12時間後である。また、災害範囲は、例えば、地表の変化が大きい範囲である。
図8に示されているように、災害範囲予測部150は、所定時間後の災害範囲を、
図4の範囲より狭くなると予測する。その結果、右側の上下方向の道路の下部の区間と、下側の左右方向の道路の右から2つ目の区間とが、地表の変化が大きい範囲から外れる。その結果、調査領域判定部132は、この2つの区間を調査領域と判定する。
図8は、この2つの区間を分かりやすくするため、「予測調査領域」としている。
【0126】
調査領域が道路を含む場合、災害範囲予測部150は、地表の変化の履歴及びセンサ情報の履歴の少なくとも一方を用いて、道路の通行の復旧時間を予測してもよい。例えば、災害範囲予測部150は、地表の変化の履歴を用いて予測した地表の変化の予測と、センサ情報の履歴を用いて予測した道路の状態とに基づいて、道路の通行の復旧状況の可能性を予測する。そして、災害範囲予測部150は、予測した可能性が所定の値より高くなった時点を復旧時間としてもよい。さらに、災害範囲予測部150は、所定の装置から自治体などの復旧計画など道路の復旧作業に関連する情報を取得し、取得した復旧作業に関連する情報を用いて道路の復旧時間を予測してもよい。なお、復旧計画は、特に限定されない。例えば、被害が倒木の場合、復旧計画は、倒木の除去計画でもよい。あるいは、被害が道路のひび割れの場合、復旧計画は、道路の補修計画でもよい。あるいは、被害が道路の陥没の場合、復旧計画は、道路の修繕計画でもよい。
【0127】
調査領域判定部132は、予測された道路の復旧時間に基づいて、センサ情報の取得計画を作成してもよい。例えば、現在の時点では道路が通行止めのためにセンサ情報を取得できない領域のなかに道路の復旧が予測される領域がある場合、調査領域判定部132は、予測された復旧時間を用いて、センサ情報の取得計画を作成してもよい。災害範囲予測部150が二次災害の発生の可能性を予測している場合、調査領域判定部130は、二次災害の予測を用いて、調査領域におけるセンサ情報の取得計画を作成してもよい。例えば、調査領域判定部130は、二次災害を避けるような取得計画を作成してもよい。さらに、調査領域判定部132は、予測された道路の復旧時間を用いて、その他の計画を作成してもよい。その他の計画は、例えば、所定の物資の配布計画である。
【0128】
次に、第2の実施形態にかかる調査領域判定装置12の動作について、図面を参照して説明する。
図9は、第2の実施形態にかかる調査領域判定装置12の動作の一例を示すフロー図である。候補領域抽出部110は、ドライブレコーダー20が取得したセンサ情報を用いて災害状況の調査の候補領域を抽出する(ステップS201)。地表情報取得部120は、候補領域におけるSAR30の測定結果を用いた分析の結果である地表変化を取得する(ステップS202)。災害範囲予測部150は、地表の変化の履歴を用いて、所定時点の災害範囲を予測する(ステップS215)。調査領域判定部132は、予測された災害範囲を用いて、所定時点の調査領域を判定する(ステップS216)。そして、領域出力部140は、所定時点の調査領域を所定の装置に出力する(ステップS204)。所定の装置は、例えば、表示装置40である。なお、調査領域判定部132は、
図5を用いて説明した動作と同様に、ステップS202の後においても、調査領域を判定してもよい。
【0129】
第2の実施形態にかかる調査領域判定装置12は、第1の実施形態の効果に加え、所定時点における調査領域を提供することができる。その理由は、次のとおりである。調査領域判定装置12は、調査領域判定装置10と比べ、調査領域判定部130に替えて調査領域判定部132を含み、さらに災害範囲予測部150を含む。災害範囲予測部150は、地表変化の履歴を用いて、将来の所定時点における災害範囲を予測する。調査領域判定部132は、予測された災害範囲を用いて、所定時点における調査領域を判定する。このように、調査領域判定装置12は、上記の構成を用いて、所定時点における調査領域を予測できる。
【0130】
災害範囲予測部150は、センサ情報の履歴を用いて、災害範囲を予測してもよい。この場合、調査領域判定装置12は、センサ情報の履歴を用いてより正確な予測を実現できる。災害範囲予測部150は、二次災害の発生時期を予測してもよい。さらに、災害範囲予測部150は、二次災害の範囲を予測してもよい。二次災害は、災害の復旧に影響する。つまり、調査領域判定装置12は、災害の復旧などに関連する情報として、将来における二次災害に関連する情報を提供できる。災害範囲予測部150は、災害情報を用いて、災害範囲を予測してもよい。この場合、調査領域判定装置12は、災害に関連したより正確な予測を実現できる。
【0131】
災害範囲予測部150は、調査領域における道路の通行の復旧時間を予測してもよい。さらに、調査領域判定部132は、復旧時間を用いて、センサ情報の取得計画を作成してもよい。この場合、調査領域判定装置12は、予測した道路の復旧時間を考慮したセンサ情報の取得計画を作成できる。調査領域判定部132は、復旧時間を用いて、所定の物資の配布計画を作成してもよい。この場合、調査領域判定装置12は、復旧時間を考慮した物資の配布計画を作成できる。
【0132】
領域出力部140は、調査領域と、予測した災害範囲とを出力してもよい。この場合、調査領域判定装置12は、利用者などに、調査領域に加え、予測した災害範囲を提供できる。領域出力部140は、調査領域と、取得計画とを出力してもよい。この場合、調査領域判定装置12は、利用者などに、予測した災害範囲を考慮した取得計画を提供できる。領域出力部140は、調査領域と、配布計画とを出力してもよい。この場合、調査領域判定装置12は、利用者などに、予測した災害範囲を考慮した所定の物資の配布計画を提供できる。
【0133】
<第3の実施形態>
調査領域判定装置10は、判定した調査領域を出力するのではなく、図示しない記憶部に保存し、利用者などからの要求に対応して出力してもよい。あるいは、調査領域判定装置10は、図示しない表示部を備えて、その表示部に調査領域を表示してもよい。これらの場合、調査領域判定装置10は、領域出力部140を含まなくてもよい。そこで、第3の実施形態として、上記のような場合を説明する。
【0134】
図10は、第3の実施形態にかかる調査領域判定装置13の構成の一例を示すブロック図である。調査領域判定装置13は、候補領域抽出部110と、地表情報取得部120と、調査領域判定部130とを含む。候補領域抽出部110は、センサ情報取得装置が取得したセンサ情報を用いて災害状況の調査の候補領域を抽出する。センサ情報取得装置は、例えば、ドライブレコーダー20である。地表情報取得部120は、候補領域における地表測定装置の測定結果を用いた分析の結果である地表変化を取得する。地表測定装置は、例えば、SAR30である。調査領域判定部130は、地表変化を用いて、候補領域における災害状況の調査領域を判定する。調査領域判定装置13は、
図6に示されているハードウェア構成を用いて構成されてもよい。上記のように構成された調査領域判定装置13は、調査領域判定装置10と同様に、適切な調査領域を判定できる。
【0135】
<第4の実施形態>
調査領域判定システム80は、情報提供装置50を含まない構成でもよい。そこで、このような場合の一例を、第4の実施形態として説明する。
図11は、第4の実施形態にかかる調査領域判定システム84の構成の一例を示すブロック図である。調査領域判定システム84は、調査領域判定装置10と、センサ情報取得装置21と、地表測定装置31と、表示装置40とを含む。調査領域判定装置10は、候補領域抽出部110と、地表情報取得部120と、調査領域判定部130と、領域出力部140とを含む。調査領域判定装置10は、情報提供装置50から情報を取得しない点を除き、第1の実施形態の調査領域判定装置10と同様に動作する。第4の実施形態にかかる調査領域判定装置10は、
図6に示されているハードウェア構成を用いて構成されてもよい。センサ情報取得装置21は、調査領域判定装置10にセンサ情報を出力する。地表測定装置31は、調査領域判定装置10に測定結果を出力する。表示装置40は、調査領域判定装置10から調査領域を取得して表示する。
【0136】
このように構成された調査領域判定システム84において、調査領域判定装置10は、既に説明したように動作する。つまり、調査領域判定装置10は、センサ情報取得装置21が取得したセンサ情報を用いて災害状況の調査の候補領域を抽出する。センサ情報取得装置21は、例えば、ドライブレコーダー20である。そして、調査領域判定装置10は、候補領域における地表測定装置31の測定結果を用いた分析の結果である地表変化を取得する。地表測定装置31は、例えば、SAR30である。そして、調査領域判定装置10は、地表変化を用いて、候補領域における災害状況の調査領域を判定する。そして、調査領域判定装置10は、調査領域を出力する。そして、表示装置40が、調査領域を表示する。このように構成された調査領域判定システム84は、調査領域判定システム80と同様の効果を得ることができる。
【0137】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0138】
(付記1)
センサ情報取得装置が取得したセンサ情報を用いて災害状況の調査の候補領域を抽出する候補領域抽出手段と、
候補領域における地表測定装置の測定結果を用いた分析の結果である地表変化を取得する地表情報取得手段と、
地表変化を用いて、候補領域における災害状況の調査領域を判定する調査領域判定手段と
を含む調査領域判定装置。
【0139】
(付記2)
候補領域が、候補領域の抽出に用いるセンサ情報の未取得領域を含む
付記1に記載の調査領域判定装置。
【0140】
(付記3)
候補領域が、未取得領域におけるセンサ情報を取得できなかった領域を含む
付記2に記載の調査領域判定装置。
【0141】
(付記4)
候補領域が、センサ情報取得装置を搭載する移動体が移動可能な領域である
付記1ないし3のいずれか1項に記載の調査領域判定装置。
【0142】
(付記5)
センサ情報取得装置を搭載する移動体が車両である
付記4に記載の調査領域判定装置。
【0143】
(付記6)
センサ情報が、画像、速度、加速度、及び、距離の少なくとも一つを含む
付記1ないし5のいずれか1項に記載の調査領域判定装置。
【0144】
(付記7)
候補領域抽出手段が、災害情報を用いて、候補領域を抽出する
付記1ないし6のいずれか1項に記載の調査領域判定装置。
【0145】
(付記8)
災害情報が、降雨範囲、雨量、雨雲の情報、風向き、風量、震源、震度、余震の状況、停電、断水、災害に関連する地図、被災範囲、二次災害、及び、過去の被災情報の少なくとも一つを含む
付記7に記載の調査領域判定装置。
【0146】
(付記9)
調査領域判定手段が、地表変化を用いて調査可能領域を判定し、調査可能領域及び候補領域に基づいて調査領域を判定する
付記1ないし8のいずれか1項に記載の調査領域判定装置。
【0147】
(付記10)
調査領域判定手段が、地表変化及びセンサ情報の少なくとも一方を用いて、調査領域における調査優先度を設定する
付記1ないし9のいずれか1項に記載の調査領域判定装置。
【0148】
(付記11)
調査領域判定手段が、地表の種類を用いて調査領域を判定する
付記1ないし10のいずれか1項に記載の調査領域判定装置。
【0149】
(付記12)
調査領域判定手段が、地表変化及びセンサ情報の少なくとも一方を用いて、調査を避けた方がよい領域である危険領域を判定する
付記1ないし11のいずれか1項に記載の調査領域判定装置。
【0150】
(付記13)
危険領域が、地表変化が所定の値より大きな領域、及び、センサ情報が危険に関連する情報を含む領域の少なくとも一方である
付記12に記載の調査領域判定装置。
【0151】
(付記14)
調査領域判定手段は、地表変化及びセンサ情報の少なくとも一方を用いて、危険領域の危険度を判定する
付記12又は13に記載の調査領域判定装置。
【0152】
(付記15)
調査領域判定手段が、地表の種類を用いて危険領域を判定する
付記12ないし14のいずれか1項に記載の調査領域判定装置。
【0153】
(付記16)
調査領域判定手段が、センサ情報及び地表変化の少なくとも一方を用いて災害の種類を判定する
付記1ないし15のいずれか1項に記載の調査領域判定装置。
【0154】
(付記17)
調査領域判定手段が、調査領域において取得されたセンサ情報及び地表変化の少なくとも一方を用いて災害の範囲を判定する
付記1ないし16のいずれか1項に記載の調査領域判定装置。
【0155】
(付記18)
地表変化の履歴を用いて、将来の所定時点における災害範囲を予測する災害範囲予測手段を含み、
調査領域判定手段が、予測された災害範囲を用いて、所定時点における調査領域を判定する
付記1ないし17のいずれか1項に記載の調査領域判定装置。
【0156】
(付記19)
災害範囲予測手段が、センサ情報の履歴を用いて、災害範囲を予測する
付記18に記載の調査領域判定装置。
【0157】
(付記20)
災害範囲予測手段が、二次災害の発生時期を予測する
付記18又は19に記載の調査領域判定装置。
【0158】
(付記21)
災害範囲予測手段が、二次災害の範囲を予測する
付記18ないし20のいずれか1項に記載の調査領域判定装置。
【0159】
(付記22)
災害範囲予測手段が、災害情報を用いて、災害範囲を予測する
付記18ないし21のいずれか1項に記載の調査領域判定装置。
【0160】
(付記23)
災害範囲予測手段が、道路の通行の復旧時間を予測し、
調査領域判定手段が、復旧時間を用いて、センサ情報の取得計画を作成する
付記18ないし22のいずれか1項に記載の調査領域判定装置。
【0161】
(付記24)
調査領域判定手段が、復旧時間を用いて、所定の物資の配布計画を作成する
付記23に記載の調査領域判定装置。
【0162】
(付記25)
調査領域を出力する領域出力手段
を含む付記1ないし24のいずれか1項に記載の調査領域判定装置。
【0163】
(付記26)
調査領域と危険領域とを出力する領域出力手段
を含む付記12ないし15のいずれか1項に記載の調査領域判定装置。
【0164】
(付記27)
調査領域と、調査領域の調査優先度とを出力する領域出力手段
を含む付記10に記載の調査領域判定装置。
【0165】
(付記28)
調査領域と、未取得領域とを出力する領域出力手段
を含む付記2に記載の調査領域判定装置。
【0166】
(付記29)
領域出力手段が、調査領域における、センサ情報を出力する
付記25ないし28のいずれか1項に記載の調査領域判定装置。
【0167】
(付記30)
領域出力手段が、調査領域における、地表変化を出力する
付記25ないし29のいずれか1項に記載の調査領域判定装置。
【0168】
(付記31)
領域出力手段が候補領域を出力する
付記25ないし30のいずれか1項に記載の調査領域判定装置。
【0169】
(付記32)
領域出力手段が、調査領域の判定に用いられた地表変化の分析に用いられた測定結果の測定時間を出力する
付記25ないし31のいずれか1項に記載の調査領域判定装置。
【0170】
(付記33)
領域出力手段が、調査領域に関連する災害情報を出力する
付記25ないし32のいずれか1項に記載の調査領域判定装置。
【0171】
(付記34)
調査領域と、予測した災害範囲とを出力する領域出力手段
を含む付記18ないし24のいずれか1項に記載の調査領域判定装置。
【0172】
(付記35)
調査領域と、予測した災害範囲と、取得計画とを出力する領域出力手段
を含む付記23に記載の調査領域判定装置。
【0173】
(付記36)
調査領域と、予測した災害範囲と、配布計画とを出力する領域出力手段
を含む付記24に記載の調査領域判定装置。
【0174】
(付記37)
付記1ないし36のいずれか1項に記載の調査領域判定装置と、
調査領域判定装置にセンサ情報を出力するセンサ情報取得装置と、
調査領域判定装置に測定結果を出力する地表測定装置と、
調査領域判定装置から調査領域を取得して表示する表示装置と
を含む調査領域判定システム。
【0175】
(付記38)
センサ情報取得装置が取得したセンサ情報を用いて災害状況の調査の候補領域を抽出し、
候補領域における地表測定装置の測定結果を用いた分析の結果である地表変化を取得し、
地表変化を用いて、候補領域における災害状況の調査領域を判定する
調査領域判定方法。
【0176】
(付記39)
調査領域判定装置が、付記38に記載の方法を実行し、
センサ情報取得装置が、調査領域判定装置にセンサ情報を出力し、
地表測定装置が、調査領域判定装置に測定結果を出力し、
表示装置が、調査領域判定装置から調査領域を取得して表示する
調査領域判定方法。
【0177】
(付記40)
センサ情報取得装置が取得したセンサ情報を用いて災害状況の調査の候補領域を抽出する処理と、
候補領域における地表測定装置の測定結果を用いた分析の結果である地表変化を取得する処理と、
地表変化を用いて、候補領域における災害状況の調査領域を判定する処理と
をコンピュータに実行させるプログラムを記録する記録媒体。
【0178】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる
【符号の説明】
【0179】
10 調査領域判定装置
12 調査領域判定装置
13 調査領域判定装置
20 ドライブレコーダー
21 センサ情報取得装置
30 SAR
31 地表測定装置
40 表示装置
50 情報提供装置
80 調査領域判定システム
82 調査領域判定システム
84 調査領域判定システム
110 候補領域抽出部
120 地表情報取得部
130 調査領域判定部
132 調査領域判定部
140 領域出力部
150 災害範囲予測部
610 CPU
620 ROM
630 RAM
640 記憶装置
650 NIC
810 コンピュータ
820 ドライブレコーダー
830 SARシステム
840 端末装置
850 車両
880 ネットワーク