(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】涙を分泌させるためのデバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 35/00 20060101AFI20250304BHJP
A61F 9/04 20060101ALI20250304BHJP
G01N 1/10 20060101ALI20250304BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20250304BHJP
【FI】
A61M35/00
A61F9/04
G01N1/10 V
G01N33/50 X
(21)【出願番号】P 2022521943
(86)(22)【出願日】2021-05-11
(86)【国際出願番号】 JP2021017957
(87)【国際公開番号】W WO2021230260
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2024-05-07
(31)【優先権主張番号】P 2020083525
(32)【優先日】2020-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】516089522
【氏名又は名称】株式会社PROVIGATE
(74)【代理人】
【識別番号】100174252
【氏名又は名称】赤津 豪
(72)【発明者】
【氏名】西 光海
(72)【発明者】
【氏名】宮内 のり子
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/067907(WO,A1)
【文献】特表2019-507652(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 35/00
A61F 9/04
G01N 1/10
G01N 33/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼の周縁部で顔面に密着可能な縁を有し、その内部に眼用刺激剤から発生されるガスが充填されうるガス被供給空間を画定する容器本体
であって、
前記容器本体は、眼の周縁部の顔面に前記縁を密着させた装着状態で前記容器本体の外部から内部にアクセス可能なアクセス開口を有する、容器本体
を備える、
涙を分泌させるためのデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイスであって、
前記ガス被供給空間に連通するとともに、前記眼用刺激剤が配置される刺激剤配置部を更に備えるデバイス。
【請求項3】
請求項2に記載のデバイスであって、
前記刺激剤配置部は、前記ガス被供給空間の少なくとも一部に形成されている、
デバイス。
【請求項4】
請求項
1に記載のデバイスであって、
前記容器本体の内部に、眼から分泌された涙液を回収する涙液収容部を更に備えるデバイス。
【請求項5】
請求項
1に記載のデバイスであって、
前記容器本体は、
第一方向の一方側に向かって開く開口を有したカップ状で、
前記縁は、前記開口の周縁の全周に連続して形成されている、
デバイス。
【請求項6】
請求項5に記載のデバイスであって、
前記容器本体は、眼の周縁部の顔面に前記縁を密着させた装着状態で、眼との間に実質的な閉空間を形成する、
デバイス。
【請求項7】
請求項
5に記載のデバイスであって、
前記容器本体は、
前記第一方向の他方側に配置された底部と、
前記底部の周縁から前記第一方向の一方側に立ち上がる周壁と、を備える、
デバイス。
【請求項8】
請求項7に記載のデバイスであって、
前記容器本体の内部に、前記ガス被供給空間と前記涙液収容部とを区画する区画壁を備えるデバイス。
【請求項9】
請求項8に記載のデバイスであって、
前記容器本体は、眼の周縁部の顔面に前記縁を密着させた装着状態で、目尻側に位置する第一端と、目頭側に位置する第二端と、を有し、
前記区画壁は、前記第一端と前記第二端との間に配置され、前記容器本体内部を前記第一端側の第一区画と、前記第二端側の第二区画とに区画する、
デバイス。
【請求項10】
請求項9に記載のデバイスであって、
前記第一区画が前記涙液収容部を形成し、前記第二区画が前記ガス被供給空間を形成する、
デバイス。
【請求項11】
請求項8に記載のデバイスであって、
前記容器本体は、眼の周縁部の顔面に前記縁を密着させた装着状態で、上眼瞼側に位置する上側端と、下眼瞼側に位置する下側端と、を有し、
前記区画壁は、前記上側端と前記下側端との間に配置され、前記容器本体内部を前記上側端側の上側区画と、前記下側端側の下側区画とに区画する、
デバイス。
【請求項12】
請求項8に記載のデバイスであって、
前記区画壁の外周端の全周が前記容器本体の内周面に接合されて、前記区画壁と前記容器本体の内周面との間に密閉空間が形成され、
前記密閉空間が、前記刺激剤配置部を形成し、
前記区画壁は、その両面を連通する通気口を有している、
デバイス。
【請求項13】
請求項8に記載のデバイスであって、
前記区画壁は、前記底部から前記第一方向の一方側に立ち上がる筒状に形成され、
前記刺激剤配置部は、筒状の前記区画壁の内側に配置されている、
デバイス。
【請求項14】
請求項8に記載のデバイスであって、
前記区画壁は、前記周壁の前記第一方向の中間位置に、前記第一方向に交差する面方向に配置されて、前記容器本体の内部空間を部分的に区画し、
前記刺激剤配置部は、前記区画壁に対して前記第一方向で前記底部側に配置され、
前記涙液収容部は、前記区画壁に対して、前記第一方向で前記底部と反対側に形成される、
デバイス。
【請求項15】
請求項14に記載のデバイスであって、
前記区画壁は、前記容器本体の内部空間を前記第一方向で前記底部側と反対側とを連通する連通部を有するように形成され、
前記連通部は、前記容器本体の前記縁を眼の周縁部の顔面に密着させた装着状態で、目頭側に配置されている、
デバイス。
【請求項16】
請求項15に記載のデバイスであって、
前記区画壁は、前記連通部から前記周壁に向かって前記第一方向で前記底部側に傾斜している、
デバイス。
【請求項17】
請求項
7に記載のデバイスであって、
前記刺激剤配置部は、前記容器本体の前記底部に形成されている
デバイス。
【請求項18】
請求項17に記載のデバイスであって、
前記容器本体は、眼の周縁部の顔面に前記縁を密着させた装着状態で、目尻側に位置する第一端と、目頭側に位置する第二端と、を有し、
前記底部は、前記第一端と前記第二端との間の底部中間部から、前記第一端側及び前記第二端側に向かって前記第一方向の他方側に傾斜している、
デバイス。
【請求項19】
請求項18に記載のデバイスであって、
前記刺激剤配置部は、前記底部において前記底部中間部に対して前記第二端側に形成されている、
デバイス。
【請求項20】
請求項17に記載のデバイスであって、
前記底部は、前記底部の周縁から前記底部の内方に向かって前記第一方向の一方側に隆起する台部を備え、
前記刺激剤配置部は、前記台部上に形成されている、
デバイス。
【請求項21】
請求項17に記載のデバイスであって、
前記底部は、前記周壁に対して着脱可能とされ、
前記刺激剤配置部は、前記底部上に配置されている、
デバイス。
【請求項22】
請求項
7に記載のデバイスであって、
前記刺激剤配置部は、前記周壁の内周面に形成されている、
デバイス。
【請求項23】
請求項
7に記載のデバイスであって、
前記刺激剤配置部は、
前記眼用刺激剤を保持する保持部本体と、
一端が前記保持部本体に接続され、他端が前記容器本体に接続された接続部材と、
を備える、
デバイス。
【請求項24】
請求項
7に記載のデバイスであって、
前記容器本体の前記開口に対して着脱可能な着脱部材を備え、
前記刺激剤配置部は、前記着脱部材が前記開口に装着された状態で、前記容器本体内に臨む側の前記着脱部材の表面に配置されている、
デバイス。
【請求項25】
請求項
1に記載のデバイスであって、
前記容器本体と一体に設けられ、前記涙液収容部に収容された涙液を回収する涙液容器を更に備えるデバイス。
【請求項26】
請求項25に記載のデバイスであって、
前記涙液容器は、前記容器本体の前記開口から外方に延びる有底筒状に形成されている、
デバイス。
【請求項27】
請求項26に記載のデバイスであって、
前記涙液容器は、眼の周縁部の顔面に前記縁を密着させた装着状態で前記容器本体に対して目尻側に配置され、
前記涙液容器は、目頭側に向けて開口する容器開口を有する、
デバイス。
【請求項28】
請求項
1に記載のデバイスであって、
前記容器本体の少なくとも一部又は全部が、前記容器本体の外部から内部を光学的に確認可能な透明性を有する材料で形成されている、
デバイス。
【請求項29】
請求項1に記載のデバイスであって、
前記眼用刺激剤を担持し、前記刺激剤配置部に配置される繊維組織を更に備えるデバイス。
【請求項30】
請求項
1に記載のデバイスであって、
前記眼用刺激剤は、液状で、袋体に密封されている
デバイス。
【請求項31】
請求項
1に記載のデバイスであって、
前記眼用刺激剤は、臭化ベンジルを含む、
デバイス。
【請求項32】
請求項
1に記載のデバイスであって、
前記眼用刺激剤は、syn-プロパンチアール-S-オキシドを含む、
デバイス。
【請求項33】
請求項
1に記載のデバイスであって、
前記眼用刺激剤は、反応して前記ガスを発生させる酵素及び基質の少なくとも一部を含む、
デバイス。
【請求項34】
請求項
33に記載のデバイスであって、
前記酵素は、乾燥状態で前記刺激剤配置部に配置され、
前記基質は、溶液状態で前記酵素に添加されるように構成された、
デバイス。
【請求項35】
請求項
34に記載のデバイスであって、
前記酵素は、アリナーゼ及び催涙因子合成酵素(LFS)であり、
前記基質は、PRENCSOである、
デバイス。
【請求項36】
請求項
1に記載のデバイスであって、
二つの前記容器本体と、
二つの前記容器本体を眼の周縁部の顔面に前記縁を密着させた装着状態で、目頭側となる二つの前記容器本体の目頭側端部同士を接続する接続材と、
を備えるデバイス。
【請求項37】
請求項
1に記載のデバイスであって、
前記容器本体を、眼の周縁部の顔面に前記縁を密着させるように、対象者の頭部に係止することができる係止具を更に備えるデバイス。
【請求項38】
請求項
36に記載のデバイスであって、
二つの前記容器本体のそれぞれにおいて、二つの前記容器本体を眼の周縁部の顔面に前記縁を密着させた装着状態で目尻側となる目尻側端部に設けられ、前記容器本体を対象者の頭部に係止することができる係止具をさらに備えるデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、涙を分泌させるためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
涙液を採取する方法の一つとして、例えば、眼球表面に押し当てた試験紙に、涙液を吸収させる方法がある。
【0003】
涙液を効率良く採取することが必要である。しかし、試験紙を眼球表面に押し当てる方法では、眼球に刺激痛が生じることがある。また、涙液の分泌は、涙液採取対象者の意志で自在にコントロールできるものではなく、十分な量の涙液を採取するには時間がかかることがある。このため、涙液を採取する対象者にとって、涙液の採取は負担となることがある。涙液の採取を、対象者への負担を抑えつつ、効率良く行うことが必要である。
【発明の概要】
【0004】
ここでは、例えば非限定的に、涙液の採取を、対象者への負担を抑えつつ、効率良く行うための必要性が認識される。
【0005】
本開示のいくつかの実施形態は、涙を分泌させるためのデバイスを提供する。いくつかの実施形態では、デバイスは、容器本体を備えている。いくつかの実施形態では、容器本体は、眼の周縁部で顔面に密着可能な縁を有している。いくつかの実施形態では、容器本体は、ガス被供給空間を画定する。いくつかの実施形態では、ガス被供給空間は、その内部に、眼用刺激剤から発生されるガスが充填されうる。
【0006】
上記の実施形態によれば、例えば、涙液の採取を、対象者への負担を抑えつつ、効率良く行うことができる。
【0007】
本開示のさらなる態様および利点は、本開示の例示的な実施形態のみが示され説明される以下の詳細な説明から当業者には容易に明らかになるであろう。理解されるように、本開示は、他の異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、本開示から逸脱することなく、様々な明白な点で修正が可能である。したがって、図面および説明は、本質的に例示と見なされるべきであり、限定と見なされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】ある実施形態に係るデバイスを模式的に示す図である。
【
図2】
図1の実施形態に係るデバイスを開口側から見た図である。
【
図3】ある実施形態に係るデバイスを模式的に示す図である。
【
図4】
図3の実施形態に係るデバイスを開口側から見た図である。
【
図5】ある実施形態に係るデバイスを模式的に示す図である。
【
図6】
図5の実施形態に係るデバイスを開口側から見た図である。
【
図7】ある実施形態に係るデバイスを模式的に示す図である。
【
図8】
図7の実施形態に係るデバイスを開口側から見た図である。
【
図9】ある実施形態に係るデバイスを模式的に示す図である。
【
図10】
図9の実施形態に係るデバイスを開口側から見た図である。
【
図11】ある実施形態に係るデバイスを模式的に示す図である。
【
図12】ある実施形態に係るデバイスを模式的に示す図である。
【
図13】ある実施形態に係るデバイスを模式的に示す図である。
【
図14】ある実施形態に係るデバイスを模式的に示す図である。
【
図15】ある実施形態に係るデバイスを模式的に示す図である。
【
図16】ある実施形態に係るデバイスを模式的に示す図である。
【
図17】ある実施形態に係るデバイスを模式的に示す図である。
【
図18】ある実施形態に係るデバイスを模式的に示す図である。
【
図19】ある実施形態に係るデバイスを模式的に示す図である。
【
図20】ある実施形態に係るデバイスを模式的に示す図である。
【
図21】ある実施形態に係るデバイスを模式的に示す図である。
【
図22】ある実施形態に係るデバイスを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
いくつかの実施形態では、デバイスは、涙液を分泌させる。デバイスは、分泌させた涙液を回収してもよく、分泌させた涙液を回収しなくてもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、デバイスが分泌させた涙液を回収しない場合、デバイスで分泌させた涙液は、他の回収手段で回収してもよい。他の回収手段は、例えば、眼から落下する涙液を回収する容器であってもよく、容器以外の部材であってもよい。他の回収手段は、例えば、眼から分泌された涙液を吸引して涙液を回収するスポイトであってもよく、スポイト以外の部材であってもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、涙液は、対象者の眼から分泌されるものである。いくつかの実施形態では、対象者は、ヒトを含んでいてもよく、ヒトであってもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、対象者は、ヒト以外の動物を含んでいてもよく、ヒト以外の動物であってもよい。ヒト以外の動物は、哺乳類動物を含んでいてもよく、哺乳類動物であってもよい。ヒト以外の動物は、例えば非限定的に、使役動物,家畜動物,愛玩動物,野生動物であってもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、デバイスは、容器本体を備える。いくつかの実施形態では、容器本体は、眼の周縁部で顔面に密着可能な縁を有する。いくつかの実施形態では、涙液を分泌させる場合、容器本体は、縁を、対象者の眼の周縁部で顔面に密着させる。
【0014】
本明細書で使用される「眼の周縁部」という用語は、一般的に、眼の周縁部に位置する顔面の部位を指す。いくつかの態様では、眼の周縁部は、例えば、目頭よりも鼻側の部位、目尻よりも外側の耳側の部位、上眼瞼、上眼瞼よりも上側の部位、下眼瞼、下眼瞼よりも下側の部位のうちの一つ以上を含んでいてもよい。いくつかの態様では、対象者が眼から涙液を分泌させる際の頭の向きにおいて、縁が密着可能な顔面は、対象者の眼よりも下側の顔面の部位を含んでいてもよく、対象者の眼よりも下側の顔面の部位であってもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、容器本体は、ガス被供給空間を画定する。いくつかの実施形態では、デバイスは、容器本体の内部に形成され、眼用刺激剤から発生されたガスがその内部に供給されるガス被供給空間を備えていてもよい。
【0016】
本明細書で使用される「ガス被供給空間」という用語は、一般的に、眼用刺激剤から発生されるガスが充填されうる空間を指す。
【0017】
いくつかの実施形態では、眼用刺激剤は、眼を刺激することで、眼から涙液を分泌させるガスを発生するものであってもよい。いくつかの実施形態では、眼用刺激剤は、反応によりその成分を発生させるための物質の一つを含んでいてもよく、反応によりその成分を発生させるための物質の一つであってもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、眼用刺激剤の有効成分は、催涙成分、又は催涙因子(lachrymatory factor)を含んでいてもよく、催涙成分、又は催涙因子であってもよい。いくつかの実施形態では、眼用刺激剤は、催涙物質を生成させるために必要な複数の物質の一部(一種又は複数種)を含んでいてもよく、催涙物質を生成させるために必要な複数の物質の一部であってもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、眼用刺激剤の有効成分は、天然由来の物質を含んでいてもよく、天然由来の物質であってもよい。いくつかの実施形態では、眼用刺激剤の有効成分は、ネギ属(Allium, アリウム属ともいう。)の植物から抽出された物質を含んでいてもよく、ネギ属の植物から抽出された物質であってもよい。ネギ属の植物は、例えば非限定的に、タマネギ(Allium cepa)、長ネギ(Allium fistulosum )、ニンニク(Allium sativum)、シチリアニンニク(Allium siculum)など、であってもよく、それらの一つ又は複数を含んでいてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、眼用刺激剤の有効成分は、人工的に合成される物質を含んでいてもよく、人工的に合成される物質であってもよい。いくつかの実施形態では、眼用刺激剤は、化学物質を含んでいてもよく、化学物質であってもよい。いくつかの実施形態では、眼用刺激剤は、催涙ガス,催涙剤(lachrymatory agent)を含んでいてもよく、催涙ガス、催涙剤であってもよい。いくつかの実施形態では、眼用刺激剤は、揮発性であってもよい。いくつかの実施形態では、眼用刺激剤は、眼を刺激する成分を含んでいてもよく、眼を刺激する成分であってもよい。いくつかの実施形態では、眼用刺激剤は、臭化ベンジル(ベンジルブロミド、α-ブロモトルエン、ブロモメチルベンゼン)を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、眼用刺激剤は、塩化ベンジル(α-クロロトルエン、クロロメチルベンゼン)であってもよく、それらの一つ又は複数を含んでいてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、眼用刺激剤の有効成分は、アルキル鎖の末端にThioalkanal S-Oxideと呼ばれる構造を有する化合物、又はその類縁化合物を含んでいてもよく、上記化合物、又はその類縁化合物であってもよい。いくつかの実施形態では、眼用刺激剤の有効成分は、R-CH=S-Oで表される化合物であってもよい。それは、例えば非限定的に、チオエタナール-S-オキシド(Thioethanal S-Oxide)(R=C1)、チオプロパナール-S-オキシド(Thiopropanal S-Oxide)(R=C2)、チオブタナール-S-オキシド(Thiobutanal S-Oxide)(R=C3)、チオヘキサナール-S-オキシド(Thiohexanal S-Oxide)(R=C4)を含んでいてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、眼用刺激剤は、syn-プロパンチアール-S-オキシド(C3H6OS、Thiopropanal S-Oxide、1-Sulfinylpropaneと呼んでもよい。)を含んでいてもよく、syn-プロパンチアール-S-オキシドであってもよい。いくつかの実施形態では、眼用刺激剤は、syn-プロパンチアール-S-オキシドを合成する物質を含んでいてもよく、syn-プロパンチアール-S-オキシドを合成する物質であってもよい。いくつかの実施形態では、眼用刺激剤は、使用の際に、物質を反応させてsyn-プロパンチアール-S-オキシドを生成してもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、例えば、酵素の一種であるアリナーゼ(ドライでセルロースに担持されている)を用いて、スルホキシドアミノ酸(基質)を分解し、スルフェン酸を生成させるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、催涙因子合成酵素 (lachrymatory factor synthase; LFS)を用いて、生じた1-プロペンスルフェン酸をsyn-プロパンチアール-S-オキシドに変換させてもよい。いくつかの実施形態では、アリナーゼとLFSとを容器内に配置していてもよい。いくつかの実施形態では、これらの酵素は、乾燥状態で担持材に担持されて容器内に配置されていてもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、例えば、syn-プロパンチアール-S-オキシドを発生させるためには、PRENCSO(trans-1-propenyl-L-cysteine sulfoxide), アリナーゼ、及びLFSの一つ又は複数を用いてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、PRENCSO, アリナーゼ、及びLFSの一つ又は複数を容器内部に担持し、使用時に残りをそれらと反応させてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、例えば、眼用刺激剤の有効成分は、syn-butanethial S-Oxide, C4H8OSを含んでいてもよく、syn-butanethial S-Oxideであってもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、例えば、眼用刺激剤には、その他の種々の催涙ガスを用いてもよい。安全が許される範囲で催涙ガスを使用してもよい。例えば、催涙ガスは希釈してもよい。例えば、催涙ガスは、安全性を高めるために、改変されてもよい。催涙ガスは、例えば非限定的に、アダムサイトなどの催吐剤;ジフェニルシアノアルシン(DC), ジフェニルクロロアルシン(DA)などのくしゃみ剤;ブロモベンジルシアニド, クロロアセトフェノン, クロロベンジリデンマロノニトリル,ジベンゾ-1,4-オキサゼピンなどの催涙剤、であってもよく、それらの一つ又は複数を含んでいてもよい。催涙ガスは、トウガラシスプレーであってもよく、それ又はその主成分であるカプサイシン(オレオレジン・カプシカム(Oleoresin Capsicum)、OC剤とも呼ばれる。)を含んでいてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、デバイスは、眼用刺激剤を担持し、刺激剤配置部に配置される繊維組織を更に備えるようにしてもよい。眼用刺激剤を担持する繊維組織は、例えば非限定的に、セルロース、ガーゼ、不織布、スポンジである。眼用刺激剤を担持する繊維組織は、種々の形状を取り得る。例えば、その形状は、例えば非限定的に、円形、シート状、ひも状、円形状、球状を含む。一例として、繊維組織は、綿状又はフワフワに形成されてもよい。これにより、例えば、実質的な表面積が大きくなり、催涙成分の揮発効率、及び基質液の浸透効率が向上する。いくつかの実施形態では、眼用刺激剤は、液状で、袋体に密封されていてもよい。いくつかの実施形態では、眼用刺激剤を担持する繊維組織を備えず、眼用刺激剤の成分は、乾燥状態で容器本体内に担持されていてもよい。いくつかの実施形態では、眼用刺激剤は、固形状に準備されてもよく、例えば錠剤又は粉末剤として準備されてもよい。例えば、眼用刺激剤は、賦形剤と混合した状態で提供されてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、眼用刺激剤は、反応してガスを発生させる酵素及び基質の少なくとも一部を含むようにしてもよく、反応してガスを発生させる酵素及び基質であってもよい。いくつかの実施形態では、酵素は、乾燥状態で刺激剤配置部に配置され、基質は、溶液状態で酵素に添加されるように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、酵素は、アリナーゼ及び催涙因子合成酵素(LFS)であってもよい。いくつかの実施形態では、基質は、PRENCSOであってもよい。いくつかの実施形態では、使用時に、基質であるPRENCSOの溶液を、上記の酵素に滴下してもよい。これらが反応し、その結果、眼用刺激剤の有効成分を発生させてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、容器本体は、開口部を有したカップ状であってもよく、開口部を有したカップ状でなくてもよい。いくつかの実施形態では、容器本体がカップ状でない場合、容器本体は、例えば、涙液を受けることができればよく、板状、外縁よりも内側に凹面を有する皿状、底部を有した筒状等であってもよい。いくつかの実施形態では、容器本体は、第一方向の他方側に配置された底部と、底部の周縁から第一方向の一方側に立ち上がる周壁と、を備えていてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、容器本体は、いくつかの実施形態では、開口部は、第一方向の一方側に開口していてもよく、第一方向の一方側以外の方向に開口していてもよい。本明細書で使用される「第一方向」という用語は、一般的に、容器本体の開口部の開口方向を指し示す。
【0031】
いくつかの実施形態では、容器本体が開口を有している場合、縁は、その全周に連続して形成されていてもよく、開口の一部にのみ形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、容器本体は、眼の周縁部の顔面に縁を密着させた装着状態で、眼との間に実質的な閉空間を形成してもよく、閉空間を形成しなくてもよい。いくつかの実施形態において、眼との間に実質的な閉空間を形成しない容器本体は、眼との間に、一部が開放された空間を形成してもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、デバイスは、ガス被供給空間に連通するとともに、眼用刺激剤が配置される刺激剤配置部を更に備えていてもよく、刺激剤配置部を備えなくてもよい。いくつかの実施形態では、刺激剤配置部は、ガス被供給空間の少なくとも一部に形成されていてもよく、ガス被供給空間の少なくとも一部に形成されていなくてもよい、いくつかの実施形態では、刺激剤配置部は、ガス被供給空間とは別に形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、刺激剤は、デバイス使用時に使用者の虹彩又は瞳孔に最も近い位置に配置されてもよい。それは、一説によれば、最も催涙効果がある眼球上の部位と言われている。例えば、刺激剤配置部は、容器の底部の実質的に中心に規定されもよく、容器の容積の中央又はその近傍に規定されてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、容器本体の内部に、眼から分泌された涙液を回収する涙液収容部を更に備えてもよく、涙液収容部を備えなくてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、容器本体は、その内部をガス被供給部と涙液収容部とに区画する区画壁を備えてもよく、区画壁を備えなくてもよい。いくつかの実施形態では、区画壁を備えない場合、容器本体の内部に、ガス被供給部と涙液収容部とが区画されずに配置されていてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、容器本体の内部に、ガス被供給部と涙液収容部とが区画されずに配置される場合、刺激剤配置部は、容器本体の底部に形成されていてもよく、容器本体の底部以外に形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、刺激剤配置部は、底部上に配置されるように形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、刺激剤配置部が、容器本体の底部に形成されている場合、底部は、眼の周縁部の顔面に縁を密着させた装着状態で、目尻側に位置する容器本体の第一端と、目頭側に位置する第二端との間の底部中間部から、第一端側及び第二端側に向かって第一方向の他方側に傾斜していてもよく、底部は、傾斜していなくてもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、刺激剤配置部は、底部において底部中間部に対して第二端側に形成されていてもよく、第二端側に形成されていなくてもよい。いくつかの実施形態では、底部が、底部の周縁から底部の内方に向かって第一方向の一方側に隆起する台部を備える場合、刺激剤配置部は、台部上に形成されていいてもよく、台部上に形成されていなくてもよい。いくつかの実施形態では、底部は、周壁に対して着脱可能とされ、刺激剤配置部は、底部上に配置されていてもよく、底部以外に配置されていてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、刺激剤配置部は、周壁の内周面に形成されていてもよく、周壁の内周面に設けられていなくてもよい。いくつかの実施形態では、刺激剤配置部は、眼用刺激剤を保持する保持部本体と、一端が保持部本体に接続され、他端が容器本体に接続された接続部材と、を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、容器本体は、その開口に対して着脱可能な着脱部材を備え、刺激剤配置部は、着脱部材が開口に装着された状態で、容器本体内に臨む側の着脱部材の表面に配置されていてもよい。
【0038】
種々の態様で、底部は、周壁に対して着脱可能に構成され得る。例えば、底部と周壁は、それぞれ磁石を有して着脱可能に構成されていてもよい。底部と周壁との着脱可能な結合の態様は、例えば非限定的に、磁石、両面テープ、マジックテープ、嵌め込み、引っ掛け、差し込み(例えば、周壁に設けられたスリットに底部の一部をスライドして挿入する)などを含む。その他の態様が用いられてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、区画壁は、眼の周縁部の顔面に縁を密着させた装着状態で、目尻側に位置する第一端と、目頭側に位置する第二端との間に配置され、容器本体の内部を第一端側の第一区画と、第二端側の第二区画とに区画していてもよく、区画壁は、容器本体の内部を第一区画と第二区画とに区画していなくてもよい。いくつかの実施形態では、区画壁が容器本体の内部を第一区画と第二区画とに区画している場合、第一区画が涙液収容部を形成し、第二区画がガス被供給空間を形成してもよい。いくつかの実施形態では、第一区画がガス被供給空間を形成し、第二区画が涙液収容部を形成してもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、区画壁は、眼の周縁部の顔面に縁を密着させた装着状態で、上眼瞼側に位置する容器本体の上側端と、下眼瞼側に位置する下側端との間に配置され、容器本体の内部を上側端側の上側区画と、下側端側の下側区画とに区画していてもよく、区画壁が容器本体の内部を上側区画と下側区画とに区画していなくてもよい。いくつかの実施形態では、区画壁が容器本体の内部を上側区画と下側区画とに区画している場合、上側区画が涙液収容部を形成し、下側区画がガス被供給空間を形成してもよい。いくつかの実施形態では、上側区画がガス被供給空間を形成し、下側区画が涙液収容部を形成してもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、区画壁の外周端の全周が容器本体の内周面に接合されて、区画壁と容器本体の内周面との間に密閉空間が形成され、密閉空間が、刺激剤配置部を形成し、区画壁は、その両面を連通する通気口を有していてもよい、
【0042】
いくつかの実施形態では、区画壁は、底部から第一方向の一方側に立ち上がる筒状に形成され、刺激剤配置部は、筒状の区画壁の内側に配置されていてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、区画壁は、周壁の第一方向の中間位置に、第一方向に交差する面方向に配置されて、容器本体の内部空間を部分的に区画していてもよい。いくつかの実施形態では、区画壁が容器本体の内部空間を部分的に区画する場合、刺激剤配置部は、区画壁に対して第一方向で底部側に配置され、涙液収容部は、区画壁に対して、第一方向で底部と反対側に形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、区画壁が容器本体の内部空間を部分的に区画する場合、刺激剤配置部は、区画壁に対して第一方向で底部と反対側に配置され、涙液収容部は、区画壁に対して、第一方向で底部側に形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、区画壁は、容器本体の内部空間を第一方向で底部側と反対側とを連通する連通部を有するように形成され、連通部は、容器本体の縁を眼の周縁部の顔面に密着させた装着状態で、目頭側に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、連通部は、容器本体の縁を眼の周縁部の顔面に密着させた装着状態で、目尻側に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、区画壁は、連通部から周壁に向かって第一方向で底部側に傾斜していてもよく、傾斜していなくてもよい。いくつかの実施形態では、区画壁は、連通部から周壁に向かって第一方向で底部側と反対側に傾斜していてもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、デバイスは、容器本体と一体に設けられ、涙液収容部に収容された涙液を回収する涙液容器を備えていてもよく、涙液容器を備えなくてもよい。いくつかの実施形態では、涙液容器は、容器本体の開口から外方に延びる有底筒状に形成されていてもよく、有底筒状に形成されていなくてもよい。いくつかの実施形態では、涙液容器が有底筒状に形成されていない場合、涙液容器は、例えば非限定的に、容器本体に連通する開口を有した中空球状、中空箱状であってもよい。いくつかの実施形態では、涙液容器は、容器本体と一体に設けられていなくてもよい。いくつかの実施形態では、涙液容器は、容器本体と別体に設けられていてもよい。いくつかの実施形態では、涙液容器は、容器本体と別体に設けられる場合、容器本体と涙液溶液とを接続する接続管をさらに備えるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、涙液容器は、涙溶液が容器本体から、容器本体と別体に設けた涙液容器に移し替えられるように構成されてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、容器本体と一体に設けられる涙液容器は、眼の周縁部の顔面に縁を密着させた装着状態で容器本体に対して目尻側に配置され、涙液容器は、目頭側に開口する容器開口を有してもよい。いくつかの実施形態では、容器本体と一体に設けられる涙液容器は、眼の周縁部の顔面に縁を密着させた装着状態で容器本体に対して目尻側以外の位置に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、涙液容器は、目頭側以外の方向に向けて開口する容器開口を有してもよい。いくつかの実施形態では、涙液容器は、容器本体の内方に向けて開口する容器開口を有してもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、容器本体は、眼の周縁部の顔面に縁を密着させた装着状態で容器本体の外部から内部にアクセス可能なアクセス開口を有してもよい。アクセス開口の用途は、例えば非限定的に、涙液の回収、眼用刺激剤の注入である。
【0047】
いくつかの実施形態では、容器本体の少なくとも一部又は全部が、容器本体の外部から内部を光学的に確認可能な透明性を有する材料で形成されてもよい。容器本体の外部から内部を光学的に確認可能な透明性を有する材料は、例えば非限定的に、樹脂系材料、ガラス系材料であってもよい。いくつかの実施形態では、容器本体の外部から内部を光学的に確認可能な透明性を有する材料は、容器本体の内部に溜まった涙液の量を、容器本体の外部から目視やカメラで確認できるような透明性を有してもよい。いくつかの実施形態では、容器本体の内部にカメラを配置してもよい。いくつかの態様では、必要な光を容器外部から内部に入射してもよい。いくつかの態様では、必要な光を容器本体の内部で発してもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、デバイスは、二つの容器本体を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、デバイスは、二つの容器本体を眼の周縁部の顔面に縁を密着させた装着状態で目頭側となる二つの容器本体の目頭側の端部を接続する接続材を備えてもよい。いくつかの実施形態では、デバイスは、容器本体を、眼の周縁部の顔面に縁を密着させるように、対象者の頭部に係止することができる係止具を更に備えていてもよい。いくつかの実施形態では、二つの容器本体のそれぞれは、二つの容器本体を眼の周縁部の顔面に縁を密着させた装着状態で目尻側となる目尻側端部に設けられ、容器本体を対象者の頭部に係止することができる係止具をさらに備えていてもよい。係止具は、例えば非限定的に、対象者の耳に掛けるために眼鏡用の蔓状に形成されてもよく、対象者の後頭部に回して掛けるためにバンド状に形成されてもよい。
【0049】
図1、
図2に、ある実施形態に係るデバイス100Aを示す。
図1、
図2に示すデバイス100Aは、容器本体10Aと、区画壁20Aと、を備えている。
【0050】
容器本体10Aは、底部11と、周壁12と、を備えている。容器本体10Aは、第一方向Daの一方側Da1に向かって開く開口13を有している。容器本体10Aは、容器本体10Aの外部から内部を光学的に確認可能な透明性を有する材料、例えば透明または半透明の樹脂材料によって形成されている。
【0051】
底部11は、容器本体10Aにおいて、第一方向Daの他方側Da2に配置されている。第一方向Daは、開口13が開く方向である。第一方向Daは、開口13と底部11とを結ぶ方向である。底部11は、例えば板状で、第一方向Daに交差(実質的に直交)する面に沿って配置されている。底部11は、第一方向Daから見て、楕円形に形成されている。楕円形の底部11は、第一方向Daに直交する第二方向Dbを長径方向としている。底部11は、第一方向Da及び第二方向Dbに直交する第三方向Dcを短径方向としている。底部11は、第一方向Daから見て、長円形、円形、多角形状等であってもよい。
【0052】
周壁12は、底部11の周縁方向から第一方向Daの一方側Da1に立ち上がるように形成されている。周壁12は、第一方向Daに延びる筒状に形成されている。周壁12は、第一方向Daの他方側Da2の底部11から一方側Da1に向かって、内径が徐々に大きくなるように形成されている。周壁12において、第一方向Daの一方側Da1の端部の周縁125は、第一方向Daの一方側Da1に向かって、フレア状(朝顔状)に大きく拡径している。周壁12の周縁125には、縁15が形成されている。縁15は、デバイス100Aの使用時に、対象者の眼の周縁部で顔面に密着可能に形成されている。容器本体10Aは、眼1000の周縁部の顔面に縁15を密着させた装着状態で、眼1000との間に実質的な閉空間を形成する。縁15は、眼1000の周縁部で顔面に完全に密着して、完全な閉空間を形成しなくてもよい。容器本体10Aで涙液が回収できるのであれば、縁15は、眼1000の周縁部の顔面とのあいだに多少の隙間があってもよい。
【0053】
図2に示すように、容器本体10Aは、縁15を、対象者の眼1000の周縁部で顔面に密着させて使用される。容器本体10Aは、第二方向Dbを、対象者の眼1000の目頭1001側と目尻1002側とを結ぶ方向に実質的に沿わせる。容器本体10Aは、第一端101と第二端102とを有する。第一端101は、眼1000の周縁部の顔面に縁15を密着させた装着状態で、目頭1001側に位置する。第二端102は、眼1000の周縁部の顔面に縁15を密着させた装着状態で、目尻1002側に位置する。
【0054】
区画壁20Aは、容器本体10Aの内部を複数の空間に区画する。区画壁20Aは、第一端101と第二端102との間に配置されている。区画壁20Aは、第二方向Dbにおいて、第一端101と第二端102との中間部に配置されている。区画壁20Aは、第二方向Dbにおいて、第一端101と第二端102との中間部よりも、第一端101側、または第二端102側に偏った位置に配置されていてもよい。区画壁20Aは、第二方向Dbに実質的に直交する面方向に配置されている。区画壁20Aの外縁は、容器本体10Aの底部11、及び周壁12に接合されている。区画壁20Aは、容器本体10Aの内部を、第一端101側の第一区画111と、第二端102側の第二区画112とに区画する。
【0055】
容器本体10A内には、ガス被供給空間70Aと、涙液収容部80Aとが配置されている。区画壁20Aは、容器本体10Aの内部をガス被供給空間70Aと涙液収容部80Aとに区画する。本開示において、第一区画111がガス被供給空間70Aを形成する。第二区画112が涙液収容部80Aを形成する。
【0056】
ガス被供給空間70Aは、容器本体10Aによって画定されている。容器本体10A内には、刺激剤配置部60Aが配置される。刺激剤配置部60Aは、眼用刺激剤90が配置される。本開示において、眼用刺激剤90は、ガス被供給空間70A内に配置される。これにより、刺激剤配置部60Aは、ガス被供給空間70Aの少なくとも一部に形成される。このため、刺激剤配置部60Aは、ガス被供給空間70Aに連通する。
【0057】
眼用刺激剤90は、眼を刺激することで、眼から涙液を分泌させるガスを発生する。眼用刺激剤90は、反応により、眼から涙液を分泌させる成分を発生させる。
【0058】
本開示の実施形態では、眼用刺激剤90の有効成分は、天然由来の物質である、ネギ属の植物から抽出された物質を含んでいる。本開示の実施形態では、眼用刺激剤90は、例えば、酵素の一種であるアリナーゼとLFSとを含んでいる。眼用刺激剤90は、例えば、繊維組織91としてのセルロースに乾燥状態で担持されている。
【0059】
本開示の実施形態では、眼用刺激剤90は、基質としてのPRENCSOが、乾燥状態で繊維組織91に担持されている。
【0060】
眼用刺激剤90の酵素は、基質の溶液(水溶液)と反応して、syn-プロパンチアール-S-オキシドが生成される。生成されたsyn-プロパンチアール-S-オキシドを含むガスが、眼に刺激を与え、涙液を分泌させる。
【0061】
いくつかの実施形態では、基質と酵素との混合物を提供し、それに水を加えてもよい。いくつかの実施形態では、眼用刺激剤90は、酵素と基質とを含んでいてもよい。
【0062】
デバイス100Aを用いて対象者の眼から涙液を採取するには、容器本体10Aの刺激剤配置部60Aに眼用刺激剤90を配置する。眼用刺激剤90は、容器本体10Aの内周面に、例えば接着剤等によって、予め固定されていてもよい。容器本体10A内の眼用刺激剤90に基質溶液又は水を滴下すると、ガス被供給空間70Aは、眼用刺激剤90から発生されるガスによって充填される。容器本体10Aの開口13を対象者の眼1000側に向けた状態で、縁15を眼1000の周縁部の顔面に密着させる。対象者は、容器本体10Aを押し当てた眼1000の目尻1002側が、目頭1001に対して下方となるように、頭を傾ける。
【0063】
ガス被供給空間70A内のガスは、対象者の眼球に接触することによって、眼1000を刺激する。これにより、眼1000から涙液が分泌される。分泌された涙液は、下方側の目尻1002側から眼1000外に流れ出る。流れ出た涙液は、容器本体10Aの涙液収容部80Aに流れ込む。このようにして、涙液が容器本体10Aによって採取される。容器本体10A内の区画壁20Aによって、採取された涙液が、眼用刺激剤90が配置された刺激剤配置部60A側に流れることが抑えられる。
【0064】
上記したようなデバイス100Aは、対象者の眼球に試験紙を直接押し当てることなく、涙液を採取することができる。デバイス100Aは、眼用刺激剤90から発生されるガスによって、眼1000を刺激して涙液を分泌させる。これにより、涙液を効率良く分泌させることができる。デバイス100Aは、容器本体10Aの縁15を、眼の周縁部の顔面に密着させる。これにより、眼用刺激剤90から発生されるガスが、周囲に拡散することが抑えられる。したがって、眼用刺激剤90から発生されるガスによって、眼1000を効率良く刺激することができる。眼1000から分泌された涙液が、容器本体10A外に漏れ出ることが抑えられる。したがって、デバイス100Aでは、涙液の採取を、対象者への負担を抑えつつ、効率良く行うことが可能となる。
【0065】
図3及び
図4に、ある実施形態に係るデバイス100Bを示す。以下の説明において、
図1及び
図2に示したデバイス100Aと共通する構成については、図中に
図1及び
図2と同符号を付してその説明を省略する。
【0066】
図3及び
図4に示すデバイス100Bは、容器本体10Bと、区画壁20Bと、を備えている。
【0067】
容器本体10Bは、底部11と、周壁12と、開口13と、縁15と、を有している。
【0068】
区画壁20Bは、容器本体10Bの内部を複数の空間に区画する。区画壁20Bは、上側端103と下側端104との間に配置されている。区画壁20Bは、第三方向Dcにおいて、上側端103と下側端104との中間部に配置されている。区画壁20Bは、第三方向Dcにおいて、上側端103と下側端104との中間部よりも、上側端103側、または下側端104側に偏った位置に配置されていてもよい。区画壁20Bは、第三方向Dcに実質的に直交する面方向に配置されている。区画壁20Bの外縁は、容器本体10Bの底部11、及び周壁12に接合されている。区画壁20Bは、容器本体10Bの内部を、上側端103側の上側区画121と、下側端104側の下側区画122とに区画する。
【0069】
容器本体10B内には、ガス被供給空間70Bと、涙液収容部80Bとが配置されている。区画壁20Bは、容器本体10Bの内部をガス被供給空間70Bと涙液収容部80Bとに区画する。本開示において、上側区画121がガス被供給空間70Bを形成する。下側区画122が涙液収容部80Bを形成する。
【0070】
ガス被供給空間70Bは、容器本体10Bによって画定されている。容器本体10B内には、刺激剤配置部60Bが配置される。刺激剤配置部60Bは、眼用刺激剤90が配置される。本開示において、眼用刺激剤90は、ガス被供給空間70B内に配置される。これにより、刺激剤配置部60Bは、ガス被供給空間70Bの少なくとも一部に形成される。このため、刺激剤配置部60Bは、ガス被供給空間70Bに連通する。
【0071】
デバイス100Bを用いて対象者の眼1000から涙液を採取するには、容器本体10Bを、眼1000の周縁部の顔面に縁15を密着させた装着状態に置く。上側端103は、上眼瞼1003側に配置される。下側端104は、下眼瞼1004側に配置される。
【0072】
眼用刺激剤90から発生されるガス被供給空間70B内のガスは、対象者の眼1000を刺激する。これにより、眼1000から涙液が分泌される。分泌された涙液は、眼1000から流れ出る。流れ出た涙液は、容器本体10Bの涙液収容部80Bに流れ込む。このようにして、涙液が容器本体10Bによって採取される。容器本体10B内の区画壁20Bによって、採取された涙液が、眼用刺激剤90が配置された刺激剤配置部60B側に流れることが抑えられる。
【0073】
上記したようなデバイス100Bでは、涙液の採取を、対象者への負担を抑えつつ、効率良く行うことが可能となる。
【0074】
図5及び
図6に、ある実施形態に係るデバイス100Cを示す。以下の説明において、
図1及び
図2に示したデバイス100Aと共通する構成については、図中に
図1及び
図2と同符号を付してその説明を省略する。
【0075】
図5及び
図6に示すデバイス100Cは、容器本体10Cと、区画壁20Cと、を備えている。
【0076】
容器本体10Cは、底部11と、周壁12と、開口13と、縁15と、を有している。
【0077】
区画壁20Cは、容器本体10Cの内部を複数の空間に区画する。区画壁20Cは、容器本体10Cの内周面よりも、容器本体10Cの内方に配置されている。区画壁20Cは、その外周端21の全周が、容器本体10Cに接合されている。区画壁20Cの底部外周端211は、第一方向Daから見て円弧状に湾曲している。底部外周端211は、周壁12の第一端101側の周壁内周面114に対し、第二方向Dbの第二側Db2に離れた位置で、底部11に接合されている。区画壁20Cにおいて、周壁12の周方向の両側に位置する側部外周端212は、周壁12の第一端101側の内周面に接合されている。区画壁20Cは、第一方向Daの他方側Da2から一方側Da1に向かって、周方向の幅が徐々に小さくなるように形成されている。区画壁20Cと、周壁12の第一端101側の周壁内周面114との間には、密閉空間131が形成される。区画壁20Cは、容器本体10Cの内部を、密閉空間131と、それ以外の開放空間132とに区画する。開放空間132は、開口13によって、第一方向Daの一方側Da1に開放されている。
【0078】
区画壁20Cは、その両面を連通する通気口220を有している。通気口220は、例えば、区画壁20Cにおいて、周壁12の周方向の両側に二つが配置されている。通気口220の数は、二つに限らない。通気口220の数は、一つ、または三つ以上でもよい。通気口220の位置は、容器本体10C内でガス被供給空間70Cに連通するのであれば、具体的な位置は限定されない。
【0079】
容器本体10C内には、刺激剤配置部60Cが配置される。刺激剤配置部60Cは、眼用刺激剤90が配置される。刺激剤配置部60Cは、密閉空間131に形成される。
【0080】
容器本体10C内には、ガス被供給空間70Cが画定されている。本開示の実施形態において、開放空間132が、ガス被供給空間70Cを形成する。ガス被供給空間70Cには、密閉空間131の刺激剤配置部60Cに配置された眼用刺激剤90から発生されるガスが、通気口220を通して供給される。
【0081】
デバイス100Cを用いて対象者の眼1000から涙液を採取するには、容器本体10Cを、眼1000の周縁部の顔面に縁15を密着させた装着状態とする。対象者は、容器本体10Cを押し当てた眼1000の目尻1002側が、目頭1001に対して下方となるように、頭を傾ける。
【0082】
眼用刺激剤90から発生されるガスがガス被供給空間70Cに供給されることによって、対象者の眼1000が刺激される。これにより、眼1000から分泌された涙液は、下方側の目尻1002側から眼1000外に流れ出る。流れ出た涙液は、容器本体10Cの涙液収容部80Cに流れ込む。このようにして、涙液が容器本体10Cによって採取される。容器本体10C内の区画壁20Cによって、採取された涙液が、眼用刺激剤90が配置された刺激剤配置部60C側に流れることが抑えられる。
【0083】
上記したようなデバイス100Cでは、涙液の採取を、対象者への負担を抑えつつ、効率良く行うことが可能となる。
【0084】
図7及び
図8に、ある実施形態に係るデバイス100Dを示す。以下の説明において、
図1及び
図2に示したデバイス100Aと共通する構成については、図中に
図1及び
図2と同符号を付してその説明を省略する。
【0085】
図7及び
図8に示すデバイス100Dは、容器本体10Dと、区画壁20Dと、を備えている。
【0086】
容器本体10Dは、底部11と、周壁12と、開口13と、縁15と、を有している。
【0087】
区画壁20Dは、容器本体10Dの内部を複数の空間に区画する。区画壁20Dは、底部11上に形成されている。区画壁20Dは、筒状に形成されている。区画壁20Dは、底部11から第一方向Daの一方側Da1に立ち上がるように延びている。区画壁20Dの底部11からの高さは、容器本体10Dの縁15よりも低い。区画壁20Dは、第一方向Daから見て、断面形状が円形に形成されている。区画壁20Dの断面形状は、楕円形、多角形状等であってもよい。区画壁20Dは、第一方向Daから見て、底部11の中央部に配置されている。区画壁20Dは、容器本体10Dの内部を、内側区画141と、外側区画142と、に区画する。内側区画141は、区画壁20Dの径方向内側に形成されている。外側区画142は、区画壁20Dの径方向外側に形成されている。
【0088】
容器本体10D内には、ガス被供給空間70Dと、涙液収容部80Dとが配置されている。区画壁20Dは、容器本体10Dの内部を刺激剤配置部60Dと涙液収容部80Dとに区画する。本開示において、内側区画141が刺激剤配置部60Dを形成する。外側区画142が涙液収容部80Dを形成する。
【0089】
ガス被供給空間70Dは、容器本体10Dによって画定されている。刺激剤配置部60Dに配置された眼用刺激剤90から発生されるガスは、容器本体10D内の全体に充填(充満)されうる。本開示の実施形態において、ガス被供給空間70Dは、容器本体10D内の全体とされる。
【0090】
デバイス100Dを用いて対象者の眼1000から涙液を採取するには、容器本体10Dを、眼1000の周縁部の顔面に縁15を密着させた装着状態とする。
【0091】
眼用刺激剤90から発生されるガス被供給空間70D内のガスは、対象者の眼1000を刺激する。これにより、眼1000から涙液が分泌される。分泌された涙液は、眼1000から流れ出る。流れ出た涙液は、容器本体10Dの涙液収容部80Dに流れ込む。このようにして、涙液が容器本体10Dによって採取される。容器本体10D内の区画壁20Dによって、採取された涙液が、眼用刺激剤90が配置された刺激剤配置部60D側に流れることが抑えられる。
【0092】
上記したようなデバイス100Dでは、涙液の採取を、対象者への負担を抑えつつ、効率良く行うことが可能となる。
【0093】
図9及び
図10に、ある実施形態に係るデバイス100Eを示す。以下の説明において、
図1及び
図2に示したデバイス100Aと共通する構成については、図中に
図1及び
図2と同符号を付してその説明を省略する。
【0094】
図9及び
図10に示すデバイス100Eは、容器本体10Eと、区画壁20Eと、を備えている。
【0095】
容器本体10Eは、底部11と、周壁12と、開口13と、縁15と、を有している。
【0096】
区画壁20Eは、容器本体10Eの内部を複数の空間に区画する。区画壁20Eは、周壁12において第一方向Daの中間位置に配置されている。区画壁20Eは、底部11に対して、第一方向Daの一方側Da1に離れて配置されている。区画壁20Eは、第一方向Daに交差する面方向に配置されている。区画壁20Eは、第二方向Dbの第一側Db1で、第一端101側の周壁内周面114に対して連通部230を空けて配置されている。
【0097】
区画壁20Eは、第一方向Daに直交する面方向に対し、容器本体10Eの第一端101側から第二端102側に向かって、第一方向Daの他方側Da2側に傾斜している。区画壁20Eは、第一方向Daから見て、容器本体10Eの内部空間を部分的に塞ぐように形成されている。
【0098】
区画壁20Eは、容器本体10E内の空間を、底部側空間151と、開口側空間152とに、部分的に区画する。底部側空間151は、容器本体10E内で、区画壁20Eを挟んで第一方向Daの他方側Da2(底部11側)に形成される。開口側空間152は、区画壁20Eを挟んで第一方向Daの一方側Da1(開口13側)に形成される。底部側空間151と、開口側空間152とは、連通部230を介して連通している。
【0099】
容器本体10E内には、刺激剤配置部60Eと、涙液収容部80Eとが配置されている。区画壁20Eは、容器本体10Eの内部を刺激剤配置部60Eと涙液収容部80Eとを部分的に区画する。本開示において、底部側空間151が刺激剤配置部60Eを形成する。開口側空間152が涙液収容部80Eを形成する。
【0100】
ガス被供給空間70Eは、容器本体10Eによって画定されている。刺激剤配置部60Eに配置された眼用刺激剤90から発生されるガスは、底部側空間151から連通部230を通して開口側空間152に流れ込む。眼用刺激剤90から発生されるガスは、容器本体10E内の全体に充填(充満)されうる。本開示の実施形態において、ガス被供給空間70Eは、容器本体10E内の全体とされる。
【0101】
デバイス100Eを用いて対象者の眼1000から涙液を採取するには、容器本体10Eを、眼1000の周縁部の顔面に縁15を密着させた装着状態とする。対象者は、容器本体10Eを押し当てた眼1000の目尻1002側が、目頭1001に対して下方となるように、頭を傾ける。
【0102】
眼用刺激剤90から発生されるガス被供給空間70E内のガスは、対象者の眼1000を刺激する。これにより、眼1000から涙液が分泌される。分泌された涙液は、眼1000から流れ出る。流れ出た涙液は、容器本体10Eの涙液収容部80Eに流れ込む。このようにして、涙液が容器本体10Eによって採取される。容器本体10E内の区画壁20Eによって、採取された涙液が、眼用刺激剤90が配置された刺激剤配置部60E側に流れることが抑えられる。区画壁20Eは、第一方向Daに直交する面方向に対し、容器本体10Eの第一端101側から第二端102側に向かって、他方側Da2側に傾斜している。このため、涙液が連通部230側に流れることが抑えられる。
【0103】
上記したようなデバイス100Eでは、涙液の採取を、対象者への負担を抑えつつ、効率良く行うことが可能となる。
【0104】
図11に、ある実施形態に係るデバイス100Fを示す。以下の説明において、
図1及び
図2に示したデバイス100Aと共通する構成については、図中に
図1及び
図2と同符号を付してその説明を省略する。
【0105】
図11に示すデバイス100Fは、容器本体10Fを備えている。容器本体10Fは、底部11と、周壁12と、開口13と、縁15と、を有している。容器本体10F内には、刺激剤配置部60Fと、ガス被供給空間70Fと、涙液収容部80Fと、が配置されている。
【0106】
刺激剤配置部60Fは、底部11に配置されている。刺激剤配置部60Fは、底部11において、第二方向Dbで第一側Db1に偏った位置に配置されていてもよい。刺激剤配置部60Fは、例えば、眼用刺激剤90を、底部11に単に置くだけでもよい。刺激剤配置部60Fは、例えば、眼用刺激剤90を、底部11に接着剤等で固定してもよい。
【0107】
ガス被供給空間70Fは、容器本体10Fによって画定されている。刺激剤配置部60Fに配置された眼用刺激剤90から発生されるガスは、容器本体10F内の全体に充填(充満)されうる。本開示の実施形態において、ガス被供給空間70Fは、容器本体10F内の全体とされる。
【0108】
涙液収容部80Fは、容器本体10Fの内部に形成されている。デバイス100Fを用いて対象者の眼から涙液を採取するには、容器本体10Fを、眼1000の周縁部の顔面に縁15を密着させた装着状態とする。対象者は、容器本体10Fを押し当てた眼1000の目尻1002側が、目頭1001に対して下方となるように、頭を傾ける。涙液収容部80Fは、容器本体10Fにおいて、目尻1002側となる第二方向Dbの第二側Db2側の領域に形成される。
【0109】
眼用刺激剤90から発生されるガスがガス被供給空間70Fに供給されることによって、対象者の眼1000が刺激される。これにより、眼1000から分泌された涙液は、下方側の目尻1002側から眼1000外に流れ出る。流れ出た涙液は、容器本体10Fの涙液収容部80Fに流れ込む。このようにして、涙液が容器本体10Fによって採取される。
【0110】
上記したようなデバイス100Fでは、涙液の採取を、対象者への負担を抑えつつ、効率良く行うことが可能となる。
【0111】
図12に、ある実施形態に係るデバイス100Gを示す。以下の説明において、
図1及び
図2に示したデバイス100Aと共通する構成については、図中に
図1及び
図2と同符号を付してその説明を省略する。
【0112】
図12に示すデバイス100Gは、容器本体10Gを備えている。容器本体10Gは、底部11Gと、周壁12と、開口13と、縁15と、を有している。
【0113】
底部11Gは、第二方向Dbにおいて、第一端101と第二端102との間の底部中間部115が隆起している。底部11Gは、底部中間部115から、第二方向Dbの一方側Da1の第一端101側と、第二方向Dbの他方側Da2の第二端102側に向かって、それぞれ第一方向Daの他方側Da2(底部11側)に傾斜している、
【0114】
容器本体10G内には、刺激剤配置部60Gと、ガス被供給空間70Gと、涙液収容部80Gと、が配置されている。
【0115】
刺激剤配置部60Gは、底部11Gに配置されている。刺激剤配置部60Gは、底部11Gにおいて、隆起した底部中間部115よりも第二方向Dbで第一側Db1に配置されている。
【0116】
ガス被供給空間70Gは、容器本体10Gによって画定されている。刺激剤配置部60Gに配置された眼用刺激剤90から発生されるガスは、容器本体10G内の全体に充填(充満)されうる。本開示の実施形態において、ガス被供給空間70Gは、容器本体10G内の全体とされる。
【0117】
涙液収容部80Gは、容器本体10Gの内部に形成されている。デバイス100Gを用いて対象者の眼1000から涙液を採取するには、容器本体10Gを、眼1000の周縁部の顔面に縁15を密着させた装着状態とする。対象者は、容器本体10Gを押し当てた眼1000の目尻1002側が、目頭1001に対して下方となるように、頭を傾ける。涙液収容部80Gは、容器本体10Gにおいて、隆起した底部中間部115よりも第二方向Dbで第二側Db2に配置されている。
【0118】
眼用刺激剤90から発生されるガスがガス被供給空間70Gに供給されることによって、対象者の眼1000が刺激される。これにより、眼1000から分泌された涙液は、下方側の目尻1002側から眼1000外に流れ出る。流れ出た涙液は、容器本体10Gの涙液収容部80Gに流れ込む。このようにして、涙液が容器本体10Gによって採取される。上記したようなデバイス100Gでは、涙液の採取を、対象者への負担を抑えつつ、効率良く行うことが可能となる。
【0119】
図13に、ある実施形態に係るデバイス100Hを示す。以下の説明において、
図1、
図2に示したデバイス100Aと共通する構成については、図中に
図1、
図2と同符号を付してその説明を省略する。
図13に示すデバイス100Hは、容器本体10Hを備えている。容器本体10Hは、底部11Hと、周壁12と、開口13と、縁15と、を有している。容器本体10H内には、刺激剤配置部60Hと、ガス被供給空間70Hと、涙液収容部80Hと、が配置されている。
【0120】
底部11Hは、周壁12に対して着脱可能とされている。底部11Hは、周壁12に対して開閉できるように構成してもよい。刺激剤配置部60Hは、底部11H上に配置されている。刺激剤配置部60Hは、例えば、眼用刺激剤90を、底部11Hに単に置くだけでもよい。刺激剤配置部60Hは、例えば、眼用刺激剤90を、底部11Hに接着剤等で固定してもよい。
【0121】
ガス被供給空間70Hは、容器本体10Hによって画定されている。刺激剤配置部60Hに配置された眼用刺激剤90から発生されるガスは、容器本体10H内の全体に充填(充満)されうる。本開示の実施形態において、ガス被供給空間70Hは、容器本体10H内の全体とされる。
【0122】
涙液収容部80Hは、容器本体10Hの内部に形成されている。デバイス100Hを用いて対象者の眼1000から涙液を採取するには、容器本体10Hを、眼1000の周縁部の顔面に縁15を密着させた装着状態とする。対象者は、容器本体10Hを押し当てた眼1000の目尻1002側が、目頭1001に対して下方となるように、頭を傾ける。涙液収容部80Hは、容器本体10Hにおいて、目尻1002側となる第二方向Dbの第二側Db2側の領域に形成される。
【0123】
デバイス100Hを用いて対象者の眼1000から涙液を採取するには、まず、容器本体10Hを、眼1000の周縁部の顔面に縁15を密着させた装着状態とする。このとき、底部11Hは、周壁12から取り外しておくようにしてもよい。対象者が、デバイス100Hを装着した後、眼用刺激剤90を載せた底部11Hを周壁12に装着する。眼用刺激剤90は、基質溶液又は水を滴下してガスを発生しうる状態としておく。
眼用刺激剤90から発生されるガスがガス被供給空間70Hに供給されることによって、対象者の眼1000が刺激される。これにより、眼1000から分泌された涙液は、下方側の目尻1002側から眼1000外に流れ出る。流れ出た涙液は、容器本体10Hの涙液収容部80Hに流れ込む。このようにして、涙液が容器本体10Hによって採取される。上記したようなデバイス100Hでは、涙液の採取を、対象者への負担を抑えつつ、
効率良く行うことが可能となる。
【0124】
図14に、ある実施形態に係るデバイス100Iを示す。以下の説明において、
図1、
図2に示したデバイス100Aと共通する構成については、図中に
図1、
図2と同符号を付してその説明を省略する。
図14に示すデバイス100Iは、容器本体10Iを備えている。容器本体10Iは、底部11と、周壁12と、開口13と、縁15と、を有している。容器本体10I内には、刺激剤配置部60Iと、ガス被供給空間70Iと、涙液収容部80Iと、が配置されている。
【0125】
刺激剤配置部60Iは、周壁12の内周面に配置されている。刺激剤配置部60Iは、周壁12の内周面において、第二方向Dbで第一側Db1に偏った位置に配置されていてもよい。刺激剤配置部60Iは、周壁12の第一端101側の周壁内周面114に配置されている。刺激剤配置部60Iは、例えば、眼用刺激剤90を、周壁内周面114に接着剤等で固定してもよい。
【0126】
ガス被供給空間70Iは、容器本体10Iによって画定されている。刺激剤配置部60Iに配置された眼用刺激剤90から発生されるガスは、容器本体10I内の全体に充填(充満)されうる。本開示の実施形態において、ガス被供給空間70Iは、容器本体10I内の全体とされる。
【0127】
涙液収容部80Iは、容器本体10Iの内部に形成されている。デバイス100Iを用いて対象者の眼1000から涙液を採取するには、容器本体10Iを、眼1000の周縁部の顔面に縁15を密着させた装着状態とする。対象者は、容器本体10Iを押し当てた眼1000の目尻1002側が、目頭1001に対して下方となるように、頭を傾ける。涙液収容部80Iは、容器本体10Iにおいて、目尻1002側となる第二方向Dbの第二側Db2側の領域に形成される。
【0128】
眼用刺激剤90から発生されるガスがガス被供給空間70Iに供給されることによって、対象者の眼1000が刺激される。これにより、眼1000から分泌された涙液は、下方側の目尻1002側から眼1000外に流れ出る。流れ出た涙液は、容器本体10Iの涙液収容部80Iに流れ込む。このようにして、涙液が容器本体10Iによって採取される。上記したようなデバイス100Iでは、涙液の採取を、対象者への負担を抑えつつ、効率良く行うことが可能となる。
【0129】
図15に、ある実施形態に係るデバイス100Jを示す。以下の説明において、
図1、
図2に示したデバイス100Aと共通する構成については、図中に
図1、
図2と同符号を付してその説明を省略する。
図15に示すデバイス100Jは、容器本体10Jを備えている。容器本体10Jは、底部11Jと、周壁12と、開口13と、縁15と、を有している。
【0130】
底部11Jは、台部117を備えている。台部117は、底部11Jの周縁から底部11Jの内方に向かって第一方向Daの一方側Da1に隆起する。台部117は、第一方向Daから見て円形に形成されている。台部117は、底部11Jから第一方向Daの一方側Da1に向かって、外径が徐々に小さくなるよう形成されている。台部117は、実質的に円錐台形状に形成されている。底部11Jには、台部117の径方向外側に、第一方向Daから見て円環状の環状窪み127が形成されている。
【0131】
容器本体10J内には、刺激剤配置部60Jと、ガス被供給空間70Jと、涙液収容部80Jと、が配置されている。
刺激剤配置部60Jは、台部117上に配置されている。ガス被供給空間70Jは、容器本体10Jによって画定されている。刺激剤配置部60Jに配置された眼用刺激剤90から発生されるガスは、容器本体10J内の全体に充填(充満)されうる。本開示の実施形態において、ガス被供給空間70Jは、容器本体10J内の全体とされる。
涙液収容部80Jは、容器本体10Jの内部に形成されている。涙液収容部80Jは、底部11Jに形成された環状窪み127に形成されている。
【0132】
眼用刺激剤90から発生されるガスがガス被供給空間70Jに供給されることによって、対象者の眼1000が刺激される。これにより、眼1000から分泌された涙液は、下方側の目尻1002側から眼1000外に流れ出る。流れ出た涙液は、容器本体10Jの涙液収容部80Jに流れ込む。このようにして、涙液が容器本体10Jによって採取される。上記したようなデバイス100Jでは、涙液の採取を、対象者への負担を抑えつつ、効率良く行うことが可能となる。
【0133】
図16に、ある実施形態に係るデバイス100Kを示す。以下の説明において、
図1、
図2に示したデバイス100Aと共通する構成については、図中に
図1、
図2と同符号を付してその説明を省略する。
図16に示すデバイス100Kは、容器本体10Kを備えている。
【0134】
容器本体10Kは、底部11と、周壁12と、開口13と、縁15と、を有している。容器本体10K内には、刺激剤配置部60Kと、ガス被供給空間70Kと、涙液収容部80Kと、が配置されている。
【0135】
刺激剤配置部60Kは、保持部本体61と、接続部材62と、を備えている。保持部本体61は、眼用刺激剤90を保持する。保持部本体61は、例えば、眼用刺激剤90の外周部を保持するように、眼用刺激剤90の外形形状に対応した枠状に形成されていてもよい。保持部本体61は、眼用刺激剤90を保持できるのであれば、その構成は他のいかなるものであってもよい。接続部材62は、一端が保持部本体61に接続されている。接続部材62は、他端が容器本体10Kに接続されている。接続部材62は、保持部本体61を挟んで、その両側にそれぞれ設けられている。保持部本体61に保持された眼用刺激剤90は、複数本の接続部材62によって保持される。本開示の実施形態において、接続部材62は、例えば二本の接続部材として設けられている。接続部材62は、三本以上の接続部材を備えていてもよい。接続部材62によって支持された保持部本体61、及び眼用刺激剤90は、底部11から第一方向Daの一方側Da1に離れて配置されていてもよい。接続部材62によって支持された保持部本体61、及び眼用刺激剤90は、底部11に接して配置されていてもよい。接続部材62が容器本体10Kの内部空間に浮いていることで、例えば、催涙成分の揮発効率が高くなる。
【0136】
ガス被供給空間70Kは、容器本体10Kによって画定されている。刺激剤配置部60Kに配置された眼用刺激剤90から発生されるガスは、容器本体10K内の全体に充填(充満)されうる。本開示の実施形態において、ガス被供給空間70Kは、容器本体10K内の全体とされる。
【0137】
涙液収容部80Kは、容器本体10Kの内部に形成されている。眼用刺激剤90から発生されるガスがガス被供給空間70Kに供給されることによって、対象者の眼1000が刺激される。これにより、眼1000から分泌された涙液は、容器本体10Kの涙液収容部80Kに流れ込む。接続部材62によって支持された保持部本体61、及び眼用刺激剤90が、底部11から第一方向Daの一方側Da1に離れて配置されていてれば、眼用刺激剤90が、涙液と接触することが抑えられる。上記したようなデバイス100Kでは、涙液の採取を、対象者への負担を抑えつつ、効率良く行うことが可能となる。
【0138】
図17に、ある実施形態に係るデバイス100Lを示す。以下の説明において、
図1及び
図2に示したデバイス100Aと共通する構成については、図中に
図1及び
図2と同符号を付してその説明を省略する。
【0139】
図17に示すデバイス100Lは、容器本体10Lと、着脱部材300と、を備えている。
【0140】
容器本体10Lは、底部11と、周壁12と、開口13と、縁15と、を有している。
着脱部材300は、開口13に対して着脱可能に構成されている。着脱部材300は、開口13に装着した状態で、開口13を閉塞するように構成されている。
【0141】
刺激剤配置部60Lは、着脱部材300に配置されている。刺激剤配置部60Lは、着脱部材300が開口13に装着された状態で、容器本体10L内に臨む側の着脱部材300の表面に配置されている。
刺激剤配置部60Lは、眼用刺激剤90を保持する。刺激剤配置部60Lは、眼用刺激剤90に基質溶液又は水を滴下し、眼用刺激剤90からガスが発生しうる状態で、容器本体10Lの開口13に装着される。これにより、容器本体10L内に、ガスが供給される。
【0142】
ガス被供給空間70Lは、容器本体10Lによって画定されている。刺激剤配置部60Lに配置された眼用刺激剤90から発生されるガスは、容器本体10L内の全体に充填(充満)されうる。本開示の実施形態において、ガス被供給空間70Lは、容器本体10L内の全体とされる。涙液収容部80Lは、容器本体10Lの内部に形成されている。
【0143】
涙液を採取するときには、眼用刺激剤90からガスが発生しうる状態で、着脱部材300を容器本体10Lの開口13に装着する。眼用刺激剤90から発生されるガスがガス被供給空間70Lに供給されたら、着脱部材300を開口13から取り外す。使用者は、ガスがガス被供給空間70Lから拡散しないうちに、容器本体10Lの縁15を眼1000の周縁部の顔面に縁15を密着させる。これによって、対象者の眼1000がガスに触れて刺激される。これにより、眼1000から分泌された涙液は、容器本体10Lの涙液収容部80Lに流れ込む。上記したようなデバイス100Lでは、涙液の採取を、対象者への負担を抑えつつ、効率良く行うことが可能となる。
【0144】
図18に、ある実施形態に係るデバイス100Mを示す。以下の説明において、
図1及び
図2に示したデバイス100Aと共通する構成については、図中に
図1及び
図2と同符号を付してその説明を省略する。
【0145】
図14に示すデバイス100Mは、容器本体10Mと、涙液容器400を備えている。
【0146】
容器本体10Mは、上記したような容器本体10A~10Lのいずれか一つであってもよい。
【0147】
涙液容器400は、容器本体10Mと一体に設けられる。涙液容器400は、涙液収容部80Mに収容された涙液を回収する。涙液容器400は、容器本体10Mの開口13から外方に延びるように配置されている。涙液容器400は、有底筒状に形成されている。涙液容器400は、眼1000の周縁部の顔面に容器本体10Mの縁15を密着させた装着状態で、目頭1001側に向けて開口する容器開口401を有する。
【0148】
対象者は、容器本体10Mを押し当てた眼1000の目尻1002側が、目頭1001に対して下方となるように、頭を傾ける。刺激剤配置部60Mに配置された眼用刺激剤90から発生されるガスがガス被供給空間70Mに供給されることによって、対象者の眼1000が刺激される。これにより、眼1000から分泌された涙液は、下方側の目尻1002側から眼1000外に流れ出る。流れ出た涙液は、容器本体10Mの涙液収容部80Mに流れ込む。デバイス100Mを、涙液容器400が下側となるように傾けることで、容器本体10Mの涙液収容部80M内の涙液を、涙液容器400で回収することができる。また、眼1000から流れ出た涙液を、そのまま涙液容器400で回収するようにしてもよい。この場合、涙液容器400内が、涙液収容部80Mを形成する。
【0149】
図19に、ある実施形態に係るデバイス100Nを示す。以下の説明において、
図1及び
図2に示したデバイス100Aと共通する構成については、図中に
図1及び
図2と同符号を付してその説明を省略する。
【0150】
図19に示すデバイス100Nは、容器本体10Nと、アクセス開口500を備えている。容器本体10Nは、上記したような容器本体10A~10Lのいずれか一つであってもよい。
【0151】
アクセス開口500は、容器本体10Nの、例えば、周縁125に形成されている。アクセス開口500は、眼1000の周縁部の顔面に縁15を密着させた装着状態で容器本体10Nの外部から内部にアクセス可能に形成されている。アクセス開口500は、容器本体10Nの涙液収容部80Nに収容された涙液を、例えばスポイト等の捕集具で捕集するために用いられる。捕集具は、アクセス開口500を通して涙液収容部80Nに収容された涙液にアクセスできる。また、アクセス開口500は、容器本体10N内に、容器本体10Nの外部に配置した眼用刺激剤90から発生されるガスを送り込むために用いることもできる。いくつかの実施形態では、アクセス開口500は、実質的に密閉可能に構成されていてもよい。アクセス開口は、完全に密閉でなくてもよく、例えば催涙成分が眼球に対して催涙作用を十分に起こさせる程度に密閉されていてもよい。例えば、アクセル開口は、開閉可能な蓋を有していてもよい。例えば、アクセル開口は、菊割れ形状の弾性の蓋(ごみ処理用スプラッシュガードを含む。)を有していてもよい。
【0152】
図20に、ある実施形態に係るデバイス100Xを示す。
図20に示すデバイス100Xは、容器本体10Xと、係止具600Xと、を備えている。
【0153】
容器本体10Xは、上記したような容器本体10A~10N(デバイス100A~100N)のいずれか一つであってもよい。
【0154】
係止具600Xは、容器本体10Xを、眼1000の周縁部の顔面に縁15を密着させるように、使用者の頭部に係止させる。係止具600Xは、例えば、ゴム紐(ゴムバンド)、紐、ベルト、面ファスナーを備えたテープ等を用いることができる。例えば、二本の紐601の一端を、容器本体10Xにおいて、第二方向Dbのいずれか一方側に接続する。容器本体10Xの第二方向Dbの他方側には、ゴム紐602の一端を接続する。二本の紐601の他端と、ゴム紐602の他端とを接続する。このような係止具600Xにより、対象者の頭部に容器本体10Xが装着される。
【0155】
図21に、ある実施形態に係るデバイス100Yを示す。
図21に示すデバイス100Yは、二つの容器本体10Yと、接続材700Yと、係止具600Yと、を備えている。
【0156】
容器本体10Yは、上記したような容器本体10A~10N(デバイス100A~100N)のいずれか一つであってもよい。
【0157】
接続材700Yは、二つの容器本体10Yの第一端101同士を接続する。容器本体10Yの第一端101は、二つの容器本体10Yを眼1000の周縁部の顔面に縁15を密着させた装着状態で、目頭1001側となる容器本体10Yの目頭側端部である。
【0158】
係止具600Yは、二つの容器本体10Yを、眼1000の周縁部の顔面に縁15を密着させるように、使用者の頭部に係止させる。係止具600Yは、例えば、ゴム紐(ゴムバンド)、紐、ベルト、面ファスナーを備えたテープ等を用いることができる。係止具600Yは、二つの容器本体10Yの第二端102同士を接続する。第二端102は、二つの容器本体10Yを眼1000の周縁部の顔面に縁15を密着させた装着状態で目尻1002側となる目尻側端部である。デバイス100Yを使用者に装着するには、二つの容器本体10Yを、眼1000の周縁部の顔面に縁15を密着させた状態で、係止具600Yを使用者の後頭部に掛ける。
【0159】
図22に、ある実施形態に係るデバイス100Zを示す。
図22に示すデバイス100Zは、二つの容器本体10Zと、接続材700Zと、係止具600Zと、を備えている。容器本体10Zは、上記したような容器本体10A~10N(デバイス100A~100N)のいずれか一つであってもよい。
【0160】
接続材700Zは、二つの容器本体10Zの第一端101同士を接続する。容器本体10Zの第一端101は、二つの容器本体10Zを眼1000の周縁部の顔面に縁15を密着させた装着状態で、目頭1001側となる容器本体10Zの目頭側端部である。接続材700Zは、二つの容器本体10Zを取り囲むように形成された枠701を備えたフレーム状としてもよい。
【0161】
係止具600Zは、二つの容器本体10Zを、眼1000の周縁部の顔面に縁15を密着させるように、使用者の頭部に係止させる。係止具600Zは、メガネの蔓状に形成するようにしてもよい。係止具600Zは、二つの容器本体10Zの第二端102から延出している。接続材700Zが枠701を備える場合、係止具600Zは、枠701に接続されていてもよい。
デバイス100Zを使用者に装着するには、二つの容器本体10Zを、眼1000の周縁部の顔面に縁15を密着させた状態で、係止具600Zを使用者の耳に掛ける。
【0162】
本開示は以下の実施形態も提供する:
A101
眼の周縁部で顔面に密着可能な縁を有し、その内部に眼用刺激剤から発生されるガスが充填されうるガス被供給空間を画定する容器本体を備える、
涙を分泌させるためのデバイス。
A111
実施形態A101に記載のデバイスであって、
前記ガス被供給空間に連通するとともに、前記眼用刺激剤が配置される刺激剤配置部を更に備えるデバイス。
A112
実施形態A111に記載のデバイスであって、
前記刺激剤配置部は、前記ガス被供給空間の少なくとも一部に形成されている、
デバイス。
A121
実施形態A101からA112のいずれか一項に記載のデバイスであって、
前記容器本体の内部に、眼から分泌された涙液を回収する涙液収容部を更に備えるデバイス。
A131
実施形態A101からA121のいずれか一項に記載のデバイスであって、
前記容器本体は、
第一方向の一方側に向かって開く開口を有したカップ状で、
前記縁は、前記開口の周縁の全周に連続して形成されている、
デバイス。
A132
実施形態A131に記載のデバイスであって、
前記容器本体は、眼の周縁部の顔面に前記縁を密着させた装着状態で、眼との間に実質的な閉空間を形成する、
デバイス。
A133
実施形態A131又はA132に記載のデバイスであって、
前記容器本体は、
前記第一方向の他方側に配置された底部と、
前記底部の周縁から前記第一方向の一方側に立ち上がる周壁と、を備える、
デバイス。
A141
実施形態A133に記載のデバイスであって、
前記容器本体の内部に、前記ガス被供給部と前記涙液収容部とを区画する区画壁を備えるデバイス。
A142
実施形態A141に記載のデバイスであって、
前記容器本体は、眼の周縁部の顔面に前記縁を密着させた装着状態で、目尻側に位置する第一端と、目頭側に位置する第二端と、を有し、
前記区画壁は、前記第一端と前記第二端との間に配置され、前記容器本体内部を前記第一端側の第一区画と、前記第二端側の第二区画とに区画する、
デバイス。
A143
実施形態A142に記載のデバイスであって、
前記第一区画が前記涙液収容部を形成し、前記第二区画が前記ガス被供給空間を形成する、
デバイス。
A144
実施形態A141に記載のデバイスであって、
前記容器本体は、眼の周縁部の顔面に前記縁を密着させた装着状態で、上眼瞼側に位置する上側端と、下眼瞼側に位置する下側端と、を有し、
前記区画壁は、前記上側端と前記下側端との間に配置され、前記容器本体内部を前記上側端側の上側区画と、前記下側端側の下側区画とに区画する、
デバイス。
A145
実施形態A141に記載のデバイスであって、
前記区画壁の外周端の全周が前記容器本体の内周面に接合されて、前記区画壁と前記容器本体の内周面との間に密閉空間が形成され、
前記密閉空間が、前記刺激剤配置部を形成し、
前記区画壁は、その両面を連通する通気口を有している、
デバイス。
A146
実施形態A141に記載のデバイスであって、
前記区画壁は、前記底部から前記第一方向の一方側に立ち上がる筒状に形成され、
前記刺激剤配置部は、筒状の前記区画壁の内側に配置されている、
デバイス。
A147
実施形態A141に記載のデバイスであって、
前記区画壁は、前記周壁の前記第一方向の中間位置に、前記第一方向に交差する面方向に配置されて、前記容器本体の内部空間を部分的に区画し、
前記刺激剤配置部は、前記区画壁に対して前記第一方向で前記底部側に配置され、
前記涙液収容部は、前記区画壁に対して、前記第一方向で前記底部と反対側に形成される、
デバイス。
A148
実施形態A147に記載のデバイスであって、
前記区画壁は、前記容器本体の内部空間を前記第一方向で前記底部側と反対側とを連通する連通部を有するように形成され、
前記連通部は、前記容器本体の前記縁を眼の周縁部の顔面に密着させた装着状態で、目頭側に配置されている、
デバイス。
A149
実施形態A148に記載のデバイスであって、
前記区画壁は、前記連通部から前記周壁に向かって前記第一方向で前記底部側に傾斜している、
デバイス。
A151
実施形態A133からA149のいずれか一項に記載のデバイスであって、
前記刺激剤配置部は、前記容器本体の前記底部に形成されている、
デバイス。
A152
実施形態A151に記載のデバイスであって、
前記容器本体は、眼の周縁部の顔面に前記縁を密着させた装着状態で、目尻側に位置する第一端と、目頭側に位置する第二端と、を有し、
前記底部は、前記第一端と前記第二端との間の底部中間部から、前記第一端側及び前記第二端側に向かって前記第一方向の他方側に傾斜している、
デバイス。
A153
実施形態A152に記載のデバイスであって、
前記刺激剤配置部は、前記底部において前記底部中間部に対して前記第二端側に形成されている、
デバイス。
A154
実施形態A151に記載のデバイスであって、
前記底部は、前記底部の周縁から前記底部の内方に向かって前記第一方向の一方側に隆起する台部を備え、
前記刺激剤配置部は、前記台部上に形成されている、
デバイス。
A155
実施形態A151に記載のデバイスであって、
前記底部は、前記周壁に対して着脱可能とされ、
前記刺激剤配置部は、前記底部上に配置されている、
デバイス。
A156
実施形態A133からA148のいずれか一項に記載のデバイスであって、
前記刺激剤配置部は、前記周壁の内周面に形成されている、
デバイス。
A157
実施形態A133からA148のいずれか一項に記載のデバイスであって、
前記刺激剤配置部は、
前記眼用刺激剤を保持する保持部本体と、
一端が前記保持部本体に接続され、他端が前記容器本体に接続された接続部材と、
を備える、
デバイス。
A158
実施形態A133からA148のいずれか一項に記載のデバイスであって、
前記容器本体の前記開口に対して着脱可能な着脱部材を備え、
前記刺激剤配置部は、前記着脱部材が前記開口に装着された状態で、前記容器本体内に臨む側の前記着脱部材の表面に配置されている、
デバイス。
A161
実施形態A101からA158のいずれか一項に記載のデバイスであって、
前記容器本体と一体に設けられ、前記涙液収容部に収容された涙液を回収する涙液容器を更に備えるデバイス。
A162
実施形態A161に記載のデバイスであって、
前記涙液容器は、前記容器本体の前記開口から外方に延びる有底筒状に形成されている、
デバイス。
A163
実施形態A162に記載のデバイスであって、
前記涙液容器は、眼の周縁部の顔面に前記縁を密着させた装着状態で前記容器本体に対して目尻側に位置され、
前記涙液容器は、目頭側に開口する容器開口を有する、
デバイス。
A171
実施形態A101からA163のいずれか一項に記載のデバイスであって、
前記容器本体は、眼の周縁部の顔面に前記縁を密着させた装着状態で前記容器本体の外部から内部にアクセス可能なアクセス開口を有する、
デバイス。
A172
実施形態A101からA171のいずれか一項に記載のデバイスであって、
前記容器本体の少なくとも一部又は全部が、前記容器本体の外部から内部を光学的に確認可能な透明性を有する材料で形成されている、
デバイス。
A181
実施形態A101からA172のいずれか一項に記載のデバイスであって、
前記眼用刺激剤を担持し、前記刺激剤配置部に配置される繊維組織を更に備えるデバイス。
A182
実施形態A101からA172のいずれか一項に記載のデバイスであって、
前記眼用刺激剤は、液状で、袋体に密封されている、
デバイス。
A191
実施形態A101からA182のいずれか一項に記載のデバイスであって、
前記眼用刺激剤は、臭化ベンジルを含む、
デバイス。
A192
実施形態A101からA182のいずれか一項に記載のデバイスであって、
前記眼用刺激剤は、syn-プロパンチアール-S-オキシドを含む、
デバイス。
A193
実施形態A101からA192のいずれか一項に記載のデバイスであって、
前記眼用刺激剤は、反応して前記ガスを発生させる酵素及び基質の少なくとも一部を含む、
デバイス。
A194
実施形態A193に記載のデバイスであって、
前記酵素は、乾燥状態で前記刺激剤配置部に配置され、
前記基質は、溶液状態で前記酵素に添加されるように構成された、
デバイス。
A195
実施形態A194に記載のデバイスであって、
前記酵素は、アリナーゼ及び催涙因子合成酵素(LFS)であり、
前記基質は、PRENCSOである、
デバイス。
A201
実施形態A101からA195のいずれか一項に記載のデバイスであって、
二つの前記容器本体と、
二つの前記容器本体を眼の周縁部の顔面に前記縁を密着させた装着状態で、目頭側となる二つの前記容器本体の目頭側端部同士を接続する接続材と、
を備えるデバイス。
A211
実施形態A101からA201のいずれか一項に記載のデバイスであって、
前記容器本体を、眼の周縁部の顔面に前記縁を密着させるように、対象者の頭部に係止することができる係止具を更に備えるデバイス。
A211b
実施形態A201に記載のデバイスであって、
二つの前記容器本体のそれぞれにおいて、二つの前記容器本体を眼の周縁部の顔面に前記縁を密着させた装着状態で目尻側となる目尻側端部に設けられ、前記容器本体を対象者の頭部に係止することができる係止具を更に備えるデバイス。
【0163】
本発明の好ましい実施形態を本明細書に示し、説明したが、そのような実施形態は例としてのみ提供されることは当業者には明らかであろう。本発明は、本明細書内で提供される特定の例によって限定されることを意図するものではない。上記の明細書を参照して本発明を説明したが、本明細書の実施形態の説明および図は、限定的な意味で解釈されることを意図していない。本発明から逸脱することなく、当業者には多数の変形、変更、および置換が思い浮かぶであろう。さらに、本発明のすべての態様は、様々な条件および変数に依存する本明細書に記載の特定の描写、構成、または相対的割合に限定されないことを理解されたい。本明細書に記載された本発明の実施形態に対する様々な代替物が、本発明を実施する際に使用され得ることを理解されたい。したがって、本発明は、そのような代替形態、修正形態、変形形態、または均等物も網羅するものと考えられる。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲内の方法および構造ならびにそれらの同等物がそれによってカバーされることが意図されている。
【符号の説明】
【0164】
10A~10N、10X~10Z 容器本体
11、11G、11H、11J 底部
12 周壁
13 開口
15 縁
20A~20E 区画壁
21 外周端
60A~60L 刺激剤配置部
60X~60Z 係止具
61 保持部本体
62 接続部材
70A~70M ガス被供給空間
80A~80N 涙液収容部
90 眼用刺激剤
91 繊維組織
100A~100N、100X~100Z デバイス
101 第一端
102 第二端
103 上側端
104 下側端
111 第一区画
112 第二区画
115 底部中間部
117 台部
121 上側区画
122 下側区画
125 周縁
131 密閉空間
220 通気口
230 連通部
300 着脱部材
320 通気口
400 涙液容器
401 容器開口
500 アクセス開口
600X~600Z 係止具
700Y、700Z 接続材
1000 眼
1001 目頭
1002 目尻
1003 上眼瞼
1004 下眼瞼
Da 第一方向
Da1 一方側
Da2 他方側
Db 第二方向
Dc 第三方向