(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】SiC単結晶成長装置
(51)【国際特許分類】
C30B 29/36 20060101AFI20250304BHJP
C30B 23/06 20060101ALI20250304BHJP
C23C 14/06 20060101ALI20250304BHJP
【FI】
C30B29/36 A
C30B23/06
C23C14/06 B
(21)【出願番号】P 2021007905
(22)【出願日】2021-01-21
【審査請求日】2023-07-20
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595009109
【氏名又は名称】SECカーボン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100174285
【氏名又は名称】小宮山 聰
(72)【発明者】
【氏名】塩見 弘
【審査官】▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-088812(JP,A)
【文献】特開2011-178626(JP,A)
【文献】特開2018-070393(JP,A)
【文献】特開2013-126931(JP,A)
【文献】特開2016-135720(JP,A)
【文献】特開2016-088789(JP,A)
【文献】特開2020-172433(JP,A)
【文献】特開2020-093965(JP,A)
【文献】特表2015-514673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 29/36
C30B 23/06
C23C 14/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の側周部分を有し、前記側周部分で区画形成された内部空間の一部分に、SiCからなる固体原料が収容される原料収容部、および、
前記原料収容部の、前記固体原料が収容されていない前記内部空間の側に、SiCの種結晶が配置される種結晶取付部を有する加熱容器と、
前記加熱容器を加熱する加熱手段とを備え、
前記加熱手段が、前記加熱容器の外面側であってかつ前記種結晶取付部と対向する前記原料収容部の主面部分に対し、該主面部分の外面全体を覆う位置関係で対向配置される第1加熱面を有する第1加熱部を少なくとも有し、
前記内部空間の輪切り面積をA、前記第1加熱面の面積をBとしたときに、B/A≧2の関係を満たし、
前記加熱手段は、前記加熱容器の外面側であってかつ前記原料収容部の前記側周部分に対し、該側周部分の外面全体を覆う位置関係で対向配置される第2加熱面を有する第2加熱部をさらに備え、
前記第1加熱部による加熱エネルギーをC、前記第2加熱部による加熱エネルギーをDとしたときに、CはDよりも大き
い、SiC単結晶成長装置。
【請求項2】
前記第1加熱部による加熱エネルギーCと、前記第2加熱部による加熱エネルギーDは、C/D≧1.20の関係を満たす、
請求項1に記載のSiC単結晶成長装置。
【請求項3】
筒状の側周部分を有し、前記側周部分で区画形成された内部空間の一部分に、SiCからなる固体原料が収容される原料収容部、および、
前記原料収容部の、前記固体原料が収容されていない前記内部空間の側に、SiCの種結晶が配置される種結晶取付部を有する加熱容器と、
前記加熱容器を加熱する加熱手段とを備え、
前記加熱手段が、前記加熱容器の外面側であってかつ前記種結晶取付部と対向する前記原料収容部の主面部分に対し、該主面部分の外面全体を覆う位置関係で対向配置される第1加熱面を有する第1加熱部を少なくとも有し、
前記内部空間の輪切り面積をA、前記第1加熱面の面積をBとしたときに、B/A≧2の関係を満たし、
前記加熱手段の第1加熱面は、少なくとも熱伝導率に異方性を有する異方性材料で構成され
る、SiC単結晶成長装置。
【請求項4】
前記異方性材料は、カーボンファイバーを含んだ炭素材料である、
請求項3に記載のSiC単結晶成長装置。
【請求項5】
前記加熱容器は、複数の坩堝で構成され、
前記SiC単結晶成長装置は、前記複数の坩堝および前記加熱手段を収容するチャンバをさらに備え、
前記複数の坩堝は、それぞれの前記原料収容部に収容された前記固体原料を昇華させて生成した固体原料由来の気体原料の一部を、前記原料収容部から前記チャンバ内に放出する隙間部を有する、
請求項1から4のいずれか1項に記載のSiC単結晶成長装置。
【請求項6】
前記加熱手段は、前記第1加熱面の熱源を前記第1加熱面の裏側に備え、
前記熱源は、3相交流の給電機構を有する抵抗加熱手段によって構成される、
請求項1から5のいずれか1項に記載のSiC単結晶成長装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SiC単結晶成長装置に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化珪素(SiC)は、電気的な優れた特性として、シリコン(Si)に比べて絶縁破壊電界強度の数値が1桁程度大きく、バンドギャップの数値が約3倍大きい特性を有する。また、SiCは、熱的な優れた特性として、Siに比べて熱伝導率が約3倍高い特性を有する。これらの優れた特性を有することから、SiCは、パワーデバイス、高周波デバイス、高温動作デバイスなどの各種デバイスへの応用が期待されている。
【0003】
これらのデバイスは、SiC単結晶インゴットから加工して得られるSiC単結晶基板に、化学的気相成長法(CVD)などによって、デバイスの活性領域となるエピタキシャル層を形成することで作製される。このうち、SiC単結晶インゴットを作製する方法として、昇華法が知られている。
【0004】
昇華法は、黒鉛製の坩堝内にSiC単結晶からなる種結晶を配置し、坩堝を加熱することで坩堝内の原料粉末(原料)から昇華した昇華ガスを種結晶に供給することで、種結晶をより大きなSiC単結晶インゴットへと成長させる方法である。
【0005】
このような昇華法によるSiC単結晶の作製に用いられる坩堝として、特許文献1には、種結晶配置部を複数有する坩堝が記載されている。より具体的には、種結晶が配置される種結晶配置部および原料を収容可能な原料収容部を有し、昇華された原料のガスが原料収容部の開口部を通過して種結晶に到達可能であって、原料収容部の内面積が、原料収容部の開口部の面積に対して3倍以下である坩堝が記載されている。さらに、特許文献1には、結晶成長方法として、このような坩堝を備えた結晶成長装置を準備する工程と、種結晶と原料との間の距離が、複数の種結晶配置部の(中心)間の距離に対して0.21倍以下になるように、種結晶を種結晶配置部に配置し、かつ原料を原料収容部に収容する方法が記載されている。
【0006】
また、昇華法によるSiC単結晶インゴットの製造方法として、特許文献2には、原料の温度に関する均一性を向上させる方法が記載されている。より具体的には、特許文献2には、坩堝の下部に、高熱伝導率を有する原料を備える高熱伝導率原料層と、この高熱伝導率原料層の上側又は下側の少なくとも一方に、低熱伝導率を有する原料を備える低熱伝導率原料層を配置して原料部を形成し、高熱伝導率原料層中に原料部の最高温度がくるように加熱を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2000-219594号公報
【文献】特開2020-083704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これに関し、特許文献1の坩堝および結晶成長方法では、原料収容部の内面積を、原料収容部の開口部の面積に対して3倍以下にすることで、蒸気圧の安定化を図っているが、実施例では直径2インチの小型のSiC単結晶を7個同時に形成する例が記載されるのみであり、例えば直径6インチ以上の大型のSiC単結晶を成長させる場合や、より多くのSiC単結晶を成長させる場合には着目していない。特に、大型のSiC単結晶を成長させる場合や、より多くのSiC単結晶を成長させる場合には、坩堝の内部空間の容積(特に内部空間の輪切り面積)が大きくなりすぎて、坩堝内の固体原料を昇華させて生成した固体原料由来の気体原料を、坩堝の上部に配置された複数の種結晶に対して均一に行き渡らせることができない。そのため、特許文献1の坩堝および結晶成長方法では、SiC単結晶が不均一に成長することで、原料に無駄が多く発生し、また、坩堝が大型化するため坩堝の重量が増えて取り扱いが困難になる。
【0009】
また、特許文献2の方法では、高熱伝導率原料層と低熱伝導率原料層のそれぞれを構成する原料粒の粒径や、高熱伝導率原料層と低熱伝導率原料層の空隙率を制御することで、原料部の熱伝導率を制御しており、原料部を加熱する際に、原料部の高熱伝導率原料層中に原料部の最高温度がくるようにすることで、原料部を均一に昇華させようとするものである。しかしながら、原料部の昇華によって、原料部の組成が変化するようになり、これに伴って、原料部の熱伝導率も変化するため、結晶成長を行っている間を通して、固体原料を均一に昇華させることは困難である。
【0010】
本発明の目的は、加熱容器(例えば複数の坩堝)に収容される固体原料を均一に加熱して固体原料由来の気体原料を昇華させることができるとともに、SiC単結晶を成長させる際の原料の無駄を低減することが可能なSiC単結晶成長装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、原料収容部の内部空間の輪切り面積をA、原料収容部の主面部分に対し、該主面部分の外面全体を覆う位置関係で対向配置される第1加熱部の第1加熱面の面積をBとしたときに、B/A≧2の関係を満たすことで、結晶成長を行っている間を通して、原料を均一に昇華させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
(1)筒状の側周部分を有し、前記側周部分で区画形成された内部空間の一部分に、SiCからなる固体原料が収容される原料収容部、および、前記原料収容部の、前記固体原料が収容されていない前記内部空間の側に、SiCの種結晶が配置される種結晶取付部を有する加熱容器と、前記加熱容器を加熱する加熱手段とを備え、前記加熱手段が、前記加熱容器の外面側であってかつ前記種結晶取付部と対向する前記原料収容部の主面部分に対し、該主面部分の外面全体を覆う位置関係で対向配置される第1加熱面を有する第1加熱部を少なくとも有し、前記内部空間の輪切り面積をA、前記第1加熱面の面積をBとしたときに、B/A≧2の関係を満たす、SiC単結晶成長装置。
(2)前記加熱手段は、前記加熱容器の外面側であってかつ前記原料収容部の前記側周部分に対し、該側周部分の外面全体を覆う位置関係で対向配置される第2加熱面を有する第2加熱部をさらに備え、前記第1加熱部による加熱エネルギーをC、前記第2加熱部による加熱エネルギーをDとしたときに、CはDよりも大きい、上記(1)に記載のSiC単結晶成長装置。
(3)前記第1加熱部による加熱エネルギーCと、前記第2加熱部による加熱エネルギーDは、C/D≧1.20の関係を満たす、上記(2)に記載のSiC単結晶成長装置。
(4)前記加熱容器は、複数の坩堝で構成され、前記SiC単結晶成長装置は、前記複数の坩堝および前記加熱手段を収容するチャンバをさらに備え、前記複数の坩堝は、それぞれの前記原料収容部に収容された前記固体原料を昇華させて生成した固体原料由来の気体原料の一部を、前記原料収容部から前記チャンバ内に放出する隙間部を有する、上記(1)、(2)、または(3)に記載のSiC単結晶成長装置。
(5)前記加熱手段の第1加熱面は、少なくとも熱伝導率に異方性を有する異方性材料で構成される、上記(1)から(4)のいずれか1項に記載のSiC単結晶成長装置。
(6)前記異方性材料は、カーボンファイバーを含んだ炭素材料である、上記(5)に記載のSiC単結晶成長装置。
(7)前記加熱手段は、前記第1加熱面の熱源を前記第1加熱面の裏側に備え、前記熱源は、3相交流の給電機構を有する抵抗加熱手段によって構成される、上記(1)から(6)のいずれか1項に記載のSiC単結晶成長装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、加熱容器に収容される固体原料を均一に加熱して固体原料由来の気体原料を昇華させることができるとともに、SiC単結晶を成長させる際の原料の無駄を低減することが可能なSiC単結晶成長装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明に従う第1実施形態のSiC単結晶成長装置の要部構造を模式的に示した図であって、
図1(a)が斜視図であって、坩堝の内部空間Sを透視した状態で示し、また、
図1(b)が
図1(a)の仮想平面P1における断面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態のSiC単結晶成長装置を構成する加熱容器を加熱手段で加熱したときの熱の流れを模式的に示した図であって、
図2(a)がB/A≧2の関係を満たす場合、
図2(b)がB/A≧2の関係を満たさない場合を示す。
【
図3】
図3は、B/A比を変化させたときの、SiC単結晶成長装置の温度分布についてのシミュレーション結果であって、
図3(a)がB/A=2の場合のシミュレーション結果、
図3(b)がB/A=1の場合のシミュレーション結果、
図3(c)がB/A=3の場合のシミュレーション結果である。
【
図4】
図4は、SiC単結晶成長装置の第1加熱部に均熱板を有する態様における要部構造を模式的に示した断面図である。
【
図5】
図5は、本発明に従う第2実施形態のSiC単結晶成長装置の要部構造を示した概略図であって、
図5(a)が斜視図であって、坩堝の内部空間Sを透視した状態で示し、また、
図5(b)が
図5(a)の仮想平面P2における断面図である。
【
図6】
図6は、本発明に従う第3実施形態のSiC単結晶成長装置の構造を示した概略図であって、
図6(a)が斜視図、
図6(b)が
図6(a)の仮想平面P3における断面図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態および第3実施形態のSiC単結晶成長装置を構成する加熱容器を加熱手段で加熱したときの熱の流れを模式的に示した図であって、
図7(a)が第2実施形態のSiC単結晶成長装置の場合、
図7(b)が第3実施形態のSiC単結晶成長装置の場合を示す。
【
図8】
図8は、C/D比を変化させたときの、SiC単結晶成長装置の加熱容器に配置されたSiC種結晶の温度分布についてのシミュレーション結果を模式的に示したものであって、
図8(a)がC/D≧2の関係を満たす場合のシミュレーション結果、
図8(b)がC/D≧2の関係を満たさない場合(C/D=1の場合)のシミュレーション結果である。
【
図9】
図9は、C/D比を変化させたときの、SiC単結晶成長装置の加熱容器に収容された固体原料の表面と、加熱容器に配置されたSiC種結晶の温度分布についてのシミュレーション結果を模式的に示したものであって、
図9(a)がC/D=2.00の場合のシミュレーション結果、
図9(b)がC/D=1.25の場合のシミュレーション結果である。
【
図10】
図10は、B/A比およびC/D比を変化させたときの、SiC単結晶成長装置の加熱容器に収容された固体原料の表面と、加熱容器に配置されたSiC種結晶の温度分布についてのシミュレーション結果を模式的に示したものであって、
図10(a)がB/A=13.3、C/D=0.50の場合のシミュレーション結果、
図10(b)がB/A=0.30、C/D=1.25の場合のシミュレーション結果である。
【
図11】
図11は、第1加熱面に対して垂直な方向についての熱伝導率に対する、第1加熱面に沿った方向についての熱伝導率の倍率を変化させたときの、SiC単結晶成長装置の加熱容器に収容された固体原料の表面の温度分布についてのシミュレーション結果を模式的に示したものであって、
図11(a)は倍率が10倍の場合のシミュレーション結果、
図11(b)は倍率が4倍の場合のシミュレーション結果、
図11(c)は倍率が3倍の場合のシミュレーション結果、
図11(d)は倍率が2倍の場合のシミュレーション結果である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明のいくつかの実施形態のSiC単結晶成長装置について、以下で説明する。
【0016】
<第1実施形態>
図1は、本発明に従う第1実施形態のSiC単結晶成長装置の要部構造を模式的に示した図であって、
図1(a)が斜視図であって、坩堝の内部空間Sを透視した状態で示し、また、
図1(b)が
図1(a)の仮想平面P1における断面図である。また、
図2は、第1実施形態のSiC単結晶成長装置を構成する加熱容器を加熱手段で加熱したときの熱の流れを模式的に示した図であって、
図2(a)がB/A≧2の関係を満たす場合、
図2(b)がB/A≧2の関係を満たさない場合を示す。また、
図3は、B/A比を変化させたときの、SiC単結晶成長装置の温度分布についてのシミュレーション結果であって、
図3(a)がB/A=2の場合のシミュレーション結果、
図3(b)がB/A=3の場合のシミュレーション結果、
図3(c)がB/A=1の場合のシミュレーション結果である。
【0017】
本発明に従う第1実施形態に係るSiC単結晶成長装置1は、
図1に示すように、筒状の側周部分14を有し、側周部分14で区画形成された内部空間Sの一部分に、SiCからなる固体原料M(s)が収容される原料収容部12、および、原料収容部12の、固体原料M(s)が収容されていない内部空間Sの側に、SiCの種結晶2が配置される種結晶取付部16を有する加熱容器10と、加熱容器10を加熱する加熱手段3とを備え、加熱手段3が、加熱容器10の外面側であってかつ種結晶取付部16と対向する原料収容部12の主面部分に対し、該主面部分の外面全体を覆う位置関係で対向配置される第1加熱面31aを有する第1加熱部31を少なくとも有し、内部空間Sの輪切り面積をA、第1加熱面31aの面積をBとしたときに、B/A≧2の関係を満たす。
【0018】
このように、加熱手段3として、原料収容部12の底面部分15などの主面部分に対し、該主面部分の外面全体を覆う位置関係で第1加熱部31を配置するとともに、第1加熱部31の第1加熱面31aの面積Bを、内部空間Sの輪切り面積Aに対して2倍以上にすることで、原料収容部12の主面部分の全体が第1加熱部31によって加熱されるとともに、第1加熱部31の第1加熱面31aが、原料収容部12と対向する部分のみならず、原料収容部12の外側にも広がり、第1加熱部31の外周近傍から第1加熱部31の外側への熱Hの漏洩が起こり難くなると考えられる。そのため、SiC単結晶成長装置1は、加熱容器10(例えば複数の坩堝11)の原料収容部12の内部に収容された固体原料M(s)を均一に加熱して固体原料由来の気体原料を昇華させることができる。さらに、固体原料M(s)を均一に加熱して昇華させることにより、SiC単結晶を成長させる際の、種結晶ごとのSiC単結晶の成長速度の均一性や、1つの種結晶の内部における成長速度の均一性が高められるため、得られるSiC単結晶から基板などを切り出す際の、原料の無駄を低減することができる。
【0019】
本実施形態に係るSiC単結晶成長装置1は、少なくとも加熱容器10と、加熱手段3とを備える。
【0020】
(加熱容器について)
このうち、加熱容器10は、単数または複数の坩堝11によって構成される。特に、本実施形態では、加熱容器10は、単数の坩堝11によって構成される。
【0021】
加熱容器10を構成する坩堝11は、それぞれ筒状の側周部分14を有しており、側周部分14で区画形成された内部空間Sの一部分に、SiCからなる固体原料M(s)が収容される原料収容部12を有する。ここで、原料収容部12は、例えば、底部13と、底部13に連結される筒状の側周部分14によって構成される。
【0022】
原料収容部12に収容される固体原料M(s)は、側周部分14で区画形成された坩堝11の内部空間Sのうち、高さ方向Yの一部分に収容されていることが好ましい。また、固体原料M(s)は、坩堝11のうち、後述する第1加熱部31の第1加熱面31aに対向配置される主面部分に収容されていることが好ましい。坩堝11の主面部分は、例えば
図1に示すように、第1加熱部31の上側に坩堝11が配置される場合、主面部分は、坩堝11の底部13にある底面部分15である。他方で、第1加熱部31の下側に坩堝11が配置される場合、主面部分は、坩堝11の蓋部にある上面部分であり、上面部分の対向面に固体原料M(s)が収容される(図示せず)。
【0023】
また、加熱容器10を構成する坩堝11は、原料収容部12のうち、固体原料M(s)が収容されていない内部空間Sの側に、SiCの種結晶2が配置される種結晶取付部16を有する。これにより、固体原料M(s)と種結晶2とが、同じ空間である内部空間Sに配置されるため、加熱容器10を後述する加熱手段3で加熱したときに、原料収容部12に収容された固体原料M(s)の昇華によって生成した気体原料M(g)を種結晶2に到達させることができ、その結果、SiC単結晶を成長させることができる。
【0024】
ここで、種結晶取付部16で取り付けられるSiCの種結晶2の大きさは、特に限定されない。本実施形態のSiC単結晶成長装置1は、種結晶2として成長面の面積が大きい結晶、例えば直径が2インチ(50.8mm)を超える結晶や、直径が6インチ(152.4mm)以上の結晶を用いて、より大型のSiC単結晶を成長させる場合であっても、種結晶2に対向する固体原料M(s)を均一に昇華させることができるため、効率よくSiC単結晶を成長させることが可能である。
【0025】
種結晶取付部16で坩堝11に種結晶2を取り付ける手段は、特に限定されないが、例えば種結晶2の下側の面を固体原料M(s)に対向させる観点では、種結晶取付部16として、坩堝11の内壁から突出する台座を設け、種結晶2の外周を保持するように構成してもよい。
【0026】
さらに、加熱容器10を構成する坩堝11は、固体原料M(s)の昇華によって生成する気体原料M(g)の、坩堝11の内部での蒸気圧を高めるため、蓋部17を備えることが好ましい。
【0027】
坩堝11の材料は、固体原料M(s)を昇華させてSiC単結晶を成長させる際に高温になるため、高温に耐えることのできる素材によって形成されていることが望ましい。このような高温に耐えることのできる素材としては、黒鉛や、黒鉛にタンタルを被覆したもの、タンタルカーバイドなどを挙げることができる。
【0028】
(加熱手段について)
加熱手段3は、加熱容器10の外面側に配置され、加熱容器10を加熱するものである。加熱容器10を加熱する加熱手段3を備えることで、加熱容器10に収容された固体原料M(s)を加熱し、それにより固体原料M(s)を昇華させることができる。昇華により生成する気体原料M(g)が、坩堝11の側周部分14で区画形成された内部空間Sを通って種結晶2に到達し、種結晶2によって冷却されることで、SiC単結晶を成長させることができる。
【0029】
本実施形態のSiC単結晶成長装置1は、加熱手段3として第1加熱部31を少なくとも有する。第1加熱部31は、加熱容器10のうち、種結晶取付部16と対向する原料収容部12の主面部分に対し、この主面部分の外面全体を覆う位置関係で対向配置される、第1加熱面31aを有する。これにより、第1加熱部31を配置する原料収容部12の主面部分の全体を、第1加熱部31によって加熱することができる。
【0030】
ここで、
図1に示すように、第1加熱部31の上側に坩堝11が配置される場合には、坩堝11の底面部分15を、原料収容部12の主面部分とすることができる。他方で、第1加熱部31の下側に坩堝11が配置される場合には、坩堝11の上面部分を、原料収容部12の主面部分とすることができる(図示せず)。
【0031】
加熱手段3を構成する第1加熱部31と、加熱容器10を構成する坩堝11は、坩堝11の内部空間Sの輪切り面積をA、第1加熱面31aの面積をBとしたときに、B/A≧2の関係を満たすように構成される。
【0032】
このように、加熱手段3として、原料収容部12の底面部分15などの主面部分に対し、主面部分の外面全体を覆う位置関係で第1加熱部31を配置するとともに、第1加熱部31の第1加熱面31aの面積Bを、坩堝11の内部空間Sの輪切り面積Aに対して2倍以上にすることで、原料収容部12の主面部分の全体が第1加熱部31によって加熱されるとともに、第1加熱部31の第1加熱面31aが、原料収容部12と対向する部分のみならず、原料収容部12の外側にも広がる。
【0033】
より具体的には、
図2(a)に示すように、第1加熱部31の第1加熱面31aは、第1加熱面31aに対して垂直な断面で見たときに、原料収容部12の主面部分(
図2(a)の底面部分15)から、この主面部分の面方向に沿った少なくとも一方の側に向かって延在する。より好ましくは、第1加熱面31aは、原料収容部12の主面部分から、この主面部分の面方向に沿った両側に向かって延在する。
【0034】
ここで、加熱手段3として、第1加熱面31aが原料収容部12の主面部分から延在している第1加熱部31を備えることで、
図2(a)に示すように、第1加熱部31の第1加熱面31aから発せられる熱Hが、原料収容部12の主面部分から延在している第1加熱面31aによって、均等に原料収容部12の主面部分(
図2(a)の底面部分15)に伝わるため、原料収容部12の内部に収容された固体原料M(s)を均一に加熱することができる。このように、原料収容部12の主面部分を均等に加熱することができる理由としては、第1加熱部31の外周近傍から第1加熱部31の外側への熱Hの漏洩が起こり難いことが挙げられる。他方で、B/A≧2の関係を満たさない場合、特に、
図2(b)に示すような、第1加熱面31aが原料収容部12の主面部分から延在しない、比較のためのSiC単結晶成長装置90では、第1加熱部31の外周近傍から第1加熱部31の外側に熱Hが漏洩することで、原料収容部12の主面部分が均等に加熱され難くなると考えられる。
【0035】
このように、内部空間Sの輪切り面積Aに対する、第1加熱部31の第1加熱面31aの面積Bの倍率は、固体原料M(s)を均一に昇華させる観点から、2倍以上となるように構成される。他方で、内部空間Sの輪切り面積Aに対する、第1加熱部31の第1加熱面31aの面積Bの倍率の上限は、特に限定されないが、例えば熱的な無駄を低減する観点では、3倍以下であってもよい。
【0036】
図3は、内部空間Sの輪切り面積Aに対する、第1加熱部31の第1加熱面31aの面積Bの倍率(B/A比)を変化させ、ともに40W/cm
2のエネルギー密度で加熱したときの、SiC単結晶成長装置の温度分布について、ムラタソフトウエア株式会社製のFEMTET(商品名)を用いてシミュレーションを行った結果である。ここで、内部空間Sの輪切り面積Aに対する、第1加熱部31の第1加熱面31aの面積Bの倍率が2倍の場合は、
図3(a)に示すように、坩堝11のうち原料収容部12に収容されている固体原料M(s)が、2002℃以上2200℃以下の温度範囲を示す1色に色分けされており、固体原料M(s)が均一に加熱されていると考えられる。このとき、固体原料M(s)の表面温度の温度差は、20℃以下であることが好ましく、10℃以下であることがより好ましい。他方で、内部空間Sの輪切り面積Aに対する、第1加熱部31の第1加熱面31aの面積Bの倍率が2倍よりも小さい場合、例えばAに対するBの倍率が1倍の場合は、
図3(b)に示すように、坩堝11のうち原料収容部12に収容されている固体原料M(s)の温度が、一部で2002℃を下回っており、固体原料M(s)を加熱する際の均一性が低下していると考えられる。なお、内部空間Sの輪切り面積Aに対する、第1加熱部31の第1加熱面31aの面積Bの倍率が大きい場合であっても、
図3(c)に示すように、坩堝11のうち原料収容部12に収容されている固体原料M(s)は均一に加熱されていると考えられるが、固体原料M(s)が2340℃以上に加熱されるため、熱的な無駄が生じうる。
【0037】
加熱手段3を構成する第1加熱部31の熱源33の種類は、特に限定されず、例えば抵抗加熱や誘導加熱などの公知の手段を用いることができる。その中でも、熱源33からの発熱量のコントロールが容易である観点では、抵抗加熱手段によって構成されることが好ましく、3相交流の給電機構を有する抵抗加熱手段によって構成されることがより好ましい。また、第1加熱部31の熱源33は、第1加熱部31における熱バランスを高める観点では、第1加熱面31aの裏側に備えることが好ましい。さらに、第1加熱部31の第1加熱面31aは、
図1に示すSiC単結晶成長装置1のように、第1加熱部31を構成する熱源33の表面であってもよく、また、
図4に示すSiC単結晶成長装置1Aのように、熱源33と加熱容器10の底面との間に、加熱容器10の底面と略平行に設けられる板状の部材であって、熱源33とともに第1加熱部31の一部を構成する、均熱板34の表面であってもよい。
【0038】
加熱手段3、3Aは、第1加熱部31、31Aの第1加熱面31aが、少なくとも熱伝導率に異方性を有する異方性材料で構成されることが好ましい。ここで、第1加熱面31aを有する熱源33や均熱板34は、第1加熱面31aに沿った方向についての熱伝導率が、第1加熱面31aに対して垂直な方向についての熱伝導率より高いことが好ましい。これにより、熱源33や均熱板34の厚さ方向に沿った熱の伝導が緩やかになるとともに、第1加熱面31aに沿った熱の伝導が促進される。そのため、第1加熱面31aの全体に満遍なく熱を伝えることができ、それにより第1加熱面31aから坩堝11に向けて、均等に熱を発することができる。その結果、固体原料M(s)をより均一に加熱することができる。
【0039】
特に、熱源として抵抗加熱や誘導加熱を用いる場合、熱源そのものの形状や、熱源に電気を供給する電極の存在、熱源を支持する支持部の存在などによって、第1加熱面31aに沿った発熱が不均質になる可能性が考えられる。そのような場合があったとしても、第1加熱面31aを、上述のような、熱伝導率に異方性を有する異方性材料で構成することで、第1加熱面31aから坩堝11に向けて、均等に熱を発することができる。
【0040】
このような異方性材料としては、カーボンファイバーを含んだ炭素材料を用いることが好ましい。カーボンファイバーを含んだ炭素材料としては、C/Cコンポジット材(Carbon Fiber Reinforced Carbon Composite:炭素繊維強化炭素複合材料)が挙げられる。これにより、カーボンファイバーの配向によって第1加熱面31aの熱伝導率に異方性を持たせることができるとともに、異方性材料の引張強さや曲げ強さなどの機械的強度を向上させることができる。さらに、機械的強度が向上することで、異方性材料によって形成される熱源33や均熱板34の薄型化を図ることができ、それにより、坩堝11などを適切に支持しながら、熱源33や均熱板34の熱容量を下げてこれらを速やかに加熱することができるため、SiC単結晶の成長に要するエネルギーを低減することもできる。
【0041】
異方性材料における、第1加熱面31aに対して垂直な方向についての熱伝導率に対する、第1加熱面31aに沿った方向についての熱伝導率の倍率は、2倍以上であることが好ましく、4倍以上であることがより好ましい。他方で、第1加熱面31aに対して垂直な方向についての熱伝導率に対する、第1加熱面31aに沿った方向についての熱伝導率の倍率の上限は、特に限定されるものではないが、熱源からの熱を坩堝11に伝えやすくする観点では、10倍を上限としてもよい。
【0042】
このような異方性材料は、黒鉛などの高温に耐えることのできる素材を形成する際に、第1加熱面31aとなる面に沿って、カーボンファイバーを配置することで、構成することができる。このとき、カーボンファイバーは、薄型のカーボンフェルトやカーボンペーパーを、第1加熱面31aとなる面に沿って配置してもよい。
【0043】
異方性材料の厚さは、第1加熱部31、31Aの機械的強度を高めてSiC単結晶成長装置1、1Aからの出し入れを容易にする観点から、3mm以上であることが好ましい。他方で、異方性材料の厚さは、熱源からの熱を遮断しない観点から、30mm以下であることが好ましい。
【0044】
<第2実施形態>
図5は、本発明に従う第2実施形態のSiC単結晶成長装置の要部構造を示した概略図であって、
図5(a)が斜視図であって、坩堝の内部空間Sを透視した状態で示し、また、
図5(b)が
図5(a)の仮想平面P2における断面図である。なお、以下の説明において、上記第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略または簡略にし、主に相違点について説明する。
【0045】
上述の第1実施形態では、
図1(a)、(b)に示すように、加熱容器10が単数の坩堝11を備える構成を示したが、これに限定されない。例えば、
図5(a)に示されるSiC単結晶成長装置1Bのように、加熱容器10Bが複数の坩堝11a~11gで構成されていてもよい。これにより、1台のSiC単結晶成長装置1BでSiC単結晶を複数同時に成長させることができるとともに、大型の坩堝を用いる場合と比較して、坩堝が個別化されるため、坩堝の重量を抑えて取り扱いを容易にすることができる。また、加熱容器10Bを複数の坩堝11a~11gで構成することで、固体原料M(s)の均一な昇華を、さらに促進させることができる。
【0046】
ここで、加熱手段3は、加熱容器10Bを構成する坩堝11a~11gの全てについて、原料収容部12の主面部分に対し、これら主面部分の外面全体を覆う位置関係で、第1加熱部31を配置することが好ましい。また、加熱手段3を構成する第1加熱部31と、加熱容器10Bを構成する坩堝11a~11gは、坩堝11a~11gの内部空間Sのそれぞれの輪切り面積をA、第1加熱面31aの面積をBとしたときに、B/A≧2の関係を満たすように構成される。このように加熱容器10Bと第1加熱部31を構成することで、1台のSiC単結晶成長装置1BでSiC単結晶を複数同時に成長させる場合であっても、
図5(b)に示すように、固体原料M(s)を均一に昇華させて、種結晶2a~2cからのSiC単結晶の均等な成長を促進することができるため、SiC単結晶の生産性を高めることができる。
【0047】
SiC単結晶成長装置1Bは、加熱容器10Bを構成する複数の坩堝11a~11gと、加熱容器10Bを収容する、チャンバ5を備えることが好ましい。これにより、加熱容器10Bの外部雰囲気の調整を容易にすることができ、かつ、坩堝11a~11gなどの加熱による損傷を起こり難くすることができる。
【0048】
このとき、
図5(b)に示すように、複数の坩堝11a~11cは、それぞれの原料収容部12a~12cに収容された固体原料M(s)を昇華させて生成した固体原料由来の気体原料M(g)の一部を、原料収容部からチャンバ5内に放出する、隙間部18a~18cを有することが好ましい。これにより、隙間部18a~18cを通じて坩堝11a~11c内から不純物が排出される。それとともに、複数の坩堝11a~11cのそれぞれの隙間部18a~18cを通じて、気体原料M(g)がチャンバ5内に放出されて充満することで、チャンバ5内における気体原料M(g)の蒸気圧が複数の坩堝11a~11cの間で共有化されるため、複数の坩堝11a~11cにおける気体原料M(g)の蒸気圧が略均等になる(ダンピング効果)。そのため、坩堝11a~11c内の不純物による気体原料M(g)の組成の経時変化を抑制するとともに、複数のSiC単結晶の均等な成長を、より促進することができる。
【0049】
ここで、隙間部18a~18cは、
図5(b)に示すように、坩堝11a~11cを組み立てる際の勘合部に隙間を設けることで、形成することができる。坩堝11a~11cを組み立てる際の勘合部としては、例えば、原料収容部12a~12cと種結晶取付部16a~16cとの勘合部や、種結晶取付部16a~16cと蓋部17a~17cとの勘合部を挙げることができる。
【0050】
SiC単結晶成長装置1Bが備える、加熱容器10Bを構成する坩堝の数は、特に限定されない。例えば、坩堝の相互間における空隙を必要以上に広げない観点では、7個以上であることが好ましい。他方で、SiC単結晶成長装置1Bが備える坩堝の数は、19個以下としてもよい。
【0051】
加熱容器10Bを構成する複数の坩堝11a~11gの間隔は、特に限定されないが、坩堝11a~11gの相互間での蒸気圧のバランスを高める観点では、坩堝11a~11gの第1加熱面31aに沿った大きさの半分以下としてもよい。
【0052】
<第3実施形態>
図6は、本発明に従う第3実施形態のSiC単結晶成長装置の構造を示した概略図であって、
図6(a)が斜視図、
図6(b)が
図6(a)の仮想平面P3における断面図である。また、
図7は、第2実施形態および第3実施形態のSiC単結晶成長装置を構成する加熱容器を加熱手段で加熱したときの熱の流れを模式的に示した図であって、
図7(a)が第2実施形態のSiC単結晶成長装置の場合、
図7(b)が第3実施形態のSiC単結晶成長装置の場合を示す。なお、以下の説明において、上記第1実施形態または第2実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略または簡略にし、主に相違点について説明する。
【0053】
上述の第2実施形態では、
図5(a)、(b)に示すように、加熱手段3が原料収容部12の主面部分の外面全体を覆う第1加熱部31を備える構成を示したが、これに限定されない。例えば、
図6(a)、(b)に示されるSiC単結晶成長装置1Cのように、加熱手段3Cとして、第1加熱部31に加えて、原料収容部12a~12cの側周部分14a~14cに対し、側周部分14a~14cの外面全体を覆う位置関係で、第2加熱面32aを有する第2加熱部32が対向配置されてもよい。
【0054】
ここで、加熱手段3Cを構成する第1加熱部31と第2加熱部32は、第1加熱部31による加熱エネルギーをC、第2加熱部32による加熱エネルギーをDとしたときに、CはDよりも大きいことが好ましい。
【0055】
このように、第1加熱部31による加熱エネルギーCを、第2加熱部32による加熱エネルギーDよりも大きくすることで、坩堝11a~11gの原料収容部(
図6(b)の原料収容部12a~12c)の内部に収容された固体原料M(s)が均一に加熱されるとともに、種結晶2a~2cの結晶成長面を第1加熱面31aに対して平行に配置することで、坩堝11a~11gに配置されている種結晶2a~2cの表面温度も均一になるため、SiC単結晶の成長速度の均一性をより一層高めることができる。
【0056】
ここで、SiC単結晶成長装置1Cにおける加熱手段3Cとして第1加熱部31とともに第2加熱部32を備え、かつ、第1加熱部31による加熱エネルギーCを、第2加熱部32による加熱エネルギーDよりも大きくすることで、
図7(b)に示すように、第1加熱部31の第1加熱面31aから発せられる熱Hが、第1加熱面31aから離隔する側(
図7(b)の上側)に均等に伝わり、等温線L1~L3が第1加熱面31aに対して略平行になるため、種結晶2a~2cの表面温度を均一にすることが可能になる。このように、種結晶2a~2cの表面温度を均一にすることができる理由としては、第2加熱部32があることで、第1加熱部31の外周近傍から第1加熱部31の外側への熱Hの漏洩がさらに起こり難くなるとともに、第1加熱部31の外側への漏洩によって局所的に失われた熱Hが第2加熱部32によって補給され、その結果、坩堝11a~11cの内部空間Sにおけるエネルギー密度が等しくなることが挙げられる。他方で、
図7(a)に示すように、第2加熱部32を備えない第2実施形態のSiC単結晶成長装置1Bでは、等温線L1’~L3’が第1加熱部31の外側に近い部分で第1加熱面31aに近付くため、第1加熱部31の外周近傍から第1加熱部31の外側に熱Hの一部が漏洩することで、種結晶2a~2cの表面温度を均一にすることが困難になる。また、第2加熱部による加熱エネルギーDが大きすぎる場合は、等温線が第1加熱部の外側に近い部分で第1加熱面から遠ざかるため、種結晶2a~2cの表面温度を均一にすることが困難になる(図示せず)。
【0057】
このように、第1加熱部による加熱エネルギーCの、第2加熱部による加熱エネルギーDに対する比(C/D比)は、種結晶2a~2cの表面温度を均一にする観点から、1.00より大きいことが好ましく、1.20以上であることがより好ましい。他方で、第1加熱部による加熱エネルギーCの、第2加熱部による加熱エネルギーDに対する比(C/D比)の上限は、特に限定されないが、例えば固体原料M(s)をより均一に加熱する観点では、3.50未満であってもよく、また、3.00以下であってもよい。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【実施例】
【0059】
次に、本発明の効果をさらに明確にするために、本発明の実施例について説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0060】
[本発明例1]
固体原料M(s)と種結晶2が収容された坩堝11のモデルとして、直径180mm、高さ60mmの円柱状の内部空間Sを有し、内部空間Sが内径180mmの円筒状の側周部分14によって形成されている原料収容部12を有する坩堝11に、内部空間Sの底から70mmの高さで、固体原料M(s)であるSiC粉末(太平洋ランダム株式会社製、型番:GMF-H)を収容し、さらに、内部空間Sの底から60mmの高さ位置に種結晶取付部16を設けて、直径150mmの種結晶2を配置したモデルを構成した。
【0061】
これらの坩堝11のモデルを、
図8(a)に記載されるような配置で、直径1100mmの第1加熱面31aを有する平板状の第1加熱部31に、等間隔に19個載置した。このとき、それぞれの坩堝11における内部空間Sの輪切り面積Aは2.54×10
4mm
2、第1加熱面31aの面積Bは9.50×10
6mm
2と計算されるため、B/A比は37.4であった。
【0062】
ここで、第1加熱部31としては、坩堝11の底面と略平行に設けられ、上述の第1加熱面31aを有する板状の均熱板34と、均熱板34の第1加熱面31aの裏側に設けられ、3相交流の給電機構を有する抵抗加熱手段によって構成される熱源33と、を配置するように構成した。このうち、均熱板34は、異方性材料であるC/Cコンポジット材からなるものとし、この異方性材料における、第1加熱面31aに対して垂直な方向についての熱伝導率を10W/mKとし、第1加熱面31aに沿った方向についての熱伝導率を40W/mKとした。そのため、第1加熱面31aに対して垂直な方向についての熱伝導率に対する、第1加熱面31aに沿った方向についての熱伝導率の倍率は4倍であった。
【0063】
また、第1加熱部31の外側に、平面視で第1加熱部31と同心円状になるように、内径1200mm、高さ230mmの円筒状の第2加熱部32を配置する態様で、SiC単結晶成長装置の固体原料M(s)の表面温度をシミュレーションするための装置モデルを構成した。そして、第1加熱部による加熱エネルギーCを80kW、第2加熱部による加熱エネルギーDを40Wとして300分間加熱したときの、固体原料M(s)の表面温度を、ムラタソフトウエア株式会社製のFEMTET(商品名)を用いてシミュレーションした。このとき、第1加熱部による加熱エネルギーCの、第2加熱部による加熱エネルギーDに対する比(C/D比)は、2.00であった。
【0064】
シミュレーションの結果、固体原料M(s)における表面温度の温度差は、10℃以下であることがわかった。また、
図8(a)に、SiC単結晶成長装置1Dの坩堝11に配置されたSiC種結晶の温度分布についてのシミュレーション結果を示すように、SiC種結晶2における表面温度の温度差も、10℃以下であることがわかった。
【0065】
[本発明例2]
本発明例1と同じ装置モデルについて、第1加熱部による加熱エネルギーCを60kW、第2加熱部による加熱エネルギーDを60kWとして300分間加熱したときの、固体原料M(s)の表面温度をシミュレーションした。このとき、第1加熱部による加熱エネルギーCの、第2加熱部による加熱エネルギーDに対する比(C/D比)は、1.00であった。
【0066】
シミュレーションの結果、固体原料M(s)における表面温度の温度差は、10℃以下であることがわかった。他方で、
図8(b)に、固体原料M(s)の表面を含む、SiC単結晶成長装置1Eの坩堝11に配置されたSiC種結晶の温度分布についてのシミュレーション結果を示すように、SiC種結晶2の表面温度は、30℃超40℃以下の範囲で温度差が生じていた。
【0067】
[本発明例3]
本発明例1と同じ坩堝11のモデルを用い、
図9(a)に記載されるような配置で、直径650mmの第1加熱面31aを有する平板状の第1加熱部31に、等間隔に7個載置した。このとき、それぞれの坩堝11における内部空間Sの輪切り面積Aは2.54×10
4mm
2、第1加熱面31aの面積Bは3.31×10
5mm
2と計算されるため、B/A比は13.0であった。
【0068】
ここで、第1加熱部31としては、本発明例1と同様に、均熱板34と熱源33を配置するように構成した。このうち、均熱板34は、異方性材料であるC/Cコンポジット材からなるものとし、この異方性材料における、第1加熱面31aに対して垂直な方向についての熱伝導率を10W/mKとし、第1加熱面31aに沿った方向についての熱伝導率を40W/mKとした。そのため、第1加熱面31aに対して垂直な方向についての熱伝導率に対する、第1加熱面31aに沿った方向についての熱伝導率の倍率は4倍であった。
【0069】
また、第1加熱部31の外側に、平面視で第1加熱部31と同心円状になるように、内径750mm、高さ230mmの円筒状の第2加熱部32を配置する態様で、SiC単結晶成長装置の固体原料M(s)の表面温度をシミュレーションするための装置モデルを構成した。そして、第1加熱部による加熱エネルギーCを40kW、第2加熱部による加熱エネルギーDを20kWとして300分間加熱したときの、固体原料M(s)の表面温度を、ムラタソフトウエア株式会社製のFEMTET(商品名)を用いてシミュレーションした。このとき、第1加熱部による加熱エネルギーCの、第2加熱部による加熱エネルギーDに対する比(C/D比)は、2.00であった。
【0070】
図9(a)に、SiC単結晶成長装置1Fの坩堝11に収容された固体原料M(s)の表面における温度分布についてのシミュレーション結果(左側)と、坩堝11に配置されたSiC種結晶2の温度分布についてのシミュレーション結果(右側)を示す。シミュレーションの結果、固体原料M(s)における表面温度の温度差と、種結晶2における表面温度の温度差は、いずれも10℃以下であることがわかった。
【0071】
[本発明例4]
本発明例3と同じ装置モデルについて、第1加熱部による加熱エネルギーCを25kW、第2加熱部による加熱エネルギーDを20kWとして300分間加熱したときの、固体原料M(s)の表面温度をシミュレーションした。このとき、第1加熱部による加熱エネルギーCの、第2加熱部による加熱エネルギーDに対する比(C/D比)は、1.25であった。
【0072】
図9(b)に、SiC単結晶成長装置1Gの坩堝11に収容された固体原料M(s)の表面における温度分布についてのシミュレーション結果(左側)と、坩堝11に配置されたSiC種結晶2の温度分布についてのシミュレーション結果(右側)を示す。シミュレーションの結果、固体原料M(s)における表面温度の温度差と、種結晶2における表面温度の温度差は、いずれも10℃以下であることがわかった。
【0073】
[本発明例5]
本発明例3と同じ装置モデルについて、第1加熱部による加熱エネルギーCを20kW、第2加熱部による加熱エネルギーDを40kWとして300分間加熱したときの、固体原料M(s)の表面温度をシミュレーションした。このとき、第1加熱部による加熱エネルギーCの、第2加熱部による加熱エネルギーDに対する比(C/D比)は、0.50であった。
【0074】
図10(a)に、SiC単結晶成長装置1Hの坩堝11に収容された固体原料M(s)の表面における温度分布についてのシミュレーション結果(左側)と、坩堝11に配置されたSiC種結晶2の温度分布についてのシミュレーション結果(右側)を示す。シミュレーションの結果、固体原料M(s)における表面温度の温度差は、10℃以下であることがわかった。他方で、SiC種結晶2の表面温度は、20℃超30℃以下の範囲で温度差が生じていた。
【0075】
[比較例1]
本発明例1と同じ坩堝11のモデルを用い、
図10(b)に記載されるような配置で、直径98.6mmの第1加熱面31aを有する平板状の第1加熱部31に、等間隔に7個載置した。このとき、それぞれの坩堝11における内部空間Sの輪切り面積Aは2.54×10
4mm
2、第1加熱面31aの面積Bは7.63×10
3mm
2と計算されるため、B/A比は0.30であった。
【0076】
また、第1加熱部31の外側に、平面視で第1加熱部31と同心円状になるように、内径750mm、高さ230mmの円筒状の第2加熱部32を配置する態様で、SiC単結晶成長装置の固体原料M(s)の表面温度をシミュレーションするための装置モデルを構成した。そして、第1加熱部による加熱エネルギーCを25kW、第2加熱部による加熱エネルギーDを20kWとして300分間加熱したときの、固体原料M(s)の表面温度を、ムラタソフトウエア株式会社製のFEMTET(商品名)を用いてシミュレーションした。このとき、第1加熱部による加熱エネルギーCの、第2加熱部による加熱エネルギーDに対する比(C/D比)は、1.25であった。
【0077】
図10(b)に、SiC単結晶成長装置1Iの坩堝11に収容された固体原料M(s)の表面における温度分布についてのシミュレーション結果(左側)と、坩堝11に配置されたSiC種結晶2の温度分布についてのシミュレーション結果(右側)を示す。シミュレーションの結果、固体原料M(s)の表面温度は、20℃超30℃以下の範囲で温度差が生じていた。なお、種結晶2における表面温度の温度差は、10℃以下であった。
【0078】
[本発明例6]
本発明例1と同じ坩堝11のモデルを用い、
図11(a)に記載されるような配置で、直径650mmの第1加熱面31aを有する平板状の第1加熱部31に、等間隔に7個載置した。このとき、それぞれの坩堝11における内部空間Sの輪切り面積Aは2.54×10
4mm
2、第1加熱面31aの面積Bは3.31×10
5mm
2と計算されるため、B/A比は13.0であった。
【0079】
ここで、第1加熱部31としては、本発明例1と同様に、均熱板34と熱源33と、を配置するように構成した。このうち、均熱板34は、異方性材料であるC/Cコンポジット材からなるものとし、この異方性材料における、第1加熱面31aに対して垂直な方向についての熱伝導率を1W/mKとし、第1加熱面31aに沿った方向についての熱伝導率を10W/mKとした。そのため、第1加熱面31aに対して垂直な方向についての熱伝導率に対する、第1加熱面31aに沿った方向についての熱伝導率の倍率は10倍であった。
【0080】
また、第1加熱部31の外側に、平面視で第1加熱部31と同心円状になるように、内径750mm、高さ230mmの円筒状の第2加熱部32を配置する態様で、SiC単結晶成長装置の固体原料M(s)の表面温度をシミュレーションするための装置モデルを構成した。そして、第1加熱部による加熱エネルギーCを25kW、第2加熱部による加熱エネルギーDを20kWとして300分間加熱したときの、固体原料M(s)の表面温度を、ムラタソフトウエア株式会社製のFEMTET(商品名)を用いてシミュレーションした。このとき、第1加熱部による加熱エネルギーCの、第2加熱部による加熱エネルギーDに対する比(C/D比)は、1.25であった。
【0081】
図11(a)に、SiC単結晶成長装置1Jの坩堝11に収容された固体原料M(s)の表面における温度分布についてのシミュレーション結果を示す。シミュレーションの結果、固体原料M(s)における表面温度の温度差は、10℃以下であった。
【0082】
[本発明例7]
本発明例6と同じ装置モデルについて、均熱板34を構成する異方性材料であるC/Cコンポジット材における、第1加熱面31aに対して垂直な方向についての熱伝導率を10W/mKとし、第1加熱面31aに沿った方向についての熱伝導率を40W/mKとしたときの、固体原料M(s)の表面温度をシミュレーションした。このとき、第1加熱面31aに対して垂直な方向についての熱伝導率に対する、第1加熱面31aに沿った方向についての熱伝導率の倍率は4倍であった。
【0083】
図11(b)に、SiC単結晶成長装置1Kの坩堝11に収容された固体原料M(s)の表面における温度分布についてのシミュレーション結果を示す。シミュレーションの結果、固体原料M(s)における表面温度の温度差は、10℃以下であった。
【0084】
[本発明例8]
本発明例6と同じ装置モデルについて、均熱板34を構成する異方性材料であるC/Cコンポジット材における、第1加熱面31aに対して垂直な方向についての熱伝導率を13.3W/mKとし、第1加熱面31aに沿った方向についての熱伝導率を40W/mKとしたときの、固体原料M(s)の表面温度をシミュレーションした。このとき、第1加熱面31aに対して垂直な方向についての熱伝導率に対する、第1加熱面31aに沿った方向についての熱伝導率の倍率は3倍であった。
【0085】
図11(c)に、SiC単結晶成長装置1Lの坩堝11に収容された固体原料M(s)の表面における温度分布についてのシミュレーション結果を示す。シミュレーションの結果、固体原料M(s)における表面温度の温度差は、20℃以下であった。
【0086】
[本発明例9]
本発明例6と同じ装置モデルについて、均熱板34を構成する異方性材料であるC/Cコンポジット材における、第1加熱面31aに対して垂直な方向についての熱伝導率を20W/mKとし、第1加熱面31aに沿った方向についての熱伝導率を40W/mKとしたときの、固体原料M(s)の表面温度をシミュレーションした。このとき、第1加熱面31aに対して垂直な方向についての熱伝導率に対する、第1加熱面31aに沿った方向についての熱伝導率の倍率は2倍であった。
【0087】
図11(d)に、SiC単結晶成長装置1Mの坩堝11に収容された固体原料M(s)の表面における温度分布についてのシミュレーション結果を示す。シミュレーションの結果、固体原料M(s)における表面温度の温度差は、20℃以下であった。
【0088】
以上のことから、本発明例1~9のSiC単結晶成長装置では、いずれも内部空間の輪切り面積Aに対する、第1加熱面の面積Bの比(B/A)が2以上であり、かつ固体原料M(s)における表面温度の温度差が小さく、ほぼ均一に加熱されていることがわかった。
【0089】
よって、本発明例1~9のSiC単結晶成長装置は、固体原料を均一に加熱して固体原料由来の気体原料を昇華させることが可能であり、それによりSiC単結晶を成長させる際の原料の無駄を低減することが可能なものであった。
【0090】
一方、比較例1のSiC単結晶成長装置は、内部空間の輪切り面積Aに対する、第1加熱面の面積Bの比(B/A)が2未満であった。そのため、比較例1のSiC単結晶成長装置は、固体原料M(s)の表面温度にばらつきが見られた。
【0091】
さらに、本発明例1、3、4のSiC単結晶成長装置は、
図8~
図10に示すように、第1加熱部による加熱エネルギーCの、第2加熱部による加熱エネルギーDに対する比(C/D比)が1.00を超えることで、C/D比が1.00を下回っている本発明例2、5と異なり、種結晶2の表面温度も、ほぼ均一であることがわかった。
【0092】
また、本発明例1~7のSiC単結晶成長装置は、
図8~
図11に示すように、第1加熱面31aに対して垂直な方向についての熱伝導率に対する、第1加熱面31aに沿った方向についての熱伝導率の倍率が4倍以上の異方性材料によって第1加熱面31aを構成することで、この熱伝導率の倍率が4倍未満の材料によって第1加熱面31aを構成している本発明例8、9と比べて、固体原料M(s)における表面温度の温度差を、より小さくすることができることがわかった。
【符号の説明】
【0093】
1、1A~1M SiC単結晶成長装置
10、10B、10C 加熱容器
11、11a~11g 坩堝
12、12a~12c 原料収容部
13 原料収容部の底部
14、14a~14c 原料収容部の側周部分
15 原料収容部の底面部分
16、16a~16c 種結晶取付部
17、17a~17c 蓋部
18a~18c 隙間部
2、2a~2c SiCの種結晶
3 加熱手段
31 第1加熱部
31a 第1加熱面
32 第2加熱部
32a 第2加熱面
33 熱源
34 均熱板
4 断熱材
5 チャンバ
90 比較のためのSiC単結晶成長装置
A 内部空間の輪切り面積
B 第1加熱面の面積
H 加熱手段から発せられる熱の流れ
L1~L3、L1’~L3’ 等温線
S 内部空間
Y 高さ方向
M(s) 固体原料
M(g) 気体原料