IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ レイセオン カンパニーの特許一覧

特許7643821水中ビークル検査方法、装置及びコンピュータプログラム
<>
  • 特許-水中ビークル検査方法、装置及びコンピュータプログラム 図1
  • 特許-水中ビークル検査方法、装置及びコンピュータプログラム 図2
  • 特許-水中ビークル検査方法、装置及びコンピュータプログラム 図3
  • 特許-水中ビークル検査方法、装置及びコンピュータプログラム 図4
  • 特許-水中ビークル検査方法、装置及びコンピュータプログラム 図5
  • 特許-水中ビークル検査方法、装置及びコンピュータプログラム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-03
(45)【発行日】2025-03-11
(54)【発明の名称】水中ビークル検査方法、装置及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 15/89 20060101AFI20250304BHJP
【FI】
G01S15/89 A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023541890
(86)(22)【出願日】2021-12-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-19
(86)【国際出願番号】 US2021061571
(87)【国際公開番号】W WO2022154892
(87)【国際公開日】2022-07-21
【審査請求日】2023-07-11
(31)【優先権主張番号】17/146,673
(32)【優先日】2021-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
【住所又は居所原語表記】1100 Wilson Blvd Arlington, Virginia 22209 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ウィルビー,アンドリュー
【審査官】東 治企
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0276552(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0204543(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0103245(US,A1)
【文献】特許第6807591(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0299733(US,A1)
【文献】国際公開第2017/095539(WO,A1)
【文献】Oivind Midtgaard et al.,"Change detection using Synthetic Aperture Sonar: Preliminary results from the Larvik Trial",OCEANS 2011 MTS,2011年09月,DOI: 10.23919/OCEANS.2011.6107272
【文献】Daniel D. Sternlich et al.,"Experiments in Coherent Change Detection for Synthetic Aperture Sonar",OCEANS 2009 MTS,2009年09月,DOI: 10.23919/OCEANS.2009.5422261
【文献】Tesfaye G-Michael et al.,"Statistically Normalized Coherent Change Detection for Synthetic Aperture Sonar Imagery",Proceedings of SPIE,Vol. 9823,2016年,98231T_1-13,DOI: 10.1117/12.2223793,<URL; https://doi.org/10.1117/12.2223793 >
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/18-5/30
G01S 7/52-7/64
B63B 1/00-85/00
B63G 1/00-13/02
B60R 21/00-21/017
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
1つ以上のセンサを用いて水中ビークルに対するベースラインSAS画像を作成すること、
ホストプラットフォームが前記水中ビークルを発射すること、
前記水中ビークルが前記ホストプラットフォームに戻った後に、前記水中ビークルの外面の少なくとも一部に対するSAS画像を受け取ることと、
コヒーレント変化検出処理を行って、前記水中ビークルに対するベースラインSAS画像を前記水中ビークルの外面の少なくとも一部に対するSAS画像として受け取ったSAS画像と比較し、前記ベースラインSAS画像と前記受け取ったSAS画像との類似性の尺度に対応するCCD出力を生成することと、
前記類似性の尺度に基づいて、前記水中ビークルの不正変更があったか否かを判定することと、を含方法。
【請求項2】
前記水中ビークルは無人水中ビークルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記SAS画像を受け取ることは、前記水中ビークルが所定の任務から前記ホストプラットフォームに戻った後に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記不正変更は爆発装置を取り付けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記受け取ったSAS画像は、前記SAS画像を生成するための前記水中ビークルまたはシステムの少なくとも3つのパスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記水中ビークルの不正変更があったか否かを判定することは、約0.5mmの前記水中ビークル外面に対する変更を検出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記水中ビークルが戻っている前記ホストプラットフォームによる前記水中ビークルの不正変更があったか否かの判定を行うことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
装置であって、
プロセッサ及びメモリを含み、前記プロセッサ及びメモリは、
1つ以上のセンサを用いて水中ビークルに対するベースラインSAS画像を作成すること、
ホストプラットフォームが前記水中ビークルを発射すること、
前記水中ビークルが前記ホストプラットフォームに戻った後に、前記水中ビークルの外面の少なくとも一部に対するSAS画像を受け取ることと、
コヒーレント変化検出処理を行って、前記水中ビークルに対するベースラインSAS画像を前記水中ビークルの外面の少なくとも一部に対するSAS画像として受け取ったSAS画像と比較し、前記ベースラインSAS画像と前記受け取ったSAS画像との類似性の尺度に対応するCCD出力を生成することと、
前記類似性の尺度に基づいて、前記水中ビークルの不正変更があったか否かを判定することと、
を含む方法を行うように構成されている、装置。
【請求項9】
前記水中ビークルは無人水中ビークルを含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記SAS画像を受け取ることは、前記水中ビークルが所定の任務から前記ホストプラットフォームに戻った後に行われる、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記不正変更は爆発装置を取り付けることを含む、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記受け取ったSAS画像は、前記SAS画像を生成するための前記水中ビークルまたはシステムの少なくとも3つのパスを含む、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記水中ビークルの不正変更があったか否かを判定することは、約0.5mmの前記水中ビークル外面に対する変更を検出することを含む、請求項8に記載の装置。
【請求項14】
前記水中ビークルが戻っている前記ホストプラットフォームによる前記水中ビークルの不正変更があったか否かの判定を行うことをさらに含む、請求項8に記載の装置。
【請求項15】
1つ以上のセンサを用いて水中ビークルに対するベースラインSAS画像を作成すること、
ホストプラットフォームが前記水中ビークルを発射すること、
前記水中ビークルが前記ホストプラットフォームに戻った後に、前記水中ビークルの外面の少なくとも一部に対するSAS画像を受け取ることと、
コヒーレント変化検出処理を行って、前記水中ビークルに対するベースラインSAS画像を前記水中ビークルの外面の少なくとも一部に対するSAS画像として受け取ったSAS画像と比較し、前記ベースラインSAS画像と前記受け取ったSAS画像との類似性の尺度に対応するCCD出力を生成することと、
前記類似性の尺度に基づいて、前記水中ビークルの不正変更があったか否かを判定することと、
を含む方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム
【請求項16】
前記水中ビークルは無人水中ビークルを含む、請求項15に記載のコンピュータプログラム。
【請求項17】
前記SAS画像を受け取ることは、前記水中ビークルが所定の任務から前記ホストプラットフォームに戻った後に行われる、請求項16に記載のコンピュータプログラム。
【請求項18】
前記不正変更は爆発装置を取り付けることを含む、請求項16に記載のコンピュータプログラム。
【請求項19】
前記受け取ったSAS画像は、前記SAS画像を生成するための前記水中ビークルまたはシステムの少なくとも3つのパスを含む、請求項16に記載のコンピュータプログラム。
【請求項20】
前記水中ビークルの不正変更があったか否かを判定することは、約0.5mmの前記水中ビークル外面に対する変更を検出することを含む、請求項16に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
当該技術分野で知られるように、画像化システムは船舶の船体の外面を画像化することができる。既知のシステムには細密検査を必要とするものもあるが、他のシステムには海底からのサイドスキャンを用いて船体を画像化することを試みるものもある。これらのシステムにおいて得られる画像は、船体に対する斜めの角度によって幾何学的歪みが生じるため、解釈が難しい。加えて、データは解像度が限定され得るため、船体に対する微妙な変更を見逃す場合がある。従来のシステムの中には、画像データを取得するために大きなセンサアレイを必要とする場合がある。
【発明の概要】
【0002】
本開示の実施形態によって、無人水中ビークル(unmanned underwater vehicles,UUV)などの水中ビークルをその帰還時に検査するための方法及び装置が提供される。用途によっては、UUVが潜水艦または船舶から発射されて偵察活動を行い、その後、UUVが任務の終わりに帰還する。実施形態では、検査システムが、帰還したUUVの外面を画像化して分析し、任意の変化を検出する。たとえば、UUVに取り付けられた爆発装置を、検査システムによって検出することができる。
【0003】
実施形態では、検査システムは、任務を開始する前にUUVの一連のベースライン高周波合成開口ソナー(SAS)画像を作成する1つ以上のセンサを含み、コヒーレント変化検出(CCD)処理を用いて、ベースライン画像をビークルの帰還時に形成された画像と比較する。実施形態例では、検査システムは、0.5mmのオーダーの検出感度で、100mのオーダーなどの所与のスタンドオフ距離にあるセンサ(複数可)に対するUUVの3つのパスを用いる。この配置例を用いれば、検査システムは、何らかの種類の不正変更(tampering)によって生じるUUVの形状の変化を検出することができる。帰還するUUVを検査して不正変更を検出することによって、船舶または潜水艦などのホストプラットフォームを保護することができる。
【0004】
一態様では、方法は、水中ビークルの外面の少なくとも一部に対するSAS画像を受け取ることと、コヒーレント変化検出処理を行って、水中ビークルに対するベースラインSAS画像を水中ビークルの受け取ったSAS画像と比較し、ベースラインSAS画像と受け取ったSAS画像との類似性の尺度に対応するCCD出力を生成することと、類似性の尺度に基づいて、水中ビークルの不正変更があったか否かを判定することと、を含む。
【0005】
別の態様では、装置は、プロセッサ及びメモリを含み、プロセッサ及びメモリは、水中ビークルの外面の少なくとも一部に対するSAS画像を受け取ることと、コヒーレント変化検出処理を行って、水中ビークルに対するベースラインSAS画像を水中ビークルの受け取ったSAS画像と比較し、ベースラインSAS画像と受け取ったSAS画像との類似性の尺度に対応するCCD出力を生成することと、類似性の尺度に基づいて、水中ビークルの不正変更があったか否かを判定することと、を行うように構成されている。
【0006】
さらなる態様では、物品は、命令が記憶された非一時的コンピューター可読媒体を含み、命令は、機械が、水中ビークルの外面の少なくとも一部に対するSAS画像を受け取ることと、コヒーレント変化検出処理を行って、水中ビークルに対するベースラインSAS画像を水中ビークルの受け取ったSAS画像と比較し、ベースラインSAS画像と受け取ったSAS画像との類似性の尺度に対応するCCD出力を生成することと、類似性の尺度に基づいて、水中ビークルの不正変更があったか否かを判定することと、を行えるようにする。
【0007】
本発明の前述の特徴ならびに本発明自体は、図面の以下の説明からより十分に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態例による、水中ビークルをホストして検査することができる潜水艦の画像表現である。
図2】本開示の実施形態例による、検査システムによって検査されている水中ビークル例の概略図である。
図3】本開示の例示的な実施形態による、水中ビークル検査システムの実施形態例の高レベルのブロック図である。
図4】検査システムを有するホスト水中ビークルからスタンドオフ距離にある水中ビークルの概略図である。
図5】本開示の実施形態例による、水中ビークルを検査するためのステップのシーケンス例を示すフロー図である。
図6】本明細書に記載の処理の少なくとも一部を行うことができるコンピューター例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に、本開示の実施形態例による、無人水中ビークル(UUV)102を発射し、UUVを帰還時に検査することができるホストビークル例100(船舶または潜水艦を含むことができる)を示す。UUV102の外面を検査して、ホストビークル100に影響を与え得る任意の不正変更を検出することができる。以下により十分に説明するように、検査システムは、コヒーレント変化検出(CCD)を用いて処理された合成開口ソナー(SAS)画像を用いてUUV102の外面を検査して、発射以来のUUV外側に対する任意の変化を検出するように構成することができる。UUV外面に対する変更としては、化学薬品、生物材料、焼夷弾装置、爆発物、追跡装置などの種々の禁制品材料またはシステムを挙げることができる。
【0010】
本明細書で用いる場合、不正変更は、ビークルの外面への材料の任意の不正な付加または意図的な損傷を指す。たとえば、悪意のある者が、水中ビークルが任務から帰還した後にホストビークルに損傷を与える目的で、水中ビークルに爆発物を取り付ける場合がある。
【0011】
図2に、UUV202の外面を検査するための検査システム200の高レベルの図を示す。実施形態例では、検査システム200は、UUVまたはSASセンサの一方または両方が互いに対して移動するときにUUV202の画像を取得する合成開口ソナー(SAS)システムを含む。例示した実施形態では、第1のパス204は、円内のXで示されるページ内への相対運動を伴う画像を取得する。第2のパス206は、円の中央のドットによって示されるページから出てくる相対運動を伴う画像を取得することができる。第3のパス208は、円内のXで示されるページ内への相対運動を伴う画像を取得する。UUV202(またはセンサ)は、UUV外面全体の検査ができるように、各パスの後に120度回転させてもよい。一実施形態では、3つのパス204、206、208のそれぞれは、UUV202外面の約120度をカバーして、全部で360度をカバーすることができる。以下により十分に説明するように、コヒーレント変化検出(CCD)処理を用いて、UUV202の外面上での任意の変化を検出することができる。
【0012】
実施形態例を、水中または水面下で動作する特定のビークルと関連して示しているが、本開示の実施形態は、表面における変化を検出することが望ましい検査システム全般に適用できることが理解される。画像取得センサとビークルとの相対運動は、広範囲な方法で実現できることが理解される。たとえば、ビークルを固定位置に固定しながら、検査システムの少なくともセンサがビークルの表面に対して移動してもよい。他の実施形態では、検査システムの少なくともセンサを所定の位置に固定しながら、ビークルをセンサに対して移動させる。いくつかの実施形態では、検査システムの少なくともセンサとビークルの両方が、所望の画像を取得するように構成されたパターンで、互いに対して移動する。
【0013】
本明細書で用いる場合、SASは、ターゲット領域上でのレーダセンサーの相対運動(またはその逆もしくは両方の運動)を用いることによって物体を2次元または3次元で画像化して、従来のビーム走査レーダーよりも微細な空間分解能を得るソナーの種類を指す。ソナーパルスがアンテナに戻るまでにかかる時間内にSASデバイスがターゲット上を移動する距離によって、ソナーに対する合成開口が作成される。開口サイズは画像の解像度に対応する。こうして、SASシステムは、比較的小さい物理アンテナを用いて高解像度の画像を作成することができる。SAS画像を作成するために、連続パルスを送信して、ターゲットを含み得る領域を照射する。送信されたパルスはターゲットから反射して、信号リターンとして受け取ることができる。送信及び受信信号は、特定の用途のニーズを満たすようにビーム形成することができる。信号リターンを処理して、複数のアンテナ位置からの信号を結合して、合成アンテナ開口を得ることができる。全般的に、レンジ方向はターゲットの動きに平行で、方位角方向(アロングトラックとしても知られる)に垂直である。
【0014】
実施形態では、3D処理は、2D(方位角-レンジ)高解像度画像を生成するための方位角及びレンジ方向における初期処理を含み、その後に、デジタル標高モデル(DEM)を用いて、複雑な画像間の位相差を測定する。これは、高さ情報を復元するために種々の視角から決定される。この高さ情報は、2DのSASフォーカシングによって与えられる方位角-レンジ座標とともに、標高である3番目の寸法を与える。
【0015】
図3に、本開示の例示的な実施形態による、無人水中ビークル(UUV)304の画像を取得するためのSASシステム302と、ベースラインSAS画像からUUVの表面における変化を検出するためのCCDシステム350とを有する検査システム例300を示す。
【0016】
コヒーレント変化検出(CCD)は、ベースライン画像(複数可)からより最近の画像(複数可)への変化を検出するために画像の振幅と位相を比較するための処理技術を指す。CCD処理は、SASシステムから取得した画像に対して用いることができる。CCDは、コヒーレント処理に対する位相も考慮しながら振幅差を検出するために画像を互いに重ね合わせるものと考えることができる。振幅差だけを非コヒーレント変化検出(NCCD)と考えることができることが理解される。
【0017】
SASシステム302は、SAS画像を生成するためのアンテナなどのセンサ304を含む。SASシステムのアンテナ304は、UUVを含む視野を走査することによってSASデータを収集する。送信モジュール306及び受信モジュール308は、アンテナ304との間で信号を送受信するために選択的に有効にされる。実施形態では、送信システムと受信システムは互いに分離しており、独立したアンテナを有し得る。ビーム形成モジュール310は、送信ビーム及び/または受信ビームを所望のパターンで形成することができる。信号処理モジュール312は、送信用の信号を生成し、信号リターンを処理してSAS画像を生成することができる。SAS画像データベース314は、種々のUUVに対するベースラインSAS画像を記憶することができ、任務完了して最近帰還したUUVに対して作成したSAS画像を記憶することができる。
【0018】
データベース314内に記憶することができるSAR画像を取得するための相対運動を実現するために、多くのパスをセンサ304またはUUVによって形成することができる。実施形態では、ベースラインSAS画像は、UUVを展開する前に取得する。SASシステムは、特定の用途のニーズを満たす所望の解像度を実現するために、ビークルのパスの任意の実際的な数を取ることができることが理解される。
【0019】
CCDシステム350は、SAS画像を処理するためにSAS画像データベース314にアクセスすることができる。CCDシステム350は、所与のUUVに対するベースラインSAS画像を、そのUUVに対するより最近のSAS画像と比較することができるCCD処理モジュール352を含むことができる。出力モジュール354は、帰還時にUUV検査のCCD結果を示し得るディスプレイを含むことができる。CCD処理モジュール352は、ベースラインと最近のSAS画像との類似性の尺度を生成することができる。実施形態では、類似性の尺度は、少なくとも0.5mm及び/または送信信号の波長の5分の1のUUVの表面の変化を示す。
【0020】
SAS画像のCCD処理は、特定の用途のニーズを満たすために変更することができる。実施形態例では、CCD処理は4つの処理ステージを含む。
第1は、2つのパスに対するターゲットのおおよその位置を関係づける粗い位置合わせ段階。第2は、2つの画像間の特徴に一致する細かいスケール共位置合わせ(co-registration)。
第3は、画像の位相コヒーレンスを改善する局所的な共位置合わせ位相、最後に、2つの画像間の位相差を検出するアルゴリズム。
【0021】
図4に、検査が望ましい水中ビークル402の画像を有人または無人の水中ホストビークル400が取得するSAS画像収集構成の例を示す。水中ビークル400は、小型物体の光学レベルの識別が得られる高周波広帯域のSAS型ソナーを有する機雷掃討艇型の潜水艦を含むことができる。
【0022】
実施形態では、SASシステム用の線形センサアレイを用いることができる。大きなセットの要素を集束させることによる狭い方位角ビームからの物理的開口サイドスキャンを用いて、合成開口ソナーは、アレイがターゲットを通り過ぎる(またはその逆の)ときに多数の受信器からのデータをコヒーレントに結合することによって任意の長さのアレイを構築する。これにより、レンジに依存する解像度が可能になり、あり得ないほど長い物理的なアレイがなければ可能とはならないレンジにおける高方位角解像度の画像の形成が可能になる。物理アレイの長さは、アレイとターゲットとの間のレンジ、センサがターゲットを通る(またはその逆の)相対速度に依存する。2つの物体の相対速度が適切に制御されているならば、比較的短いアレイによって正確な結果を得ることができる。実施形態では、アレイの長さは、2つのプラットフォームの相対速度及び最近接点において必要なスタンドオフ距離に応じて、約0.1m未満から数メートルの長さまで変化することができる。
【0023】
図5に、本開示の実施形態例による、水中ビークルの検査を行うためのステップのシーケンス例を示す。ステップ500において、検査システムのSASシステムは、水中ビークルのベースライン画像を生成する。SASシステムセンサと水中ビークルとの相対運動は、センサ及び/または水中ビークルを選択したパターンで移動させることによって実現され、所望の画像が取得される。ステップ502において、SASシステムは、ビークルが任務から帰還した後などに、水中ビークルの新しい画像を生成する。ステップ504において、CCD処理を行って、ベースラインSAS画像と新しいSAS画像とを比較して水中ビークルの表面を検査し、任意の不正変更を検出する。ステップ506において、CCD処理の出力は、不正変更が検出されたか否かを示す。
【0024】
図6に、図1、2、3、及び4の処理などの本明細書に記載の処理の少なくとも一部を行うことができる典型的なコンピューター600を示す。たとえば、コンピューター600は、本明細書に記載するように、SAR画像を生成する処理を行い、水中ビークルの不正変更を検出するCCD画像処理を行うことができる。コンピューター600は、プロセッサ602、揮発性メモリ604、不揮発性メモリ606(たとえば、ハードディスク)、出力デバイス607、及びグラフィカルユーザインターフェース(GUI)608(たとえば、マウス、キーボード、ディスプレイなど)を含む。不揮発性メモリ606は、コンピューター命令612、オペレーティングシステム616、及びデータ618を記憶する。一例では、コンピューター命令612は、プロセッサ602によって、揮発性メモリ604から実行される。一実施形態では、物品620は、非一時的なコンピューター可読命令を含む。
【0025】
処理は、ハードウェア、ソフトウェア、または2つの組み合わせで実施してもよい。処理は、プロセッサ、記憶媒体、またはプロセッサによって読取可能な他の製品(揮発性及び不揮発性メモリならびに/または記憶素子を含む)、少なくとも1つの入力デバイス、及び1つ以上の出力デバイスをそれぞれ含むプログラム可能なコンピューター/機械上で実行されるコンピュータープログラムにおいて実施してもよい。プログラムコードを、入力デバイスを用いて入力されるデータに適用して、処理を行い、出力情報を生成してもよい。
【0026】
システムは、データ処理装置(たとえば、プログラム可能なプロセッサ、コンピューター、または複数のコンピューター)による実行のためのまたはその動作を制御するコンピュータープログラム製品(たとえば、機械可読な記憶デバイス内の)を介して、少なくとも部分的に処理を行うことができる。このような各プログラムは、コンピューターシステムと通信するために、高レベルの手続き型またはオブジェクト指向プログラミング言語で実施してもよい。しかし、プログラムはアセンブリ言語または機械語で実施してもよい。言語は、コンパイル型言語またはインタープリタ型言語であってもよく、任意の型式で(たとえば、スタンドアロンプログラムとして、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、またはコンピューティング環境内で用いるのに適した他のユニットとして)配置してもよい。コンピュータープログラムは、1つのコンピューター上で実行するように、または1つの場所にある複数のコンピューター上または複数の場所にわたって分散されて通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピューター上で実行するように配置してもよい。コンピュータープログラムは、汎用または専用のプログラム可能なコンピューターによって読取可能な記憶媒体または装置(たとえば、CD-ROM、ハードディスク、または磁気ディスケット)上に記憶して、記憶媒体または装置をコンピューターが読んだときにコンピューターを構成して動作させるようにしてもよい。また処理は、コンピュータープログラムによって構成された機械可読記憶媒体として実施してもよく、実行時に、コンピュータープログラム内の命令によってコンピューターが動作する。
【0027】
処理は、システムの機能を行うために1つ以上のコンピュータープログラムを行う1つ以上のプログラム可能なプロセッサによって行ってもよい。システムの全部または一部は、特殊用途論理回路(たとえば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)及び/またはASIC(特定用途向け集積回路))として実施してもよい。
【0028】
本発明の典型的な実施形態について説明してきたが、その考え方を組み込んだ他の実施形態も使用してよいことが当業者には明らかになるであろう。本明細書に含まれる実施形態は、開示した実施形態に限定するべきではなく、むしろ添付の請求項の趣旨及び範囲によってのみ限定されるべきである。本明細書で引用したすべての出版物及び参考文献は、その全体において参照により本明細書に明示的に組み込まれている。
【0029】
本明細書に記載した異なる実施形態の要素を組み合わせて、具体的には前述していない他の実施形態を形成してもよい。単一の実施形態の文脈で記載されている種々の要素は、別個にまたは任意の好適な部分組み合わせで提供され得る。本明細書では具体的に記載していない他の実施形態も、以下の請求項の範囲内である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6