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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】迅速で高感度な水素検出器
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/3504 20140101AFI20250304BHJP
   G01N 21/61 20060101ALI20250304BHJP
【FI】
G01N21/3504
G01N21/61
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2023549979
(86)(22)【出願日】2022-01-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(86)【国際出願番号】 US2022014073
(87)【国際公開番号】W WO2022177717
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-11-01
(31)【優先権主張番号】17/178,696
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500415254
【氏名又は名称】エアロダイン・リサーチ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン ジュニア デイビッド ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ハーンドン スコット シー.
(72)【発明者】
【氏名】ショーター ジョアン エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ロッショーリ ジョセフ アール.
【審査官】奥野 尭也
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-179224(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第01017940(GB,A)
【文献】国際公開第2020/172541(WO,A1)
【文献】米国特許第8448493(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2021/0293768(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0174052(US,A1)
【文献】国際公開第2011/155086(WO,A1)
【文献】特開2011-257319(JP,A)
【文献】特公昭49-026920(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/3504
G01N 21/61
G01N 31/00
G01N 33/00
G01N 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲水蒸気及び水素を含む試料ガスを受け入れることと、
前記試料ガスを、前記試料ガス中の周囲水蒸気の時間応答を減衰させるように構成されるガス乾燥器に通過させることと、
前記試料ガス中の水素を水蒸気に化学的に変換して、変換した試料ガスを生成することと、
前記変換した試料ガス中の水蒸気を測定して、水蒸気信号を生成することと、
時間領域において前記水蒸気信号を周囲水蒸気信号と水素由来水蒸気信号とに分離することであって、前記ガス乾燥器により減衰した時間応答は、前記周囲水蒸気信号をより変動が迅速な前記水素由来水蒸気信号と区別することによって分離を容易にすることと、
前記水素由来水蒸気信号に基づく、前記試料ガス中の分子状水素を記述する水素信号を出力することと、
を含む、分子状水素を検出する方法。
【請求項2】
前記ガス乾燥器は、スルホン酸化テトラフルオロエチレン系フルオロポリマーコポリマー膜ガス乾燥器である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記化学的に変換することは、前記試料ガスを触媒炉中で加熱することによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記水蒸気を測定することは、
前記変換した試料ガス中の水蒸気を光学的に検出して、前記水蒸気信号を生成すること、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記光学的に検出することは、レーザー分光法又は非分散型赤外(NDIR)吸光分光法を使用して行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記水素由来水蒸気信号を変調すること、
を更に含み、
前記時間領域において前記周囲水蒸気信号と前記水素由来水蒸気信号とを分離することは、前記水素由来水蒸気信号の前記変調によって容易にされる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記変調することは、
前記試料ガスを前記ガス乾燥器に通過させた後の前記試料ガスを、化学変換流と迂回流とに分割することと、
前記化学変換流のみにおける水蒸気の測定と、前記迂回流のみにおける水蒸気の測定とを交互に行って、前記水蒸気信号を生成することと、
を更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記試料ガスを前記ガス乾燥器に通過させる前に、前記試料ガスを所定の相対湿度まで加湿すること、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
濾材、膜、モレキュラーシーブ、又はクライオジェニックトラップのうちの少なくとも1つを使用して水素含有分子をトラップすることによって、前記試料ガス中の水素含有分子を抑制すること、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
水蒸気への水素含有分子の変換を回避しながら水素を選択的に酸化するように化学変換を調節することによって、前記試料ガス中の水素含有分子を抑制すること、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記試料ガス中の水素含有分子濃度を測定し、前記測定した水素含有分子濃度に基づいて、水素含有分子由来水蒸気の量を計算し、前記水蒸気信号から水素含有分子由来水蒸気を減算することによって、前記試料ガス中の水素含有分子を補償すること、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
空気の動きを測定することと、
前記空気の動きの測定値と前記水蒸気信号との間の相関に基づいて、水素渦共分散フラックスを求めることと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
周囲水蒸気及び水素を含む試料ガスを受け入れるように構成される入口と、
前記入口から試料ガスを受け入れ、前記試料ガス中の周囲水蒸気の時間応答を減衰させるように構成されるセグメントを有するガス乾燥器と、
前記ガス乾燥器から前記試料ガスを受け入れ、前記試料ガス中の水素を水蒸気に化学的に変換して、変換した試料ガスを生成するように構成される触媒炉と、
前記変換した試料ガス中の水蒸気を測定して水蒸気信号を生成するように構成される水蒸気モニタリングセルと、
時間領域において前記水蒸気信号を周囲水蒸気信号と水素由来水蒸気信号とに分離し、分離は、前記ガス乾燥により減衰された時間応答に基づいて前記周囲水蒸気信号をより変動が迅速な前記水素由来水蒸気信号と区別することによって、容易にされ、前記水素由来水蒸気信号に基づき、前記試料ガス中の分子状水素を記述する水素信号を出力するように構成されるプロセッサと、を備える、分子状水素検出器。
【請求項14】
前記ガス乾燥器は、スルホン酸化テトラフルオロエチレン系フルオロポリマーコポリマー膜ガス乾燥器である、請求項13に記載の分子状水素検出器。
【請求項15】
前記水蒸気モニタリングセルは、レーザー分光器又は非分散型赤外(NDIR)吸光分光器を備える、請求項13に記載の分子状水素検出器。
【請求項16】
前記触媒炉と前記水蒸気モニタリングセルとの間に配置され、前記変換した試料ガスの圧力を低減するように構成される流量コントローラーと、
前記ガス乾燥器、前記触媒炉及び前記水蒸気モニタリングセルを通して試料ガスを引き抜くように構成される真空ポンプと、
を更に備える、請求項13に記載の分子状水素検出器。
【請求項17】
前記ガス乾燥器及び前記触媒炉の後に配置され、前記試料ガスを、前記触媒炉に通される化学変換流と、前記触媒炉を迂回する迂回流とに分割するように構成される、分流器と、
前記触媒炉を通過した後の前記化学変換流を、前記水蒸気モニタリングセルに又は前記水蒸気モニタリングセルを迂回するように選択的に向けるように構成される第1の弁と、
前記迂回流を前記水蒸気モニタリングセルに又は前記水蒸気モニタリングセルを迂回するように選択的に向けるように構成される第2の弁と、
を更に備え、
前記プロセッサは、前記化学変換流のみにおける水蒸気の測定と、前記迂回流のみにおける水蒸気の測定とを交互に行って、前記水蒸気信号を生成することを前記水蒸気モニタリングセルに行わせるように前記第1の弁及び前記第2の弁を起動及び起動解除するように構成される、
請求項13に記載の分子状水素検出器。
【請求項18】
前記試料ガスを所定の相対湿度まで導くように構成される加湿器を更に備える、請求項13に記載の分子状水素検出器。
【請求項19】
前記試料ガス中の水素含有分子を抑制するように構成される濾材、膜、モレキュラーシーブ、又はクライオジェニックトラップ、
を更に備える、請求項13に記載の分子状水素検出器。
【請求項20】
前記触媒炉は、水蒸気への水素含有分子の変換を回避しながら水素を選択的に酸化するように構成される、請求項13に記載の分子状水素検出器。
【請求項21】
前記試料ガス中の水素含有分子濃度を測定するように構成されるモニターを更に備え、
前記プロセッサは、前記測定した水素含有分子濃度に基づいて、水素含有分子由来水蒸気の量を計算し、前記水蒸気信号から水素含有分子由来水蒸気を減算することによって、前記試料ガス中の水素含有分子を補償するように構成される、
請求項13に記載の分子状水素検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包括的には、ガス検出に関し、より詳細には、分子状水素の迅速で高感度な検出に関する。
【背景技術】
【0002】
分子状水素の迅速で高感度な検出がますます必要となっている。世界的に主なエネルギー源として化石燃料から移行するにつれて、水素ベースのエネルギーインフラストラクチャが台頭してくる可能性が高い。経済的な理由及び安全性の理由の両方から、水素濃度を測定する有効な方法を得ることが必須となる。例えば、水素ガス漏れを検出するために、試料ガス(例えば、大気)中の水素濃度を測定する有効な方法を得ることが必須となる。メタン検出器が既存の天然ガスベースのエネルギーインフラストラクチャにおいて重要な役割を果たすのと同様に、水素検出器は水素ベースのエネルギーインフラストラクチャにおいて重要な役割を果たす可能性が高い。
【0003】
現在展開されているメタン検出器の多くが、メタン濃度を測定し、メタンガス漏れを検出するために光検出を利用する。光検出は、高速、高感度、携行可能、及び特異的であり得るもので、一見、水素の検出に使用するに当たって魅力的な選択肢と思える。しかしながら、メタンとは異なり、水素の吸収特性は、電磁スペクトルの近紫外(UV)領域、可視領域、赤外(IR)領域又はマイクロ波領域において強力でない。したがって、従来の技法によって水素分子を光学的に検出することは非常に困難であり、水素の直接的な光検出器は存立可能でないと判明している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、迅速で高感度な水素検出を可能にし得る分子状水素を検出するための改善された技法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
様々な実施の形態において、分子状水素の迅速で高感度な検出は、水素を水蒸気に化学的に変換(すなわち、水素を酸化)し、その後、水蒸気を光学的に検出する(例えば、レーザー分光法、非分散型赤外(NDIR)吸光分光法等の光検出技法を使用して)ことによって達成される。水蒸気は、水素が間接的に検出されるように、水素の代用としての役割を果たす。間接的な検出により、水素分子自体を光学的に検出する困難が回避され、他の利点を提供することができる。しかしながら、間接的な検出により、他の課題も導入され得る。本明細書に記載の様々な実施の形態において、これらの他の課題に対処することができる。
【0006】
1つの課題は、試料ガス(例えば、大気)が多くの周囲水蒸気(例えば、1%~4%)を含むことが多いことである。水素を化学的に変換することによって生成される追加の水蒸気は、典型的には、周囲水蒸気と比較して非常に少ない。水素漏れの近傍で検出するときであっても、数百分の一である可能性があり、水素漏れから遠隔である場合、数万分の一である可能性がある。加えて、周囲水蒸気の量は、時間に伴って変化し得るものであり、空気の動きと相関させることができ、特異的検出において更なる問題が生じるおそれがある。
【0007】
本明細書に記載の様々な実施の形態において、この課題は、検出された水蒸気濃度を記述する水蒸気信号を、「周囲水蒸気信号」及び「水素由来水蒸気信号」と称される、時間領域における2つの成分に分離することによって対処することができる。分離は、周囲水蒸気信号における変動を減衰させて、周囲水蒸気信号をより変動が迅速な水素由来水蒸気信号と区別することによって、容易にすることができる。減衰は様々な方法で達成することができる。1つの実施の形態において、ガス乾燥器(例えば、Nafion(商標)スルホン酸化テトラフルオロエチレン系フルオロポリマーコポリマー膜ガス乾燥器)を採用することができる。そのような実施の形態を改良するために、様々な追加の技法を採用することができる。例えば、周囲水蒸気信号からの分離を更に容易にするために、水素由来水蒸気信号を迅速に変調することができる。同様に、試料ガスを所定のレベルまで予め加湿して、実際の周囲水蒸気のメモリを削除し、容易に分離することができる一定の安定した周囲水蒸気信号を確保することもできる。
【0008】
別の課題は、試料ガス(例えば、大気)が、化学変換において水蒸気に変換することができる炭化水素及び他の水素含有分子を含むことが多いことである。この代替的な水蒸気源は、干渉信号をもたらし得る。そのような干渉信号は、高感度用途(例えば、1パーツパーミリオン(ppm)を下回る水素濃度の用途)、又は水素含有分子の濃度が異常に高い環境において有意であり得る。
【0009】
本明細書に記載の様々な実施の形態において、この課題は、(濾材、膜、モレキュラーシーブ、クライオジェニックトラップ及び/又は他の技法を使用して)トラップすること、又は水蒸気への水素含有分子の変換を回避しながら水素を選択的に酸化するように化学変換を調節することにより試料ガス中の水素含有分子を抑制することによって、対処することができる。代替的に、この課題は、水素含有分子濃度を測定し、水素含有分子由来水蒸気の量を計算し、水素含有分子由来水蒸気を減算することによって対処することができる。
【0010】
多様な追加の特徴及び実施形態を本概要において論じたもの以外に実装し得ることを理解されたい。本概要は、単に、読者に対して以下の更なる説明についての簡潔な導入部として意図されており、本明細書に述べる特徴及び実施形態が本開示の全ての態様を包含することも、本開示の必要な部分又は必須の部分であることも示唆又は暗示するものではない。
【0011】
説明は例示の実施形態の添付図面を参照するものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】第1の実施形態に係る、分子状水素を検出するステップの一例示のシーケンスの流れ図である。
図1B図1Aのステップのシーケンスを実施することができる構成要素を有する一例示の水素検出器のブロック図である。
図1C】時間に応じた一例示の水蒸気信号、周囲水蒸気信号、及び水素由来水蒸気信号を示すグラフ154~158のセットである。
図2A】第2の実施形態に係る、分子状水素を検出するステップの一例示のシーケンスの流れ図である。
図2B図2Aのステップのシーケンスを実施することができる構成要素を有する一例示の水素検出器のブロック図である。
図2C】迅速に変調された水素由来水蒸気成分を有する一例示の水蒸気信号を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1Aは、第1の実施形態に係る、分子状水素を検出するステップの一例示のシーケンス100の流れ図である。図1Bは、図1Aのステップのシーケンス100を実施することができる構成要素を有する一例示の水素検出器102のブロック図である。ステップ110において、水素検出器102の入口112は、周囲水蒸気と、分子状水素と、場合によっては水素含有分子(メタン及び非メタン炭化水素(NMHC)を含む)とを含む試料ガス(例えば、大気)を受け入れる。試料ガス中の周囲水蒸気は変動する場合があり、典型的には、大気について10000ppm~20000ppmの間に収まる。試料ガス中の水素含有分子は、典型的には、遥かに少ない量で存在し、典型的には、大気について約3ppmである(通常、メタンが約2ppmを占め、NMHCが残りの1ppmを占める)。水素源(例えば、水素漏れ)が存在しない場合、水素は、典型的には、大気中に約0.5ppm見られる。水素検出器102の単純な実施態様は、約1ppm~約40000ppm(すなわち、水素の爆発下限)の水素濃度を検出することに適したものであり得る。水素検出器のより複雑な実施態様(例えば、試料ガス中の水素含有分子が存在する可能性を考慮する)は、1ppm未満の濃度を特異的に検出することが可能であり得る。
【0014】
ステップ120において、入口112からの試料ガスをガス乾燥器122、又はより具体的にはその高圧セグメントに通過させる。1つの実施態様において、ガス乾燥器122は、Nafion(商標)スルホン酸化テトラフルオロエチレン系フルオロポリマーコポリマー膜ガス乾燥器である。代替的に、多種多様なタイプのガス乾燥器を採用することができる。ガス乾燥器122は、幾らかの周囲水蒸気を試料ガスから除去することができる。しかしながら、ガス乾燥器122の主な目的は、周囲水蒸気を除去することではなく、水素にほとんど影響を及ぼすことなく、周囲水蒸気における時間応答を減衰させることである。更に後述するように、ガス乾燥器122は、エレクトロニクスの分野におけるローパスフィルターと同様の役割を果たす。
【0015】
ステップ130において、ガス乾燥器122(又はより具体的には、その高圧セグメント)からの試料ガスを触媒炉132内で受け入れ、試料ガス中の水素を水蒸気に化学的に変換する(すなわち、水素を酸化する)。触媒炉132は、水素を水蒸気に迅速かつ定量的に変換する高温(例えば、摂氏100度(℃)~200℃)触媒表面(例えば、プラチナ(Pt)表面)を備えることができる。
【0016】
ガス乾燥器122及び触媒炉132は、近大気圧で動作することができる。ステップ140において、触媒炉132からの変換した試料ガスを、圧力を低減する流量コントローラー142に通過させる。流量コントローラー142は、様々な方法で流量を制限することによって圧力降下を生じさせることができる。1つの実施態様において、流量コントローラーは、流量を制限する臨界オリフィスである。いくつかの事例において(例えば、水蒸気濃度が40000ppm以上の事例)、触媒炉132と流量コントローラー142との間に凝縮が発生する傾向があり得る。凝縮を回避するために、この領域を高温(例えば、30℃以上)に維持することができる。1つの実施態様において、この高温は、流量コントローラー142を触媒炉132に非常に近接して配置することで、触媒炉132からの副生成物熱が高温を維持することによって、達成することができる。
【0017】
ステップ150において、流量コントローラー142からの変換した試料ガスを水蒸気モニタリングセル152において受け入れ、水蒸気モニタリングセル152は、内部の水蒸気を測定して水蒸気信号を生成する。水蒸気モニタリングセル152は、光検出、例えば、レーザー分光法又は非分散型赤外(NDIR)吸光分光法を採用することができる。ただし、他のタイプの検出を、他のタイプの光検出を含めて採用してもよく、水蒸気モニタリングセル152は、他のタイプの分光器を含む様々なタイプの装置を含んでもよいことを理解されたい。
【0018】
水蒸気モニタリングセル152によって生成される水蒸気信号は、時間領域における2つの成分、すなわち、本明細書において「周囲水蒸気信号」と称される、周囲水蒸気に由来する成分と、本明細書において「水素由来水蒸気信号」と称される、変換した水素に由来する成分とを含む。図1Cは、時間に応じた一例示の水蒸気信号、周囲水蒸気信号、及び水素由来水蒸気信号を示すグラフ154~158のセットである。周囲水蒸気信号は、大気中の周囲水蒸気の濃度が典型的には高い(例えば、10000ppm、20000ppm等)ことに起因して、ガス乾燥器122によって低減した後でも有意なオフセット(例えば、100ppm~1000ppm)を有することが多く、典型的には、長期間(例えば、1分よりも長い期間)にわたってのみ変動する。周囲水蒸気信号は、典型的には、ガス乾燥器122の減衰効果に起因して短期間(例えば、1秒(s)未満の期間)にわたって比較的一定である。水素由来水蒸気信号は、典型的には、(水素漏れ等の水素源が存在しない場合)大気中の水素の濃度が典型的には僅か(例えば、0.5ppm)であることに起因して有意のオフセットを有しない。水素由来水蒸気信号は、ガス乾燥器122による影響を受けないため、短期間(例えば、1s未満の期間)にわたって変動し得る。
【0019】
システム内のガス乾燥器122(又はより具体的には、その高圧セグメント)と水蒸気モニタリングセル152との間の漏れは、減衰されない水蒸気変化を導入し得ることに留意されたい。したがって、この領域に存在し得る漏れを最小限にする及び/又は排除するために、特殊な手段を講じることができる(例えば、この領域において高品質の真空配管要素を使用する)。
【0020】
ステップ160において、変換した試料ガスが水蒸気モニタリングセル152を離れ、ガス乾燥器122、又はより具体的にはその低圧セグメントを再び通過する。低圧セグメントを回避するために、任意選択の迂回路162を設けることもできる。
【0021】
ステップ170において、変換した試料ガスは、水素検出器102を通して試料ガスを引き抜く真空ポンプ172を通過して出口174を出る。
【0022】
これと並行して、ステップ180において、水蒸気モニタリングセル152からの水蒸気信号をプロセッサ182によって受信し、プロセッサ182は、例えば、デジタル信号処理(DSP)技法を使用して、時間領域において水蒸気信号を周囲水蒸気信号と水素由来水蒸気信号とに分離する。プロセッサ182は、水素由来水蒸気信号に基づいて試料ガス中の分子状水素を記述する水素信号を求める。いくつかの実施態様において、水素由来水蒸気信号は、単に水素信号として使用することができる。より複雑な実施態様において、変換プロセスを採用して、供給源又は誤差又は他の要因を考慮することができる。
【0023】
最終的に、ステップ190において、プロセッサ182は、水素信号を出力し、例えば、メモリに記憶し、別の機器に渡し、水素検出器102のユーザーインターフェースにおいて表示を生成するために使用する等を行う。
【0024】
図1A及び図1Bに関して論じた例示の水素検出器102の性能は、水素由来水蒸気信号を能動的に変調することによって改善することができる。図2Aは、第2の実施形態に係る、分子状水素を検出するステップの一例示のシーケンス200の流れ図である。図2Bは、図2Aのステップのシーケンス200を実施することができる構成要素を有する一例示の水素検出器202のブロック図である。図2A及び図2Bのステップ及び構成要素が図1A及び図1Bのものと同様である場合、再びの論述は簡潔にのみ留め、更なる詳細については上記の論述を参照されたい。
【0025】
ステップ210において、水素検出器202の入口212は、周囲水蒸気と、分子状水素と、場合によっては水素含有分子(メタン及びNMHCを含む)とを含む試料ガス(例えば、大気)を受け入れる。
【0026】
ステップ220において、入口212からの試料ガスをガス乾燥器222、又はより具体的にはその高圧セグメントに通過させる。繰り返しになるが、ガス乾燥器222は、Nafion(商標)スルホン酸化テトラフルオロエチレン系フルオロポリマーコポリマー膜ガス乾燥器又は別のタイプの乾燥器とすることができ、その主な目的は、水素にほとんど影響を及ぼすことなく、周囲水蒸気における時間応答を減衰させることであり得る。
【0027】
ステップ230において、ガス乾燥器222(又はより具体的には、その高圧セグメント)からの試料ガスを分流器224に通し、分流器224は、試料ガスを半分に分割し、触媒炉232に通され、本明細書において「化学変換流」と称される第1の流れと、触媒炉232を迂回し、本明細書において「迂回流」と称される第2の流れとをもたらす。
【0028】
ステップ240において、触媒炉232は、化学変換流中の水素を水蒸気に化学的に変換する。繰り返しになるが、触媒炉232は、水素を水蒸気に迅速かつ定量的に変換する高温(例えば、200℃)触媒表面(例えば、Pt表面)を備えることができる。ガス乾燥器222及び触媒炉232は、近大気圧で動作することができる。
【0029】
ステップ250において、触媒炉232からの化学変換流を、その圧力を低減する第1の流量コントローラー242に通過させ、迂回流を、その圧力を低減する第2の流量コントローラー244に通過させる。繰り返しになるが、水の凝縮を回避するために、これらの領域を高温(例えば、30℃以上)に維持することができる。
【0030】
ステップ260において、水蒸気モニタリングセル252は、化学変換流のみにおける水蒸気の測定と、迂回流のみにおける水蒸気の測定とを交互に行って、水蒸気信号を生成する。繰り返しになるが、水蒸気モニタリングセル252は、光検出、例えば、レーザー分光法又はNDIR吸光分光法を採用することができる。測定を交互に行うために、第1の弁254及び第2の弁256(例えば、電子制御される3方弁)を採用することができる。1つの実施態様において、第1の弁254は、第1の流量コントローラー242からの化学変換流を受け入れ、(休止状態において)水蒸気モニタリングセル252に向けるか、又は(起動状態において)水蒸気モニタリングセル252を取り巻くバイパス258に向ける。第2の弁256は、第2の流量コントローラー244からの迂回流を受け入れ、(休止状態において)水蒸気モニタリングセル252の周りに向けるか、又は(起動状態において)水蒸気モニタリングセル252に向ける。
【0031】
並行ステップにおいて、ステップ290において、プロセッサ282は、第1の弁254及び第2の弁256を起動及び起動解除するために、第1の弁254及び第2の弁256に切替え信号(例えば、矩形波)を発行するように構成される。この構成により、蒸気モニタリングセル252による化学変換流中の水蒸気の測定と迂回流中の水蒸気の測定とを交互に行いながら、水蒸気モニタリングセル252及び水蒸気モニタリングセル252を取り巻くバイパス258を通る流れを常に維持することができる。第1の弁254及び第2の弁256が同時に切り替えられる場合、蒸気モニタリングセル252中の圧力は大幅に変化せず、切替えプロセス自体からの過渡信号が回避される。さらに、水蒸気モニタリングセル252及び水蒸気モニタリングセル252を取り巻くバイパス258を通る流量は、その合計が一定であり、水蒸気モニタリングセル252中の圧力がほぼ一定であることが保証されるため、完全に整合させる必要はない。
【0032】
繰り返しになるが、水蒸気モニタリングセル252によって生成される水蒸気信号は、時間領域における2つの成分、すなわち、周囲水蒸気信号と、水素由来水蒸気信号とを含む。しかしながら、上記で論じた流れ切替えにより、水素由来水蒸気信号が変調され、分離がより容易になる。弁254、256への切替え信号が迅速になるほど、変調がより迅速になり、分離がより容易になる(ただし、分解能を確保するために、切替え信号が水蒸気モニタリングセル252の測定レートよりも依然として小さい(例えば、十分の一)場合)。1つの実施形態において、切替え信号は、1ヘルツ(Hz)よりも大きい(例えば、2Hz矩形波)。
【0033】
図2Cは、迅速に変調された水素由来水蒸気成分を有する一例示の水蒸気信号を示すグラフ258である。この例において、迅速に変調された水素由来水蒸気成分は、約50ppmの水素に対応し、周囲水蒸気成分に依存するものであり、周囲水蒸気成分は、約500ppmで始まり、約400ppmへとゆっくりと減少する。水素由来水蒸気信号成分は、時間領域において周囲水蒸気成分から良好に分離される。理想的なシステムにおいては、50ppm矩形波が周囲水蒸気成分に依存することが期待される。しかしながら、実世界の実施態様における混合効果及び表面効果に起因して、減衰された矩形波がより典型的である。
【0034】
ステップ270において、流れは再併合され、どちらもガス乾燥器222(又はより具体的には、その低圧セグメント)を再び通過する。低圧セグメントを回避するために、任意選択の迂回路262を設けることもできる。
【0035】
ステップ280において、再併合した流れは、水素検出器202を通して全てを引き抜く真空ポンプ272を通過して出口274を出る。
【0036】
これと並行して、ステップ295において、水蒸気モニタリングセル252からの水蒸気信号をプロセッサ282によって受信し、プロセッサ282は、時間領域において水蒸気信号を周囲水蒸気信号と変調された水素由来水蒸気信号とに分離する。プロセッサ282は、変調された水素由来水蒸気信号に基づいて試料ガス中の分子状水素を記述する水素信号を求める。単純な実施態様において、変調の減衰を無視するものとして、水素信号を以下のように求めることができる。
[H2]=[H2O]cc-[H2O]bp
式中、[H2O]ccは、化学変換流をモニタリングするときに測定される水蒸気濃度であり、[H2O]bpは、迂回流をモニタリングするときに測定される水蒸気濃度である。より複雑な実施態様において、DSP技法を使用することができる。例えば、プロセッサ282は、減衰効果によって生じる歪みを考慮するためにデジタルロックイン増幅器を実装することができる。ガス乾燥器222によって完全には抑制されない周囲水蒸気変動は、変調周波数と位相コヒーレントではなく、これにより、容易に抑制することができる。
【0037】
最終的に、ステップ297において、プロセッサ282は、水素信号を出力し、例えば、メモリに記憶し、別の機器に渡し、水素検出器202のユーザーインターフェースにおいて表示を生成するために使用する等を行う。
【0038】
様々な実施形態の動作は、様々な改良を施して改善することができる。いくつかの改良された実施形態において、周囲水蒸気変動は、試料ガスをガス乾燥器122、222に通過させる前に、加湿器(図1B又は図2Bに示さず)を使用して、試料ガスを所定の相対湿度(例えば、99%)まで加湿することによって、更に抑制することができる。試料ガスを所定の相対湿度まで加湿することにより、実際の周囲水蒸気濃度のメモリが削除される。ガス乾燥器122、222は、実際の周囲水蒸気が変動する場合であっても、周囲水蒸気信号が大幅に変動しないように、水蒸気を一定の安定したレベルに低減する。
【0039】
更なる改良された実施形態において、水蒸気に変換されることにより干渉信号を生成し得る試料ガス中の水素含有分子(メタン及びNMHCを含む)が対処される。いくつかの改良された実施形態において、水素含有分子は、濾材、膜、モレキュラーシーブ、クライオジェニックトラップ及び/又は他のトラップ要素を使用してトラップすることによって抑制される。トラップ要素は、水蒸気及び二酸化炭素濃度を低減(例えば、1ppm未満に)して、水素含有分子を捕捉することを意図した構成要素の飽和を回避する前置フィルターを含むことができる。いくつかの実施態様において、トラップ要素は、ガス乾燥器122、222と水蒸気モニタリングセル152、252との間に配置することができる。トラップはメタンを伴って使用することができるが、水素NMHCは、水素よりも遥かに付着性があり通常は濃度が低いため、トラップは、水素NMHCを抑制するために特に好適であり得る。
【0040】
更なる改良された実施形態において、触媒炉132、232は、水蒸気への水素含有分子の変換を回避しながら水素を選択的に酸化するように調節することができる。選択的酸化は、メタンが水素よりも酸化するのが比較的困難であるため、メタンを抑制するために特に好適なものとすることができ、これにより、触媒炉132、232について、一方を実質的に酸化するが他方を酸化しないパラメーターを選択することができる。
【0041】
より更なる改良された実施形態において、試料ガス中の水素含有分子は、試料ガス中の水素含有分子濃度を測定し、測定した水素含有分子濃度に基づいて、水素含有分子由来水蒸気の量を計算し、水蒸気信号から水素含有分子由来水蒸気を減算することによって補償することができる。補償ベースの技法は、メタンに対処するために特に好適であり得る。
【0042】
補償ベースの技法に使用されるそのような測定値は、例えば、図2A及び図2Bの技法を適合させることによって収集することができる。総メタン濃度は、迂回流において(例えば、メタンガス検出器(図2Bに示さず)を使用して)測定することができる。化学変換流において、触媒炉232を通過して残存したメタン濃度も(例えば、同じくメタン濃度検出器(図2Bに示さず)を使用して)測定される。総メタン濃度と残存メタン濃度との間の差は、触媒炉232内で酸化されたメタンの量を示す。プロセッサ282は、メタンの酸化に由来する水蒸気を減算することによって試料ガス中の分子状水素を記述する水素信号を求めることができる。各酸化メタン分子は2つの水分子を生成するのに対し、酸化水素分子は1つの水分子を生成する。したがって、単純な実施態様において、水素信号を以下のように求めることができる。
[H2]=([H2O]cc-[H2O]bp)-s2([CH4]bp-[CH4]cc
式中、[H2O]ccは、化学変換流をモニタリングするときに測定される水蒸気濃度であり、[H2O]bpは、迂回流をモニタリングするときに測定される水蒸気濃度であり、[CH4]ccは、化学変換流中のメタン濃度であり、[CH4]bpは、迂回流中のメタン濃度である。より複雑な実施態様において、減衰効果によって生じる歪みを考慮するために、DSP技法(例えば、デジタルロックイン増幅器)を使用して水素信号を求めることができる。
【0043】
要するに、上記の説明は、分子状水素の迅速で高感度な検出の例示的な技法を提供する。様々な設計要件及びパラメーターを適応させるために様々な適合、変更及び拡張を行うことができることを理解されたい。例えば、水素渦共分散フラックスを求めるように技法を拡張することができる。空気の動きを測定するために、風速計を水素検出器102、202に追加することができる。プロセッサ182、282は、空気の動きの測定値と水蒸気信号との間の相関に基づいて、水素渦共分散フラックスを求めるように適合させることができる。
【0044】
とりわけ、上記の説明は例示のみを意図しており、本発明は、開示された例示的な実施形態の特定の詳細に限定されないことを理解されたい。
[項1]
周囲水蒸気及び水素を含む試料ガスを受け入れることと、
前記試料ガスをガス乾燥器に通過させることと、
前記試料ガス中の水素を水蒸気に化学的に変換して、変換した試料ガスを生成することと、
前記変換した試料ガス中の水蒸気を測定して、水蒸気信号を生成することと、
時間領域において前記水蒸気信号を周囲水蒸気信号と水素由来水蒸気信号とに分離することであって、前記ガス乾燥器は、前記周囲水蒸気信号における変動を減衰させることと、
前記水素由来水蒸気信号に基づく、前記試料ガス中の分子状水素を記述する水素信号を出力することと、
を含む、分子状水素を検出する方法。
[項2]
前記ガス乾燥器は、スルホン酸化テトラフルオロエチレン系フルオロポリマーコポリマー膜ガス乾燥器である、項1に記載の方法。
[項3]
前記化学的に変換することは、前記試料ガスを触媒炉中で加熱することによって行われる、項1に記載の方法。
[項4]
前記水蒸気を測定することは、
前記変換した試料ガス中の水蒸気を光学的に検出して、前記水蒸気信号を生成すること、
を含む、項1に記載の方法。
[項5]
前記光学的に検出することは、レーザー分光法又は非分散型赤外(NDIR)吸光分光法を使用して行われる、項4に記載の方法。
[項6]
前記水素由来水蒸気信号を変調すること、
を更に含み、
前記時間領域において前記周囲水蒸気信号と前記水素由来水蒸気信号とを分離することは、前記水素由来水蒸気信号の前記変調によって容易にされる、項1に記載の方法。
[項7]
前記変調することは、
前記試料ガスを前記ガス乾燥器に通過させた後の前記試料ガスを、化学変換流と迂回流とに分割することと、
前記化学変換流のみにおける水蒸気の測定と、前記迂回流のみにおける水蒸気の測定とを交互に行って、前記水蒸気信号を生成することと、
を更に含む、項6に記載の方法。
[項8]
前記試料ガスを前記ガス乾燥器に通過させる前に、前記試料ガスを所定の相対湿度まで加湿すること、
を更に含む、項1に記載の方法。
[項9]
濾材、膜、モレキュラーシーブ、又はクライオジェニックトラップのうちの少なくとも1つを使用して前記試料ガス中の水素含有分子をトラップすることによって、前記水素含有分子を抑制すること、
を更に含む、項1に記載の方法。
[項10]
水蒸気への水素含有分子の変換を回避しながら水素を選択的に酸化するように前記化学変換を調節することによって、前記試料ガス中の水素含有分子を抑制すること、
を更に含む、項1に記載の方法。
[項11]
前記試料ガス中の水素含有分子濃度を測定し、前記測定した水素含有分子濃度に基づいて、水素含有分子由来水蒸気の量を計算し、前記水蒸気信号から水素含有分子由来水蒸気を減算することによって、前記試料ガス中の水素含有分子を補償すること、
を更に含む、項1に記載の方法。
[項12]
空気の動きを測定することと、
前記空気の動きの測定値と前記水蒸気信号との間の相関に基づいて、水素渦共分散フラックスを求めることと、
を更に含む、項1に記載の方法。
[項13]
水素を含む試料ガスを受け入れることと、
前記試料ガスを触媒炉中で加熱して、前記試料ガス中の前記水素を水蒸気に化学的に変換することと、
前記変換した試料ガス中の水蒸気を測定して、水蒸気信号を生成することと、
前記水蒸気信号を、前記試料ガス中の分子状水素を記述する水素信号に変換することと、
を含む、分子状水素を検出する方法。
[項14]
前記水蒸気を測定することは、
前記変換した試料ガス中の水蒸気を光学的に検出して、前記水蒸気信号を生成すること、
を含む、項13に記載の方法。
[項15]
濾材、膜、モレキュラーシーブ、又はクライオジェニックトラップのうちの少なくとも1つを使用して、又は水蒸気への水素含有分子の変換を回避しながら水素を選択的に酸化するように前記触媒炉を調節して、前記試料ガス中の水素含有分子を抑制すること、
を更に含む、項13に記載の方法。
[項16]
前記試料ガス中の水素含有分子濃度を測定し、前記測定した水素含有分子濃度に基づいて、水素含有分子由来水蒸気の量を計算し、前記水蒸気信号から水素含有分子由来水蒸気を減算することによって、前記試料ガス中の水素含有分子を補償すること、
を更に含む、項13に記載の方法。
[項17]
周囲水蒸気及び水素を含む試料ガスを受け入れるように構成される入口と、
前記入口から試料ガスを受け入れるように構成されるセグメントを有するガス乾燥器と、
前記ガス乾燥器から前記試料ガスを受け入れ、前記試料ガス中の水素を水蒸気に化学的に変換して、変換した試料ガスを生成するように構成される触媒炉と、
前記変換した試料ガス中の水蒸気を測定して水蒸気信号を生成するように構成される水蒸気モニタリングセルと、
時間領域において前記水蒸気信号を周囲水蒸気信号と水素由来水蒸気信号とに分離し、水素由来水蒸気信号に基づき、前記試料ガス中の分子状水素を記述する水素信号を出力するように構成されるプロセッサと、
を備える、分子状水素検出器。
[項18]
前記ガス乾燥器は、スルホン酸化テトラフルオロエチレン系フルオロポリマーコポリマー膜ガス乾燥器である、項17に記載の分子状水素検出器。
[項19]
前記水蒸気モニタリングセルは、レーザー分光器又は非分散型赤外(NDIR)吸光分光器を備える、項17に記載の方法。
[項20]
前記触媒炉と前記水蒸気モニタリングセルとの間に配置され、前記変換した試料ガスの圧力を低減するように構成される流量コントローラーと、
前記ガス乾燥器、前記触媒炉及び前記水蒸気モニタリングセルを通して試料ガスを引き抜くように構成される真空ポンプと、
を更に備える、項17に記載の分子状水素検出器。
[項21]
前記ガス乾燥器及び前記触媒炉の後に配置され、前記試料ガスを、前記触媒炉に通される化学変換流と、前記触媒炉を迂回する迂回流とに分割するように構成される、分流器と、
前記触媒炉を通過した後の前記化学変換流を、前記水蒸気モニタリングセルに又は前記水蒸気モニタリングセルを迂回するように選択的に向けるように構成される第1の弁と、
前記迂回流を前記水蒸気モニタリングセルに又は前記水蒸気モニタリングセルを迂回するように選択的に向けるように構成される第2の流量弁と、
を更に備え、
前記プロセッサは、前記化学変換流のみにおける水蒸気の測定と、前記迂回流のみにおける水蒸気の測定とを交互に行って、前記水蒸気信号を生成することを前記水蒸気モニタリングセルに行わせるように前記第1の弁及び前記第2の弁を起動及び起動解除するように構成される、
項17に記載の分子状水素検出器。
[項22]
前記試料ガスを所定の相対湿度まで導くように構成される加湿器を更に備える、項17に記載の分子状水素検出器。
[項23]
前記試料ガス中の水素含有分子を抑制するように構成される濾材、膜、モレキュラーシーブ、又はクライオジェニックトラップ、
を更に備える、項17に記載の分子状水素検出器。
[項24]
前記触媒炉は、水蒸気への水素含有分子の変換を回避しながら水素を選択的に酸化するように構成される、項17に記載の分子状水素検出器。
[項25]
前記試料ガス中の水素含有分子濃度を測定するように構成されるモニターを更に備え、 前記プロセッサは、前記測定した水素含有分子濃度に基づいて、水素含有分子由来水蒸気の量を計算し、前記水蒸気信号から水素含有分子由来水蒸気を減算することによって、前記試料ガス中の水素含有分子を補償するように構成される、
項17に記載の分子状水素検出器。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C