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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】フィルタおよびマルチプレクサ
(51)【国際特許分類】
   H03H 7/01 20060101AFI20250304BHJP
   H03H 9/64 20060101ALI20250304BHJP
   H03H 9/72 20060101ALI20250304BHJP
   H03H 9/17 20060101ALI20250304BHJP
   H03H 9/70 20060101ALI20250304BHJP
【FI】
H03H7/01 A
H03H9/64 Z
H03H9/72
H03H9/17 F
H03H9/70
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021104674
(22)【出願日】2021-06-24
(65)【公開番号】P2023003541
(43)【公開日】2023-01-17
【審査請求日】2024-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004370
【氏名又は名称】弁理士法人片山特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 真
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ジェホ
(72)【発明者】
【氏名】関根 英行
(72)【発明者】
【氏名】小林 尚都
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/123698(WO,A1)
【文献】特開2005-160008(JP,A)
【文献】特開2007-274247(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 7/01
H03H 9/64
H03H 9/72
H03H 9/17
H03H 9/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子と、
出力端子と、
第1グランド端子と、
第2グランド端子と、
一端が前記入力端子と前記出力端子との間の経路内の第1ノードに接続され、他端が第2ノードに接続された第1インダクタと、
一端が前記第2ノードに接続され、他端が前記第1グランド端子に接続された第2インダクタと、
一端が前記第2ノードに接続され、他端が前記第2グランド端子に接続された第3インダクタと、
を備えるフィルタ。
【請求項2】
前記フィルタは、通過帯域を有するハイパスフィルタであり、前記第1インダクタ、前記第2インダクタおよび前記第3インダクタを含み、前記通過帯域より低い周波数に減衰極の極小を形成する共振回路を備える請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
前記入力端子と前記出力端子との間に直列接続された第1キャパシタおよび第2キャパシタと、
前記入力端子と前記出力端子との間において前記第1キャパシタおよび前記第2キャパシタと並列接続された容量性素子と、
を備え、
前記第1ノードは、前記第1キャパシタと前記第2キャパシタの間のノードであり、前記第1キャパシタおよび前記第2キャパシタを介して前記容量性素子に接続される請求項1に記載のフィルタ。
【請求項4】
前記フィルタは、通過帯域を有するハイパスフィルタであり、
前記第1インダクタ、前記第2インダクタ、前記第3インダクタ、前記第1キャパシタ、前記第2キャパシタおよび前記容量性素子は前記通過帯域より低い周波数に第1減衰極の第1極小を形成する請求項3に記載のフィルタ。
【請求項5】
前記容量性素子は弾性波共振器であり、
前記弾性波共振器は前記第1極小と前記通過帯域との間に第2減衰極の第2極小を形成する請求項4に記載のフィルタ。
【請求項6】
前記入力端子と前記出力端子との間に直列接続された第1キャパシタおよび第2キャパシタを備え、
前記第1ノードと前記第2ノードとの間に前記第1インダクタと直列接続された第3キャパシタを備える請求項1に記載のフィルタ。
【請求項7】
前記第2インダクタおよび前記第3インダクタの小さい方のインダクタンスは前記第2インダクタおよび前記第3インダクタの大きい方のインダクタンスの0.1倍以上である請求項1から6のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項8】
前記第1インダクタのインダクタンスは前記第2インダクタおよび前記第3インダクタの大きい方のインダクタンスより大きい請求項1から7のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項9】
第3グランド端子と、
一端が前記第2ノードに接続され、他端が前記第3グランド端子に接続された第4インダクタと、
を備える請求項1から8のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項10】
複数の誘電体層が積層された積層体を備え、
前記第1インダクタ、前記第2インダクタおよび前記第3インダクタは前記積層体内に形成され、
前記第1グランド端子および前記第2グランド端子は、前記積層体の同じ表面に形成されている請求項1から9のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のフィルタを備えるマルチプレクサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタおよびマルチプレクサに関し、例えばシャント接続されたインダクタを有するフィルタおよびマルチプレクサに関する。
【背景技術】
【0002】
入力端子と出力端子との間の経路にインダクタがシャント接続されたフィルタが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-129683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フィルタを回路基板または評価用基板等の基板に搭載するときに、フィルタのグランド端子と基板との間に寄生インダクタンスが生じる。フィルタの基板への搭載方法が異なると、寄生インダクタンスが異なる。これにより、搭載方法に依存してフィルタ特性が異なってしまう。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、フィルタ特性を安定化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、入力端子と、出力端子と、第1グランド端子と、第2グランド端子と、一端が前記入力端子と前記出力端子との間の経路内の第1ノードに接続され、他端が第2ノードに接続された第1インダクタと、一端が前記第2ノードに接続され、他端が前記第1グランド端子に接続された第2インダクタと、一端が前記第2ノードに接続され、他端が前記第2グランド端子に接続された第3インダクタと、を備えるフィルタである。
【0007】
上記構成において、前記フィルタは、通過帯域を有するハイパスフィルタであり、前記第1インダクタ、前記第2インダクタおよび前記第3インダクタを含み、前記通過帯域より低い周波数に減衰極の極小を形成する共振回路を備える構成とすることができる。
【0008】
上記構成において、前記入力端子と前記出力端子との間に直列接続された第1キャパシタおよび第2キャパシタと、前記入力端子と前記出力端子との間において前記第1キャパシタおよび前記第2キャパシタと並列接続された容量性素子と、を備え、前記第1ノードは、前記第1キャパシタと前記第2キャパシタの間のノードであり、前記第1キャパシタおよび前記第2キャパシタを介して前記容量性素子に接続される構成とすることができる。
【0009】
上記構成において、前記フィルタは、通過帯域を有するハイパスフィルタであり、前記第1インダクタ、前記第2インダクタ、前記第3インダクタ、前記第1キャパシタ、前記第2キャパシタおよび前記容量性素子は前記通過帯域より低い周波数に第1減衰極の第1極小を形成する構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記容量性素子は弾性波共振器であり、前記弾性波共振器は前記第1極小と前記通過帯域との間に第2減衰極の第2極小を形成する構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、前記入力端子と前記出力端子との間に直列接続された第1キャパシタおよび第2キャパシタを備え、前記第1ノードと前記第2ノードとの間に前記第1インダクタと直列接続された第3キャパシタを備える構成とすることができる。
【0012】
上記構成において、前記第2インダクタおよび前記第3インダクタの小さい方のインダクタンスは前記第2インダクタおよび前記第3インダクタの大きい方のインダクタンスの0.1倍以上である構成とすることができる。
【0013】
上記構成において、前記第1インダクタのインダクタンスは前記第2インダクタおよび前記第3インダクタの大きい方のインダクタンスより大きい構成とすることができる。
【0014】
上記構成において、第3グランド端子と、一端が前記第2ノードに接続され、他端が前記第3グランド端子に接続された第4インダクタと、を備える構成とすることができる。
【0015】
上記構成において、複数の誘電体層が積層された積層体を備え、前記第1インダクタ、前記第2インダクタおよび前記第3インダクタは前記積層体内に形成され、記第1グランド端子および前記第2グランド端子は、前記積層体の同じ表面に形成されている構成とすることができる。
【0016】
本発明は、上記フィルタを備えるマルチプレクサである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、フィルタ特性を安定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施例1に係るフィルタの回路図である。
図2図2は、実施例1における積層体が基板に搭載される断面図である。
図3図3(a)から図3(f)は、実施例1における誘電体層の平面図である。
図4図4は、比較例1に係るフィルタの回路図である。
図5図5(a)および図5(b)は、シミュレーション1におけるフィルタA1~A3の通過特性を示す図である。
図6図6(a)および図6(b)は、シミュレーション2におけるフィルタB1~B4の通過特性を示す図である。
図7図7(a)は、シミュレーション3におけるフィルタA1、A3、B4およびC1~C5の通過特性を示す図である。図7(b)は、シミュレーション3におけるL2/L3に対する変動率を示す図である。
図8図8(a)は、シミュレーション3におけるフィルタA1、A2、B2およびD1~D5の通過特性を示す図である。図8(b)は、シミュレーション3におけるL2/L3に対する変動率を示す図である。
図9図9は、実施例1の変形例1に係るフィルタの回路図である。
図10図10(a)および図10(b)は、実施例1の変形例1における誘電体層の平面図である。
図11図11は、シミュレーション4におけるL2/L3およびL2/L4に対する変動率を示す図である。
図12図12は、実施例1の変形例2に係るフィルタの回路図である。
図13図13(a)は、実施例1の変形例2における弾性波共振器の平面図であり、図13(b)は、実施例1の変形例2における別の弾性波共振器の断面図である。
図14図14は、実施例1の変形例2に係るフィルタの通過特性を示す図である。
図15図15は、実施例1の変形例3に係るフィルタの回路図である。
図16図16は、実施例2に係るトリプレクサの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照し本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0020】
実施例1は、ハイパスフィルタの例である。図1は、実施例1に係るフィルタの回路図である。図1に示すように、実施例1に係るフィルタ100では、入力端子Tinと出力端子Toutとの間にキャパシタC1およびC2が直列接続されている。入力端子Tinと出力端子Toutとの間において、キャパシタC1およびC2に並列にキャパシタC3が接続されている。キャパシタC1とC2との間のノードはノードN1である。キャパシタC1とC3とが接続されるノードはノードN3である。キャパシタC2とC3とが接続されるノードはノードN4である。ノードN1は、キャパシタC1およびC2を介してのみキャパシタC3と接続される。すなわち、ノードN1はキャパシタC1およびC2を介さずにはキャパシタC3には接続されていない。
【0021】
インダクタL1は入力端子Tinと出力端子Toutとの間の経路にシャント接続されている。インダクタL1の一端はノードN1に接続され、他端はノードN2に接続されている。インダクタL2の一端はノードN2に接続され、他端はグランド端子Tg1に接続されている。インダクタL3の一端はノードN2に接続され、他端はグランド端子Tg2に接続されている。グランド端子Tg1は寄生インダクタンスLg1を介しグランドに接続され、グランド端子Tg2は寄生インダクタンスLg2を介しグランドに接続される。フィルタ100は、入力端子Tinに入力する高周波信号のうち通過帯域の信号を出力端子Toutに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。
【0022】
図2は、実施例1における積層体が基板に搭載される断面図である。図2に示すように、積層体10は、複数の誘電体層11a~11fを備えている。積層体10の下面に端子14が設けられている。基板20上に端子22が設けられている。端子14と端子22とは接合材24により接合されている。基板20は、例えば回路基板または検査用基板である。検査用基板は、積層体10に形成されたフィルタ100の少なくとも一部を検査するときに用いる基板である。フィルタ100の少なくとも一部を検査するときは、接合材24として例えば導電シートを用いる。積層体10を基板20に実装するときは、接合材24として例えばはんだを用いる。端子14から接合材24を介し端子22への経路が寄生インダクタンスLg1およびLg2を形成する。
【0023】
図3(a)から図3(f)は、実施例1における誘電体層の平面図である。図3(a)~図3(e)は、それぞれ誘電体層11b~11fの上方からみた平面図である。図3(f)は、誘電体層11fを透過して端子14を見た平面図である。誘電体層11aの図示を省略している。
【0024】
図3(a)~図3(f)に示すように、誘電体層11b~11f上に導電体パターン12b~12fがそれぞれ設けられ、誘電体層11b~11fを貫通するビア配線13b~13fがそれぞれ設けられている。図3(a)のように、誘電体層11b上に設けられた導電体パターン12bは、線路L1aを形成する。図3(b)のように、誘電体層11c上に設けられた導電体パターン12cは線路L1bを形成する。線路L1aとL1bとはビア配線13bにより電気的に接続されインダクタL1を形成する。
【0025】
図3(c)のように、誘電体層11d上に設けられた導電体パターン12dはキャパシタC1およびC2のそれぞれの上部の電極C1aおよびC2aを形成する。図3(d)のように、誘電体層11e上に設けられた導電体パターン12eは、キャパシタC1およびC2のそれぞれの下部の電極C1bおよびC2bを形成する。誘電体層11dと誘電体層11dを挟む電極C1aおよびC1bとはキャパシタC1を形成し、誘電体層11dと誘電体層11dを挟む電極C2aおよびC2bとはキャパシタC2を形成する。
【0026】
図3(e)のように、誘電体層11f上に設けられた導電体パターン12fは、インダクタL2およびL3を形成する。図3(f)のように、誘電体層11fの下面に設けられた端子14は入力端子Tin´、出力端子Tout´およびグランド端子Tg1およびTg2を形成する。積層体10にはキャパシタC3は設けられておらず、入力端子Tin´および出力端子Tout´は、図1のノードN3およびN4に対応する。キャパシタC3は例えば図2の基板20上に実装されていてもよいし、積層体10上に実装されていてもよい。キャパシタC3は積層体10内に設けられていてもよい。
【0027】
誘電体層11a~11fは、例えばセラミックス材料からなり、主成分として例えばSi、CaおよびMgの酸化物(例えばディオプサイド結晶であるCaMgSi)を含む。誘電体層11aから11jの主成分は、Si、Caおよび/またはMg以外の酸化物でもよい。さらに、誘電体層11aから11jは、絶縁体材料としてTi、ZrおよびAlの少なくとも1つの酸化物を含んでもよい。誘電体層11a~11fは、ガラスエポキシ樹脂等の樹脂、またはLTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)もしくはHTCC(High Temperature Co-fired Ceramics)等のセラミックスでもよい。導電体パターン12bから12f、ビア配線13bから13fおよび端子14の上部は、例えばAg、Pd、Pt、Cu、Ni、Au、Au-Pd合金またはAg-Pt合金を主成分とする非磁性金属層である。端子14の上部は、上記金属材料に加えTiO、ZrOまたはAl等の非伝導性材料を含んでもよい。端子14の下部は、Ni膜およびSn膜である。
【0028】
[比較例1]
図4は、比較例1に係るフィルタの回路図である。図4に示すように、比較例1のフィルタ110では、インダクタL2およびL3が設けられておらず、インダクタL1の他端はグランド端子Tgに接続されている。グランド端子Tgとグランドとの間に寄生インダクタンスLgが接続されている。
【0029】
図2のように、寄生インダクタンスLgは端子14から接合材24を介し端子22に至る経路に形成される。接合材24の厚さおよび接合材24の種類によって、寄生インダクタンスLgが変化する。例えば基板20に積層体10を実装するときの実装方法により寄生インダクタンスLgが変化する。また、積層体10を評価するため、接合材24として導電シートを用いるときと、積層体10を実装するため、接合材24としてはんだを用いるときとでは、寄生インダクタンスLgが異なる。このように、外部の影響により寄生インダクタンスLgが異なる。
【0030】
[シミュレーション1]
そこで、寄生インダクタンスLgを変え比較例1のフィルタ110の通過特性をシミュレーションした。シミュレーションは回路シミュレーションである。表1は、シミュレーション1におけるキャパシタC1~C3のキャパシタンス、インダクタL1のインダクタンス、寄生インダクタンスLgおよび減衰極Attの周波数を示す表である。
【表1】
【0031】
表1に示すように、キャパシタC1~C3のキャパシタンスおよびインダクタL1のインダクタンスをそれぞれ0.4pF、0.4pF、0.5pFおよび1.5nHとした。フィルタA1、A2およびA3の寄生インダクタンスLgをそれぞれ0nH、0.03nHおよび0.06nHとした。
【0032】
図5(a)および図5(b)は、シミュレーション1におけるフィルタA1~A3の通過特性を示す図である。図5(b)は減衰極付近の拡大図である。図5(a)に示すように、キャパシタC1、C2およびインダクタL1~L3はT型CLCのハイパスフィルタであり、約5.5GHz以上が通過帯域Passである。キャパシタC3を付加することで、キャパシタC1~C3およびインダクタL1~L3により、通過帯域Passより低い周波数に極小を有する減衰極Attが形成される。減衰極Attの周波数は約3.9GHzである。ノードN1が直接キャパシタC3に接続されると、減衰極Attは形成されない。キャパシタC3がキャパシタC1およびC2を介してのみノードN1と接続されることにより、減衰極Attが形成される。
【0033】
図5(b)および表1に示すように、寄生インダクタンスLgのないフィルタA1では、減衰極Attは3.881GHzである。寄生インダクタンスLgが0.03nHのフィルタA2では、減衰極Attは3.843GHzであり、フィルタA1より低くなる。寄生インダクタンスLgが0.06nHのフィルタA3では、減衰極Attは3.806GHzであり、フィルタA1より低くなる。このように、比較例1では、寄生インダクタンスLgが変化すると、減衰極Attの周波数が変化し、フィルタ特性が変化してしまう。このため、積層体10を基板20に実装する場合、基板20の製造バラツキ、端子14と22の位置のバラツキ、および/または接合材24の量のバラツキ等により寄生インダクタンスLgが異なるとフィルタ特性が異なってしまう。また、積層体10を検査するとき、検査用基板のバラツキ、端子14と22の位置のバラツキおよび/または端子14と22との傾きのバラツキ等により寄生インダクタンスLgが異なるとフィルタ特性が異なってしまう。さらに、実装時と検査時において寄生インダクタンスLgが異なるとフィルタ特性が異なってしまう。このように、寄生インダクタンスLgが不安定なため、フィルタ特性が不安定である。
【0034】
[シミュレーション2]
実施例1において、寄生インダクタンスLg1およびLg2を変えフィルタ100の通過特性をシミュレーションした。シミュレーションは回路シミュレーションである。表2は、シミュレーション2におけるキャパシタC1~C3のキャパシタンス、インダクタL1~L3のインダクタンス、寄生インダクタンスLg1、Lg2、および減衰極Attの周波数を示す表である。
【表2】
【0035】
表2に示すように、キャパシタC1~C3のキャパシタンスおよびインダクタL1~L3のインダクタンスをそれぞれ0.4pF、0.4pF、0.5pF、1.4nH、0.2nHおよび0.2nHとした。フィルタB1では寄生インダクタンスLg1およびLg2を各々0nHとし、フィルタB2では寄生インダクタンスLg1およびLg2を各々0.03nHとし、フィルタB3では寄生インダクタンスLg1およびLg2をそれぞれ0.06nHおよび0.03nHとし、フィルタB4では寄生インダクタンスLg1およびLg2を各々0.06nHとした。
【0036】
図6(a)および図6(b)は、シミュレーション2におけるフィルタB1~B4の通過特性を示す図である。図6(b)は減衰極付近の拡大図である。図6(a)に示すように、フィルタB1~B4の通過特性はフィルタA1~A3の通過特性とほぼ同じである。通過帯域Passと減衰極Attが形成されている。
【0037】
図6(b)および表2に示すように、寄生インダクタンスLg1およびLg2が0nHのフィルタB1では、減衰極Attは3.881GHzであり、フィルタA1と同じである。寄生インダクタンスLg1およびLg2が0.03nHのフィルタB2では、減衰極Attは3.862GHzである。寄生インダクタンスLg1およびLg2がそれぞれ0.06nHおよび0.03nHのフィルタB3では、減衰極Attは3.853GHzである。寄生インダクタンスLg1およびLg2が0.06nHのフィルタB4では、減衰極Attは3.843GHzである。実施例1のフィルタB1~B4でも寄生インダクタンスLg1およびLg2が変化すると減衰極Attの極小の周波数が変化する。比較例1では、寄生インダクタンスLgが0nHから0.06nHに変化したときの減衰極Attの変化は-0.078GHzである。これに対し、実施例1では、寄生インダクタンスLg1およびLg2が0nHから0.06nHに変化したときの減衰極Attの変化は-0.038GHzである。このように、実施例1では寄生インダクタンスによる減衰極Attの変化を約1/2にできる。このように、実施例1では、ノードN1とグランドとの間に接続される寄生インダクタンスLg1およびLg2が並列接続されている。このため、実質的な寄生インダクタンスが比較例1の寄生インダクタンスLgより小さくなる。
【0038】
[シミュレーション3]
実施例1においてインダクタL2とL3のインダクタンスの比率を変え、フィルタ100の通過特性をシミュレーションした。シミュレーションは回路シミュレーションである。表3および表4は、シミュレーション3におけるキャパシタC1~C3のキャパシタンス、インダクタL1~L3のインダクタンス、寄生インダクタンスLg1、Lg2、および減衰極Attの周波数を示す表である。
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
表3に示すように、フィルタC1~C5では、寄生インダクタンスLg1およびLg2を0.06nHとし、インダクタL2のインダクタンスを変えた。インダクタL1のインダクタンスは、ノードN1とグランド端子Tg1およびTg2との間のインダクタンスが1.5nHとなるように設定した。キャパシタC1~C3のキャパシタンスおよびインダクタL2のインダクタンスはフィルタB1~B4と同じである。
【0041】
表4に示すように、フィルタD1~D5では、寄生インダクタンスLg1およびLg2を0.03nHとし、インダクタL2のインダクタンスを変えた。インダクタL1のインダクタンスは、ノードN1とグランド端子Tg1およびTg2との間のインダクタンスが1.5nHとなるように設定した。キャパシタC1~C3のキャパシタンスおよびインダクタL2のインダクタンスはフィルタB1~B4と同じである。
【0042】
図7(a)は、シミュレーション3におけるフィルタA1、A3、B4およびC1~C5の通過特性を示す図である。図7(b)は、シミュレーション3におけるL2/L3に対する変動率を示す図である。L2/L3は、(L2のインダクタンス)/(L3のインダクタンス)である。変動率は、比較例1におけるフィルタA1とA3との減衰極Attの周波数の差に対する、フィルタA1と実施例1のフィルタB4およびC1~C5との減衰極Attの差に相当する。すなわち、変動率は、((A1の減衰極Attの周波数)-(B4、C1~C5の減衰極Attの周波数)/((A1の減衰極Attの周波数)-(A3の減衰極Attの周波数))×100[%]である。変動率が0に近いほど、寄生インダクタンスLg1およびLg2が付加されても減衰極Attの周波数の変化が小さいことを示している。図7(b)のドットはシミュレーションした点を示し、直線はドットをつなぐ線である。
【0043】
図7(a)に示すように、フィルタC1~C5およびB4における減衰極Attは、フィルタA3の減衰極AttよりフィルタA1の減衰極Attに近づく。図7(b)に示すように、L2/L3=0では、変動率は80%である。L2/L3が大きくなると変動率は小さくなる。L2/L3=0.3では変動率が60%となる。L2/L3=0.5では変動率は50%近くになる。L2/L3が1では変動率は約50%である。
【0044】
図8(a)は、シミュレーション3におけるフィルタA1、A2、B2およびD1~D5の通過特性を示す図である。図8(b)は、シミュレーション3におけるL2/L3に対する変動率を示す図である。変動率は、((A1の減衰極Attの周波数)-(B2、D1~D5の減衰極Attの周波数)/((A1の減衰極Attの周波数)-(A2の減衰極Attの周波数))×100[%]である。
【0045】
図8(a)に示すように、フィルタD1~D5およびB2における減衰極Attは、フィルタA2の減衰極AttよりフィルタA1の減衰極Attに近づく。図8(b)に示すように、L2/L3=0では、変動率は90%である。L2/L3が大きくなると変動率は小さくなる。L2/L3=0.5では変動率は50%近くになる。L2/L3が1では変動率は約50%である。シミュレーション3のように、L2/L3は1に近い方がよい。
【0046】
[実施例1の変形例1]
図9は、実施例1の変形例1に係るフィルタの回路図である。図9に示すように、実施例1の変形例1のフィルタ102では、ノードN2とグランド端子Tg3との間にインダクタL4が接続されている。グランド端子Tg3とグランドとの間に寄生インダクタンスLg3が接続されている。
【0047】
図10(a)および図10(b)は、実施例1の変形例1における誘電体層の平面図である。図10(a)は、誘電体層11fの上方からみた平面図である。図10(b)は、誘電体層11fを透過して端子14を見た平面図である。図10(a)に示すように、誘電体層11f上に設けられた導電体パターン12fはインダクタL2~L4を形成する。図10(b)に示すように、誘電体層11f下に設けられた端子14は、入力端子Tin´、出力端子Tout´およびグランド端子Tg1~Tg3を形成する。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0048】
[シミュレーション4]
実施例1の変形例1においてインダクタL3とL4のインダクタンスを各々0.1nHとし、インダクタL2のインダクタンスを変え、フィルタ102の通過特性をシミュレーションした。キャパシタC1~C3のキャパシタンスはシミュレーション1~3と同じ、インダクタL1のインダクタンスは、ノードN1とグランド端子Tg1~Tg3との間のインダクタンスが1.5nHとなるように設定し、寄生インダクタンスLg1~Lg3を各々0.03nHとした。
【0049】
図11は、シミュレーション4におけるL2/L3およびL2/L4に対する変動率を示す図である。変動率は、((A1の減衰極Attの周波数)-(実施例1の変形例1の減衰極Attの周波数)/((A1の減衰極Attの周波数)-(A2の減衰極Attの周波数))×100[%]である。図11のドットはシミュレーションした点を示し、直線はドットをつなぐ線である。
【0050】
図11に示すように、L2/L3=L2/L4=0では、変動率は約70%である。L2/L3=L2/L4=0.3において、変動率は約60%となり、L2/L3=L2/L4=0.5において変動率は約50%となる。L2/L3=L2/L4=1では変動率は約35%となる。
【0051】
実施例1の変形例1のように、ノードN1とグランドとの間に並列接続されるインダクタは3個以上でもよい。インダクタの個数が多い方が変動率を小さくできる。
【0052】
[実施例1の変形例2]
図12は、実施例1の変形例2に係るフィルタの回路図である。図12に示すように、実施例1の変形例2のフィルタ104では、キャパシタC3の代わりに弾性波共振器30が設けられている。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0053】
図13(a)は、実施例1の変形例2における弾性波共振器の平面図であり、図13(b)は、実施例1の変形例2における別の弾性波共振器の断面図である。図13(a)の例では、弾性波共振器30は弾性表面波共振器である。基板41の上面にIDT(Interdigital Transducer)40と反射器42が設けられている。IDT40は、互いに対向する1対の櫛型電極40aを有する。櫛型電極40aは、複数の電極指40bと複数の電極指40bを接続するバスバー40cとを有する。反射器42は、IDT40の両側に設けられている。IDT40が基板41に弾性表面波を励振する。基板41は、例えば、タンタル酸リチウム基板、ニオブ酸リチウム基板または水晶基板等の圧電基板である。基板41は、例えばサファイア基板、スピネル基板、アルミナ基板、水晶基板またはシリコン基板等の支持基板上に圧電基板が接合された複合基板でもよい。IDT40および反射器42は例えばアルミニウム膜または銅膜により形成される。基板41上にIDT40および反射器42を覆うように保護膜または温度補償膜が設けられていてもよい。
【0054】
図13(b)の例では、弾性波共振器30は圧電薄膜共振器である。基板41上に圧電膜46が設けられている。圧電膜46を挟むように下部電極44および上部電極48が設けられている。下部電極44と基板41との間に空隙45が形成されている。圧電膜46の少なくとも一部を挟み下部電極44と上部電極48とが対向する領域が共振領域47である。共振領域47内の下部電極44および上部電極48は圧電膜46内に、厚み縦振動モードまたは厚みすべり振動モードの弾性波を励振する。基板41は、例えばサファイア基板、スピネル基板、アルミナ基板、ガラス基板、水晶基板またはシリコン基板である。下部電極44および上部電極48は例えばルテニウム膜等の金属膜である。圧電膜46は例えば窒化アルミニウム膜、単結晶タンタル酸リチウム膜または単結晶ニオブ酸リチウム膜である。空隙45の代わりに音響反射膜が設けられていてもよい。
【0055】
図14は、実施例1の変形例2に係るフィルタの通過特性を示す図である。通過特性は、弾性波共振器30以外はフィルタB1と同じであり、弾性波共振器30の共振周波数は3.893GHzである。図1に示すように、約4.6GHz以上が通過帯域Passとなる。減衰極Att1では弾性波共振器30は容量性である。キャパシタC1、C2、インダクタL1~L3と弾性波共振器30のキャパシタンスにより減衰極Att1が形成される。通過帯域Passと減衰極Att1との間に、弾性波共振器30の共振周波数により減衰極Att2が形成される。減衰極Att2により通過帯域Passと減衰域との間の減衰量の急峻性を向上できる。
【0056】
実施例1の変形例2においても、減衰極Att1の周波数が変化するとフィルタ104の減衰域の特性が変化してしまう。インダクタL2とL3を設けることで、寄生インダクタンスLg1およびLg2が変化しても減衰極Att1の変化が小さくなり、フィルタ特性の変化を小さくできる。
【0057】
[実施例1の変形例3]
図15は、実施例1の変形例3に係るフィルタの回路図である。図15に示すように、実施例1の変形例3のフィルタ106では、キャパシタC3はノードN1とN2との間にインダクタL1と直列接続されている。実施例1の変形例3は実施例1と等価にキャパシタC3とインダクタL1~L3の直列共振回路により減衰極Attを形成できる。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0058】
比較例1の図4のように、入力端子Tinと出力端子Toutとの間の経路にシャント接続されたインダクタL1を有するフィルタでは、図5(b)および表1のように、寄生インダクタンスLgが変化するとフィルタ特性が変化してしまう。これにより、図2における端子14と22との実装方法等の違いによるフィルタ特性の変化が大きくなってしまう。
【0059】
実施例1およびその変形例によれば、インダクタL1(第1インダクタ)は、一端が入力端子Tinと出力端子Toutとの間の経路内のノードN1(第1ノード)に接続され、他端がノードN2(第2ノード)に接続されている。インダクタL2(第2インダクタ)は、一端がノードN2に接続され、他端がグランド端子Tg1(第1グランド端子)に接続されている。インダクタL3(第3インダクタ)は、一端がノードN1に接続され、他端がグランド端子Tg2(第2グランド端子)に接続されている。これにより、図6(b)および表2のように、端子14と22とを接続するための寄生インダクタンスLg1およびLg2が並列接続されるため、寄生インダクタンスLg1およびLg2が変化したときのシャント接続されたインダクタL1~L3のインダクタンスとインダクタンスLg1およびLg2の合成のインダクタンスの変化が小さくなる。よって、図2における端子14と22との実装等のバラツキによらずフィルタ特性を安定化できる。
【0060】
図6(a)のように、フィルタは、通過帯域Passを有するハイパスフィルタであり、インダクタL1~L3を含む共振回路により通過帯域Passより低い周波数に減衰極Attの極小を形成される。このようなフィルタでは、寄生インダクタンスLg1およびLg2の変化により減衰極Attの周波数が変化していまい、フィルタの減衰特性が変化してしまう。よって、インダクタL2およびL3を設けることが好ましい。
【0061】
図1のように、キャパシタC1(第1キャパシタ)およびキャパシタC2(第2キャパシタ)は、入力端子Tinと出力端子Toutとの間に直列接続され、キャパシタC3(容量性素子)は、入力端子Tinと出力端子Toutとの間においてキャパシタC1およびC2と並列接続されている。これにより、減衰極Attを形成できる。ノードN1とキャパシタC3とがキャパシタC1およびC2を介さず接続されると、単なるハイパスフィルタとなり、減衰極Attは形成されない。よって、ノードN1はキャパシタC1およびC2を介してキャパシタC3に接続される。このようなフィルタでは、寄生インダクタンスLg1およびLg2の変化により減衰極Attの周波数が変化していまい、フィルタの減衰特性が変化してしまう。よって、インダクタL2およびL3を設けることが好ましい。
【0062】
特に、図6(a)のように、インダクタL1~L3およびキャパシタC1~C3は、通過帯域Passより低い減衰極Att(第1減衰極)の第1極小を形成する場合、寄生インダクタンスLg1およびLg2の変化により減衰極Attの周波数が変化していまい、フィルタの減衰特性が変化してしまう。よって、インダクタL2およびL3を設けることが好ましい。
【0063】
実施例1の変形例2の図12のように、容量性素子は弾性波共振器30であり、弾性波共振器30は減衰極Att1の第1極小と通過帯域Passとの間に減衰極Att2(第2減衰極)の第2極小を形成する。この場合、寄生インダクタンスLg1およびLg2の変化により減衰極Att1の周波数が変化していまい、フィルタの減衰特性が変化してしまう。よって、インダクタL2およびL3を設けることが好ましい。
【0064】
実施例1の変形例3のように、キャパシタC3(第3キャパシタ)は、ノードN1とN2との間にインダクタL1と直列接続されていてもよい。この場合においても、減衰極Attを形成できる。よって、寄生インダクタンスLg1およびLg2の変化により減衰極Attの周波数が変化していまい、フィルタの減衰特性が変化してしまう。よって、インダクタL2およびL3を設けることが好ましい。
【0065】
シミュレーション3の図7(b)および図8(b)のように、インダクタL2およびL3の小さい方のインダクタンスはインダクタL2およびL3の大きい方のインダクタンスの0.1倍以上が好ましく、0.3倍以上がより好ましく、0.5倍以上がさらに好ましく、0.8倍以上がさらに好ましい。
【0066】
インダクタL2およびL3のインダクタンスを大きくすると、インダクタL2およびL3が大型化しフィルタが大型化する。この観点からインダクタL1のインダクタンスは、インダクタL2およびL3の大きい方のインダクタンスより大きいことが好ましく、インダクタL2およびL3の大きい方のインダクタンスの2倍以上がより好ましく、5倍以上がさらに好ましい。グランド端子Tgをグランド端子Tg1とTg2とを分割すると、インダクタL2およびL3のインダクタンスは有限の値となってしまう。インダクタL2およびL2のうち大きい方のインダクタンスは、インダクタL1のインダクタンスの0.01倍以上が好ましく、0.05倍以上がより好ましく、0.1倍以上がさらに好ましい。
【0067】
実施例1の変形例1のように、インダクタL4(第4インダクタ)の一端がノードN2に接続され、他端がグランド端子Tg3(第3グランド端子)に接続されている。このように、ノードN2とグランド端子との間に並列接続するインダクタを多くすることで、寄生インダクタンスの変化によるフィルタ特性の変化を小さくできる。
【0068】
図11のように、インダクタL2~L4のうち最も小さなインダクタンスは、インダクタL2~L4のうち最も大きなインダクタンスの0.1倍以上が好ましく、0.3倍以上がより好ましく、0.5倍以上がさらに好ましく、0.8倍以上がさらに好ましい。
【0069】
図3(a)~図3(f)のように、積層体10では複数の誘電体層11a~11fが積層され、インダクタL1~L3は積層体10内に形成され、グランド端子Tg1およびTg2は、積層体10の同じ表面に形成されている。このような構造では、端子14と22との接合方法により寄生インダクタンスが変化しやすい。よって、インダクタL2およびL3を設けることが好ましい。
【実施例2】
【0070】
実施例2は、実施例1およびその変形例が用いられるマルチプレクサの例である。図16は、実施例2に係るトリプレクサの回路図である。図16に示すように、トリプレクサ32はフィルタ34、36および38を備えている。共通端子Antと端子LB、MBおよびHBとの間にそれぞれフィルタ34、36および38が接続されている。共通端子Antにはアンテナ35が接続されている。フィルタ34例えばローパスフィルタであり、ローバンドの高周波信号を通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。フィルタ36は例えばバンドパスフィルタであり、ローバンドより高い周波数のミドルバンドの高周波信号を通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。フィルタ38は例えばハイパスフィルタであり、ミドルバンドより高い周波数のハイバンドの高周波信号を通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。フィルタ38を実施例1およびその変形例のフィルタとすることができる。マルチプレクサの例としてトリプレクサの例を説明したが、マルチプレクサはダイプレクサ、デュプレクサまたはクワッドプレクサでもよい。
【0071】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0072】
10 積層体
11a~11f 誘電体層
12b~12f 導電体パターン
13b~13f ビア配線
14、22 端子
20 基板
24 接合材
30 弾性波共振器
32 トリプレクサ
34、36、38 フィルタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16