(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】プリズムおよび外観検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/95 20060101AFI20250304BHJP
【FI】
G01N21/95 Z
(21)【出願番号】P 2024205902
(22)【出願日】2024-11-27
【審査請求日】2024-11-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594066648
【氏名又は名称】有限会社フィット
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】長岡 暢
(72)【発明者】
【氏名】代田 浩一
【審査官】村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-168305(JP,A)
【文献】特開2005-195332(JP,A)
【文献】特開2021-051032(JP,A)
【文献】米国特許第4634273(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第2280270(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査体の外観検査を行うための外観検査装置で使用されるプリズムであって、
前記被検査体を載置可能な平面状の載置面と、前記載置面から前記プリズムの内部に入射した光を反射する第1反射面および第2反射面とが形成され、
前記載置面に直交する方向を前記プリズムの軸方向とし、前記軸方向に直交する方向を前記プリズムの径方向とし、前記軸方向の一方側を第1方向側とし、前記第1方向側の反対側を第2方向側とすると、
前記第1反射面および前記第2反射面は、前記載置面の前記第2方向側に配置されるとともに、前記載置面から前記プリズムの内部に入射した光を前記第1方向側に反射し、
前記軸方向から見たときの前記第1反射面の形状および前記第2反射面の形状は、円環状になっており、
前記第2反射面は、前記第1反射面の外周側に配置されるとともに、前記軸方向から見たときに前記第1反射面と同心円状に配置され、
前記第1反射面は、前記径方向の外側に向かうにしたがって前記第2方向側に向かうように傾斜する傾斜面となっており、
前記第2反射面は、前記径方向の外側に向かうにしたがって前記第1方向側に向かうように傾斜する傾斜面となっていることを特徴とするプリズム。
【請求項2】
前記プリズムの軸心を含む前記プリズムの縦断面において、前記第1反射面および前記第2反射面は、2本の直線によって表され、
前記径方向に対する前記第1反射面の傾斜角度と前記径方向に対する前記第2反射面の傾斜角度とが等しくなっていることを特徴とする請求項1記載のプリズム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプリズムと、前記プリズムの前記第1方向側に配置される撮影機構とを備えることを特徴とする外観検査装置。
【請求項4】
前記被検査体は、Oリングであり、
前記載置面に載置される前記Oリングは、前記軸方向から見たときに、前記第1反射面と同心円状に配置されるとともに、前記第1反射面または前記第2反射面と重なる位置に配置されることを特徴とする請求項3記載の外観検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査体の外観検査を行うための外観検査装置で使用されるプリズムに関する。また、本発明は、かかるプリズムを備える外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、Oリングの外観検査を行うための外観検査装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の外観検査装置は、Oリングが載る載置面が形成される透明板と、透明板の下側に配置される拡散反射板と、透明板および拡散反射板が載る回転ステージと、Oリングの内上面に拡散照明光を照射するリング状の内照明手段と、Oリングの内上面を撮影する内カメラと、Oリングの外上面に拡散照明光を照射するリング状の外照明手段と、Oリングの外上面を撮影する外カメラとを備えている。特許文献1に記載の外観検査装置では、回転ステージによってOリングを回転させながら、内カメラと外カメラとによってOリングの一部分の画像を順次撮影する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の外観検査装置では、環状に形成されるOリングの内周側および外周側の外観を検査することが可能になっている。しかしながら、特許文献1に記載の外観検査装置では、Oリングの外観検査を行うときに、回転ステージによってOリングを回転させながら、内カメラと外カメラとによってOリングの一部分の画像を順次撮影する必要があるため、Oリングの外観検査に時間がかかる。
【0005】
そこで、本発明の課題は、被検査体の外観検査を行うための外観検査装置で使用されるプリズムにおいて、たとえば、Oリング等の環状の被検査体の内周側および外周側の外観検査を行うことが可能であっても、外観検査装置での被検査体の検査時間を短縮することが可能となるプリズムを提供することにある。また、本発明の課題は、かかるプリズムを備える外観検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明のプリズムは、被検査体の外観検査を行うための外観検査装置で使用されるプリズムであって、被検査体を載置可能な平面状の載置面と、載置面からプリズムの内部に入射した光を反射する第1反射面および第2反射面とが形成され、載置面に直交する方向をプリズムの軸方向とし、軸方向に直交する方向をプリズムの径方向とし、軸方向の一方側を第1方向側とし、第1方向側の反対側を第2方向側とすると、第1反射面および第2反射面は、載置面の第2方向側に配置されるとともに、載置面からプリズムの内部に入射した光を第1方向側に反射し、軸方向から見たときの第1反射面の形状および第2反射面の形状は、円環状になっており、第2反射面は、第1反射面の外周側に配置されるとともに、軸方向から見たときに第1反射面と同心円状に配置され、第1反射面は、径方向の外側に向かうにしたがって第2方向側に向かうように傾斜する傾斜面となっており、第2反射面は、径方向の外側に向かうにしたがって第1方向側に向かうように傾斜する傾斜面となっていることを特徴とする。
【0007】
本発明のプリズムでは、被検査体を載置可能な載置面からプリズムの内部に入射した光を第1方向側に反射する第1反射面および第2反射面の、プリズムの軸方向から見たときの形状は円環状になっており、第2反射面は、第1反射面の外周側に配置されるとともに、軸方向から見たときに第1反射面と同心円状に配置されている。また、本発明では、第1反射面は、プリズムの径方向の外側に向かうにしたがって第2方向側に向かうように傾斜する傾斜面となっており、第2反射面は、プリズムの径方向の外側に向かうにしたがって第1方向側に向かうように傾斜する傾斜面となっている。
【0008】
そのため、本発明のプリズムが使用される外観検査装置では、プリズムの第1方向側に撮影機構を配置すれば、たとえば、Oリング等の環状の被検査体の検査が行われるときに、載置面に直接、または、透明なガラス板等を介して載置される被検査体の第1方向側の部分の全体の画像を直接、撮影機構で撮影することが可能になるとともに、第1反射面に映る被検査体の内周側かつ第2方向側の部分の全体の画像と、第2反射面に映る被検査体の外周側かつ第2方向側の部分の全体の画像とを撮影機構で撮影することが可能になる。すなわち、本発明のプリズムが使用される外観検査装置では、プリズムの第1方向側に撮影機構を配置すれば、環状の被検査体の全体の画像を一度に撮影することが可能になる。したがって、本発明のプリズムを外観検査装置に使用すれば、Oリング等の環状の被検査体の内周側および外周側の外観検査を行うことが可能であっても、外観検査装置での被検査体の検査時間を短縮することが可能になる。
【0009】
また、本発明のプリズムを外観検査装置に使用すれば、被検査体を裏返しにしなくても、被検査体の第2方向側の部分の画像を撮影することが可能になるため、外観検査装置での被検査体の検査時間をより短縮することが可能になる。さらに、本発明のプリズムを外観検査装置に使用すれば、第2反射面に映る被検査体の外周面の画像を撮影することが可能になるため、被検査体を精度良く検査することが可能になる。また、本発明のプリズムを外観検査装置に使用すれば、プリズムの第1方向側に撮影機構を配置することで、環状の被検査体の全体の画像を一度に撮影することが可能になるため、外観検査装置の構成を簡素化することが可能になる。
【0010】
本発明において、たとえば、プリズムの軸心を含むプリズムの縦断面において、第1反射面および第2反射面は、2本の直線によって表され、径方向に対する第1反射面の傾斜角度と径方向に対する第2反射面の傾斜角度とが等しくなっている。
【0011】
本発明のプリズムは、プリズムの第1方向側に配置される撮影機構を備える外観検査装置に用いることができる。この外観検査装置では、Oリング等の環状の被検査体の内周側および外周側の外観検査を行うことが可能であっても、被検査体の検査時間を短縮することが可能になる。
【0012】
本発明において、たとえば、被検査体は、Oリングであり、載置面に載置されるOリングは、軸方向から見たときに、第1反射面と同心円状に配置されるとともに、第1反射面または第2反射面と重なる位置に配置される。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明のプリズムを外観検査装置に使用すれば、たとえば、Oリング等の環状の被検査体の内周側および外周側の外観検査を行うことが可能であっても、外観検査装置での被検査体の検査時間を短縮することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】(A)は、本発明の実施の形態にかかる外観検査装置の構成を説明するための概略図であり、(B)は、(A)に示すプリズムの平面図であり、(C)は、(A)に示す被検査体およびプリズムの断面図であり、(D)は、(A)に示すプリズムの底面図である。
【
図2】
図1に示すプリズムの構成を説明するための図である。
【
図3】
図1に示す撮影機構で撮影される画像を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
(外観検査装置およびプリズムの構成)
図1(A)は、本発明の実施の形態にかかる外観検査装置1の構成を説明するための概略図であり、
図1(B)は、
図1(A)に示すプリズム3の平面図であり、
図1(C)は、
図1(A)に示すOリング2およびプリズム3の断面図であり、
図1(D)は、
図1(A)に示すプリズム3の底面図である。
図2は、
図1に示すプリズム3の構成を説明するための図である。
図3は、
図1に示すカメラ4で撮影される画像を説明するための図である。
【0017】
外観検査装置1は、被検査体2の外観検査を行うための装置である。本形態の被検査体2は、環状に形成されるOリングである。したがって、以下では、被検査体2を「Oリング2」とする。Oリング2はゴムで形成されている。外力が作用していないときのOリング2の形状は円環状となっている。外観検査装置1では、Oリング2の表面の傷や歪みの有無、および、Oリング2の表面への異物の付着の有無等が検査される。外観検査装置1は、プリズム3を備えている。すなわち、プリズム3は、外観検査装置1で使用される。外観検査装置1は、プリズム3に加えて、プリズム3の上側に配置される撮影機構としてのカメラ4を備えている。本形態の外観検査装置1は、1台のカメラ4を備えている。
【0018】
カメラ4は、Oリング2の真上に配置されている。カメラ4は、カメラ4の光軸が上下方向(鉛直方向、
図1(A)のZ方向)と一致するように設置されている。カメラ4の光軸は、たとえば、プリズム3に形成される後述の載置面3cに載置されたOリング2の軸心を通過している。上下方向において、Oリング2とカメラ4との間には、Oリング2に光を当てるための照明機構(図示省略)が配置されている。すなわち、外観検査装置1は、照明機構を備えている。照明機構は、明視野照明機構であり、真上からOリング2に直接、光を当てる。また、照明機構は、たとえば、リング状に形成されるリング照明であり、カメラ4の撮影の支障にならない位置に配置されている。
【0019】
プリズム3は、たとえば、透明なガラスまたは樹脂で形成されている。プリズム3は、上下方向(鉛直方向、
図1(A)のZ方向))を軸方向とするとともに軸方向の長さが短い扁平な略円錐台状に形成されている。具体的には、プリズム3は、プリズム3の上側の約半分の部分を構成する扁平な円柱状(円板状)の部分と、プリズム3の下側の約半分の部分を構成するとともに下側に向かうにしたがって外径が次第に小さくなる扁平な円錐台状の部分とによって構成されている。上下方向(すなわち、プリズム3の軸方向)に直交する方向は、プリズム3の径方向となっている。
【0020】
プリズム3は、支持部材(図示省略)に取り付けられている。プリズム3の中心には、上下方向でプリズム3を貫通する貫通穴3aが形成されている。プリズム3の下面側には、上側に向かって窪む凹部3bが形成されている。凹部3bは、プリズム3の下面側の中心に形成されている。凹部3bは、上側に向かうにしたがって外径が次第に小さくなる円錐台状に形成されている。凹部3bの上端には、貫通穴3aの下端が繋がっている。
【0021】
また、プリズム3には、Oリング2を載置可能な平面状の載置面3cと、載置面3cからプリズム3の内部に入射した光を反射する第1反射面3dおよび第2反射面3eとが形成されている。載置面3cは、上下方向に直交する平面である。すなわち、プリズム3の軸方向である上下方向は、載置面3aに直交する方向となっている。また、本形態の上側(
図1(A)のZ1方向側)は、プリズム3の軸方向の一方側である第1方向側となっており、下側(
図1(A)のZ2方向側)は、プリズム3の軸方向の他方側である第2方向側となっている。
【0022】
載置面3cは、プリズム3の上面を構成しており、上側を向いている。載置面3cは、円形状に形成されている。本形態では、Oリング2は、載置面3cに直接、載置される。第1反射面3dおよび第2反射面3eは、載置面3cの下側に配置されている。第1反射面3dおよび第2反射面3eは、載置面3cからプリズム3の内部に入射した光を上側に反射する。上下方向から見たときの第1反射面3dの形状および第2反射面3eの形状は円環状になっている。第2反射面3eは、第1反射面3dの外周側に配置されるとともに、上下方向から見たときに、第1反射面3dと同心円状に配置されており、上下方向から見たときに、第1反射面3dを囲んでいる。第1反射面3dおよび第2反射面3eは、上下方向から見たときに、貫通穴3aと同心円状に配置されている。
【0023】
第1反射面3dは、円錐台状に形成される凹部3bの側面を構成している。第1反射面3dは、プリズム3の径方向の外側に向かうにしたがって下側に向かうように傾斜する傾斜面となっている。上下方向から見たときに、第1反射面3dは、貫通穴3aを囲んでいる。第2反射面3eは、円錐台状に形成されるプリズム3の下側部分の側面を構成している。第2反射面3eは、プリズム3の径方向の外側に向かうにしたがって上側に向かうように傾斜する傾斜面となっている。
【0024】
円環状に形成される第2反射面3eの内径は、円環状に形成される第1反射面3dの外径よりも若干大きくなっている。たとえば、第1反射面3dの外径は21mm程度となっており、第2反射面3eの内径は22mm程度となっている。また、第2反射面3eの外径は50mm程度となっている。プリズム3の径方向における第1反射面3dと第2反射面3eとの間には、上下方向に直交する円環状の平面である円環面3fが形成されている。プリズム3の径方向における円環面3fの幅は狭くなっている。
【0025】
図1(C)等に示すように、プリズム3の軸心を含むプリズム3の縦断面において、第1反射面3dおよび第2反射面3eは、2本の直線によって表される。本形態では、プリズム3の径方向に対する第1反射面3dの傾斜角度θ1(
図2(A)参照)とプリズム3の径方向に対する第2反射面3eの傾斜角度θ2(
図2(A)参照)とが等しくなっている。傾斜角度θ1、θ2は、たとえば、15°程度である。プリズム3の縦断面の下面の形状は、W形状となっている。
【0026】
外観検査装置1で検査されるOリング2の外径D(
図1(C)参照)は、たとえば、30mmまたは20mmである。載置面3cに載置されるOリング2は、上下方向から見たときに、第1反射面3dと同心円状に配置される。すなわち、Oリング2は、上下方向から見たときに、貫通穴3a、第1反射面3dおよび第2反射面3eと同心円状に配置されるように載置面3cに載置される。たとえば、Oリング2の外形が30mmである場合には、載置面3cに載置されるOリング2は、上下方向から見たときに、第2反射面3eと重なる位置に配置され(
図2(A)参照)、Oリング2の外形が20mmである場合には、載置面3cに載置されるOリング2は、上下方向から見たときに、第1反射面3dと重なる位置に配置される(
図2(B)参照)。
【0027】
図2に示すように、第1反射面3dは、照明機構から射出されて上側からプリズム3に入射した光をOリング2の内周側かつ下側の部分に向かって反射するとともに、Oリング2で反射した光をカメラ4に向かって上側に反射する。第2反射面3eは、照明機構から射出されて上側からプリズム3に入射した光をOリング2の外周側かつ下側の部分に向かって反射するとともに、Oリング2で反射した光をカメラ4に向かって上側に反射する。
【0028】
Oリング2で反射してから第1反射面3dでさらに反射した後、カメラ4に向かう光は、Oリング2の内周側を通過する。第1反射面3dの傾斜角度θ1は、Oリング2で反射してから第1反射面3dでさらに反射した後、カメラ4に向かう光が、Oリング2に遮られないように設定されている。Oリング2で反射してから第2反射面3eでさらに反射した後、カメラ4に向かう光は、Oリング2の外周側を通過する。第2反射面3eの傾斜角度θ2は、Oリング2で反射してから第2反射面3eでさらに反射した後、カメラ4に向かう光が、Oリング2に遮られないように設定されている。
【0029】
たとえば、外形が30mmのOリング2の外観検査が外観検査装置1で行われる場合、カメラ4では、Oリング2の上側部分の全体の画像P1が直接撮影されるとともに、第1反射面3dに映るOリング2の内周側かつ下側の部分の全体の画像P2と、第2反射面3eに映るOリング2の外周側かつ下側の部分の全体の画像P3とが撮影される(
図3参照)。すなわち、Oリング2の外観検査が外観検査装置1で行われる場合、カメラ4では、Oリング2の全体の画像が一度に撮影される。画像P1~P3は、円環状の画像であり、同心円状に配置される。また、画像P2は、画像P1の内周側に配置され、画像P3は、画像P1の外周側に配置される。
【0030】
外形が20mmのOリング2の外観検査が外観検査装置1で行われる場合でも同様に、カメラ4では、Oリング2の上側部分の全体の画像が直接撮影されるとともに、第1反射面3dに映るOリング2の内周側かつ下側の部分の全体の画像と、第2反射面3eに映るOリング2の外周側かつ下側の部分の全体の画像とが撮影される。なお、カメラ4には、パーソナルコンピュータ(PC)が電気的に接続されている。PCには、カメラ4で撮影された画像が送信される。PCは、カメラ4で撮影された画像に基づいて、Oリング2の表面の傷や歪みの有無を判定したり、Oリング2の表面への異物の付着の有無を判定したりする。
【0031】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、載置面3cからプリズム3の内部に入射した光を上側に反射する第1反射面3dおよび第2反射面3eの、上下方向から見たときの形状は円環状になっており、第2反射面3eは、第1反射面3dの外周側に配置されるとともに、上下方向から見たときに第1反射面3dと同心円状に配置されている。また、本形態では、第1反射面3dは、プリズム3の径方向の外側に向かうにしたがって下側に向かうように傾斜する傾斜面となっており、第2反射面3eは、プリズム3の径方向の外側に向かうにしたがって上側に向かうように傾斜する傾斜面となっている。
【0032】
そのため、本形態では、上述のように、Oリング2の上側部分の全体の画像P1がカメラ4で直接撮影されるとともに、第1反射面3dに映るOリング2の内周側かつ下側の部分の全体の画像P2と、第2反射面3eに映るOリング2の外周側かつ下側の部分の全体の画像P3とがカメラ4で撮影される。すなわち、本形態では、Oリング2の全体の画像がカメラ4で一度に撮影される。したがって、本形態では、環状に形成されるOリング2の内周側および外周側の外観検査を行うことが可能であっても、外観検査装置1でのOリング2の検査時間を短縮することが可能になる。
【0033】
また、本形態では、Oリング2を上下反転させなくても、Oリング2の下側部分の画像をカメラ4で撮影することが可能になるため、外観検査装置1でのOリング2の検査時間をより短縮することが可能になる。また、本形態では、第2反射面3eに映るOリング2の外周面の画像をカメラ4で撮影することが可能になるため、Oリング2を精度良く検査することが可能になる。さらに、本形態では、プリズム3の上側にカメラ4を配置することで、環状に形成されるOリング2の全体の画像を一度に撮影することが可能になるため、外観検査装置1の構成を簡素化することが可能になる。
【0034】
(他の実施の形態)
上述した形態において、Oリング2は、載置面3cに直接、載置されなくても良い。たとえば、薄い平板状に形成される透明なガラス板に載置されたOリング2が、ガラス板と一緒に載置面3cに載置されても良い。すなわち、Oリング2は、ガラス板等を介して載置面3cに載置されても良い。この場合には、外観検査装置1のオフラインにおいて、複数のガラス板のそれぞれに予めOリング2を載置しておくことで、外観検査装置1にセットされるOリング2の交換を容易に行うことが可能になる。
【0035】
上述した形態では、プリズム3の縦断面図において第1反射面3dは2本の直線によって表されるが、プリズム3の縦断面図において第1反射面3dが2本の曲線によって表されるように、第1反射面3dが形成されていても良い。すなわち、第1反射面3dは、プリズム3の径方向の内側かつ下側に向かって膨らむ凸曲面状に形成されていても良いし、プリズム3の径方向の外側かつ上側に向かって窪む凹曲面状に形成されていても良い。この場合であっても、第1反射面3dは、プリズム3の径方向の外側に向かうにしたがって下側に向かうように傾斜する傾斜面となっている。また、この場合には、カメラ4で撮影される画像P2の大きさを変えることが可能になる。
【0036】
同様に、プリズム3の縦断面図において第2反射面3eが2本の曲線によって表されるように、第2反射面3eが形成されていても良い。すなわち、第2反射面3eは、プリズム3の径方向の外側かつ下側に向かって膨らむ凸曲面状に形成されていても良いし、プリズム3の径方向の内側かつ上側に向かって窪む凹曲面状に形成されていても良い。この場合であっても、第2反射面3eは、プリズム3の径方向の外側に向かうにしたがって上側に向かうように傾斜する傾斜面となっている。また、この場合には、カメラ4で撮影される画像P3の大きさを変えることが可能になる。
【0037】
上述した形態において、プリズム3に円環面3fが形成されていなくても良い。すなわち、第2反射面3eの内径と第1反射面3dの外径とが等しくなっていても良い。また、上述した形態において、第1反射面3dの傾斜角度θ1と第2反射面3eの傾斜角度θ2とは異なっていても良い。また、上述した形態において、外観検査装置1で外観検査が行われる被検査体2は、Oリング以外のパッキンやガスケット等の円環状のシール部材であっても良いし、シール部材以外の円環状の部材であっても良い。また、被検査体2は、円環状以外の環状に形成されていても良いし、環状に形成されていなくても良い。たとえば、被検査体2は、C形状に形成されていても良い。また、上述した形態において、Oリング2に光を当てるための照明機構は、暗視野照明機構であっても良い。
【符号の説明】
【0038】
1 外観検査装置
2 Oリング(被検査体)
3 プリズム
3c 載置面
3d 第1反射面
3e 第2反射面
4 カメラ(撮影機構)
Z プリズムの軸方向
Z1 第1方向側
Z2 第2方向側
θ1 第1反射面の傾斜角度
θ2 第2反射面の傾斜角度
【要約】
【課題】外観検査装置で使用されるプリズムにおいて、Oリング等の環状の被検査体の内周側および外周側の外観検査を行うことが可能であっても、外観検査装置での被検査体の検査時間を短縮することが可能となるプリズムを提供する。
【解決手段】プリズム3には、被検査体2の載置面3cと、載置面3cから入射した光を反射する第1反射面3dおよび第2反射面3eが形成されている。第1反射面3dおよび第2反射面3eは、載置面3cの下側に配置され、載置面3cから入射した光を上側に反射する。第1反射面3dおよび第2反射面3eは円環状になっており、第2反射面eは、第1反射面3dの外周側に配置されるとともに第1反射面3dと同心円状に配置されている。第1反射面3dは、径方向の外側に向かうにしたがって下側に向かうように傾斜する傾斜面であり、第2反射面3eは、径方向の外側に向かうにしたがって上側に向かうように傾斜する傾斜面である。
【選択図】
図2